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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】複合ケーブル及び複合ハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20220726BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20220726BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01B7/00 310
H01B7/00 301
H01B7/18 C
H02G3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021151647
(22)【出願日】2021-09-17
(62)【分割の表示】P 2020067186の分割
【原出願日】2016-03-09
(65)【公開番号】P2022000859
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 良和
(72)【発明者】
【氏名】村山 知之
(72)【発明者】
【氏名】江島 弘高
(72)【発明者】
【氏名】岡 史人
(72)【発明者】
【氏名】二ツ森 敬浩
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特許第6822770(JP,B2)
【文献】特開2014-220043(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105142(WO,A1)
【文献】特開昭62-122012(JP,A)
【文献】特開2013-237428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 7/18
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中心導体と前記第1中心導体の外周に被覆されている第1絶縁体とを有する1対の第1電線が撚り合されてなる第1対撚線と、
第2中心導体と前記第2中心導体の外周に被覆されている第2絶縁体とを有する1対の第2電線が撚り合されてなる第2対撚線と、
前記第1中心導体及び前記第2中心導体よりも断面積が大きい第3中心導体と前記第3中心導体の外周に被覆されている第3絶縁体とを有し、前記第1電線及び前記第2電線よりも外径が大きく、かつ周方向において前記第1対撚線と前記第2対撚線との間に配置されている一対の第3電線と、
前記第1対撚線、前記第2対撚線、及び前記一対の第3電線が撚り合わされてなる集合体の周囲に螺旋状に巻き付けられているテープ部材と、
を備え、
前記両対撚線の撚り方向が同じ方向であり、
前記両対撚線の撚り方向と、前記集合体の撚り方向とが異なり、かつ、前記集合体の撚り方向と、前記テープ部材の巻き付け方向とが異なっており、
前記第1対撚線及び前記一対の第3電線が前記テープ部材と接触している
複合ケーブル。
【請求項2】
前記両対撚線の撚りピッチが、前記集合体の撚りピッチよりも小さく、
前記テープ部材の巻きピッチが、前記集合体の撚りピッチよりも小さく、前記両対撚線の撚りピッチ以上である、
請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
前記第3電線が、車両の車輪に搭載された電動パーキングブレーキ用の電気モータに駆動電流を供給するための電源線からなる、
請求項1または2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記両対撚線の少なくとも一方は、車両の車輪に搭載されたセンサ用の信号線からなる、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の複合ケーブル。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の複合ケーブルと、
前記第1電線、前記第2電線、及び前記第3電線の端部のうち、少なくとも何れかの端部に取り付けられたコネクタと、を備えた、
複合ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ケーブル及び複合ハーネスに関し、特に、自動車等の車両において車輪側と車体側とを接続する複合ケーブル及び複合ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両において、電動式の制動装置が用いられている。
【0003】
電動式の制動装置としては、電気機械式ブレーキ(Electro-Mechanical Brake、EMB)や、電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brake、EPB)が知られている。
【0004】
電気機械式ブレーキは、単に電動ブレーキあるいは電気ブレーキとも呼称されるものであり、運転者によるブレーキペダルの操作量(踏力又は変位量)に応じて、車両の各車輪に備えられた専用の電気モータの回転駆動力を制御し、当該電気モータにより駆動されるピストンによりブレーキパッドを車輪のディスクロータに押し付けることにより、運転者の意図に応じた制動力を発生させるように構成されている。
【0005】
電動パーキングブレーキは、車両の停止後に運転者がパーキングブレーキ作動スイッチを操作することにより、車両の各車輪に備えられた専用の電気モータを駆動させて、当該電気モータにより駆動されるピストンによりブレーキパッドを車輪のディスクロータに押し付けた状態とし、制動力を発生させるように構成されている。
【0006】
また、近年の車両においては、走行中の車輪の回転速度を検出するABS(Anti-lock Brake System)センサや、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、温度センサなどのセンサ類が車輪に搭載されることが多い。
【0007】
そこで、車輪に搭載されたセンサ用の信号線や電気機械式ブレーキの制御用の信号線と、電気機械式ブレーキや電動パーキングブレーキ用の電気モータに電力を供給する電源線とを共通のシースに収容した複合ケーブルを用い、車輪側と車体側とを接続することが行われている。この複合ケーブルの端部にコネクタを一体に設けたものは、複合ハーネスと呼称されている。
【0008】
特許文献1では、複数の電線とその複数の電線を一括して被覆するシースとの間に、タルク粉体等の潤滑剤を介在させることで、電線とシース間の摩擦を低減し、屈曲時に電線にかかるストレスを低減して耐屈曲性を向上させた複合ケーブルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-135153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の複合ケーブルでは、端末加工を行う際に、タルク粉体等の潤滑剤が作業場に飛散し作業環境の悪化を招いてしまうという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、耐屈曲性を維持しつつも端末加工の作業環境の悪化を抑制可能な複合ケーブル及び複合ハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、第1中心導体と前記第1中心導体の外周に被覆されている第1絶縁体とを有する1対の第1電線が撚り合されてなる第1対撚線と、第2中心導体と前記第2中心導体の外周に被覆されている第2絶縁体とを有する1対の第2電線が撚り合されてなる第2対撚線と、前記第1中心導体及び前記第2中心導体よりも断面積が大きい第3中心導体と前記第3中心導体の外周に被覆されている第3絶縁体とを有し、前記第1電線及び前記第2電線よりも外径が大きく、かつ周方向において前記第1対撚線と前記第2対撚線との間に配置されている一対の第3電線と、前記第1対撚線、前記第2対撚線、及び前記一対の第3電線が撚り合わされてなる集合体の周囲に螺旋状に巻き付けられているテープ部材と、を備え、前記両対撚線の撚り方向が同じ方向であり、前記両対撚線の撚り方向と、前記集合体の撚り方向とが異なり、かつ、前記集合体の撚り方向と、前記テープ部材の巻き付け方向とが異なっている、複合ケーブルを提供する。
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、複合ケーブルと、前記第1電線、前記第2電線、及び前記第3電線の端部のうち、少なくとも何れかの端部に取り付けられたコネクタと、を備えた、複合ハーネスを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐屈曲性を維持しつつも端末加工の作業環境の悪化を抑制可能な複合ケーブル及び複合ハーネスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る複合ケーブルを用いた車両の構成を示すブロック図である。
図2】(a)は本発明の一実施の形態に係る複合ケーブルの横断面図であり、(b)は複合ケーブルにおける両対撚線と第3電線の撚り方向及びテープ部材の巻方向を説明する図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る複合ハーネスの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0017】
(複合ケーブルを適用する車両の説明)
図1は、本実施の形態に係る複合ケーブルを用いた車両の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、車両100には、電動式の制動装置として、電動パーキングブレーキ(以下、EPBという)101が備えられている。
【0019】
EPB101は、EPB用電気モータ101aと、EPB制御部101bと、を備えている。
【0020】
EPB用電気モータ101aは、車両100の車輪102に搭載されている車輪側装置である。EPB制御部101bは、車両100の車体側装置であるECU(電子制御ユニット)103に搭載されている。なお、EPB制御部101bは、ECU103以外のコントロールユニットに搭載されていてもよく、専用のハードウェアユニットに搭載されていてもよい。
【0021】
図示していないが、EPB用電気モータ101aには、ブレーキパッドが取り付けられたピストンが設けられており、当該ピストンをEPB用電気モータ101aの回転駆動により移動させることで、ブレーキパッドを車輪102の車輪のディスクロータに押し付け、制動力を発生させるように構成されている。EPB用電気モータ101aには、EPB用電気モータ101aに駆動電流を供給するための電源線として1対の第3電線6が接続されている。
【0022】
EPB制御部101bは、車両100の停止時に、パーキングブレーキ作動スイッチ101cがオフ状態からオン状態に操作されたとき、所定時間(例えば1秒間)にわたってEPB用電気モータ101aに駆動電流を出力することにより、ブレーキパッドを車輪102のディスクロータに押し付けた状態とし、車輪102に制動力を発生させるように構成されている。また、EPB制御部101bは、パーキングブレーキ作動スイッチ101cがオン状態からオフ状態に操作されたとき、あるいは、アクセルペダルが踏込操作されたときに、EPB用電気モータ101aに駆動電流を出力し、ブレーキパッドを車輪のディスクロータから離間させて、車輪102への制動力を解除するように構成される。つまり、EPB101の作動状態は、パーキングブレーキ作動スイッチ101cがオンされてから、パーキングブレーキ作動スイッチ101cがオフされるかアクセルペダルが踏み込まれるまで維持されるように構成されている。なお、パーキングブレーキ作動スイッチ101cは、レバー式又はペダル式のスイッチであってもよい。
【0023】
また、車両100には、ABS装置104が搭載されている。ABS装置104は、ABSセンサ104aと、ABS制御部104bと、を備えている。
【0024】
ABSセンサ104aは、走行中の車輪102の回転速度を検出する回転速度検出センサであり、車輪102に搭載されている。ABS制御部104bは、急停止時に車輪102がロックされないように、ABSセンサ104aの出力に基づいて制動装置を制御し、車輪102の制動力を制御するものであり、ECU103に搭載されている。ABSセンサ104aには、信号線として1対の第1電線2が接続されている。
【0025】
また、車両100の車輪102には、車輪102に設けられたタイヤ(不図示)の空気圧を検出する空気圧センサ108が設けられている。空気圧センサ108には、信号線として1対の第2電線4が接続されている。ECU103には、空気圧センサ108の出力に基づいてタイヤの空気圧を検出する空気圧検出109が搭載されている。
【0026】
第1電線2と第2電線4と第3電線6とを一括してシース9(図2参照)で被覆したものが、本実施の形態に係る複合ケーブル1である。車輪102側から延出された複合ケーブル1は、車体105に設けられた中継ボックス106内にて電線群107に接続され、電線群107を介してECU103やバッテリ(不図示)に接続されている。
【0027】
図1では、図の簡略化のために1つの車輪102のみを示しているが、EPB用電気モータ101a、ABSセンサ104a、及び空気圧センサ108は、車両100の各車輪102に搭載されていてもよく、例えば、車両100の前輪のみ、あるいは後輪のみに搭載されていてもよい。
【0028】
(複合ケーブル1の説明)
図2(a)は、本実施の形態に係る複合ケーブル1の横断面図、図2(b)は両対撚線と第3電線の撚り方向及びテープ部材の巻方向を説明する図である。
【0029】
図2(a),(b)に示すように、複合ケーブル1は、1対の第1電線2が撚り合されてなる第1対撚線3と、1対の第2電線4が撚り合されてなる第2対撚線5と、第1電線2及び第2電線4よりも外径が大きい一対の第3電線6と、第1対撚線3、第2対撚線5、及び一対の第3電線6が撚り合わされてなる集合体7の周囲に螺旋状に巻き付けられているテープ部材8と、テープ部材8の外周に被覆されているシース9と、を備えている。
【0030】
本実施の形態では、第1電線2は、車輪102に搭載されたABSセンサ104a用の信号線からなる。第1電線2は、第1中心導体21と、第1中心導体21の外周に被覆されている第1絶縁体22と、を有している。
【0031】
第1中心導体21は、銅等の良導電性の素線を撚り合わせた撚線導体からなり、第1絶縁体22は、架橋ポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。第1中心導体21に用いる素線としては、直径0.05mm以上0.30mm以下のものを用いることができる。直径0.05mm未満の素線を用いた場合は十分な機械的強度が得られず耐屈曲性が低下するおそれがあり、直径0.30mmより大きい素線を用いた場合複合ケーブル1の可撓性が低下するおそれがある。
【0032】
また、本実施の形態では、第2電線4は、車輪102に搭載された空気圧センサ108用の信号線からなる。第2電線4は、第2中心導体41と、第2中心導体41の外周に被覆されている第2絶縁体42と、を有している。第2中心導体41は、銅等の良導電性の素線を撚り合わせた撚線導体からなり、第2絶縁体42は、架橋ポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。第2中心導体41に用いる素線としては、第1中心導体21と同様に、直径0.05mm以上0.30mm以下のものを用いることができる。
【0033】
また、本実施の形態では、第3電線6は、車両100の車輪102に搭載されたEPB用電気モータ101aに駆動電流を供給するための電源線からなる。第3電線6は、第3中心導体61と、第3中心導体61の外周に被覆されている第3絶縁体62と、を有している。第3中心導体61は、銅等の良導電性の素線を撚り合わせた撚線導体からなり、第3絶縁体62は、架橋ポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。第3中心導体61に用いる素線としては、第1中心導体21及び第2中心導体41と同様に、直径0.05mm以上0.30mm以下のものを用いることができる。
【0034】
第3電線6の第3中心導体61の断面積(導体断面積)、及び第3絶縁体62の厚さは、要求される駆動電流の大きさに応じて適宜設定すればよい。本実施の形態では、第1電線2及び第2電線4は信号線として用いられ、第3電線6は電源線として用いられることから、第3中心導体61は、第1中心導体21及び第2中心導体41よりも断面積(導体断面積)が大きく設定されている。本実施の形態では、第3電線6がEPB用電気モータ101aに駆動電流を供給するための電源線であることを考慮し、第3中心導体61の外径を1.5mm以上3.0mm以下に設定すると共に、第3電線6の外径を2.0mm以上4.0mm以下に設定した。
【0035】
第3電線6の外径は、第1電線2及び第2電線4の外径よりも大きい。本実施の形態では、1対(2本)の第1電線2を撚り合わせた第1対撚線3と、1対(2本)の第2電線4を撚り合わせた第2対撚線5と、1対の第1電線2とを撚り合わせて集合体7を構成するため、複合ケーブル1の外径を円形状に近づけるという観点から、第1電線2及び第2電線4としては、第3電線6の外径の半分程度のものを用いることが望ましいといえる。
【0036】
具体的には、第1電線2及び第2電線4としては、外径1.0mm以上1.8mm以下のものを用いることができる。ここでは、第1電線2として、第1中心導体21の導体断面積が0.13mm2以上0.30mm2以下のものを用い、第2電線4として、第2中心導体41の導体断面積が0.30mm2以上0.50mm2以下のものを用いた。本実施の形態では、第1電線2における導体断面積よりも第2電線4における導体断面積が大きくなるように設定したが、両電線2,4の導体断面積は同じであってもよい。複合ケーブル1の断面形状をより円形状に近づけるという観点からは、両電線2,4の外径は略等しくされること(例えば、両電線2,4の外径の差が電線2の外径の20%以内であること)が望ましいといえる。
【0037】
第1対撚線3の撚りピッチP1、及び第2対撚線5の撚りピッチP2は、第1電線2や第2電線4の外径を考慮し、第1電線2や第2電線4に不要な負荷がかからない程度に設定するとよい。ここでは、両対撚線3,5の撚りピッチP1,P2を約30mmとしたが、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2はこれに限定されるものではない。また、両対撚線3,5の撚りピッチP1,P2が互いに異なっていていてもよい。なお、第1対撚線3の撚りピッチP1とは、任意の第1電線2が第1対撚線3の周方向において同じ位置となる第1対撚線3の長手方向に沿った間隔である。また、第2対撚線5の撚りピッチP2とは、任意の第2電線4が第2対撚線5の周方向において同じ位置となる第2対撚線5の長手方向に沿った間隔である。
【0038】
集合体7は、第1対撚線3と、第2対撚線5と、1対の第3電線6とを撚り合わせて構成される。本実施の形態では、周方向において第1対撚線3と第2対撚線5との間に第3電線6が配置されている。図2(a)の断面においては、時計回り方向に、第2対撚線5、一方の第3電線6、第1対撚線3、他方の第3電線6が順次配置されている。
【0039】
なお、第3電線6を周方向に隣り合うように配置した場合(両対撚線3,5を隣り合うように配置した場合)には、集合体7の重心が集合体7の中心位置から大きくずれてしまい、この状態で両対撚線3,5と第3電線6とを撚り合わせて集合体7を構成すると、集合体7が全体的に捩れた状態となってしまう。そのため、直線状の複合ケーブル1を作製することが困難となり、また長手方向の一部において曲げにくい方向が発生するなどして、可撓性が低下してしまう問題も生じる。本実施の形態のように、周方向において第1対撚線3と第2対撚線5との間に第3電線6が配置される構成とすることで、直線状の複合ケーブル1を容易に実現可能となり、かつ、長手方向の一部において曲げにくい方向が発生するといった不具合を抑制して、可撓性の低下を抑制できる。
【0040】
さらに、本実施の形態では、第1対撚線3、第2対撚線5、1対の第3電線6、及びテープ部材8との間に、複合ケーブル1の長手方向に延びる糸状(繊維状)の複数の介在10を配置し、両対撚線3,5及び第3電線6と共に撚り合わせることにより、集合体7を構成した。このため、複数の介在10の撚り方向及び撚りピッチは、集合体7の撚り方向及び撚りピッチと同じになる。複数の介在10は、両対撚線3,5と第3電線6とテープ部材8との間の隙間を埋めるように配置されており、集合体7の外周にテープ部材8を巻き付けた際の断面形状がより円形状に近づくようにしている。なお、複数の介在10の一部は、対撚線3,5と第3電線6の間である谷間や、1対の第1電線2の間である谷間、あるいは1対の第2電線4の間である谷間にも配置されてもよい。
【0041】
介在10としては、ポリプロピレンヤーンや、スフ糸(レーヨンステープルファイバー)、アラミド繊維、ナイロン繊維、あるいは繊維系プラスチック等の繊維状体や、紙もしくは綿糸を用いることができる。また、図2(a)の横断面視において、介在10の断面積は、第1電線2の断面積、第2電線4の断面積、及び第3電線6の断面積を合計した電線2,4,6の合計断面積よりも大きいとよい。
【0042】
なお、EPB101では、パーキングブレーキ作動スイッチ101cが操作された際に短時間駆動電流を供給するものであり、信号線として用いられる第1電線2や第2電線4へのノイズの影響が小さい。そこで、本実施の形態では、第3電線6や対撚線3,5の周囲に設けられるシールド導体を省略している。シールド導体を省略することで、シールド導体を設けた場合と比較して複合ケーブル1の外径を小さくすることができ、また部品点数を削減してコストを抑制することも可能になる。
【0043】
また、本実施の形態では、主に車両の停車後にEPB101へ駆動電流を供給する一対の第3電線6により、車両の走行時に電気信号を伝送する第1対撚線3と、同じく車両の走行時に電気信号を伝送する第2対撚線5と、を離間させている。これにより、対撚線3,5の周囲に設けられるシールド導体を省略したとしても、第1対撚線3と第2対撚線5との間のクロストークを低減することが可能となる。
【0044】
なお、ここでは第3電線6がEPB用電気モータ101aに駆動電流を供給するものである場合を説明しているが、第3電線6は、例えば、車輪102に設けられた電気機械式ブレーキ(以下、EMBという)の電気モータに駆動電流を供給するために用いられてもよい。この場合、第3電線6に駆動電流が頻繁に流れることになるため、信号線として用いられる第1電線2や第2電線4へのノイズの影響を抑制するために、対撚線3,5の周囲(あるいは各電線2,4の周囲)にシールド導体を設けることが望ましいといえる。
【0045】
また、ここでは第1電線2がABSセンサ104a用の信号線であり、第2電線4が空気圧センサ108用の信号線である場合を説明しているが、第1電線2及び第2電線4は、車輪102に設けられる他のセンサ、例えば温度センサ等に用いられる信号線であってもよいし、車両100の制振装置の制御に用いられるダンパ線であってもよく、さらにはEMB制御用の信号線(CANケーブル等)であってもよい。
【0046】
集合体7全体の外径は、例えば、5mm~9mm程度である。集合体7の撚りピッチP3は、集合体7の外径を考慮し、対撚線3,5と第3電線6に不要な負荷がかからない程度に設定するとよい。ここでは、集合体7の撚りピッチP3を約60mmとしたが、集合体7の撚りピッチP3はこれに限定されるものではない。なお、集合体7の撚りピッチP3とは、任意の対撚線3,5または第3電線6が集合体7の周方向において同じ位置となる集合体7の長手方向に沿った間隔である。
【0047】
集合体7の周囲には、テープ部材8が螺旋状に巻き付けられており、テープ部材8は、テープ部材8が覆う全ての電線(1対の第1電線2、1対の第2電線4、及び1対の第3電線6)に接触している。テープ部材8は、集合体7とシース9との間に介在し、屈曲時に集合体7(電線2,4,6)とシース9間の摩擦を低減する役割を果たす。すなわち、テープ部材8を設けることで、従来のようにタルク粉体等の潤滑剤を用いることなく、線2,4,6とシース9間の摩擦を低減し、屈曲時に電線2,4,6にかかるストレスを低減して、耐屈曲性を向上させることが可能になる。
【0048】
テープ部材8としては、第1電線2の第1絶縁体22、第2電線4の第2絶縁体42、及び第3電線6の第3絶縁体62に対して、滑りやすいもの(摩擦係数が小さいもの)を用いることが望ましく、例えば、不織布や紙、あるいは樹脂(樹脂フィルム等)からなるものを用いることができる。より具体的には、テープ部材8としては、テープ部材8と絶縁体22,42,62間の摩擦係数(静摩擦係数)が、テープ部材8を設けなかった際におけるシース9と絶縁体22,42,62間の摩擦係数(静摩擦係数)よりも小さい部材を用いるとよい。
【0049】
なお、テープ部材8としては、2層以上の積層構造となっているものも用いることができる。この場合、テープ部材8の集合体7と接触する面が、不織布、紙、樹脂層のいずれかからなるものを用いればよい。例えば、テープ部材8として、紙の一方の面に樹脂層を形成したものを用い、より摩擦係数が小さい樹脂層を集合体7側として巻き付けるように構成することもできる。
【0050】
テープ部材8は、その幅方向(テープ部材8の長手方向及び厚さ方向と垂直な方向)の一部が重なり合うように、螺旋状に集合体7に巻き付けられている。テープ部材8が重なり合う幅は、例えば、テープ部材8の幅の1/4以上1/2以下である。なお、本実施の形態において、テープ部材8が重なり合う部分は、接着剤等により接着されていない。
【0051】
テープ部材8の幅は、テープ部材8を巻き付けた際にテープ部材8に皺が寄らない程度の幅とすればよく、集合体7全体の外径が小さくなるほど幅の狭いテープ部材8を用いることが望ましい。具体的には、集合体7の外径が5mm~9mmである場合、テープ部材8の幅は、20mm~50mm程度とすればよい。テープ部材8の巻きピッチP4、すなわちテープ部材8が周方向の同じ位置となる長手方向に沿った間隔(例えば幅方向の一端部同士の間隔)は、テープ部材8の幅及び重なり幅(テープ部材8の巻き付け角度)に依存し、この場合最大で40mm程度となる。ここでは、テープ部材8の巻きピッチP4を約30mmとしたが、テープ部材8の巻きピッチP4はこれに限定されるものではない。
【0052】
なお、テープ部材8の幅を大きくし、巻きピッチP4を大きくしていくと、テープ部材8を縦添えした状態に近くなり、複合ケーブル1の柔軟性が失われて曲げにくくなる。そのため、テープ部材8の巻きピッチP4は、40mm以下とすることが望ましい。
【0053】
テープ部材8の周囲には、シース9が設けられる。シース9は、例えばウレタン樹脂からなる。本実施の形態では、第3電線6がEPB用電気モータ101aに駆動電流を供給するものであり、第3電線6に駆動電流が流れる時間が比較的短いため、テープ部材8の周囲に設けられるシールド導体を省略しているが、第3電線6の用途等に応じて、テープ部材8とシース9との間、あるいはシース9の外周にシールド導体を設けてもよい。
【0054】
(対撚線3,5と集合体7の撚り方向、テープ部材8の巻き付け方向)
本実施の形態に係る複合ケーブル1では、両対撚線3,5の撚り方向が同じ方向であり、前記両対撚線3,5の撚り方向と、集合体7の撚り方向とが異なり、かつ、集合体7の撚り方向と、テープ部材8の巻き付け方向とが異なっている。つまり、複合ケーブル1では、両対撚線3,5の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とは同じ方向となり、集合体7の撚り方向のみが異なる方向となっている。
【0055】
なお、ここでいう撚り方向とは、複合ケーブル1を先端側(図2(b)の左側、テープ部材8の重なりが上となる側)から見たときに、電線2,4,6が基端側から先端側にかけて回転している方向をいう。ここでは、対撚線3,5の撚り方向、及び集合体7の撚り方向が右回り(時計回り)となる。なお、対撚線3,5の撚り方向とは、2本の電線2,4を撚り合わせる方向であり、集合体7の撚り方向とは、対撚線3,5と第3電線6とを撚り合わせる方向である。
【0056】
また、テープ部材8の巻き付け方向とは、複合ケーブル1を先端側(図2(b)の左側、テープ部材8の重なりが上となる側)から見た時に、テープ部材8が基端側から先端側にかけて回転している方向をいう。ここでは、テープ部材8の巻き付け方向は右回り(時計回り)となる。図2(a)では、先端側から見たときの断面図を示しており、第1対撚線3の撚り方向を破線矢印A、第2対撚線5の撚り方向を破線矢印B、集合体7の撚り方向を破線矢印C、テープ部材8の巻き付け方向を破線矢印Dで表している。
【0057】
一般に、電線を撚り合わせたり、螺旋状にテープを巻き付けたりすると、その撚り方向、巻き付け方向に応じて曲がり癖が付与されてしまい、ケーブル全体が自然に湾曲してしまう。本実施の形態では、対撚線3,5の撚り方向と集合体7の撚り方向とを異ならせ、かつ、集合体7の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とを異ならせているため、対撚線3,5の曲がり癖と集合体7の曲がり癖とが逆方向となって互いに相殺され、かつ、集合体7の曲がり癖とテープ部材8を巻き付けることによる曲がり癖とが逆方向となって互いに相殺されることになり、曲がり癖を抑制した直線状の複合ケーブル1を容易に実現できる。その結果、複合ケーブル1の長手方向における屈曲特性のばらつきを抑制することが可能になる。
【0058】
また、対撚線3,5の撚り方向と集合体7の撚り方向とが同じ方向である場合、集合体7を撚り合わせる際に撚りが締まる方向に対撚線3,5が捩られ、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2が変化してしまう場合がある。対撚線3,5の撚り方向と集合体7の撚り方向とを異ならせることで、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2の変化を抑えつつ集合体7を形成することが可能になる。
【0059】
ただし、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2が大きいと、集合体7を撚り合わせる際に対撚線3,5の撚りが緩んでしまうおそれがある。そのため、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2は、少なくとも、集合体7の撚りピッチP3よりも小さくすることが望ましい。すなわち、対撚線3,5の撚り方向と集合体7の撚り方向とが異なる場合には、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2を集合体7の撚りピッチP3よりも小さくすることで、対撚線3,5の撚りが崩れにくくなり、集合体7の断面形状を安定させることが可能になる。
【0060】
本実施の形態では、テープ部材8を巻き付けることによる曲がり癖により、集合体7の曲がり癖を矯正しているため、テープ部材8の巻きピッチP4を、曲がり癖を付与できる程度に小さくする必要がある。そのため、テープ部材8の巻きピッチP4は、少なくとも集合体7の撚りピッチP3よりも小さくすることが望ましい。本実施の形態では、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2を約30mm、集合体7の撚りピッチP3を約60mmとしており、テープ部材8の巻きピッチP4を約30mmとしている。
【0061】
また、テープ部材8の巻きピッチP4は、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2以上にすればよい。このようにすることで、対撚線3,5と接触している部分におけるテープ部材8の歪みを低減でき、複合ケーブル1の断面形状を円形状に成形しやくなる。
【0062】
なお、テープ部材8の巻きピッチP4が対撚線3,5の撚りピッチP1,P2より小さいと、複合ケーブル1を屈曲させた際に、巻きピッチP4が小さいテープ部材8は長手方向に伸縮して屈曲による負荷を受けにくくなり、撚りピッチP1,P2が大きく長手方向に伸縮しにくい対撚線3,5に屈曲による負荷が集中してしまう。テープ部材8の巻きピッチP4を、対撚線3,5の撚りピッチP1,P2以上とすることで、屈曲による負荷の一部をテープ部材8に負担させ、対撚線3,5に屈曲による負荷が集中してしまうことを抑制でき、屈曲耐久性を向上させることが可能になる。
【0063】
また、集合体7の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とを異ならせることで、テープ部材8を巻き付ける際に、集合体7の撚りピッチP3が変化しにくくなり、集合体7の撚りピッチP3を安定させることが可能になる。
【0064】
さらに、集合体7の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とを異ならせることで、テープ部材8が対撚線3,5と第3電線6との間の隙間に入り込んでしまうことが抑制され、複合ケーブル1の断面形状をより円形状に近くすることが可能になる。その結果、複合ケーブル1の外観を向上させると共に、シース9を除去するストリップ作業を容易に行うことが可能になる。上述のように、複合ケーブル1では曲がり癖が抑制されているため、シース9を除去するストリップ作業がより容易である。
【0065】
さらにまた、集合体7の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とを異ならせることで、集合体7が座屈し易い方向とテープ部材8が座屈し易い方向とを異ならせることができ、例えば複合ケーブル1に捩じれと曲げが同時に加わったような場合であっても、座屈しにくい複合ケーブル1を実現できる。
【0066】
(複合ケーブル1を用いた複合ハーネスの説明)
図3は、本実施の形態に係る複合ハーネスの概略構成図である。
【0067】
図3に示すように、複合ハーネス11は、本実施の形態に係る複合ケーブル1と、第1電線2、第2電線4、及び第3電線6の端部のうち、少なくとも何れかの端部に取り付けられたコネクタと、を備えて構成される。
【0068】
図3では、図示左側が車輪102側の端部を示し、図示右側が車体105側(中継ボックス106側)の端部を示している。以下の説明では、複合ハーネス11の車輪102側の端部を「一端部」、車体105側(中継ボックス106側)の端部を「他端部」という。
【0069】
1対の第1電線2(第1対撚線3)の一端部には、第1電線2の端部を覆うように樹脂モールドにより形成されたABSセンサ104aが取り付けられ、1対の第1電線2(第1対撚線3)の他端部には、中継ボックス106内における電線群107との接続のための車体側ABS用コネクタ13が取り付けられている。
【0070】
1対の第2電線4(第2対撚線5)の一端部には、空気圧センサ108との接続のための空気圧センサ用コネクタ14aが取り付けられ、1対の第2電線4(第2対撚線5)の他端部には、中継ボックス106内における電線群107との接続のための空気圧センサ用車体側コネクタ14bが取り付けられている。
【0071】
1対の第3電線6の一端部には、EPB用電気モータ101aとの接続のための車輪側電源コネクタ12aが取り付けられ、1対の第3電線6の他端部には、中継ボックス106内における電線群107との接続のための車体側電源コネクタ12bが取り付けられている。
【0072】
なお、ここでは、第1電線2(第1対撚線3)、第2電線4(第2対撚線5)、及び第3電線6に個別にコネクタを設ける場合を説明したが、各電線2,4,6を一括して接続する専用のコネクタを備えるようにしても構わない。
【0073】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る複合ケーブル1では、集合体7の周囲に螺旋状に巻き付けられているテープ部材8を備え、両対撚線3,5の撚り方向が同じ方向であり、両対撚線3,5の撚り方向と集合体7の撚り方向とが異なり、かつ、集合体7の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とが異なっている。
【0074】
テープ部材8を備えることで、タルク粉体等の潤滑剤を用いずとも、電線2,4,6とシース9間の摩擦を低減し、屈曲時に電線2,4,6にかかるストレスを低減して、耐屈曲性を向上させることが可能になる。つまり、本実施の形態によれば、屈曲耐久性を維持しつつも端末加工の作業環境の悪化を抑制することが可能になる。
【0075】
また、対撚線3,5の撚り方向と集合体7の撚り方向とを異ならせ、かつ、集合体7の撚り方向とテープ部材8の巻き付け方向とを異ならせることで、撚りやテープ部材8の巻き付けによる曲がり癖を抑制し、かつ、対撚線3,5と集合体7の撚りピッチP1~P3を安定させることが可能になる。その結果、屈曲特性のばらつきを抑制することが可能になり、また長手方向における可撓性が安定し配策し易い複合ケーブル1を実現できる。さらに、複合ケーブル1の断面形状をより円形状に近くすることができるので、シース9のストリップ作業が容易になる。
【0076】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0077】
[1]第1中心導体(21)と前記第1中心導体(21)の外周に被覆されている第1絶縁体(22)とを有する1対の第1電線(2)が撚り合されてなる第1対撚線(3)と、第2中心導体(41)と前記第2中心導体(41)の外周に被覆されている第2絶縁体(42)とを有する1対の第2電線(4)が撚り合されてなる第2対撚線(5)と、前記第1中心導体(21)及び前記第2中心導体(41)よりも断面積が大きい第3中心導体(61)と前記第3中心導体(61)の外周に被覆されている第3絶縁体(62)とを有し、前記第1電線(2)及び前記第2電線(4)よりも外径が大きく、かつ周方向において前記第1対撚線(3)と前記第2対撚線(4)との間に配置されている一対の第3電線(6)と、前記第1対撚線(3)、前記第2対撚線(5)、及び前記一対の第3電線(6)が撚り合わされてなる集合体(7)の周囲に螺旋状に巻き付けられているテープ部材(8)と、を備え、前記両対撚線(3,5)の撚り方向が同じ方向であり、前記両対撚線(3,5)の撚り方向と、前記集合体(7)の撚り方向とが異なり、かつ、前記集合体(7)の撚り方向と、前記テープ部材(8)の巻き付け方向とが異なっている、複合ケーブル(1)。
【0078】
[2]前記両対撚線(3,5)の撚りピッチが、前記集合体(7)の撚りピッチよりも小さく、前記テープ部材(8)の巻きピッチが、前記集合体(7)の撚りピッチよりも小さく、前記両対撚線(3,5)の撚りピッチ以上である、[1]に記載の複合ケーブル(1)。
【0079】
[3]前記テープ部材(8)は、その前記集合体(7)と接触する面が、不織布、紙、樹脂層のいずれかからなる、[1]または[2]に記載の複合ケーブル(1)。
【0080】
[4]前記第3電線(6)が、車両(100)の車輪(102)に搭載された電動パーキングブレーキ(101)用の電気モータ(101a)に駆動電流を供給するための電源線からなる、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の複合ケーブル(1)。
【0081】
[5]前記両対撚線(3,5)の少なくとも一方は、車両(100)の車輪(102)に搭載されたセンサ用の信号線からなる、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の複合ケーブル(1)。
【0082】
[6]前記集合体(7)は、前記第1対撚線(3)、前記第2対撚線(5)、前記1対の第3電線(6)、及び前記テープ部材(8)との間に配置された糸状の複数の介在(10)を有し、前記複数の介在(10)は、前記第1対撚線(3)、前記第2対撚線(5)、及び前記1対の第3電線(6)と共に撚り合わせられており、前記複数の介在(10)の撚り方向は、前記集合体(7)の撚り方向と同じであり、前記テープ部材(8)の巻き付け方向と同じである、[1]乃至[5]の何れか1項に記載の複合ケーブル(1)。
【0083】
[7][1]乃至[6]の何れか1項に記載の複合ケーブル(1)と、前記第1電線(2)、前記第2電線(4)、及び前記第3電線(6)の端部のうち、少なくとも何れかの端部に取り付けられたコネクタと、を備えた、複合ハーネス(11)。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0085】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…複合ケーブル
2…第1電線
21…第1中心導体
22…第1絶縁体
3…第1対撚線
4…第2電線
41…第2中心導体
42…第2絶縁体
5…第2対撚線
6…第3電線
61…第3中心導体
62…第3絶縁体
7…集合体
8…テープ部材
9…シース
10…介在
図1
図2
図3