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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】色モード切替システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/04 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
H04N9/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018142927
(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2020022013
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏平
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-177890(JP,A)
【文献】特開平10-048675(JP,A)
【文献】特開2005-204741(JP,A)
【文献】特開2006-060816(JP,A)
【文献】米国特許第05528295(US,A)
【文献】杉山 賢二,補色系淡色化フレームシーケンシャル映像方式とそのRGBへの変換,映像情報メディア学会技術報告 Vol.42 No.4,第42巻 第4号,日本,(一社)映像情報メディア学会,2018年,207~210
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズと、
該撮像レンズから入射した被写体光を3原色の色光成分に順次時分割して出力する色可変フィルタと、
該色可変フィルタで時分割された3原色の色光成分を順次入力され、該色光成分の切替りに応じて、当該色光成分を当該色光成分に対応する色信号に変換して出力する撮像素子と、
該撮像素子から出力された色信号をRGB信号に変換する色信号変換部と、
該色信号変換部から出力されたRGB信号を外部に出力するRGB信号出力部と、を備え、
前記色可変フィルタは、屈折率が互いに異なる複数種の圧電性誘電体層を順に積層した順次層を、少なくとも一方が透明とされた1対の電極層により挟み、これら1対の電極層間に所定の電圧を印加し得るように構成された面順次式カラー撮像装置を備え、
前記色信号変換部が内蔵され、入力された制御モード識別信号に基づきフレーム補間処理を行って、前記撮像素子からの色信号を所定のRGB信号に変換し、この変換されたRGB信号を前記RGB信号出力部に出力するフレーム補間処理部と、
該フレーム補間処理部から前記RGB信号出力部への前記RGB信号を入力され、予め設定された判定条件に基づいて、該入力されたRGB信号に対する所望の色補正を可能にする制御モードを判定し、その判定結果を前記制御モード識別信号として、前記フレーム補間処理部の入力部にフィードバックするとともに、前記制御モード識別信号を、前記色可変フィルタを駆動する色可変フィルタ駆動部にも出力する制御モード判定部を備えた、ことを特徴とする色モード切替システム。
【請求項2】
撮像レンズと、
該撮像レンズから入射した被写体光を3原色の色光成分に順次時分割して出力する色可変フィルタと、
該色可変フィルタで時分割された3原色の色光成分を順次入力され、該色光成分の切替りに応じて、当該色光成分を当該色光成分に対応する色信号に変換して出力する撮像素子と、
該撮像素子から出力された色信号をRGB信号に変換する色信号変換部と、
該色信号変換部から出力されたRGB信号を外部に出力するRGB信号出力部と、を備え、
前記色可変フィルタは、屈折率が互いに異なる複数種の圧電性誘電体層を順に積層した順次層を、少なくとも一方が透明とされた1対の電極層により挟み、これら1対の電極層間に所定の電圧を印加し得るように構成された面順次式カラー撮像装置を備え、
前記色信号変換部が内蔵され、入力された制御モード識別信号に基づきフレーム補間処理を行って、前記撮像素子からの色信号を所定のRGB信号に変換し、この変換されたRGB信号を前記RGB信号出力部に出力するフレーム補間処理部と、
外部から入力された制御モード設定信号に基づいて、前記RGB信号に対する所望の色補正を可能にする制御モードを判定し、その判定された制御モードを識別する制御モード識別信号を、前記フレーム補間処理部の入力部にフィードバックするとともに、前記制御モード識別信号を、前記色可変フィルタを駆動する色可変フィルタ駆動部にも出力する制御モード判定部を備えた、ことを特徴とする色モード切替システム。
【請求項3】
前記制御モードの1つが、各フレーム内でW、R、G、Bの各光を1回ずつ出力するように設定されたパターンであることを特徴とする請求項またはに記載の色モード切替システム。
【請求項4】
前記制御モードの1つが、一のフレーム内で、Wの光を2回と、R、G、Bのうちの第1の光を2回出力するように、かつ該一のフレームの1つ後のフレーム内で、Wの光を2回と、R、G、Bのうちの、前記第1の光とは異なる第2の光を2回出力するように、かつ該一のフレームの2つ後のフレーム内でWの光を2回と、R、G、Bのうちの、前記第1の光および前記第2の光とは異なる、第3の光を2回出力するように、または該一のフレーム内で、Wの光を3回と、R、G、Bのうちの前記第1の光を1回出力するように、かつ該一のフレームの1つ後のフレーム内で、Wの光を3回と、R、G、Bのうちの前記第2の光を1回出力するように、かつ該一のフレームの2つ後のフレーム内で、Wの光を3回と、R、G、Bのうちの前記第3の光を1回出力するようにし、これらの3つのフレームを順次繰り返すように設定されたパターンであることを特徴とする請求項またはに記載の色モード切替システム。
【請求項5】
前記制御モードの1つが、各フレーム内で、R、G、Bのうちの所定の1つの光を2回出力し、残りの2つの光を各々1回出力するようにしたパターン、または、一のフレーム内で、R、G、Bのうちの所定の1つの光を3回出力し、残りの2つの光の一方を1回出力するとともに、該一のフレームの1つ後のフレーム内で、R、G、Bのうちの前記所定の1つの光を3回出力し、残りの2つの光の他方を1回出力するようにし、これらの2つのフレームを順次繰り返すように設定されたパターンであることを特徴とする請求項またはに記載の色モード切替システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面順次式カラー撮像装置を用いた色モード切替システムに関するものであり、詳しくは、単板式でコンパクトな面順次式カラー撮像装置を備え、撮像された被写体のRGB各色画像を所望の画質とするための色モード切替システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、撮像装置においてカラー撮像を行う方式(撮像素子の数による方式)として、高解像度化・高感度化に有利であるが、光学系が大型となり、カメラシステム全体が大型化する3板式と、コンパクト化には有利であるが、画素補間の手法を用いることから解像度の点で不利な単板式が知られている。
近年では、装置の小型化が強く要求されていることから、単板式において解像度を向上させる試みがなされている。
【0003】
単板式において画素補間による解像度の低下を被ることなくカラー映像を得る手法として、面順次方式が知られている(下記特許文献1を参照)。
面順次方式は撮像素子に入射する色光を3原色の各色光に対応するフィールド(色フィールド)毎に切り替え、RGB各信号による映像を時分割で順次出力してカラー映像を得る撮像方式である(この場合、色順次方式とも称される)。例えば60Hzのカラー映像を得ようとする場合には、その3倍の周波数の180Hzで撮像素子を駆動し(色フィールドを切り替え)、各色フィールド毎に撮像素子に照射する色光R、G、Bを切り替える。
【0004】
撮像素子からはR信号、G信号、B信号が180Hzで順次切り替わりながら出力され、これらの信号から60HzのRGB信号を生成することでカラー映像を得ることができる。面順次方式ではオンチップカラーフィルタを用いる色分解方式(3板式)とは異なり、画素補間処理が不要なため、各色信号の解像度は維持される。色光の切替えには、一般に、撮像素子の撮像レンズ側に回転式の色フィルタを設けてRGB光を切替える回転円板フィルタ方式(図5)、あるいは照明光としてRGB光を被写体に順次照射して撮像する光源切替方式(図6)の手法が用いられる(下記特許文献2~4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-215088号公報
【文献】特開平6-121323号公報
【文献】特開2003-333608号公報
【文献】特開2006-135805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した回転円板フィルタ方式は撮像装置内に回転機構等の可動部を設ける必要があるため、高フレームレート化に対応させる場合は振動、騒音、消費電力等に課題がある。また、回転フィルタにおける色フィルタの配設面積や色の切替順序等は適応し得る回転フィルタを取り換えること等によって物理的な構成を変更しない限り実現することができない。一方、上記光源切替方式は被写体の照明としてRGB切替光源を用いる必要があるため、屋外や照明光が限定される条件下では所望の撮影を行うことが難しい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、室内、屋外にかかわらず撮像することが可能で、回転機構等の可動部を設ける必要がなく、色モードの変更等を容易に行うことができるとの面順次式カラー撮像装置の目的に加え、所定の色に係る画像について、容易にノイズ低減および感度向上を図り得るRGB信号を得ることができる色モード切替システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の色モード切替システムは、
撮像レンズと、
該撮像レンズから入射した被写体光を3原色の色光成分に順次時分割して出力する色可変フィルタと、
該色可変フィルタで時分割された3原色の色光成分を順次入力され、該色光成分の切替りに応じて、当該色光成分を当該色光成分に対応する色信号に変換して出力する撮像素子と、
該撮像素子から出力された色信号をRGB信号に変換する色信号変換部と、
該色信号変換部から出力されたRGB信号を外部に出力するRGB信号出力部と、を備え、
前記色可変フィルタは、屈折率が互いに異なる複数種の圧電性誘電体層を順に積層した順次層を、少なくとも一方が透明とされた1対の電極層により挟み、これら1対の電極層間に所定の電圧を印加し得るように構成された面順次式カラー撮像装置を備え、
前記色信号変換部が内蔵され、入力された制御モード識別信号に基づきフレーム補間処理を行って、前記撮像素子からの色信号を所定のRGB信号に変換し、この変換されたRGB信号を前記RGB信号出力部に出力するフレーム補間処理部と、
該フレーム補間処理部から前記RGB信号出力部への前記RGB信号を入力され、予め設定された判定条件に基づいて、該入力されたRGB信号に対する所望の色補正を可能にする制御モードを判定し、その判定結果を前記制御モード識別信号として、前記フレーム補間処理部の入力部にフィードバックするとともに、前記制御モード識別信号を、前記色可変フィルタを駆動する色可変フィルタ駆動部にも出力する制御モード判定部を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第2の色モード切替システムは、
撮像レンズと、
該撮像レンズから入射した被写体光を3原色の色光成分に順次時分割して出力する色可変フィルタと、
該色可変フィルタで時分割された3原色の色光成分を順次入力され、該色光成分の切替りに応じて、当該色光成分を当該色光成分に対応する色信号に変換して出力する撮像素子と、
該撮像素子から出力された色信号をRGB信号に変換する色信号変換部と、
該色信号変換部から出力されたRGB信号を外部に出力するRGB信号出力部と、を備え、
前記色可変フィルタは、屈折率が互いに異なる複数種の圧電性誘電体層を順に積層した順次層を、少なくとも一方が透明とされた1対の電極層により挟み、これら1対の電極層間に所定の電圧を印加し得るように構成された面順次式カラー撮像装置を備え、
前記色信号変換部が内蔵され、入力された制御モード識別信号に基づきフレーム補間処理を行って、前記撮像素子からの色信号を所定のRGB信号に変換し、この変換されたRGB信号を前記RGB信号出力部に出力するフレーム補間処理部と、
外部から入力された制御モード設定信号に基づいて、前記RGB信号に対する所望の色補正を可能にする制御モードを判定し、その判定された制御モードを識別する制御モード識別信号を、前記フレーム補間処理部の入力部にフィードバックするとともに、前記制御モード識別信号を、前記色可変フィルタを駆動する色可変フィルタ駆動部にも出力する制御モード判定部を備えた、ことを特徴とするものである。
前記制御モードの1つが、各フレーム内でW、R、G、Bの各光を1回ずつ出力するように設定されたパターンとすることができる。
【0013】
前記制御モードの1つが、一のフレーム内で、Wの光を2回と、R、G、Bのうちの第1の光を2回出力するように、かつ該一のフレームの1つ後のフレーム内で、Wの光を2回と、R、G、Bのうちの前記第1の光とは異なる第2の光を2回出力するように、かつ該一のフレームの2つ後のフレーム内でWの光を2回と、R、G、Bのうちの、前記第1の光および前記第2の光とは異なる第3の光を2回出力するように、または該一のフレーム内で、Wの光を3回と、R、G、Bのうちの第1の光を1回出力するように、かつ該一のフレームの1つ後のフレーム内で、Wの光を3回と、R、G、Bのうちの前記第2の光を1回出力するように、かつ該一のフレームの2つ後のフレーム内で、Wの光を3回と、R、G、Bのうちの前記第3の光を1回出力するようにし、これらの3つのフレームを順次繰り返すように設定されたパターンとすることができる。
【0014】
前記制御モードの1つが、各フレーム内で、R、G、Bのうちの所定の1つの光を2回出力し、残りの2つの光を各々1回出力するようにしたパターン、または、一のフレーム内で、R、G、Bのうちの所定の1つの光を3回出力し、残りの2つの光の一方を1回出力するとともに、該一のフレームの1つ後のフレーム内で、R、G、Bのうちの前記所定の1つの光を3回出力し、残りの2つの光の他方を1回出力するようにし、これらの2つのフレームを順次繰り返すように設定されたパターンとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の色モード切替システムによれば、上記構成の面順次式カラー撮像装置を備えたことにより、圧電式の積層型干渉フィルタを用いて撮像素子に入射する被写体からのRGB各色光を順次切り替えることができるようにしているため、室内、屋外に拘わらず、カラー撮像が可能であり、また、色回転フィルタ等の可動機構を用いる必要がないので、それに伴う振動、騒音さらには電力消費を低減することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の色モード切替システムによれば、以下のような効果を奏することができる。すなわち、所定の色についての画質を所望の状態とし得るRGB信号が得られるように、所定の判定基準に基づき制御モードの決定をし、この決定結果をRGB信号の変換部にフィードバックするとともに色可変フィルタの駆動部に送出しているから、所望の画質状態とし得るRGB信号を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る撮像装置を示すブロック図である。
図2図1に示す撮像装置に用いられる色可変フィルタの概念的な構成を説明するための概略図である。
図3】本実施形態に係る色可変フィルタの分光透過特性を示すグラフである。
図4図1に示す撮像装置において用いられる、色可変フィルタの制御モード((1)~(8))の例を示す概略図である。
図5】従来技術に係る、面順次-回転円板フィルタ方式の撮像装置を示す概念図である。
図6】従来技術に係る、面順次-光源切替方式の撮像装置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る色モード切替システムについて図面を用いて説明する。
まず、図1~3を用いて本実施形態の色モード切替システムに係る面順次式カラー撮像装置について説明する。
【0019】
この面順次式カラー撮像装置10は、撮像レンズ21、色可変フィルタ22、撮像素子23、色可変フィルタ駆動部26、撮像素子駆動部27、色信号変換部(本実施形態においてはフレーム補間処理部24Aに内蔵されている)24および色信号出力部28から構成される。
【0020】
ここで、色可変フィルタ22は、例えば、圧電膜積層構造に印加する電圧の切替えによって、R、G、Bの各色光に対応する分光特性が切替可能なように構成されている。また、Wは、R、G、Bのすべての色光が加算されることにより形成される。
【0021】
すなわち、例えば、この色可変フィルタ22は、図2に示すように(図2では、反射型の色可変フィルタが記載されているが、これを透過型としても原理としては同様である)、色光可変素子220を1対の透明電極層222A、Bで挟んで構成し、これら1対の透明電極層(第1透明電極層および第2透明電極層)222A、B間に電圧可変部223からの所定の電圧が印加されるようになっている。
【0022】
色光可変素子220は、いずれも圧電素子とされ、互いに屈折率が異なるPLZT層(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛((Pb1-yLay)(Zr1-xTix)O3)の組成を有する透明セラミックス等からなる層)221Aからなる第1層と、ZnO層221Bからなる第2層を交互に数十層積層してなり、これら2つの層221A、Bの厚みは略同様の厚みとされ、この色光可変素子220の厚みは、例えば数μmとされる。
【0023】
上記2つの層221A、Bの厚みは、電圧可変部223からの印加電圧に応じて変位する。図2に示す素子においては反射タイプのものであるので、これら各層221A、Bの厚み(光学的距離)を入射光の特定色光の1/4波長に相当する値に変位させ得る電圧が印加されると、この特定色光が干渉効果により強め合う条件を満たすことになるので、この特定色光が強調されて出力(反射)されることになる(詳しい原理の説明については、特開平10-48675号公報を参照。ただし、各層の距離(厚み)は光学的距離(光路長)に読み替えることが肝要である)。
前述したように、色光可変素子220内の光の吸収率が微小であるとすれば、色可変フィルタ22の光透過率は、1から光反射率を引いたものに略相当することから、上記反射率が最小となる(弱め合う)条件を満足した場合、すなわち、上記各層221A、Bの厚み(光学的距離)を入射光の特定色光の1/2波長に相当する値に変位させた場合には、特定色光の透過率が最大となる。
以下の実施形態で扱っている透過型の色可変フィルタ22は、このような条件を満足するように、電圧を2つの電極層222A、B間に印加させ、この電圧を切り替えて各色光を出力(透過)するようにしている。
【0024】
このようにして、撮像レンズ21を介して入射された、被写体情報を担持した入射光は、電圧に応じて、RGBの各色光成分を出力させるようにすることができる。
面順次式においては、フレームレートが60のカラー画像としようとした場合、例えば、1/180(秒)の速度で、RGBの各色光成分の出力を順次切り替えるようにする必要があるので、この色可変フィルタ22においては、電圧可変部223からの印加電圧が、例えば1/180(秒)の速度で切り替ることになる。
【0025】
なお、本実施形態においては、色可変フィルタは透過型とされており、図3は、透過型として構成された色可変フィルタ22の分光透過特性を示すものである。
また、上述した撮像素子23としては、CCDやCMOS等の種々の撮像素子を採用し得る。また、本実施形態の色モード切替システムに係る面順次式カラー撮像装置においては、撮像素子が1枚からなる単板式が採用されており、色分離プリズムが不要となるため装置のコンパクト化が図られている。
【0026】
また、上述した色可変フィルタ駆動部26は、色可変フィルタ22の電圧可変部223に対して、所定のタイミングで出力電圧の切り替えを行うように指示する。この指示は図2に示すように制御信号(駆動信号)によって行われる。
また、上述した撮像素子駆動部27は、色可変フィルタ22からの出力光の色光切替えのタイミングに同期して、撮像フレームの各色フィールドの切り替えを行う。
色信号変換部(本実施形態においてはフレーム補間処理部24Aに内蔵されている)24は、撮像素子23から出力された色信号(R/G/B/W)をパラレルのRGB信号に変換するものであり、これにより変換されたパラレルのRGB信号は色信号出力部28から外部に出力される。
【0027】
本実施形態の色モード切替システムに係る面順次式カラー撮像装置によれば、面順次のための色光の出力切替えを、色光可変素子220に対する印加電圧を制御することにより行うことができ、従来の色光分離用の回転円板フィルタ等の可動部が不要であるので、振動、騒音、消費電力等の発生を低減することができる。また、照明条件に関する制限を受けることもない。
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る色モード切替システム10Aについて、さらに説明する。
前述したように、図1に示す撮像レンズ21、色可変フィルタ22、撮像素子23、色可変フィルタ駆動部26、撮像素子駆動部27および色信号出力部28から、面順次式カラー撮像装置10が構成されるが、さらに、図1に示すように、撮像素子23からの色信号(R/G/B/W)を入力されるフレーム補間処理部(色信号変換部24を含む)24A、およびフレーム補間処理部24Aの出力を入力され、制御モードを判定する制御モード判定部25を備えることにより、本発明の実施形態に係る色モード切替システム10Aを構成することができる。なお、制御モード判定部25からの判定出力はフレーム補間処理部24Aの入力部に制御モード識別信号としてフィードバックされるとともに、制御モード識別信号として色可変フィルタ駆動部26に入力される。
色可変フィルタ駆動部26は、入力された制御モード識別信号に基づき、当該制御モードの色切替えの順序に従い、色可変フィルタ22に制御信号を送出する。
【0029】
上述した色可変フィルタ22は、色可変駆動部から上記制御信号を受け、図4の(1)~(8)に例示する制御パターンのうち該当する制御パターンで駆動されるようになっており、フィールド毎に出力色光(R,G,B,W)を順次切り替える。例えば制御パターン(1)の場合には、出力色光であるW、R、G、Bを、この順でフレーム毎に切り替え、以後、そのパターンを繰り返す。このとき、出力色光を切替える周波数は、最終的に映像信号として得ようとしているフレームレートの4倍とする。例えば60Hzのフレームレートの映像信号を得ようとした場合、240Hzの周波数で色の切替えを行う。
【0030】
前述したように撮像素子23は、色可変フィルタ22の色光を切替える周波数と同じ周波数で駆動され、受光面に照射された色可変フィルタ22からの出力色光を色信号に変換する。このときフレーム補間処理部24Aでは、撮像素子23から出力された色信号が入力されるとともに、制御モード判定部25から出力された制御モード識別信号が入力され、制御モードに応じたフレーム補間処理(各制御モードにおいて、間引かれた色信号については、演算によりフレームの補間処理)のほか、冗長な色信号に対する加算平均処理およびW信号を色信号(R、G、B)に変換する演算処理等、を行うことで、所望のフレームレートのRGB信号を生成する。
【0031】
制御モード判定部25では、フレーム補間処理部24Aから出力されたRGB信号を入力され、予め設定された判定条件に基づく制御モードを自動的に判定し、制御モード識別信号を出力する。
この場合、撮影シーンが連続的に変化する場合でも、高速で判定が可能であるから、その撮影シーンに適した制御モードをフレーム毎に切替えることが容易となる。
【0032】
なお、前述したように、色可変フィルタ駆動部26は、制御モード判定部25から制御モード識別信号を入力され、色可変フィルタ22に制御モードに応じた制御信号(駆動信号)を出力するように構成されており、これにより、色可変フィルタ22から出力される出力色光が制御される。
【0033】
このように、本実施形態の色モード切替システム10Aにおいては、制御モード判定部25において、外部出力されるRGB各色信号がどのような状態にあるかを判断し、この判断結果に基づく制御モード識別信号をフレーム補間処理部24Aにフィードバックするとともに、この判断結果に基づく制御モード識別信号を色可変フィルタ駆動部26に送出するようにしている。これにより、RGB各色信号が最適となるように、色可変フィルタ22から出力される色光の順番や頻度等が適切となる制御モードを選択し得る判定基準を制御モード判定部25に予め設定しておくことにより、所望のRGB各色信号を色信号出力部28から出力させることが可能となる。
【0034】
以上に示すように構成された本実施形態の色モード切替システム10Aによれば、照明光の切替えを要せず、また、撮像素子23の前段に回転機構を設置することなく実現することができる。そのため、従来の面順次式のカラー撮像装置で課題となっていた照明条件の制限を解消し、回転機構導入に伴う騒音や振動、さらには消費電力を低減することができる。また物理的なフィルタを交換することなく、色光の切替順序、切替頻度や切替タイミングの変更が可能である。
【0035】
また、色可変フィルタ22からの出力色光の切替パターン(制御モード)として図4に示すパターンを用いることで、暗い映像シーンとなる場合や特定の色信号でノイズが目立つ場合等、異なる状況の撮影シーンの個々に応じて、適宜、最適な撮影モードを選択することができる。
この制御モードは、選択し得る複数の制御モード(例えば図4に示す8パターンの制御モード)を色可変駆動部26の図示されない記憶部内に記憶させておき、制御モード判定部25から出力される、いずれの制御モードを利用するかを示す制御モード識別信号に応じて、記憶されていた制御モードの中から所望の制御モードを選択し、この制御モードの色光配列順に、色可変フィルタ22での色光の切替えを制御信号により順次指示する。
以下、図4に示す各制御モード(1)~(8)について、撮影上の利点を説明する。
【0036】
制御モード(1)は、一般に通常モードとして機能するものであり、色可変フィルタ22はW、R、G、Bの各色光をフィールド(色順次式の各色フィールド:以下、同じ)毎に順次切り替えながら出力する。このとき得られる各色光信号の解像度は、オンチップカラーフィルタを用いる場合に必要となる画素補間処理が不要となるため、各色光信号の解像度が維持される。したがって、オンチップカラーフィルタを用いる単板式の撮像装置よりも高い解像度の色光信号を出力することができる。
【0037】
制御モード(2)は、一般に高感度モードとして機能するものであり、色可変フィルタ22は4フィールドに3回の頻度でW光を出力し、12フィールドに1回の頻度でR、G、B光を各々出力する。W光はすべての波長域の光を有しているためR、G、B光の各々よりも入射光量が多い。したがって、暗い撮影シーンにおいても、ノイズを低減した、高感度撮影が可能となる。
【0038】
制御モード(3)、(4)、(5)は、特定の色光のみを2倍とするモードとして機能するものであり、R、G、Bいずれか一つの色光を出力する頻度が、その他の色光を出力する頻度の2倍となる。例えば制御モード(3)ではR光を出力する頻度がB光、G光を出力する頻度の2倍となる。そのため、ある特定の色信号におけるノイズのみが他の色信号よりも目立つ場合、(3)、(4)、(5)のいずれかの制御モードを選択してノイズが目立つ色信号の出力頻度を2倍とすることで、その色信号の生成に利用できる光量が2倍となり、その色信号のノイズ低減を可能とすることで映像品質の向上を図ることが可能となる。
【0039】
制御モード(6)、(7)、(8)は、特定の色光のみを3倍とするモードとして機能するものであり、R、G、Bいずれか一つの色光を出力する頻度が4フィールドに3回となり、その他の色光を出力する頻度が8フィールドに1回となるため、撮像素子に照射する特定の色光の光量を他の色光の光量の6倍とすることができる。この場合には特定の色信号でのみ高感度撮影が可能となるため、前述した制御モード(3)、(4)、(5)の場合よりもさらに特定の色信号のみのノイズを低減することが可能である。
【0040】
図4の(1)~(8)に示す制御パターンは、選択し得る種々の制御パターンのうちの一部を例示するものであり、例えば所望のフレーム周波数が60Hzの場合(1フィールド期間は、図4の各パターンと同様の1/480(sec)とする)は、1フレームあたり8回の色光切替を行うことができるため、より多くのタイプのパターンを設定することができ、より細かく出力頻度を変更することができ、また、制御パターン選択の自由度を増加させることができる。
【0041】
また、上述した実施形態においては、制御モードの判定は、制御モード判定部25において、自動的に判定されるようにしているが、撮像装置10の外部から、操作者による設定操作(例えば、図4に示す制御モード設定部(例えば手動スイッチやリモコンボタン)の押圧操作)に応じた制御モード設定信号を直接、制御モード判定部25に入力せしめ、その制御モード判定部25で判定された制御モードの種類についての判定結果を前記制御モード識別信号として、フレーム補間処理部24Aおよび色可変フィルタ駆動部26に送出するようにしてもよい。
【0042】
本発明の色モード切替システムとしては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、色可変フィルタとしては、透過型のものを用いているが、反射型のものを用いることも可能である。また、色可変フィルタが上記実施形態のものでは2種の層よりなる交互層としているが、屈折率の互いに異なる3種以上の層よりなる順次層とすることも可能である。
【0043】
また、色光可変素子を構成する2種の圧電型誘電体層としては、PLZT層やZnO層に限られるものではなく、電圧印加により厚みを所望の値に変化し得る、その他の、互いに屈折率が異なる2つの材料よりなる層を採用することができる。
また、上述した面順次式カラー撮像装置においては、色信号変換部24を備えているが、上記色モード切替システムと同様に、この色信号変換部24においてフレーム補間処理を行うようにしてもよい。
また、上述した制御モードとしては、実施形態において説明した各制御モードに替えてR、G、B、Wの他の種々の組み合わせとすることが可能である。例えば、一のフレーム内で、Wの光を2回と、R、G、Bのうちの第1の光を2回出力するように、かつ該一のフレームの1つ後のフレーム内で、Wの光を2回と、R、G、Bのうちの第2の光を2回出力するように、かつ該一のフレームの2つ後のフレーム内でWの光を2回と、R、G、Bのうちの第3の光を2回出力するようにした制御モードとすることが可能である。
また、上述した制御モードにおいて、1フレーム内で切り替える色信号の数は4つに限られるものではなく、3つ、あるいは5つ以上の任意の数とすることが可能である。
また、連続する一定の数のフレーム内に含まれるR、G、B、Wの割合が同じであれば、R、G、B、Wの時系列的な順番を種々入れ替えることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10、310、410 撮像装置
10A 色モード切替システム
21、321、421 撮像レンズ
22 色可変フィルタ
23、323、423 撮像素子
24 色信号変換部
24A フレーム補間処理部
25 制御モード判定部
26 色可変フィルタ駆動部
27 撮像素子駆動部
28 色信号出力部
31 制御モード設定部
220 色光可変素子
221A PLZT層
221B ZnO層
222A、B 透明電極層
223 電圧可変部
320 回転式円板フィルタ
330、430 信号処理部
340 回転動力部
450 RGB発光制御装置
460 RGB切替光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6