(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】電子カセッテ、電子カセッテの作動方法、電子カセッテの作動プログラム、カセッテ制御装置、放射線撮影システム、および放射線撮影システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220722BHJP
【FI】
A61B6/00 300W
(21)【出願番号】P 2019041888
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和浩
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-175104(JP,A)
【文献】特開2016-135231(JP,A)
【文献】特開2018-082922(JP,A)
【文献】特開2018-175677(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132360(WO,A1)
【文献】特開2014-111221(JP,A)
【文献】特開2015-100377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、
前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体と、
前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢を検知する姿勢検知センサと、
移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、
前記基準姿勢と前記現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御部であり、前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御部と、
を備える電子カセッテ。
【請求項2】
前記第1判定部は、前記基準姿勢から前記現在姿勢が予め設定された閾値以上乖離している状態が、予め設定された期間継続した場合に、前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定する請求項1に記載の電子カセッテ。
【請求項3】
前記モード制御部は、前記第1判定部において前記取り出し状態から前記収納状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記撮影可能モードから前記スリープモードに切り替える請求項1または請求項2に記載の電子カセッテ。
【請求項4】
前記移動式放射線撮影装置の稼働状態を示す稼働状態情報を取得する第2取得部と、
前記稼働状態情報から、前記移動式放射線撮影装置が撮影準備状態であるか否かを判定する第2判定部とを備え、
前記モード制御部は、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定したが、前記第2判定部において前記撮影準備状態でないと判定した場合は、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行わず、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定し、かつ前記第2判定部において前記撮影準備状態であると判定した場合に、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行う請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子カセッテ。
【請求項5】
前記移動式放射線撮影装置は、前記放射線を発する放射線管を有し、前記被写体に対する位置を変更することが可能な照射部を備え、
前記稼働状態情報は、前記照射部が使用状態であるか否かを示す情報である請求項4に記載の電子カセッテ。
【請求項6】
前記モード制御部は、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定したが、前記稼働状態情報が、前記照射部が前記使用状態でないという内容で、前記第2判定部において前記撮影準備状態でないと判定した場合は、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行わず、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定し、かつ前記稼働状態情報が、前記照射部が前記使用状態であるという内容で、第2判定部において前記撮影準備状態であると判定した場合に、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行う請求項5に記載の電子カセッテ。
【請求項7】
前記稼働状態情報は、前記照射部の前記被写体に対する位置を変更するための可動部がロックされているか否かを示す情報であり、
前記第2判定部は、前記可動部がロックされている場合は、前記照射部が使用状態でなく前記撮影準備状態でないと判定し、前記可動部がロックされていない場合は、前記照射部が使用状態で前記撮影準備状態であると判定する請求項5または請求項6に記載の電子カセッテ。
【請求項8】
前記移動式放射線撮影装置は、前記放射線の照射野を表す光を発する照射野ランプを備え、
前記稼働状態情報は、前記照射野ランプが点灯されたか否かを示す情報である請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の電子カセッテ。
【請求項9】
前記モード制御部は、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定したが、前記稼働状態情報が、前記照射野ランプが点灯されていないという内容で、前記第2判定部において前記撮影準備状態でないと判定した場合は、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行わず、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定し、かつ前記稼働状態情報が、前記照射野ランプが点灯されたという内容で、前記第2判定部において前記撮影準備状態であると判定した場合に、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行う請求項8に記載の電子カセッテ。
【請求項10】
前記移動式放射線撮影装置は通信部を備え、
前記稼働状態情報は、前記通信部との通信が確立されているか否かを示す情報である請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の電子カセッテ。
【請求項11】
前記モード制御部は、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定したが、前記稼働状態情報が、前記通信が確立されていないという内容で、前記第2判定部において前記撮影準備状態でないと判定した場合は、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行わず、
前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定し、かつ前記稼働状態情報が、前記通信が確立されているという内容で、前記第2判定部において前記撮影準備状態であると判定した場合に、前記スリープモードから前記撮影可能モードへの切り替えを行う請求項10に記載の電子カセッテ。
【請求項12】
請求項3を引用する請求項4から請求項11のいずれか1項に記載の電子カセッテにおいて、
前記モード制御部は、
前記第1判定部において前記取り出し状態から前記収納状態になったと判定したが、前記第2判定部において前記撮影準備状態であると判定した場合は、前記撮影可能モードから前記スリープモードへの切り替えを行わず、
前記第1判定部において前記取り出し状態から前記収納状態になったと判定し、かつ前記第2判定部において前記撮影準備状態でないと判定した場合に、前記撮影可能モードから前記スリープモードへの切り替えを行う電子カセッテ。
【請求項13】
前記基準姿勢を記憶する前記記憶部が内蔵されている請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の電子カセッテ。
【請求項14】
前記筐体は、前記収納部に複数通りの向きで収納され、
前記基準姿勢は、前記複数通りの向きに対応して複数通りあり、
前記第1判定部は、複数通りの前記基準姿勢と、前記現在姿勢とに基づいて前記判定を行う請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の電子カセッテ。
【請求項15】
前記記憶部には、複数通りの前記基準姿勢のうちの1つだけが記憶されており、
1つの前記基準姿勢から残りの前記基準姿勢を換算する換算部を備える請求項14に記載の電子カセッテ。
【請求項16】
複数台の前記移動式放射線撮影装置で使用され、
前記記憶部には、複数台の前記移動式放射線撮影装置の各々の前記基準姿勢が記憶されており、
前記第1取得部は、使用する前記移動式放射線撮影装置に対応した前記基準姿勢を前記記憶部から取得する請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の電子カセッテ。
【請求項17】
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテの作動方法であって、
移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得ステップと、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定ステップと、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御ステップであり、前記第1判定ステップにおいて前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御ステップと、
を備える電子カセッテの作動方法。
【請求項18】
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテの作動プログラムであって、
移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御部であり、前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御部として、
コンピュータを機能させる電子カセッテの作動プログラム。
【請求項19】
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテを制御するカセッテ制御装置であって、
移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む前記電子カセッテの駆動モードを制御するモード制御部であり、前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御部と、
を備えるカセッテ制御装置。
【請求項20】
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを有する電子カセッテと、前記電子カセッテが収納される収納部を有する移動式放射線撮影装置とを備える放射線撮影システムであって、
前記収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む前記電子カセッテの駆動モードを制御するモード制御部であり、前記第1判定部において前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御部と、
を備える放射線撮影システム。
【請求項21】
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを有する電子カセッテと、前記電子カセッテが収納される収納部を有する移動式放射線撮影装置とを備える放射線撮影システムの作動方法であって、
前記収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得ステップと、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定ステップと、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む前記電子カセッテの駆動モードを制御するモード制御ステップであり、前記第1判定ステップにおいて前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御ステップと、
を備える放射線撮影システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、電子カセッテ、電子カセッテの作動方法、電子カセッテの作動プログラム、カセッテ制御装置、放射線撮影システム、および放射線撮影システムの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、電子カセッテを用いた放射線撮影が行われている。電子カセッテは、周知のように、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備えている。筐体にはバッテリーおよび無線通信部も内蔵されており、電子カセッテはワイヤレスで使用することが可能である。
【0003】
一方で、医療現場においては、電子カセッテを搭載した移動式放射線撮影装置で、病室を回りながら被写体である個々の患者を放射線撮影する巡回撮影も行われている。移動式放射線撮影装置には、電子カセッテの筐体を収納する収納部が設けられている。電子カセッテの筐体はこの収納部に収納されて移動式放射線撮影装置とともに移動され、患者の病室において収納部から取り出されて放射線撮影に供される。
【0004】
電子カセッテは上述のようにバッテリーで駆動するので、無駄な電力消費は極力抑えたほうがよい。このため、大半の電子カセッテは、駆動モードとして、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを有している。スリープモードは、放射線撮影前の待機中に、無線通信部等の必要最低限の部分にだけ選択的に給電する駆動モードである。こうした電子カセッテは、放射線撮影に使用しない場合はスリープモードとされ、放射線撮影に使用する場合は撮影可能モードとされる。
【0005】
特許文献1には、放射線技師等のオペレータにより筐体が持ち上げられたと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替える電子カセッテが記載されている。より詳しくは、特許文献1に記載の電子カセッテは、筐体に設けられた把手がオペレータにより握られたことを検知する接触検知センサと、筐体がオペレータにより動かされたことを検知する姿勢検知センサ(特許文献1では方向検知センサと記載)とを備えている。そして、これら2つのセンサの検知信号から、オペレータにより筐体が持ち上げられたと判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電子カセッテを、移動式放射線撮影装置に搭載して巡回撮影を行い、例えば、筐体が収納部に収納されて移動式放射線撮影装置とともに移動している場合にはスリープモード、筐体が収納部から取り出された場合には撮影可能モードとするモード制御を行うことを考える。この場合、接触検知センサの検知信号から、筐体の状態を判断してモード制御する方法がある。しかしながら、姿勢検知センサの検知信号が、筐体が収納部から取り出されたことによって変化しているのか、収納部から取り出された後の筐体が持ち運ばれていることによって変化しているのかを判断することはできない。したがって、特許文献1に記載の電子カセッテでは、上記のようなモード制御を正しく行えないおそれがあった。
【0008】
本開示の技術は、移動式放射線撮影装置を用いた巡回撮影において、駆動モードの制御を正しく行うことが可能な電子カセッテ、電子カセッテの作動方法、電子カセッテの作動プログラム、カセッテ制御装置、放射線撮影システム、および放射線撮影システムの作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の電子カセッテは、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体と、筐体の現在の姿勢である現在姿勢を検知する姿勢検知センサと、移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、基準姿勢と現在姿勢とに基づいて、筐体が、収納状態と、収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御部であり、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるモード制御部と、を備える。
【0010】
第1判定部は、基準姿勢から現在姿勢が予め設定された閾値以上乖離している状態が、予め設定された期間継続した場合に、収納状態から取り出し状態になったと判定することが好ましい。
【0011】
モード制御部は、第1判定部において取り出し状態から収納状態になったと判定した場合に、駆動モードを撮影可能モードからスリープモードに切り替えることが好ましい。
【0012】
移動式放射線撮影装置の稼働状態を示す稼働状態情報を取得する第2取得部と、稼働状態情報から、移動式放射線撮影装置が撮影準備状態であるか否かを判定する第2判定部とを備え、モード制御部は、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定したが、第2判定部において撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行わず、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ第2判定部において撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行うことが好ましい。
【0013】
移動式放射線撮影装置は、放射線を発する放射線管を有し、被写体に対する位置を変更することが可能な照射部を備え、稼働状態情報は、照射部が使用状態であるか否かを示す情報であることが好ましい。
【0014】
モード制御部は、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定したが、稼働状態情報が、照射部が使用状態でないという内容で、第2判定部において撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行わず、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ稼働状態情報が、照射部が使用状態であるという内容で、第2判定部において撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行うことが好ましい。
【0015】
稼働状態情報は、照射部の被写体に対する位置を変更するための可動部がロックされているか否かを示す情報であり、第2判定部は、可動部がロックされている場合は、照射部が使用状態でなく撮影準備状態でないと判定し、可動部がロックされていない場合は、照射部が使用状態で撮影準備状態であると判定することが好ましい。
【0016】
移動式放射線撮影装置は、放射線の照射野を表す光を発する照射野ランプを備え、稼働状態情報は、照射野ランプが点灯されたか否かを示す情報であることが好ましい。
【0017】
モード制御部は、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定したが、稼働状態情報が、照射野ランプが点灯されていないという内容で、第2判定部において撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行わず、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ稼働状態情報が、照射野ランプが点灯されたという内容で、第2判定部において撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行うことが好ましい。
【0018】
移動式放射線撮影装置は通信部を備え、稼働状態情報は、通信部との通信が確立されているか否かを示す情報であることが好ましい。
【0019】
モード制御部は、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定したが、稼働状態情報が、通信が確立されていないという内容で、第2判定部において撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行わず、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ稼働状態情報が、通信が確立されているという内容で、第2判定部において撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードから撮影可能モードへの切り替えを行うことが好ましい。
【0020】
モード制御部は、第1判定部において取り出し状態から収納状態になったと判定したが、第2判定部において撮影準備状態であると判定した場合は、撮影可能モードからスリープモードへの切り替えを行わず、第1判定部において取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ第2判定部において撮影準備状態でないと判定した場合に、撮影可能モードからスリープモードへの切り替えを行うことが好ましい。
【0021】
基準姿勢を記憶する記憶部が内蔵されていることが好ましい。
【0022】
筐体は、収納部に複数通りの向きで収納され、基準姿勢は、複数通りの向きに対応して複数通りあり、第1判定部は、複数通りの基準姿勢と、現在姿勢とに基づいて判定を行うことが好ましい。
【0023】
本開示の電子カセッテの作動方法は、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテの作動方法であって、移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得ステップと、基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、筐体が、収納状態と、収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定ステップと、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御ステップであり、第1判定ステップにおいて収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるモード制御ステップと、を備える。
【0024】
本開示の電子カセッテの作動プログラムは、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテの作動プログラムであって、移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、筐体が、収納状態と、収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御部であり、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるモード制御部として、コンピュータを機能させる。
【0025】
本開示のカセッテ制御装置は、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテを制御するカセッテ制御装置であって、移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、筐体が、収納状態と、収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む電子カセッテの駆動モードを制御するモード制御部であり、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるモード制御部と、を備える。
【0026】
本開示の放射線撮影システムは、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを有する電子カセッテと、電子カセッテが収納される収納部を有する移動式放射線撮影装置とを備える放射線撮影システムであって、収納部に収納された収納状態における筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得部と、基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、筐体が、収納状態と、収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定部と、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む電子カセッテの駆動モードを制御するモード制御部であり、第1判定部において収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるモード制御部と、を備える。
【0027】
本開示の放射線撮影システムの作動方法は、被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを有する電子カセッテと、電子カセッテが収納される収納部を有する移動式放射線撮影装置とを備える放射線撮影システムの作動方法であって、収納部に収納された収納状態における筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得ステップと、基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、筐体が、収納状態と、収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定ステップと、画像出力部による放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む電子カセッテの駆動モードを制御するモード制御ステップであり、第1判定ステップにおいて収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるモード制御ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0028】
本開示の技術によれば、移動式放射線撮影装置を用いた巡回撮影において、駆動モードの制御を正しく行うことが可能な電子カセッテ、電子カセッテの作動方法、電子カセッテの作動プログラム、カセッテ制御装置、放射線撮影システム、および放射線撮影システムの作動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】支柱部の回転方向および移動方向と、アーム部の移動方向と、照射部の回転方向とを示す図である。
【
図5】前面側から見た電子カセッテの外観斜視図である。
【
図6】背面側から見た電子カセッテの外観斜視図である。
【
図7】収納部に収納する電子カセッテの向きを示す図である。
【
図10】モード制御部による駆動モードの制御を概念的に示す図である。
【
図11】基準姿勢をROMに記録する様子を示す図である。
【
図13】基準姿勢と現在姿勢との差分が第2閾値未満の状態が、設定期間以上継続している場合の第1判定結果を示す図である。
【
図14】基準姿勢と現在姿勢との差分が第1閾値以上となった期間が、設定期間よりも短かった場合の第1判定結果を示す図である。
【
図15】基準姿勢と現在姿勢との差分が、設定期間以上の期間、第1閾値以上となった場合の第1判定結果を示す図である。
【
図16】基準姿勢と現在姿勢との差分が第1閾値以上の状態が、設定期間以上継続している場合の第1判定結果を示す図である。
【
図17】基準姿勢と現在姿勢との差分が第2閾値未満となった期間が、設定期間よりも短かった場合の第1判定結果を示す図である。
【
図18】基準姿勢と現在姿勢との差分が、設定期間以上の期間、第2閾値未満となった場合の第1判定結果を示す図である。
【
図19】第1判定条件が
図15で示した内容であった場合のモード制御の様子を示す図である。
【
図20】第1判定条件が
図18で示した内容であった場合のモード制御の様子を示す図である。
【
図21】ある病室における放射線撮影システムによる放射線撮影の手順を示すフローチャートである。
【
図22】電子カセッテの処理手順を示すフローチャートである。
【
図23】電子カセッテの処理手順を示すフローチャートである。
【
図24】移動式放射線撮影装置の稼働状態を示す稼働状態情報を取得し、稼働状態情報から、移動式放射線撮影装置が撮影準備状態であるか否かを判定する第2実施形態を示す図である。
【
図25】第1判定部において、筐体が収納状態から取り出し状態になったと判定したが、第2判定部において、移動式放射線撮影装置が撮影準備状態でないと判定した場合を示す図である。
【
図26】第1判定部において、筐体が収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ第2判定部において、移動式放射線撮影装置が撮影準備状態であると判定した場合を示す図である。
【
図28】第1判定部において、筐体が取り出し状態から収納状態になったと判定したが、第2判定部において、移動式放射線撮影装置が撮影準備状態であると判定した場合を示す図である。
【
図29】第1判定部において、筐体が取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ第2判定部において、移動式放射線撮影装置が撮影準備状態でないと判定した場合を示す図である。
【
図31】第3実施形態の稼働状態情報を示す図である。
【
図32】第3実施形態の第2判定条件を示す図である。
【
図33】第3実施形態のモード制御のタイミングチャートである。
【
図34】第3実施形態のモード制御のタイミングチャートである。
【
図35】第4実施形態の稼働状態情報を示す図である。
【
図36】第4実施形態の第2判定条件を示す図である。
【
図37】第4実施形態のモード制御のタイミングチャートである。
【
図38】第4実施形態のモード制御のタイミングチャートである。
【
図39】第5実施形態の稼働状態情報を示す図である。
【
図40】第5実施形態の第2判定条件を示す図である。
【
図41】第5実施形態のモード制御のタイミングチャートである。
【
図42】第5実施形態のモード制御のタイミングチャートである。
【
図44】第1判定部において、複数通りの基準姿勢と現在姿勢とに基づいて判定を行う様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
図1において、放射線撮影システム2は、電子カセッテ10と移動式放射線撮影装置11とを備える。放射線撮影システム2は、電子カセッテ10を搭載した移動式放射線撮影装置11で、病室を回りながら被写体である個々の患者P(
図2参照)を放射線撮影するためのシステムである。
【0031】
移動式放射線撮影装置11は台車部15を備えている。台車部15は左右一対の前輪16と、左右一対の後輪17とを有する4輪である。前輪16は左右に旋回可能である。後輪17は、左右それぞれ独立にモータ等で回転駆動される、いわゆる電動アシストタイプである。このため、左側の後輪17よりも右側の後輪17の回転速度が速められた場合、移動式放射線撮影装置11は左に曲がる。一方、右側の後輪17よりも左側の後輪17の回転速度が速められた場合、移動式放射線撮影装置11は右に曲がる。この台車部15によって、移動式放射線撮影装置11は病院内を移動可能である。
【0032】
台車部15上には本体部18が設けられている。本体部18は、中央部20、支柱部21、アーム部22、照射部23等を有している。移動式放射線撮影装置11は、支柱部21およびアーム部22が縮められ、照射部23が中央部20の上部に収納された、
図1に示す状態で移動される。
【0033】
中央部20は、コンソール25と、通信部26と、収納部27と、ハンドル28とを有している。コンソール25は、中央部20の傾斜した上面に埋め込まれている。コンソール25は、操作卓30とディスプレイ31とで構成される(ともに
図4参照)。操作卓30は、放射線の照射条件を設定したり、撮影メニューを選択する際等に、放射線技師等のオペレータOP(
図2参照)によって操作される。ディスプレイ31は、照射条件の設定画面、撮影メニューの選択画面といった各種画面、および放射線画像等を表示する。なお、撮影メニューは、「胸部正面臥位」等、撮影部位、撮影方向、撮影姿勢の組で表されたものである。
【0034】
通信部26は、電子カセッテ10と無線通信または有線通信を行う。通信部26は、照射条件を電子カセッテ10に送信する。また、通信部26は、電子カセッテ10からの放射線画像を受信する。
【0035】
収納部27は、中央部20の背面に配置されている。収納部27は電子カセッテ10の筐体71(
図5および
図6参照)を収納する。電子カセッテ10は、筐体71の縦横のサイズが17インチ×17インチ、17インチ×14インチ、12インチ×10インチ等、複数の種類がある。収納部27は、こうした複数の種類がある電子カセッテ10の筐体71を、種類を問わず複数台収納することが可能である。収納部27には傾斜がつけられており、筐体71を傾斜がついた状態で収納する。以下、この筐体71が収納部27に収納された状態を、収納状態という(
図10参照)。一方、筐体71が収納部27から取り出された状態を、取り出し状態という(
図10参照)。なお、収納部27に、電子カセッテ10のバッテリー82(
図6参照)を充電する機能を設けてもよい。
【0036】
ハンドル28は、中央部20の上方に突き出した位置に設けられている。ハンドル28は、左右方向に長い円柱状をしている。ハンドル28は、台車部15を操縦するために、オペレータOPにより把持される(
図4参照)。
【0037】
収納部27の上部には、照射スイッチ32が取り付けられている。照射スイッチ32は、オペレータOPが放射線の照射開始を指示するためのスイッチである。照射スイッチ32には延長ケーブル(図示せず)が接続されており、中央部20から取り外して使用することが可能である。照射スイッチ32は、例えば2段押下型である。照射スイッチ32は、1段目まで押された(半押しされた)ときにウォームアップ指示信号を発生し、2段目まで押された(全押しされた)ときに照射開始指示信号を発生する。なお、図示は省略するが、中央部20には、各部に電力を供給するバッテリーが内蔵されている。
【0038】
支柱部21は角柱状であり、前輪16の上部の位置、かつ左右方向に関して台車部15の中央の位置に配置されている。支柱部21には、ロックおよびロック解除スイッチ33が設けられている。また、支柱部21内には、電圧発生器34が設けられている。
【0039】
アーム部22は、支柱部21と同じく角柱状である。アーム部22は、基端が支柱部21に取り付けられ、基端の反対側の自由端となる先端に照射部23が取り付けられている。
【0040】
照射部23は、放射線管40と照射野限定器41とで構成される。放射線管40は、放射線として例えばX線を発する。放射線管40には、フィラメント、ターゲット、グリッド電極等(いずれも図示せず)が設けられている。陰極であるフィラメントと陽極であるターゲットの間には、電圧発生器34からの電圧が印加される。このフィラメントとターゲットの間に印加される電圧は、管電圧と呼ばれる。フィラメントは、印加された管電圧に応じた熱電子をターゲットに向けて放出する。ターゲットは、フィラメントからの熱電子の衝突によって放射線を放射する。グリッド電極は、フィラメントとターゲットの間に配置されている。グリッド電極は、電圧発生器34から印加される電圧に応じて、フィラメントからターゲットに向かう熱電子の流量を変更する。このフィラメントからターゲットに向かう熱電子の流量は、管電流と呼ばれる。管電圧、管電流は、照射時間とともに照射条件として設定される。
【0041】
照射スイッチ32が半押しされてウォームアップ指示信号が発生された場合、フィラメントが予熱され、同時にターゲットの回転が開始される。フィラメントが規定の温度に達し、かつターゲットが規定の回転数となったときにウォームアップが完了する。このウォームアップが完了した状態において、照射スイッチ32が全押しされて照射開始指示信号が発生された場合、電圧発生器34から管電圧が印加され、放射線管40から放射線が発生される。放射線の発生開始から、照射条件で設定された照射時間が経過したときに、管電圧の印加が停止され、放射線の照射が終了される。
【0042】
照射野限定器41は、放射線管40から発生された放射線の照射野を限定する。照射野限定器41は、例えば、放射線を遮蔽する鉛等の4枚の遮蔽板が四角形の各辺上に配置され、放射線を透過させる四角形の出射開口が中央部に形成された構成である。照射野限定器41は、各遮蔽板の位置を変更することで出射開口の大きさを変化させ、これにより放射線の照射野を変更する。
【0043】
照射野限定器41にも、支柱部21と同じくロックおよびロック解除スイッチ42が設けられている。また、照射野限定器41内には、照射野を表す光(例えば白色光)を発する照射野ランプ43が設けられている。
【0044】
図2に示すように、支柱部21は、第1支柱50および第2支柱51を有する。第1支柱50は、台車部15の上面に設けられている。第1支柱50は、台車部15に対して回転することが可能である。第2支柱51は、第1支柱50に対して上下に移動することが可能である。これら第1支柱50の回転、および第2支柱51の上下移動は、ロックおよびロック解除スイッチ33を操作してロックを解除することで可能となる。
【0045】
アーム部22は、固定アーム54、第1アーム55、および第2アーム56を有する。固定アーム54は、第2支柱51に対して、直角に折れ曲がっている。固定アーム54の基端は、第2支柱51に取り付けられている。固定アーム54の先端には、第1アーム55が取り付けられている。つまり固定アーム54は、第2支柱51と第1アーム55とを接続する。第2アーム56の先端には、首振り部57を介して照射部23が取り付けられている。第1アーム55は、固定アーム54に対して前後に移動することが可能である。第2アーム56は、第1アーム55に対して前後に移動することが可能である。これら第1アーム55の前後移動および第2アーム56の前後移動は、ロックおよびロック解除スイッチ42を操作してロックを解除することで可能となる。
【0046】
照射部23は、首振り部57によって、その幅方向に平行な軸回りに回転することが可能である。また、
図3に示すように、照射部23は、その前後方向に平行な軸回りに回転することが可能である。これら照射部23の首振り部57による2軸回りの回転は、第1アーム55の前後移動および第2アーム56の前後移動と同じく、ロックおよびロック解除スイッチ42を操作してロックを解除することで可能となる。
【0047】
第1支柱50の回転、および第2支柱51の上下移動によって、照射部23の患者Pに対する位置が変更される。また、第1アーム55の前後移動および第2アーム56の前後移動によって、照射部23の患者Pに対する位置が変更される。さらに、照射部23の首振り部57による2軸回りの回転によって、照射部23の患者Pに対する位置が変更される。すなわち、支柱部21、アーム部22、および首振り部57は、本開示の技術に掛かる「可動部」の一例である。
【0048】
図4に示すように、ハンドル28の前方部分の一帯には、後輪17の回転ロックを解除するためのロック解除スイッチ60が設けられている。ロック解除スイッチ60は、オペレータOPがハンドル28を把持したことを検知する。ロック解除スイッチ60は、例えば、静電容量の変化で手の接触を検知するセンサ、または温度の変化で手の接触を検知するセンサである。あるいは、ロック解除スイッチ60は、手で把持されていないときはハンドル28の表面から突出してオフしており、手で把持されることでハンドル28内に引っ込んでオンする、機械的なレバースイッチでもよい。なお、
図4では、破線によって、オペレータOPが両手でハンドル28を把持している状態を示している。
【0049】
図5および
図6において、電子カセッテ10は、患者Pを透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部70と、画像出力部70が内蔵された可搬型の筐体71とを備えている。画像出力部70は、放射線検出部72と回路部73とを有する。放射線検出部72は、シンチレータ74と光検出基板75とで構成される。
【0050】
シンチレータ74と光検出基板75は、放射線が入射する筐体71の前面76側から見て、シンチレータ74、光検出基板75の順に積層されている。シンチレータ74は、CsI:Tl(タリウム賦活ヨウ化セシウム)やGOS(Gd2O2S:Tb、テルビウム賦活ガドリウムオキシサルファイド)等の蛍光体を有し、入射した放射線を可視光に変換して放出する。光検出基板75は、シンチレータ74から放出された可視光を検出して電気信号に変換する。より詳しくは、光検出基板75は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する。画素は、周知のように、可視光の入射によって電荷(電子-正孔対)を発生してこれを蓄積する光電変換部、および光電変換部への電荷の蓄積と光電変換部からの電荷の読み出しを制御するTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を有する。回路部73は、光検出基板75のスイッチング素子等の駆動を制御するとともに、光検出基板75から出力された電気信号に基づき放射線画像を生成する。なお、シンチレータ74と光検出基板75は、前面76側から見て、光検出基板75、シンチレータ74の順に積層されていてもよい。また、電子カセッテ10は、本例のシンチレータ74で可視光とされた放射線を電気信号に変換する間接変換型ではなく、放射線を直接電気信号に変換する直接変換型でもよい。
【0051】
筐体71は、前面76、前面76と対向する背面77、および上下左右4つの側面78、79、80、81を有する直方体形状である。背面77の中央部分には、バッテリー82が着脱可能に装填されている。バッテリー82は充電可能な二次電池である。上側面78および下側面79の対向する角部には、無線通信用の一対のアンテナ83が内蔵されている。左側面80には、移動式放射線撮影装置11からの有線通信用のケーブルが接続されるコネクタ84が設けられている。コネクタ84は、非使用時には蓋85で覆われている。アンテナ83により無線通信を行った場合には、電子カセッテ10はバッテリー82からの電力で駆動し、ワイヤレスで使用することが可能である。
【0052】
上側面78には、収納状態における筐体71の姿勢である基準姿勢SP(
図9参照)を記録するための基準姿勢記録ボタン86が設けられている(
図7も参照)。また、筐体71内には、姿勢検知センサ87が内蔵されている。姿勢検知センサ87は、筐体71の現在の姿勢である現在姿勢CP(
図9参照)を検知する。姿勢検知センサ87は、例えば、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ、3軸地磁気センサ等である。なお、筐体71には、この他にも、主電源をオンおよびオフするための主電源スイッチ、後述する撮影可能モードRMおよびスリープモードSMといった電子カセッテ10の駆動モードDM(いずれも
図10参照)を報せるためのインジケータ(図示せず)等が設けられている。
【0053】
図7に示すように、筐体71は、前面76をハンドル28側に向けて、下側面79側から収納部27に収納される。この
図7で示した向き以外では、筐体71は収納部27に収納することはできない。つまり本実施形態では、筐体71は1通りの向きで収納部27に収納される。
【0054】
図8において、電子カセッテ10は、前述の画像出力部70の他に、給電部90、通信部91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、およびCPU(Central Processing Unit)94を備える。これらはバスライン95を介して相互に接続されている。なお、ROM92、RAM93、CPU94、およびバスライン95は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。
【0055】
給電部90は、バッテリー82からの電力を各部に供給する。より詳しくは、給電部90は、バッテリー82からの直流電圧を、供給先に応じた値の電圧に変換するDC(Direct Current)-DCコンバータ、変換した電圧の値を安定化させる電圧安定化回路等で構成される。なお、給電部90にはコネクタ84も接続されており、コネクタ84に有線通信用のケーブルが接続された場合には、給電部90は、コネクタ84を介して移動式放射線撮影装置11からの電力を受け、移動式放射線撮影装置11からの電力を各部に供給する。
【0056】
通信部91は、アンテナ83を用いた無線通信またはコネクタ84を用いた有線通信を行う。通信部91は、通信相手である移動式放射線撮影装置11の通信部26と間で、通信が確立されているかどうかを確認するための問い合わせ信号を定期的に発信する問い合わせ機能を有している。この問い合わせ信号に対して通信部26から応答があった場合、通信部91は、通信部26との間で通信が確立されていると判断する。逆に問い合わせ信号に対して通信部26から応答がなかった場合は、通信部91は、通信部26との間で通信が確立されていないと判断する。なお、問い合わせ信号を発信する間隔は秒単位であり、例えば10秒である。
【0057】
ROM92は、各種プログラム、および各種プログラムに付随する各種データを記憶する。RAM93は、CPU94が処理を実行するためのワークメモリである。CPU94は、ROM92に記憶されたプログラムをRAM93へ読み出し、読み出したプログラムにしたがった処理を実行する。これにより、CPU94は、電子カセッテ10の各部の動作を統括的に制御する。
【0058】
CPU94には、姿勢検知センサ87が接続されている。なお、図示は省略したが、CPU94には、基準姿勢記録ボタン86といった操作部類も接続されている。
【0059】
図9において、ROM92には、作動プログラム100が記憶されている。作動プログラム100は、本開示の技術に係る「電子カセッテの作動プログラム」の一例である。また、ROM92には、基準姿勢SPおよび第1判定条件JC1が記憶されている。第1判定条件JC1は、筐体71が収納状態と取り出し状態とのいずれであるかを判定するための条件である。
【0060】
CPU94は、作動プログラム100を実行することで、RAM93等と協働して、画像出力制御部105、通信制御部106、リードライト(以下、RW(Read Write)と略す)制御部107、第1判定部108、およびモード制御部109として機能する。
【0061】
画像出力制御部105は、画像出力部70の動作を制御する。例えば、画像出力制御部105は、放射線の照射開始タイミングに合わせて、画素に電荷を蓄積させる電荷蓄積動作を行わせ、放射線の照射終了タイミングに合わせて、画素から電荷を読み出す読み出し動作を行わせる。また、画像出力制御部105は、放射線の照射条件に応じて電気信号に与えるゲインを変更したり、画像出力部70からの放射線画像を通信制御部106に出力したりする。
【0062】
通信制御部106は、通信部91の動作を制御する。例えば、通信制御部106は、移動式放射線撮影装置11から受信した放射線の照射条件を、画像出力制御部105に出力する。また、通信制御部106は、画像出力制御部105からの放射線画像を、通信部91を介して移動式放射線撮影装置11に送信させる。
【0063】
RW制御部107は、ROM92から基準姿勢SPを読み出す。すなわち、RW制御部107は、本開示の技術に係る「第1取得部」の一例である。また、ROM92は、本開示の技術に係る「記憶部」の一例である。
【0064】
また、RW制御部107は、ROM92から第1判定条件JC1を読み出す。RW制御部107は、読み出した基準姿勢SPおよび第1判定条件JC1を、第1判定部108に出力する。
【0065】
第1判定部108には、RW制御部107からの基準姿勢SPおよび第1判定条件JC1と、姿勢検知センサ87からの現在姿勢CPとが入力される。第1判定部108は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとに基づいて、筐体71が収納状態と取り出し状態とのいずれであるかを、第1判定条件JC1にしたがって判定する。第1判定部108は、判定結果(以下、第1判定結果JR1と表記する)をモード制御部109に出力する。
【0066】
第1判定部108は、姿勢検知センサ87からの現在姿勢CPを表す検知信号に対して、ローパスフィルタ処理(0.1秒単位または秒単位の平滑化処理)を施す。こうして検知信号から高周波の時間変動成分を除去したうえで、第1判定部108は上記判定を行う。
【0067】
姿勢検知センサ87が3軸加速度センサであった場合は、筐体71の座標軸において、重力加速度の静的なXYZ成分で現在姿勢CPが決まる。姿勢検知センサ87の検知信号のうちの重力方向の加速度成分以外は、移動式放射線撮影装置11が移動する際等の加速度成分となる。このため、第1判定部108は重力方向の加速度成分以外を除去する。第1判定部108は、検知信号のうちの重力方向の加速度成分に対して、上述のようにローパスフィルタ処理を施したうえで、重力方向の加速度成分から筐体71の座標軸に対する角度を検出する。この検出した角度が、ROM92に基準姿勢SPとして記録された角度とどの程度乖離しているかにより、第1判定部108は上記判定を行う。
【0068】
モード制御部109は、第1判定部108からの第1判定結果JR1に応じたモード制御信号MSを、給電部90に出力する。これにより、モード制御部109は駆動モードDMを制御する。
【0069】
図10に概念的に示すように、モード制御部109は、第1判定部108において筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替える。一方、モード制御部109は、第1判定部108において筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定した場合に、駆動モードDMを撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替える。
【0070】
撮影可能モードRMでは、給電部90は、画像出力部70、姿勢検知センサ87、通信部91、CPU94等の電子カセッテ10の全体に電力を供給する。このため、撮影可能モードRMでは、画像出力部70による放射線画像の出力が可能である。対してスリープモードSMでは、給電部90は、姿勢検知センサ87、CPU94には撮影可能モードRMと同じ量の電力を供給するが、画像出力部70には電力を供給しない。また、給電部90は、通信部91には、問い合わせ信号を定期的に発信する問い合わせ機能に必要な量の電力のみを供給する。このため、スリープモードSMは、画像出力部70による放射線画像の出力は不可能であるが、撮影可能モードRMよりも電力消費は少なくて済む。
【0071】
なお、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えに際しては、光検出基板75の画素の光電変換部の動作が安定化するのを待ったり、画像出力部70にオフセット補正用の放射線画像を出力させたりする等、多少の時間が掛かる。
【0072】
図11に示すように、RW制御部107は、収納状態において姿勢検知センサ87で検知された現在姿勢CPを、基準姿勢SPとしてROM92に記録する。このRW制御部107によるROM92への基準姿勢SPの記録は、例えば、筐体71を収納部27に初めて収納した場合に、基準姿勢記録ボタン86をオペレータOPが操作することで行われる。
【0073】
図12において、第1判定条件JC1は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が予め設定された第1閾値δTHH以上の状態が、予め設定された設定期間PTH以上継続した場合に、筐体71が取り出し状態になったとする条件である。また、第1判定条件JC1は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が予め設定された第2閾値δTHL未満の状態が、設定期間PTH以上継続した場合に、筐体71が収納状態になったとする条件である。なお、設定期間PTHは、前者と後者とで変更してもよい。
【0074】
図13~
図18は、第1判定条件JC1が
図13で示した内容であった場合の、様々なシチュエーションにおける第1判定結果JR1を示す。
【0075】
まず、
図13は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が第2閾値δTHL未満の状態が、設定期間PTH以上継続している場合である。この場合の第1判定結果JR1は、筐体71が収納状態であるという内容となる。
【0076】
図14は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が、期間P1、第1閾値δTHH以上となったが、期間P1が設定期間PTHよりも短かった場合である。この場合の第1判定結果JR1は、
図13の場合と同じく、筐体71が収納状態であるという内容となる。
【0077】
図15は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が、設定期間PTH以上の期間P2、第1閾値δTHH以上となった場合である。この場合の第1判定結果JR1は、筐体71が収納状態から取り出し状態になったという内容となる。
【0078】
図16は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が第1閾値δTHH以上の状態が、設定期間PTH以上継続している場合である。この場合の第1判定結果JR1は、筐体71が取り出し状態であるという内容となる。
【0079】
図17は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が、期間P3、第2閾値δTHL未満となったが、期間P3が設定期間PTHよりも短かった場合である。この場合の第1判定結果JR1は、
図16の場合と同じく、筐体71が取り出し状態であるという内容となる。
【0080】
図18は、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が、設定期間PTH以上の期間P4、第2閾値δTHL未満となった場合である。この場合の第1判定結果JR1は、筐体71が取り出し状態から収納状態になったという内容となる。
【0081】
図19に示すように、第1判定部108からの第1判定結果JR1が、筐体71が収納状態から取り出し状態になったという
図15で示した内容であった場合、モード制御部109は、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替える旨のモード制御信号MSを給電部90に出力する。対して
図20に示すように、第1判定部108からの第1判定結果JR1が、筐体71が取り出し状態から収納状態になったという
図18で示した内容であった場合、モード制御部109は、駆動モードDMを撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替える旨のモード制御信号MSを給電部90に出力する。
【0082】
次に、上記構成による作用について、
図21~
図23に示すフローチャートを参照して説明する。まず、
図21は、ある病室における放射線撮影システム2による放射線撮影の手順を示すフローチャートである。オペレータOPは、電子カセッテ10が搭載された移動式放射線撮影装置11とともに病室に到着する(ステップST100)。病室到着後、オペレータOPは、コンソール25の操作卓30を操作して、照射条件の設定および撮影メニューの選択を行う(ステップST110)。
【0083】
続いてオペレータOPは、放射線撮影に使用する電子カセッテ10の筐体71を収納部27から取り出す(ステップST120)。こうして収納部27から取り出されたことにより、電子カセッテ10の駆動モードDMは、
図10および
図19で示したように、スリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替えられる。
【0084】
オペレータOPは、取り出した電子カセッテ10と移動式放射線撮影装置11とのペアリングを行う(ステップST130)。ペアリングは、放射線撮影に使用する電子カセッテ10の通信部91と、移動式放射線撮影装置11の通信部26との間で通信を確立する処理である。
【0085】
ペアリング終了後、オペレータOPはポジショニングを行う(ステップST140)。ポジショニングは、患者Pに撮影メニューで選択した撮影姿勢をとらせたり、撮影メニューで選択した撮影部位に電子カセッテ10をセットしたりする作業である。また、ポジショニングは、ロックおよびロック解除スイッチ33、42を操作してロックを解除し、支柱部21、アーム部22、および首振り部57の各可動部を駆使して、照射部23を電子カセッテ10の前面76と正対する位置にセットしたり、照射野限定器41を操作して照射野を調整し、照射野ランプ43を点灯させて照射野を確認したりする作業である。ポジショニング終了後、オペレータOPは、照射スイッチ32を操作して、放射線撮影システム2に放射線撮影を行わせる(ステップST150)。
【0086】
放射線撮影終了後、オペレータOPは、収納部27に筐体71を収納する(ステップST160)。こうして収納部27に収納されたことにより、電子カセッテ10の駆動モードDMは、
図10および
図20で示したように、撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替えられる。
【0087】
オペレータOPは、電子カセッテ10の通信部91と移動式放射線撮影装置11の通信部26とのペアリングを解消する(ステップST170)。その後、オペレータOPは、支柱部21、アーム部22、および首振り部57の各可動部を元に戻し、照射部23を
図1に示す収納位置に収納した後、ロックおよびロック解除スイッチ33、42を操作して各可動部をロックする(ステップST180)。オペレータOPは、移動式放射線撮影装置11とともに次の目的地へ出発する(ステップST190)。以上で、ある病室における放射線撮影システム2による放射線撮影が終了する。
【0088】
作動プログラム100が起動されると、
図9で示したように、電子カセッテ10のCPU94が、画像出力制御部105、通信制御部106、RW制御部107、第1判定部108、およびモード制御部109として機能する。
【0089】
図22に示すように、まず、前準備として、収納状態において姿勢検知センサ87で現在姿勢CPが検知される(ステップST500)。そして、
図11で示したように、検知された収納状態における現在姿勢CPが、基準姿勢SPとしてRW制御部107によりROM92に記録される(ステップST510)。
【0090】
図23において、電子カセッテ10では、主電源がオンされた場合(ステップST600)、RW制御部107により、ROM92から基準姿勢SPが読み出される(ステップST610)。また、姿勢検知センサ87により、現在姿勢CPの検知が開始される(ステップST620)。基準姿勢SPは、RW制御部107から第1判定部108に出力される。現在姿勢CPは、姿勢検知センサ87から第1判定部108に出力される。なお、ステップST610は、本開示の技術に係る「第1取得ステップ」の一例である。
【0091】
第1判定部108では、
図13~
図18で示したように、RW制御部107からの基準姿勢SPと姿勢検知センサ87からの現在姿勢CPとに基づいて、筐体71が収納状態と取り出し状態とのいずれであるかが判定される。この判定は、
図12で示した第1判定条件JC1にしたがって行われる。この判定による第1判定結果JR1は、第1判定部108からモード制御部109に出力される。
【0092】
図15で示したように、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が予め設定された第1閾値δTHH以上の状態が、予め設定された設定期間PTH以上継続した場合に、第1判定部108によって、筐体71が取り出し状態になったと判定される。対して、
図14で示したような、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が第1閾値δTHH以上となった期間が設定期間PTHよりも短かった場合は、筐体71が取り出し状態になったとは判定されない。したがって、段差といったロードノイズ等の突発的なノイズによって、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が一時的に第1閾値δTHH以上となった場合に、筐体71が取り出し状態になったと誤って判定されることを防ぐことができる。
【0093】
また、
図18で示したように、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が予め設定された第2閾値δTHL未満の状態が、設定期間PTH以上継続した場合に、第1判定部108によって、筐体71が収納状態になったと判定される。対して、
図17で示したような、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が第2閾値δTHL未満となった期間が設定期間PTHよりも短かった場合は、筐体71が収納状態になったとは判定されない。したがって、突発的なノイズ、またはポジショニング中に偶然収納状態と同じ姿勢になった等によって、基準姿勢SPと現在姿勢CPとの差分が第2閾値δTHL未満となった場合に、筐体71が収納状態になったと誤って判定されることを防ぐことができる。
【0094】
図13および
図14で示したように、筐体71が収納状態であるという第1判定結果JR1であった場合(ステップST630でYES)、モード制御部109により、駆動モードDMはスリープモードSMとされている(ステップST640)。このスリープモードSMの状態において、
図15で示したように、第1判定結果JR1が、筐体71が収納状態から取り出し状態になったという内容であった場合(ステップST650でYES)、
図19で示したように、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替える旨のモード制御信号MSが、モード制御部109から給電部90に出力される。これにより、駆動モードDMが撮影可能モードRMに切り替えられる(ステップST660)。すなわち、電子カセッテ10は、筐体71が収納部27から取り出された場合に、駆動モードDMがスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替えられる。
【0095】
図16および
図17で示したように、筐体71が取り出し状態であるという第1判定結果JR1であった場合(ステップST630でNO)、モード制御部109により、駆動モードDMは撮影可能モードRMとされている(ステップST660)。この撮影可能モードRMの状態において、
図18で示したように、第1判定結果JR1が、筐体71が取り出し状態から収納状態になったという内容であった場合(ステップST670でYES)、
図20で示したように、駆動モードDMを撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替える旨のモード制御信号MSが、モード制御部109から給電部90に出力される。これにより、駆動モードDMがスリープモードSMに切り替えられる(ステップST640)。すなわち、電子カセッテ10は、筐体71が収納部27に収納された場合に、駆動モードDMが撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替えられる。
【0096】
これら一連の処理は、電子カセッテ10の主電源がオフされる(ステップST680またはステップST690でYES)まで繰り返し続けられる。なお、ステップST630、ステップST650、ステップST670は、本開示の技術に係る「第1判定ステップ」の一例である。また、ステップST640、ステップST660は、本開示の技術に係る「モード制御ステップ」の一例である。
【0097】
以上説明したように、電子カセッテ10は、RW制御部107、第1判定部108、モード制御部109を備えている。RW制御部107は、移動式放射線撮影装置11の収納部27に収納された収納状態における筐体71の姿勢である基準姿勢SPをROM92から読み出して取得する。第1判定部108は、基準姿勢SPと、姿勢検知センサ87からの筐体71の現在の姿勢である現在姿勢CPとに基づいて、筐体71が、収納状態と、収納部27から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する。モード制御部109は、第1判定部108において収納状態から取り出し状態になったと判定した場合に、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替える。
【0098】
姿勢検知センサ87による現在姿勢CPが、筐体71が収納部27に収納されて移動式放射線撮影装置11とともに移動していることによって変化しているのか、オペレータOPにより筐体71が持ち上げられたことによって変化しているのかを正しく判断することができる。さらには、姿勢検知センサ87による現在姿勢CPが、筐体71が収納部27から取り出されたことによって変化しているのか、収納部27から取り出された後の筐体71が持ち運ばれていることによって変化しているのかも正しく判断することができる。したがって、移動式放射線撮影装置11を用いた巡回撮影において、駆動モードDMの制御を正しく行うことが可能となる。
【0099】
特許文献1では、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替えるために、接触検知センサを設けているが、本開示の技術では、接触検知センサは必要ない。したがって、移動式放射線撮影装置11を用いた巡回撮影において、使用上の制約なく駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替えることが可能となる。また、接触検知センサが必要ないため、部品コストを削減することが可能となる。
【0100】
スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えは、前述のように多少の時間が掛かる。このため、放射線撮影の直前にスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替えられた場合は、撮影可能モードRMとなるまで若干待たなければならない。しかしながら、本開示の技術では、電子カセッテ10は、筐体71が収納部27から取り出された場合に、駆動モードDMがスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替えられる。したがって、放射線撮影を行うまでには、確実に撮影可能モードRMに切り替えられており、待ち時間が発生することがない。
【0101】
また、電子カセッテ10は、筐体71が収納部27に収納された場合に、駆動モードDMが撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替えられる。したがって、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0102】
電子カセッテ10には、基準姿勢SPを記憶するROM92が内蔵されている。基準姿勢SPを電子カセッテ10以外の他の装置の記憶部に記憶しておき、他の装置の記憶部から基準姿勢SPを取得する場合、他の装置との接続が断たれると、第1判定結果JR1すら出力することができなくなる。対して本開示の技術では、電子カセッテ10だけの閉じた系で処理を完結することができる。
【0103】
また、電子カセッテ10に基準姿勢SPを記憶するROM92が内蔵されていることで、ある移動式放射線撮影装置11に使用している電子カセッテ10を、別の移動式放射線撮影装置11に使用する場合、簡単に基準姿勢SPを別の移動式放射線撮影装置11のものに書き換えることができる。
【0104】
なお、1台の電子カセッテ10を複数台の移動式放射線撮影装置11で使い回す場合も考えられる。この場合は、複数台の移動式放射線撮影装置11の各々の基準姿勢SPをROM92に記憶しておき、放射線撮影の際に、使用する移動式放射線撮影装置11に対応した基準姿勢SPをオペレータOPに選択させればよい。
【0105】
基準姿勢SPを、例えば移動式放射線撮影装置11のメーカーのホームページ等において公開し、電子カセッテ10に自由にダウンロード可能としてもよい。
【0106】
現在姿勢CPに関わらず、主電源がオンされた場合は、スリープモードSMから駆動モードDMをスタートさせてもよい。
【0107】
移動式放射線撮影装置11は、電動アシストタイプに限らない。オペレータOPが人力で押して移動させるタイプでもよい。
【0108】
[第2実施形態]
図24~
図30に示す第2実施形態では、移動式放射線撮影装置11の稼働状態を示す稼働状態情報SIを取得し、稼働状態情報SIから、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるか否かを判定する。そして、判定結果に基づいて駆動モードDMを制御する。
【0109】
図24において、第2実施形態の電子カセッテ10のCPU94は、上記第1実施形態の各処理部105~109(
図24では第1判定部108およびモード制御部109のみ図示)に加えて、取得部120および第2判定部121として機能する。取得部120は、移動式放射線撮影装置11の稼働状態を示す稼働状態情報SIを取得する。すなわち、取得部120は、本開示の技術に係る「第2取得部」の一例である。取得部120は、取得した稼働状態情報SIを第2判定部121に出力する。
【0110】
第2判定部121は、稼働状態情報SIから、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるか否かを、第2判定条件JC2にしたがって判定する。第2判定部121は、判定結果(以下、第2判定結果JR2と表記する)をモード制御部109に出力する。第2判定結果は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるという内容と、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないという内容のうちのいずれかである。なお、第2判定条件JC2は、第1判定条件JC1と同じく、ROM92に記憶されている。
【0111】
モード制御部109には、上記第1実施形態と同じく、第1判定部108から第1判定結果JR1が入力される。モード制御部109は、この第1判定結果JR1と、第2判定部121からの第2判定結果JR2とに基づいて、駆動モードDMを制御する。
【0112】
図25に示すように、第1判定部108からの第1判定結果JR1が、筐体71が収納状態から取り出し状態になったという内容であったが、第2判定部121からの第2判定結果JR2が、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないという内容であった場合、モード制御部109は、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替える旨のモード制御信号MSを、給電部90に出力しない。すなわち、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定したが、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合は、モード制御部109は、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行わない。
【0113】
対して
図26に示すように、第1判定部108からの第1判定結果JR1が、筐体71が収納状態から取り出し状態になったという内容で、かつ第2判定部121からの第2判定結果JR2が、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるという内容であった場合、モード制御部109は、駆動モードDMをスリープモードSMから撮影可能モードRMに切り替える旨のモード制御信号MSを、給電部90に出力する。すなわち、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合に、モード制御部109は、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行う。
【0114】
図27は、
図25および
図26で説明したモード制御のタイミングチャートである。モード制御部109は、筐体71が収納状態から取り出し状態となった後も、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でない(
図27では「非撮影準備状態」と記載、
図30も同様)うちは、駆動モードDMをスリープモードSMのままとする。そして、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態になった場合に、モード制御部109は撮影可能モードRMに切り替える。
【0115】
また、
図28に示すように、第1判定部108からの第1判定結果JR1が、筐体71が取り出し状態から収納状態になったという内容であったが、第2判定部121からの第2判定結果JR2が、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるという内容であった場合、モード制御部109は、駆動モードDMを撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替える旨のモード制御信号MSを、給電部90に出力しない。すなわち、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定したが、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合は、モード制御部109は、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行わない。
【0116】
対して
図29に示すように、第1判定部108からの第1判定結果JR1が、筐体71が取り出し状態から収納状態になったという内容で、かつ第2判定部121からの第2判定結果JR2が、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないという内容であった場合、モード制御部109は、駆動モードDMを撮影可能モードRMからスリープモードSMに切り替える旨のモード制御信号MSを、給電部90に出力する。すなわち、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合に、モード制御部109は、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行う。
【0117】
図30は、
図28および
図29で説明したモード制御のタイミングチャートである。モード制御部109は、筐体71が取り出し状態から収納状態となった後も、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるうちは、駆動モードDMを撮影可能モードRMのままとする。そして、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でなくなった場合に、モード制御部109はスリープモードSMに切り替える。
【0118】
このように、第2実施形態では、
図24で示したように、取得部120は、移動式放射線撮影装置11の稼働状態を示す稼働状態情報SIを取得する。第2判定部121は、稼働状態情報SIから、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるか否かを判定する。
【0119】
モード制御部109は、
図25で示したように、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定したが、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、
図26で示したように、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行う。したがって、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないにも関わらず、安易に駆動モードDMが撮影可能モードRMに切り替えられることが防がれ、より無駄な電力消費を抑えることができる。
【0120】
また、モード制御部109は、
図28で示したように、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定したが、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合は、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、
図29で示したように、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合に、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行う。したがって、放射線撮影には使用するが、当面の適当な置き場所がなく、電子カセッテ10の筐体71を一時的に収納部27に収納した場合等に、安易に駆動モードDMがスリープモードSMに切り替えられることを防ぐことができる。一旦スリープモードSMに切り替えてしまうと、再び撮影可能モードRMとするまで相応の時間が掛かり、放射線撮影の円滑な進行を妨げる要因となるが、そうした懸念を払拭することができる。
【0121】
以下に示す第3~第5実施形態は、上記第2実施形態の稼働状態情報SIおよび第2判定条件JC2の具体例を示す。
【0122】
[第3実施形態]
図31~
図34に示す第3実施形態では、照射部23が使用状態であるか否かを示す情報を稼働状態情報SIとする。
【0123】
図31に示すように、本実施形態の稼働状態情報SIは、支柱部21、アーム部22、および首振り部57の可動部がロックされている(照射部23が使用状態でない)という内容と、可動部がロックされていない(照射部23が使用状態である)という内容のうちのいずれかである。取得部120は、この可動部がロックされているか否かを示す稼働状態情報SIを移動式放射線撮影装置11から取得し、第2判定部121に出力する。なお、可動部がロックされているか否かを示す稼働状態情報SIは、本開示の技術に係る「照射部が使用状態であるか否かを示す情報」の一例である。
【0124】
図32に示すように、本実施形態の第2判定条件JC2は、可動部がロックされている場合は、照射部23が使用状態でなく移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定するという条件である。また、第2判定条件JC2は、可動部がロックされていない場合は、照射部23が使用状態で移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定するという条件である。第2判定部121は、この第2判定条件JC2にしたがって、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるか否かを判定する。
【0125】
これらの稼働状態情報SIおよび第2判定条件JC2の場合、モード制御部109は、
図33に示すように、筐体71が収納状態から取り出し状態となった後も、可動部がロックされているうちは、駆動モードDMをスリープモードSMのままとする。そして、可動部のロックが解除された場合に、モード制御部109は撮影可能モードRMに切り替える。
【0126】
また、
図34に示すように、モード制御部109は、筐体71が取り出し状態から収納状態となった後も、可動部のロックが解除されているうちは、駆動モードDMを撮影可能モードRMのままとする。そして、可動部がロックされた場合に、モード制御部109はスリープモードSMに切り替える。
【0127】
このように、第3実施形態では、取得部120は、
図31で示した、照射部23が使用状態であるか否かを示す情報としての、可動部がロックされているか否かを示す稼働状態情報SIを取得する。第2判定部121は、
図32で示した第2判定条件JC2にしたがって、可動部がロックされている場合は、照射部23が使用状態でなく移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定し、一方で可動部がロックされていない場合は、照射部23が使用状態で移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定する。
【0128】
モード制御部109は、
図33で示したように、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定したが、稼働状態情報SIが、照射部23が使用状態でない(可動部がロックされている)という内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ稼働状態情報SIが、照射部23が使用状態である(可動部がロックされていない)という内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行う。したがって、可動部がロックされていて移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないにも関わらず、安易に駆動モードDMが撮影可能モードRMに切り替えられることが防がれ、より無駄な電力消費を抑えることができる。
【0129】
また、モード制御部109は、
図34で示したように、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定したが、稼働状態情報SIが、照射部23が使用状態である(可動部がロックされていない)という内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合は、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ稼働状態情報SIが、照射部23が使用状態でない(可動部がロックされている)という内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合に、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行う。したがって、可動部のロックを解除して照射部23をセットしている途中で、筐体71を一時的に収納部27に収納した場合等に、安易に駆動モードDMがスリープモードSMに切り替えられることを防ぐことができる。
【0130】
稼働状態情報SIは、支柱部21、アーム部22、および首振り部57の各可動部のうちの少なくともいずれか1つがロックされているか否かを示す情報であればよい。また、照射部23が使用状態であるか否かを示す情報は、例示の可動部がロックされているか否かを示す情報に限らない。例えば、首振り部57による照射部23の回転角度が、
図1に示す収納状態の回転角度であるか否かを示す情報を、照射部23が使用状態であるか否かを示す情報としてもよい。この場合、第2判定部121は、首振り部57による照射部23の回転角度が収納状態の回転角度である場合に、照射部23が使用状態でなく移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定する。反対に、首振り部57による照射部23の回転角度が収納状態の回転角度でない場合は、照射部23が使用状態で移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定する。
【0131】
照射部23が電子カセッテ10の前面76に正対しているか否かを示す情報を、照射部23が使用状態であるか否かを示す情報としてもよい。照射部23が電子カセッテ10の前面76に正対しているか否かは、例えば、照射部23から指向性を有する電波を発し、当該電波を電子カセッテ10で受信した場合に、照射部23が電子カセッテ10の前面76に正対しているとする。この場合、第2判定部121は、照射部23が電子カセッテ10の前面76に正対していなかった場合に、照射部23が使用状態でなく移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定する。反対に、照射部23が電子カセッテ10の前面76に正対していた場合は、照射部23が使用状態で移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定する。
【0132】
[第4実施形態]
図35~
図38に示す第4実施形態では、照射野ランプ43が点灯されたか否かを示す情報を稼働状態情報SIとする。
【0133】
図35に示すように、本実施形態の稼働状態情報SIは、照射野ランプ43が点灯されていないという内容と、照射野ランプ43が点灯されたという内容のうちのいずれかである。取得部120は、この照射野ランプ43が点灯されたか否かを示す稼働状態情報SIを移動式放射線撮影装置11から取得し、第2判定部121に出力する。
【0134】
図36に示すように、本実施形態の第2判定条件JC2は、照射野ランプ43が点灯されていない場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定するという条件である。また、第2判定条件JC2は、照射野ランプ43が点灯された場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定するという条件である。第2判定部121は、この第2判定条件JC2にしたがって、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるか否かを判定する。
【0135】
これらの稼働状態情報SIおよび第2判定条件JC2の場合、モード制御部109は、
図37に示すように、筐体71が収納状態から取り出し状態となった後も、照射野ランプ43が点灯されていないうちは、駆動モードDMをスリープモードSMのままとする。そして、照射野ランプ43が点灯された場合に、モード制御部109は撮影可能モードRMに切り替える。
【0136】
また、
図38に示すように、モード制御部109は、筐体71が取り出し状態から収納状態となった後も、照射野ランプ43が点灯されているうちは、駆動モードDMを撮影可能モードRMのままとする。そして、照射野ランプ43が消灯された場合に、モード制御部109はスリープモードSMに切り替える。
【0137】
このように、第4実施形態では、取得部120は、
図35で示した、照射野ランプ43が点灯されたか否かを示す稼働状態情報SIを取得する。第2判定部121は、
図36で示した第2判定条件JC2にしたがって、照射野ランプ43が点灯されていない場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定し、一方で照射野ランプ43が点灯された場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定する。
【0138】
モード制御部109は、
図37で示したように、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定したが、稼働状態情報SIが、照射野ランプ43が点灯されていないという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ稼働状態情報SIが、照射野ランプ43が点灯されたという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行う。したがって、照射野ランプ43が点灯されておらず移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないにも関わらず、安易に駆動モードDMが撮影可能モードRMに切り替えられることが防がれ、より無駄な電力消費を抑えることができる。
【0139】
また、モード制御部109は、
図38で示したように、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定したが、稼働状態情報SIが、照射野ランプ43が点灯されたという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合は、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ稼働状態情報SIが、照射野ランプ43が点灯されていないという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合に、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行う。したがって、照射野ランプ43を点灯させて照射野を確認している途中で、筐体71を一時的に収納部27に収納した場合等に、安易に駆動モードDMがスリープモードSMに切り替えられることを防ぐことができる。
【0140】
[第5実施形態]
図39~
図42に示す第5実施形態では、通信部91が、移動式放射線撮影装置11の通信部26との通信が確立されているか否かを示す情報を稼働状態情報SIとする。
【0141】
図39に示すように、本実施形態の稼働状態情報SIは、通信部26との通信が確立されていないという内容と、通信部26との通信が確立されているという内容のうちのいずれかである。取得部120は、この通信部26との通信が確立されているか否かを示す稼働状態情報SIを通信部91から取得し、第2判定部121に出力する。なお、通信部26との通信が確立されているか否かは、通信部91の問い合わせ機能によって検出することができる。
【0142】
図40に示すように、本実施形態の第2判定条件JC2は、通信部26との通信が確立されていない場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定するという条件である。また、第2判定条件JC2は、通信部26との通信が確立されている場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定するという条件である。第2判定部121は、この第2判定条件JC2にしたがって、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であるか否かを判定する。
【0143】
これらの稼働状態情報SIおよび第2判定条件JC2の場合、モード制御部109は、
図41に示すように、筐体71が収納状態から取り出し状態となった後も、通信部26との通信が確立されていないうちは、駆動モードDMをスリープモードSMのままとする。そして、通信部26との通信が確立された場合に、モード制御部109は撮影可能モードRMに切り替える。
【0144】
また、
図42に示すように、モード制御部109は、筐体71が取り出し状態から収納状態となった後も、通信部26との通信が確立されているうちは、駆動モードDMを撮影可能モードRMのままとする。そして、通信部26との通信が断たれた場合に、モード制御部109はスリープモードSMに切り替える。
【0145】
このように、第5実施形態では、取得部120は、
図39で示した、通信部26との通信が確立されているか否かを示す稼働状態情報SIを取得する。第2判定部121は、
図40で示した第2判定条件JC2にしたがって、通信部26との通信が確立されていない場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定し、一方で第2判定部121は、通信部26との通信が確立されている場合は、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定する。
【0146】
モード制御部109は、
図41で示したように、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定したが、稼働状態情報SIが、通信部26との通信が確立されていないという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合は、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、第1判定部108において、筐体71が収納状態から取り出し状態になったと判定し、かつ稼働状態情報SIが、通信部26との通信が確立されているという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合に、スリープモードSMから撮影可能モードRMへの切り替えを行う。したがって、通信部26との通信が確立されておらず移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないにも関わらず、安易に駆動モードDMが撮影可能モードRMに切り替えられることが防がれ、より無駄な電力消費を抑えることができる。
【0147】
また、モード制御部109は、
図42で示したように、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定したが、稼働状態情報SIが、通信部26との通信が確立されているという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定した場合は、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行わない。対して、モード制御部109は、第1判定部108において、筐体71が取り出し状態から収納状態になったと判定し、かつ稼働状態情報SIが、通信部26との通信が確立されていないという内容で、第2判定部121において、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定した場合に、撮影可能モードRMからスリープモードSMへの切り替えを行う。したがって、通信部26との通信を確立した後に、筐体71を一時的に収納部27に収納した場合等に、安易に駆動モードDMがスリープモードSMに切り替えられることを防ぐことができる。
【0148】
第3~第5実施形態を複合して実施してもよい。例えば第3実施形態と第5実施形態を複合して実施する場合、第2判定部121は、照射部23が使用状態でなく、かつ通信部26との通信が確立されていない場合に、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態でないと判定する。また、第2判定部121は、照射部23が使用状態で、かつ通信部26との通信が確立されている場合に、移動式放射線撮影装置11が撮影準備状態であると判定する。
【0149】
[第6実施形態]
図43および
図44に示す第6実施形態では、筐体71を、収納部27に複数通りの向きで収納可能とする。
【0150】
上記第1実施形態では、
図7で示したように、筐体71の収納部27への収納向きは1通りであったが、本実施形態では、
図43に示すように、筐体71は、収納部27に複数通りの向きで収納される。具体的には、筐体71は、
図43Aに示すパターン1、
図43Bに示すパターン2、
図43Cに示すパターン3、
図43Dに示すパターン4、
図43Eに示すパターン5、
図43Fに示すパターン6、
図43Gに示すパターン7、および
図43Hに示すパターン8の計8通りの向きで収納部27に収納される。
【0151】
図43Aのパターン1は、
図7で示した場合と同じく、前面76をハンドル28側に向けて、下側面79側から筐体71を収納部27に収納するパターンである。
図43Bのパターン2は、パターン1の場合の上下を反転させたパターン、
図43Cのパターン3は、パターン1の場合の表裏を反転させたパターンである。
図43Dのパターン4は、パターン1の場合の上下を反転させ、かつ表裏を反転させたパターンである。
【0152】
図43Eのパターン5は、パターン1の場合から筐体71を90°時計回りに回転させたパターンである。
図43Fのパターン6は、パターン1の場合から筐体71を90°反時計回りに回転させたパターン、
図43Gのパターン7は、パターン1の場合の表裏を反転させ、かつパターン1から筐体71を90°反時計回りに回転させたパターンである。
図43Hのパターン8は、パターン1の場合の表裏を反転させ、かつパターン1から筐体71を90°時計回りに回転させたパターンである。この場合、基準姿勢SPは、
図43Aの基準姿勢SP_1、
図43Bの基準姿勢SP_2、・・・、
図43Gの基準姿勢SP_7、
図43Hの基準姿勢SP_8というように、8通りの向きに対応して8通りある。
【0153】
図44に示すように、ROM92には、例えば
図43Aのパターン1の基準姿勢SP_1だけが記憶されている。RW制御部107は、基準姿勢SP_1をROM92から読み出して、第1判定部108および換算部130に出力する。換算部130は、基準姿勢SP_1から、残りのパターン2~8の基準姿勢SP_2~SP_8を換算する。換算部130は、換算した基準姿勢SP_2~SP_8を第1判定部108に出力する。第1判定部108は、これら8通りの基準姿勢SP_1~SP_8と、姿勢検知センサ87からの現在姿勢CPとに基づいて判定を行う。なお、パターン2~8は、前述のように、パターン1とは上下反転、表裏反転、90°回転といった幾何学的関係を有するので、換算部130による換算は、単純な幾何学的計算で済む。
【0154】
このように、第6実施形態では、筐体71は、
図43で示したように、収納部27に複数通りの向きで収納され、基準姿勢SPは、複数通りの向きに対応して複数通り(基準姿勢SP_1~SP_8)ある。そして、第1判定部108は、
図44で示したように、複数通りの基準姿勢SP_1~SP_8と、現在姿勢CPとに基づいて判定を行う。したがって、筐体71の収納部27への収納向きが複数通りあった場合においても対応することができる。
【0155】
図43では、考え得る最大の8通りの収納向きを示したが、これに限らない。例えば、
図43A~
図43Dで示したパターン1~パターン4の4通りでもよいし、
図43Gと
図43Hで示したパターン7、8の2通りでもよい。また、ROM92に記憶する基準姿勢SPは、複数通りの向きに対応する複数通りの基準姿勢SPのうちの少なくとも1つであればよい。複数通りの向きに対応する複数通りの基準姿勢SPを全てROM92に記憶させてもよい。この場合、換算部130は不要である。
【0156】
[第7実施形態]
図45に示す第7実施形態では、上記各実施形態の電子カセッテ10の機能を、カセッテ制御装置140に担わせる。
【0157】
図45に示すように、カセッテ制御装置140は、CPU141とストレージデバイス142とを備えている。ストレージデバイス142は、例えばハードディスクドライブである。ストレージデバイス142には、作動プログラム145が記憶されている。作動プログラム145は、画像出力制御部105および通信制御部106の機能が実現されない他は、
図9で示した作動プログラム100と実質的には同じプログラムである。
【0158】
ストレージデバイス142には、上記第1実施形態のROM92と同じく、基準姿勢SPおよび第1判定条件JC1が記憶されている。すなわち、ストレージデバイス142は、本開示の技術に係る「記憶部」の一例である。
【0159】
CPU141は、作動プログラム145を実行することで、図示しないRAM等と協働して、RW制御部150、第1判定部151、およびモード制御部152として機能する。RW制御部150はRW制御部107と同じ機能であり、本開示の技術に係る「第1取得部」の一例である。また、第1判定部151は第1判定部108、モード制御部152はモード制御部109とそれぞれ同じ機能である。ただし、第1判定部151には、電子カセッテ10の姿勢検知センサ87からの現在姿勢CPが入力される。また、モード制御部152は、電子カセッテ10の給電部90に向けてモード制御信号MSを送信する。
【0160】
このように、第7実施形態では、カセッテ制御装置140が、RW制御部150、第1判定部151、およびモード制御部152の機能を担う。したがって、電子カセッテ10の処理負荷を軽減することができる。
【0161】
カセッテ制御装置140を構成するコンピュータのハードウェア構成は種々の変形が可能である。例えば、カセッテ制御装置140を、処理能力や信頼性の向上を目的として、ハードウェアとして分離された複数台のコンピュータで構成することも可能である。具体的には、RW制御部150の機能と、第1判定部151およびモード制御部152の機能とを、2台のコンピュータに分散して担わせる。この場合は2台のコンピュータでカセッテ制御装置140を構成する。
【0162】
このように、コンピュータのハードウェア構成は、処理能力、安全性、信頼性等の要求される性能に応じて適宜変更することができる。さらに、ハードウェアに限らず、作動プログラム100、145等のアプリケーションプログラムについても、安全性や信頼性の確保を目的として、二重化したり、あるいは、複数のストレージデバイスに分散して格納することももちろん可能である。
【0163】
上記各実施形態において、例えば、画像出力制御部105、通信制御部106、RW制御部107、150、第1判定部108、151、モード制御部109、152、取得部120、第2判定部121、および換算部130といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0164】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0165】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0166】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0167】
以上の記載から、以下の付記項1、2に記載の発明を把握することができる。
【0168】
[付記項1]
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテであって、
移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得プロセッサと、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定プロセッサと、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御プロセッサであり、前記第1判定プロセッサにおいて前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御プロセッサと、
を備える電子カセッテ。
【0169】
[付記項2]
被写体を透過した放射線を検出して、電気信号で表される放射線画像を出力する画像出力部と、前記画像出力部が内蔵された可搬型の筐体とを備える電子カセッテを制御するカセッテ制御装置であって、
移動式放射線撮影装置の収納部に収納された収納状態における前記筐体の姿勢である基準姿勢を記憶部から取得する第1取得プロセッサと、
前記基準姿勢と、姿勢検知センサが検知した前記筐体の現在の姿勢である現在姿勢とに基づいて、前記筐体が、前記収納状態と、前記収納部から取り出された取り出し状態とのいずれであるかを判定する第1判定プロセッサと、
前記画像出力部による前記放射線画像の出力が可能な撮影可能モード、および前記撮影可能モードよりも電力消費が少ないスリープモードを含む駆動モードを制御するモード制御プロセッサであり、前記第1判定プロセッサにおいて前記収納状態から前記取り出し状態になったと判定した場合に、前記駆動モードを前記スリープモードから前記撮影可能モードに切り替えるモード制御プロセッサと、
を備えるカセッテ制御装置。
【0170】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態と種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0171】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0172】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0173】
2 放射線撮影システム
10 電子カセッテ
11 移動式放射線撮影装置
15 台車部
16 前輪
17 後輪
18 本体部
20 中央部
21 支柱部(可動部)
22 アーム部(可動部)
23 照射部
25 コンソール
26 通信部
27 収納部
28 ハンドル
30 操作卓
31 ディスプレイ
32 照射スイッチ
33、42 ロックおよびロック解除スイッチ
34 電圧発生器
40 放射線管
41 照射野限定器
43 照射野ランプ
50 第1支柱
51 第2支柱
54 固定アーム
55 第1アーム
56 第2アーム
57 首振り部(可動部)
60 ロック解除スイッチ
70 画像出力部
71 筐体
72 放射線検出部
73 回路部
74 シンチレータ
75 光検出基板
76 前面
77 背面
78 上側面
79 下側面
80 左側面
81 右側面
82 バッテリー
83 アンテナ
84 コネクタ
85 蓋
86 基準姿勢記録ボタン
87 姿勢検知センサ
90 給電部
91 通信部
92 ROM(記憶部)
93 RAM
94、141 CPU
95 バスライン
100 作動プログラム(電子カセッテの作動プログラム)
105 画像出力制御部
106 通信制御部
107、150 リードライト制御部(RW制御部、第1取得部)
108、151 第1判定部
109、152 モード制御部
120 取得部(第2取得部)
121 第2判定部
130 換算部
140 カセッテ制御装置
142 ストレージデバイス(記憶部)
145 作動プログラム
δTHH 第1閾値
δTHL 第2閾値
CP 現在姿勢
DM 駆動モード
JC1 第1判定条件
JC2 第2判定条件
JR1 第1判定結果
JR2 第2判定結果
MS モード制御信号
OP オペレータ
P 患者(被写体)
P1~P4 期間
PTH 設定期間
RM 撮影可能モード
SI 稼働状態情報
SM スリープモード
SP、SP_1~SP_8 基準姿勢
ST100、ST110、ST120、ST130、ST140、ST150、ST160、ST170、ST180、ST190、ST500、ST510、ST600、ST610、ST620、ST630、ST640、ST650、ST660、ST670、ST680、ST690 ステップ