(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】積層透明フィルム、表示装置用ウィンドウおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
B32B 27/34 20060101AFI20220714BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220714BHJP
C08J 7/04 20200101ALI20220714BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220714BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20220714BHJP
【FI】
B32B27/34
C08J5/18 CFG
C08J7/04
G02B5/22
G02B1/14
(21)【出願番号】P 2017203891
(22)【出願日】2017-10-20
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】10-2016-0137546
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宋 善 眞
(72)【発明者】
【氏名】池 尚 洙
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ボ ルム
(72)【発明者】
【氏名】全 賢 貞
(72)【発明者】
【氏名】安 讚 在
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/039863(WO,A1)
【文献】特開平03-205432(JP,A)
【文献】特開2016-125063(JP,A)
【文献】特開2006-051668(JP,A)
【文献】特開2006-328411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 5/18
C08J 7/04
G02B 5/22
G02B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド構造単位およびイミド構造単位
を含むポリ(アミド-イミド)コポリマーを含有し、波長550nmの光の屈折率が1.65~1.75であり、かつ弾性率が5.5GPa以上である高分子フィルムと、
前記高分子フィルムの一方の面に配置される第1コーティング層および前記高分子フィルムの前記第1コーティング層が形成される面とは反対側の面に配置される第2コーティング層の少なくとも1つと、
を含
み、
前記第1コーティング層は、波長550nmの光の屈折率が1.45~1.55であり、
前記第2コーティング層は、波長550nmの光の屈折率が1.50~1.65である、
積層透明フィルム。
【請求項2】
前記積層透明フィルムの可視光線領域での光透過率は、前記高分子フィルムの可視光線領域での光透過率より高い、請求項1に記載の積層透明フィルム。
【請求項3】
ASTM D3363規格に準じて測定される前記積層透明フィルムの鉛筆硬度は、ASTM D3363規格に準じて測定される前記高分子フィルムの鉛筆硬度より高い、請求項1または2に記載の積層透明フィルム。
【請求項4】
前記高分子フィルムの鉛筆硬度は2H以上であり、前記積層透明フィルムの鉛筆硬度は4H以上である、請求項3に記載の積層透明フィルム。
【請求項5】
ASTM D1925規格に準じて測定される前記積層透明フィルムの黄色度の絶対値は、ASTM D1925規格に準じて測定される前記高分子フィルムの黄色度の絶対値より小さい、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項6】
前記高分子フィルムの黄色度の絶対値は4.0以下であり、
前記積層透明フィルムの黄色度の絶対値は2.0以下である、請求項5に記載の積層透明フィルム。
【請求項7】
前記第1コーティング層は、架橋構造を有するシロキサン共重合体を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項8】
前記第1コーティング層は、前記シロキサン共重合体中に分散しているかまたは前記シロキサン共重合体と化学結合しているナノ粒子をさらに含む、請求項
7に記載の積層透明フィルム。
【請求項9】
前記第1コーティング層は、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する吸光材料を含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項10】
前記第2コーティング層は、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する吸光材料を含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項11】
前記積層透明フィルムは前記第2コーティング層を含み、
前記第2コーティング層の前記高分子フィルムが配置されている面と反対側の面に配置される透明接着層をさらに含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項12】
前記透明接着層の波長550nmの光の屈折率は、1.45~1.55である、請求項
11に記載の積層透明フィルム。
【請求項13】
前記積層透明フィルムは、可視光線領域での光透過率が85%以上であり、ASTM D3363規格に準じて測定される鉛筆硬度が4H以上であり、かつASTM D1925規格に準じて測定される黄色度の絶対値が2.0以下である、請求項1~
12のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項14】
前記高分子フィルムの厚さは、20μm~100μmである、請求項1~
13のいずれか1項に記載の積層透明フィルム。
【請求項15】
アミド構造単位とイミド構造単位とを含むポリ(アミド-イミド)コポリマーを含有し、厚さが20μm~100μmであり、波長550nmの光の屈折率が1.65~1.75であり、かつ弾性率が5.5GPa以上である、ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルム。
【請求項16】
ASTM D3363規格に準じて測定される鉛筆硬度が2H以上である、請求項
15に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルム。
【請求項17】
ASTM D1925規格に準じて測定される黄色度の絶対値が4.0以下である、請求項
15または16に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルム。
【請求項18】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の積層透明フィルム、または請求項
15~17のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを含む、表示装置用ウィンドウ。
【請求項19】
請求項1~
14のいずれか1項に記載の積層透明フィルム、または請求項
15~17のいずれか1項に記載のポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層透明フィルム、表示装置用ウィンドウおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPCなど携帯用電子機器の多様化に伴い、表示装置は薄型および軽量だけでなく、曲げたり、たたんだり、丸めたりすることができる柔軟性も要求されている。
【0003】
現在、携帯用電子機器に装着された表示装置は、表示モジュールを保護するために硬いガラスを使っている。しかし、ガラスは柔軟性に欠けており、フレキシブル表示装置に適用されにくい。そのため、ガラス代替の高分子材料を含む透明フィルムが研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、柔軟性を有し、かつ光学的特性および機械的特性が向上した積層透明フィルムを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、上記積層透明フィルムを含む表示装置用ウィンドウを提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、上記積層透明フィルムを含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、アミド構造単位およびイミド構造単位の少なくとも一方を含む高分子を含有し、波長550nmの光の屈折率が1.65~1.75であり、かつ弾性率が5.5GPa以上である高分子フィルムと、前記高分子フィルムの一方の面上に配置される第1コーティング層および前記高分子フィルムの前記第1コーティング層が形成される面と反対側の面に配置される第2コーティング層の少なくとも一方と、を含む、積層透明フィルムを提供する。
【0009】
前記積層透明フィルムの可視光線領域での光透過率は、前記高分子フィルムの可視光線領域での光透過率より高いことが好ましい。
【0010】
ASTM D3363規格に準じて測定される前記積層透明フィルムの鉛筆硬度は、ASTM D3363規格により準じて測定される前記高分子フィルムの鉛筆硬度より高いことが好ましい。
【0011】
前記高分子フィルムの鉛筆硬度は2H以上であり、前記積層透明フィルムの鉛筆硬度は4H以上であることが好ましい。
【0012】
ASTM D1925規格に準じて測定される前記積層透明フィルムの黄色度の絶対値は、ASTM D1925規格に準じて測定される前記高分子フィルムの黄色度の絶対値より小さいことが好ましい。
【0013】
前記高分子フィルムの黄色度の絶対値は4.0以下であり、前記積層透明フィルムの黄色度の絶対値は2.0以下であることが好ましい。
【0014】
前記第1コーティング層は、波長550nmの光の屈折率が、1.45~1.55であることが好ましい。
【0015】
前記第1コーティング層は、架橋構造を有するシロキサン共重合体を含むことが好ましい。
【0016】
前記第1コーティング層は、前記シロキサン共重合体中に分散しているかまたは前記シロキサン共重合体と化学結合しているナノ粒子をさらに含むことが好ましい。
【0017】
前記第1コーティング層は、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する吸光材料を含むことが好ましい。
【0018】
前記第2コーティング層は、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する吸光材料を含むことが好ましい。
【0019】
前記第2コーティング層は、波長550nmの光の屈折率が1.50~1.65であることが好ましい。
【0020】
前記積層透明フィルムは、前記第2コーティング層を含み、前記第2コーティング層の前記高分子フィルムが配置されている面と反対側の面に配置される透明接着層をさらに含むことが好ましい。
【0021】
前記透明接着層の波長550nmの光の屈折率は、1.45~1.55であることが好ましい。
【0022】
前記積層透明フィルムは、可視光線領域の光透過率が85%以上であり、ASTM D3363規格に準じて測定される鉛筆硬度が4H以上であり、かつASTM D1925規格に準じて測定される黄色度の絶対値が2.0以下であることが好ましい。
【0023】
前記高分子フィルムの厚さは、20μm~100μmであることが好ましい。
【0024】
前記高分子フィルムが含む前記高分子は、前記アミド構造単位と前記イミド構造単位とを含むポリ(アミド-イミド)コポリマーであることが好ましい。
【0025】
本発明の他の実施形態によれば、アミド構造単位とイミド構造単位とを含むポリ(アミド-イミド)コポリマーを含有し、厚さが20μm~100μmであり、波長550nmの光の屈折率が1.65~1.75であり、かつ弾性率が5.5GPa以上である、ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを提供する。
【0026】
ASTM D3363規格に準じて測定される前記ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの鉛筆硬度は、2H以上であることが好ましい。
【0027】
ASTM D1925規格に準じて測定される前記ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの黄色度の絶対値は、4.0以下であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の他の実施形態によれば、前記積層透明フィルムまたは前記ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを含む、表示装置用ウィンドウを提供する。
【0029】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記積層透明フィルムまたは前記ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを含む、表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、柔軟性を有し、かつ光学的特性および機械的特性が向上した積層透明フィルムならびにこれを用いた表示装置用ウィンドウおよび表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態による積層透明フィルムを示す断面概略図である。
【
図2】本発明の他の実施形態による積層透明フィルムを示す断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による表示装置の断面概略図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による表示装置の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、当該技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、実際に適用される構造は、様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する具現例に限定されない。
【0033】
図面では、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって、類似の部分については同一の符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるというとき、これは他の部分の“直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるというときは、その中間に他の部分がないことを意味する。
【0034】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換された’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、および炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基からなる群より選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0035】
また、‘組み合わせ’とは、二つ以上の混合および二つ以上の積層構造を含む。
【0036】
また、‘イミド’は、イミド単独だけでなく、イミドとイミドの前駆体であるアミック酸とともに含まれる場合も含む。
【0037】
以下、本発明の一実施形態による積層透明フィルムを説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態による積層透明フィルムを示す断面概略図である。
【0039】
図1を参照すれば、積層透明フィルム10は、高分子フィルム11、高分子フィルム11の上部に位置する第1コーティング層12、および高分子フィルム11の下部に位置する第2コーティング層13を含む。つまり、第1コーティング層12は、高分子フィルム11の一方の面に配置され、第2コーティング層13は、高分子フィルム11の第1コーティング層11が形成されていない他の面(第1コーティング層が形成される面と反対側の面)に配置される。
【0040】
高分子フィルム11は、積層透明フィルム10のベース基材として少なくとも一つのモノマーおよび/またはオリゴマーを重合して得られる重合体または共重合体を含むフィルムである。
【0041】
本発明において、高分子フィルム11は、アミド構造単位およびイミド構造単位の少なくとも一方を含む高分子を含有する。例えば、アミド構造単位を含むポリアミドを含有するフィルム(以下、単に「ポリアミドフィルム」とも称する)、イミド構造単位を含むポリイミドを含有するフィルム(以下、単に「ポリイミドフィルム」とも称する)、またはアミド構造単位とイミド構造単位とを含むポリ(アミド-イミド)コポリマーを含有するフィルム(以下、単に「ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルム」とも称する)であってもよい。
【0042】
高分子フィルム11が含む高分子は、アミド構造単位とイミド構造単位とを含むポリ(アミド-イミド)コポリマーであることが好ましい。上記ポリ(アミド-イミド)コポリマーは、下記化学式(1)で表される構造単位(アミド構造単位)と下記化学式(2)で表される構造単位(イミド構造単位)と、を含むポリ(アミド-イミド)コポリマーであることがより好ましい。
【0043】
【0044】
上記化学式(1)において、
Lは単結合、-CONH-、-Ph-CONH-Ph-、または-NHCO-Ph-CONH-であり、この際、Phは置換または非置換のフェニレン基であり、
R2は、置換または非置換の1以上の炭素数6~20の芳香族環を含む2価の有機基であり、この際、芳香族環が2つ以上ある場合、互いに結合して縮合環を形成するか、または2つ以上の芳香族環が互いに単結合、O、S、S(=O)2、C=O、C(=O)NH、CRa(OH)、SiRbRcまたは(CRdRe)p(ここで、1≦p≦10)を介して連結されていてもよく、この際、Ra~Reは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基であり、
R6およびR7は、それぞれ独立して、電子吸引性基であり、
R8およびR9は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のシリル基であり、
n3は、0~4の整数であり、n5は、0~3の整数であり、かつn3+n5は0~4の整数であり、
n4は、0~4の整数であり、n6は、0~3の整数であり、かつn4+n6は0~4の整数であり、
*は、連結部位である。
【0045】
上記の電子吸引性基は、-CF3、-CCl3、-CBr3、-CI3、-NO2、-CN、-COCH3、または-CO2C2H5であることが好ましい。
【0046】
【0047】
上記化学式(2)において、
R10は、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~30の脂肪族有機基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の脂環式有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族有機基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、R10が2以上の場合、それぞれのR10は互いに異なっていてもよく、
R11は、置換または非置換の炭素数6~30の芳香族有機基を含む2価の基であり、前記芳香族有機基は単独で存在するか、2つ以上の芳香族有機基が互いに結合して縮合環を形成するか、または2つ以上の芳香族有機基が単結合、置換もしくは非置換のフルオレニル基、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)2、Si(CH3)2、(CH2)p(ここで、1≦p≦10)、(CF2)q(ここで、1≦q≦10)、C(CH3)2、C(CF3)2、またはC(=O)NHによって連結されており、R11が2以上の場合、それぞれのR11は互いに異なっていてもよく、
R12およびR13は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のシリル基であり、
n7およびn8は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
*は、連結部位である。
【0048】
上記化学式(1)で表される構造単位は、下記化学式(1a)で表される構造単位および下記化学式(1b)で表される構造単位の少なくとも一方であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
【0050】
上記化学式(2)で表される構造単位は、下記化学式(2a)で表される構造単位および下記化学式(2b)で表される構造単位の少なくとも一方であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0051】
【0052】
本発明に係るポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムに含まれるポリ(アミド-イミド)コポリマーは、上記化学式(1)で表される構造単位と上記化学式(2)で表される構造単位とが、90:10~10:90のモル比で含まれることが好ましく、90:10~30:70のモル比で含まれることがより好ましく、90:10~50:50のモル比率で含まれることがさらに好ましい。ただし、上記化学式(1)で表される構造単位のモル数が上記化学式(2)で表される構造単位のモル数より多い場合であってもよい。
【0053】
ポリ(アミド-イミド)コポリマーは、例えば、酸無水物、ジアミン化合物、およびジカルボン酸誘導体を反応させて得ることができる。一例として、ポリ(アミド-イミド)コポリマーは、下記化学式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物、下記化学式(4)で表されるジアミン化合物、および下記化学式(5)で表されるジカルボン酸誘導体を反応させて得ることができる。
【0054】
【0055】
上記化学式(3)~(5)において、L、R2、R6~R10、R12、R13、およびn3~n8は上記化学式(1)および(2)と同義であり、X1およびX2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子である。
【0056】
上記化学式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、例えば3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。上記化学式(4)で表されるジアミン化合物は、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)であることが好ましい。上記化学式(5)で表されるジカルボン酸誘導体は、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロリド、テレフタロイルクロリド、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0057】
ポリ(アミド-イミド)コポリマーは、ジアミン化合物1モルに対してテトラカルボン酸二無水物を0.1~0.7モルと、ジカルボン酸誘導体を0.3~0.9モルの比率で添加し重合することにより得られるコポリマーであることが好ましい。
【0058】
一例として、本発明に係るポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムは、ジカルボン酸誘導体とジアミン化合物とを先に反応させてアミド構造単位を形成し、ここに、テトラカルボン酸二無水物を添加し反応させてアミド構造単位とアミック酸構造単位を連結させてポリ(アミド-アミック酸)コポリマーを得て基板などにキャスティングして製膜した後、熱処理することにより得ることができる。
【0059】
本発明に係るポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造するための他の方法としては、ジカルボン酸誘導体とジアミン化合物とを反応させてアミド基を含み、両末端がアミノ基であるオリゴマー(以下、「アミド基含有オリゴマー」とも称する)を先に製造した後、前記アミド基含有オリゴマーをジアミン単量体としてテトラカルボン酸二無水物と反応させることによってポリ(アミド-イミド)コポリマーを製造する方法が挙げられる。
【0060】
高分子フィルム11は、波長550nm(以下、「基準波長」とも称する)の光の屈折率が1.65~1.75である。高分子フィルム11が上記範囲の屈折率を有することによって、後述する第1コーティング層12および/または第2コーティング層13との相乗的効果により、積層透明フィルム10の光学的特性を改善することができる。なお、波長550nmの光の屈折率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0061】
高分子フィルム11は、波長380nm~780nmの可視光線領域で80%以上の光透過率を有することが好ましく、85%以上の光透過率を有することがより好ましい。なお、光透過率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0062】
高分子フィルム11は、0.001以下の複屈折率を有することが好ましく、0.0009以下の複屈折率を有することがより好ましく、0.0008以下の複屈折率を有することがさらに好ましい。
【0063】
高分子フィルム11の黄色度(YI)は、絶対値で4.0以下であることが好ましく、絶対値で3.5以下であることが好ましい。該黄色度(YI)は、ASTM D1925規格に準じて測定される。
【0064】
高分子フィルム11は、5.5GPa以上の弾性率を有することが好ましい。該弾性率は、アミド構造単位および/またはイミド構造単位を含むポリアミド、ポリイミド、またはポリ(アミド-イミド)コポリマーの高分子鎖間のパッキング(packing)増加させることにより達成できる。高分子フィルム11の弾性率は、5.5GPa~10.0GPa、5.5GPa~9.0GPa、5.5GPa~8.0GPa、5.5GPa~7.0GPaであることがより好ましい。高分子フィルム11が、上記範囲の弾性率を有することによって、積層透明フィルム10の機械的特性を改善することができる。なお、該弾性率は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0065】
高分子フィルム11は、2H以上の鉛筆硬度を有することが好ましい。ここで、鉛筆硬度は、ASTM D3363規格により測定される鉛筆硬度である。
【0066】
高分子フィルム11は、20μm~100μmの厚さを有することが好ましい。該厚さは、20μm~95μmがより好ましく、25μm~95μmがさらに好ましく、30μm~95μmが特に好ましい。
【0067】
第1コーティング層12および第2コーティング層13は、それぞれ高分子フィルム11の上部と下部に位置している。第1コーティング層12および第2コーティング層13は、それぞれ単層または2層以上であってもよく、場合により、第1コーティング層12および第2コーティング層13のいずれか一つが、省略されてもよい。
【0068】
第1コーティング層12は、高分子フィルム11の上部に位置して、機械的な損傷や物理的な損傷から積層透明フィルム10を保護することができる。第1コーティング層12は、例えば、ハードコーティング層、耐スクラッチ層、または高硬度層であってもよい。
【0069】
第1コーティング層12は、例えば、高硬度特性を有する有機材料、無機材料、有機無機複合材料、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。第1コーティング層12は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、オキセタン樹脂もしくはこれらの組み合わせなどの有機材料;シリカ、アルミナ、もしくはジルコニアなどの無機材料;シロキサン共重合体およびポリシルセスキオキサンのような有機無機複合材料;またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0070】
第1コーティング層12は、架橋構造を有するシロキサン共重合体を含んでもよい。第1コーティング層12は、例えば、架橋性官能基を有するシロキサン共重合体を硬化して得ることができ、硬化時に架橋性官能基の間の架橋結合によって緻密なネットワーク構造が形成されることによって、良好な機械的物性を示すことができる。ここで、架橋性官能基は、熱および/または光によって架橋反応する官能基を意味し、具体的には、例えば(メタ)アクリレート基、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、オキセタニル基、オキセタニルオキシ基、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
上記架橋性官能基を有するシロキサン共重合体は、例えば、下記化学式(6)で表される共重合体である。
【0072】
【0073】
上記化学式(6)において、
R20~R22は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、架橋性官能基、または架橋性官能基含有基であり、
この際、R20~R22の少なくとも一つは、架橋性官能基または架橋性官能基含有基であり、
0<x<1であり、0<y<1であり、かつx+y=1である。
【0074】
上記架橋性官能基は、熱および/または光によって架橋反応する官能基を意味する。その例としては、例えば(メタ)アクリレート基、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、オキセタニル基、オキセタニルオキシ基またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
上記化学式(6)で表されるシロキサン共重合体は、架橋結合により機械的強度が向上すると同時に柔軟性を付与することができる。
【0076】
上記化学式(6)のR20は、架橋官能基または架橋性官能基含有基であることが好ましい。具体的には、上記化学式(6)のR20は、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3-グリシドキシプロピル基、3-オキセタニルメチル基、3-オキセタニルエチル基、3-オキセタニルプロピル基、または3-オキセタニルオキシ基であることがより好ましい。
【0077】
上記化学式(6)のR21およびR22の少なくとも一方は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。より好ましくは、上記化学式(6)のR21およびR22の一方が、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、他方が架橋性官能基または架橋性官能基含有基である形態が好ましい。また、上記化学式(6)のR21およびR22は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である形態も好ましい。具体的には、上記化学式(6)のR21およびR22は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基またはグリシドキシプロピル基であることがより好ましい。
【0078】
上記化学式(6)で表されるシロキサン共重合体は、下記化学式(6-1)~(6-9)で表される共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0079】
【0080】
上記化学式(6-1)~(6-9)において、Ecは(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基であり、Meはメチル基であり、Gpは3-グリシドキシプロピル基であり、Opは3-オキセタニルプロピル基であり、
0<x<1であり、0<y<1であり、かつx+y=1である。
【0081】
前記架橋性官能基を有するシロキサン共重合体は、下記化学式(7)で表される共重合体であることが好ましい。
【0082】
【0083】
上記化学式(7)において、
R23は、架橋性官能基または架橋性官能基含有基であり、
R24は、紫外線吸収性官能基または紫外線吸収性官能基含有基であり、
0<w<1であり、0<z<1であり、かつw+z=1である。
【0084】
上記架橋性官能基は、熱および/または光によって架橋反応する官能基を意味し、具体的には、例えば(メタ)アクリレート基、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、オキセタニル基、オキセタニルオキシ基またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
上記紫外線吸収性官能基は、波長400nm以下、好ましくは波長100nm~400nmの光を吸収する官能基を意味する。紫外線吸収性官能基の例としては、例えば、置換もしくは非置換のベンゾトリアゾリル基、置換もしくは非置換のベンゾフェノニル基、置換もしくは非置換のヒドロキシベンゾフェノニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のサリシレート基、置換もしくは非置換のシアノアクリレート基、置換もしくは非置換のオキサニリド基、置換もしくは非置換のヒドロキシフェニルトリアジニル基、置換もしくは非置換のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾリル基、置換もしくは非置換のヒドロキシフェニルベンゾフェノニル基またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
上記化学式(7)で表されるシロキサン共重合体は、架橋結合による機械的強度を高めると同時に柔軟性を付与でき、さらに光学的信頼性を高めることができる。
【0087】
上記化学式(7)で表されるシロキサン共重合体は、架橋性官能基または架橋性官能基含有基とともに紫外線吸収性官能基または紫外線吸収性官能基含有基を含むことによって、(R23SiO3/2)で表される構造単位と、(R24SiO3/2)で表される構造単位との比率を適切に調節して、積層透明フィルム10の硬度および光学的信頼性を容易に制御することができる。例えば、上記化学式(7)において、wおよびzは、0.20≦w≦0.999かつ0.001≦z≦0.80であることが好ましく、0.20≦w≦0.99かつ0.01≦z≦0.80であることがより好ましく、0.80≦w≦0.99かつ0.01≦z≦0.20であることがさらに好ましい。wおよびzがこのような範囲であれば、積層透明フィルム10の表面硬度、柔軟性および光学的信頼性がさらに改善される。
【0088】
上記化学式(7)で表されるシロキサン共重合体は、下記化学式(7-1)~(7-12)で表される共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0089】
【0090】
上記化学式(7-1)~(7-12)において、
Ecは(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基であり、Gpは3-グリシドキシプロピル基であり、Opは3-オキセタニルプロピル基であり、
Rkは、下記化学式(i)で表される基であり、
Rlは、下記化学式(ii)で表される基であり、
Rmは、下記化学式(iii)で表される基であり、
Rnは、下記化学式(iv)で表される基であり、
0<w<1であり、0<z<1であり、かつw+z=1であり、
【0091】
【0092】
上記化学式(i)~(iv)において、*は、連結部位である。
【0093】
また、上記架橋性官能基を有するシロキサン共重合体は、下記化学式(8)で表される共重合体であることが好ましい。
【0094】
【0095】
上記化学式(8)において、
R25~R27は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、架橋性官能基、または架橋性官能基含有基であり、
この際、R25~R27の少なくとも一つは架橋性官能基または架橋性官能基含有基であり、
R28は、紫外線吸収性官能基または紫外線吸収性官能基含有基であり、
0<p<1であり、0<q<1であり、0<r<1であり、かつp+q+r=1である。
【0096】
上記架橋性官能基は、熱および/または光によって架橋反応する官能基を意味し、具体的には、例えば(メタ)アクリレート基、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、オキセタニル基、オキセタニルオキシ基またはこれらの組み合わせを含む官能基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
上記化学式(8)のR25は、架橋性官能基または架橋性官能基含有基であることが好ましい。具体的には、上記化学式(8)のR25は、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、3-グリシドキシプロピル基、3-オキセタニルメチル基、3-オキセタニルエチル基、3-オキセタニルプロピル基、または3-オキセタニルオキシ基であることがより好ましい。
【0098】
上記化学式(8)のR26およびR27の少なくとも一方は、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。上記化学式(8)のR26およびR27の一方が置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、他方が架橋性官能基または架橋性官能基含有基であることがより好ましい。一例として、上記化学式(8)のR26およびR27は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。具体的には、上記化学式(8)のR26およびR27は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、またはグリシドキシプロピル基であることが好ましい。
【0099】
上記紫外線吸収性官能基は波長400nm以下、好ましくは波長100nm~400nmの領域の少なくとも一部の光を吸収できる官能基を意味する。具体的には、例えば、置換もしくは非置換のベンゾトリアゾリル基、置換もしくは非置換のベンゾフェノニル基、置換もしくは非置換のヒドロキシベンゾフェノニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のサリシレート基、置換もしくは非置換のシアノアクリレート基、置換もしくは非置換のオキサニリド基、置換もしくは非置換のヒドロキシフェニルトリアジニル基、置換もしくは非置換のヒドロキシフェニルベンゾトリアゾリル基、置換もしくは非置換のヒドロキシフェニルベンゾフェノニル基、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
上記化学式(8)で表されるシロキサン共重合体は、下記化学式(8-1)~(8-36)で表される共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0101】
【0102】
【0103】
上記化学式(8-1)~(8-36)において、Ecは3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基であり、Meはメチル基であり、Gpは3-グリシドキシプロピル基であり、Opは3-オキセタニルプロピル基であり、
Rkは、上記化学式(i)で表される基であり、
Rlは、上記化学式(ii)で表される基であり、
Rmは、上記化学式(iii)で表される基であり、
Rnは、上記化学式(iv)で表される基であり、
0<p<1であり、0<q<1であり、0<r<1であり、かつp+q+r=1である。
【0104】
上記シロキサン共重合体は、シラン化合物の加水分解および縮重合反応を利用した公知の方法で製造することができる。
【0105】
上記シロキサン共重合体の重量平均分子量は、4,000g/mol~100,000g/molであることが好ましく、4,500g/mol~10,000g/molであることがより好ましい。このような範囲であれば、シロキサン共重合体の製造が容易なだけでなく、硬度および柔軟性がさらに良好となる。なお、該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0106】
上記シロキサン共重合体の多分散度(PDI、Mw/Mn)は、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましい。このような範囲であれば、第1コーティング層12の形成時に塗工性が良好になり、コーティング物性がさらに安定化される。
【0107】
上記シロキサン共重合体は、エポキシ当量が0.1mol/100g~1.0mol/100gであることが好ましく、0.3mol/100g~0.7mol/100gであることがより好ましい。このような範囲であれば、積層透明フィルム10の物性がさらに安定的になる。ここで、「エポキシ当量」とは、100gのシロキサン共重合体に含まれるエポキシ基当量数をいう。
【0108】
上記シロキサン共重合体の硬化時に、架橋性官能基を硬化するために開始剤を使用することができる。開始剤としては、光カチオン開始剤および光ラジカル開始剤の少なくとも1つを含むことが好ましい。開始剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
【0109】
光カチオン開始剤としては、例えばカチオンとアニオンとを含むオニウム塩を使用することができる。オニウム塩に含まれるカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウムカチオン、4-メトキシジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムカチオン、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムカチオンなどのジアリールヨードニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン、ジフェニル-4-チオフェノキシフェニルスルホニウムカチオンなどのトリアリールスルホニウムカチオン、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドなどが挙げられる。また、アニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF6
-)、テトラフルオロボラートアニオン(BF4
-)、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン(SbF6
-)、ヘキサフルオロアルセネートアニオン(AsF6
-)、およびヘキサクロロアンチモネートアニオン(SbCl6
-)からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
光ラジカル開始剤としては、例えば、チオキサントン系、リン系、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、およびオキシム系からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
第1コーティング層12は、ナノ粒子をさらに含んでもよい。ナノ粒子は、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子、または有機-無機複合ナノ粒子であってもよい。無機ナノ粒子の例としては、例えば、シリカナノ粒子、チタニアナノ粒子、チタン酸バリウムナノ粒子、ジルコニアナノ粒子、硫酸バリウムナノ粒子、アルミナナノ粒子、ハフニウム酸化物ナノ粒子またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0112】
ナノ粒子は、第1コーティング層12を形成するシロキサン共重合体中に分散していてもよく、またはシロキサン共重合体に化学結合されていてもよい。第1コーティング層12がナノ粒子をさらに含むことによって、積層透明フィルム10の表面硬度を一層高めることができる。
【0113】
該ナノ粒子は、ゾル状態のナノ粒子(以下、‘ナノゾル’という)であることが好ましい。ナノゾルは、ナノ粒子の表面に縮合反応を起こすことができる反応サイト、例えば、縮合反応を起こしうる少なくとも1つのヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基またはこれらの組み合わせを有することができる。
【0114】
ナノゾルは、本発明に係るシロキサン共重合体の製造のためのシラン化合物の加水分解および縮重合反応時に、シラン化合物と共に含まれて、シラン化合物の加水分解縮重合反応と同時に、シラン化合物がナノゾルの縮合反応サイトとも結合することができる。そのため、ナノゾルは、シロキサン共重合体の主鎖に化学結合されていてもよく、シロキサン共重合体の分子鎖間の架橋結合を形成してもよい。これにより、シロキサン共重合体は、シロキサン共重合体およびナノ粒子の間の化学結合による3次元ネットワーク構造を有するナノ粒子-ポリシロキサン複合体を形成することができ、積層透明フィルム10の表面硬度などの機械的物性をさらに改善することができる。
【0115】
ナノ粒子の平均粒径は、1nm~200nmであることが好ましく、5nm~50nmであることがより好ましい。
【0116】
シロキサン共重合体を含む第1コーティング層12中のナノ粒子の含有量は、シロキサン共重合体100質量部に対して0.1質量部~60質量部であることが好ましく、10質量部~50質量部であることがより好ましい。このような範囲であれば、積層透明フィルム10の表面粗さおよび光透過率に影響を及ぼさずに、積層透明フィルム10の表面硬度を一層高めることができる。
【0117】
第1コーティング層12は、可視光線領域の光の少なくとも一部を吸収する吸光材料をさらに含むことが好ましい。この吸光材料としては、染料および/または顔料が挙げられる。すなわち、第1コーティング層12は、570nm~780nmの波長領域の光の少なくとも一部を吸収する染料および/または顔料をさらに含むことが好ましい。染料および/または顔料は、570nm~780nmの波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する紫色染料または紫色顔料であってもよく、波長400nm以下で最大吸収波長(λmax)を有し、かつ570nm~780nmの波長領域で広い範囲にわたって吸光特性を有する青色染料または青色顔料であってもよい。該染料および/または顔料は、高分子フィルム11の黄変現象により黄色度(yellow index、YI)が高くなるのを抑制し、積層透明フィルム10の黄色度を効果的に低くすることができる。これについては後述する。
【0118】
シロキサン共重合体を含む第1コーティング層12中の上記染料および/または顔料の含有量は、シロキサン共重合体100質量部に対して100質量ppm以下であることが好ましい。該含有量は90ppm以下、80ppm以下、70ppm以下、60ppm以下、50ppm以下がより好ましい。
【0119】
第1コーティング層12は、波長550nmの光の屈折率が、1.45~1.55であることが好ましい。第1コーティング層12がこのような範囲の屈折率を有することによって、高分子フィルム11との相乗的効果により積層透明フィルム10の光透過率を高めることができる。
【0120】
第1コーティング層12の厚さは、5μm~80μmであることが好ましく、10μm~50μmであることがより好ましい。
【0121】
第2コーティング層13は、高分子フィルム11の下部(第1コーティング層12が形成されている面と反対側の面)に位置して、積層透明フィルム10の光学的特性を改善することができる。
【0122】
第2コーティング層13に用いられる材料は、光学的に無色透明であって、他の層とよく接着できる材料であれば特に限定されない。第2コーティング層13の材料としては、例えば、(メタ)アクリレートポリマー、ポリカプロラクトン、ウレタン-アクリレートコポリマー、ポリロタキサン、エポキシ樹脂、シロキサン共重合体、ペルフルオロポリエーテル、またはこれらの組み合わせが挙げられる。第2コーティング層13は、第1コーティング層12と同様に、シロキサン共重合体を含むことが好ましい。
【0123】
第2コーティング層13は、波長550nmの光の屈折率が1.50~1.65であることが好ましい。第2コーティング層13の屈折率が、上記のような範囲であることによって、高分子フィルム11および選択的な第1コーティング層12との相乗的効果により積層透明フィルム10の光透過率を高めることができる。
【0124】
第2コーティング層13は、可視光線領域の光の少なくとも一部を吸収する吸光材料をさらに含むことが好ましい。第2コーティング層13は、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する吸光材料を含むことがより好ましい。このような吸光材料としては、染料および/または顔料が挙げられる。このような染料および/または顔料としては、具体的には、570nm~780nmの波長領域で最大吸収波長(λmax)を有する紫色染料または紫色顔料や、波長400nm以下で最大吸収波長(λmax)を有し、かつ570nm~780nmの波長領域の広い範囲にわたって吸光特性を有する青色染料または青色顔料が挙げられる。このような染料および/または顔料は、高分子フィルム11の黄変現象により黄色度(YI)が高くなるのを抑制し、積層透明フィルム10の黄色度を効果的に低くすることができる。
【0125】
具体的には、高分子フィルム11は、フィルムの製造工程および/または表示装置などの素子の製造工程中に、高温蒸着または高温アニーリングのような高温条件に曝されて、このときに、黄変が起こりうる。前述のように、高分子フィルム11がアミド構造単位および/またはイミド構造単位を含むポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、またはポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの場合、高温条件に曝される際に、ポリアミド、ポリイミド、またはポリ(アミド-イミド)コポリマーの分子が自由に再配列しながら高分子鎖間のパッキング(packing)を起こす。この際、電子供与体および電子受容体が互いに近接するように位置して、電荷移動錯体(charge transfer complex)のような構造を有するようになる。これにより、形成された電位の間での電子移動(励起)が起こり、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、またはポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムは、青色領域などの短波長領域の光を吸収することができる。そのため、高分子フィルム11の青色波長領域の透過率が落ちて、高分子フィルム11が黄色味を帯びる黄変現象が発生する。
【0126】
第2コーティング層13は、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する染料および/または顔料を含むことによって、高分子フィルム11の黄変により黄色度が高くなるのを抑制することができ、そのため、積層透明フィルム10の黄色度を低くすることができる。このように、第2コーティング層13は、高分子フィルム11の光学的特性を補完することによって、積層透明フィルム10の光学的特性を改善させることができる。前述のような、570nm~780nmの波長領域の少なくとも一部の光を吸収する青色顔料、青色染料、紫色顔料または紫色染料は、第1コーティング層12に含まれていてもよい。
【0127】
青色染料または青色顔料は、波長570nm以上の光を吸収することが好ましい。また、波長400nm以下で最大吸収波長(λmax)を有し、かつ570nm~780nmで広い波長領域にわたって吸光特性を有することがより好ましい。
【0128】
紫色染料または紫色顔料の例としては、例えば、ファーストバイオレットB、メチルバイオレット、インダントレンブリリアントバイオレット、またはジオキサジンバイオレットなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
上記青色染料または青色顔料の例としては、例えば、金属フタロシアニン顔料、インダンスロン顔料、インドフェノール顔料などが挙げられる。金属フタロシアニン顔料としては、具体的には、例えば、銅フタロシアニン、クロロ銅フタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、バナジン酸フタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニンなどのフタロシアニン金属錯体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0130】
第2コーティング層13中の染料および/または顔料の含有量は、第2コーティング層13の質量に対して100ppm以下であることが好ましい。該含有量は、90ppm以下、80ppm、70ppm以下、60ppm以下、50ppm以下がより好ましい。
【0131】
第2コーティング層13の厚さは、30nm~300nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~180nmであることがさらに好ましい。
【0132】
第1コーティング層12および第2コーティング層13は、それぞれ溶液工程または蒸着工程により、高分子フィルム11の一面または両面に形成され得る。一例として、第1コーティング層12および第2コーティング層13はフィルム形態で製造されて、高分子フィルム11の一面または両面にラミネーションされる。溶液工程での第1コーティング層12および第2コーティング層13の塗布方法としては、バーコーティング、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、ダイコーティングまたはインクジェットコーティングなどが挙げられる。塗布後に得られる塗膜を硬化させることにより、第1コーティング層12および第2コーティング層13を形成することができる。硬化は光硬化および/または熱硬化であることが好ましい。光硬化は、波長400nm以下の光を、10mJ/cm2~1000mJ/cm2の積算光量で照射する工程を含むことが好ましく、熱硬化は、40℃~200℃の処理温度で、1時間~30時間熱処理を行う工程を含むことが好ましい。
【0133】
積層透明フィルム10は、前述のように高分子フィルム11の一方の面または両面に、第1コーティング層12および/または第2コーティング層13を配置することによって、光学的特性および機械的特性を改善すると同時に、柔軟性を有することができる。したがって、透明性が要求される表示装置用基板またはウィンドウに好適に使用される。
【0134】
積層透明フィルム10の光透過率は、高分子フィルム11の光透過率より高いことが好ましい。積層透明フィルム10の光透過率は、380nm~780nmの可視光線領域で82%以上であることが好ましい。該光透過率は、85%以上、87%以上、88%以上、89%以上、89.5%以上がより好ましい。
【0135】
ASTM D1925規格に準じて測定される積層透明フィルム10の黄色度の絶対値は、高分子フィルム11の黄色度の絶対値より小さいことが好ましい。積層透明フィルム10の黄色度の絶対値は、2.0以下であることが好ましい。該黄色度の絶対値は、1.8以下、1.5以下、1.3以下、1.2以下、1.0以下がより好ましい。
【0136】
ASTM D3363規格に準じて測定される積層透明フィルム10の鉛筆硬度は、高分子フィルム11の鉛筆硬度より高いことが好ましい。積層透明フィルム10の鉛筆硬度は、4H以上であることが好ましく、5H以上であることがより好ましい。
【0137】
一例として、積層透明フィルム10は、改善された光学的特性および機械的特性を有することができ、85%以上の光透過率、4H以上の鉛筆硬度、および2.0以下の黄色度の絶対値を同時に有することができる。
【0138】
一例として、積層透明フィルム10は、改善された光学的特性および機械的特性を有することができ、88%以上の光透過率、5H以上の鉛筆硬度、および1.3以下の黄色度の絶対値を同時に有することができる。
【0139】
一例として、積層透明フィルム10は、改善された光学的特性および機械的特性を有することができ、89%以上の光透過率、5H以上の鉛筆硬度、および1.2以下の黄色度の絶対値を同時に有することができる。
【0140】
一例として、積層透明フィルム10は、改善された光学的特性および機械的特性を有することができ、89.5%以上の光透過率、5H以上の鉛筆硬度、および1.0以下の黄色度の絶対値を同時に有することができる。
【0141】
図2は、本発明の他の実施形態による積層透明フィルムを示す断面概略図である。
【0142】
図2を参照すれば、本実施形態による積層透明フィルム10は、上記の実施形態と同様に、高分子フィルム11、高分子フィルム11の上部に位置する第1コーティング層12、および高分子フィルム11の下部に位置する第2コーティング層13を含む。高分子フィルム11、第1コーティング層12および第2コーティング層13の構成は、前述のとおりである。
【0143】
しかし、本実施形態による積層透明フィルム10は、上記の実施形態とは異なり、第2コーティング層13の下部に位置する透明接着層14をさらに含む。
【0144】
透明接着層14は、光学的に透明な粘着剤または接着剤を含んでもよく、例えば光学透明粘着剤または圧力感応接着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)を含んでもよい。透明接着層14は表示装置のような素子に適用時、下部層と結合させる役割をする。
【0145】
透明接着層14の波長550nmの光の屈折率は、1.45~1.55であることが好ましい。このような範囲の屈折率を有することによって、高分子フィルム11と第1コーティング層12および第2コーティング層13との相乗的効果により、積層透明フィルム10の光透過率を高めることができる。
【0146】
透明接着層14の厚さは、例えば、5μm~200μmが好ましく、5μm~150μmがより好ましく、10μm~120μmがさらに好ましく、15μm~100μmがよりさらに好ましく、20μm~80μmが特に好ましい。
【0147】
本発明の積層透明フィルム10は、光学的に透明性が要求されるフィルムが適用される分野のほぼ全てに適用することができる。積層透明フィルム10は、多様な表示装置に適用される。積層透明フィルム10は、例えば表示装置用基板または表示装置用ウィンドウに有用に適用される。一例として、積層透明フィルム10は表示装置用ウィンドウとして適用される。
【0148】
図3は、本発明の一実施形態による表示装置の断面概略図である。
【0149】
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による表示装置100は、表示パネル50およびウィンドウ10Aを含む。
【0150】
表示パネル50は、例えば有機発光表示パネルまたは液晶表示パネルであってもよく、例えば、折り曲げることが可能な表示パネル、折り畳むことが可能な表示パネル、または丸めることが可能な表示パネルであってもよい。
【0151】
ウィンドウ10Aは、上述の高分子フィルム11または高分子フィルム11を含む積層透明フィルム10であり、観察者側に配置される。表示パネル50とウィンドウ10Aとの間にはさらに他の層が配置されてもよく、例えば単層または複数層の高分子層(図示せず)と選択的に透明接着層(図示せず)とをさらに含んでもよい。
【0152】
図4は、本発明の他の実施形態による表示装置の断面概略図である。
【0153】
図4を参照すれば、本実施形態による表示装置は、表示パネル50、ウィンドウ10A、および表示パネル50とウィンドウ10Aとの間に位置するタッチスクリーンパネル70を含む。
【0154】
表示パネル50は、例えば有機発光表示パネルまたは液晶表示パネルであってもよく、例えば折り曲げることが可能な表示パネル、折り畳むことが可能な表示パネル、または丸めることが可能な表示パネルであってもよい。
【0155】
ウィンドウ10Aは、上述の高分子フィルム11または高分子フィルム11を含む透明積層フィルム10であり、観察者側に配置される。
【0156】
タッチスクリーンパネル70は、ウィンドウ10Aおよび表示パネル50にそれぞれ隣接して配置されて、ウィンドウ10Aを通じて人間の手または物体がタッチされると、タッチ位置および位置変化を認識しタッチ信号を出力することができる。駆動モジュール(図示せず)は、出力されたタッチ信号からタッチ地点の位置を確認し、確認されたタッチ地点の位置に表示されたアイコンを確認し、確認されたアイコンに対応する機能を遂行するように制御でき、機能の遂行結果は表示パネル50に表示される。
【0157】
タッチスクリーンパネル70とウィンドウ10Aとの間には他の層が配置されていてもよい。例えば、単層または複数層の高分子層(図示せず)および/または選択的に透明接着層(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0158】
タッチスクリーンパネル70と表示パネル50との間には他の層が配置されていてもよい。例えば、単層または複数層の高分子層(図示せず)および/または選択的に透明接着層(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0159】
本発明に係る表示装置は、多様な電子機器に適用され、例えば、スマートフォン、タブレットPC、カメラ、タッチスクリーン機器などに適用されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0160】
以下、実施例を通して上述した本発明をより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0161】
[アミド基含有オリゴマーの製造]
(合成例1)
丸底フラスコに、溶媒としてN,N-ジメチルアセトアミド700gを加え、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)1モル当量(0.122モル、39.2g)と、ピリジン2.8モル当量(0.343モル、27.11g)とを溶かし、TFDB溶液を調製した。その後、残っているTFDBを50mlのジメチルアセトアミド(DMAc)で洗い落として、テレフタロイルクロリド(TPCL)0.7モル当量(0.086モル、17.4g)を、4回に分けて25℃の上記TFDB溶液に混合し、15分間激しく攪拌した。
【0162】
得られた溶液を窒素雰囲気下で2時間攪拌した後、350gのNaClを含む7LのNaCl溶液に入れて10分間攪拌した。次に、固形物をろ過し、5Lの脱イオン水を用いて、2回にわたって再懸濁および再ろ過を行った。最終ろ過物を適切に加圧して残存する水を最大限除去し、90℃および真空雰囲気下で48時間乾燥して、下記化学式(A)で表されるアミド基含有オリゴマーを得た。得られたアミド基含有オリゴマーの数平均分子量は、997であった。
【0163】
【0164】
(合成例2)
TPCL 0.7モル当量の代わりに、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロリド(BPCL)0.32モル当量およびTPCL 0.18モル当量を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0165】
(合成例3)
TPCL 0.7モル当量の代わりに、BPCL 0.4モル当量を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式(B)で表されるアミド基含有オリゴマーを得た。
【0166】
【0167】
(合成例4)
TPCLの使用量を0.51モル当量に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0168】
(合成例5)
TPCLの使用量を0.55モル当量に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0169】
(合成例6)
TPCLの使用量を0.40モル当量に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0170】
(合成例7)
TPCLの使用量を0.43モル当量に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0171】
(合成例8)
TPCL 0.7モル当量の代わりに、BPCL 0.10モル当量を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0172】
(合成例9)
TPCL 0.7モル当量の代わりに、BPCL 0.30モル当量を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0173】
(合成例10)
TPCL 0.7モル当量の代わりに、4,4’-オキシビス(ベンゾイルクロリド)(ODBC)0.43モル当量を用いたこと以外は、合成例1と同様の方法で合成して、アミド基含有オリゴマーを得た。
【0174】
[高分子フィルムの製造]
(製造例1)
30℃で予備加熱された機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250ml 4つ口二重壁反応器に、合成例1で得られたアミド基含有オリゴマー 21.7g(0.0152モル)およびジメチルアセトアミド(DMAc)143mlを添加した。オリゴマーが完全に溶けるまで、溶液を30℃および窒素雰囲気下で攪拌した後、ここに4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)3.73g(0.0084モル)と、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)2.00g(0.0068モル)とをゆっくり添加した。次に、10mlのジメチルアセトアミド(DMAc)をさらに添加した後、溶液を48時間攪拌して、固形分濃度が16質量%であるポリ(アミド-アミック酸)コポリマー溶液を得た。温度を25℃に下げた後、ポリ(アミド-アミック酸)コポリマー溶液に、無水酢酸4.6gを投入して30分攪拌し、ピリジン 3.6gを投入して、48時間さらに攪拌して、ポリ(アミド-イミド)コポリマー溶液を得た。
【0175】
ガラス板に上記で得られたポリ(アミド-イミド)コポリマー溶液を塗布し、80℃ホットプレートの上で1時間乾燥した後、溶液がコーティングされたガラス板をオーブンに入れて、3℃/分の昇温速度で250℃まで昇温して熱処理した。その後、徐々に冷却し、最終的にガラス板から剥がして、厚さ80μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0176】
(製造例2)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例2で得られたアミド基含有オリゴマー 21.6g(0.0152モル)を用い、6FDAの使用量を3.71g(0.0084モル)に変更し、BPDAの使用量を2.01g(0.0068モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0177】
(製造例3)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例3で得られたアミド基含有オリゴマー 21.3g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を3.38g(0.0076モル)に変更し、BPDAの使用量を2.24g(0.0076モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0178】
(製造例4)
6FDAの使用量を3.38g(0.0076モル)に変更し、BPDAの使用量を2.24g(0.0076モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ80μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0179】
(製造例5)
製造例4と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0180】
(製造例6)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例4で得られたアミド基含有オリゴマー 20.4g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を3.72g(0.0084モル)に変更し、BPDAの使用量を2.01g(0.0068モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ76μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0181】
(製造例7)
製造例6と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0182】
(製造例8)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例5で得られたアミド基含有オリゴマー 20.7g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を3.38g(0.0076モル)に変更し、BPDAの使用量を2.24g(0.0076モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0183】
(製造例9)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例6で得られたアミド基含有オリゴマー 19.7g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を5.63g(0.0127モル)に変更し、BPDAの使用量を0.75g(0.0025モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ80μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0184】
(製造例10)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例7で得られたアミド基含有オリゴマー 19.9g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を2.37g(0.0053モル)に変更し、BPDAの使用量を2.90g(0.0099モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0185】
(製造例11)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例5で得られたアミド基含有オリゴマー 20.7g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAおよびBPDAの代わりに、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(aBPDA)4.47g(0.0152モル)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ75μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0186】
(製造例12)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例4で得られたアミド基含有オリゴマー 20.4g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAおよびBPDAの代わりに、BPDA 2.01g(0.0068モル)およびaBPDA 2.46g(0.0084モル)を用いたこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ46μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0187】
(製造例13)
製造例1で得られたアミド-イミド共重合体溶液に、20ppmのジオキサジンバイオレット(商品名Violet Pigment、MVC、イリドス社製)(λmax=600~610nm)を添加し、30分間さらに攪拌したことを除いては、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ80μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0188】
(比較製造例1)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250ml 4つ口二重壁反応器に、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)13.26g(0.0414モル)およびジメチルアセトアミド(DMAc)121mlを添加した。TFDBが完全に溶けるまで、窒素雰囲気下で攪拌した後、ここに4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)4.60g(0.0104モル)と、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)9.14g(0.0311モル)とをゆっくり添加した。次に、10mlのジメチルアセトアミド(DMAc)をさらに添加し、溶液を48時間攪拌して固形分濃度が18質量%であるポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液に無水酢酸12.7gを投入して30分攪拌した後、ピリジン 9.8gを投入して、48時間さらに攪拌してポリイミド溶液を得た。
【0189】
ガラス板に上記で得られたポリイミド溶液を塗布し、80℃ホットプレートの上で1時間乾燥した後、溶液がコーティングされたガラス板をオーブンに入れて、3℃/分の昇温速度で250℃まで昇温して熱処理した。その後、徐々に冷却し、最終的にガラス板から剥がして、厚さ80μmのポリイミドフィルムを得た。
【0190】
(比較製造例2)
BPDAの使用量を6.09g(0.0207モル)に変更し、6FDAの使用量を9.20g(0.0207モル)に変更したこと以外は、比較製造例1と同様の方法で合成して、厚さ90μmのポリイミドフィルムを得た。
【0191】
(比較製造例3)
BPDAの使用量を2.44g(0.0083モル)に変更し、6FDAの使用量を14.71g(0.0331モル)に変更したこと以外は、比較製造例1と同様の方法で合成して、厚さ80μmのポリイミドフィルムを得た。
【0192】
(比較製造例4)
BPDAを使用せず、6FDAの使用量を18.39g(0.0414モル)に変更したこと以外は、比較製造例1と同様の方法で合成して、厚さ40μmのポリイミドフィルムを得た。
【0193】
(比較製造例5)
BPDAの使用量を2.44g(0.0083モル)に変更し、6FDAの使用量を14.71g(0.0331モル)に変更し、TFDBの使用量を12.86g(0.0402モル)に変更し、さらに6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(6ABO)0.28g(0.00124モル)を用いたこと以外は、比較製造例1と同様の方法で合成して、厚さ59μmのポリイミドフィルムを得た。
【0194】
(比較製造例6)
機械的攪拌機および窒素流入口を備えた250ml 4つ口二重壁反応器に、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)21.15g(0.0476モル)およびテトラヒドロフラン(THF)116.5mlを添加した。6FDAが完全に溶けるまで、窒素雰囲気下で攪拌した後、アミノプロピル基末端のポリジメチルシロキサン(PDMS、Mw=780g/mol)1.86g(0.00238モル)をゆっくり添加した。常温の窒素雰囲気下で2時間攪拌した後、酢酸 3.8gを添加して1時間攪拌した。ここに2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)14.48g(0.0452モル)および10mlのTHFをさらに添加し、48時間攪拌して、固形分濃度が25質量%であるポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液に、無水酢酸13.5gを投入して30分攪拌した後、ピリジン 11.5gを投入して48時間さらに攪拌してポリイミド溶液を得た。
【0195】
ガラス板に、上記で得られたポリイミド溶液を塗布し、80℃ホットプレートの上で1時間乾燥した後、溶液がコーティングされたガラス板をオーブンに入れて、3℃/分の昇温速度で250℃まで上げて熱処理した。その後、徐々に冷却し、最終的にガラス板から剥がして、厚さ50μmのポリイミドフィルムを得た。
【0196】
(比較製造例7)
アミノプロピル基末端のPDMSの使用量を7.43g(0.00952モル)に変更し、TFDBの使用量を12.19g(0.0381モル)に変更したこと以外は、比較製造例6と同様の方法で合成して、厚さ30μmのポリイミドフィルムを得た。
【0197】
(比較製造例8)
アミノプロピル基末端のPDMSの使用量を0.37g(0.000476モル)に変更し、TFDBの使用量を15.09g(0.0471モル)に変更したこと以外は、比較製造例6と同様の方法で合成して、厚さ30μmのポリイミドフィルムを得た。
【0198】
(比較製造例9)
アミノプロピル基末端のPDMSの使用量を1.86g(0.00238モル)に変更し、TFDBの使用量を14.48g(0.0452モル)に変更したこと以外は、比較製造例6と同様の方法で合成して、厚さ30μmのポリイミドフィルムを得た。
【0199】
(比較製造例10)
6FDAの使用量を2.25g(0.0051モル)に変更し、BPDAの使用量を2.98g(0.0101モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0200】
(比較製造例11)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例8で得られたアミド基含有オリゴマー 18.0g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を4.5g(0.0101モル)に変更し、BPDAの使用量を1.49g(0.0051モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0201】
(比較製造例12)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例9で得られたアミド基含有オリゴマー 20.2g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を3.86g(0.0087モル)に変更し、BPDAの使用量を1.92g(0.0065モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0202】
(比較製造例13)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例8で得られたアミド基含有オリゴマー 18.0g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を3.0g(0.0068モル)に変更し、BPDAの使用量を2.48g(0.0084モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ50μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0203】
(比較製造例14)
合成例1で得られたアミド基含有オリゴマーの代わりに、合成例10で得られたアミド基含有オリゴマー 22.0g(0.0152モル)を用い、さらに6FDAの使用量を2.37g(0.0053モル)に変更し、BPDAの使用量を2.90g(0.0099モル)に変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で合成して、厚さ52μmのポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを得た。
【0204】
(評価1)
製造例1~13および比較製造例1~14で製造された高分子フィルムの厚さ、屈折率、光透過率、黄色度、弾性モジュラス、鉛筆硬度および屈曲性を測定し評価した。
【0205】
フィルムの厚さは、Micrometer(Mitutoyo社)を用いて測定した。
【0206】
屈折率は、Ellipsometer(M-2000、J.A.Woollam社)を用い、可視光線領域でGen-Oscモデルに設定して、波長550nmでの値を測定した。
【0207】
光透過率は、UV分光計(Spectrophotometer、コニカミノルタ社製、cm-3600d)を用い、380nm~780nm波長領域のY(D65)で測定した。
【0208】
黄色度(YI)は、UV分光計(Spectrophotometer、コニカミノルタ社製、cm-3600d)を用い、ASTM D1925に準じて測定した。
【0209】
弾性率は、Instron3365(Instron社製)を用い、常温で幅10mmおよび長さ50mmのフィルム試験片を5mm/minの速度で引張り、サンプル当り5回、ASTM D882に準じて測定後、平均値を算出した。
【0210】
鉛筆硬度は、鉛筆硬度測定器と三菱鉛筆とを用いて、垂直荷重500gで鉛筆引っかき速度を60mm/minとして、5回測定した後、キズのない硬度を確認して、ASTM D3363に準じて測定した。
【0211】
上記評価1による結果を、下記表1および表2に示す。
【0212】
【0213】
【0214】
[コーティング層形成用組成物の調製]
(合成例11:第1コーティング層形成用組成物の調製)
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン(Sigma-Aldrich社製)98mol%、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)1mol%、および2-ヒドロキシ-4-(3-トリエトキシシリルプロポキシ)ジフェニルケトン(Gelest社製)1mol%を含む単量体混合物の総量50gを200ml 2口フラスコに入れた。この単量体混合物に、単量体混合物に対して2mol%のKOHと、単量体混合物に対して1mol%の水を添加し、65℃で4時間攪拌した。減圧蒸留装置で残留する水とアルコールとを除去してシロキサン共重合体を製造し、メチルエチルケトンを追加して固形分90質量%に調整した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で確認したシロキサン共重合体の重量平均分子量は、6,200g/molであった。
【0215】
得られたシロキサン共重合体 100質量部、架橋剤であるCY-179(CIBA社製)10質量部、および開始剤であるIrgacure(登録商標)250(BASF社製)5質量部を添加し混合して、第1コーティング層形成用組成物を製造した。
【0216】
(合成例12:第2コーティング層形成用組成物の調製)
合成例11で得られた組成物に、シロキサン共重合体100質量部に対して34ppmのジオキサジンバイオレット(商品名Violet Pigment、MVC、イリドス社製)(λmax=600~610nm)を添加し、攪拌機を用いて約30分間攪拌して、第2コーティング層形成用組成物を製造した。
【0217】
(合成例13:第2コーティング層形成用組成物の調製)
アクリル系の高分子(Sukgyung AT社製)にシリカナノ粒子を分散させて、第2コーティング層形成用組成物を製造した屈折率1.58)。
【0218】
[積層透明フィルムの製造]
(実施例1)
製造例1で製造したポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの一面に、合成例11で得られた組成物をバーコーティングによって塗布した後、90℃で2分間プレアニーリング(pre-annealing)し、240nm~400nmの波長領域を有する紫外線を、200W高圧水銀ランプを利用して96秒間照射した。次に、200℃で1時間ポストアニーリング(post-annealing)して、厚さ10μmの第1コーティング層(屈折率:1.51)を形成した。
【0219】
次に、ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの他の面(第1コーティング層が形成されていない面)に、合成例12で得られた組成物をバーコーティングによって約100nmの厚さとなるように塗布した後、90℃で2分間プレアニーリングし、240nm~400nmの波長領域を有する紫外線を、200W高圧水銀ランプを利用して96秒間照射して、厚さ90nmの第2コーティング層(屈折率:1.63)を形成した。次いで、第2コーティング層の高分子フィルム側と反対側の面に、厚さ50μmの透明接着剤(OCA、3M社製)を貼り合わせて、透明接着層(屈折率:1.53)を形成して、積層透明フィルムを製造した。
【0220】
(実施例2~13)
製造例1で得られたポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの代わりに、製造例2~13で得られたポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層透明フィルムを製造した。
【0221】
(実施例14)
製造例13で得られたポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの一方の面に、合成例11で得られた組成物をバーコーティングによって塗布した後、90℃で2分間プレアニーリング(pre-annealing)し、240nm~400nmの波長領域を有する紫外線を、200W高圧水銀ランプを利用して96秒間照射した。次に、200℃で1時間ポストアニーリング(post-annealing)して、厚さ10μmの第1コーティング層(屈折率:1.51)を形成した。
【0222】
次に、ポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの他の面(第1コーティング層が形成されていない面)に透明接着剤(OCA、3M)を貼り合わせて、透明接着層(屈折率:1.53)を形成して、積層透明フィルムを製造した。
【0223】
(比較例1~14)
製造例1で得られたポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムの代わりに、比較製造例1~14で得られたポリイミドフィルムまたはポリ(アミド-イミド)コポリマーフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、積層透明フィルムを製造した。
【0224】
(評価2)
実施例1~14および比較例1~14で製造した積層透明フィルムの光透過率、黄色度および鉛筆硬度を測定し評価した。
【0225】
光透過率は、UV分光計(Spectrophotometer、コニカミノルタ社製、cm-3600d)を用いて、380nm~780nmの波長領域のY(D65)で測定した。
【0226】
黄色度(YI)は、UV分光計(Spectrophotometer、コニカミノルタ社製、cm-3600d)を用いて、ASTM D1925規格に準じて測定した。
【0227】
鉛筆硬度は、鉛筆硬度測定器と三菱鉛筆とを用いて、垂直荷重1kgで鉛筆引っかき速度を60mm/minとして、5回測定後、キズのない硬度を確認して、ASTM D3363規格に準じて測定した。
【0228】
上記評価2による結果を、下記表3および表4に示す。
【0229】
【0230】
【0231】
表3を参照すれば、実施例1~14による積層透明フィルムは、表1に記載された製造例1~13による高分子フィルムと比較して、光透過率、黄色度および鉛筆硬度が全て改善されたことが確認できた。したがって、実施例1~14による積層透明フィルムは、高分子フィルムを単独で用いた場合と比較して、光学的特性および機械的特性がすべて改善されたことが確認できた。
【0232】
具体的には、実施例1~14による積層透明フィルムは、85%以上の光透過率、4H以上の鉛筆硬度、および2.0以下の黄色度の絶対値を同時に満足することが確認できた。より具体的には、実施例1~14による積層透明フィルムは、89.5%以上の光透過率、5H以上の鉛筆硬度、および1.5以下の黄色度の絶対値を同時に満足することが確認できた。
【0233】
また、表3および表4を参照すれば、屈折率が1.65~1.75であり弾性率が5.5GPa以上である高分子フィルムを用いた実施例1~14による積層透明フィルムは、光学的特性および機械的特性を同時に満足するのに対し、屈折率および弾性率の少なくとも一つが本発明の範囲外である高分子フィルムを用いた比較例1~14による積層透明フィルムは、光学的特性または機械的特性を満足しないことが確認できた。具体的には、実施例1~14による積層透明フィルムは、85%以上の光透過率、4H以上の鉛筆硬度、および2.0以下の黄色度の絶対値を同時に満足することに対し、比較例1~14による積層透明フィルムは、黄色度が高いか鉛筆硬度が低いことが確認された。
【0234】
以上、実施例について説明したが、実際に具現される構造はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施するのが可能であり、これも権利範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0235】
10 積層透明フィルム、
11 高分子フィルム、
12 第1コーティング層、
13 第2コーティング層、
14 透明接着層、
50 表示パネル、
70 タッチスクリーンパネル。