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特許7111768感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜およびカラーフィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-25
(45)【発行日】2022-08-02
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜およびカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220726BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20220726BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220726BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220726BHJP
   C08K 9/10 20060101ALI20220726BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20220726BHJP
   C09B 57/00 20060101ALI20220726BHJP
   C09B 67/08 20060101ALI20220726BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20220726BHJP
   C07D 471/18 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/004 504
G03F7/075 501
G02B5/20 101
C08L101/00
C08K9/10
C09B67/20 F
C09B57/00 X
C09B67/08 B
C09B67/08 C
C09B67/22 F
C07D471/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020080504
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2020184073
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0051681
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】辛 明 曄
(72)【発明者】
【氏名】張 春 根
(72)【発明者】
【氏名】金 善 大
(72)【発明者】
【氏名】崔 圭 汎
(72)【発明者】
【氏名】柳 智 鉉
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062663(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/056546(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107793327(CN,A)
【文献】特開2015-098589(JP,A)
【文献】特開2012-013945(JP,A)
【文献】特開2016-117858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
C08L 101/00
C08K 9/10
C09B 67/20
C09B 57/00
C09B 67/08
C09B 67/22
C07D 471/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)コア-シェル構造の染料を含む着色剤;
(B)バインダー樹脂;
(C)光重合性化合物;
(D)光重合開始剤;および
(E)溶媒、を含み、
前記コアを構成する化合物は、下記化学式4で表されるスクアリリウム系化合物であり、
前記シェルを構成する化合物は、下記化学式3-1~化学式3-4で表される化合物のうちのいずれか1つである、感光性樹脂組成物
【化1】

前記化学式4中、
およびR11は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルコキシ基で置換されたもしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または炭素数1~10のアルコキシ基で置換されたもしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基であり、
10およびR12は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20のアリール基である
【化2】

【化3】
【請求項2】
前記コアを構成する化合物は、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有する、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記スクアリリウム系化合物は、下記化学式4-1~化学式4-6で表される化合物のうちのいずれか1つである、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【化4】

【化5】
【請求項4】
前記コア-シェル構造の染料は、前記コアを構成する化合物および前記シェルを構成する化合物を1:1のモル比で含む、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記コア-シェル構造の染料は、緑色染料である、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記着色剤は、顔料をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、
前記着色剤 0.5質量%~20質量%;
前記バインダー樹脂 0.1質量%~30質量%;
前記光重合性単量体 0.1質量%~30質量%;
前記光重合開始剤 0.1質量%~5質量%;および
残部の前記溶媒の含有量で含む、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基もしくは(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂膜。
【請求項10】
請求項に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、および該感光性樹脂膜を含むカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の1つである液晶ディスプレイ装置は、軽量、薄形、低価格、低消費電力駆動、および優れた集積回路との接合性などの長所を有しており、ノートパソコン、モニター、およびTV画像用でその使用範囲が拡大している。このような液晶ディスプレイ装置は、ブラックマトリックス、カラーフィルター、およびITO画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスタ、蓄電キャパシタ層から構成された能動回路部と、ITO画素電極が形成された上部基板と、を含んで構成される。カラーフィルターは、画素間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリックス層、およびそれぞれの画素を形成するために複数の色、通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色を定められた順に配列されている画素部が順次に積層された構造を取っている。
【0003】
カラーフィルターを実現する方法の1つである顔料分散法は、ブラックマトリックスが提供された透明な基板上に、着色剤を含有する光重合性組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶媒で除去して熱硬化させる一連の工程を繰り返すことによって着色薄膜が形成される方法である。顔料分散法によるカラーフィルターの製造に使用される着色感光性樹脂組成物は、一般にアルカリ可溶性樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、エポキシ樹脂、溶媒、その他添加剤などを含む。顔料分散法は、携帯電話、ノートパソコン、モニター、TVなどのLCDの製造に活発に応用されている。しかしながら、最近は、多様な長所を有する顔料分散法を利用したカラーフィルター用感光性樹脂組成物においても、優れたパターン特性だけでなく、より向上した性能が要求されている。特に高い色再現率と共に高輝度および高明暗比の特性が、早急に要求されている実情がある。
【0004】
イメージセンサーは、携帯電話カメラやDSC(digital still camera)などで映像を生成する映像撮像素子部品をいい、その製作工程と応用方式とにより、大きくは固体撮像素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサーと相補性金属酸化膜半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサーとに分類することができる。固体撮像素子または相補性金属酸化膜半導体に利用されるカラー撮像素子は、受光素子上に赤色(red)、緑色(green)、青色(blue)の加法混色のフィルターセグメント(filter segment)を備えたカラーフィルター(color filter)をそれぞれ設置し、色分解することが一般的である。最近、このようなカラー撮像素子に装着されるカラーフィルターのパターンの大きさは2μm以下の大きさで、従前のLCD用カラーフィルターパターンの1/100~1/200倍である。そのため、解像度の増加および残留物の減少が素子の性能を左右する重要な項目である。
【0005】
顔料を含む感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターでは、顔料粒子の大きさによる輝度および明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合には、微細なパターン形成のためにより小さい分散粒度が要求される。このような要求に応えるために、顔料の代わりに粒子を形成しない染料を導入して染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比が改善されたカラーフィルターを実現しようとする試みがある。しかし、染料の場合、顔料に比べて耐光性および耐熱性などの耐久性が劣ることにより、輝度の低下が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-117858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態は、輝度および耐久性に優れた感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
本発明の他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂膜を提供するものである。
【0009】
また、本発明の他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、(A)コア-シェル構造の染料を含む着色剤;(B)バインダー樹脂;(C)光重合性化合物;(D)光重合開始剤;および(E)溶媒を含み、前記コアを構成する化合物はスクアリリウム系化合物であり、前記シェルを構成する化合物は下記化学式1で表される化合物である、感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
前記化学式1中、
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
ただし、R~Rは、同時に水素原子になることはなく、
mは、1~10の整数であり、
nは、0~3の整数であり、
およびLは、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0013】
前記シェルを構成する化合物は、下記化学式2で表される化合物であり得る。
【0014】
【化2】
【0015】
前記化学式2中、
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
ただし、R~Rは、同時に水素原子になることはなく、
nは、0~3の整数である。
【0016】
前記シェルを構成する化合物は、下記化学式2-1~化学式2-3で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
前記化学式2-1~化学式2-3中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)である。
【0020】
前記シェルを構成する化合物は、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有することができる。
【0021】
前記シェルを構成する化合物は、下記化学式3-1~化学式3-4で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
前記スクアリリウム系化合物は、下記化学式4で表される化合物であり得る。
【0025】
【化7】
【0026】
前記化学式4中、
~R12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0027】
前記コアを構成する化合物の長さは、1nm~3nmであってもよい。
【0028】
前記コアを構成する化合物は、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。
【0029】
前記スクアリリウム系化合物は、下記化学式4-1~化学式4-6で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
前記コア-シェル構造の染料は、前記コアを構成する化合物および前記シェルを構成する化合物を、1:1のモル比で含むことができる。
【0033】
前記コア-シェル構造の染料は、緑色染料であってもよい。
【0034】
前記着色剤は、顔料をさらに含むことができる。
【0035】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の総量に対して、前記着色剤 0.5質量%~20質量%;前記バインダー樹脂 0.1質量%~30質量%;前記光重合性単量体 0.1質量%~30質量%;前記光重合開始剤 0.1質量%~5質量%;および残部の前記溶媒の含有量でそれぞれ含むことができる。
【0036】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基もしくは(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0037】
本発明の他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂膜を提供する。
【0038】
また、本発明の他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0039】
その他の本発明の実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、スクアリリウム系化合物から構成されるコアと、そのコアを囲む特定構造の化合物から構成されるシェルからなるコア-シェル構造の染料を用いることによって、輝度および耐久性に優れた感光性樹脂組成物が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】化学式3-4で表される化合物(シェル)のケージ幅(cage width)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0043】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、化合物中の少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20ヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0044】
本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロシクロアルキル基」、「ヘテロシクロアルケニル基」、「ヘテロシクロアルキニル基」および「ヘテロシクロアルキレン基」とは、それぞれシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、およびシクロアルキレンの環化合物内に少なくとも1つのN、O、S、またはPのヘテロ原子が存在することを意味する。
【0045】
本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方が可能であることを意味する。
【0046】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0047】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれるべき位置に化学結合が描かれていない場合は、この位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0048】
また本明細書で特別な言及がない限り、「*」は同一もしくは異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0049】
本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物は、(A)コア-シェル構造の染料を含む着色剤;(B)バインダー樹脂;(C)光重合性化合物;(D)光重合開始剤;および(E)溶媒を含み、前記コアを構成する化合物は、スクアリリウム系化合物であり、前記シェルを構成する化合物は、下記化学式1で表される化合物である。
【0050】
【化10】
【0051】
前記化学式1中、
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
ただし、R~Rは、同時に水素原子になることはなく、
mは、1~10の整数であり、
nは、0~3の整数であり、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0052】
上記化学式1中、LおよびLは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよい。この場合、溶解度に優れ、シェルがスクアリリウム系化合物を囲む構造を形成しやすい。
【0053】
例えば、本発明の一実施形態によるコア-シェル構造の染料は、スクアリリウム系化合物の酸素原子および上記化学式1で表される化合物の窒素原子と結合を形成している水素原子との間の非共有結合、つまり、水素結合を含む。
【0054】
一般に、スクアリリウム系化合物は、優れた緑色分光特性および高いモル吸光係数を有しているため、緑色染料として時々使用されている。しかし、顔料に比べて耐久性が劣るためカラーレジストを製造した後、ベーキング工程で輝度の低下が発生する問題がある。本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物は、着色剤として従来のスクアリリウム系化合物の代わりに、上記化学式1で表される化合物がシェルを形成し、スクアリリウム系化合物がコアを形成するコア-シェル構造を有する化合物を用いることによって、カラーフィルターの耐久性を向上させることができ、そのため、高輝度および高明暗比のカラーフィルターを実現することができる。
【0055】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0056】
(A)着色剤
本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物は、コア-シェル構造の染料を含む。
【0057】
前述のように顔料型の感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターでは、顔料粒子の大きさによる輝度と明暗比との限界が存在する。また、イメージセンサーで応用されるためには、微細パターン形成のためにより小さい粒子からなる樹脂組成物が要求される。これを達成するために、顔料の代わりに粒子を形成しない染料を導入して、染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比とが改善されたカラーフィルターを実現しようとする試みがあった。しかしながら、染料の場合、顔料に比べて耐久性が低いため、輝度および明暗比の改善に限界があった。
【0058】
しかし、本発明の一実施形態による感光性樹脂組成物に含まれる着色剤として使用される染料の場合、優れた緑色分光特性と高いモル吸光係数とを有するスクアリリウム系化合物の中心部を上記化学式1で表される巨大環状化合物で囲む構造を有する。これにより、従来の顔料型感光性樹脂組成物および染料型感光性樹脂組成物よりも耐久性に優れ、輝度および明暗比に優れたカラーフィルターを実現することができる。
【0059】
具体的には、上記コア-シェル構造の染料は、スクアリリウム系化合物で形成されるコアおよび前記コアを囲むシェルからなる構造を有し、前記シェルは、上記化学式1で表される巨大環状化合物で形成され、スクアリリウム系化合物のコアを囲みながらコーティング層(シェル)を形成することができる。このような構造によって、すなわち、上記化学式1で表される化合物の環の内部にスクアリリウム系化合物が存在する構造を有することによって、染料の耐久性を向上させることができ、そのため、高輝度および高明暗比のカラーフィルターを実現することができる。
【0060】
例えば、上記シェルを構成する化合物は、下記化学式2で表される化合物であり得る。
【0061】
【化11】
【0062】
前記化学式2中、
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
ただし、R~Rは、同時に水素原子になることはなく、
nは、0~3の整数である。
【0063】
例えば、上記化学式1および化学式2中、nは0であり(すなわちピリジン環に置換基はなく)、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であるが、R~Rのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であってもよい。
【0064】
例えば、上記化学式1および化学式2中、Rは、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子であってもよい。
【0065】
例えば、Rは、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、R~Rのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であってもよい。
【0066】
例えば、上記化学式2で表される化合物は、下記化学式2Aで表される化合物であり得る。
【0067】
【化12】
【0068】
前記化学式2A中、
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)であり、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0069】
例えば、上記シェルを構成する化合物は、下記化学式2-1~化学式2-3で表される化合物のうちのいずれか1つであり得る。
【0070】
【化13】
【0071】
【化14】
【0072】
前記化学式2-1~化学式2-3中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または*-OR(Rは、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基)である。
【0073】
例えば、上記シェルを構成する化合物のケージ幅(cage width)は、6.5Å~7.5Åであってもよい。本願でケージ幅(cage width)とは、シェル内部の距離、例えば上記化学式2で表されるシェルにおいて、両側にメチレン基が連結された、互いに異なる2個のフェニレン基間の距離を意味する(図1参照。図1は化学式3-4で表される化合物の例である)。上記シェルを構成する化合物が上記範囲内のケージ幅を有する場合、シェルがスクアリリウム系化合物を囲む構造の染料を得ることができ、そのため、コア-シェル構造の染料を、感光性樹脂組成物を構成する着色剤として用いることによって、耐久性に優れ、高輝度を有するカラーフィルターを実現することができる。
【0074】
例えば、上記シェルを構成する化合物は、下記化学式3-1~化学式3-4で表される化合物のうちのいずれか1つであり得るが、これらに限定されるのではない。
【0075】
【化15】
【0076】
【化16】
【0077】
例えば、コア-シェル構造の染料において、コアを構成するスクアリリウム系化合物は、下記化学式4で表される化合物であり得る。
【0078】
【化17】
【0079】
前記化学式4中、
~R12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0080】
例えば、上記化学式4中、RおよびR11は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基であり、上記R10およびR12は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0081】
例えば、上記RおよびR11は、それぞれ独立して、「炭素数1~10のアルコキシ基で置換されたもしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基」または「炭素数1~10のアルコキシ基で置換されたもしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基」であってもよい。
【0082】
例えば、上記炭素数1~10のアルコキシ基は、非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、または炭素数1~4のアルキル基で置換された炭素数1~6のアルコキシ基であってもよい。
【0083】
上記化学式4で表される化合物は、下記構造式1に示すように、3種類の共鳴構造を有するが、本明細書では便宜上、1種類の共鳴構造のみで上記化学式4で表される化合物を表しただけである。つまり、上記化学式4で表される化合物は、下記3種類の共鳴構造のうちのいずれか1つで表され得る。
【0084】
【化18】
【0085】
例えば、前記コアを構成する化合物、つまり、スクアリリウム系化合物は、下記化学式4-1~化学式4-6で表される化合物のうちのいずれか1つであり得るが、これらに限定されるのではない。
【0086】
【化19】
【0087】
【化20】
【0088】
例えば、上記化学式4-1~化学式4-6で表される化合物、具体的には上記化学式4-6で表される化合物が、感光性樹脂組成物に(例えば染料として)用いられる場合、後述する溶媒に対する溶解度が5以上、例えば5~10であってもよい。溶解度は、溶媒100gに溶ける染料(化合物)の量(g)で表すことができる。化合物(例えば染料)の溶解度が上記範囲内である場合、感光性樹脂組成物内の他の成分、つまり、後述するバインダー樹脂、光重合性単量体、および光重合開始剤との相溶性および着色性を確保することができ、染料の析出が防止され得る。
【0089】
例えば、上記化学式4-1~化学式4-6で表される化合物は、優れた耐熱性を有することができる。つまり、熱重量分析装置(TGA)で測定した際、熱分解温度が200℃以上、例えば200℃~300℃であってもよい。
【0090】
例えば、コアに含まれる、またはコアを構成する上記化学式4で表される化合物の長さは、1nm~3nm、例えば1.5nm~2nmであってもよい。上記化学式4で表される化合物が、上記範囲内の長さを有する場合、コア-シェル構造を容易に形成することができる。言い換えると、上記化学式4で表される化合物が上記範囲内の長さを有することによって、上記化学式1で表される巨大環状化合物で構成されるシェルが、上記化学式4で表される化合物を囲む構造を簡単に形成することができる。上記範囲の長さを有しない他の化合物を用いる場合、シェルがコアとなる化合物を囲む構造を形成し難い場合があるため、耐久性の改善を期待し難い場合がある。
【0091】
例えば、コア-シェル構造の染料は、530nm~680nmの波長で最大吸収ピークを有することができる。このような分光特性を有するコア-シェル構造の染料を緑色染料として用いることによって、高輝度および高明暗比を有するカラーフィルター用の感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0092】
例えば、コア-シェル構造の染料は、コアを構成するスクアリリウム系化合物およびシェルを構成する化合物を、1:1のモル比で含むことができる。コアを構成する化合物およびシェルを構成する化合物が前記モル比で存在する場合、コアを構成するスクアリリウム系化合物を囲むシェルが良好に形成され得る。
【0093】
例えば、コア-シェル構造の染料は、下記化学式5-1~化学式5-24で表される化合物からなる群より選択されるいずれか1つで表され得るが、これらに限定されるものではない。
【0094】
【化21】
【0095】
【化22】
【0096】
【化23】
【0097】
【化24】
【0098】
【化25】
【0099】
【化26】
【0100】
【化27】
【0101】
【化28】
【0102】
【化29】
【0103】
コア-シェル構造の染料は、緑色染料として単独で用いることもでき、調色染料と混合して用いることもできる。
【0104】
調色染料の例としては、トリアリールメタン系染料、アントラキノン系染料、ベンジリデン系染料、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アザポルフィリン系染料、インディゴ系染料、キサンテン系染料、ピリドンアゾ系染料などが挙げられる。
【0105】
コア-シェル構造の染料はまた、顔料と混合して用いることもできる。つまり、着色剤は、顔料をさらに含むことができる。
【0106】
顔料としては、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、黒色顔料などを用いることができる。
【0107】
赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド89などが挙げられる。緑色顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59などが挙げられる。青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16などの銅フタロシアニン顔料が挙げられる。黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー139などのイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138などのキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150などのニッケルコンプレックス顔料などが挙げられる。黒色顔料の例としては、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタニウムブラック、カーボンブラックなどが挙げられる。これら顔料は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができ、これらの例に限定されるものではない。
【0108】
顔料は、分散液の形態で感光性樹脂組成物に含まれてもよい。このような顔料分散液は、上記の顔料、溶媒、分散剤、分散樹脂などを含むことができる。
【0109】
溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを用いることができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを用いることができる。
【0110】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散されるように補助するものであり、非イオン性、陰イオン性、および陽イオン性の分散剤の全てを用いることができる。具体的にはポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを用いることができる。これらは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0111】
分散樹脂は、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を用いることができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善することができる。
【0112】
コア-シェル構造の染料および顔料を混合して用いる場合、1:9~9:1の質量比、具体的には3:7~7:3の質量比で混合して用いることができる。上記質量比の範囲で混合する場合、色特性を維持しながら高い輝度および明暗比を有することができる。
【0113】
着色剤は、本発明の感光性樹脂組成物の総量に対して0.5質量%~20質量%、例えば1質量%~15質量%の含有量で含まれてもよい。着色剤が上記範囲の含有量で含まれる場合、所望する色座標で高い輝度および明暗比が発現され得る。
【0114】
(B)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂であってもよい。
【0115】
第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
第1エチレン性不飽和単量体由来の構成単位は、アルカリ可溶性樹脂の総量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%の含有量で含まれてもよい。
【0117】
第2エチレン性不飽和単量体の例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0118】
バインダー樹脂の具体的な例としては、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
【0119】
バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。バインダー樹脂の重量平均分子量が上記の範囲である場合、基板との密着性に優れ、物理的および化学的物性が良好であり、粘度が適切である。
【0120】
バインダー樹脂の酸価は、60mgKOH/g~150mgKOH/g、例えば80mgKOH/g~130mgKOH/gであってもよい。バインダー樹脂の酸価が上記の範囲内である場合、優れたピクセルの解像度を得ることができる。
【0121】
バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物の総量に対して0.1質量%~30質量%、例えば5質量%~20質量%の含有量で含まれてもよい。バインダー樹脂が上記の範囲の含有量で含まれる場合、カラーフィルターの製造時に現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑性を得ることができる。
【0122】
(C)光重合性単量体
光重合性単量体は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを用いることができる。
【0123】
光重合性単量体は、エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で、露光時に十分な重合を起こし、耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0124】
光重合性単量体の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0125】
光重合性単量体の市販品を例に挙げると、次のとおりである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製の商品名アロニックス(登録商標)M-101、同M-111、同M-114など;日本化薬株式会社製の商品名KAYARAD TC-110S、同TC-120Sなど;大阪有機化学工業株式会社製の商品名V-158、V-2311などが挙げられる。(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製の商品名アロニックス(登録商標)M-210、同M-240、同M-6200など;日本化薬株式会社製の商品名KAYARAD HDDA、同HX-220、同R-604など;大阪有機化学工業株式会社製の商品名V-260、V-312、V-335 HPなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製の商品名アロニックス(登録商標)M-309、同M-400、同M-405、同M-450、同M-7100、同M-8030、同M-8060など;日本化薬株式会社製の商品名KAYARAD TMPTA、同DPCA-20、同-30、同-60、同-120など;大阪有機化学工業株式会社製の商品名V-295、同-300、同-360、同-GPT、同-3PA、同-400などが挙げられる。これら市販品は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
【0126】
光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して用いることもできる。
【0127】
光重合性単量体は、感光性樹脂組成物の総量に対して0.1質量%~30質量%、例えば5質量%~20質量%の含有量で含まれてもよい。光重合性単量体が上記範囲の含有量で含まれる場合、カラーフィルターの製造時、パターン特性および現像性に優れている。
【0128】
(D)光重合開始剤
光重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを用いることができる。
【0129】
アセトフェノン系の化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0130】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0131】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0132】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0133】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン、2-4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジンなどが挙げられる。
【0134】
オキシム系化合物の例としては、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンなどが挙げられる。
【0135】
光重合開始剤としては、上記の化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを用いることができる。
【0136】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の総量に対して、0.1質量%~5質量%、例えば1質量%~3質量%の含有量で含まれてもよい。光重合開始剤が上記範囲の含有量で含まれる場合、カラーフィルター製造のためのパターン形成工程で、露光時に光重合が十分に起こるようになって感度に優れ、透過率が改善される。
【0137】
(E)溶媒
溶媒は特に制限されないが、具体的に例を挙げると、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;メチルラクテート、エチルラクテートなどの乳酸アルキルエステル類;メチルヒドロキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、ブチルヒドロキシアセテートなどのヒドロキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシメチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシメチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどの酢酸アルコキシアルキルエステル類;メチル3-ヒドロキシプロピオネート、エチル3-ヒドロキシプロピオネートなどの3-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネートなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、プロピル2-ヒドロキシプロピオネートなどの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-エトキシプロピオネート、メチル2-エトキシプロピオネートなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-エトキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチルプロピオネート、2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート、ヒドロキシエチルアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエートなどのエステル類;またはピルビン酸エチルなどのケト酸エステル類の化合物が挙げられる。また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フェニルセロソルブアセテートなども挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を混合しても用いることができる。
【0138】
溶媒中の混和性(miscibility)および反応性などを考慮すると、好ましくはエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシエチルプロピオネートなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類である。
【0139】
溶媒は、感光性樹脂組成物の総量に対して残部の含有量で含まれてもよく、具体的には、20質量%~90質量%で含まれてもよい。溶媒が上記範囲の含有量で含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、厚さ3μm以上の膜で優れた平坦性を維持することができる。
【0140】
(F)その他の添加剤
本発明の感光性樹脂組成物は、塗布時に染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残留物の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;ラジカル重合開始剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0141】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するために、エポキシ化合物などの添加剤をさらに含むことができる。
【0142】
エポキシ化合物の例としては、フェノールノボラックエポキシ化合物、テトラメチルビフェニルエポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0143】
添加剤の含有量は、所望する物性により容易に調節されてもよい。
【0144】
本発明の他の一実施形態は、前述した感光性樹脂組成物から形成される感光性樹脂膜を提供する。
【0145】
また、本発明の他の一実施形態は、本発明の感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。カラーフィルターの製造方法の一例は、次のとおりであるがこれに限定されない。
【0146】
何も塗布されていないガラス基板の上に、または保護膜であるSiNが500Å~1500Åの厚さに塗布されているガラス基板の上に、前述した感光性樹脂組成物をスピンコーティング、スリットコーティングなどの適当な方法を用いて、3.1μm~3.4μmの厚さになるように塗布する。塗布後は、カラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。光を照射した後、塗布層をアルカリ現像液で処理すれば塗布層の未照射部分が溶解され、カラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を、必要なR、G、B色の数により繰り返して行うことによって、所望するパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。
【0147】
また上記工程で、現像により得られた画像パターンを再び加熱したり、または活性エネルギー線照射などにより硬化したりすることによって耐クラック性、耐溶剤性などをより向上させることができる。
【実施例
【0148】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例により限定されるのではない。
【0149】
(単分子化合物の製造)
(製造例1:中間体Aの製造)
【0150】
【化30】
【0151】
アニリン(10mol)、4-ブロモトルエン(10mol)、Pd(dba)(0.1mol)、およびXphos(0.1mol)をトルエンに入れて100℃に加熱して24時間攪拌した。この溶液に酢酸エチルを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留し、カラムクロマトグラフィーで精製して、中間体Aを得た。
【0152】
(製造例2:中間体B-1の製造)
【0153】
【化31】
【0154】
2,4-ジメチルジフェニルアミン(10mol)、1,2-エポキシヘキサン(12mol)、水素化ナトリウム(12mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に入れて90℃に加熱して24時間攪拌した。この溶液に酢酸エチルを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して中間体B-1を得た。
【0155】
(製造例3:中間体B-2の製造)
【0156】
【化32】
【0157】
1,2-エポキシヘキサンの代わりに1,2-ブチレンオキシド(1,2-butyleneoxide)を用いたことを除き、製造例2と同様の方法で合成して、中間体B-2を得た。
【0158】
(製造例4:中間体B-3の製造)
【0159】
【化33】
【0160】
2,4-ジメチルジフェニルアミンの代わりに中間体Aを用いたことを除き、製造例2と同様の方法で合成して、中間体B-3を得た。
【0161】
(製造例5:中間体B-4の製造)
【0162】
【化34】
【0163】
1,2-エポキシヘキサンの代わりに1,2-エポキシシクロヘキサンを用いたことを除き、製造例2と同様の方法で合成して、中間体B-4を得た。
【0164】
(製造例6:中間体C-1の製造)
【0165】
【化35】
【0166】
中間体B-1(10mmol)、ヨードメタン(15mmol)、および水素化ナトリウム(15mmol)をN,N-ジメチルホルムアミドに入れて常温で24時間攪拌した。この溶液に酢酸エチルを入れ、水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して中間体C-1を得た。
【0167】
(製造例7:中間体C-2の製造)
【0168】
【化36】
【0169】
ヨードメタンの代わりに2-ヨードプロパンを用いたことを除き、製造例6と同様の方法で合成して、中間体C-2で表される化合物を得た。
【0170】
(製造例8:中間体C-3の製造)
【0171】
【化37】
【0172】
中間体B-1の代わりに中間体B-2を用いたことを除き、製造例6と同様の方法で合成して、中間体C-3で表される化合物を得た。
【0173】
(製造例9:中間体C-4の製造)
【0174】
【化38】
【0175】
ヨードメタンの代わりにヨードエタンを用いたことを除き、製造例8と同様の方法で合成して、中間体C-4で表される化合物を得た。
【0176】
(製造例10:中間体C-5の製造)
【0177】
【化39】
【0178】
中間体B-1の代わりに中間体B-4を用いたことを除き、製造例6と同様の方法で合成して、中間体C-5で表される化合物を得た。
【0179】
(製造例11:中間体C-6の製造)
【0180】
【化40】
【0181】
ヨードメタンの代わりに1-ヨード-2-エチルヘキサンを用いたことを除き、製造例10と同様の方法で合成して、中間体C-6で表される化合物を得た。
【0182】
(製造例12:化学式4-1の製造)
【0183】
【化41】
【0184】
中間体C-1(60mmol)、および3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブチン-1,2-ジオン(30mmol)を、トルエン(200mL)およびブタノール(200mL)に入れ、還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去した。12時間攪拌後、緑色反応物を減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで精製して、上記化学式4-1で表される化合物を得た。
【0185】
(製造例13:化学式4-2の製造)
中間体C-1の代わりに中間体C-2を用いたことを除き、製造例12と同様の方法で合成して、化学式4-2で表される化合物を得た。
【0186】
(製造例14:化学式4-3の製造)
中間体C-1の代わりに中間体C-3を用いたことを除き、製造例12と同様の方法で合成して、化学式4-3で表される化合物を得た。
【0187】
(製造例15:化学式4-4の製造)
中間体C-1の代わりに中間体C-4を用いたことを除き、製造例12と同様の方法で合成して、化学式4-4で表される化合物を得た。
【0188】
(製造例16:化学式4-5の製造)
中間体C-1の代わりに中間体C-5を用いたことを除き、製造例12と同様の方法で合成して、化学式4-5で表される化合物を得た。
【0189】
(製造例17:化学式4-6の製造)
中間体C-1の代わりに中間体C-6を用いたことを除き、製造例12と同様の方法で合成して、化学式4-6で表される化合物を得た。
【0190】
(コア-シェル構造の染料の製造)
(合成例1:化学式5-1の合成)
【0191】
【化42】
【0192】
化学式4-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(TEA)(50mmol)を入れた。2,6-ピリジンジカルボニルジクロリド(2,6-pyridinedicarbonyl dichloride)(20mmol)、および(2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレン)ジメタンアミン(2,3,5,6-Tetramethyl-1,4-phenylene)dimethanamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、常温で5時間かけて同時滴下した。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して化学式5-1で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1346.75m/z。
【0193】
(合成例2:化学式5-2の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-2で表される化合物を用いたことを除き、合成例1と同様の方法で合成して、化学式5-2で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1402.82m/z。
【0194】
(合成例3:化学式5-3の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-3で表される化合物を用いたことを除き、合成例1と同様の方法で合成して、化学式5-3で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1290.60m/z。
【0195】
(合成例4:化学式5-4の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-4で表される化合物を用いたことを除き、合成例1と同様の方法で合成して、化学式5-4で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1318.72m/z。
【0196】
(合成例5:化学式5-5の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-5で表される化合物を用いたことを除き、合成例1と同様の方法で合成して、化学式5-5で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1342.72m/z。
【0197】
(合成例6:化学式5-6の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-6で表される化合物を用いたことを除き、合成例1と同様の方法で合成して、化学式5-6で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1538.94m/z。
【0198】
(合成例7:化学式5-7の合成)
【0199】
【化43】
【0200】
化学式4-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(50mmol)を入れた。2,6-ピリジンジカルボニルジクロリド(2,6-pyridinedicarbonyl dichloride)(20mmol)、および(2-メチル-1,4-フェニレン)ジメタンアミン(2-Methyl-1,4-phenylene)dimethanamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、常温で5時間かけて同時滴下した。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して、化学式5-7で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1262.66m/z。
【0201】
(合成例8:化学式5-8の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-2で表される化合物を用いたことを除き、合成例7と同様の方法で合成して、化学式5-8で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1318.72m/z。
【0202】
(合成例9:化学式5-9の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-3で表される化合物を用いたことを除き、合成例7と同様の方法で合成して、化学式5-9で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1206.59m/z。
【0203】
(合成例10:化学式5-10の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-4で表される化合物を用いたことを除き、合成例7と同様の方法で合成して、化学式5-10で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1234.63m/z。
【0204】
(合成例11:化学式5-11の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-5で表される化合物を用いたことを除き、合成例7と同様の方法で合成して、化学式5-11で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1258.63m/z。
【0205】
(合成例12:化学式5-12の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-6で表される化合物を用いたことを除き、合成例7と同様の方法で合成して、化学式5-12で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1454.84m/z。
【0206】
(合成例13:化学式5-13の合成)
【0207】
【化44】
【0208】
化学式4-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(50mmol)を入れた。4-トリフルオロメチルピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(4-trifluoromethyl pyridine-2,6-dicarbonyl dichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、常温で5時間かけて同時滴下した。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して、化学式5-13で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1370.60m/z。
【0209】
(合成例14:化学式5-14の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-2で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-14で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1426.66m/z。
【0210】
(合成例15:化学式5-15の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-3で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-15で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1314.54m/z。
【0211】
(合成例16:化学式5-16の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-4で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-16で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1342.57m/z。
【0212】
(合成例17:化学式5-17の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-5で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-17で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1366.57m/z。
【0213】
(合成例18:化学式5-18の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-6で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-18で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1562.79m/z。
【0214】
(合成例19:化学式5-19の合成)
【0215】
【化45】
【0216】
化学式4-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(50mmol)を入れた。2-エチルヘキシルオキシピリジン-2,6-ジカルボニルジクロリド(2-ethylhexyloxy pyridine-2,6-dicarbonyl dichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、常温で5時間かけて同時滴下した。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離して、化学式5-19で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1490.87m/z。
【0217】
(合成例20:化学式5-20の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-2で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-20で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1546.93m/z。
【0218】
(合成例21:化学式5-21の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-3で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-21で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1434.80m/z。
【0219】
(合成例22:化学式5-22の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-4で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-22で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1462.83m/z。
【0220】
(合成例23:化学式5-23の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-5で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-23で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1486.83m/z。
【0221】
(合成例24:化学式5-24の合成)
化学式4-1で表される化合物の代わりに化学式4-6で表される化合物を用いたことを除き、合成例13と同様の方法で合成して、化学式5-24で表される化合物を得た:
Maldi-TOF MS:1683.05m/z。
【0222】
(比較合成例1)
【0223】
【化46】
【0224】
化学式4-1で表される化合物(5mmol)を600mLクロロホルム溶媒に溶かした後、トリエチルアミン(50mmol)を入れた。2,6-ピリジンジカルボニルジクロリド(2,6-pyridinedicarbonyl dichloride)(20mmol)、およびp-キシレンジアミン(p-xylenediamine)(20mmol)を60mLクロロホルムに溶解して、常温で5時間かけて同時滴下じた。12時間後、減圧蒸留してカラムクロマトグラフィーで分離してコア-シェル構造の化合物を得た。
【0225】
(感光性樹脂組成物の製造)
感光性樹脂組成物の製造に使用される成分の仕様は次のとおりである。
【0226】
(A)着色剤
(染料)
(A-1)合成例1で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-1で表示)
(A-2)合成例2で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-2で表示)
(A-3)合成例3で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-3で表示)
(A-4)合成例4で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-4で表示)
(A-5)合成例5で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-5で表示)
(A-6)合成例6で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-6で表示)
(A-7)合成例7で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-7で表示)
(A-8)合成例8で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-8で表示)
(A-9)合成例9で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-9で表示)
(A-10)合成例10で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-10で表示)
(A-11)合成例11で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-11で表示)
(A-12)合成例12で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-12で表示)
(A-13)合成例13で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-13で表示)
(A-14)合成例14で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-14で表示)
(A-15)合成例15で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-15で表示)
(A-16)合成例16で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-16で表示)
(A-17)合成例17で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-17で表示)
(A-18)合成例18で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-18で表示)
(A-19)合成例19で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-19で表示)
(A-20)合成例20で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-20で表示)
(A-21)合成例21で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-21で表示)
(A-22)合成例22で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-22で表示)
(A-23)合成例23で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-23で表示)
(A-24)合成例24で製造されたコア-シェル構造の染料(化学式5-24で表示)
(A-25)比較合成例1で製造されたコア-シェル構造の染料。
【0227】
(顔料)
(A’-1)C.I.ピグメントグリーン58
(B)バインダー樹
重量平均分子量が22,000g/molであり、かつ酸価が80~130mgKOH/gであるメタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(混合重量比15重量%/85重量%(混合質量比15質量%/85質量%))(重量平均分子量はGPCを用いて測定し、酸価は滴定法を用いて測定した)
(C)光重合性単量体
ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート
(D)光重合開始剤
(D-1)1,2-オクタンジオン
(D-2)2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン
(E)溶媒
(E-1)シクロヘキサノン
(E-2)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート。
【0228】
実施例1~実施例24、比較例1、および比較例2
下記表1および表2の組成で各成分を混合して感光性樹脂組成物を製造した。具体的には、溶媒に光重合開始剤を溶解した後、2時間かけて常温で攪拌した。その後、着色剤を投入して30分間攪拌し、バインダー樹脂と光重合性単量体とを添加して2時間かけて常温で攪拌した。得られた溶液を、3回濾過して不純物を除去し、感光性樹脂組成物を製造した。
【0229】
【表1】
【0230】
【表2】
【0231】
(評価)
評価1:耐久性の評価
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に、1μm~3μmの厚さで実施例1~実施例24、比較例1、および比較例2で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に対して365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射した後、200℃のオーブンで60時間乾燥させた。その後、分光光度計(MCPD3000、大塚電子株式会社製)を用いて色座標変化値を測定して耐久性を確認し、その結果を下記表3に示した:
耐久性の評価基準
極めて良好:色座標変化値が0.003未満
良好:色座標変化値が0.003以上0.005以下
不良:色座標変化値が0.005超過。
【0232】
【表3】
【0233】
上記表3から明らかなように、本発明の一実施形態によるコア-シェル構造の染料を含む実施例1~実施例24による感光性樹脂組成物の場合、耐久性に優れることを確認することができた。
【0234】
評価2:輝度および明暗比の評価
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に、1μm~3μmの厚さで実施例1~実施例24、比較例1、および比較例2で製造した感光性樹脂組成物を塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に対して365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射した後、200℃の熱風循環式乾燥炉内で5分間乾燥させた。画素層は、分光光度計(MCPD3000、大塚電子株式会社製)を用いて輝度および明暗比を測定し、その結果を下記表4に示した。
【0235】
【表4】
【0236】
上記表4から明らかなように、本発明の一実施形態によるコア-シェル構造の染料を含む実施例1~実施例24の場合、コア-シェル構造の染料を含んでいない比較例1および比較例2の場合と比較して、高輝度および高明暗比を得ることができることを確認することができた。
【0237】
本発明は、上記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に製造可能であり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施可能であることを理解するはずである。したがって、以上で記述した実施例はすべての面において例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
図1