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特許7109437難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性樹脂組成物
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  • 特許-難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性樹脂組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/12 20060101AFI20220722BHJP
   C09K 21/04 20060101ALI20220722BHJP
   C09K 21/10 20060101ALI20220722BHJP
   C09K 21/14 20060101ALI20220722BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20220722BHJP
   C08K 5/3462 20060101ALI20220722BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20220722BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20220722BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
C09K21/12
C09K21/04
C09K21/10
C09K21/14
C08K3/32
C08K5/3462
C08K5/3492
C08L83/04
C08L83/05
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019527752
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2018025407
(87)【国際公開番号】W WO2019009340
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017134172
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 陽平
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佳
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弦太
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/080494(WO,A1)
【文献】特開2017-031351(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125612(WO,A1)
【文献】特開2016-003248(JP,A)
【文献】特開2010-209239(JP,A)
【文献】国際公開第2009/063732(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K21/00-21/14
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)リン酸ピペラジン塩と、(B)リン酸メラミン塩と、(C)25℃での比重が0.930以上0.970未満であり且つシロキサン結合を有するオイルと、(D)25℃での比重が0.970以上1.01未満であり且つポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイルと、(E)ハイドロタルサイトとを含有し、
(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、(C)成分を0.01~5質量部含有し、
(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、(D)成分を0.01~5質量部含有し、
(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、(E)成分を0.01~5質量部含有する難燃剤組成物。
【請求項2】
(A)成分がピロリン酸ピペラジン塩を主成分として含有し、
(B)成分がピロリン酸メラミン塩を主成分として含有し、
(A)成分と(B)成分との質量比が、前者:後者で、90:10~50:50である請求項1記載の難燃剤組成物。
【請求項3】
樹脂100質量部に対して請求項1又は2に記載の難燃剤組成物を10~400質量部含有する難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃剤組成物及び該組成物を含有する難燃性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂は成形加工性、耐熱性及び力学的特性等に優れている上、低比重、軽重量であるという利点があるため、従来より、建材、自動車部品、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材、玩具等に広く用いられてきた。しかし、多くの合成樹脂は可燃性物質であり、用途によっては難燃化が不可欠であった。特にポリオレフィン系樹脂をはじめとした高い可燃性を持つ合成樹脂が幅広い分野で多く使用されているため、難燃性を付与するため、それらの樹脂に難燃剤を配合することが必要不可欠となっている。
【0003】
合成樹脂の難燃化方法として、ハロゲン系難燃剤、赤燐やポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸系難燃剤に代表される無機リン系難燃剤、トリアリールリン酸エステル化合物に代表される有機リン系難燃剤、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物や難燃助剤である酸化アンチモン、メラミン化合物を単独で又は組み合わせて用いることが広く知られている。しかし、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時に有害なガスを発生するという問題がある。金属水酸化物は、多量に配合しないと難燃性が得られないため、樹脂の加工性や成形品の物性を低下させるという問題がある。そこで、このような問題を生じない難燃剤としてリン系難燃剤を用いる試みがなされている。例えば、特許文献1には、リン酸塩と粘度が5000mm/s以下のシリコーンオイルとを含有する難燃剤組成物が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の難燃剤組成物は難燃性合成樹脂組成物に優れた難燃性を付与できるものの、該難燃剤組成物を含有する難燃性合成樹脂組成物が燃焼した際に煙の発生を抑制するという点に関して改良の余地があった。特許文献1では、燃焼時の煙の発生量を抑制することについては何ら検討されておらず、また、一般的に低粘度のオイルは揮散性が高いため煙の発生を増加させると考えられていることから、同文献には特定のリン酸塩と特定のオイルとを組み合わせることで、燃焼時に煙の発生が減少させることができることについては記載も示唆されていない。さらに、特許文献1には、特定のリン酸塩と特定のオイルとの組み合わせることで粉塵の発生を抑制することができることは記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US2007176154(A1)
【発明の概要】
【0006】
したがって本発明の課題は、難燃性が良好でありながら、粉塵の発生及び燃焼時の煙の発生が抑制された樹脂組成物を提供することができる難燃剤組成物、及び、難燃性に優れ、且つ、粉塵の発生及び燃焼時の煙の発生が抑制された難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定のリン酸塩と特定のオイルとを特定の配合で組み合わせた難燃剤組成物を樹脂に配合した場合に、優れた難燃性等を有し、且つ、粉塵の発生及び燃焼時の煙の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができることを見出した。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。具体的には、本発明は以下の通りである。
【0008】
〔発明1〕
(A)リン酸ピペラジン塩と、(B)リン酸メラミン塩と、(C)25℃での比重が0.930以上0.970未満であり且つシロキサン結合を有するオイルとを含有し、
(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、(C)成分を0.01~5質量部含有する難燃剤組成物。
【0009】
〔発明2〕
(A)成分がピロリン酸ピペラジン塩を主成分として含有し、
(B)成分がピロリン酸メラミン塩を主成分として含有し、
(A)成分と(B)成分との質量比が、前者:後者で、90:10~50:50である発明1の難燃剤組成物。
【0010】
〔発明3〕
さらに、(D)25℃での比重が0.970以上1.01未満であり且つポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して0.01~5質量部含有する発明1又は2の難燃剤組成物。
【0011】
〔発明4〕
さらに、(E)ハイドロタルサイトを上記(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して0.01~5質量部含有する発明1~3のいずれかの難燃剤組成物。
【0012】
〔発明5〕
樹脂100質量部に対して発明1~4のいずれかの難燃剤組成物を10~400質量部含有する難燃性樹脂組成物。
【0013】
〔発明6〕
発明5の難燃性樹脂組成物を成形してなる成形品。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施例及び比較例で製造した難燃性樹脂組成物の粉塵性の評価試験で用いた測定装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、難燃剤組成物及び難燃性樹脂組成物に係るものである。以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
【0016】
<難燃剤組成物>
本発明の難燃剤組成物は、(A)リン酸ピペラジン塩と、(B)リン酸メラミン塩と、(C)25℃での比重が0.930以上0.970未満のシロキサン結合を有するオイルを必須成分とする。
【0017】
(A)成分
本発明において難燃剤組成物は、少なくとも1種以上のリン酸ピペラジン塩を含有する。リン酸ピペラジン塩は、リン酸とピペラジンとの塩である。
リン酸ピペラジン塩における「リン酸」は、モノリン酸及びポリリン酸の総称である。モノリン酸としては、例えば、オルソリン酸(HPO)が挙げられる。ポリリン酸としては、二リン酸であるピロリン酸(H)、三リン酸であるトリリン酸(H10)や縮合リン酸であるメタリン酸(HPO(kは4~20の正の整数を表す。)等が挙げられる。
本発明の難燃剤組成物においては、リン酸ピペラジン塩がピロリン酸ピペラジンを主成分とすることが好ましい。本発明において「ピロリン酸ピペラジンを主成分とする」とは、リン酸ピペラジンとして、オルソリン酸ピペラジン等のピロリン酸ピペラジン以外のリン酸ピペラジンを意図的に用いることを除外することを意図するものである。具体的には、本発明において(A)成分としてピロリン酸ピペラジンのみを用いた場合にも、ピロリン酸ピペラジン中にオルソリン酸ピペラジン等が副生成物として生じる場合があるところ、ピロリン酸ピペラジン中のピロリン酸ピペラジン以外のリン酸ピペラジンの含有量が10質量%以下、好ましくは7質量%以下であることを意味する。
【0018】
リン酸ピペラジン塩におけるリン酸とピペラジンとのモル比は特に制限されないが、リン酸:ピペラジンが1:1であることが好ましい。
本発明の難燃剤組成物におけるリン酸ピペラジン塩の含有量は、イオンクロマトグラフィー等により測定することができる。
【0019】
(B)成分
本発明の難燃剤組成物は、少なくとも1種以上のリン酸メラミン塩を含有する。リン酸メラミン塩は、リン酸とメラミンとの塩である。
リン酸メラミン塩における「リン酸」とは、モノリン酸及びポリリン酸の総称である。モノリン酸としては、例えば、オルソリン酸(HPO)が挙げられる。ポリリン酸としては、二リン酸であるピロリン酸(H)、三リン酸であるトリリン酸(H10)や縮合リン酸であるメタリン酸(HPO(kは4~20の正の整数を表す。)等が挙げられる。
本発明の難燃剤組成物においては、リン酸メラミン塩がピロリン酸メラミンを主成分とすることが好ましい。本発明において「ピロリン酸メラミンを主成分とする」とは、リン酸メラミンとして、オルソリン酸メラミン等のピロリン酸メラミン以外のリン酸メラミンを意図的に用いることを除外することを意図するものである。具体的には、本発明において(A)成分としてピロリン酸メラミンのみを用いた場合にも、ピロリン酸メラミン中にオルソリン酸メラミン等が副生成物として生じる場合があるところ、ピロリン酸メラミン中のピロリン酸メラミン以外のリン酸メラミンの含有量が10質量%以下、好ましくは7質量%以下であることを意味する。
【0020】
リン酸メラミン塩におけるリン酸とメラミンとのモル比は、特に制限されないが、リン酸:メラミンが1:2が好ましい。
本発明の難燃剤組成物におけるリン酸メラミン塩の含有量は、イオンクロマトグラフィー等により測定することができる。
【0021】
本発明の難燃剤組成物は、(A)成分と(B)成分との質量比は、難燃性、燃焼時の煙抑制、及び粉塵抑制の点から、前者:後者で、90:10~50:50が好ましく、85:15~55:45がより好ましく、80:20~60:40がさらに好ましい。
【0022】
(C)成分
本発明の難燃剤組成物は、25℃での比重が0.930以上0.970未満であり且つシロキサン結合を有するオイルを少なくとも1種以上含有する。(C)成分と(A)成分及び(B)成分とを後述する割合で組み合わせた本発明の難燃剤組成物を樹脂に配合することによって、難燃性が良好であり、粉塵の発生が抑制され、且つ、燃焼時の煙の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができる。
(C)成分のオイルの比重は、難燃性、燃焼時の煙抑制、及び粉塵抑制の観点から、0.940以上0.969未満が好ましく、0.95以上0.965未満がより好ましい。(C)成分のオイルの比重は、例えば、JIS Z8804に準拠した方法により測定することができる。
【0023】
シロキサン結合を有するオイルとしては、メチルポリシロキサン構造を有するオイルが好ましく、ジメチルポリシロキサン構造を有するオイルがより好ましい。また、シロキサン結合を有するオイルとしては、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性及びアミノ変性から選択された1種以上の変性がされたものを使用することができる。
【0024】
本発明の難燃剤組成物に用いられる(C)成分のオイルとしては市販品を用いることができる。(C)成分のオイルの市販品としては、例えば、KF-96-20cs、KF-96-50cs、KF-96-100cs、(信越シリコーン社製)が挙げられる。
【0025】
本発明の難燃剤組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01~5質量部である。(C)成分の含有量を上述の範囲とすることで、難燃性が良好であり、粉塵の発生が抑制され、且つ、燃焼時の煙の発生が抑制された樹脂組成物を得ることができる。本発明の効果を一層顕著とする観点から、(C)成分の含有量は(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.05~3質量部がより好ましく、0.1~1質量部がさらに好ましい。(C)成分の含有量が0.01質量部未満では難燃性能を発現しない場合があり、5質量部を超えると製造上、加工機汚染を生じる場合がある。本発明の難燃剤組成物における(C)成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィーや核磁気共鳴装置により測定することができる。
【0026】
(D)成分
さらに、本発明の難燃剤組成物は、難燃性、煙抑制効果、及び粉塵抑制効果の観点から、25℃の比重が0.970以上1.01未満であり且つポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイルを含有することが好ましい。(D)成分のメチルハイドロジェンシリコーンオイルの比重は、例えば、JISZ8804に準拠した方法により測定することができる。
【0027】
本発明の難燃剤組成物における上記メチルハイドロジェンシリコーンオイルの含有量は、上記(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、0.01~5質量部が難燃性、煙抑制効果、及び粉塵抑制効果の観点から好ましく、0.05~3質量部がより好ましく、0.1~1質量部がさらに好ましい。上記メチルハイドロジェンシリコーンオイルの含有量が上述の範囲であると、難燃性能、煙抑制効果、及び粉塵抑制効果が効果的に発現され、かつ、製造時に加工機汚染が抑制される。本発明の難燃剤組成物における(D)成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィーや核磁気共鳴装置により測定することができる。
【0028】
本発明の難燃剤組成物に用いられる(D)メチルハイドロジェンシリコーンオイルとしては市販品を用いることができる。メチルハイドロジェンシリコーンオイルの市販品としては、例えば、KF-99、KF9901(信越シリコーン社製)が挙げられる。
【0029】
(E)成分
さらに、本発明の難燃剤組成物は、難燃性、煙抑制効果、及び粉塵抑制効果の観点から、ハイドロタルサイトを含有することが好ましい。
ハイドロタルサイトの含有量は上記(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、0.01~5質量が難燃性の観点から好ましく、0.05~3質量部がより好ましく、0.1~1質量部がさらに好ましい。(E)成分の含有量が上述の範囲であると難燃性能、煙抑制効果、及び粉塵抑制効果が効果的に発現され、かつ、本発明の難燃剤組成物を含む難燃性樹脂組成物の成形品の美観が良好となる。
【0030】
ハイドロタルサイトは、例えば、天然物や合成物として知られる、マグネシウム、アルミニウム、水酸基、炭酸基及び任意の結晶水からなる複合塩化合物である。本発明の難燃剤組成物においては、マグネシウム又はアルミニウムの一部をアルカリ金属や亜鉛等他の金属で置換したものや、水酸基、炭酸基を他のアニオン基で置換したもの用いることができる。また、ハイドロタルサイトは、結晶水を脱水したものである場合があり、ステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル又はワックス等で被覆されたものである場合がある。ハイドロタルサイトは、さらに結晶構造、結晶粒子等に制限されることなく使用することができる。本発明の難燃剤組成物においては、公知のハイドロタルサイトを特に制限なく使用することができる。また、本発明の難燃剤組成物においては、市販されているハイドロタルサイトを使用することができる。ハイドロタルサイトの市販品としては協和化学工業株式会社製;DHT-4A、アルカマイザー1、アルカマイザー2、アルカマイザー4、アルカマイザー7、HT-1、HT-7、HT-P、戸田工業株式会社製;NAOX-19、NAOX-19T、NAOX-33、NAOX-54、NAOX-55、NAOX-56、NAOX-57、NAOX-71、NAOX-72、NAOX-81、NAOX-91、OPTIMA-LSA、OPTIMA-XT、MAGGOLD等が挙げられ、これらの中でも協和化学工業製DHT-4Aが好適に使用できる。
これらハイドロタルサイトは1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。本発明の難燃剤組成物におけるハイドロタルサイトの含有量は、ICP発光分析、赤外分光法(IR)等により測定することができる。
【0031】
本発明の難燃剤組成物としては、例えば、以下のNo.1~No.20で表される組成物(単位は全て質量部)が挙げられるが、これらに特に限定されず、(A)リン酸ピペラジン塩と、(B)リン酸メラミン塩と、(C)25℃で比重が0.930以上0.970未満のシロキサン結合を有するオイルを上述の割合で含有する限り本発明の難燃剤組成物として使用することができる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
本発明の難燃剤組成物は、(A)リン酸ピペラジン塩と(B)リン酸メラミン塩と、(C)25℃で比重が0.930以上0.970未満のシロキサン結合を有するオイルを上述の割合で含有することを条件に、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、その他の酸化防止剤、核剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、その他の難燃剤、可塑剤、充填剤、脂肪酸金属塩、帯電防止剤、顔料、染料等を配合することができる。これらの成分は本発明の難燃剤組成物にあらかじめ配合することができ、後述する難燃性樹脂組成物の調製の際に配合することができる。
【0035】
上記フェノール系酸化防止剤は、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-メチル-4,6-ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、イソオクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、2,2’-オキサミド-ビス[エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2-エチルヘキシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸及びC13-15アルキルのエステル、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロール社製商品名AO.OH.98)、2,2’-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンズ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート]カルシウム塩、5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2(3H)-ベンゾフラノンとo-キシレンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、DL-a-トコフェノール(ビタミンE)、2,6-ビス(α-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、ビス[3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル-3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス[3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’―ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス[2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノイルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[3-tert-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3-(3,5-ジアルキル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。これらフェノール系酸化防止剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これらフェノール系酸化防止剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0036】
上記ホスファイト系酸化防止剤は、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチル-5-メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2-tert-ブチル-4-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル〕ホスファイト、トリ(デシル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニル-テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-n-ブチリデンビス(2―tert-ブチル-5-メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10-ジハイドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、(1-メチル-1―プロペニル-3-イリデン)トリス(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-オクタデシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキス-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9-ビス(4-ノニルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、4,4’-イソプロピリデンジフェノールC12-15アルコールホスファイト、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)-3,9-ビス-ジホスファ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、ジフェニル(イソデシル)ホスファイト、ビフェニルジフェニルホスファイト等が挙げられる。これらホスファイト系酸化防止剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これらホスファイト系酸化防止剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0037】
上記チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、3,3’-チオジプロピオン酸、アルキル(C12-14)チオプロピオン酸、ジ(ラウリル)-3,3’-チオジプロピオネート、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、ジ(ミリスチル)-3,3’-チオジプロピオネート、ジ(ステアリル)-3,3’-チオジプロピオネート、ジ(オクタデシル)-3,3’-チオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン、チオビス(2-tert-ブチル-5-メチル-4,1-フェニレン)ビス(3-(ドデシルチオ)プロピオナート)、2,2’-チオジエチレンビス(3-アミノブテノエート)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2,2’-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、2-エチルヘキシル-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)チオアセテート、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-[チオビス(メチレン)]ビス(2-tert-ブチル-6-メチル-1-ヒドロキシベンジル)、ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール-2-イル)スルファイド、トリデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオアセテート、1,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール、2,4-ビス(ドデシルチオメチル)-6-メチルフェノール、ジステアリル-ジサルファイド、ビス(メチル-4-[3-n-アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5-tert-ブチルフェニル)スルファイド等が挙げられる。
これらチオエーテル系酸化防止剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これらチオエーテル系酸化防止剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0038】
上記その他の酸化防止剤は、例えば、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-エチル-α-メチルニトロン、N-オクチル-α-ヘプチルニトロン、N-ラウリル-α-ウンデシルニトロン、N-テトラデシル-α-トリデシルニトロン、N-ヘキサデシル-α-ペンタデシルニトロン、N-オクチル-α-ヘプタデシルニトロン、N-ヘキサデシル-α-ヘプタデシルニトロン、N-オクタデシル-α-ペンタデシルニトロン、N-ヘプタデシル-α-ヘプタデシルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘプタデシルニトロン等のニトロン化合物、3-アリールベンゾフラン-2(3H)-オン、3-(アルコキシフェニル)ベンゾフラン-2-オン、3-(アシルオキシフェニル)ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)-ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゾフラン-2(3H)-オン、5,7-ジ-tert-ブチル-3-{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}-ベンゾフラン-2(3H)-オン、6-(2-(4-(5,7-ジ-tert-2-オキソ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-3-イル)フェノキシ)エトキシ)-6-オキソヘキシル-6-((6-ヒドロキシヘキサノイル)オキシ)ヘキサノエート、5-ジ-tert-ブチル-3-(4-((15-ヒドロキシ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデシル)オキシ)フェニル)ベンゾフラン-2(3H)オン等のベンゾフラン化合物等が挙げられる。これらその他の酸化防止剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これらその他の酸化防止剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
上記核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4-第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4-第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-((4-プロピルフェニル)メチレン)-ノニトール、1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトール(ジベンジリデンソルビトール)等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”-トリス[2-メチルシクロヘキシル]―1,2,3-プロパントリカルボキサミド、N,N’,N”-トリシクロヘキシルー1,3,5-ベンゼントリカルボキサミド、N,N’-ジシクロヘキシル-ナフタレンジカルボキサミド、1,3,5-トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等を挙げることができる。これら核剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら核剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.01~1.0質量部がより好ましい。
【0039】
上記滑剤としては、例えば、低分子ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボンなどの炭化水素系滑剤や、カルナバワックス、キャンデリワックスなどの天然ワックス系滑剤や、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、又はヒドロキシステアリン酸のようなオキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤や、ステアリルアミド、ラウリルアミド、オレイルアミドなどの脂肪族アミド化合物又はメチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミドのようなアルキレンビス脂肪族アミド化合物等の脂肪族アミド系滑剤や、ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ジステアリルフタレートなどの脂肪酸と1価アルコールとのエステル化合物や、グリセリントリステアレート、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ポリグリセリンポリリシノレート、硬化ヒマシ油などの脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物や、ジペンタエリスリトールのアジピン酸・ステアリン酸エステルなどの1価脂肪酸及び多塩基性有機酸と多価アルコールの複合エステル化合物等の脂肪酸アルコールエステル系滑剤や、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール等の脂肪族アルコール系滑剤や、脂肪族アルコールとアルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属との金属石鹸や、部分ケン化モンタン酸エステルなどのモンタン酸系滑剤や、アクリル系滑剤やシランカップリング剤等が挙げられる。
【0040】
シランカップリング剤としては、例えば、アルケニル基を有するシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-1003、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-171、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6300、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL XL10、日美商事株式会社製;サイラエースS210等が挙げられる)、ビニルトリエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-1003、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-151、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6519、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF56、日美商事株式会社製;サイラエースS220等が挙げられる)、ビニルトリアセトキシシラン(市販品としては旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF62が挙げられる)、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン(市販品としてはモンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-172が挙げられる)、ビニルメチルジメトキシシラン(市販品としてはモンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-2171、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL XL12等が挙げられる)、オクテニルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-1083が挙げられる)、アリルトリメトキシシラン(市販品として東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6825が挙げられる)、p-スチリルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-1403等が挙げられる)。例えば、アクリル基を有するシランカップリング剤として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-5103等が挙げられる)等が挙げられ、メタクリル基を有するシランカップリング剤として、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-502、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6033等が挙げられる)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-503、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-174、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6030、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF31、日美商事株式会社製;サイラエースS710等が挙げられる)、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-502が挙げられる)、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製;KBE-503、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;Y-9936が挙げられる)、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製;KBM-5803が挙げられる)等が挙げられ、エポキシ基を有するシランカップリング剤として、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-303、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-186、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6043、日美商事株式会社製;サイラエースS530等が挙げられる)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-402、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6044、日美商事株式会社製;サイラエースS520等が挙げられる)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-403、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-187、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6040、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF80、日美商事株式会社製サイラエースS510等が挙げられる)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-402が挙げられる)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-403、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1871、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF82等が挙げられる)、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-4803が挙げられる)等が挙げられ、アミノ基を有するシランカップリング剤として、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製;KBM-602、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-2120、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF-95、日美商事株式会社製;サイラエースS310等が挙げられる)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-603、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1120、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1122、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6020、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6094、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF-91、日美商事株式会社製;サイラエースS320等が挙げられる)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-903、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1110、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6610、日美商事株式会社製;サイラエースS360等が挙げられる)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-903、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1100、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6011、日美商事株式会社製;サイラエースS330等が挙げられる)、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-9103、日美商事株式会社製のサイラエースS340等が挙げられる)、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-573、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;Y-9669、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6883等が挙げられる)、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(市販品としては日美商事株式会社製;サイラエースXS1003が挙げられる)、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-575、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6032、日美商事株式会社製;サイラエースS350等が挙げられる)等が挙げられ、イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤として、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(市販品としては信越化学工業株式会社製のKBM-9659が挙げられる)が挙げられ、メルカプト基を有するシランカップリング剤として、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-802、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6852等が挙げられる)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBM-803、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-189、東レ・ダウコーニング会社製;Z-6062、日美商事株式会社製;サイラエースS810等が挙げられる)、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(市販品としてはモンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1891、東レ・ダウコーニング株式会社製;Z-6911が挙げられる)等が挙げられ、ウレイド基を有するシランカップリング剤として、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン(市販品として信越化学工業株式会社製;KBE-585が挙げられ)、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン(市販品としてはモンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1160が挙げられる)等が挙げられ、スルフィド基を有するシランカップリング剤として、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられ、チオエステル基を有するシランカップリング剤として、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン(市販品としてはモンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-LINK599が挙げられる)が挙げられ、イソシアネート基を有するシランカップリング剤として、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(市販品としては信越化学工業株式会社製;KBE-9007、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;A-1310等が挙げられる)、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(市販品としてはモンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製;Y-5187、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製;GENIOSIL GF40等が挙げられる)等が挙げられる。これら滑剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら滑剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.03~3質量部がより好ましい。
【0041】
上記紫外線吸収剤は、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、2-ヒドロキシ-4-ノルマルオクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ―4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系や、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾトリアゾリルフェノール)、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕-5-クロロベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系や、フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート系や、2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド、2-エチル-2’-エトキシ-5’-tert-ブチル-オキザニリド等の置換オキザニリド系や、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート、テトラキス(α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリルロイルオキシメチル)メタン等のシアノアクリレート系や、2-(2-ヒドロキシ-4-(2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エチルオキシ)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルフオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(4,6-ジ(1,1´-ビフェニル)4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(2-エチルヘキシルオキシ)フェノール等のトリアジン系が挙げられる。これら紫外線吸収剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら紫外線吸収剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.005~0.5質量部がより好ましい。
【0042】
上記光安定剤は、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルステアレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)・ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-ジ(トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-ブチル-2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノ-ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-モルホリノ-s-トリアジン重縮合物、1,6-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジン重縮合物、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8,12-テトラアザドデカン、1,5,8,12-テトラキス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕-1,5,8-12-テトラアザドデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、1,6,11-トリス〔2,4-ビス(N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ)-s-トリアジン-6-イル〕アミノウンデカン、ビス{4-(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4-(2,2,6,6-テトラメチル-1-ウンデシルオキシ)ピペリジル}カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製TINUVINNOR 371、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボンサン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)―1,3-プロパンジオール及び3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパナールトノポリマー、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステル、1,3‐ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジンー4-イル)2,4-ジトリデシルベンゼン-1,2,3,4,テトラカルボキシレート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]]等が挙げられる。これら光安定剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら光安定剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.005~0.5質量部がより好ましい。
上記その他の難燃剤は、例えば、ハロゲン系難燃剤として、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等の塩素系難燃剤や、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2-ジブロモ-4-(1,2-ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化(ポリ)スチレン、2,4,6-トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、市販品として大八化学工業株式会社製;CR-504L、CR-570、DAIGUARD-540等の臭素系難燃剤を挙げることができる。
【0043】
リン系難燃剤として、赤燐等の無機リン系難燃剤や、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステル系難燃剤や、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル-2,6-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、(1-メチルエチリデン)-4,1-フェニレンテトラフェニルジホスフェート、1,3-フェニレンテトラキス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、市販品として株式会社ADEKA製;アデカスタブFP-500、アデカスタブFP-600、アデカスタブFP-700、アデカスタブFP-800、アデカスタブPFRや大八化学工業株式会社製;DAIGUARD-1000、CR-733S、CR-741、PX-200、PX-202、DAIGUARD-580、DAIGUARD-880等の芳香族リン酸エステル系難燃剤を挙げることができる。
【0044】
窒素系難燃剤として、メラミンシアヌレート等を挙げることができる。
【0045】
金属水酸化物系として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。これらその他の難燃剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これらその他の難燃剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、1~400質量部が好ましく、3~200質量部がより好ましく、5~100質量部がさらに好ましい。
【0046】
上記難燃剤は、難燃助剤として、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、タルク、ゼオライト、モンモリロナイト、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの中でも、酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛は未処理でも表面処理されている場合がある。酸化亜鉛は市販品を使用することができ、例えば、三井金属鉱業株式会社製;酸化亜鉛1種、三井金属鉱業株式会社製;部分被膜型酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製;ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被覆した超微粒子酸化亜鉛)等が挙げられる。これら難燃助剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら難燃助剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.01~10質量部が好ましく、0.03~5質量部がより好ましく、0.05~3質量部がさらに好ましい。
【0047】
上記可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル等のエポキシ系や、メタクリレート系や、ジカルボン酸と多価アルコールとの重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物等のポリエステル系や、ジカルボン酸と多価アルコールとアルキレングリコールとの重縮合物、ジカルボン酸と多価アルコールとアリーレングリコールとの重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとアルキレングリコールとの重縮合物、多価カルボン酸と多価アルコールとアリーレングリコールとの重縮合物等のポリエーテルエステル系や、アジピン酸エステル、コハク酸エステル等の脂肪族エステル系や、フタル酸エステル、テレフタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、安息香酸エステル等の芳香族エステル系などが挙げられる。これら可塑剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら可塑剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.1~500質量部が好ましく、1~100質量部がより好ましく、3~80質量部がさらに好ましい。
【0048】
上記充填剤は、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、クレー、ドロマイト、マイカ、シリカ、アルミナ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラステナイト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、モンモリロナイト等を挙げることができ、粒子径(繊維状においては繊維径や繊維長及びアスペクト比)を適宜選択して用いることができる。また、必要に応じて表面処理したものを用いることができる。これら充填剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら充填剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.01~500質量部が好ましく、1~100質量部がより好ましく、3~80質量部がさらに好ましい。
【0049】
上記脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、2-エチルヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、4-デセン酸、4-ドデセン酸、パルミトレイン酸、α-リノレン酸、リノール酸、γ-リノレン酸、ステアリドン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和脂肪酸、トリメシン酸等の芳香族脂肪酸であるものが挙げられ、特に、ミリスチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の飽和脂肪酸が好ましい。
上記脂肪酸金属塩の金属としては、例えば、アルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、珪素、ジルコニウム、イットリウム、バリウム又はハフニウム等が挙げられるが、特に、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましい。これら脂肪酸金属塩は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら脂肪酸金属塩の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.001~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がより好ましい。
【0050】
上記帯電防止剤は、例えば、脂肪酸第四級アンモニウムイオン塩、ポリアミン四級塩等のカチオン系帯電防止剤や、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アニオン型のアルキルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物リン酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤や、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリコールリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル等のノニオン系帯電防止剤や、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性型アルキルベタイン、イミダゾリン型両性活性剤等の両性帯電防止剤が挙げられる。これら帯電防止剤は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。 これら帯電防止剤の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましい。
【0051】
上記顔料は、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71や、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185や、ピグメントグリーン7、10、36や、ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64や、ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。これら顔料は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。これら顔料の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.0001~10質量部が好ましい。
【0052】
上記染料は、市販の染料を用いることもでき、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられる。これら染料は1種を単独で用いることができ、2種以上を併用して用いることができる。
これら染料の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で配合することができるが、難燃剤組成物100質量部に対して、0.0001~10質量部が好ましい。
【0053】
<難燃性樹脂組成物>
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記難燃剤組成物を少なくとも1種以上と樹脂を少なくとも1種以上含有する。
【0054】
本発明の難燃性樹脂組成物は、上記難燃剤組成物を樹脂100質量部に対して、好ましくは10~400質量部、より好ましくは10~300質量部、さらに好ましくは10~100質量部、特に好ましくは20~80質量部含有する。本発明の難燃性樹脂組成物において、本発明の難燃剤組成物を10質量部以上に設定することにより、樹脂の難燃性を向上させる。また本発明の難燃剤組成物を400質量部以下に設定することにより、樹脂の加工性が損なわれない。
【0055】
上記樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、1種でも2種以上を使用することができる。また樹脂はアロイ化されている場合がある。
【0056】
上記樹脂は、加工性と難燃性の点から、JIS K7210に準拠して測定された、荷重2.16kg、温度230℃におけるメルトフローレート(MFR)が2.0~80g/10minであるものが好ましく、8.0~60g/10minのものがより好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、ハイインパクトコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ステレオブロックポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ポリ-3-メチル-1-ブテン、ポリ-3-メチル-1-ペンテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のα-オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0057】
上記ポリエステル系樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸等の2価の酸、又はエステル形成能を持つそれらの誘導体を用い、グリコール成分として炭素数2~10のグリコール、その他の2価のアルコール、又はエステル形成能を有するそれらの誘導体等を用いて得られる飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。これらの中でも、加工性、機械的特性、電気的性質、耐熱性等のバランスに優れるという点で、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好ましい。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。
【0058】
上記ビニル系樹脂としては、ビニル系単量体(例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル;塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル等);ビニルケトン類;ビニルエーテル類;N-ビニルカルバゾール等のビニルアミン類等)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体等が挙げられる。上記ビニル系樹脂の誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、エチレン-酢酸ビニル共重合体等)も使用できる。
【0059】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、1種以上のビスフェノール類とホスゲン又は炭酸ジエステルとを反応させたもの、あるいは1種以上のビスフェノール類とジフェニルカーボネート類とをエステル交換法によって反応させたもの等が挙げられる。上記ビスフェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、4,4-ジヒドロキシフェニル、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-アルカン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロアルカン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-スルフィド、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-エーテル、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-ケトン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-スルホン、ビスフェノールフルオレンあるいはこれらのアルキル置換体、アリール置換体、ハロゲン置換体等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0060】
上記ポリカーボネート系樹脂としては、ポリカーボネートと他の樹脂を混ぜ合わせた、いわゆるポリマーアロイも用いることができる。このようなポリマーアロイとしては、例えば、ポリカーボネート/ABS樹脂、ポリカーボネート/AS樹脂、ポリカーボネート/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ABS樹脂/ゴム系高分子化合物、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ASA樹脂、ポリカーボネート/AES樹脂等が挙げられる。これらのポリマーアロイに含有されるポリカーボネートの割合は、ポリマーアロイ中の50~98質量%であることが好ましい。
【0061】
上記アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステルを主体とする重合体が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体である場合があり、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体である場合がある。(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアルケニルシアン化合物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸;N-置換マレイミド等の単官能単量体や、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多塩基酸のポリアルケニルエステル;ジビニルベンゼン等の芳香族ポリアルケニル化合物等の多官能単量体等が挙げられる。
【0062】
上記スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(スチレン、ビニルトルエン等)の単独又は共重合体;スチレン系単量体とビニル系単量体[(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等)、無水マレイン酸等のα,β-モノオレフィン性不飽和カルボン酸又は酸無水物又はエステル等]との共重合体;スチレン系グラフト共重合体、スチレン系ブロック共重合体等が挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12等の脂肪族ポリアミド;ビス(アミノシクロヘキシル)C1-3アルカン類等の脂環族ジアミンとC8-14アルカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸とから得られる脂環族ポリアミド;芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等)とから得られるポリアミド;芳香族及び脂肪族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸とアジピン酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミド等が挙げられる。
【0063】
上記ポリフェニレンオキシド系樹脂としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)オキシド、ポリ(2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)オキシド、ポリ(2,5-ジエチル-1,4-フェニレン)オキシド等のポリ(モノ、ジ又はトリC1-6アルキル-フェニレン)オキシド、ポリ(モノ又はジC6-20アリール-フェニレン)オキシド、ポリ(モノC1-6アルキル-モノC6-20アリール-フェニレン)オキシド等の単独重合体や、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド単位と、2,3,6-トリメチル-1,4-フェニレンオキシド単位を有するランダム共重合体等)、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂等)やアルキルベンゼンホルムアルデヒド樹脂に、クレゾール等のアルキルフェノールを反応させて得られるアルキルフェノール変性ベンゼンホルムアルデヒド樹脂ブロックと、主体構造としてのポリフェニレンオキシドブロックとで構成された変性ポリフェニレンオキシド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共重合体にスチレン系重合体及び/又は不飽和カルボン酸又は無水物((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等)がグラフトしている変性グラフト共重合体等が挙げられる。
【0064】
上記ポリフェニレンスルフィド系樹脂としては、フェニレンスルフィド骨格-(Ar-S)-[式中、Arはフェニレン基を示す]を有する単独重合体及び共重合体が挙げられ、フェニレン基(-Ar-)としては、例えば、p-、m-又はo-フェニレン基のほか、置換フェニレン基(例えば、C1-6アルキル基等の置換基を有するアルキルフェニレン基や、フェニル基等の置換基を有するアリールフェニレン基)、-Ar-A-Ar-[式中、Arはフェニレン基、Aは直接結合、O、CO、又はSOを示す]等である場合がある。
【0065】
本発明の難燃剤組成物の樹脂への配合方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的な配合方法としては、通常のブレンダ―、ミキサー等で混合する方法、押出し機等で溶融混練する方法、溶媒と共に混合し溶液流延する方法等が挙げられる。
【0066】
本発明の成形品は本発明の難燃性樹脂組成物を成形してなる。樹脂組成物を成形する方法及び成形条件としては、特に制限はなく、公知の方法及び成形条件を採用することができる。具体的な成形方法としては、押出成形、射出成形、延伸フィルム成形、ブロー成形等が挙げられ、これらの成形方法を公知の成形条件で実施することができる。
【0067】
本発明の難燃性樹脂組成物を成形して得られる成形体の形状としては、特に限定されないが、例えば、シート状、フィルム状、特殊な形状のもの等が挙げられる。
得られた成形体の用途は特に限定されないが、例えば、食品容器、電子部品、自動車部品、医療材料、フィルム・シート材料、繊維素材、光学素材、塗料用樹脂、インク用樹脂、トナー用樹脂、接着剤用樹脂等が挙げられる。この中でも特に、電線等の電子部品や自動車内外装部材等の自動車部品に好適に用いられる。
【実施例
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明は以下の実施例より何ら制限されるものではない。
【0069】
<難燃性樹脂組成物の作製>
ポリプロピレン樹脂(JIS K7210に準拠して測定された、荷重2.16kg、230℃におけるメルトフローレート=8g/10min)100質量部に、ステアリン酸カルシウム(高級脂肪酸金属塩)0.1質量部、テトラキス[3-(3,5-ジ第三ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4-ジ-第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部、グリセリンモノステアレート(滑剤)0.4質量部を配合し、ヘンシェルミキサーにて予備混合して得られたポリプロピレン樹脂組成物に対して、表1及び2に記載の難燃剤組成物並びに表3に記載の比較難燃剤組成物をそれぞれポリプロピレン樹脂100質量部に対して35.4質量部添加し、実施例及び比較例の難燃性樹脂組成物とした。
【0070】
【表3】
【0071】
<ペレットの作製>
得られた難燃性樹脂組成物を二軸押出成形機(株式会社池貝製のPCM30)を用いて、シリンダー温度を200~250℃にして、スクリュー速度150rpmの条件で溶融混練した。ダイスから吐出されたストランドを冷却バスにより冷却し、ペレタイザーにて切断することにより、難燃性樹脂組成物のペレットを作製した。
【0072】
<試験片の作製>
得られた難燃性樹脂組成物のペレットを(日精樹脂工業株式会社製)の射出成形機NEX80を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で射出し、長さ100mm×100mm、厚さ3mmの試験片を得た。
【0073】
<煙濃度の評価>
得られた試験片をISO5660に準拠しコーンカロリーメーターを用い、ASTM E662に準拠し、試験片への熱流35kW/mにて最大煙濃度の評価を行った。評価結果を下記表4に記す。
【0074】
<粉塵性の評価>
図1に示すように、片側のみが開放端であるアクリル製の透明な筒10(外径:110mm、内径:98mm、長さ:500mm)を上部が開口部となるように立て、側面の三方向を黒色のアクリル板11で囲う。上記難燃剤組成物及び比較難燃剤組成物を10g秤量し、筒10の上端の開口部から自由落下させ、発生した粉塵の様子をビデオカメラで撮影した。撮影した動画より、粉体が底面に接触してから5秒後の状態を画像として取り出し、筒の下端から150mm付近の部分12の明るさを画像から抽出する。
【0075】
明るさの数値は、0(最小値)~255(最大値)の値をとり、数値が小さい方が粉塵が立ちにくいことを表す。評価結果を下記表4に記す。
因みに、明るさの数値が30以上になると粉塵により難燃剤組成物を加工機にフィードする際の加工環境に悪影響を及ぼすレベルである。
【0076】
【表4】
【0077】
<難燃性の評価>
下記の手順により、実施例及び比較例の難燃性樹脂組成物の難燃性を評価した。評価結果を表5に示す。
<試験片の作製>
得られた難燃性樹脂組成物のペレットを(日精樹脂工業社製;NEX-80)を用いてスクリュー設定温度210℃、金型温度40℃の条件で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの難燃性評価用試験片を得た。
【0078】
<難燃性評価>
得られた試験片をISO1210に準拠し20mm垂直燃焼試験(UL-94V)を行った。具体的には試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に
2回目の接炎を10秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL-94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV-0が最高のものであり、V-1、V-2となるにしたがって難燃性は低下する。
【0079】
【表5】
【0080】
実施例1~3と比較例1及び2とを比較すると、(C)成分として25℃での比重が0.930未満又は0.970以上のシロキサン結合を有するオイルを含有する難燃剤組成物を含有する樹脂組成物から製造された比較例1及び2は、難燃性は良好であるが、実施例1~3に比べて最大煙濃度及び粉塵性が高いことが明らかである。また、実施例3、実施例6及び実施例9と比較例3~5との比較から、(A)リン酸ピペラジン塩と、(B)リン酸メラミン塩と、(C)25℃での比重が0.930以上0.970未満のシロキサン結合を有するオイルとを必須成分として所定量含有した場合に、難燃性が良好であり、且つ、燃焼時の煙発生及び粉塵の発生が抑制された樹脂が得られるという本発明の効果があることは明らかであり、また、実施例3と、実施例6と、実施例9との比較から、(D)メチルハイドロジェンオイルと(E)ハイドロタルサイトとを併用することにより、粉塵抑制効果と最大煙濃度抑制効果が特に優れることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の難燃剤組成物によれば、難燃性が良好であり、且つ、煙の発生量と粉塵性が抑制された難燃性樹脂組成物を得ることができる。
図1