(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】チャック力制御を有する静電チャック基板支持体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220720BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220720BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
H01L21/302 101B
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2019563804
(86)(22)【出願日】2018-08-22
(86)【国際出願番号】 US2018047447
(87)【国際公開番号】W WO2019046054
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2019-11-20
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ボイド ジュニア ウェンデル グレン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ジム ジョンギ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ジェンウェン
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0076915(US,A1)
【文献】特開2010-147502(JP,A)
【文献】特開平04-111339(JP,A)
【文献】特開2000-031252(JP,A)
【文献】特開平04-345050(JP,A)
【文献】特開2015-111074(JP,A)
【文献】特開平11-251420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
基板支持体のパターン形成表面に基板を配置する工程であって、基板支持体は、処理チャンバの処理容積内に配置されている工程と、
基板支持体に配置されたチャック電極にチャック電圧を印加する工程と、
基板と基板支持体との間に配置された裏面容積にガスを流入させる工程と、
基板のたわみを監視する工程であって、基板の表面で反射され放射の強度を測定するように構成された光ファイバ強度センサーを使用し、
パターン形成表面と光ファイバ強度センサーとの間に配置された透明インサートを透過する放射の強度を測定する工程を含む、基板のたわみを監視する工程と、
基板のたわみに基づいてチャックパラメータを変更する工程とを含む方法。
【請求項2】
チャックパラメータを変更する工程は、チャック電圧を変更する工程、裏面容積内のガスの圧力を変更する工程、又はその両方を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光ファイバ強度センサーは、基板支持体に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
光ファイバ強度センサーは、放射源と、放射検出器と、複数の光ファイバとを備え、
複数の光ファイバの端部は、基板支持体に形成された開口部に配置されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
基板を処理する方法であって、
基板支持体のパターン形成表面に基板を配置する工程であって、基板支持体は、処理チャンバの処理容積内に配置されている工程と、
基板支持体に配置されたチャック電極にチャック電圧を印加する工程と、
基板と基板支持体との間に配置された裏面容積にガスを流入させる工程と、
基板のたわみを監視する工程であって、基板の表面で反射される放射の強度を測定するように構成された光ファイバ強度センサーを使用する工程を含む、基板のたわみを監視する工程と、
基板のたわみに基づいてチャックパラメータを変更する工程とを含む方法のための命令が格納されているコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
チャックパラメータを変更する工程は、チャック電圧を変更する工程、裏面容積内のガスの圧力を変更する工程、又はその両方を含んでいる、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
光ファイバ強度センサーは、放射源と、放射検出器と、複数の光ファイバとを備え、
複数の光ファイバの端部は、基板支持体に形成された開口部に配置されている、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
基板を処理するための装置であって、
パターン形成表面を備える基板支持体であって、
パターン形成表面は、その凹面から延びる隆起フィーチャーを有し、
隆起フィーチャーの基板接触表面積は、被処理基板の非デバイス側表面積の約30%未満である基板支持体と、
基板支持体に少なくとも部分的に配置された光ファイバ強度センサーであって、チャック力が作用している被処理基板のたわみを監視するように構成され、被処理基板の表面で反射される放射の強度を測定するように構成された光ファイバ強度センサーと、
パターン形成表面と光ファイバ強度センサーとの間に配置された透明インサートとを備える装置。
【請求項9】
光ファイバ強度センサーは、放射源と、放射検出器と、複数の光ファイバとを備え、
複数の光ファイバの端部は、基板支持体に形成された開口部に配置されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
処理チャンバをさらに備え、基板支持体は処理チャンバの処理容積内に配置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
チャックパラメータを変更する工程は、チャック電圧と、裏面容積内の第2ガスの圧力とを同時に変更する工程を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
チャックパラメータを変更する工程は、チャック電圧と、裏面容積内の第2ガスの圧力とを逐次的に変更する工程を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
パターン形成表面は、凹面から延びる隆起フィーチャーを備え、
隆起フィーチャーの基板接触表面積は、基板の非デバイス側表面積の約30%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
隆起フィーチャーは、約3μmから約50μmの間の高さを有する複数の突起を備えている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の突起は、約500μmから約5mmの間の平均直径を有している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板のたわみを監視する工程は、基板支持体に少なくとも部分的に配置された光ファイバ強度センサーを使用する工程を含んでいる、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
パターン形成表面は、凹面から延びる隆起フィーチャーを備え、
隆起フィーチャーの基板接触表面積は、被処理基板の非デバイス側表面積の約30%未満である、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
1つ以上のチャック電極に供給されるチャック電圧を独立して調整するためのシステムコントローラをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項19】
透明インサートは、バンドパスフィルタ、ウェーブパスフィルタ、波長板、及びリターダーのうちの1つ又は組み合わせを備えている、請求項
8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本明細書で説明される諸実施形態は、概して半導体デバイスの製造に関し、具体的には、静電チャック(ESC)基板支持体とその上に配置された基板との間の接触力を制御するために使用される方法及び装置に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
静電チャックとして一般に知られている静電チャック(ESC)基板支持体は、半導体デバイスの製造に使用され、静電チャック(ESC)力によって、基板を処理チャンバの処理容積内の処理位置に確実に保持する。チャック力は、基板支持体の誘電材料に埋め込まれたチャック電極に供給されるDC電圧と、誘電材料の表面上に配置された基板との間の電位の関数である。
【0003】
処理チャンバの処理容積内に存在する低圧雰囲気のために、基板支持体の誘電材料と基板との間の熱伝導の働きは弱い。熱伝導の働きが弱いと、基板を加熱又は冷却して、基板を望ましい温度に、又は望ましい温度範囲内に維持する点での、基板支持体の有効性が低下する。したがって、一部の処理では、熱伝導性不活性ガス(例えば、ヘリウム)が、基板の非活性面と基板支持体の間に配置された裏面容積に導入されて、それらの間の熱伝達を改善する。処理容積の圧力(処理圧力)と比較して裏面容積の圧力(裏面圧力)が高いと、基板に裏面側の力が作用する。この裏面側の力は、チャック電極によって与えられるチャック力とは反対向きである。チャック力と裏面側の力の差には、基板と基板支持面との間の接触力が含まれる。
【0004】
残念ながら、基板と基板支持面との間に過度の接触力が生じると、基板の非活性面には望ましくない引っ掻き又は窪みが、基板支持体の誘電材料には望ましくない摩耗が、又はその両方が、もたらされる。基板支持体の引っ掻き又は摩耗した誘電材料から生成された粒子状物質は、最終的には、基板支持体又は基板の非活性面から、その基板又は他の基板の活性面へ移動する。この微粒子の移動は、そのチャンバ内又は後続のハンドリング及び処理操作で発生する場合があり、最終的には、微粒子が移動してきた基板からのデバイスの歩留まりを抑えてしまう。
【0005】
したがって、当該技術分野では、静電チャック(ESC)基板支持体とその上に配置された基板との間の接触力を制御するために使用される、改善された方法及び装置が必要になっている。
【概要】
【0006】
本明細書に記載される諸実施形態は、基板と、それと直接接触する基板支持体の隆起表面との間の接触力を監視及び制御するために使用される方法及び装置に関する。
【0007】
一実施形態では、基板を処理する方法は、基板支持体のパターン形成表面に基板を配置する工程であって、基板支持体は、処理チャンバの処理容積内に配置されている工程と、基板支持体に配置されたチャック電極にチャック電圧を印加する工程と、基板と基板支持体との間に配置された裏面容積にガスを流入させる工程と、基板のたわみを監視する工程と、基板のたわみに基づいてチャックパラメータを変更する工程とを含む。
【0008】
別の一実施形態では、コンピュータ可読媒体には、基板を処理する方法のための命令が格納されている。その方法は、基板支持体のパターン形成表面に基板を配置する工程であって、基板支持体は、処理チャンバの処理容積内に配置されている工程と、基板支持体に配置されたチャック電極にチャック電圧を印加する工程と、基板と基板支持体との間に配置された裏面容積にガスを流入させる工程と、基板のたわみを監視する工程と、基板のたわみに基づいてチャックパラメータを変更する工程とを含む。
【0009】
別の一実施形態では、基板を処理する装置は、基板支持体と、基板支持体に少なくとも部分的に配置されたセンサーとを特徴として有する。基板支持体は、その凹面から延びる隆起フィーチャーを有するパターン形成表面を備える。隆起フィーチャーの基板接触表面積は、被処理基板の非デバイス側表面積の約30%未満である。センサーは、チャック力が作用している被処理基板のたわみを監視するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、諸実施形態を参照して行う。これら実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、従ってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、他の同等に有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1A】一実施形態による、本明細書に記載の方法を実施するように構成された基板処理チャンバの概略断面図である。
【
図1B】
図1Aに示されている処理チャンバ内に配置された基板支持体の一部の拡大図である。
【
図1C】基板が配置されていない状態での、
図1Aに示されている基板支持体の概略平面図である。
【
図2】は一実施形態による、基板を処理する方法を説明するフロー図である。
【
図3B】一実施形態による、
図2に示されている方法の要素を示す。
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、同一の符号を使用して、これらの図面に共通の同一の要素を示す。一実施形態で開示される要素及び構成は、その具体的な説明なしに他の諸実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【詳細な説明】
【0012】
本明細書に記載される諸実施形態は、基板と、それと直接接触する基板支持体の隆起表面との間の接触力を監視及び制御するために使用される方法及び装置に関する。詳細には、本明細書の諸実施形態は、基板支持体に配置されたセンサーと、チャックされた基板のたわみであって、その基板の非チャック時基板平面からのたわみを監視することにより、接触力を望ましいように制御するための本明細書に記載の方法とを使用する。
【0013】
通常は、プラズマ処理チャンバの処理容積内の低圧雰囲気のために、基板と、処理の間に基板が配置されるESC基板支持体の誘電材料との間の熱伝導の働きは弱い。基板とESC基板支持体の間の熱の移動を改善するために、それらの間に存在する基板裏面容積にヘリウムなどの熱伝導性不活性ガスが導入される。多くの場合、裏面容積内のガスの圧力は、処理容積のガス圧力を上回る。したがって、チャック電極によって基板に加えられるチャック力を、裏面容積内のガスの圧力によって基板に加えられる力よりも大きくして、基板がチャック上を移動することを防がなくてはならない。基板を基板支持体に向かって引っ張るチャック力と、基板を基板支持体から押し出す裏面側の力(裏面容積内のガス圧力によって基板に作用する力)との差が、基板と、それと直接接触する基板支持面との間の接触力をもたらす。
【0014】
基板と基板支持体との間に過度の接触力が生じるのは、接触力が、基板を処理するための位置に基板をしっかりと保持するために必要な最小接触力を大幅に超える場合である。基板と基板支持体との間の過度の接触力は、基板の非活性面に望ましくない引っ掻き又は窪み、及び基板支持体の基板支持面に望ましくない摩耗の一方又は両方をもたらす。基板を引っ掻くことによって生じる物質は、基板の非活性面上及び基板支持体上の遊離粒子になる。最終的に、遊離粒子はハンドリングの間又は後続の処理の間に、その基板又は別の基板の活性面へ移動する。こうして増大した、基板の活性面上の欠陥性は、その基板のデバイス歩留まりに悪影響を及ぼす。さらに、基板支持体の表面の望ましくない摩耗により、静電チャックの有効寿命は縮まる。したがって、本明細書で提供される装置及び方法により、基板支持体とその上に配置された基板との間の接触力のその場での監視及び制御が容易になる。
【0015】
図1Aは、一実施形態による、本明細書に記載の方法を実施するように構成されたプラズマ処理チャンバの概略断面図である。
図1Bは、
図1Aに示されている、基板支持体の一部とその上に配置された基板の拡大図である。
図1Cは、基板が配置されていない状態での、
図1Aに示されている基板支持体の概略平面図である。
【0016】
この実施形態では、処理チャンバは、反応性イオンエッチング(RIE)プラズマチャンバなどのプラズマエッチング処理チャンバである。他の諸実施形態では、処理チャンバはプラズマ堆積チャンバであり、例えば、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバ、プラズマ物理気相堆積(PEPVD)チャンバ、又はプラズマ原子層堆積(PEALD)チャンバである。他の諸実施形態では、処理チャンバは、プラズマトリートメントチャンバ又はプラズマベースイオン注入チャンバであり、例えば、プラズマドーピング(PLAD)チャンバ又は物理気相堆積チャンバである。本明細書では、処理チャンバは、高周波(RF)電源に電気的に接続された誘導結合プラズマ(ICP)源を備える。他の諸実施形態では、プラズマ源は、基板支持体に面する処理容積に配置されたプラズマ電極などの容量結合プラズマ(CCP)源であり、ここでは、プラズマ電極は高周波電源に電気的に接続されている。
【0017】
処理チャンバ100は、チャンバ蓋104を備えるチャンバ本体102と、1つ以上の側壁106と、チャンバベース108とを特徴として有し、これらが集合的に処理容積110を画定している。処理容積110は、その内部に処理ガスを供給する処理ガス源112に流体的に接続されている。処理チャンバ100は、処理ガスからプラズマ116を点火させて維持するように構成されたプラズマ発生器114をさらに備える。プラズマ発生器114は、処理容積110の外側のチャンバ蓋104に近接して配置された1つ以上の誘導コイル118を備える。1つ以上の誘導コイル118は、高周波整合回路122を介して高周波電源120に電気的に接続されている。プラズマ発生器114を用いて、プラズマ116を点火及び維持する。この時、処理ガスと、高周波電源120によって電力供給される誘導コイル118によって生成される誘導エネルギーとを使用する。ここでは、処理容積110を1つ以上の専用真空ポンプなどの真空源に流体的に接続して、処理容積110を大気圧以下に維持し、そこから処理ガス及び他のガスを排気する。
【0018】
本明細書の諸実施形態では、処理チャンバ100は、処理容積110に配置された基板支持アセンブリ124をさらに備える。基板支持アセンブリ124は可動支持シャフト126上に配置されており、この可動支持シャフトはチャンバベース108を気密に貫通して、延びている。例えば、この可動支持シャフトはチャンバベース108の下の領域で、又は基板支持アセンブリ124とチャンバベース108との間にある領域で、ベローズ(図示せず)に囲まれている。
【0019】
基板支持アセンブリ124は、冷却ベース128と、冷却ベース128に熱的に結合されて配置された基板支持体130とを備える。冷却ベース128を用いて、基板処理の間に、基板支持体130の温度、ひいては基板支持体130上に配置された基板132の温度を調節する。いくつかの実施形態では、冷却ベース128は、冷却剤源(図示せず)に流体的に接続及び流体連通する1つ以上の冷却流路134を内部に配置して備える。この冷却剤源は、例えば、比較的高い電気抵抗を有する冷媒源又は改質水源などである。通常は、冷却ベース128は、耐食性金属(例えばアルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼)などの、耐食性を有する熱伝導性材料で形成される。基板支持体130は、誘電材料から形成される。その誘電材料は、例えばバルク焼結セラミック材料などであり、そのバルク焼結セラミック材料は、例えば炭化ケイ素(SiC)若しくは金属酸化物又は金属窒化物のセラミック材料などであり、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、酸化イットリウム(Y2O3)、それらの混合物、及びそれらの組み合わせである。基板支持体130は、接着剤で、又は機械的手段により冷却ベースに熱的に結合される。
【0020】
いくつかの実施形態では、基板支持体130は、その誘電材料に埋め込まれた加熱素子136を備える。加熱素子136を用いて、処理前には基板支持体130を、ひいては基板132を、所望の温度に加熱し、処理の間には基板132を所望の温度に維持する。いくつかの実施形態では、基板支持アセンブリ124は、加熱素子136と冷却流路134の両方を備えて、基板支持体温度の微調整を容易にする。
【0021】
本明細書では、基板支持体130は、その誘電材料に埋め込まれた1つ以上のチャック電極138a~bを備える。1つ以上のチャック電極138a~bを用いて、基板132とチャック電極138との間に電位を与えることにより、基板132を基板支持体130に固定する。基板132と1つ以上のチャック電極138a~bとの間の電位によって、それらの間に静電チャック(ESC)吸引力が生じる。本明細書では、1つ以上のチャック電極138a~bを、それぞれのチャック電源140a~b(DC電源など)に電気的に接続して、これにより、約-5000V~約5000Vのチャック電圧を得ている。
【0022】
いくつかの実施形態では、基板支持体130は、基板支持体の誘電材料に埋め込まれた、第1電極138a及び第2電極138bなどの少なくとも2つの電極を備える。それらの実施形態では、少なくとも2つの電極138a~bは、それらの間に配置された基板支持体130の誘電材料によって互いに電気的に絶縁されている。それらの実施形態のいくつかでは、電極の各々は、対応するDC電源140a~bに接続されている。ここで、対応するDC電源140a~bの各々は、それぞれに接続された第1及び第2の電極138a~bに、互いに反対の極性の電圧を供給する。
【0023】
通常は、基板132は、1つ以上の側壁106のうちの1つにある開口部(図示せず)を通して処理容積110に装填され、この開口部は、一般的には、基板処理の間にドア又は弁(図示せず)で密閉されている。複数のリフトピン142を、基板支持アセンブリ124を貫通して移動可能に配置して、そこから及びそこへの基板132の搬送を容易にする。複数のリフトピン142は、上昇位置にあるとき、基板支持体130のパターン形成表面144より上へ延び、そこから基板132を持ち上げて、ロボットハンドラ(図示せず)による基板132へのアクセスを可能にする。複数のリフトピン142は、下降位置にあるとき、その上面は、基板支持体130のパターン形成表面144と同一平面上にあるか、その下に配置され、基板132はその上に載っている。
【0024】
基板支持体130のパターン形成表面144(
図1Cの概略平面図に示す)は、その凹面146から延びる複数の隆起フィーチャーを備える。隆起フィーチャーは、基板がその上に配置されたときに基板接触表面を形成する。本明細書では、隆起フィーチャーは、複数の突起148と、基板支持体130の周囲に近接して配置された1つ以上の密閉バンド150a~bと、複数のリフトピン開口部154(
図1Cに示す)の周りに周方向かつ同軸にそれぞれ配置された複数の密閉リップ152とを備える。基板132が基板支持体130にチャックされた時には、複数の突起148は、少なくとも凹面146から間隔を空けて基板132を保持する。基板132が基板支持体130にチャックされた時には、複数の隆起フィーチャー、凹面146、及び基板132の非デバイス側表面が、集合的に裏面容積156の境界面を画定する。基板処理の間、熱伝達ガス(本明細書では熱伝導性不活性ガス、例えばヘリウム又はアルゴン)を用いて、基板132を基板支持体130に熱的に結合するために、それらの間の熱伝達を促進させている。いくつかの実施形態では、熱伝達ガスは、基板支持体130に形成された複数のガスポート158(
図1Cに示す)を通って裏面容積156へ送られる。これらのガスポートは、裏面ガス供給部160と流体連通している。
【0025】
ここで、複数の突起148は円筒形メサを備えており、この円筒形メサは、約500μmから約5mmの間の平均直径D1と、約1mmから約40mmの間(約5mmから約20mmの間など)の中心間(CTC)距離D2と、約3μmから約700μmの間(約3μmから約100μmの間など、約3μmから約50μmの間など、約3μmから20μmなど、又は約3μm以上)の高さH(
図1Aに示す)を有する。他の諸実施形態では、複数の突起148は、任意の他の適切な形状を備える。その形状とは、正方形又は長方形のブロック、円錐、くさび、ピラミッド、柱、円筒丘、又はさまざまなサイズの他の突起、又はそれらの組み合わせなどであり、これらは凹面146を超えて延びて、基板132を支持する。
【0026】
1つ以上の密閉バンド150a~b及び複数の密閉リップ152は、基板132が基板支持体130にチャックされた時には、ガスが基板132と基板支持体130との間の裏面容積156から処理容積110へ流れるのを防止、又は大幅に削減する。1つ以上の密閉バンド150a~bは、第1密閉バンド150a及び第2密閉バンド150bを備える。第1密閉バンド150aは、パターン形成表面144の中心の周りに同心円状に配置され、その外周に近接する。第2密閉バンド150bは、第1密閉バンド150aの半径方向内側に同心円状に配置され、それに近接している。通常は、1つ以上の密閉バンド150a~bは、実質的に長方形の断面形状を有し、その高さH及び幅は約500μmから約5mmの間である。
【0027】
ここで、複数の密閉リップ152は、それぞれのリフトピン開口部154(
図1Cに示す)の中心軸の周りに同軸に配置された環状リングを備えており、この環状リングは、基板支持体130の誘電材料によって形成されている。通常は、複数の密閉リップ152は、環状リングの内径及び外径にわたって実質的に長方形の断面形状を有し、その高さH及び幅は約500μmから約5mmの間である。
【0028】
いくつかの実施形態では、基板支持体130は、低接触表面積の基板支持体である。例えば、いくつかの実施形態では、複数の隆起フィーチャーの基板接触表面は、その上に配置される被処理基板の非デバイス側表面積の約30%未満の接触表面積を集合的に含む。いくつかの実施形態では、接触表面積は、被処理基板の非デバイス側表面積の約20%未満(約15%未満、約10%未満、約5%未満など)、例えば、約3%未満である。
【0029】
基板132の非デバイス側表面とパターン形成表面144との間の接触面積の低減には、引っ掻きが生じ得る条件に曝される非デバイス側基板表面の面積を減らす望ましい効果がある。この引っ掻きとは、例えば、基板132のチャック及びデチャックの間の、それらの間の物理的接触による引っ掻きである。しかしながら、基板132の非デバイス側表面とパターン形成表面144との間の接触面積を低減することで、その基板接触表面でのそれらの間の接触力は、同じ又は実質的に同じチャック力という条件下でも、増加する。増加した接触力により、基板132の非デバイス側表面には、望ましくないことにより深い引っ掻き又は窪みが、及び/又はパターン形成表面144の隆起フィーチャーには、望ましくないことに増大した摩耗が、基板132とパターン形成表面144との間の接触面積がより大きくなるように構成された基板支持体と比較すると、生じることになる。多くの場合、基板支持体の製造個体差又は基板支持体の有効寿命内での変動によって、与えられたチャック電圧から実現されるチャック力に変動が生じる。したがって、本明細書の諸実施形態では、基板支持体130は、チャック電圧が印加されたときの基板132のたわみの変化を測定するために使用される1つ以上のセンサー(センサー162など)をさらに備える。センサー162は、基板支持体130の凹面146に対する基板の非デバイス側表面の近接度の変化を検出するのに適した任意のセンサーとすることができる。いくつかの実施形態では、センサー162は、例えば、複数の光ファイバを備える光ファイバ強度センサー、又は1つ以上の光ファイバを備える光ファイバ干渉計などの光ファイバセンサーである。
【0030】
ここで、センサー162は、放射源164と、強度検出器などの放射検出器166と、センサー末端部168と、放射源164及び放射検出器166をセンサー末端部168に接続する光ファイバケーブル172とを備える。いくつかの実施形態では、放射源164は、約600nmと約1700nmの間の波長を有する赤外線放射を提供する。通常は、センサー末端部168は、基板支持体130の凹面146に形成された開口部170(
図1Cに示す)に配置される。いくつかの実施形態では、開口部170は、基板支持体130を貫通して延び、約1mmから約10mmの間の幅W(
図1Cに示す)を有する。いくつかの実施形態では、開口部170は、裏面ガス供給部160に流体的に接続されており、裏面ガスは、ここを通って裏面容積156に供給される。
【0031】
ここで、光ファイバケーブル172は、放射源164からセンサー末端部168に放射(例えば光)を伝送するための1つ以上の送光ファイバ174と、センサー末端部168から放射検出器166に放射を伝送するための1つ以上の受光ファイバ176とを含む。いくつかの実施形態では、基板支持体130はさらに、パターン形成表面144とセンサー162との間に配置された、石英製又はサファイア製の窓などの透明インサート178(
図1Bに示す)を備える。ここで、透明インサート178は、基板支持体130の凹面146と同一平面上にあるか、その下に配置される。通常は、センサー162は、複数の取り付けバネ179(
図1Bに示す)などの1つ以上の取り付け部材を使用して、開口部170の壁にしっかりと位置決めされる。いくつかの実施形態では、センサー末端部168は、その端部に近接して配置された1つ以上の透明部材301(
図3A~3Bに示す)をさらに備える。いくつかの実施形態では、1つ以上の透明部材301は、1つの、複数の、又は組み合わせの光学フィルタ(バンドパスフィルタ又はウェーブパスフィルタなど、例えば、ダイクロイックフィルタ又はダイクロイックミラー)、透過した放射を分散及び/又は集束させるレンズ、若しくは透過した光の偏光状態を変更するための波長板又はリターダーを備える。
【0032】
ここで、センサー162は、パターン形成表面144に近接して配置された1つ以上の送光ファイバ174の端部から放射を放出する。次に、センサー162は、基板132の非デバイス側表面で反射された放射の特性を測定する。通常は、反射された放射は、パターン形成表面144に近接して配置された1つ以上の受光ファイバ176の端部によって受信される。次に、反射された放射は、1つ以上の受光ファイバ176を通って放射検出器166へ伝送されて、放射検出器166はその特性を測定する。例えば、いくつかの実施形態では、放射検出器166を構成して、受信した放射の波長、位相、強度、周波数、帯域幅、又は干渉パターンのいずれか又は組み合わせを測定する。いくつかの実施形態では、センサー162は、基板支持体上に配置された基板によって反射された放射の強度を測定するように構成された光ファイバ強度センサーである。他の諸実施形態では、センサー162は、光ファイバ干渉計又は自己混合干渉計などの干渉計であり、完全に又は部分的に、基板支持体130に形成された開口部170内に配置される。
【0033】
通常は、基板132により反射され、放射検出器166により測定された放射の特性は、システムコントローラ180に伝達される。システムコントローラ180を用いて、チャック電圧、裏面容積156内のガス圧力、又はそれらの組み合わせなどのチャックパラメータを調整し、基板132とパターン形成表面144の隆起フィーチャーとの間に所望の接触力を維持する。基板132とパターン形成表面144の隆起フィーチャーとの間に所望の接触力を維持する方法が
図2に示されている。
【0034】
いくつかの実施形態、例えば、基板支持体130が少なくとも2つの電極138a~bを特徴として有している実施形態では、基板支持体130は、複数のセンサー162を備える。それらの実施形態のいくつかでは、各センサー162の対応するセンサー末端部168をそれぞれ配置して、凹面146の対応する領域側への基板132のたわみを測定する。それらの実施形態のいくつかでは、システムコントローラ180を用いて、チャック電極138a~bのそれぞれに供給されるチャック電圧を独立に調整してもよい。
【0035】
本明細書では、システムコントローラ180は、メモリ184(例えば、不揮発性メモリ)及びサポート回路186とともに使用できるプログラム可能な中央処理装置(CPU)182を備える。サポート回路186は、従来通りCPU182に接続されて、処理チャンバ100のさまざまな構成要素に接続されたキャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源など、及びそれらの組み合わせを備え、それら構成要素の制御を容易にする。CPU182は、処理チャンバ100のさまざまな構成要素及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用される、任意の形式の汎用コンピュータープロセッサ(プログラマブルロジックコントローラ(PLC)など)の1つである。CPU182に接続されたメモリ184は、非一時的であり、通常は、1つ以上の容易に入手可能なメモリ(ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又はその他の形式のローカル又はリモートのデジタルストレージなど)である。
【0036】
通常は、メモリ184は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体(例えば、不揮発性メモリ)の形態であり、CPU182によって実行されると、処理チャンバ100の動作が促進される。メモリ184内の命令は、本開示の方法を実行するプログラムなどのプログラム製品の形態を取っている。プログラムコードは、多数の異なるプログラミング言語のいずれに合わせてもよい。一実施例では、本開示を、コンピュータシステムと共に使用するためのコンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラム製品として実行してもよい。プログラム製品のプログラムは、諸実施形態(本明細書に記載されている方法を含む)の機能を明らかにしている。
【0037】
例示的なコンピュータ可読記憶媒体には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない。(i)書き込み不可の記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブで読み取り可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意の種類のソリッドステート不揮発性半導体メモリなどの、コンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス)、ここには、情報が恒久的に保存されている。(ii)書き込み可能な記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピーディスクやハードディスクドライブ、又は任意の種類のソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)、ここには、変更可能な情報が格納されている。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を伝達するならば、本開示の実施形態である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、又はその一部は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他の種類のハードウェア実装によって実行される。いくつかの他の実施形態では、本明細書で説明する処理は、ソフトウェアルーチン、ASIC、FPGA、及び/又は他の種類のハードウェア実装の組み合わせによって実行される。本明細書では、システムコントローラ180を用いて、
図2に示す方法により、基板の非デバイス側表面と基板支持体のパターン形成表面との間の接触力を制御する。
【0038】
図2は、一実施形態による、基板を処理する方法を説明するフロー図である。
図3A~3Bは、
図2に示されている方法の要素を示す。
【0039】
動作201で、方法200は、基板支持体のパターン形成表面上に基板を配置する工程を含む。ここで、基板支持体は処理チャンバの処理容積内に配置される(例えば、
図1Aで説明した基板支持体及び処理チャンバ)。動作202及び203で、方法200は、それぞれ1つ以上の処理ガスを処理容積へ流入させる工程と、1つ以上の処理ガスの処理プラズマを形成する工程を含む。
図3Aに示すように、チャックされていない基板は、すなわち、ここでは基板132にチャック力が作用する前又は後の、基板支持体130上に配置された基板132は、隣接する突起148の間の範囲にわたって実質的に平坦な表面を有していることで、凹面146と基板132の非デバイス側表面との間の非チャック距離Z1は、凹面から延びる突起148の高さH(
図1Aに示す)とほぼ同じである。
【0040】
動作204及び205は、基板を基板支持体にチャックする工程を含む。動作204で、方法200は、基板支持体に配置されたチャック電極にチャック電圧を印加して、基板にチャック力を作用させる工程を含む。動作205で、方法200は、典型的にはヘリウム又はアルゴンなどの熱伝導性不活性ガスである裏面ガスを、基板132と基板支持体130との間に配置された裏面容積156へ流入させる工程を含む。
【0041】
本明細書では、チャック電極にチャック電圧を印加することで、基板が基板支持体の凹面に向かって引っ張られ、裏面容積内のガスの圧力によって、基板は凹面から押し出される。基板が基板支持体上を移動しないように、いくつかの実施形態では裏面容積を処理容積から流体的に隔離するために、基板面積あたりのチャック力は、裏面容積のガス圧力を超える必要がある。これにより、基板は、非チャック基板平面(
図3Aに示す)からたわみ距離ΔZ(
図3Bに示す)だけたわむことになる。
【0042】
動作205で、方法200は、基板支持体130上に配置された基板132のたわみΔZを監視する工程を含む。通常は、基板のたわみΔZを監視する工程は、放射の波長、位相、強度、周波数、帯域幅、干渉パターン、又はそれらの組み合わせの変化を測定する工程を含んでおり、この放射は、
図1A~
図1Cで説明したように、基板支持体130に配置されたセンサー又はセンサーの一部(例えば、センサー末端部168)が受光した放射である。
【0043】
動作206で、方法200は、基板132のたわみΔZに基づいてチャックパラメータを変更する工程を含む。いくつかの実施形態では、チャックパラメータを変更する工程は、チャック電圧を変更する工程、裏面容積内の第2ガスの圧力を変更する工程、チャック電圧と裏面容積内の第2ガスの圧力とを同時に変更する工程、チャック電圧と裏面容積内の第2ガスの圧力とを逐次変更する工程、又はその組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、チャックパラメータを変更する工程は、基板の非デバイス側表面の単位面積あたりのチャック力と裏面容積内のガスの圧力との差を、約1トール未満又は約0.25トールから約1トールの間に維持する工程を含む。
【0044】
本明細書に記載の諸実施形態は、基板の非活性面への望ましくない引っ掻きを低減又は実質的に排除するために使用される方法及び装置を提供するために、基板処理の間に、基板のたわみを、ひいては基板と基板支持体の間の接触力を監視及び制御する。
【0045】
上記は本開示の特定の実施形態を対象としているが、これらの実施形態は、本発明の原理及び適用の単なる例示であることを理解すべきである。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これら例示的な実施形態に多数の変更を加えて、別の実施形態に到達し得ることを理解するべきである。