(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-15
(45)【発行日】2022-07-26
(54)【発明の名称】光学フィルム用ホール加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
B26F 1/16 20060101AFI20220719BHJP
B23B 41/00 20060101ALI20220719BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20220719BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B26F1/16
B23B41/00 Z
B26D7/02 D
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2021513953
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 KR2019013806
(87)【国際公開番号】W WO2020096223
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0134926
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヨン・ウィ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウク・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ブム・スン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・チャン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】スル・キ・パク
(72)【発明者】
【氏名】イェ・ジン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・シュオ・ジャン
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-293604(JP,A)
【文献】特開2015-225960(JP,A)
【文献】特開平03-142199(JP,A)
【文献】特開2009-149471(JP,A)
【文献】特開2001-170894(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0217133(US,A1)
【文献】特開2004-261990(JP,A)
【文献】実開昭50-029594(JP,U)
【文献】特開昭54-126215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/16
B23B 41/00
B26D 7/02
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルム用ホール加工装置を用いた光学フィルム用ホール加工方法であって、
前記光学フィルム用ホール加工装置が、
積層された状態の複数枚の光学フィルムを固定させるためのクランピング部、及び
前記クランピング部に光学フィルムが固定された状態で、積層された方向に沿って複数枚の光学フィルムを順に貫通するように光学フィルムの所定領域にホール加工作業を行うための加工部を含み、
前記加工部が、
前記ホール加工作業を行う際に、1次ホール加工作業を行うように構成されたドリル部、及び
前記1次ホール加工作業が行われた領域に2次ホール加工作業を行うように構成されたバイト部を含み、
前記光学フィルム用ホール加工装置が、前記1次ホール加工作業及び前記2次ホール加工作業の際に、前記ドリル部及び前記バイト部の位置を整列させるための整列部を更に含み、
積層された複数枚の光学フィルムを所定圧力でクランピングするステップ、
ドリルビットを用いて積層された状態の偏光フィルムを積層方向に沿って順に貫通するように1次ホール加工するステップ、及び
1次ホール加工された領域を切削バイトで2次ホール加工するステップを含
み、
1次ホール加工されたホールの直径が2次ホール加工されたホールの直径より小さいようにホール加工作業が行われ、1次ホール加工の際と2次ホール加工の際にホールの中心が一致するようにホール加工作業が行われ、
前記光学フィルムが偏光板を含み、
前記ドリル部が、2.4mm~3.4mmの直径を有するドリルビットを含み、
前記バイト部が、2.4mm~3.4mmの直径を有する切削バイトを含み、
前記所定圧力が、0.1~0.2Mpaであり、
1次ホール加工の際に、前記ドリルビットが、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動し、
2次ホール加工の際に、前記切削バイトが、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動することを特徴とする、光学フィルム用ホール加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年11月6日に出願された韓国特許出願第10-2018-0134926号に基づく優先権の利益を主張し、該韓国特許出願に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学フィルム用ホール加工装置及び加工方法に関する。
【背景技術】
【0003】
偏光板にホール(hole,孔)を加工するためには、設備に偏光板を固定させ、カメラを通じてホール加工位置を確認した後、レーザーを用いてホール加工を行うようになる。
【0004】
このとき、一枚ずつ偏光板のホール加工が行われることによって大量生産するのに多くの時間が要され、原材料によってレーザー加工時の材料が損傷して加工が難しい製品もあって、既存方式でホール加工を適用しにくい問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、作業進行時に一回で複数枚の偏光板にホールを加工することができる光学フィルム用ホール加工装置及び加工方法を提供することを解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明の一側面によると、積層された状態の複数枚の光学フィルムを固定させるためのクランピング部;及びクランピング部に光学フィルムが固定された状態で積層された方向に沿って複数枚の光学フィルムを順に貫通するように光学フィルムの所定領域にホール加工作業を行うための加工部を含み、加工部は、ホール加工作業を行う際に、1次ホール加工作業を行うように構成されたドリル部;及び、1次ホール加工作業が行われた領域に2次ホール加工作業を行うように構成されたバイト部を含む光学フィルム用ホール加工装置が提供される。
【0007】
また、加工部は、1次ホールの直径が2次のホールの直径より小さいようにホール加工作業を行うように備われ得る。
【0008】
また、加工部は、1次ホールの中心と2次ホールの中心が一致するようにホール加工作業を行うように備われ得る。
【0009】
また、ドリル部は、2.4mm~3.4mmの直径を有するドリルビットを含むことができる。
【0010】
また、ドリル部は、1次ホール加工作業の際に、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動することができる。
【0011】
また、バイト部は、2.4mm~3.4mmの直径を有する切削バイトを含むことができる。
【0012】
また、バイト部は、2次ホール加工作業の際に、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動することができる。
【0013】
また、1次ホール及び2次ホールの加工作業時、クランピング部のクランピング圧力は、同一であってもよい。
【0014】
また、光学フィルム用ホール加工装置は、1次及び2次ホールの加工作業時、ドリル及びバイトの位置を整列させるための整列部を含むことができる。
【0015】
また、本発明のまた他の側面によると、前記光学フィルム用ホール加工装置を用いた光学フィルム用ホール加工方法であって、積層された複数枚の光学フィルムを所定圧力でクランピングするステップ、ドリルビットを用いて積層された状態の偏光フィルムを積層方向に沿って順に貫通するように1次ホール加工するステップ及び、1次ホール加工された領域を切削バイトで2次ホール加工するステップを含む光学フィルム用ホール加工方法が提供される。
【0016】
また、光学フィルムは、偏光板を含むことができる。
【0017】
また、1次ホール加工されたホールの直径が2次ホール加工されたホールの直径より小さいようにホール加工作業が行われ、1次ホール加工の際と2次ホール加工の際にホールの中心が一致するようにホール加工作業が行われ得る。
【0018】
また、クランピング圧力は、0.1~0.2Mpaであり、1次ホール加工の際に、ドリルビットは、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動し、2次ホール加工の際に、切削バイトは、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動し得る。
【発明の効果】
【0019】
以上で説明したように、本発明の少なくとも一実施形態と関連された光学フィルム用ホール加工装置及び加工方法によると、作業進行時に一回で複数枚の偏光板にホールを加工することができ、これによって、生産性を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による光学フィルム用ホール加工装置を示す概略図である。
【
図4】光学フィルムの1次ホールと2次ホールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態による光学フィルム用ホール加工装置及び加工方法を添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0022】
また、図面符号に関係なく同一であるか対応される構成要素は、同一又は類似な参照番号を付与し、これに対する重複説明は省略し、説明の便宜のために図示された各構成部材のサイズ及び形状は誇張されるか縮小され得る。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による光学フィルム用ホール加工装置10(以下、「加工装置」という)を示す概略図であり、
図2は、加工部のドリルビットを示す概略図であり、
図3は、加工部の切削バイトを示す概略図である。
【0024】
また、
図4は、光学フィルム300の1次ホール310と2次ホール320を示す概略図である。
【0025】
本文書で光学フィルム300は、一例で、偏光板を含むことができる。また、前記加工装置10は、偏光板以外の他の光学フィルムにも全て適用が可能である。
【0026】
前記加工装置10は、クランピング部200及び加工部100を含む。
【0027】
具体的に、前記加工装置10は、積層された状態の複数枚の光学フィルム300を固定させるためのクランピング部200を含み、積層された状態の複数枚の光学フィルム300は、光学フィルムスタック(stack)とも称され得る。前記クランピング部200は、上部ジグ及び下部ジグを含むことができ、上部ジグ及び下部ジグの間に光学フィルムスタックが配置され得る。前記クランピング部200は、上部ジグ及び下部ジグを通じて所定のクランピング圧力で光学フィルムスタックを固定させ得る。
【0028】
クランピング部200に固定される光学フィルムスタックは、数枚~数百枚の光学フィルムが積層された状態であってもよく、例えば、数十枚の光学フィルムが積層された状態であってもよい。このような光学フィルムスタックの積層高さは、ドリル部及びバイト部の工具の長さによって変わることができ、例えば、10mmであってもよい。
【0029】
また、前記加工装置10は、クランピング部200に光学フィルムが固定された状態で、積層された方向に沿って複数枚の光学フィルムを順に貫通するように光学フィルムの所定領域にホール加工作業を行うための加工部100を含む。すなわち、加工部100は、クランピング部200に光学フィルムスタックが固定された状態で、光学フィルムスタックの所定領域を積層された方向に沿って順に貫通するようにホール加工作業を行うように備われる。
【0030】
また、加工部100は、ホール加工作業を行うとき、1次ホール310の加工作業を行うように構成されたドリル部110と、1次ホール310の加工作業が行われた領域に2次ホール320の加工作業を行うように構成されたバイト部120を含む。
【0031】
一方、加工部100は、1次ホール310の直径が2次ホール320の直径より小さいようにホール加工作業を行うように備われ得る。また、加工部100は、1次ホール310の中心と2次ホール320の中心が一致するようにホール加工作業を行うように備われ得る。
【0032】
図2を参照すると、ドリル部110は、2.4mm~3.4mmの直径を有するドリルビットを含むことができる。前記ドリルビットの直径は、加工しようとするホールの直径によって変わることができる。前記ドリルビットは、例えば、タングステンカーバイド及びコバルト合金で形成され得る。
【0033】
また、ドリル部110は、1次ホール310を加工するとき、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り(feeding)速度で作動することができる。
【0034】
図3を参照すると、バイト部120は、2.4mm~3.4mmの直径を有する切削バイト(例えば、ミルバイト)を含むことができる。前記切削バイトの直径は、加工しようとするホールの直径によって変わることができる。前記切削バイトは、例えば、タングステンカーバイド及びコバルト合金で形成され得る。
【0035】
また、バイト部120は、2次ホールを加工するとき、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り(feeding)速度で作動することができる。
【0036】
また、1次ホール310及び2次ホール320の加工作業時、光学フィルムスタックを固定するためのクランピング部200のクランピング圧力は、同一であってもよく、例えば、クランピング圧力は、0.1~0.2Mpaであってもよい。
【0037】
また、加工装置10は、1次及び2次ホール310、320の加工作業時、ドリル部110及びバイト部120の位置を整列させるための整列部を含むことができる。
【0038】
前記整列部は、加工装置10で予め決定された原点を基準でホールが加工される位置の座標値を読んでドリル部110及びバイト部120を移動させるように備われ得る。
【0039】
以下、上記のような構造を有する光学フィルム用ホール加工装置10を用いた光学フィルム用ホール加工方法(以下、「加工方法」と言う)を具体的に説明する。
【0040】
加工方法は、積層された複数枚の光学フィルムを所定圧力でクランピングするステップを含む。また、加工方法は、ドリルビットを用いて積層された状態の偏光フィルムを積層方向に沿って順に貫通するように1次にホール加工するステップを含む。また、加工方法は、1次ホール加工された領域を切削バイトで2次ホール加工するステップを含む。
【0041】
上述したように、前記光学フィルムは偏光板を含むことができる。
【0042】
また、1次ホール加工されたホールの直径が2次ホール加工されたホールの直径より小さいようにホール加工作業が行われ、1次及び2次ホール加工時にホールの中心が一致するようにホール加工作業が行われ得る。
【0043】
また、クランピング圧力は、0.1~0.2Mpaであり、1次ホール加工の際に、ドリルビットは、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動し、2次ホール加工の際に、切削バイトは、30,000~50,000rpmで作動し、2000~5000mm/minの送り速度で作動できる。
【0044】
上記で説明した本発明の好ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたもので、本発明に対する通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能である。このような修正、変更及び付加は、添付の特許請求の範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の少なくとも一実施形態と関連された光学フィルム用ホール加工装置及び加工方法によると、作業進行時に一回で複数枚の偏光板にホールを加工することができ、これによって、生産性を向上させ得る。
【符号の説明】
【0046】
10 光学フィルム用ホール加工装置
100 加工部
110 ドリル部
120 バイト部
200 クランピング部
300 光学フィルム
310 1次ホール
320 2次ホール