(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置、及びチップ
(51)【国際特許分類】
H03M 13/19 20060101AFI20220727BHJP
H03M 13/27 20060101ALI20220727BHJP
H04L 1/00 20060101ALI20220727BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H03M13/19
H03M13/27
H04L1/00 F
H04L27/26 310
(21)【出願番号】P 2017244780
(22)【出願日】2017-12-21
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2016249816
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017209108
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 進
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】村山 研一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】土田 健一
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-214937(JP,A)
【文献】国際公開第2012/172804(WO,A1)
【文献】朝倉 慎悟,次世代地上放送に向けた誤り訂正符号の一検討-BER特性改善のためのビットインターリーブ手法-,第38回情報理論とその応用シンポジウム(SITA2015)予稿集 [USB] 第38回情報理論とその応用シンポジウム予稿集 Proceedings of the 38th Symposium on Information Theory and its Applications (SITA2015)
【文献】ETSI,ETSI EN 302 769 V1.3.1(2015-10),2015年10月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 13/19
H03M 13/27
H04L 1/00
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM信号を送信する送信装置であって、
送信データをLDPC符号化してLDPC符号を生成するLDPC符号化部と、
前記LDPC符号に対して、LDPC符号長のブロックごとに、入出力変換テーブルを用いてビット単位でインターリーブ処理を行ってインターリーブデータを生成するビットインターリーブ部と、
前記インターリーブデータをIQ平面へマッピングし、キャリア変調を施したキャリアシンボルを生成するマッピング部と、
前記キャリアシンボルを所定の位置に配置してOFDMシンボルを生成するOFDMフレーム構成部と、
前記OFDMシンボルに基づくOFDM信号を生成する送信処理部と、を備え、
前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記ビットインターリーブ部は、
前記LDPC符号のパリティビットを所定のビット周期でインターリーブ処理するパリティインターリーブ部と、
前記パリティインターリーブ部により処理されたLDPC符号をブロックごとに、メモリに対して列方向に各列の先頭から順次書き込んだ後に行方向に読み出すブロックインターリーブ部と、
前記ブロックインターリーブ部により処理されたLDPC符号を、前記入出力変換テーブルに従ってインターリーブ処理するキャリアシンボル内インターリーブ部と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記入出力変換テーブルのビット数は、当該送信装置で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の公倍数であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
LDPC符号をキャリア変調及びOFDM変調したOFDM信号を受信する受信装置であって、
伝搬路特性を推定し、前記OFDM信号のキャリアシンボルを生成する等化部と、
前記キャリアシンボルから雑音分散を算出する雑音分散算出部と、
前記キャリアシンボル及び前記雑音分散を用いて尤度比を算出するLLR算出部と、
前記尤度比に対して、入出力変換テーブルを用いてビット単位でデインターリーブ処理を行ってデインターリーブデータを生成するビットデインターリーブ部と、
前記デインターリーブデータを用いてLDPC復号を行うLDPC復号部と、を備え、
前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
前記ビットデインターリーブ部は、
前記尤度比を、前記入出力変換テーブルに従ってデインターリーブ処理するキャリアシンボル内デインターリーブ部と、
キャリアシンボル内デインターリーブ部により処理された尤度比をブロックごとに、メモリに対して行方向に各行の先頭から順次書き込んだ後に、列方向に読み出すブロックデインターリーブ部と、
ブロックデインターリーブ部により処理された尤度比のうち、LDPC符号のパリティビットに対応する尤度比を所定のビット周期でデインターリーブ処理するパリティデインターリーブ部と、
を有することを特徴とする、請求項
4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記同一のビット数は、前記OFDM信号を送信する送信装置で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の公倍数であることを特徴とする、請求項
4又は
5に記載の受信装置。
【請求項7】
OFDM信号を送信する送信装置に搭載されるチップであって、
送信データをLDPC符号化してLDPC符号を生成するLDPC符号化部と、
前記LDPC符号に対して、LDPC符号長のブロックごとに、入出力変換テーブルを用いてビット単位でインターリーブ処理を行ってインターリーブデータを生成するビットインターリーブ部と、
前記インターリーブデータをIQ平面へマッピングし、キャリア変調を施したキャリアシンボルを生成するマッピング部と、
前記キャリアシンボルを所定の位置に配置してOFDMシンボルを生成するOFDMフレーム構成部と、
前記OFDMシンボルに基づくOFDM信号を生成する送信処理部と、を備え、
前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とするチップ。
【請求項8】
LDPC符号をキャリア変調及びOFDM変調したOFDM信号を受信する受信装置に搭載されるチップであって、
伝搬路特性を推定し、前記OFDM信号のキャリアシンボルを生成する等化部と、
前記キャリアシンボルから雑音分散を算出する雑音分散算出部と、
前記キャリアシンボル及び前記雑音分散を用いて尤度比を算出するLLR算出部と、
前記尤度比に対して、入出力変換テーブルを用いてビット単位でデインターリーブ処理を行ってデインターリーブデータを生成するビットデインターリーブ部と、
前記デインターリーブデータを用いてLDPC復号を行うLDPC復号部と、を備え、
前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とするチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)伝送を行う送信装置、受信装置、及びチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本の現行の地上デジタル放送の伝送方式として、ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)が規格化されている(例えば、非特許文献1参照)。また、近年は、8Kスーパーハイビジョンと呼ばれる超高精細映像の実用化が進められており、これに対応した次世代の地上デジタル放送の伝送方式の検討が進められている。
【0003】
図17に、ISDB-T及び次世代の地上デジタル放送の暫定仕様の主な伝送パラメータを示す。次世代の地上デジタル放送では、例えば、信号帯域幅が5.57MHzから5.83MHzになり、FFTポイント数が2~4倍に拡大することなどにより伝送容量を増加させている。また、セグメント数を13から35に増やすことで各階層のビットレートを細かく調整でき、柔軟性を向上させることができる。また、誤り訂正能力を向上させるために、誤り訂正符号としてLDPC(Low Density Parity Check)符号を採用する。
【0004】
一方、海外では、LDPC符号を採用したデジタル放送の伝送方式として、DVB-T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial)や、DVB-C(Digital Video Broadcasting-Cable)が規格化されている(例えば、非特許文献2参照)。これらの規格に採用されるLDPC符号は、行方向に1が周期的に配置された検査行列を用いて生成されることが知られている(例えば、非特許文献3参照)。また、非特許文献4には、LDPC符号の符号化率ごとの、検査行列における1の要素位置を示すテーブルが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式」、ARIB STD-B31、一般社団法人 電波産業会
【文献】””DVB-C2”、[online]、[2016年12月16日検索]、インターネット<URL: https://www.dvb.org/standards/dvb-c2>
【文献】Takashi Yokokawa et al., ”Parity and column twist bit interleaver for DVB-T2 LDPC codes”, IEEE 5th International Symposium on Trurbo Codes and Related Topics, 2008, pp.123-127
【文献】「高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式」、ARIB STD-B-44、一般社団法人 電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LDPC符号は、ビットインターリーブ処理を併用することにより、ビット単位でデータをインターリーブ処理してバースト誤りを散らすことができ、誤り訂正能力を向上させることが期待できる。しかし、非特許文献1によると、LDPC符号にビットインターリーブ処理を組み合わせて使用する構成が規定されていなかった。
【0007】
また、DVB規格のLDPC符号は、キャリア変調方式ごとに異なるビット数のテーブルを用意し、該テーブルを用いてビットインターリーブ処理を行っていた。このテーブルのビット数は、例えばDVB-C2では最大でも20ビットであり、符号化率が2/3の場合を除いてキャリア変調方式ごとに共通のテーブルを用いていた。そのため、ビットインターリーブ処理をしても規則性を完全に排除することが困難であった。
【0008】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、LDPC符号にビットインターリーブ処理を組み合わせて、従来よりも誤り訂正能力を向上させることが可能な送信装置、受信装置、及びチップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る送信装置は、OFDM信号を送信する送信装置であって、送信データをLDPC符号化してLDPC符号を生成するLDPC符号化部と、前記LDPC符号に対して、LDPC符号長のブロックごとに、入出力変換テーブルを用いてビット単位でインターリーブ処理を行ってインターリーブデータを生成するビットインターリーブ部と、前記インターリーブデータをIQ平面へマッピングし、キャリア変調を施したキャリアシンボルを生成するマッピング部と、前記キャリアシンボルを所定の位置に配置してOFDMシンボルを生成するOFDMフレーム構成部と、前記OFDMシンボルに基づくOFDM信号を生成する送信処理部と、を備え、前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る送信装置において、前記ビットインターリーブ部は、前記LDPC符号のパリティビットを所定のビット周期でインターリーブ処理するパリティインターリーブ部と、前記パリティインターリーブ部により処理されたLDPC符号をブロックごとに、メモリに対して列方向に各列の先頭から順次書き込んだ後に行方向に読み出すブロックインターリーブ部と、前記ブロックインターリーブ部により処理されたLDPC符号を、前記入出力変換テーブルに従ってインターリーブ処理するキャリアシンボル内インターリーブ部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る送信装置において、前記入出力変換テーブルのビット数は、当該送信装置で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の公倍数であることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、LDPC符号をキャリア変調及びOFDM変調したOFDM信号を受信する受信装置であって、伝搬路特性を推定し、前記OFDM信号のキャリアシンボルを生成する等化部と、前記キャリアシンボルから雑音分散を算出する雑音分散算出部と、前記キャリアシンボル及び前記雑音分散を用いて尤度比を算出するLLR算出部と、前記尤度比に対して、入出力変換テーブルを用いてビット単位でデインターリーブ処理を行ってデインターリーブデータを生成するビットデインターリーブ部と、前記デインターリーブデータを用いてLDPC復号を行うLDPC復号部と、を備え、前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る受信装置において、前記ビットデインターリーブ部は、前記尤度比を、前記入出力変換テーブルに従ってデインターリーブ処理するキャリアシンボル内デインターリーブ部と、キャリアシンボル内デインターリーブ部により処理された尤度比をブロックごとに、メモリに対して行方向に各行の先頭から順次書き込んだ後に、列方向に読み出すブロックデインターリーブ部と、ブロックデインターリーブ部により処理された尤度比のうち、LDPC符号のパリティビットに対応する尤度比を所定のビット周期でデインターリーブ処理するパリティデインターリーブ部と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る受信装置において、前記同一のビット数は、前記OFDM信号を送信する送信装置で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の公倍数であることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明に係るチップは、送信データをLDPC符号化してLDPC符号を生成するLDPC符号化部と、前記LDPC符号に対して、LDPC符号長のブロックごとに、入出力変換テーブルを用いてビット単位でインターリーブ処理を行ってインターリーブデータを生成するビットインターリーブ部と、前記インターリーブデータをIQ平面へマッピングし、キャリア変調を施したキャリアシンボルを生成するマッピング部と、前記キャリアシンボルを所定の位置に配置してOFDMシンボルを生成するOFDMフレーム構成部と、前記OFDMシンボルに基づくOFDM信号を生成する送信処理部と、を備え、前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とする。
【0020】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るチップは、LDPC符号をキャリア変調及びOFDM変調したOFDM信号を受信する受信装置に搭載されるチップであって、伝搬路特性を推定し、前記OFDM信号のキャリアシンボルを生成する等化部と、前記キャリアシンボルから雑音分散を算出する雑音分散算出部と、前記キャリアシンボル及び前記雑音分散を用いて尤度比を算出するLLR算出部と、前記尤度比に対して、入出力変換テーブルを用いてビット単位でデインターリーブ処理を行ってデインターリーブデータを生成するビットデインターリーブ部と、前記デインターリーブデータを用いてLDPC復号を行うLDPC復号部と、を備え、前記入出力変換テーブルは、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式ごとに異なり、かつ、前記LDPC符号の符号化率及び前記キャリア変調の方式によらず同一のビット数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、LDPC符号にビットインターリーブ処理を組み合わせて、従来よりも誤り訂正能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係るOFDM送受信システムの構成例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る送信装置の構成例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る送信装置の入力インターフェース部の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る送信装置の変調部の構成例を示す図である。
【
図6】LDPC(Low Density Parity Check)ブロックの構成例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る送信装置のビットインターリーブ部の構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る送信装置のブロックインターリーブ部の処理の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る受信装置の構成例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る受信装置の復調部の構成例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る受信装置のビットデインターリーブ部の構成例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る受信装置の出力インターフェース部の構成例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る送信装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の一実施形態に係る受信装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明のビットインターリーブ処理による効果を示す第1の図である。
【
図16】本発明のビットインターリーブ処理による効果を示す第2の図である。
【
図17】ISDB-Tと次世代の地上デジタル放送の暫定仕様の主な伝送パラメータの比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るOFDM送受信システム1の構成例を示す図である。ここでは、次世代の地上デジタル放送のシステムを示している。同一チャンネルの中で、画質と雑音耐性の異なるサービスを提供するために、1チャンネルの周波数帯域において異なるセグメントを割り当てる階層伝送を行う。階層伝送では、誤り訂正の強い階層から順にA階層、B階層、・・・という。例えば、A階層伝送では、移動受信端末向けの放送を提供し、B階層伝送では、固定受信端末向けの高画質な放送を提供することができる。以下では、A階層データ及びB階層データの2階層のデータを伝送するものとするが、階層数は2階層に限られるものではない。
【0025】
さらに、次世代の地上デジタル放送では、緊急性の高いデータを、A階層及びB階層よりも低遅延で伝送することも検討されている。本明細書では、この低遅延で伝送されるチャンネルを「Lch」と称する。具体的には、再多重化装置20において、A階層及びB階層の処理はフレームを構成するため、1フレーム以上の遅延を要する。これに対し、Lchの処理はシンボル周期で動作させ、再多重化装置20に入力されたパケットを直ちに伝送するシンボルに割り当て、速やかに送信することにより、低遅延の伝送を実現することができる。
【0026】
図1に示すOFDM送受信システム1は、送信側として、多重化装置10(10a~10c)と、再多重化装置20と、送信装置30とを備える。また、受信側として、受信装置40と、多重分離装置50とを備える。
【0027】
多重化装置10aは、A階層に対応して設けられ、入力されたA階層用の映像・音声信号と字幕信号とを多重化し、所定の形式(例えば、MMT(MPEG Media Transport))のパケット(MMTP(MMT Protocol)パケット)にパケット化して、A階層用パッケージとして出力する。多重化装置10と再多重化装置20との間の伝送路は、IP(Internet Protocol)伝送路であり、多重化装置10はMMTPパケットをIPパケットに格納して再多重化装置20に出力する。したがって、以下では、多重化装置10から再多重化装置20に出力されるパケットをMMTP/IPパケットと称することがある。
【0028】
多重化装置10bと多重化装置10cとはそれぞれ、B階層とLchとに対応して設けられ、対応するB階層用あるいはLch用の映像・音声信号及び字幕信号が入力される。多重化装置10b,10cはそれぞれ、多重化装置10aと同様に、入力された映像・音声信号と字幕信号とを多重化し、MMTPパケットにパケット化してB階層用パッケージ、Lch用パッケージとして再多重化装置20に出力する。
【0029】
再多重化装置20は、多重化装置10a,10bにより多重化された複数の階層用パッケージデータ(A階層用パッケージ及びB階層用パッケージ)、及び多重化装置10cにより多重化された低遅延用パッケージデータ(Lch用パッケージ)を再多重化して送信装置30に出力する。より詳細には、再多重化装置20は、多重化装置10a,10b,10cそれぞれから入力されたMMTPパケットから、MMTPパケットとは異なる形式のXMIパケットを生成し、1系統に再多重化して送信装置30に出力する。なお、現行のISDB-Tでは、再多重化装置から送信装置に出力されるパケットは、TS(Transport Stream)パケットである。
【0030】
図2は、再多重化装置20が出力するXMIパケットの構成例を示す図である。XMIパケットは、ヘッダ領域とデータユニット領域とを有する。
図2に示すように、XMIパケットのヘッダ領域は、IPv4ヘッダ、UDPヘッダ、MMTPパケットのヘッダ(MMTPヘッダ)、及びXMIヘッダを有する。各フィールド(領域)に付された数字は、各フィールドのビット数の一例を示す。
【0031】
XMIパケットのデータユニット領域には、同期制御情報又はデータユニットが格納される。所定のビット数に満たない場合には、スタッフビットが付加される。Lchのデータについては、再多重化装置20により、データユニット領域にシンボル周期で速やかに(低遅延で)割り当てられる。
【0032】
IPv4ヘッダは、ARIB STD-B32 第3部に規定されるIPv4ヘッダ部と同様の構成を有する。UDPヘッダは、ARIB STD-B32 第3部に規定されるUDPヘッダ部と同様の構成を有する。MMTPヘッダは、ARIB STD-B60に規定されるMMTPヘッダと同様の構成を有する。
【0033】
MMTPパケットのペイロード領域(MMTPペイロード)には、XMIヘッダ以下が格納される。また、MMTPヘッダには、MMTPペイロードに格納するデータのデータタイプを示す情報や、MMTPペイロードに格納するデータの種類を識別するための情報などが格納される。
【0034】
図2に示すように、XMIヘッダは、論理フレーム番号と、データユニット種別と、シーケンス番号と、CRC_32と、データユニット長とを含む。
【0035】
論理フレーム番号は、XMIパケットが格納するデータユニットが属するフレームの番号を示す。
【0036】
データユニット種別は、XMIパケットのデータユニット領域に格納されるのが、同期制御情報であるか否か、A階層又はB階層のデータユニットであるか否か、スタッフビットであるか否かを示す。
【0037】
シーケンス番号は、OFDMフレーム内のXMIパケットの順序を示す。
【0038】
CRC_32には、ITU-T勧告 H222.0に従い、CRC(Cyclic Redundancy Check)が書き込まれる。
【0039】
データユニット長は、XMIパケットにおけるデータユニットのサイズを示す。
【0040】
送信装置30は、再多重化装置20から入力されたXMIパケットを用いてOFDMフレームを構成し、OFDM信号を送信する。詳細については後述する。
【0041】
受信装置40は、送信装置30が送信するOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号を復号してMMTP/IPパケット化し、MMTP/IPパケットを多重分離装置50に出力する。詳細については後述する。
【0042】
多重分離装置50は、受信装置40から受信したMMTP/IPパケットを映像・音声信号と字幕信号とに分離して出力する。
【0043】
[送信装置]
つぎに、本発明の一実施形態に係る送信装置の構成について詳細に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る送信装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示す送信装置30は、入力インターフェース部31と、変調部32とを備える。
【0044】
入力インターフェース部31は、再多重化装置20からXMIパケットを受信し、階層データ及びLchデータ(低遅延用データ)をそれぞれ連結してA階層フレーム、B階層フレーム、及びLchフレーム(低遅延用フレーム)を生成し、変調部32に出力する。
【0045】
変調部32は、同期制御情報に含まれる伝送パラメータに基づき、入力インターフェース部31から入力されたフレームからOFDMフレームを構成し、OFDM信号を送信アンテナ33から送信する。
【0046】
図4は、入力インターフェース部31の構成例を示す図である。
図4に示す入力インターフェース部31は、XMIパケット受信部311と、A階層フレーム生成部312aと、B階層フレーム生成部312bと、Lchフレーム生成部312cと、制御情報/TMCC情報生成部313とを備える。
【0047】
XMIパケット受信部311は、再多重化装置20からXMIパケットを受信し、A階層XMIパケットについてはA階層フレーム生成部312aに出力し、B階層XMIパケットについてはB階層フレーム生成部312bに出力する。また、XMIパケット受信部311は、A階層XMIパケット及びB階層XMIパケットをLchフレーム生成部312cにも出力する。さらに、XMIパケット受信部311は、同期制御情報を含む同期制御XMIパケットについては制御情報/TMCC情報生成部313に出力する。
【0048】
XMIパケットのXMIヘッダには、上述したようにXMIパケットのデータユニット領域に格納されるのが、同期制御情報であるか否か、A階層又はB階層のデータユニットであるか否か、スタッフビットであるか否かを示すデータユニット種別が含まれる。XMIパケット受信部311は、データユニット種別の値を参照することで、各XMIパケットの種別を特定し、適切な出力先に出力することができる。
【0049】
A階層フレーム生成部312aは、XMIパケット受信部311から入力されたA階層XMIパケットに含まれるデータユニットを連結し、A階層のフレームを生成して、変調部32に出力する。
【0050】
B階層フレーム生成部312bは、XMIパケット受信部311から入力されたB階層XMIパケットに含まれるデータユニットを連結し、B階層のフレームを生成して、変調部32に出力する。
【0051】
Lchフレーム生成部312cは、XMIパケット受信部311から入力されたXMIパケットに含まれるシンボルを連結し、Lchフレームを生成して、変調部32に出力する。
【0052】
制御情報・TMCC情報生成部313は、XMIパケット受信部311から入力された同期制御XMIパケットに含まれる同期制御情報から、OFDMフレームを構成するための各種情報を示す制御情報、及び伝送パラメータを示すTMCC情報を生成し、変調部32に出力する。
【0053】
図5は、変調部32の構成例を示す図である。
図5に示す変調部32は、FECブロック変換部321a,321bと、エネルギー拡散部322a,322bと、BCH符号化部323a,323bと、LDPC符号化部324a,324bと、ビットインターリーブ部325a,325bと、マッピング部326a,326bと、階層合成部327と、帯域分割部328と、時間インターリーブ部329と、周波数インターリーブ部330と、帯域合成部331と、誤り訂正符号化部332と、DBPSK変調部333と、OFDMフレーム構成部334と、送信処理部335とを備える。
【0054】
FECブロック変換部321aは、それぞれA階層フレームのビット列をFECブロックに変換し、エネルギー拡散部322aに出力する。FECブロックのサイズは、後述するLDPC符号化の符号長(Short, Middle, Long)に応じて、三種類のサイズが設定される。
【0055】
エネルギー拡散部322aは、同符号が長期間連続して発生しないようにするために、FECブロック変換部321aから入力されたFECブロックに対して、擬似ランダム符号系列を用いてエネルギー拡散処理を行い、BCH符号化部323aに出力する。
【0056】
BCH符号化部323aは、エネルギー拡散部322aから入力されたFECブロックに対して、生成多項式を用いてBCH符号化を行ってブロック単位のBCH符号(BCHブロック)を生成し、LDPC符号化部324aに出力する。生成多項式は、LDPC符号がShortモードの場合には14次原始多項式により生成され、LDPC符号がMiddleモード又はLongモードの場合には16次原始多項式により生成される。訂正ビット数は12ビットとする。
【0057】
LDPC符号化部324aは、BCH符号化部323aから入力されたBCHブロック(送信データ)に対して、LDPC符号化を行ってサイズがLDPC符号長のLDPC符号(LDPCブロック)を生成し、ビットインターリーブ部325aに出力する。LDPC符号長は例えば3種類とし、Shortモードで11220ビット、Middleモードで44880ビット、Longモードで269280ビットとする。符号化率は例えば11種類とする。LDPC符号化部324aは、後述するビットインターリーブ部325における処理性能を向上させるために、1の規則的な配置の構造を有さない検査行列を用いてLDPC符号を生成する。
【0058】
LDPC符号の符号語Cは、0と1の要素からなる検査行列Hにより決定される。検査行列HがLDGM構造を用いている場合には、CHT=0が成立する。ここで、Tは行列の転置を表す。検査行列Hは、検査行列Hにおける1の要素位置を示す検査行列初期値テーブルを用いて表現することができる。本実施形態では、検査行列Hの1の要素を、列方向に374列毎の周期で配置するものとする。この場合の検査行列初期値テーブルは、検査行列Hの列方向の1の行番号(行番号の先頭値を0とする)をその列が持つ列重みの数だけ、上から1+374×0列目、1+374×1列目、1+374×2列目、・・・、1+374×k列目の順に記載したものである。kの値は符号化率によって異なる。符号長をN、パリティ長をPとすると、情報長(N-P)とkとの間には、式(1)の関係が成り立つ。
【0059】
N-P=(k+1)×374 (1)
【0060】
符号化率が81/120の場合の検査行列初期値テーブルの例を、下記の表3(前半)及び表4(後半)に示す。なお、この検査行列初期値テーブルは、非特許文献4の3.4節に記載されている。
【0061】
【0062】
【0063】
また、符号化率が61/120の場合の検査行列初期値テーブルの例を、下記の表5(前半)及び表6(後半)に示す。なお、この検査行列初期値テーブルは、非特許文献4の3.4節に記載されている。
に示す。
【0064】
【0065】
【0066】
検査行列初期値テーブルの1行目の値は、検査行列の1列目の1の行位置を示している。例えば、表3及び4に示した検査行列初期値テーブルの場合、検査行列の1列目の1の行位置が4958番目、6639番目、6721番目、8238番目、9540番目、9550番目、10491番目、11742番目、11641番目、12092番目、13056番目、13460番目にあることを示している。これら読み出した行番号をhi-jで現すと、h1-1=4958、h1-2=6639、h1-3=6721、h1-4=8238、h1-5=9540、h1-6=9550、h1-7=10491、h1-8=11742、h1-9=11641、h1-10=12092、h1-11=13056、及びh1-12=13460となる。ここで、hi-jのiは検査行列初期値テーブルの行番号であり、hi-jのjは検査行列初期値テーブルの列番号である。
【0067】
次に、所定のメモリ領域から読み出した検査行列初期値テーブルの1行目に記載された検査行列の行番号及び式(2)を用いて、検査行列の2列目~374列目の検査行列行方向要素リストHq-jを求める(q=2~374)。Hq-jは検査行列Hのq列目の1の行番号を示す。Hq-jのjは列重みの要素数の順番を示す。したがって、列重み12場合、j=1~12である。q=1は検査行列初期値テーブルの1行目を用いることになる。
【0068】
Hq-j=mod{(hi-j+mod((q-1),374))×Q),P} (2)
【0069】
ここで、mod(x,y)はxをyで割った余りを意味する。式(2)のQは、符号化率ごとに異なる値をもち、Qは式(3)で求められる。
【0070】
Q=P/374 (3)
【0071】
検査行列の2列目(q=2)を式(2)に従って計算して得られた値を検査行列2列目の行番号として使用する。同様にq=3~374についても式(2)による計算を行い、検査行列1列目から374列目までの検査行列の行番号が求まる。
【0072】
検査行列初期値テーブルの2行目からk+1行目(最終行)まで用いて、上述の方法で検査行列の列方向の行番号を全て計算する。以上により検査行列Hの列方向の1の行番号が全て決定し、検査行列Hの1の要素位置が全て確定する。
【0073】
図6は、LDPCブロックの構成例を示す図である。Short,Middleモードの場合には、
図6(a)に示すようにLDPCブロックにBCHブロック1つを挿入する。Longモードの場合には、
図6(b)に示すようにLDPCブロックに複数のBCHブロックを挿入する。
【0074】
ビットインターリーブ部325aは、誤り訂正符号の性能を高めるために、LDPC符号化部324aから入力されたLDPC符号に対して、LDPCブロックごとにビット単位でインターリーブ処理を行ってインターリーブデータを生成し、マッピング部326aに出力する。
【0075】
図7は、ビットインターリーブ部325(325a,325b)の構成例を示す図である。
図7に示す例では、ビットインターリーブ部325は、パリティインターリーブ部3251と、ブロックインターリーブ部3252と、キャリアシンボル内インターリーブ部3253とを備えるが、ブロックインターリーブ部3252のみ備える構成としてもよいし、キャリアシンボル内インターリーブ部3253のみ備える構成としてもよい。
【0076】
パリティインターリーブ部3251は、LDPC符号化部324(324a,324b)から入力されたLDPCブロックごとに、パリティビット(LDPCパリティ)のみを所定のビット周期でインターリーブ処理し、パリティインターリーブ処理したLDPC符号をブロックインターリーブ部3252に出力する。例えば、パリティインターリーブ部3251は、パリティビットをメモリに対して列方向に書き込んだ後に、行方向に読み出す。なお、列数をキャリア変調方式の変調多値数(例えば、1024QAMであれば10)とすると、行方向に1行ずつ読み出すことにより、キャリア変調方式の変調多値数分(例えば、1024QAMであれば10ビット)のLDPC符号が出力される。
【0077】
ブロックインターリーブ部3252は、パリティインターリーブ部3251から入力されたLDPCブロックごとに、LDPCブロック全体をインターリーブ処理し、ブロックインターリーブ処理したLDPC符号をキャリアシンボル内インターリーブ部3253に出力する。
【0078】
図8は、ブロックインターリーブ部3252の処理の一例を示す図である。この例では、情報ビット及びパリティビットを共にL個に分割し、t番目(0≦t≦L-1)の情報ビット及びパリティビットを1単位としてメモリに対して列方向に各列の先頭から順次書き込んだ後に、行方向に読み出す。これにより、LDPC符号長をnビットとすると、一度のインターリーブ処理で必要なメモリ量はn/Lビットとなり、メモリ容量を削減することができる。列数をキャリア変調方式の変調多値数とした場合には、行方向に1行ずつ読み出すことにより、キャリア変調方式の変調多値数分のLDPC符号が出力される。なお、LDPC符号長が大きくない場合には、L=1としてLDPC符合を分割しなくてもよい。
【0079】
DVB規格でも、ブロック全体のインターリーブ処理を行う際に、LDPC符号をメモリに対して列方向に書き込んだ後に行方向に読み出すが、本発明のように各列の先頭から順次書き込むわけではない。DVB規格のLDPC符号は、1の規則的な配置の構造を有する検査行列を用いて生成されることに起因した周期性も発生するおそれがあり、この周期性を排除するために、メモリに対して列ごとに異なる位置から書き込みを開始する。一方、本発明に係る送信装置30は、上述したようにLDPC符号化部324aにて1の規則的な配置の構造を有さない検査行列を用いてLDPC符号を生成しているため、ブロックインターリーブ部3252による簡易な処理のみで周期性を排除することができる。
【0080】
キャリアシンボル内インターリーブ部3253は、ブロックインターリーブ部3252から入力されたLDPCブロックを、キャリア変調の方式及びLDPC符号の符号化率によらず同一のビット数Mの入出力変換テーブルに従ってインターリーブ処理し、インターリーブ処理したLDPC符号をマッピング部326に出力する。このキャリアシンボル内インターリーブ処理は、キャリア変調方式及び符号化率ごとに異なる入出力変換テーブルを有して、異なるインターリーブ処理を行うのが好適である。また、マッピング部326,326bにおいて、各シンボルをIQ平面上の格子の交点に均等に配置するか(UC:Uniform Constellation)、不均一に配置するか(NUC:Non?Uniform Constellation)を選択できる場合には、いずれを選択するかに応じて異なる入出力変換テーブルを用いるようにしてもよい。
【0081】
ここで、入出力変換テーブルのビット数Mは、マッピング部326で生成されるキャリアシンボルの変調多値数の整数倍である。このビット数Mを当該送信装置30で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の公倍数とすることで、キャリア変調方式によらずビット数Mを同一の値とすることができる。ビット数Mを大きくするほどビットインターリーブの性能が向上する可能性があるが、メモリの増大及び最適化の困難性の観点から、当該送信装置30で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の最小公倍数とするのが好適である。本実施形態では、ビット数Mを、4,6,8,10,12の最小公倍数の120とする。
【0082】
LDPC符号の符号化率が81/120の場合における、キャリアシンボル内インターリーブ部3253が使用する入出力変換テーブルの例は、表1に示したとおりである。この入出力変換テーブルに従ってキャリアシンボル内インターリーブ部3253がインターリーブ処理を行う場合、0番目のビットを10番目のビットに、1番目のビットを23番目のビットに、・・・119番目のビットを113番目のビットに並べ替える。
【0083】
また、LDPC符号の符号化率が61/120の場合における、キャリアシンボル内インターリーブ部3253が使用する入出力変換テーブルの例を下記の表7に示す。この入出力変換テーブルに従ってキャリアシンボル内インターリーブ部3253がインターリーブ処理を行う場合、0番目のビットを23番目のビットに、1番目のビットを1番目のビットに、・・・119番目のビットを114番目のビットに並べ替える。
【0084】
【0085】
マッピング部326aは、ビットインターリーブ部325aから入力されたインターリーブ処理後のLDPC符号に対して、mビット/シンボルとしてIQ平面へマッピングし、変調方式に応じたキャリア変調を施したキャリアシンボル(変調シンボル)を生成し、階層合成部327に出力する。変調方式は、例えばQPSK、16QAM、64QAM、256QAM、1024QAM、4096QAMに対応し、A階層、B階層独立して設定可能とする。
【0086】
上述したように、FECブロック変換部321a、エネルギー拡散部322a、BCH符号化部323a、LDPC符号化部324a、ビットインターリーブ部325a、及びマッピング部326aは、A階層について処理を行う。FECブロック変換部321b、エネルギー拡散部322b、BCH符号化部323b、LDPC符号化部324b、ビットインターリーブ部325b、及びマッピング部326bは、B階層について処理を行うが、処理内容はA階層の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
階層合成部327は、マッピング部326aから入力されたA階層のキャリアシンボルと、マッピング部326bから入力されたB階層のキャリアシンボルとを合成して、1 OFDMシンボルで伝送されるデータセグメントを構成し、帯域分割部328に出力する。
【0088】
帯域分割部328は、階層合成部327から入力されたデータセグメントを、部分受信帯域のセグメント、及び非部分受信帯域のセグメントに分割し、それぞれ時間インターリーブ部329に出力する。なお、部分受信帯域及び非部分受信帯域に加えて、互換モードで使用される追加帯域(拡張帯域)の計3つの帯域に分割するようにしてもよい。
【0089】
時間インターリーブ部329は、帯域分割部328から入力されたキャリアシンボルの順序を、時間方向に並べ替えて、周波数インターリーブ部330に出力する。
【0090】
周波数インターリーブ部330は、時間インターリーブ部329から入力されたキャリアシンボルの順序を、さらに周波数方向に並べ替え、帯域合成部331に出力する。
【0091】
帯域合成部331は、部分受信帯域と非部分受信帯域とを合成し、OFDMフレーム構成部334に出力する。
【0092】
誤り訂正符号化部332は、Lchフレームに対して誤り訂正符号化し、DBPSK変調部333に出力する。
【0093】
DBPSK変調部333は、誤り訂正符号化部332から入力された符号に対し、先頭に差動基準ビットを付加した後にDBPSK変調してLchシンボルを生成し、OFDMフレーム構成部334に出力する。
【0094】
OFDMフレーム構成部334は、帯域合成部331から入力されたキャリアシンボル、及びDBPSK変調部333から入力されたLchシンボルを所定の位置に配置してOFDMシンボルを生成する。その際、パイロットシンボル(SPシンボル)、制御情報を示すTMCCシンボル、及び付加情報を示すACシンボルを挿入する。そして、全キャリアを1 OFDMシンボルとして、所定数のOFDMシンボルのブロックでOFDMフレームを構成し、送信処理部335に出力する。
【0095】
送信処理部335は、OFDMフレーム構成部334から入力されたOFDMシンボルに対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を施して時間領域の有効シンボル信号を生成する。そして、有効シンボル信号の先頭に、有効シンボル信号の後半部分をコピーしたガードインターバルを挿入し、直交変調処理及びD/A変換を施したアナログ信号を、送信アンテナ33を介して外部に送信する。
【0096】
実施形態では特に触れていないが、送信装置30が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0097】
あるいは、送信装置30に搭載されるチップが提供されてもよい。このチップは、送信装置30が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成される。
【0098】
[受信装置]
次に、本発明の一実施形態に係る受信装置の構成について詳細に説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。受信装置40は、上述した送信装置30が送信する、LDPC符号をキャリア変調及びOFDM変調したOFDM信号を受信する。
図9に示すように、受信装置40は、復調部41と、出力インターフェース部42とを備える。
【0099】
復調部41は、送信装置30から送信されたOFDM信号を、受信アンテナ43を介して受信し、復調する。受信したOFDM信号には、A階層、B階層、及びLchのキャリアシンボルが含まれる。復調部41は、フーリエ変換処理後のA階層、B階層、及びLchのキャリアシンボルに対して、送信装置30で行われた処理を元に戻す処理を行う。
【0100】
出力インターフェース部42は、A階層ビットデータ、B階層ビットデータ、及びLchビットデータから、それぞれ可変長のTLVパケットを特定して出力する。
【0101】
図10は、復調部41の構成例を示す図である。
図10に示すように、復調部41は、受信処理部401と、等化部402と、雑音分散算出部403と、帯域分割部404と、周波数デインターリーブ部405と、時間デインターリーブ部406と、帯域合成部407と、階層分割部408と、LLR(Log Likelihood Ratio:対数尤度比)算出部409a,409bと、FECブロック変換部410a,410bと、ビットデインターリーブ部411a,411bと、LDPC復号部412a,412bと、BCH復号部413a,413bと、エネルギー逆拡散部414a,414bとを備える。
【0102】
受信処理部401は、送信装置30から送信されたOFDM信号を、受信アンテナ43を介して受信する。そして、受信したOFDM信号を直交復調処理してベースバンド信号を生成し、A/D変換によりアナログ信号を生成する。次に、ガードインターバルを除去して有効シンボル信号を抽出し、有効シンボル信号に対して、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施して複素ベースバンド信号を生成する。
【0103】
等化部402は、受信処理部401から入力された複素ベースバンド信号からパイロット信号を抽出し、伝搬路特性を推定する。そして、等化係数を算出し、複素ベースバンド信号に対して等化処理を行って、OFDM信号のキャリアシンボルを生成し、帯域分割部414に出力する。等化には例えばゼロフォーシング規範を用いる。
【0104】
雑音分散算出部403は、等化部402から入力されたキャリアシンボルから雑音分散を算出し、帯域分割部404に出力する。雑音分散は、キャリアシンボルが本来あるべきIQ座標上のシンボル点と実際に観測したキャリアシンボルのシンボル点Pとのずれを意味し、変調誤差比を求めて逆数にすることで得られる。雑音分散は、各キャリアシンボルを構成するビット単位の尤度比を求めるために必要である。
【0105】
帯域分割部404は、等化部402から入力されたキャリアシンボル、及び雑音分散算出部413から入力された雑音分散をそれぞれ部分受信帯域及び非部分受信帯域に分割し、周波数デインターリーブ部405に出力する。なお、部分受信帯域及び非部分受信帯域に加えて、互換モードで使用される追加帯域(拡張帯域)の計3つの帯域に分割するようにしてもよい。
【0106】
周波数デインターリーブ部405は、帯域分割部404から入力されたキャリアシンボル及び雑音分散に対して、それぞれ周波数方向にデインターリーブ処理(送信装置30の周波数インターリーブ部330と逆の処理)を行い、時間デインターリーブ部406に出力する。
【0107】
時間デインターリーブ部406は、周波数デインターリーブ部405から入力されたキャリアシンボル及び雑音分散に対して、それぞれ時間方向にデインターリーブ処理(送信装置30の時間インターリーブ部329と逆の処理)を行い、帯域合成部407に出力する。
【0108】
帯域合成部407は、時間デインターリーブ部406から入力されたキャリアシンボル及び雑音分散に対して、それぞれ部分受信帯域及び非部分受信帯域を合成し、階層分割部408に出力する。
【0109】
階層分割部408は、帯域合成部407から入力されたキャリアシンボル及び雑音分散に対して、それぞれA階層とB階層に分割する。そして、A階層のキャリアシンボル及び雑音分散をLLR算出部409aに出力し、B階層のキャリアシンボル及び雑音分散をLLR算出部409bに出力する。
【0110】
LLR算出部409aは、階層分割部418から入力されたA階層のキャリアシンボル及び雑音分散を用いてLLR(対数尤度比)などの尤度比を算出し、FECブロック変換部410aに出力する。
【0111】
FECブロック変換部410aは、LLR算出部409aから入力された尤度比を、サイズがLDPC符号長となるブロックに分けて、ビットデインターリーブ部411aに出力する。
【0112】
ビットデインターリーブ部411aは、FECブロック変換部410aから入力された尤度比に対して、ブロックごとにビット単位でデインターリーブ処理(送信装置30のビットインターリーブ部325と逆の処理)を行ってデインターリーブデータを生成し、LDPC復号部412aに出力する。
【0113】
図11は、ビットデインターリーブ部411(411a,411b)の構成例を示す図である。ビットデインターリーブ部411は、キャリアシンボル内デインターリーブ部4111と、ブロックデインターリーブ部4112と、パリティデインターリーブ部4113とを備える。
【0114】
キャリアシンボル内デインターリーブ部4111は、FECブロック変換部410a,410bから入力された尤度比を、送信装置30のキャリア変調の方式及びLDPC符号の符号化率によらず同一のビット数Mの入出力変換テーブルに従ってデインターリーブ処理し、キャリアシンボル内デインターリーブ処理した尤度比をブロックデインターリーブ部4212に出力する。この入出力変換テーブルは、送信装置30のキャリアシンボル内インターリーブ部3253で使用する入出力変換テーブルのinとoutの値を入れ替えたものである。ビット数Mは上記のとおり、送信装置30で使用可能な全てのキャリア変調方式の変調多値数の公倍数又は最小公倍数とするのが好適である。
【0115】
LDPC符号の符号化率が81/120の場合における、キャリアシンボル内デインターリーブ部4111が使用する入出力変換テーブルの例は、表2に示したとおりである。この入出力変換テーブルに従ってキャリアシンボル内デインターリーブ部4111がデインターリーブ処理を行う場合、0番目のビットを18番目のビットに、1番目のビットを11番目のビットに、・・・119番目のビットを97番目のビットに並べ替える。
【0116】
また、LDPC符号の符号化率が61/120の場合における、キャリアシンボル内デインターリーブ部4111が使用する入出力変換テーブルの例を下記の表8に示す。この入出力変換テーブルに従って、キャリアシンボル内デインターリーブ部4111がデインターリーブ処理を行う場合、0番目のビットを20番目のビットに、1番目のビットを1番目のビットに、・・・119番目のビットを96番目のビットに並べ替える。
【0117】
【0118】
ブロックデインターリーブ部4112は、キャリアシンボル内デインターリーブ部4211から入力された尤度比をブロックごとに、メモリに対して行方向に各行の先頭から順次書き込んだ後に、列方向に読み出し、ブロック全体をデインターリーブ処理した尤度比をパリティデインターリーブ部4113に出力する。
【0119】
パリティデインターリーブ部4113は、パリティデインターリーブ部4113から入力された尤度比のブロックごとに、LDPC符号のパリティビットに対応する尤度比のみを所定のビット周期でデインターリーブ処理し、パリティデインターリーブ処理した尤度比をLDPC復号部412a,412bに出力する。
【0120】
LDPC復号部412aは、ビットデインターリーブ部411aから入力されたデインターリーブデータを用いてLDPC符号を復号し、ビット列をBCH復号部413aに出力する。LDPC符号の復号アルゴリズムは、例えばSum-product復号法を用いる。
【0121】
BCH復号部413aは、LDPC復号部412aから入力されたビット列をBCH復号し、エネルギー逆拡散部414aに出力する。
【0122】
エネルギー逆拡散部414aは、BCH復号部413aから入力されたビット列に対して、エネルギー逆拡散処理(送信装置30のエネルギー拡散部322と逆の処理)を行い、A階層ビットデータを出力インターフェース部42に出力する。
【0123】
上述したように、LLR算出部409a、FECブロック変換部410a、ビットデインターリーブ部411a、LDPC復号部412a、BCH復号部413a、及びエネルギー逆拡散部414aは、A階層について処理を行う。LLR算出部409b、FECブロック変換部410b、ビットデインターリーブ部411b、LDPC復号部412b、BCH復号部413b、及びエネルギー逆拡散部414bは、B階層について処理を行うが、処理内容はA階層の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0124】
Lch復調部415は、受信処理部401から入力された複素ベースバンド信号からLchのキャリアを抽出し、DBPSK復調を行い、Lch信号を復調する。そして、Lch信号の誤り訂正を行い、復号後のLchビットデータを出力インターフェース部42に出力する。
【0125】
図12は、出力インターフェース部42の構成例を示す図である。
図12に示す出力インターフェース部42は、ビットバイト変換部421a,421b,421cと、TLV(Types Length Value)パケット分離部422a,422b,422cと、IPヘッダ伸長部423a,423b,423cと、Eth-IF(イーサネット(登録商標)インターフェース)424a,424bとを備える。
【0126】
ビットバイト変換部421aは、復調部41から入力されたA階層ビットデータをバイトデータに変換し、A階層バイトデータをTLVパケット分離部422aに出力する。ビットバイト変換部421bは、復調部41から入力されたB階層ビットデータをバイトデータに変換し、B階層バイトデータをTLVパケット分離部422bに出力する。ビットバイト変換部421cは、復調部41から入力されるLchビットデータをバイトデータに変換し、LchバイトデータをTLVパケット分離部422cに出力する。
【0127】
TLVパケット分離部422aは、ビットバイト変換部421aから入力されたA階層バイトデータに対し、復調部41による誤り訂正復号の結果、シンドロームがゼロとなったFECブロックから、FECブロックに格納されている格納されているTLVパケットを特定し、IPv4パケットとして出力する。ただし、TLVパケットの一部がシンドロームがゼロとならなかったFECブロックで伝送された場合、そのTLVパケットは破棄される。また、ヌルタイプのTLVパケットも破棄される。TLVパケット分離部422bは、ビットバイト変換部421bから入力されたB階層バイトデータに対し、同様の処理を行う。
【0128】
TLVパケット分離部422cは、ビットバイト変換部421cから入力されたLchバイトデータを結合し、ストリーム上のデータとする。そして、ストリーム上のデータからTLVパケットを特定し、出力する。
【0129】
A階層で伝送されたTLVパケットと、B階層で伝送されたTLVパケットと、Lchで伝送されたTLVパケットは、同じイーサネットのポート(Eth-IF424a)から出力されるが、それらはUDP宛先ポート番号で区別する。イーサネットのポートから出力する際は、OFDMフレームで伝送されたTLVパケットを、そのOFDMフレーム時間で出力するよう、IPv4パケットの間隔を調整し出力する。
【0130】
なお、出力するイーサネットは双方向の通信を行いイーサネットのリンクを確立するが、リンク確立以後は双方向の通信を行わず、イーサネットフレームを一方的に出力するのみとし、ARPの応答やフロー制御は行わない。このため、宛先MACアドレスとして、ブロードキャストアドレス(0xFFFFFFFFFFFF)を設定し、出力する。なお、出力インターフェース部42にルータを接続することは想定しないが、スイッチングハブを接続することは可能である。
【0131】
TLVパケットには、IPv4パケット、IPv6パケット、ヘッダ圧縮したIPパケット、伝送制御信号パケット、あるいはヌルパケットの5種類のパケット種別がある。IPヘッダ伸長部423aは、TLVパケットがIPv4パケット又はIPv6パケットの場合には、TLVパケットのデータ領域からそれぞれのIPパケットを取り出し、Eth-IF424bに出力する。また、TLVパケットがヘッダ圧縮したIPパケットの場合には、圧縮されたIPヘッダを復元し、送信時のIPパケットを復元し、IPv4パケット又はIPv6パケットとしてEth-IF424bに出力する。また、TLVパケットが伝送制御信号パケット又はヌルパケットの場合は、破棄する。これらのIPパケットを出力する際は、OFDMフレームで伝送されたIPパケットを、そのOFDMフレーム時間で出力するよう、IPパケットの間隔を調整し出力する。IPヘッダ伸長部423b,423cも、同様の処理を行う。
【0132】
実施形態では特に触れていないが、受信装置40が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0133】
あるいは、受信装置40に搭載されるチップが提供されてもよい。このチップは、受信装置40が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成される。
【0134】
次に、本実施形態に係る送信装置30、及び受信装置40の主な動作について説明する。
【0135】
図13は、送信装置30の主な動作を示すフローチャートである。送信装置30は、変調部32のLDPC符号化部324a,324bにより、送信データをLDPC符号化してLDPC符号を生成する(ステップS11)。
【0136】
そして、送信装置30は、変調部32のビットインターリーブ部325a,325bにより、LDPC符号に対して、ビット単位でインターリーブ処理を行ってインターリーブデータを生成する(ステップS12)。より詳細には、LDPC符号長のブロック(LDPCブロック)ごとに、LDPC符号のパリティビットを所定のビット周期でインターリーブ処理した後に、ブロック全体をインターリーブ処理し、さらに所定のビット数ごとにインターリーブ処理する。
【0137】
そして、送信装置30は、変調部32のマッピング部326a,326bにより、Lchフレームを生成する(ステップS13)。
【0138】
そして、送信装置30は、変調部32のOFDMフレーム構成部334によりキャリアシンボルを所定の位置に配置してOFDMシンボルを生成し、OFDMフレームを構成する(ステップS14)。
【0139】
そして、送信装置30は、変調部32の送信処理部335により、OFDMシンボルに基づくOFDM信号を生成し、送信アンテナ33を介してOFDM信号を送信する(ステップS14)。
【0140】
図14は、受信装置40の主な動作を示すフローチャートである。受信装置40は、復調部41の等化部402により、伝搬路特性を推定し、OFDM信号のキャリアシンボルを生成する(ステップS21)。
【0141】
そして、受信装置40は、復調部41の雑音分散算出部403により、キャリアシンボルから雑音分散を算出する(ステップS22)。
【0142】
そして、受信装置40は、復調部41のLLR算出部409a,409bにより、キャリアシンボル及び雑音分散を用いて尤度比を算出する(ステップS23)。
【0143】
そして、受信装置40は、復調部41のビットデインターリーブ部411a,411bにより、尤度比に対して、ビット単位でデインターリーブ処理を行ってデインターリーブデータを生成する(ステップS24)。より詳細には、LDPC符号長のブロックごとに、所定のビット数ごとにデインターリーブ処理した後に、ブロック全体をデインターリーブ処理し、さらにLDPC符号のパリティビットに対応する尤度比を所定のビット周期でデインターリーブ処理する。
【0144】
そして、受信装置40は、復調部41のLDPC復号部412a,412bにより、デインターリーブデータを用いてLDPC復号を行う(ステップS25)。
【0145】
表1に示した入出力変換テーブルを用いてビットインターリーブ処理を行ったときのシミュレーション結果を
図15に示す。ここでは、LDPC符号の符号長を44880ビット、LDPC符号の符号化率を81/120、変調多値数を4096QAMとし、マッピング処理ではシンボルをIQ平面上へ均等配置し、シンボル座標値はDVB-C2(規格名:ETSI EN 302 769、非特許文献2の6.2.2節参照)を使用した。また、LDPC符号の復号はSum-product復号法により行い、繰り返し復号回数を50回とした。また、通信路としてAWGN通信路を仮定した。
【0146】
また、表7に示した入出力変換テーブルを用いてビットインターリーブ処理を行ったときのシミュレーション結果を
図16に示す。ここでは、LDPC符号の符号長を44880ビット、LDPC符号の符号化率を61/120、変調多値数を4096QAMとし、マッピング処理ではシンボルをIQ平面上へ均等配置し、シンボル座標値はDVB-C2(規格名:ETSI EN 302 769、非特許文献2の6.2.2節参照)を使用した。また、LDPC符号の復号はSum-product復号法により行い、繰り返し復号回数を50回とした。また、通信路としてAWGN通信路を仮定した。
【0147】
図15及び
図16から分かるように、本発明では、LDPC符号に対してビットインターリーブ処理を行い、入出力変換テーブルをLDPC符号の符号化率及びキャリア変調の方式ごとに異なるものとし、かつ、キャリア変調の方式によらず同一のビット数とすることにより、規則性を排除することができ、ビット誤り率(BER)特性を大幅に向上させること、すなわち誤り訂正能力を向上させることが可能となる。
【0148】
なお、本実施形態では、送信装置30、及び受信装置40の構成と動作について説明したが、本発明はこれに限られず、再多重化装置20から出力されたパケットからOFDM信号を構成して送信する方法、及び送信装置30から送信されたOFDM信号を受信する方法として構成されてもよい。
【0149】
上述の実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0150】
1 OFDM送受信システム
10a,10b,10c 多重化装置
20 再多重化装置
30 送信装置
31 入力インターフェース部
32 変調部
33 送信アンテナ
40 受信装置
41 復調部
42 出力インターフェース部
43 受信アンテナ
50 多重分離装置
311 XMIパケット受信部
312a A階層フレーム生成部
312b B階層フレーム生成部
312c Lchフレーム生成部
313 制御情報/TMCC情報生成部
321a,321b FECブロック変換部
322a,322b エネルギー拡散部
323a,323b BCH符号化部
324a,324b LDPC符号化部
325a,325b ビットインターリーブ部
326a,326b マッピング部
327 階層合成部
328 帯域分割部
329 時間インターリーブ部
330 周波数インターリーブ部
331 帯域合成部
332 誤り訂正符号化部
333 DBPSK変調部
334 OFDMフレーム構成部
335 送信処理部
401 受信処理部
402 等化部
403 雑音分散算出部
404 帯域分割部
405 周波数デインターリーブ部
406 時間デインターリーブ部
407 帯域合成部
408 階層分割部
409a,409b LLR算出部
410a,410b FECブロック変換部
411a,411b ビットデインターリーブ部
412a,412b LDPC復号部
413a,413b BCH復号部
414a,414b エネルギー逆拡散部
415 Lch復調部
421a,421b,421c ビットバイト変換部
422a,422b,422c TLVパケット分離部
423a,423b,423c IPヘッダ伸長部
424a,424b Eth-IF
3251 パリティインターリーブ部
3252 ブロックインターリーブ部
3253 キャリアシンボル内インターリーブ部
4111 キャリアシンボル内デインターリーブ部
4112 ブロックデインターリーブ部
4113 パリティデインターリーブ部