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特許7112213銀付調皮革様シート、及びそれを用いた鞄用持ち手
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】銀付調皮革様シート、及びそれを用いた鞄用持ち手
(51)【国際特許分類】
   D06N 3/14 20060101AFI20220727BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20220727BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
D06N3/14 101
B32B27/12
B32B27/40
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018038058
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019151948
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100189991
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】芦田 哲哉
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-059674(JP,A)
【文献】国際公開第2005/106108(WO,A1)
【文献】特開2017-018539(JP,A)
【文献】特開2016-089326(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1619636(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0129665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06N 1/00- 7/06
B32B 1/00-43/00
A45C 1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材と、前記繊維基材に積層されたポリウレタン多孔質層と、前記ポリウレタン多孔質層に接着層を介して積層されたポリウレタン表皮膜とを含む銀付調皮革様シートであって
前記ポリウレタン表皮膜は、有機ポリイソシアネートとして芳香族系ジイソシアネート,高分子ポリオールとしてポリカーボネート系ジオール及びポリエーテル系ジオールの少なくとも一方,を含む、ウレタンモノマー成分を重合して得られた、芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンまたは芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含み、
記ポリウレタン表皮膜の表面にモノ(2-エチルヘキシル)フタレートを滴下して、常温で336時間放置した後、ポリウレタン表皮膜が剥離しないことを特徴とする銀付調皮革様シート。
【請求項2】
前記繊維基材は、ナイロン系繊維の不織布である請求項1に記載の銀付調皮革様シート。
【請求項3】
前記ポリウレタン表皮膜は、
ポリウレタン中間層及び前記ポリウレタン中間層に被着されたポリウレタン最表層を含み、前記ポリウレタン中間層及び前記ポリウレタン最表層が、前記芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む請求項1に記載の銀付調皮革様シート。
【請求項4】
鞄用持ち手の素材として用いられる請求項1~3の何れか1項に記載の銀付調皮革様シート。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の銀付調皮革様シートを含むことを特徴とする鞄用持ち手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀付調皮革様シート、及び、それを用いた鞄用持ち手に関する。
【背景技術】
【0002】
鞄や衣料や靴等の表皮材として用いられている、天然皮革に似せた銀付調の外観を有する銀付調皮革様シートとして、繊維基材と、繊維基材に積層された銀面調の樹脂層とを備える銀付調皮革様シートが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、耐久性が向上されたステアリングホイールカバー用人造皮革として、長繊維型高密度極細糸不織布を含んだ繊維基材、微細気孔を有するウレタン気孔層、ウレタン気孔層とポリウレタンスキン層を接着するためのウレタン系接着剤が含まれたウレタン接着層及び、イソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、フッ素系ポリオール及びエステル系ポリオールを含むポリオール化合物を重合して製造されたポリウレタン樹脂が含まれたポリウレタンスキン層をこの順に積層されているステアリングホイールカバー用人造皮革を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-8932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銀付調皮革様シートは、鞄の表皮材に用いられていた。このような鞄において、持ち手に使用された銀付調皮革様シートの表皮を形成するポリウレタン表皮膜が、使用中に溶けたように剥離する経年劣化の問題があった。
【0006】
本発明はこのような、経年劣化により銀付調皮革様シートのポリウレタン表皮膜が使用中に溶けたように剥離する問題の発生しにくい銀付調皮革様シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、経年劣化が生じた鞄の持ち手に付着している化合物を分析した。その結果、剥離する経年劣化が生じた持ち手には、剥離が生じなかった持ち手に比べて、各種フタル酸エステル、とくにはモノ(2-エチルヘキシル)フタレートが多量に付着していることを特定し、剥離の経年劣化を引き起こしている一因がモノ(2-エチルヘキシル)フタレートをはじめとするフタル酸エステルの付着によると特定することができ、本発明に想到するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の一局面は、繊維基材と、繊維基材に積層されたポリウレタン多孔質層と、ポリウレタン多孔質層に接着層を介して積層されたポリウレタン表皮膜とを含む銀付調皮革様シートであって、ポリウレタン表皮膜は、有機ポリイソシアネートとして芳香族系ジイソシアネート,高分子ポリオールとしてポリカーボネート系ジオール及びポリエーテル系ジオールの少なくとも一方,を含む、ウレタンモノマー成分を重合して得られた、芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンまたは芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含み、ポリウレタン表皮膜の表面にモノ(2-エチルヘキシル)フタレートを滴下して、常温で336時間放置した後に、ポリウレタン表皮膜が剥離しない銀付調皮革様シートである。このような銀付調皮革様シートは、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートをはじめとするフタル酸エステルに対する耐性が高い。そのために銀付調皮革様シートを使用した製品にフタル酸エステルが付着しても、ポリウレタン表皮膜が溶けたように経年劣化して剥離することが抑制される。なお、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートの由来は、化粧品やプラスチック製品等の可塑剤として知られているジ(2-エチルヘキシル)フタレートの体内代謝物ではないかと考えている。
【0009】
上記銀付調皮革様シートにおいては、ポリウレタン表皮膜が、有機ポリイソシアネートとして芳香族系ポリイソシアネート、高分子ポリオールとしてポリカーボネート系ジオールとを含む、ウレタンモノマー成分を重合して得られた芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含むことが、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートをはじめとするフタル酸エステルに対する耐性が、より高い銀付調皮革様シートが得られやすい点から好ましい。また、ポリウレタン表皮膜が繊維基材に積層されたポリウレタン多孔質層に積層されており、ポリウレタン中間層及びポリウレタン中間層に被着されたポリウレタン最表層を含む場合には、ポリウレタン中間層及びポリウレタン最表層のいずれもが、芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含むことが好ましい。
【0010】
また、本発明の一局面は、上述した何れかの銀付調皮革様シートを含む鞄用持ち手である。このような鞄用持ち手は、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートをはじめとするフタル酸エステルが付着しても、ポリウレタン表皮膜が溶けたように経年劣化して剥離することが抑制される。
【0011】
また、本発明の他の一局面は、銀付調皮革様シートの表面に、フタル酸エステルを滴下する工程と、フタル酸エステルを滴下された銀付調皮革様シートを所定の時間放置する工程と、所定の時間放置された銀付調皮革様シートのフタル酸エステルが滴下された部分の外観を観察する工程と、を備える銀付調皮革様シートの耐薬品性の評価方法である。このような評価方法によれば、フタル酸エステルが付着しても、溶けたように劣化して剥離する問題が生じにくい銀付調皮革様シートを選択することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポリウレタン表皮膜が溶けたように経年劣化して剥離する問題が発生しにくい銀付調皮革様シートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の銀付調人工皮革の断面模式図である。
図2図2は、実施例1における評価結果を示した写真である。
図3図3は、実施例2における評価結果を示した写真である。
図4図4は、比較例1における評価結果を示した写真である。
図5図5は、比較例2における評価結果を示した写真である。
図6図6は、比較例3における評価結果を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る銀付調皮革様シートは、繊維基材と、繊維基材に直接または他のポリウレタン層を介して表層に積層されたポリウレタン表皮膜とを含む銀付調皮革様シートであって、ポリウレタン表皮膜の表面にモノ(2-エチルヘキシル)フタレートを滴下して、常温で336時間放置した後、ポリウレタン表皮膜が剥離しない銀付調皮革様シートである。
【0015】
図1は、本発明に係る銀付調皮革様シートの一実施形態である銀付調皮革様シート10の層構成を説明する模式断面図である。銀付調皮革様シート10においては、繊維基材1と、繊維基材1に積層されたポリウレタン多孔質層2と、ポリウレタン中間層4a及びポリウレタン中間層4aに被着されたポリウレタン最表層4bを含むポリウレタン表皮膜4と、ポリウレタン多孔質層2とポリウレタン表皮膜4とを接着するポリウレタン接着層3とを備える
【0016】
繊維基材としては、不織布、織物、編物、またはそれらにポリウレタンやアクリル系弾性体等の高分子弾性体を含浸付与された基材等、従来知られた、人工皮革や合成皮革に用いられている繊維基材が特に限定なく用いられる。繊維基材の厚さも特に限定されないが、例えば、300~3000μm、さらには500~1500μm程度であることが好ましい。また、繊維基材を形成する繊維の種類も特に限定されず、例えば、ナイロン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等、とくに限定されない。
【0017】
また、繊維の繊度や形態も特に限定されない。例えば、繊度は1dtex超のようなレギュラー繊維であっても、1dtex未満の極細繊維であってもよい。また、繊維の形態は、中実繊維であっても、中空繊維やレンコン状繊維のような空隙を有する繊維であってもよい。
【0018】
ポリウレタンは、有機ポリイソシアネート、高分子ポリオール、及び鎖伸長剤を所定のモル比で含む、ウレタンモノマー成分を重合することにより得られる。ポリウレタンは、銀付調皮革様シートの製造時においては、例えば、有機溶媒溶液(例えば、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、トルエンなどの有機溶媒の溶液)、水溶液、またはエマルジョンとして調製される。
【0019】
有機ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートを含む難黄変型ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシアネート,4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系あるいは脂環族系ジイソシアネート等の無黄変型ジイソシアネート、等が挙げられる。また、必要に応じて、3官能イソシアネートや4官能イソシアネートなどの多官能イソシアネートを併用してもよい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
また、高分子ポリオールの具体例としては、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール等のポリカーボネート系ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等のポリエーテル系ポリオール;ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール,ポリプロピレンアジペートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレンセバケート)ジオール,ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ポリオール、またはそれらの共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
また、鎖伸長剤の具体例としては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミン類;トリエチレンテトラミンなどのテトラミン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、鎖伸長反応時に、鎖伸長剤とともに、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのモノアミン類;4-アミノブタン酸、6-アミノヘキサン酸などのカルボキシル基含有モノアミン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのモノオール類を併用してもよい。
【0022】
ポリウレタン多孔質層を形成するためのポリウレタンは、例えば、湿式凝固するポリウレタンの溶液を繊維基材の表面に塗布した後、水系の凝固浴に浸漬して多孔質のポリウレタンを凝固させることにより形成される。また、ポリウレタン多孔質層は、繊維基材の形態安定性を付与すること等の目的でその内部に含浸されてもよい。この場合には、繊維基材に予めポリウレタン溶液を含浸させておき、さらに、その上に、ポリウレタン溶液をコーティングした後、水系の凝固浴に浸漬して凝固させることにより、繊維基材の内部にもポリウレタン多孔質を付与することができる。
【0023】
ポリウレタン多孔質層の厚さは、例えば、100~600μm、さらには200~400μm程度であることが好ましい。
【0024】
ポリウレタン表皮膜としては、銀付調皮革様シートのポリウレタン表皮膜の表面にモノ(2-エチルヘキシル)フタレートを滴下して、常温で336時間放置した後ポリウレタン表皮膜が剥離しない、ポリウレタン表皮膜であればとくに限定されない。なお、336時間は、2週間であり、本発明に係る銀付調皮革様シートのポリウレタン表皮膜を顕著に識別することができる期間である。336時間よりも短すぎる場合、例えば5日間(120時間)程度の場合には、剥離するポリウレタン表皮膜を識別することができない。このようなポリウレタン表皮膜を形成するためには、有機ポリイソシアネートとして芳香族系ジイソシアネート、高分子ポリオールとしてポリカーボネート系ジオール、を含むウレタンモノマー成分を重合することにより得られる芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンが、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートをはじめとするフタル酸エステルに膨潤しにくいために、ポリウレタン表皮膜が剥離しにくくなる点から特に好ましい。
【0025】
本実施形態の銀付調皮革様シートのような層構成を有する銀付調皮革様シートを製造する場合、ポリウレタン多孔質層、またはポリウレタン無孔質層の表面にポリウレタン表皮膜を接着する方法としては、例えば、次のような乾式造面法を用いた方法が挙げられる。
【0026】
剥離紙上にポリウレタン表皮膜を形成するためのポリウレタンフィルムを形成する。なお、ポリウレタン表皮膜が、ポリウレタン中間層とポリウレタン中間層に被着されたポリウレタン最表層とを含むような積層構造を有する場合、例えば、剥離紙上にポリウレタン最表層のフィルムを形成し、ポリウレタン最表層のフィルムにポリウレタン中間層を形成するためのポリウレタンフィルムを形成することにより、ポリウレタン最表層とポリウレタン中間層との積層構造のポリウレタン表皮膜が形成される。そして、ポリウレタン表皮膜のフィルムにポリウレタン接着剤を塗布し、完全または不完全に溶媒を除去して乾燥させる。
【0027】
ポリウレタン接着層の厚さとしては、5~200μm、さらには30~70μmであることが好ましい。ポリウレタン接着層が厚すぎる場合には耐屈曲性が低下してポリウレタン表皮膜の接着強度が低下する傾向がある。また、ポリウレタン表皮膜とポリウレタン接着層の合計厚さとしては、10~300μm、さらには30~200μm、とくには50~100μm程度であることが、機械的特性と風合いとのバランスを維持することができる点から好ましい。
【0028】
そして、このように剥離紙上に形成されたポリウレタン表皮膜のフィルムに積層されたポリウレタン接着剤をポリウレタン多孔質層の表面に貼り合せてプレスした後、ポリウレタン接着剤を硬化させることによりポリウレタン接着層を介してポリウレタン表皮膜を接着する。そして、ポリウレタン表皮膜の表面から剥離紙を剥離することにより、本実施形態の銀付調皮革様シートのような多孔質層の表面にポリウレタン表皮膜を有する銀付調皮革様シートが得られる。
【0029】
また、上述したような乾式造面法に代えて、ポリウレタン多孔質層、またはポリウレタン無孔質層の表面に、グラビア法、リバースコート法、ダイレクトコート法等によりポリウレタンを含む樹脂液を塗布し、ポリウレタン高分子弾性体を湿式凝固または乾燥凝固させる方法により、ポリウレタン表皮膜を形成してもよい。ポリウレタン表皮膜は、無多孔質であっても、多孔質であってもよい。
【0030】
ポリウレタン表皮膜の厚さとしては、10~100μm、さらには、20~50μmであることが好ましい。ポリウレタン表皮膜が薄すぎる場合には、耐摩耗性が低下する傾向があり、厚すぎる場合には、風合いが硬くなったり、耐屈曲性が低下したりする傾向がある。
【0031】
本発明に係る銀付調皮革様シートは、ポリウレタン表皮膜の表面にモノ(2-エチルヘキシル)フタレートを滴下して、常温で336時間放置した後、ポリウレタン表皮膜が剥離しない銀付調皮革様シートである。このような銀付調皮革様シートは、次のような評価方法により得られた。
【0032】
銀付調皮革様シートの表面に、モノ(2-エチルヘキシル)フタレート等のフタル酸エステルを滴下する。なお、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートの代わりに、その他のフタル酸エステルを滴下した場合にも同様にフタル酸エステルに対する耐性を評価することができる。その他のフタル酸エステルの具体例としては、例えば、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ベンジルブチル(BBP)、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート(DEHP)、フタル酸ジオクチル(DNOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等が挙げられる。
【0033】
フタル酸エステルの滴下量は、繊維基材にまで経時的に浸透し、2週間後においても表面に充分に残る程度であれば特に限定されないが、例えば0.1~0.5cc程度であることが好ましい。
【0034】
そして、フタル酸エステルを滴下された銀付調皮革様シートを所定の時間放置する。放置する時間は、評価される銀付調皮革様シートのフタル酸エステルに対する耐性に応じて適宜調整されるが、例えば100~400時間、好ましくは336時間が挙げられる。
【0035】
そして、所定の時間放置された銀付調皮革様シートのフタル酸エステルが滴下された部分の外観を観察する。具体的には、銀付調皮革様シートの表面に残存するフタル酸エステルをワイピングクロス等でふき取った後、ポリウレタン表皮膜が剥離していたか否か、ポリウレタン表皮膜が摩擦されることにより剥離したか否か、ポリウレタン表皮膜が膨潤していたか否か、等の判定基準により、剥離性を評価する。そして、ポリウレタン表皮膜が剥離していない銀付調皮革様シートは、ポリウレタン樹脂層がフタル酸エステルにより経年劣化して剥離しにくいと判定できる。なお、ポリウレタン表皮膜が剥離しないとは、軽く触れた程度では剥離しないことを意味する。
【0036】
以上説明した、本発明に係る銀付調皮革様シートは、鞄や衣料や靴等の表皮材として用いられている、天然皮革に似せた銀付調の外観を有する銀付調皮革様シートとして好ましく用いられる。とくに、例えば、鞄用持ち手の表皮材として用いた場合には、フタル酸エステルが付着してもポリウレタン表皮膜が使用中に溶けたように経年劣化して剥離することが抑制される。
【実施例
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0038】
[予備実験]
銀付調皮革様シートを用いた持ち手付鞄の、持ち手の銀付調皮革様シートのポリウレタン表皮膜が、使用中に溶けたように劣化して剥離した鞄を市場から回収した。そして、剥離した部分から切り出したサンプルと、剥離が生じていない部分から切り出したサンプルとを準備し、次のようにして、各サンプル中に付着した成分を分析した。具体的には、各サンプル 0.5gにアセトニトリル 5mlを添加した各フラスコを60℃で4時間加熱して、付着した成分を抽出した。そして、抽出液を孔径0.45μmのPTFEフィルタでろ過することにより、各測定試料を調整した。そして、各測定試料中の成分をガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS分析)を行うことにより、含有成分を特定した。その結果、剥離部分から切り出したサンプルには、剥離が生じていない部分から切り出したサンプルに比べて、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートが顕著に多く含有されていることが確認された。また、剥離が生じていない部分から切り出したサンプルには、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートも比較的多く検出された。その他の成分として、剥離が生じていない部分から切り出したサンプルは剥離が生じていないサンプルよりも、セタノールやステアリン酸も若干多く検出された。そして、検出された各成分を用いて予備実験を行った結果、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートが銀付調皮革様シートのポリウレタン表皮膜を剥離させやすいという結果を得た。
【0039】
[実施例1]
6-ナイロン45質量部(海成分)とポリスチレン55質量部(島成分)からなる海島型複合繊維を溶融紡糸し、3倍に延伸し、繊維油剤を付与し、機械捲縮をかけた後、乾燥した。得られた捲縮繊維を51mmにカットして3デシテックスのステープルとし、ウェッブを形成した後に、両面から交互に合わせて約500パンチ/cmのニードルパンチングを行って絡合不織布を得た。この絡合不織布の目付は350g/m、見かけ比重は0.17であった。この絡合不織布をポリビニルアルコールの4%水溶液で処理し、厚さを約1.3mmに圧縮固定し、表面をバフ掛けして平滑化した。そして、13%濃度のポリエステル系ポリウレタンを主体とするポリウレタンのジメチルホルムアミド(以下、DMFと称す。)溶液を含浸した。さらにその表面に同じポリウレタンエラストマー溶液を固形分で100g/mになる量を塗布した後、DMF/水の混合液の中に浸してポリウレタンを多孔質状に湿式凝固させた。そして、熱トルエン中で島成分を溶出除去して複合繊維を中空繊維に変換することによりポリウレタン多孔質層を積層された繊維基材を得た。ポリウレタン多孔質層の厚みは300μmであった。
【0040】
次に、剥離紙(リンテック(株)製R-70)の上に、芳香族系ジイソシアネートを有機ポリイソシアネート単位として含み、ポリカーボネート系ポリオールを高分子ポリオール単位として含む芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む、難黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(大日精化(株)製のME8210LP)100質量部、ポリウレタンをビヒクルとして顔料を分散させたポリウレタン着色剤(レザミンBS012(大日精化工業(株)製))6質量部、ポリウレタン着色剤(レザミンBS181(大日精化工業(株)製))3質量部、DMF30質量部、及び、メチルエチルケトン30質量部を含む溶液を乾燥後の厚さが15μmになるように塗布し、乾燥することによりポリウレタン最表層を形成した。そして、ポリウレタン最表層に、同じ芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む難黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(ME8210LP)100質量部と、ポリウレタン着色剤(レザミンBS012)25質量部とを含むDMF溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、乾燥することにより、ポリウレタン中間層を形成した。
【0041】
そして、ポリウレタン中間層の表面に、ポリウレタン系接着剤溶液を130g/m2を塗布し、120℃で15秒間乾燥させて溶剤を蒸発させた後、ポリウレタン多孔質層に貼りあわせた。なお、ポリウレタン系接着剤溶液は、架橋型ポリカーボネート系ポリウレタン系接着剤である、TA205FT(DIC(株)製)100質量部に架橋剤及び架橋促進剤を加えたものを接着剤成分として含有し、溶媒としてDMF5質量部及び酢酸エチル10質量部を含有するものを用いた。そして、得られた積層中間体を、ポリウレタン多孔質層と繊維基材の合計厚み1.55mmの約65%となるクリアランスを設けたロールでプレスすることにより圧着させながらポリウレタン接着剤をポリウレタン多孔質層に浸透させた。そして、130℃で3分間乾燥した後、50℃で3日間熟成処理した後、剥離紙を剥離することにより、銀付調皮革様シートである銀付調人工皮革を得た。
【0042】
そして、銀付調人工皮革のポリウレタン表皮膜の表面に、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートを0.3cc滴下し、常温で120時間(5日間)及び、336時間(2週間)放置した。そして、各放置後の銀付調人工皮革のポリウレタン表皮膜のモノ(2-エチルヘキシル)フタレートを拭き取り、外観を観察した。その結果、5日間では大きな外観変化はなく、繊維基材層も膨潤しなかった。一方、2週間後においては、繊維基材層は膨潤したものの、ポリウレタン表皮膜は脱落及び剥離しなかった。そのときの様子を撮影した写真を図2に示す。
【0043】
[実施例2]
実施例1において、ポリウレタン中間層、ポリウレタン最表層及び接着層を以下のようにして形成した以外は同様にして銀付調人工皮革を得、評価した。
【0044】
剥離紙(リンテック(株)製R-70)の上に、芳香族系ジイソシアネートを有機イソシアネート単位として含み、ポリエーテル系ポリオールを高分子ポリオール単位として含む芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含む、難黄変ポリエーテル系ポリウレタン30%溶液(大日精化(株)製のME8116)100質量部、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4181(大日精化工業(株)製))1.5質量部、パール顔料インクKW120(大日精化工業(株)製)8質量部、DMF30質量部、及び、メチルエチルケトン30質量部を含む溶液を乾燥後の厚さが15μmになるように塗布し、乾燥することによりポリウレタン最表層を形成した。そして、ポリウレタン最表層に、同様の芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含む難黄変ポリエーテル系ポリウレタン30%溶液(大日精化(株)製のME8116)100質量部と、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4094)25質量部とを含むDMF溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、乾燥することにより、ポリウレタン中間層を形成した。
【0045】
そして、ポリウレタン中間層の表面に、ポリウレタン系接着剤溶液を130g/m2を塗布し、120℃で15秒間乾燥させて溶剤を蒸発させた後、ポリウレタン多孔質層に貼りあわせた。なお、ポリウレタン系接着剤溶液は、架橋型ポリエーテル系ポリウレタン系接着剤である、UD8310(大日精化工業(株)製)100質量部に架橋剤及び架橋促進剤を加えたものを接着剤成分として含有し、溶媒としてDMF5質量部及び酢酸エチル10質量部を含有するものを用いた。そして、得られた積層中間体を、ポリウレタン多孔質層と繊維基材の合計厚み1.55mmの約65%となるクリアランスを設けたロールでプレスすることにより圧着させながらポリウレタン接着剤をポリウレタン多孔質層に浸透させた。そして、130℃で3分間乾燥した後、50℃で3日間熟成処理した後、剥離紙を剥離することにより、銀付調皮革様シートである銀付調人工皮革を得た。
【0046】
その結果、5日間では繊維基材層の膨潤は見られたが、ポリウレタン表皮膜は膨潤しなかった。また、2週間においては、ポリウレタン表皮膜は膨潤したものの、脱落及び剥離しなかった。そのときの様子を撮影した写真を図3に示す。
【0047】
[比較例1]
実施例1において、ポリウレタン中間層、ポリウレタン最表層を以下のようにして形成した以外は同様にして銀付調人工皮革を得、評価した。
【0048】
剥離紙(リンテック(株)製R-70)の上に、脂肪族系ジイソシアネートを有機イソシアネート単位として含み、ポリカーボネート系ポリオールを高分子ポリオール単位として含む、脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む、無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(DIC(株)製のNY324)100質量部、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4181(大日精化工業(株)製))1.5質量部、パール顔料インクKW120(大日精化工業(株)製)8質量部、DMF20質量部及び、トルエン20質量部を含む溶液を乾燥後の厚さが15μmになるように塗布し、乾燥することによりポリウレタン最表層を形成した。そして、ポリウレタン最表層に、同様の脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(DIC(株)製のNY324)100質量部と、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4094)25質量部とを含むDMF溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、乾燥することにより、ポリウレタン中間層を形成した。
【0049】
その結果、5日間においてポリウレタン表皮膜が膨潤し、2週間後において、ポリウレタン表皮膜が完全に剥離してポリウレタン多孔質層が表出した。そのときの様子を撮影した写真を図4に示す。
【0050】
[比較例2]
実施例1において、ポリウレタン中間層、ポリウレタン最表層及び接着層を以下のようにして形成した以外は同様にして銀付調人工皮革を得、評価した。
【0051】
剥離紙(リンテック(株)製R-70)の上に、脂肪族系ジイソシアネートを有機イソシアネート単位として含み、ポリカーボネート系ポリオールを高分子ポリオール単位として含む脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む、無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(DIC(株)製のNY324)100質量部、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4181(大日精化工業(株)製))1.5質量部、パール顔料インクKW120(大日精化工業(株)製)8質量部、DMF20質量部、及び、トルエン20質量部を含む溶液を乾燥後の厚さが15μmになるように塗布し、乾燥することによりポリウレタン最表層を形成した。そして、ポリウレタン最表層に、芳香族系ジイソシアネートを有機イソシアネート単位として含み、ポリエーテル系ポリオールを高分子ポリオール単位として含む芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含む、難黄変ポリエーテル系ポリウレタン30%溶液(大日精化工業(株)製のME8116)100質量部と、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4094) 25質量部とを含むDMF溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、乾燥することにより、ポリウレタン中間層を形成した。
【0052】
そして、ポリウレタン中間層の表面に、ポリウレタン系接着剤溶液を130g/m2を塗布し、120℃で15秒間乾燥させて溶剤を蒸発させた後、ポリウレタン多孔質層に貼りあわせた。なお、ポリウレタン系接着剤溶液は、架橋型ポリエーテル系ポリウレタン系接着剤である、UD8310(大日精化工業(株)製)100質量部に架橋剤及び架橋促進剤を加えたものを接着剤成分として含有し、溶媒としてDMF5質量部及び酢酸エチル10質量部を含有するものを用いた。そして、得られた積層中間体を、ポリウレタン多孔質層と繊維基材の合計厚み1.55mmの約65%となるクリアランスを設けたロールでプレスすることにより圧着させながらポリウレタン接着剤をポリウレタン多孔質層に浸透させた。そして、130℃で3分間乾燥した後、50℃で3日間熟成処理した後、剥離紙を剥離することにより、銀付調皮革様シートである銀付調人工皮革を得た。
【0053】
その結果、5日間においてポリウレタン表皮膜が膨潤し、2週間後において、ポリウレタン表皮膜が完全に剥離してポリウレタン多孔質層が表出した。そのときの様子を撮影した写真を図5に示す。
【0054】
[比較例3]
実施例1において、ポリウレタン中間層及びポリウレタン最表層を以下のようにして形成した以外は同様にして銀付調人工皮革を得、評価した。
【0055】
剥離紙(リンテック(株)製R-70)の上に、脂肪族系ジイソシアネートを有機イソシアネート単位として含み、ポリカーボネート系ポリオールを高分子ポリオール単位として含む、脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む、無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(DIC(株)製のNY324)100質量部、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4181(大日精化工業(株)製))1.5質量部、パール顔料インクKW120(大日精化工業(株)製)8質量部、DMF20質量部及び、トルエン20質量部を含む溶液を乾燥後の厚さが15μmになるように塗布し、乾燥することによりポリウレタン最表層を形成した。そして、ポリウレタン最表層に、同様の脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン30%溶液(DIC(株)製のNY324)100質量部と、ポリウレタン着色剤(レザミンDUT4094) 25質量部とを含むDMF溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、乾燥することにより、ポリウレタン中間層を形成した。
【0056】
そして、ポリウレタン中間層の表面に、ポリウレタン系接着剤溶液を130g/m2を塗布し、120℃で15秒間乾燥させて溶剤を蒸発させた後、ポリウレタン多孔質層に貼りあわせた。なお、ポリウレタン系接着剤溶液は、架橋型ポリエーテル系ポリウレタン系接着剤である、UD8310(大日精化工業(株)製)100質量部に架橋剤及び架橋促進剤を加えたものを接着剤成分として含有し、溶媒としてDMF5質量部及び酢酸エチル10質量部を含有するものを用いた。そして、得られた積層中間体を、ポリウレタン多孔質層と繊維基材の合計厚み1.55mmの約65%となるクリアランスを設けたロールでプレスすることにより圧着させながらポリウレタン接着剤をポリウレタン多孔質層に浸透させた。そして、130℃で3分間乾燥した後、50℃で3日間熟成処理した後、剥離紙を剥離することにより、銀付調皮革様シートである銀付調人工皮革を得た。
【0057】
その結果、5日間においてポリウレタン表皮膜が膨潤し、2週間後において、ポリウレタン表皮膜が完全に剥離してポリウレタン多孔質層が表出した。そのときの様子を撮影した写真を図6に示す。
【0058】
以上の結果から、芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含むポリウレタン表皮層を備えた実施例1の銀付調皮革様シート及び芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含むポリウレタン表皮層を備えた実施例2の銀付調皮革様シートはモノ(2-エチルヘキシル)フタレートで膨潤しにくく、剥離しにくかった。また、芳香族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含むポリウレタン表皮層を備えた実施例1の銀付調皮革様シートは、モノ(2-エチルヘキシル)フタレートにとくに膨潤しにくく、剥離しにくかった。一方、脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含むポリウレタン表皮層を備えた比較例1及び比較例3、脂肪族-ポリカーボネート系ポリウレタンを含む最表層と芳香族-ポリエーテル系ポリウレタンを含む中間層とを含むポリウレタン表皮層を備えた比較例2の銀付調皮革様シートは、何れも5日間においてポリウレタン表皮膜が膨潤し、2週間後において、ポリウレタン表皮膜が完全に剥離した。
【符号の説明】
【0059】
1 繊維基材
2 ポリウレタン多孔質層
3 ポリウレタン接着層
4 ポリウレタン表皮膜
4a ポリウレタン中間層
4b ポリウレタン最表層
10 銀付調皮革様シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6