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特許7105881高断熱及び高強度シリカエアロゲルブランケットの製造方法
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  • 特許-高断熱及び高強度シリカエアロゲルブランケットの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】高断熱及び高強度シリカエアロゲルブランケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/16 20060101AFI20220715BHJP
   C01B 33/12 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
C01B33/16
C01B33/12 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020524350
(86)(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2018009999
(87)【国際公開番号】W WO2019103287
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】10-2017-0155223
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0097399
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】カン、テ-キョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チェ-キュン
(72)【発明者】
【氏名】オ、キョン-シル
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヒョン-ウ
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0141671(KR,A)
【文献】特表2017-533163(JP,A)
【文献】特表平10-504793(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141189(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106431168(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0104914(KR,A)
【文献】特開2007-161861(JP,A)
【文献】特表2008-505261(JP,A)
【文献】特表2010-525188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 - 39/54
F16L 59/00 - 59/22
B22F 9/00 - 9/30
B32B 5/00 - 5/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカエアロゲルブランケットの製造工程のうち、シリカ前駆体溶液の製造段階においてシリカ前駆体溶液に金属-シリカエアロゲル複合体を添加しており、前記金属-シリカエアロゲル複合体は、針状の形状を有することを特徴とするシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項2】
前記金属-シリカエアロゲル複合体の縦横比(aspect ratio)は、1:10乃至1:30であることを特徴とする請求項1に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項3】
前記金属-シリカエアロゲル複合体は、シリカ前駆体溶液に含まれたシリカ重量対比50乃至200重量%で添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項4】
前記金属-シリカエアロゲル複合体の金属は、Ca、Mgまたはこれらの混合であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項5】
前記シリカエアロゲルブランケットの密度は、190乃至265kg/m3であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項6】
前記シリカエアロゲルブランケットは、常温熱伝導度が20mW/mK以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項7】
前記シリカエアロゲルブランケットは、600℃で2時間熱処理した後の常温熱伝導度の増加率が9.5%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシリカエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項8】
繊維状ブランケットにシリカエアロゲルを結合させたシリカエアロゲルブランケットであって、針状の形状を有する金属-シリカエアロゲル複合体を含むシリカエアロゲルブランケット。
【請求項9】
前記シリカエアロゲルブランケットは、常温熱伝導度が20mW/mK以下であり、600℃で2時間熱処理した後の常温熱伝導度の増加率が9.5%以下であることを特徴とする請求項8に記載のシリカエアロゲルブランケット。
【請求項10】
請求項8または9に記載のシリカエアロゲルブランケット;及び
水に対して不透過性であり、水蒸気に対して透過性である層をさらに含む絶縁材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年11月21日付韓国特許出願第10-2017-0155223号及び2018年8月21日付韓国特許出願第10-2018-0097399号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高断熱及び高強度シリカエアロゲルブランケットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリカエアロゲルブランケットは、エアロゲルに無機繊維を導入して構造を強化し、使用性を大きく高めた製品であって、非常に低い熱伝導度に基づき多様な産業分野に活用されている。
【0004】
しかし、約400℃以上の高温では、熱伝導度が急激に上昇する傾向を示し、650℃以上の超高温では主成分であるシリカの溶融温度を超えることで深刻な収縮が発生するようになる。
【0005】
このような問題点によって、使用温度の範囲が600℃以下に制限される弱点があり、これを克服するためには比重が高い無機添加剤を導入するか、用いる繊維自体の密度を高めることによりエアロゲルブランケットの全体的な密度を高める方法が用いられている。エアロゲルブランケットの密度が高くなれば、超高温下でも深刻な収縮を防止することができるので、熱伝導度の急激な増加を防ぐことができるためである。
【0006】
しかし、先に言及した方法を介してエアロゲルブランケットの密度を高める場合、熱処理後の熱伝導度の増加を鈍化させることはできるが、無機添加剤と高密度繊維の影響で熱処理前の常温における熱伝導度が際立って高くなる問題が発生する。
【0007】
したがって、エアロゲルブランケットの活用度を高め、使用範囲を広げるためには、断熱性能の低下を最小化しながらエアロゲルブランケットの密度を高めることができる方法の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0070948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、熱処理後にも断熱性能に優れたシリカエアロゲルブランケットを製造することである。
【0010】
本発明の解決しようとする他の課題は、高強度、高耐熱性及び低粉塵の特性を有するシリカエアロゲルブランケットを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記のような課題を解決するためのものであって、本発明は、シリカエアロゲルブランケットの製造工程のうち、シリカ前駆体溶液の製造段階に針状金属-シリカ複合体を添加することを特徴とするシリカエアロゲルブランケットの製造方法を提供する。
【0012】
また、前記製造方法によって製造されたシリカエアロゲルブランケットを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるシリカエアロゲルブランケットの製造方法によれば、熱処理後にも熱伝導度の上昇が最小化され、断熱性能に優れた高断熱のシリカエアロゲルブランケットを製造することができる。
【0014】
また、本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造方法によれば、高強度、高耐熱性及び低粉塵のシリカエアロゲルブランケットを製造することができる。
【0015】
本明細書の次の図面は、本発明の具体的な実施例を例示するものであり、前述した発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を担うものなので、本発明はかかる図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明で用いる針状金属-シリカ複合体の光学顕微鏡写真である(x100)。
図2】シリカエアロゲルブランケットに対する形態安定性の実験後の本発明の実施例のシリカエアロゲルブランケットの様子を撮影した写真である。
図3】シリカエアロゲルブランケットに対する形態安定性の実験後の本発明の比較例のシリカエアロゲルブランケットの様子を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に対する理解を助けるため、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0019】
一般的に、シリカエアロゲルは、シリカ前駆体溶液の製造-ゲル化反応-熟成-表面改質-乾燥の段階を経て製造される。しかし、前記シリカエアロゲルは多孔性構造によって非常に低い機械的強度を有するので、既存の断熱繊維である無機繊維または有機繊維などの繊維状ブランケットにエアロゲルを含浸して結合させたエアロゲル複合体(シリカエアロゲルブランケット)を製造して用いている。
【0020】
しかし、前記シリカエアロゲルブランケットは、約400℃以上の高温では熱伝導度が急激に上昇する傾向を示し、650℃以上の超高温では主成分であるシリカの溶融温度を超えることで深刻な収縮が発生する問題点がある。
【0021】
前記問題点を克服するために、従来には無機添加剤を導入したり、使用する繊維自体の密度を高めることにより、エアロゲルブランケットの全体的な密度を高めて伝達される輻射エネルギーを減少させ、熱処理後にも熱伝導度の上昇を鈍化させようとする試みがあったが、前記試み等は無機添加剤と高密度繊維の影響で熱処理前の常温での熱伝導度が際立って高くなるとのまた他の問題を発生させた。
【0022】
よって、本発明は、前記問題を解決するため、熱処理しても熱伝導度の上昇が最小化され、断熱性能に優れた高断熱のシリカエアロゲルブランケットを製造することを目的とする。
【0023】
前記目的を達成するため、本発明の一実施形態によるシリカエアロゲルブランケットの製造方法は、シリカエアロゲルブランケットの製造工程のうち、シリカ前駆体溶液の製造段階に針状金属-シリカ複合体粒子を添加することを特徴とする。
【0024】
本発明の針状金属-シリカ複合体は、具体的に、針状金属-シリカエアロゲル複合体であってよく、一般のエアロゲルに比べて高い密度を有しながらも一般の無機金属添加剤に比べて熱伝導度が低いところ、熱処理後にも熱伝導度の上昇を最小化することができる。
【0025】
具体的に、エアロゲルブランケットの製造時、添加剤として無機金属粉末を用いる場合、比重が高く密度を増加しやすいので、熱処理後の熱伝導度の増加を鈍化させることはできるが、無機金属自体の熱伝導度が非常に高いため、熱処理前にも熱伝導度が際立って増加する。
【0026】
一方、本発明で用いる針状金属-シリカ複合体は、高い密度を有しているので、シリカエアロゲルブランケットに対する熱処理後にも熱伝導度の増加を鈍化させながらも、無機金属粉末に比べて相対的に低い熱伝導度を有するのでシリカエアロゲルブランケットの常温熱伝導度の上昇を最小化することができる。
【0027】
一方、本発明で用いることができる針状金属-シリカ複合体は、酸性溶液に水ガラス溶液を添加し、次いで、金属塩を含む溶液を添加して針状の中間体を形成した後、塩基性触媒を添加してゲル化反応を行い、金属-シリカ複合湿潤ゲルを製造した後、洗浄及び乾燥して製造することができる。
【0028】
また、前記針状金属-シリカ複合体の金属は、Ca、Mgまたはこれらの混合であってよく、シリカとの反応性を考慮してCaが最も好ましい。
【0029】
具体的に、本発明で用いる針状金属-シリカ複合体は、密度が0.3乃至0.8g/mL、より具体的に、0.4乃至0.5g/mLであることを特徴とする。針状金属-シリカ複合体が前記範囲の密度を有する場合、最終シリカエアロゲルブランケットの密度調節が容易なためである。
【0030】
前記範囲の密度を有する針状金属-シリカ複合体を用いて製造した本発明のシリカエアロゲルブランケットの密度は、190乃至265kg/m3、190乃至240kg/m3、より具体的に、200乃至240kg/m3であることを特徴とする。
【0031】
本発明のシリカエアロゲルブランケットの密度が前記範囲より小さい場合、シリカエアロゲルブランケットの熱処理後の熱伝導度が増加する問題があり得、前記範囲より大きい場合、シリカエアロゲルブランケットの密度が高すぎるので常温熱伝導度が大きく増加する問題があり得る。
【0032】
また、本発明の針状金属-シリカ複合体の縦横比(aspect ratio)は、1:10乃至1:30、具体的には、1:10乃至1:20であることを特徴とする。
【0033】
本発明において、前記縦横比(aspect ratio)とは、粒子の長さ対比直径の値を意味するものであって、非球形の添加剤において、縦横比は最も基本的な物性値に該当する。
【0034】
本発明の針状金属-シリカ複合体は、前記優れた縦横比を有するところ、添加時の繊維と類似の形態を有するので、シリカエアロゲルが形成されるとき、シリカエアロゲル内部に容易に導入され、繊維によく吸着してシリカエアロゲルブランケットの構造を大きく強化させ、粉塵(dust)を減少させることができるので、高強度及び低粉塵のシリカエアロゲルブランケットを製造することができるようになる。
【0035】
また、本発明の針状金属-シリカ複合体は、固有の特性である高い耐熱性も有しているので、750℃以上の超高温に露出されたときの収縮現象が他の添加剤を用いるときに比べて際立って減少し、耐熱性を向上させることができる利点がある。
【0036】
一方、前記縦横比が1:10より小さい場合、針状が有する構造強化の効果が減少され得、縦横比が1:30を超過する場合、針状粒子自体の強度が大きく弱化され、エアロゲルブランケットの製造過程のうち針状粒子の形態を維持することができずに容易に崩れる問題があり得る。
【0037】
本発明の製造方法は、前記針状金属-シリカ複合体を適切な量で添加し、具体的に、シリカ前駆体溶液に含まれたシリカ対比50乃至200重量%、より具体的に、50乃至170重量%で添加することができる。
【0038】
前記範囲未満で添加する場合、本発明が目的する熱処理前後の全てにおいて優れた熱伝導度を具現することができない問題があり、前記範囲を超過して添加する場合、シリカエアロゲルブランケットの密度が上昇し過ぎるので、常温熱伝導度が増加する問題があり得る。
【0039】
また、本発明は、前記シリカエアロゲルブランケットの製造方法によって製造され、針状金属-シリカ複合体を含むシリカエアロゲルブランケットを提供する。
【0040】
本発明のシリカエアロゲルブランケットは、常温熱伝導度は20mw/mk以下、さらに具体的には19mw/mk以下であり、熱処理後の熱伝導度の増加が最小化されるところ、600℃で2時間熱処理した後の常温熱伝導度の増加率が9.5%以下、具体的に7.5%以下、より具体的に2.5%以下のものであって、断熱性能に優れたことを特徴とする。
【0041】
一方、常温熱伝導度の増加率(%)は、「(熱処理後の常温熱伝導度-熱処理する前の常温熱伝導度)/(熱処理する前の常温熱伝導度)]X100」で計算されてよい。
【0042】
また、本発明は、前記シリカエアロゲルブランケットを含み、水に対して不透過性であり、水蒸気に対して透過性である層をさらに含む絶縁材を提供することができる。前記シリカエアロゲルブランケット表面に形成された前記追加の層が水に対して不透過性である場合、絶縁材が適用された設備または機器に水が浸透することを防止して水による腐食を防止することができ、水蒸気に対して透過性である場合、絶縁材が適用された設備または機器から水蒸気を外へ透過させて内部で水蒸気が凝結されることを防止して水蒸気による腐食を防止することができる。
【0043】
より具体的に、前記水に対して不透過性であり、水蒸気に対して透過性である層は、セルロース物質であってよい。
【0044】
このように、本発明のシリカエアロゲルブランケットの製造方法によって製造されたシリカエアロゲルブランケットは、高断熱、高強度、高耐熱性及び低粉塵の特性を有するので、多様な産業分野にさらに高い活用度を有することができる。
【0045】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるよう、本発明の実施例に対して詳しく説明する。しかし、本発明は幾つか異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0046】
(製造例:針状金属-シリカエアロゲル複合体の製造)
反応器に1.0乃至3.0M濃度の硫酸溶液100mLを準備し、ここに硫酸溶液/水ガラス溶液≧3 モル比(molar ratio)である濃度の水ガラス溶液100mLを投入した。0.5時間後に硫酸と同一の濃度の塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)溶液100mLをゆっくり滴下し、撹拌速度100乃至300rpmで撹拌した後、反応温度60乃至100℃で1乃至3時間沈澱反応を行った。前記沈澱反応が完了した後、塩基触媒(NH4OH)を入れてpH範囲を7乃至8になるように調整し、ゲル化反応を進めて金属-シリカ湿潤ゲル複合体を製造した。
【0047】
次に、不純物を除去するために、蒸溜水で3乃至5回洗浄し、エチルアルコールを介して溶媒置換後、150℃の温度で2時間常圧乾燥して水気含有量を2重量%以内になるように調整し、最終的に針状金属-シリカエアロゲル複合体粉末を製造した。
【0048】
(実施例1:シリカエアロゲルブランケットの製造)
テトラエチルオルトシリカート(TEOS)、水及びエチルアルコールをシリカ:水:エチルアルコールの質量比が1:2:16となるように混合し、シリカ前駆体溶液100mLを製造した。
【0049】
前記シリカ前駆体溶液に針状金属-シリカエアロゲル複合体粉末をシリカ前駆体溶液に含まれたシリカ重量対比150重量%(シリカ前駆体溶液対比7.3wt%)となるように添加して30分間撹拌した。
【0050】
次に、前記シリカ前駆体混合溶液に前記前駆体混合溶液対比1vol%のアンモニアを前駆体混合溶液対比12vol%のエチルアルコールに希釈させた触媒溶液を添加した後、ガラス繊維にキャスティング(casting)してゲル化を誘導した。
【0051】
ゲル化完了後、1乃至10vol%のアンモニア溶液を用いて25乃至80℃で25乃至100分間熟成(Aging)を実施し、前記Agingが完了したサンプルの疎水化のため、1乃至10vol%のHMDSを添加して疎水化反応を1乃至24時間進めた。
【0052】
前記疎水化反応が完了したシリカエアロゲル湿潤ゲルを7.2Lの超臨界抽出機(extractor)に入れ、CO2を注入した。次に、抽出機内の温度を1時間にわたって60℃に昇温し、60℃、100barで超臨界乾燥してシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0053】
(実施例2乃至4)
前記実施例1で、針状金属-シリカエアロゲル複合体粉末を下記表1に記載された量で添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0054】
(比較例1)
前記実施例1で、針状金属-シリカエアロゲル複合体粉末を添加しないことを除いては、実施例1と同一の方法でシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0055】
(比較例2)
前記実施例1で、針状金属-シリカエアロゲル複合体粉末の代わりに無機金属粉末(Kaolinite)を下記表1に記載された量で添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でシリカエアロゲルブランケットを製造した。
【0056】
(実験例:シリカエアロゲルブランケットの物性測定)
前記実施例及び比較例で製造したシリカエアロゲルブランケットの各物性を測定し、その結果を下記表1、図及び図に示した。
【0057】
1)Final density(kg/m3
実施例及び比較例で製造したそれぞれのシリカエアロゲルブランケットに対し、10cmX10cmの大きさのエアロゲルブランケットサンプル5個を準備した後、それぞれの重さを測定し、NETZSCH社のHFM436Lambda装備(熱伝導度測定装備)でサンプルの厚さを測定する。測定された重さと厚さ及び大きさで密度を計算し、サンプル5個の平均密度をFinal densityとした。
【0058】
2)常温熱伝導度(mW/mK、25℃)
実施例及び比較例で製造したそれぞれのシリカエアロゲルブランケットに対し、30cmX30cmの大きさのサンプルを準備し、NETZSCH社のHFM436Lambda装備を用いて熱処理する前の常温熱伝導度を測定し、600℃で2時間の熱処理後再び常温に冷却させ、熱処理後の常温熱伝導度を測定した。
【0059】
常温熱伝導度の増加率(%)=(熱処理後の常温熱伝導度-熱処理する前の常温熱伝導度)/(熱処理する前の常温熱伝導度)]X100
3)形態安定性
実施例及び比較例で製造したそれぞれのシリカエアロゲルブランケットに対し、750℃で1時間熱処理してシリカエアロゲルブランケットの収縮発生可否を観察した。
【0060】
◎:肉眼でブランケットの収縮が観察されない場合
○:ブランケットの全体的に軽微な収縮が観察される場合
△:ブランケットの全体的に収縮が観察される場合
X:ブランケットの全体的に深刻な収縮が観察される場合
【0061】
【表1】
【0062】
(Final densityの比較)
針状金属-シリカ複合体粉末を添加した実施例のシリカエアロゲルブランケットの密度が添加剤を添加しない比較例1の密度より大きいことが確認することができ、高温熱処理後の熱伝導度の増加率を検討すると、前記密度の大きい実施例が密度が小さい比較例1に比べて熱伝導度増加が鈍化されたことが分かる。
【0063】
(常温熱伝導度の比較)
添加剤を添加しない比較例1のシリカエアロゲルブランケットは、高温熱処理後の常温熱伝導度が顕著に上昇したことが確認できる。
【0064】
一方、シリカ前駆体溶液に針状金属-シリカ複合体粉末を添加した実施例のシリカエアロゲルブランケットは、熱処理後常温熱伝導度の上昇が比較例1に比べて鈍化されたことが確認できる。
【0065】
この結果から、実施例のシリカエアロゲルブランケットが高断熱性能を有するとのことが分かる。
【0066】
一方、無機金属粉末(Kaolinite)を添加した比較例2は、熱処理後の常温熱伝導度の増加率は大きくないが、熱処理前にも常温熱伝導度自体が高いので、断熱性能が実施例対比優秀ではないことが分かる。
【0067】
(形態安定性の比較)
図2でみられるところのように、シリカ前駆体溶液に針状金属-シリカエアロゲル複合体粉末を添加した実施例1及び4は、超高温熱処理後にも比較的形態安定性に優れたことが確認できる。
【0068】
一方、図3でみられるところのように、添加剤を添加しない比較例1のシリカエアロゲルブランケットは、750℃の超高温熱処理後ブランケットが全体的に深刻に収縮されることが確認できる。
【0069】
また、シリカ前駆体溶液に無機金属粉末を添加した比較例2のシリカエアロゲルブランケットも超高温熱処理後ブランケットが全体的に収縮されたことが確認できる。
【0070】
前述の本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更しなくても他の具体的な形態に容易に変形が可能であるとのことを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例等は、全ての面で例示的なものであるだけで、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1
図2
図3