(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】画像記録媒体、画像記録媒体の製造方法、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20220725BHJP
G03G 8/00 20060101ALI20220725BHJP
G03G 7/00 20060101ALI20220725BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G8/00
G03G7/00 M
G03G7/00 A
(21)【出願番号】P 2018203911
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】荒井 恵
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光佑
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-015862(JP,A)
【文献】特開平07-056410(JP,A)
【文献】特開平07-072695(JP,A)
【文献】特開2000-246804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 7/00-9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシートと第2のシートとの間にトナー像が介在された状態で、トナーを接着剤として
前記第1のシートと前記第2のシートとが重ねて接着された画像記録媒体であって、
前記第1のシートと前記第2のシートとは、いずれも樹脂で形成されて、少なくとも一方のシートに前記トナー像を透視するための透明部が形成
され、
前記第1のシートは、前記第2のシートに対向する面に、第1のトナー像が形成され、
前記第2のシートは、前記第1のシートに対向する面に、前記第1のトナー像と互いに鏡面画像の関係になる第2のトナー像が形成されたことを特徴とする画像記録媒体。
【請求項2】
第1のシートと第2のシートとの間にトナー像が介在された状態で、トナーを接着剤として
前記第1のシートと前記第2のシートとが重ねて接着された画像記録媒体であって、
前記第1のシートと前記第2のシートとは、いずれも透明樹脂シートで
あって、
前記第1のシートは、前記第2のシートに対向する面に、第1のトナー像が形成され、
前記第2のシートは、前記第1のシートに対向する面に、前記第1のトナー像と互いに鏡面画像の関係になる第2のトナー像が形成されたことを特徴とする画像記録媒体。
【請求項3】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色で、
前記第1のシートと前記第2のシートとのうち少なくとも一方のシートにおける画像形成可能領域の全域に
形成されたベタ画像
が、前記接着剤としてさらに用いられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像記録媒体。
【請求項4】
白色で、
前記第1のシートと前記第2のシートとのうち少なくとも一方のシートにおける画像形成可能領域の全域に
形成されたベタ画像
が、前記接着剤としてさらに用いられたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像記録媒体。
【請求項5】
前記ベタ画像を挟むように
前記第1のトナー像と前記第2のトナー像とがオモテ面側とウラ面側とにそれぞれ透視可能に形成されたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像記録媒体。
【請求項6】
第1透明樹脂シートと第2透明樹脂シートとの間にトナー像が介在された状態で、トナーを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとが重ねて接着される画像記録媒体の製造方法であって、
前記第1透明樹脂シートのオモテ面に前記トナー像を形成する作像工程と、
前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記トナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する定着工程と、
前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に前記第2透明樹脂シートを重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像を接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する接着工程と、
を備
え、
前記作像工程において前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記トナー像は、前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に直接的に形成された鏡面画像と、前記鏡面画像を覆うように前記第1透明樹脂シートの画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像と、であることを特徴とする画像記録媒体の製造方法。
【請求項7】
前記第2透明樹脂シートのオモテ面に第2の前記トナー像を形成する第2の作像工程と、
前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記第2のトナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する第2の定着工程と、
を備え、
前記接着工程は、前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に、前記オモテ面に前記第2のトナー像が定着された前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面の側を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像と前記第2のトナー像とを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する工程であることを特徴とする請求項6に記載の画像記録媒体の製造方法。
【請求項8】
前記第2の作像工程において前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記第2のトナー像は、前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面における画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像であることを特徴とする請求項7に記載の画像記録媒体の製造方法。
【請求項9】
第1透明樹脂シートと第2透明樹脂シートとの間にトナー像が介在された状態で、トナーを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとが重ねて接着される画像記録媒体の製造方法であって、
前記第1透明樹脂シートのオモテ面に前記トナー像を形成する作像工程と、
前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記トナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する定着工程と、
前記第2透明樹脂シートのオモテ面に第2の前記トナー像を形成する第2の作像工程と、
前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記第2のトナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する第2の定着工程と、
前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に、前記オモテ面に前記第2のトナー像が定着された前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面の側を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像と前記第2のトナー像とを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する接着工程と、
を備え、
前記第2の作像工程において前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記第2のトナー像は、前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面における前記トナー像と互いに鏡面画像の関係になる画像である
ことを特徴とする画像記録媒体の製造方法。
【請求項10】
第1透明樹脂シートと第2透明樹脂シートとの間にトナー像が介在された状態で、トナーを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとが重ねて接着される画像記録媒体の製造方法であって、
前記第1透明樹脂シートのオモテ面に前記トナー像を形成する作像工程と、
前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記トナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する定着工程と、
前記第2透明樹脂シートのオモテ面に第2の前記トナー像を形成する第2の作像工程と、
前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記第2のトナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する第2の定着工程と、
前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に、前記オモテ面に前記第2のトナー像が定着された前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面の側を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像と前記第2のトナー像とを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する接着工程と、
を備え、
前記第2の作像工程において前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記第2のトナー像は、前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に直接的に形成された鏡面画像と、前記鏡面画像を覆うように前記第2透明樹脂シートの画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像と、であることを特徴とする画像記録媒体の製造方法。
【請求項11】
第1透明樹脂シートと第2透明樹脂シートとの間にトナー像が介在された状態でトナーを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとが重ねて接着された画像記録媒体を、製造する画像形成装置であって、
前記第1透明樹脂シートのオモテ面に前記トナー像を形成する作像部と、
前記作像部で前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記トナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する定着装置と、
前記定着装置で前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に前記第2透明樹脂シートを重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像を接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する接着部と、
を備え、
前記接着部は、前記作像部に向けてシートを搬送するレジストローラ対、又は、前記定着装置であって、
前記作像部によって前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記トナー像は、前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に直接的に形成された鏡面画像と、前記鏡面画像を覆うように前記第1透明樹脂シートの画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像と、であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
第1透明樹脂シートと第2透明樹脂シートとの間にトナー像が介在された状態でトナーを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとが重ねて接着された画像記録媒体を、製造する画像形成装置であって、
前記第1透明樹脂シートのオモテ面に前記トナー像を形成
して、前記第2透明樹脂シートのオモテ面に第2の前記トナー像を形成する作像部と、
前記作像部で前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記トナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着
して、前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記第2のトナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する定着装置と、
前記定着装置で前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に
、前記オモテ面に前記第2のトナー像が定着された前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面の側を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像
と前記第2のトナー像とを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する接着部と、
を備え、
前記接着部は、前記作像部に向けてシートを搬送するレジストローラ対、又は、前記定着装置で
あって、
前記作像部によって前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記第2のトナー像は、前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面における前記トナー像と互いに鏡面画像の関係になる画像であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
第1透明樹脂シートと第2透明樹脂シートとの間にトナー像が介在された状態でトナーを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとが重ねて接着された画像記録媒体を、製造する画像形成装置であって、
前記第1透明樹脂シートのオモテ面に前記トナー像を形成して、前記第2透明樹脂シートのオモテ面に第2の前記トナー像を形成する作像部と、
前記作像部で前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記トナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着して、前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成した前記第2のトナー像を加圧・加熱して前記オモテ面に定着する定着装置と、
前記定着装置で前記オモテ面に前記トナー像が定着された前記第1透明樹脂シートの前記オモテ面の側に、前記オモテ面に前記第2のトナー像が定着された前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面の側を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して前記トナー像と前記第2のトナー像とを接着剤として前記第1透明樹脂シートと前記第2透明樹脂シートとを接着する接着部と、
を備え、
前記接着部は、前記作像部に向けてシートを搬送するレジストローラ対、又は、前記定着装置であって、
前記作像部によって前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に形成される前記第2のトナー像は、前記第2透明樹脂シートの前記オモテ面に直接的に形成された鏡面画像と、前記鏡面画像を覆うように前記第2透明樹脂シートの画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像と、であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2枚のシートが重ねて接着されて形成される画像記録媒体と、その製造方法と、それを製造する画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式のカラープリンタ等の画像形成装置を用いて、トナーを接着剤として2枚のシートを重ねて接着して1枚の画像記録媒体(記録媒体)を製造する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における記録媒体(画像記録媒体)は、トナー像が形成された不透明媒体としての転写紙の画像面側に、透明媒体を重ねた後に、それらを加圧・加熱することによってトナー像を溶融させて、転写紙と透明媒体とを接着している。このとき、転写紙への画像形成は画像形成装置本体の内部でおこなわれ、転写紙と透明媒体との接着は画像形成装置本体の外部に設置された加熱装置でおこなわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像記録媒体は、トナー像を接着剤として2枚のシートを重ねて接着したものであるため、製造が容易であって、低廉で使い勝手が良いものであるというメリットがあった。
しかし、その反面、従来の画像記録媒体は、転写紙と透明媒体とを重ねて接着したものであるため、耐水性が低くかった。そのため、例えば、飲食店においてお客様が飲食するためのテーブル上に常設されるメニューなどのように、濡れやすい環境下で使用されるものには適さなかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、耐水性が高い、画像記録媒体、画像記録媒体の製造方法、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像記録媒体は、第1のシートと第2のシートとの間にトナー像が介在された状態で、トナーを接着剤として前記第1のシートと前記第2のシートとが重ねて接着された画像記録媒体であって、前記第1のシートと前記第2のシートとは、いずれも樹脂で形成されて、少なくとも一方のシートに前記トナー像を透視するための透明部が形成され、前記第1のシートは、前記第2のシートに対向する面に、第1のトナー像が形成され、前記第2のシートは、前記第1のシートに対向する面に、前記第1のトナー像と互いに鏡面画像の関係になる第2のトナー像が形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐水性が高い、画像記録媒体、画像記録媒体の製造方法、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】プロセスカートリッジの近傍を示す断面図である。
【
図3】(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【
図4】別形態としての、(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【
図5】第1、第2透明樹脂シートからなる画像記録媒体の製造工程を示す概略図である。
【
図6】変形例1としての、(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【
図7】変形例1における画像記録媒体の製造工程を示す概略図である。
【
図8】変形例2としての、(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【
図9】変形例3としての、(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【
図10】変形例4としての、(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【
図11】変形例5としての、(A)第1、第2透明樹脂シートをそれぞれオモテ面側から示す図と、(B)第1、第2透明樹脂シートが接着されて形成された画像記録媒体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2はそのプロセスカートリッジ6Yの近傍を示す拡大図である。
本実施の形態における画像形成装置100は、通常の用紙などのシートPに画像を形成する装置として用いられる他、2枚のシートP1、P2が重ねて接着されてなる画像記録媒体PTを製造(作成)するための装置としても用いられる。以下、画像記録媒体PTの説明にはいるまでに説明する画像形成装置100の動作は、主として、通常の用紙などのシートPに画像を形成するときのものである。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置100の上方の一端側には、種類が異なる5つの略筒状のトナー容器32Y、32M、32C、32K、32Sがそれぞれ着脱可能に設置されたトナー補給装置90Y、90M、90C、90K、90Sが並設されている。詳しくは、
図1に示すように、左方にはカラー用の3色(イエロー、マゼンタ、シアン)に対応したトナー容器32Y、32M、32C(トナー補給装置90Y、90M、90C)が、最左方からイエロー、マゼンタ、シアンの順に設置されている。そして、その右方にはブラック(黒色)に対応したトナー容器32K(トナー補給装置90K)が設置され、最右方には特色に対応したトナー容器32S(トナー補給装置90S)が設置されている。
特に、特色に対応したトナー容器32Sは、その内部に収容されたトナーがすべて消費される前に、ユーザーの用途に応じて、他の種類の特色用のトナー容器32Sに交換される場合が多く、その交換頻度が他のトナー容器32Y、32M、32C、32Kに比べて多くなるため、その交換作業がしやすい最右方の位置に配置されている。
【0012】
図1を参照して、ブラック用のトナー補給装置90Kは、ブラック用のトナー容器32Kに収容されたブラックトナーを、ブラック用の現像装置に補給するためのものである。
また、カラー用の3つのトナー補給装置90Y、90M、90Cは、それぞれ、カラー用のトナー容器32Y、32M、32Cに収容されたカラー(イエロー、マゼンタ、シアン)のトナーを、カラー用の現像装置にそれぞれ補給するためのものである。
また、特色用のトナー補給装置90Sは、特色用のトナー容器32Sに収容された特色のトナーを、特色用の現像装置に補給するためのものである。
【0013】
ブラックトナーや、カラートナー(イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー)や、特殊トナーとしては、公知のものを用いることができる。
特に、特殊トナーは、ブラックトナーやカラートナーとは異なるもので、ユーザーの用途に合わせて公知の白色トナー、クリアトナー(透明トナー、無色トナー、無彩色トナー、ノーピグメントトナーなどである。)、金色トナー、銀色トナーなどを用いることができる。
【0014】
図1を参照して、画像形成装置1の上部には、それぞれ、5つの露光部7Y、7M、7C、7K、7Sが設置され、その下方に各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、特色)に対応したプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sが、中間転写ベルトユニット15(中間転写ベルト8)に対向するように並設されている。
図1に示すように、5つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sの基本的な並び順(配列)は、中間転写ベルト8の走行方向上流側から、特色用のプロセスカートリッジ6S、イエロー用のプロセスカートリッジ6Y、マゼンタ用のプロセスカートリッジ6M、シアン用のプロセスカートリッジ6C、ブラック用のプロセスカートリッジ6K、となっている。そして、この並び順(配列)は、ユーザーの用途に応じて適宜に変更できるように構成されている。
【0015】
特色のトナーは1つの種類のものに限定されることなく、ユーザーの用途に応じて、種類の異なる特色用のトナー容器32Sが適宜に交換される場合が多い。例えば、クリアトナー用のトナー容器32Sから白色トナー用のトナー容器32Sに交換されるような場合である。
そして、そのような場合に、特色トナーの種類に応じて、特色用のプロセスカートリッジ6Sの並び順(配列)を、中間転写ベルト8の走行方向最上流側から走行方向最下流側に変更した方が良い場合がある。例えば、特色トナーとしてクリアトナーが用いられる場合には、画像の光沢性を向上させる目的で用いられることが多いため、中間転写ベルト8上に最初に1次転写されることが望ましく、
図1に示すように、特色用のプロセスカートリッジ6Sが中間転写ベルト8の走行方向最上流に配置される。これに対して、特色トナーとして白色トナーが用いられる場合には、一般的に白色ではない有色のシートP上に画像を形成する目的で用いられることが多いため、シートP上の最下層に2次転写されることが望ましく、特色用のプロセスカートリッジ6Sが中間転写ベルト8の走行方向最下流に配置される。そして、そのような特色用のプロセスカートリッジ6Sの設置位置の変更にともない、黒色用のプロセスカートリッジ6Kの設置位置が入れ替えられるように変更されることになる。また、これらの入れ替え作業は、画像形成装置100の外装部に設置された表示パネルに表示される操作マニュアルに基いて、ユーザー(又は、サービスマン)によって手動でおこなわれることになる。
【0016】
ここで、
図2を参照して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Yと、が一体化されたユニットである。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0017】
なお、他の4つのプロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sも、使用されるトナーの色(種類)が異なる以外は、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の4つのプロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sの説明を適宜に省略して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0018】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、駆動モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7Y(書込み装置)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0019】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0021】
なお、上述した作像プロセスは、他のプロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sでも、イエローのプロセスカートリッジ6Yと同様におこなわれる。すなわち、プロセスカートリッジの上方に配設された各露光部7M、7C、7K、7Sから、画像情報に基いたレーザ光Lが、各プロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sの感光体ドラム上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上に所望のカラー画像が形成される。
【0022】
なお、中間転写ベルトユニット15(中間転写ベルト装置)は、中間転写ベルト8、5つの1次転写ローラ(9Y)、駆動ローラ、2次転写対向ローラ、複数のテンションローラ、クリーニング対向ローラ、中間転写クリーニング装置、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)の回転駆動によって
図1の矢印方向(時計方向)に無端移動される。
【0023】
5つの1次転写ローラ(9Y)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1Sとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ(9Y)に、トナーの極性とは逆の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ(9Y)の1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K、1S上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0024】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップ(画像形成部)を形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0025】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
このように、プロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sや、露光部7M、7C、7K、7Sや、中間転写ベルトユニット15や、2次転写ローラ19などが、シートP上にトナー像を形成する「作像部」として機能することになる。
【0026】
ここで、
図1を参照して、2次転写ニップ(画像形成部)の位置に搬送されるシートPは、画像形成装置100の下方に配設された給紙ユニット26(給紙カセット)から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等が配設された搬送経路K1を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙ユニット26には、シートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0027】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0028】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、排出搬送経路K2を経由して排紙ローラ対によって装置100から排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置100において、片面プリントモード時における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0029】
なお、
図1を参照して、シートPの両面(オモテ面とウラ面とである。)へのプリントをおこなう「両面プリントモード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了したシートPは、切替爪の動作により、上述した「片面プリントモード」が選択されているときのようにそのまま画像形成装置100から排出されることなく、反転搬送経路K3に導かれる。そして、反転搬送経路K3に導かれたシートPは、その搬送方向が反転された後に、両面搬送経路K4に導かれる。そして、両面搬送経路K4に導かれたシートPは、再び2次転写ニップ(画像形成部)の位置に向けて搬送される。そして、2次転写ニップの位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセス(画像形成動作)によってシートPのウラ面への画像形成がおこなわれ、その後に定着装置20での定着工程を経て、排出搬送経路K2を経由して、画像形成装置100から排出される。
【0030】
次に、
図2を用いて、プロセスカートリッジにおける現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51、現像ローラ51に対向するドクターブレード52、現像剤収容部に配設された2つの搬送スクリュ55と、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56、現像剤収容部にトナーを補給するためのユニット側開口部57、等で構成される。現像ローラ51は、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0031】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51のスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51上を移動する。
【0032】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、トナー補給装置90Yによって現像装置5Y内に補給される。
その後、現像装置5Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55によって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、仕切り部材によって仕切られた2つの現像剤収容部を循環する(
図2の紙面垂直方向の長手方向の移動である。)。そして、2成分現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51上に担持される。
【0033】
現像ローラ51上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転方向に沿うように搬送されて、ドクターブレード52の位置に達する。そして、現像ローラ51上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51から離脱されて現像剤収容部に戻される。
【0034】
以下、
図3~
図5等を用いて、本実施の形態において特徴的な、画像記録媒体PTについて説明する。
図3(B)に示す画像記録媒体PTは、2枚のシートP1、P2の間にトナー像(情報画像X1)が介在された状態で、トナー(情報画像X1)を接着剤として2枚のシートP1、P2が重ねて接着されたシート複合体である。
そして、本実施の形態における画像記録媒体PTは、2枚のシートP1、P2が、いずれも樹脂で形成されていて、少なくとも一方のシートにトナー像(情報画像X1)を透視するための透明部が形成されている。換言すると、2枚のシートP1、P2が、いずれも耐水性材料で形成されていて、少なくとも一方のシートにトナー像(情報画像X1)を透視するための透明部が形成されている。
なお、この「透明部」(又は、「透明」)とは、その部分を挟んで反対側にある画像を視認できる程度の透明度のもの(又は、状態)で足りて、必ずしも100%の透明度のもの(又は、状態)のみを指すものではないものと定義する。
【0035】
具体的に、本実施の形態において、画像記録媒体PTを構成する2枚のシートは、いずれも透明樹脂シート(第1透明樹脂シートP1と第2透明樹脂シートP2とである。)である。すなわち、2枚のシートP1、P2は、いずれも全部が透明部となっている。また、2枚の透明樹脂シートP1、P2は、いずれも、PET(ポリエチレンテレフタレート)など、耐水性のある透明な樹脂材料で形成されたシートである。
【0036】
さらに詳しくは、
図3(A)に示すように、第1透明樹脂シートP1の表面には、ユーザーが意図した情報画像X1(トナー像)が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、特色のうち単色又は複数混色により、ほぼ全面に形成されている。
図3(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」の文字が形成され、その他の部分がそれとは異なる色合いで形成されている。そして、第1透明樹脂シートP1の表面(オモテ面)に形成された情報画像X1が挟まれるように、第2透明樹脂シートP2(画像は形成されていない。)が第1透明樹脂シートP1に重ね合される。このとき、重ね合された2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力及び熱(又は、圧力のみ)が加えられて、それにより情報画像X1(トナー)が接着剤となって
図3(B)に示すような画像記録媒体PTが製造(作成)されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図3(B)に示す白矢印方向(第2透明樹脂シートP2の側)を正方向(オモテ側)として第1透明樹脂シートP1上に形成した情報画像X1を視認することになる。
【0037】
これに対して、
図4(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」を反転した文字(鏡面画像)が形成され、その他の部分がそれとは異なる色合いで形成されている。そして、第1透明樹脂シートP1の表面に形成された情報画像X1が挟まれるように、第2透明樹脂シートP2が第1透明樹脂シートP1に重ね合されて、圧力及び熱を加えることにより
図4(B)に示すような画像記録媒体PTが製造(作成)されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図4(B)に示す白矢印方向(第1透明樹脂シートP1の側)を正方向(オモテ側)として第1透明樹脂シートP1上に形成した情報画像X1を視認することになる。
【0038】
このように、本実施の形態における画像記録媒体PTは、トナーを接着剤として2枚のシートP1、P2を重ねて接着したものであるため、別に接着剤を用いる場合に比べて、制約も少なく、製造が容易であって、低廉で使い勝手が良いものとなる。
また、本実施の形態における画像記録媒体PTは、2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせて形成したものであるため、通常の用紙を用いたものに比べて、耐水性が高く、さらにはキズがつきにくく耐久性も高くなる。また、本実施の形態における画像記録媒体PTは、同じ材料からなる2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせて形成したものであるため、異なる材料からなる2枚のシートを貼り合わせたものに比べて、環境変化などによる2枚のシートの伸縮の程度が同等になり、丸まりが生じにくくなる。
したがって、本実施の形態における画像記録媒体PTは、濡れやすい環境下や、耐久性が求められる環境下や、変動が生じやすい環境下などであっても、情報が記録された媒体として好適に用いることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、2枚のシートP1、P2の間のほぼ表面全域(全面)に情報画像X1を形成して、その情報画像X1(トナー)を接着剤として、2枚のシートP1、P2を貼り合わして画像記録媒体PTを形成した。しかし、2枚のシートP1、P2の間に接着剤として介在されるトナーの範囲は、そのように表面全域(全面)でなくても良く、例えば、表面の周囲(縁部)の全域(全周)にのみ略環状にトナー(接着剤)を介在させて、表面の中央部にはトナーが介在させずに中央部を透視できるように構成しても良い。また、そのような場合に、接着剤として用いられるトナーは、単色であっても良いし、複数色であっても良い。
【0040】
ここで、本実施の形態において、画像記録媒体PTは、先に
図1、
図2を用いて説明した画像形成装置100によって製造されるものである。このような画像記録媒体PTを製造するときには、先に
図1、
図2を用いて説明した通常のプリント動作(画像形成動作)とは別に、操作部の操作などによって「特殊プリントモード」が選択される。
【0041】
以下、画像記録媒体PTの製造方法と、画像記録媒体PTを製造する画像形成装置100について説明する。
先に
図3、
図4を用いて説明したように、画像記録媒体PTは、第1透明樹脂シートP1と第2透明樹脂シートP2との間にトナー像(情報画像X1)が介在された状態で、トナー(情報画像X1)を接着剤として第1透明樹脂シートP1と第2透明樹脂シートP2とが重ねて接着されたものである。
このような画像記録媒体PTの製造方法は、大きく、作像工程と定着工程と接着工程とに分類される。
【0042】
作像工程は、第1透明樹脂シートP1のオモテ面にトナー像を形成する工程であって、画像形成装置100における作像部(プロセスカートリッジ6M、6C、6K、6Sや、露光部7M、7C、7K、7Sや、中間転写ベルトユニット15や、2次転写ローラ19などからなる。)でおこなわれる。
定着工程は、作像工程によって第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成したトナー像を加圧・加熱してそのオモテ面に定着する工程であって、定着装置20でおこなわれる。
接着工程は、定着工程においてオモテ面にトナー像が定着された第1透明樹脂シートP1のオモテ面の側に第2透明樹脂シートP2を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して、そのトナー像を接着剤として第1透明樹脂シートP1と第2透明樹脂シートP2とを接着する工程である。本実施の形態では、このような接着工程が、作像部に向けてシートPを搬送するレジストローラ対28や、定着装置20でおこなわれる。すなわち、レジストローラ対28や定着装置20が、第1透明樹脂シートP1と第2透明樹脂シートP2とを接着する接着部として機能することになる。
【0043】
具体的に、
図5(A)~(C)は、
図3、
図4に示す画像記録媒体PTの製造工程を示す図である。
画像形成記録媒体PTが製造されるとき、給紙ユニット26には透明樹脂シートがセットされる。また、画像形成装置100の操作部の操作や、画像形成装置100に繋がれたパソコンの操作などによって、「特殊プリントモード」が選択される。また、画像記録媒体PTに形成する情報画像X1なども、操作部やパソコンの操作などによって入力指示される。
そして、まず、第1透明樹脂シートP1に対して作像工程と定着工程とがおこなわれ、その第1透明樹脂シートP1が
図5(A)に示すように、レジストローラ対28の位置に搬送される。詳しくは、先に
図1を用いて説明した「両面プリントモード」と同様に、給紙ユニット26から給送された第1透明樹脂シートP1に対して作像工程、定着工程がおこなわれて、所望のトナー像(情報画像X1)が定着された第1透明樹脂シートP1が反転搬送経路K3、両面搬送経路K4を経由してレジストローラ対28の位置まで搬送され、その位置で待機した状態になる。このとき、第1透明樹脂シートP1のトナー像(情報画像X1)は、下方を向いた状態(オモテ面が下方を向いた状態)になる。
そして、
図5(B)に示すように、第1透明樹脂シートP1が待機した状態のレジストローラ対28の位置に向けて、給紙ユニット26から第2透明樹脂シートP2が給送される。このとき、第1透明樹脂シートP1の下面の情報画像X1を第2透明樹脂シートP2との間に挟むため、切替部材29(第2透明樹脂シートP2の搬送を妨げないような形状で形成されている。)によって第1透明樹脂シートP1が上方に持ち上げられた状態になる。
【0044】
そして、
図5(C)に示すように、第1透明樹脂シートP1の先端と、第2透明樹脂シートP2の先端と、がレジストローラ対28のニップ部で位置合わせされた状態で、レジストローラ対28の回転駆動が開始されて、2枚の透明樹脂シートP1、P2が搬送されながら、レジストローラ対28のニップ部の圧力で、情報画像X1が接着剤となって2枚の透明樹脂シートP1、P2が接着されることになる。
具体的に、レジストローラ対28の位置で待機していた第1透明樹脂シートP1は定着工程がおこなわれてからあまり時間が経過していないため、情報画像X1(トナー)の温度がある程度高い状態で、2枚の透明樹脂シートP1、P2がレジストローラ対28のニップ部を通過することになる。そのため、レジストローラ対28による圧力のみでも、情報画像X1(トナー)が充分に接着剤として機能して、2枚の透明樹脂シートP1、P2が接着されることになる。こうして、2枚の透明樹脂シートP1、P2が接着されてなる画像記録媒体PTが製造されることになる。
その後、レジストローラ対28の位置で製造された画像記録媒体PTは、2次転写ニップを通過した後、定着装置20を通過して、排出搬送経路K2を経由して画像形成装置100から排出されることになる。このとき、画像記録媒体PTは、定着装置20による加圧・加熱により、情報画像X1(トナー)が加熱・溶融された状態で2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力が加えられることになるため、情報画像X1(トナー)を接着剤とした2枚の透明樹脂シートP1、P2の接着強度が強まることになる。
【0045】
<変形例1>
図6(A)は、変形例1としての第1、第2透明樹脂シートP1、P2をそれぞれオモテ面側から示す図であって、
図6(B)は、その第1、第2透明樹脂シートP1、P2が接着されて形成された画像記録媒体PTを示す側面図であって、それぞれ本実施の形態における
図3(A)、(B)に対応する図である。また、
図7は、変形例1における画像記録媒体PTの製造工程を示す概略図であって、本実施の形態における
図5に対応する図である。
変形例1における画像記録媒体PTも、本実施の形態のものと同様に、トナー(情報画像)を接着剤として2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせて形成したものであるが、その接着剤として用いるトナー(情報画像)の態様が本実施の形態のものと相違する。
【0046】
変形例1では、
図6(A)に示すように、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に、ユーザーが意図した情報画像X1(トナー像)が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、特色のうち単色又は複数混色により、ほぼ全面に形成されている。そして、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に、第1透明樹脂シートP1の情報画像X1(トナー像)と互いに鏡面画像の関係になる情報画像X2(第2のトナー像)が形成されている。
図6(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」の文字が形成され、その他の部分がそれとは異なる色合いで形成されている。そして、第2透明樹脂シートP2の表面には、第1透明樹脂シートP1の情報画像X1を反転させた情報画像X2が形成されている。そして、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成された情報画像X1と、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成された情報画像X2と、が重なり挟まれるように、第1、第2透明樹脂シートP1、P2が重ね合される。このとき、重ね合された2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力及び熱(又は、圧力のみ)が加えられて、それにより情報画像X1、X2(トナー)が接着剤となって
図6(B)に示すような画像記録媒体PTが製造されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図6(B)に示す白矢印方向(第2透明樹脂シートP2の側)を正方向として第1、第2透明樹脂シートP1、P2上に形成した情報画像X1、X2を視認することになる。
【0047】
ここで、変形例1のような画像記録媒体PTを、画像形成装置100を用いて製造する場合、先に
図5等を用いて説明した作像工程と定着工程と接着工程との他に、第2の作像工程と第2の定着工程とがおこなわれることになる。
第2の作像工程は、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に情報画像X2(第2のトナー像)を形成する工程であって、画像形成装置100における作像部でおこなわれる。この第2の作像工程において第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成される第2のトナー像は、第1透明樹脂シートP1のオモテ面におけるトナー像と互いに鏡面画像の関係になる画像となる。
第2の定着工程は、第2の作像工程によって第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成した情報画像X2(第2のトナー像)を加圧・加熱してオモテ面に定着する工程であって、定着装置20でおこなわれる。
したがって、変形例1における接着工程は、オモテ面に情報画像X1(トナー像)が定着された第1透明樹脂シートP1のオモテ面の側に、オモテ面に情報画像X2(第2のトナー像)が定着された第2透明樹脂シートP2のオモテ面の側を重ねた状態で、加圧、又は、加圧・加熱して情報画像X1、X2(トナー像と第2のトナー像とである。)を接着剤として第1透明樹脂シートP1と第2透明樹脂シートP2とを接着する工程となる。変形例1においても、このような接着工程が、レジストローラ対28や定着装置20でおこなわれる。
【0048】
具体的に、
図7(A)~(B)は、
図6に示す画像記録媒体PTの製造工程を示す図である。
まず、第1透明樹脂シートP1に対して作像工程と定着工程とがおこなわれ、その第1透明樹脂シートP1が
図7(A)に示すように、レジストローラ対28の位置に搬送される。詳しくは、先に
図1を用いて説明した「両面プリントモード」と同様に、給紙ユニット26から給送された第1透明樹脂シートP1に対して作像工程、定着工程がおこなわれて、所望のトナー像(情報画像X1)が定着された第1透明樹脂シートP1が反転搬送経路K3、両面搬送経路K4を経由してレジストローラ対28の位置まで搬送される。このとき、第1透明樹脂シートP1のトナー像(情報画像X1)は、下方を向いた状態になる。
そして、
図7(B)に示すように、第1透明樹脂シートP1をさらに反転搬送経路K3、両面搬送経路K4を経由してレジストローラ対28の位置に向けて搬送するとともに、2次転写ニップにおいて第2の作像工程で情報画像X2を形成するために給紙ユニット26から第2透明樹脂シートP2が給送される。
そして、
図7(C)に示すように、第1透明樹脂シートP1が待機した状態のレジストローラ対28の位置に向けて、第2の作像工程、第2の定着工程がおこなわれて、所望のトナー像(情報画像X2)が定着された第2透明樹脂シートP2が反転搬送経路K3、両面搬送経路K4を経由してレジストローラ対28の位置まで搬送される。このとき、第1透明樹脂シートP1の情報画像X1(トナー像)は上方を向いた状態になり、第2透明樹脂シートP2の情報画像X2(第2のトナー像)は下方を向いた状態になる。そのため、第1透明樹脂シートP1の上面の情報画像X1と、第2透明樹脂シートP2の下面の情報画像X2と、重ね合わせるため、切替部材29による第1透明樹脂シートP1の持ち上げはおこなわずに、自重により下方に位置する第1透明樹脂シートP1の上方に第2透明樹脂シートP2が搬送されることになる。
そして、
図7(D)に示すように、第1透明樹脂シートP1の先端と、第2透明樹脂シートP2の先端と、がレジストローラ対28のニップ部で位置合わせされた状態で、レジストローラ対28の回転駆動が開始されて、2枚の透明樹脂シートP1、P2が搬送されながら、レジストローラ対28のニップ部の圧力で、情報画像X1、X2が接着剤となって2枚の透明樹脂シートP1、P2が接着されることになる。
その後、レジストローラ対28の位置で製造された画像記録媒体PTは、2次転写ニップを通過した後、定着装置20を通過して、排出搬送経路K2を経由して画像形成装置100から排出されることになる。このとき、画像記録媒体PTは、定着装置20による加圧・加熱により、2枚の透明樹脂シートP1、P2がさらに強く接着されることになる。
そして、変形例1においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0049】
<変形例2>
図8(A)は、変形例2としての第1、第2透明樹脂シートP1、P2をそれぞれオモテ面側から示す図であって、
図8(B)は、その第1、第2透明樹脂シートP1、P2が接着されて形成された画像記録媒体PTを示す側面図であって、それぞれ本実施の形態における
図3(A)、(B)に対応する図である。
変形例2における画像記録媒体PTも、本実施の形態のものと同様に、トナーを接着剤として2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせて形成したものであるが、その接着剤としてのトナーとして情報画像X1の他に背景画像Y1(ベタ画像)が用いられている点が、本実施の形態のものと相違する。
【0050】
変形例2では、
図8(A)に示すように、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に、ユーザーが意図した情報画像X1(トナー像)が鏡面画像で形成され、さらにその情報画像X1を覆うようにベタ画像としての背景画像Y1が形成されている。
図8(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」の文字を反転させた鏡面画像X1が形成され、第1透明樹脂シートP1における画像形成可能領域の全域(装置設定上の余白を除く部分である。)にベタ画像としての単色の背景画像Y1が形成されている。そして、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成された情報画像X1及び背景画像Y1が挟まれるように、第1、第2透明樹脂シートP1、P2が重ね合される。このとき、重ね合された2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力及び熱(又は、圧力のみ)が加えられて、それにより情報画像X1及び背景画像Y1(トナー)が接着剤となって
図8(B)に示すような画像記録媒体PTが製造されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図8(B)に示す白矢印方向(第1透明樹脂シートP1の側)から背景画像Y1上の情報画像X1を視認することになる。
【0051】
このように、変形例2では、2枚の透明樹脂シートP1、P2を接着する接着剤としてのトナーは、情報画像X1の他に、背景画像Y1(ベタ画像)も含まれることになる。
ここで、変形例2における画像記録媒体PTにおいて、背景画像Y1(ベタ画像)は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色で形成したものであることが好ましい。これにより、主としてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうち単色又は複数色を選択して形成した情報画像X1を視認しやすくなる。すなわち、背景画像Y1上に形成された情報画像X1の色再現性が向上することになる。
特に、変形例2における画像記録媒体PTにおいて、背景画像Y1(ベタ画像)を白色で形成した場合には、背景画像Y1上に形成された情報画像X1の視認性がさらに向上することになる。
【0052】
ここで、変形例2における画像記録媒体PTの製造工程は、概ね先に
図5を用いて説明したものと同じになる。ただし、その作像工程において第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成されるトナー像は、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に直接的に形成された鏡面画像(情報画像X1)と、その鏡面画像(情報画像X1)を覆うように第1透明樹脂シートP1の画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像(背景画像Y1)と、になる。
なお、そのような作像工程では、鏡面画像(情報画像X1)とベタ画像(背景画像Y1)とを中間転写ベルト8上に重ねて形成してから、その重ねた画像X1、Y1を2次転写ニップの位置で第1透明樹脂シートP1に転写することになる。その場合、情報画像X1と背景画像Y1とに同色のトナー(プロセスカートリッジ)が使用されている場合や、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sの配列から中間転写ベルト8上において背景画像Y1上に情報画像X1を重ねることができない場合には、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sの位置を中間転写ベルト8が2回以上通過するように動作させることになる。
そして、変形例2においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
<変形例3>
図9(A)は、変形例3としての第1、第2透明樹脂シートP1、P2をそれぞれオモテ面側から示す図であって、
図9(B)は、その第1、第2透明樹脂シートP1、P2が接着されて形成された画像記録媒体PTを示す側面図であって、それぞれ本実施の形態における
図3(A)、(B)に対応する図である。
変形例3における画像記録媒体PTも、前記変形例2のものと同様に、2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせる接着剤としてのトナーとして情報画像X1の他に背景画像(ベタ画像)が用いられているが、製造工程において背景画像Y2(ベタ画像)が第2透明樹脂シートP2側に形成される点が、前記変形例2のものと相違する。
【0054】
変形例3では、
図9(A)に示すように、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に、情報画像X1(トナー像)が鏡面画像で形成されている。また、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に、ベタ画像としての背景画像Y2が形成されている。
図9(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」の文字を反転させた鏡面画像X1が形成され、第2透明樹脂シートP2における画像形成可能領域の全域(装置設定上の余白を除く部分である。)にベタ画像としての単色の背景画像Y2が形成されている。そして、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成された情報画像X1と、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成された背景画像Y2と、が挟まれるように、第1、第2透明樹脂シートP1、P2が重ね合される。このとき、重ね合された2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力及び熱(又は、圧力のみ)が加えられて、それにより情報画像X1及び背景画像Y2(トナー)が接着剤となって
図9(B)に示すような画像記録媒体PTが製造されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図9(B)に示す白矢印方向(第1透明樹脂シートP1の側)から背景画像Y2上の情報画像X1を視認することになる。
なお、背景画像Y2(ベタ画像)は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色で形成したもの(特に、白色)とすることで、背景画像Y2上に形成された情報画像X1の色再現性が向上することになる。
【0055】
ここで、変形例3における画像記録媒体PTの製造工程は、概ね先に
図7を用いて説明したものと同じになる。ただし、その第2の作像工程において第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成される第2のトナー像は、第2透明樹脂シートP2の画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像(背景画像Y2)になる。
そして、変形例3においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0056】
<変形例4>
図10(A)は、変形例4としての第1、第2透明樹脂シートP1、P2をそれぞれオモテ面側から示す図であって、
図10(B)は、その第1、第2透明樹脂シートP1、P2が接着されて形成された画像記録媒体PTを示す側面図であって、それぞれ本実施の形態における
図3(A)、(B)に対応する図である。
変形例4における画像記録媒体PTも、前記変形例2、3のものと同様に、2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせる接着剤としてのトナーとして情報画像や背景画像(ベタ画像)が用いられているが、片面側から視認できる情報画像X1とは別の情報画像X2が他面側から視認できるように形成される点が、前記変形例2、3のものと相違する。すなわち、変形例4における画像記録媒体PTは、ベタ画像Y1、Y2を挟むように2つのトナー像X1、X2がオモテ面側とウラ面側とにそれぞれ透視可能に形成されることになる。
【0057】
変形例4では、
図10(A)に示すように、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に、情報画像X1(トナー像)が鏡面画像で形成され、さらにその情報画像X1を覆うようにベタ画像(トナー像)としての背景画像Y1が形成されている。また、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に、情報画像X2(第2のトナー像)が鏡面画像で形成され、さらにその情報画像X1を覆うようにベタ画像(第2のトナー像)としての背景画像Y2が形成されている。
図10(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」の文字を反転させた鏡面画像X1が形成され、その鏡面画像X1を覆うように第1透明樹脂シートP1における画像形成可能領域の全域にベタ画像としての背景画像Y1が形成されている。また、第2透明樹脂シートP2の表面には、その中央に「N」の文字を反転させた鏡面画像X2が形成され、その鏡面画像X2を覆うように第2透明樹脂シートP2における画像形成可能領域の全域にベタ画像としての背景画像Y2が形成されている。
そして、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成された情報画像X1及び背景画像Y1と、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成された情報画像X2及び背景画像Y2と、が挟まれるように、第1、第2透明樹脂シートP1、P2が重ね合される。このとき、重ね合された2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力及び熱(又は、圧力のみ)が加えられて、それにより情報画像X1、X2及び背景画像Y1、Y2が接着剤となって
図10(B)に示すような画像記録媒体PTが製造されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図10(B)において白矢印方向で示すように、第1透明樹脂シートP1の側から背景画像Y1上の情報画像X1を視認することができ、第2透明樹脂シートP2の側から背景画像Y2上の情報画像X2を視認することができることになる。
なお、背景画像Y1、Y2(ベタ画像)は、どのような色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)で形成しても良い。しかし、背景画像Y1、Y2(ベタ画像)を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色で形成したもの(特に、白色)とすることで、背景画像Y1、Y2上に形成された情報画像X1、X2の色再現性が向上することになる。
【0058】
ここで、変形例4における画像記録媒体PTの製造工程は、概ね先に
図7を用いて説明したものと同じになる。ただし、その第2の作像工程において第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成される第2のトナー像は、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に直接的に形成された鏡面画像(情報画像X2)と、その鏡面画像(情報画像X2)を覆うように第2透明樹脂シートP2の画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像(背景画像Y2)と、になる。
また、第2の作像工程においても、先に変形例2で述べた作像工程と同様に、必要に応じて、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K、6Sの位置を中間転写ベルト8が2回以上通過するように動作させることになる。
そして、変形例4においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例4では、耐水性、耐久性が高くて、丸まりにくい、両面プリントされた画像記録媒体PTを提供することが可能になる。
【0059】
<変形例5>
図11(A)は、変形例5としての第1、第2透明樹脂シートP1、P2をそれぞれオモテ面側から示す図であって、
図11(B)は、その第1、第2透明樹脂シートP1、P2が接着されて形成された画像記録媒体PTを示す側面図であって、それぞれ本実施の形態における
図3(A)、(B)に対応する図である。
変形例5における画像記録媒体PTも、前記変形例2のものと同様に、2枚の透明樹脂シートP1、P2を貼り合わせる接着剤としてのトナーとして情報画像や背景画像(ベタ画像)が用いられているが、第2透明樹脂シートP2にも背景画像Y2(ベタ画像)が形成される点が、前記変形例2のものと相違する。
【0060】
変形例5では、
図11(A)に示すように、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に、情報画像X1(トナー像)が鏡面画像で形成され、さらにその情報画像X1を覆うようにベタ画像(トナー像)としての背景画像Y1が形成されている。また、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に、ベタ画像(第2のトナー像)としての背景画像Y2が形成されている。
図11(A)の例では、第1透明樹脂シートP1の表面には、その中央に「R」の文字を反転させた鏡面画像X1が形成され、第1透明樹脂シートP1における画像形成可能領域の全域にベタ画像としての背景画像Y1が形成されている。また、第2透明樹脂シートP2の表面には、その画像形成可能領域の全域にベタ画像としての背景画像Y2が形成されている。
そして、第1透明樹脂シートP1のオモテ面に形成された情報画像X1及び背景画像Y1と、第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成された背景画像Y2と、が挟まれるように、第1、第2透明樹脂シートP1、P2が重ね合される。このとき、重ね合された2枚の透明樹脂シートP1、P2に圧力及び熱(又は、圧力のみ)が加えられて、それにより情報画像X1及び背景画像Y1、Y2が接着剤となって
図11(B)に示すような画像記録媒体PTが製造されることになる。
このように製造された画像記録媒体PTは、
図11(B)に示す白矢印方向(第1透明樹脂シートP1の側)から背景画像Y1、Y2上の情報画像X1を視認することになる。
なお、背景画像Y1、Y2(ベタ画像)は、どのような色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)で形成しても良い。しかし、背景画像Y1、Y2(ベタ画像)を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色で形成したもの(特に、白色)とすることで、背景画像Y1、Y2上に形成された情報画像X1の色再現性が向上することになる。
【0061】
ここで、変形例5における画像記録媒体PTの製造工程は、概ね先に
図7を用いて説明したものと同じになる。ただし、その第2の作像工程において第2透明樹脂シートP2のオモテ面に形成される第2のトナー像は、第2透明樹脂シートP2の画像形成可能領域の全域に形成されたベタ画像(背景画像Y2)になる。
そして、変形例5においても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。特に、変形例5では、背景画像Y1、Y2を積層しているため、情報画像X1の視認性がさらに向上することになる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態における画像記録媒体PTは、2枚のシートP1、P2の間にトナー像X1が介在された状態で、トナーX1を接着剤として2枚のシートP1、P2が重ねて接着された画像記録媒体PTであって、2枚のシートP1、P2が、いずれも樹脂で形成されて、少なくとも一方のシートにトナー像X1を透視するための透明部が形成されている。
これにより、耐水性が高い画像記録媒体PTを提供することができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、それぞれ全部が透明部で形成された2枚のシート(透明樹脂シートP1、P2)をトナーで接着して画像記録媒体PTを形成したが、それぞれ一部が透明部で形成された2枚のシートをトナーで接着して画像記録媒体を形成することもできる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、本実施の形態では、2枚の透明樹脂シートP1、P2をトナーで接着して画像記録媒体PTを形成したが、画像形成記録媒体PTを構成する2枚のシートP1、P2のいずれもが透明の耐水性シートでなくて、一方が透明の耐水性シートであって、他方が透明でない耐水性シートであっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
例えば、透明樹脂シートと白色樹脂シート(耐水性材料である樹脂からなる白色のシート)とをトナーを介して貼り合わせて画像形成記録媒体PTを形成することもできる。このような場合には、透明樹脂シートの側からのみ情報画像(片面画像)を視認できるようになるが、2枚のシートの間に白色のベタ画像(背景画像)を形成して、そのベタ画像上に情報画像を形成する場合に比べて、情報画像(片面画像)の視認性を高めることができる。
また、透明樹脂シートと黒色樹脂シート(耐水性材料である樹脂からなる黒色のシート)とをトナーを介して貼り合わせて画像形成記録媒体PTを形成することもできる。このような場合には、透明樹脂シートの側からのみ黒色以外の色(特に、白色である。)の情報画像を視認できるようにすることになるが、2枚のシートの間に黒色のベタ画像(背景画像)を形成して、そのベタ画像上に白色などの情報画像を形成する場合に比べて、情報画像(片面画像)の視認性を高めることができる。
【0065】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0066】
なお、本願明細書等において、「鏡面画像」とは、形成しようとする画像(元の画像)を鏡に映したように反転させた画像であるものと定義する。
【符号の説明】
【0067】
1Y、1M、1C、1K、1S 感光体ドラム(作像部)、
6Y、6M、6C、6K、6S プロセスカートリッジ(作像部)、
8 中間転写ベルト(作像部)、
20 定着装置(接着部)、
28 レジストローラ対(接着部)、
29 切替部材、
100 画像形成装置、
P シート(透明樹脂シート)、
P1 第1透明樹脂シート、
P2 第2透明樹脂シート、
PT 画像記録媒体、
X1 情報画像(トナー像、接着剤)、
X2 情報画像(第2のトナー像、接着剤)、
Y1 背景画像(ベタ画像、トナー像、接着剤)、
Y2 背景画像(ベタ画像、第2のトナー像、接着剤)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】