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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20220726BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220726BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20220726BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/00 303
G03G21/20
G03G15/20 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018138524
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020016721
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】亀卦川 竜一
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-201535(JP,A)
【文献】特開2000-255807(JP,A)
【文献】特開2008-040313(JP,A)
【文献】特開平10-268710(JP,A)
【文献】特開2018-025724(JP,A)
【文献】特開2006-195347(JP,A)
【文献】特開2009-053656(JP,A)
【文献】特開2007-271729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148274(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
G03G 15/00
G03G 21/20
G03G 15/20
B41J 29/00-29/70
B65H 7/00- 7/20
B65H 9/00- 9/20
B65H 13/00-15/02
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境温度及び環境湿度のうち少なくとも一方の環境情報を検出する環境情報検出手段と、
用紙が積載される用紙積載手段の用紙積載量を検知する残量検知手段と、
作像時に用紙に画像を形成した後熱を加える加熱部に通紙し、作像を経由して再度前記加熱部に通紙する搬送経路を有する搬送手段と、
前記環境情報が所定値以上であり、前記用紙積載量が所定枚数未満であるとき、前記搬送手段により画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙し加熱した後、画像が形成されたその用紙を通紙する制御手段と、
を備え
前記制御手段は、前記用紙積載量が所定枚数以上になったことを検知された場合、画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙しないように前記搬送手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記環境情報が所定値未満になったことを検知された場合、画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙しないように前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙する場合、画像形成後の用紙の加熱温度と比較して低温で加熱されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は所定の情報を表示すると共に使用者による操作を受け付ける操作パネルを備え、前記制御手段が画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙するモードである際に印刷要求があった場合、前記制御手段が、画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙するか否かを前記操作パネルに表示することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成前の用紙を前記加熱部に搬送する搬送経路は、両面印刷用の搬送経路であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、像担持体と、該像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像担持体をレーザ光により露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を用紙に転写する転写手段と、前記用紙に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、を備え、
前記加熱部は前記定着手段であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温多湿環境下において複写機やプリンタ等の画像形成装置を使用する場合、用紙トレイ内に積載された用紙束の最終紙、すなわち用紙トレイの底板に当接する用紙や、その近傍にある用紙では、底板の上部に位置する部分とそれ以外の部分との間で、含有する水分量に差異が生じる。具体的には、用紙の、底板の上部に位置する部分よりも、それ以外の部分の水分量が多くなる。
【0003】
そして、この水分量の差異に起因して、用紙内に電気抵抗のムラが生じてしまい、画像形成装置による印刷時に底板の形状に白抜けが発生することがある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示すように、画像形成装置内に用紙の除湿を行う除湿ヒータを設け、湿度に応じて除湿ヒータを作動させることで、用紙を乾燥させ、部位による水分量の差異を解消することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、除湿ヒータを搭載しない画像形成装置や、除湿ヒータを搭載していてもこれを使用しない運転モードの場合には、上述した用紙の部位による水分量の差異が解消せず、白抜けを防止することができなかった。そのため、除湿ヒータによらない除湿機構が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、用紙の部位による水分量の差異を解消し、印刷時の白抜けの発生を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述した課題を解決するために、用紙の部位による水分量の差異を解消し、印刷時の白抜けの発生を防止することができる画像形成装置を発明した。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、環境温度及び環境湿度のうち少なくとも一方の環境情報を検出する環境情報検出手段と、用紙が積載される用紙積載手段の用紙積載量を検知する残量検知手段と、作像時に用紙に画像を形成した後熱を加える加熱部に通紙し、作像を経由して再度前記加熱部に通紙する搬送経路を有する搬送手段と、前記環境情報が所定値以上であり、前記用紙積載量が所定枚数未満であるとき、前記搬送手段により画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙し加熱した後、画像が形成されたその用紙を通紙する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記用紙積載量が所定枚数以上になったことを検知された場合、画像形成前の用紙を前記加熱部に通紙しないように前記搬送手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述した構成からなる本発明によれば、用紙の部位による水分量の差異を解消し、印刷時の白抜けの発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による画像形成装置の一例として、複写機を示す縦断正面図である。
図2図1に示したプリンタエンジンのドラム状の感光体周りの構成を抽出して示す拡大正面図である。
図3図1の複写機における片面通紙の搬送経路を示す縦断正面図である。
図4図1の複写機における両面通紙搬送経路を示す縦断正面図である。
図5】定着部から排紙ローラまでの搬送経路を示す模式図である。
図6】両面通紙時の定着部から排紙ローラ対が逆回転することで紙を戻す(スイッチバック)構成を示す模式図である。
図7】制御手段による環境情報と用紙積載量に基づく通紙の制御の様子を示すフローチャートである。
図8】用紙トレイの底板を示す斜視図である。
図9】制御手段による環境情報と用紙積載期間に基づく通紙の制御の様子を示すフローチャートである。
図10】制御手段による環境情報、用紙積載期間及び用紙積載量に基づく通紙の制御の様子を示すフローチャートである。
図11】制御手段が環境情報と用紙積載量に基づく通紙の制御を行う際に印刷要求があった場合の制御手段による制御の様子を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明による画像形成装置の一例として、複写機を示す縦断正面図である。この複写機1は、上部側に配置されたスキャナ装置2と、このスキャナ装置2で読み取った原稿の画像を転写対象物(例えば、用紙)に形成するプリンタ装置3とを有している。プリンタ装置3内には、シート状記録媒体の一例としての用紙を積層保持する給紙トレイ4あるいは手差しでの用紙を受付ける手差しトレイ5からプリンタエンジン6(作像部)、定着部7を介して排紙スタッカ部8へ至る用紙搬送経路が形成されている。
【0013】
図2は、図1に示したプリンタエンジン6のドラム状の感光体10周りの構成を抽出して示す拡大正面図である。像担持体の一例としての感光体10の周りには、電子写真プロセスにしたがい、帯電ローラ11、光書き込み装置12(図1参照)による書き込みレーザ光Pの照射露光位置、現像装置13、接触転写方式の転写手段となる転写ローラ14、転写手段に対して転写電圧を印加する電圧印加手段、クリーニングブレード15等が順に配置、設定されている。現像装置13は、現像スリーブ16、トナー濃度センサ17等を備える。また、18は感光体10上に形成されたトナー像のトナー濃度を検出するためのいわゆるトナー像濃度センサ18である。また、19は転写位置への用紙の給紙搬送タイミングを制御するレジストローラである。
【0014】
図3は、図1の複写機1における片面通紙の搬送経路101を示す縦断正面図である。曲線矢印に従い、給紙トレイ4、あるいは手差しトレイ5(図3では例として、給紙トレイ4からの搬送経路を示す)から、電子写真プロセスに従い、スキャナ装置2で読み取った原稿の画像を作像部にて転写した画像を、定着部7にてトナー画像を用紙に定着させ、排紙ローラ対33(図6参照)によって送り出され最終的に排紙スタッカ部8にスタックされる。
【0015】
図4は、図1の複写機1における両面通紙搬送経路102を示す縦断正面図である。曲線矢印に従い、給紙トレイ4、あるいは手差しトレイ5(図4では例として、給紙トレイ4からの搬送経路を示す)から、電子写真プロセスに従い、スキャナ装置2で読み取った原稿の画像を作像部にて転写した画像を、定着部7にてトナー画像を用紙に定着させ、排紙ローラ対33(図5参照)によって送り出され、排紙ローラ対によってスイッチバック(図6参照)を行い、両面通紙搬送経路102に紙を搬送する。曲線矢印に従って再び作像部、定着部7にて画像形成を行い、最終的に排紙スタッカ部8にスタックされる。後述するプレ通紙した用紙を本通紙する場合、上記両面通紙搬送経路102を経由して作像部、定着部7へ通紙している。
【0016】
図5は定着部から排紙ローラまでの搬送経路34を示している。定着ヒータ27によって加熱された定着ローラ28、加圧ローラ29で加熱加圧された用紙は、ガイド板30、ガイドコロ31、排紙上ガイド板32、排紙ローラ対33によって構成された搬送経路を通る。ガイド板は一方の端部が回動軸で支持され、回動可能に構成されている。図5では上方に回動され、用紙が排紙ローラ対33側へ搬送されるようにガイドしている。このガイド板30、排紙上ガイド板32によって用紙の搬送方向を調整する。ガイドコロ31が回転することで用紙が排紙ローラ対33側まで送られ、排紙ローラ対33が回転することによって、最終的に排紙スタッカ部8にスタックされる。
【0017】
図6は両面通紙時の定着部7から排紙ローラ対33が逆回転することで紙を戻す(スイッチバック)構成を示す模式図である。図5にて説明した搬送経路34を通り、片面通紙の場合はそのまま排紙スタッカ部8にスタックされるが、両面通紙では用紙が一部排出した時点で一時停止を行い、排紙ローラ対33が逆回転することによって、紙を戻し、両面通紙搬送経路に紙を搬送する。そのときガイド板30が図6のように下方に回動され、用紙が両面通紙搬送経路に搬送されるようにガイドしている。片面通紙では両面通紙搬送経路を妨げる形となっている(図3参照)が、両面通紙時では戻ってきた用紙に押し戻される形となる。
【0018】
更に、複写機1は、図示しない環境情報検出手段、残量検知手段、用紙残紙検知手段及び制御手段を備えている。
【0019】
環境情報検出手段は、環境温度及び環境湿度のうち少なくとも一方の環境情報の検出を行う温度センサ及び/又は湿度センサである。適宜変更することが可能であるが、環境情報検出手段は、例えば給紙トレイ4の用紙の周辺、近傍に設けることができる。
【0020】
残量検知手段は、用紙が積載される用紙トレイの用紙残量の検知を行うセンサである。用紙残量の検知は、例えば給紙トレイ内に設置されている底板が上昇する時間(底板上昇モータのパルス数)に基づき行われる。
【0021】
用紙残紙検知手段は、用紙トレイに積載された用紙の未使用期間を検知する。
【0022】
制御手段は、環境情報が所定値以上であり、用紙残量が所定枚数未満であるとき、搬送手段により画像形成前の用紙を定着部7に通紙し加熱した後(以下「プレ通紙」という。)、画像が形成された用紙を通紙する制御を行う。環境情報が所定値以上であることの検知は、例えば環境情報検出手段により行われ、用紙残量が所定枚数未満であることの検知は、例えば残量検知手段により行われる。
【0023】
次に、上述した構成を備える複写機1の動作について説明する。図7は、制御手段による環境情報と用紙積載量に基づく通紙の制御の様子を示すフローチャートである。
【0024】
まず、環境情報検出手段により環境情報の検出が行われる。その結果、環境情報、すなわち環境温度又は環境湿度が所定値T1以上である場合(ステップS11:Yes)、次に残量検知手段が用紙トレイ内の用紙積載量の検知を行う。
【0025】
残量検知手段による用紙積載量の検知の結果、用紙積載量が所定値S1未満である場合(ステップS12:Yes)、制御手段によりプレ通紙が実施される。
【0026】
一方、環境情報が所定値T1未満である場合(ステップS11:No)、プレ通紙は行われず、通常の印刷工程が行われる。また、用紙積載量が所定値S1以上である場合も(ステップS12:No)、プレ通紙は行われず、通常の印刷工程が行われる。
【0027】
このように、環境情報が所定値T1以上で用紙積載枚数が所定値S1未満の場合にプレ通紙(プレ加熱)を行うことで、用紙に吸湿している水分が定着ユニットを通る際に加熱され揮発される。これにより、図8に示す用紙トレイの底板Bに当接する用紙や、その近傍にある用紙における、底板の上部に位置する部分とそれ以外の部分との間の、含有する水分量の差異を解消することができ、底板形状に発生する白抜けの発生を効果的に防止することができる。
【0028】
なお、所定値T1は、例えば27℃、湿度80%とすることができる。また、所定値S1は、例えば500枚とすることができる。
【0029】
また、図7に示す動作に加えて、環境情報が所定値以上でも用紙積載量が所定値以上(始めから積載されていた場合)もしくは用紙を継ぎ足して積載量が所定値以上になった場合、プレ通紙を行わずに通常通紙を行う態様としてもよい。
【0030】
用紙の継ぎ足しの検知は、給紙トレイに設けられた開閉検知手段が給紙トレイが開いたことを検知することや、同じく給紙トレイに設けられた底板上昇検知手段が底板上昇に要する時間が短くなったことを検知する等により行われる。
【0031】
次に、上述した構成を備える複写機1の別の動作について説明する。図9は、制御手段による環境情報と用紙積載期間に基づく通紙の制御の様子を示すフローチャートである。
【0032】
まず、環境情報検出手段により環境情報の検出が行われる。その結果、環境情報、すなわち環境温度又は環境湿度が所定値T1以上である場合(ステップS21:Yes)、次に用紙残紙検知手段が、用紙トレイに積載された用紙の未使用期間を検知する。
【0033】
そして、用紙残紙検知手段が用紙の未使用期間が所定期間U1以上であることを検知した場合(ステップS22:Yes)、制御手段によりプレ通紙が実施される。
【0034】
一方、環境情報が所定値T1未満である場合(ステップS21:No)、プレ通紙は行われず、通常の印刷工程が行われる。また、用紙の未使用期間が所定期間U1未満である場合も(ステップS22:No)、プレ通紙は行われず、通常の印刷工程が行われる。
【0035】
このように、環境情報がT1以上で用紙が所定期間U1以上積載されている場合にプレ通紙(プレ加熱)を行い、用紙を定着ユニットに一度通すことで、用紙に吸湿している水分を加熱し揮発させる。所定期間U1は、例えば2週間とすることができる。
【0036】
本来は高温高湿環境で用紙積載枚数が少ない場合に底板形状とそれ以外の部分で電気抵抗ムラの影響を受けるが、用紙が継ぎ足しされ最下面(底板に近い用紙)が長い期間積載されている場合には同様に湿度が高い状態となるため、プレ通紙を行う必要がある。
【0037】
次に、上述した構成を備える複写機1の更に別の動作について説明する。図10は、制御手段による環境情報、環境情報の変化及び用紙積載量に基づく通紙の制御の様子を示すフローチャートである。
【0038】
まず、環境情報検出手段により環境情報の検出が行われる。そして、当初環境情報が所定値T1以上であったが(ステップS31:Yes)、所定時間経過後に更に環境情報を検出したところ、環境情報が所定値T1未満になった場合(ステップS32:Yes)、所定値T1未満になってから所定時間t1経過したか否かが判断される(ステップS33)。
【0039】
経過時間が所定時間t1未満である場合(ステップS33:Yes)、次に用紙残紙検知手段が、用紙積載量が所定値S1未満であるか否かを検知する(ステップS34)。用紙積載量が所定値S1未満である場合(ステップS34:Yes)、プレ通紙が実施される。
【0040】
一方、環境情報が所定値T1未満である場合(ステップS31:No)、所定値T1未満になってから所定時間t1以上経過している場合(ステップS33:No)、及び用紙積載量が所定値S1以上である場合(ステップS34:No)、プレ通紙は行われず、通常の印刷工程が行われる。
【0041】
環境情報が所定値T1未満になっても、給紙トレイ内にある用紙はしばらくの間多くの水分を含んだ状態なので、トレイ底板形状の白抜けが発生してしまう。そこで、図10に示したように、環境情報が所定値T1未満になってから所定時間t1未満であればプレ通紙を行うことで、白抜けの発生を防止することができる。一方、所定時間t1以上経過した場合は、用紙の水分量は十分に減少したものとして、プレ通紙をおこなわずに通常通紙を行う。
【0042】
次に、上述した構成を備える複写機1の更に別の動作について説明する。図11は、制御手段が環境情報と用紙積載量に基づく通紙の制御を行う際に印刷要求があった場合の制御手段による制御の様子を示すフローチャートである。
【0043】
この場合、まず、環境情報検出手段により環境情報の検出が行われる。そして、当初環境情報が所定値T1以上である場合(ステップS41:Yes)、次に残量検知手段が、用紙が積載される用紙トレイの用紙残量、すなわち用紙積載量の検知を行う。用紙積載量が所定値S1未満である場合(ステップS42:Yes)、制御手段が、プレ通紙を行うか否かを操作パネルに表示する(ステップS43)。
【0044】
使用者が操作パネルを操作し、プレ通紙を行うことを選択した場合(ステップS43:Yes)、制御手段がプレ通紙を行う。一方、使用者がプレ通紙を行うことを選択しなかった場合(ステップS43:No)、環境情報が所定値T1未満である場合(ステップS41:No)、及び用紙積載量が所定値S1以上になった場合(ステップS42:No)、プレ通紙は行われず通常の印刷工程が行われる。
【0045】
このように、プレ通紙が行われる条件下において、プレ通紙を行うか否かを使用者が選択できるようにすることで、印刷を急ぐ場合に対応することが可能となる。
【0046】
なお、制御手段による種々の通紙制御を説明したが、プレ通紙時の定着部7における加熱温度について、通常の印刷工程よりも低く設定することができる。例えば、通常の印刷工程では、定着部7において用紙が175℃に加熱される一方、プレ通紙時には125℃に加熱されるようにすることができる。この場合、カールの発生をより防止することができる。このプレ通紙時の加熱温度は、紙厚によって調節される。
【0047】
また、上述したプレ通紙は、図4に示した両面搬送経路を利用して行われる。これにより、プレ通紙用の専用の搬送経路を設ける必要が無くなり、装置を省スペース化することができる。
【0048】
上述した複写機1を例とする本発明に係る画像形成装置によると、プレ通紙を行い用紙を加熱し、用紙に含まれる水分を揮発させることで、用紙の部位による水分量の差異を解消し、印刷時の白抜けの発生を防止することができる。
【0049】
なお、本発明の画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等として好適に用いることができ、上述した実施形態においては電子写真方式の画像形成装置を例に説明したが、本発明はこれに限られず、インク式の画像形成装置においても好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 複写機
2 スキャナ装置
3 プリンタ装置
4 給紙トレイ
5 手差しトレイ
6 プリンタエンジン
7 定着部
8 排紙スタッカ部
10 感光体
11 帯電ローラ
12 光書き込み装置
13 現像装置
14 転写ローラ
15 クリーニングブレード
16 現像スリーブ
17 トナー濃度センサ
18 トナー像濃度センサ
19 レジストローラ
28 定着ローラ
29 加圧ローラ
30 ガイド板
31 ガイドコロ
32 排紙上ガイド板
33 排紙ローラ対
34 搬送経路
101 片面通紙搬送経路
102 両面通紙搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【文献】特開2005-104718号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11