(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】dV/dt可制御性を有するIGBT
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20220720BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20220720BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/78 653C
H01L29/78 655G
H01L29/78 652M
H01L29/78 652C
H01L29/78 655E
H01L29/78 652T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018059181
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】10 2017 107 174.1
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポウ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】イエーガー, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェン, ヨハネス ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッレイ, アントニオ
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028250(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162811(WO,A1)
【文献】特開2013-055361(JP,A)
【文献】特開2012-169385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/739
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、および前記制御トレンチ電極に結合されたさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されており、前記さらなるトレンチ電極(151)は、前記負荷電流を制御するように構成されていない、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含
む半導体バリア領域(105)であって、前記活性メサ(18)および前記さらなるトレンチ(15)の底部(155)の両方と横方向に重なる
、半導体バリア領域(105)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と
を含
み、
前記バリア領域(105)は、前記IGBT(1)の活性セルフィールド(1-2)内のバリア層として実装されており、
前記バリア領域(105)は、1つ以上の凹部(1053)を含み、前記ドリフト領域(100)は、前記1つ以上の凹部(1053)の各々の中へ完全に延び、前記1つ以上の凹部(1053)は、前記活性メサ(18)と横方向に重なる、IGBT(1)。
【請求項2】
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、および前記制御トレンチ電極に結合されたさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されており、前記さらなるトレンチ電極(151)は、前記負荷電流を制御するように構成されていない、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含
む半導体バリア領域(105)であって、前記活性メサ(18)および前記さらなるトレンチ(15)の底部(155)の両方と横方向に重なる
、半導体バリア領域(105)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と
を含
み、
前記バリア領域(105)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)が前記バリア領域(105)内へ延びる領域内において最大ドーパント濃度(CC)を呈する、IGBT(1)。
【請求項3】
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、およびさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含
む半導体バリア領域(105)であって、前記活性メサ(18)の全幅および前記さらなるトレンチ(15)の底部(155)の両方と横方向に重なる
、半導体バリア領域(105)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と
を含
み、
前記バリア領域(105)は、前記IGBT(1)の活性セルフィールド(1-2)内のバリア層として実装されており、
前記バリア領域(105)は、1つ以上の凹部(1053)を含み、前記ドリフト領域(100)は、前記1つ以上の凹部(1053)の各々の中へ完全に延び、前記1つ以上の凹部(1053)は、前記活性メサ(18)と横方向に重なる、IGBT(1)。
【請求項4】
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、およびさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含
む、半導体バリア領域(105)であって、前記活性メサ(18)の全幅および前記さらなるトレンチ(15)の底部(155)の両方と横方向に重な
る半導体バリア領域(105)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と
を含
み、
前記バリア領域(105)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)が前記バリア領域(105)内へ延びる領域内において最大ドーパント濃度(CC)を呈する、IGBT(1)。
【請求項5】
- 前記少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)は、前記少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ(19)をさらに含み、前記第1の負荷端子(11)と前記不活性メサ(19)との間の移行部(191)は、少なくとも前記第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部(112)を提供し、および/または
- 前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)および前記制御トレンチ(14)の底部(145)の両方は、前記バリア領域(105)内へ延びる、請求項
1または2に記載のIGBT(1)。
【請求項6】
前記バリア領域(105)は、前記活性メサ(18)の幅の少なくとも50%について前記活性メサ(18)と横方向に重なる、請求項
1、2または5に記載のIGBT(1)。
【請求項7】
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、およびさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ(19)であって、前記第1の負荷端子(11)と前記不活性メサ(19)との間の移行部(191)は、少なくとも前記第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部(112)を提供する、少なくとも1つの不活性メサ(19)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と、
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域(105)であって、
- 前記制御トレンチ(14)および前記さらなるトレンチ(15)の両方のそれぞれの下方部分(LP)は、前記バリア領域(105)内へ延び、各下方部分(LP)は、前記それぞれのトレンチ(14、15)の最も深い5分の1の部分によって形成されており、
- 前記制御トレンチ(14)および前記さらなるトレンチ(15)の両方のそれぞれの上方部分(UP)は、前記それぞれのトレンチ(14、15)の残りの5分の4の部分によって形成されており、前記制御トレンチ(14)の前記上方部分(UP)は、前記ソース領域(101)および前記チャネル領域(102)に隣接して配置されており、
- 総計の活性交差エリア(AIA)は、前記制御トレンチ(14)の前記下方部分(LP)と前記バリア領域(105)との間の移行部によって画定され、および
総計のさらなる交差エリア(DIA)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記下方部分(LP)と前記バリア領域(105)との間の移行部によって画定され、および
総計のチャネル交差エリア(CIA)は、前記制御トレンチ(
14)の前記上方部分(UP)と、前記活性メサ(18)内の前記ソース領域(101)および前記チャネル領域(102)の両方によって形成された部分領域との間の移行部によって画定され、および
- 前記総計のチャネル交差エリア(CIA)は、前記活性交差エリア(AIA)と前記さらなる交差エリア(DIA)との和よりも小さい、半導体バリア領域(105)と
を含む、IGBT(1)。
【請求項8】
前記バリア領域(105)は、電気的に浮遊している、請求項
1から4及び7のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)は、ダミートレンチであり、前記さらなるトレンチ電極(151)は、ダミートレンチ電極であり、前記制御トレンチ電極(141)および前記ダミートレンチ電極(151)の両方は、前記制御端子(13)にそれぞれ電気結合されている、請求項
1から4及び7のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項10】
前記バリア領域(105)は、前記活性メサ(18)の区画と前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)との間の導電経路を提供するように構成されている、請求項
1から4のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項11】
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)との上部pn接合(1051)および下部pn接合(1052)の各々を形成し、前記下部pn接合(1052)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)および前記制御トレンチ(14)の底部(145)の両方よりも低く配置されている、請求項
1から4のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項12】
前記上部pn接合(1051)は、前記活性メサ(18)
内に配置されている、請求項
11に記載のIGBT(1)。
【請求項13】
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)との上部pn接合(1051)および下部pn接合(1052)の各々を形成し、前記下部pn接合(1052)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)および前記制御トレンチ(14)の底部(145)の両方よりも低く配置され、前記上部pn接合(1051)は、前記活性メサ(18)内およ
び前記不活性メサ(19)内に配置されている、請求項
5に記載のIGBT(1)。
【請求項14】
前記バリア領域(105)は、1e14cm
-3よりも大きくかつ1e18cm
-3よりも小さいドーパント濃度(CC)を呈する、請求項
1から4及び7のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項15】
前記ドーパント濃度は、少なくとも0.5μmの延長方向(Z)に沿った延長を有して存在する、請求項14に記載のIGBT(1)。
【請求項16】
前記バリア領域(105)は、10Ωcmよりも大きくかつ1000Ωcmよりも小さい抵抗率を呈する、請求項
1から4及び7のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項17】
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)の少なくとも一部分によって前記チャネル領域(102)から分離されている、請求項
1から4及び7のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項18】
前記電力ユニットセル(1-1)は、
- ソーストレンチ電極(161)を有する少なくとも1つのソーストレンチ(16)であって、前記ソーストレンチ電極(161)は、前記第1の負荷端子(11)に電気接続されており、任意選択的に、前記少なくとも1つのソーストレンチ(16)は、前記制御トレンチ(14)と前記さらなるトレンチ(15)との間に配置されており、任意選択的に、前記活性メサ(18)は、前記制御トレンチ(14)および前記ソーストレンチ(16)によって横方向に閉じ込められており、任意選択的に、前記不活性メサ(19)は、前記ソーストレンチ(16)および前記さらなるトレンチ(15)によって横方向に閉じ込められている、少なくとも1つのソーストレンチ(16)、および/または
- トレンチ電極(171)を有する少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)であって、前記浮遊トレンチ(17)の前記トレンチ電極(171)は、電気的に浮遊しており、任意選択的に、前記少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)は、前記制御トレンチ(14)と前記さらなるトレンチ(15)との間に配置されている、少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)
をさらに含む、請求項
5または7に記載のIGBT(1)。
【請求項19】
前記電力ユニットセル(1-1)は、
- ソーストレンチ電極(161)を有する少なくとも1つのソーストレンチ(16)であって、前記ソーストレンチ電極(161)は、前記第1の負荷端子(11)に電気接続されており、任意選択的に、前記少なくとも1つのソーストレンチ(16)は、前記制御トレンチ(14)と前記さらなるトレンチ(15)との間に配置されており、任意選択的に、前記活性メサ(18)は、前記制御トレンチ(14)および前記ソーストレンチ(16)によって横方向に閉じ込められ
ている、少なくとも1つのソーストレンチ(16)、および/または
- トレンチ電極(171)を有する少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)であって、前記浮遊トレンチ(17)の前記トレンチ電極(171)は、電気的に浮遊し
ている、少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)
をさらに含む、請求項
1から4のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【請求項20】
複数の電力ユニットセル(1-1)を含み、前記バリア領域(105)は、前記複数の電力ユニットセル(1-1)内に含まれる前記不活性メサ(19)を互いに接続する、請求項
5または7に記載のIGBT(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、IGBTの実施形態およびIGBTを加工する方法の実施形態に言及する。例えば、本明細書は、例えば、dV/dt可制御性のための、1つ以上の電力ユニットセルとバリア領域とを有するIGBTの実施形態および対応する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーの変換および電気モータまたは電気機械の駆動など、自動車、民生および産業用途における最新のデバイスの多くの機能は、パワー半導体デバイスに依存する。例えば、数例を挙げると、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、およびダイオードは、以下のものに限定されるわけではないが、電源および電力変換器内のスイッチを含む様々な用途に用いられている。
【0003】
IGBTは、通常、IGBTの2つの負荷端子間の負荷電流経路に沿って負荷電流を導通するように構成された半導体本体を含む。さらに、負荷電流経路は、ときに電極と呼ばれる絶縁電極を用いて制御され得る。例えば、例として、駆動ユニットから対応する制御信号を受信すると、制御電極は、IGBTを導通状態および阻止状態の一方に設定し得る。
【0004】
場合により、ゲート電極は、IGBTのトレンチ内に含まれ得、トレンチは、例えば、ストライプ状構成または針状構成を呈し得る。
【0005】
さらに、このようなトレンチは、ときに互いに別個に配置され、また場合により互いに電気的に絶縁されている1つのみよりも多くの電極、例えば、2つ以上の電極を含む。例えば、トレンチは、ゲート電極およびフィールド電極の両方を含み得、ゲート電極は、負荷端子の各々から電気的に絶縁され得、フィールド電極は、負荷端子の一方に電気接続され得る。
【0006】
IGBTの損失、例えば、スイッチング損失を低く維持することが通常望ましい。例えば、低いスイッチング損失は、短いスイッチング継続期間、例えば、短いターンオン継続期間および/または短いターンオフ継続期間を確実にすることによって達成され得る。他方で、所与の用途では、電圧の最大勾配(dV/dt)および/または負荷電流の最大勾配(dI/dt)に関する要求が存在する場合もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、IGBTは、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体であって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体と、少なくとも1つの電力ユニットセルであって、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、および制御トレンチ電極に結合されたさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、少なくとも1つの電力ユニットセルとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されており、さらなるトレンチ電極は、負荷電流を制御するように構成されていない、少なくとも1つの活性メサ、および半導体本体内に実装され、かつ第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域であって、活性メサおよびさらなるトレンチの底部の両方と横方向に重なる、電気的に浮遊している半導体バリア領域を有する。
【0008】
別の実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合されるように構成され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、および制御トレンチ電極に結合されたさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチと、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されており、さらなるトレンチ電極は、負荷電流を制御するように構成されていない、少なくとも1つの活性メサとを含む、形成することと、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域を形成することであって、このバリア領域は、活性メサおよびさらなるトレンチの底部の両方と横方向に重なる、形成することとを含む。
【0009】
一実施形態によれば、IGBTは、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体であって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体と、少なくとも1つの電力ユニットセルであって、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、少なくとも1つの電力ユニットセルとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および半導体本体内に実装され、かつ第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域であって、活性メサの全幅およびさらなるトレンチの底部の両方と横方向に重なる、電気的に浮遊している半導体バリア領域を有する。
【0010】
別の実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合されるように構成され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチと、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサとを含む、形成することと、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域を形成することであって、このバリア領域は、活性メサの全幅およびさらなるトレンチの底部の両方と横方向に重なる、形成することとを含む。
【0011】
一実施形態によれば、IGBTは、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体であって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体と、少なくとも1つの電力ユニットセルであって、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、少なくとも1つの電力ユニットセルとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および少なくとも1つのさらなるトレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサであって、第1の負荷端子と不活性メサとの間の移行部は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する、少なくとも1つの不活性メサ、および半導体本体内に実装され、かつ第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域を有する。制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの下方部分は、バリア領域内へ延び、各下方部分は、それぞれのトレンチの最も深い5分の1の部分によって形成されている。総計の活性交差エリアは、制御トレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、および総計のさらなる交差エリアは、さらなるトレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定される。活性交差エリアは、さらなる交差エリアの少なくとも10分の1にかつさらなる交差エリア以下に及ぶ。
【0012】
一実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、形成することとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および少なくとも1つのさらなるトレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサであって、第1の負荷端子と不活性メサとの間の移行部は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する、少なくとも1つの不活性メサを有し、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域を形成し、それにより、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの下方部分は、バリア領域内へ延び、各下方部分は、それぞれのトレンチの最も深い5分の1の部分によって形成されており、総計の活性交差エリアは、制御トレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、および総計のさらなる交差エリアは、さらなるトレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、および活性交差エリアは、さらなる交差エリアの少なくとも10分の1にかつさらなる交差エリア以下に及ぶ。
【0013】
例えば、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの上方部分は、バリア領域内へ部分的に延び、各上方部分は、それぞれのトレンチの残りの5分の4の部分によって形成されており、制御トレンチの上方部分は、ソース領域およびチャネル領域に隣接して配置されている。
【0014】
一実施形態によれば、IGBTは、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体であって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体と、少なくとも1つの電力ユニットセルであって、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、少なくとも1つの電力ユニットセルとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有しかつ、ソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および少なくとも1つのさらなるトレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサであって、第1の負荷端子と不活性メサとの間の移行部は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する、少なくとも1つの不活性メサ、および半導体本体内に実装され、かつ第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域を有する。制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの下方部分は、バリア領域内へ延び、各下方部分は、それぞれのトレンチの最も深い5分の1の部分によって形成されている。制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの上方部分は、それぞれのトレンチの残りの5分の4の部分によって形成されており、制御トレンチの上方部分は、ソース領域およびチャネル領域に隣接して配置されている。総計の活性交差エリアは、制御トレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、および総計のさらなる交差エリアは、さらなるトレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定される。総計のチャネル交差エリアは、制御トレンチの上方部分と、活性メサ内のソース領域およびチャネル領域の両方によって形成された部分領域との間の移行部によって画定される。総計のチャネル交差エリアは、活性交差エリアとさらなる交差エリアとの和よりも小さい。
【0015】
一実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、形成することとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および少なくとも1つのさらなるトレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサであって、第1の負荷端子と不活性メサとの間の移行部は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する、少なくとも1つの不活性メサを有し、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域を形成し、それにより、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの下方部分は、バリア領域内へ延び、各下方部分は、それぞれのトレンチの最も深い5分の1の部分によって形成されており、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの上方部分は、それぞれのトレンチの残りの5分の4の部分によって形成されており、制御トレンチの上方部分は、ソース領域およびチャネル領域に隣接して配置されており、総計の活性交差エリアは、制御トレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、総計のさらなる交差エリアは、さらなるトレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、総計のチャネル交差エリアは、制御トレンチの上方部分と、活性メサ内のソース領域およびチャネル領域の両方によって形成された部分領域との間の移行部によって画定され、および総計のチャネル交差エリアは、活性交差エリアとさらなる交差エリアとの和よりも小さい。
【0016】
上述されたさらなるトレンチは、ダミートレンチであり得、およびさらなるトレンチ電極は、ダミートレンチ電極であり得る。ダミートレンチ電極は、制御トレンチ電極に電気結合され得る。例えば、ダミートレンチ電極および制御トレンチ電極の両方は、IGBTの制御端子に電気結合されており、例えば、制御端子は、IGBTを駆動するための駆動ユニットの出力に電気接続され得る。例えば、ダミートレンチ電極および制御トレンチ電極の両方は、IGBTの制御端子に電気的に、すなわちそれぞれの低オーミック接続部によって接続されている。例えば、ダミートレンチ電極の電位は、制御トレンチ電極の電位と少なくとも実質的に同一であり得る。別の実施形態では、制御端子と制御トレンチ電極との間の第1のオーム抵抗は、制御端子とダミートレンチ電極との間の第2のオーム抵抗と異なり得る。第1のオーム抵抗と第2のオーム抵抗との差は、例えば、0Ω~100Ωの範囲内であり得る。例えば、第2のオーム抵抗は、第1のオーム抵抗よりも大きい。
【0017】
当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見ることで、追加の特徴および利点を認識するであろう。
【0018】
図中の部分は必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。さらに、図において、同様の参照符号は、対応する部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】1つ以上の実施形態に係るIGBTの水平投影図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図2】1つ以上の実施形態に係るIGBTの垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図3】いくつかの実施形態に係るIGBTの水平投影図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図4】1つ以上の実施形態に係るIGBT内のドーパント濃度の推移を概略的かつ例示的に示す。
【
図5】1つ以上の実施形態に係るIGBTの垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図6】1つ以上の実施形態に係るIGBTの垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図7】1つ以上の実施形態に係るIGBTを加工する方法のステップを概略的かつ例示的に示す。
【
図8】1つ以上の実施形態に係るIGBTの垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図9】1つ以上の実施形態に係るIGBTの垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図10】1つ以上の実施形態に係るIGBTの垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【
図11】1つ以上の実施形態に係るIGBTの斜視投影図の区画を概略的かつ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなし、本発明が実施され得る特定の実施形態が例として示される添付の図面を参照する。
【0021】
その際、「上部」、「下部」、「下方」、「前方」、「後方」、「裏」、「先頭の」、「末尾の」、「下方」、「上方」などの方向用語は、説明されている図の向きを基準として用いられ得る。実施形態の部分は多数の異なる向きに位置付けることができるため、方向用語は説明の目的のために用いられ、決して限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的変更形態または論理的変更形態がなされ得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきでなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。
【0022】
次に、様々な実施形態を詳細に参照する。図にその1つ以上の例が示されている。各例は説明として提供され、本発明の限定として意図されていない。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴は、なおさらなる実施形態をもたらすために他の実施形態上で用いるか、またはそれらと併せて用いることができる。本発明はこのような変更形態および変形形態を含むことが意図されている。例は、特定の言語を用いて説明されるが、その言語は添付の請求項の範囲を限定するものと解釈すべきでない。図面は原寸に比例しておらず、単に図解を目的とするものにすぎない。明確にするために、同じ要素または製作ステップは、別途説明のない限り、異なる図面において同じ参照記号によって指定されている。
【0023】
用語「水平」は、本明細書において使用されるとき、半導体基板または半導体構造の水平面と実質的に平行な向きを記述することを意図する。これは、例えば、半導体ウェハまたはダイまたはチップの表面であり得る。例えば、後述される第1の横方向Xおよび第2の横方向Yは、両方とも水平方向であり得、第1の横方向Xおよび第2の横方向Yは、互いに垂直であり得る。
【0024】
用語「鉛直」は、本明細書において使用されるとき、水平面と垂直に、すなわち半導体ウェハ/チップ/ダイの表面の法線方向と平行に実質的に配置される向きを記述することを意図する。例えば、後述される延長方向Zは、第1の横方向Xおよび第2の横方向Yの両方と垂直である延長方向であり得る。
【0025】
本明細書では、n型にドープされたものは「第1の導電型」と呼ばれ、一方、p型にドープされたものは「第2の導電型」と呼ばれる。代替的に、反対のドーピング関係を用いることができ、それにより第1の導電型をp型にドープされたものとすることができ、第2の導電型をn型にドープされたものとすることができる。
【0026】
本明細書に関連して、用語「オーミック接触している」、「電気接触している」、「オーミック接続している」、および「電気接続している」は、半導体デバイスの2つの領域、区画、区域、部分もしくは部位間、または1つ以上のデバイスの異なる端子間、または端子もしくは金属配線もしくは電極と半導体デバイスの部分もしくは部位との間に低オーミック電気接続部または低オーミック電流経路が存在することを記述することを意図する。さらに、本明細書に関連して、用語「接触している」は、それぞれの半導体デバイスの2つの要素間に直接の物理接続部が存在することを記述することを意図する。例えば、互いに接触している2つの要素間の移行部は、さらなる中間要素または同様のものを含まなくてもよい。
【0027】
加えて、本明細書に関連して、用語「電気絶縁」は、別途断りのない限り、その一般的な妥当な理解に関連して用いられており、そのため、2つ以上の構成要素が互いに分離して位置付けられており、それらの構成要素を接続するオーミック接続が存在しないことを記述することを意図している。しかし、互いに電気絶縁された構成要素は、それにもかかわらず互いに結合されていてもよく、例えば機械的に結合されており、かつ/または容量的に結合されており、かつ/または誘導的に結合されていてもよい。一例を挙げると、キャパシタの2つの電極は、例えば、絶縁体、例えば、誘電体を用いて互いに電気絶縁されており、同時に互いに機械的かつ容量的に結合されていてもよい。
【0028】
本明細書に記載されている特定の実施形態は、限定するわけではないが、例えば、ストライプ状セルまたはセル状のセル構成を呈するIGBT、例えば、電力変換器または電源内で用いられ得るIGBTに関する。そのため、一実施形態では、このようなIGBTは、負荷へ供給されるべきであり、および/またはそれぞれ電力源によって提供される負荷電流を通電するように構成され得る。例えば、IGBTは、モノリシックに統合されたIGBTセル、および/またはモノリシックに統合されたRC-IGBTセルなどの1つ以上の活性パワー半導体セルを含み得る。このようなトランジスタセルは、パワー半導体モジュール内に統合され得る。複数のこのようなセルは、IGBTの活性領域とともに配置されたセルフィールドを構成し得る。
【0029】
用語「IGBT」は、本明細書において使用されるとき、高電圧ブロッキング能力および/または大電流通電能力を有する単一チップ上の半導体デバイスを記述することを意図する。換言すれば、このようなIGBTは、典型的には、例えば、最大数十もしくは数百アンペアのアンペア範囲内の大電流、および/または典型的には15Vを上回る、より典型的には100V以上、例えば、最大少なくとも400Vの高電圧用を意図されている。
【0030】
例えば、後述されるIGBTは、ストライプ状セル構成またはセル状セル構成を呈する半導体トランジスタであり得、低電圧、中電圧および/または高電圧用途における電力構成要素として用いられるように構成することができる。
【0031】
例えば、用語「IGBT」は、本明細書において使用されるとき、MOSFET構成を対象にするものではなく、例えば、データの記憶、データの計算、および/または他の種類の半導体ベースのデータ処理のために用いられる論理半導体デバイスを対象にするものではない。
【0032】
図1は、1つ以上の実施形態に係るIGBT1の水平投影図の区画を概略的かつ例示的に示す。
図2は、1つ以上の実施形態に係るIGBT1の一実施形態の垂直断面図の区画を概略的かつ例示的に示す。以下において、それは
図1および
図2の各々に委ねられることになる。
【0033】
例えば、IGBT1は、第1の負荷端子11および第2の負荷端子12に結合された半導体本体10を含む。例えば、第1の負荷端子11はエミッタ端子であり、それに対して第2の負荷端子12はコレクタ端子であり得る。
【0034】
半導体本体10は、第1の導電型のドーパントを有するドリフト領域100を含み得る。例えば、延長方向Zに沿ったドリフト領域100の延長およびそのドーパント濃度は、当業者に知られているように、IGBT1が設計されるであろう阻止電圧定格に応じて選定される。
【0035】
さらに、第1の負荷端子11は、IGBT1の前側に配置されていてもよく、前側金属配線を含んでもよい。第2の負荷端子12は、前側と反対に、例えばIGBT1の裏側に配置されていてもよく、例えば裏側金属配線を含んでもよい。したがって、IGBT1は鉛直構成を呈し得る。別の実施形態では、第1の負荷端子11および第2の負荷端子12は、両方とも共通の側に配置されていてもよく、例えば、両方ともIGBT1の前側に配置されていてもよい。
【0036】
IGBT1は、活性領域1-2と、不活性終端構造1-3と、チップ縁部1-4とをさらに含み得る。チップ縁部1-4は、半導体本体10を横方向に終端され得る。例えば、チップ縁部1-4は、ウェハダイシングによって生じたものであり得、例えば、延長方向Zに沿って延び得る。不活性終端構造1-3は、
図1に示されるように、活性領域1-2とチップ縁部1-4との間に配置され得る。
【0037】
本明細書において、用語「活性領域」および「終端構造」は、通常の方法で用いられる。すなわち、活性領域1-2および終端構造1-3は、これらに通常関連付けられた本質的な技術的機能性をもたらすように構成され得る。例えば、IGBT1の活性領域1-2は、端子11、12間に負荷電流を導通するように構成されており、それに対して、終端構造1-3は、一実施形態によれば、負荷電流を導通せず、むしろ電界の推移に関する機能を果たし、ブロッキング能力、活性領域1-2を安全に終端させることなどを確実にする。例えば、終端構造1-3は、
図1に示されるように、活性領域1-2を完全に包囲し得る。
【0038】
活性領域1-2は、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1を含み得る。一実施形態では、複数のこのような電力ユニットセル1-1が活性領域1-2内に含まれて存在し得る。電力ユニットセル1-1の数は、100個、1000個よりも大きく、またはさらに、10,000個よりも大きいものであり得る。
【0039】
各電力ユニットセル1-1は、
図1に概略的に示されるとおりのストライプ構成を呈し得る。この場合、各電力ユニットセル1-1、およびその構成要素の少なくとも1つ以上の、例えば、第2の横方向Yに沿った、1つの横方向における総計の横方向延長は、この横方向に沿った活性領域1-2の総延長に実質的に対応し得る。しかし、これは、それぞれの電力ユニットセル1-1の1つ以上の構成要素が第2の横方向Yに沿って構造化されていることを除外しない。例えば、一実施形態では、後述されるソース領域(参照符号101)は、それぞれの電力ユニットセル1-1内で第2の横方向Yに沿って構造化されていてもよい。例えば、ソース領域は局所的に設けられるのみであり、(例えば、第2の導電型の)間欠領域が、第2の横方向Yに沿って隣接した局所ソース領域を分離している(
図11を参照されたい)。
【0040】
別の実施形態では、各電力ユニットセル1-1はセル状構成を呈し得る。この場合、各電力ユニットセル1-1の横方向延長は、活性領域1-2の総横方向延長よりも実質的に小さくなり得る。
【0041】
一実施形態では、活性領域1-2内に含まれる複数の電力ユニットセル1-1の各々は同じ構成を呈する。次に、このような構成の一例が
図2を参照して説明される。しかし、これは、活性領域1-2が異なる種類の他のセルを、例えば、補助セルまたは同様のもの(図示されていない)をさらに含むことを除外しない。
【0042】
各電力ユニットセル1-1は、半導体本体10内へ少なくとも部分的に延び得、ドリフト領域100の少なくとも区画を含み得る。さらに、各電力ユニットセル1-1は、第1の負荷端子11と電気接続され得る。各電力ユニットセル1-1は、前記端子11および12間の負荷電流の一部を導通し、前記端子11および12間に印加された阻止電圧を阻止するように構成され得る。
【0043】
IGBT1を制御するために、各電力ユニットセル1-1は、それぞれの電力ユニットセル1-1を導通状態および阻止状態の一方に選択的に設定するように構成された制御電極141に動作可能に結合されるか、またはそれぞれ制御電極141を含み得る。
【0044】
例えば、
図2に示される例を参照すると、ソース領域101は、第1の負荷端子11と電気接続され得、例えば、ドリフト領域100よりも大幅に大きいドーパント濃度の第1の導電型のドーパントを含み得る。さらに、第2の導電型のドーパントを含み、ソース領域101とドリフト領域100とを互いに分離するチャネル領域102が設けられ得る。例えば、チャネル領域102は、ソース領域101をドリフト領域100から隔離する。
【0045】
例えば、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、制御トレンチ電極141を有する少なくとも1つの制御トレンチ14を含む。
【0046】
さらに、一実施形態では、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、さらなるトレンチ電極151を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ15を含み得る。さらなるトレンチ電極151は、制御トレンチ電極141に結合され得る。
【0047】
上述されたさらなるトレンチ15は、ダミートレンチであり得、およびさらなるトレンチ電極151は、ダミートレンチ電極であり得る。ダミートレンチ電極151は、制御トレンチ電極141に電気結合され得る。例えば、ダミートレンチ電極151および制御トレンチ電極141の両方は、IGBT1の制御端子13に電気結合されており、例えば、制御端子13は、IGBT1を駆動するための駆動ユニット(図示されていない)の出力に電気接続されていてもよい。例えば、ダミートレンチ電極151および制御トレンチ電極141の両方は、IGBT1の制御端子13に電気的に、すなわちそれぞれの低オーミック接続部(図示されていない)によって接続されている。例えば、ダミートレンチ電極151の電位は、制御トレンチ電極141の電位と少なくとも実質的に同一であり得る。別の実施形態では、制御端子13と制御トレンチ電極141との間の第1のオーム抵抗は、制御端子13とダミートレンチ電極151との間の第2のオーム抵抗と異なり得る。第1のオーム抵抗と第2のオーム抵抗との差は、例えば、0Ω~100Ωの範囲内であり得る。例えば、第2のオーム抵抗はv第1のオーム抵抗よりも大きい。
【0048】
別の実施形態では、さらなるトレンチ15は、ダミートレンチと異なる種類のトレンチ、例えば、(以下においてさらに説明されるとおりの)ソーストレンチ、(以下においてさらに説明されるとおりの)浮遊トレンチ、またはさらなる制御トレンチであり得る。
【0049】
例示の目的のために、以下におけるさらなるトレンチ15は、ほとんどの場合、ダミートレンチ15、例えば、上述されたとおりの限定を有するダミートレンチ15と呼ばれる。しかし、本明細書は、主として、さらなるトレンチ15が上述されたとおりのダミートレンチとして実装される場合に関するものであるとしても、他の実施形態によれば、後述されるとおりのダミートレンチ15は、別のトレンチ種、例えば、(以下においてさらに説明されるとおりの)ソーストレンチ、(以下においてさらに説明されるとおりの)浮遊トレンチ、またはさらなる制御トレンチの1つと置換され得ることを理解されたい。
【0050】
例えば、制御トレンチ14およびダミートレンチ15は、両方とも延長方向Zに沿って半導体本体10内へ延び得、両方ともそれぞれのトレンチ電極141、151を半導体本体10から絶縁する絶縁体142、152を含み得る。
【0051】
少なくとも1つの制御トレンチ14および少なくとも1つのダミートレンチ15のトレンチ電極141、151は、一実施形態によれば、両方ともIGBT1の制御端子13に電気結合され得る(例えば、電気接続され得る)。
【0052】
例えば、制御端子13はゲート端子である。さらに、制御端子13は、制御トレンチ電極141に電気接続され、例えば、少なくとも絶縁構造体132により、第1の負荷端子11、第2の負荷端子12および半導体本体10から電気的に絶縁され得る。
【0053】
一実施形態では、IGBT1は、第1の負荷端子11と制御端子13との間に電圧を印加し、例えば、それによりIGBT1を導通状態および阻止状態の一方に選択的に設定することによって制御され得る。
【0054】
例えば、IGBT1は、ゲート-エミッタ電圧VGEに基づいて、例えば、当業者に周知のIGBTを制御する原理的な方法で制御されるように構成されている。
【0055】
一実施形態では、ダミートレンチ電極151も制御端子13に電気接続されており、そのため、制御トレンチ電極141と同じ制御信号を受信し得る。
【0056】
別の実施形態では、ダミートレンチ電極151は、1e-3オーム~1オームの範囲内、1オーム~10オームの範囲内、または10オーム~100オームの範囲内の抵抗を有する抵抗器によって制御端子13に電気結合され得る。
【0057】
別の実施形態では、ダミートレンチ電極151は、第2の制御端子(図示されていない)に電気接続されており、そのため、制御トレンチ電極141に提供される制御信号と異なる制御信号を受信する。
【0058】
さらに、IGBT1の少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、第1の負荷端子11に電気接続された少なくとも1つの活性メサ18を有し得、活性メサ18は、ソース領域101、チャネル領域102、およびドリフト領域100の一部を含み、活性メサ18内において、これらの領域101、102、100のそれぞれの区画は、
図2に例示的に示されるように、制御トレンチ14の側壁144に隣接して配置され得る。例えば、ソース領域101およびチャネル領域102の両方は、例えば、接触プラグ111により、第1の負荷端子11に電気接続されている。
【0059】
さらに、制御トレンチ電極141(本明細書において制御電極141とも呼ばれる)は、制御信号を制御端子13から受信し、例えば、反転チャネルをチャネル領域102内に誘導し、それによりIGBT1を導通状態に設定することにより、活性メサ18内の負荷電流を制御するように構成することができる。そのため、第1の負荷端子11と活性メサ18との間の移行部181は、負荷電流が第1の負荷端子11から半導体本体10内へおよび/またはその逆に通過するための境界面をもたらし得る。
【0060】
例えば、活性領域1-2内に含まれる全ての電力ユニットセル1-1の制御電極141は、制御端子13に電気接続され得る。
【0061】
少なくとも1つの電力ユニットセル1-1内に含まれる活性メサ18に加えて、IGBT1の少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、例えば、少なくとも1つのダミートレンチ15に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ19を有することができ、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の移行部191は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する。
【0062】
一実施形態では、電力ユニットセル1-1は、負荷電流が不活性メサ19と第1の負荷端子11との間の前記移行部191を横断するのを防止するように構成され得る。例えば、不活性メサ19は、反転チャネルを誘導することを可能にしない。活性メサ18と対照的に、一実施形態によれば、不活性メサ19は、IGBT1の導通状態中に負荷電流を導通しない。例えば、不活性メサ19は、負荷電流を通電する目的のために用いられない不使用メサと見なすことができる。
【0063】
図2および
図5に関して、活性メサ18の2つの変形例が説明される。例えば、
図5を参照すると、第1の変形例では、ソース領域101は、接触プラグ111の両側に配置することができ、例えば、ソース領域101の両方の区画は、区画の内側により接触プラグ111と接触し、区画の外側により、活性メサ18を空間的に閉じ込めるトレンチ側壁(例えば、144および154(または164))と接触する。この第1の変形例では、活性メサ18は、第1の横方向Xにおける活性メサ18の全延長に沿って、すなわち活性メサ18の全幅に沿って活性であると見なすことができる。次に、
図2を再び参照すると、第2の変形例では、活性メサ18は、活性メサ18の全幅に沿って活性ではなく、活性部分と不活性部分とに分割されており、前記部分の各々は、総メサ体積の同じ構成比を有し得る。例えば、ソース領域101は、接触プラグ111と制御トレンチ14の側壁144との間に存在するのみである。ソース領域101が存在する部分では、活性メサ18は活性であり、例えば、負荷電流の一部を導通することができる。例えば、制御トレンチとは別の種類のトレンチ、例えば、ダミートレンチまたはソーストレンチ(以下においてさらに言及される)に面する接触プラグ111の他方の側では、活性メサ18は、活性メサ18の不活性部分を有し得る。そこでは、ソース領域101の欠如のために反転チャネルが誘導され得ず、そのため、負荷電流は全く導通され得ない。
【0064】
本明細書において、不活性メサ19の説明は、活性メサ18の不活性部分に同様に適用され得る。
【0065】
不活性メサ19の第1の実施形態では、不活性メサ19は、第1の負荷端子11に電気接続されておらず、例えば、絶縁層112によって第1の負荷端子11から電気的に絶縁されている。本実施形態では、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の移行部191は、第1の導電型の電荷キャリアだけでなく、また第2の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する。この目的を達成するために、一変形例では、
図2に示されるように、不活性メサ19は、ソース領域101の区画もチャネル領域102の区画も含まず、不活性メサ19は、接触プラグ(参照符号111を参照されたい)によって接触されてもいない。別の変形例では、不活性メサ19は、例えば、ソース領域101の区画および/またはチャネル領域102の区画を同様に含むことにより、活性メサ18と同様の方法で構成され得る。活性メサ18に対する相違は、不活性メサ19の(存在する場合には)ソース領域101の区画もチャネル領域102の区画も第1の負荷端子11に電気接続されていないことを含む。不活性メサ19の第1の実施形態によれば、電流は前記移行部191を全く横断しない。
【0066】
不活性メサ19の第2の実施形態によれば、不活性メサ19は、第1の負荷端子11に電気接続され得、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の移行部191は、第1の導電型の電荷キャリアのみを対象にするが、第2の導電型の電荷キャリアを対象にしない電気絶縁部を提供する。換言すれば、この第2の実施形態では、不活性メサ19は、第2の導電型の電荷キャリアの電流、例えば、正孔電流が前記移行部191を通過することを可能にするように構成され得る。例えば、不活性メサ19に隣接するトレンチのトレンチ電極、例えば、ダミートレンチ電極151の電位に依存して、このような正孔電流は、例えば、半導体本体10内に存在する総電荷キャリア濃度を低減するように、例えば、ターンオフ動作を実行する直前に一時的にのみ生じ得る。上述されたように、この第2の実施形態では、不活性メサ19は、第1の負荷端子11に電気接続され得る。例えば、不活性メサ19の(後述されるバリア領域105と異なる)第2の導電型のドーパントを有するドープ接触領域(図示されていない)は、例えば、活性メサ18と接触するために用いられ得る接触プラグ111の種類と同様または同一である接触プラグによって第1の負荷端子11に電気接続され得る。第2の導電型のドーパントを有するドープ接触領域(図示されていない)は、不活性メサ19内に存在するドリフト領域100の区画を第1の負荷端子11から隔離し得る。例えば、不活性メサ19の第2の実施形態によれば、不活性メサ19内において、第1の負荷端子11に電気接続された第1の導電型のドーパントをドープされた領域は存在しない。
【0067】
以上に示された不活性メサ19(またはそれぞれ活性メサ18の不活性部分)の第1の実施形態および第2の実施形態は、負荷電流が不活性メサ19と第1の負荷端子11との間の前記移行部191を横断するのを防止するための電力ユニットセル1-1の構成を提供することを可能にし得る。
【0068】
不活性メサ19は、制御トレンチ14およびさらなるトレンチ、例えば、ダミートレンチ15により、またはダミートレンチ15、および以下においてさらに説明される別のトレンチ種により横方向に閉じ込められ得る。不活性メサ19のさらなる任意選択的な態様が以下に説明される。例えば、一例ではダミートレンチ電極151が制御端子13に電気接続され得るとしても、一実施形態によれば、ダミートレンチ電極151は、不活性メサ19(またはそれぞれ活性メサ18の不活性部分)が不活性メサ19内の反転チャネルを誘導することを可能にしないため、不活性メサ19内の負荷電流を制御するように構成されていない。そのため、一実施形態では、負荷電流を制御しないようダミートレンチ電極151(すなわち、さらなるトレンチ電極)を構成することは、ダミートレンチ15(すなわち、さらなるトレンチ)を2つの不活性メサ19間にこれらに隣接して位置付けること、またはそれぞれ2つの活性メサ18の不活性部分間にこれらに隣接して位置付けること、またはそれぞれ不活性メサ19と活性メサ18の不活性メサ部分との間に一方の側では不活性メサ19に隣接し、他方の側では活性メサ18の不活性メサ部分に隣接して位置付けることによって達成することができる。
【0069】
IGBT1の少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、半導体本体10内に実装され、第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域105(以下にではバリア領域と呼ばれる)を有することができる。
【0070】
一実施形態では、バリア領域105は、例えば、
図2に示されるように、活性メサ18、およびダミートレンチ15の底部155の両方と横方向に重なることができる。
図8および
図9において同様に明瞭に示されるように、バリア領域105は、活性メサ18の(例えば、第1の横方向Xに沿った)幅の少なくとも50%と重なり得る。一実施形態では、バリア領域は、活性メサ18の(例えば、第1の横方向Xに沿った)幅の50%超、例えば、活性メサ18の全幅と、および任意選択的にダミートレンチ15の全幅とも重なり得る。この点において、バリア領域105は電気的に浮遊していてもよく、前記横方向の重なりは、少なくとも1つの電力ユニットセルが不活性メサ19を含まない場合にも形成され得ることが強調される。さらに、図示のように、バリア領域105はまた、制御トレンチ14、例えば制御トレンチ14の底部145と、例えば制御トレンチ14の底部145全体と横方向に重なり得る。
【0071】
前記横方向の重なりに関わりなく、一実施形態では、バリア領域105は、電気的に浮遊している。例えば、バリア領域105は、規定の電位と電気接続されておらず、例えば、第1の負荷端子11にも、第2の負荷端子12にも、制御端子13にも電気接続されていない。一実施形態では、電気的に浮遊しているバリア領域105は、高いオーム抵抗を有する接続部により、規定の電位に(例えば、コンタクトの電位、または別の半導体領域の電位に)接続され得る。例えば、前記高オーミック接続部により、IGBT1のスイッチング動作中、バリア領域105の電位は、規定の電位から一時的に切り離される。前記切り離しは、前記スイッチング動作の時間スケールで、例えば、少なくとも10ns、または少なくとも100ns、または少なくとも10μsにわたって生じ得る。例えば、前記高オーミック接続部の抵抗は、1e2Ω超または1e6Ω超に及ぶ。一実施形態では、例えば、静止状況中、第1の負荷端子11とバリア領域105との間で測定されたオーム抵抗は、1e2Ω超または1e6Ω超に及ぶ。例えば、バリア領域105が電気的に浮遊していることを確実にするために、一実施形態では、バリア領域105は、不活性終端構造1-3内へ延びず、例えば、バリア領域105は、専ら活性領域1-2内にのみ配置され得る。
【0072】
一実施形態では、バリア領域105は、活性メサ18の区画とダミートレンチ15の底部155との間の導電経路を提供するように構成されている。そのため、バリア領域105は、活性メサ18の区画の電位をダミートレンチ15の底部155へ案内するように構成され得る。
【0073】
バリア領域105は、一実施形態によれば、10Ωcmよりも大きくかつ1000Ωcmよりも小さい、例えば、100Ωcmよりも大きくかつ500Ωcmよりも小さい抵抗率を呈し得る。
【0074】
バリア領域105は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ジフルオロボリル(BF2)、三フッ化ホウ素(BF3)、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを含み得る。一実施形態によれば、これらの例示的な材料のそれぞれのものは、ドーパント材料の役割を果たし得る。さらに、これらの例示的な材料のそれぞれのものは、バリア領域105を形成するよう半導体本体10内へ注入することができる。
【0075】
例えば、バリア領域105は、1e14cm-3よりも大きくかつ1e18cm-3よりも小さいドーパント濃度を呈する。例えば、およそ1e16cm-3に及ぶ前記ドーパント濃度は、少なくとも0.5μmまたは少なくとも1μmの延長方向Zに沿った延長を有して存在し得る。
【0076】
さらに、バリア領域105は、ダミートレンチ15の底部155がバリア領域105内へ延びる領域内において最大ドーパント濃度を呈し得る。
【0077】
図4に、延長方向Zに沿った第2の導電型のドーパントのドーパント濃度の例示的な推移が示されている。このような推移が活性メサ18および不活性メサ19の両方の内部に存在し得る。したがって、それぞれのメサ18/19の上方区画内、例えば、第1の負荷端子11の近傍では、ドーパント濃度CCは比較的高いことができ、それにより、(例えば、不活性メサ19の場合には第1の負荷端子に電気接続されていない)チャネル領域102をもたらす。次に、ドーパント濃度CCは、ドリフト領域100が存在するメサの区画内で急激に減少する。当業者に知られているように、チャネル領域102とドリフト領域100との間の移行部は、それぞれのメサ内の第1のpn接合1021を形成し得る。不活性メサ19がチャネル領域102の区画を含まない場合、それに応じて、第1の負荷端子11における開始とバリア領域105の開始との間のドーパント濃度CCの値は、
図4に示される局所的な極小LMに対応する値にあることになるであろう。次に、例えば、それぞれのトレンチ底部145/155の前で、ドーパント濃度CCは(再び)増大し、それによりバリア領域105を形成する。図示のように、バリア領域105は、それぞれのトレンチが終端するレベルと実質的に同一である深さレベルにおいて、例えば、ダミートレンチ15の底部155のレベルにおいてバリア領域105のドーパント濃度最大値CCMを呈し得る。
【0078】
バリア領域105の例示的な空間寸法に関して、バリア領域105は、活性メサ18内へ延び、そこから制御トレンチ14の底部145の下方を通り、不活性メサ19を横切り、それによりダミートレンチ15の底部155と接し得る。一実施形態では、ダミートレンチ15の底部155および制御トレンチ14の底部145の両方がバリア領域105内へ延び得る。
【0079】
バリア領域105は、ドリフト領域100の少なくとも一部分によってチャネル領域102から分離され得る。例えば、バリア領域105は、第1の負荷端子11および第2の負荷端子12の両方と平行に配置されており、少なくともドリフト領域100によってこれらの端子11、12の各々から分離された「カーペット」を形成し得る。バリア領域105のこのようなカーペット状の構成は、トレンチ底部145および155がバリア領域105内へ入り込むことができるよう、半導体本体10内に位置付けられ得る。
【0080】
例えば、バリア領域105は、0.1μm~0.5μmの範囲内、0.5μm~1μmの範囲内、または1μm~5μmの範囲内の延長方向Zに沿った厚さを呈する。
【0081】
バリア領域105後、ドリフト領域100は、延長方向Zに沿って、第2の負荷端子12と電気接触して配置されたドープ接触領域108と接するまで延び得る。バリア領域105とドープ接触領域108との間に配置されたドリフト領域100の区画がドリフト領域100の大部分を形成してもよい。
【0082】
ドープ接触領域108は、IGBT1の構成に従って形成され得る。例えば、ドープ接触領域108は、第2の導電型のドーパントを有するエミッタ領域を含むことができる。RC-IGBTを形成するために、ドープ接触領域108は、第2の導電型のドーパントを有するエミッタ領域であって、第2の負荷端子12にも電気接続され、「n短絡」と一般的に呼ばれる、第1の導電型のドーパントを有する小区画によって交差されたエミッタ領域を含み得る。
【0083】
IGBT1の一実施形態では、ドープ接触領域108はp型エミッタを含み、活性メサ18はp型エミッタ108と完全に横方向に重なり得る。
【0084】
さらに、ドープ接触領域108は、例えば、p型エミッタ領域とドリフト領域100との間に第1の導電型のフィールドストップ領域を含み得る。IGBTに関連して、フィールドストップ領域の概念は、当業者に一般的に知られており、そのため、この任意選択的な態様をさらに説明することは控える。
【0085】
バリア領域105に戻ると、バリア領域105は、ドリフト領域100との上部pn接合1051および下部pn接合1052の各々を形成し得る。例えば、下部pn接合1052は、ダミートレンチ15の底部155および制御トレンチ14の底部145の両方よりも低く配置されている。例えば、上部pn接合1051は、活性メサ18および不活性メサ19の両方の内部に配置されている。
【0086】
延長方向Zに沿った第1のpn接合1021と上部pn接合1051との間の距離は、少なくとも0.5μmに及び得る。そのため、一実施形態によれば、2つのpn接合1021および1051は、互いに同一でなく、ドリフト領域100によって互いに分離されている。換言すれば、バリア領域105は、ドリフト領域100の少なくとも一部分によってチャネル領域102から分離され得る。
【0087】
例えば、上部pn接合1051でさえも、ダミートレンチ15の底部155および制御トレンチ14の底部145の両方よりも低く配置され得る(本例は図示されていない)。その場合、ダミートレンチ15の底部155と上部pn接合1051との間の延長方向Zに沿った距離は、3μmよりも小さい、2μmよりも小さい、またはさらに1μmよりも小さいものであり得る。
【0088】
バリア領域105は、IGBT1の活性セルフィールド1-2内の連続したバリア層として、例えば前記「カーペット」として実装され得る。以上において指示されたように、ダミートレンチ15の底部155および制御トレンチ14の底部145の両方は、バリア領域105内へ延び得、例えば、ダミートレンチ15および制御トレンチ14の両方は、少なくとも100nmだけ、少なくとも500nmだけ、または少なくとも1000nmだけバリア領域105内へ延び得る。
【0089】
上述されたように、IGBT1は、複数の電力ユニットセル1-1を含むことができ、例えば、それらは全て活性領域1-2内に含まれる。例えば、バリア領域105は、複数の電力ユニットセル1-1内に含まれる不活性メサ19を互いに接続する。例えば、この目的を達成するために、バリア領域105は、例えば、
図2において1つの電力ユニットセル1-1に関して概略的に示されるとおりの方法で不活性メサ19の各々の内部へ部分的に延び得る。
【0090】
図3における図をさらに参照すると、バリア領域105は、1つ以上の凹部1053を含み得る。ドリフト領域100は1つ以上の凹部1053の各々の内部へ完全に延び、1つ以上の凹部1053は活性メサ18と横方向に重なる。
【0091】
以上において導入された視覚語彙に従うと、バリア領域105は、「パッチワークカーペット」として実装され得、1つ以上の凹部1053は、ドリフト領域100の区画で完全に満たされている。凹部1053の寸法、位置および数は、セル構成に従って選定することができる。例えば、1つ以上の電力ユニットセル1-1がストライプセルとして実装される場合、ストライプ状の凹部1053が適切であり得る(変形例Aを参照されたい)。代替的に、複数の小セル状に形成された凹部1053(変形例BおよびDを参照されたい)または単独のより大きい凹部1053(変形例Cを参照されたい)が設けられてもよい。
【0092】
例えば、1つ以上の凹部1053は負荷電流通路を提供する。そのため、一実施形態によれば、半導体本体10によって導通される負荷電流は、バリア領域105を横切る必要がなく、1つ以上の凹部1053を通り得る。
【0093】
例えば、バリア領域105は、活性メサ18内に誘導され得る反転チャネルの(延長方向Zに沿った)鉛直投影において存在せず、すなわち前記少なくとも1つの凹部1053を呈する。この点において、電力ユニットセル1-1の1つ以上の各々の内部において、ソース領域101は、第2の横方向Yに沿って横方向に構造化され得ることが想起される。ソース領域101のこの横方向構造は、バリア領域105内における凹部1053の対応する位置によって反映され得る。
【0094】
この場合、バリア領域105と、電力ユニットセル1-1の他の部分、例えば、活性メサ18およびさらなるトレンチ15の少なくとも一方との間に存在し得る、本明細書において説明されている横方向の重なりは、例えば、第1の横方向Xおよび延長(鉛直)方向Zによって画定される平面と平行なIGBT1の鉛直断面の区画、例えば、バリア領域105が前記凹部1053の1つ以上を呈しない区画に言及することを理解されたい。これは、例えば、
図11の概略的かつ例示的な図により明瞭に示されており、そこでは、バリア領域105は、第1の横方向Xに沿って縦に延びるストライプ状の凹部1053を有する。当然のことながら、このような凹部1053が存在する領域内では、バリア領域105と電力ユニットセル1-1の他の部分との間の横方向の重なりは存在し得ない。さらに、同様に
図11に示されるように、ソース領域101の導入的に述べられた任意選択的な横方向構造が例示的に実装されている。したがって、一実施形態では、ソース領域101は、それぞれの電力ユニットセル1-1内において第2の横方向Yに沿って構造化され得る。例えば、ソース領域は局所的に設けられるのみであり、(例えば、第2の導電型のチャネル領域102によって形成された)間欠領域が、第2の横方向Yに沿って隣接した局所ソース領域101を分離している。さらに、局所ソース領域101の少なくとも一部は、
図11に例示的に示されるように、少なくとも1つの凹部1053と横方向に重なり得る。
【0095】
図6に概略的に示される実施形態を参照すると、IGBT1の少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、延長方向Zに沿って半導体本体10内へ延び、ソーストレンチ電極161を半導体本体10から絶縁する絶縁体162を含む少なくとも1つのソーストレンチ16をさらに含み得、ソーストレンチ電極161は、第1の負荷端子11に電気接続されている。
【0096】
例えば、少なくとも1つのソーストレンチ16は、
図6に示されるように、制御トレンチ14とダミートレンチ15との間に配置されている。一実施形態では、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、2つ以上のソーストレンチ16、例えば、2つのソーストレンチ16を含み得、ソーストレンチのトレンチ電極161の各々は、第1の負荷端子11に電気接続され得る。例えば、2つ以上のソーストレンチ16は、一方の側における制御トレンチ14と他方の側におけるダミートレンチ15との間に配置されている。
【0097】
一実施形態では、活性メサ18は、制御トレンチ14とソーストレンチ16とによって横方向に閉じ込められ得る。例えば、制御トレンチ14の側壁144とソーストレンチ16の側壁164とで活性メサ18を第1の横方向Xに沿って閉じ込めている。活性メサ18は、
図2に関して例示的に説明された方法で構成され得る。例えば、接触プラグ111がチャネル領域102の区画およびソース領域101の区画の両方を第1の負荷端子11に電気接続し得る。
【0098】
さらに、
図6に示される実施形態によれば、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、2つ以上の不活性メサ19を含み得、不活性メサ19の少なくとも1つは、ソーストレンチ16およびダミートレンチ15によって横方向に閉じ込められ得る。別の不活性メサ19は、2つのソーストレンチ16によって横方向に閉じ込められ得る。図示のように、不活性メサ19の各々は、チャネル領域102のそれぞれの区画を含み得る。一実施形態では、これらの区画は、第1の負荷端子11に電気接続されておらず、例えば、絶縁層112によって第1の負荷端子11から電気的に絶縁されている。
【0099】
図5に概略的に示される実施形態を参照すると、IGBT1の少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、少なくとも1つのソーストレンチ16に加えてまたはその代替として、延長方向Zに沿って半導体本体10内へ延び、トレンチ電極171を半導体本体10から絶縁する絶縁体172を含む少なくとも1つの浮遊トレンチ17をさらに含み得、浮遊トレンチ17のトレンチ電極171は、電気的に浮遊している。
【0100】
電気的に浮遊しているトレンチ電極171の電位に関して、バリア領域105が電気的に浮遊している実施形態の例示的な説明が、電気的に浮遊しているトレンチ電極171に同様に適用され得る。そのため、一実施形態では、浮遊トレンチ17のトレンチ電極171は、第1の負荷端子11にも電気接続されておらず、第2の負荷端子12にも電気接続されておらず、制御端子13にも、半導体本体10の区画にも電気接続されていない。例えば、一実施形態では、電気的に浮遊しているトレンチ電極171は、高いオーム抵抗を有する接続部により、規定の電位に(例えば、コンタクトの電位、または別の半導体領域の電位に)接続され得る。例えば、前記高オーミック接続部により、IGBT1のスイッチング動作中、電気的に浮遊しているトレンチ電極171の電位は、規定の電位から一時的に切り離される。前記切り離しは、前記スイッチング動作の時間スケールで、例えば、少なくとも10ns、または少なくとも100ns、または少なくとも10μsにわたって生じ得る。例えば、前記高オーミック接続部の抵抗は、1e2Ω超または1e6Ω超に及ぶ。一実施形態では、例えば、静止状況中、第1の負荷端子11と電気的に浮遊しているトレンチ電極171との間で測定されたオーム抵抗は、1e2Ω超または1e6Ω超に及ぶ。
【0101】
例えば、少なくとも1つの浮遊トレンチ17は、制御トレンチ14とダミートレンチ15との間に配置され得る。さらに、
図5に示されるように、電力ユニットセル1-1は、少なくとも1つのソーストレンチ16を追加的に含み得、ソーストレンチ16および浮遊トレンチ17は、一方の側における制御トレンチ14と他方の側におけるダミートレンチ15との間に配置され得る。一実施形態では、活性メサ18は、制御トレンチ14の側壁144およびソーストレンチ16の側壁164によって横方向に閉じ込められている。不活性メサ19は、ソーストレンチ16の側壁164、浮遊トレンチ17の側壁174、およびダミートレンチ15の側壁154の群の少なくとも2つによって横方向に閉じ込められ得る。
【0102】
そのため、
図6の実施形態によれば、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、少なくとも1つのソーストレンチ16および少なくとも1つの浮遊トレンチ17の両方を含み、少なくとも1つのソーストレンチ16および少なくとも1つの浮遊トレンチ17は、制御トレンチ14とダミートレンチ15との間に配置されている。
【0103】
一実施形態では、IGBT1およびIGBT1の電力ユニットセル1-1の各々は、マイクロパターントレンチ(MPT)構造を呈し得る。
【0104】
例えば、電力ユニットセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17の各々は、例えば、等しい空間寸法を呈し得、規則的なパターンに従って配置され得る。例えば、トレンチ14、15、16、17の各々は、3μm~8μmの範囲内の延長方向Zに沿った深さおよび0.4μm~1.6μmの範囲内の第1の横方向Xに沿った幅を呈し得る。
【0105】
さらに、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1内に含まれ得る全てのトレンチ14、15、16、17のトレンチ電極141、151、161、171の各々は、等しい空間寸法を呈し得る。加えて、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17の各々は、第1の横方向Xに沿って等距離に配置され得る。そのため、各電力ユニットセル1-1のメサ18および19は、両方とも0.1μm~0.3μmの範囲内、0.3μm~0.8μmの範囲内、または0.8μm~1.4μmの範囲内にあり得る同じ幅を呈し得る。
【0106】
別の実施形態では、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17の各々は、第1の横方向Xに沿って等距離に配置されていない。例えば、このような実施形態では、不活性メサ19は、活性メサ18よりも大きい幅を呈し得、例えば、不活性メサ19の幅は活性メサ18の幅の少なくとも150%に及び得る。
【0107】
さらに、電力ユニットセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17の各々は、例えば、少なくとも100nmだけ、少なくとも500nmだけ、または少なくとも1000nmだけバリア領域105内へ延び得る。
【0108】
以下の説明のために、以下の略語が適用されてもよい。
G=制御トレンチ14
D=ダミートレンチ15
S=ソーストレンチ16
F=浮遊トレンチ17
k=活性メサ18
o=不活性メサ19
【0109】
上述されたように、IGBT1は、複数の等しく構成された電力ユニットセル1-1を含み得る。一実施形態では、以上において紹介された適用を用いると、各電力ユニットセル1-1内における例示的な近傍関係は以下のように表すことができる。
例示的な近傍関係#1:kGkSoSoDoDoSoS
例示的な近傍関係#2:kGkSoFoDoDoDoDoFoS
例示的な近傍関係#3:kGkSoSoDoDoSoS
【0110】
上述された全ての実施形態に関して、一変形例によれば、メサ18および19内に含まれるドリフト領域100の区画、例えば、チャネル領域102とのpn接合1021およびバリア領域105との上部pn接合1051を形成する区画は、バリア領域105の下方に配置されたドリフト領域100の区画、例えば、バリア領域105との下部pn接合1052を形成するドリフト領域100の区画のドーパント濃度と比べて少なくとも2倍大きいドーパント濃度を呈し得ることを理解されたい。メサ18および19内に含まれるドリフト領域100の前記区画は各々、1e14cm-3~1e18cm-3の範囲内の最大ドーパント濃度、例えば、少なくとも1e16cm-3の最大ドーパント濃度を呈し得る。例えば、メサ18および19内に含まれ、前記増大したドーパント濃度を呈し得るドリフト領域100の前記区画は、「n型バリア領域」と呼ぶことができる。例えば、メサ18および19内に含まれるドリフト領域100の区画のドーパント濃度は、上部pn接合1051がトレンチ底部145および155をわずかに上回るレベルにとどまるように選定される。
【0111】
最後に、ここで、
図7の図に関して、IGBTを加工する方法2が提示される。例えば、
図7に示される方法2の実施形態は、例えば、先行する
図1~
図6に関して上述されたIGBT1の1つ以上の例示的な実施形態を製作するために用いられ得る。
【0112】
ステップ20において、IGBT1の第1の負荷端子11および第2の負荷端子12に結合されるように構成され、かつ前記端子11、12間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域100を含む半導体本体10であって、ドリフト領域100は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体10を設けることができる。
【0113】
ステップ23において、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1を形成することができる。少なくとも1つの電力ユニットセル1-1は、制御トレンチ電極141を有する少なくとも1つの制御トレンチ14、および制御電極141に結合されたさらなるトレンチ電極151を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ15、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子11に電気接続されたソース領域101、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域101とドリフト領域100とを分離するチャネル領域102を含む少なくとも1つの活性メサ18であって、この活性メサ18内において、ソース領域101、チャネル領域102およびドリフト領域100の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチ14の側壁144に隣接して配置されており、制御トレンチ電極141は、IGBT1の制御端子13から制御信号を受信し、かつ活性メサ18内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ18、および任意選択的に少なくともダミートレンチ15に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ19であって、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の移行部191は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部112を提供する、少なくとも1つの不活性メサ19を含み得る。
【0114】
例えば、ステップ21において、第1の負荷端子11と電気接続されており、かつ第1の導電型のドーパントを含む前記ソース領域101を設けることができる。ステップ21の前または後にステップ22において、第2の導電型のドーパントを含み、かつソース領域101とドリフト領域100とを分離する前記チャネル領域102を設けることができる。
【0115】
活性メサ18および(任意選択的な)不活性メサ19を構成する例示的な方法に関して、それは、以上において与えられたIGBT1の実施形態の例示的な説明に委ねられる。この説明は、方法2の実施形態に同様に適用され得る。
【0116】
ステップ24において、半導体バリア領域105を半導体本体10内に形成することができる。(電気的に浮遊し得る)バリア領域105は、第2の導電型のドーパントを含み、活性メサ18およびさらなるトレンチ15の底部155の両方と横方向に重なり得る。バリア領域105を構成する例示的な方法に関して、それは、以上において与えられたIGBT1の実施形態の例示的な説明に委ねられる。この説明は、方法2の実施形態に同様に適用され得る。
【0117】
例えば、電気的に浮遊しているバリア領域105を形成すること(ステップ24を参照されたい)は、注入加工ステップを実行することを含む。注入加工ステップは、10keV~100keVの範囲内の注入エネルギーを用いて、および/または1MeV~3MeVの範囲内の注入ドーズを用いて実行することができる。
【0118】
最後に、
図8~
図10を参照してさらなる実施形態が簡単に説明される。
【0119】
例えば、
図8~
図10に示されるように、一実施形態によれば、IGBT1は、IGBT1の第1の負荷端子11および第2の負荷端子12に結合され、かつ前記端子11、12間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域100を含む半導体本体(他の図面における参照符号10を参照されたい)であって、ドリフト領域100は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体と、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1であって、制御トレンチ電極141を有する少なくとも1つの制御トレンチ14、および例えば制御トレンチ電極141に結合されている、さらなるトレンチ電極151を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ15を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1とを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子11に電気接続されたソース領域101、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域101とドリフト領域100とを分離するチャネル領域102を含む少なくとも1つの活性メサ18であって、この活性メサ18内において、ソース領域101、チャネル領域102およびドリフト領域100の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチ14の側壁(他の図面における参照符号144を参照されたい)に隣接して配置されており、制御トレンチ電極141は、IGBTの制御端子(他の図面における参照符号13を参照されたい)から制御信号を受信し、かつ活性メサ18内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ18を有する。
【0120】
図8に示されるように、一実施形態では、電気的に浮遊している半導体バリア領域105を半導体本体10内に実装することができる。バリア領域105は、第2の導電型のドーパントを含み、活性メサ18およびさらなるトレンチ15の底部の両方と横方向に重なる。以上においてより詳細に説明されたように、バリア領域105は、なおも第1の横方向Xと平行にさらに延びてもよく、例えば、それにより活性メサ18の全幅に沿って延びる。
【0121】
次に、
図9および
図10を参照すると、一実施形態によれば、IGBT1は、IGBT1の第1の負荷端子11および第2の負荷端子12に結合され、かつ前記端子11、12間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域100を含む半導体本体(他の図面における参照符号10を参照されたい)であって、ドリフト領域100は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体と、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1であって、制御トレンチ電極141を有する少なくとも1つの制御トレンチ14、および例えば制御トレンチ電極141に結合されている、さらなるトレンチ電極151を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ15を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル1-1とを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子11に電気接続されたソース領域101、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域101とドリフト領域100とを分離するチャネル領域102を含む少なくとも1つの活性メサ18であって、この活性メサ18内において、ソース領域101、チャネル領域102およびドリフト領域100の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチ14の側壁(他の図面における参照符号144を参照されたい)に隣接して配置されており、制御トレンチ電極141は、IGBTの制御端子(他の図面における参照符号13を参照されたい)から制御信号を受信し、かつ活性メサ18内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ18を有する。少なくとも1つのさらなるトレンチ15に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ19が電力ユニットセル1-1内に設けられていてもよく、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の移行部(他の図面における参照符号191を参照されたい)は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部112を提供する。半導体本体10内に実装され、かつ第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域105が設けられていてもよい。バリア領域105は、電気的に浮遊していてもよい。
【0122】
制御トレンチ14およびさらなるトレンチ15の両方のそれぞれの下方部分LPは、バリア領域105内へ延びてもよく、各下方部分LPは、それぞれのトレンチ14、15の最も深い5分の1の部分によって形成されている。同様に、制御トレンチ電極141およびさらなるトレンチ電極151の両方のそれぞれの下方部分LPは、バリア領域105内へ延びてもよく、各下方部分LPは、それぞれのトレンチ電極141、151の最も深い5分の1の部分によって形成されている(当然のことながら、トレンチ電極141、151は、半導体本体から隔離されたままである)。
【0123】
制御トレンチ14およびさらなるトレンチ15の両方のそれぞれの上方部分UPは、それぞれのトレンチ14、15の残りの5分の4の部分によって形成されており、制御トレンチ14の上方部分UPは、ソース領域101およびチャネル領域102に隣接して配置され得る。同様に、制御トレンチ電極141およびさらなるトレンチ電極151の両方のそれぞれの上方部分UPは、それぞれのトレンチ電極141、151の残りの5分の4の部分によって形成され得、制御トレンチ電極141の上方部分UPは、延長方向Zに沿ってソース領域101およびチャネル領域102と重なることができる。
【0124】
一実施形態では、また、制御トレンチ14およびさらなるトレンチ15の両方のそれぞれの上方部分UPもバリア領域105内へ部分的に延びていてよい。
【0125】
総計の活性交差エリアAIA(制御トレンチの太線の経路を参照されたい)は、制御トレンチ14の下方部分LPとバリア領域105との間の移行部によって画定される。
【0126】
総計のさらなる交差エリアDIA(さらなるトレンチ15の太線の経路を参照されたい)は、さらなるトレンチ15の下方部分LPとバリア領域105との間の移行部によって画定される。
【0127】
総計のチャネル交差エリアCIA(
図10を参照されたい)は、制御トレンチ15の上方部分UPと、活性メサ18内のソース領域101およびチャネル領域102の両方によって形成された部分領域との間の移行部によって画定される。前記部分領域内において、先に説明されたように、負荷電流を導通するための反転チャネルが誘導され得る。
【0128】
前記交差エリアAIA、DIAおよびCIAは、各々のそれぞれの電力ユニットセル1-1内において、第2の横方向Yにそれぞれの電力ユニットセル1-1の総延長に沿って形成され得る。
【0129】
一実施形態によれば、活性交差エリアAIAは、さらなる交差エリアDIAの少なくとも10分の1にかつさらなる交差エリアDIA以下に及ぶ。例えば、バリア領域105は、電力ユニットセル1-1の各々のさらなるトレンチ15がバリア領域105内へ延びるように、かつ電力ユニットセル1-1の複数の制御トレンチ14がバリア領域105内へ部分的に延びるのみであるか、またはさらなるトレンチ15と同じほど深く延びないように、活性領域1-2内で(前記1つ以上の凹部1053に関して)横方向に構造化され得る。活性交差エリアAIAがさらなる交差エリアDIAの少なくとも10分の1にかつさらなる交差エリアDIA以下に及ぶ例示的な条件に加えて、バリア領域105は、以上において説明されたように、例えば、活性領域1-2内で(前記凹部1053を有してまたは有さず)連続的に延びることにより、活性メサ18とさらに横方向に重なり得る。
【0130】
さらなる実施形態によれば、電力ユニットセルの各々について、総計のチャネル交差エリアCIAは、活性交差エリアAIAとさらなる交差エリアDIAとの和よりも小さくなり得る。この条件の達成は、IGBT1の改善されたキャパシタンス比特性をもたらし得る。例えば、(バリア領域105の任意選択的な1つ以上の凹部1053に関する)バリア領域105の横方向構造に関わりなく、IGBT1の電力ユニットセル1-1を含むIGBT1全体のために、制御トレンチ14およびさらなるトレンチ15が、凹部が存在しないバリア領域105内へ部分的に延びることをもたらすことにより、総計のチャネル交差エリアCIAが活性交差エリアAIAとさらなる交差エリアDIAとの和よりも小さくなり得ることを確実にすることができる。
【0131】
図8~
図10に関して説明された実施形態に関して、本明細書において、また、以下に要約されている対応する加工方法が提示されることを理解されたい。これらの方法の実施形態は、本明細書に記載されているIGBTの実施形態に対応し得る。
【0132】
別の実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合されるように構成され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、および制御トレンチ電極に結合されたさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチと、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されており、さらなるトレンチ電極は、負荷電流を制御するように構成されていない、少なくとも1つの活性メサとを含む、形成することと、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域を形成することであって、このバリア領域は、活性メサおよびさらなるトレンチの底部の両方と横方向に重なる、形成することとを含む。
【0133】
別の実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合されるように構成され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチと、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサとを含む、形成することと、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域を形成することであって、このバリア領域は、活性メサの全幅およびさらなるトレンチの底部の両方と横方向に重なる、形成することとを含む。
【0134】
一実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、形成することとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および少なくとも1つのさらなるトレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサであって、第1の負荷端子と不活性メサとの間の移行部は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する、少なくとも1つの不活性メサを有し、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域を形成し、それにより、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの下方部分は、バリア領域内へ延び、各下方部分は、それぞれのトレンチの最も深い5分の1の部分によって形成されており、総計の活性交差エリアは、制御トレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、総計のさらなる交差エリアは、さらなるトレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、および活性交差エリアは、さらなる交差エリアの少なくとも10分の1にかつさらなる交差エリア以下に及ぶ。
【0135】
一実施形態によれば、IGBTを加工する方法は、IGBTの第1の負荷端子および第2の負荷端子に結合され、かつ前記端子間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域を含む半導体本体を設けることであって、ドリフト領域は、第1の導電型のドーパントを含む、設けることと、少なくとも1つの電力ユニットセルを形成することであって、この電力ユニットセルは、制御トレンチ電極を有する少なくとも1つの制御トレンチ、およびさらなるトレンチ電極を有する少なくとも1つのさらなるトレンチを含む、形成することとを含む。さらに、少なくとも1つの電力ユニットセルは、第1の導電型のドーパントを有し、かつ第1の負荷端子に電気接続されたソース領域、および第2の導電型のドーパントを有し、かつソース領域とドリフト領域とを分離するチャネル領域を含む少なくとも1つの活性メサであって、この活性メサ内において、ソース領域、チャネル領域およびドリフト領域の各々の少なくともそれぞれの区画は、制御トレンチの側壁に隣接して配置されており、制御トレンチ電極は、IGBTの制御端子から制御信号を受信し、かつ活性メサ内の負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ、および少なくとも1つのさらなるトレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサであって、第1の負荷端子と不活性メサとの間の移行部は、少なくとも第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部を提供する、少なくとも1つの不活性メサを有し、半導体本体内において、第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域を形成し、それにより、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの下方部分は、バリア領域内へ延び、各下方部分は、それぞれのトレンチの最も深い5分の1の部分によって形成されており、制御トレンチおよびさらなるトレンチの両方のそれぞれの上方部分は、それぞれのトレンチの残りの5分の4の部分によって形成されており、制御トレンチの上方部分は、ソース領域およびチャネル領域に隣接して配置されており、総計の活性交差エリアは、制御トレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、総計のさらなる交差エリアは、さらなるトレンチの下方部分とバリア領域との間の移行部によって画定され、総計のチャネル交差エリアは、制御トレンチの上方部分と、活性メサ内のソース領域およびチャネル領域の両方によって形成された部分領域との間の移行部によって画定され、および総計のチャネル交差エリアは、活性交差エリアとさらなる交差エリアとの和よりも小さい。
【0136】
図8~
図10に区分的に示されているIGBT1の構成要素の任意選択的な特徴および変形例ならびにこれらの対応する加工方法は、上述されたものに対応し得る。例えば、上述されたさらなるトレンチ15は、ダミートレンチであり得、およびさらなるトレンチ電極151は、ダミートレンチ電極であり得る。ダミートレンチ電極151は、制御トレンチ電極141に電気結合され得る。例えば、ダミートレンチ電極151および制御トレンチ電極141の両方は、IGBT1の制御端子13に電気結合されており、例えば、制御端子13は、IGBT1を駆動するための駆動ユニット(図示されていない)の出力に電気接続されていてもよい。例えば、ダミートレンチ電極151および制御トレンチ電極141の両方は、IGBT1の制御端子13に電気的に、すなわちそれぞれの低オーミック接続部(図示されていない)によって接続されている。例えば、ダミートレンチ電極151の電位は、制御トレンチ電極141の電位と少なくとも実質的に同一であり得る。別の実施形態では、制御端子13と制御トレンチ電極141との間の第1のオーム抵抗は、制御端子13とダミートレンチ電極151との間の第2のオーム抵抗と異なり得る。第1のオーム抵抗と第2のオーム抵抗との差は、例えば、0Ω~100Ωの範囲内であり得る。例えば、第2のオーム抵抗は、第1のオーム抵抗よりも大きい。
【0137】
本明細書に記載されている1つ以上の実施形態によれば、MPT構造に従って構成された複数の電力ユニットセルを有するIGBTであって、各電力ユニットセルは、少なくとも1つの活性メサ内における負荷電流を制御するための制御トレンチ、および任意選択的に制御端子に同様に電気接続され、かつ少なくとも1つの不活性メサに隣接して配置されたトレンチ電極を有する少なくとも1つのダミートレンチを有し、任意選択的に、活性メサおよびダミートレンチの底部がp型ドープバリア領域によって互いに接続されている、IGBTが提示される。このような接続のため、一実施形態によれば、IGBTのスイッチング動作中、制御端子13上の電圧スイングが低減され得る。これは、例えば、IGBTのスイッチング中のゲート信号によるdV/dtの改善された制御を可能にし得る。
【0138】
以上において、IGBTおよび対応する加工方法に関する実施形態が説明された。例えば、これらのIGBTは、シリコン(Si)をベースとする。したがって、単結晶半導体領域または層、例えば、半導体本体10ならびに半導体本体10の領域/区域100、101、102、105および108は、単結晶Si領域またはSi層であり得る。他の実施形態では、多結晶またはアモルファスシリコンが用いられてもよい。
【0139】
しかし、半導体本体10およびそのドープ領域/区域は、半導体デバイスの製造に適した任意の半導体材料で作製することができることを理解されたい。このような材料の例としては、数例を挙げると、これらに限定されるわけではないが、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)などの元素半導体材料、炭化ケイ素(SiC)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)などのIV族化合物半導体材料、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、リン化インジウムガリウム(InGaPa)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)またはヒ化リン化インジウムガリウム(InGaAsP)などの二元、三元または四元III-V半導体材料、およびテルル化カドミウム(CdTe)およびテルル化水銀カドミウム(HgCdTe)などの二元または三元II-VI半導体材料が挙げられる。上述の半導体材料は「ホモ接合半導体材料」とも呼ばれる。2つの異なる半導体材料を組み合わせると、ヘテロ接合半導体材料が形成される。ヘテロ接合半導体材料の例としては、これらに限定されるわけではないが、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)-窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)-窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)-窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)-窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)-窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、ケイ素-炭化ケイ素(SixC1-x)およびケイ素-SiGeヘテロ接合半導体材料が挙げられる。パワー半導体デバイスの用途のために、現在、主としてSi、SiC、GaAsおよびGaN材料が用いられている。
【0140】
「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上部」および同様のものなどの空間的相対語は、1つの要素の、第2の要素に対する位置付けを説明するための記述を容易にするために用いられる。これらの用語は、図に示されるものと異なる向きに加えて、それぞれのデバイスの異なる向きを包含することを意図されている。さらに、「第1」、「第2」、および同様のものなどの用語は、同様に、様々な要素、領域、区域などを記述するために用いられ、同じく限定を意図されていない。本記載全体を通じて同様の用語は同様の要素を指す。
【0141】
本明細書で使用するとき、用語「有する」、「含有する」、「包含する」、「含む」、「呈する」および同様のものは、述べられている要素または特徴の存在を指示するが、追加の要素または特徴を除外しないオープンエンドな用語である。
【0142】
上述の変形形態および適用の範囲を念頭に置いて、本発明は、上述の説明によって限定されず、また添付の図面によっても限定されないことを理解されたい。代わりに、本発明は、添付の請求項およびその法的均等物によってのみ限定される。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、および前記制御トレンチ電極に結合されたさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されており、前記さらなるトレンチ電極(151)は、前記負荷電流を制御するように構成されていない、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域(105)であって、前記活性メサ(18)および前記さらなるトレンチ(15)の底部(155)の両方と横方向に重なる、電気的に浮遊している半導体バリア領域(105)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と
を含む、IGBT(1)。
(態様2)
- 前記少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)は、前記少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ(19)をさらに含み、前記第1の負荷端子(11)と前記不活性メサ(19)との間の移行部(191)は、少なくとも前記第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部(112)を提供し、および/または
- 前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)および前記制御トレンチ(14)の底部(145)の両方は、前記バリア領域(105)内へ延びる、態様1に記載のIGBT(1)。
(態様3)
前記バリア領域(105)は、前記活性メサ(18)の幅の少なくとも50%について前記活性メサ(18)と横方向に重なる、態様1または2に記載のIGBT(1)。
(態様4)
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、およびさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含む、電気的に浮遊している半導体バリア領域(105)であって、前記活性メサ(18)の全幅および前記さらなるトレンチ(15)の底部(155)の両方と横方向に重なる、電気的に浮遊している半導体バリア領域(105)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と
を含む、IGBT(1)。
(態様5)
IGBT(1)であって、
- 前記IGBT(1)の第1の負荷端子(11)および第2の負荷端子(12)に結合され、かつ前記端子(11、12)間において負荷電流を導通するように構成されたドリフト領域(100)を含む半導体本体(10)であって、前記ドリフト領域(100)は、第1の導電型のドーパントを含む、半導体本体(10)と、
- 少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)であって、
- 制御トレンチ電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)、およびさらなるトレンチ電極(151)を有する少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)、
- 前記第1の導電型のドーパントを有し、かつ前記第1の負荷端子(11)に電気接続されたソース領域(101)、および第2の導電型のドーパントを有し、かつ前記ソース領域(101)と前記ドリフト領域(100)とを分離するチャネル領域(102)を含む少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記活性メサ(18)内において、前記ソース領域(101)、前記チャネル領域(102)および前記ドリフト領域(100)の各々の少なくともそれぞれの区画は、前記制御トレンチ(14)の側壁(144)に隣接して配置されており、前記制御トレンチ電極(141)は、前記IGBT(1)の制御端子(13)から制御信号を受信し、かつ前記活性メサ(18)内の前記負荷電流を制御するように構成されている、少なくとも1つの活性メサ(18)、および
- 前記少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ(19)であって、前記第1の負荷端子(11)と前記不活性メサ(19)との間の移行部(191)は、少なくとも前記第1の導電型の電荷キャリアに対する電気絶縁部(112)を提供する、少なくとも1つの不活性メサ(19)
を含む、少なくとも1つの電力ユニットセル(1-1)と、
- 前記半導体本体(10)内に実装され、かつ前記第2の導電型のドーパントを含む半導体バリア領域(105)であって、
- 前記制御トレンチ(14)および前記さらなるトレンチ(15)の両方のそれぞれの下方部分(LP)は、前記バリア領域(105)内へ延び、各下方部分(LP)は、前記それぞれのトレンチ(14、15)の最も深い5分の1の部分によって形成されており、
- 前記制御トレンチ(14)および前記さらなるトレンチ(15)の両方のそれぞれの上方部分(UP)は、前記それぞれのトレンチ(14、15)の残りの5分の4の部分によって形成されており、前記制御トレンチ(14)の前記上方部分(UP)は、前記ソース領域(101)および前記チャネル領域(102)に隣接して配置されており、
- 総計の活性交差エリア(AIA)は、前記制御トレンチ(14)の前記下方部分(LP)と前記バリア領域(105)との間の移行部によって画定され、および
総計のさらなる交差エリア(DIA)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記下方部分(LP)と前記バリア領域(105)との間の移行部によって画定され、および
総計のチャネル交差エリア(CIA)は、前記制御トレンチ(15)の前記上方部分(UP)と、前記活性メサ(18)内の前記ソース領域(101)および前記チャネル領域(102)の両方によって形成された部分領域との間の移行部によって画定され、および
- 前記総計のチャネル交差エリア(CIA)は、前記活性交差エリア(AIA)と前記さらなる交差エリア(DIA)との和よりも小さい、半導体バリア領域(105)と
を含む、IGBT(1)。
(態様6)
前記バリア領域(105)は、電気的に浮遊している、態様5に記載のIGBT(1)。
(態様7)
前記少なくとも1つのさらなるトレンチ(15)は、ダミートレンチであり、前記さらなるトレンチ電極(151)は、ダミートレンチ電極であり、前記制御トレンチ電極(141)および前記ダミートレンチ電極(151)の両方は、前記制御端子(13)にそれぞれ電気結合されている、態様1~6のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様8)
前記バリア領域(105)は、前記活性メサ(18)の区画と前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)との間の導電経路を提供するように構成されている、態様1~7のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様9)
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)との上部pn接合(1051)および下部pn接合(1052)の各々を形成し、前記下部pn接合(1052)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)および前記制御トレンチ(14)の底部(145)の両方よりも低く配置されている、態様1~8のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様10)
前記上部pn接合(1051)は、前記活性メサ(18)内および任意選択的に前記不活性メサ(19)内に配置されている、態様9に記載のIGBT(1)。
(態様11)
前記上部pn接合(1051)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)および前記制御トレンチ(14)の底部(145)の両方よりも低く配置されており、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)と前記上部pn接合(1051)との間の延長方向(Z)に沿った距離は、3μmよりも小さい、態様10に記載のIGBT(1)。
(態様12)
前記バリア領域(105)は、前記IGBT(1)の活性セルフィールド(1-2)内の連続したバリア層として実装されている、態様1~11のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様13)
前記バリア領域(105)は、1つ以上の凹部(1053)を含み、前記ドリフト領域(100)は、前記1つ以上の凹部(1053)の各々の中へ完全に延び、前記1つ以上の凹部(1053)は、前記活性メサ(18)と横方向に重なる、態様12に記載のIGBT(1)。
(態様14)
前記バリア領域(105)は、1e14cm-3よりも大きくかつ1e18cm-3よりも小さいドーパント濃度(CC)を呈する、態様1~13のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様15)
前記ドーパント濃度は、少なくとも0.5μmの延長方向(Z)に沿った延長を有して存在する、態様14に記載のIGBT(1)。
(態様16)
前記バリア領域(105)は、前記さらなるトレンチ(15)の前記底部(155)が前記バリア領域(105)内へ延びる領域内において最大ドーパント濃度(CC)を呈する、態様1~15のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様17)
前記バリア領域(105)は、10Ωcmよりも大きくかつ1000Ωcmよりも小さい抵抗率を呈する、態様1~16のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様18)
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)の少なくとも一部分によって前記チャネル領域(102)から分離されている、態様1~17のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様19)
前記電力ユニットセル(1-1)は、
- ソーストレンチ電極(161)を有する少なくとも1つのソーストレンチ(16)であって、前記ソーストレンチ電極(161)は、前記第1の負荷端子(11)に電気接続されており、任意選択的に、前記少なくとも1つのソーストレンチ(16)は、前記制御トレンチ(14)と前記さらなるトレンチ(15)との間に配置されており、任意選択的に、前記活性メサ(18)は、前記制御トレンチ(14)および前記ソーストレンチ(16)によって横方向に閉じ込められており、任意選択的に、前記不活性メサ(19)は、前記ソーストレンチ(16)および前記さらなるトレンチ(15)によって横方向に閉じ込められている、少なくとも1つのソーストレンチ(16)、および/または
- トレンチ電極(171)を有する少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)であって、前記浮遊トレンチ(17)の前記トレンチ電極(171)は、電気的に浮遊しており、任意選択的に、前記少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)は、前記制御トレンチ(14)と前記さらなるトレンチ(15)との間に配置されている、少なくとも1つの浮遊トレンチ(17)
をさらに含む、態様1~18のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
(態様20)
複数の電力ユニットセル(1-1)を含み、前記バリア領域(105)は、前記複数の電力ユニットセル(1-1)内に含まれる前記不活性メサ(19)を互いに接続する、態様1~19のいずれか一項に記載のIGBT(1)。
【符号の説明】
【0143】
1 IGBT
1-1 電力ユニットセル
1-2 活性領域
1-3 不活性終端構造
1-4 チップ縁部
10 半導体本体
11 第1の負荷端子
12 第2の負荷端子
13 制御端子
14 制御トレンチ
15 さらなるトレンチ
16 ソーストレンチ
17 浮遊トレンチ
18 活性メサ
19 不活性メサ
100 ドリフト領域
101 ソース領域
102 チャネル領域
105 半導体バリア領域
108 ドープ接触領域
111 接触プラグ
112 電気絶縁部
132 絶縁構造体
141 制御電極
142 絶縁体
144 側壁
145 底部
151 さらなるトレンチ電極
152 絶縁体
154 側壁
155 底部
161 ソーストレンチ電極
162 絶縁体
164 側壁
171 トレンチ電極
172 絶縁体
174 側壁
181 移行部
191 移行部
1021 第1のpn接合
1051 上部pn接合
1052 下部pn接合
1053 凹部