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特許7106401コバルトイオン吸着剤及びその製造方法並びにコバルトイオン含有液処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】コバルトイオン吸着剤及びその製造方法並びにコバルトイオン含有液処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/06 20060101AFI20220719BHJP
   G21F 9/12 20060101ALI20220719BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20220719BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20220719BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20220719BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20220719BHJP
   C01G 23/00 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B01J20/06 C
G21F9/12 501D
G21F9/12 501K
G21F9/12 501J
B01J20/28 Z
B01J20/30
C02F1/42 A
C02F1/42 B
C02F1/28 E
C02F1/28 B
C02F1/28 F
C01G23/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018166156
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020037087
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000109255
【氏名又は名称】チタン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 貴志
(72)【発明者】
【氏名】小松 誠
(72)【発明者】
【氏名】出水 丈志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 展幸
(72)【発明者】
【氏名】関 敏正
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚文
(72)【発明者】
【氏名】石岡 英憲
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195981(JP,A)
【文献】特開2015-188798(JP,A)
【文献】特開平1-258737(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163954(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00- 20/28
B01J 20/30- 30/34
C02F 1/28
G21F 9/00- 9/36
C01G 1/00- 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式K2-xO・2TiO・nHO(式中、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物を含み、結合剤を含まず、150μm以上1000μm以下の粒径範囲を有する粒子状コバルトイオン吸着剤。
【請求項2】
Cukα線をX線源とするX線回折において、2θが8.5±2.0°の範囲にX線回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤。
【請求項3】
内径15.96mmの円筒状カラムに層高10cmで充填し、並塩3g/kg、コバルト1mg/kg、マグネシウム5mg/kg、セシウム1mg/kgを含む模擬汚染海水を6.5mL/minの流量(通水線流速2m/h、空間速度20h-1)で通水した場合に、入口水中コバルト濃度(C)と出口水中コバルト濃度(C)の比率が3%を超過する破過B.V.が8000m/m以上のコバルト吸着性能を示す請求項1又は2に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤。
【請求項4】
化学式KO・2TiOで表される二チタン酸カリウムを水和させ、カリウムイオン(K)とプロトン(H)とをカチオン交換させて、化学式K2-xO・2TiO・nHO(式中、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物を得て、結合剤を用いずに造粒することを含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤の製造方法。
【請求項5】
(1)チタン源及びカリウム源を混合し、
(2)得られる混合物を焼成して二チタン酸カリウムを得て、
(3)二チタン酸カリウムを水と接触させて、水和させると共にカリウムイオンとプロトンとのカチオン交換を生じさせ、
(4)得られる二チタン酸水素カリウム水和物(K2-xO・2TiO・nHO、ただしxは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)をスラリー中で湿式粉砕して、
(5)スラリーから二チタン酸水素カリウム水和物を含むろ過ケーキを固液分離し、
(6)結合剤を用いることなく、当該ろ過ケーキから二チタン酸水素カリウム水和物の粒子を造粒し、
(7)二チタン酸水素カリウム水和物を60℃以上150℃以下の温度で1時間以上24時間以下の条件で乾燥し、
(8)乾燥した二チタン酸水素カリウム水和物を解砕し、整粒して、150μm以上1000μm以下の粒径範囲を有する粒子状コバルトイオン吸着剤とする
工程を含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填したコバルトイオン含有液処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填した放射性コバルト除染装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を用いる、コバルトイオン含有液処理方法。
【請求項9】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を用いる、放射性コバルト除染方法。
【請求項10】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填したコバルトイオン含有液処理装置に、コバルトイオン含有液を通水線流速(LV)1m/h以上40m/h以下、空間速度(SV)5h-1以上40h-1以下で通水することを含む、コバルトイオン含有液処理方法。
【請求項11】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填した放射性コバルト除染装置に、放射性コバルト含有液を通水線流速(LV)1m/h以上40m/h以下、空間速度(SV)5h-1以上40h-1以下で通水することを含む、放射性コバルト除染方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コバルトイオン吸着剤及びその製造方法並びにコバルトイオン含有液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性同位体であるストロンチウム-90(90Sr)やセシウム-137(137Cs)がウランやプルトニウムの核分裂によって生成するのに対して、放射性コバルト同位体であるコバルト-60(60Co)は、コバルト-59(59Co)の中性子捕獲により生成する。原子炉の運転では、一次冷却水の配管と冷却水の中に入っている59Coから60Coが生成する。60Coは、ベータ崩壊をしてニッケル-60(60Ni)になり、崩壊生成物の60Niがガンマ崩壊をして1.17MeVと1.33MeVのガンマ線を放出する。これらのガンマ線は透過力が強く、エネルギー量も大きいため、強い被爆線源となりうる。したがって、60Coにより汚染された水の浄化処理技術の開発が課題となっている。しかしながら、微量の60Coを除去する技術は確立されておらず、コバルトイオン吸着容量が大きく、かつ機械的強度に優れ、微粉の発生がなく、放射性コバルト汚染水の処理剤として取扱性に優れたコバルトイオン吸着剤を供給することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、コバルトイオン、特にはコバルトイオンの吸着容量が大きいコバルトイオン吸着剤を提供することにある。本発明はまた、コバルトイオン吸着剤を用いて、吸着剤本来の吸着特性を損なうことなく、カチオン交換容量が大きく、機械的強度に優れ、微粉の発生がなく、取扱性に優れる、放射性コバルトイオン含有液(特に放射性コバルト汚染水)の除染に好適な、コバルトイオン吸着剤及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、このコバルトイオン吸着剤を充填してなる放射性コバルトイオン含有液処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、化学式KO・2TiOで表される二チタン酸カリウムの水和物及びカリウムイオン(K)とプロトン(H)とのカチオン交換反応により、化学式K2-xO・2TiO・nHO(式中、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物へ組成を変換させる際に同時に構造変換が生じ、この構造変換によりコバルトイオンとのカチオン交換容量が増大すること、すなわちコバルトイオンの吸着性能に優れていることを見出した。さらに、結合剤を用いることなく、当該二チタン酸水素カリウム水和物を造粒することで、当該二チタン酸水素カリウム水和物本来のカチオン吸着容量を維持しながら、微粉の発生が少なく、取扱性に優れる粒子状コバルトイオン吸着剤が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[1]化学式K2-xO・2TiO・nHO(式中、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物を含み、結合剤を含まず、150μm以上1000μm以下の粒径範囲を有する粒子状コバルトイオン吸着剤。
[2]Cukα線をX線源とするX線回折において、2θが8.5±2.0°の範囲にX
線回折ピークを有することを特徴とする前記[1]に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤。
[3]内径15.96mmの円筒状カラムに層高10cmで充填し、並塩3g/kg、コバルト1mg/kg、マグネシウム5mg/kg、セシウム1mg/kgを含む模擬汚染海水を6.5ml/minの流量(通水線流速2m/h、空間速度20h-1)で通水した場合に、入口水中コバルト濃度(C)と出口水中コバルト濃度(C)の比率が3%を超過する破過B.V.が8000m/m以上のコバルト吸着性能を示す前記[1]又は[2]に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤。
[4]化学式KO・2TiOで表される二チタン酸カリウムを水和させ、カリウムイオン(K)とプロトン(H)とをカチオン交換させて、化学式K2-xO・2TiO・nHO(式中、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物を得て、結合剤を用いずに造粒することを含む、前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤の製造方法。
[5](1)チタン源及びカリウム源を混合し、
(2)得られる混合物を焼成して二チタン酸カリウムを得て、
(3)二チタン酸カリウムを水と接触させて、水和させると共にカリウムイオンとプロトンとのカチオン交換を生じさせ、
(4)得られる二チタン酸水素カリウム水和物(K2-xO・2TiO・nHO、ただしxは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)をスラリー中で湿式粉砕して、
(5)スラリーから二チタン酸水素カリウム水和物を含むろ過ケーキを固液分離し、
(6)結合剤を用いることなく、当該ろ過ケーキから二チタン酸水素カリウム水和物の粒子を造粒し、
(7)二チタン酸水素カリウム水和物を60℃以上150℃以下の温度で1時間以上24時間以下の条件で乾燥し、
(8)乾燥した二チタン酸水素カリウム水和物を解砕し、整粒して、150μm以上1000μm以下の粒径範囲を有する粒子状コバルトイオン吸着剤とする
工程を含む、前記[4]に記載の製造方法。
[6]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填したコバルトイオン含有液処理装置。
[7]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填した放射性コバルト除染装置。
[8]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を用いる、コバルトイオン含有液処理方法。
[9]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を用いる、放射性コバルト除染方法。
[10]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填したコバルトイオン含有液処理装置に、コバルトイオン含有液を通水線流速(LV)1m/h以上40m/h以下、空間速度(SV)5h-1以上40h-1以下で通水することを含む、コバルトイオン含有液処理方法。
[11]前記[1]~[3]のいずれか1に記載の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填した放射性コバルト除染装置に、放射性コバルト含有液を通水線流速(LV)1m/h以上40m/h以下、空間速度(SV)5h-1以上40h-1以下で通水することを含む、放射性コバルト除染方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、化学式K2-xO・2TiO・nHO(式中、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物を用いることで、他のチタン酸アルカリ金属よりもコバルトイオンの吸着容量を向上させることができる。また、結合剤を用いなくとも高い機械的強度を有し、かつ吸着性能に優れ
る粒子状コバルトイオン吸着剤を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1により得た二チタン酸水素カリウム水和物のX線回折スペクトルである。
図2】実施例1、2、3及び比較例1、3のカラム試験によるコバルト除去性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではなく、本発明はその要旨を超えない範囲において、以下の実施形態に開示される各要素を種々変更して実施することができる。
【0009】
本発明のコバルトイオン吸着剤は、結合剤を含まず、化学式:K2-xO・2TiO・nHO(ただし、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物を含むことを特徴とする。xが1.3よりも大きくなるとTiO三角両錘体からなる層のへき開が起こりやすくなり、造粒の際に強度が低下し、機械的強度の高い粒子状コバルトイオン吸着剤を得ることができない。一方、xが0.5よりも小さいと吸着能が劣化する。xが0.5以上1.3以下で、層間距離が拡がった状態であれば、コバルトイオン吸着能が発現されるため、水和の状態すなわちnの値は限定されないが、nは0よりも大きく2以下であることが好ましい。
【0010】
チタン酸アルカリ金属は、一般的に化学式MO・mTiO(M:Hを除く一価カチオン、m=1,2,3,4,6,8等)で表される。カチオン交換体としてのチタン酸アルカリ金属は、mが大きい程チタン酸アルカリ金属一分子当たりのカチオン交換サイトが少なくなるため、カチオン交換容量は小さくなる。従って、カチオン交換容量に関してはmが1である化学式MO・TiO(M:H+を除く一価カチオン)で表される一チタン酸アルカリ金属が理想である。しかし、一チタン酸アルカリ金属は非常に不安定である。例えば、加熱により直ちに二チタン酸アルカリ金属:化学式MO・2TiO(M:Hを除く一価カチオン)と酸化アルカリ:化学式MO(M:Hを除く一価カチオン)とに不均化してしまう。一方、mが2である二チタン酸アルカリ金属:化学式MO・2TiO(M:Hを除く一価カチオン)は、熱的にも安定であり、酸及びアルカリ等の耐薬品性にも優れており、水処理用の吸着剤として好適である。本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤は、化学式KO・2TiOで表される二チタン酸カリウムを水和させ、Kイオンとプロトン(H)とのカチオン交換を経て得られる二チタン酸水素カリウム水和物:化学式K2-xO・2TiO・nHO(ただし、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)を主成分とし、結合剤を含まない。
【0011】
本発明のコバルトイオン吸着剤は、結合剤を含まず、粒径150μm以上1000μm以下、好ましくは150μm以上600μm以下、さらに好ましくは150μm以上300μm以下の粒径範囲を有する粒子状コバルトイオン吸着剤である。上記範囲の粒径を有する粒子とすることにより、高い吸着能を発揮することができるばかりでなく、機械的強度に優れ、取り扱いが容易で、コバルトイオンを除去するための吸着塔などに充填しやすくなる。
【0012】
本発明において用いる二チタン酸水素カリウム水和物は、CukαをX線源とするX線回折において、層間距離を示す2θが8.5±2.0°に回折ピークを有する。このピークは、層間の大きさを反映しており、2θがこの範囲にあることにより、高いコバルトイオン吸着能を発揮することができる。このX線回折の特徴的なピークは、二チタン酸カリ
ウム:化学式KO・2TiOを水と混合して水和物とする工程を経て発生するものである。
【0013】
本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤は、(1)チタン源及びカリウム源を混合し、(2)得られる混合物を焼成して二チタン酸カリウムを得て、(3)二チタン酸カリウムを水と接触させて(泥奬化)、水和と共にカリウムイオンとプロトンとのカチオン交換を生じさせ、(4)得られる二チタン酸水素カリウム水和物(K2-xO・2TiO・nHO、ただしxは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)をスラリー中で湿式粉砕して、(5)スラリーから二チタン酸水素カリウム水和物を含むろ過ケーキを固液分離し、(6)結合剤を用いることなく、当該ろ過ケーキから二チタン酸水素カリウム水和物の粒子を造粒し、(7)所定の層間距離となるように二チタン酸水素カリウム水和物を乾燥し、(8)乾燥した二チタン酸水素カリウム水和物を解砕し、整粒して、所望の粒径範囲を有する粒子状コバルトイオン吸着剤とすることにより製造することができる。
【0014】
化学式K2-xO・2TiO・nHO(ただし、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物は、イルメナイト鉱石を硫酸法にて溶解し、得られたメタチタン酸スラリーに炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、酸化カリウム等のカリウム源を混合して、乾燥、焼成して得られた二チタン酸カリウム(KO・2TiO)を水と混合して水和及びカリウムイオン(K)とプロトン(H)とのカチオン交換反応により得られる。
【0015】
二チタン酸水素カリウム水和物は、結合剤を使用することなく機械的強度が大きい粒子に造粒することができる。
以下、本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤の製造方法を工程別に説明する。
【0016】
[原料]
本発明で用いるチタン源としては、二酸化チタン、亜酸化チタン、オルトチタン酸又はその塩、メタチタン酸又はその塩、水酸化チタンなどを、単独あるいは2種類以上を組合せて用いることができる。特にメタチタン酸を好適に用いることができる。メタチタン酸は、イルメナイト等のチタン鉱石を硫酸にて溶解し、加水分解後にスラリーとして得られるため、焼成物よりも安価である。さらに、メタチタン酸は焼成物より微細であるため、カリウム源との混合性及び反応性にも優れている。
【0017】
カリウム源としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シュウ酸カリウムなどを単独あるいは2種類以上を組合せて用いることができる。カリウム源としては、焼成反応において溶融するものが好ましく、特に炭酸塩が好ましい。炭酸カリウムは、チタン源との焼成反応において、溶融あるいは分解し、反応が起き易く、また分解した後も化学的に不活性な二酸化炭素が発生する以外は副生成物が発生しないので好ましい。
【0018】
[混合]
チタン源とカリウム源の混合割合としては、1モルのTiに対してKは0.95モル以上1.25モル以下の割合が好ましい。1モルのTiに対するKの割合が0.95モルよりも小さい場合は四チタン酸カリウム等の不純物の量が多くなり、1モルのTiに対するKの割合が1.25モルよりも大きい場合は余剰のカリウムがチタン酸カリウムを生成することなく残存する。いずれの場合もカチオン交換容量が小さくなり、コバルトイオンの吸着容量が低下する。組成分析は、誘導結合プラズマ質量分析計ICP-Mass(アジレント・テクノロジー株式会社製Agilent 7700x ICP-MS)にて測定した値である。チタン源とカリウム源の混合は、両原料共に固体を用いる乾式混合、または一方の原料或いは両原料共に泥漿(スラリー)或いは水溶液を用いる湿式混合で行うこ
とができる。
【0019】
乾式混合する場合は、得られた混合物をそのまま焼成することができる。湿式混合する場合は、チタン源とカリウム源の混合スラリーを適切な方法で乾燥した後、焼成する。混合スラリーの乾燥を容易にかつ効率よく行うために、乾燥の前に造粒してもよい。スラリーからの造粒方法は、通常の造粒方法、例えば粘度の高いスラリーを有孔板から押し出す方法などを制限なく用いることができる。乾燥装置の形式や乾燥の熱源は特に限定されないが、乾燥する時間が長くなると水溶性のカリウムが水の移動に伴ってバルクの内部からバルクの表面に移動することにより、Ti/Kモル比に偏りを生じるため、乾燥する時間が短い噴霧乾燥法が好ましい。
【0020】
[焼成]
チタン源とカリウム源の原料混合物を焼成することによって二チタン酸カリウムを得る。焼成温度及び焼成時間に特に制約はないが、700℃以上850℃以下の範囲の温度で1時間以上24時間以下保持することが好ましい。昇温速度及び降温速度は特に制約はないが、3℃/分以上8℃/分以下とすることが好ましい。
【0021】
[解砕及び泥奬化]
得られた焼成物の泥漿(スラリー)化及び次工程の湿式粉砕を容易にするために、焼成物を解砕することが好ましい。解砕は、通常の解砕手段、例えば、らいかい機、エッジランナー式粉砕機、ハンマー式粉砕機、気流式粉砕機、高速撹拌型解砕機、双ロール式ミル等を用いて行うことができる。焼成物を解砕した後、解砕物に水を加えて泥漿(スラリー)化する。泥漿(スラリー)化により、二チタン酸カリウムは、水和及びカリウムイオンとプロトンとのカチオン交換が生じてK2-xO・2TiO・nHO(ただし、xは0.5以上1.3以下であり、nは0よりも大きい)で表される二チタン酸水素カリウム水和物となる。
【0022】
[湿式粉砕]
上記の解砕及び泥漿化で得られた泥漿(スラリー)を湿式粉砕する。ただし、過剰の湿式粉砕を行うと、微粉化が進行し過ぎて、最終物である吸着剤の機械的強度が低下するため、適度の湿式粉砕を行う。湿式粉砕は、ビーズミルや高圧ホモジナイザーなどの通常の湿式粉砕方法を制限なく用いることができる。湿式粉砕の条件は、スラリー中の二チタン酸水素カリウム水和物の性状や湿式粉砕後の処理条件に応じて適宜選択することができる。たとえば、湿式粉砕後に乾燥させた二チタン酸水素カリウム水和物の比表面積が1.5m/g以上15m/g以下になるように粉砕条件を設定することができる。
【0023】
[ろ過]
湿式粉砕した泥漿(スラリー)を適切なろ過装置を用いて固液分離する。ろ過装置に特に制限はなく、通常のろ過装置、例えば減圧ろ過装置、プレス式ろ過装置などを用いることができる。造粒の容易さを勘案すると、ろ過ケーキの含水率は350g/kg以上500g/kg以下とすることが好適である。
【0024】
[造粒]
得られたろ過ケーキを造粒する。造粒方法としては、ろ過ケーキを直接押出造粒してもよいし(湿式造粒)、ろ過ケーキを乾燥した後、塊状乾燥物を粉砕して整粒してもよい(乾式造粒)。押出造粒装置としては、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ブレード型押出造粒機、自己成形型押出造粒機等を用いることができる。
【0025】
[乾燥]
湿式造粒した造粒体を乾燥する。乾燥装置及びその熱源には特に制約はないが、60℃
以上150℃以下の温度で1時間以上24時間以下の時間をかけて行うことが好ましい。加熱によって生成物の層間距離が減少する。層間距離はイオン交換能に影響する。従って、温度管理は厳密に行う必要がある。
【0026】
[解砕及び整粒]
乾式造粒した造粒体または湿式造粒後に乾燥した造粒体を解砕し、必要に応じて分級装置を用いて、粒径150μm以上1000μm以下、より好ましくは150μm以上600μm以下となるように整粒して、粒子状コバルトイオン吸着剤を得る。整粒後の粒径が上記範囲内であれば、吸着塔などへの充填体積を好適範囲に維持することができ、吸着塔を閉塞するおそれも少ない。充填体積が小さくなると、単位体積当たりのコバルトイオン吸着能が低下するため好ましくなく、吸着塔が閉塞すると通水できなくなるため好ましくない。
【0027】
本発明によれば、上記粒子状コバルトイオン吸着剤を、水処理用吸着容器または吸着塔等に充填してなるコバルトイオン含有液処理装置、好ましくは放射性コバルト除染装置も提供される。
【0028】
本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤は、下部又は上部にストレーナー構造を有する吸着容器又は吸着塔に充填して使用することができる。コバルトイオン、特に放射性コバルトを含有する汚染水を当該吸着容器又は吸着塔に通水して処理するコバルトイオン含有液処理装置又は放射性コバルト除染装置に有効に適用することができる。
本発明のコバルトイオン含有液処理装置又は放射性コバルト除染装置において、本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤を10cm以上300cm以下の層高、好ましくは20cm以上250cm以下、より好ましくは50cm以上200cm以下の層高となるように吸着塔に充填することが好ましい。上記範囲とすることで、吸着剤を吸着塔に充填する際に吸着剤層を均一に充填することができ、通水時のショートパスを引き起こさず、結果として処理水質が悪化することを防止することができる。層高が高い程、適切な通水差圧が実現でき、処理水質が安定化し、処理水の総量も多くなるため好ましいが、通水差圧を小さくするため層高300cm以下とすることが好ましい。
【0029】
また本発明によれば、コバルトイオン含有液処理装置、好ましくは放射性コバルト除染装置に、コバルトイオン含有液好ましくは放射性コバルト含有液を通水してコバルトイオン好ましくは放射性コバルトを吸着除去するコバルトイオン含有液処理方法、好ましくは放射性コバルト除染方法も提供される。
放射性コバルト除染に用いる場合には、本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤を充填した吸着塔に対して、放射性コバルトを含有する放射性廃液を通水線流速(LV)1m/h以上40m/h以下、好ましくは2m/h以上30m/h以下、より好ましくは10m/h以上20m/h以下、空間速度(SV)40h-1以下、好ましくは30h-1以下、より好ましくは20h-1以下、好ましくは5h-1以上、より好ましくは10h-1以上で通水する。通水線流速が40m/hを越えると通水差圧が大きくなり、1m/h未満では処理水量が少ない。空間速度(SV)は一般的な廃液処理で用いられる20h-1以下、特に10h-1程度でも本発明の粒子状コバルトイオン吸着剤の効果を得ることができるが、通常の吸着剤を用いる廃液処理では20h-1を越える大きな空間速度(SV)では安定した処理水質を実現できず、除去効果を得る事ができない。本発明においては、吸着塔を大型化せずに通水線流速及び空間速度を大きくすることができる。
なお、通水線流速とは、吸着塔に通水する水量(m/h)を吸着塔の断面積(m)で除した値である。空間速度とは、吸着塔に通水する水量(m/h)を吸着塔に充填した吸着剤の体積(m)で除した値である。
【実施例
【0030】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。以下に挙げる例は単に例示のために記すものであり、発明の範囲がこれによって制限されるものではない。
【0031】
[合成例:二チタン酸カリウムの合成]
酸化チタン換算で14.75kgのTiを含むメタチタン酸スラリーに、炭酸カリウム(旭硝子製)15.75kgを溶解して、原料混合物スラリーを調製した。原料混合物スラリーを噴霧乾燥し、チタン源とカリウム源を含む混合乾燥物を得た。
【0032】
得られた混合乾燥物2kgをこう鉢2個に各1kgずつ充填し、電気炉にて設定温度770℃で6時間焼成した。得られた焼成物を、ハンマー式ミルを用いて解砕した。得られた粉末をX線回折装置(株式会社リガク製RINT-TTRIII)で同定したところ、化学式KO・2TiOで表される二チタン酸カリウムのピークと一致した。また、走査型電子顕微鏡を用いて測定した粉末の平均粒子径は15μmであった。
【0033】
[実施例1:粒子状コバルトイオン吸着剤の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末400gを水2Lに添加して(水戻し)、スラリーを調製した(泥奬化)。このスラリーを2回湿式粉砕した。湿式粉砕後に固液分離し、乾燥させた二チタン酸水素カリウム水和物粉末の比表面積は6.5m/gであった。
次に、減圧ろ過によりスラリーをろ過して、ろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキを設定温度110℃で15時間乾燥させて乾式造粒した後、解砕し、篩により300μm以上600μm以下の粒径範囲に整粒して、粒径300μm以上600μm以下の範囲の粒子状コバルトイオン吸着剤を得た。
【0034】
[実施例2:粒子状コバルトイオン吸着剤の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末400gを水2Lに添加して(水戻し)、スラリーを調製した(泥奬化)。このスラリーを2回湿式粉砕した。湿式粉砕後に固液分離し、乾燥させた二チタン酸水素カリウム水和物粉末の比表面積は4.7m/gであった。
次に、プレス式ろ過機を用いてスラリーをろ過し、ろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキを押出成型機を用いて造粒し、設定温度110℃で15時間乾燥した後、解砕し、篩により300μm以上600μm以下の粒径範囲に整粒して、粒径300μm以上600μm以下の範囲の粒子状コバルトイオン吸着剤を得た。
【0035】
[実施例3:粒子状コバルトイオン吸着剤の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末400gを水2Lに添加して(水戻し)、スラリーを調製した(泥奬化)。このスラリーを2回湿式粉砕した。湿式粉砕後に固液分離し、乾燥させた二チタン酸水素カリウム水和物粉末の比表面積は4.7m/gであった。
次に、プレス式ろ過機を用いてスラリーをろ過し、ろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキを押出成型機を用いて造粒した。得られた造粒物の30g/kg分の水を噴霧した後、設定温度110℃で15時間乾燥した後、解砕し、篩により150μm以上300μm以下の粒径範囲に整粒して、粒径150μm以上300μm以下の範囲の粒子状コバルトイオン吸着剤を得た。
【0036】
[実施例4:粒子状コバルトイオン吸着剤の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末1200gを水2Lに添加して(水戻し)、スラリーを調製した(泥奬化)。このスラリーを2回湿式粉砕した。湿式粉砕後に固液分離し、乾燥させた二チタン酸水素カリウム水和物粉末の比表面積は9.9m/gであった。
次に、減圧ろ過によりスラリーをろ過して、ろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキを設定温度110℃で15時間乾燥させて乾式造粒した後、解砕し、篩により300μm以上600μm以下の粒径範囲に整粒して、粒径300μm以上600μm以下の範囲の粒子状コバルトイオン吸着剤を得た。
【0037】
[実施例5:粒子状コバルトイオン吸着剤の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末400gを水2Lに添加して(水戻し)、スラリーを調製した(泥奬化)。このスラリーを1回湿式粉砕した。湿式粉砕後に固液分離し、乾燥させた二チタン酸水素カリウム水和物粉末の比表面積は3.6m/gであった。
次に、プレス式ろ過機を用いてスラリーをろ過及び洗浄し、ろ過ケーキを得た。得られたろ過ケーキを押出成型機を用いて造粒し、設定温度110℃で15時間乾燥した後、解砕し、篩により150μm以上600μm以下の粒径範囲に整粒して、粒径150μm以上600μm以下の範囲の粒子状コバルトイオン吸着剤を得た。
【0038】
[比較例1:結合剤を含む粒子の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末200g、結合剤として日東粉化工業製天然ゼオライトSP-2300を60g、造粒助剤としてPVA(ポリビニルアルコール)6gを混合した後、水60gを徐々に添加しながら転動造粒を行った。造粒物を設定温度110℃で12時間乾燥した後、篩にて300μm以上1000μm以下の粒径範囲に整粒した。整粒した粉末を電気炉にて設定温度630℃で5時間焼成を行った。焼成後に再度篩にて300μm以上1000μm以下の粒径範囲に整粒し、粒径300μm以上1000μm以下の範囲の粒子を得た。
【0039】
[比較例2:二チタン酸カリウム粒子の製造]
合成例で得られた、比表面積1.0m/g、平均粒子径15μmの二チタン酸カリウム粉末をそのまま解砕した。解砕後の比表面積は1.3m/gであった。さらに、篩にて150μm以上600μm以下の粒径範囲に整粒して、粒径150μm以上600μm以下の範囲の粒子を得た。
【0040】
[比較例3:市販の顆粒状吸着剤]
市販品の顆粒状コバルトイオン吸着剤であるFortum製の商品名「CoTreat」を用いた。この市販品の組成は公表されていないが、組成分析結果からチタン酸ナトリウムを含むと推測される。
【0041】
[組成分析]
被検試料のチタン及びカリウムの含有量を誘導結合プラズマ質量分析計ICP-Mass(アジレント・テクノロジー株式会社製Agilent 7700x ICP-MS)で測定した。当該含有量より化学式K2-xO・2TiO・nHOのxを算出した。
【0042】
[X線回折]
株式会社リガク製のX線回折装置RINT-TTRIIIを使用して、Cukα線をX線源として、走査速度5deg/minで被検試料のX線回折プロファイルを得た。X線回折強度が小さい場合には、複数回の走査を行ってそれらを積算することによりX線回折プロファイルを得た。X線回折装置に付属の解析プログラムを使用して、主たるX線回折ピークの回折角度2θを算出した。
【0043】
[コバルト吸着性能の評価]
実施例1乃至5及び比較例1乃至2で製造した粒子状コバルトイオン吸着剤及び比較例
3の市販の顆粒状コバルトイオン吸着剤をそれぞれ内径15.96mmの円筒状カラムに容積で20mL、層高で100mmになるように充填した。並塩3g/kg、コバルト1mg/kg、マグネシウムが5mg/kg、セシウムが1mg/kgになるように調製した模擬汚染海水をそれぞれのカラムに6.5mL/minの流量(通水線流速2m/h、空間速度20h-1)で通水し、出口水を定期的に採取して、アジレント・テクノロジー株式会社製Agilent 7700x ICP-MSを用いて、模擬汚染海水中のコバルト濃度を測定した。図2は実施例1乃至3、比較例1及び比較例3のコバルトの除去性能を示す。図2において、横軸は吸着剤の体積に対して何倍量の模擬汚染海水を通水したのかを示すB.V.(Bed Volume)であり、縦軸はカラム出口のコバルトの濃度(C)をカラム入口のコバルトの濃度(C)で除した値(C/C)である。破過B.V.とは、通水の開始からC/Cが3%を超越したB.V.、すなわちカラム出口のコバルトの濃度が0.03mg/kgを超越したB.V.をいう。
【0044】
[粒子状コバルトイオン吸着剤の崩壊状態]
コバルトイオン吸着剤の崩壊状態の評価を行った。カラム試験における水溶液の流下状況及びカラム試験後の粒子状コバルトイオン吸着剤の状態及びカラムからの取り出しやすさにより、以下の優、良、可及び不可を判定した。
優:カラム試験における水溶液の流下に支障が無く、カラム試験後も粒子が崩壊しておらず、粒子をカラムから容易に取り出せる。
良:カラム試験における水溶液の流下及びカラムからの粒子の取り出しに支障はないが、カラム試験後に粒子の崩壊が多少認められる。
可:カラム試験における水溶液の流下に支障はないが、カラム試験後には粒子が崩壊して、カラムからの粒子の取り出しに支障がある。
不可:カラム試験における水溶液の流下に支障があり、カラムから粒子を容易に取り出せないほど粒子が崩壊している。
【0045】
結果を表1にまとめて示す。
【表1】
【0046】
表1及び図2より、実施例1乃至5は、比較例1及び3よりコバルトが検出されるまでのB.V.が大きくなっており、コバルト吸着性能が高いことが分かる。比較例2はカラム内で粒子が崩壊したため、水溶液の流下が困難となり、破過B.V.は計測不能であった。
図1
図2