(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-22
(45)【発行日】2022-08-01
(54)【発明の名称】粘着組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 153/00 20060101AFI20220725BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220725BHJP
C09J 133/06 20060101ALI20220725BHJP
C08F 293/00 20060101ALI20220725BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220725BHJP
C09J 175/04 20060101ALN20220725BHJP
C09J 7/38 20180101ALN20220725BHJP
【FI】
C09J153/00
C09J11/06
C09J133/06
C08F293/00
G02B5/30
C09J175/04
C09J7/38
(21)【出願番号】P 2021502803
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 KR2019009239
(87)【国際公開番号】W WO2020022804
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0086332
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ナ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・ハ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ファン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】グン・ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ソン・イン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ス・ユン
【審査官】山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0033092(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0099495(US,A1)
【文献】特開2015-199942(JP,A)
【文献】特開2007-138057(JP,A)
【文献】特表2018-506605(JP,A)
【文献】特表2016-522854(JP,A)
【文献】特開2017-171833(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0087961(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
G02B 1/10、5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度が50℃以上であり、架橋性官能基を有する第1のブロック;及び
ガラス転移温度が-10℃以下である第2のブロックを含むブロック共重合体;及び
エポキシシラン化合物;
を含む粘着組成物であり、
下記式により計算される第1のブロックの屈折率(R.I.
1)と第2のブロックの屈折率(R.I.
2)は、下記関係式を満たす粘着組成物:
[式]
R.I.=Σ{Rn×(Wn/100)}
前記式において、R.I.は、第1のブロック又は第2のブロックの屈折率であり、Wn/100は、第1のブロック又は第2のブロックを形成するのに使用されるモノマー成分の重量分率であり、Rnは、各モノマーの単独重合体が有する屈折率である。
[関係式]
|△R.I.|=|R.I.
1-R.I.
2|<0.011
前記関係式において、△R.I.は、第1のブロックの屈折率(R.I.
1)と第2のブロックの屈折率(R.I.
2)の差の絶対値である。
【請求項2】
前記第2のブロックは、架橋性官能基を含む、請求項1に記載の粘着組成物。
【請求項3】
前記第1のブロック又は第2のブロックは、芳香族基を含む、請求項1または2に記載の粘着組成物。
【請求項4】
前記第1のブロック又は第2のブロックは、前記架橋性官能基を提供できる下記化学式1の化合物由来の重合単位を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着組成物:
【化1】
但し、前記化学式1において、Qは、水素又はアルキル基であり、A及びBは、それぞれ独立してアルキレン基又はアルキリデン基であり、nは、0~10の範囲内の整数である。
【請求項5】
前記第1のブロック又は第2のブロックは、芳香族基を提供できる化合物由来の単位を含み、前記芳香族基を提供できる化合物は、芳香族基及びビニル基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項6】
前記芳香族基を提供できる化合物は、下記化学式2で表される、請求項5に記載の粘着組成物:
【化2】
前記化学式2において、R1は、水素又はアルキル基であり、R2は、アルキレン基又はアルキリデン基であり、mは、0~5の間の整数であり、Xは、単結合、酸素原子、又は硫黄原子であり、Arは、アリール基である。
【請求項7】
前記第2のブロックは、架橋性官能基及び芳香族基を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項8】
前記第2のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル20~98重量部由来の重合単位、架橋性官能基を提供できる化合物1~40重量部由来の重合単位、及び芳香族基を提供できる化合物1~40重量部由来の重合単位を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項9】
前記第2のブロックは、前記化学式1で表される化合物由来の重合単位を2以上含む、請求項4~8のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項10】
前記第2のブロックは、化学式1で表される化合物において、Aの炭素数、Bの炭素数、又はAとBの炭素数を合わせた炭素数がより大きいモノマー(M1)由来の重合単位を前記炭素数が小さいモノマー(M2)由来の重合単位よりも少なく含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項11】
前記第2のブロックは、前記モノマー(M1)0.5~5重量部由来の重合単位及び前記モノマー(M2)1~10重量部由来の重合単位を含む、請求項10に記載の粘着組成物。
【請求項12】
前記第1のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル80~99重量部由来の重合単位及び架橋性官能基を提供できる化合物1~20重量部由来の重合単位を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項13】
前記第1のブロックは、数平均分子量(Mn)が10,000~250,000の範囲であり、前記第1のブロックは、分子量分布が1.0~3.0の範囲である、請求項1~12のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項14】
前記ブロック共重合体は、数平均分子量(Mn)が100,000~500,000の範囲であり、分子量分布は、2.0~5.0の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項15】
前記ブロック共重合体は、ジブロック共重合体である、請求項1~14のいずれか一項
に記載の粘着組成物。
【請求項16】
前記第1のブロック5重量部~50重量部及び前記第2のブロック50重量部~95重量部を含むジブロック共重合体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項17】
前記ブロック共重合体100重量部に対して0.01~20重量部の架橋剤をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項18】
光学フィルム;及び前記光学フィルムの少なくとも1つの一面上に形成され、前記請求項1~17のいずれか一項に記載の粘着組成物から形成された粘着層;を含む、粘着型光学積層体。
【請求項19】
保護フィルム及び光学機能性フィルムの中から選ばれる1つ以上のフィルム;及び偏光子を含む粘着型偏光板である、請求項18に記載の粘着型光学積層体。
【請求項20】
前記粘着型偏光板は、直交透過率(Tc)が0.002%未満であり、偏光度(P.E)は、99.996~99.998%の範囲内を満たす、請求
項19に記載の粘着型光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年7月25日付大韓民国特許出願第10-2018-0086332号に基づく優先権を主張しており、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、粘着組成物に関する。より具体的に、本出願は、粘着組成物、及びこれを含む光学積層体に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device、以下、「LCD装置」という)は、所定の積層構成を有する。例えば、2枚の透明基板の間に注入された液晶成分を含む液晶パネルと光学フィルムとを含む。光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、又は輝度向上フィルムなどがあり、このような光学フィルム間の積層や光学フィルムを液晶パネルなどの被着体に貼り付けるため、光学フィルム用粘着剤が使用されてもよい。前記構成の装置には、優れた高温/高湿耐久性だけでなく、光学フィルムが発揮する特有の機能が他の隣接構成によって制限されない特性が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の一つの目的は、粘着組成物、及びこれを含む粘着型光学積層体を提供するものである。
【0005】
本出願の他の目的は、100℃以上の高温及び/又は65℃及び95%高湿条件でも優れた耐久性を提供できる粘着組成物を提供するものである。
【0006】
本出願のさらに他の目的は、光学積層体の光特性を改善できる粘着組成物を提供するものである。
【0007】
本出願の前記目的及びその他の目的は、下記詳細に説明される本出願によって全て解決され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願に係る一例において、本出願は、粘着組成物に関する。前記粘着組成物は、ブロック共重合体を含んでもよい。本出願において、用語の「ブロック共重合体」は、互いに異なる重合されたモノマーのブロック(blocks of different polymerized monomers)を含む共重合体を指すことができる。
【0009】
前記ブロック共重合体は、ガラス転移温度が50℃以上であり、架橋性官能基を有する第1のブロックと、ガラス転移温度が-10℃以下である第2のブロックと、を含んでもよい。本出願において、ブロック共重合体を構成する「ブロックのガラス転移温度」は、下記実施例で説明される方法によって算出されるガラス転移温度を意味しうる。
【0010】
一つの例示で、前記第1のブロックのガラス転移温度は、50℃以上、60℃以上、70℃以上、75℃以上、又は80℃以上であってもよい。前記第1のブロックのガラス転移温度の上限は、特に制限されるものではないが、例えば、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、又は110℃以下程度であってもよい。
【0011】
一つの例示で、前記第2のブロックのガラス転移温度は、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、又は-35℃以下であってもよい。前記第2のブロックのガラス転移温度の下限は、特に制限されるものではないが、例えば、-80℃以上、-70℃以上、又は-60℃以上であってもよい。
【0012】
前記ガラス転移温度の範囲を満たす2つのブロックを全て含む共重合体は、粘着剤内で微細な相分離構造を形成してもよい。前記ブロック共重合体は、温度変化に応じて適切な凝集力と応力緩和性を示すので、界面密着性、高温耐久信頼性、光漏れ防止特性、及び再作業性などの光学フィルムで求められる物性が優秀に維持される粘着剤を形成し得る。
【0013】
一つの例示で、前記2つのブロックを含む本出願のブロック共重合体は、ジブロック共重合体又はトリブロック共重合体であってもよい。粘着剤の界面密着性、高温耐久性、応力緩和性、及び再作業性などを考慮すると、ジブロック共重合体が有利になり得る。
【0014】
一般に、高温、高温/高湿のような発熱条件で駆動される粘着型光学積層体の場合、前記のような条件でも耐久性を持つように構成されることが好ましい。これに関連して、光学積層体に対する高温耐久性を確保するため、ガラス転移温度が50℃以上である第1のブロックの含量を増加させるか、または第1のブロックのガラス転移温度をさらに高める方法が考慮され得る。また、第1のブロックの架橋性官能基を含めて高温耐久性を確保する方法が考慮され得る。しかし、本出願の発明者は、前記のような構成が粘着型偏光板の耐久性を増加させることができても、第1のブロックと第2のブロックとの屈折率の差を増加させながら、結果的には、粘着型偏光板の光学特性を阻害し得るということを確認した。具体的に、本出願の発明者は、ブロック共重合体で隣接する2つのブロックの屈折率の差が大きいほど、該ブロック共重合体を含む組成物から形成された粘着層が粘着型光学積層体の光学的特性、例えば、特に偏光度(P.E.)及び直交透過率(Tc)を低下させるということを確認した。本出願によると、ブロック共重合体を構成する各ブロックが有する屈折率(Refractive index、R.I.)が所定の関係を満たし、光学素子の光特性を低下させることのない、耐久性に優れた粘着剤が提供され得る。
【0015】
本出願において、前記ブロック共重合体は、下記式により計算される第1のブロックの屈折率(R.I.1)と第2のブロックの屈折率(R.I.2)は、下記関係式を満たす。
【0016】
[式]
R.I.=Σ{Rn×(Wn/100)}
【0017】
前記式において、R.I.は、第1のブロック又は第2のブロックの屈折率であり、Wn/100は、第1のブロック又は第2のブロックを形成するのに使用されるモノマー成分の重量分率であり、Rnは、各モノマーの単独重合体が有する屈折率である。すなわち、前記式において、右辺は、使用されたモノマーの重量分率を、そのモノマーが単独重合体を形成した場合に示す屈折率で乗じた結果である。
【0018】
[関係式]
|△R.I.|=|R.I.1-R.I.2|<0.011
【0019】
前記関係式において、△R.I.は、第1のブロックの屈折率(R.I.1)と第2のブロックの屈折率(R.I.2)の差の絶対値である。
【0020】
前記関係式において、△R.I.の絶対値の下限は、特に制限されるものではないが、0以上であってもよい。例えば、0超過、具体的に、0.00001以上であってもよい。
【0021】
粘着剤が付着していない偏光板は、通常、直交透過率(Tc)が0.002%未満であり、偏光度(P.E)は、99.996~99.998%である。粘着剤が前記のような偏光板の光学特性を妨害してはならないため、粘着剤が付着しても粘着型偏光板の直交透過率(Tc)と偏光度(P.E)は、前記水準を維持することが好ましい。すなわち、測定時の誤差を考慮しても、粘着剤が付着した状態で、粘着型偏光板の直交透過率(Tc)と偏光度(P.E.)は、前記水準を満たすことが好ましい。下記実験例から確認されるように、|△R.I.|>0.011である場合には、粘着型偏光板の光特性の測定時に直交透過率(Tc)が0.002%以上、又は偏光度(P.E.)が99.993%以下のように、粘着型偏光板の光学特性が低下する。すなわち、前記関係式を満たしていないブロック共重合体を含む粘着剤は、偏光板用粘着剤として適していない。
【0022】
前記関係式を満たす場合、十分な高温耐久信頼性を確保するとともに、粘着型光学積層体の光学特性の低下を防止できる。前記のような屈折率は、各ブロックを形成するモノマーの種類、前記モノマーが含む官能基の種類、前記モノマーの含量、各ブロックのガラス転移温度、ブロック間の含量の割合などを調節して確保できる。
【0023】
一つの例示で、前記ブロック共重合体は、架橋性官能基を有する架橋性共重合体であってもよい。より具体的に、前記ブロック共重合体は、架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位を第1のブロック及び/又は第2のブロックに含んでもよい。
【0024】
前記架橋性官能基の種類は特に制限されるものではない。例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、又は窒素含有官能基が使用されてもよい。このような架橋性官能基を第1のブロック及び/又は第2のブロックに提供することができれば、具体的な化合物の種類も特に制限されるものではない。例えば、ヒドロキシ基アルキル(メタ)アクリレート又はヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマー;又は(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン又はN-ビニルカプロラクタムなどの窒素含有モノマーなどが単独又は2種以上混合して使用されてもよい。
【0025】
一つの例示で、前記第1のブロック又は第2のブロックは、芳香族基を含んでもよい。具体的な芳香族基の種類は、以下に説明する。
【0026】
もう一つの例示で、前記第2のブロックが芳香族基を含む場合、前記第2のブロックは、架橋性官能基及び芳香族基を同時に含んでもよい。
【0027】
本出願において、ガラス転移温度が相対的に高い第1のブロックは、ブロック共重合体で相対的に硬い(rigid)物性を有するハードセグメントを形成してもよい。前記第1のブロックは、常温でガラス(glass)状に存在してもよく、前記ブロック共重合体を含む粘着剤に凝集力を付与する役割を果たすことができる。
【0028】
前記範囲のガラス転移温度を有するブロックを形成してもよく、屈折率に関する関係式を満たすことができれば、第1のブロックを形成するためのモノマーの種類や含量は、特に制限されるものではない。
【0029】
一つの例示で、前記第1のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の重合単位を含んでもよい。本出願において、「重合単位」とは、一つの相である所定のモノマーが重合されて形成された樹脂、重合体又は重合反応物の主鎖や側鎖などに、前記所定のモノマーが重合して含まれている状態を意味できる。
【0030】
前記第1のブロックの形成に使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートが使用されてもよい。凝集力、ガラス転移温度、及び粘着性の調節などを考慮して、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが使用されてもよい。このようなモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、前記の1種又は2種以上を前記ガラス転移温度が確保されるように選んで使用してもよい。
【0031】
一つの例示で、前記第1のブロックは、架橋性官能基を含んでもよい。架橋性官能基を含む場合、粘着剤の耐久性の確保に有利である。例えば、前記第1のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル80~99.9重量部由来の重合単位、及び架橋性官能基を提供できる化合物0.1~20重量部由来の重合単位を含んでもよい。具体的に、前記第1のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル80~99重量部由来の重合単位、及び架橋性官能基を提供できる化合物1~20重量部由来の重合単位を含んでもよい。本出願において、「重量部」は、各成分間の重量比を意味できる。例えば、前記のように、第1のブロックが(メタ)アクリル酸エステルモノマー80重量部~99.9重量部の重合単位及び架橋性官能基を提供できる化合物0.1重量部~20重量部の重合単位を含むというのは、第1のブロックの重合された単位を形成する前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)及び架橋性官能基を提供できる化合物(B)の重量を基準にした比率(A:B)が、80~99.9:0.1~20である場合を意味できる。
【0032】
前記のように、ハードセグメントである第1のブロックが架橋性官能基を含む場合、凝集力の調節による界面接着力の改善に有利である。また、架橋性官能基を含む第1のブロックは、100℃以上の高温条件でも粘着剤に優れた高温耐久信頼性と応力緩和性を提供できる。また、前記第1のブロックを含む粘着剤は、光学フィルムの光漏れ防止特性を優秀に維持させることができる。
【0033】
本出願において、相対的にガラス転移温度が低い第2のブロックは、ブロック共重合体で相対的にソフト(soft)な物性を持つソフトセグメントを形成してもよい。前記第2のブロックは、常温で分子の流動性を持つことができ、前記ブロック共重合体を含む粘着剤に応力緩和性を付与する役割を果たすことができる。
【0034】
前記範囲のガラス転移温度を有するブロックを形成してもよく、屈折率に関する関係式を満たすことができれば、第2のブロックを形成するためのモノマーの種類や含量は、特に制限されるものではない。
【0035】
一つの例示で、前記第2のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の重合単位を含んでもよい。前記第2のブロックの形成に使用される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、第1のブロックのように、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが使用されてもよい。第2のブロックの形成時に使用される(メタ)アクリル酸エステルの含量は、特に制限されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル20~99.9重量部由来の重合単位が第2のブロックに含まれてもよい。
【0036】
一つの例示で、前記第2のブロックは、架橋性官能基を含んでもよい。架橋性官能基を第2のブロックに含む場合、温度変化に応じて適切な凝集力と応力緩和性を示して界面の密着性、高温耐久信頼性、光漏れ防止特性、及び再作業性などの物性が優秀に維持される粘着剤を形成できる。架橋性官能器の種類は、上記説明されたものと同一であってもよい。
【0037】
一つの例示で、前記第1のブロック及び/又は第2のブロックは、架橋性官能基を含んでもよい。具体的に、前記第1のブロック及び/又は第2のブロックは、架橋性官能基を提供できる下記化学式1の化合物由来の重合単位を持っていてもよい。
【0038】
【0039】
但し、前記化学式1において、Qは、水素又はアルキル基であり、A及びBは、それぞれ独立してアルキレン基又はアルキリデン基であり、nは、0~10の範囲内の整数である。また、化学式1において、[-O-B-]単位が2つ以上存在する場合、各[-O-B-]単位内のBの炭素数は、同一でも異なっていてもよい。
【0040】
本明細書において、用語のアルキル基は、特に規定のない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基を意味することができ、前記アルキル基は、任意的に一つ以上の置換基によって置換されていてもよい。化学式1においてアルキル基としては、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基が例示され得る。特に制限されるものではないが、前記化学式1においてQがアルキル基である場合、前記Qは、炭素数1~4のアルキル基であってもよい。
【0041】
本明細書において、用語のアルキレン基又はアルキリデン基は、特に規定のない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキレン基又はアルキリデン基を意味することができ、前記任意的に1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。特に制限されるものではないが、化学式1において、例えば、A及びBは、それぞれ独立して炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基であってもよい。
【0042】
また、化学式1において、nは、例えば、0~7、0~5、0~3又は0~2であってもよい。
【0043】
前記化学式1の化合物の一例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示されてもよいが、前記記載された化合物に特に制限されるものではない。
【0044】
一つの例示で、前記第1のブロックと第2のブロックの形成には、前記化学式1で表される同一の化合物が使用されてもよい。例えば、前記第1のブロック及び第2のブロックは、同一のヒドロキシアルキルメタアクリレート、より具体的にヒドロキシエチルメタアクリレート由来の単位をそれぞれ含んでもよい。または、前記第1のブロック及び第2のブロックは、同一のヒドロキシアルキルアクリレート、より具体的にヒドロキシエチルアクリレート由来の単位をそれぞれ含んでもよい。
【0045】
一つの例示で、前記第1のブロック及び第2のブロック形成には、前記化学式1で表されており、互いに異なる化合物がそれぞれ使用されてもよい。例えば、前記第1のブロックは、ヒドロキシエチルメタクリレートのようなヒドロキシアルキルメタアクリレート由来の単位を含み、前記第2のブロックは、ヒドロキシエチルアクリレートやヒドロキシブチルアクリレートのようなヒドロキシアルキルアクリレート由来の単位を含んでもよい。
【0046】
前記化学式1の化合物が第1のブロック及び/又は第2のブロックに使用される場合、前記屈折率に関する関係式を満たすことができるように、各ブロックの形成のためのモノマー(例:(メタ)アクリル酸エステル、架橋性官能基を提供できる化合物、又は下記に説明される芳香族基を提供できる化合物)が選ばれてもよい。例えば、架橋性官能基を有し、粘着剤の耐久性の改善に有利なヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のようなヒドロキシアルキルメタクリレートが第1のブロックに使用される場合、前記モノマーは、その単独重合体の屈折率が比較的高いため、ブロック共重合体が屈折率に関する関係式を満たすためには、第2のブロックの形成に使用されるモノマーも単独重合体の屈折率が高いモノマーが選ばれる必要がある。第2のブロックの形成に使用される化学式1の化合物を例に挙げると、ヒドロキシエチルアクリレートやヒドロキシブチルアクリレートのようなヒドロキシアルキルアクリレートの使用が考慮されてもよい。
【0047】
一つの例示で、前記各ブロックの形成には、前記化学式1で表される化合物が2種以上使用されてもよい。すなわち、前記第1のブロック又は第2のブロックは、前記化学式1で表される化合物由来の重合単位を2以上含んでもよい。例えば、前記第2のブロックは、ヒドロキシアルキルメタクリレートとヒドロキシアルキルアクリレート由来の重合単位をすべて含んでもよい。又は、前記第2のブロックは、2種のヒドロキシアルキルアクリレート、例えば、ヒドロキシブチルアクリレートとヒドロキシエチルアクリレート由来の単位をすべて含んでもよい。
【0048】
一つの例示で、前記第1のブロックは、化学式1で表される化合物のA又はBの炭素数、又はAとBの炭素数の合計が互いに異なる2以上の化合物を含んでもよい。もう一つの例示において、前記第2のブロックは、化学式1で表される化合物のA又はBの炭素数、又はAとBの炭素数の合計が互いに異なる2以上の化合物を含んでもよい。例えば、化学式1で表される化合物の前記炭素数がより大きいモノマー(M1)の含量は、化学式1で表される化合物の前記炭素数が小さいモノマー(M2)の含量よりも小さくてもよい。第2のブロックを例に挙げると、前記第2のブロックは、化学式1で表される化合物において、Aの炭素数、Bの炭素数、又はAとBの炭素数を合わせた炭素数がより大きいモノマー(M1)由来の重合単位を前記炭素数が小さいモノマー(M2)由来の重合単位より少なく含んでもよい。前記炭素数がより大きいモノマー(M1)の場合、モノマー(M2)より架橋剤に対する反応性が速いので、相対的にモノマー(M1)が過量で添加されると、過硬化が発生しながら高温及び/又は高湿条件における耐久性が低下される場合があるからである。例えば、前記モノマー(M1)が0.5~5重量部使用される場合、前記モノマー(M2)は、0.5~10重量部の範囲内でモノマー(M1)より相対的に過量で使用されてもよい。
【0049】
一つの例示で、前記A及びBが直鎖状アルキリデン基又はアルキレン基である場合、各ブロックに含まれる化学式1由来の重合単位に含まれるA及びBの炭素数は、互いに異なっていてもよい。具体的に、第2のブロックが含む化学式1由来の重合単位に含まれるA及びBのアルキレン基が有する炭素数の合計(以下、第2のブロックの側鎖炭素数という)は、第1のブロックが含む化学式1由来の重合単位に含まれるA及びBのアルキレン基が有する炭素数の合計(以下、第1のブロックの側鎖炭素数という)以上であってもよい。例えば、第2のブロックが含む化学式1由来の重合単位でA及びBの炭素数の合計が4~10である場合、第1のブロックが含む化学式1由来の重合単位でA及びBの炭素数の合計は、4以下、例えば1~3であってもよい。前記で第1のブロック及び第2のブロックの側鎖炭素数を計算するときには、前記A及びBの直鎖状のアルキレン基又はアルキリデン基に他の炭素を含む置換基が置換されている場合でも前記直鎖状のアルキレン基又はアルキリデン基が含む炭素数のみを考慮する。本出願の発明者は、前記のように、第2のブロックが含む化学式1由来の重合単位に含まれるA及びBのアルキレン基又はアルキリデン基が有する炭素数の合計が、第1のブロックのそれに比べて大きい場合、ソフトブロックである第2のブロックの反応性が速くなり、ソフトブロックが形成する架橋構造が粘着剤の凝集力の具現に寄与できることを発見した。また、前記のような理由から、多少遅く形成される第1のブロックの架橋は、優れた界面接着力を提供できる。具体的に、ソフトブロックが架橋構造を形成した後、残留した硬化剤又は架橋剤が反応性が遅いハードブロックの架橋性官能基とともに被着剤である光学部材の界面上に架橋構造を形成することにより、粘着剤と被着体である光学部材間の優れた界面接着力が提供され得る。このような第1のブロックの架橋特性は、粘着剤が高温及び高湿条件下で高温耐久性を維持しながらも、ある程度の優れた応力緩和性も持つようにできる。
【0050】
もう一つの例示で、前記第2のブロックは、架橋性官能基及び芳香族基を同時に含んでもよい。具体的に、前記第2のブロックは、前記説明した架橋性官能基又は前記化学式1由来の重合単位を含んでもよく、同時に芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位を含んでもよい。
【0051】
第2のブロックに芳香族基を提供できる化合物は、例えば、ビニル基及び芳香族基を含む化合物であってもよい。このような化合物の種類は、例えば、スチレン(styrene)や、下記化学式2に該当する化合物であってもよい。
【0052】
一つの例示で、前記ビニル基及び芳香族基を含む化合物は、下記化学式2で表されることができる。
【0053】
【0054】
前記化学式2において、R1は水素又はアルキル基であり、R2は、アルキレン基又はアルキリデン基であり、mは、0~5の整数であり、Xは、単結合、酸素原子又は硫黄原子であり、Arは、アリール基である。Xに関連して、単結合とは、Xで連結された部分に別途の原子が存在していない場合であって、例えば、R2とArが直接連結されている場合を意味する。
【0055】
化学式2に関連してアリール基とは、ベンゼン又は2つ以上のベンゼンが縮合したり、結合されている構造を含む化合物又はその誘導体から由来する1価残基を意味する。前記アリール基は、例えば、炭素数6~22、炭素数6~16、又は炭素数6~13のアリール基であってもよく、例えば、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、トリル基、キシリル基(xylyl group)、フェニルチオ基、ナフチル基、又はナフチルオキシ基などであってもよい。
【0056】
そして、化学式2においてmは、例えば、0~4、0~3、0~2であってもよく、又は0又は1であってもよい。
【0057】
化学式2の化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルチオ-1-エチル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-イソプロピルフェノキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(4,6-ジブロモ-2-sec-ブチルフェノキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ドデシルフェニル(メタ)アクリレート、2-(1-ナフチルオキシ)-1-エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ナフチルオキシ)-1-エチル(メタ)アクリレート、6-(1-ナフチルオキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、6-(2-ナフチルオキシ)-1-ヘキシル(メタ)アクリレート、8-(1-ナフチルオキシ)-1-オクチル(メタ)アクリレート及び8-(2-ナフチルオキシ)-1-オクチル(メタ)アクリレートなどが例示され得る。
【0058】
一つの例示で、第2のブロックに芳香族基が含まれる場合、前記芳香族基は、第1のブロックには含まれず、第2のブロックにのみ含まれていてもよい。芳香族基を第2のブロックに含むと、芳香族基が一定の方向に適切に配向し、光漏れ防止特性が優秀に維持される粘着剤を形成できる。特に、粘着剤が高温又は高温高湿条件に晒されている場合、芳香族基によって光学的補償が行われて、光が漏れる現象を減少させることができる。
【0059】
一つの例示で、前記第2のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル20~98重量部由来の重合単位、架橋性官能基を提供できる化合物1~40重量部由来の重合単位、及び芳香族基を提供できる化合物1~40重量部由来の重合単位を含んでもよい。具体的に、第2のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の重合単位を30重量部以上、40重量部以上、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、又は80重量部以上を含んでもよく、第2のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の重合単位を95重量部以下、又は90重量部以下で含んでもよい。前記第2のブロックは、架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位を1重量部以上、3重量部以上、又は5重量部以上含んでもよく、30重量部以下、20重量部以下、15重量部以下、又は10重量部以下含んでもよい。また、前記第2のブロックは、芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位を1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上、又は20重量部以上含んでもよく、30重量部以下又は25重量部以下含んでもよい。第2のブロックを構成する化合物の含量が前記範囲を満たす場合、界面密着性、高温耐久信頼性、適切な凝集力などの物性を確保するとともに、光漏れを最小化できる粘着剤を提供できる。
【0060】
一つの例示で、前記第2のブロック及び/又は第1のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の重合単位として、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0061】
一つの例示で、前記第1のブロック及び/又は第2のブロックは、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート99重量部以下から由来した重合単位を含んでもよい。例えば、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート98重量部以下、97重量部以下、又は96重量部以下、具体的には、95重量部以下、90重量部以下、又は85重量部以下から由来した重合単位を含んでもよい。前記炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含量の下限は、特に制限されるものではないが、例えば、20重量部以上、30重量部以上、40重量部以上、50重量部以上、60重量部以上、又は70重量部以上であってもよい。第1のブロック及び/又は第2のブロックが前記範囲で炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、粘着剤の高温耐久性の改善にさらに寄与できる。具体的に、前記炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基の炭素数が5又はそれ以上のアルキル(メタ)アクリレートに比べて鎖の絡み合いがより容易に発生できるため、化学的架橋の代わりとなりうる物理的架橋を粘着樹脂に対して十分に付与でき、それによって高温耐久性に優れた粘着層を提供できる。このとき、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの中で1以上が第1のブロック及び/又は第2のブロックに使用されてもよい。
【0062】
一つの例示で、前記第1のブロック及び/又は第2のブロックは、炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、炭素数4又はそれ以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、及び架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位を含んでもよい。炭素数1~3のアルキル(メタ)アクリレートと炭素数4又はそれ以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの使用含量は、例えば、前述した(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含量の範囲内であってもよい。具体的に、各ブロックに使用されるときに20~99.9重量部の範囲内で、炭素数1~3のアルキル(メタ)アクリレートは、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、又は80重量部以上であってもよい。また、炭素数4又はそれ以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの含量は、10重量部以上、20重量部以上、30重量部以上、40重量部以上、50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、又は80重量部以上であってもよい。架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位は、他の成分の含量によって適切に調節されてもよい。具体例において、第1のブロックが、前記のように炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、炭素数4又はそれ以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、及び架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位を含んでもよい。
【0063】
一つの例示で、前記第2のブロックは、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位及び芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位を含んでもよい。炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの使用含量は、例えば、前述した(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含量の範囲内であってもよい。具体的に、各ブロックに使用されるときに20~99.9重量部の範囲内において、炭素数1~4のアルキル(メタ)アクリレートは、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、又は80重量部以上であってもよい。架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位及び芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位は、他の成分の含量によって適切に調節されてもよい。
【0064】
一つの例示で、前記第2のブロックは、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位及び芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位を含んでもよい。炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートの使用含量は、例えば、前述した(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含量の範囲内
であってもよい。具体的に、各ブロックに使用されるときに20~99.9重量部の範囲内で、炭素数1~4のアルキル(メタ)アクリレートは、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、又は80重量部以上であってもよい。架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位及び芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位は、他の成分の含量によって適切に調節されてもよい。
【0065】
一つの例示で、前記第2のブロックは、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、炭素数5以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の重合単位、架橋性官能基を提供できる化合物由来の重合単位及び芳香族基を提供できる化合物由来の重合単位を含んでもよい。このとき、第2のブロックの形成に使用されるモノマー又は化合物間の含量は、先に第2のブロックの組成に関連して説明されたモノマー又は化合物由来の重合単位間の含量の範囲と同一の範囲内で調節されてもよい。
【0066】
一つの例示で、前記ブロック共重合体の第1のブロックが有する数平均分子量(Mn:Number Average Molecular Weight)は、10,000~250,000の範囲であってもよい。第1のブロックの数平均分子量は、例えば、第1のブロックを形成しているモノマーのみを重合させて製造される重合体の数平均分子量であってもよい。本出願で言及している数平均分子量は、例えば、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使用して実施例で提示された方法によって測定してもよい。より具体的に、第1のブロックの数平均分子量(Mn)は、例えば、その下限が10,000以上、15,000以上、20,000以上、25,000以上、30,000以上、35,000以上、40,000以上、45,000以上、50,000以上、又は60,000以上であってもよい。そして、その上限は、250,000以下、200,000以下、180,000以下、150,000以下、130,000以下、100,000以下、90,000又は80,000以下であってもよい。
【0067】
もう一つの例示で、前記第1のブロックの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)、すなわち、分子量分布(PDI=Mw/Mn)は、1.0~3.0の範囲であってもよい。より具体的に、前記第1のブロックのPDI値の下限は、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、又は1.5以上であってもよく、その上限は、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、又は2.2以下であってもよい。
【0068】
一つの例示で、前記ブロック共重合体は、500,000以下の数平均分子量(Mn)を有していてもよい。より具体的に、ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、例えば、その下限が100,000以上、110,000以上、120,000以上、130,000以上、140,000以上、150,000以上、160,000以上、170,000以上、180,000以上、190,000以上、200,000以上、210,000以上、又は220,000以上であってもよい。そして、その上限は、500,000以下、450,000以下、400,000以下、350,000以下、又は300,000以下であってもよい。
【0069】
もう一つの例示で、前記ブロック共重合体の分子量分布(PDI=Mw/Mn)は、2.0~5.0の範囲であってもよい。より具体的に、前記ブロック共重合体の分子量分布の下限は、例えば、2.0以上、2.1以上、2.3以上、又は2.5以上であってもよく、その上限は、例えば、5.0以下、4.8以下、4.6以下、4.4以下、4.2、又は4.0以下であってもよい。
【0070】
前記のように、ブロック共重合体の分子量特性を調節する場合、界面密着性、高温耐久信頼性、光漏れ防止特性、及び再作業性などの光学フィルムにおいて要求される物性が優秀に維持される粘着剤を形成し得る。
【0071】
一つの例示で、本出願のブロック重合体は、前記構成の第1のブロック5重量部~50重量部、及び前記構成の第2のブロック50重量部~95重量部を含んでもよい。
【0072】
もう一つの例示で、前記ブロック共重合体は、第2のブロックを過量で含んでもよい。具体的に、前記ブロック共重合体は、前記構成の第1のブロック10重量部~30重量部、及び前記構成の第2のブロック70重量部~90重量部を含んでもよい。もう一つの例示で、本出願のブロック重合体は、前記構成の第1のブロック10重量部~20重量部、及び前記構成の第2のブロック80重量部~90重量部を含んでもよい。
【0073】
もう一つの例示で、耐久性を考慮すると、前記第1ブロックは、前記範囲内で10重量部以上、15重量部以上、又は25重量部以上使用されてもよい。
【0074】
前記第1のブロック及び/又は第2のブロックは、必要に応じて任意のコモノマーをさらに含んでもよく、前記モノマーは、重合単位として各ブロックに含まれてもよい。前記コモノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン又はN-ビニルカプロラクタムなどのような窒素含有モノマー;アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル又はフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルなどのようなアルキレンオキシド基含有モノマー;スチレン又はメチルスチレンのようなスチレン系モノマー;グリシジル(メタ)アクリレートのようなグリシジル基含有モノマー;又はビニルエステルのようなカルボン酸ビニルエステルなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。このようなコモノマーは、必要に応じて適正な種類が1種又は2種以上選ばれて重合体に含まれてもよい。このようなコモノマー由来の重合単位は、例えば、各ブロック内で20重量部以下、又は0.1重量部~15重量部の割合で含まれてもよい。
【0075】
前記ブロック共重合体を製造する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を使用してもよい。例えば、LRP(Living Radical Polymerization)方式により前記ブロック重合体を重合してもよい。具体的に、有機希土類金属複合体を重合開始剤として使用したり、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用して、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩などの無機酸塩の存在下で合成するアニオン重合法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用して有機アルミニウム化合物の存在下で合成するアニオン重合法、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を用いる原子移動ラジカル重合法(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を用いるが、電子を発生させる有機又は無機還元剤の下で重合を行うARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、無機還元剤可逆付加-開裂連鎖移動剤を用いる可逆付加-開裂連鎖移動による重合法(RAFT)、又は有機テルル化合物を開始剤として用いる方法などが使用されてもよく、前記方法の中から適切な方法が選ばれて前記ブロック共重合体が製造されてもよい。
【0076】
本出願の粘着組成物は、前記ブロック共重合体の架橋性官能基と反応して化学的架橋構造を形成できる1種以上の架橋剤を含んでもよい。架橋剤の非制限的な一例としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、又は金属キレート架橋剤を挙げることができる。
【0077】
一つの例示で、前記架橋性官能基がヒドロキシ基である場合、イソシアネート架橋剤が使用されてもよい。具体的に、前記ブロック共重合体の架橋性官能基と反応できる官能基を少なくとも2つ持つイソシアネート架橋剤が使用されてもよい。このようなイソシアネート架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート又はナフタレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;又は前記ジイソシアネート化合物をポリオールと反応させた化合物;を使用してもよい。前記ポリオールとしては、トリメチルロールプロパンなどが使用されてもよい。
【0078】
一つの例示で、前記粘着組成物は、ブロック共重合体100重量部に対して0.01重量部~20重量部の含量の架橋剤を含んでもよい。より具体的に、前記架橋剤の含量の下限は、0.05重量部以上又は0.10重量部以上であってもよく、その上限は、10重量部又は5重量部以下であってもよい。前記架橋剤の含量の範囲でブロック共重合体の架橋度が適切に調節され得、これにより、粘着剤のゲル分率、凝集力、粘着力、及び高温耐久性などを優秀に維持し得る。
【0079】
前記粘着組成物は、エポキシシラン化合物を含んでもよい。エポキシ基を持っていない他の種類のシラン化合物の使用と比較すると、エポキシシラン化合物は、本出願が具現しようとする光学特性の改善を妨げることなく、粘着剤においてより高い耐久性を提供できる。
【0080】
エポキシシラン化合物の種類は、特に制限されるものではない。本出願において、エポキシシラン化合物は、Si原子にエポキシ基とアルコキシ基(-OR)が結合された化合物であってもよい。前記エポキシ基は、置換又は非置換されたエポキシ基として、例えば、エポキシ化されたC5~C20のシクロアルキル基のような脂環式エポキシ基、アルキル基で置換又は非置換されたグリシジル基又はグリシドキシ基等であってもよい。
【0081】
一つの例示で、エポキシシラン化合物は、下記化学式3で表されることができる。
【0082】
[化学式3]
R1
nSi(OR2)4-n
【0083】
前記化学式3において、R1は、エポキシ基であり、R2は、炭素数1~20のアルキル基であり、nは1~3の整数である。
【0084】
一つの例示で、前記R2は、炭素数1~4の間のアルキル基であってもよい。
【0085】
一つの例示で、エポキシシラン化合物は、エポキシが含有されたもので、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン(2-(3,4epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane)、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)-エチルトリエトキシシラン(2-(3,4epoxycyclohexyl)ethyltriethoxysilane)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyl trimethoxysilane)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3-glycidoxypropyl triethoxysilane)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-glycidoxypropyl methyldimethoxysilane)、又は3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(3-glycidoxypropyl methyldiethoxysilane)などが使用されてもよいが、これらに特に制限されるものではなく、公知のエポキシシラン化合物が使用されてもよい。
【0086】
一つの例示で、前記粘着組成物は、ブロック共重合体100重量部に対して0.01~5重量部の範囲のシランカップリング剤を含んでもよい。具体的に、4重量部以下、3重量部以下、2重量部以下又は1重量部以下の含量でシランカップリングが使用されてもよい。前記範囲内で、前記目的とする物性を効果的に粘着剤に付与できる。
【0087】
一つの例示で、本出願の粘着組成物は、可塑剤を含んでもよい。前記可塑剤は、粘着剤に応力緩和性を付与できる。本出願の可塑剤は、ポリアルキレングリコールを含み、粘着剤に優れた粘着力、再剥離性、光漏れ緩和、及び高温耐久性を付与できる。また、ポリアルキレングリコールを含む可塑剤が下記のように帯電防止剤とともに使用される場合、粘着剤の帯電防止性能をさらに改善できる。これはポリアルキレングリコールが帯電防止剤のカチオン基をキレーティングでき、帯電防止剤のイオン会合を抑制し、帯電防止剤の分布の均一性を向上させることにより、高温及び/又は高湿条件で長時間粘着剤が晒される場合でも、帯電防止性能の経時変化を抑制できるからである。
【0088】
一つの例示で、前記可塑剤は、下記化学式4で表されることができる。
【0089】
【0090】
前記化学式4において、Zは、炭素数2~8のアルキレン基であってもよい。例えば、Zは、炭素数2~4のアルキレン基であってもよい。
【0091】
前記化学式4において、Lは、2~50の間の数であってもよい。例えば、Lは、2~40、2~30、2~20、又は2~10であってもよい。
【0092】
前記化学式4において、Y1及びY2は、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、(C=O)R3、又は(C=O)R4であるが、Y1及びY2の1つ以上は、カルボニル基を含む官能基である。一つの例示で、カルボニル基を含む官能基であるY1は、(C=O)R3であってもよく、カルボニル基を含む官能基であるY2は、O(C=O)R4であってもよい。
【0093】
前記化学式4において、R3及びR4のそれぞれは、独立して、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であってもよい。このとき、アルキル基は、炭素数2~20、炭素数2~18、又は炭素数2~16のアルキル基を意味することができ、アルケニル基は、炭素数2~20、炭素数2~18、又は炭素数2~16のアルケニル基であってもよく、アリール基は、炭素数6~25、炭素数6~20、炭素数6~15、又は炭素数6~12のアリール基であってもよい。
【0094】
前記可塑剤に関連して、アルキル基、アルキレン基、又はアルケニル基は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状であるアルキル基を指すことができ、必要に応じて1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。このとき、アルキル基の範囲には、後述するハロアルキル基も含まれてもよい。
【0095】
前記可塑剤に関連して、アリール基は、ベンゼン、ベンゼン構造を含む化合物又は前記のいずれか1つの誘導体から由来された1価残基を意味できる。アリール基の具体的な種類としては、フェニル基、ベンジル基、ビフェニル基、又はナフタレニル基などが例示され得るが、これに制限されるものではない。また、前記アリール基のカテゴリには、通常、アリール基と呼称される官能基はもちろん、いわゆるアラルキル基(aralkyl group)又はアリールアルキル基なども含まれてもよい。
【0096】
前記可塑剤に関連して、前記アルキル基などに任意的に置換されてよい置換基としては、塩素又はフッ素などのハロゲン、ハロアルキル基、グリシジル基、グリシジルアルキル基、グリシドキシアルキル基又は脂環式エポキシ基などのエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、チオール基、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0097】
前記化学式4で表される可塑剤の中で1種以上の可塑剤が使用されてもよい。
【0098】
具体的な前記可塑剤の種類は、特に制限されるものではない。例えば、前記可塑剤としては、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、ポリプロピレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリプロピレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールジオレアート、ポリプロピレングリコールジオレアート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリプロピレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリプロピレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート又はポリプロピレングリコールモノステアレートが使用されてもよい。
【0099】
前記可塑剤は、例えば、数平均分子量(Mn:Number Averaqge Molecular Weight)が100~1,000であってもよい。前記可塑剤の数平均分子量の下限は、例えば、200以上、300以上、又は400以上であってもよい。そして、前記可塑剤の数平均分子量の上限は、例えば、900以下、800以下、又は700以下であってもよい。可塑剤の数平均分子量が前記範囲を満たす場合、応力緩和特性及び高温耐久性に優れた粘着剤を提供できる。
【0100】
前記可塑剤は、ブロック共重合体100重量部に対して0.01重量部~10重量部含まれてもよい。前記可塑剤の含量の下限は、例えば、0.1重量部以上、1重量部以上、又は1.5重量部以上であってもよい。前記可塑剤の含量の上限は、例えば、7重量部以下、5重量部以下、又は3重量部以下であってもよい。可塑剤の含量を前記範囲で調節することにより、再剥離性及び高温耐久性に優れた粘着剤組成物を提供できる。
【0101】
本出願の粘着剤組成物は、帯電防止剤をさらに含んでもよい。前記帯電防止剤としては、例えば、イオン性化合物が使用されてもよい。イオン性化合物としては、有機塩又は無機塩などが例示され得る。
【0102】
無機塩としては、例えば、カチオンとして金属イオンを含む金属塩が使用されてもよい。金属塩は、例えば、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンを含んでもよい。カチオンとしては、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、ルビジウムイオン(Rb+)、セシウムイオン(Cs+)、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、及びバリウムイオン(Ba2+)などの1種又は2種以上が例示され得る。
【0103】
有機塩としては、例えば、有機カチオンを含むイオン性化合物を使用してもよい。有機カチオンとしては、オニウムカチオンが例示され得る。本明細書において、用語のオニウムカチオンは、少なくとも一部の電荷が窒素(N)、リン(P)及び/又は硫黄(S)のような原子に偏在している構造を含む正(+)に荷電したイオンを意味できる。オニウムカチオンは、環状又は非環状化合物であってもよく、環状である場合に芳香族又は非芳香族化合物であってもよい。オニウムカチオンは、前記窒素、リン及び/又は硫黄の他に酸素又は炭素原子などの他の原子をさらに含んでもよい。オニウムカチオンは、任意的にハロゲン、アルキル基又はアリール基などの置換体によって置換されていてもよい。例えば、前記非環状化合物は、1つ又は4つ以上の置換体を含んでもよく、前記置換体は、環状又は非環状置換体、芳香族又は非芳香族置換体であってもよい。
【0104】
オニウムカチオンとしては、例えば、N-エチル-N、N-ジメチル-N-プロピルアンモニウム、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウム、N-メチル-N,N,N-トリブチルアンモニウム、N-エチル-N,N,N-トリブチルアンモニウム、N-メチル-N,N,N-トリヘキシルアンモニウム、N-エチル-N,N,N-トリヘキシルアンモニウム、N-メチル-N、N、N-トリオクチルアンモニウム又はN-エチル-N、N、N-トリオクチルアンモニウムなどの4級アンモニウムイオン、ホスホニウム(phosphonium)、ピリジニウム(pyridinium)、イミダゾリウム(imidazolium)、ピロリジニウム(pyrolidinium)又はピペリジニウム(piperidinium)などが例示され得る。
【0105】
無機塩又は有機塩などのイオン性化合物に含まれるアニオンとしては、PF6
-、AsF-、NO2-、フッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、ヨウ化物(I-)、過塩素酸塩(ClO4
-)、水酸化物(OH-)、炭酸塩(CO3
2-)、硝酸塩(NO3
-)、トリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3
-)、スルホン酸塩(SO4
-)、ヘキサフルオロリン酸塩(PF6
-)、メチルベンゼンスルホン酸(CH3(C6H4)SO3
-)、p-トルエンスルホン酸(CH3C6H4SO3
-)、テトラボレート(B4O7
2-)、カルボキシベンゼンスルホン酸(COOH(C6H4)SO3
-)、フルオロメタンスルホン酸(CF3SO2
-)、ベンゾネイト(C6H5COO-)、アセテート(CH3COO-)、トリフルオロアセテート(CF3COO-)、テトラフルオロボレート(BF4
-)、テトラベンジルボレート(B(C6H5)4
-)又はトリスペンタフルオロエチルトリフルオロホスフェート(P(C2F5)3F3
-)などが例示され得る。
【0106】
他の例示で、アニオンとしては、下記化学式5で表されるアニオン又はビスフルオロスルホニルイミドなどが使用されてもよい。
【0107】
[化学式5]
[D(GOmRf)n]-
【0108】
化学式5において、Dは、窒素原子又は炭素原子であり、Gは、炭素原子又は硫黄原子であり、Rfは、パーフルオロアルキル基であり、mは、1又は2であり、nは、2又は3である。
【0109】
化学式5において、Gが炭素である場合、mは、1であり、Gが硫黄である場合、mは、2であり、Dが窒素である場合、nは、2であり、Dが炭素である場合、nは、3であってもよい。
【0110】
化学式5のアニオン又はビス(フルオロスルホニル)イミド、パーフルオロアルキル基(Rf)又はフルオロ基により高い電気陰性度を示し、また、特有の共鳴構造を含み、カチオンとの弱い結合を形成するとともに疎水性を有する。したがって、イオン性化合物が重合体などの組成物の他の成分と優れた相溶性を示しながら、少量でも高い帯電防止性を付与できる。
【0111】
化学式5のRfは、炭素数1~20、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であってもよく、この場合、パーフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状構造を持っていてもよい。化学式5のアニオンは、スルホニルメテッド系、スルホニルイミド系、カルボニルメテッド系又はカルボニルイミド系アニオンであってもよく、具体的に、トリストリフルオロメタンスルホニルメテッド、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド、トリストリフルオロメタンカルボニルメテッド、ビスパーフルオロブタンカルボニルイミド又はビスペンタフルオロエタンカルボニルイミドなどの1種又は2種以上の混合であってもよい。
【0112】
帯電防止剤の割合は、目的とする帯電防止性等を考慮して調節してもよい。一つの例示で、前記組成物は、ブロック共重合体100重量部に対して、0.1重量部~20重量部、0.1重量部~15重量部、0.1重量部~10重量部、0.1重量部~5重量部、0.1重量部~3重量部、又は0.5重量部~3重量部の帯電防止剤を含んでもよい。
【0113】
粘着組成物は、必要に応じて、粘着性付与剤をさらに含んでもよい。粘着性付与剤としては、例えば、ハイドロカーボン樹脂又はその水素添加物、ロジン樹脂又はその水素添加物、ロジンエステル樹脂又はその水素添加物、テルペン樹脂又はその水素添加物、テルペンフェノール樹脂又はその水素添加物、重合ロジン樹脂又は重合ロジンエステル樹脂などの1種又は2種以上の混合を使用してもよいが、これに制限されるものではない。前記粘着性付与剤は、ブロック共重合体100重量部に対して、100重量部以下の量で粘着組成物に含まれてもよい。
【0114】
その他に、前記粘着組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、又は可塑剤などの添加剤をさらに含んでもよい。添加剤の具体的な種類や含量は、特に制限されるものではない。
【0115】
本出願に係る一例で、前記粘着剤組成物は、保護フィルム用粘着剤組成物であってもよい。前記保護フィルムは、例えば、様々な光学フィルムの表面を保護する用途として使用してもよい。
【0116】
本出願に係る他の一例で、前記粘着組成物は、光学フィルム用粘着組成物であってもよい。光学フィルム用粘着組成物は、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、防眩フィルム、広視野角補償フィルム又は輝度向上フィルムなどの光学フィルムを互いに積層したり、前記光学フィルム又はその積層体を液晶パネルなどの被着体に貼り付けるための用途として使用してもよい。一つの例示で、前記粘着組成物は、偏光板用粘着組成物であって、偏光フィルムを液晶パネルに貼り付ける用途として使用される粘着組成物であってもよい。
【0117】
本出願は、粘着型光学積層体(pressure-sensitive adhesive optical laminate)に関する。例示的な光学積層体は、光学フィルム;及び前記光学フィルムの少なくともいずれか一面に存在する粘着剤層を含んでもよい。前記粘着剤層は、例えば、前記光学フィルムをLCD装置の液晶パネル等や他の光学フィルムに貼り付けるための粘着剤層であってもよい。また、前記粘着剤層は、前述した本出願の粘着組成物を含んでもよい。前記粘着組成物は、架橋構造を具現した状態で前記粘着剤層に含まれていてもよい。前記で光学フィルムとしては、偏光板、偏光子、位相差フィルム又は輝度向上フィルムなどや、前記の中で2種以上が積層された積層体が例示され得る。本明細書において、用語の偏光子と偏光板は、互いに区別される対象を指す。すなわち、偏光子は、偏光機能を示すフィルム、シート又は素子そのものを指し、偏光板は、前記偏光子とともに他の要素を含む光学素子を意味する。偏光子とともに光学素子に含まれてもよい他の要素としては、偏光子保護フィルムや位相差層などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0118】
一つの例示で、前記粘着型光学積層体に使用される光学フィルムは、偏光子であってもよい。すなわち、本出願は、粘着型偏光板に関する。
【0119】
偏光板に含まれる偏光子の種類は、特に制限されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子などのようにこの分野で公知されている一般的な種類を制限なく採用してもよい。
【0120】
偏光子は、複数の方向に振動しながら入射される光から一方の方向に振動する光だけを抽出できる機能性フィルムである。このような偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている形態であってもよい。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をゲル化して得ることができる。この場合、使用してもよいポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体はもちろん、酢酸ビニル、及び前記と共重合可能な他のモノマーの共重合体も含まれてもよい。前記で酢酸ビニルと共重合可能なモノマーの例としては、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、及びアンモニウム基を有するアクリルアミド類などの1種又は2種以上の混合が挙げられるが、これに制限されるものではない。ポリビニルアルコール系樹脂のゲル化度は、通常、85モル%~100モル%程度、好ましくは、98モル%以上であってもよい。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていることもあり、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用してもよい。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000~10,000程度、又は1,500~5,000程度であってもよい。
【0121】
偏光子は、前記のようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸(ex.一軸延伸)する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸(boric acid)水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液で処理した後に水洗する工程などを経て製造してもよい。前記で二色性色素としては、ヨウ素(iodine)や二色性の有機染料などが使用されてもよい。
【0122】
前記偏光板は、偏光子の他に、保護フィルム及び/又は光学機能性フィルムを含んでもよい。
【0123】
一つの例示で、偏光板は、偏光子の一面又は両面に貼り付けられた保護フィルムを含んでもよく、この場合、前記粘着剤層は、前記保護フィルムの一面又は両面に形成されていてもよい。一つの例示で、前記粘着剤層は、保護フィルムの偏光子の反対側面に形成されていてもよい。保護フィルムの種類は、特に制限されるものではなく、例えば、TAC(Triacetyl cellulose)などのセルロース系フィルム;ポリカーボネートフィルム、又はPET(poly(ethylene terephthalet))などのポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;又はポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はシクロ系やノルボルネン構造を有する樹脂やエチレン-プロピレン共重合体などを使用して製造されるポリオレフィン系フィルムなどの1層又は2層以上の積層構造のフィルムなどを使用してもよい。水分遮断特性の確保を考慮するときには、PET系とポリオレフィン系フィルムを使用してもよく、高温耐久性の確保を考慮した場合には、アクリル系フィルムを使用してもよい。
【0124】
一つの例示で、偏光板は、また、反射フィルム、防眩フィルム、位相差フィルム、広視野角補償フィルム、及び輝度向上フィルムからなる群から選ばれた1つ以上の光学機能性フィルムをさらに含んでもよい。
【0125】
一つの例示で、前記偏光板は、±Aフィルム、±Bフィルム、及び±Cフィルムの中から選ばれる1つ以上の広視野角補償フィルムを含んでもよい。本出願において、「Aフィルム」とは、フィルムの屈折率がnx≠ny=nzを満たすフィルムを意味するもので、このとき、nx>nyである場合を+Aフィルム、nx<nyである場合を-Aフィルムという。「Bフィルム」とは、フィルムの屈折率がnx≠ny≠nzを満たすフィルムを意味するもので、nx>ny>nzである場合を-Bフィルム、nz>nx>nyである場合を+Bフィルムという。「Cフィルム」とは、フィルムの屈折率がnx=ny≠nzを満たすフィルムを意味するもので、このとき、ny<nzである場合を+Cフィルム、ny>nzである場合を-Cフィルムという。これに関連して、nxは、フィルム又はプレートの平面方向において、遅相軸方向の屈折率を意味し、nyは、フィルム又はプレートの平面方向において、遅相軸に垂直な方向の屈折率を意味し、nzは、フィルム又はプレートの厚さ方向の屈折率を意味する。
【0126】
一つの例示で、前記偏光板は、位相差フィルムを含んでいてもよい。位相差層としては、例えば、1/4波長板(QWP:quarter wave plate)が挙げることができる。1/4波長板は、1/4波長位相遅延特性を有していてもよい。本明細書において、用語のn波長位相遅延特性は、少なくとも一部の波長範囲内で、入射光をその入射光の波長のn倍ほど位相遅延させることができる特性を意味する。1/4波長位相遅延特性は、入射された線偏光を楕円偏光又は円偏光に変換させ、逆に入射された楕円偏光又は円偏光を線偏光に変換させる特性であってもよい。前記1/4波長板としては、関連技術分野で一般的に製造され、流通される1/4波長板が使用されてもよい。例えば、一軸延伸されたシクロオレフィン系フィルム、一軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、一軸延伸されたポリカーボネートフィルム、又は液晶フィルムなどが制限なく使用されてもよい。
【0127】
前記構成の偏光板は、直交透過率(Tc)が0.002%未満であり、偏光度(P.E)は、99.996~99.998%であってもよい。前記範囲を満たす場合、本来の偏光機能を十分に発揮し得る。
【0128】
本出願において、前記偏光板又は光学フィルムに粘着剤層を形成する方法は、特に制限されるものではなく、例えば、前記粘着組成物を偏光板などに直接コーティングし、硬化させて架橋構造を具現する方式を使用するか、あるいは離型フィルムの離型処理面に前記粘着組成物をコーティング及び硬化させて架橋構造を形成させた後に、これを転写する方式などを使用してもよい。
【0129】
粘着組成物をコーティングする方法は、特に制限されるものではなく、例えば、バーコーター(bar coater)などの通常の手段で粘着組成物を塗布する方式を使用してもよい。
【0130】
コーティング過程において粘着組成物に含まれている架橋剤は、作用基の架橋反応が進行しないように制御されることが均一なコーティング工程の遂行の観点から好ましく、これによって、架橋剤がコーティング作業後の硬化及び熟成過程で架橋構造を形成して粘着剤の凝集力を向上させ、粘着物性及び切断性(cuttability)などを向上させることができる。
【0131】
コーティング過程は、さらに、粘着組成物の内部の揮発成分又は反応残留物のような気泡誘発成分を充分に取り除いた上で行うことが好ましく、これによって、粘着剤の架橋密度又は分子量などが過度に低いため弾性率が低下し、高温状態でガラス板及び粘着層の間に存在する気泡が大きくなって内部で散乱体を形成する問題点などを防止できる。
【0132】
コーティング後、粘着組成物を硬化させて架橋構造を具現する方法も特に限定されるものではない。例えば、コーティング層内に含まれたブロック共重合体と多官能性架橋剤の架橋反応が誘発されることができるように、前記コーティング層を適正な温度で維持する方式などにより行うことができる。
【0133】
一つの例示で、前記粘着層は、下記実施例によって測定される偏光板に対する界面接着力が1,500gf/25mm以上、2,000gf/25mm以上、又は2,500gf/25mm以上であってもよい。偏光板に対する界面接着力は、偏光板に対する粘着層の密着力の程度を評価する尺度として、高いほど優れていると考えられる。特に制限されるものではないが、前記界面接着力の上限は、5,000gf/25mm以下、4,500gf/25mm以下、又は4,000gf/25mm以下であってもよい。
【0134】
一つの例示で、前記粘着層は、下記実施例によって測定されるガラス板に対する剥離力が250gf/25mm以上、又は300gf/25mmであってもよい。そして、その上限は、1,000gf/25mm以下、900gf/25mm以下、800gf/25mm以下、700gf/25mm以下、600gf/25mm以下、500gf/25mm以下、又は400gf/25mm以下であってもよい。ガラス板に対する剥離力が前記範囲を超える場合には、工程上、必要に応じて要求される再剥離性が悪く、前記範囲未満である場合には、粘着性が十分でないことを意味する。
【0135】
一つの例示で、前記粘着層を含む粘着型偏光板は、直交透過率(Tc)が0.002%未満を満たし、偏光度(P.E)は、99.996~99.998%の範囲を満たす粘着型偏光板であってもよい。すなわち、前記構成の粘着層は、ブロック共重合体の屈折率に係る前記関係式を満たすので、偏光板の光学特性を低下させなくてもよい。
【0136】
本出願は、また、ディスプレイ装置に関する。ディスプレイ装置がLCDである場合、前記装置は、液晶パネル及び前記液晶パネルの一面又は両面に貼り付けられた前記偏光板又は光学積層体を含んでもよい。前記偏光板又は光学積層体は、前述した粘着剤により、液晶パネルに取り付けられていてもよい。
【0137】
液晶パネルは、例えば、順次形成された第1の基板、画素電極、第1の配向膜、液晶層、第2の配向膜、共通電極、及び第2の基板を含んでもよい。一つの例示で、前記第1の基板及び第2の基板は、ガラス基板であってもよい。この場合、前記偏光板又は光学積層体は、前述した粘着剤層を介して、前記ガラス基板に取り付けられていてもよい。
【0138】
前記装置は、液晶パネルの視認側の反対側面に光源をさらに含んでもよい。光源側の第1の基板には、例えば、透明画素電極に電気的に接続された駆動素子としてTFT(Thin Film Transistor)と配線などを含むアクティブ型駆動回路が形成されていてもよい。前記画素電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などを含み、画素別電極として機能できる。また、第1又は第2の配向膜は、例えば、ポリイミドなどの材料を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0139】
前記装置において液晶パネルとしては、例えば、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型、又はPD(polymer dispersed)型のようなパッシブマトリクス方式のパネル;2端子型(two terminal)又は3端子型(threeterminal)のようなアクティブマトリクス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネル及び垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルが全て適用され得る。
【0140】
ディスプレイ装置のその他の構成、例えば、液晶表示装置におけるカラーフィルタ基板やアレイ基板のような上下基板などの種類も特に制限されるものではなく、この分野に公知されている構成が制限なく採用され得る。
【発明の効果】
【0141】
本出願の一例によると、100℃以上の高温及び/又は65℃及び95%高湿条件でも優れた耐久性及び優れた光特性を提供できる粘着組成物、及びこれを含む粘着型光学積層体が提供される
【図面の簡単な説明】
【0142】
【
図1】
図1は、実施例及び比較例において、光漏れ測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0143】
以下、実施例を介して本出願を詳細に説明する。しかし、本出願の保護範囲が下記説明される実施例により制限されるものではない。
【0144】
<測定又は評価項目>
1.分子量
ブロック又はブロック共重合体の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(PDI)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定し、GPC測定条件は、下記の通りである。検量線の作製には、標準ポリスチレン(Aglient system(製))を使用して測定結果を換算した。
【0145】
<GPC測定条件>
測定器:Aglient GPC(Aglient1200 series、U.S.)
カラム:PL Mixed B 2つ連結
カラム温度:40℃
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/min
濃度:~1mg/mL(100μl注入)
【0146】
2.耐久性
実施例及び比較例で製造した偏光板を106mm程度の幅と、142mm程度の長さになるように裁断し、これを7インチの市販の液晶パネルに取り付けた。その後、偏光板が貼り付けられたパネルをオートクレーブ(50℃、5気圧)で約20分の間保管してサンプルを製造する。製造されたサンプルの耐湿熱耐久性の場合、前記サンプルを65℃及び95%の相対湿度の条件で500時間放置した後に、粘着界面における気泡及び剥離の発生を観察して、下記基準により評価した。耐熱耐久性の場合、前記サンプルを100℃で500時間の間維持した後にも気泡及び剥離の発生を観察して、下記基準により評価した。
【0147】
<耐熱及び耐湿熱耐久性の評価基準>
A:気泡及び剥離発生なし
B:気泡及び/又は剥離若干発生
C:気泡及び/又は剥離多量発生
【0148】
3.ガラス転移温度
ブロック共重合体、又はブロック共重合体の各ブロックのガラス転移温度(Tg)は、下記式Aによって算出した。
【0149】
[式A]
1/Tg=ΣWn/Tn
【0150】
前記式においてWnは、ブロック共重合体又は前記共重合体の各ブロックに適用されたモノマーの重量分率であり、Tnは、各モノマーが単独重合体を形成した場合のガラス転移温度を示す。すなわち、式Aにおいて右辺は、使用されたモノマーの重量分率を、そのモノマーが単独重合体を形成した場合に示すガラス転移温度で割った数値(Wn/Tn)をモノマー別に全て計算した後に、計算された数値を合算した結果である。
【0151】
4.各ブロックの屈折率(Refractive index, R.I.)及び光特性
(1)屈折率
実施例及び比較例の共重合体に含まれる各ブロックの屈折率は、前述した関係式及び式によって計算した。
【0152】
(2)光の特性
実施例又は比較例で製造された粘着型偏光板を40mm幅、及び40mmの長さになるように裁断して試験片を製造する。次に、40mm幅、及び40mmの長さになるジグ(zig)に貼り付ける。その後、UV-VIS Spectrophotometer(JASCO、モデル名V-7100)装備を使用して、粘着面が光源を向くように位置させた後、偏光板のTDとMD方向に対してそれぞれのSingle transmittance(%、Ts、単体透過率)、Parallel transmittance(%、Tp、平行透過率)、Crossed Nicol transmittance(%、Tc、直交透過率)、Polarization degree(%、P.E.,偏光度)を測定した。
【0153】
5.光漏れ
光透過度の均一性を調査するため、バックライトを用いて暗室で光が漏れる部分があるかどうかを観察した。
【0154】
パネルの種類:TN用LCD module
試験片:LCD moduleのサイズに合う粘着剤が貼り付けられた偏光板2枚
偏光板の確認:延伸方向に対して45度方向に裁断された偏光板
【0155】
偏光板のwide view液晶方向の確認:偏光板の長辺を両手でつかみ、LCDモニターに縦に照らして光が透過しないようにした後、偏光板の長辺を体側に曲げて左右の中でどちらの光が漏れるかを確認し、光が漏れる方向が右になるようにすると、右下方向が液晶方向である。
【0156】
(1)LCD moduleを分解してLCDセルにくっついている偏光板を剥がして、セル表面をEAcで拭く。
(2)偏光板のwide view液晶コーティングの方向を確認した後、
図1に示すように、液晶方向がside tabから遠い方を向くように貼り付ける。上下2つの試験片を、偏光がクロスされた状態でセルの両面に貼り付け、液晶方向の上下が交差するように方向を合わせる。
(3)Aging条件(耐湿熱条件:65℃の温度及び95%の相対湿度、耐熱条件:100℃の温度)で240時間保管後、常温で2時間放置後、光漏れを観察する。
【0157】
光漏れ観察方法:LCD moduleを駆動させながら目視で観察して、下記基準で評価した。
【0158】
<評価基準>
A:光漏れを目視で判断しにくい。
B:光漏れが若干あり。
C:光漏れが多少あり。
D:光漏れが多量あり。
【0159】
6.剥離力
実施例又は比較例で製造された離型粘着積層体を25mm幅、及び100mmの長さになるように裁断して試験片を製造する。次に、粘着剤層に貼り付けられた離型PETフィルムを剥離し、JIS Z 0237の規定によって、2kgのローラーを使用して粘着偏光板をガラス(soda lime glass)に貼り付ける。偏光板が貼り付けられたガラスをオートクレーブ(50℃、5気圧)で約20分の間圧着処理し、恒温恒湿条件(23℃、50%相対湿度)で24時間の間保管してサンプルを製造する。その後、TA装備(Texture Analyzer、英国のステーブルマイクロシステム社製)を使用して、前記偏光板をガラスから0.3m/minの剥離速度及び180°の剥離角度で剥離しながら剥離力を測定する。
【0160】
7.界面接着力
実施例及び比較例で製造された粘着型偏光板を横の長さが25mmであり、縦の長さが100mmになるように裁断して試験片を製造する。その後、前記試験片を粘着剤層を介してPET(ポリ(エチレンテレフタレート))フィルムに貼り付けて積層体を製造し、常温で3日間維持した後、前記PETフィルムが上部にくるように前記積層体をガラス基板に両面テープで貼り付けた後、前記PETフィルムを常温で10mm/secの剥離速度及び180°の剥離角度で剥離しながら偏光板及びPETフィルム間の接着力を測定して、界面接着力を評価する。
【0161】
<共重合体の製造例>
製造例1.ブロック共重合体(A1)の製造
EBiB(2-ブロモイソ酪酸エチル)0.098gと、メチルメタクリレート(MMA)160gと、ブチルメタクリレート(BMA)30gと、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10gと、を酢酸エチル(EAc)370gに混合した。混合物の入った反応器を密封し、約25℃で約30分間、窒素パージング及び攪拌を行い、バブリングを介して溶存酸素を除去した。その後、CuBr2 0.0338g、TPMA(トリス(2-ピリジルメチル)アミン)0.0876g及びV-65(2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル バレロニトリル))0.226gを酸素が除去された前記混合物に投入し、約67℃の反応槽に漬けて反応を開始させた(第1のブロックの重合)。メチルメタクリレートの転換率が約70%程度である時点であらかじめ窒素でバブリングしておいたn-ブチルアクリレート(BA)829g、ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)15g、ベンジルアクリレート(BzA)100g、ヒドロキシロキシエチルアクリレート(HEA)60g、及び酢酸エチル(EAc)411gの混合物を窒素の存在下で投入した。その後、反応器にCuBr2 0.0264g、TPMA 0.0685g、及びV-65 0.335gを入れて、鎖延長反応(chain extention reation)を行った(第2のブロックの重合)。モノマー(BA)の転換率が80%以上に達すると、前記反応混合物を酸素に晒させて、適切な溶媒に希釈して反応を終結させることにより、ブロック共重合体を製造した(前記過程でV-65は、その半減期を考慮して反応終了時点まで適切に分割して投入した。)。
【0162】
製造例2~6.ブロック共重合体(A2~A3及びB1~B3)の製造
第1のブロックと第2のブロックの重合時に使用された原料の種類を下記表1のように調節したことを除いては、製造例1と同様に、ブロック共重合体を製造した。
【0163】
【0164】
実施例及び比較例
実施例1.
製造例1で製造されたブロック共重合体(A1)100重量部に対してTDI系架橋剤(Coronate L、日本NPU製)0.15重量部、DBTDL(ジブチルスズジラウレート)0.01重量部、及びエポキシ基を含むシランカップリング剤(KBM-403、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.5重量部を混合し、溶剤として酢酸エチルを配合してコーティング固形分が約25重量%になるように調節して、コーティング液(粘着剤組成物)を製造した。
【0165】
製造されたコーティング液を乾燥後の厚さが約23μm程度になるよう厚さ38μmの離型PET(poly(ethylene terephthalate))(MRF-38、三菱製)の離型処理面にコーティングし、80℃のオーブンで約3分間維持した(離型粘着積層体の製造)。
【0166】
乾燥後に偏光板(COP/PVA/COPの積層構造:COP=シクロオレフィンポリマー、PVA=ポリビニルアルコール系偏光フィルム)の片面に離型PET上に形成されたコーティング層をラミネートして粘着偏光板を製造した。このとき、使用された偏光板の直交透過率(Tc)は、約0.001%であり、偏光度(P.E.)は、99.997~99.998%の水準である。
【0167】
実施例2~3及び比較例1~9
粘着組成物(コーティング液)の製造時に各成分及び比率を下記表2のように調節したことを除いて、実施例1と同様に粘着組成物(コーティング液)及び粘着偏光板を製造した。
【0168】
【0169】
物性測定結果は、表3の通りである。
【0170】
【0171】
前記表1~3から確認されるように、実施例のブロック共重合体を有する粘着型偏光板の場合には、その光学特性が維持されるとともに、耐久性、剥離力、及び界面接着力に優れている。一方、前記関係式(|△R.I.|<0.011)を満たしていないブロック共重合体を使用する比較例1、3-4、及び6の場合には、粘着型偏光板の光学特性が良くない。比較例2及び5の場合、実施例ほど十分な架橋度が確保されておらず、ハードブロックの含量も少ないため、耐久性が良くない。