(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】凍結移植体及び凍結移植体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20220715BHJP
【FI】
C12N5/0775
(21)【出願番号】P 2018514236
(86)(22)【出願日】2017-04-07
(86)【国際出願番号】 JP2017014545
(87)【国際公開番号】W WO2017187941
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2016089188
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年4月8日日本歯周病学会学術大会案内http://www.perio.jp/meeting/において公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100138955
【氏名又は名称】末次 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【氏名又は名称】山中 生太
(72)【発明者】
【氏名】栗原 英見
(72)【発明者】
【氏名】加治屋 幹人
(72)【発明者】
【氏名】本池 総太
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-181433(JP,A)
【文献】KITTAKA, M., et al.,Clumps of a mesenchymal stromal cell/extracellular matrix complex can be a novel tissue engineering therapy for bone regeneration,Cytotherapy,2015年03月03日,Vol. 17, No. 7,p. 860-873
【文献】本池総太,凍結保存が間葉系幹細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complexによる骨再生に及ぼす影響,日本歯周病学会会誌,2016年04月18日,Vol. 58 春季特別号,p. 123, O-30 3199
【文献】本池総太,他,凍結保存した間葉系幹細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complexの骨再生能の検討,日本再生医療学会雑誌,2017年02月01日,Vol. 16, Suppl,p. 368, P-01-024
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地にて間葉系幹細胞が培養されることによって、または、増殖培地にて間葉系幹細胞が培養されて凝集し、間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子が当該増殖培地に添加されることによって、前記
間葉系幹細胞が粒状に形成され
た細胞集塊
が凍結している凍結移植体であ
り、
前記凍結移植体は前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する、
ことを特徴とする凍結移植体。
【請求項2】
前記凍結移植体が0.5mm~1.5mm径の粒状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の凍結移植体。
【請求項3】
前記凍結移植体が0.8mm~1.2mm径の粒状である、
ことを特徴とする請求項2に記載の凍結移植体。
【請求項4】
間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地にて前記間葉系幹細胞を培養し、
前記間葉系幹細胞から産生されたコラーゲンを含有する粒状の細胞集塊を形成させ、
前記増殖培地から分離した前記細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存する
ことによって、
前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する凍結移植体を得る、
ことを特徴とする凍結移植体の製造方法。
【請求項5】
間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地にて前記間葉系幹細胞を培養して細胞シートを形成し、
前記細胞シートの周囲を自由縁にして自己凝集作用によって粒状の細胞集塊を形成し、
前記増殖培地から分離した前記細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存する
ことによって、
前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する凍結移植体を得る、
ことを特徴とする凍結移植体の製造方法。
【請求項6】
培養容器にて前記間葉系幹細胞を培養してコンフルエントになるまで増殖させ、
前記培養容器の周壁に接着した前記細胞シートの縁を前記培養容器の周壁から離間させることにより、前記細胞シートの周囲を自由縁にする、
ことを特徴とする請求項5に記載の凍結移植体の製造方法。
【請求項7】
1.5cm
2~2.5cm
2の円筒状の前記培養容器を用い、0.5mm~1.5mm径の粒状の前記細胞集塊を得る、
ことを特徴とする請求項6に記載の凍結移植体の製造方法。
【請求項8】
増殖培地にて間葉系幹細胞を培養して凝集させ、
前記増殖培地に前記間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を添加して、前記間葉系幹細胞から産生されるコラーゲンを含有する粒状の細胞集塊を形成させ、
前記増殖培地から分離した前記細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存する
ことによって、
前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する凍結移植体を得る、
ことを特徴とする凍結移植体の製造方法。
【請求項9】
予備凍結を行わずに凍結保存する、
ことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載の凍結移植体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結移植体及び凍結移植体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞(MSC:Mesenchymal stem cell)は多分化能・自己増殖能を有しており、遺伝子導入などが不要であるとともに、患者から確実に得られるため、組織再生療法に適した細胞である。
【0003】
例えば、骨折や歯周炎などの骨破壊疾患に対して、現在のMSC移植治療法では、患者からMSCを分離、増殖させ、細胞数を十分に確保して一旦凍結保存しておく。その後、患者への移植手術の直前に、凍結保存しておいたMSCを融解し、CPC(Cell Processing Center)で培養してMSCが集塊状の形態となったMSC移植体の形態に加工する。
【0004】
例えば、融解したMSCを人工足場材料(ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウムアパタイト、ポリ乳酸、キトサン、アテロコラーゲンゲル、ヒアルロン酸ゲルなど)と混和して培養することで、MSC移植体が作成される。そして、このMSC移植体が患者の欠損組織に移植され、MSCの組織再生能を発揮させる。
【0005】
また、近年では、人工足場材料を要しないMSC移植体があり、このようなMSC移植体として、細胞シートや細胞スフェロイドのほか、細胞集塊(非特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】M KITTAKA, M KAJIYA, H SHIBA, M TAKEWAKI, K TAKESHITA, R KHUNG, T FUJITA, T IWATA, T Q NGUYEN, K OUHARA, K TAKEDA, T FUJITA, H KURIHARA; "Clumps of a mesenchymal stromal cell/extracellular matrix complex can be a novel tissue engineering therapy for bone regeneration"; International Society for Cellular Therapy; Cytotherapy, 2015, 17, 860-873
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでのMSC移植体は、移植手術の直前に、凍結保存しておいたMSCを融解してから製造されている。移植手術の直前の限られた期間内に、その都度MSC移植体を作製することから、MSC移植体に含まれる細胞数や細胞機能を均一にできる保証はない。このため、所望のMSC移植体を製造できなかった場合には、移植手術が延期されることがある。
【0008】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、集塊状で凍結保存可能な凍結移植体及び凍結移植体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係る凍結移植体は、
間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地にて間葉系幹細胞が培養されることによって、または、増殖培地にて間葉系幹細胞が培養されて凝集し、間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子が当該増殖培地に添加されることによって、前記間葉系幹細胞が粒状に形成された細胞集塊が凍結している凍結移植体であり、
前記凍結移植体は前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する、
ことを特徴とする。
【0010】
また、前記凍結移植体が0.5mm~1.5mm径の粒状であることが好ましい。
【0011】
また、前記凍結移植体が0.8mm~1.2mm径の粒状であることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の観点に係る凍結移植体の製造方法は、
間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地にて前記間葉系幹細胞を培養し、
前記間葉系幹細胞から産生されたコラーゲンを含有する粒状の細胞集塊を形成させ、
前記増殖培地から分離した前記細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存することによって、前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する凍結移植体を得る、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点に係る凍結移植体の製造方法は、
間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地にて前記間葉系幹細胞を培養して細胞シートを形成し、
前記細胞シートの周囲を自由縁にして自己凝集作用によって粒状の細胞集塊を形成し、
前記増殖培地から分離した前記細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存することによって、前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する凍結移植体を得る、
ことを特徴とする。
【0014】
また、培養容器にて前記間葉系幹細胞を培養してコンフルエントになるまで増殖させ、
前記培養容器の周壁に接着した前記細胞シートの縁を前記培養容器の周壁から離間させることにより、前記細胞シートの周囲を自由縁にしてもよい。
【0015】
1.5cm2~2.5cm2の円筒状の前記培養容器を用い、0.5mm~1.5mm径の粒状の細胞集塊を得てもよい。
【0016】
本発明の第4の観点に係る凍結移植体の製造方法は、
増殖培地にて間葉系幹細胞を培養して凝集させ、
前記増殖培地に前記間葉系幹細胞にコラーゲンを産生させる因子を添加して、前記間葉系幹細胞から産生されるコラーゲンを含有する粒状の細胞集塊を形成させ、
前記増殖培地から分離した前記細胞集塊を凍結保存剤とともに凍結保存することによって、前記間葉系幹細胞が産生したコラーゲンを含有し、融解後に移植体として組織再生能を発揮する凍結移植体を得る、
ことを特徴とする。
【0017】
予備凍結を行わずに凍結保存してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る凍結移植体は、MSCが集塊状の形態で凍結されているので、移植手術等において、直前の限られた期間内にMSC移植体の製造を行う必要がない。このため、移植手術が延期される事態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】細胞生存活性の測定結果を示すグラフである。
【
図2】
図2はC-MSCsの位相差顕微鏡像を示す写真であり、
図2(A)は凍結保存しなかったC-MSCsの写真、
図2(B)はDMSO凍結保存液で凍結保存したC-MSCsの写真、
図2(C)はBambanker(商品名:和光純薬工業株式会社)で凍結保存したC-MSCsの写真、
図2(D)はCell Banker(商品名:タカラバイオ株式会社)で凍結保存したC-MSCsの写真である。
【
図3】C-MSCのHE染色像を示す写真であり、
図3(A)は凍結前の写真、
図3(B)は
図3(A)の部分拡大写真、
図3(C)は融解1日後の写真、
図3(D)は
図3(C)の部分拡大写真、
図3(E)は融解5日後の写真、
図3(F)は
図3(E)の部分拡大写真である。
【
図4】細胞シートのHE染色像を示す写真であり、
図4(A)は凍結前の写真、
図4(B)は
図4(A)の部分拡大写真、
図4(C)は融解1日後の写真、
図4(D)は
図4(C)の部分拡大写真、
図4(E)は融解5日後の写真、
図4(F)は
図4(E)の部分拡大写真である。
【
図5】細胞スフェロイドのHE染色像を示す写真であり、
図5(A)は凍結前の写真、
図5(B)は
図5(A)の部分拡大写真、
図5(C)は融解1日後の写真、
図5(D)は
図5(C)の部分拡大写真、
図5(E)は融解5日後の写真、
図5(F)は
図5(E)の部分拡大写真である。
【
図6】凍結前のC-MSCs、並びに、凍結して融解した5日後のC-MSCs、細胞シート及び細胞スフェロイドの細胞死の割合を示すグラフである。
【
図7】
図7(A)~(D)は、コラゲナーゼを添加しなかったC-MSCsの凍結保存前の状態を示す写真であり、
図7(A)はHE染色写真、
図7(B)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図7(C)は
図7(B)の部分拡大写真、
図7(D)は免疫染色写真、
図7(E)~(H)は、コラゲナーゼを添加したC-MSCsの凍結保存前の状態を示す写真であり、
図7(E)はHE染色写真、
図7(F)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図7(G)は
図7(F)の部分拡大写真、
図7(H)は免疫染色写真である。
【
図8】
図8(A)~(C)は、コラゲナーゼを添加しなかったC-MSCsを凍結保存して融解5日後の状態を示す写真であり、
図8(A)はHE染色写真、
図8(B)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図8(C)は
図8(B)の部分拡大写真、
図8(D)~(F)は、コラゲナーゼを添加したC-MSCsの凍結保存して融解5日後の状態を示す写真であり、
図8(D)はHE染色写真、
図8(E)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図8(F)は
図8(E)の部分拡大写真である。
【
図9】C-MSCsの融解5日後における死細胞の割合を示すグラフである。
【
図10】
図10(A)~(D)は、アスコルビン酸を培地に添加せずに製造した細胞スフェロイドの凍結保存前の状態を示す写真であり、
図10(A)はHE染色写真、
図10(B)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図10(C)は
図10(B)の部分拡大写真、
図10(D)は免疫染色写真、
図10(E)~(H)は、アスコルビン酸を培地に添加して製造した細胞スフェロイドの凍結保存前の状態を示す写真であり、
図10(E)はHE染色写真、
図10(F)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図10(G)は
図10(F)の部分拡大写真、
図10(H)は免疫染色写真である。
【
図11】
図11(A)~(C)は、アスコルビン酸を培地に添加せずに製造した細胞スフェロイドを凍結保存して融解5日後の状態を示す写真であり、
図11(A)はHE染色写真、
図11(B)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図11(C)は
図11(B)の部分拡大写真、
図11(D)~(F)は、アスコルビン酸を培地に添加して製造した細胞スフェロイドの凍結保存前の状態を示す写真であり、
図11(D)はHE染色写真、
図11(E)はTUNNEL/DAPI染色写真、
図11(F)は
図11(E)の部分拡大写真である。
【
図12】細胞スフェロイドの融解5日後における死細胞の割合を示すグラフである。
【
図13】石灰化誘導培地で培養したC-MSCs内のカルシウム沈着量を示すグラフである。
【
図14】ラット頭蓋冠にC-MSCsを移植して4週間後のCT写真であり、
図14(A)が移植を行わなかった写真、
図14(B)がDMSO凍結保存液で凍結保存したM-MSCsを移植した写真、
図14(C)がCell Banker(商品名:タカラバイオ株式会社)で凍結保存したC-MSCsを移植した写真、
図14(D)がBambanker(商品名:和光純薬工業株式会社)で凍結保存したC-MSCsを移植した写真である。
【
図15】長期凍結保存して融解したC-MSCsの状態を示す写真であり、
図15(A)がHE染色写真、
図15(B)がTUNEL/DAPI染色写真、
図15(C)がTUNEL染色した部分拡大写真、
図15(D)がTUNEL/DAPI染色した部分拡大写真である。
【
図16】C-MSCsの移植効果を示すラット頭蓋冠のCT写真であり、
図16(A)が移植を行わなかった写真、
図16(B)はC-MSCsを移植して4週間後の写真である。
【
図17】C-MSCsの移植効果を示すラット頭蓋冠のHE染色断面写真であり、
図17(A)が移植を行わなかった写真、
図17(B)はC-MSCsを移植して4週間後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態に係る凍結細胞集塊は、複数の間葉系幹細胞が集塊状に、粒状に形成された凍結状態の細胞集塊である。
【0021】
凍結細胞集塊は、使用される形態に応じた大きさであればよく、例えば、凍結細胞集塊が骨折や歯周炎などの骨破壊疾患に対する移植体として使用される場合移植手術時に欠損組織に移植しやすい大きさであることが好ましく、0.5mm~1.5mm径、より好ましくは0.8mm~1.2mm径である。
【0022】
なお、ここで移植体とは、骨欠損部位など直接埋め込まれて使用される形態のほか、注射等による体内への注入により組織再生を図る形態など、手法を問わず、組織再生に用いられる形態全般をいう。
【0023】
凍結細胞集塊は、移植手術等の前に融解されて、移植手術等に用いられる。凍結細胞集塊は、融解後もその形態を保持し、細胞機能を失うことがないので、例えば、欠損組織に移植することで組織再生能を発揮する。なお、凍結細胞集塊の融解は、凍結細胞集塊が入れられている凍結保存容器をフリーザー等から取り出し、室温に置くことや温浴(例えば、40℃~60℃)に置くなど種々の手法で行うことができる。
【0024】
上記の凍結細胞集塊は、以下のようにして製造することができる。まず、採取した間葉系幹細胞を培養皿等の培養器を用い、MSCにコラーゲンを産生させる因子を含有する増殖培地で培養する。間葉系幹細胞は、患者の髄、脂肪組織、胎盤組織又は臍帯組織、歯髄等、種々の組織から採取されたものが用いられる。
【0025】
増殖培地は、間葉系幹細胞を増殖させ得る培地であればよく、一般に市販されている増殖培地(例えば、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)+10%FBS(fetal bovine serum))を用いればよい。また、MSCにコラーゲンを産生させる因子は、化合物やタンパク質など、結果としてMSCにコラーゲンを産生させ得るものであれば限定されず、アスコルビン酸のほか、デキサメタゾン等のステロイドやサイトカイン等が挙げられ、アスコルビン酸であることが好ましい。
【0026】
間葉系幹細胞が増殖すると、シート状の細胞集団(以下、細胞シート)が形成される。そして、細胞シートの周囲が培養器の縁に接着し、コンフルエントに達するまで増殖させる。
【0027】
次いで、培養器の周壁に接着した細胞シートの縁を培養器から離間させる。例えば、細い棒体を細胞シートの縁が接着している培養器の内壁に差し込み、培養器の内壁に沿って棒体を一周移動させることにより、細胞シートを培養器から離間させることができる。これにより、細胞シートは浮遊することになる。
【0028】
この浮遊する細胞シートは自己凝集作用により、くるまってゆく。そして、間葉系幹細胞自身が産生する細胞外マトリクス(ECM:extracellular matrix)を利用して塊状の間葉系幹細胞集塊となる。このようにして、粒状の細胞集塊を得ることができる。
【0029】
なお、培養器は1.5cm2~2.5cm2の円筒状のものを用いると、0.5mm~1.5mmの粒径の細胞集塊が得られる。培養器として、例えば、表面積2cm2の24ウェルプレートなどを用いればよい。
【0030】
また、スフェロイド形態の細胞集塊を得る場合、以下のようにして製造することができる。増殖培地でMSCが浮遊するように培養すると、細胞間接着によってMSC同士が凝集、粒状になる。その後、MSCにコラーゲンを産生させる物質を増殖培地に添加する。これによりMSCがコラーゲンを産生し、通常の細胞スフェロイドに比べて、コラーゲンを豊富に含んだスフェロイド形態の細胞集塊が得られる。
【0031】
得られたMSC移植体を凍結保存剤とともに凍結用バイアル等の凍結保存用の容器に入れ、凍結保存する。このようにして凍結移植体を得ることができる。
【0032】
凍結保存剤として、種々の細胞凍結用の保存液を用いればよく、例えば、10%DMSO(Dimethyl sulfoxide)、20%FBS、70%DMEMを含有する凍結保存液のほか、市販のCell banker(商品名:タカラバイオ株式会社)、Bambanker(商品名:和光純薬工業株式会社)などの凍結保存液が挙げられる。
【0033】
凍結保存は、-70℃~-90℃、好ましくは-75℃~-85℃の温度で行えばよい。また、凍結保存は、保存容器をフリーザーに置くなど、種々の手法で行うことができる。また、一ヶ月以上の長期保存を行う場合では、保存容器を上記温度に24時間置いた後、液体窒素タンク(-196℃)に移して保存してもよい。
【0034】
なお、凍結保存に際し、予備凍結を行わなくてもよい。予備凍結を行わずに直接凍結保存しても、MSC移植体の細胞組織が崩壊することはほぼない。
【0035】
なお、人工足場材料(例えば、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウムアパタイト、ポリ乳酸、キトサン、アテロコラーゲンゲル、ヒアルロン酸ゲルなど)を用いたMSC移植体では、凍結させると人工足場材料の物性が変わってしまい、融解後にMSC移植体としての機能を発揮しないため、凍結保存はなされていない。また、足場材料を用いない移植体として、細胞シートや細胞スフェロイドがあるが、これらは後述の実施例でも記すように、凍結、融解後にそれぞれの形態を維持できないため、凍結保存はできなかった。
【0036】
一方、本実施の形態に係る凍結細胞集塊については、MSC細胞集塊を作製した後に凍結保存された状態であることから、患者から分離したMSCからMSC細胞集塊を作製し、その細胞機能や細胞の均一性を事前に検査することができる。そして、検査して一定品質のもののみを選別し、凍結細胞集塊として凍結保存される。これにより、品質管理されたMSC細胞集塊であるMSC移植体を移植日当日に確実に供給することが可能になり、移植手術が延期されるという事態を防ぐことができる。
【0037】
例えば、歯周炎患者から分離した骨髄間葉系幹細胞をMSC移植体の形にし、細胞機能・異物混入などの検査を行った後に凍結保存しておく。その間に移植前に必要となる感染源除去、炎症の軽減などの歯周基本治療を済ませておき、その後、移植日当日に品質管理されたMSC移植体を融解して欠損組織に移植することで歯周組織再生が実現できる。
【0038】
更には、MSCはその低い抗原性のため、他家移植に応用可能な細胞であると考えられている。したがって、MSCバンクなどの他家移植のためのMSC供給システムが構築された場合、MSCのまま凍結するのではなく、MSC細胞集塊の形態で凍結保存することで、患者に必要な際に速やか且つ確実に良好なMSC細胞集塊を提供できる細胞製剤医療が行えるようにもなる。
【実施例】
【0039】
(凍結移植体の作製、融解)
3週齢ラットの大腿骨の骨髄から間葉系幹細胞を採取した。DMEM(Sigma)に10%FBS(Biowest)、100U/mLペニシリン(Sigma)、100μg/mLストレプトマイシン(Sigma)、及び、500ng/mLアムホテリシンB(Invitrogen)を添加した増殖培地(以下、GM培地)にて、採取した間葉系幹細胞を培養した。24時間後、非接着性の細胞を取り除き、接着性の細胞を更に培養して得た第三継代細胞を以下の実験に用いた。
【0040】
24well培養プレートに、MSCを7.0×104cells/wellの割合で播種し、L-アスコルビン酸(50μg/mL)を添加した増殖培地(DMEM+10%FBS)で7時間培養した。
【0041】
培養することにより、MSC自身が産生した細胞外マトリクスによりMSC/ECM複合体からなる細胞シートが形成され、そして、細胞シートの周囲が24well培養プレートの周壁に接してコンフルエントまで達した後、マイクロピペットの先端を使って、細胞シートの周囲を24well培養プレートから剥がした。これにより、細胞シートは浮遊し、自らくるまっていった。
【0042】
そして、1日培養した後、直径0.9~1.2mmの粒状の細胞集塊であるMSC移植体(以下、C-MSCsと記す)を得た。
【0043】
C-MSCsを1塊(2×105cells)、凍結保存液500μLに浸漬し、1.5mL凍結バイアルを用いて、予備凍結を行わずに、-80℃のdeep freezer内に置いて凍結した。
【0044】
凍結保存液として、10%DMSO、20%FBS、70%DMEMを混合した凍結保存液(以下、DMSO凍結保存液)、Cell banker(商品名:タカラバイオ株式会社)、及び、Bambanker(商品名:和光純薬工業株式会社)の3種を用い、それぞれについて行った。
【0045】
48時間凍結後、37℃に設定した恒温水槽で急速解凍して融解し、C-MSCsを取り出した。そして、500μL通常培地(DMEM+10%FBS)を入れた24well培養プレートにC-MSCsを浸漬し、再度培養した。
【0046】
(細胞生存活性の検証)
それぞれのC-MSCsを融解した後、Cell viability kitを用い、細胞生存活性を測定した。
図1に、その結果を示す。なお、凍結しなかったC-MSCs(コントロール)についても行い、
図1のCell viabilityはコントロールに対する相対値として示している。
【0047】
図1を見ると、いずれの凍結保存液で凍結させたC-MSCsについても、コントロールに対して有意差はなく、凍結させたC-MSCsの細胞生存活性は、凍結を行わなかった場合に比べて劣ることはなかった。
【0048】
また、それぞれについて、位相差顕微鏡像を撮影した。その結果を
図2に示す。
図2を見ると、全てのC-MSCsから細胞が遊出してくることが確認された。これにより、移植体としての正常な機能を発揮し得ることを確認した。
【0049】
(HE染色による検証)
C-MSCsの凍結保存前、凍結保存して融解1日後、融解5日後について、HE(Hematoxylin-Eosin)染色を行って、HE染色像を撮影し、組織形態を観察した。HE染色像を
図3に示す。
【0050】
図3を見ると、凍結保存前、融解1日後、融解5日後にかけて、C-MSCsの形態はほぼ崩れておらず、C-MSCsを凍結保存しても細胞及び基質が残存していることがわかる。
【0051】
また、C-MSCsに代えて、細胞シート(2×10
5cells)、細胞スフェロイド(2×10
5cells)を用い、上記と同様にDMSO凍結保存液を使用して凍結、融解を行った。そして、これらを上記と同様に、HE染色像を撮影した。
図4に細胞シートのHE染色像を、
図5に細胞スフェロイドのHE染色像を示す。なお、細胞シート、細胞スフェロイドは、それぞれ「Akabane M et al., 2008, J Tissue Eng Regen Med」、「Priya R et al., 2012, Cell Tissue Res」を参照して作製して用いた。
【0052】
図4を見ると、細胞シートの形態は時間依存的に崩壊していることがわかる。また、
図5を見ると細胞シートと同様、細胞スフェロイドの形態は時間依存的に崩壊している。
【0053】
このように、細胞シート、細胞スフェロイドについては、凍結保存すると形態が崩壊し、移植体として利用できないことがわかる。C-MSCsと比較して、細胞シートは基質が粗であったこと、細胞スフェロイドは基質(細胞外マトリクス)が少なく細胞間接着によって形成されているものであることから、いずれも凍結保存すると、凍結による氷晶がその形態を損傷したものと考えられる。
【0054】
(TUNEL(TdT-mediated dUTP nick end labeling)法による検証)
また、凍結前のC-MSCs、並びに、凍結して融解した5日後のC-MSCs、細胞シート及び細胞スフェロイドについて、TUNELアッセイを行った。
【0055】
その結果を
図6に示す。凍結前のC-MSCsの細胞死の割合は1.96%であり、凍結、融解後のC-MSCsでは5.41%であった。C-MSCsでは凍結、融解を経ても、さほど細胞死は増えていない。一方、凍結、融解後の細胞シート及び細胞スフェロイドでは、細胞死の割合が65.6%、及び44.8%と非常に高く、C-MSCsに比べて非常に高い割合となっている。
【0056】
このように、C-MSCsでは凍結、融解を経ても、細胞死はさほど生じず、凍結保存が可能であること、一方、細胞シート及び細胞スフェロイドでは凍結させると多くの細胞死が生じ、凍結保存ができないことを確認した。
【0057】
(凍結C-MSCsにおける細胞外マトリクスの役割の検討)
C-MSCsにおいては、細胞シートや細胞スフェロイドと異なり、細胞から細胞外マトリクスが豊富に産生されていることから凍結保存が可能になったと考えられる。これを検証すべく、細胞外マトリクスの主成分であるコラーゲンの分解酵素を用い、以下の検証実験を行った。
【0058】
上記と同様にしてC-MSCsを作製した後、C-MSCsを凍結する直前に3mg/mlのコラーゲン分解酵素(Collagenase(Sigma))を15分間作用させた(collagenase(+)群)。
【0059】
このC-MSCsを一塊ずつDMSO凍結保存液500μlに浸漬し、上記と同様の手法で凍結保存した。48時間後に上記と同様の手法で融解し、GM培地500μlで培養した。C-MSCsを解凍5日後、1%ホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋を行い、連続して5μm、20μmの切片を作製した。5μmの切片をHE染色し、光学顕微鏡で組織学的構造を観察した。20μm切片をDeadEnd Fluorometric terminal deoxynucleotidyl transferase SystemでTUNEL染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて死細胞数を観察した。
【0060】
また、コントロール実験として、コラーゲン分解酵素を作用させないもの(collagenase(-)群)も同様に行った。
【0061】
図7(A)~(D)、及び、
図8(A)~(C)にcollagenase(-)群の凍結保存前、及び、融解5日後の状態を、また、
図7(E)~(H)、及び、
図8(D)~(F)にcollagenase(+)群の凍結保存前、及び、融解5日後の状態を示す。なお、
図7(B)、(C)、(F)、(G)、
図8(B)、(C)、(E)、(F)において、輝度が高い部位(一例として、破線で囲っている部位)が死細胞の細胞核を表している。
【0062】
図7(D)を見ると、C-MSCsをcollagenase処理することで、凍結保存前にTypeI collagenの発現レベルが低下したことがわかる。そして、
図8(D)~(F)を見ると、このcollagenase(+)群は、凍結融解後に形態が崩れ、死細胞が増加することが観察された。
【0063】
一方、通常のC-MSCsであるcollagenase(-)群は、
図8(A)~(C)を見ると、凍結融解後もその形態を保持しており、死細胞の数も僅かであった。
【0064】
また、
図9にcollagenase(-)群、及び、collagenase(+)群における細胞死の割合を示す。
図9から、collagenase(-)群とcollagenase(+)とでは、細胞死の割合において、有意差が現れている。以上のことから、C-MSCsでは、コラーゲンを主成分とするECMが凍結に対する保護効果を発揮していることが示唆された。
【0065】
(コラーゲンを産生させて作製した細胞スフェロイド形態のMSCの凍結保存の検証)
C-MSCsではECMの保護効果により、凍結保存が可能であることから、細胞スフェロイドの形態においても、細胞からコラーゲンが産生されていれば、凍結保存が可能であると考え、スフェロイドの形態でも凍結保存が可能か否か検証を行った。
【0066】
MSCをultra low binding 24wellプレートに2×105cells/wellの細胞密度で播種し、GM培地で4日間培養することで、MSCから構成される細胞スフェロイド(VC(-)群)を得た。
【0067】
また、培養中、MSCが凝集した後に、50μg/mlアスコルビン酸(Sigma)をGM培地に添加して培養した細胞スフェロイドも作成した(VC(+)群)。
【0068】
凍結保存前の細胞スフェロイドの生存性およびECMとしてのTypeI Collagenの発現をHE染色、TUNEL染色、および免疫染色にて観察した。
【0069】
更に、細胞スフェロイドを一塊ずつDMSO凍結保存液500μlに浸漬し、1.5ml凍結バイアル(True line)を用いて-80℃で凍結した。48時間後、37℃に設定した恒温水槽で急速解凍後、24well培養プレートに再播種し、500μlGM培地で培養した。
【0070】
細胞スフェロイドを解凍して5日後に1%ホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋を行い、連続して5μm、20μmの切片を作製した。5μmの切片をヘマトキシリン-エオジン染色(HE染色)し、光学顕微鏡で組織学的構造を観察した。20μm切片をDeadEnd Fluorometric terminal deoxynucleotidyl transferase System (Promega)でTUNEL染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて死細胞数を観察した。
【0071】
図10(A)~(D)及び
図11(A)~(C)に、VC(-)群の凍結保存前、及び、融解5日後の状態を、また、10(E)~(H)及び
図11(D)~(F)に、VC(+)群の凍結保存前、及び、融解5日後の状態をそれぞれ示す。なお、
図10(B)、(F)、(G)、
図11(B)、(C)、(E)、(F)において、輝度が高い部位(一例として、破線で囲っている部位)が死細胞の細胞核を表している。
【0072】
図10(D)を見ると、アスコルビン酸無添加のVC(-)群のスフェロイドでは、TypeI collagenの発現レベルは低い。そして、
図11(A)~(C)を見ると、凍結融解後、その形態は崩れ、死細胞の増加が観察された。
【0073】
一方、
図10(H)を見ると、アスコルビン酸添加のVC(+)群のスフェロイドでは高いTypeI collagenの発現が観察された。そして、
図11(D)~(F)を見ると、凍結融解後もその形態が保持され、死細胞の数も僅かであった。
【0074】
また、
図12に、VC(+)群及びVC(-)群の融解5日後の死細胞の割合を示す。
図12から、VC(+)群とVC(-)群とでは、細胞死の割合において、有意な差が現れている。以上のことから、細胞スフェロイドにおいても、ECMを豊富に産生させておくことで、凍結保存可能であることがわかった。
【0075】
(石灰分化能の検証)
続いて、C-MSCsの石灰化分化能について検証した。低接着培養皿を用い、通常培地(GM)及び石灰化誘導培地(OIM)にて、それぞれC-MSCsを培養した。そして、培養5日後、及び、10日後に、C-MSCs内のカルシウム沈着量を定量した。
【0076】
その結果を
図13に示す。
図13を見ると、凍結、融解しなかったC-MSCsと同様、凍結、融解したC-MSCsは、石灰化誘導培地での培養によってカルシウム沈着量が上昇しており、石灰化分化能が失われていないことを確認した。
【0077】
(骨再生の検証)
続いて、C-MSCsの移植による骨再生の検証を行った。ラットの頭蓋冠1.6mm径骨欠損モデルに対し、凍結保存、融解したC-MSCsを移植した。
【0078】
そして、移植して4週間後にCT(Computed Tomography)撮影を行い、骨再生の有無について検証した。
【0079】
図14にCT写真を示す。いずれの凍結剤で凍結保存させたC-MSCsについても、移植を行わなかったものと比較して、骨再生が誘導されている。
【0080】
(C-MSCsの長期凍結保存による影響の検証)
上記と同様の手法にて、DMSO凍結保存液を用い、C-MSCsを6ヶ月間凍結保存した。そして、上記と同様の手法にて、C-MSCsを融解した。このC-MSCsのHE染色、TUNEL染色、DIPI染色を行った。その結果を
図15に示す。
【0081】
図15から、6ヶ月凍結保存されたC-MSCsにおいてもその形態は保持されており、顕著な死細胞の増加は観察されなかった。
【0082】
更に、この6ヶ月凍結保存の後に融解したC-MSCsを、上記と同様の手法にて、ラット頭蓋冠欠損モデルに移植し、骨再生の有無について検証した。
図16にCT写真を示す。また、
図17にHE染色した断面写真を示す。
図16(A)、
図17(A)のコントロールに対して、
図16(B)、
図17(B)のC-MSCsを移植した頭蓋冠では、骨再生が促進されていることがわかる。したがって、C-MSCsを6ヶ月間もの長期凍結保存をしても、これを融解し、移植することで骨再生を促進させ得ることを確認した。
【0083】
以上の検証から、凍結保存されたC-MSCsは、融解しても移植体としての機能を損なわず、移植手術による再生医療に利用できることを立証した。
【0084】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0085】
本出願は、2016年4月27日に出願された、日本国特許出願特願2016-89188号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2016-89188号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明に係る凍結細胞集塊は、移植再生医療等にて利用可能である。