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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】圧力調整貯蔵容器内の調整器安定性
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20220715BHJP
   F16K 17/02 20060101ALN20220715BHJP
【FI】
F17C13/04 301Z
F16K17/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020560796
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019025830
(87)【国際公開番号】W WO2019212687
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】62/666,755
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エイドスモア, ポール
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535989(JP,A)
【文献】特表平08-506439(JP,A)
【文献】特公昭55-017969(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
G05D 16/06
F16K 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力調整器アセンブリであって、
入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器であって、前記チャンバは、前記ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、前記静止部分および前記可動部分は、前記チャンバ内の圧力変化に応じて伸縮するように適合されたダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される、圧力調整器と、
振動を弱め、開位置と閉位置との間の前記圧力検出アセンブリの移動を安定させるように適合されたダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、前記可動部分に形成されたスリーブ内に配置される、ダンパアセンブリと、
前記圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、前記チャンバの前記入口と前記出口との間の流体圧力を調整するように適合されたポペットクロージャアセンブリであって、前記ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、および前記チャンバの前記入口に位置する着座構造体を含み、前記ポペット要素は、前記着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように上半球形の形状に切り取られた表面を有する、ポペットクロージャアセンブリとを備え、
前記ポペットクロージャアセンブリは、前記ポペット要素の上端部と前記着座構造体との間に挿入されたOリング部材をさらに含む、圧力調整器アセンブリ。
【請求項2】
前記ベローズ構造体の前記ダイヤフラム要素は、単一の溶接ダイヤフラム要素を有するように構成される、請求項1に記載の圧力調整器アセンブリ。
【請求項3】
前記ポペットクロージャアセンブリは、圧力下での変形レベルが低い構造材料でさらに構成される、請求項1に記載の圧力調整器アセンブリ。
【請求項4】
前記ポペットクロージャアセンブリは、相補的な形状の着座構造体との非円錐形のシール形状のポペット要素でさらに構成される、請求項1に記載の圧力調整器アセンブリ。
【請求項5】
前記ポペットクロージャアセンブリの前記着座構造体は、非金属材料で構成される、請求項1に記載の圧力調整器アセンブリ。
【請求項6】
ダイヤフラム要素を備えた前記ベローズ構造体は、前記ポペットクロージャアセンブリ内の前記ポペット要素の移動距離を減少させ、これによって流体分配の最初に前記容器から分配される流体を部分的に減衰させるように構成された厚さおよび弾性を有する材料で構成される、請求項1に記載の圧力調整器アセンブリ。
【請求項7】
前記ダンパアセンブリは、本体を備えた軸方向部材と、外周スリーブと、ばね部材とを含み、軸方向部材本体は、前記静止部分に結合された近位端部と、前記可動部分に向かって突出する遠位端部とを有し、前記軸方向部材本体は、前記軸方向部材の前記遠位端部の周りに周方向に配置された前記ばね部材を有し、前記外周スリーブは、前記軸方向部材の前記近位端部の周りに位置し、前記ばね部材の上端部と接触している、請求項1に記載の圧力調整器アセンブリ。
【請求項8】
流体供給パッケージであって、
圧力調整流体貯蔵分配容器と、
入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む前記分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器であって、前記チャンバは、前記ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、前記静止部分および前記可動部分は、前記チャンバ内の圧力変化に応じて伸縮するように適合された単一の溶接ダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される、圧力調整器と、
振動を弱め、開位置と閉位置との間の前記圧力検出アセンブリの移動を安定させるように適合されたダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、前記可動部分に形成されたスリーブ内に配置される、ダンパアセンブリと、
前記圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、前記チャンバの前記入口と前記出口との間の流体圧力を調整するように適合されたポペットクロージャアセンブリであって、前記ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、および前記チャンバの前記入口に位置する着座構造体を含み、前記ポペット要素は、前記着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように上半球形の形状に切り取られた表面を有する、ポペットクロージャアセンブリと、
前記分配容器に結合され、排出ポートを通して前記容器から流体を分配するように適合されたバルブヘッドであって、前記圧力調整器は、前記排出ポートの上流に配置され、前記バルブヘッドに結合され、前記バルブヘッドは、前記容器からの流体分配を制御するように動作可能な流れ制御バルブを含む、バルブヘッドとを備え、
前記ポペットクロージャアセンブリは、前記ポペット要素の上端部と前記着座構造体との間に挿入されたOリング部材をさらに含む、流体供給パッケージ。
【請求項9】
前記ダンパアセンブリは、本体を備えた軸方向部材と、外周スリーブと、ばね部材とを含み、軸方向部材本体は、前記静止部分に結合された近位端部と、前記可動部分に向かって突出する遠位端部とを有し、前記軸方向部材本体は、前記軸方向部材の前記遠位端部の周りに周方向に配置された前記ばね部材を有し、前記外周スリーブは、前記軸方向部材の前記近位端部の周りに位置し、前記ばね部材の上端部と接触している、請求項に記載の流体供給パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、2018年5月4日に出願された米国仮出願第62/666,755号の利益を主張し、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本出願は、2015年3月20日に出願された米国特許公開第2015/0247605号(シリアル番号第14/430,105号)に関し、これもまた、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、流体分配動作の開始時に激しい圧力変動挙動の影響を受けやすいものであり得る、圧力調整流体貯蔵分配容器の圧力管理に関する。本開示の圧力管理構成および方法はまた、「スパイク」挙動としても知られる連続的な周期的圧力振動、例えば、再発性の一時的な特性の流体圧力エクスカーションを解決する際の使用に企図されている。
【背景技術】
【0003】
半導体製造の分野では、様々な流体供給パッケージを使用して、製造動作、およびプロセス容器の洗浄などの補助的な流体利用プロセスで使用するためのプロセス流体を提供する。安全性およびプロセス効率の考慮の結果として、圧力調整デバイスが容器または容器のバルブヘッドの内部容積に提供される流体貯蔵分配容器を利用する流体供給パッケージが開発されている。圧力調整容器を組み込んだそのような流体供給パッケージの例には、VAC(登録商標)の商標名の下、Entegris/ATMI,Inc.(米国コネチカット州ダンベリー)より市販されている流体供給パッケージ、UPTIMEの商標名の下、Praxair,Inc.より市販されている圧力調整容器流体供給パッケージが挙げられる。
【0004】
いくつかの例では、流れ回路に結合された圧力調整容器は、流体分配動作の開始時に急激な圧力変動を呈する。この異常挙動は、流れ回路中の圧力検出部品によって検出される圧力スパイクとして、最も頻繁に経験される。先の半導体製造動作におけるこのような圧力スパイク挙動または激しい圧力振動挙動は、すぐに平衡流に置き換えられる過渡現象であるので(したがって圧力スパイクはプロセスシステムの定常状態動作状態への漸進進行に適応する)重大ではなかったが、イオン充填用途における迅速なビーム調整の最近の傾向は、この閾値変動に対して敏感なプロセスシステムを生み出した。
【0005】
極度の圧力振動の発生は、マスフローコントローラなどの流れ回路部品を一時的に制御不能にする可能性があり、分配された流体を受容するプロセスツールが仕様外の流体流を受容するという結果をもたらす。いくつかの例では、これは自動プロセス監視システムに動作を停止させるように機能させ得、その結果、製造生産性の維持に悪影響を及ぼすダウンタイムを招く。他の例では、製造ツールは、流体の急激な大量の、または場合によっては非常に少量の流入を処理してもよいが、仕様外の製品が製造されるという結果を招く。
【0006】
したがって、流入する流体の圧力変動の結果は、その一部が流体供給パッケージ内の圧力調整器装置における特定の部品によって引き起こされる可能性があり、圧力調整容器からの流体流では、プロセス効率および生産性に深刻な悪影響となる場合がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、主に、しかし必ずしも限定されないが、低流体流量での流体の分配のための、流体分配動作の開始時に圧力変動の影響を受けやすい圧力調整流体貯蔵分配容器の圧力管理に関する。
【0008】
1つの例示的な実施形態では、圧力調整流体貯蔵分配容器と、分配容器の内部容積内に配置され、入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む圧力調整器であって、チャンバは、ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、静止部分および可動部分は、チャンバ内の圧力変化に応じて膨張および収縮するように適合されたダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される圧力調整器とを含む流体供給パッケージが提供される。圧力検出アセンブリは、高流量での振動を弱め、開位置と閉位置との間の圧力検出アセンブリの移動を安定させるように適合されたダンパアセンブリをさらに含み、ダンパアセンブリは、可動部分に形成されたスリーブ内に配置される。調整器は、圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、チャンバの入口と出口との間の流体圧力を調整するように構成されたポペットクロージャアセンブリをさらに含み、ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、およびチャンバの入口に位置する着座構造体を含み、ポペット要素は、着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように適合された上部半球形の表面を有する。流体供給パッケージは、分配容器に結合され、排出ポートを通して容器から流体を分配するように適合されたバルブヘッドをさらに含み、圧力調整器は、排出ポートの上流に配置され、バルブヘッドに結合され、バルブヘッドは、容器からの流体分配を制御するように動作可能な流れ制御バルブを含む。
【0009】
別の例示的な実施形態では、分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器を含む圧力調整器が提供され、圧力調整器は、入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む。調整器のチャンバは、ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、静止部分および可動部分は、チャンバ内の圧力変化に応じて膨張および収縮するダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される。調整器はまた、振動を弱め、開位置と閉位置との間の圧力検出アセンブリの移動を安定させるダンパアセンブリを含み、ダンパアセンブリは、可動部分に形成されたスリーブ内に配置される。調整器はまた、圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、チャンバの入口と出口との間の流体圧力を調整するポペットクロージャアセンブリを含み、ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、およびチャンバの入口に位置する着座構造体を含み、ポペット要素は、着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように適合された上部半球形の表面を有する。
【0010】
さらに別の例示的な実施形態では、圧力調整流体貯蔵分配容器と、分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器であって、圧力調整器は、入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含み、チャンバは、ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、静止部分および可動部分は、チャンバ内の圧力変化に応じて膨張および収縮するように適合された単一の溶接ダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される圧力調整器とを含む流体供給パッケージが提供される。調整器は、振動を弱め、開位置と閉位置との間の圧力検出アセンブリの移動を安定させるダンパアセンブリをさらに含み、ダンパアセンブリは、可動部分に形成されたスリーブ内に配置される。調整器はまた、圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、チャンバの入口と出口との間の流体圧力を調整するポペットクロージャアセンブリを含み、ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、およびチャンバの入口に位置する着座構造体を含み、ポペット要素は、着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように適合された上部半球形の表面を有する。流体供給パッケージはまた、分配容器に結合され、排出ポートを通して容器から流体を分配するように適合されたバルブヘッドを含み、圧力調整器は、排出ポートの上流に配置され、バルブヘッドに結合され、バルブヘッドは、容器からの流体分配を制御するように動作可能な流れ制御バルブを含む。
【0011】
本開示は、添付の図面に関連する様々な例示的な実施形態の以下の説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の断面立面図である。
図1B】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の上面図である。
図1C】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の拡大図である。
図1D】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の拡大図である。
図1E】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の拡大図である。
図1F本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の拡大図である。
図2A】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の改良されたベローズ構造体の断面立面図である。
図2B】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の改良されたベローズ構造体の上面図である。
図2C】本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置の改良されたベローズ構造体の拡大図である。
図3図1および図2の圧力調整器デバイスを利用する流体供給パッケージの部分断面図の概略立面図である。
図4図3に関して示され説明された容器で利用される一般的なタイプの圧力調整器の断面図である。
図5図3の流体供給パッケージを参照して示され説明されたタイプの、直列に配置されたデュアル調整器アセンブリの概略図である。
【0013】
本開示は、様々な修正および代替形式に従順であるが、それらの詳細は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかし、その意図は、本開示の態様を説明される特定の例示的な実施形態に限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての修正、同等物、および代替案を包含することである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同じ参照符号が付される図面を参照して読まれるべきである。詳細な説明、および、必ずしも縮尺通りではない図面は、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図していない。示される例示的な実施形態は、専ら例示的であることが意図されている。任意の例示的な実施形態の選択される特徴は、それとは反対であることがはっきりと記載されない限り、さらなる実施形態に組み込まれ得る。
【0015】
本開示の様々な実施形態は、流体分配動作の開始時に、高または低の圧力挙動の大きな変動の影響を受けやすいものであり得る圧力調整流体貯蔵分配容器の圧力管理、ならびに再発性の一時的な特性の流体圧力エクスカーションなど、連続的な周期的圧力振動挙動に対抗するための圧力管理構成、装置および方法に関する。本開示は、分配動作がより平滑に、そして大きな圧力/流量変動結果を伴わずに開始されることが可能なように、流体容器に収容された圧力調整器デバイスを変更するための様々なアプローチを企図している。そのようなアプローチでは、圧力調整器は、そのようなデバイスからの出口圧力および流れが、起動時のいかなる急激な圧力変動も弱めて少なくとも部分的に減衰するために調整されるように、動作される。
【0016】
本明細書で使用される場合、流体貯蔵分配容器に関する「圧力調整」という用語は、そのような容器が、容器の内部容積内および/または容器のバルブヘッド内に配置された少なくとも1つの圧力調整器デバイス、設定圧力バルブ、または真空/圧力作動逆止バルブを有し、そのような圧力調整器デバイスの各々は、圧力調整器デバイスのすぐ下流の流体流路内の流体圧力に反応し、圧力調整器デバイスの上流の高流体圧力に関連して特定の下流の低圧力状態での流体流を可能にするために開き、そのような開放に続いて特定の、すなわち「設定点」圧力レベルで圧力調整器デバイスから排出される流体の圧力を維持するために動作するように適合されることを意味する。
【0017】
対応する特定の実施形態において激しい圧力振動を低減するためのこれらの様々なアプローチは、以下の動作技術および構成を含む:容器内の圧力調整器のポペット要素を開くために必要な内部摩擦を最小限に抑えるための、圧力調整器の設計の最適化;ポペットが最初に開かれたときにポペットがくっつくのを防ぐための、ポペットと圧力調整器のシール面の改良、ポペットは、閉位置で流体流を確実に閉じて停止させるが、その着座構造体からポペットを移動させる際に克服する必要のある摩擦力を最小限に抑え、このような改良は、以下の1つまたは複数を含む:(i)使用中の変形レベルが低い、代替の構造材料の選択、(ii)従来の円錐形のシール形状から球形のシール形状へのポペット形状の変更、(iii)ポペット着座構造体に対する非金属構造材料の使用、ならびに(iv)ポペット着座構造体に対する金属ポペット要素および流体適合性プラスチック構造材料の使用、これによって、嵌合して係合可能なポペット要素の幾何学的形状および圧力調整器の着座構造体を変更し、したがって、例えば、ポペット要素が平らな円筒形(ドーナツ形またはワッシャ形)の着座構造体上で静止している丸形の鈍いシール面を有する場合、潜在的な粘着挙動を最小限に抑えるために、そのような要素間の鈍角では接触が最小限しか行われない;圧力調整器の閉開時の粘着挙動または「スティクション」を最小限に抑えるための、ポペット要素と着座構造体の構造材料の変更、例えば、着座構造体には硬くて堅牢な流体適合性ポリマー材料を使用し、ポペット要素の面には金属を使用する。
【0018】
圧力調整器の別の部分は、以下を提供することによって流体分配を改良するように変更される:以下の1つまたは複数を含む、ベローズおよび圧力調整器デバイスの圧力検出アセンブリの変更:1)ダイヤフラム要素の数、構造材料、厚さ、およびベローズの弾性の変化などによる、ベローズ構造体の変更、これによりポペット要素の移動距離が減少し、要素のこれらの組み合わせは、流体分配の最初に容器から分配される流体の圧力変動を少なくとも部分的に減衰させることを容易にする。2)静止部分、可動部分、およびベローズ構造体によって形成されるチャンバを含む、調整器の幾何学的形状の変更。
【0019】
前述の流体供給パッケージにおいて、圧力調整容器は、容器の内部容積内の圧力調整器の直列構成、例えば、直列の2つ以上の調整器を備え得る。圧力調整器の設定点は、任意の適切な値を有し得、様々な実施形態において、排出ポートのすぐ上流の圧力調整器は、準大気圧の設定点を有し得る。
【0020】
ここで図面を参照し、より具体的には図1A図1Eを参照すると、本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置またはアセンブリ100の断面立面図、上面図および拡大図が例示されている。圧力調整器100は、協働部分112および114から形成されるハウジング110を含み、ハウジング部分は、密閉されて共に固着されている。例えば、ハウジング部分は、嵌合縁部に沿って、数字116によって表されるように共に溶接され得る。例示の実施形態では、ハウジング110は、上流の流体ライン(図示せず)と連通して加圧流体をハウジング110に供給する入口120を含む。入口120またはハウジング110を流体ラインと相互接続するための任意の従来の構成を使用することができるが、対象の調整器の意図される環境は、超清浄環境が必要とされる半導体産業など、低圧または高圧に曝される環境である。同様に、出口122は、ハウジングの第2の部分114に形成され、下流の流体ライン(図示せず)と連通する。
【0021】
ハウジング110は、ハウジングに固定された静止部分132と、静止部分に動作可能に関連付けられた可動部分134とを含む圧力検出アセンブリ130を内部に少なくとも部分的に固着したチャンバ124を形成する。1つの例示的な実施形態では、周方向に間隔を置いた脚部136は、静止部分の周囲から半径方向外向きに延び、ハウジング110内の溝140内に受容されるので、ハウジング部分がそれらの嵌合縁部に沿って共に溶接されると、静止部分も溶接によって固定された関係で同時に固着される。
【0022】
図1Aおよび図1Eを参照すると、圧力検出アセンブリ130の静止部分132および可動部分134は、ベローズ142などの可撓性部材によって共に接合されている。ベローズ142の一形態は、アコーディオンのような構成を画定するために(二重溶接様式で)半径方向内側および外側の領域で交互に固着される一連の環状部材またはダイヤフラムを含む。次に、ベローズアセンブリ142の反対側の端部は、圧力検出アセンブリ130の静止部分132および可動部分134にそれぞれ固着される。そのようなベローズ構成は、完全に折り畳まれた状態で比較的低いスタック高さを有する(図1E)。その完全に折り畳まれた状態では、可動部分134に動作可能に結合され、入口120に隣接するポペットクロージャアセンブリ160が閉じられる。
【0023】
ここで図1A図1Cおよび図1Fを参照すると、ポペットクロージャアセンブリ160は、圧力検出アセンブリ130の可動部分134に固着され、入口120を開閉する。より具体的には、ポペットクロージャアセンブリ160は、一方の端で可動部分134に結合され、他方の端部でポペット167に結合された拡大ベース164を有するステム162を含む。ポペット167は、ポペット着座構造体170と係合する。ベース164は、圧力検出アセンブリ130に隣接して取り付けられ、ステム162は、入口120に向かって軸方向に延びる。ステム162は、チャンバ124の外側に向かって、調整器の入口120内に進む。ステムの第2の端部すなわち外端部166は、ねじ切りされており、ポペット167を画定するエラストマ部材168を受容する。好ましくは、ポペット167は、組み立て中、ステムにねじ込まれ、着座構造体170から後退する所定の選択された数の回転を通して正確な開口を画定することができるように、セルフタッピング式である。関連する実施形態では、リング172がポペット167の上端部と着座構造体170との間に挿入され、動作中のスティクションの問題を回避するのを支援する。
【0024】
この例示的な実施形態では、ポペットステム162に取り付けられたポペット167は、ステム162の近くのその近位端部に半球形の形状を提供し、着座構造体170と嵌合可能かつ密封的に係合するように変更されている。この実施形態では、着座構造体170は、任意の適切な材料で形成することができ、例えば、ポリアセタール材料などの硬くて堅牢な流体適合性ポリマー、または例えばポリクロロテトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマーを含んでもよい。同様に、ポペット167は、着座構造体と互換性のある任意の適切な材料で形成することができ、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、または調整器100のポペットアセンブリ160の他の部品と互換性のある他の金属もしくは構造材料などの金属、ならびに使用中にそのような調整器を通って流れる流体で形成されてもよい。
【0025】
図1Aおよび図1Dを簡単に参照すると、ベローズアセンブリ142に結合された静止部分132および可動部分134は、互いに協働し、チャンバ124内の圧力の変化に応じて、入口120に向かうおよび入口120から離れる可動部分134の軸方向移動を制御する。ダンパアセンブリ150が、流体容器内の流体が分配されるときに流体圧力の急激な上昇による圧力変動を弱めるために、圧力検出アセンブリ130に含まれている。ダンパアセンブリ150は、高流量状態に特に適している。ダンパアセンブリ150は、図1Dに示すように、軸方向部材144で構成され、静止部分132から入口120に向かって延び、静止部分132、ばね部材146および上部外周スリーブ148に固定的に固着されている。軸方向部材144は、静止部分132に結合された近位端部と、可動部分134に向かって突出する遠位端部とを有する軸方向部材本体145を含む。この例示的な実施形態では、軸方向部材本体145は、軸方向部材144の遠位端部の周りに周方向に配置されたばね部材146を有し、外周スリーブ148は、軸方向部材144の近位端部の周りに位置し、ばね部材146の上端部と接触している。周囲の軸方向部材144は、可動部分134の中央領域から出口122に向かって延びるスリーブ部分135である。この例示的な実施形態では、外周スリーブ148は、構造が中実であり、軸方向部材本体145の外面に直接接触する内面を有するが、必ずしも中実構造に限定されるわけではない。
【0026】
上述のように、圧力検出アセンブリ130の望ましくない振動は、しばしば、高流量または予測不可能な低流量に関連している。圧力振動に関連する問題を克服するために、ダンパアセンブリ150が提供される。従来技術の構成では、ダンパアセンブリ150は、軸方向部材144とスリーブ部分135との間に挿入された、Oリングなどのエラストマまたは弾性部材を含む。しかし、低流量および低圧の用途では、Oリングがポペットクロージャアセンブリ160の開閉およびポペット167の移動を実際には妨げることが発見された。したがって、ばね部材146の上部において外周スリーブ148内に通常位置するエラストマOリングを排除することが好ましい。別の実施形態では、中実の外周リング148を使用して、スティクションの課題を伴わずに軸方向部材144の移動を容易にする。
【0027】
動作中、圧力検出アセンブリ130の内部キャビティ131は、所定の圧力チャージを有する。可動部分134は、キャビティ131とチャンバ124内の流体圧力との間の圧力差に応じて軸方向に移動する。可撓性のベローズ142は、この相対的な移動を可能にし、理解されるように、ポペット部材または要素167は、着座構造体170とのその関係を変化させ、入口120と出口121との間の流体流を調整する。したがって、チャンバ124内の圧力に応じた部材130の膨張および収縮は、外周リング148によって加えられるわずかな摩擦抵抗によって弱められる。これにより、調整器は、時折のスパイクまたは流体流量の増加に関連する振動を補正することが可能になる。したがって、遮断位置または閉位置に隣接するポペット167の位置に関連する非常に低い流量において、圧力検出アセンブリの可動部分134は、より自由に移動することができる。
【0028】
ここで図2A図2Cを参照すると、本発明の教示による、圧力調整流体貯蔵分配容器用の圧力調整器装置200の改良されたベローズ構造体242の断面立面図、上面図および拡大図が例示されている。この例示的な実施形態では、調整器200は、様々なダイヤフラム要素を有するベローズ構造体242によって相互接続された静止部分232、可動部分234で構成される圧力検出アセンブリ230を含むハウジング210を含む。ダイヤフラム要素を備えた従来技術のベローズは、二重溶接構造を利用しており、可撓性の喪失による膨張および収縮の問題を引き起こしていた(図1Eにより明確に示されている)。この例示的な実施形態では、ベローズ242のダイヤフラム要素は、単一の溶接構造で形成され、これによって図2Cでより明確に見られるように、ベローズ242の膨張および収縮においてさらなる可撓性を可能にする。この例示的な実施形態のベローズ242は、閉位置または折り畳まれた位置で例示されている。
【0029】
ここで図3を参照すると、容器の内部容積218を包囲する円筒側壁214および床216を備える流体貯蔵分配容器212を含む、標準的な流体供給パッケージ200の部分断面図の立面図が例示されている。側壁および床は、容器に収容されるガス、装置の最終使用環境、ならびに貯蔵分配使用において容器内で維持される圧力レベルに適切なように、任意の適切な構造材料、例えば、金属、ガス不透過プラスチック、繊維-樹脂複合材料などで形成されてもよい。この例示的な実施形態では、カラーフランジ部材280が、容器212のネックに結合され、バルブヘッド本体226が、カラーフランジ部材280に固着されている。このタイプの流体貯蔵分配システムは、米国特許第5,937,895号、6,007,609号、6,045,115号、および7,905,247号に記載されており、これらの特許の最初の3件は単ポートバルブシリンダヘッドについて言及しているものの、これらすべての特許の開示は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
バルブヘッド本体226は、容器212内の流体に由来するガスの分配のために、中央垂直通路が内部に形成されている。バルブヘッド本体は、バルブの選択的な手動または自動の開閉のために、バルブアクチュエータ238(ハンドホイールまたは空気圧アクチュエータ)と結合された流れ制御バルブを収容する。したがって、バルブアクチュエータは、様々な適切なタイプ、例えば、手動アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、電気機械アクチュエータなどのいずれか、またはバルブヘッド内のバルブを開閉するための任意の他の適切なデバイスであってもよい。流れ制御バルブなどの弁体は、1つまたは複数の調整器の下流に配置され、その結果、容器から分配された流体は、流れ制御バルブを通って流れる前に調整器を通って流れる。バルブヘッド本体226は、典型的には、その上端部で充填ポートと連通するために内部に形成された充填通路を含む。その下端部の充填通路は、示されているように、その底面でバルブヘッド本体226から出る。充填ポートが容器に収容されるガスの供給源と結合されているとき、流体は、充填通路を通って容器212の内部容積218内に流れることができる。
【0031】
内部に上部粒子フィルタ239を収容する延長管240が、バルブヘッド本体226の下端部に接合されている。上部調整器242が、延長管240の端部に取り付けられている。上部調整器242は、例えば調整器242が螺合して係合可能となる延長管の下端部部分に内部ねじ山を提供することによってなど、任意の適切な方式で延長管の下端部に固着される。あるいは、上部調整器は、圧縮継手または他の漏出防止真空および圧力継手によって、または例えば、溶接、ろう付け、はんだ付け、溶融結合によってそこに結合されることによって、または適切な機械的接合手段および/もしくは方法などによって、延長管の下端部に接合されてもよい。図1および図2に記載の調整器100および200は、外部処理システムへの流体の分配を支援するために、この流体供給容器構成で使用される。
【0032】
上部調整器242は、示されているように、下部調整器260と直列の関係で配置される。そのような目的のために、上部調整器242の下部延長部分上のねじ山と、そのねじ山と嵌合して係合可能な下部調整器260の上部延長部分上のねじ山とを含む相補的なねじ山によって、上部調整器と下部調整器は互いに螺合して係合可能であり得る。あるいは、上部調整器と下部調整器は、例えば結合もしくは継手手段によって、接着結合、溶接、ろう付け、はんだ付けなどによって、任意の適切な方式で互いに接合されてもよいし、または上部調整器と下部調整器は、デュアル調整器アセンブリの部品として一体的に構築されてもよい。その下端部において、下部調整器260は、高効率粒子フィルタ246に接合されている。高効率粒子フィルタ246は、場合によっては装置の動作中に調整器およびバルブを通って流れる流体中に存在し得る微粒子または他の汚染種による調整器要素および流れ制御バルブの汚染を防ぐのに役立つ。
【0033】
そのような方式で分配される流体は、調整器242の設定点によって決定される圧力になる。図3の実施形態における調整器260および調整器242のそれぞれの設定点は、特定の所望の最終使用用途に対応するために、任意の適切な値で選択または事前設定されてもよい。例えば、下部(上流)調整器260は、約20psig~約2500psigの範囲にある設定点を有し得る。上部(下流)調整器242は、例えば、約1トル~最大2500psigの範囲で、下部(上流)調整器260の圧力設定点よりも上または下、好ましくは下である設定点を有してもよい。1つの例示的な実施形態では、下部(上流)調整器260は、約100psig~約1500psigの範囲の設定点圧力値を有し、上部(下流)調整器242は、約100トル~約50psigの範囲の設定点圧力値を有し、下部(上流)圧力設定点は、上部(下流)調整器の設定点よりも上である。
【0034】
直列調整器アセンブリ内の調整器の設定点は、互いに対して任意の適切な比率で確立することができるが、図3および図5に示すような二連調整器アセンブリでは、好ましい実践における上流調整器は、有利には、下流調整器の設定点値(同じ圧力測定単位で測定される)の少なくとも2倍である圧力設定点を有する。
【0035】
図3に示すタイプの流体貯蔵分配システムの1つの例示的な実施形態では、容器212は、3AA 2015 DOTの2.2リットルシリンダであり得る。容器は、高効率粒子フィルタ246を含むことができる。いくつかの実施形態では、調整器は、上部(下流)調整器242が100トル~100psigの範囲の設定点圧力を有し、下部(上流)調整器260が100psig~1500psigの範囲の設定点圧力を有し、下部(上流)調整器260の設定点圧力が上部(下流)調整器242の設定点圧力の少なくとも2倍である、HFシリーズSwagelok(登録商標)圧力調整器である。特定の実施形態では、上部(下流)調整器242は、100psigの入口圧力および500トルの出口圧力を有してもよく、下部(上流)調整器260は、1500psigの入口圧力および100psigの出口圧力を有してもよい。
【0036】
図1および図2に例示される調整器の改良を備えた流体供給パッケージ200は、イオン注入のための準大気圧ドーパントガス送出のために利用することができる。シリンダ温度、仰角または充填量にかかわらず、システムは、500トル未満の真空レベルが使用ポートに適用されたときにのみ、プロダクトを送出する。プロダクトは、このような真空がなければ流体供給パッケージから流れることができない。本開示の流体供給パッケージ内に貯蔵されてそこから分配される流体は、任意の適切なタイプであってもよく、例えば半導体製造、フラットパネルディスプレイの製造、または太陽電池パネルの製造において実用性を有する流体を含んでもよい。
【0037】
流体貯蔵分配容器内に収容される流体は、例えば半導体製造動作用の水素化物流体を含んでもよい。このようなタイプの水素化物流体の例には、アルシン、ホスフィン、スチビン、シラン、クロロシラン、ジボラン、ゲルマン、ジシラン、トリシラン、メタン、セレン化水素、硫化水素、および水素が挙げられる。ハロゲン化物エッチャント、洗浄剤、原料試薬、ドーパントガスなどとして半導体製造動作における実用性を有する、フッ化水素、三塩化ホウ素(BCl3)、三フッ化ホウ素(BF3)、四フッ化二ホウ素(B2F4)、塩化水素(HCl)、ハロゲン化シラン(例えば、四フッ化ケイ素)、ハロゲン化ジシラン、四フッ化ゲルマニウム、三フッ化リン、五フッ化リン、三フッ化ヒ素、五フッ化ヒ素、ヘリウム、窒素、酸素、フッ化物、キセノン、アルゴン、クリポン、一酸化炭素、二酸化炭素、四フッ化炭素、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロメタン、三フッ化窒素、フッ化カルボニル、ならびに上記の2つ以上の混合物などの酸性流体を含む、半導体製造動作において有用な他の流体が用いられてもよい。このように貯蔵および送出されてもよい他の試薬は、有機金属化学蒸着法(MOCVD)および原子層蒸着法(ALD)のための前駆体として使用される気体有機金属試薬を含む。
【0038】
図4は、図3に関して示され説明された容器で利用される一般的なタイプの圧力調整器の断面図であり、図1および図2に記載の実施形態と置き換えることができる。現在使用されている従来技術の圧力調整器は、米国特許第5,303,734号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示のように、圧力調整器は、入口および出口通路と連通する主要な中央ハウジングを含む。ポペットは入口通路内で静止しており、流体流のこのような通路を閉じるために、入口通路の座部と係合した閉位置で示されている。ポペットは、同様に圧力調整器の内部容積内の圧力検出アセンブリに接続された、ステムと結合されている。圧力検出アセンブリは、出口通路の排出開口からの流体の流れのために、入口通路および調整器の中央チャンバを通じて出口通路に流体を流すために、ポペットがその座部から外れるように、所定の設定点圧力よりも低い出口通路内の圧力が複数のダイヤフラムの移動および圧力検出アセンブリとこれに結合されたポペットステムとの対応する並進を引き起こすように、圧力検出アセンブリが調整器の出口通路内の圧力レベルに反応する、ベローズ構造体を画定する複数のダイヤフラムを含む。出口通路内の流体圧力が調整器の設定点圧力よりも高いとき、圧力検出アセンブリは、その中を流体流が通る通路を閉じるために、ポペットが入口通路の座部に係合するように、ポペットステムおよび関連するポペットを応答性良く並進させることになる。
【0039】
図5は、図3の流体供給パッケージを参照して示され説明されたタイプの、直列に配置されたデュアル調整器アセンブリを例示し、特に低流量用途での性能を改良するために、図1および図2に記載の実施形態と置き換えることができる。この直列配置された調整器アセンブリでは、第1の圧力調整器SPR-1が第2の圧力調整器SPR-2と直列になっている。それぞれの調整器は、中間圧力接続通路によって互いに結合されている。調整器SPR-1は、調整器SPR-2の圧力設定点と比較してより高い圧力設定点を有する。調整器SPR-1には、図1および図3に示すように、調整器アセンブリが流体貯蔵分配容器内に設置されるときに高圧流体に曝される、その高圧入口(高P入口)が配置される。調整器SPR-2は、調整器SPR-1と直列に配置されており、その出口がこのような調整器SPR-2の準大気の設定点圧力よりも低くなければ下流調整器(SPR-2)が流体を分配しないように、例えば準大気圧である設定点圧力を有してもよい。
【0040】
したがって、調整器SPR-2が設定点準大気圧未満の出口圧力に応じて開くときには、2つの調整器間の中間圧力接続通路内の圧力にも対応する減少があり、このような中間圧力が調整器SPR-1の設定点圧力未満に低下したときには、調整器SPR-1は開き、調整器SPR-1の高圧入口からこのような調整器を通り、中間圧力接続通路を通り、そして調整器SPR-2を通って準大気圧出口まで流体が流れることになる。このような構成により、高圧流体は流体貯蔵分配容器内に安全かつ効率的に収容され、分配におけるそのような流体の圧力は、上流圧力調整器によって中間圧力まで、そして下流圧力調整器によってそのような中間圧力から下流圧力調整器の設定点によって決定される低排出圧力まで低下する。
【0041】
態様
【0042】
態様1.圧力調整流体貯蔵分配容器と、入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む前記分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器であって、前記チャンバは、前記ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、前記静止部分および前記可動部分は、前記チャンバ内の圧力変化に応じて膨張および収縮するように適合されたダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される圧力調整器と、振動を弱め、開位置と閉位置との間の前記圧力検出アセンブリの移動を安定させるように適合されたダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、前記可動部分に形成されたスリーブ内に配置されるダンパアセンブリと、前記圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、前記チャンバの前記入口と前記出口との間の流体圧力を調整するように適合されたポペットクロージャアセンブリであって、前記ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、および前記チャンバの前記入口に位置する着座構造体を含み、前記ポペット要素は、前記着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように適合された上部半球形の表面を有するポペットクロージャアセンブリと、前記分配容器に結合され、排出ポートを通して前記容器から流体を分配するように適合されたバルブヘッドであって、前記圧力調整器は、前記排出ポートの上流に配置され、前記バルブヘッドに結合され、前記バルブヘッドは、前記容器からの流体分配を制御するように動作可能な流れ制御バルブを含むバルブヘッドとを備える、流体供給パッケージ。
【0043】
態様2.前記ポペットクロージャアセンブリは、前記上部ポペット要素の表面と前記着座構造体との間に挿入されたOリング部材をさらに含む、態様1に記載の流体供給パッケージ。
【0044】
態様3.前記ベローズ構造体の前記ダイヤフラムは、単一の溶接ダイヤフラム要素を有するように構成される、態様1に記載の流体供給パッケージ。
【0045】
態様4.前記ポペットクロージャアセンブリは、圧力下での変形レベルが低い構造材料でさらに構成される、態様1~3に記載の流体供給パッケージ。
【0046】
態様5.前記ポペットクロージャアセンブリは、相補的な形状の着座構造体を備えた非円錐形のシール形状のポペット要素でさらに構成される、態様1~4に記載の流体供給パッケージ。
【0047】
態様6.前記ポペットクロージャアセンブリの前記ポペット着座構造体は、非金属材料で構成される、態様1~5に記載の流体供給パッケージ。
【0048】
態様7.ダイヤフラム要素を備えた前記ベローズ構造体は、前記ポペットクロージャアセンブリ内の前記ポペット要素の移動距離を減少させ、これによって流体分配の最初に前記容器から分配される流体を部分的に減衰させるように構成された厚さおよび弾性を有する材料で構成される、態様1~3に記載の流体供給パッケージ。
【0049】
態様8.前記ダンパアセンブリは、本体を備えた軸方向部材と、外周スリーブと、ばね部材とを含み、前記軸方向本体部材は、前記静止部分に結合された近位端部と、前記可動部分に向かって突出する遠位端部とを有し、前記軸方向部材本体は、前記軸方向部材の前記遠位端部の周りに周方向に配置された前記ばね部材を有し、前記外周スリーブは、前記軸方向部材の前記近位端部の周りに位置し、前記ばね部材の上端部と接触している、態様1に記載の流体供給パッケージ。
【0050】
態様9.前記外周スリーブは、構造が中実であり、前記軸方向本体の外面に直接接触する内面を有する、態様1に記載の流体供給パッケージ。
【0051】
態様10.前記流体は、半導体製造、フラットパネルディスプレイの製造、または太陽電池パネルの製造用の流体を含む、態様7に記載の流体供給パッケージ。
【0052】
態様11.入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む前記分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器であって、前記チャンバは、前記ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、前記静止部分および前記可動部分は、前記チャンバ内の圧力変化に応じて膨張および収縮するように適合されたダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される圧力調整器と、振動を弱め、開位置と閉位置との間の前記圧力検出アセンブリの移動を安定させるように適合されたダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、前記可動部分に形成されたスリーブ内に配置されるダンパアセンブリと、前記圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、前記チャンバの前記入口と前記出口との間の流体圧力を調整するように適合されたポペットクロージャアセンブリであって、前記ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、および前記チャンバの前記入口に位置する着座構造体を含み、前記ポペット要素は、前記着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように適合された上部半球形の表面を有するポペットクロージャアセンブリとを備える、圧力調整器アセンブリ。
【0053】
態様12.前記ポペットクロージャアセンブリは、前記上部ポペット要素の表面と前記着座構造体との間に挿入されたOリング部材をさらに含む、態様11に記載の圧力調整器アセンブリ。
【0054】
態様13.前記ベローズ構造体の前記ダイヤフラムは、単一の溶接ダイヤフラム要素を有するように構成される、態様11に記載の圧力調整器アセンブリ。
【0055】
態様14.前記ポペットクロージャアセンブリは、圧力下での変形レベルが低い構造材料でさらに構成される、態様11~13に記載の圧力調整器。
【0056】
態様15.前記ポペットクロージャアセンブリは、相補的な形状の着座構造体を備えた非円錐形のシール形状のポペット要素でさらに構成される、態様11~14に記載の圧力調整器アセンブリ。
【0057】
態様16.前記ポペットクロージャアセンブリの前記ポペット着座構造体は、非金属材料で構成される、態様11~15に記載の圧力調整器アセンブリ。
【0058】
態様17.ダイヤフラム要素を備えた前記ベローズ構造体は、前記ポペットクロージャアセンブリ内の前記ポペット要素の移動距離を減少させ、これによって流体分配の最初に前記容器から分配される流体を部分的に減衰させるように構成された厚さおよび弾性を有する材料で構成される、態様11~13に記載の圧力調整器アセンブリ。
【0059】
態様18.前記ダンパアセンブリは、本体を備えた軸方向部材と、外周スリーブと、ばね部材とを含み、前記軸方向本体部材は、前記静止部分に結合された近位端部と、前記可動部分に向かって突出する遠位端部とを有し、前記軸方向部材本体は、前記軸方向部材の前記遠位端部の周りに周方向に配置された前記ばね部材を有し、前記外周スリーブは、前記軸方向部材の前記近位端部の周りに位置し、前記ばね部材の上端部と接触している、態様11~13に記載の圧力調整器アセンブリ。
【0060】
態様19.圧力調整流体貯蔵分配容器と、入口および出口を備えたチャンバを有するハウジングを含む前記分配容器の内部容積内に配置された圧力調整器であって、前記チャンバは、前記ハウジングに対して固定された静止部分および可動部分を備えた圧力検出アセンブリを内部に含み、前記静止部分および前記可動部分は、前記チャンバ内の圧力変化に応じて膨張および収縮するように適合された単一の溶接ダイヤフラム要素を備えたベローズ構造体によって相互接続される圧力調整器と、振動を弱め、開位置と閉位置との間の前記圧力検出アセンブリの移動を安定させるように適合されたダンパアセンブリであって、前記ダンパアセンブリは、前記可動部分に形成されたスリーブ内に配置されるダンパアセンブリと、前記圧力検出アセンブリに動作可能に結合され、前記チャンバの前記入口と前記出口との間の流体圧力を調整するように適合されたポペットクロージャアセンブリであって、前記ポペットクロージャアセンブリは、ポペット要素、および前記チャンバの前記入口に位置する着座構造体を含み、前記ポペット要素は、前記着座構造体に嵌合および接触してシールを形成するように適合された上部半球形の表面を有するポペットクロージャアセンブリと、前記分配容器に結合され、排出ポートを通して前記容器から流体を分配するように適合されたバルブヘッドであって、前記圧力調整器は、前記排出ポートの上流に配置され、前記バルブヘッドに結合され、前記バルブヘッドは、前記容器からの流体分配を制御するように動作可能な流れ制御バルブを含むバルブヘッドとを備える、流体供給パッケージ。
【0061】
態様20.前記ダンパアセンブリは、本体を備えた軸方向部材と、外周スリーブと、ばね部材とを含み、前記軸方向本体部材は、前記静止部分に結合された近位端部と、前記可動部分に向かって突出する遠位端部とを有し、前記軸方向部材本体は、前記軸方向部材の前記遠位端部の周りに周方向に配置された前記ばね部材を有し、前記外周スリーブは、前記軸方向部材の前記近位端部の周りに位置し、前記ばね部材の上端部と接触している、態様19に記載の流体供給パッケージ。
【0062】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態を記載したが、当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲内において、さらに他の実施形態が作製および使用され得ることを容易に認識するであろう。この文書によって包含される本開示の多数の利点は、前述の記載において述べられている。しかし、この開示は、多くの点で単なる例示であることが理解されるであろう。本開示の範囲を超えることなく、特に形状、サイズ、および部品の構成に関して、詳細に変更を加えることができる。本開示の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現されている言語において定義される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図1F