(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-14
(45)【発行日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ディスプレイユニットの異物検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20220715BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220715BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220715BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220715BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220715BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
G01N21/88 H
G09F9/00 313
G09F9/00 338
H05B33/14 A
H05B33/12 Z
H01L27/32
H05B33/02
(21)【出願番号】P 2020566826
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2019007473
(87)【国際公開番号】W WO2019245313
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0072249
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボム・ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ヒョン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・リム
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0001508(KR,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0011921(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0093236(KR,A)
【文献】特表平06-504843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0085200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G09F 9/00
H01L 51/50
H05B 33/00-H05B 33/28
H01L 27/32
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ディスプレイパネル
と、前記有機発光ディスプレイパネル上に配置される4分の1波長板と、前記4分の1波長板上に配置される偏光板とを備えるディスプレイユニット
の上側に配置され、前記ディスプレイユニットの方へ入射光を提供する照明ユニットと、
前記照明ユニットの一側に配置された異物検出部であって、前記入射光が前記ディスプレイユニットから反射して提供される反射光を受けて前記ディスプレイユニットの異物流入の有無を検出する異物検出部と
、
を含むディスプレイユニットの異物検査システム
であって、
前記異物検出部は、
前記反射光が提供されると判断されると、前記ディスプレイユニットに異物が流入したと判定する、ディスプレイユニットの異物検査システム。
【請求項2】
前記照明ユニットは、
前記ディスプレイユニットに対して90゜より小さい傾斜入射角を有する前記入射光を提供する、請求項
1に記載のディスプレイユニットの異物検査システム。
【請求項3】
前記異物検出部は、
前記ディスプレイユニットを撮影する撮影ユニットと、
前記撮影ユニットからディスプレイユニットのイメージを受けて前記ディスプレイユニットの異物流入の有無を検出する制御部とを含む、請求項1
又は2に記載のディスプレイユニットの異物検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイユニットの異物流入の有無を検査するディスプレイユニットの異物検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイユニットはディスプレイパネルにフィルムを付着させて製造できるが、この製造過程で気泡、埃などのような異物がフィルムとパネルとの間に流入したりする。
【0003】
このように流入した異物はディスプレイユニットを通してディスプレイされる映像に欠点領域を形成するので、異物が流入したディスプレイユニットは出庫前に不良品として分類する必要がある。
【0004】
現在、最も普遍化されたディスプレイユニットは、液晶パネルの両面に各透過軸が垂直に付着する液晶ディスプレイユニットである。
【0005】
このような液晶ディスプレイユニットは、一面側に光を照射するとその光は他面側に光が進行して透過されるが、この時、フィルムと液晶パネルとの間に異物が流入している場合には、その光は散乱するようになる。
【0006】
したがって、このような液晶ディスプレイユニットの異物流入の有無を検査する時は、液晶ディスプレイユニットの一面に光を照射した後、他面側で透過される光が散乱するか否かに基づいて異物が流入したか否かを判断することができる。
【0007】
ただし、ますます利用増加の傾向にある有機発光ディスプレイユニットの場合には、液晶ディスプレイの異物流入の有無を検査できる透過光学系を用いることが困難な面がある。
【0008】
液晶ディスプレイパネルの場合には、液晶層を挟んで両側に透明な基板が配置されるのに対し、有機発光ディスプレイユニットが備える有機発光ディスプレイパネルは、有機発光層を挟んで一側には不透明な基板が配置され、他の一側は視認側で透明な基板が配置されるからである。
【0009】
すなわち、有機発光ディスプレイユニットは一側から他側に光を透過させることが困難なため、透過光学系ではない他の方式の異物検査装置が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施例は、透過光学系を用いなくても有機発光ディスプレイユニットの異物流入の有無を検査できるシステムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例は、有機発光ディスプレイパネルを備えるディスプレイユニットに入射光を提供する照明ユニットと、入射光がディスプレイユニットから反射して提供される反射光を受けてディスプレイユニットの異物流入の有無を検出する異物検出部とを含むディスプレイユニットの異物検査システムを提供する。
【0012】
本実施例において、ディスプレイユニットは、有機発光ディスプレイパネル上に配置される4分の1波長板(Quarter Wave Plate、QWP)と、4分の1波長板上に配置される偏光板とを含むことができる。
【0013】
本実施例において、異物検出部は、反射光が提供されると判断されると、ディスプレイユニットに異物が流入したと判定することができる。
【0014】
本実施例において、照明ユニットは、ディスプレイユニットに対して90゜より小さい傾斜入射角を有する入射光を提供することができる。
【0015】
本実施例において、反射光を受けてディスプレイユニットを撮影する撮影ユニットと、撮影ユニットからディスプレイユニットのイメージを受けてディスプレイユニットの異物流入の有無を検出する制御部とを含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例によれば、透過光学系を用いなくても有機発光ディスプレイユニットの異物流入の有無を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例によるディスプレイユニットの構造および外光の進行経路を概略的に示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施例によるディスプレイユニットに異物が流入した時の外光の進行経路を概略的に示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施例によるディスプレイユニットの異物検査システムの構成を概略的に示す模式図である。
【
図4】多様なサイズの異物が流入したディスプレイユニットに対して、本発明の一実施例によるディスプレイユニットの異物システムを用いて異物を検出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、添付した図面とともに詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。一方、本明細書で使われた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文章で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0019】
図1は、本発明の一実施例によるディスプレイユニットの構造および外光の進行経路を概略的に示す模式図であり、
図2は、本発明の一実施例によるディスプレイユニットに異物が流入した時の外光の進行経路を概略的に示す模式図である。
【0020】
図1を参照すれば、本発明の一実施例によるディスプレイユニット10は、有機発光ディスプレイパネル11を備えることができる。このようなディスプレイユニット10は、外部(Outside)から入射した外光L_Oが反射して再度外部で視認されないようにするために、有機発光ディスプレイパネル11上に配置される4分の1波長板(Quarter Wave Plate、QWP)12と、4分の1波長板12上に配置される偏光板13とを含むことができる。
【0021】
4分の1波長板12は、波長λの透過光に対して互いに垂直方向に振動する2つの偏光成分の間にλ/4の光路差が発生するように作られた光学的異方性の薄板を含むことができる。4分の1波長板12の内部で光の振動方向が入射光の振動方向に対して90度となるように線偏光が垂直に入射すると、4分の1波長板12を透過した光は円偏光になり、逆に円偏光が入射すると、4分の1波長板12を透過した光は線偏光になる。
【0022】
偏光板13は一定方向に延伸され、二色性染料で染色されたポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol、PVA)フィルムを偏光子として含み、このような偏光子には延伸によって特定方向の透過軸(図中の透過軸方向は「PA」と表記することとする)が形成され、透過軸方向と同一の方向に振動する光のみ透過する。
【0023】
一方、ディスプレイユニット10は、有機発光ディスプレイパネル11、偏光板13、および4分の1波長板12が互いに密着して積層された構造を有することができるが、
図1では、光の進行経路を説明するために各部分が互いに離隔した形態で示されている。
【0024】
ディスプレイユニット10に入射する外光L_Oは、その進行方向と垂直なすべての方向に振動する光が混合した状態を有することができる。
【0025】
このような外光L_Oが偏光板13に入射すると、偏光板13の透過軸方向PAと同一の方向に振動する光のみ透過、すなわち第1線偏光L1になって偏光板13を透過する。
【0026】
偏光板13を透過した第1線偏光L1は4分の1波長板12に入射する。
図1に示されるように、第1線偏光L1が4分の1波長板12に入射すると、第1円偏光L2になって4分の1波長板12を透過する。第1円偏光L2は右円偏光または左円偏光であってもよいし、
図1には左円偏光として示した。
【0027】
4分の1波長板12を透過した第1円偏光L2は有機発光ディスプレイパネル11に入射する。
図1に示されるように、第1円偏光L2が有機発光ディスプレイパネル11に入射すると、有機発光ディスプレイパネル11の表面によって反射して、入射した第1円偏光L2とは反対方向に第2円偏光L3になる。
図1では、左円偏光として有機発光ディスプレイパネル11の表面に入射して反射するので、反射による第2円偏光L3は右円偏光として示した。
【0028】
有機発光ディスプレイパネル11の表面によって反射した第2円偏光L3は4分の1波長板12に入射する。
図1に示されるように、第2円偏光L3が4分の1波長板12に入射すると、第2線偏光L4になって4分の1波長板12を透過する。
【0029】
このような第2線偏光L4は、偏光板13の透過軸方向PA(第1線偏光L1の振動方向と同一)とは垂直な方向に振動するが、偏光板13に入射すると、偏光板13の透過軸方向PAと垂直な方向に振動するので、偏光板13を透過できず、偏光板13にそのまま吸収される。
【0030】
図2を参照して、有機発光ディスプレイパネル11と4分の1波長板12との間に異物Fが流入した場合、外光の進行経路を説明する。
【0031】
外光L_Oが入射して偏光板13-4分の1波長板12を透過する過程は同一であるので、4分の1波長板12を透過した後の過程を中心に説明する。
【0032】
4分の1波長板12を透過した第1円偏光L2は有機発光ディスプレイパネル11に入射する。ただし、異物Fが流入しているので、
図2に示されるように、第1円偏光L2は異物Fに到達する。異物Fに到達した第1円偏光L2も異物Fによって反射するとはいえ、有機発光ディスプレイパネル11の表面のように平坦な表面ではないので、
図2に示されるように、完全に反対に対応するのではない不完全な第2円偏光L3’になる。
【0033】
異物Fによって反射した不完全な第2円偏光L3’は4分の1波長板12に入射する。
図2に示されるように、不完全な第2円偏光L3’が4分の1波長板12に入射すると、第2線偏光L4’になって4分の1波長板12を透過する。
【0034】
ただし、このような第2線偏光L4’は、第1円偏光L2と完全に反対に対応するのではない不完全な第2円偏光L3’に基づいて、4分の1波長板12を通して偏光されたものであるので、異物が流入しなかった時の第2線偏光L4とは異なる方向に振動する。具体的には、ここでの第2線偏光L4’は、偏光板13の透過軸方向PA(第1線偏光L1の振動方向と同一)とは垂直でない方向に振動することができ、このような第2線偏光L4’が偏光板13に入射すると、偏光板13の透過軸方向PAと垂直でない方向に振動するので、偏光板13を透過する。このように偏光板13を透過した透過光L5は外部で視認される。
【0035】
図3は、本発明の一実施例によるディスプレイユニットの異物検査システムの構成を概略的に示す模式図である。
【0036】
図3を参照すれば、本発明の一実施例によるディスプレイユニットの異物検査システム100(以下、「システム」と略称することもある)は、照明ユニット110と、異物検出部120とを含むことができる。
【0037】
照明ユニット110は、有機発光ディスプレイパネル11を備えるディスプレイユニット10に入射光L_Oを提供することができる。このような照明ユニット110は、入射光を提供する光源を含むことができる。
【0038】
このような照明ユニット110は、ディスプレイユニット10に対して90゜より小さい傾斜入射角を有する入射光L_Oを提供することが好ましい。後述する異物検出部120の撮像装置は、ディスプレイユニット10を通して反射する光を撮像しなければならないため、ディスプレイユニット10を基準として一側に照明ユニット110とともに配置される必要があり、この時、入射光と反射光の光干渉を最小化するためには、入射光の入射角をディスプレイユニット10に対して90゜より小さくすることが有利であるからである。
【0039】
異物検出部120は、入射光L_Oがディスプレイユニット10から反射して提供される反射光L5を受けてディスプレイユニットの異物流入の有無を検出することができる。このような異物検出部120は、ディスプレイユニットを撮影する撮影ユニットと、撮影ユニットからディスプレイユニットのイメージを受けてディスプレイユニットの異物流入の有無を検出する制御部とを含むことができる。
【0040】
ディスプレイユニット10に異物が流入しなかった場合、撮影ユニットは、ディスプレイユニット10から別の反射光を受けないままイメージを撮影したはずであるので、当該ディスプレイユニットのイメージ全面には明暗区分が明確に形成される領域がないはずであることから、この時、制御部は、ディスプレイユニットに異物が流入しなかったと判断することができる。
【0041】
ディスプレイユニット10に異物が流入した場合であれば、撮影ユニットは、ディスプレイユニット10から反射光を受けてイメージを撮影し、このように撮影されて取得された当該ディスプレイユニットのイメージは、全面のうち、反射光を受けた領域が明るく、反射光を受けていない領域が暗く現れる。これによって、ディスプレイユニットのイメージは明暗区分が明確に形成される領域が存在するはずであることから、この時、制御部は、ディスプレイユニットに異物が流入したと判断することができ、特に明るく撮影された領域と対応する領域に異物が流入したと判断することができる。
【0042】
具体的には、ディスプレイユニット10に異物Fが流入しなかった場合には、
図1に示されるように、外光L_Oが入射しても、偏光板13-4分の1波長板12-有機発光ディスプレイパネル11-4分の1波長板12の順に光が進行するが、第2線偏光L4が偏光板13を透過できないので、撮影ユニットは、ディスプレイユニット10から反射光を受けないままディスプレイユニット10を撮影する。そして、ディスプレイユニット10に異物Fが流入した場合には、
図2に示されるように、外光L_Oが入射して偏光板13-4分の1波長板12-異物F-4分の1波長板12-外部(Outside)に進行して、反射光L5として撮影ユニットに到達できるため、撮影ユニットは、ディスプレイユニット10から反射光L5を受けたままディスプレイユニット10を撮影する。
【0043】
図4は、多様なサイズの異物が流入したディスプレイユニットに対して、本発明の一実施例によるディスプレイユニットの異物システムを用いて異物を検出した結果を示した。
【0044】
具体的には、450μm~2700μmの間の多様なサイズの異物が流入したディスプレイユニットに対して90゜より小さい傾斜入射角を有する入射光を提供した後、ディスプレイユニットを撮像した。そして、
図4には、撮像によって取得された加工前イメージ(Raw image)と、加工前イメージ(Raw image)を白黒処理して明暗対比をより高めた加工後イメージ(Processing image)を示した。
【0045】
顕微鏡によって確認される異物が形成された領域は、加工前イメージの対応する領域でも、加工後イメージの対応する領域でも、明暗対比が確実に現れることが確認された。これによって、実際に本発明の実施例のシステムを用いると、工程中に顕微鏡などを用いなくても異物流入の有無を検知できることを確認することができる。
【0046】
本発明の実施例によれば、透過光学系を用いなくても有機発光ディスプレイユニットの異物流入の有無を検査することができる。
【0047】
同時に、本発明の実施例によれば、有機発光ディスプレイユニット10が外光が入射して反射するのを防止するための4分の1波長板12および偏光板13を含んでいる構造でも、反射光学系を用いて異物流入の有無を容易に検査することができる。
【0048】
たとえ本発明が上述した好ましい実施例に関して説明されたが、発明の要旨と範囲を逸脱することなく多様な修正や変形をすることが可能である。したがって、添付した特許請求の範囲には、本発明の要旨に属する限り、かかる修正や変形を含む。
【符号の説明】
【0049】
10:ディスプレイユニット
11:有機発光ディスプレイパネル
12:4分の1波長板
13:偏光板
100:ディスプレイユニットの異物検査システム
110:照明ユニット
120:異物検出部