(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/49 413
(21)【出願番号】P 2019038052
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸博
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/203602(WO,A1)
【文献】特開2002-45399(JP,A)
【文献】特開2014-198179(JP,A)
【文献】国際公開第2011/001944(WO,A1)
【文献】特開2009-106667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向及び前記前後方向に直交する幅方向と、
股下域及び前記股下域よりも前記前後方向の両側に位置する一対の胴周り域と、
吸収コアを有し、前記股下域及び前記胴周り域に跨がって配置された吸収性本体と、
前記一対の胴周り域の少なくとも一方において前記吸収性本体の非肌対向面側に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、
前記外装体は、一対のシート材と、前記一対のシート材の間に配置され、前記幅方向に延びる弾性部材と、を有し、
前記弾性部材は、前記外装体の一方の外側部から前記外装体の他方の外側部まで前記幅方向に連続して伸縮する連続弾性部材を有しており、
前記連続弾性部材は、前記前後方向に間隔を空けて連続的に配置された第1連続弾性部材と第2連続弾性部材とを有し、
前記外装体には、前記吸収性物品の前記幅方向の中央において前記
第1連続弾性部材及び前記第2連続弾性部材が前記一対のシート材に固定されていない非固定領域と、前記非固定領域よりも前記幅方向の外側において前記一対のシート材の少なくとも一方に前記
第1連続弾性部材及び前記第2連続弾性部材が伸縮可能に固定されている一対の固定領域と、が設けられており、
前記一対の固定領域のそれぞれは、前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向において跨いで配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記非固定領域は、前記前後方向において前記吸収性本体の外端縁と前記吸収コアの外端縁の間に少なくとも配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記非固定領域は、前記吸収性本体よりも前記前後方向の外側の領域に少なくとも配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記固定領域は、前記外装体の両側の外側部から前記幅方向の内側にそれぞれ延び、前記吸収性本体の外側縁まで連続している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記外装体は、前記外装体の一方の外側部から前記外装体の他方の外側部まで前記幅方向に連続して伸縮せずに、前記幅方向に分断された非連続弾性部材を有し、
前記外装体には、前記外装体の両側の外側部から前記幅方向の内側にそれぞれ延び、かつ前記非連続弾性部材が伸縮可能に固定された伸縮領域と、前記幅方向における前記伸縮領域の間において前記非連続弾性部材が伸縮可能に固定されていない非伸縮領域と、が設けられており、
前記非伸縮領域は、前記非固定領域よりも前記前後方向の内側において前記吸収性本体に重なって配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記外装体は、前記股下域よりも前側に位置する前胴周り域に配置された前外装体と、前記股下域よりも後側に配置された後胴周り域に配置された後外装体と、を有し、
前記固定領域は、前記前外装体に設けられた前固定領域と、前記後外装体に設けられた後固定領域と、を有し、
前記非固定領域は、前記前外装体に設けられた前非固定領域と、前記後外装体に設けられた後非固定領域と、を有し、
前記前固定領域の前記幅方向の長さは、前記後固定領域の前記幅方向の長さよりも長く、
前記後非固定領域の前記幅方向の長さは、前記前非固定領域の前記幅方向の長さよりも長い、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記外装体は、前記股下域よりも前側に位置する前胴周り域に配置された前外装体と、前記股下域よりも後側に配置された後胴周り域に配置された後外装体と、を有し、
前記弾性部材は、前記前外装体において前記前後方向において間隔を空けて配置され、かつ前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向に跨がる前側弾性部材と、前記後外装体において前記前後方向において間隔を空けて配置され、かつ前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向に跨がる後側弾性部材と、を有し、
前記前側弾性部材の数は、前記後側弾性部材の数よりも多い、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記一対の固定領域は、前記吸収コアの外側縁から前記前後方向に延びる延長線上をそれぞれ跨いで配置されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記非固定領域には、前記一対のシート材を接合した接合部が設けられている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された吸収性物品は、吸収コアを有する吸収性本体と、吸収性本体の非肌対向面側に配置された外装体と、を有する。外装体には、幅方向に伸縮可能な弾性部材が前後方向に間隔を空けて複数配置されている。外装体における吸収性本体と対向する領域には、弾性部材の収縮力を発現させなくしてなる非機能化領域が設けられている。非機能化領域は、弾性部材を分断する多数の凸部やカッター刃、弾性部材を熱シールによって硬化させる多数のエンボスピンによって形成されている(特許文献1の段落0045)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の吸収性物品の弾性部材の収縮力は、吸収性本体と対向する非機能化領域において発現されないように構成され、非機能化領域よりも幅方向の両側の領域において発現されている。非機能化領域よりも幅方向の両側の領域は、非機能化領域において収縮力が分断されており、互いの収縮力が連続していない。よって、非機能化領域よりも幅方向の両側の領域による収縮力が十分に発揮されず、吸収性本体よりも幅方向の外側の領域及び吸収性本体の外側縁を身体に十分にフィットさせることができないことがあった。吸収性本体の外側縁のフィット性が低下すると、体液の横漏れが発生するおそれがある。
【0005】
また、身体に対するフィット性を向上させるために、非機能化領域を設けないことが考えられる。しかし、非機能化領域を設けずに弾性部材を連続して設けると、吸収性本体と対向する領域も着用者の胴周りに密着する。着用者の腹側の胴周りの形状は、吸収性本体と対向する領域において腹部の膨らみによって外側に張り出している。そのため、吸収性本体と対向する領域が着用者の腹部の膨らみに密着し過ぎると、装着感が低下するおそれがある。また、吸収性物品を使用する着用者は、寝た状態となることが多い。寝た状態では、吸収性物品の背部の幅方向の中央に体圧が掛かり易い。そのため、吸収性本体と対向する領域が着用者の背部の幅方向の中央に密着し過ぎると、体圧がかかった際に更に身体に吸収性物品が密着し、締め付けられる感じが強くなり、装着感が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、装着感の低下を抑制しつつ、吸収性本体の外側縁におけるフィット性を向上させて体液の横漏れの発生を抑制できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向及び前記前後方向に直交する幅方向と、股下域及び前記股下域よりも前記前後方向の両側に位置する一対の胴周り域と、吸収コアを有し、前記股下域及び前記胴周り域に跨がって配置された吸収性本体と、前記一対の胴周り域の少なくとも一方において前記吸収性本体の非肌対向面側に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、前記外装体は、一対のシート材と、前記一対のシート材の間に配置され、前記幅方向に延びる弾性部材と、を有し、前記弾性部材は、前記外装体の一方の外側部から前記外装体の他方の外側部まで前記幅方向に連続して伸縮する連続弾性部材を有しており、前記外装体には、前記吸収性物品の前記幅方向の中央において前記連続弾性部材が前記一対のシート材に固定されていない非固定領域と、前記非固定領域よりも前記幅方向の外側において前記一対のシート材の少なくとも一方に前記連続弾性部材が伸縮可能に固定されている一対の固定領域と、が設けられており、前記一対の固定領域のそれぞれは、前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向において跨いで配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2に示す吸収性物品のA-A断面に沿った断面図である。
【
図3】
図2に示す吸収性物品のB-B断面に沿った断面図である。
【
図4】
図2に示す吸収性物品のC-C断面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、前後方向及び前記前後方向に直交する幅方向と、股下域及び前記股下域よりも前記前後方向の両側に位置する一対の胴周り域と、吸収コアを有し、前記股下域及び前記胴周り域に跨がって配置された吸収性本体と、前記一対の胴周り域の少なくとも一方において前記吸収性本体の非肌対向面側に配置された外装体と、を有する吸収性物品であって、前記外装体は、一対のシート材と、前記一対のシート材の間に配置され、前記幅方向に延びる弾性部材と、を有し、前記弾性部材は、前記外装体の一方の外側部から前記外装体の他方の外側部まで前記幅方向に連続して伸縮する連続弾性部材を有しており、前記外装体には、前記吸収性物品の前記幅方向の中央において前記連続弾性部材が前記一対のシート材に固定されていない非固定領域と、前記非固定領域よりも前記幅方向の外側において前記一対のシート材の少なくとも一方に前記連続弾性部材が伸縮可能に固定されている一対の固定領域と、が設けられており、前記一対の固定領域のそれぞれは、前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向において跨いで配置されている。
【0010】
本態様によれば、連続弾性部材は、外装体の一方の外側部から前記外装体の他方の外側部まで前記幅方向に連続しており、分断されていない。よって、連続弾性部材の収縮力は、弾性部材が幅方向に連続していない形態と比較して、発現し易い。連続弾性部材が固定された固定領域が吸収性本体の外側縁を跨いでいるため、連続弾性部材によって吸収性本体の外側縁をフィットさせ、体液の横漏れを抑制できる。また、固定領域の間には、非固定領域が配置されている。非固定領域は、連続弾性部材を固定する固定手段を備えず、固定領域と比較して柔軟に変形し易い。そのため、非固定領域における連続弾性部材の収縮によって吸収性本体の幅方向の中央が身体に密着しても、身体に対する違和感を低減でき、装着感の低下を抑制できる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記非固定領域は、前記前後方向において前記吸収性本体の外端縁と前記吸収コアの外端縁の間に少なくとも配置されてよい。
【0012】
本態様によれば、吸収コアよりも前後方向の外側の領域が身体にフィットし、前後方向の漏れを抑制できる。また、吸収コアよりも前後方向の外側の領域の内面(身体に接する面)は、吸収コアが配置されてなく、連続弾性部材の収縮に起因する皺が形成され易い。非固定領域が柔軟に変形し易いため、連続弾性部材の収縮に起因する皺の肌に対する当たりを和らげ、装着感の悪化を抑制できる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記非固定領域は、前記吸収性本体よりも前記前後方向の外側の領域に少なくとも配置されてよい。
【0014】
吸収性本体よりも前後方向の外側の領域は、外装体の内面が直に接し、連続弾性部材の収縮に起因する皺が肌に当たり易い。着用者の胴周りの幅方向の中央には、外装体の非固定領域が当たるため、連続弾性部材の収縮に起因する皺の肌に対する当たりを和らげ、装着感の悪化を抑制できる。また、吸収性本体よりも前後方向の外側の領域が連続弾性部材の収縮によって身体にフィットし、前後方向の漏れを抑制できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記固定領域は、前記外装体の両側の外側部から前記幅方向の内側にそれぞれ延び、前記吸収性本体の外側縁まで連続してよい。
【0016】
本態様によれば、固定領域が外装体の両側の外側部から吸収性本体の外側縁まで連続しているため、吸収性本体よりも幅方向の外側も身体にフィットし、吸収性本体の外側縁の浮き上がりを抑制し、横漏れをより抑制できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記外装体は、前記外装体の一方の外側部から前記外装体の他方の外側部まで前記幅方向に連続して伸縮せずに、前記幅方向に分断された非連続弾性部材を有し、前記外装体には、前記外装体の両側の外側部から前記幅方向の内側にそれぞれ延び、かつ前記非連続弾性部材が伸縮可能に固定された伸縮領域と、前記幅方向における前記伸縮領域の間において前記非連続弾性部材が伸縮可能に固定されていない非伸縮領域と、が設けられており、前記非伸縮領域は、前記非固定領域よりも前記前後方向の内側において前記吸収性本体に重なって配置されてよい。
【0018】
本態様によれば、非固定領域よりも前後方向の内側に非伸縮領域が設けられているため、吸収性本体における吸収コアの収縮を抑制できる。吸収コアの幅方向の長さを確保することで体液の吸収性能を高めることができるとともに、吸収コアの表面の皺の発生を抑制することによって前後方向への伝い漏れを抑制できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記外装体は、前記股下域よりも前側に位置する前胴周り域に配置された前外装体と、前記股下域よりも後側に配置された後胴周り域に配置された後外装体と、を有し、前記固定領域は、前記前外装体に設けられた前固定領域と、前記後外装体に設けられた後固定領域と、を有し、記非固定領域は、前記前外装体に設けられた前非固定領域と、前記後外装体に設けられた後非固定領域と、を有し、前記前固定領域の前記幅方向の長さは、前記後固定領域の前記幅方向の長さよりも長く、前記後非固定領域の前記幅方向の長さは、前記前非固定領域の前記幅方向の長さよりも長くてよい。
【0020】
本態様によれば、着用者の排泄口は、前胴周り域寄りに位置している。よって、前胴周り域には後胴周り域よりも体液が導かれ易く、前漏れが発生しやすい。しかし、前固定領域の幅方向の長さが比較的長いため、前胴周り域において吸収性本体の外側縁の密着性を高め、前漏れを抑制できる。また、非固定領域は、シート材と連続弾性部材が固定されてなく、固定領域と比較して身体に対して密着し難い。後非固定領域の幅方向の長さが比較的長いため、後胴周り域において密着し難い領域を広く設け、便の収容空間を確保できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記外装体は、前記股下域よりも前側に位置する前胴周り域に配置された前外装体と、前記股下域よりも後側に配置された後胴周り域に配置された後外装体と、を有し、前記弾性部材は、前記前外装体において前記前後方向において間隔を空けて配置され、かつ前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向に跨がる前側弾性部材と、前記後外装体において前記前後方向において間隔を空けて配置され、かつ前記吸収性本体の外側縁を前記幅方向に跨がる後側弾性部材と、を有し、前記前側弾性部材の数は、前記後側弾性部材の数よりも多くてよい。
【0022】
本態様によれば、前側部弾性部材の数が後側部弾性部材の数よりも多いため、前外装体において吸収性本体を幅方向の外側引っ張る力が、後外装体において吸収性本体を幅方向の外側に引っ張る力よりも強くなり易い。着用状態では、後胴周り域の外側部は、前胴周り域の外側部に連なり、前胴周り域の外側部を介して幅方向の外側に引っ張られる。よって、後胴周り域の吸収性本体は、幅方向の外側に引っ張られ、表面の凹凸が小さくなり、面で身体に当たり易い。後胴周り域において吸収性本体が面で身体に当たることにより、臀部間の隙間を介した漏れを抑制できる。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記一対の固定領域は、前記吸収コアの外側縁から前記前後方向に延びる延長線上をそれぞれ跨いで配置されてよい。
【0024】
本態様によれば、吸収コアの外側縁から延びる延長線上に連続弾性部材が配置されているため、連続弾性部材によって延長線を幅方向の外側に引っ張り、延長線を介して吸収コアの外側縁をも幅方向の外側に引っ張ることができる。吸収コアの外側縁のフィット性を向上させ、体液の横漏れをより抑制できる。
【0025】
好ましい一態様によれば、前記非固定領域には、前記一対のシート材を接合した接合部が設けられてよい。
【0026】
本態様によれば、接合部によってシート材の表面をコントロールすることができる。皺を細かく形成したり、皺を意図した形状に形成したりして、皺による肌に対する違和感を抑制できる。
【0027】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0028】
吸収性物品は、テープ型であってもよいし、パンツ型であってもよい。吸収性物品は、使い捨ておむつであってもよいし、ショーツ型の生理用ナプキンであってよい。実施形態の吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつである。
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の模式平面図である。
図2は、
図2に示すA-A線に沿った断面図である。
図3は、
図2に示す吸収性物品のB-B断面に沿った断面図である。
図4は、
図2に示す吸収性物品のC-C断面に沿った断面図である。
図1では、後述するサイド接合部60を展開した状態において吸収性物品10を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。また、
図2から
図4に示す断面図では、説明の便宜上、各部材を厚み方向Tにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚み方向Tに接している。
【0029】
吸収性物品10は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。また、吸収性物品10は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚み方向Tを有する。厚み方向Tは、着用者に向かう肌面側T1と、着用者から離れる方に向かう非肌面側T2と、に延びる。吸収性物品10は、股下域S3及び股下域S3よりも前後方向の外側に位置する胴周り域を有する。胴周り域は、着用者の前胴周り(腹部)に対向する前胴周り域と、着用者の後胴周り(背部)に対向する後胴周り域S2と、を有してよい。股下域S3は、着用者の股下に対向する。股下域S3は、後述する脚周り開口部66が形成された領域である。前胴周り域S1の股下域側の境界は、脚周り開口部66の前端縁であり、後胴周り域S2の股下域側の境界は、脚周り開口部66の後端縁である。
【0030】
吸収性物品10は、吸収性本体40と、外装体15と、を有する。外装体15は、一対の胴周り域の少なくとも一方において吸収性本体40の非肌対向面側に配置されている。外装体15は、前胴周り域S1に配置される前外装体16と、後胴周り域S2に配置される後外装体17と、を有してよい。前外装体16は、前胴周り域S1において、吸収性本体40と重なる領域と、吸収性本体40と重ならない領域と、に配置されている。後外装体17は、後胴周り域S2において、吸収性本体40と重なる領域と、吸収性本体40と重ならない領域と、に配置されている。前外装体16と後外装体17は、前後方向Lに離間してよい。他の実施形態において、外装体15は、前外装体16と後外装体17が前後方向Lに離間せずに、前後方向Lに連続していてもよい。外装体15については、後述にて詳細に説明する。
【0031】
吸収性物品10は、前外装体16の外側部と後外装体17の外側部とを接合したサイド接合部60が設けられていてよい。サイド接合部60が形成された状態で、吸収性物品10には、着用者の胴が通されるウエスト開口部62と、着用者の脚がそれぞれ挿入される一対の脚周り開口部66と、が形成される。なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。なお、本実施の形態の後外装体17の前後方向Lの長さは、前外装体16の前後方向Lの長さよりも長い。後外装体17は、サイド接合部60よりも股下側に延出している。
【0032】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。
【0033】
吸収性本体40は、前外装体16と後外装体17に跨って配置されている。吸収性本体40は、前外装体16及び後外装体17とは別体として構成されていてよいし、前外装体16及び後外装体17と一体化していてもよい。吸収性本体40は、吸収コア45と、吸収コア45よりも肌面側T1に位置するトップシート43と、吸収コア45よりも非肌面側T2に位置するバックシートと、を含んでよい。吸収コア45は、少なくとも股下域S3に配置されてよく、一対の胴周り域の少なくとも一方に跨がってよい。吸収コア45は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含んでいてよい。吸収コア45は、コアラップによって覆われていてもよい。トップシート43は、液透過性のシートであり、例えば、不織布によって構成される。トップシート43は、吸収コア45の幅方向の中央を覆うセンターシートと、センターシートの外側部を覆うサイドシートと、を有してよい。バックシートは、第1バックシート41と、第1バックシート41よりも非肌面側T2に配置された第2バックシート42と、を有してよい。第1バックシート41は、液透過性のフィルムによって構成されてよい。第2バックシート42は、不織布によって構成されてよい。
【0034】
(3)外装体の詳細構成
次いで、外装体15について詳細に説明する。なお、以下の説明において、外装体15として説明する構成については、前外装体16及び後外装体17の両方に設けられる構成であってよい。外装体15は、一対のシート材18と、一対のシート材18の間に配置され、幅方向に延びる弾性部材50と、を有する。一対のシート材18は、吸収性本体40の非肌面側T2に配置された第1シート18Aと、第1シート18Aの非肌面側T2に位置する第2シート18Bと、を有してよい。第1シート18Aと第2シート18Bは、別々のシートであってもよいし、同一のシートであってもよい。また、外装体15には、第1シート18A及び第2シート18Bの他に、他のシート材が設けられていてもよい。
【0035】
弾性部材50は、第1シート18Aと第2シート18Bの間に配置されている。弾性部材50は、幅方向Wに沿っており、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されている。弾性部材50は、外装体15の一方の外側部から外装体15の他方の外側部まで幅方向に連続して伸縮する連続弾性部材51,52と、外装体15の一方の外側部から外装体15の他方の外側部まで幅方向Wに連続して伸縮せずに、幅方向Wに分断された非連続弾性部材53と、を有してよい。なお、外装体15の一方の外側部から外装体15の他方の外側部まで幅方向に連続して伸縮する構成は、前外装体16内において幅方向Wに連続して伸縮する構成、及び後外装体17内において幅方向Wに連続して伸縮する構成であればよく、前外装体16と後外装体17の両方に跨がって連続して伸縮する構成でなくてよい。また、連続弾性部材51,52に配置における外装体15の外側部は、サイド接合部60であってよい。すなわち、連続弾性部材51,52は、外装体15の一方のサイド接合部60から外装体15の他方のサイド接合部60まで幅方向Wに連続して伸縮してよい。
【0036】
連続弾性部材は、ウエスト開口部62から前後方向Lの内側に延びるウエスト連続弾性部材51と、ウエスト連続弾性部材51よりも前後方向Lの内側に配置された腰周り連続弾性部材52と、を有してよい。腰周り連続弾性部材52は、本発明の連続弾性部材を構成する。連続弾性部材は、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されてよい。本実施の形態のウエスト連続弾性部材51は、前外装体16と後外装体17のそれぞれに5本ずつ配置され、腰周り連続弾性部材52は、前外装体16に2本配置され、後外装体17に4本配置されている。
【0037】
ウエスト連続弾性部材51は、外装体15の一方の外側部と外装体15の他方の外側部との間で伸縮可能に一対のシート材18に固定されている。ウエスト連続弾性部材51が配置された領域の全体に亘ってウエスト連続弾性部材51と一対のシート材18が固定されている。そのため、ウエスト連続弾性部材51が配置された領域全体に亘って、ウエスト連続弾性部材51とシート材18が一体化して伸縮する。少なくとも一部のウエスト連続弾性部材51は、シート材と異なる色に着色されていてもよい。ウエスト連続弾性部材51が配置された領域は、幅方向Wの全体に亘ってシート材18が肌に密着し、漏れを抑制できる。ウエスト連続弾性部材51が着色によって目立つことにより、使用者は、シート材18が肌に密着する態様を把握し易く、漏れに対する安心感を得ることができる。なお、弾性部材の固定手段は、特に制限されず、本実施の形態では、HMA型接着剤HMによってシート材18に弾性部材50が接合されている。HMA型接着剤HMを、
図2、
図3及び
図4において示す。HMA型接着剤HMは、弾性部材50に塗布されていてもよいし、シート材18に塗布されていてもよい。
【0038】
腰周り連続弾性部材52は、外装体15の一方の外側部から外装体15の他方の外側部まで配置され、部分的にシート材18に固定されている。具体的には、外装体15には、吸収性物品10の幅方向Wの中央において腰周り連続弾性部材52が一対のシート材18に固定されていない非固定領域R12と、非固定領域R12よりも幅方向Wの外側において一対のシート材18の少なくとも一方に腰周り連続弾性部材52が伸縮可能に固定されている一対の固定領域R11と、が設けられている。腰周り連続弾性部材52が前後方向に間隔を空けて複数配置されている形態にあっては、固定領域R11の外端縁及び非固定領域R12は、複数の腰周り連続弾性部材52を跨がって形成される。よって、固定領域R11及び非固定領域R12の外端縁は、前外装体16において最も前側に位置する腰周り連続弾性部材52と、後外装体17において最も後側に位置する腰周り連続弾性部材52と、に一致する。固定領域R11の内端縁及び非固定領域R12の内端縁は、前外装体16において最も後側に位置する腰周り連続弾性部材52と、後外装体17において最も前側に位置する腰周り連続弾性部材52と、に一致する。前外装体における固定領域R11及び非固定領域R12は、最も前側に位置する腰周り連続弾性部材52と最も後側に位置する腰周り連続弾性部材52に跨がって前後方向に延びている。同様に、後外装体における固定領域R11及び非固定領域R12は、最も前側に位置する腰周り連続弾性部材52と最も後側に位置する腰周り連続弾性部材52に跨がって前後方向に延びている。
【0039】
腰周り連続弾性部材52は、固定領域R11においてシート材18と共に伸縮し、非固定領域R12においてシート材18に対して浮き上がりつつ伸縮する。非固定領域R12では、腰周り連続弾性部材52をシート材18に固定する接着剤の等の固定手段が設けられないため、固定領域R11と比較して剛性が低く、柔軟に変形し易い。加えて、吸収性物品10は、腰周り連続弾性部材52を連続してシート材18に固定しないため、固定手段の資材コストを低減できる。
【0040】
吸収性物品10が着用された着用状態で、前外装体16の腰周り連続弾性部材52は、腹部の膨らみに対向する領域に配置され、後外装体17の腰周り連続弾性部材52は、臀部の膨らみ又は臀部を越えた背中に対向する領域に配置される。この腹部の膨らみや臀部の膨らみは、特に身体の幅方向の中央において張り出している。非固定領域R12は、吸収性物品10の幅方向Wの中央に位置し、着用時に身体の幅方向の中央に対向して配置される。非固定領域R12は、腰周り連続弾性部材52を固定する固定手段を備えず、固定領域R11と比較して柔軟に変形し易い。そのため、非固定領域R12における腰周り連続弾性部材52の収縮によって吸収性本体40が身体に密着しても、外装体15が柔軟に変形することで身体に対する違和感を低減でき、装着感の低下を抑制できる。
【0041】
また、着用者が寝た状態では、後外装体17の幅方向Wの中央に体圧が掛かり易い。非固定領域R12は、後外装体17の幅方向Wの中央に位置し、寝た状態で体圧を受けやすい。このとき、非固定領域R12は、腰周り連続弾性部材52がシート材18に固定されてなく、シート材18から浮き上がって収縮するため、固定領域R11と比較して身体に対する密着性が低くなる。よって、非固定領域R12における腰周り連続弾性部材52の収縮によって吸収性本体40が身体に密着するとともに寝た姿勢における体圧がかかっても、着用者の背部の中央に吸収性物品10が密着し過ぎることを抑制できる。使用者は、締め付けられる感じを強く受け難く、装着感の低下を抑制できる。
【0042】
固定領域R11及び非固定領域R12は、少なくとも吸収性本体40の外端縁を前後方向Lに跨いで配置されている。詳細には、後外装体17の腰周り連続弾性部材52は、吸収性本体40の後端縁40Rよりも後側の領域と、吸収性本体40の後端縁40Rよりも前側の領域と、に設けられている。また、前外装体16の腰周り連続弾性部材52は、吸収性本体40の前端縁40Fよりも前側の領域と、吸収性本体40の前端縁40Fよりも後側の領域と、に設けられている。
【0043】
一対の固定領域R11のそれぞれは、吸収性本体40の外側縁40Eを幅方向Wにおいて跨いで配置されている。なお、固定領域R11の前後方向Lの範囲のうち少なくとも一部の範囲が、吸収性本体40の外側縁40Eを幅方向Wにおいて跨いでいればよい。腰周り連続弾性部材52は、幅方向Wに連続しており、分断されていない。よって、腰周り連続弾性部材52の収縮力は、弾性部材が幅方向に連続していない形態と比較して、発現し易い。加えて、腰周り連続弾性部材52が固定された固定領域R11が吸収性本体40の外側縁40Eを跨いでいるため、腰周り連続弾性部材52によって吸収性本体40の外側縁40Eを身体にフィットさせ、体液の横漏れを抑制できる。
【0044】
固定領域R11及び非固定領域R12は、前後方向Lにおいて吸収性本体40の外端縁と吸収コア45の外端縁の間に配置されてよい。本実施の形態の固定領域R11及び非固定領域R12は、吸収性本体40の前端縁40Fと吸収コア45の前端縁45Fの間の領域と、吸収性本体40の後端縁40Rと吸収コア45の後端縁45Rの間の領域と、に設けられてよい。この構成によれば、吸収コア45よりも前後方向Lの外側の領域が腰周り連続弾性部材52の収縮によって身体にフィットし、前後方向Lの漏れを抑制できる。また、吸収コア45よりも前後方向Lの外側の領域の内面(身体に接する面)は、吸収コア45が配置されてなく、腰周り連続弾性部材52の収縮に起因する皺が形成され易い。非固定領域R12が柔軟に変形することで、腰周り連続弾性部材52の収縮に起因する皺の肌に対する当たりを和らげ、装着感の悪化を抑制できる。
【0045】
固定領域R11及び非固定領域R12は、吸収性本体40よりも前後方向Lの外側の領域に少なくとも配置されてよい。吸収性本体40よりも前後方向Lの外側の領域が腰周り連続弾性部材52の収縮によって身体にフィットし、前後方向Lの漏れを抑制できる。また、吸収性本体40よりも前後方向Lの外側の領域は、外装体15の内面が直に接し、腰周り連続弾性部材52の収縮に起因する皺が肌に当たり易い。着用者の幅方向の中央に非固定領域R12が当たるため、腰周り連続弾性部材52の収縮に起因する皺の肌に対する当たりを和らげ、装着感の悪化を抑制できる。
【0046】
固定領域R11の外端縁及び非固定領域R12の外端縁は、外装体15の外端縁よりも前後方向Lの内側であってよく、吸収性本体40の外端縁よりも前後方向Lの外側であってよい。また、固定領域R11の内端縁及び非固定領域R12の内端縁は、吸収性本体40の外端縁よりも前後方向の内側であってよく、吸収コア45の外端縁よりも前後方向の外側であってよい。
【0047】
固定領域R11の内側縁(非固定領域R12の外側縁)は、吸収性本体の外側縁40Eよりも幅方向Wの内側に位置していればよく、より好適には、吸収コア45の外側縁45Eよりも幅方向Wの内側に位置してよい。詳細には、一対の固定領域R11は、吸収コア45の外側縁45Eから前後方向Lに延びるコア延長線上をそれぞれ跨いで配置されてよい。吸収コア45の外側縁45Eから延びる延長線上に腰周り連続弾性部材52が配置されているため、腰周り連続弾性部材52によって吸収コアの延長線を幅方向Wの外側に引っ張り、当該延長線を介して吸収コア45の外側縁45Eも幅方向Wの外側に引っ張ることができる。吸収コアの外側縁のフィット性を向上させることにより、体液の横漏れをより抑制できる。
【0048】
また、固定領域R11の外側縁は、外装体の外側部に少なくとも位置していればよい。なお、吸収性本体の外側縁40Eを跨ぐ固定領域R11と、外装体の外側部に位置する固定領域R11と、が幅方向Wに間隔を空けて設けられていてもよい。しかし、好適には、固定領域R11は、外装体15の両側の外側部から幅方向の内側にそれぞれ延び、吸収性本体40の外側縁40Eまで連続してよい。固定領域R11が外装体の両側の外側部から吸収性本体の外側縁まで連続しているため、吸収性本体40よりも幅方向の外側の領域も身体にフィットし、吸収性本体40の外側縁40Eの浮き上がりを抑制し、横漏れを抑制できる。
【0049】
固定領域R11及び非固定領域R12は、前外装体16と後外装体17のいずれか一方に設けられてもよいし、前外装体16と後外装体17の両方に設けられてもよい。固定領域R11は、前外装体16に設けられた前固定領域R111と、後外装体17に設けられた後固定領域R112と、を有してよい。非固定領域R12は、前外装体16に設けられた前非固定領域R121と、後外装体17に設けられた後非固定領域R122と、を有してよい。固定領域R11及び非固定領域R12が前外装体16と後外装体17の両方に設けられていることにより、腹側及び背側のいずれにおいても、装着感の低下を抑制しつつ体液の横漏れの発生を抑制できる。
【0050】
前固定領域R111の幅方向Wの長さは、後固定領域R112の幅方向Wの長さよりも長くてよい。着用者の排泄口は、前胴周り域S1寄りに位置している。よって、前胴周り域S1には後胴周り域S2よりも体液が導かれ易く、前漏れが発生しやすい。しかし、前固定領域R111の幅方向Wの長さが比較的長いため、前胴周り域S1において吸収性本体40の外側縁40Eの密着性を高め、前漏れを抑制できる。
【0051】
後非固定領域R122の幅方向Wの長さは、前非固定領域R121の幅方向Wの長さよりも長くてよい。非固定領域R12は、シート材18と腰周り連続弾性部材52が固定されてなく、固定領域R11と比較して身体に対して密着し難い。後非固定領域R122の幅方向Wの長さが比較的長いため、後胴周り域S2が身体に対して密着し難い領域を広く設けることができ、便の収容空間を確保できる。
【0052】
腰周り連続弾性部材52よりも前後方向Lの内側には、非連続弾性部材53が設けられてよい。外装体15には、外装体の両側の外側部から幅方向Wの内側にそれぞれ延び、かつ非連続弾性部材53が伸縮可能に固定された伸縮領域R21と、幅方向における伸縮領域R21の間において非連続弾性部材53が伸縮可能に固定されていない非伸縮領域R22と、が設けられている。非伸縮領域R22は、非連続弾性部材53が配置されてない領域のみならず、非伸縮状態(非伸長状態)の非連続弾性部材53が配置された領域も含むものである。なお、非連続弾性部材53が前後方向に間隔を空けて複数配置されている形態にあっては、伸縮領域R21及び非伸縮領域R22は、複数の非連続弾性部材53を跨がって形成される。よって、伸縮領域R21の外端縁及び非伸縮領域R22の外端縁は、前外装体16において最も前側に位置する非連続弾性部材53と、後外装体17において最も後側に位置する腰周り連続弾性部材52と、に一致する。伸縮領域R21の内端縁及び非伸縮領域R22の内端縁は、前外装体16において最も後側に位置する非連続弾性部材53と、後外装体17において最も前側に位置する非連続弾性部材53と、に一致する。前外装体における伸縮領域R21及び非伸縮領域R22は、最も前側に位置する腰周り非連続弾性部材53と最も後側に位置する非連続弾性部材53に跨がって前後方向に延びている。同様に、後外装体における伸縮領域R21及び非伸縮領域R22は、最も前側に位置する非連続弾性部材53と最も後側に位置する非連続弾性部材53に跨がって前後方向に延びている。
【0053】
非伸縮領域R22は、非固定領域R12よりも前後方向Lの内側において吸収性本体40に重なって配置されてよい。なお、非伸縮領域R22は、吸収性本体の少なくとも一部に重なっていればよく、より好適には、吸収性本体40の幅方向Wの中央に重なってよい。非固定領域R12よりも前後方向の内側に非伸縮領域R22が設けられていることにより、吸収性本体40における吸収コア45の収縮を抑制できる。吸収コア45の幅方向Wの長さを確保することで体液の吸収性能を高めることができるとともに、吸収コア45の表面の皺の発生を抑制することによって前後方向Lへの伝い漏れを抑制できる。
【0054】
伸縮領域R21及び非伸縮領域R22は、固定領域R11及び非固定領域R12よりも前後方向Lの内側に配置されてよい。伸縮領域R21の外端縁及び非伸縮領域R22の外端縁は、吸収性本体40の外端縁よりも前後方向の内側であってよく、吸収コアの外端縁よりも前後方向の外側であってよい。また、伸縮領域R21の内端縁及び非伸縮領域R22の内端縁は、吸収コア45の外端縁よりも前後方向の内側であってよい。
【0055】
伸縮領域R21の内側縁(非伸縮領域R22の外側縁)は、吸収性本体の外側縁40Eよりも幅方向の内側に位置していればよく、より好適には、吸収コアの外側縁よりも幅方向の内側に位置してよい。また、伸縮領域R21の外側縁は、外装体の外側部に位置していればよい。伸縮領域R21の内側縁(非伸縮領域R22の外側縁)と、固定領域R11の内側縁(非固定領域R12の外側縁)と、は、幅方向における位置が一致していてもよい。
【0056】
非伸縮領域R22は、非固定領域R12よりも前後方向の内側において吸収性本体40に重なって配置されてよい。伸縮領域R21及び非伸縮領域R22を設ける方法としては、まず、非連続弾性部材53を構成する弾性部材を幅方向に連続して配置する。弾性部材は、伸縮領域R21及び非伸縮領域R22を跨がって配置する。このとき、伸縮領域R21の弾性部材又は、シート材における伸縮領域R21に対応する領域に、弾性部材を固定する接着剤を塗布する。このとき、非伸縮領域R22の弾性部材及びシート材における非伸縮領域R22に対応する領域には、接着剤を塗布しない。そして、伸縮領域R21及び非伸縮領域R22を跨がって配置された弾性部材を、非伸縮領域R22において切断する。非伸縮領域R22に配置された弾性部材は、シート材18に固定されなくカットバックする。よって、非伸縮領域R22には、伸縮状態の弾性部材が配置されない。また、他の方法としては、非連続弾性部材53を構成する弾性部材を幅方向に連続して配置する際に、弾性部材の全域又は、シート材における伸縮領域R21及び非伸縮領域R22に対応する領域に、弾性部材を固定する接着剤を塗布する。そして、伸縮領域R21及び非伸縮領域R22を跨がって配置された弾性部材を、非伸縮領域R22において複数箇所で切断する。
【0057】
弾性部材50は、前外装体16において前後方向Lにおいて間隔を空けて配置され、かつ吸収性本体40の外側縁40Eを幅方向Wに跨がる前側弾性部材と、後外装体17において前後方向Lにおいて間隔を空けて配置され、かつ吸収性本体40の外側縁40Eを幅方向Wに跨がる後側弾性部材と、を有してよい。前側弾性部材は、前外装体16に配置された弾性部材のうち、伸縮可能な状態で吸収性本体の外側縁40Eを跨いで配置された弾性部材である。本実施の形態の前側弾性部材は、9本の非連続弾性部材53と、2本の腰周り連続弾性部材52と、2本のウエスト連続弾性部材51と、によって構成されている。また、後側弾性部材は、後外装体17に配置された弾性部材のうち、伸縮可能な状態で吸収性本体の外側縁40Eを跨いで配置された弾性部材である。本実施の形態の後側弾性部材は、8本の非連続弾性部材53と、2本の腰周り連続弾性部材52と、によって構成されている。
【0058】
前側弾性部材の数は、後側弾性部材の数よりも多くてよい。前側部弾性部材の数が後側部弾性部材の数よりも多いため、前外装体16において吸収性本体を幅方向の外側に引っ張る力が、後外装体17において吸収性本体を幅方向の外側に引っ張る力よりも強くなり易い。着用状態では、後胴周り域S2の外側部は、サイド接合部60を介して前胴周り域S1の外側部に連なり、前胴周り域S1の外側部を介して幅方向Wの外側に引っ張られる。よって、後胴周り域S2の吸収性本体40は、幅方向Wの外側に引っ張られ、表面の凹凸が小さくなり、面で身体に当たり易い。後胴周り域S2において吸収性本体40が面で身体に当たることにより、臀部間の隙間を介した漏れを抑制できる。
【0059】
図5は、外装体15の拡大平面図である。
図5及び
図2に示すように、非固定領域R12には、一対のシート材18を接合した接合部75が設けられてよい。接合部75は、第1シート18Aと第2シート18Bを接合するように構成されていればよく、具体的には、シート材18を熱又は超音波によって溶着した溶着部、シート材18を厚み方向に圧縮したエンボス部、シート材18を接着剤で接合した接着部を例示できる。接合部75によってシート材18の凹凸をコントロールすることができる。皺を細かく形成したり、皺を意図した形状に形成したりして、皺による肌に対する違和感を抑制できる。
【0060】
接合部75の平面視の形状は限定されない。接合部は、点状であってもよいし、前後方向又は幅方向に延びる線状であってもよい。接合部75は、平面視にて間隔を空けて複数設けられてよい。すなわち、接合部75は、前後方向L及び幅方向のうち少なくとも一方において間隔を空けて配置されてよい。好適には、非固定領域R12に前後方向に間隔を空けて複数の腰周り連続弾性部材52が配置された形態にあっては、前後方向に隣り合う腰周り連続弾性部材52の間に接合部75を設けてよい。前後方向に隣り合う腰周り連続弾性部材52を接合部によって隔てることができる。よって、腰周り連続弾性部材52を前後方向に一定の間隔を空けて配置でき、腰周り連続弾性部材52の収縮による皺を均一化し易い。加えて、腰周り連続弾性部材52を前後方向に一定の間隔を空けて配置することで、前後方向に隣り合う腰周り連続弾性部材52が重なり合うことに起因して局所的に身体に密着することを抑制できる。
【0061】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
装着感の低下を抑制しつつ、吸収性本体の外側縁におけるフィット性を向上させて体液の横漏れの発生を抑制できる吸収性物品を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 :吸収性物品
15 :外装体
16 :前外装体
17 :後外装体
18 :シート材
18A :第1シート
18B :第2シート
40 :吸収性本体
41 :第1バックシート
42 :第2バックシート
43 :トップシート
45 :吸収コア
50 :弾性部材
51 :ウエスト連続弾性部材
52 :連続弾性部材
53 :非連続弾性部材
60 :サイド接合部
62 :ウエスト開口部
66 :開口部
75 :接合部
HM :HMA型接着剤
R11 :固定領域
R111 :前固定領域
R112 :後固定領域
R12 :非固定領域
R121 :前非固定領域
R122 :後非固定領域
R21 :伸縮領域
R22 :非伸縮領域
S1 前胴周り域
S2 後胴周り域
S3 股下域
L 前後方向
W 幅方向
T :厚み方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側