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特許7106608マーク検出装置、アライメント装置、成膜装置、マーク検出方法、および、成膜方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】マーク検出装置、アライメント装置、成膜装置、マーク検出方法、および、成膜方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220719BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20220719BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20220719BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220719BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220719BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G03F9/00 H
C23C14/04 A
H05B33/14 A
H05B33/10
H01L21/68 N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020142333
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038048
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 寛
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-039072(JP,A)
【文献】特開2014-071315(JP,A)
【文献】特開2013-084407(JP,A)
【文献】特開平08-304810(JP,A)
【文献】特開2012-028664(JP,A)
【文献】特開2014-121727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G03F 9/00
C23C 14/04
H01L 51/50
H05B 33/10
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントマークを検出するマーク検出装置であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出手段と、を備え、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記検出手段は、前記アライメントマークの前記線状部分の端部を除いた部分と、前記モデル画像とを比較する
ことを特徴とするマーク検出装置。
【請求項2】
前記アライメントマークにおいて、前記線状部分の前記端部の太さが、前記線状部分の前記端部とは別の部分の太さに比べて大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のマーク検出装置。
【請求項3】
前記アライメントマークの前記線状部分は、第1線状部分と、前記第1線状部分に交差する第2線状部分とを含み、
前記検出手段は、前記アライメントマークの前記第1線状部分の両側の端部および前記第2線状部分の両側の端部を除いた部分と、前記モデル画像とを比較する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマーク検出装置。
【請求項4】
前記モデル画像は、前記アライメントマークの前記線状部分に対応する線状モデル部分を含み、
前記検出手段は、前記線状モデル部分の長さの異なる複数のパターンの中から、比較に用いる前記モデル画像を選択する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項5】
前記アライメントマークは、レーザ加工により基板に形成された基板マークである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項6】
前記基板はシリコンウェハ基板である
ことを特徴とする請求項5に記載のマーク検出装置。
【請求項7】
前記モデル画像は、前記アライメントマークの設計値または前記撮影画像に含まれる前記アライメントマークに基づいて生成される
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項8】
アライメントマークを検出するマーク検出装置であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出手段と、を備え、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記モデル画像は、前記アライメントマークの前記線状部分に対応する線状モデル部分を含み、
前記アライメントマークの前記線状部分の長さより、前記モデル画像の前記線状モデル部分の長さが短い
ことを特徴とするマーク検出装置。
【請求項9】
前記アライメントマークにおいて、前記線状部分の端部の太さが、前記線状部分の前記端部とは別の部分の太さに比べて大きい
ことを特徴とする請求項8に記載のマーク検出装置。
【請求項10】
前記モデル画像の前記線状モデル部分の長さは、前記アライメントマークの前記線状部分の前記別の部分長さに相当する長さである
ことを特徴とする請求項9に記載のマーク検出装置。
【請求項11】
前記アライメントマークの前記線状部分は、第1線状部分と、前記第1線状部分に交差する第2線状部分とを含み、
前記モデル画像の前記線状モデル部分は、第1線状モデル部分と、前記第1線状モデル部分に交差する第2線状モデル部分とを含み、
前記アライメントマークの前記第1線状部分の長さより、前記モデル画像の前記第1線状モデル部分の長さが短く、
前記アライメントマークの前記第2線状部分の長さより、前記モデル画像の前記第2線状モデル部分の長さが短い
ことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項12】
前記検出手段は、前記線状モデル部分の長さの異なる複数のパターンの中から、比較に用いる前記モデル画像を選択する
ことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項13】
前記アライメントマークは、レーザ加工により基板に形成された基板マークである
ことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項14】
前記基板はシリコンウェハ基板である
ことを特徴とする請求項13に記載のマーク検出装置。
【請求項15】
前記モデル画像は、前記アライメントマークの設計値または前記撮影画像に含まれる前記アライメントマークに基づいて生成される
ことを特徴とする請求項8から14のいずれか1項に記載のマーク検出装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のマーク検出装置と、
前記アライメントマークの位置に基づいて基板とマスクとをアライメントするアライメント手段と、を有する
ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項17】
請求項16に記載のアライメント装置と、
前記基板に対してアライメントされた前記マスクを介して、前記基板に成膜を行う蒸発源装置と、を備える
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項18】
アライメントマークを検出するマーク検出方法であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影工程と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出工程と、を有し、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記検出工程は、前記アライメントマークの前記線状部分の端部を除いた部分と、前記モデル画像とを比較する比較工程を含む
ことを特徴とするマーク検出方法。
【請求項19】
アライメントマークを検出するマーク検出方法であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影工程と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出工程と、を有し、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記モデル画像は、前記アライメントマークの前記線状部分に対応する線状モデル部分を含み、
前記アライメントマークの前記線状部分の長さより、前記モデル画像の前記線状モデル部分の長さが短い
ことを特徴とするマーク検出方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載のマーク検出方法によって前記アライメントマークを検出する工程と、
前記アライメントマークの位置に基づいて基板とマスクとをアライメントするアライメント工程と、
前記基板に対してアライメントされた前記マスクを介して、前記基板に成膜を行う成膜工程と、を有する
ことを特徴とする成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板等を撮影して得られた画像データから、その基板等に設けられたマークを検出するマーク検出装置がある。このようなマーク検出装置は、例えば、基板上にマスクを介して成膜材料の膜を形成する成膜装置が備えている、基板とマスクのアライメント(位置合わせ)をするためのアライメント装置に用いられる。かかるアライメント装置は、基板とマスクを撮像し、基板に設けられた基板マークとマスクに設けられたマスクマークを検出して、マーク間の距離が所定の関係を満たすように基板またはマスクを移動させてアライメントを行う。このとき、アライメント精度を向上させるためには、撮像された画像中から基板マークやマスクマークをできるだけ正確に抽出する必要がある。
【0003】
かかる成膜装置の例としては、有機半導体の製造に用いる有機半導体製造装置がある。有機半導体の製造においては、シリコン等のウェハ基板にレーザ加工により基板用のアライメントマーク(基板マーク)を形成する。そしてその基板に所望のパターンを持つマスクを接近させ、マスクに形成されたアライメントマーク(マスクマーク)と基板マークの位置関係に基づく位置合わせを行う。
【0004】
また成膜装置の他の例としては、有機EL表示装置を製造するための有機EL用の成膜装置が挙げられる。有機ELディスプレイの場合、成膜装置内でガラス等の基板に画素パターンが形成されたマスクを位置合わせし、マスクを介して有機材料や金属材料を成膜することにより、基板上に機能層や電極金属層を形成する。
このような成膜装置において高精度な成膜を行うためには、基板とマスクを精度良くアライメントする必要がある。
【0005】
特許文献1(特開2019-179186号公報)には、レーザ加工により基板に形成されたアライメントマークを用いる技術が記載されている。すなわち特許文献1では、レーザを用いて基板にスポット状の光束を照射してアライメントマークを形成し、そのアライメントマークを含む領域を撮影して得られた画像を用いてアライメントを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-179186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板とマスクのアライメント精度を向上させるために、基板マークをより精度良く検出することが求められている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アライメント用に基板に形成されたマークの検出精度を向上させるための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
アライメントマークを検出するマーク検出装置であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出手段と、を備え、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記検出手段は、前記アライメントマークの前記線状部分の端部を除いた部分と、前記モデル画像とを比較する
ことを特徴とするマーク検出装置である。
本発明は、また、以下の構成を採用する。すなわち、
アライメントマークを検出するマーク検出装置であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出手段と、を備え、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記モデル画像は、前記アライメントマークの前記線状部分に対応する線状モデル部分を含み、
前記アライメントマークの前記線状部分の長さより、前記モデル画像の前記線状モデル部分の長さが短い
ことを特徴とするマーク検出装置である。
本発明は、また、以下の構成を採用する。すなわち、
アライメントマークを検出するマーク検出方法であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影工程と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出工程と、を有し、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記検出工程は、前記アライメントマークの前記線状部分の端部を除いた部分と、前記モデル画像とを比較する比較工程を含む
ことを特徴とするマーク検出方法である。
本発明は、また、以下の構成を採用する。すなわち、
アライメントマークを検出するマーク検出方法であって、
前記アライメントマークを含む領域を撮影して撮影画像を得る撮影工程と、
前記撮影画像とモデル画像とを比較して前記アライメントマークの位置を検出する検出工程と、を有し、
前記アライメントマークは線状部分を含み、
前記モデル画像は、前記アライメントマークの前記線状部分に対応する線状モデル部分を含み、
前記アライメントマークの前記線状部分の長さより、前記モデル画像の前記線状モデル部分の長さが短い
ことを特徴とするマーク検出方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アライメント用に基板に形成されたマークの検出精度を向上させるための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】成膜装置を含む電子デバイスの製造ラインの模式図
図2】成膜装置の内部構成を示す断面図
図3】マーク検出とアライメントについて説明する図
図4】基板マーク端部の膨らみとモデル基板マークを示す図
図5】マーク検出から成膜処理の流れを説明するフロー図
図6】実施例におけるモデル基板マークの修正を説明する図
図7】基板マークの別形態を示す図
図8】複数の修正モデル基板マークを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。ただし、以下の記載は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状などは、特に記載がない限りは、本発明の範囲をこれに限定しようとする趣旨ではない。
【0013】
ここで、基板に何らかの所望の形状を持つ膜を形成する際には、形成される膜の形状に適したマスクパターンを有するマスクを用いる。これにより、成膜される各層を任意に構成できる。そして、基板上の所望の位置に膜を形成するためには、基板等とマスクの相対位置を精度良くアライメントする必要がある。アライメント時には通常、カメラ等の撮影手段によって基板に形成されたアライメントマーク(基板マーク)とマスクに形成されたアライメントマーク(マスクマーク)を撮像し、アクチュエータ等のアライメント手段によって位置合わせを行う。すなわち良好なアライメントのためには、少なくとも基板マークとマスクマークを精度よく検出できることが好ましい。
【0014】
本発明は、上記のように、アライメントマーク(基板マークおよび/またはマスクマーク)を検出する技術に好ましく用いられる。したがって本発明は、マーク検出装置またはマーク検出方法として捉えられる。本発明はまた、検出されたマークを用いて基板とマスクをアライメントするアライメント装置またはアライメント方法としても捉えられる。本発明はまた、かかるアライメント装置またはアライメント方法を用いた成膜装置または成膜方法としても捉えられる。本発明はまた、かかる成膜装置または成膜方法を用いた電子デバイスの製造装置または電子デバイスの製造方法としても捉えられる。
【0015】
本発明は、基板の表面にマスクを介して所望のパターンの薄膜材料層を形成する場合に好ましく適用できる。基板の材料としては、シリコン、ガラス、樹脂、金属など任意のものを利用できる。成膜材料としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物)など任意のものを利用できる。本発明の技術は、典型的には、電子デバイスや光学部材の製造装置
に適用される。本発明は例えば、有機半導体製造装置や、それを用いて製造された有機半導体に適用できる。本発明はまた、有機ELディスプレイやそれを用いた有機EL表示装置の製造装置、薄膜太陽電池、有機CMOSイメージセンサなどの有機電子デバイスに好適である。
【0016】
<従来技術の検討>
発明者らが鋭意検討した結果、従来の技術においては基板マークの検出精度が低下する可能性があることが分かった。
【0017】
図3は、基板マークの検出について説明する図である。ここでは、ウェハ基板にレーザ加工により基板マークを形成する場合を例として挙げる。
図3(a)および図3(b)は、従来例にかかる理想的な図であり、各々、理想的に形成された基板マーク104と、基板マーク104を検出するための内部的なモデルであるモデル基板マーク174を示す。モデル基板マーク174とは、基板マークの形状を示すモデル画像であり、記憶手段に記憶されている。また図3(c)は、撮像領域内に基板マーク104とともにマスクマーク224が含まれた様子を示す図である。
【0018】
図3(a)の基板マーク104と図3(b)のモデル基板マークを用いて基板マーク検出を行う場合について説明する。マーク検出装置は、撮影手段により撮像された撮像領域264内の基板マーク104のデータを、パターンマッチング等の画像認識アルゴリズムによってモデル基板マーク174と比較する。モデル基板マーク174の形状に合致する基板マーク104が検出された場合、マーク検出装置は、検出された基板マーク104の位置を座標として記憶する。そしてマーク検出装置がマスクマーク224を検出すると、アライメント装置が基板とマスクのアライメントを行う。
【0019】
一方、図4(a)は、従来例にかかる、レーザ加工技術を用いてウェハ基板を加工して形成された、実際の線状の基板マークを示す図である。
この場合、基板マークの中央部104mは理想の基板マークと同じ太さであるが、基板マークの端部104tが膨らんだ形状となる場合がある。すなわち、線状のマークにおいて線の端部近傍の第1の領域の線の太さが端部近傍以外の第2の領域の線の太さに比べて大きくなる場合がある。端部(第1の領域)104tの中央部(第2の領域)104mに対する膨らみの程度や形状は基板の材質や加工方法に応じて異なるものの、かかる膨らみの発生はマーク検出の精度に影響を与える可能性がある。
【0020】
すなわち、本図の形状を持つ基板マーク104を、図4(b)に示すモデル基板マーク174とのマッチングにより検出しようとしても、基板マークの第1の領域104tの形状がモデル基板マーク174と一致しない。そのため、基板マーク104の認識精度が低下したり、位置検出時の座標精度が低下したりする可能性がある。その結果、アライメントの精度が低下する可能性があった。
【0021】
そこで以下の記載では、端部に膨らみなどの変形が発生した基板マークであっても良好に検出可能とするための実施例を説明する。なお、本発明は、ウェハをレーザ加工する場合に限られず、基板およびマスクの少なくともいずれかにマークを設ける際に、加工の影響などにより端部に膨らみや変形が発生する場合に適用できる。
【0022】
<実施例1>
(電子デバイスの製造ライン)
図1は、電子デバイスの製造ラインの構成を模式的に示す平面図である。このような製造ラインは、成膜装置を含む成膜システムである。ここでは、有機ELディスプレイの製造ラインについて説明する。有機ELディスプレイを製造する場合、製造ラインに所定の
サイズの基板を搬入し、有機ELや金属層の成膜を行った後、基板のカットなどの後処理工程を実施する。
【0023】
図1に示すように、製造ラインの成膜クラスタ1は、中央に配置される搬送室130と、搬送室130の周囲に配置される成膜室110およびマスクストック室120を含む。成膜室110は成膜装置を含み、基板10に対する成膜処理が行われる。マスクストック室120は使用前後のマスクが収納される。
【0024】
搬送室130内に設置された搬送ロボット140は、基板10やマスク220を搬送室130に搬入し、搬送室130から搬出する。搬送ロボット140は、例えば、多関節アームに基板10やマスク220を保持するロボットハンドが取り付けられたロボットである。成膜室110、マスクストック室120、搬送室130、バッファ室160、旋回室170などの各チャンバは、有機EL表示パネルの製造過程で高真空状態を維持する。
【0025】
成膜クラスタ1には、基板搬送方向において上流側から流れてくる基板10を搬送室130に搬送するパス室150と、成膜処理が完了した基板10を下流側の他の成膜クラスタに搬送するためのバッファ室160が含まれる。搬送室130の搬送ロボット140は、パス室150から基板10を受け取ると、複数の成膜室110のうちの一つに搬送する。搬送ロボット140はまた、成膜処理が完了した基板10を成膜室110から受け取り、バッファ室160に搬送する。図示例では、パス室150のさらに上流側や、バッファ室160のさらに下流側には、基板10の方向を変える旋回室170が設けられる。
【0026】
(成膜装置)
図2は、成膜装置の構成を模式的に示す断面図である。複数の成膜室110それぞれには、成膜装置108(蒸着装置とも呼ぶ)が設けられている。搬送ロボット140との基板10の受け渡し、基板10に設けられた基板マークの検出、マスク220に設けられたマスクマークの検出、基板10とマスク220の相対位置の調整(アライメント)、マスク上への基板10の固定、成膜(蒸着)などの一連の成膜プロセスは、成膜装置の各構成要素によって行われる。
【0027】
以下の説明においては、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を用いる。XYZ直交座標系において、成膜時に基板が水平面(XY平面)と平行となるよう固定された場合、長辺と短辺を有する矩形の基板10の短手方向(短辺に平行な方向)をX方向、長手方向(長辺に平行な方向)をY方向とする。また、Z軸まわりの回転角をθで表す。
【0028】
成膜装置108は、真空チャンバ200を有する。真空チャンバ200の内部は、真空雰囲気、または、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されている。真空チャンバ200の内部には、基板支持ユニット210、マスク220、マスク台221、冷却板230、および蒸発源240が設けられる。
【0029】
基板支持ユニット210は、搬送ロボット140から受け取った基板10を支持するホルダとしての機能を有する基板支持手段である。マスク220は、例えばメタルマスクであり、基板上に形成される薄膜パターンに対応する開口パターンを持つ。マスク220は、マスク支持ユニットである枠状のマスク台221の上に設置されており、マスク上に基板10が位置決めおよび保持されたのち、成膜が行われる。基板支持ユニット210は、例えば、基板10の周囲を、載置または挟持にて支持する複数の支持具が設けられた支持枠体により構成される。
【0030】
冷却板230は、成膜時には、基板10の、マスク220と接触する面とは反対側の面に接触し、成膜時の基板10の温度上昇を抑える板状部材である。冷却板230が基板1
0を冷却することにより、有機材料の変質や劣化が抑制される。冷却板230は、マグネット板を兼ねていてもよい。マグネット板とは、磁力によってマスク220を引き付けることで、成膜時の基板10とマスク220の密着性を高める部材である。なお、基板10とマスク220の密着性を高めるために、基板支持ユニット210が基板10とマスク220を両方とも保持して、アクチュエータ等により密着させてもよい。
【0031】
蒸発源240は、蒸着材料を収容する容器(ルツボ)、ヒータ、シャッタ、駆動機構、蒸発レートモニタなどから構成される成膜手段である。なお、成膜源は蒸発源240には限定されない。例えば成膜装置108が、成膜源としてスパッタリングターゲットを用いるスパッタリング装置であってもよい。
【0032】
制御部270は、アクチュエータ部282の各アクチュエータの動作制御、カメラ261の撮影制御および画像データ解析、基板10およびマスク220の搬出入制御およびアライメント制御、成膜源の制御、成膜の制御、その他様々な制御を行う。制御部270は、例えば、プロセッサ、メモリのような記憶手段、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部270の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部270の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、成膜装置ごとに制御部270が設けられていてもよいし、1つの制御部270が複数の成膜装置を制御してもよい。
【0033】
(マーク検出のための構成)
真空チャンバ200の外側上部には、撮影手段として、光学撮像を行って画像データを生成するカメラ261が設けられている。カメラ261は、真空チャンバ200に設けられた窓(不図示)を通して撮像を行う。なお、本実施例では一段階アライメント方式を採用しているが、二段階アライメント方式でもよい。その場合、低解像だが広視野の第1のアライメント(ラフアライメント)用のカメラと、狭視野だが高解像の第2のアライメント(ファインアライメント)用のカメラを設置しておき、ラフアライメントからファインアライメントの順にアライメントを行う。
【0034】
本実施例でのカメラ261は、基板10およびマスク220の隅部を撮像できる位置に設置される。カメラ261の撮像領域には、基板表面の基板マーク104と、マスク表面のマスクマーク224が含まれる。本実施例では、基板10およびマスク220の四隅に対応するように、4台のカメラ261を設けている。ただし、アライメントマークの数および設置場所、ならびに、カメラの数、設置場所および種類は、これに限定されない。
【0035】
制御部270は、カメラ261による撮像された画像データ(撮影画像)を解析し、基板マーク104およびマスクマーク224の位置情報を取得する。例えば基板マーク104について見ると、撮像領域264を撮像して取得された画像データをパターンマッチング処理により解析して、モデル基板マーク174と一致する形状を抽出する。
【0036】
カメラ261の位置は固定されているため、撮像領域264の範囲で撮像された画像データ中の任意の位置を座標値に変換することができる。よって、各撮像画像中から検出されたアライメントマークの位置を座標値として取得できる。
その結果、基板マーク104とマスクマーク224の距離や角度などを算出できる。カメラ261は、各アライメントマークの位置情報を取得するマーク検出装置である。また、カメラ261と制御部270を合わせてマーク検出装置としてもよい。制御部270は、本発明の検出手段として機能する。
【0037】
本実施例では、基板マークはレーザ加工によって基板上に形成され、各マスクアライメントマークは機械加工によりマスク上に形成される。ただし、マークの形成方法はこれらに限られず、材料や目的に応じて選択できる。
【0038】
(アライメントのための構成)
真空チャンバ200の外側上部には、基板Zアクチュエータ250、クランプZアクチュエータ251、冷却板Zアクチュエータ252が設けられる。各アクチュエータは例えば、モータとボールねじ、モータとリニアガイドなどで構成される。真空チャンバ200の外側上部にはさらに、アライメントステージ280が設けられている。
基板Zアクチュエータ250は、基板支持ユニット210全体をZ軸方向に昇降させる駆動手段である。基板Zアクチュエータ250は、アライメント手段が備える垂直移動手段と言える。クランプZアクチュエータ251は、基板支持ユニット210の挟持機構を開閉させる駆動手段である。冷却板Zアクチュエータ252は、冷却板230を昇降させる駆動手段である。
【0039】
アライメントステージ280は、基板10をXY方向に移動させ、またθ方向に回転させてマスク220との位置を変化させる、アライメント装置である。アライメントステージ280は、アライメント手段が備える面内移動手段と言える。アライメントステージ280は、真空チャンバ200に接続されて固定されるチャンバ固定部281、XYθ移動を行うためのアクチュエータ部282、基板支持ユニット210と接続される接続部283を備える。なお、アライメントステージ280と基板支持ユニット210を合わせてアライメント装置としてもよい。また、アライメントステージ280と基板支持ユニット210に、さらに制御部270を加えてアライメント装置としてもよい。
【0040】
アクチュエータ部282としては、Xアクチュエータ、Yアクチュエータおよびθアクチュエータを積み重ねられたアクチュエータを用いてもよい。また、複数のアクチュエータが協働するUVW方式のアクチュエータを用いてもよい。いずれの方式のアクチュエータ部282であっても、制御部270から送信される制御信号に従って駆動し、基板10をX方向およびY方向に直線移動させ、θ方向に回転移動させる。制御信号は、積み重ね方式のアクチュエータであればXYθ各アクチュエータの動作量を示し、UVW方式のアクチュエータであればUVW各アクチュエータの動作量を示す。
【0041】
アライメントステージ280は基板支持ユニット210をXYθ移動させる。なお、本実施例では基板10の位置を調整する構成としたが、マスク220の位置を調整する構成や、基板10とマスク220両方の位置を調整する構成でもよい。
【0042】
制御部270は、画像データに基づいて各種の演算を行う。通常のアライメント時には、マーク検出装置が検出した基板マーク104とマスクマーク224の位置ずれ量に基づいて基板のXYθ方向の移動量を算出する。続いて制御部270は、算出された基板等の移動量を、アライメントステージ280の各アクチュエータが備えるステッピングモータやサーボモータ等の駆動量に変換し、制御信号を生成する。また、必要に応じて、アライメントステージ280からのセンサ信号を受信してフィードバック制御を行う。
【0043】
(処理フロー)
図面を参照しながら処理の流れを説明する。図5は、本実施例におけるマーク検出処理と、その後の工程を示すフロー図である。
【0044】
また図6は、本フローで使用される基板マークおよびモデル基板マークを示す平面図である。図6(a)に示す基板マーク104は、実際に基板10に形成されており、図4
a)と同じものである。二本の線(縦線および横線)が交差した十字状の基板マーク104において、レーザ加工の特性により、縦線および横線は、各々、第1の領域104tの太さが、第2の領域104mの太さよりも太くなっている(第2の領域104mの太さはほぼ一定)。ここでは基板マーク104の縦線の長さh1、横線の長さw1とし、そのうち縦線の第2の領域104mの長さh2、横線の第2の領域104mの長さw2とする。
【0045】
一方、図6(b)に実線で示した縦線モデルおよび横線モデルが交差した十字形状は、本フローで使用される、従来のモデル基板マーク174よりも小さな(縦線モデルおよび横線モデルの長さが短い)、修正モデル基板マーク176である。修正モデル基板マーク176は、第2の領域104mと同様に、縦線モデルの長さh2、横線モデルの長さw2とする。すなわち、修正モデル基板マーク176は、線状であって当該線の長さが基板マーク104の前記第2の領域に相当する長さの画像である。また、縦線および横線の太さ(幅)は第2の領域104mの太さと同様とする。本実施例では、修正モデル基板マーク176が、モデル基板マーク174を置き換えて、モデル画像として用いられる。
【0046】
本フローは、マスクストック室120から成膜室110内にマスク220が搬入されてマスク台221に支持され、かつパス室150から成膜室110に基板10が搬入されて基板支持ユニット210に支持された状態から開始する。
【0047】
ステップS101において、基板支持ユニット210が基板10を上下方向に移動させ、基板10とマスク220のZ方向における距離を、カメラ261のフォーカス範囲内に基板10の基板マーク104とマスク220のマスクマーク224が含まれるアライメント距離とする。本実施例では、基板10とマスク220がアライメント距離を保った状態で基板10がXY面内においてXYθ方向に移動する。
ステップS102において、カメラ261が撮像領域264を撮像して画像データを生成する。
【0048】
ステップS103において、制御部270が画像データを解析して基板マーク104を検出する。ここでは、アライメントマーク認識方法としてパターンマッチング法を用いる。パターンマッチング法は、あらかじめ制御部270のメモリに記憶されているモデルマークのパターン形状と、画像中のアライメントマークの形状との相関を判定することによって、アライメントマークを認識する手法である。なおマークを識別可能であれば手法はこれに限られず、例えばエッジ検出法などを用いてもよい。
【0049】
ここで、本フローにおいて特徴的な手法について述べる。上述したように、基板マーク104の第1の領域104tが膨らんでいる場合(前記第1の領域の線の太さが端部近傍以外の前記第2の領域の線の太さに比べて大きい場合)、その基板マーク104と同じ大きさのモデル基板マーク174を用いた画像処理を行うと、認識精度の低下が起こる。そこで図6(b)の修正モデル基板マーク176では、全体の大きさが基板マーク104の第2の領域104mと同程度となっている。そのため、修正モデル基板マーク176の全体において、先の太さが実際の基板マーク104と一致する。換言すると、本フローでの制御部270は、撮像領域264から、修正モデル基板マーク176と相関度の高い図形の抽出を試みる。その結果、第2の領域104mの検出が可能になる。
【0050】
制御部270は、検出された第2の領域104mに、モデル基板マーク174から削除された領域178を付加したデータを生成し、基板マーク104の位置情報としてメモリに記憶する。ただし制御部270は、第2の領域104mをそのまま基板マークとして用いてもよい。その場合、後述する判定処理においては、第2の領域104mのサイズや位置を前提としたマーク比較を行う。
【0051】
ステップS104において、制御部270が画像データからマスクマーク224を検出し、位置情報をメモリに記憶する。ここでも、パターンマッチング法やエッジ検出法など任意の方法を採用できる。
【0052】
ステップS105において、制御部270は、メモリに記憶された基板マーク104の座標情報とマスクマーク224の座標情報を比較する。そして、両者の距離や角度等の位置関係が所定の許容範囲内である、という条件が満たされていれば、アライメント完了と判断する。一方、位置関係が許容範囲外の場合は、ステップS106に移行し、理想の位置関係からのズレ量に基づいて基板10を平面内でXYθ方向に移動させる。この処理を繰り返すことにより、基板10とマスク220の関係が所定の範囲に収まる。
【0053】
ステップS107にて、基板支持ユニット210が動作して基板10とマスク220を接触させる。例えば、基板Zアクチュエータ250が基板10を下降させ、マスク220に載置する。
【0054】
ステップS108にて、成膜源としての蒸発源240が加熱され、成膜材料がマスク220を介して基板10に成膜される。これにより、マスクパターンに対応する形状の膜が基板上に形成される。上記のフローにより、チャンバ内部での成膜処理が完了する。
【0055】
上記のように本実施例では、レーザ加工の特性により端部が膨らんだり変形したりした基板マークを検出する際に、基板マークよりひと回り小さく、基板マークの変形部分に相当する領域が削除された修正モデル基板マークを使用する。その結果、基板マークの変形部分に影響されることなく検出処理を行えるので、マーク検出の精度が向上し、良好なアライメントが可能になる。
【0056】
<実施例2>
本実施例では、基板10に用いる各アライメントマーク形状が実施例1とは異なる例について説明する。
【0057】
図7(a)は、本実施例にかかる基板マーク104を示す。このように、レーザ加工の影響により、1本の直線状の基板マーク104の第1の領域104tでは、第2の領域104mと比べて膨らんだ形状となっている。
図7(b)は、本実施例の基板マーク104を従来の方式で検出する場合に使用されるモデル基板マーク174を示す。このようにモデル基板マーク174の長さ(h1)を基板マーク104の長さと一致させると、第1の領域104tが存在するために、パターンマッチング法による基板マーク104の検出精度が低下するおそれがある。
【0058】
そこで本実施例では、図7(c)に示すような修正モデル基板マーク176を用いて検出を行う。一本の直線状の修正モデル基板マーク176の長さh2は、太さが一定の範囲である第2の領域104mの長さに一致しているため、検出精度低下のおそれが少ない。
【0059】
<実施例3>
続いて、修正モデル基板マーク176の作成方法や適用方法が異なる例について説明する。本実施例は、修正モデル基板マーク176を複数種類作成し、基板マーク104に応じて適切なものを選択して利用する点に特徴がある。
【0060】
図8(a)、図8(b)はそれぞれ、図6(b)とは異なる幅(横線モデルの長さ)および高さ(縦線モデルの長さ)を有する、修正モデル基板マーク176である。ここで、基板マーク104の第1の領域104tの膨らみや変形の程度は、基板10の材質やレーザ加工の精度などに応じて少しずつ異なる場合がある。そのため、図6(b)に示した修
正モデル基板マーク176では、膨らみ部分に重なってしまう可能性がある。また逆に、図6(b)に示した修正モデル基板マーク176が、第2の領域104mに比べて小さすぎると、マーク検出の精度が低下する可能性もある。
【0061】
そこで本実施例の制御部270は、図6(b)で示したものに加えて、図6(b)の修正モデル基板マーク176より縦線モデルおよび横線モデルの長さが長い図8(a)で示したものや、図6(b)の修正モデル基板マーク176より縦線モデルおよび横線モデルの長さが短い図8(b)で示したもののように、サイズの異なる複数の修正モデル基板マーク176を用意し、メモリに保存しておく。そして撮像画像中の基板マーク104と、複数の修正モデル基板マーク176それぞれを比較し、第1の領域104tの膨らみを削除したマークと比較するのに最も適切なサイズのものを選択する。これにより、マーク検出精度の低下を防止できる。なお、マーク検出時に何れの修正モデル基板マーク176を選択するかは、ユーザが撮像画像を見て手動で選択してもよく、制御部270が適切なものを選択してもよい。
【0062】
なお、本実施例では修正モデル基板マーク176の縦線モデルの長さと横線モデルの長さを一致させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、基板マークの端部の変形の程度が端部ごとに異なる傾向がある場合、修正モデル基板マークの縦線モデルおよび横線モデル長さや縦線モデルと横線モデルとの交差位置をそれに合わせて変えてもよい。
また、十字型以外の形状、例えば1本の線状の基板マークを用いる場合にも、本実施例で述べたようにサイズの異なる複数種類の修正モデル基板マークを準備してもよい。
【0063】
<実施例4>
本実施例では、修正モデル基板マーク176の作成方法の別の例を説明する。
上記各実施例では、基板マーク104の設計値に基づいて修正モデル基板マーク176のサイズや形状を決定していた。しかし、撮影手段としてのカメラ261が撮像して取得された基板マーク104の画像データに基づいて、制御部270が基板マーク104から膨らみや変形部分を削除して、修正モデル基板マーク176を作成してもよい。
本実施例によれば、撮像して取得された基板マーク104と周囲(背景)の境界部分が明瞭でない場合には上記各実施例ほど精密なモデル画像を作成できないこともあるが、実際の基板マーク104に基づいてマーク検出とアライメントを行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0064】
261:カメラ、270:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8