(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】架橋性を高めた星型ポリマーおよびトリブロックポリマー
(51)【国際特許分類】
C08L 53/02 20060101AFI20220715BHJP
C08K 5/28 20060101ALI20220715BHJP
C08F 297/04 20060101ALI20220715BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20220715BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20220715BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
C08L53/02
C08K5/28
C08F297/04
H01L29/28 250H
H01L29/28 100A
H01L29/28 250G
H01L29/78 617T
H01L29/78 618B
(21)【出願番号】P 2019516528
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2017073689
(87)【国際公開番号】W WO2018060016
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-18
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル マルタン
(72)【発明者】
【氏名】フルヴィオ ジャコモ ブルネッティ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ケルブライン
(72)【発明者】
【氏名】コンラート クノル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン トマス コッピング
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04910261(US,A)
【文献】特開2015-083674(JP,A)
【文献】特表2005-509690(JP,A)
【文献】特表2010-511749(JP,A)
【文献】特開2015-087611(JP,A)
【文献】特表2016-525511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/14
C08F 251/00 - 297/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つのポリマーブロックAおよび少なくとも2つのポリマーブロックBからなる少なくとも1種のポリマー、ここで、前記ポリマーブロックBは、それぞれ、前記ポリマーブロックAに結合しており、前記ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化1】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであ
り、
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化2】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20
、およびR
21
は、独立して、それぞれ、H、C
6~14
-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30
-アルキルからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14
-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、C
1~10
-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1~10
-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10
-アルキル)
2
、C(O)N(フェニル)
2
、C(O)N(C
1~10
-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10
-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1~10
-アルキル、OC(O)C
1~10
-アルキル、OC(O)-フェニルおよびCNおよびNO
2
からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、かつ
C
1~30
-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1~10
-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10
-アルキル)
2
、C(O)N(フェニル)
2
、C(O)N(C
1~10
-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10
-アルキル、O-フェニル、O-C
1~10
-アルキル、OC(O)C
1~10
-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1~10
-アルキル)
3
、Si(フェニル)
3
およびCNおよびNO
2
からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
L
20
は、C
6~14
-アリーレンである、および
b)少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤
を含む、組成物。
【請求項2】
前記ポリマーブロックBのモノマー単位として、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比が、少なくとも30%であり、
前記ポリマーは、両方ともゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、少なくとも60000g/モルの数平均分子量Mnおよび少なくとも70000g/モルの重量平均分子量Mwを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化3】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、Hである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化4】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20、およびR
21は、独立して、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができ、かつ
C
1~30-アルキルは、Si(C
1~10-アルキル)
3およびSi(フェニル)
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
L
20は、C
6~14-アリーレンである、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも90モル%は、
【化5】
からなる群から選択されるモノマー単位であり、
ここで、
R
20およびR
21は、独立して、HおよびC
6~14-アリールからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができ、かつ
L
20は、C
6~14-アリーレンである、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーブロックA/全ての前記ポリマーブロックBの重量比は、60/40~96/4である、請求項1から
5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤は、式
【化6】
のものであり、
ここで、
aは、0または1であり、
R
50は、それぞれ、H、ハロゲン、SO
3MおよびC
1~20-アルキルからなる群から選択され、該C
1~20-アルキルは、1つ以上のハロゲンで置換することができ、
ここで、Mは、H、Na、KまたはLiであり、かつ
L
50は、連結基である、請求項1から
6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
L
50は、式
【化7】
の連結基であり、
ここで、
b、c、d、e、f、gおよびhは、互いに独立して、0または1であるが、ただし、b、c、d、e、f、gおよびhは、すべて同時に0ではなく、
W
1、W
2、W
3およびW
4は、独立して、C(O)、C(O)O、C(O)-NR
51、SO
2-NR
51、NR
51、N
+R
51R
51、CR
51=CR
51およびエチニレンからなる群から選択され、
ここで、
R
51は、それぞれ、HまたはC
1~10アルキルであるか、または異なるW
1、W
2、W
3およびW
4基に由来し得る2つのR
51基は、連結原子と一緒に5員環、6員環または7員環を形成し、該環は、1~3個のC
1~6アルキルで置換されていてよく、
Z
1、Z
2およびZ
3は、独立して、C
1~10-アルキレン、C
5~8-シクロアルキレン、C
6~14-アリーレン、5~14員ヘテロアリーレン、ならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系からなる群から選択され、
ここで、
C
1~10-アルキレン、C
5~8-シクロアルキレン、C
6~14員アリーレン、5~14員ヘテロアリーレンならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系は、1~5個のC
1~20-アルキルまたはフェニルで置換することができる、請求項
7記載の組成物。
【請求項9】
溶媒を含む、請求項1から
8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
溶液であり、かつ
i)1000mgの前記組成物を基準として0.1~500mgの前記少なくとも1種のポリマー、
ii)前記1種以上のポリマーの重量を基準として、0.1~20重量%の、前記少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、および
iii)溶媒
を含む、請求項
8記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から
10までのいずれか1項記載の組成物から形成された硬化層。
【請求項12】
請求項
11記載の硬化層を含む電子デバイス。
【請求項13】
前記電子デバイスは、有機電界効果トランジスタであり、かつ前記層は、誘電体層である、請求項
12記載の電子デバイス。
【請求項14】
1つのポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなるポリマーであって、前記ポリマーブロックBは、それぞれ、前記ポリマーブロックAに結合しており、前記ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化8】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比が、少なくとも30%であり、
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化9】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20
、およびR
21
は、独立して、それぞれ、H、C
6~14
-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30
-アルキルからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14
-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、C
1~10
-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1~10
-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10
-アルキル)
2
、C(O)N(フェニル)
2
、C(O)N(C
1~10
-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10
-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1~10
-アルキル、OC(O)C
1~10
-アルキル、OC(O)-フェニルおよびCNおよびNO
2
からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、かつ
C
1~30
-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1~10
-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10
-アルキル)
2
、C(O)N(フェニル)
2
、C(O)N(C
1~10
-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10
-アルキル、O-フェニル、O-C
1~10
-アルキル、OC(O)C
1~10
-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1~10
-アルキル)
3
、Si(フェニル)
3
およびCNおよびNO
2
からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
L
20
は、C
6~14
-アリーレンであり、
前記ポリマーは、両方ともゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、少なくとも100000g/モルの数平均分子量Mnおよび少なくとも120000g/モルの重量平均分子量Mwを有し、
前記ポリマーブロックA/全ての前記ポリマーブロックBの重量比は、70/30~
90/
10である、ポリマー。
【請求項15】
前記ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化10】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比が、少なくとも50%である、請求項
14記載のポリマー。
【請求項16】
前記ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化11】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、Hであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比が、少なくとも70%である、請求項
14記載のポリマー。
【請求項17】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化12】
であり、
ここで、
R
20、およびR
21は、独立して、それぞれ、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、C
1~10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1~10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1~10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1~10-アルキル、OC(O)C
1~10-アルキル、OC(O)-フェニルおよびCNおよびNO
2からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、かつ
C
1~30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1~10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1~10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10-アルキル、O-フェニル、O-C
1~10-アルキル、OC(O)C
1~10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1~10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3およびCNおよびNO
2からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができる、請求項
14から
16までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項18】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化13】
であり、
ここで、
R
20、およびR
21は、独立して、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができ、
C
1~30-アルキルは、Si(C
1~10-アルキル)
3およびSi(フェニル)
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができる、請求項
14から
16までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項19】
前記ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化14】
からなる群から選択されるモノマー単位であり、
ここで、
R
20およびR
21は、独立して、HおよびC
6~14-アリールからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができる、請求項
14から
16までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項20】
前記少なくとも1種のポリマーは、請求項
14から
19までのいずれか1項記載のポリマーである、請求項1記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、誘電材料としての使用に適した少なくとも1種のポリマーを含む組成物、これらの組成物から形成された層、この層を含む電子デバイス、および本発明の組成物において誘電材料としての使用に適した特定のポリマーに関する。
【0002】
電界効果トランジスタ(FET)は、ディスプレイ、大面積センサー、および無線自動識別(RFID)タグなどの電子機能を必要とする多くのデバイスにおいて使用され得る。
【0003】
電界効果トランジスタ(FET)の製造は、通常、様々な層の適用および構造化(パターニングとも呼ばれる)、例えば、電極の適用および構造化を含み、さらには半導体層、誘電体層および他の層、例えば、レベリング層、パッシベーション層およびバリア層の適用および構造化を含む。
【0004】
電極材料は、通常、蒸着し、続いてフォトリソグラフィーを用いて電極材料層を構造化することによって適用され、これは、フォトレジスト層を適用し、フォトレジスト層を、マスクを使用して照射に露光し、照射に露光されていないフォトレジストを除去し、露光した電極材料をエッチングし、そして残っているフォトレジストを除去することを含む。
【0005】
半導体層、誘電体層および他の層、例えばバリア層を適用するための最も便利な方法は、スピンコーティングまたは印刷などの溶液処理技術によるものであるが、これは、液体処理技術が低コストの電界効果トランジスタの製造を可能にするからである。また、液体処理技術は、プラスチック基材にも適合性があり、したがって軽量でかつ機械的に柔軟なデバイスの製造を可能にする。
【0006】
液体処理技術を使用する場合、適用されるべき層の溶液が、デバイスにすでに存在する層を溶解しないことが重要である。したがって、すでに存在する層を溶解しない溶媒、いわゆる直交溶媒を使用するか、またはデバイスにすでに存在する層を、適用されるべき次の層の溶媒に対して不溶性にするかまたは溶解性を低くするかのいずれかが必要である。ポリマー層を、適用されるべき次の層の溶媒に対して不溶性にするかまたは溶解性を低くするための方法の1つは、このポリマー層を架橋することによるものである。使用される架橋剤に応じて、架橋は、熱処理または照射処理によって開始され得る。照射処理は、マスクを使用してポリマー層の一部のみを架橋する熱処理よりも有利であり、架橋工程および構造化工程を一工程で一緒にすることができる。架橋されていないポリマーは、適切な溶媒で洗浄することによって容易に除去することができるが、熱処理によって架橋されたポリマー層の構造化は、通常、フォトリソグラフィーを用いて行われ、これは、電極の適用および構造化について上記で概説したような一連の工程を含む。
【0007】
技術的な利便性のために、架橋は、365nmの紫外線照射を使用する照射処理によって開始されることが好ましいが、これは、よく使用されるフォトレジスト層の標準波長であるからである。したがって、フォトデバイスの波長を調整したり、さらにフォトデバイスを、デバイスの製造プロセス中にポリマーを架橋するのに適した照射デバイスに交換したりする必要もない。
【0008】
国際公開第2015/004563号(WO 2015/004563)には、半導体材料、誘電体材料を、それぞれ、365nmの紫外線照射を用いて架橋し、架橋された半導体層、架橋された誘電体層を、それぞれ、電界効果トランジスタに形成するのに適したビスアジド架橋剤が記載されている。国際公開第2015/004563号(WO 2015/004563)においてよく使用される誘電体材料は、ポリスチレンである。しかしながら、誘電体材料としてのポリスチレンには、高いフィルム保持率d2/d1からわかるように、高度に架橋されている、架橋された誘電体層を得るために、ビスアジド架橋剤による架橋反応が、不活性ガス雰囲気下で、例えば、窒素雰囲気下で実施されるかまたは高線量の照射を用いて実施されるという欠点がある。フィルム保持率において、d1は、架橋後でかつ発現前の誘電体層の厚さであり、d2は、架橋後でかつ発現後の誘電体層の厚さである。
【0009】
したがって、a)誘電体材料としての使用に適した材料、およびb)少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含み、かつ該材料が架橋剤に関して低線量の紫外線照射でかつ周囲条件下で改善された架橋性を示す組成物が必要である。
【0010】
星型ポリマーおよびトリブロックポリマーは当該技術分野で知られている。
【0011】
欧州特許出願公開第0346919号明細書(EP0346919A2)には、エラストマー特性および熱可塑性特性の双方を示す、ブロックコポリマーを製造するための重合方法が記載されている。実施例13には、2,6-ビス(4-アジドベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノンの存在下でのポリイソブチレンブロックと部分環化ポリイソプレン外側ブロックとを含むコポリマーの架橋が記載されている。欧州特許出願公開第0346919号明細書(EP0346919A2)は、電子デバイスに関するものではない。
【0012】
Akira Hirao, Akira Matsuo Macromolecules 2003, 36(26), 9742~9751頁には、AB4星型分枝鎖状ポリマーを含む鎖末端官能化ポリ(メチルメタクリレート)コアが記載されており、ここで、Aはポリ(メチルメタクリレート)であり、かつBはポリイソプレンである。
【0013】
Qin, Shuhui; Qui, Kunyuan Gaofenzi Xuebao 2001, 4, 549~552頁には、ポリイソプレン-b-ポリスチレン-b-ポリイソプレントリブロックコポリマーおよびポリイソプレン-b-ポリ(メチルメタクリレート)-b-ポリイソプレントリブロックコポリマーが記載されている。ポリイソプレンの大部分は、1,4-付加によって付加される。
【0014】
米国特許出願公開第2014/0370712号明細書(US2014/0370712)には、パターンを形成する方法が記載されている。この方法は、別の層の上にブロックコポリマー層を形成し、そのブロックコポリマー層の相分離を誘発することを含む。ブロックコポリマーの例は、トリブロックコポリマー、例えば、ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)-ブロック-ポブタジエン、ポリイソプレン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)-ブロック-ポリイソプレンである。
【0015】
Stergios Pispas, Ekaterini Siakali-Lioulafa, Nikos Hadjichristidis, Thomas Mavromoustakos Macromolecular Chemistry and Physics 2002, 203, 1317~1327頁には、ブタジエンおよびポリ(tert-ブチルメタクリレート)ブロックを高度に1,4-付加させたポリブタジエンを含有するジブロックおよびトリブロックコポリマーの製造が記載されている。
【0016】
この課題は、請求項1に記載の組成物、請求項13に記載の層、請求項14に記載の電子デバイス、および請求項16に記載のポリマーによって解決される。
【0017】
本発明の組成物は、
a)1つのポリマーブロックAおよび少なくとも2つのポリマーブロックBからなる少なくとも1種のポリマー、ここで、ポリマーブロックBは、それぞれ、ポリマーブロックAに結合しており、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも60モル%は、
【化1】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~10-アルキルである、および
b)少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤
を含む。
【0018】
ポリマーが1つのポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなるポリマーである場合、ポリマーはいわゆる「トリブロックポリマー」である。
【0019】
ポリマーが1つのポリマーブロックAおよび2つを上回るポリマーブロックBからなるポリマーである場合、ポリマーはいわゆる「星型ポリマー」である。
【0020】
C1~4-アルキル、C1~6-アルキル、C1~10-アルキル、C1~20-アルキルおよびC1~30-アルキルは、分枝鎖状または非分枝鎖状であり得る。C1~4-アルキルの例は、メチル、エチル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルである。C1~6-アルキルの例は、C1~4-アルキル、ペンチル、イソペンチルおよびヘキシルである。C1~10-アルキルの例は、C1~6-アルキル、ヘプチル、オクチル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、ノニルおよびデシルである。C1~20-アルキルおよびC1~30-アルキルの例は、C1~10-アルキル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシルおよびエイコシルである。
【0021】
C6~14-アリールの例は、フェニルおよびナフチルである。
【0022】
5~14員ヘテロアリールの例は、
【化2】
である。
【0023】
C1~10-アルキレンの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレンおよびデシレンである。
【0024】
C2~10-アルキレンの例は、エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレンおよびデセニレンである。
【0025】
C2~10-アルキニレンの例は、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、ヘキシニレン、ヘプチニレン、オクチニレン、ノニニレンおよびデシニレンである。
【0026】
C
6~14-アリーレンの例は、
【化3】
である。
【0027】
C5~8-シクロアルキレンの例は、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレンおよびシクロオクチレンである。
【0028】
5~14員ヘテロアリーレンの例は、
【化4】
である。
【0029】
C
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環からなる群から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系の例は、
【化5】
である。
【0030】
ハロゲンの例は、F、Cl、BrおよびIである。
【0031】
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、独立して、それぞれ、HまたはC1~4-アルキルである。より好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、Hである。
【0032】
好ましくは、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも60モル%は、
【化6】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルである。
【0033】
式1A、1B、1Cおよび1Dのモノマー単位の例は、
【化7】
である。
【0034】
式1Eおよび1Fのモノマー単位の例は、
【化8】
である。
【0035】
より好ましくは、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化9】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルである。
【0036】
より好ましくは、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化10】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6はHである。
【0037】
ポリマーブロックBは、さらなるモノマー単位、例えば、モノマー単位(4A)、(4C)、(4D)、(4E)または(4F)を含み得る。しかしながら、最も好ましくは、ポリマーブロックBは、実質的に、(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)および(1I)からなる群から選択されるモノマー単位からなる。
【0038】
ポリマーブロックAは、任意の適切なモノマー単位からなり得る。
【0039】
好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化11】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25およびR
26は、独立して、それぞれ、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、かつ
R
aは、C(O)OH、C(O)OC
1~30-アルキル、C(O)-H、C(O)C
6~14-アリール、C(O)N(C
1~30-アルキル)
2、C(O)N(C
6~14-アリール)
2、C(O)N(C
1~30-アルキル)(C
6~14-アリール)、C(O)-C
6~14-アリール、C(O)-C
1~30-アルキル、O-C
6~14-アリール、O-C
1~30-アルキル、OC(O)C
1~30-アルキル、OC(O)C
6~14-アリールまたはCNであり、
ここで、C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、C
1~10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1~10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1~10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1~10-アルキル、OC(O)C
1~10-アルキル、OC(O)-フェニル、CNおよびNO
2からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
C
1~30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1~10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1~10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10-アルキル、O-フェニル、O-C
1~10-アルキル、OC(O)C
1~10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1~10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3、CNおよびNO
2からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
nは、1~3の整数であり、かつ
L
20は、C
1~10-アルキレン、C
2~10-アルケニレン、C
2~10-アルキニレン、C
6~14-アリーレンまたはS(O)である。
【0040】
ポリマーブロックAが、モノマー単位4Bを含む場合、ポリマーは、星型ポリマーである。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
より好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化15】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20、R
21およびR
22は、独立して、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、かつ
R
aは、C(O)OC
1~30-アルキルであり、
ここで、
C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができ、
C
1~30-アルキルは、Si(C
1~10-アルキル)
3およびSi(フェニル)
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
nは、1~3の整数であり、かつ
L
20は、C
1~10-アルキレンまたはC
6~14-アリーレンである。
【0045】
さらにより好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも90モル%は、
【化16】
からなる群から選択されるモノマー単位であり、
ここで、
R
20およびR
21は、独立して、HおよびC
6~14-アリールからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールは、1つ以上のC
1~10アルキルで置換することができ、かつ
L
20は、C
6~14-アリーレンである。
【0046】
最も好ましくは、ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも90モル%は、
【化17】
からなる群から選択されるモノマー単位であり、
ここで、
R
20およびR
21は、独立して、Hおよびフェニルからなる群から選択され、かつ
L
20は、フェニレンである。
【0047】
ポリマーブロックAは、さらなるモノマー単位、例えば、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)および(1I)をさらに含み得る。しかしながら、最も好ましくは、ポリマーブロックAは、実質的に、(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)および(4F)からなる群から選択されるモノマー単位からなる。
【0048】
本発明の組成物の一実施形態では、1つのポリマーブロックおよび少なくとも2つのポリマーブロックBからなるポリマーは、ポリマーブロックAおよび2を上回るポリマーブロックBからなるポリマーであり、いわゆる「星型ポリマー」である。
【0049】
本発明の組成物の別の実施形態では、1つのポリマーブロックおよび少なくとも2つのポリマーブロックBからなるポリマーは、ポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなる本発明のポリマーであり、以下に定義されるように、いわゆる「トリブロックポリマー」である。
【0050】
好ましくは、少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤は、2つのアジド基を有する架橋剤である。
【0051】
好ましくは、2つのアジド基を有する架橋剤は、式
【化18】
のものであり、
ここで、
aは、0または1であり、
R
50は、それぞれ、H、ハロゲン、SO
3MおよびC
1~20-アルキルからなる群から選択され、該C
1~20-アルキルは、1つ以上のハロゲンで置換することができ、
ここで、Mは、H、Na、KまたはLiであり、かつ
L
50は、連結基である。
【0052】
好ましくは、aは、0である。
【0053】
好ましくは、R50は、それぞれ、F、SO3MおよびC1~20アルキルからなる群から選択され、該C1~20-アルキルは、1つ以上のFで置換することができ、
ここで、Mは、Na、KまたはLiである。
【0054】
より好ましくは、R50は、それぞれ、Fである。
【0055】
L50は、任意の適切な連結基であり得る。
【0056】
好ましくは、L
50は、式
【化19】
の連結基であり、
ここで、
b、c、d、e、f、gおよびhは、互いに独立して、0または1であるが、ただし、b、c、d、e、f、gおよびhは、すべて同時に0ではなく、
W
1、W
2、W
3およびW
4は、独立して、C(O)、C(O)O、C(O)-NR
51、SO
2-NR
51、NR
51、N
+R
51R
51、CR
51=CR
51およびエチニレンからなる群から選択され、
ここで、
R
51は、それぞれ、HまたはC
1~10アルキルであるか、または異なるW
1、W
2、W
3およびW
4基に由来し得る2つのR
51基は、連結原子と一緒に5員環、6員環または7員環を形成し、該環は、1~3個のC
1~6アルキルで置換されていてよく、
Z
1、Z
2およびZ
3は、独立して、C
1~10-アルキレン、C
5~8-シクロアルキレン、C
6~14-アリーレン、5~14員ヘテロアリーレン、ならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系からなる群から選択され、
ここで、
C
1~10-アルキレン、C
5~8-シクロアルキレン、C
6~14員アリーレン、5~14員ヘテロアリーレンならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系は、1~5個のC
1~20-アルキルまたはフェニルで置換することができる。
【0057】
連結基L
50の例は、
【化20-1】
【化20-2】
である。
【0058】
より好ましくは、L
50は、式
【化21】
の連結基であり、
ここで、
b、c、d、e、f、gおよびhは、互いに独立して、0または1であるが、ただし、c、e、およびgのうち少なくとも1つは、1であり、
W
1、W
2、W
3およびW
4は、互いに独立して、C(O)、C(O)O、C(O)-NR
51、SO
2-NR
51、NR
51、N
+R
51R
51、CR
51=CR
51およびエチニレンからなる群から選択され、
ここで、
R
51は、それぞれ、HまたはC
1~10アルキルであるか、または異なるW
1、W
2、W
3およびW
4基に由来し得る2つのR
51基は、連結原子と一緒に5員環、6員環または7員環を形成し、該環は、1~3個のC
1~6アルキルで置換されていてよく、
Z
1、Z
2およびZ
3は、互いに独立して、C
1~10-アルキレン、C
5~8-シクロアルキレン、C
6~14-アリーレン、5~14員ヘテロアリーレンならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系からなる群から選択され、
ここで、
C
1~10-アルキレン、C
5~8-シクロアルキレン、C
6~14員アリーレン、5~14員ヘテロアリーレンならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系は、1~5個のC
1~20-アルキルまたはフェニルで置換することができるが、
ただし、Z
1、Z
2およびZ
3のうち少なくとも1つは、C
6~14-アリーレン、5~14員ヘテロアリーレン、またはC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系である。
【0059】
最も好ましくは、L
50は、式
【化22】
の連結基であり、
ここで、
b、c、d、e、f、gおよびhは、互いに独立して、0または1であるが、ただし、c、e、およびgのうち少なくとも1つは、1であり、
W
1、W
2、W
3およびW
4は、互いに独立して、C(O)、CR
51=CR
51およびエチニレンからなる群から選択され、
ここで、
R
51は、Hであり、
Z
1、Z
2およびZ
3は、互いに独立して、C
1~10-アルキレン、C
6~14-アリーレン、5~14員ヘテロアリーレン、ならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系からなる群から選択され、
ここで、
C
1~10-アルキレン、C
6~14員アリーレン、5~14員ヘテロアリーレン、ならびにC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系は、1個または2個のC
1~20-アルキルまたはフェニルで置換することができるが、
ただし、Z
1、Z
2およびZ
3のうち少なくとも1つは、C
6~14-アリーレン、5~14員ヘテロアリーレン、またはC
6~14-芳香族環および5~14員ヘテロ芳香族環から選択される少なくとも1つの環を含む多環式系である。
【0060】
特に、L
50は、
【化23】
であり、
ここで、R
12はC
1~20-アルキルである。
【0061】
少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤の製造は、様々な刊行物、例えば、国際公開第2015/004563号(WO 2015/004563)、Cai, S.X.; Glenn, D.J.; Kanskar, M.; Wybourne, M.N.; Keana, J.F.W. Chem. Mater. 1994, 6, 1822~1829頁、Yan, M. ; Cai, S. X. ; Wybourne, M. N. ; Keana, J. F. W. J. Mater. Chem. 1996, 6, 1249~1252頁、Touwslager, F. J. ; Willard, N. P. ; Leeuw, D. M. Applied Physics Letters 2002, 81, 4556頁、国際公開第04/100282号(WO 04/100282)、国際公開第2007/004995号(WO 2007/004995)、国際公開第2009/068884号(WO 2009/068884)、Png, R. -Q. ; Chia, P. -J. ; Tang, J. -C. ; Liu, B. ; Sivaramakrishnan S. ; Zhou, M. ; Khong, S. -H. ; Chan, H. S. O. ; Burroughes, J. H. ; Chua, L. -L. ; Friend, R. H. ; Ho, P. K. H. Nature Materials 2010, 9(2), 152~152頁、および国際公開第2011/068482号(WO 2011/068482)に記載されている。
【0062】
本発明の組成物は、溶媒も含み得る。溶媒は、任意の適切な溶媒または溶媒混合物であり得る。好ましくは、溶媒は、極性非プロトン性溶媒または極性非プロトン性溶媒の混合物である。極性非プロトン性溶媒の例は、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドである。好ましい極性非プロトン性溶媒は、酢酸ブチル、シクロペンタノンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、特にシクロペンタノンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0063】
好ましくは、本発明の組成物は、溶液であり、かつ
i)1000mgの組成物を基準として0.1~500mgの少なくとも1種のポリマー、
ii)1種以上のポリマーの重量を基準として、0.1~20重量%の、少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、および
iii)溶媒
を含む。
【0064】
より好ましくは、本発明の組成物は、溶液であり、かつ
i)1000mgの組成物を基準として0.1~250mgの少なくとも1種のポリマー、
ii)1種以上のポリマーの重量を基準として、0.1~15重量%の、少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、および
iii)溶媒
を含む。
【0065】
最も好ましくは、本発明の組成物は、溶液であり、かつ
i)1000mgの組成物を基準として10~100mgの少なくとも1種のポリマー、
ii)1種以上のポリマーの重量を基準として、1~10重量%の、少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、および
iii)溶媒
を含む。
【0066】
本発明の組成物は、1つのポリマーブロックAおよび少なくとも2つのポリマーブロックBからなる少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤、ならびに任意で溶媒を混合することによって製造され得る。
【0067】
また、本発明の一部は、本発明の組成物から形成された硬化層である。
【0068】
本発明の硬化層は、本発明の組成物を、電子デバイスの前駆体の適切な基材または層に適用し、続いて任意の熱処理を行い、次いで紫外線照射処理を行って該層を硬化することによって形成される。
【0069】
電子デバイスは、電界効果トランジスタ、コンデンサ、発光ダイオード、太陽電池、センシング機器または無線自動識別(RFID)タグであり得る。電子デバイスの前駆体は、基材またはソース/ドレイン電極および半導体層で覆われた基材であり得る。
【0070】
好ましくは、電子デバイスは、電界効果トランジスタ、より好ましくは有機電界効果トランジスタである。有機電界効果トランジスタは、半導体層が有機半導体材料を含む電界効果トランジスタである。
【0071】
組成物は、当該技術分野で知られている技術によって、電子デバイスの前駆体の適切な基材または層に適用され得る。好ましくは、組成物は、スピンコーティング、ブレード塗布、スロットダイコーティング、ドロップキャスティング、スプレーコーティング、インクジェットまたは電子デバイスの基材の組成物への浸漬などの液体処理技術によって適用される。好ましくは、組成物は、スピンコーティングによって適用される。
【0072】
任意の熱処理は、40~120℃、好ましくは70~100℃の温度で実施され得る。
【0073】
紫外線照射処理は、好ましくは、5~300mJ/cm2、より好ましくは50~150mJ/cm2の低線量で実施される。好ましくは、紫外線照射は、周囲条件下で実施される。周囲条件は、通常の空気、湿度、および温度条件を指す。好ましくは、紫外線照射は、365nmで行われる。
【0074】
本発明の層は、誘電体層、レジスト層、絶縁層、パッシベーション層、平坦化層、カプセル化層または被覆層として機能し得る。好ましくは、本発明の組成物から形成される層は、誘電体層である。
【0075】
また、本発明の一部は、本発明の硬化層を含む電子デバイスである。
【0076】
電子デバイスは、電界効果トランジスタ、コンデンサ、発光ダイオード、太陽電池、センシング機器または無線自動識別(RFID)タグであり得る。
【0077】
好ましくは、電子デバイスは、電界効果トランジスタ、より好ましくは有機電界効果トランジスタである。有機電界効果トランジスタは、半導体層が有機半導体材料を含む電界効果トランジスタである。
【0078】
より好ましくは、電子デバイスは、有機電界効果トランジスタであり、本発明の層は、誘電体層である。
【0079】
通常、有機電界効果トランジスタは、誘電体層、半導体層、基材、ゲート電極およびソース/ドレイン電極を含む。
【0080】
誘電体層は、10~2000nm、好ましくは50~1000nm、より好ましくは100~800nmの厚さを有し得る。誘電体層が本発明の組成物から形成される場合、誘電体層は、通常、100~1000nm、好ましくは200~800nm、より好ましくは300~600nmの厚さを有する。
【0081】
半導体層は、有機半導体材料を含む。有機半導体材料の例は、ポリチオフェン、例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリフルオレン、ポリジアセチレン、ポリ(2,5-チエニレンビニレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)およびジケトピロロピロール基を有する繰り返し単位を含むポリマー(DPPポリマー)である。DPPポリマーおよびそれらの合成の例は、例えば、欧州特許第1078970号明細書(EP1078970)、国際公開第2005/049695号(WO 2005/049695)、国際公開第2008/000664号(WO 2008/000664)、国際公開第2010/049321号(WO 2010/049321)、国際公開第2010/049323号(WO 2010/049323)、国際公開第2010/108873号(WO 2010/108873)、国際公開第2010/115767号(WO 2010/115767)、国際公開第2010/136353号(WO 2010/136353)および国際公開第2010/136352号(WO 2010/136352)に記載されている。
【0082】
好ましくは、半導体材料は、ジケトピロロピロール基を有する単位を含むポリマー(DPPポリマー)である。
【0083】
好ましくは、半導体層は、5~500nm、好ましくは10~100nm、より好ましくは20~50nmの厚さを有し得る。
【0084】
ソース/ドレイン電極は、任意の適切な有機または無機のソース/ドレイン材料から作製され得る。無機ソース/ドレイン材料の例は、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)または銅(Cu)、およびこれらの金属のうち少なくとも1種を含む合金である。ソース/ドレイン電極は、1~100nm、好ましくは20~70nmの厚さを有し得る。
【0085】
ゲート電極は、高ドープシリコン、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、インジウムスズ酸化物または金(Au)、あるいはこれらの金属のうち少なくとも1種を含む合金などの任意の適切なゲート材料で作製され得る。ゲート電極は、1~200nm、好ましくは5~100nmの厚さを有し得る。
【0086】
基材は、ガラスなどの任意の適切な基材、またはポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチック基材であり得る。有機電界効果トランジスタの設計に応じて、ゲート電極、例えば高ドープシリコンも基材として機能し得る。
【0087】
有機電界効果トランジスタのチャネル幅(W)は、通常、10~2000μmの範囲であり、有機電界効果トランジスタのチャネル長(L)は、通常、5~100μmの範囲である。
【0088】
電子デバイスの前駆体は、任意の適切な前駆体であり得る。電子デバイスが有機電界効果トランジスタである場合、前駆体は、ゲート付き基材、またはソース/ドレイン電極および半導体層付き基材であり得る。
【0089】
電子デバイスが有機電界効果トランジスタであり、かつ本発明の層が誘電体層である場合、有機電界効果トランジスタは、例えば、以下のように製造され得る:
【0090】
ソース電極およびドレイン電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えば金を、適切な基材、例えばPET上に、リソグラフィでパターニングすることによって形成され得る。次に、ソース/ドレイン電極は、適切な溶媒、例えばトルエン中の半導体材料、例えばDPPポリマーの溶液を、基材上にスピンコーティングすることによって半導体層で被覆され得る。湿った半導体層は、加熱され得る。次いで、半導体層は、本発明の組成物を半導体層上にスピンコーティングし、続いて熱処理および紫外線照射処理を行うことによって誘電体層で被覆され得る。その後、ゲート電極は、適切なソース/ドレイン材料、例えば金の蒸着によって、誘電体層上に堆積され得る。
【0091】
また、本発明の一部は、1つのポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなるポリマーであり、ポリマーブロックBは、それぞれ、ポリマーブロックAに結合しており、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも60モル%は、
【化24】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比は、少なくとも30%である。
【0092】
好ましくは、本発明のポリマーのポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化25】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比は、少なくとも50%である。
【0093】
より好ましくは、本発明のポリマーのポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化26】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、Hであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比は、少なくとも70%である。
【0094】
本発明のポリマーのポリマーブロックBは、モノマー単位(4A)、(4C)、(4D)、(4E)または(4F)などのさらなるモノマー単位を含み得る。しかしながら、最も好ましくは、ポリマーブロックBは、実質的に、(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)および(1I)からなる群から選択されるモノマー単位からなる。
【0095】
好ましくは、本発明のポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化27】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25およびR
26は、独立して、それぞれ、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、かつ
R
aは、C(O)OH、C(O)OC
1~30-アルキル、C(O)-H、C(O)C
6~14-アリール、C(O)N(C
1~30-アルキル)
2、C(O)N(C
6~14-アリール)
2、C(O)N(C
1~30-アルキル)(C
6~14-アリール)、C(O)-C
6~14-アリール、C(O)-C
1~30-アルキル、O-C
6~14-アリール、O-C
1~30-アルキル、OC(O)C
1~30-アルキル、OC(O)C
6~14-アリールまたはCNであり、
ここで、
C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、C
1~10-アルキル、C(O)OH、C(O)OC
1~10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1~10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10-アルキル、OH、O-フェニル、O-C
1~10-アルキル、OC(O)C
1~10-アルキル、OC(O)-フェニルおよびCNおよびNO
2からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、かつ
C
1~30-アルキルは、フェニル、C(O)OH、C(O)OC
1~10-アルキル、C(O)フェニル、C(O)N(C
1~10-アルキル)
2、C(O)N(フェニル)
2、C(O)N(C
1~10-アルキル)(フェニル)、C(O)-フェニル、C(O)-C
1~10-アルキル、O-フェニル、O-C
1~10-アルキル、OC(O)C
1~10-アルキル、OC(O)-フェニル、Si(C
1~10-アルキル)
3、Si(フェニル)
3およびCNおよびNO
2からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
nは、1~3の整数である。
【0096】
より好ましくは、本発明のポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化28】
からなる群から選択され、
ここで、
R
20、R
21およびR
22は、独立して、H、C
6~14-アリール、5~14員ヘテロアリールおよびC
1~30-アルキルからなる群から選択され、かつ
R
aは、C(O)OC
1~30-アルキルであり、
ここで、
C
6~14-アリールおよび5~14員ヘテロアリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができ、かつ
C
1~30-アルキルは、Si(C
1~10-アルキル)
3およびSi(フェニル)
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換することができ、
かつ
nは、1~3の整数である。
【0097】
最も好ましくは、本発明のポリマーのポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化29】
からなる群から選択されるモノマー単位であり、
ここで、
R
20およびR
21は、独立して、HおよびC
6~14-アリールからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができる。
【0098】
本発明のポリマーのポリマーブロックAは、さらなるモノマー単位、例えば、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、(1H)および(1I)をさらに含み得る。しかしながら、最も好ましくは、本発明のポリマーのポリマーブロックAは、実質的に、(4A)、(4C)、(4D)、(4E)および(4F)からなる群から選択されるモノマー単位からなる。
【0099】
好ましくは、本発明のポリマーは、1つのポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなるポリマー、いわゆる「トリブロックポリマー」であり、ここで、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化30】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであるが、
ただし、モノマー単位1Aおよび1Bのうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位1Aおよび1Bのモル]/[モノマー単位1A、1B、1Cおよび1Dのモル]の比は、少なくとも50%であり、
ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、式
【化31】
のモノマー単位であり、
ここで、
R
20は、Hであり、かつ
R
21は、それぞれ、C
6~14-アリールであり、
ここで、
C
6~14-アリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができる。
【0100】
より好ましくは、本発明のポリマーは、1つのポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなるポリマー、いわゆる「トリブロックポリマー」であり、ここで、ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも80モル%は、
【化32】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、Hであるが、
ただし、モノマー単位1Aおよび1Bのうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位1Aおよび1Bのモル]/[モノマー単位1A、1B、1Cおよび1Dのモル]の比は、少なくとも70%であり、かつ
ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも90モル%は、式
【化33】
のモノマー単位であり、
ここで、
R
20は、Hであり、かつR
21は、フェニルである。
【0101】
ポリマーに関する以下の定義および製造方法(ポリマーブロックBおよびポリマーブロックAに関する定義および製造方法を含む)が、本発明のポリマーならびに本発明の組成物のポリマーに適用される。
【0102】
好ましくは、ポリマーブロックA/全てのポリマーブロックBの重量比は、60/40~96/4である。より好ましくは、ポリマーブロックA/全てのポリマーブロックBの重量比は、70/30~96/4である。最も好ましくは、ポリマーブロックA/全てのポリマーブロックBの重量比は、76/24~94/4である。
【0103】
好ましくは、ポリマーは、両方ともゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、少なくとも60000g/モルの数平均分子量Mnおよび少なくとも70000g/モルの重量平均分子量Mwを有する。
【0104】
より好ましくは、ポリマーは、両方ともゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、少なくとも100000g/モルの数平均分子量Mnおよび少なくとも120000g/モルの重量平均分子量Mwを有する。
【0105】
最も好ましくは、ポリマーは、両方ともゲル浸透クロマトグラフィーにより測定して、少なくとも120000g/モルの数平均分子量Mnおよび少なくとも150000g/モルの重量平均分子量Mwを有する。
【0106】
ポリマーブロックBの製造に使用される全モノマーは、ポリマーブロックBに組み込まれていると仮定される。
【0107】
ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル%は、モノマー
【化34】
のモル%に等しく、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)について定義された通りであると仮定される。
【0108】
[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1C)および(1D)のモル]の比は、信号を完全に緩和するのに十分な時間をかけて1H-NMRで得られたシグナルを積分して求めることができる。このデータより、[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比が算出され得る。
【0109】
ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックB中のモノマー単位(1E)および(1F)のモル%は、モノマー
【化35】
のモル%に等しく、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、モノマー単位(1E)および(1F)について定義された通りであると仮定される。
【0110】
ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックB中のモノマー単位(1G)のモル%は、モノマー
【化36】
のモル%に等しいと仮定される。
【0111】
ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックB中のモノマー単位(1H)のモル%は、モノマー
【化37】
のモル%に等しいと仮定される。
【0112】
ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックB中のモノマー単位(1I)のモル%は、モノマー
【化38】
のモル%に等しいと仮定される。
【0113】
ポリマーブロックAの製造に使用されるすべてのモノマーが、ポリマーブロックAに組み込まれていると仮定される。
【0114】
従って、ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックA中のモノマー単位(4A)のモル%は、モノマー
【化39】
のモル%に等しく、
ここで、
R
20およびR
21は、モノマー単位(4A)について定義された通りであると仮定される。
【0115】
ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックA中のモノマー単位(4B)のモル%は、モノマー
【化40】
のモル%に等しく、
ここで、L
20は、モノマー単位(4B)について定義された通りであると仮定される。
【0116】
ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックA中のモノマー単位(4C)のモル%は、モノマー
【化41】
のモル%に等しく、
ここで、
R
22およびR
aは、モノマー単位(4C)について定義された通りであると仮定される。
【0117】
ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックA中のモノマー単位(4D)のモル%は、モノマー
【化42】
のモル%に等しく、
ここで、
nは、モノマー単位(4D)について定義された通りであると仮定される。
【0118】
ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックA中のモノマー単位(4E)のモル%は、モノマー
【化43】
のモル%に等しく、
ここで、
R
23、R
24、R
25およびR
26は、モノマー単位(4E)について定義された通りであると仮定される。
【0119】
ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、ポリマーブロックA中のモノマー単位(4F)のモル%は、モノマー
【化44】
のモル%に等しく、
ここで、
R
23、R
24、R
25およびR
26は、モノマー単位(4F)について定義された通りであると仮定される。
【0120】
1つのポリマーブロックAおよび少なくとも2つのポリマーブロックBからなるポリマーは、当該技術分野で知られている重合方法により製造することができる。
【0121】
例えば、ポリマーブロックAは、ポリマーブロックAの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、少なくとも80モル%の、
【化45】
からなる群から選択されるモノマーを使用するアニオン重合法によって製造することができ、
ここで
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、モノマー単位(4A)、(4B)、(4C)、(4D)、(4E)および(4F)について定義された通りである。
【0122】
例えば、ポリマーブロックBは、ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、少なくとも60モル%の、
【化46】
からなる群から選択されるモノマーを使用するアニオン重合法によって製造することができ、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびR
8は、モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)について定義された通りである。
【0123】
アニオン重合法は、通常、n-BuLiまたはsec-BuLiなどの単官能性開始剤、または1,4-ジリチオ-1,1,4,4-テトラフェニルブタンなどの二官能性開始剤によって開始される。
【0124】
アニオン重合法は、通常、適切な非プロトン性溶媒または非プロトン性溶媒の混合物中で行われる。非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランなどの極性溶媒、またはトルエンもしくはシクロヘキサンなどの非極性溶媒であり得る。
【0125】
全モノマー/溶媒の重量比は、通常、1/100~40/100(重量/重量)の範囲であり、より好ましくは5/10~30/100(重量/重量)の範囲である。
【0126】
アニオン重合は、通常、30~80℃、好ましくは50~80℃の温度で行われる。
【0127】
アニオン重合は、通常、水またはイソプロパノールなどのプロトン性溶媒を添加することで停止される。
【0128】
アニオン重合を実施することの実用的な詳細は、例えば、Maurice Mortonによる“Anionic Polymerization: Principles and Practice”, Academic Press, New York, 1983、およびHenry Hsieh、Roderic P.QuirkによるAnionic Polymerization: Principles and Practical Applications, Marcel Dekker, New York, 1996に記載されている。
【0129】
例えば、ポリマーブロックBは、ポリマーブロックBの製造に使用されるモノマーの全モルを基準として、少なくとも60モル%の、
【化47】
からなる群から選択されるモノマーを用いて開環メタセシス重合(ROMP)によって製造することができる。
【0130】
開環メタセシス重合法は、通常、Schrock触媒またはGrubbs触媒などの適切な触媒の存在下で実施される。開環メタセシス重合法は、アルデヒドの添加によって停止され得る。
【0131】
触媒の適切な選択およびROMPの実施は、Robert H. Grubbsらによる”Handbook of Metathesis, 1~3巻” 2015, Wiley-VCH, Weinheim、およびRobert H. GrubbsによるHandbook of Metathesis (Wiley-VCH, Weinheim, 2003)から得ることができる。
【0132】
ポリマーが、1つのポリマーブロックAおよび2つのポリマーブロックBからなるポリマー、いわゆる「トリブロックポリマー」である場合、以下の製造方法:「モノマーの逐次付加」、「二官能性開始」または「二官能性カップリング」が使用され得る。
【0133】
アニオン重合による「モノマーの逐次付加」は、n-BuLiまたはsec-BuLiなどの単官能性開始剤を供給し、続いて第1のポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、続いてポリマーブロックAのためのモノマーを添加し、続いて第2のポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、続いてプロトン性溶媒で停止することを含み得る。
【0134】
アニオン重合による「二官能性開始」は、1,4-ジリチオ-1,1,4,4-テトラフェニルブタンなどの二官能性開始剤を供給し、続いてポリマーブロックAのためのモノマーを添加し、続いてポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、続いてプロトン性溶媒で停止することを含み得る。最終ポリマーでは、二官能性開始剤は、ポリマーブロックAの一部になる。
【0135】
「二官能性カップリング」は、2つの末端CH=O基を有するポリマーブロックAと、一官能性開始剤を使用するアニオン重合または開環メタセシス重合(ROMP)のいずれかによって製造されたポリマーブロックBとのカップリングを含み得る。
【0136】
「二官能性カップリング」は、二官能性開始剤を用いたアニオン重合によって製造されたポリマーブロックAとCH=O基を有するポリマーブロックBとのカップリングも含み得る。
【0137】
2つの末端CH=O基を有するポリマーブロックAは、二官能性開始剤を使用してアニオン重合し、続いて停止を引き起こす基、さらにアルデヒド基または保護アルデヒド基を含む試薬で停止し、そして、保護アルデヒド基が存在する場合、保護アルデヒド基を脱保護することによって製造され得る。
【0138】
CH=O基を有するポリマーブロックBは、単官能性開始剤を使用してアニオン重合または開環メタセシス重合(ROMP)し、続いて停止を引き起こす基、さらにアルデヒド基または保護アルデヒド基を含む試薬で停止し、そして、保護アルデヒド基が存在する場合、保護アルデヒド基を脱保護することによって製造され得る。
【0139】
停止を引き起こす基、さらにアルデヒド基を含む試薬の例は、O=CH-(CH2)2-Cl、O=CH-フェニレン-CH2ClおよびO=CH-CH2-Si(Me)2Clである。
【0140】
停止を引き起こす基、さらに保護アルデヒド基を含む試薬の例は、O=CH-(CH2)2-C(OCH3)2またはO=CH-フェニレン-C(OCH3)2である。保護アルデヒド基は、酢酸の存在下での加水分解により脱保護され得る。
【0141】
保護された官能化停止剤および開始剤によって末端官能化ポリマーを製造するための包括的な概要は、A. HiraoおよびM. Hayashiによって”Recent advance in syntheses and applications of well-defined endfunctionalized polymers by means of anionic living polymerization”, Acta Polymerica 1999, 第50巻, 219~231頁に示される。
【0142】
ポリマーが、1つのポリマーブロックAおよび2つを上回るポリマーブロックBからなるポリマー、いわゆる「星型ポリマー」である場合、以下の製造方法:「多官能性開始」または「多官能性カップリング」が使用され得る。
【0143】
例えば、アニオン重合による「多官能性開始」は、多官能性開始剤を供給し、続いてポリマーブロックAのモノマーを添加し、続いてポリマーブロックBのモノマーを添加することを含み得る。最終ポリマーでは、多官能性開始剤は、ポリマーブロックAの一部になる。例えば、ポリマーブロックAが主に式(1A)のモノマー単位を含む場合、多官能性開始剤は、単官能性開始剤、通常、n-BuLiまたはsec-BuLiなどのリチウム有機化合物の存在下でのジビニルベンゼン、ジフェニルエチレンおよびスチレンの重合によって得られるオリゴマーであり得る。
【0144】
例えば、アニオン重合による「多官能性カップリング」は、単官能性開始剤、通常、n-BuLiまたはsec-BuLiなどのリチウム有機化合物を供給し、続いてポリマーブロックBのためのモノマーを添加し、続いてポリマーブロックAのモノマーを添加し、続いて1,2-ビス-(トリクロロシリル)エタンなどの多官能性カップリング剤を添加することを含み得る。
【0145】
ポリマーブロックAおよびポリマーブロックBのモノマー単位に応じて、適切な製造方法が選択され得る。
【0146】
本発明の組成物は、a)誘電材料として使用するのに適した少なくとも1種のポリマー、およびb)少なくとも1種の少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤を含む組成物であり、ここで、該ポリマーは、周囲条件下で低線量の紫外線(5~300mJ/m2)で架橋剤に関して改善された架橋性を示すので有利である。周囲条件とは、周囲空気、湿度および温度条件を指す。したがって、本発明の組成物は、周囲条件下で低線量の紫外線で硬化させるために不活性ガス雰囲気を必要としない。
【0147】
高い架橋性は、本発明の組成物から形成された架橋層の高いフィルム保持率d2/d1によって特徴付けられる。フィルム保持率において、d1は、架橋後でかつ発現前に本発明の組成物から形成された層の厚さ、d2は、架橋後でかつ発現後に本発明の組成物から形成された層の厚さである。
【0148】
本発明の組成物から形成された本発明の硬化層は、溶媒溶解に対して非常に安定である。したがって、次の層、例えば、電極材料層またはバリア層は、本発明の硬化層を溶解することなく適用され得る。少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤に関して高いポリマーの架橋性によって、フォトマスクを使用する本発明の層の構造化(パターニング)も可能になる。
【0149】
少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤に応じて、365nmの紫外線が使用され得る。
【0150】
本発明のポリマーは、本発明の組成物のポリマーに包含され、少なくとも2つのアジド基を有する架橋剤に関して高いポリマーの架橋性を示す。ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される、少なくとも120000g/モルの数平均分子量Mnおよび少なくとも150000g/モルの重量平均分子量Mwを有する本発明のポリマーは、特に高い架橋性を示す。
【0151】
本発明のポリマーであって、
i)ポリマーブロックBのモノマー単位の少なくとも70モル%は、
【化48】
からなる群から選択され、
ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、独立して、それぞれ、HまたはC
1~4-アルキルであるが、
ただし、モノマー単位(1A)および(1B)のうち少なくとも1つが存在し、かつ[モノマー単位(1A)および(1B)のモル]/[モノマー単位(1A)、(1B)、(1C)および(1D)のモル]の比が、少なくとも50%であり、かつ
ii)ポリマーブロックAのモノマー単位の少なくとも80モル%は、式
【化49】
のモノマー単位であり、
ここで、
R
20およびR
21は、独立して、HおよびC
6~14-アリールからなる群から選択され、
ここで、
C
6~14-アリールは、1つ以上のC
1~10-アルキルで置換することができる、本発明のポリマーには、該ポリマーを、技術的に非常に便利な「モノマーの逐次付加」重合によって製造することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【
図1】
図1は、ポリマーPaから形成された誘電体層を含むトップゲート型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)をそれぞれ示す。
【
図2】
図2は、ポリマーPbから形成された誘電体層を含むトップゲート型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)をそれぞれ示す。
【
図3】
図3は、ポリマーPcから形成された誘電体層を含むトップゲート型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)をそれぞれ示す。
【
図4】
図4は、ポリマーPdから形成された誘電体層を含むトップゲート型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)をそれぞれ示す。
【0153】
実施例
実施例1
スチレンベースの内側ブロックとブタジエンベースの外側ブロックとを有する星型ポリマーPaの製造
【0154】
第1の工程:多官能性開始剤オリゴマーの製造
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、2244mLのシクロヘキサンおよび223.1g(1239ミリモル)の1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、60℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまでs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、13.4ml(18.76ミリモル)のs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を、反応混合物に加え、反応混合物を、30分間撹拌した。次いで、2.94mL(18.62ミリモル)のジビニルベンゼン(80%、Aldrich technical grade)を、反応混合物に加え、反応混合物を、10分間撹拌した。その後、10mL(87ミリモル)のスチレンを加え、反応混合物をさらに10分間撹拌した。
【0155】
第2工程:多官能性開始剤オリゴマーからの星型ポリマーの製造
310.8g(2988ミリモル)のスチレンを、第1工程の反応混合物に加え、反応混合物を30分間撹拌した。次に、103.6g(996ミリモル)のスチレンを加え、反応混合物をさらに30分間撹拌した。172mL(112.5g、2009ミリモル)のブタジエンを、反応混合物に加え、反応混合物を、70℃で30分間撹拌した。反応混合物を1.5mLのイソプロパノールでクエンチし、1.5mLの酢酸で酸性化した。無色の反応混合物に、1500mLのトルエンを加え、次いでシクロヘキサンをロータリーエバポレーターで除去した。残った反応混合物をいくつかのゲル粒子からデカントし、G4フリットで濾過し、次いでUltraturraxで撹拌しながらイソプロパノール中に沈殿させた。白い沈殿物を濾別し、それぞれ300mLのイソプロパノールで10回洗浄した。その後、ポリマーを500mLの乾燥トルエンに再溶解し、15cmの乾燥シリカゲルおよび5cmの珪藻土の層を充填した29mmのカラムで濾過し、続いて洗浄液からポリマーがなくなるまでトルエンでカラムを洗浄した。合わせた溶液を、ロータリーエバポレーターで600mLに濃縮し、Ultraturraxで撹拌しながら6000mLのイソプロパノール中に沈殿させ、白色沈殿物を濾過し、それぞれ300mLのイソプロパノールで10回洗浄し、最後に真空下にて90℃で乾燥させた。ポリマーPaが白色粉末として得られた。Mn=76000g/モル。Mw=152000g/モル(ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)。PDI2.0。Tg=-102℃および125℃。ポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として、ポリブタジエンブロック中のブタジエンの1,2-付加量=9%、およびポリブタジエンブロック中のブタジエンの1,4-付加量=91%(1H-NMRにより測定)。
【0156】
実施例2
スチレン:ブタジエンの質量比が90:10であり、かつブタジエンの1,2-付加量がポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として73%である、スチレンベースの内側ブロックとブタジエンベースの外側ブロックとを含むトリブロックポリマーPbの製造
【0157】
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、4872mL(3800g)のシクロヘキサン、256mL(200g)のTHFおよび1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、30℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまで(約1.8ml)、s-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を、反応混合物に加え、直ちに76mL(50g)のブタジエンを、撹拌しながら加えた。温度を、反応器のジャケットの温度により制御して60℃に保ち、20分後、990mL(900g)のスチレンをゆっくりと加えて、温度をジャケットの逆冷却により50℃に保った。25分後、さらに76mL(50g)のブタジエンを加えた。20分後、1.15mLのイソプロパノールを加えて、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を、2つの5Lのキャニスターに移し、酸性化の目的でそれぞれ25mLの水および50gのドライアイスと一緒に振盪した。
【0158】
ワークアップ
酸性化した混合物(固形分20%)を、エタノール(0.1%のKerobit TBKを含有し、ポリマーに対して10倍の容量)中に沈殿させ、Buechi製の漏斗上で5Lのエタノールで3回、1Lの蒸留水で3回洗浄した。最後に、白色の粉末を、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最後に50℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末、トリブロックポリマーPcは、以下の特性を有していた:Mn=220000g/モル。Mw=330000g/モル(ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)。PDI1.5。ポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として、ポリブタジエンブロック中のブタジエンの1,2-付加量=73%(1H-NMRにより測定)。
【0159】
実施例3
スチレン:ブタジエンの質量比が85:15であり、かつブタジエンブロック中のブタジエンの1,2-付加量がポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として73%である、スチレンベースの内側ブロックとブタジエンベースの外側ブロックとを含むトリブロックポリマーPcの製造
【0160】
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、4872mL(3800g)のシクロヘキサン、256mL(200g)のTHFおよび1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、30℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまで(約1.8ml)、s-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を、反応混合物に加え、直ちに115mL(75g)のブタジエンを、撹拌しながら加えた。温度を、反応器のジャケットの温度により制御して60℃に保ち、20分後、935mL(850g)のスチレンをゆっくりと加えて、温度をジャケットの逆冷却により50℃に保った。25分後、さらに115mL(75g)のブタジエンを加えた。20分後、1.15mLのイソプロパノールを加えて、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を、2つの5Lのキャニスターに移し、酸性化の目的でそれぞれ25mLの水および50gのドライアイスと一緒に振盪した。
【0161】
ワークアップ
酸性化した混合物(固形分20%)を、エタノール(0.1%のKerobit TBKを含有し、ポリマーに対して10倍の容量)中に沈殿させ、Buechi製の漏斗上で5Lのエタノールで3回、1Lの蒸留水で3回洗浄した。最後に、白色の粉末を、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最後に50℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末、トリブロックポリマーPcは、以下の特性を有していた:Mn=140000g/モル。Mw=170000g/モル。PDI1.2。ポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として、ポリブタジエンブロック中のブタジエンの1,2-付加量=73%(1H-NMRにより測定)。
【0162】
実施例4
スチレン:ブタジエンの質量比が80:20であり、かつブタジエンブロック中のブタジエンの1,2-付加量がポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として73%である、スチレンベースの内側ブロックとブタジエンベースの外側ブロックとを含むトリブロックポリマーPdの製造
【0163】
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、4872mL(3800g)のシクロヘキサン、256mL(200g)のTHFおよび1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、30℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまで(約1.8ml)、s-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を、反応混合物に加え、直ちに153mL(100g)のブタジエンを、撹拌しながら加えた。温度を、反応器のジャケットの温度により制御して60℃に保ち、20分後、880mL(800g)のスチレンをゆっくりと加えて、温度をジャケットの逆冷却により50℃に保った。25分後、さらに153mL(100g)のブタジエンを加えた。20分後、1.15mLのイソプロパノールを加えて、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を、2つの5Lのキャニスターに移し、酸性化の目的でそれぞれ25mLの水および50gのドライアイスと一緒に振盪した。
【0164】
ワークアップ
酸性化した混合物(固形分20%)を、エタノール(0.1%のKerobit TBKを含有し、ポリマーに対して10倍の容量)中に沈殿させ、Buechi製の漏斗上で5Lのエタノールで3回、1Lの蒸留水で3回洗浄した。最後に、白色の粉末を、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最後に50℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末、トリブロックポリマーPdは、以下の特性を有していた:Mn=68000g/モル。Mw=78000g/モル。PDI1.15。ポリブタジエンブロック中のブタジエンの全量を基準として、ポリブタジエンブロック中のブタジエンの1,2-付加量=73%(1H-NMRにより測定)。
【0165】
実施例5
架橋剤の存在下で、実施例1のポリマーPa、実施例2のポリマーPb、実施例3のポリマーPc、実施例4のポリマーPdからそれぞれ形成された誘電体層を含むトップゲート型電界効果トランジスタの製造
【0166】
金をPET基材上にスパッタリングして、厚さ約40nmの金のソース/ドレイン電極を形成した。国際公開第2013/083506号(WO 2013/083506)の実施例1のジケトピロロピロール半導体ポリマーのトルエン溶液0.75%(重量/重量)を、0.45マイクロメートルのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターを通して濾過し、次いでスピンコーティング(1,000rpm、30秒間)により適用した。湿った有機半導体層を、ホットプレート上で90℃で60秒間乾燥させた。ポリマーPaの重量を基準として架橋剤として4重量%の2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ-フェニル)エチニル]-9,9-ジヘキシル-フルオレンを含有する、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロペンタノン(CP)との混合物(70/30)中の、実施例1に記載したように製造した80mg/mlのポリマーPaの溶液を、1マイクロメートルのフィルターを通して濾過した。溶液を半導体層の上にスピンコート(1800rpm、30秒)した。湿った誘電体層を、90℃で2分間プリベークした後、周囲条件下にて約100mJ/cm2の線量を用いて365nmで照射することによってUV硬化した。その後、デバイスをPGMEA/CP(70/30)の溶液で1分間濡らして誘電体を発現させ、(2000rpm、1分)でスピンコート乾燥し、続いてホットプレート上で90℃で15分間ポストベークした。金のゲート電極(厚さ約80nm)を、誘電体層上でシャドーマスクを通して蒸着した。
【0167】
ポリマーPbを誘電体として使用するトップゲート型電界効果トランジスタを製造する際に、ポリマーPaについて記載したのと同じ手順を使用したが、ポリマーPbの重量を基準として、3重量%の2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ-フェニル)エチニル]-9,9-ジヘキシル-フルオレンを、4重量%のものの代わりに架橋剤として使用した。
【0168】
ポリマーPcを誘電体として使用するトップゲート型電界効果トランジスタを製造する際に、ポリマーPaについて記載したのと同じ手順を使用した。
【0169】
ポリマーPdを誘電体として使用するトップゲート型電界効果トランジスタを製造する際に、ポリマーPaについて記載したのと同じ手順を使用したが、ポリマーPdの重量を基準として、6重量%の2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ-フェニル)エチニル]-9,9-ジヘキシル-フルオレンを、4重量%のものの代わりに架橋剤として使用した。
【0170】
トップゲート型電界効果トランジスタを、Keithley 4200-SCS半導体特性評価システムを使用して測定した。
【0171】
ポリマーPaから形成された誘電体層を含むトップゲート・ボトムコンタクト型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)を、それぞれ、
図1に示す。
【0172】
ポリマーPbから形成された誘電体層を含むトップゲート・ボトムコンタクト型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)を、それぞれ、
図2に示す。
【0173】
ポリマーPcから形成された誘電体層を含むトップゲート・ボトムコンタクト型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)を、それぞれ、
図3に示す。
【0174】
ポリマーPdから形成された誘電体層を含むトップゲート・ボトムコンタクト型電界効果トランジスタについて、-5Vのソース電圧V
ds(三角形)、-30Vのソース電圧V
ds(正方形)でのトップゲート型電界効果トランジスタのゲート電圧V
gsに対するドレイン電流I
ds(伝達曲線)を、それぞれ、
図4に示す。
【0175】
電荷キャリア移動度を、飽和領域におけるゲート-ソース間電圧Vgsに対する平方根ドレイン電流Ids
1/2の傾きから導き出した。しきい値電圧Vonは、次式を用いて得られた:μ=2Ids/{(W/L)Ci(Vgs-Von)2}(式中、Ciは、誘電体層の単位当たりの静電容量であり、W/Lは、トランジスタの幅と長さとの間の比(W/L=25)である)。誘電体の厚さを、表面粗さ計で測定すると、PaおよびPbについて360nm、ポリマーPcについて565nm、ポリマーPdについて365nmであった。
【0176】
有機電界効果トランジスタの電荷キャリア移動度μ、I
on/I
off比、および開始電圧V
onの平均値を、第1表に示す。
【表1】
【0177】
実施例6(比較例)
スチレン:ブタジエンの質量比が90:10であり、かつブタジエンの1,2-付加量がブタジエン単位の全量を基準として15%である、スチレンおよびブタジエン単位を含むランダムポリマーCP1の製造
【0178】
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、5128mL(4000g)のシクロヘキサンおよび1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、60℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまで(約1.6ml)、s-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)および1.61mLのカリウムtert.アミレート(シクロヘキサン中0.177M)を、反応混合物に加え、直ちに990mL(900g)のスチレンおよび153mL(100g)のブタジエンを、同時に60分間で加えた。温度を、反応器のジャケットの逆冷却により75℃に保った。次に、反応混合物を30分間撹拌し、続いて1.15mLのイソプロパノールを加え、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を、2つの5Lのキャニスターに移し、酸性化の目的でそれぞれ25mLの水および50gのドライアイスと一緒に振盪した。
【0179】
ワークアップ
酸性化した混合物(固形分20%)を、エタノール(0.1%のKerobit TBKを含有し、ポリマーに対して10倍の容量)中に沈殿させ、Buechi製の漏斗上で5Lのエタノールで3回、1Lの蒸留水で3回洗浄した。最後に、白色の粉末を、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最後に50℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末、ポリマーCP1は、以下の特性を有していた。Mn=111000g/モル。Mw=117000g/モル。PDI1.05。スチレンとブタジエンとの質量比は、90:10であり、ブタジエンの1,2-付加量は、ブタジエン単位の全量を基準として15%であった(1H-NMRにより測定)。Tg(DSC):72.8℃で1つの転移点。
【0180】
実施例7(比較例)
スチレン:ブタジエンの質量比が90:10であり、かつブタジエンの1,2-付加量がブタジエン単位の全量を基準として24%である、スチレンおよびブタジエン単位を含むマルチブロックポリマーCP2の製造
【0181】
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、5128mL(4000g)のシクロヘキサンおよび1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、60℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまで(約1.6ml)、s-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を、反応混合物に加え、直ちに99mL(90g)のスチレンおよび15.3mLのブタジエン(10g)を、同時に撹拌しながら加えた。温度を、反応器のジャケットの温度により制御して70℃に10分間保った。次に、この手順をさらに9回繰り返し、続いて1.15mLのイソプロパノールを加え、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を、2つの5Lのキャニスターに移し、酸性化の目的でそれぞれ25mLの水および50gのドライアイスと一緒に振盪した。
【0182】
ワークアップ
酸性化した混合物(固形分20%)を、エタノール(0.1%のKerobit TBKを含有し、ポリマーに対して10倍の容量)中に沈殿させ、Buechi製の漏斗上で5Lのエタノールで3回、1Lの蒸留水で3回洗浄した。最後に、白色の粉末を、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最後に50℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末、ポリマーCP2は、以下の特性を有していた:Mn=90000g/モル。Mw=110000g/モル。PDI1.22。スチレンとブタジエンとの質量比は、90:10であり、ブタジエンの1,2-付加量は、ブタジエン単位の全量を基準として24%であった(1H-NMRにより測定)。Tg(DSC):69.9℃で1つの転移点。
【0183】
実施例8(比較例)
スチレン:ブタジエンの質量比が90:10であり、かつブタジエンの1,2-付加量がブタジエン単位の全量を基準として72%である、スチレンおよびブタジエン単位を含むランダムポリマーCP3の製造
【0184】
クロスバースターラーを備えた10Lのステンレス鋼反応器内で、4872mL(3800g)のシクロヘキサン、256mL(200g)のTHFおよび1gの1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を、30℃に加熱し、安定した橙赤色が残るまで(約1.8ml)、s-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)で滴定した。次に、7.14mLのs-BuLi(シクロヘキサン中1.4M)を、反応混合物に加え、直ちに990mL(900g)のスチレンおよび153mLのブタジエン(100g)を、同時に60分間で加えた。温度を、反応器のジャケットの逆冷却により50℃に保った。次に、反応混合物を、15分間撹拌し、続いて1.15mLのイソプロパノールを加え、さらに10分間撹拌した。無色の溶液を、2つの5Lのキャニスターに移し、酸性化の目的でそれぞれ25mLの水および50gのドライアイスと一緒に振盪した。
【0185】
ワークアップ
酸性化した混合物(固形分20%)を、エタノール(0.1%のKerobit TBKを含有し、ポリマーに対して10倍の容量)中に沈殿させ、Buechi製の漏斗上で5Lのエタノールで3回、1Lの蒸留水で3回洗浄した。最後に、白色の粉末を、2.5Lのエタノールで2回、250mLのエタノールで4回洗浄し、最後に50℃で24時間真空乾燥した。得られた白色粉末、ポリマーCP3は、以下の特性を有していた:Mn=206000g/モル。Mw=230000g/モル。PDI1.11。スチレンとブタジエンとの質量比は、90:10であり、ブタジエンの1,2-付加量は、ブタジエン単位の全量を基準として72%であった(1H-NMRにより測定)。
【0186】
実施例9
ポリマーPa、Pb、Pc、Pd、CP1、CP2、CP3およびポリスチレン(PS)および2つのアジド基を有する架橋剤から形成されたポリマー層の保持に対して放射線が及ぼす影響の評価
【0187】
実施例1に記載したように製造したポリマーPaの、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロペンタノン(CP)との混合物(70/30)の溶液80mg/mLは、ポリマーの重量を基準として4重量%の2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ-フェニル)エチニル]-9,9-ジヘキシル-フルオレンを架橋剤として含有し、これを1マイクロメートルのフィルターを通して濾過し、二酸化ケイ素基材上にスピンコーティング(1800rpm、30秒)により適用した。湿った誘電体層を、ホットプレート上で90℃で2分間プリベークして、厚さ400nmの層を得た。ポリマー誘電体層を、周囲条件下で365nm(線量100mJ/cm2)を使用してUV硬化した。
【0188】
ポリマー誘電体層の製造については、上記のポリマーPaについて記載したのと同じ手順を、実施例2に記載したように製造したポリマーPbを使用して繰り返したが、ポリマーPbの重量を基準として3重量%の2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ-フェニル)エチニル]-9,9-ジヘキシル-フルオレンを、4重量%のものの代わりに架橋剤として使用した。
【0189】
ポリマー誘電体層の製造については、上記のポリマーPaについて記載したのと同じ手順を、実施例3に記載したように製造したポリマーPc、および192000g/モルの分子量Mwを有するシグマ-アルドリッチ製のポリスチレン(PS)を使用して繰り返した。
【0190】
ポリマー誘電体層の製造については、上記のポリマーPaについて記載したのと同じ手順を、実施例4に記載したように製造したポリマーPdを使用して繰り返したが、ポリマーPdの重量を基準として6重量%の2,7-ビス[2-(4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ-フェニル)エチニル]-9,9-ジヘキシル-フルオレンを、4重量%のものの代わりに架橋剤として使用した。
【0191】
ポリマー誘電体層の製造については、上記のポリマーPaについて記載したのと同じ手順を、実施例6に記載したように製造した比較のポリマーCP1、実施例7に記載したように製造した比較のポリマーCP2、および実施例8に記載したように製造した比較のポリマーCP3について繰り返した。
【0192】
誘電体層の発現は、誘電体層をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロペンタノン(CP)との混合物(70/30)に1分間浸漬し、続いて90℃で5分間加熱することによって行った。誘電体層の厚さを、硬化後で発現前(d1)および発現後(d2)にVeeco Dektak 150を用いて測定し、フィルム保持率(d2/d1)を得た。フィルム保持率(d2/d1)を決定した。結果を第2表に示す。
【表2】
【0193】
第2表は、架橋したポリマーPa、Pb、PcおよびPdのフィルム保持率が、架橋した比較ポリマーCP1、CP2およびCP3のフィルム保持率よりかなり高く、かつ周囲条件下で365nm(100mJ/cm2の線量)を使用してUV処理した際にポリスチレン(PS)が全く架橋しないことを示す。すべての架橋反応は、周囲条件下で行われた。