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特許7111274層間絶縁膜製造用塗布組成物、層間絶縁膜、及び半導体素子、並びに層間絶縁膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】層間絶縁膜製造用塗布組成物、層間絶縁膜、及び半導体素子、並びに層間絶縁膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/312 20060101AFI20220726BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20220726BHJP
   C08F 299/08 20060101ALI20220726BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01L21/312 C
H01L21/312 D
C08F290/06
C08F299/08
H01B3/44 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022503209
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2021004014
(87)【国際公開番号】W WO2021171943
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2020031276
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】伊部 武史
(72)【発明者】
【氏名】今田 知之
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-002231(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072202(WO,A1)
【文献】特開2009-206197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/312
C08F 290/06
C08F 299/08
H01B 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する層間絶縁膜製造用塗布組成物を基材上に塗布する工程Aと、
凹凸パターンが形成されたインプリント用モールドを前記層間絶縁膜製造用塗布組成物の表面に押圧する工程Bと、
前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を光硬化させる工程Cと、
前記インプリント用モールドを離型する工程Dと、
前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を250℃以上でベークし、層間絶縁膜を形成する工程Eと、を有する層間絶縁膜の製造方法であって、
前記重合性化合物(A)が、2以上の重合性基を有する重合性ケイ素化合物であって、前記2以上の重合性基のうち少なくとも1つが下記式(1)で表される重合性基Qである重合性化合物である層間絶縁膜の製造方法。
*-O-R-Y・・・(1)
(上記式(1)において、
*はケイ素原子への結合を表し、
Rは単結合、ヘテロ原子を含んでもよい非置換または置換の炭素数1~12のアルキレン基、又はフェニレン基を表し、
Yは重合性基を表す。)
【請求項2】
前記重合性基Yがアクリロイル基である、請求項1に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項3】
前記重合性ケイ素化合物(A)が、前記重合性基Qを3つ以上有する請求項1又は2に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項4】
前記重合性化合物(A)におけるケイ素原子の量が10重量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項5】
前記層間絶縁膜製造用塗布組成物が離型剤を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項6】
前記層間絶縁膜製造用塗布組成物が細孔形成剤を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項7】
前記層間絶縁膜製造用塗布組成物が溶剤を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項8】
前記工程Bの前に、前記基材上の前記層間絶縁膜製造用塗布組成物をプリベークする工程Fを有する請求項1~7のいずれか1項に記載の層間絶縁膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の製造方法を含む半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間絶縁膜製造用塗布組成物、層間絶縁膜、及び半導体素子、並びに層間絶縁膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリント技術は、ナノスケールの微細パターンを高解像度で形成できる技術として注目され、半導体集積回路、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、磁気記録媒体、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ用光学フィルムなどの製造に応用が期待されている。最近では、解像度以外の理由でも注目を集めており、フォトレジストやエッチング、蒸着工程なしで複雑な立体形状を直接パターン形成できることから、デバイスの製造を大幅に簡素化し製造コストを削減できる可能性があるため、様々な機能をもつ材料への適用が検討されている。
【0003】
半導体分野では層間絶縁膜の製造用として、ナノインプリント技術によるSOG(Spin-On-Glass)材料への直接パターン形成が注目されている。SOG材料からなる層間絶縁膜では、低誘電率および高ヤング率を備える膜の形成により、高絶縁耐性やCMP工程での耐剥離性、高性能化が期待できる。例えば、非特許文献1では、ポリ(メチルシルセスキオキサン)ベースのSOG材料を直接インプリントし、その後ガラス化することによりパターンを有する絶縁膜を製造している。
【0004】
また、特許文献1ではオルガノシリカ系SOGやHSQ(水素化シルセスキオキサンポリマー)を使用した室温インプリントを採用している。
【0005】
特許文献2ではシリカナノ粒子と光硬化性モノマーの混合物からなる組成物を使用した光ナノインプリントにより、高弾性率の微細パターンを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-100609号公報
【文献】特開2013-86294号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】Adv. Mater. 2007, 19, 2919-2924
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1に記載の技術は、高粘度のSOG材料を使用した熱インプリントによるパターン形成を採用しているため、真空下で高温(200℃)、高圧(3.4MPa)のインプリント押圧工程が必要であり、昇降温に長時間を要するためスループットの向上が極めて困難である。
【0009】
また、特許文献1に記載の技術は、高圧(25kgf/cm)、長時間(10分間)の押圧工程を必要としているため、スループット向上の効果は限定的である。また塗布後安定性の問題により10分以内に押圧する必要があることから、長サイクルタイムのプロセスに適用することが出来ない。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術は、シリカナノ粒子は数百nmの大粒径成分や、凝集による二次粒子を有するため、モールドの微細パターンの中に均一に充填されず、用途はレプリカモールド用途に限定される。
【0011】
以上のように、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる層間絶縁膜製造用塗布組成物、及び層間絶縁膜の製造方法の開発が求められている。
【0012】
本発明は、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる層間絶縁膜製造用塗布組成物を提供することを課題とする。
【0013】
また、本発明は、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を提供することを課題とする。
【0014】
また、本発明は、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を有する半導体素子を提供することを課題とする。
【0015】
また、本発明は、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる層間絶縁膜の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、特定の基を有する重合性化合物を含有する層間絶縁膜製造用塗布組成物を用いることにより、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、2以上の重合性基を有する重合性ケイ素化合物であって、前記2以上の重合性基のうち少なくとも1つが下記式(1)で表される重合性基Qである重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する層間絶縁膜製造用塗布組成物。
*-O-R-Y・・・(1)
(上記式(1)において、
*はケイ素原子への結合を表し、
Rは単結合又はヘテロ原子を含んでもよい非置換または置換の炭素数1~12のアルキレン基を表し、
Yは重合性基を表す。)
【0018】
また、本発明は、前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を硬化してなる、層間絶縁膜である。
【0019】
また、本発明は、前記層間絶縁膜を有する半導体素子である。
【0020】
また、本発明は、
前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を基材上に塗布する工程Aと、凹凸パターンが形成されたインプリント用モールドを前記層間絶縁膜製造用塗布組成物の表面に押圧する工程Bと、前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を光硬化させる工程Cと、前記インプリント用モールドを離型する工程Dと、前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を200℃以上でベークし、層間絶縁膜を形成する工程Eと、を有する層間絶縁膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる層間絶縁膜製造用塗布組成物を提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を提供することができる。
【0023】
また、本発明は、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を有する半導体素子を提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる層間絶縁膜の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態において、層間絶縁膜製造用塗布組成物(以下、単に「塗布組成物」とも称する)は、2以上の重合性基を有する重合性ケイ素化合物であって、前記2以上の重合性基のうち少なくとも1つが下記式(1)で表される重合性基Qである重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する。
*-O-R-Y・・・(1)
(上記式(1)において、
*はケイ素原子への結合を表し、
Rは単結合、又はヘテロ原子を含んでもよい非置換または置換の炭素数1~12のアルキレン基を表し、
Yは重合性基を表す。)
【0026】
前記重合性基Qは、ケイ素原子と直接化学結合しているため、前記塗布組成物を硬化させてなる硬化膜は、シリカナノ粒子と光硬化性モノマーの混合物からなる組成物の場合とは異なり、均一性に優れる。また、前記重合性基Qは、Si-O-Rの結合部分を有していることにより、パターン形成後に基材を加熱することによりガラス化するため、低誘電率、高ヤング率の層間絶縁膜を得ることができる。また、前記重合性基QはSi-O-Rの結合部分を酸やアルカリ等の処理によって分解させ架橋構造を切断することが可能であることから、光硬化物を意図的に溶解させて洗浄することが可能である。そのため、光インプリントの際にパターン形成に欠陥を生じた場合や、モールド上に光硬化物からなる汚れが残存した場合、それらを洗浄除去することが容易である。また、前記重合性基QのSi-O-Rの結合部分は熱分解性も有するため、パターン形成後に基材を加熱することにより分解し、層間絶縁膜内に空孔が形成されるため、低誘電率の層間絶縁膜を得ることが可能となる。また、前記塗布組成物は低粘度かつ光硬化性であるため、化学蒸着法(CVD)等の真空プロセスによらずに常温・常圧で基材上に塗布し、光硬化性させることができる。そのため、従来よりも高スループットで層間絶縁膜を形成できる。従って、前記塗布組成物によれば、均一性に優れ、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる。また、前記塗布組成物の硬化は低収縮率であるため、当該塗布組成物を硬化させてなる層間絶縁膜は、耐クラック性、及び平坦性に優れる。また、前記塗布組成物は、特に100nm以下のパターン形成にも好適に使用することが可能である。
【0027】
前記重合性化合物(A)は、常温(例えば、25℃)で液体であり、重合性基を2以上有する。当該重合性基とは、重合反応が可能な官能基を表し、具体的にはラジカル重合性基又はカチオン重合性基が挙げられ、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、具体的にはビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アリル基、アリルオキシ基、イソプロペニル基、スチリル基、ビニロキシ基、ビニロキシカルボニル基、ビニルカルボニル基、N-ビニルアミノ基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基、マレイミド基等が挙げられ、光硬化性の観点から好ましくは(メタ)アクリロイル基、アクリルアミド基、特に好ましくはアクリロイル基である。前記重合性基を有する基とは、上記重合性基を有する基であればよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
【0028】
前記重合性化合物(A)は、重合性基を2以上有するが、前記重合性基を有する基の少なくとも1つが前記式(1)で表される重合性基Qである。
重合性化合物(A)は前記基Qを少なくとも1つ有するが、重合性基Qを3つ以上有する場合は光硬化性に優れ、高弾性率の硬化物が得られる。重合性基Qを3つ以上有する重合性化合物(A)は、低照度および短時間で硬化可能となるだけでなく、光インプリントを行う際にモールドを離型する工程でパターンの倒壊や破断を防止でき、更に洗浄性や絶縁性も向上するため好ましい。
【0029】
式(1)で表される重合性基Qについて、Rは、単結合又は炭素原子数1~5のアルキレン基が好ましい。
式(1)で表される重合性基Qについて、Yは、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アリル基、アリルオキシ基、イソプロペニル基、スチリル基、ビニロキシ基、ビニロキシカルボニル基、ビニルカルボニル基、N-ビニルアミノ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基又はマレイミド基が好ましい。
【0030】
前記重合性基Qとしては、例えば以下のような構造のものが挙げられる。
【0031】
【化1】
【0032】
前記重合性化合物(A)としては、直鎖状であっても分岐状であってもかまわない。
前記重合性化合物(A)としては、分子内にケイ素原子を2~6個有し、ケイ素原子に直接結合する酸素原子の数が1~4個の構造のものを例示する場合には以下のような構造のものが挙げられるが、それぞれの個数は例示する数に限定されるわけではない。
前記重合性ケイ素化合物(A)が分子内に有するケイ素原子の数は例えば2~5000個であり、ケイ素原子に直接結合する酸素原子の数は1~4個の範囲で選択可能である。
【0033】
【化2】
【0034】
これらの中でも、前記重合性化合物(A)は、ケイ素原子を5個以上有する構造が好ましい。
これは、ケイ素原子量が5個以上あることで層間絶縁膜を製造する際の耐クラック性、および形成された絶縁膜の耐熱性、絶縁性、ヤング率が向上するからである。
【0035】
前記重合性化合物(A)におけるケイ素原子の量は10重量%以上であることが好ましい。ケイ素原子の量が10重量%以上であることで、試料表面から脱離して発生するアウトガス成分を少なく抑え、耐熱性および耐クラック性が向上するため好ましい。
前記重合性化合物(A)におけるケイ素原子の量は、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。
前記重合性化合物(A)におけるケイ素原子の量の上限は特に制限されないが、例えば90重量%以下であり、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、さらに好ましくは60重量%以下である。
【0036】
前記重合性化合物(A)は、好ましくは下記一般式(A1)で表されるモノマー及び/又は下記一般式(A2)で表されるモノマーを縮合してシリコーンオリゴマーとし、得られたシリコーンオリゴマーに下記一般式(A3)で表される化合物を反応させて製造する。
【0037】
【化3】
(前記式(A1)、(A2)及び(A3)中、
、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素原子数1~6のアルキル基であり、
Rは前記式(1)のRと同じであり、
Yは前記式(1)のYと同じである。)
【0038】
前記式(A1)で表されるモノマー及び/又は前記式(A2)で表されるモノマーのシリコーンオリゴマーに、前記式(A3)で表される化合物を反応させて得られる重合性化合物(A)は、Si-O-R-Yで表される基を1以上有するシリコーンオリゴマーである。
前記シリコーンオリゴマーはSi-O-R-Yで表される基を有することで、組成物を低粘度でUV硬化性も良好とすることができる。また、前記シリコーンオリゴマーを含む組成物を高温でベークし層間絶縁膜を形成する際には、Si-O-R-Yで表される基が分解し、シロキサン結合を形成することで強固な膜とすることもできる。
【0039】
前記式(A1)で表されるモノマー及び/又は前記式(A2)で表されるモノマーのシリコーンオリゴマーは市販品を用いることができ、例えばシリコーンレジンKC-89S、シリコーンレジンKR-500、シリコーンレジンX-40-9225、シリコーンレジンKR-401N、シリコーンレジンX-40-9227、シリコーンレジンKR-510、シリコーンレジンKR-9218、シリコーンレジンKR-213(以上、信越化学工業社製)、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、EMS-485(コルコート株式会社製)等が使用できる。
【0040】
前記塗布組成物における前記重合性化合物(A)の含有量の下限は、好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上又は80重量%以上である。
前記塗布組成物における前記重合性化合物(A)の含有量の上限は、特に制限されず、例えば前記塗布組成物の不揮発分の99.9重量%以下、99重量%以下又は95重量%以下である。
【0041】
前記重合性化合物(A)の重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上から、好ましくは100000以下、より好ましくは10000以下までの範囲である。重量平均分子量が500以上であると層間絶縁膜を製造する際の耐クラック性、および形成された絶縁膜の耐熱性、絶縁性、ヤング率が向上するため好ましい。重量平均分子量が100000以下であると常温で粘度が低く保たれ、光インプリントの際にモールドへの充填性に優れるため好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は実施例に記載の方法で測定する。
【0042】
前記重合性化合物(A)の合成は、特に限定はなく、公知慣用の方法を用いることができる。たとえば、重合性不飽和基と水酸基とを有する化合物を原料として、クロロシランと脱塩酸反応で合成する方法や、アルコキシシランとエステル交換で合成する方法などが挙げられる。
【0043】
前記光重合開始剤(B)としては、具体的には2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が挙げられるが、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば、特に限定されるものではない。これらは、単独でも二種類以上を併用して用いることもできる。
【0044】
前記光重合開始剤(B)は、市販品として入手可能であり、OMNIRAD(登録商標)651、同184、同2959、同907、同369、同379、同819、同127、ESACURE(登録商標)KIP150、同TZT、同KTO46、同1001M、同KB1、同KS300、同KL200、同TPO、同ITX、同EDB(以上、IGM Resins社製)、Irgacure(登録商標)OXE01、02、DAROCUR(登録商標)1173、同MBF、同TPO(以上、BASFジャパン社製)などが挙げられる。
【0045】
前記塗布組成物における前記光重合開始剤(B)の含有量は、前記重合性化合物(A)及び前記重合性化合物(A)以外の重合性化合物(後述)の合計100重量部に対して好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上から、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下までの範囲である。前記塗布組成物における前記光重合開始剤(B)の含有量が、前記重合性化合物(A)及び前記重合性化合物(A)以外の重合性化合物100重量部に対して0.5重量部以上であれば、硬化性が高まり、パターン形成性に優れる。
【0046】
前記塗布組成物は、本発明の効果を損ねない範囲でその他の配合物を配合しても構わない。その他の配合物としては、溶剤、離型剤、細孔形成剤、前記重合性化合物(A)以外の重合性単量体、有機顔料、無機顔料、体質顔料、有機フィラー、無機フィラー、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着補助剤等が挙げられる。
【0047】
前記溶剤は、例えばスピンコート法により前記塗布組成物を塗布する場合に、溶剤を配合することで膜厚や表面平滑性を改善することができる。前記溶剤としては、例えば、n-へキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族系または脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルイソブチルカルビノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;アルキルエーテル類;1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;γ-ブチロラクトン等のラクトン類;N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドを単独または2種類以上を併用して使用することができる。
【0048】
前記溶剤の含有量は、前記塗布組成物中、当該溶剤以外の成分の含有量が、好ましくは0.1重量%以上から100重量%未満までの範囲となるような量で使用することができる。
【0049】
前記離型剤は、光インプリントの際に前記塗布組成物がモールドから離型しにくい場合、前記離型剤を配合することで、モールドを剥離させるために必要な力を低下させ、パターンの倒壊、変形や破損を防止することができる。前記離型剤は、好ましくは、前記塗布組成物中でモールドとの界面に偏析し、モールドとの離型を促進する機能を有する。具体的には、モールドの表面に親和性の高い官能基と、疎水性官能基との両方を一つの分子内に併せ持つ化合物が挙げられる。モールドの表面に親和性の高い官能基としては、水酸基、エーテル基、アミド基、イミド基、ウレイド基、ウレタン基、シアノ基、スルホンアミド基、ラクトン基、ラクタム基、シクロカーボネート基、リン酸エステル基等が挙げられ、例えば、モールドが石英からなる場合は、水酸基、または水酸基がエーテル化されたポリアルキレングリコール基等が好ましく、モールドがニッケル等の金属からなる場合、リン酸エステル基等が好ましい。疎水性官能基としては、炭化水素基、含フッ素基等から選択される官能基が挙げられる。前記離型剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルアミン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アクリル重合系界面活性剤等が挙げられる。前記離型剤は、市販品として入手可能であり、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤としては、ノニオンK-204、同K-220、同K-230、同P-208、同P-210、同P-213、同E-202、同E-205、同E-212、同E-215、同E-230、同S-202、同S-207、同S-215、同S-220、同B-220(以上、日油社製)、例えばフッ素系界面活性剤としては、フロラードFC-4430、FC-4431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS-241、S-242、S-243(以上、AGC社製)、エフトップEF-PN31M-03、EF-PN31M-04、EF-PN31M-05、EF-PN31M-06、MF-100(以上、三菱マテリアル電子化成社製)、Polyfox PF-636、PF-6320、PF-656、PF-6520(以上、OMNOVA社製)、フタージェント250、251、222F、212M DFX-18(以上、ネオス社製)、ユニダインDS-401、DS-403、DS-406、DS-451、DSN-403N(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF-430、F-444、F-477、F-553、F-556、F-557、F-559、F-562、F-565、F-567、F-569、R-40(以上、DIC社製)、Capstone FS-3100、Zonyl FSO-100(以上、DuPont社製)が挙げられる。前記離型剤は、単独または2種類以上を併用して使用することができる。前記塗布組成物が前記離型剤を含有すると、インプリント用モールドが前記塗布組成物から離型しやすくなるため好ましい。
【0050】
前記塗布組成物における前記離型剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上から、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下までの範囲である。前記塗布組成物における前記離型剤の含有量が、0.1重量%以上であれば、離型性が高まるため好ましい。
【0051】
前記細孔形成剤としては、所望の細孔量や細孔径等を有する層間絶縁膜を形成し得るものであって、前記塗布組成物と混合し得るものであれば特に制限されないが、ポリアルキレングリコール構造を有する界面活性剤が、細孔形成性の観点から好ましく、その中でもプルロニック系界面活性剤(ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのトリブロック共重合体)や、テトロニック系界面活性剤(エチレンジアミンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドを連続的に付加することによって誘導される四官能ブロック共重合体)が、前記塗布組成物への溶解性の観点から、より好ましい。前記細孔形成剤に使用するポリアルキレングリコール構造を有する界面活性剤の分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上から、好ましくは20000以下、より好ましくは10000以下までの範囲である。分子量が200以上であれば十分な細孔径の細孔を形成可能であり、分子量が20000以下であれば前記塗布組成物への溶解性に優れるため好ましい。前記細孔形成剤としては、市販品として入手可能であり、例えば、エパン410、同420、同450、同485、同680、同710、同720、同740、同750、同785、同U-103、同U-105、同U-108(以上、第一工業製薬社製)、Tetronic(登録商標)304、同901、同904、同908、同1107、同1301、137、同150R1(以上、BASF社製)等を単独または2種類以上を併用して使用することができる。前記塗布組成物が前記細孔形成剤を含有すると、層間絶縁膜内に更に空孔を形成することができるため、層間絶縁膜の比誘電率が低下し、更に絶縁性に優れる層間絶縁膜を形成することができるため好ましい。
【0052】
前記塗布組成物における前記細孔形成剤の含有量は、得ようとする層間絶縁膜に形成する細孔量に応じて適宜選択することができ、好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の0.1重量%以上、より好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の0.5重量%以上から、好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の20重量%以下、より好ましくは10重量%以下までの範囲である。前記塗布組成物における前記細孔形成剤の含有量が0.1重量%以上であれば、更に低い比誘電率、及び更に高い絶縁性を有する層間絶縁膜を製造することができるため好ましく、20重量%以下であれば耐クラック性に優れるため好ましい。
【0053】
前記重合性化合物(A)以外の重合性単量体としては、単官能重合性単量体、及び多官能重合性単量体が例示できる。
【0054】
前記単官能重合性単量体は、重合性基を1個有する化合物である。重合性基とは、重合反応が可能な官能基を表し、具体的にはラジカル重合性基やカチオン重合性基等が挙げられる。前記単官能重合性単量体が有する重合性基は、前記重合性化合物(A)の有する重合性基と反応する基であることが好ましく、例えば前記重合性化合物(A)の有する重合性基が(メタ)アクリロイル基である場合、前記単官能重合性単量体の有する重合性基も(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0055】
前記単官能重合性単量体としては、具体的にはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(フェニルチオ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましくは、ケイ素含有単量体である。これは、ケイ素を含有することから、前記単官能重合性単量体を含有する硬化性組成物のドライエッチング耐性が向上する為である。ケイ素含有単量体としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、2-トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、片末端型反応性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製X-22-174ASX、X-22-174BX、KF-2012、X-22-2426、X-22-2475)等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0056】
前記塗布組成物における前記単官能重合性単量体の含有量は、好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の30重量%以下、より好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の10重量%以下までの範囲である。
【0057】
前記多官能重合性単量体としては、具体的には1,2-エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタ(メタ)アクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、9、9ビスフェニルフルオレン骨格を有するジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート変性シリコーン(信越化学工業(株)製X-22-2445、X-22-1602、X-22-164、X-22-164AS、X-22-164A、X-22-164B、X-22-164C、X-22-164E、KR-513、X-40-2672B、X-40-9272B等)、(メタ)アクリレート変性シルセスキオキサン(東亞合成(株)製AC-SQ TA-100、MAC-SQ TM-100、AC-SQ SI-20、MAC-SQ SI-20等)が挙げられ、特に好ましくは(メタ)アクリレート変性シリコーン(信越化学工業(株)製X-22-2445、X-22-1602、X-22-164、X-22-164AS、X-22-164A、X-22-164B、X-22-164C、X-22-164E、KR-513、X-40-2672B、X-40-9272B等)、(メタ)アクリレート変性シルセスキオキサン(東亞合成(株)製AC-SQ TA-100、MAC-SQ TM-100、AC-SQ SI-20、MAC-SQ SI-20等)である。
【0058】
前記塗布組成物における前記多官能重合性単量体の含有量は、好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の30重量%以下、より好ましくは前記塗布組成物の不揮発分の10重量%以下までの範囲である。
【0059】
前記塗布組成物は、不揮発分量中のケイ素原子の量が10重量%以上であることが好ましい。不揮発分量中のケイ素原子の量が10重量%以上であることで、試料表面から脱離して発生するアウトガス成分を少なく抑え、耐熱性および耐クラック性が向上するため好ましい。不揮発分量中のケイ素原子の量は、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上である。
【0060】
前記塗布組成物の不揮発分量中における前記重合性化合物(A)及び当該重合性化合物(A)以外の重合性単量体の合計含有量は、50重量%以上であることが好ましい。これは、三次元の架橋点が増えることでインプリント時のパターン形成性に優れるためである。
【0061】
本実施形態の層間絶縁膜は、前記塗布組成物を硬化してなる。本実施形態の層間絶縁膜は、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する。当該層間絶縁膜は、パターン形成されたものであってもよい。また、当該パターン形成は、ナノインプリントによりなされたものであってもよい。
【0062】
前記層間絶縁膜は、前記塗布組成物を基材上に塗布する工程Aと、凹凸パターンが形成されたインプリント用モールドを前記層間絶縁膜製造用塗布組成物の表面に押圧する工程Bと、前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を光硬化させる工程Cと、前記インプリント用モールドを離型する工程Dと、前記層間絶縁膜製造用塗布組成物を200℃以上でベークし、層間絶縁膜を形成する工程Eと、を有する層間絶縁膜の製造方法により、製造することができる。当該層間絶縁膜の製造方法によれば、高いヤング率と、低い比誘電率とを有する、パターン形成された層間絶縁膜を、高スループットで製造することができる。
【0063】
前記工程Aにおいて前記塗布組成物を基材上に塗布する方法としては特に限定は無く、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等、様々な方法を用いればよい。これらの中でも膜厚調整、表面平滑性、面内膜厚均一性、スループットの観点からスピンコート法が好ましい。
【0064】
前記基材は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、サファイア、ガラス、プラスチック、セラミック材料、蒸着膜(CVD、PVD、スパッタ)、磁性膜、反射膜、Ni,Cu,Cr,Fe,ステンレス等の金属基材、紙、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基材、TFTアレイ基材、PDPの電極板、ITOや金属等の導電性基材、絶縁性基材、シリコン、窒化シリコン、ポリシリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンなどの半導体作製基板等が挙げられる。
【0065】
また、基材の形状も特に制限はなく、平板、シート状、あるいは3次元形状全面にまたは一部に曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。
【0066】
前記工程Bは、予め凹凸パターンが形成されたインプリント用モールドを基材上の前記塗布組成物の表面に押圧する。
【0067】
前記インプリント用モールドの材質としては、光を透過する材質として、石英、紫外線透過ガラス、サファイア、ダイヤモンド、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン材料、フッ素樹脂、シクロオレフィン樹脂、その他光を透過する樹脂材等が挙げられる。また、使用する基材が光を透過する材質であれば、前記インプリント用モールドは光を透過しない材質でもよい。光を透過しない材質としては、金属、SiC、マイカ等が挙げられる。この中でも、紫外線を良好に透過し、硬度が高く、表面平坦性、板厚均一性、平行性、が高いことから特に好ましくは石英モールドである。前記インプリント用モールドは平面状、ベルト状、ロール状、ロールベルト状等の任意の形状のものを選択できる。
【0068】
前記インプリント用モールドは、前記塗布組成物とモールド表面との離型性を向上させるため離型処理を行ったものを用いても良い。離型処理としては、シリコーン系やフッ素系のシランカップリング剤による処理等が挙げられる。
【0069】
なお、前記塗布組成物が溶剤を含有する場合、前記層間絶縁膜の製造方法は、前記溶剤を前記塗布組成物から除去するために、前記工程Bの前に前記基材上の前記塗布組成物をプリベークする工程Fを有していてもよい。当該工程Fにおいて、プリベークの温度は適宜決定することができ、例えば、50℃以上、好ましくは70℃以上から、150℃以下、好ましくは120℃以下である。
【0070】
前記工程Cにおいて、前記塗布組成物の硬化の方法は、モールドが光を透過する材質の場合はモールド側から光を照射する方法、基材が光を透過する材質の場合は基材側から光を照射する方法が挙げられる。光照射に用いる光としては、光重合開始剤(B)が反応する光であればよく、中でも光重合開始剤(B)が容易に反応し、より低温で硬化させることができる面から、450nm以下の波長の光(紫外線、X線、γ線等の活性エネルギー線)が好ましい。
【0071】
また、形成するパターンの追従性に不具合があれば、光照射時に十分な流動性が得られる温度まで前記塗布組成物を加熱させてもよい。加熱する場合の温度は、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。前記温度で加熱することにより、前記塗布組成物から形成されるパターン形状が精度よく保持される。
【0072】
前記工程Dにおいて、前記モールドを離型することにより、前記モールドの凹凸パターンを転写した凸凹パターンが形成された塗布組成物が得られる。基材の反り等の変形を抑えたり、凹凸パターンの精度を高めるため、前記工程Dとしては、前記塗布組成物の温度が常温(25℃)付近まで低下した後に実施する方法が好ましい。
【0073】
前記モールドを離型後、モールドにレジスト残渣が確認される場合には洗浄を行う。モールドは繰り返し使用するため、モールドにレジスト残渣があると、次回使用時のパターン形成に悪影響を及ぼす。前記塗布組成物に含有される重合性化合物(A)は、前記基Qを有する。当該基Qは、加水分解性基であることから、硬化後に加水分解処理を行うことで、モールドが良好に洗浄される。モールドの洗浄に用いる加水分解可能な洗浄液としては、酸、アルカリ、熱水等が挙げられる。酸洗浄液としては、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸、酢酸、リン酸、王水、希フッ酸、硫酸過水、塩酸過水等が挙げられ、アルカリ洗浄液としては苛性ソーダ、苛性カリなどの苛性アルカリや、各種のケイ酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機アルカリだけでなく、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイドなどの有機アルカリ、アンモニア水、アンモニア水素水、アンモニア過水等が挙げられる。アルカリ洗浄液はSiOを溶解する恐れがあるため、モールドがガラスや石英の場合には酸洗浄液が好ましく、特に好ましくは硫酸過水である。特に100nm以下の微細パターンをもつ石英モールドの洗浄においては、アルカリ洗浄液にSiOの溶解作用によりモールドの矩形性を損なう恐れがあるため、酸洗浄液を用いることで微細パターンの損傷無くモールドが洗浄され、繰り返し用いることが出来る。洗浄方法としては、特に限定は無いが、スプレー、シャワー、浸漬、加温浸漬、超音波浸漬、スピン法、バブリング、揺動法、ブラッシング、スチーム、研磨等が挙げられ、洗浄された汚染物の再付着防止のためには、スピン法が特に好ましい。
【0074】
前記工程Eにおいて、ベークの温度は適宜決定することができ、例えば、200℃以上、好ましくは250℃以上から、1000℃以下、好ましくは900℃以下である。ベーク温度を200℃以上とすることにより、高ヤング率の層間絶縁膜を得ることができる。
【実施例
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「重量部」または「重量%」を表す。
【0076】
<合成例>
〔合成例1:重合性化合物(A-1)の合成〕
メチル系シリコーンレジンKR-500(商品名、信越化学工業社製)(110.8部)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(58.1部)、パラトルエンスルホン酸一水和物(0.034部)を混合、120℃に昇温し、縮合反応により生成したメタノールを留去しながら3時間撹拌して反応させ、重合性化合物(A-1)152.9gを得た。得られた化合物の物性値は、以下の通りであったことから、分子中にケイ素原子を含有する重合性化合物であることが確認できた。H-NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):6.43(m,CH=C),6.13(m,C=CH-C=O),5.83(m,CH=C),4.25(br,CH-O-C=O),3.96(br,CH-O-Si),3.50(s,Si-OCH),0.15(s,Si-CH).重量平均分子量を測定したところ、2510であった。
【0077】
〔合成例2:重合性化合物(A-2)の合成〕
2-ヒドロキシエチルアクリレート(58.1部)の代わりにN-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド(58.1部)を使用した以外は前記合成例1と同様にして重合性化合物(A-2)151.4gを得た。得られた化合物の物性値は、以下の通りであったことから、分子中にケイ素原子を含有する重合性化合物であることが確認できた。H-NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):7.31(s,NH)、6.27~6.30(m,C=CH-N),6.16~6.21(m,CH=C),5.50~5.69(m,CH=C),3.32~3.98(m,CH-O-Si,N-CH),3.50(br,Si-OCH),0.15(s,Si-CH).重量平均分子量を測定したところ、2680であった。
【0078】
〔合成例3:重合性化合物(A-3)の合成〕
2-ヒドロキシエチルアクリレート(58.1部)の代わりにN-(2-ヒドロキシエチル)マレイミド(58.1部)を使用した以外は前記合成例1と同様にして重合性化合物(A-3)152.0gを得た。得られた化合物の物性値は、以下の通りであったことから、分子中にケイ素原子を含有する重合性化合物であることが確認できた。H-NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):6.80(s,CH=CH),3.75~3.86(m,CH-O-Si,N-CH),3.50(s,Si-OCH),0.15(s,Si-CH).重量平均分子量を測定したところ、2610であった。
【0079】
〔合成例4:重合性化合物(A-4)の合成〕
メチル系シリコーンレジン(信越化学工業株式会社製、KR-500)(110.8部)、の代わりにメチルシリケート(コルコート株式会社製、MS-53A)(110.8部)を使用した以外は前記合成例1と同様にして重合性化合物(A-4)150.0gを得た。得られた化合物の物性値は、以下の通りであったことから、分子中にケイ素原子を含有する重合性化合物であることが確認できた。H-NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):6.68~6.74(m,CH=C),6.26(br,C=CH-C=O),5.79~5.86(m,CH=C),4.28~4.36(m,CH-O-C=O),4.03~4.12(m,CH-O-Si),3.44(br,Si-OCH)重量平均分子量を測定したところ、1050であった。
【0080】
〔比較合成例1:重合性化合物(A’-1)の合成〕
前記非特許文献1の実験項に示す方法により、メチルトリメトキシシラン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、ジメチルジメトキシシランを重縮合してポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)を合成した。
【0081】
なお、重合性化合物の重量平均分子量は、下記の方法で測定した。
測定装置:東ソー社製「HLC-8320 GPC」
カラム:昭光サイエンス社製「Shodex LF604」2本
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
展開溶媒:トルエン(合成例1および4)、テトラヒドロフラン(合成例2および3)
流速:0.5mL/分
試料:展開溶媒を用いて樹脂固形分換算で0.5質量%に希釈した溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:20μL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
東ソー株式会社「A-500」
東ソー株式会社「A-5000」
東ソー株式会社「F-4」
東ソー株式会社「F-40」
東ソー株式会社「F-288」
【0082】
<層間絶縁膜(非パターン膜)の評価>
〔層間絶縁膜製造用塗布組成物〕
下記表1に示す配合表に基づいて各成分を配合した後、重合性化合物(A)及び単官能重合性単量体の合計100重量部に対して、光重合開始剤(B)としてOMNIRAD369(IGM社製)2重量部、および離型剤としてノニオンS-202(ポリオキシエチレン-ステアリルエーテル、日油株式会社製)1重量部を混合して溶解させた後、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて有効成分が40~60%になるように希釈し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のフィルタを用いてろ過を実施し、非パターン膜の作製に使用する、実施例1~6、及び比較例1~5に係る各層間絶縁膜製造用塗布組成物を調製した。
【0083】
下記表1に記載の成分は下記のとおりである。
【0084】
[重合性化合物]
A-1:前記重合性化合物(A-1)
A-2:前記重合性化合物(A-2)
A-3:前記重合性化合物(A-3)
A-4:前記重合性化合物(A-4)
A’-1:非特許文献1の実験項に示す方法により調製した、メチルトリメトキシシラン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、ジメチルジメトキシシランを重縮合して合成したポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)
A’-2:水素化シルセスキオキサンポリマー(HSQ、ダウコーニング社製、FOx-16)
A’-3:特開2013-86294号公報の実施例に示す方法により調製した、表面修飾シリカナノ粒子(MEK-AC 2101、日産化学株式会社製)の溶剤を1,4-ブタンジオールジアクリレートで置換した組成物
A’-4:アクリロイル基とメトキシ基を有するシリコーンオリゴマー(信越化学工業社製、KR-513)
A’-5:アクリロイル基を両末端に有するシリコーン(信越化学工業社製、X-22-2445)
【0085】
[単官能重合性単量体]
オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート(MIWON社製、MIRAMER M1142)
【0086】
[細孔形成剤]
ポロキサミン化合物(四官能性エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、BASF社製、Tetronic150R1)
【0087】
〔評価方法〕
得られた各層間絶縁膜製造用塗布組成物を用いて、下記方法で非パターン膜の作製、およびそのヤング率の評価、比誘電率の評価、引き置き安定性の評価、光硬化性の評価、耐クラック性の評価を実施した。
【0088】
[密着膜付き基材の作製]
直径6インチのシリコンウェハの表面をUVオゾンクリーナー(サムコ株式会社製、UV-1)により表面処理後、窒素置換した密閉容器に入れ、密着層剤である3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランを含む窒素ガスを密閉容器内に流し、150℃で1時間加熱処理することにより、気相処理による密着膜付き基材を作製した。
【0089】
[非パターン膜の作製]
上述の密着膜付き基材上に約2~3μmの厚みになるようにスピンコーターを用いて層間絶縁膜製造用塗布組成物を塗布後、80℃で60秒間プリベークした後、窒素雰囲気下で中心波長365nmの1kWのDeepUVランプによる平行光を100mJ/cm(約4秒)照射して光硬化した後、350℃のホットプレート上で60秒間ベークし、層間絶縁膜製造用塗布組成物を硬化してなる層間絶縁膜の非パターン膜を得た。膜厚は光干渉式膜厚計(大塚電子株式会社製、OPTM-A1)により測定した。
【0090】
[層間絶縁膜のヤング率の評価]
前述の厚み約2~3μmの非パターン膜を使用し、バーコビッチ圧子を備えたナノインデンター(ENT-2100:エリオニクス株式会社製)により膜表面への100μN以下で押し込み試験を行い、押し込み深さ200nm以下の条件で、荷重変位曲線の除荷カーブからヤング率を評価した。評価基準を下記に示す。
A:ヤング率>5GPa
B:3GPa<ヤング率≦5GPa
C:ヤング率≦3GPa
【0091】
[層間絶縁膜の比誘電率の評価]
前述の非パターン膜の作製に用いた層間絶縁膜製造用塗布組成物に対して更に、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて有効成分が約10%になるように希釈し、上述の密着膜付き基材上に約100~200nmの厚みになるようにスピンコーターを用いて層間絶縁膜製造用塗布組成物を塗布後、同様の方法で層間絶縁膜製造用塗布組成物を硬化してなる層間絶縁膜の厚み約100~200nmの非パターン膜を得た。膜厚は光干渉式膜厚計(大塚電子株式会社製、OPTM-A1)により測定した。
前述の非パターン膜を使用し、水銀プローブ(雄山株式会社製、CVmap92A)を用いたC-V法により1MHzでの非誘電率を評価した。評価基準を下記に示す。
A:比誘電率<4.0
B:4.0≦比誘電率<6.0
C:比誘電率≧6.0
【0092】
[層間絶縁膜製造用塗布組成物の引き置き安定性の評価]
前述の厚み約2~3μmの非パターン膜の作製におけるプリベーク後(光硬化する前)、80℃で60秒間プリベークした後、室温で24時間放置した後、ポリエステル長繊維を備えたクリーンスワブにより表面を擦り、引き置き安定性を評価した。評価基準を下記に示す。
A:膜が拭い取られて基材表面が露出し、低粘度の液状が維持されていることが確認された
B:膜は拭い取られたが糸をひき、液状だが増粘したことが確認された
C:膜は拭い取られず、固化したことが確認された
【0093】
[層間絶縁膜製造用塗布組成物の光硬化性の評価]
前述の厚み約2~3μmの非パターン膜の作製における光硬化後(350℃でベークする前)、エタノールを湿らせたポリエステル長繊維を備えたクリーンスワブにより表面を拭い、光硬化性を評価した。評価基準を下記に示す。
A:膜の表面に変化は観察されなかった
B:膜が一部膨潤し、拭った跡に一部溶解した様子が観察された
C:膜が除去され、基材表面が露出した
【0094】
[層間絶縁膜の耐クラック性の評価]
前述の厚み約2~3μmの非パターン膜の表面を光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、BX53M)により観察し、耐クラック性を評価した。評価基準を下記に示す。
A:膜の表面にクラックは観察されなかった
B:膜の一部にクラックが観察された
C:膜の全面にわたってクラックが観察されなかった
【0095】
<層間絶縁膜(パターン膜)の評価>
[層間絶縁膜製造用塗布組成物の調整]
上述の厚み約2~3μmの非パターン膜の作製に用いた層間絶縁膜製造用塗布組成物に対して更に、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて有効成分が約20%になるように希釈し、孔径0.01μmのナイロン製のフィルタを用いてろ過を実施し、パターン膜の作製に使用する層間絶縁膜製造用塗布組成物を調製した。
【0096】
[評価方法]
得られた層間絶縁膜製造用塗布組成物を用いて、下記方法でパターン膜の作製、およびそれを用いた微細パターン形成性の評価、微細パターンの収縮率の評価、洗浄性の評価を実施した。
【0097】
[パターン膜の作製]
上述の密着膜付き基材上に約500nmの厚みになるようにスピンコーターを用いて層間絶縁膜製造用塗布組成物を塗布後、80℃で60秒間プリベークし溶剤を除去した。この基材を光ナノインプリント装置(明昌機工株式会社製、NM-0401)の下面ステージに真空吸着によりセットした。約350nm~10μmのライン/スペースパターンを有し、溝深さが約350nmの石英を材質とするモールド(NTTアドバンステクノロジ社製、NIM PH-350)をベースガラスに固定し、モールドの周囲をスパッタリング成膜によりCr膜で被覆して遮光した後、上述の装置の上面ステージにセットした。下面ステージを上昇させて基材およびモールドを近づけて接触後、10秒間かけて50Nまで加圧し、5秒間保持した後、モールドの裏面からピーク波長365nmの水銀ランプの平行光により100mJ/cm(約3秒)の条件で露光し、下面ステージを下降させてモールドを剥離して離型した。このとき、1回の光インプリントにかかる時間は30秒以内である。350℃のホットプレート上で60秒間ベークし、微細パターンを表面に有する層間絶縁膜を得た。
【0098】
[微細パターン形成性の評価]
前述のパターン膜の作製において、微細パターンを表面に有する層間絶縁膜を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、SU3800)により観察し、微細パターン形成性を評価した。評価基準を下記に示す。
A:全面にわたって欠陥の無いパターンが観察された
B:一部パターンに欠陥が観察された
C:全面にわたってパターンに欠陥が観察された
【0099】
[収縮率の評価]
前述のパターン膜の作製において、光インプリント工程の後、および350℃ベーク工程の後に、微細パターンを表面に有する層間絶縁膜を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、SU3800)により観察し、パターン高さを測長し、((光インプリント工程の後のパターン高さ)-(ベーク工程の後のパターン高さ))/(光インプリント工程の後のパターン高さ)を算出することにより収縮率を評価した。評価基準を下記に示す。
A:収縮率<7%
B:7%≦収縮率<13%
C:収縮率≧13%
【0100】
[洗浄性の評価]
前述のパターン膜の作製において、光インプリント工程の後に、基材を硫酸水溶液に60秒間浸漬、および超純水でリンスし、洗浄性を評価した。評価基準を下記に示す。
A:層間絶縁膜製造用塗布組成物からなる膜が完全に除去され、基材表面が露出した
B:層間絶縁膜製造用塗布組成物からなる膜が一部除去されたが、基材表面に残渣がみられた
C:層間絶縁膜製造用塗布組成物からなる膜の表面に変化がみられなかった
【0101】
各実施例及び比較例の配合並びに評価結果を表1に示す。なお、表1中の数値の単位は重量比を示す。
【0102】
【表1】
【0103】
本発明の層間絶縁膜製造用塗布組成物は、種々のインプリント技術を用いた層間絶縁膜の製造に用いることができるが、特に、ナノサイズの微細パターンの形成のための層間絶縁膜製造用塗布組成物として好ましく用いることができる。具体的には、半導体集積回路、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、光ディスク、高密度メモリーディスク等の磁気記録媒体、回折格子やレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ作製のための光学フィルムや偏光素子、液晶ディスプレイの薄膜トランジスタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶、3D印刷による造形物等の作製に用いることができる。