(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-21
(45)【発行日】2022-07-29
(54)【発明の名称】ガス放電光源におけるガス最適化
(51)【国際特許分類】
H01S 3/131 20060101AFI20220722BHJP
H01S 3/036 20060101ALI20220722BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20220722BHJP
【FI】
H01S3/131
H01S3/036
H01S3/00 G
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020203087
(22)【出願日】2020-12-08
(62)【分割の表示】P 2018539843の分割
【原出願日】2017-01-31
【審査請求日】2021-01-05
(32)【優先日】2016-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アガーウォル,タヌジ
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-008119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0002425(US,A1)
【文献】特開2013-110381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0100980(US,A1)
【文献】特表2014-518456(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0003773(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103620891(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S3/00-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源の1つ又は複数の動作特性を調節する装置であって、
第1のガス混合物で充填された第1のガス放電チャンバ、及び、前記第1のガス混合物にエネルギーを供給するように構成された第1のパルスエネルギー源を備える第1のステージと、第2のガス混合物で充填された第2のガス放電チャンバ、及び、前記第2のガス混合物にエネルギーを供給するように構成された第2のパルスエネルギー源を備える第2のステージと、を備える、ガス放電システムと、
前記ガス放電システムに結合されたガス調節システムであって、1つ又は複数のガス源、前記第1及び第2のガス放電チャンバのうちの1つ又は複数にガスを供給するための導管、及び、前記ガス源と前記第1及び第2のガス放電チャンバとの間の1つ又は複数のガス制御バルブを備えるガス供給システムと、前記ガス供給システム及び前記ガス放電システムに結合された制御システムと、を備えるガス調節システムと、を備え、
前記制御システムは、
前記第1のガス放電チャンバ内の前記第1のガス混合物を入れ替えることを含む、前記第1のガス放電チャンバに対する再充填手順を実行し、前記第2のガス放電チャンバ内の前記第2のガス混合物を入れ替えることを含む、前記第2のガス放電チャンバに対する再充填手順を実行することと、
前記第1のガス放電チャンバに対する前記再充填手順及び前記第2のガス放電チャンバに対する前記再充填手順が完了した後に、前記第1のガス放電チャンバに対する第1のガス調節手順を実行することであって、前記第1のガス調節手順は、前記ガス放電システムに信号を送信することにより、前記第1のガス放電チャンバの動作特性を調節する一方、前記第1のパルスエネルギー源に信号を送信して、前記第1のステージからパルス増幅光ビームが出力されるまで、前記第1のガス放電チャンバにエネルギーを供給することを含む、前記第1のガス調整手順を実行することと、
前記第1のガス放電チャンバの前記動作特性がもはや調節されるべきではないと判断され、それにより前記第1のガス放電チャンバに対する前記第1のガス調節手順が完了した後、前記第2のガス放電チャンバに限界に基づく調節手順を適用することであって
、前記第2のガス放電チャンバを動作させながら、前記第2のガス放電チャンバに関連する動作パラメータの極値を推定すること、及び、動作パラメータの前記推定された極値に基づいて、前記第2のガス放電チャンバの動作特性を調節すること、により、前記第2のガス放電チャンバに前記限界に基づく調節手順を適用することと、を行うように構成される、
装置。
【請求項2】
前記ガス調節システムは、
前記光源によって生成される光ビームと相互作用する光学的特徴を含む少なくとも1つの光学系と、前記光学的特徴と通信することにより、前記光源によって生成された増幅光ビームの1つ又は複数のスペクトル特徴を制御する少なくとも1つの作動システムとを備えるスペクトル特徴選択システムと、
前記第1及び第2のパルスエネルギー源に結合されたエネルギー制御システムと、を更に備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のガス混合物及び前記第2のガス混合物のそれぞれは、ハロゲンガスと、1つ又は複数の他のガスと、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ガス源の少なくとも1つは、ハロゲンフッ素と、希ガスと、1つ又は複数の他の希ガスとの混合物を含むガストリミックスを含み、
前記ガス源の少なくとも1つは、希ガスと1つ又は複数の他の希ガスとの混合物であって、フッ素を含まない混合物であるガスバイミックスを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第1のガス混合物で充填されるように構成された第1のガス放電チャンバ、及び、前記第1のガス混合物にエネルギーを供給するように構成された第1のパルスエネルギー源を備える第1のステージと、第2のガス混合物で充填されるように構成された第2のガス放電チャンバ、及び、前記第2のガス混合物にエネルギーを供給するように構成された第2のパルスエネルギー源を備える第2のステージと、を備える、ガス放電システムと、
前記ガス放電システムに結合されたガス調節システムであって、1つ又は複数のガス源、前記第1及び第2のガス放電チャンバのうちの1つ又は複数にガスを供給するための導管、及び、前記ガス源と前記第1及び第2のガス放電チャンバとの間の1つ又は複数のガス制御バルブを備えるガス供給システムを備えるガス調節システムと、
前記ガス供給システム及び前記ガス放電システムに結合された制御システムと、を備える装置であって、
前記制御システムは、
前記ガス調節システムに信号を送信して、前記第1のガス放電チャンバ内に第1のガス混合物を補充し、前記第2のガス放電チャンバ内に第2のガス混合物を補充することと、
前記第1及び第2のガス混合物が補充された後に、前記第1のパルスエネルギー源に信号を送信して、前記第1のステージからパルス増幅光ビームが出力され、前記第2のステージに向けられるまで前記第1のガス放電チャンバにエネルギーを供給し、前記ガス放電システムに信号を送信して、前記第1のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作パラメータに基づいて、前記第1のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作特性を調節することと、
前記第1及び第2のガス混合物が補充され、前記第第1のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作特性が調節された後に、前記第2のパルスエネルギー源に信号を送信して、前記第2のステージからパルス増幅光ビームが出力されるまで前記第2のガス放電チャンバにエネルギーを供給し、前記ガス放電システムに信号を送信して、前記第2のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作パラメータに基づいて、前記第2のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作特性を調節することと、
前記第2のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作特性が調節された後に、前記ガス放電システムに信号を送信して、通常の動作条件下で動作することと、を行うように構成さ
れ、
前記ガス放電システムに信号を送信して前記第1のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作特性を調節することは、前記第1のガス放電チャンバに対して限界に基づくガス調節手順を実行することを含む、及び/又は、前記ガス放電システムに信号を送信して前記第2のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作特性を調節することは、前記第2のガス放電チャンバに対して限界に基づくガス調節手順を実行することを含む、
装置。
【請求項6】
前記ガス調整システムは、光源によって生成された増幅光ビームの1つ又は複数のスペクトル特徴を制御するように構成されたスペクトル特徴選択システムと、前記第1及び第2のパルスエネルギー源に結合されたエネルギー制御システムと、前記ガス放電システムの態様を観測又は測定するように構成された監視システムと、を更に備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のガス混合物及び前記第2のガス混合物のそれぞれは、ハロゲンガスと、1つ又は複数の他のガスと、を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ガス源の少なくとも1つは、ハロゲンと、希ガスと、1つ又は複数の他の希ガスとの混合物を含むガストリミックスを含み、
前記ガス源の少なくとも1つは、希ガスと1つ又は複数の他の希ガスとの混合物であって、フッ素を含まない混合物であるガスバイミックスを含む、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記トリミックス内の前記ハロゲンはフッ素である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記制御システムは、前記ガス放電システムに信号を送信して、前記ガス放電システムの前記第2のステージからパルス光ビームを生成することを含む、通常の動作条件下での動作を行う、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
光源の第1のステージの第1のガス放電チャンバ内の第1のガス混合物の第1の完全補充を実行することであって、前記第1の完全補充が、前記第1のガス放電チャンバ内の前記第1のガス混合物を入れ替えることを含む、第1の完全補充を実行することと、
前記光源の第2のステージの第2のガス放電チャンバ内の第2のガス混合物の第2の完全補充を実行することであって、前記第2の完全補充が、前記第2のガス放電チャンバ内の前記第2のガス混合物を入れ替えることを含む、第2の完全補充を実行することと、
前記第1及び第2の完全補充が完了した後、第1のガス放電チャンバに対する第1のガス調節手順を実行することであって、前記第1のガス調節手順が、前記第1のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作パラメータに基づいて、前記第1のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作特性を調節することを含む、第1のガス調節手順を実行することと、
前記第1のガス調節手順が完了した後、前記第1のステージから前記第2のステージへと出力されるパルス増幅光ビームを送り、前記第2のガス放電チャンバに対する前記第2のガス調節手順を実行することであって、前記第2のガス放電チャンバに対する前記第2のガス調節手順が、前記第2のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作パラメータに基づいて、前記第2のガス放電チャンバの1つ又は複数の動作特性を調節することを含む、第2のガス調節手順を実行することと、
前記第1及び第2のガス調節手順の完了後、通常の動作条件下で前記光源を動作させることと、を含
み、
前記第1のガス調節手順を実行することは、前記第1のガス放電チャンバに対して限界に基づくガス調節手順を実行することを含む、及び/又は、前記第2のガス調節手順を実行することは、前記第2のガス放電チャンバに対して限界に基づくガス調節手順を実行することを含む、
方法。
【請求項12】
前記第1のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作パラメータに基づいて前記第1のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作特性を調節することは、前記第1のステージからパルス増幅光ビームが出力されるまで、第1のパルスエネルギー源を使用して前記第1のガス放電チャンバにエネルギーを供給することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作パラメータは、前記第1のガス放電チャンバから出力されたパルス増幅光ビームのエネルギー、及び/又は、前記第1の
ガス放電チャンバから出力された前記パルス増幅光ビームのスペクトル特性を含み、
前記第2のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作パラメータは、前記第2のガス放電チャンバから出力されたパルス増幅光ビームのエネルギー、及び/又は、前記第2のガス放電チャンバから出力された前記パルス増幅光ビームのスペクトル特性を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作特性は、前記第1のガス放電チャンバ内の前記第1のガス混合物の圧力、及び/又は、前記第1のガス放電チャンバから出力されたパルス増幅光ビームの光学的特徴を含み、
前記第2のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作特性は、前記第2のガス放電チャンバ内の前記第2のガス混合物の圧力、及び/又は、前記第2のガス放電チャンバから出力されたパルス増幅光ビームの光学的特徴を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のガス調節手順は、前記第1のガス調節手順から分離される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のガス放電チャンバに対して前記限界に基づく調節手順を実行することは、
複数の極限試験条件の下で
前記光源を動作させながら、前記第2のガス放電チャンバの前記1つ又は複数の動作パラメータを観測することを含
み、
前記観測することは、極限試験条件毎に、
前記極限試験条件の下で前記第1のガス放電チャンバを動作させながら、前記第1のガス放電チャンバにエネルギーのパルス群を供給して、前記第2のステージに向けられた前記第1のステージからの第1のパルス増幅光ビームを生成することと、
前記極限試験条件の下で前記第2のガス放電チャンバを動作させながら、かつ、前記第1のパルス増幅光ビームが前記第2のガス放電チャンバに入力されている間に、前記第2のガス放電チャンバにエネルギーのパルス群を供給して、第2のパルス増幅光ビームを生成することと、
前記極限試験条件に対する動作パラメータの極値を測定することと、を含み、
前記極限試験条件に対する動作パラメータの前記極値を測定することは、
前記第1のガス放電チャンバに最小のエネルギーが供給される第1の極限試験条件の下で前記光源を動作させながら、前記第2のパルス増幅光ビームの最大スペクトル特性を測定することと、
前記第1のガス放電チャンバに最大のエネルギーが供給される第2の極限試験条件の下で前記光源を動作させながら、前記第2のパルス増幅光ビームの最小スペクトル特性を測定することと、を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
前記通常の動作条件下で前記光源を動作させることは、前記光源の前記第2のステージからパルス光ビームを生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2016年2月16日に出願された、GAS OPTIMIZATION IN A GAS DISCHARGE LASER SOURCEと題された米国特許出願第15/044,677号の利益を主張するものであり、この出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される主題は、光源のガス放電チャンバをガスで再充填した後で、光源内のガスに関連した状態を調節することに関する。
【背景技術】
【0003】
エキシマ光源又はレーザとして、フォトリソグラフィで使用されるガス放電光源の一種が知られている。エキシマレーザは、通常、アルゴン、クリプトン、又はキセノンなどの1種又は複数種の希ガスと、フッ素又は塩素などの反応性との組み合わせを使用する。エキシマレーザは、適切な条件の電気的刺激(供給されるエネルギー)及び(ガス混合物の)高圧の下では、エキシマと呼ばれる疑似分子が生成されるという事実からその名前がつけられており、エキシマは、励起された状態でのみ存在し、紫外線領域で増幅された光を生じさせる。
【0004】
エキシマ光源は、フォトリソグラフィ装置で使用される。エキシマ光源は、深紫外線(DUV)光を生成する。エキシマ光源は、単一のガス放電チャンバを使用して、又は複数のガス放電チャンバを使用して、構築することができる。
【発明の概要】
【0005】
幾つかの一般的な態様で、光源の1つ又は複数の動作特性を調節するための方法が説明される。光源は、第1のガス混合物で充填され第1のパルスエネルギー源を含む第1のガス放電チャンバを有する第1のステージと、第2のガス混合物で充填され第2のパルスエネルギー源を含む第2のガス放電チャンバを有する第2のステージとを含む。この方法は、一組の極限試験条件の下で光源を動作させながら、光源の動作パラメータの複数の極値を推定することを含む。極限試験条件毎に、第1のガス放電チャンバをその極限試験条件の下で動作させながら、エネルギーのパルス群を第1のガス放電チャンバに供給して、第1のステージからの第1のパルス増幅光ビームを生成し、この第1のパルス増幅光ビームは第2のステージに向けられ、また、第2のガス放電チャンバをその極限試験条件の下で動作させながら、かつ、第1のパルス増幅光ビームが第2のガス放電チャンバに入力されている間に、エネルギーのパルス群を第2のガス放電チャンバに供給して第2のパルス増幅光ビームを生成し、また、その極限試験条件に対する動作パラメータの極値が測定され、それによって、動作パラメータの極値を推定する。この方法は、動作パラメータの推定された複数の極値に基づいて、複数の動作特性のうちの光源の少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することも含み、動作特性を調節するべきであると判断した場合には、その動作特性を調節することも含む。
【0006】
実施態様には、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことがある。例えば、この方法は複数の誤差値を決定することも含むことがあり、各誤差値は、動作パラメータの1つ又は複数の測定された極値から決定される。
【0007】
第1のガス放電チャンバにエネルギーのパルスのバーストを供給することによって、エネルギーのパルス群を第1のガス放電チャンバに供給することができる。第2のガス放電チャンバにエネルギーのパルスのバーストを供給することによって、エネルギーのパルス群を第2のガス放電チャンバに供給することができる。
【0008】
光源は、第1の増幅光ビームのパルスと第2の増幅光ビームのパルスとの間で最適ではない相対的なタイミングで動作しながら第1のガス放電チャンバに供給されるエネルギーが増加される極限試験条件の下で光源を動作させることにより、一組の極限試験条件の下で動作させることができる。その極限試験条件に対する動作パラメータの極値は、第2のパルス増幅光ビームの最大エネルギーを測定することによって、測定することができる。
【0009】
光源は、第1の増幅光ビームのパルスと第2の増幅光ビームのパルスとの間で最適な相対的なタイミングで動作しながら第1のガス放電チャンバに供給されるエネルギーが低減される極限試験条件の下で光源を動作させることにより、一組の極限試験条件の下で動作させることができる。その極限試験条件に対する動作パラメータの極値は、第2のパルス増幅光ビームの最小エネルギーを測定することによって、測定することができる。
【0010】
光源は、第1のガス放電チャンバに最小のエネルギーを供給しながら第1の増幅光ビームのパルスと第2の増幅光ビームのパルスとの間の相対的なタイミングを低減させる極限試験条件の下で光源を動作させることにより、一組の極限試験条件の下で動作させることができる。その極限試験条件に対する動作パラメータの極値は、第2のパルス増幅光ビームの最大スペクトル特性を測定することによって、測定することができる。
【0011】
光源は、第1のガス放電チャンバに最大のエネルギーを供給しながら第1の増幅光ビームのパルスと第2の増幅光ビームのパルスとの間の相対的なタイミングを増加させる極限試験条件の下で光源を動作させることにより、一組の極限試験条件の下で動作させることができる。その極限試験条件に対する動作パラメータの極値は、第2のパルス増幅光ビームの最小スペクトル特性を測定することによって、測定することができる。
【0012】
極限試験条件に対する動作パラメータの極値は、光源を第1の極限試験条件の下で動作させながら第2のパルス増幅光ビームの最大エネルギーを測定することにより、かつ、光源を第2の極限試験条件の下で動作させながら第2のパルス増幅光ビームの最小エネルギーを測定することにより、測定することができる。極限試験条件に対する動作パラメータの極値は、光源を第3の極限試験条件の下で動作させながら第2のパルス増幅光ビームの最大スペクトル特性を測定することにより、かつ、光源を第4の極限試験条件の下で動作させながら第2のパルス増幅光ビームの最小スペクトル特性を測定することにより、測定することができる。
【0013】
動作パラメータの極値は、第2のパルス増幅光ビームのエネルギーの極値、及び第2のパルス増幅光ビームのスペクトル特性の極値のうちの1つ又は複数を測定することによって、測定することができる。
【0014】
光源の動作特性を調節するか否かを判断することは、複数の較正済定数及び複数の非線形関数のうちの1つ又は複数に更に基づくことがある。
【0015】
光源の少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することは、ガス放電チャンバのうちの少なくとも1つのガス混合物の圧力を調節するか否かを判断することと、パルス増幅光ビームの光学的特徴を調節するか否かを判断することとを含むことがある。パルス増幅光ビームの光学的特徴を調節するか否かを判断することは、第1のパルス増幅光ビームの光学倍率を調節するか否かを判断することを含むことがある。少なくとも1つのガス放電チャンバのガス混合物の圧力は、ガス混合物の少なくとも一部をガス放電チャンバから逃がすことにより、調節することができる。パルス増幅光ビームの光学的特徴は、第1のパルス増幅光ビームの光学倍率を調節し、それによって第2のパルス増幅光ビームの帯域幅を調節することによって、調節することができる。
【0016】
少なくとも1つのガス放電チャンバのガス混合物の圧力を調節するか否かを判断することは、ガス混合物の測定された圧力が許容値の下限よりも大きいかどうか、かつ、第2のパルス増幅光ビームのエネルギーが許容範囲内であるかどうか、を判断することを含むことがある。この方法は、ガス混合物の測定された圧力が許容値の下限よりも大きく、かつ、第2のパルス増幅光ビームのエネルギーが許容範囲内である場合にのみ、少なくとも1つのガス放電チャンバのガス混合物の圧力が調節されるべきであることを決定することも含むことがある。
【0017】
パルス増幅光ビームの光学的特徴を調節するか否かを判断することは、スペクトル特性の作動の条件が満たされているか否かを判断することを含むことがある。この方法は、スペクトル特性アクチュエータの条件が満たされている場合にのみ、パルス増幅光ビームの光学的特徴が調節されるべきであることを決定することも含むことがある。
【0018】
少なくとも1つのガス放電チャンバのガス混合物の圧力を調節するか否かを判断することは、第2のガス放電チャンバのガス混合物の圧力を調節するか否かを判断することを含むことがある。
【0019】
動作パラメータの推定された複数の極値に基づいて光源の少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することは、別個の動作パラメータの少なくとも2つの推定極値に基づいて第1の動作特性を調節するか否かを判断することと、別個の動作パラメータの少なくとも2つの推定極値に基づいて第2の動作特性を調節するか否かを判断することとを含むことがある。
【0020】
動作パラメータの複数の極値は、少なくとも、第1の動作パラメータの第1の測定された極値と第2の測定された極値とを平均して第1の動作パラメータの平均値を取得し、第1の所定の範囲によって第1の動作パラメータの平均値を調節して第1の誤差値を取得することによって、第2の動作パラメータの第1の測定された極値と第2の測定された極値とを平均して第2の動作パラメータの平均値を取得し、第2の所定の範囲によって第2の動作パラメータの平均値を調節して第2の誤差値を取得することによって、推定することができる。
【0021】
光源の少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することは、少なくとも第1及び第2の誤差値に基づいて第1の動作特性を調節するか否かを判断することと、少なくとも第1及び第2の誤差値に基づいて第2の動作特性を調節するか否かを判断することとを含むことがある。
【0022】
光源の少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することは、第2のステージに関連した少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することを含むことがあり、動作特性を調節すべきであると判断した場合に動作特性を調節することは、第2のステージに関連した動作特性を調節することを含むことがある。この方法はまた、第2のステージに関連した少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断し、調節すべきであると判断した場合に第2のステージの動作特性を調節するのに先立って、第1のステージに関連した1つ又は複数の動作特性を調節するか否かを判断することと、第1のステージに関連した動作特性を調節すべきであると判断した場合に、第1のステージに関連した動作特性を調節することとを含むことがある。
【0023】
光源の少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することは、光源の複数の動作特性を調節するか否かを同時に判断することを含むことがある。
【0024】
他の一般的な態様で、光源の1つ又は複数の動作特性を調節するための方法が説明される。光源は、第1のガス混合物で充填され第1のパルスエネルギー源を含む第1のガス放電チャンバを有する第1のステージを含む。光源は、第2のガス混合物で充填され第2のパルスエネルギー源を含む第2のガス放電チャンバを有する第2のステージを含む。この方法は、パルス増幅光ビームが第1のステージから出力され第2のステージに向けられるまで、第1のパルスエネルギー源を使用して第1のガス放電チャンバにエネルギーを供給することを含む。この方法は、第1のガス放電チャンバにエネルギーを供給している間に、第1のガス放電チャンバの動作パラメータの値を測定することと、測定した値に基づいて第1のガス放電チャンバの動作特定を調節するか否かを判断することと、第1のガス放電チャンバの動作特定を調節すべきであると判断した場合に、第1のガス放電チャンバの動作特定を調節することとを含む。この方法はまた、第1のガス放電チャンバの動作特性をもはや調節すべきではないと判断した後で、第2のガス放電チャンバの動作特性に調節手順を適用することも含む。
【0025】
実施態様には、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことがある。例えば、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節するか否かを判断することは、第1のガス放電チャンバ内の第1のガス混合物の状態を調節するか否かを判断することを含むことがある。
【0026】
第1のガス放電チャンバの動作パラメータの値は、第1のガス放電チャンバから出力されるパルス増幅光ビームのエネルギーを測定することにより、測定することができ、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節するか否かを判断することは、測定されたエネルギーが目標範囲の外側であるか否かを判断することを含むことがある。
【0027】
第1のガス混合物にエネルギーを供給するパルス放電を供給することによって、第1のガスチャンバにエネルギーを供給することができる。
【0028】
第1のガス放電チャンバの動作特性は、第1のガス放電チャンバ内の第1のガス混合物の圧力を調節することによって、調節することができる。第1のガス放電チャンバ内の第1のガス混合物の圧力は、第1のガス混合物の少なくとも一部を第1のガス放電チャンバから逃がすことにより、調節することができる。
【0029】
第1のエネルギー源から出力される増幅光ビームのパルスと第2のエネルギー源から出力される増幅光ビームのパルスとの間のタイミングが離調されている間に、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節することができる。第1のエネルギー源から出力される増幅光ビームのパルスと第2のエネルギー源から出力される増幅光ビームのパルスとの間のタイミングが一定に保たれている間に、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節することができる。
【0030】
第1のガス放電チャンバに供給されるエネルギーが一定に保たれている間に、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節することにより、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節することができる。第1のガス放電チャンバに供給されるエネルギーが最大許容電圧に保たれている間に、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節することにより、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節することができる。
【0031】
第1のガス放電チャンバの動作特性を調節するか否かを判断することは、動作パラメータの測定値が所定の値を上回っているか否かを判断することを含むことがある。動作パラメータの測定値が所定の値を上回っていると判断した場合、第1のガス放電チャンバの動作特性を調節すべきであると判断することができる。
【0032】
この方法はまた、第1のガス放電チャンバを第1のガス混合物で充填し、第2のガス放電チャンバを第2のガス混合物で充填することも含むことがある。
【0033】
一組の極限試験条件の下で光源を動作させながら、第2のガス放電チャンバに関連した動作パラメータの1つ又は複数の極値を推定することにより、第2のガス放電チャンバの動作特性に調節手順を適用することができる。推定することは、極限試験条件毎に、光源をその極限試験条件の下で動作させることと、その極限試験条件に対する動作パラメータの極値を測定することとを含むことがある。この方法は、動作パラメータの推定された1つ又は複数の極値に基づいて、第2のガス放電チャンバの少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することと、第2のガス放電チャンバの動作特性を調節すべきであると判断した場合には、第2のガス放電チャンバの動作特性を調節することとも含む。
【0034】
第2のガス放電チャンバの少なくとも1つの動作特性を調節するか否かを判断することは、第2のガス混合物の状態、及び第2のステージから出力されるパルス増幅光ビームの光学的特徴、のうちの1つ又は複数を調節するか否かを判断することを含むことがある。第2のガス混合物の状態を調節するか否かを判断することは、第2のガス混合物の圧力を調節するか否かを判断することを含むことがあり、また、第2のステージから出力されるパルス増幅光ビームの光学的特徴を調節するか否かを判断することは、第2のステージから出力されるパルス増幅光ビームの帯域幅を調節するか否かを判断することを含むことがある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】出力装置に向けられたパルス光ビームを生成するガス放電光源のブロック図である。
【
図2】
図1の例示的な出力装置のブロック図である。
【
図3】
図1のガス放電光源の例示的な制御システムのブロック図である。
【
図4】
図1で使用することができる例示的なガス放電光源のブロック図である。
【
図5】
図1又は
図4のガス放電光源で使用することができるスペクトル特徴選択システムの例示的なモジュールのブロック図である。
【
図6】
図5の例示的なモジュールの例示的なスペクトル光学系のブロック図である。
【
図7】
図1及び
図4のガス放電光源の例示的なモニタリングシステムのブロック図である。
【
図8】
図1又は
図4のガス放電光源によって実行される例示的な手順の流れ図である。
【
図9】ガス調節手順を実施するために
図1又は
図4のガス放電光源によって実施される例示的な手順の流れ図である。
【
図10】ガス調節手順を実施するために
図1又は
図4のガス放電光源によって実施される例示的な手順の流れ図である。
【
図11】ガス調節手順を実施するために
図1又は
図4のガス放電光源によって実施される例示的な手順の流れ図である。
【
図12】光源の動作パラメータの極値を推定するために
図1又は
図4のガス放電光源によって実施される例示的な手順の流れ図である。
【
図13】動作パラメータの推定された極値の組を分析するために
図1又は
図4のガス放電光源によって実施される例示的な手順の流れ図である。
【
図14A】
図1又は
図4のガス放電光源のステージのうちの1つ又は複数から出力されるパルス光ビームの動作パラメータエネルギーの推定された極値と極限試験条件との間の例示的な関係を示すグラフである。
【
図14B】
図1又は
図4のガス放電光源のステージのうちの1つ又は複数から出力されるパルス光ビームの動作パラメータ帯域幅の推定された極値と極限試験条件との間の例示的な関係を示すグラフである。
【
図15】
図1又は
図4のガス放電光源によって実施することができる例示的なガス調節手順の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照すると、ガス放電光源100がガス放電システム105及び例示的なガス調節システム110を含んでいる。光源100は、光学系115の一部として構成されており、光学系115は、出力装置125(
図2に示すように、ウェーハ上に超小型電子フィーチャをパターン形成するフォトリソグラフィ露光装置225など)に向けられるパルス光ビーム120を供給する。
【0037】
ガス放電システム105は、パルス光ビーム170を生成する第1のステージ135と、パルス光ビーム175を生成する第2のステージ140とを含む2チャンバシステムである。パルス光ビーム175は、ガス放電光源100と出力装置125との間に配置されたビーム準備システム130を通って導かれ、パルス光ビーム120を形成することができる。第1のステージ135は、他のガスの中でも特に利得媒質を含むガス混合物137と、利得媒質にエネルギーを供給するための第1のパルスエネルギー源138とを収容する第1のガス放電チャンバ136を含む。同様に、第2のステージ140は、他のガスの中でも特に利得媒質を含むガス混合物142と、第2のパルスエネルギー源143とを収容する第2のガス放電チャンバ141を含む。ガス混合物137、142の成分は同一であることがある。更に、ガス混合物137、142の各々の様々な成分の濃度は異なっていることがあり、また、例えばリアルタイムで調節されることもある。
【0038】
特定のチャンバ内のガス混合物は、利得媒質と緩衝ガスとの混合物を含む。利得媒質は、ガス混合物内のレーザ活性要素であり、単一の原子、又は分子、又は擬似分子のいずれかであり得る。従って、それぞれのエネルギー源138、143からの放電によりガス混合物137、142(従って、利得媒質)をポンピングすることにより、誘導放出を介して反転分布が利得媒質内で発生する。利得媒質は通常、希ガス及びハロゲンを含み、一方緩衝ガスは通常、不活性ガスを含む。希ガスは、例えばアルゴン、クリプトン、又はキセノンを含み、ハロゲンは、例えばフッ素を含み、不活性ガスは、例えばヘリウム又はネオンを含む。
【0039】
ガス調節システム110は、例えば、ガス放電チャンバ136、141がガスで再充填された後で、ガス放電チャンバ136、141内のガス混合物の動作特性(又は属性)を最適化又は改善するように設計される。ガス調節システム110は、ガス放電システム105を一組の極限試験条件の下で動作させながら、光源100の動作パラメータの極値(例えば、最小値及び最大値)を推定し、推定された極値に基づいて光源100の1つ又は複数の動作特性(又は属性)を調節するか否かを判断し、そのような動作特性が調節されるべきであると判断した場合には光源100の動作特性を調節することにより、これらのガス特性を少なくとも部分的に最適化又は改善する。
【0040】
光源100の動作特性(ガス放電チャンバ136、141内のガス混合物の特性など)は、例えば、そのような動作特性を制御するアクチュエータ設定を調節することにより、調節される。例えば、ガス放電システム105の1つの動作特性は、ガス放電システム105内部のガス放電チャンバ136、141のガス混合物137、142の圧力である。ガス混合物137、142の圧力は、ガス供給システム145を調節することによって、調節することができる。ガス放電システム105の別の動作特性は、パルス光ビーム170、175の光学的特徴(スペクトル特徴など)である。パルス光ビーム170、175のスペクトル特徴は、ガス放電システム105の第1のステージ135のパルス光ビームに適用される光学倍率を調節することによって、調節することができる。更に、光学倍率は、スペクトル特徴選択システム150を調節することによって、調節することができる。
【0041】
考察したように、ガス調節システム110は、光源100が一組の極限試験条件の下で動作している間に、光源100の1つ又は複数の動作パラメータの推定、測定、又は観測に少なくとも部分的に基づいて、これらの調節を分析し選択する。
【0042】
更に、ガス調節システム110は、例えば、ガス放電チャンバ141のガス最適化又は調節を行う前に、ガス放電チャンバ136のガス最適化又は調節を行うことにより、ガス放電チャンバ141のガス調節(又は最適化)から、ガス放電チャンバ136のガス調節(又は最適化)を更に分離することができる。
【0043】
ガス調節システム110は、以前のガス最適化手順(通常は完了するのに6分間以上を要する)よりも改善された、ある時間(例えば、2分間以下)でガス最適化手順を行う。ガス調節システム110は、以前のガス最適化手順よりも堅牢なガス最適化手順を行う。これは、このガス最適化手順が、動作パラメータ(パルス光ビーム120のエネルギー、又はパルス光ビーム120のスペクトル特徴など)の許容限界内又は最大限界内でガス放電システム105を動作させるために、ガス放電システム105に加えられる調節(例えば、それぞれのガス放電チャンバ136、141内のガス混合物137、142の圧力の調節、又は、第2のステージ140から出力されるパルス光ビーム175のスペクトル特性の調節)を最適化又は改善する、ということを意味する。従って、ガス調節システム110は、ガス放電システム105の動作パラメータのこれらの限界を最大化しながら、ガス最適化を行う。例えば、ガス放電システム105は、パルス光ビーム120の出力エネルギーなどの特定の動作パラメータ、又はパルス光ビーム120の出力帯域幅などの特定の動作パラメータを維持しながら、同時に、これらの動作パラメータを変更することがあるガス放電システム105に対する擾乱107をなおも補償し、より長い期間にわたり動作することができる。これを行うことにより、ガス放電システム105は、以前のガス最適化方式を使用して可能であるよりも、再充填手順の後で、より堅牢に動作し、擾乱107を阻止又は補償することが一層可能になる。
【0044】
具体的には、それぞれのガス放電チャンバ136、141の各エネルギー源138、143がパルス信号によって作動され、従って、ガス放電チャンバ136、141が特定の状況下で(十分なエネルギー及び/又は光フィードバックを用いて)パルス増幅光ビームを生成することができる。例えば、ガス放電チャンバ136は、中間又は種光ビーム170を生成し、ガス放電チャンバ141は出力光ビーム175を生成し、出力光ビーム175はビーム準備システム130に向けられてパルス光ビーム120を生成する。エネルギーをエネルギー源138、143を介して放出してパルス光ビーム170、175をそれぞれ生成するにつれて、ハロゲンガスの一部、ArF又はKrF利得媒質の場合はフッ素、が枯渇する。これは、光源100からの動作効率の低下を引き起こし、動作効率のそのような低下は、例えば、パルス光ビーム120中に所望のエネルギーを生成するためにエネルギー源138、143に供給する必要があるエネルギーの増加として、見られることがある。このため、エネルギー源138、143に供給されるエネルギーが上限値(これはハードウェアの制約によって決まる)未満に留まり、光源100が適切に動作し続けるように、失われたハロゲンガスを補充する工程が取り入れられる必要がある。
【0045】
失われたハロゲンガスを補充する1つの方法は、ガス放電チャンバ136、141内のガス混合物137、142の完全補充である。そのような完全補充は、再充填とも呼ばれ、光源100がパルス光ビーム120を生成していない間に、ガス混合物137、142の全てが置き換えられる。再充填の間、ガス混合物137、142の内容物は、所望の混合比、濃度、及び/又は圧力に戻される。例えば、新しいガスが、ハロゲンガス(例えば、フッ素)の特定の圧力及び濃度に達するのに十分な量で、チャンバ136、141に導入される。再充填の後で、光源100の動作は、最適な組の動作パラメータの可能な限り近くで開始して、光源100の初期動作のための最良のガス特性(又は属性)を提供するべきである。このようにして、光源100は、最も効率的な(又は最も効率的なものに近い)動作パラメータの組で動作を開始することができ、別の再充填が必要となる前に光源100がより長く動作することを可能にする。
【0046】
ガス最適化手順の詳細は、光学系115の設計の説明に続いて提供される。
【0047】
ガス調節システム110は、ガス供給システム145、スペクトル特徴選択システム150、エネルギー制御システム155、モニタリングシステム160、及び制御システム165を含む。ガス供給システム145は、1つ又は複数のガス源と、ガス放電チャンバ136、141のうちの1つ又は複数にガスを供給するための導管と、ガス放電チャンバ136、141内への及びガス放電チャンバ136、141からのガスの流量を制御するための、ガス源とガス放電チャンバ136、141との間の1つ又は複数のガス制御バルブとを含む。
【0048】
制御システム165は、ガス供給システム145、スペクトル特徴選択システム150、エネルギー制御システム155、及びモニタリングシステム160に結合される。制御システム165と制御システム165の外部のこれらの様々な他のシステムとの間の結合は、制御システム165とその特定の外部システムとの間で情報を自由に伝達することができるように、直接的な若しくは物理的な接続(例えば、有線)による、又は無線接続によるものとすることができる。制御システム165は、ガス放電光源100の他のデバイス、ビーム準備システム130のデバイス、及び/又は出力装置125内部のデバイス、のうちの1つ又は複数と更に結合されることがある。制御システム165は、例えば、光源100の動作中に、又は光源100がオフラインである間であっても、パルス光ビーム120のスペクトル特徴を監視するための、又はパルス光ビーム120のスペクトル特徴を制御するための別のシステムなどの、ガス放電光源100の他の態様を監視及び制御する他のシステムを含むことがある。制御システム165は、それぞれのガス放電チャンバ136、141の各エネルギー源138、143を作動させるための信号を供給するように構成される。
【0049】
更に、制御システム165は、構成要素の全てが同じ場所に配置されているように見える、箱として表わされているが、制御システム165は、互いに物理的に離れている構成要素から構成されることも可能である。
【0050】
図2を参照すると、出力装置125は、フォトリソグラフィ露光装置225であることがある。露光装置225は、例えば、1つ又は複数の集光レンズ、マスク、及びパルス光ビーム120の経路をウェーハ227に向ける対物系構成、を有するイルミネータシステム226を含む、光学構成を含む。マスクは、例えば、パルス光ビーム120の軸に沿った、又はこの軸に垂直な平面内の、1つ又は複数の方向に沿って可動である。対物系構成は、例えば投影レンズを含み、マスクからウェーハ227上のフォトレジストへの画像転写を行うことができる。イルミネータシステム226は、光ビーム120がマスクに当たる角度の範囲を調節する。イルミネータシステム226はまた、マスク全体に渡って、光ビーム120の強度分布を均質化(均一化)する。露光装置225は、他の特徴の中でも特に、リソグラフィコントローラ228、空調デバイス、及び様々な電気部品のための電源を含むことがある。リソグラフィコントローラ228は、特に、どのように層がウェーハ227上にプリントされるかを制御する。
【0051】
図3を参照すると、一般的に、制御システム165は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちの1つ又は複数を含む。制御システム165は、読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであり得る、メモリ300を含む。コンピュータプログラム命令及びデータを具体的に具現化するのに適した記憶デバイスは、例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及び着脱可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性メモリを含む。制御システム165は、1つ又は複数の入力デバイス305(キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、マウス、手持ち式入力デバイス等)及び1つ又は複数の出力デバイス310(スピーカ又はモニターなど)も含むことがある。
【0052】
制御システム165は、1つ又は複数のプログラム可能プロセッサ315と、プログラム可能プロセッサ(プロセッサ315など)によって実行されるために機械可読記憶デバイス内に具体的に具現化された1つ又は複数のコンピュータプログラム320とを含む。1つ又は複数のプログラム可能プロセッサ315はそれぞれ、命令のプログラムを実行して、入力データを操作し適切な出力を生成することによって、所望の機能を実行することができる。一般的に、プロセッサ315は、メモリ300から命令及びデータを受け取る。前述のいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補完されるか、又は組み込まれることがある。
【0053】
制御システム165は、例えば、モニタリングシステム160からデータを受け取るための処理システム325、及びこのデータを分析してどのような種類のアクションを行うべきかを決定するための処理システム330などの、様々な処理システムを含む。他の処理システムには、スペクトル特徴選択システム150とインターフェイスするためのスペクトル特徴処理システム335、エネルギー制御システム155とインターフェイスするためのエネルギー処理システム340、及び、ガス供給システム145とインターフェイスするガス維持管理処理システム345が含まれる。様々な出力処理システム335、340、345と、スペクトル特徴選択システム150、エネルギー制御システム155、及びガス供給システム145との間を流れるデータは、分析処理システム330から出力される決定に基づいて、制御システム165によって決定される。
【0054】
これらの処理システムの各々は、プロセッサなどの1つ又は複数のプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムの組であることがある。制御システム165は、本明細書で考察したものとは関係のない他のタスクを実行するための他の処理システム(ボックス350として包括的に表わされる)を含むことがある。
【0055】
図4を参照すると、例示的なガス放電システム405が示されている。ガス放電システム405は、第1のステージ135として主発振器(MO)435と、第2のステージ140として電力増幅器(PA)440とを含む。MO435は、MOガス放電チャンバ436を含み、PA440はPAガス放電チャンバ141を含む。MOガス放電チャンバ436は、MOガス放電チャンバ436内でガス混合物437にパルスエネルギー源138を提供する、2つの細長い電極438を含む。PAガス放電チャンバ441は、PAガス放電チャンバ441内でガス混合物442にパルスエネルギー源143を提供する、2つの細長い電極443を含む。
【0056】
主発振器(MO)435は、電力増幅器(PA)440にパルス増幅光ビーム(種光ビームと呼ばれる)470を供給する。MOガス放電チャンバ436は、増幅がおきる利得媒質を含むガス混合物437を収容しており、MO435は、光共振器などの光フィードバック機構を含む。光共振器は、MOガス放電チャンバ436の一つの側上のスペクトル光学系476と、MOガス放電チャンバ436の第2の側上の出力カプラー480との間に形成される。MOガス放電チャンバ436は、電極438間でガス混合物437を循環させるためのファンも含む。
【0057】
PAガス放電チャンバ441は、MO435から種光ビーム470がシードされたときに増幅がおきる利得媒質を含むガス混合物442を収容する。PA440が再生式リング共振器として設計されている場合、PA440は電力リング増幅器(PRA)として説明され、この場合には、十分な光フィードバックがリング設計から提供されることがある。PA440は、光ビームをPAガス放電チャンバ441に(例えば、反射を介して)戻して、循環するループ状の経路(この経路では、リング増幅器への入力は、リング増幅器からの出力と交差する)を形成する、ビームリターン(リフレクタなど)485も含むことがある。PAガス放電チャンバ441は、電極443間でガス混合物442を循環させるためのファンを含む。種光ビーム470は、PA440を繰り返し通過することによって増幅される。
【0058】
MO435は、比較的に低い出力パルスエネルギーで(PA440の出力と比較した場合)、光ビーム470の中心波長及び帯域幅などのスペクトル特徴を微調整することを可能にする。具体的には、種光ビーム470のスペクトル特徴は、MO435の構成によって決定され、これらのスペクトル特徴は、MO435内部で生成される光ビーム470を調節することによって、調節することができる。PA440は、MO435からの出力(種光ビーム470)を受け取り、(例えば、フォトリソグラフィのための)出力装置125で使用するために出力されるパルス光ビーム120において必要な電力を獲得するために、パルス光ビーム475においてこの出力を増幅する。
【0059】
放電チャンバ436、441でそれぞれ使用されるガス混合物(例えば、ガス混合物437、442)は、必要な波長及び帯域幅の近辺で増幅光ビーム470、475を生成するのに適切なガスの組み合わせとすることができる。例えば、ガス混合物437、442は、約193nmの波長で光を放射するフッ化アルゴン(ArF)、又は約248nmの波長で光を放射するフッ化クリプトン(KrF)を含むことがある。
【0060】
ガス供給システム445は、1つ又は複数のガス源451A、451B、451C、及びバルブシステム452を含む。ガス源は、例えば、密封されたガス容器及び/又は缶であることがある。上述したように、ガス放電チャンバ436、441の各々は、ガスの混合物(ガス混合物437、442)を収容する。一例として、ガス混合物437、442は、アルゴン、ネオンなどの他のガスに加えて、ハロゲン、例えばフッ素を含むことがあり、場合によっては、合算すると全圧Pになる異なる分圧で他のガスを含むことがある。従って、1つ又は複数のガス源451A、451B、451Cは、バルブシステム452内のバルブの組を介して、MOガス放電チャンバ436及びPAガス放電チャンバ441に接続される。このようにして、特定の相対量の成分のガス混合物にして、ガスをガス放電チャンバ436、441に注入することができる。例えば、ガス放電チャンバ436、441で使用される利得媒質がフッ化アルゴン(ArF)である場合、ガス源451Aのうちの1つは、ハロゲンフッ素と、希ガスアルゴンと、緩衝ガス(ネオンなどの不活性ガス)などの1種又は複数種の他の希ガスとを含むガスの混合物を含むことがある。この種の混合物は、トリミックスと呼ばれることがある。この例では、別のガス源451Bは、アルゴンと、1種又は複数種の他のガスであるがフッ素ではないガスとを含むガスの混合物を含むことがある。この種の混合物は、バイミックスと呼ばれることがある。3つのガス源451A、451B、451Cが示されているが、ガス供給システム445は3つよりも少ない、又は3つよりも多いガス源を有することも可能である。
【0061】
制御システム165は、バルブシステム452に1つ又は複数の信号を送信して、バルブシステム452が、再充填方式又は注入方式で、特定のガス源451A、451B、451Cからガス放電チャンバ436、441にガスを移送するようにすることができる。代替的に又は追加的に、制御システム165は、1つ又は複数の信号をバルブシステム452に送信して、必要に応じてバルブシステム452がガス放電チャンバ436、441からガスを排出するようにすることができ、そのような排出されたガスは、490で表わされるガスダンプに逃がすことができる。
【0062】
ガス放電光源400の動作中、ガス放電チャンバ436、441内部のフッ化アルゴン分子のフッ素(これは、光増幅のための利得媒質を提供する)は消費され、時間の経過と共に、これは、ガス放電チャンバ436、441によって生成される光増幅の量(ひいては、増幅光ビーム470、475のエネルギー)を低下させる。更に、ガス放電光源400の動作中、汚染物質がガス放電チャンバ436、441に入り込むことがある。従って、汚染物質をガス放電チャンバ436、441から押し流すために、ガス源451A、451B、451Cのうちの1つ又は複数からガス放電チャンバ436、441にガスを注入するか、又は、再充填動作を実行するかのいずれかが必要である。
【0063】
ガス放電チャンバ436、441で再充填動作が行われると、ガス放電チャンバ436、441の各々におけるガスの全てが、例えば、(ガス混合物をガスダンプ490に排出することによって)ガス放電チャンバ436、441を空にし、次いで、そのガス放電チャンバ436、441を新規のガス混合物で再充填することによって、置き換えられる。再充填は、各ガス放電チャンバ436、441において特定の圧力及び濃度のフッ素を得る目的で、行われる。
【0064】
ガス放電チャンバ436、441で注入動作が行われるとき、ガス混合物がガス放電チャンバ436、441に注入される前に、ガス放電チャンバ436、441は空にはならないか、又は少量のみが排出される。再充填動作及び注入方式は、ガス放電システム(105又は405)に適用されるガス維持管理方式であると考えられる。
【0065】
複数のガス源451A、451B、451Cが必要である、というのも、ガス源451A中のフッ素は通常、光源400の動作のために所望される分圧よりも高い特定の分圧であるからである。フッ素をMOガス放電チャンバ436又はPAガス放電チャンバ441に所望のより低い分圧で追加するために、ガス源451A内のガスを希釈することがあり、ガス源451B内の非ハロゲン含有ガスをこの目的のために使用することがある。
【0066】
図示していないが、バルブシステム452のバルブは、ガス放電チャンバ436、441の各々に割り当てられた複数のバルブを含むことがある。例えば、第1の速度で各ガス放電チャンバ436、441の中に又はこれらのチャンバからガスを通過させることを可能にする注入バルブ、及び、第1の速度とは異なる(例えば、より速い)第2の速度で各ガス放電チャンバ436、441の中に又はこれらのチャンバからガスを通過させることを可能にするチャンバ充填バルブ、などである。
【0067】
図5を参照すると、スペクトル特徴選択システム150の例示的なモジュール550が示されている。この例では、スペクトル特徴モジュール550は、光源100からの光(ガス放電チャンバ436からの光など)に結合している。実施態様によっては、スペクトル特徴モジュール550はスペクトル光学系476を含み、スペクトル光学系476は、主発振器435内で光を受け取って、第1のステージ135からの種光ビーム170(主発振器435から出力される光ビーム470など)の波長及び帯域幅などのパラメータを微調整することを可能にする。
【0068】
スペクトル特徴モジュール550は、ファームウェアとソフトウェアとの任意の組み合わせの形態をした電子機器を含むスペクトル特徴コントローラ552などのコントローラを含むことがある。コントローラ552は、スペクトル特徴作動システム554、556、558などの1つ又は複数の作動システムに接続される。3つの作動システムが示されているが、3つより少ない又は3つより多くの作動システムが存在することがある。作動システム554、556、558の各々は、スペクトル光学系476のそれぞれの光学的特徴560、562、564に接続されている1つ又は複数のアクチュエータを含むことがある。光学的特徴560、562、564は、生成された光ビーム470の特定の特性を調節し、それによって光ビーム470のスペクトル特徴を調節するように構成される。コントローラ552は、(以下で考察するように)制御システム165から制御信号を受け取り、制御信号は、作動システム554、556、558のうちの1つ又は複数を動作させる又は制御するための特定のコマンドを含む。作動システム554、556、558は、一緒に、即ち連携して働くように選択され設計されることがある。更に、作動システム554、556、558の各々は、スペクトル特徴に対する特定のクラスの擾乱又は修正に応答するように最適化することができる。しっかりしたそのような協調及び協力は、制御システム165によって使用されて、所望の設定値で、又は光源100が多様な擾乱を受けたとしても、少なくとも設定値周辺の所望の範囲内で、スペクトル特徴(波長又は帯域幅など)を保持又は維持することができる。或いは、この協調及び協力は制御システム165によって使用されて、スペクトル特徴(帯域幅など)を修正し、ウェーハ227上に形成される物理的フィーチャの誤差を補正することができる。
【0069】
各光学的特徴560、562、564は、第1のステージ135(MO435)によって生成される光ビーム470に光学的に結合される。実施態様によっては、スペクトル光学系476は、
図6に示すようなライン狭隘化モジュールであり、
図6は例示的な光学コンポーネントのブロック図である。ライン狭隘化モジュールは、光学的特徴560、562、564として、反射格子680などの分散光学素子と、プリズム682、684、686、688などの屈折光学素子とを含み、プリズムのうちの1つ又は複数は回転可能であることがある。格子680、及びプリズム682、684、686、688のうちの1つ又は複数、などの作動可能な光学的特徴用のそれぞれの作動システムは、
図6には示していない。
【0070】
作動システム554、556、558のアクチュエータの各々は、スペクトル光学系476のそれぞれの光学的特徴560、562、564を移動又は制御するための機械的デバイスである。アクチュエータは、モジュール552からエネルギーを受け取り、そのエネルギーをスペクトル光学系476の光学特徴560、562、564に付与されるある種の運動に変換する。例えば、作動システムは、ビーム拡大器のプリズムのうちの1つ又は複数を回転させるための回転ステージ及び(格子の領域に力を加えるための)力装置であることがある。作動システム554、556、558は、例えば、ステッパモータなどのモータ、バルブ、圧力制御デバイス、圧電デバイス、リニアモータ、油圧アクチュエータ、及びボイスコイルなどの、素子を動かすことができる任意の1つ又は複数のデバイスを含む。
【0071】
スペクトル特徴モジュール550は、スペクトル光学系の1つの光学的特徴に結合された1つの作動システムのみを含み、スペクトル光学系の他の光学的特徴は作動されないままであることも可能である。例えば、
図6では、ライン狭隘化モジュールは、作動システムと結合することによってプリズムのうちの1つのみ(プリズム682など)が作動されるように設定されることができ、プリズム682は、圧電デバイスの制御下で可動であり得る。例えば、プリズム682は、コントローラ552によって制御される圧電デバイスの制御下で可動であるステージにマウントされることがある。
【0072】
エネルギー制御システム155は、ガス放電システム105の第1及び第2のステージ135、140のエネルギー源138、143に接続される。このようにして、エネルギー制御システム155を、ガス放電チャンバ436、441の電極438、443に対する電圧をそれぞれ制御するために使用することができる。
【0073】
図7を参照すると、例示的なモニタリングシステム760が示されている。モニタリングシステム760は、ガス放電システム105の態様を観測又は測定するように仕立てられた一組のサブユニット705、710、715を含む。例えば、モニタリングシステム760は、エネルギーサブユニット705、スペクトル特徴サブユニット710、及び包括的サブユニット715を含む。エネルギーサブユニット705は、ガス放電システム105によって生成された又はガス放電システム105内部の光ビーム170、175、120などの1つ又は複数の増幅光ビームのエネルギーを観測、測定、又は推定し、また、この決定されたエネルギーを示す値又は値の組を出力するように構成される。スペクトル特徴サブユニット710は、ガス放電システム105によって生成された又はガス放電システム105内部の光ビーム170、175、120などの1つ又は複数の増幅光ビームの1つ又は複数のスペクトル特徴(波長及び帯域幅など)を観測、測定、又は推定し、また、これらの決定されたスペクトル特徴を示す値又は値の組を出力するように構成される。包括的サブユニット715は、ガス放電システム105又は出力装置125の他の動作特性を観測、推定、又は測定するように構成されることができる。
【0074】
他の実施態様では、スペクトル特徴選択システム150は、パルス光ビーム120の1つ又は複数のスペクトル特徴を制御するための他のモジュール(例えば、タイミングモジュール)を含む。
【0075】
図8を参照すると、チャンバ136、141で再充填手順を行うとの決定がなされた後で、ガス放電光源100によって手順800が実行される。再充填手順が実行される[802]。再充填手順[802]の間、チャンバ136、141内のガスの全てが入れ替えられる。従って、再充填手順[802]は、チャンバ136、141内の残りのガスの全てを除去することと、これに続いて、チャンバ136、141の各々をガス供給システム145からのガスで充填することとを含むことがある。例えば、制御システム165は、ガス供給システム145に信号を送信して、ガス放電チャンバ136を第1のガス混合物137で充填し、ガス放電チャンバ141を第2のガス混合物142で充填する。制御システム165は、バルブシステム452に信号を送信して、バルブの第1の組を動作させて、特定の配合のガスが1つ又は複数のガス源451A~451Cからガス放電チャンバ436に流れるようにし、かつ、バルブの第2の組を動作させて、特定の配合のガスが1つ又は複数のガス源451A~451Cからガス放電チャンバ441に流れるようにすることができる。
【0076】
上述したように、再充填[802]が完了した後で、それぞれのチャンバ136、141内のガス混合物137、142の特定の動作特性(属性など)に達するための試みがなされる。従って、ガス調節システム110が、ガス調節手順[804]を実行するために使用される。ガス調節手順[804]の間、ガス調節システム110は、例えば、ガス放電チャンバ136、141内のガスの属性若しくは特徴、及び/又は、それぞれのガス放電チャンバ136、141から出力されるパルス光ビーム170、175の属性、などのガス放電システム105の動作特性を(例えば、最適化又は改善するために)自動的に調節する。
【0077】
一旦ガス調節手順[804]が完了すると、ガス放電光源100は、通常条件下で動作して[806]、出力装置125に向けられるパルス光ビーム120を生成する。ガス放電光源100の動作中、再充填手順[802]が行われるべきか否かについての判断が定期的に行われる[808]。例えば、制御システム165は、通常条件下での動作中[806]のガス放電光源100の態様についての情報を分析して、再充填手順[802]が行われるべきか否かを判断することができる。別の例として、制御システム165は、再充填手順[802]がスケジュールに従って自動的に行われることを決定することができ、例えば、ガス放電光源100によって多数の光パルスが生成された後で再充填が行われることがある。一例では、制御システム165は、最後の再充填手順[802]の後で、光ビーム120の20億個のパルスが生成されると、再充填手順[802]が自動的に行われることを決定する。
【0078】
図9を参照すると、例示的なガス調節手順[804A]が行われる。ガス調節手順[804A]では、限界に基づくガス調節手順[905]が、ガス放電システム105の少なくとも1つのガス放電チャンバ136、141で行われる。限界に基づくガス調節手順は、光源100を一組の極限試験条件の下で動作させながら、ガス放電光源100の動作パラメータの極値を探査又は測定する手順である。従って、ガス調節手順[804A]では、限界に基づくガス調節手順[905]を、例えば、第2のステージ140のガス放電チャンバ141などのガス放電チャンバ136、141の一方のみで、又は、ガス放電チャンバ136及び141の両方で、行うことができる。
【0079】
他の実施態様では、
図10に示すように、例示的なガス調節手順[804B]が行われる。ガス調節手順[804B]では、第1のガス放電チャンバ136で第1のガス調節手順が行われ[1004]、この第1のガス調節手順[1004]が完了した後で、第2のガス放電チャンバ141で第2のガス調節手順[1005]が行われる。第2のガス調節手順[1005]は、手順[905]などの限界に基づくガス調節手順とすることができる。具体的には、第2のガス放電チャンバ141でガス調節手順[1005]を実行するのに先立って、第1のガス放電チャンバ136でガス調節手順[1004]を実行し完了することは、有益である。なぜなら、第1のガス放電チャンバ136からの出力(パルス光ビーム170)は、第2のガス放電チャンバ141に供給され、第2のガス放電チャンバ141をシードするために使用され、従って、第1のガス放電チャンバ136の動作特性に対する任意の変更が、第2のガス放電チャンバ141の動作特性を改変又は変更することがあるからである。一方、第2のガス放電チャンバ141の動作特性の変更が、第1のガス放電チャンバ136の動作特性に大きな影響を与える可能性はまずない。従って、この例示的なガス調節手順[804B]では、ガス放電チャンバ136、141に対する調節手順は、互いに分離されている。
【0080】
図11を参照すると、例示的な限界に基づくガス調節手順[1105]が説明されている。手順[1105]は、とりわけ制御システム165の制御下で、ガス放電光源100によって行われる。光源100を一組の極限試験条件の下で動作させながら、光源100の動作パラメータの極値(限界)を推定する[1110]。例えば、光源100の動作パラメータの最大値又は最小値又は最大値及び最小値の両方を推定することができる。例示的な動作パラメータとしては、パルス増幅光ビーム170又は175のエネルギーと、パルス増幅光ビーム170又は175のスペクトル特性(波長又は帯域幅など)が挙げられる。制御システム165は、推定された極値を分析し[1140]、この分析に基づいて、光源100の1つ又は複数の動作特性を調節する必要があるか否かを判断する[1180]。制御システム165が、光源100の1つ又は複数の動作特性を調節する必要があると判断した[1180]場合、制御システム165は、ガス放電光源100の他のコンポーネント(ガス供給システム145、スペクトル特徴選択システム150、又はエネルギー制御システム155など)に1つ又は複数の信号を送信し、それによって光源100の動作特性を調節する[1190]。
【0081】
図12を参照すると、光源100を一組の極限試験条件の下で動作させながら、光源100の動作パラメータの極値(限界)を推定する[1110]ための、例示的な手順[1210]が実行される。
【0082】
手順[1210]は、可能な極限試験条件の組のうちのある極限試験条件の下で光源100を動作させる[1212]ことで開始する。光源100は、以下のように動作することができる。制御システム165がエネルギー制御システム155に信号を送信し、エネルギー制御システム155は、第1のステージ135及び第2のステージ140のエネルギー源138、143とそれぞれインターフェイスする。エネルギー制御システム155は、エネルギーのパルス群(例えば、バースト)の形態で第1のエネルギー源138に電気信号を供給し、それによって、第1のエネルギー源138がエネルギーのパルス群を第1のガス混合物137に供給するようにし、第1のガス混合物137は、十分なエネルギーが供給されかつ他の要件が満たされた場合、第1のパルス増幅光ビーム170を生成し、第1のパルス増幅光ビーム170は第2のステージ140に向けられる。次に、エネルギー制御システム155は、エネルギーのパルス群(例えば、バースト)の形態で第2のエネルギー源143に電気信号を供給し、それによって、第2のエネルギー源143がエネルギーのパルス群を第2のガス混合物142に供給するようにする。また、十分なエネルギーが供給され、かつ他の要件が満たされている場合、第2のパルス増幅光ビーム175を生成し、第2のパルス増幅光ビーム175はビーム準備システム130に向けられる。第2のパルス増幅光ビーム175を生成するために満たされるべき要件の1つは、第1のエネルギー源138に供給される特定のパルスと、第2のエネルギー源143に供給される正しいテンポの次のパルスとの間の相対的な(又は差動の)タイミングは、第1の増幅光ビーム170のパルスが、エネルギーが第2のエネルギー源143に供給されている間の適切な時間にチャンバ141内にあるように、特定の範囲内になければならない、ということである。
【0083】
従って、光源100の動作は、極限試験条件の1つに従っている間に行われ、極限試験条件の具体的な例が、手順[1210]の完全な考察の後で説明される。
【0084】
次に、動作パラメータの極値が測定される[1214]。例えば、モニタリングシステム160は、動作パラメータの値をその最端部で探査又は測定することができ、モニタリングシステム160からの信号は、制御システム165に供給される。制御システム165は、例えば、メモリ300内の又は何等かの他の記憶デバイス内の動作パラメータの極値の組に、測定した値を記憶する[1216]。制御システム165は、この特定の極限試験条件に対して測定されるべき他の極値が存在するか否か、又は、探査されるべき他の極限試験条件が存在するか否かを判断する[1218]。探査される必要がある他の極値又は他の極限試験条件が存在する[1218]場合、制御システム165は、動作パラメータの次の極値を選択して、光源100を動作させる次の極限試験条件を測定又は選択する[1220]。実施態様によっては、各動作パラメータの2つの極値を、2つの異なる極限試験条件において測定する。従って、制御システム165は、他の極限試験条件を探査する必要があるか否かを判断し[1218]、次の極限試験条件及び動作パラメータの次の極値を選択する[1220]。他の極限試験条件又は極値を探査する必要がない[1218]場合、制御システム165は、動作パラメータの推定された極値の全てについての分析を実行し始めることができる[1140]。
【0085】
図13を参照すると、手順[1110]の間に推定された光源100の動作パラメータの記憶された極値(限界)を分析するために、例示的な手順[1340]が(例えば、制御システム165の分析処理システム330により)行われる。手順[1110]の間に推定された各動作パラメータについて、その動作パラメータに対して推定された複数の極値に基づいて、誤差値を計算する[1342]。例えば、誤差値は、その動作パラメータに対して手順[1110]中に推定された極値の全ての加重平均を算出する値であることがある。
【0086】
制御システム165は、(分析処理システム330を介して)、計算された誤差値に基づいて動作特性に対して行われるべき調節のためのサイズ(及び場合によっては方向)を計算する[1346]。制御システム165は、2つ以上の動作特性に対する調節のサイズを同時に計算する、というのも、両方の計算とも、計算された誤差値のうちの2つ以上についての情報を必要とするからである[1342]。
【0087】
図11に戻ると、上述したように、制御システム165は、推定された極値を分析し[1140]、この分析に基づいて、光源100の1つ又は複数の動作特性を調節する必要があるか否かを判断する[1180]。この分析は、2つの部分であることがある。例えば、分析処理システム330が、計算された誤差値は閾値範囲外であると判断した[1344]場合、制御システム165は、光源100の動作特性は許容可能であるとみなし、従って、動作特性を調節する必要はないと判断することがある[1180]。別の例として、分析処理システム330は、光源100の他の動作特徴(ガス混合物の圧力又はアクチュエータの位置など)を分析して、これらの特徴のうちのいずれかが許容範囲外であるか又は許容範囲のエッジ近辺であるか否かを判断することがあり、これらの動作特徴のうちのいずれかが許容範囲外であるか又は許容範囲のエッジ近辺である場合、制御システム165は、光源100の動作特性を調節する必要はないとみなす[1180]、というのも、動作特性を調節すると、これらの動作特徴が許容範囲外になってしまうからである。
【0088】
次に、
図14A及び
図14Bを参照して、極限試験条件及び動作パラメータ極値の具体例について、手順[1210]及び手順[1340]を説明する。
【0089】
例えば、手順[1210]は、
図14Aに示す以下の極限試験条件の下で光源100を動作させることによって、[1212]で開始する。極限試験条件とは即ち、第1のパルス光ビーム170のエネルギーEMOを最小値より上に維持しながら、第1のエネルギー源138に供給されるパルスと第2のエネルギー源143に供給されるパルスとの間で最適な又はほぼ最適な相対的(又は差動)タイミング(Topt)を選択している間に、第1のエネルギー源138に供給される電気信号のエネルギーを低減すること(例えば、電極438又は電極443と438の両方に印加される電圧Vを値Vlowに低減すること、など)である。光源100は、パルスのバースト(例えば、数十又は数百のパルス)に対してこの極限試験条件の下で動作され[1212]、この間、制御システム165は(モニタリングシステム160を介して)、第2のパルス光ビーム175のエネルギーの極値を測定する[1214]。例えば、モニタリングシステム160は、この極限試験条件で達成可能な第2のパルス光ビーム175の最小エネルギーEminを測定又は判定することができる。モニタリングシステム160は、バーストの各パルスについて最小エネルギーEminを測定し、これらの測定値の全ての平均値を判断することができ、その平均値は、制御システム165がメモリ300に記憶する値であり得る[1216]。
【0090】
探査される必要がある追加の極限試験条件が存在する[1218]ので、制御システム165は、次の極限試験条件及び動作パラメータの次の極値を選択し[1220]、手順[1210]は、選択された極限試験条件の下で光源100を動作させることにより、[1212]に続く。選択された極限試験条件(
図14Aに示す)とは、第1のエネルギー源138に供給されるパルスと第2のエネルギー源143に供給されるパルスとの間で最適ではない(又は最も低い最適さの)差動タイミング(Tlow)を選択しながら、第1のエネルギー源138に供給される電気信号のエネルギーを増加させること(例えば、電極438又は電極443と438の両方に印加される電圧Vを値Vhighに増加させることなど)である。光源100は、パルスのバースト(例えば、数十又は数百のパルス)に対してこの極限試験条件の下で動作され[1212]、この間、制御システム165は(モニタリングシステム160を介して)、第2のパルス光ビーム175のエネルギーの別の極値を測定する[1214]。例えば、モニタリングシステム160は、この極限試験条件で達成可能な第2のパルス光ビーム175の最大エネルギーEmaxを測定又は判定することができる。モニタリングシステム160は、バーストの各パルスについて最大エネルギーEmaxを測定し、これらの測定値の全ての平均値を判断することができ、その平均値は、制御システム165がメモリ300に記憶する値であり得る[1216]。
【0091】
探査される必要がある追加の極限試験条件が存在する[1218]ので、制御システム165は、次の極限試験条件及び動作パラメータの次の極値を選択し[1220]、手順[1210]は、
図14Bに示す、選択された極限試験条件の下で光源100を動作させることにより、[1212]に続く。選択された極限試験条件とは、第1のエネルギー源138又はエネルギー源138、143の両方に供給される電気信号に最小の又はより低いエネルギーElowを供給しながら(例えば、電極438及び443に最小電圧を印加しながら、など)、第1のエネルギー源138に供給されるパルスと第2のエネルギー源143に供給されるパルスとの間の差動タイミングを(低い値Tlowに)低減することである。より低いエネルギーElowの値は、パルス光ビーム170又は175のエネルギーが閾値の下限を下回るように、選択される。例えば、より低いエネルギーElowは、パルス光ビーム170又は175のエネルギーが8ミリジュール(mJ)であるように選択されることができ、この値は、公称値の10mJよりも低く、例示的な閾値の8.1mJよりも低い。光源100は、パルスのバースト(例えば、数十又は数百のパルス)に対してこの極限試験条件の下で動作され[1212]、この間、制御システム165は(モニタリングシステム160を介して)、第2のパルス光ビーム175のスペクトル特性の極値を測定する[1214]。例えば、モニタリングシステム160は、この極限試験条件で達成可能な第2のパルス光ビーム175の最大帯域幅BWmaxを測定又は判定することができる。モニタリングシステム160は、バーストの各パルスについて最大帯域幅BWmaxを測定し、これらの測定値の全ての平均値を判断することができ、その平均値は、制御システム165がメモリ300に記憶する値であり得る[1216]。
【0092】
この例では、探査される必要がある追加の極限試験条件が存在し[1218]、従って、制御システム165は、次の極限試験条件及び動作パラメータの次の極値を選択し[1220]、手順[1210]は、
図14Bに示す、選択された極限試験条件の下で光源100を動作させることにより、[1212]に続く。選択された極限試験条件とは、第1のエネルギー源138又はエネルギー源138、143の両方に供給される電気信号に最大の又はより高いエネルギー(Ehigh)を供給しながら(例えば、電極438及び443に最大電圧を印加しながら、など)、第1のエネルギー源138に供給されるパルスと第2のエネルギー源143に供給されるパルスとの間の差動タイミングを(高い値Thighに)増加させることである。より高いエネルギーEhighの値は、パルス光ビーム170又は175のエネルギーが閾値の上限を上回るように、選択される。例えば、より高いエネルギーEhighは、パルス光ビーム170又は175のエネルギーが12mJであるように選択されることができ、この値は、公称値の10mJよりも高く、例示的な閾値上限の11.9mJよりも高い。光源100は、パルスのバースト(例えば、数十又は数百のパルス)に対してこの極限試験条件の下で動作され[1212]、この間、制御システム165は(モニタリングシステム160を介して)、第2のパルス光ビーム175のスペクトル特性の極値を測定する[1214]。例えば、モニタリングシステム160は、この極限試験条件で達成可能な第2のパルス光ビーム175の最小帯域幅BWminを測定又は判定することができる。モニタリングシステム160は、バーストの各パルスについて最小帯域幅BWminを測定し、これらの測定値の全ての平均値を判断することができ、その平均値は、制御システム165がメモリ300に記憶する値であり得る[1216]。
【0093】
この例ではこの時点で、4つの極値、即ち、Emax、Emin、BWmax、BWminがメモリ300に記憶されている[1216]。また、制御システム165は(分析処理システム330を介して)、これらの記憶された極値を分析し始める[1140]。これらの例示的な値の分析を説明する際に、
図13の手順[1340]が参照される。
【0094】
各動作パラメータ(帯域幅BW又は出力エネルギーEのいずれか)について、誤差値(それぞれBWError又はEError)が計算される[1342]。更に、1つの動作パラメータ(帯域幅BWなど)の誤差値は、両方の動作パラメータに対して得られた極値に基づいている(従って、BWmax及びBWminだけでなく、Emax及びEminにも基づく)。このようにして、分析は、動作パラメータと動作特性との間の結合を考慮に入れる。この結合は、一方の動作パラメータを変更することにより、他方の動作パラメータが変化することがあるか、又は動作特性のうちの片方又は両方が影響を受けることがあることを意味している。そのような結合を考慮に入れた分析を行うことにより、動作特性の調節におけるオーバーシュートが回避されるか、又は発生が低減されることができる。
【0095】
実施態様によっては、エネルギーEErrorに対する誤差値は、公称出力エネルギーEnomに関して以下の通り計算することができる。
【数1】
また、帯域幅BWErrorに対する誤差値は、公称帯域幅BWnomに関して以下の通り計算することができる。
【数2】
ここで、Enomはパルス光ビーム170又は175の公称出力エネルギーであり、BWnomはパルス光ビーム170又は175の公称帯域幅である。一例では、パルス光ビーム170又は175の公称出力エネルギーは10mJであり、パルス光ビーム170又は175の公称帯域幅は300フェムトメートル(fm)である。別の例では、パルス光ビーム170又は175の公称出力エネルギーは15mJである。
【0096】
実施態様によっては、EError(及び/又はBWError)に対する方程式は、限界(Emax又はEmin)のうちの一方を他方(Emin又はEmax)よりも偏重するために使用することができる相対的な重み付け係数wを含む。例えば、wの値が大きいほど、最終的なEmaxが大きくなるように偏重され、それによって、最終的な圧力が高くなる。一例では、wは1.5である。
【0097】
分析処理システム330は、これらの計算された誤差値のうちの少なくとも2つに基づいて、各動作特性について調節サイズ(及び必要であれば、方向)を計算する[1346]。分析処理システム330は、値EError及びBWErrorで以下の例示的な手順[1346]を行って、以下の2つの動作特性、即ち、ガス混合物137又は142の圧力P、及びパルス増幅光ビーム170又は175の光学的特徴(帯域幅BWなど)、に対する調節サイズ(及び方向)を計算する。ガス混合物137又は142の圧力に対する調節サイズはdPと呼ばれることがあり、光学的特徴に対する調節サイズはdFによって定められる。パルス増幅光ビーム170、175のいずれか又は両方の帯域幅BWを調節するために、パルス増幅光ビーム170、175のいずれか又は両方の光学倍率を調節することができる。
【0098】
一例では、パルス増幅光ビーム170の光学倍率は、スペクトル特徴選択システム150の制御下でスペクトル光学系476に対する調節を行うことにより、調節される。具体的には、プリズム682、684、686、688のうちの1つ又は複数の位置を(例えば、回転により)変更し、それによって、パルス増幅光ビーム470が格子680に衝突する際のパルス増幅光ビーム470の光学倍率を調節し、かつそれによってパルス増幅光ビーム470の帯域幅を調節する。プリズムに対してなされる調節の量は、用語dFによって与えられる。
【0099】
ガス圧力に対する調節dPは、ガス維持管理処理システム345を介してガス供給システム145に信号を送信して、バルブシステム452の1つ又は複数のバルブを調節し、それによってガス放電チャンバ441からガスを除去する(又は排出する)ことによって、実施される。ガス混合物442の少なくとも一部を第2のガス放電チャンバ441から逃がす(かつ、例えば、ガスダンプ490に送る)ことにより、ガスを第2のガス放電チャンバ441の外へ排出することができる。
【0100】
調節dP及びdFに対する値はまとめて結合される、というのも、それらの動作パラメータの両方に対する変化は、ガス圧及びパルス光ビームの帯域幅に影響を与えることがあるからである。一例では、これらの値は以下のような行列形式で与えられる。
【数3】
ここで、dP/dE、dP/dBW、dF/DE、及びdF/dBWは、較正済定数又は他の変数の関数である。例えば、dP/dEは、パルス光ビーム170又は175のエネルギーをdEだけ変化させるのに必要な圧力の変化dPを指す。dP/dEは、幾つかの実施態様では定数であることがあり、一方他の実施態様では、dP/dEはエネルギーにも依存する。一例として、dF/dBWは、-(γ1-γ2*F)として与えられることがあり、ここでγ1及びγ2は、帯域幅BWと光学的特徴の調節サイズdFとの間の関係における非線形性を補償するように推定される値であり、Fは光学的特徴を調節するためのステップサイズである。一例として、γ1=0.03、γ2=0.001である。上記の計算は、ガス圧に対する調節値(dP)及び光学的特徴に対する調節値(dF)を提供する。
【0101】
dP及びdFについてのこの例示的な方程式から明らかなように、調節を行うための決定はEError及びBWErrorの値に埋め込まれる。従って、EErrorが0である場合、圧力調節dPは不要であり、この場合dPは0になり、又は、BWErrorが0である場合、この場合にはdFが0になるので光学的特徴の調節dFは不要である。
【0102】
従って、制御システム165は、ガス圧及び光学的特徴の動作特性を調節する必要があるか否かを、調節dP及びdFのこれらの値に基づいて判断することができる[1180]。例えば、制御システム165は、例えば、ガス放電チャンバ141内のガス圧が230キロパスカル(kPA)などの最小値よりも大きい場合、かつEmaxの値が12よりも大きい場合、かつEminの値が8よりも大きい場合に、ガス圧をdPだけ調節する(ガス放電チャンバ141からガスの排出を行う)ことができる。制御システム165は、スペクトル光学系476内部の作動システムがその限界にはないか又はその許容範囲の近辺である場合、かつ、ステップサイズdFが、作動システム内部のジッターを防止するための何らかのより低い値よりも大きい場合に、光学的特徴に対する調節dFを行うことができる。
【0103】
調節ステップdP及びdFのサイズは、手順[1105]を通じた各反復後に適応的に変更され、このようにして、光源100の動作のダイナミクスにおける非線形の挙動を取り扱うことができる。更に、動作パラメータの限界(又は極値)に基づいて動作特性に対する調節を行うことにより、光源100の信頼性を向上させることができる、というのも、パルス光ビーム175の低出力エネルギーに起因して、又はパルス光ビーム175の帯域幅を制御するための作動システムの飽和に起因して、生じる問題がより少なくなるからである。
【0104】
図15を参照すると、第2のガス放電チャンバ141でガス調節手順[1005]を実行するのに先立って、第1のガス放電チャンバ136での手順[804B]の間に例示的なガス調節手順[1504]が行われる。ガス調節手順[1504]は、第1のガス放電チャンバ136に対して行われ、ガス調節手順[1005]が第2のガス放電チャンバ141に対して行われる前に、完了する。光源100が動作される[1550]。例えば、パルス増幅光ビーム170が生成されるまで、第1のパルスエネルギー源138を使用して、第1のガス放電チャンバ136にエネルギーが供給される。具体的には、制御システム165はエネルギー制御システム155に信号を送信し、エネルギー制御システム155はエネルギー源138にパルスエネルギーを供給する。次に、第1のガス放電チャンバ136の少なくとも1つの動作パラメータの値が測定される[1552]。例えば、制御システム165は、モニタリングシステム160から動作パラメータの測定値を受け取る。制御システム165(例えば、分析処理システム330)は、測定された値を分析し[1554]、第1のガス放電チャンバ136の動作特性のいずれかを調節する必要があるか否かを判断する[1556]。第1のガス放電チャンバ136の動作特性のいずれかを調節する必要がある[1556]場合、制御システム165は、適切な制御システム(ガス供給システム145、スペクトル特徴選択システム150、又はエネルギー制御システム155など)に1つ又は複数の信号を送信してそれらの動作特性を調節する[1558]。
【0105】
手順[1504]の具体例を次に示す。[1552]において探査することができる第1のガス放電チャンバ136の動作パラメータの例は、第1のガス放電チャンバ136から出力されたパルス増幅光ビーム170のエネルギー(Emo)である。例えば、モニタリングシステム160は、パルス増幅光ビーム170のエネルギーEmoの値を測定することができ、分析処理システム330は、エネルギー源138に供給されるエネルギー及び差動タイミングTが一定に保たれている間に、この測定されたエネルギーEmoを閾値、例えば2.5mJと比較する。分析処理システム330は、測定されたエネルギーEmoがこの閾値よりも大きいと判断した場合、例えば、第1のガス放電チャンバ136からガスを排出することにより、ガス混合物137のガス圧を低減すべきである[1558]との判断を[1556]で行う。ガス混合物137の少なくとも一部を第1のガス放電チャンバ136から逃がす(かつ、例えば、ガスダンプ490に送る)ことにより、ガスを第1のガス放電チャンバ136の外へ排出することができる[1558]。この測定中[1552]にエネルギー源138に供給されるエネルギーは、最大期待電圧(例えば、1100ボルト(V))となるように選択されることがあり、この測定中[1552]の差動タイミングTは、増幅光ビーム170中の皆無かそれに近いエネルギーが第2のステージ140に送られて、より高い電圧で光学系が損傷されるのを防止するように、(最適ではない値で)離調されることがある。
【0106】
調節手順804は、自動的に、即ち、現場サービスエンジニアなどの人による補助なしで、行われることができる。
【0107】
他のステップを、調節手順[905]、[1004]、若しくは[1005]の前又は後で、又は、調節手順[905]、[1004]、[1005]内の任意の時点で、行うことができる。例えば、ガス調節手順804は、光源100の較正下位手順並びに後処理走査を含んで、光源100が期待される水準で動作しているか否かを判定することができる。
【0108】
他の実施態様が、以下の特許請求の範囲内にある。