(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】定着装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2018218217
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 皓一
(72)【発明者】
【氏名】池淵 豊
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215432(JP,A)
【文献】特開2015-197542(JP,A)
【文献】特開2013-061417(JP,A)
【文献】特開2011-059365(JP,A)
【文献】特開2017-215434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱源と、前記定着部材とニップを形成する加圧部材と、前記定着部材内部で前記加圧部材と対向しニップを形成するニップ形成部材と、前記加熱源からの熱を反射させる反射部材と、前記反射部材を固定する支持部材とを有する定着装置において、
前記反射部材と前記支持部材とを
、ネジ止めにより固定された断熱部材を介して、長手方向の端部および中央部のそれぞれで接触させ、
前記長手方向の端部および中央部は、1つの平面で形成され、
前記長手方向の端部において前記固定された断熱部材は、前記長手方向の中央部において前記固定された断熱部材よりも熱伝導率が高い部材である、
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記反射部材と前記支持部材とが接触する領域の面積は、長手方向の中央部よりも長手方向の端部のほうが大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ネジ止めされる箇所は、前記反射部材と前記支持部材とが接触する領域の面積に応じて定められる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の定着装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光熱源を利用する定着装置において、熱を最大限利用するために反射板を用いる技術が知られている。例えば、特許文献1には、エンドレスベルトと、ヒータからの輻射熱を反射する反射板と、反射板を支持するステーとを備える構成で、反射部材とステーを締結部材で締結する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1では、ステーが高温になることを防止する目的で、ステーと反射板間にできるだけ空間を設け、ステーと反射板の締結部のみ接触させている。従来の反射板は、反射しきれない熱が定着ユニットの長手中央に蓄積して温度が上昇し、部品の耐熱温度を超えてしまう問題があったが、上記特許文献1では、反射板と反射板を固定する部材の接触面積を減らすことでステーの温度上昇を抑制している。しかし、この構成では反射板自体の温度が上昇して耐熱温度を超えてしまうために高生産性を実現することができない。
【0004】
本発明は、反射部材の温度の上昇を抑制し、生産性を高めることが可能な定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様にかかる定着装置は、回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱源と、前記定着部材とニップを形成する加圧部材と、前記定着部材内部で前記加圧部材と対向しニップを形成するニップ形成部材と、前記加熱源からの熱を反射させる反射部材と、前記反射部材を固定する支持部材とを有する定着装置において、前記反射部材と前記支持部材とを長手方向端部で接触させることを特徴とする定着装置として構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、反射部材の温度の上昇を抑制し、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態に係る定着装置を搭載する画像形成装置の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示した定着装置の上面図(a)および温度分布を説明するための図(b)である。
【
図4】反射部材から支持部材への熱の流量が、反射部材、あるいは支持部材の長手方向である用紙搬送幅中央部よりも端部に寄った位置において大きくなることを示す図である。
【
図5A】反射部材と支持部材とが少なくとも片側の端部で接触し、中央部の少なくとも一部で非接触である構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
【
図5B】
図5Aに示した定着装置の上面図および反射部材と支持部材との配置関係を示す図である。
【
図6A】反射部材と支持部材とを固定面で断熱部材を介して接触させる構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
【
図6B】
図6Aに示した定着装置の上面図および反射部材と支持部材との配置関係を示す図である。
【
図7A】反射部材と支持部材とが少なくとも片側の端部で接触し、中央部の少なくとも一部で非接触である他の構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
【
図7B】
図7Aに示した定着装置の上面図および反射部材と支持部材との配置関係を示す図である。
【
図8A】反射部材と支持部材とが少なくとも片側の端部で接触し、中央部の少なくとも一部で非接触であるさらなる他の構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
【
図8B】
図8Aに示した定着装置の上面図および反射部材と支持部材との配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、定着装置、および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。先ず、
図1を用いて本実施の形態に係る定着装置を搭載する画像形成装置の一例を説明する。以下に説明する定着装置を用いることで、生産性の高い画像形成装置を実現できる。
図示の画像形成装置は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式を用いるカラープリンタであるが、本発明はこの方式に限られず、プリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
【0009】
画像形成装置1000では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
図示の構成では、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された像が、1次転写行程の実行により、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトが用いられる中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して重畳転写される。その後、中間転写体上の画像は記録シートなどが用いられる記録材Sに対して2次転写行程の実行により一括転写される。
【0010】
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを例として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って、画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bk及びクリーニング装置50Bkが配置されている。感光体ドラムの帯電後に行われる書き込みには、光書込装置8が用いられる。
【0011】
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるように、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
【0012】
画像形成装置1000は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての転写ローラである2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングするクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光書込装置8とを有している。
【0013】
光書込装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラー及び偏向手段としての回転多面鏡などを装備している。光書込装置8は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに静電潜像を形成するように構成されている。書き込み光Lbに関して、
図1では便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
【0014】
画像形成装置1000には、2次転写ローラ5と転写ベルト11との間に向けて搬送される記録材Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録材Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写ローラ5と転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4と、記録材Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとが設けられている。
【0015】
また、画像形成装置1000には、トナー像が転写された記録材Sにトナー像を定着させるための定着装置100と、トナー像の定着済みの記録材Sを画像形成装置1000の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置1000の本体上部に配設されて排紙ローラ7により画像形成装置1000の本体外部に排出された記録材Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkとが備えられている。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
【0016】
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このために、従動ローラ73にはスプリングなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで、転写装置71が構成されている。
シート給送装置61は、画像形成装置1000の本体下部に配設され、最上位の記録材Sの上面に当接する給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の記録材Sをレジストローラ対4に向けて給送する。
【0017】
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有している。そして、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。クリーニング装置13はまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。
【0018】
図2は、定着装置の断面構成図である。本実施形態の定着装置100は、加圧回転体である加圧ローラ131と定着部材である定着ベルト121を有し、加熱源であるハロゲンヒータ203により定着ベルト121が内周側から輻射熱で直接加熱される。また、定着ベルト121の外周面に対向し定着ベルト121の温度を検知する温度センサを有する。
定着ベルト121のループ内(定着部材の内側)には、定着ベルトを介して対向する加圧ローラ131に圧接されてニップを形成するニップ形成部材204があり、定着ベルト内面と直接もしくは摺動シートを介して間接的に摺動するようになっている。
図2ではニップ部Nの形状がニップ幅nの平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。(ニップの形状は凹形状の方が、記録紙先端の排出方向が加圧ローラ寄りになり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される)。
【0019】
定着ベルト121はニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(もしくはフィルム)とする。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成する弾性層があっても良い。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じる。これを改善するにはシリコーンゴム層を100[μm]以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
【0020】
定着ベルト121の内部にはニップ形成部材204や反射部材(リフレクタ)206を固定して支持するための支持部材205(ステー)を設け、加圧ローラ131により圧力を受けるニップ形成部材204の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。この支持部材205は両端部で保持部材であるフランジ(図示せず)に保持固定され位置決めされている。また、加熱源203と支持部材205の間に反射部材206を備え、熱源203からの輻射熱などにより支持部材205が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。ここで反射部材206を備える代わりに支持部材205表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。熱源203は、図示したハロゲンヒータでも良いが、誘導加熱装置であっても良いし、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
【0021】
加圧ローラ131は芯金に弾性ゴム層があり、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。加圧ローラ131は画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ131はスプリングなどにより定着ベルト121側に押し付けられており、弾性ゴム層が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ131は中空のローラであっても良く、加圧ローラ131にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。弾性ゴム層はソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ131内部にヒータなどの加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルトの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
【0022】
定着ベルト121は加圧ローラ131により連れ回り(従動)回転する。本実施形態の場合は、加圧ローラ131が図示しない駆動源により回転し、ニップ部Nでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト121が回転する。定着ベルト121はニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部以外では両端部で保持部材(フランジ)にガイドされ、走行する。このような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
【0023】
図2に示すように、ヒータ203から発せられる熱は、リフレクタである反射部材206で反射される。しかし、その一部は反射部材206に残り、ステーである支持部材205へと伝わるため、温度上昇でパッドが溶けるなどの不具合が発生するという問題がある。
【0024】
図3は、
図2に示した定着装置の上面図(a)および温度分布を説明するための図(b)である。従来は、点線で示した固定部310において、反射部材206と支持部材205とをネジ止めしている。そのため、反射部材206、あるいは支持部材205の長手方向の中央部で反射部材206から支持部材205へと熱が伝わり、伝わった熱は支持部材205自身やニップ形成部材204の温度を上昇させる。この際、支持部材205の端部はホルダ290を介して側板280と接触しているため、上記熱を逃がすことができる。このときの支持部材205の温度分布は、
図3(b)の点線で示すように、長手方向の中央部が高温であり、長手方向の端部が低温となる分布D1を形成する。なお、上記中央部、端部は、例えば、長手方向を均等に3分割したときの真ん中が中央部とし、その両側をそれぞれの端部となる。
【0025】
これに対し、実線で示した固定部320において反射部材206と支持部材205とをネジ止めすると、反射部材206から支持部材205への熱の受け渡しが、
図3(b)の実線で示す分布D2となる。すなわち、
図3(a)の点線で示した矢印X1のように、ネジ止め箇所が、長手方向の中央部よりも、実線で示した矢印X2のように、長手方向の端部側にずれる。これにより、反射部材206から支持部材205に伝わった熱を、側板280に逃がしやすくなるため、支持部材205のピーク温度を下げることができる。
このように、反射部材206と支持部材205とを、熱の溜まりにくい長手方向の端部で接触させる、あるいは接触面積が多くなるように固定することで、反射部材206自身の熱を効率的に逃がし、反射部材206自体の温度を低下させることができる。また、反射部材と支持部材とがネジ止めされることにより、高温に耐えることができ、狭い空隙においても接触することなく、反射板の温度の上昇を抑制することができる。
【0026】
図4は、反射部材206から支持部材205への熱の流量が、反射部材206、あるいは支持部材205の長手方向である用紙搬送幅中央部401よりも端部402a、402bに寄った位置において大きくなることを示す図である。
図4(a)は、上記熱の流量を中央部よりも端部に寄った位置において大きくした構成を採用した定着装置の上面図、
図4(b)、(c)は、上記構成における定着ベルト121動作中の反射部材206から支持部材205への熱伝導量の分布を示す図である。
図4(b)では、中央部401よりも上記端部402aにおいて熱伝導量が大きい(多い)ために、グラフ左側の値が大きくなっていることがわかる。また、
図4(c)では、中央部401よりも上記端部402bにおいて熱伝導量が大きいために、グラフ右側の値が大きくなっていることがわかる。このように、反射部材206と支持部材205とを長手方向端部で接触させることにより、端部側の熱伝導量を大きくしている。
【0027】
図5A、5Bは、反射部材206と支持部材205とが少なくとも片側の端部で接触し、中央部の少なくとも一部で非接触である構成を説明するための図である。
図5Aは、本構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
図5Bは、
図5Aに示した定着装置の上面図および反射部材206と支持部材205との配置関係を示す図である。
図5Aに示すように、本構成の定着装置では、反射部材206および支持部材205の所定位置590(
図5A(a)では、コの字形上の支持部材205の下側の腕部)において、
図5A(b)に示すように、反射部材206と支持部材205とを、例えば、ネジ止め等により接触固定させる部位X1を有し、
図5A(c)に示すように、反射部材206と支持部材205とを非接触とし、両者の間に空隙を設けた部位X2を有している。
【0028】
これらの部位X1、X2は、
図5B(a)に示すように、反射部材206、あるいは支持部材205の長手方向の中央部501において、反射部材206と支持部材205とが部位X2のように非接触となっている。すなわち、中央部501において、少なくともその全部または一部が部位X2のような空隙が設けられた領域P1を有していればよい。
【0029】
例えば、
図5B(b)に示すように、中央部501の左右の端部502a、502bのいずれか(
図5B(b)では、左側の端部502a)において、部位X1のように接触固定させ、他方の端部(
図5B(b)では、右側の端部502b)および中央部501において、部位X2のように非接触とする。また、例えば、
図5B(c)に示すように、中央部501の左右の端部502a、502bの両方において、部位X1のように接触固定させ、中央部501において、部位X2のように非接触とする。
【0030】
このように、反射部材206と支持部材205は、少なくとも長手方向の片側の端部で接触し、長手方向の中央部で非接触となっており、反射部材206から支持部材205への熱伝導量の分布を、反射部材206と支持部材205との接触位置を変えることによって変化させ、長手方向の端部側の熱伝導量を大きくすることができる。また、反射部材206を支持部材205に直接接触させることで、追加部材なく、非接触の場合より熱伝導を高めることができるため、容易に
図4に示したような熱伝導量分布を達成できる。
【0031】
図6A、6Bは、反射部材206と支持部材205とを固定面Yで断熱部材X3を介して接触させる構成を説明するための図である。
図6Aは、本構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
図6Bは、
図6Aに示した定着装置の上面図および反射部材206と支持部材205との配置関係を示す図である。
図6Aに示すように、本構成の定着装置では、反射部材206および支持部材205の所定位置690(
図6A(a)では、コの字形上の支持部材205の下側の腕部)において、
図6A(b)に示すように、反射部材206と支持部材205とを、例えば、断熱部材X3を介して、ネジ止め等により接触固定させた部位を有している。
【0032】
上記部位では、
図6B(a)に示すように、反射部材206、あるいは支持部材205の長手方向の中央部601において、少なくともその全部または一部に断熱部材X3が挟み込まれ、中央部601の両端部602a、602bでは、断熱部材X3を設けない構成とする。
図6B(a)では、両端部に断熱部材X3を設けない場合を例示したが、
図5B(b)のように、いずれか片方の端部が断熱部材X3を設けない構成としてもよい。
【0033】
また、例えば、
図6B(b)に示すように、中央部601では、熱伝導率の低い断熱部材X313を設け、左右の端部602a、602bでは、断熱部材X31よりも熱伝導率の高い断熱部材X32a、32bを設ける構成とする。
図6B(b)では、両端部に中央部よりも熱伝導率の高い断熱部材を設ける場合を例示したが、
図5B(b)のように、いずれか片方の端部が上記熱伝導率の高い断熱部材を設ける構成としてもよい。
【0034】
このように、反射部材206と支持部材205とが接触する長手方向の中央部の少なくとも一部が断熱部材を介して接触し、反射部材206と支持部材205とが接触する中央部の少なくとも一部に断熱部材を挟み込むことにより、
図5A、5Bに示した方法とは異なる方法で、長手方向の端部側の熱伝導量を大きくすることができ、中央部の熱移動を抑えることができる。すなわち、反射部材206と支持部材205との接触部分のうち、中央部から生じる熱伝導を抑えることで、端部に対して中央の熱伝導量を少なくする。
【0035】
また、反射部材206を固定させるために、反射部材206と支持部材205とを少なからず接触させる必要があるが、反射部材206の形状を簡単な構成にするためには、中央部601、端部602a、602bは1つの平面で形成することが望ましい。この場合、固定面Yで、反射部材206と支持部材205とが、中央部601、端部602a、602bにおいて均一な力で接触することになり、熱伝導量も均一となる。したがって、このような場合を想定し、中央部に熱伝導率の低い断熱材を挟み込み、端部に熱伝導率の高い断熱材を挟み込むことで、中央部の熱移動量を減らすことができる。
【0036】
また、反射部材206と支持部材205の間に別途部材を挟み、その部材材料の組み合わせを選ぶことで、中央部と端部との間で熱伝導量の差を容易に作り出すことができる。
【0037】
図7A、7Bは、反射部材206と支持部材205とが少なくとも片側の端部で接触し、中央部の少なくとも一部で非接触である他の構成を説明するための図である。
図7Aは、本構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
図7Bは、
図7Aに示した定着装置の上面図および反射部材206と支持部材205との配置関係を示す図である。
【0038】
図7Aに示すように、本構成の定着装置では、反射部材206および支持部材205の所定位置790(
図7A(a)では、コの字形上の支持部材205の下側の腕部)において、
図7A(b)に示すように、反射部材206と支持部材205とを、例えば、ネジ止め等により接触固定させる部位X1’を有し、
図7A(c)に示すように、反射部材206と支持部材205とを非接触とし、両者の間に空隙を設けた部位X2’を有している。
【0039】
これらの部位X1’、X2’は、
図7Bに示すように、反射部材206、あるいは支持部材205の長手方向の中央部701の一部の領域P31と端部702a、702bの一部または全部の領域P32a、P32bにおいて、反射部材206と支持部材205とが部位X1’のように接触固定される。すなわち、中央部701における接触領域P31は、両端部の接触領域P32a、P32bよりも、接触面積が小さい領域として構成される。
図7Bでは、中央部における接触領域が、両端部の接触領域よりも接触面積が小さい場合を例示したが、
図5B(b)のように、中央部の接触領域がいずれか片方の端部の接触領域よりも小さい構成としてもよい。
このように、反射部材206と支持部材205とが接触する領域の面積は、長手方向の中央部よりも長手方向の端部のほうが大きくなり、反射部材206から支持部材205への熱伝導量の分布を、反射部材206と支持部材205との接触面積を変えることによって変化させ、長手方向の端部側の熱伝導量を大きくすることができる。また、中央部、端部共に反射部材206と支持部材205の固定が必要な場合など、中央を接触させる必要がある場合であっても、中央部と端部の接触面積を変えることで、中央部と端部との間で熱伝導量の差を容易に作り出すことができる。
【0040】
なお、
図7A、7Bでは、反射部材206の形状を変えて上記接触面積を変化させる場合を例示したが、
図6A、6Bに示したように、支持部材205以上に熱伝導しやすい部材(断熱部材でもよい)を挟んで上記接触領域を構成してもよい。
【0041】
図8A、8Bは、反射部材206と支持部材205とが少なくとも片側の端部で接触し、中央部の少なくとも一部で非接触であるさらなる他の構成を説明するための図である。
図8Aは、本構成における定着装置の断面構成図およびその拡大図である。
図8Bは、
図8Aに示した定着装置の上面図および反射部材206と支持部材205との配置関係を示す図である。
【0042】
図8Aに示すように、本構成の定着装置では、反射部材206および支持部材205の所定位置890(
図8A(a)では、コの字形上の支持部材205の下側の腕部)において、
図8A(b)に示すように、反射部材206と支持部材205とを、例えば、1または複数個所でのネジ止め等により接触固定させる部位X4を有し、
図8A(c)に示すように、反射部材206と支持部材205とを非接触とし、両者の間に空隙を設けた部位X5を有している。
【0043】
これらの部位X4、X5は、
図8Bに示すように、反射部材206、あるいは支持部材205の長手方向の中央部801の領域では固定されずに部位X5のように非接触となり、端部802a、802bの一部または全部の領域P4a、4bにおいて、反射部材206と支持部材205とが部位X4のように接触固定される。すなわち、中央部801は非接触領域として構成され、端部802a、802bは接触領域を有した構成となる。
図8Bでは、接触領域P4a、4bにおいて1箇所でネジ止めされた場合を示しているが、接触領域P4a、4bの大きさに応じて、ネジ止め箇所を増やしてもよい。すなわち、ネジ止めされる箇所は、反射部材206と支持部材205とが接触する領域の面積に応じて定めてもよい。例えば、接触領域P4a、4bが端部802a、802bの全領域にわたる場合には、接触領域P4a、4bにおけるネジ止め箇所を、それぞれ2箇所としてもよい。これにより、接触領域が大きくなった場合でも、確実に長手方向の端部側の熱伝導量を大きくすることができる。
【0044】
これまで説明したように、従来は、リフレクタ等の反射部材で反射しきれない熱が定着ユニットの長手中央に蓄積して温度が上昇し、部品の耐熱温度を超えてしまう場合があったが、上記のように反射部材と支持部材の締結箇所を軸方向端部にすることにより、端部側の熱伝導量が大きくなり、反射板の温度の上昇を抑制し、生産性を高めることができる。すなわち、反射部材と固定部材とを、熱の溜まりにくい長手端部で接触面積が多くなるように固定することで、反射板自身の熱を効率的に逃がし、反射板の温度を低下させることができる。
【0045】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1000 画像形成装置
100 定着装置
121 定着ベルト
131 加圧ローラ
203 ハロゲンヒータ(加熱源)
204 ニップ形成部材
205 支持部材
206 反射部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】