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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】ゲル状組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220714BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220714BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/81
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020144639
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039549
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2021-08-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)会見日 :令和1年9月5日 会見場所:キユーピー株式会社渋谷本本社ビル2階大ホール(東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号) (2)配布日 :令和1年9月5日 配布場所:キューピー株式会社渋谷本本社ビル2階大ホール(東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号) (3)ウェブサイトの掲載日:令和1年9月5日 ウェブサイトのアドレス:1)https://www.kewpie.com/newsrelease/2019/1475/ 2)https://www.kewpie.com/newsrelease/items/2019/items/pdf/2019/newsrelease_20190905_73.pdf 3)https://www.kewpie.co.jp/products/skincare/skincare/hyalo_one/ (4)ウェブサイトの掲載日及び販売日:令和1年10月1日 販売場所及びウェブサイトのアドレス:1)キユーピーアヲハタネットショップ http://www.blueflag.co.jp/sp/supplement/category/002004/list/ http://kewpie.blueflag.co.jp/lp/n_hyaloone_01/ 2)キユーピーアヲハタ楽天市場店 https://item.rakuten.co.jp/kewpie-blueflag/34161/ 3)キユーピーアヲハタPayPayモール店 https://paypaymall.yahoo.co.jp/store/kewpie-blueflag/item/y-28937/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 4)Amazon.co.jp https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%BC-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AB-%E3%83%92%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%B3%E9%85%B8-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AB-%E3%83%92%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC/dp/B07YG3L29F/ref=pd_lpo_194_img_2/357-4685241-7128307?_encoding=UTF8&pd_rd_i=B07YG3L29F&pd_rd_r=df1280fb-6225-40f1-a3b3-7b262cc0cc3e&pd_rd_w=IarmD&pd_rd_wg=wQ6cw&pf_rd_p=4b55d259-ebf0-4306-905a-7762d1b93740&pf_rd_r=8QWJR9W05173Z3KK79JZ&psc=1&refRID=8QWJR9W05173Z3KK79JZ(5)公開日 :令和1年12月10日 刊行物 :朝日新聞令和1年12月10日朝刊 (6)公開日 :令和2年1月26日 刊行物 :朝日新聞社 令和2年1月26日朝刊
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593084649
【氏名又は名称】日本コルマー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 陽子
(72)【発明者】
【氏名】倉田 友紀奈
(72)【発明者】
【氏名】平野 慶子
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214537(JP,A)
【文献】特開2013-249259(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125634(WO,A1)
【文献】特開2013-170149(JP,A)
【文献】特開平06-287107(JP,A)
【文献】特開2019-044086(JP,A)
【文献】特表2011-513481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K47/00-47/69
C08B 1/00-37/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ヒアルロン酸及びヒアルロン酸のヒドロキシル基、又はカルボキシル基がエーテル化、エステル化、アセチル化、アミド化、アセタール化、又はケタール化されて得られるヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩を0.2質量%以上含有し、粘度が15000~60000mPa・sである、ゲル状組成物であって、
前記ゲル状組成物は、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤(ただし、(A)成分を除く)を0.1質量%以上、(C)会合性増粘剤を0.05質量%以上含有し、
(B)アニオン性高分子化合物増粘剤は、(A)ヒアルロン酸及びヒアルロン酸のヒドロキシル基、又はカルボキシル基がエーテル化、エステル化、アセチル化、アミド化、アセタール化、又はケタール化されて得られるヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩以外のアニオン性高分子化合物増粘剤であり、
前記(B)アニオン性高分子化合物増粘剤の前記ゲル状組成物中の含有量が、0.24質量%以上0.8質量%以下であり、
(B)アニオン性高分子化合物増粘剤と(C)会合性増粘剤の質量比が、4.44:1~1.33:1である、ゲル状組成物。
【請求項2】
(C)会合性増粘剤が疎水化変性アルキルセルロースである、請求項1に記載のゲル状組成物。
【請求項3】
(A)ヒアルロン酸及びヒアルロン酸のヒドロキシル基、又はカルボキシル基がエーテル化、エステル化、アセチル化、アミド化、アセタール化、又はケタール化されて得られるヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩からなる群から選択される1つ以上のうち、平均分子量が50万~200万であるものを0.1質量%以上含有する、請求項1又は2に記載のゲル状組成物。
【請求項4】
(A)ヒアルロン酸及びヒアルロン酸のヒドロキシル基、又はカルボキシル基がエーテル化、エステル化、アセチル化、アミド化、アセタール化、又はケタール化されて得られるヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩からなる群から選択される1つ以上のうち、平均分子量が50万~200万であるものを0.1質量%以上含有し、平均分子量が1万以下であるものを0.1質量%以上含有する、請求項1又は2に記載のゲル状組成物。
【請求項5】
粘度が25000~45000mPa・sである、請求項1~4のいずれかに記載のゲル状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状組成物に関する。より詳しくは、本発明は、0.2質量%以上の高濃度のヒアルロン酸等を含有するゲル状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、1934年にMeyerらによって牛の硝子体から分離・同定された、N-アセチルグルコサミンとD-グルクロン酸が交互に結合した分子量数万~数百万の直鎖状の高分子多糖であり、生体内に広く分布し、皮膚、関節液、血管、脳、軟骨などの結合組織及び器官に存在する。ヒアルロン酸は、保水性が高く、その水分保持能力によって粘性を有し、細胞保持機能を発揮し、組織の柔軟性を保つ働きをする。この特性を利用して、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸誘導体が、医薬品、化粧品、食品の原料として幅広く用いられている。例えば、ヒアルロン酸を配合した化粧品は、皮膚表面に水分を含んだ膜を形成し、皮膚の水分蒸散を防ぐ効果があり、肌の保湿状態を保つのに有用である。
【0003】
基礎化粧料として、化粧水、乳液、美容液、クリーム等が存在するが、近年、これらの基礎化粧料が一つの化粧料で賄えるオールインワン化粧料が、女性の社会進出と共に、短時間で化粧を行うことができることから、注目を集めている。
【0004】
以上の背景から、オールインワン化粧料としても用いることができ、ヒアルロン酸の特性をより積極的に利用した、0.2質量%以上の高濃度のヒアルロン酸等を含有する高粘度のゲル状組成物が望まれている。しかし、高濃度のヒアルロン酸等を含有する高粘度のゲル状組成物は、経時的な安定性が悪く、経時的にゲルの不均一化が生じ、だまになり易いとの問題があった。
【0005】
特許文献1には、増粘剤を0.01質量%以上5質量%以下含有し、増粘剤1部に対してカルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸及び/又はその塩を0.1部以上5部以下含有するゲル状化粧料が記載されている。しかし、このゲル状化粧料には、高濃度のヒアルロン酸等が含まれているため、経時的な安定性等が十分ではなく、前記の問題があった。
特許文献2及び3には、会合性増粘剤を用いた、ヒアルロン酸等を含有するゲル状組成物が記載されている。しかし、ヒアルロン酸等の含有量が多くても0.02質量%及び0.03質量%であり、非常に低濃度である。
また、特許文献1~3には、増粘剤としてアニオン性高分子化合物増粘剤と会合性増粘剤を組み合わせて用いることは記載されておらず、これらを組み合わせて用いた実施例は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-199516号公報
【文献】特開2018-087148号公報
【文献】特開2017-036217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、経時的な安定性を有し、経時的にゲルの不均一化がなく、だまになりにくく、使用感に優れた、0.2質量%以上の高濃度のヒアルロン酸等を含有する高粘度のゲル状組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の本願発明の課題を解決するべく、様々な増粘剤を用いて鋭意検討した結果、増粘剤として、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤のみを用いた場合、及び(C)会合性増粘剤のみを用いた場合は、得られた高濃度のヒアルロン酸等を含有するゲル状組成物は経時的な安定性が無かったが、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤と(C)会合性増粘剤とを5:1~0.15:1の質量比で組み合わせたところ、0.2質量%以上の高濃度のヒアルロン酸等を含有する高粘度のゲル状組成物が、意外にも経時的な安定性を有し、経時的にゲルの不均一化がなく、だまになりにくいことを見出して、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1](A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩を0.2質量%以上含有し、粘度が15000~60000mPa・sであるゲル状組成物であって、
前記ゲル状組成物は、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤を0.1質量%以上、(C)会合性増粘剤を0.05質量%以上含有し、
(B)アニオン性高分子化合物増粘剤は、(A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩以外のアニオン性高分子化合物増粘剤であり、
(B)アニオン性高分子化合物増粘剤と(C)会合性増粘剤の質量比が、5:1~0.15:1である、ゲル状組成物。
【0010】
[2](C)会合性増粘剤が疎水化変性アルキルセルロースである、[1]に記載のゲル状組成物。
[3](A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩から選択される少なくとも1つのうち、平均分子量が50万~200万であるものを0.1質量%以上含有する、[1]又は[2]に記載のゲル状組成物。
[4] (A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩からなる群から選択される1つ以上のうち、平均分子量が50万~200万であるものを0.1質量%以上含有し、平均分子量が1万以下であるものを0.1質量%以上含有する、[1]又は[2]に記載のゲル状組成物。
[5]粘度が25000~45000mPa・sである、[1]~[4]のいずれかに記載のゲル状組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の0.2質量%以上の高濃度のヒアルロン酸等を含有する高粘度のゲル状組成物は、経時的な安定性を有し、経時的にゲルの不均一化がなく、だまになりにくく、肌へののびが良く、べとつきが無く、使用感に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.ゲル状組成物
本発明は、(A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩を0.2質量%以上含有し、粘度が15000~60000mPa・sであるゲル状組成物であって、前記ゲル状組成物は、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤を0.1質量%以上、(C)会合性増粘剤を0.05質量%以上含有し、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤と(C)会合性増粘剤の質量比が、5:1~0.15:1である、ゲル状組成物に関する。
【0013】
<(A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩>
ヒアルロン酸としては、動物組織から抽出したものや微生物の培養による発酵法で生産されたもの等が知られ、市販のヒアルロン酸を適宜用いればよく、例えば、平均分子量が50万~300万であるもの、更に高分子量のもの、平均分子量が1万以下の低分子化されたもの等を用いることができる。低分子のヒアルロン酸は、例えば高分子のヒアルロン酸を緩衝液に溶解後、ヒアルロニダーゼを加えて数日間インキュベートし、酵素を失活させた後、生成する方法(特開平10-195107)、高分子のヒアルロン酸を酸等で加水分解する方法等を用いて製造される。本発明で規定されるヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩の平均分子量は、以下の方法により測定することができる。
【0014】
ゲル濾過カラムを用いて、分子量が既知である複数のヒアルロン酸(基準物質)を液体クロマトグラフィー分析することで、それらの保持時間より検量線を作成する。同様に、測定対象であるヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩を液体クロマトグラフィー分析し、前記検量線を用いて分子量を求めることで、ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩の分子量を求めることができる。
前記液体クロマトグラフィー分析に使用することができる液体クロマトグラフィー分析装置としては、例えば、Waters Alliance 2690 HPLC Separations Module(Waters社製)、Waters Alliance 2695 HPLC Separations Module(Waters社製)、1200 Series(Agilent社製)が挙げられる。また、液体クロマトグラフィー分析に使用することができるカラムとしては、例えば、shodex社製配位子交換クロマトグラフィー用カラム(配位子交換モード+サイズ排除モード)、型名「SUGAR KS-801」、「SUGAR KS-802」、「SUGAR KS-803」、「SUGAR KS-804」、「SUGAR KS-805」、「SUGAR KS-806」、「SUGARKS-807」や、TOSOH製サイズ排除クロマトグラフィーカラム、型名「TSKgel GMPW」が挙げられる。
【0015】
ヒアルロン酸誘導体としては、ヒアルロン酸のヒドロキシル基、カルボキシル基等がエーテル化、エステル化、アセチル化、アミド化、アセタール化、ケタール化されて得られる誘導体等が挙げられる。具体的には、例えば、第四級アンモニウム基含有基を有するカチオン化ヒアルロン酸(WO2008/133267)、グリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸(WO2011/102462)、カルボキシメチル基含有修飾ヒアルロン酸(WO2016/159159、特開2015-147945)、ヒドロキシ基の一部が第4級窒素含有基で置換された低分子量カチオン化ヒアルロン酸(特開2016-108344)等が挙げられる。
ヒアルロン酸及びヒアルロン酸誘導体は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩、亜鉛塩等の塩であってもよい。
【0016】
ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体としては、市販のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を適宜用いればよいが、高濃度のヒアルロン酸等を含有するゲル状組成物でも、経時的な安定性が得られることから、平均分子量が50万以上200万以下のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体を1種以上と平均分子量1万以下のヒアルロン酸又はヒアルロン酸誘導体を1種以上の、少なくとも2種以上のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体の組み合わせることが好ましい。平均分子量が50万以上200万以下のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を2種以上と平均分子量1万以下のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を2種以上の、少なくとも4種以上のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体の組み合わせることが更に好ましい。
また、ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体としては、平均分子量50万以上200万以下の中・高分子ヒアルロン酸、平均分子量1万以下の低分子ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体、第四級アンモニウム基含有基を有する平均分子量50万以上200万以下のカチオン化ヒアルロン酸誘導体、平均分子量50万以上200万以下のカルボキシメチル基を含むヒアルロン酸誘導体、グリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸、ヒアルロン酸亜鉛等が挙げられ、これらを組み合わせたものも好ましい(特開2016-166133)。
平均分子量50万以上200万以下のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体は、皮膚表面に留まり、皮膚表面から水分が蒸発することを防ぐ性質を有するため、持続的な皮膚の保湿効果を発揮する。
【0017】
平均分子量1万以下の低分子ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体は、より好ましくは800以上1万以下、1,000以上1万以下である平均分子量のものが挙げられる。この低分子ヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体は、皮膚への浸透性が高く、角質層の潤いを向上させる性質を有するため、持続的な皮膚の保湿効果を発揮する。
第四級アンモニウム基含有基を有するカチオン化ヒアルロン酸誘導体は、より好ましくはカチオン化度が0.15~0.6であるもの、更に好ましくはカチオン化度が0.15~0.4であるものが挙げられる。カチオン化度とは、ヒアルロン酸の構成単位である二糖当たりの第四級アンモニウム基含有基の数をいい、常法により、セミミクロケルダール法により求められる。このカチオン化ヒアルロン酸は、持続的な皮膚の保湿効果を発揮する。
【0018】
カルボキシメチル基を含む修飾ヒアルロン酸誘導体の、「カルボキシメチル基」とは、「-CH-COH」または「-CH-CO 」で表される基のことをいい、少なくとも一部にカルボキシメチル基が導入されているヒアルロン酸のことをいう。カルボキシメチル基を含む修飾ヒアルロン酸誘導体は、より好ましくはヒアルロン酸を構成する2糖単位に対するカルボキシメチル化率が5%以上200%以下であるもの、更に好ましくはヒアルロン酸を構成する2糖単位に対するカルボキシメチル化率が60%以上200%以下であるものが挙げられる。
【0019】
ヒアルロン酸を構成する2糖単位とは、ヒアルロン酸を構成する、隣り合って結合する2糖(グルクロン酸及びN-アセチルグルコサミン)で構成される1単位をいい、ヒアルロン酸を構成する2糖単位に対するカルボキシメチル化率とは、該1単位に対する、該1単位に含まれるカルボキシメチル基の数であり、より具体的には、該1単位を100%とした場合、該1単位に対する、該1単位に含まれるカルボキシメチル基の数の割合(%)をいう。このカルボキシメチル基を含む修飾ヒアルロン酸誘導体は、持続的な皮膚の保湿効果を発揮する。
【0020】
グリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸は、好ましくは式:-O-CH-CHOH-CH-OR(式中、Rは直鎖状若しくは分岐状のアルキル又はアルケニルを表す。)で表されるグリセリン骨格含有基を含む修飾ヒアルロン酸である。この修飾ヒアルロン酸は、水層及び脂質層からなるラメラ構造を修復し、皮膚のバリア機能修復効果を改善する性質を有するため、持続的な皮膚の保湿効果を発揮する。
ヒアルロン酸亜鉛は、ヒアルロン酸を構成するカルボキシル基に由来するカルボキシルイオンと亜鉛イオンとの相互作用により形成される複合体である。好ましいヒアルロン酸亜鉛は、1g当たりの亜鉛含有量が55~100mgであるもの、より好ましくは60~80mgであるものが挙げられる。ヒアルロン酸亜鉛は、持続的な皮膚の保湿効果を発揮する。
【0021】
本発明のゲル状組成物中に、0.2質量%以上のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体が含有される。好ましい含有量としては、0.2~5質量%が挙げられ、より好ましくは、0.25~3質量%が挙げられ、更に好ましくは0.3~2質量%が挙げられる。
本発明のゲル状組成物中に、5質量%以上のヒアルロン酸及び/又はヒアルロン酸誘導体を含有すると、ゲル状組成物の粘度が高くなり、経時的な安定性が不十分となり、経時的にゲルの不均一化が生じることがある。
【0022】
また、ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩からなる群から選択される1つ以上のうち、平均分子量が50万~200万であるものを0.1質量%以上含有することが好ましい。0.1質量%以上含有することで、皮膚表面に留まり、皮膚表面から水分が蒸発することを防ぐ性質を有するため、持続的な皮膚の保湿効果が発揮される。より好ましい含有量としては、0.1~3質量%が挙げられ、更に好ましくは、0.1~1質量%が挙げられ、更により好ましくは0.1~0.2質量%が挙げられる。
また、アルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩からなる群から選択される1つ以上のうち、平均分子量が1万以下であるものを0.1質量%以上含有することが好ましい。0.1質量%以上含有することで、皮膚への浸透性が高く、角質層の潤いを向上させる性質を有するため、持続的な皮膚の保湿効果を発揮される。より好ましい含有量としては、0.1~3質量%以上が挙げられ、更に好ましくは、0.1~1質量%が挙げられ、更により好ましくは0.1~0.25質量%が挙げられる。
【0023】
<(B)アニオン性高分子化合物増粘剤>
アニオン性高分子化合物増粘剤は、(A)ヒアルロン酸及び/若しくはヒアルロン酸誘導体又はそれらの塩以外のアニオン性高分子化合物増粘剤であり、例えば、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基等から選択されるアニオン性基を分子内に有する高分子化合物であり、合成高分子であってもよく、天然高分子であってもよい。好ましくは、アニオン性高分子化合物増粘剤は、カルボキシ基を分子内に有する。
【0024】
アニオン性合成高分子化合物増粘剤としては、例えば、不飽和モノカルボン酸系モノマー(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、これらの酸の中和物、及び部分中和物等)、不飽和ジカルボン酸系モノマー(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、これらの酸の中和物、及び部分中和物等)、及び不飽和スルホン酸系モノマー(ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、これら酸の中和物、及び部分中和物等)等から成る群より選択されるモノマーで構成されるホモポリマー、前記モノマーの任意の組み合わせからなる共重合体、前記モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。具体的には、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10~30))クロスポリマー、(アクリル酸/ビニルピロリドン)クロスポリマー、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、アクリルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー、アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー、ポリアクリル酸、アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25コポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ラウレス-25コポリマー、アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルクロスコポリマー、アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス-20クロスポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20クロスコポリマー、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸・デカジエンクロスポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ビニルピロリドン/アクリレート/ラウリルメタアクリレートコポリマー、アクリレーツコポリマー、ポリアクリル酸Na、アルギン酸Na、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー等が挙げられる。
【0025】
アニオン性天然高分子化合物増粘剤としては、ペクチン酸、アルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン、ヘパリン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、デヒドロキサンタンガム、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデキストラン、ポリグルタミン酸、サクシニル化コラーゲン、カルボキシメチルキチン、サクシニル化キトサン、セルロース硫酸ナトリウム、ゼラチン、ムチン、デキストラン等が挙げられる。
【0026】
好ましいアニオン性高分子化合物増粘剤として、アニオン性合成高分子化合物増粘剤が挙げられる。より好ましくは、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等のアクリル酸系アニオン性高分子化合物増粘剤が挙げられ、更に好ましくはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が挙げられ、更により好ましくは(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10~30))クロスポリマーが挙げられる。
ゲル状組成物中に、0.1質量%以上のアニオン性高分子化合物増粘剤が含有される。好ましい含有量としては、0.1~2質量%が挙げられ、より好ましくは、0.15~1質量%が挙げられ、更に好ましくは0.2~0.5質量%が挙げられる。
【0027】
<(C)会合性増粘剤>
会合性増粘剤は、親水性領域と疎水性領域の両方を含む増粘剤である。例えば、少なくとも1種のC8~36脂肪鎖等を含む疎水性領域と少なくとも1種の親水性領域を有する増粘剤が挙げられる。会合性増粘剤として、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第2版,17,772-779に定義されるものが挙げられる。疎水性領域は疎水性部分と結合することができ、親水性領域は親水性部分と結合することができる。会合性増粘剤は、これらの結合によって、すなわち、疎水性領域同士が会合することによって、更には疎水性領域と他の疎水性物質とが会合することによって、ネットワーク(網目構造)を形成し、増粘作用が発現される。
【0028】
会合性増粘剤として、例えば、特表2015-514788、特表2017-31064、特表2016-519159、特表2005-500397、WO2011/162421、WO2018/088312等に記載されたものが挙げられる。
会合性増粘剤には、以下のものが例示される。
(a)少なくとも1種のC8~36脂肪鎖及び少なくとも1種の親水性単位を含有するノニオン型両親媒性ポリマー;
(b)少なくとも1種の親水性単位及びC8~36脂肪鎖を有する少なくとも1種の単位を含有するアニオン型両親媒性ポリマー;
(c)少なくとも1種の親水性単位及びC8~36脂肪鎖を有する少なくとも1種の単位を含有するカチオン型両親媒性ポリマー;
(d)少なくとも1種の親水性単位及びC8~36脂肪鎖を有する少なくとも1種の単位を含有する両性型両親媒性ポリマー。
【0029】
これらの会合性増粘剤のうち、(a)ノニオン型両親媒性ポリマーが好ましい。この(a)ノニオン型両親媒性ポリマーとしては、以下のものが例示される。
(1)少なくとも1種のC8~36脂肪鎖を有する基で変性されたセルロース(疎水化変性アルキルセルロース);
(2)少なくとも1種のC8~36脂肪鎖を含有するウレタンポリエーテル(疎水性変性ポリエーテルウレタン);
(3)少なくとも1種のC8~36脂肪鎖を有する基で変性されたヒドロキシプロピルグアー化合物;
(4)ビニルピロリドンとC8~36脂肪鎖を有する疎水性モノマーのコポリマー;
(5)C1~6アルキルメタクリレート又はC1~6アルキルアクリレートと少なくとも1種のC8~36脂肪鎖を含有する両親媒性モノマーのコポリマー;
(6)親水性メタクリレート又はアクリレートと少なくとも1種のC8~36脂肪鎖を含有する疎水性モノマーのコポリマー。
【0030】
疎水化変性アルキルセルロースとしては、WO2011/162421に記載されたものが挙げられ、式(1):
【化1】
〔式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、アルキル、-[CHCH2-k(CHO]-H、又は-CHCH(OH)CHOC2j+1を表す。ただし、-CHCH(OH)CHOC2j+1が必ず含まれる。
nは100~10000の整数である。
kは0又は1である。
mは1~10の整数である。
jは6~26の整数である。〕
で表される会合性増粘剤である。
【0031】
疎水化変性アルキルセルロースは、好ましくは、
アルキルを10~50質量%、
-[CHCH2-k(CHO]-Hを3~20質量%、及び
-CHCH(OH)CHOC2j+1を0.1~10質量%、含むものである。
疎水化変性アルキルセルロースは、更に好ましくは、jが18であるものである。
疎水化変性アルキルセルロースとして、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル(例えば、サンジェロース(登録商標)(大同化成工業社製))等を好適に使用することができる。
【0032】
疎水性変性ポリエーテルウレタンとしては、WO2018/088312に記載されたものが挙げられ、式(2):
-{(O-R-OCONH-R[-NHCOO-(R-O)-R
〔式中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素原子数2~4の炭化水素基である。
はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1~10の炭化水素基である。
は炭素原子数8~36の炭化水素基である。
mは2以上の数である。
hは1以上の数である。
kは1~500の数である。
nは1~200の数である。〕
で表される会合性増粘剤である。
【0033】
疎水性変性ポリエーテルウレタンとして、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチルジイソシアネート)コポリマー(例えば、アデカノール(登録商標)GT-700(ADEKA社製))等を使用することができる。
【0034】
会合性増粘剤として、好ましくは(a)ノニオン型両親媒性ポリマーが挙げられ、より好ましくは、疎水化変性アルキルセルロース、疎水性変性ポリエーテルウレタン等が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/ヘキサメチルジイソシアネート)コポリマー等が挙げられ、更により好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルが挙げられる。
【0035】
高濃度のヒアルロン酸等を含有するゲル状組成物でも、経時的な安定性が得られることから、ゲル状組成物中に、0.05質量%以上の会合性増粘剤が含有される。好ましい含有量としては、0.05~1質量%が挙げられ、より好ましくは、0.06~0.5質量%が挙げられ、更に好ましくは0.07~0.3質量%が挙げられる。
高濃度のヒアルロン酸等を含有するゲル状組成物でも、経時的な安定性が得られることから、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤と(C)会合性増粘剤の質量比は、5:1~0.15:1である。質量比は、好ましくは4:1~1:1であり、より好ましくは3.5:1~1.2:1である。質量比が前記の範囲であることで、本発明のゲル状組成物のゲルが均一となり、むらの発生が抑えられる。
【0036】
<油分>
本発明のゲル状組成物は、肌なじみ向上効果等を高める点で油分を5%以上20%以下含有することができる。本発明のゲル状組成物に使用する油分は、化粧料等に使用できる油溶性原料であれば特に制限されるものではないが、例えば、ラウロイルグルタミンサンジ(オクチルドデシルスラッシュフィトステリル)、植物性スクワラン、マカデミアンオイル、d-δ-トコフェロール、トリオクタノイン、乳酸セチル、2-エチルヘキサン酸セチル、フィトスクワラン、流動パラフィン、スクワラン、ミツロウ、ワセリン、ラノリン、カルナバロウ、オリーブ油、アボガド油、ツバキ油、ホホバ油、馬油、ミンク油、セラミド、コエンザイムQ10、パルミチン酸レチノール、パンテノール、卵黄レシチン、大豆レシチン、水添レシチン、ポリソルベート-60、フィトステロール、トリエチルヘキサノイン、グリセロールモノステアレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ステアリルアルコール、ソルビタンステアレート、セトステアリルアルコール、ポリオキシエチレンセトステアリルアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体、カプリル酸グリセリン、高級脂肪酸(ラウリン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、高級脂肪酸塩等)、シリコーン及びシリコーン誘導体(ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコーンレジン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等)等が挙げられる。
【0037】
<その他の成分>
本発明のゲル状組成物には、水が溶剤として含まれる。更に、本発明のゲル状組成物は、その他の成分として、一般的に化粧料等に配合される成分等をその目的に適した量で含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤)、保湿剤、機能性成分、天然物エキス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、カチオン化多糖類、高級アルコール、多価アルコール、両性高分子樹脂化合物、カチオン性高分子樹脂化合物、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、紫外線反射剤、pH調整剤、香料、色素が挙げられる。
【0038】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、卵黄レシチン、大豆レシチン等が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジフィトステリルオクチルドデシル、フィトグリコーゲン、加水分解卵殻膜、トレハロース、アテロコラーゲン、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。
【0039】
機能性成分としては、例えば、アルブチン、ポリクオタニウム51、エラスチン、白金ナノコロイド、アラントイン、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、L-アスコルビン酸2-グルコシド、エラグ酸、コウジ酸、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモンアラントイン、トラネキサム酸、グリチルレチン酸、アズレン酸の抗炎症剤等が挙げられる。
【0040】
天然物エキスとしては、例えば、クジンエキス、カジルエキス、海藻エキス、ユーカリエキス、ローヤルゼリーエキス、ローズマリーエキス、ブナの木エキス、アセンヤクエキス、ブナノメエキス、ウコンエキス、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、カロットエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリス抽出液、プラセンタエキス、胸線抽出物、シルク抽出液等が挙げられる。
【0041】
タンパク質加水分解物としては、例えば、ケラチンペプチド、コラーゲンペプチド、大豆ペプチド、コムギペプチド、ミルクペプチド、シルクペプチド、卵白ペプチド、加水分解卵殻膜等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、ヒドロキシプロリン、システイン、セリン、L-テアニン等が挙げられる。
カチオン化多糖類としては、例えば、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化澱粉、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化デキストラン、カチオン化キトサン、カチオン化ハチミツ等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、バチルアルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、カプリリルグリコール、ヘキサンジオール、エチルヘキシルグルセリン、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジグリセリン、グリセリン等が挙げられる。
【0042】
両性高分子樹脂化合物としては、例えば、ベタイン化ジアルキルアミノアルキルアクリレート共重合体等が挙げられる。
カチオン性高分子樹脂化合物としては、例えば、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体カチオン化物、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド型カチオン性ポリマー等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェノール、BHT等が挙げられる。
金属封鎖剤としては、例えば、EDTA-2Na、EDTA-4Na、エデト酸塩、エチドロン酸塩等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等が挙げられる。
紫外線反射剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0043】
pH調整剤として、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水酸化物等、及び塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸等の酸が挙げられる。pH調整剤を用いて、本発明のゲル状組成物のpHを好ましくはpH5~7.5、より好ましくはpH6~7に調整することができる。
【0044】
2.ゲル状組成物の製造方法及び用途
本発明のゲル状組成物は、常法に従って製造することができる。例えば、前記の各成分を増粘剤と共に混合してゲル化することで製造することができる。製造されたゲル状組成物は、用途に応じて、容器等に充填密封される。
本発明のゲル状組成物は、オールインワン化粧料等の高粘度の化粧料及び毛髪化粧料等として、好適に用いることができる。
【実施例
【0045】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0046】
実施例1~16及び比較例1~4
<ゲル状組成物の調製>
表1~表4に記載された各成分(質量%)をイオン交換水(残余)に添加して混合し、必要に応じて水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6~7.5に調整することで、実施例1~16及び比較例1~4のゲル状組成物を調製した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
前記の実施例及び比較例で用いた材料は、以下に示すものである。
<(A)成分>
ヒアルロン酸Na:ヒアルロンサン HA-LQ(キユーピー社製),平均分子量85万~160万
加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル:ヒアロリペア(登録商標)(キユーピー社製),平均分子量1万以下
カルボキシメチルヒアルロン酸Na:ヒアロキャッチ(登録商標)(キユーピー社製),平均分子量80万~120万
加水分解ヒアルロン酸Na:HAbooster(登録商標)(キユーピー社製),平均分子量1000~3500
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム:ヒアロベール-P(登録商標)(キユーピー社製),平均分子量50万~80万
加水分解ヒアルロン酸:ヒアロオリゴ(登録商標)(キユーピー社製),平均分子量1万以下
【0052】
<(B)成分>
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー:Pemulen(登録商標)TR-1(Lubrizol社製)
アクリレーツコポリマー:Carbopol(R) Aqua SF-1 Polymer(Lubrizol Advanced Material社製)
ポリアクリル酸Na:アロンビス MX(東亞合成社製)
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー:アリストフレックス HMB(クラリアントジャパン社製)
アルギン酸Na:キミカアルギン I-3(キミカ社製)
カルボキシメチルセルロースNa:CMCダイセル 1350(ダイセルファインケム社製)
カラギーナン:GENUGEL(CP Kelco社製)
カルボマー:CARBOPOL(登録商標)ULTREZ 10(Lubrizol Advanced Material社製)
【0053】
<(C)成分>
ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル:サンジェロース(登録商標)(大同化成工業社製)
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー:アデカノール GT-700(登録商標)(ADEKA社製)
<油分>
油分として、スクワラン、パルミチン酸エチルヘキシル及びマカデミア種子油等を用いた。
<グリコール類>
グリコール類として、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びグリセリンを用いた。
【0054】
試験例
<ゲル状組成物の評価>
(粘度)
ゲル状組成物の粘度は、ゲル状組成物を調製した翌日に測定した。粘度(mPa・s)は、B型粘度計(Viscometer BLII,東機産業社製)を用いて、Rotor No.4で、6rpm、60秒間、25℃で測定した。
(pH)
ゲル状組成物のpHは、ゲル状組成物を調製した翌日に測定した。pHは、pHメーター(HORIBA社製)を用いて測定した。
【0055】
(安定性)
ゲル状組成物の安定性は、ゲル状組成物を調製し、室温で6ヶ月経過後に、下記の指標に従って評価した。
○:良好
△:少しゲルの不均一化が確認される
×:ゲルが完全に不均一であり、ムラが生じる
【0056】
(総合使用感)
ゲル状組成物の使用感は、以下の評価項目及び指標に従って、任意に選択したボランティア5名によって、総合評価した。
・評価項目
塗布時の肌へののび、適度な厚み
塗布後のべとつきの無さ
・指標
◎:極めて良好
○:良好
△:中程度
×:不良(不良であった項目は欄外に記載する)
【0057】
実施例1~16及び比較例1~4のゲル状組成物の評価の結果を表5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】
表5から分かるように、粘度については、実施例1~16のゲル状組成物ではすべて15000~60000mPa・sの範囲に含まれ、高粘度のゲル状組成物であった。(B)成分として、アニオン性合成高分子化合物増粘剤を用いる実施例1~9及び14~16では、粘度が24000~42500mPa・sであり、例えばオールインワン化粧料等としても使用しうるより好適な粘度を有している。アニオン性天然高分子化合物増粘剤を用いる実施例10~12では、粘度が17800~20500mPa・sと低かった。このように、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤において、アニオン性合成高分子化合物増粘剤がより好ましいことが分かる。また、例えば、実施例1~4を比較することで、(B)成分の含有量が増えるほど、粘度が上昇することが分かる。
【0060】
安定性については、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤と(C)会合性増粘剤の質量比が5:1~0.15:1である実施例1~16では、良好又少しゲルの不均一化が確認される程度であり、本発明のゲル状組成物として用いられうるものであった。他方、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤のみを用いる比較例1及び2、(C)会合性増粘剤のみを用いる比較例3及び4では、ゲルが不均一となり、経時的な安定性が不満足であり、更には使用感も不十分であった。なお、比較例1及び3では粘度が低かったため、それぞれの増粘剤の含有量を増やしたものが比較例2及び4であるが、安定性は同様に不満足であり、肌へののび及びべとつきがより悪化した。
【0061】
使用感については、(B)成分として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを用いる実施例1~6のゲル状組成物が、使用感の総合評価で好ましい結果を与えた。従って、(B)アニオン性高分子化合物増粘剤において、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー等のアクリル酸系アニオン性高分子化合物増粘剤がより好適であることが分かる。
【0062】
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、前記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によって、経時的な安定性を有し、経時的にゲルの不均一化がなく、だまになりにくい、0.2質量%以上の高濃度のヒアルロン酸等を含有する高粘度のゲル状組成物が提供される。