(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-19
(45)【発行日】2022-07-27
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵装置の電流保護システム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20220720BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220720BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H02J1/00 309Q
H02J1/00 304H
(21)【出願番号】P 2021007925
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011185
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】南 炯圭
(72)【発明者】
【氏名】李 賢淳
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0235483(US,A1)
【文献】特開平09-261843(JP,A)
【文献】国際公開第2015/040725(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/18
H02J 7/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列で連結された多数のバッテリー;
前記多数のバッテリーそれぞれに連結され、バッテリー電流測定部を有する多数のバッテリーコントロールユニット;
前記多数のバッテリーコントロールユニットを一つの接続点で連結し、接点電流測定部を有する接続盤
;
前記接続盤に連結され、発電装置から電気エネルギーを受けて前記バッテリーを充電したり前記バッテリーに貯蔵されたエネルギーを電力系統に放出するために電気の特性を変換する電力変換装置;および
それぞれの前記バッテリー電流測定部から測定された電流値と
、前記接点電流測定部から測定された電流値
の符号を反転させた電流値を合算して、内部短絡の有無を検出する制御部;を
含み、
内部短絡が前記多数のバッテリーコントロールユニットと前記接続盤との間の短絡であり、
前記接点電流測定部が前記接続点と前記電力変換装置との間の電流を測定するように構成されたことを特徴とする、エネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項2】
前記制御部は、それぞれの前記バッテリー電流測定部から測定された電流値と前記接点電流測定部から測定された電流値の和が0でないと、内部短絡であると判断することを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項3】
前記制御部は、それぞれの前記バッテリー電流測定部で測定された電流値と前記接点電流測定部で測定された電流値の和が0であると、エネルギー貯蔵装置が正常状態であると判断することを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項4】
前記制御部は、内部短絡であると判断されると、トリップ信号を発生してエネルギー貯蔵装置を中止させることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項5】
前記接点電流測定部で電流を測定する方向は前記バッテリー電流測定部で電流を測定する方向と反対であることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項6】
前記制御部は、バッテリーケーブルの絶縁破壊による高抵抗短絡事故を検出することを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項7】
前記多数のバッテリーコントロールユニットのうちいずれか一つと前記接続盤の間に短絡が発生すると、前記接点電流測定部で測定される電流の方向が反対に転換されることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【請求項8】
前記バッテリー電流測定部と前記接点電流測定部はシャント抵抗で構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置の電流保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー貯蔵装置の電流保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵装置は大容量の電力を瞬間充/放電する設備であって、感電、短絡、火災などの事故にも安全にシステムが停止できるように、多様な機能が備えられなければならない。そのうち代表的な安全機能としては、過負荷保護機能を挙げることができる。過負荷保護機能は設備に供給される電流の大きさを感知して異常の有無を判断する方式であって、一般的に次のような二つの方式を含む。
【0003】
まず、電流測定器を設置し電流をリアルタイムに測定して、測定値が既設定値を超過すれば開閉機器を作動させてシステムを停止させることによって、バッテリーを過放電から保護することができる。次に、ヒューズを設置して絶縁破壊などの短絡事故が発生すると、ヒューズが短絡電流を遮断してシステムを短絡事故から保護することができる。
【0004】
このような発明の背景となる技術に開示された前述した情報は本発明の背景に対する理解度を向上させるためのものに過ぎず、したがって従来技術を構成しない情報を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はケーブルの絶縁破壊のような高抵抗短絡事故を、迅速に検出して遮断することによって安全性および効率を向上させることができるエネルギー貯蔵装置の電流保護システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるエネルギー貯蔵装置の電流保護システムは、並列で連結された多数のバッテリー;多数のバッテリーそれぞれに連結され、バッテリー電流測定部を有する多数のバッテリーコントロールユニット;多数のバッテリーコントロールユニットを一つの接続点で連結し、接点電流測定部を有する接続盤;およびそれぞれのバッテリー電流測定部から測定された電流値と接点電流測定部から測定された電流値を合算して、内部短絡の有無を検出する制御部;を含むことを特徴とする。
【0007】
制御部はそれぞれのバッテリー電流測定部から測定された電流値と接点電流測定部から測定された電流値の和が0でないと、内部短絡であると判断することができる。
【0008】
制御部はそれぞれのバッテリー電流測定部から測定された電流値と接点電流測定部から測定された電流値の和が0であると、エネルギー貯蔵装置が正常状態であると判断することができる。
【0009】
制御部は、内部短絡であると判断されると、トリップ信号を発生してエネルギー貯蔵装置を中止させることができる。
【0010】
接点電流測定部で電流を測定する方向は、バッテリー電流測定部で電流を測定する方向と反対であり得る。
【0011】
制御部はバッテリーケーブルの絶縁破壊による高抵抗短絡事故を検出することができる。
【0012】
多数のバッテリーコントロールユニットのうちいずれか一つと接続盤の間に短絡が発生すると、接点電流測定部で測定される電流の方向が反対に転換され得る。
【0013】
接続盤に連結され、発電装置から電気エネルギーを受けてバッテリーを充電したり、バッテリーに貯蔵されたエネルギーを電力系統に放出するために電気の特性を変換する電力変換装置をさらに含むことができる。
【0014】
バッテリー電流測定部と接点電流測定部はシャント抵抗で構成され得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムは、それぞれのバッテリー電流測定部から測定された電流値と接点電流測定部から測定された電流値の和を計算して内部短絡の有無を判断する制御部を具備することによって、迅速に高抵抗短絡事故を検出して安全性および効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムを図示したブロック図。
【
図2】本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムを図示した回路図。
【
図3】I
1方向での電流と時間によるヒューズの溶断および電力ケーブルの破壊を対数表示で図示したグラフ。
【
図4】I
total方向での電流と時間によるヒューズの溶断および電力ケーブルの破壊を対数表示で図示したグラフ。
【
図5】本発明に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムで内部事故が発生した状態を図示した回路図。
【
図6】本発明に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムで外部事故が発生した状態を図示した回路図。
【
図7】本発明に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムで外部事故が発生した状態を図示した回路図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。
【0018】
本発明の実施例は当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は多様な他の形態で変形され得、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。かえって、これらの実施例は本開示をさらに忠実かつ完全とし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0019】
本明細書で使われた通り、用語「および/または」は該当列挙された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。また、本明細書で「連結される」とは、A部材とB部材が直接連結される場合だけでなく、A部材とB部材の間にC部材が介在されてA部材とB部材が間接連結される場合も意味する。
【0020】
本明細書で使われた用語は特定の実施例を説明するために使われるものであって、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われた通り、単数の形態は文脈上異なる場合を明確に指摘しない限り、複数の形態を含むことができる。また、本明細書で使われる「含む(comprise、include)」および/または「含む(comprising、including)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらのグループの存在を特定するものであって、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムを図示したブロック図である。
図2は、本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムを図示した回路図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システム100は、多数のバッテリー110、多数のバッテリーコントロールユニット(BCU:Battery Control Unit)120、接続盤(BCP:Battery Connection Panel)130、制御部140および電力変換装置(PCS:Power Conditioning System)150を含む。
【0023】
多数のバッテリー110は並列で連結されて形成され得る。ここで、それぞれのバッテリー110は多数のバッテリーセルが直列および/または並列で連結されて形成され得る。多数のバッテリー110は第1バッテリー~第nバッテリー110_1~110_nを含むことができる。例えば、本発明でバッテリー110は50個のバッテリー110_1~110_50が並列で連結されたものとして説明することにする。
【0024】
それぞれのバッテリー110には、バッテリー110の状態をモニタリングし充放電を制御するバッテリーコントロールユニット120が連結されている。すなわち、バッテリーコントロールユニット120の数はバッテリー110の数と同じである。多数のバッテリーコントロールユニット120は第1バッテリーコントロールユニット~第nバッテリーコントロールユニット120_1~120_nを含むことができる。多数のバッテリーコントロールユニット120は同じ構造を有するため、以下では第1バッテリーコントロールユニット120_1についてのみ説明することにする。また、便宜上第1バッテリーコントロールユニット120_1はバッテリーコントロールユニット120と称され得る。
【0025】
バッテリーコントロールユニット120はヒューズ121とバッテリー電流測定部122を含むことができる。また、バッテリーコントロールユニット120はDC接点123をさらに含むことができる。バッテリーコントロールユニット120は少なくとも一つ以上のヒューズ121を含み、バッテリー110に流れる電流が過電流または短絡などによって設定電流以上になると、切れてバッテリー110を保護することができる。バッテリー電流測定部122はバッテリー110に流れる電流値と電流方向を測定して制御部140に伝達することができる。例えば、バッテリー電流測定部122はシャント抵抗(shunt resistor)で構成され得る。バッテリー電流測定部122は接続盤130のマイナス端子C-からバッテリー110のマイナス端子B-に流れる方向を順方向または第1方向として、バッテリー110のマイナス端子B-から接続盤130のマイナス端子C-に流れる方向を逆方向または第2方向として感知することができる。
【0026】
また、本発明でバッテリー110とバッテリーコントロールユニット120をバッテリーパックと称することができ、多数のバッテリーパックは接続盤130に並列で連結され得る。
【0027】
接続盤130は多数のバッテリーコントロールユニット120に電気的に連結される。また、接続盤130は多数のバッテリーパックを一つの接続点で束ねる役割をする。例えば、多数のバッテリーコントロールユニット120のそれぞれのプラス端子P+は接続盤130のプラス端子C+にいずれも電気的に連結され、多数のバッテリーコントロールユニット120のそれぞれのマイナス端子P-は接続盤130のマイナス端子C-にいずれも電気的に連結され得る。
【0028】
接続盤130は接点電流測定部131を含むことができる。接点電流測定部131は接続盤130に流れる電流値と電流方向を測定して制御部140に伝達することができる。例えば、接点電流測定部131はシャント抵抗(shunt resistor)で構成され得る。接点電流測定部131は接続盤130のマイナス端子C-から電力変換装置150のマイナス端子に流れる方向を順方向または第1方向として、電力変換装置150のマイナス端子から接続盤130のマイナス端子C-に流れる方向を逆方向または第2方向として感知することができる。すなわち、接続盤130の接点電流測定部131で測定する電流方向はバッテリーコントロールユニット120のバッテリー電流測定部122で測定する電流方向と反対に設定され得る。したがって、接続盤130の接点電流測定部131で測定された電流方向は、接続盤130に実際に流れる電流の方向と反対方向として測定されて反対の符号を有し得る。
【0029】
制御部140は多数のバッテリーコントロールユニット120と接続盤130に連結されて、バッテリーコントロールユニット120と接続盤130の間の内部短絡(または異常事態)を判断することができる。具体的には、制御部140はそれぞれのバッテリーコントロールユニット120のバッテリー電流測定部122から測定された電流値と接続盤130の接点電流測定部131から測定された電流値の伝達を受けて、内部短絡の有無を判断することができる。
【0030】
「分岐点で電流の和は0である」というキルヒホッフの電流法則(KCL)により次のような式が成立する。
【0031】
【0032】
ここで、分岐点を基準として流れ込む電流の方向を+とし、流れ出る電流の方向を-とする。また、
図2で分岐点は多数のバッテリーパックと接続盤130が会う地点を指す。したがって、制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122から測定された電流値と接点電流測定部131から測定された電流値を合算して短絡の有無を判断することができる。また、
図2のように正常状態であるとき、接点電流測定部131で測定された電流が-I
Pであるのは、接点電流測定部131で測定する電流方向がバッテリー電流測定部122で測定する電流方向と反対に設定されているためである。これはキルヒホッフの電流法則で分岐点から流れ出る電流を-と見るのと同じ意味で解釈され得る。
【0033】
一部の例において、制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0であると、分岐点を基準として両側の電流ベクターが平行をなすため正常状態であると判断することができる。また、制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0でないと、電流ベクターが一方向に偏って内部短絡が発生したと判断することができる。これにより、制御部140はトリップ(trip)信号を発生させてエネルギー貯蔵装置の電流保護システム100を中止させることができる。
【0034】
電力変換装置(PCS)150は接続盤130に連結される。また、電力変換装置150は、新再生エネルギー源のような発電装置や電力系統から電気エネルギーをもらってバッテリー110を充電したりまたは電力系統にバッテリー110に貯蔵されたエネルギーを放出するために電気の特性(交流/直流、電圧、周波数など)を変換することができる。
【0035】
このように、本発明は内部短絡を判断できる制御部140を具備して、一時的な温度変化やサージなどのような外乱と短絡事故を区分することができ、短絡と過電流間の非保護領域を減らして各機能間の保護協調がなされるようにする。これにより、本発明はエネルギー貯蔵装置の非稼働時間を減らして効率を向上させることができる。
【0036】
図3は、I
1方向での電流と時間によるヒューズの溶断および電力ケーブルの破壊を対数表示で図示したグラフである。
図4はI
total方向での電流と時間によるヒューズの溶断および電力ケーブルの破壊を対数表示で図示したグラフである。
【0037】
一般的に、エネルギー貯蔵装置で過電流や短絡電流からシステムを保護するためにヒューズや電流測定器を使う。過電流と短絡電流による短絡事故は故障点抵抗の大きさにより区分され得る。抵抗の大きさが小さいほど故障電流は大きくなり、通常連続定格の10倍を越える電流が流れる場合に短絡事故と規定する。一方、本発明のように、多並列バッテリー構成においては短絡電流と過電流の保護協調が不可であるため、非保護領域(Gray Zone)が存在することになる。
【0038】
図3および
図4を参照して、非保護領域についてより詳しく説明することにする。
図3はI
1観点でのI-Tカーブを図示したものである。まず、BCU Fuseカーブはバッテリーコントロールユニット120で発生する電流I
1の大きさによるヒューズの動作を示すものである。BCU Fuseカーブを基準として左側は非保護領域、右側は保護領域である。具体的には、バッテリーコントロールユニット120に流れる短絡電流の軌跡がBCU Fuseカーブの保護領域に入ると、ヒューズが溶断して短絡電流を遮断することができる。反面、短絡電流の軌跡が非保護領域にある場合にはヒューズによって保護されない。4AWGカーブはバッテリー電力ケーブルの短絡強度カーブを示すものであって、左側は安全領域であり右側は絶縁破壊領域である。BCU OCP(Over Current Protection)カーブは過電流保護装置のカーブであって、下側は非保護領域、上側は保護領域である。すなわち、
図3のグラフはBCUヒューズと電力ケーブルとBCU過電流保護装置の保護協調がなされているため、短絡事故が発生すると短絡電流の軌跡に沿ってBCU Fuseの保護領域に入ってヒューズによって遮断される。
【0039】
一方、
図4を参照すると、I
total観点でのI-Tカーブを図示したものである。I
totalはIaとIpの和であり、Iaは49個のBCUの電流の和、IpはBCPの電流を意味する。4AWGカーブは短絡事故地点の電力ケーブルであって、
図3の4AWGカーブと同じである。また、
図4はI
total観点から見るため、BCU OCPカーブは49個の過電流保護装置のカーブを足したものであり、BCU Fuseも49個のヒューズを足したものである。したがって、
図4でBCU Fuseカーブは4AWGカーブより右側に位置することになる。換言すれば、I
total観点では4AWGカーブがBCU Fuseカーブより左側に位置するため、短絡事故が発生した時にI
total電流によって保護されないケーブル絶縁破壊が発生し得る。
【0040】
したがって、本発明は過電流と短絡事故の間の非保護領域に該当する高抵抗短絡事故を防止するために、制御部140を具備して安全性を向上させることができる。制御部140はそれぞれのバッテリーコントロールユニット120のバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接続盤130の接点電流測定部131で測定された電流値を比較して、短絡の有無を判断することができる。具体的には、制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0であると、正常状態であると判断することができる。また、制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0でないと、短絡事故が発生したと判断することができる。これは、接点電流測定部131の電流方向はバッテリー電流測定部122の電流方向と反対に設定されているため、それぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値の和と接点電流測定部131で測定された電流値を足すと0になって両側の電流ベクターが平行をなすので、制御部は正常状態であると判断することができる。反面、多数のバッテリーコントロールユニット120のうちいずれか一つと接続盤130の間に短絡が発生すると、接続盤130に流れる電流の方向が変わることになる。したがって、バッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値を足すと0より大きくなって電流ベクターが一方向に偏るため、制御部140は短絡事故であると判断することができる。
【0041】
図5は本発明に係るエネルギー貯蔵装置の電流保護システムで内部事故が発生した状態を図示した回路図であり、
図6および
図7は外部事故が発生した状態を図示した回路図である。
【0042】
図5を参照して、第1バッテリーコントロールユニット120_1と接続盤130の間で短絡事故が発生した時に、制御部140が短絡の有無を判断する方法について説明することにする。第1バッテリーコントロールユニット120_1と接続盤130の間に短絡事故が発生すると、第1バッテリーコントロールユニット120_1に流れる電流I
1は短絡地点に流れる。この時、第1バッテリーコントロールユニット120_1の電流方向は短絡前と同様に順方向(第1方向)に流れる。また、短絡が発生していない残りの第2バッテリーコントロールユニット~第50バッテリーコントロールユニット120_2~120_50の電流方向は短絡前と同様に順方向(第1方向)に流れる。反面、接続盤130に流れる電流Ipは短絡地点に流れることになって短絡前と反対方向である順方向(第1方向)に流れることになる。制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流と接点電流測定部131で測定された電流の伝達を受ける。この時、接点電流測定部131で測定された電流は短絡前と方向が変わってI
Pで測定される。したがって、次の通り、それぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0ではないため、制御部140は内部短絡が発生したと判断する。
【0043】
【0044】
併せて、制御部140はトリップ信号を発生してシステムを中止させることができる。また、制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値を比較して、最も大きい電流値を有する第1バッテリーコントロールユニット120_1で短絡が発生したと判断することができる。
図5のベクター図でI
zは短絡が発生していない第2バッテリーコントロールユニット~第50バッテリーコントロールユニット120_2~120_50に流れる電流の和である。これを適用して数式で表すと次の通りである。
【0045】
【0046】
一方、制御部140は正常状態または外部事故の場合にはトリップ信号を発生させない。ここで外部事故はバッテリーコントロールユニット120と接続盤130の間ではない、バッテリー110とバッテリーコントロールユニット120の間と接続盤130と電力変換装置150の間で発生した事故を意味する。
【0047】
図6を参照して、接続盤130と電力変換装置150の間で短絡事故が発生した時に制御部140が短絡の有無を判断する方法について説明することにする。接続盤130と電力変換装置150の間に短絡事故が発生すると、第1バッテリーコントロールユニット~第50バッテリーコントロールユニット120_1~120_50に流れる電流I
1~I
20は短絡地点に流れる。この時、それぞれのバッテリーコントロールユニット120の電流方向は短絡前と同様に順方向(第1方向)に流れる。また、接続盤130に流れる電流Ipも短絡地点に流れることになって短絡前と同じ方向である逆方向(第2方向)に流れることになる。制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流と接点電流測定部131で測定された電流の伝達を受ける。次の通り、それぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0であるので、制御部140は内部短絡が発生していないと判断する。
【0048】
【0049】
または
【0050】
【0051】
したがって、制御部140はシステムの遮断に介入しない。その代わり、前述のような外部事故の場合には電力変換装置150のヒューズによって電流が遮断されてシステムを中止させることができる。
【0052】
図7を参照して、第1バッテリー110_1と第1バッテリーコントロールユニット120_1の間で短絡事故が発生した時に制御部140が短絡の有無を判断する方法について説明することにする。第1バッテリー110_1と第1バッテリーコントロールユニット120_1の間に短絡事故が発生すると、第1バッテリーコントロールユニット120_1に流れる電流I
1は短絡地点に流れる。この時、第1バッテリーコントロールユニット120_1の電流方向は短絡前と反対に、逆方向(第2方向)に流れる。また、短絡が発生していない残りの第2バッテリーコントロールユニット~第50バッテリーコントロールユニット120_2~120_50の電流方向は短絡前と同様に順方向(第1方向)に流れる。また、接続盤130に流れる電流Ipは短絡地点に流れることになって短絡前と反対方向である順方向(第1方向)に流れることになる。制御部140はそれぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流と接点電流測定部131で測定された電流の伝達を受ける。
図7のベクター図のように、それぞれのバッテリー電流測定部122で測定された電流値と接点電流測定部131で測定された電流値の和が0であるので、制御部140は内部短絡が発生していないと判断する。
【0053】
【0054】
したがって、制御部140はシステムの遮断に介入しない。その代わり、前述のような外部事故の場合には他の保護装置によって電流が遮断されてシステムを中止させることができる。例えば、バッテリー110側から流れ込む電流はバッテリー110に装着されたモジュールヒューズ(図示されず)により遮断され得、第1バッテリーコントロールユニット120_1に流れる電流は第1バッテリーコントロールユニット120_1のヒューズ121により遮断され得る。
【0055】
以上で説明したものは本発明によるエネルギー貯蔵装置の電流保護システムを実施するための一つの実施例に過ぎず、本発明は前述の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
【符号の説明】
【0056】
100 電流保護システム
110、110_1~110_n バッテリー
120、120_1~120_n バッテリーコントロールユニット
121 ヒューズ
122 バッテリー電流測定部
123 DC接点
130 接続盤
131 接点電流測定部
140 制御部
150 電力変換装置