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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-26
(45)【発行日】2022-08-03
(54)【発明の名称】延伸多孔性フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/00 20060101AFI20220727BHJP
   B29C 67/20 20060101ALI20220727BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20220727BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20220727BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20220727BHJP
【FI】
C08J9/00 A CES
B29C67/20 B
B29K23:00
B29K105:04
B29L7:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019562894
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2018044257
(87)【国際公開番号】W WO2019130990
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2017250004
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 邦男
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸幸
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-268234(JP,A)
【文献】特開昭63-012645(JP,A)
【文献】特開昭62-250038(JP,A)
【文献】特開平05-230252(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175878(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00
B29C 67/20
B29K 23/00
B29K 105/04
B29L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、
前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、
無機充填剤と、を含有する樹脂組成物より構成され、
JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であり、
ASTM E96に準じて40℃、相対湿度60%の条件で測定される透湿度が1400g/m・24h以上であり、
JIS K 7127に準じて、チャック間距離50mm、引張り速度200mm/min.で機械方向に引張り、チャック間距離が5%伸びた時の機械方向の強度が0.3N/25mm以上、2.5N/25mm以下であることを特徴とする延伸多孔性フィルム。
【請求項2】
JIS P 8117に準じて王研式試験機法で測定される通気度が300秒/100mL以上、2000秒/100mL以下であることを特徴とする請求項に記載の延伸多孔性フィルム。
【請求項3】
延伸多孔性フィルムの製造方法であって、
密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を混合して樹脂組成物を得る混合工程と、
前記樹脂組成物をフィルム状に成形する成形工程と、
前記成形工程によって得られたフィルムを少なくとも機械方向に延伸することで多孔化させる多孔化工程と、を含み、
JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であり、
前記延伸多孔性フィルムは、ASTM E96に準じて40℃、相対湿度60%の条件で測定される透湿度が1400g/m ・24h以上であり、
前記延伸多孔性フィルムは、JIS K 7127に準じて、チャック間距離50mm、引張り速度200mm/min.で機械方向に引張り、チャック間距離が5%伸びた時の機械方向の強度が0.3N/25mm以上、2.5N/25mm以下であることを特徴とする延伸多孔性フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記多孔化工程における機械方向の延伸倍率が以下の式IIにて示されることを特徴とする請求項に記載の延伸多孔性フィルムの製造方法:
1.4≦Y≦0.075X+1.8 ・・・(式II)
(式中、Xはポリオレフィン系樹脂100質量部に対する流動パラフィンの配合割合(質量部)を示し、Yは延伸倍率(倍)を示す)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は延伸多孔性フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おむつ等の個人ケアー製品は、蒸れ等を防止するため空気および蒸気等を通過させ、液体を通過させないことが求められている。そのため、おむつ等の個人ケアー製品には通気性および耐水性が要求される。その要求に答えるため、ポリオレフィン系樹脂のような撥水性を有する樹脂をフィルム状に成形し、微細な孔を形成させた多孔性フィルムが利用されている。このような多孔性フィルムは空気等を通過させるが、液体を通過させない構造をしている。
【0003】
特許文献1には、ポリエチレン系樹脂と、流動パラフィンと、無機充填剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形して得られる通気性フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国公開特許公報「特開昭62-250038号」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の通気性フィルムは、柔軟性の面で改善の余地があった。
【0006】
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的はおむつ等の個人ケアー製品へ好適な通気性、耐水性および柔軟性を兼ね備えた延伸多孔性フィルムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明者が鋭意研究を行った結果、特定のメルトマスフローレイトを有するポリオレフィン系樹脂を使用すること、該ポリオレフィン系樹脂に対して流動パラフィンを特定の質量比にて含む樹脂組成物を用いること、そして透湿度を特定の範囲に調整すること、これらの組み合わせにより、通気性、耐水性および柔軟性を兼ね備えた延伸多孔性フィルムを実現できることを見出した。即ち、本発明は以下の構成を含む。
【0008】
密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を含有する樹脂組成物より構成され、JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であり、ASTM E96に準じて40℃、相対湿度60%の条件で測定される透湿度が1400g/m・24h以上であることを特徴とする延伸多孔性フィルム。
【0009】
密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を混合して樹脂組成物を得る混合工程と、前記樹脂組成物をフィルム状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られたフィルムを少なくとも機械方向に延伸することで多孔化させる多孔化工程と、を含み、 JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であることを特徴とする延伸多孔性フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、通気性、透湿性および柔軟性を兼ね備えた延伸多孔性フィルムが得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
本発明者が鋭意検討したところ、上述した従来技術には以下の問題点があることがわかった。例えば、特許文献1に示されたフィルムは、メルトインデックスの低いポリエチレン樹脂を用いているため柔軟性に乏しいと考えられる。
【0013】
そこで、本発明の一実施形態に係る延伸多孔質フィルムは、上述した従来技術の問題点を解決するものであり、通気性、透湿性および柔軟性を兼ね備える。以下、詳説する。
【0014】
〔1.延伸多孔性フィルム〕
本発明の一実施形態に係る延伸多孔性フィルムは、密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下の流動パラフィンと、無機充填剤と、を含有する樹脂組成物より構成され、JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であり、ASTM E96に準じて40℃、相対湿度60%の条件で測定される透湿度が1400g/m・24h以上である。このように特定の物性を有するポリオレフィン系樹脂に対して、流動パラフィンを特定の質量比にて組み合わせることにより、耐水性に加えて所望の柔軟性が得られる。また、透湿度を特定の範囲とすることにより、所望の通気性が得られる。それゆえ、通気性、耐水性および柔軟性を兼ね備えた延伸多孔性フィルムを実現できる。
【0015】
なお、延伸多孔性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂と流動パラフィンと無機充填剤とを含む樹脂組成物からなるものであってもよいし、例えば、樹脂組成物の他に別の材質のシート等が積層されているものであってもよい。
【0016】
<1-1.ポリオレフィン系樹脂>
前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であり、より好ましくは0.905g/cm以上、0.935g/cm以下である。密度が前記範囲であれば、後述する流動パラフィンと組み合わせることにより所望の柔軟性を有する延伸多孔性フィルムが得られる。また、密度と融点とはある程度相関する。密度が前記範囲であれば、熱固定温度が融点とある程度離れているため、熱固定と同時にポリオレフィン系樹脂が融解して延伸多孔性フィルムの孔が塞がることを防ぐことができる。従って、通気性の低下を防ぐことができる。
【0017】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)および分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。なお、複数種類のポリオレフィン系樹脂を用いると、メルトマスフローレイトを容易に調整することができるため好ましい。ポリオレフィン系樹脂として、線形低密度ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンとを組み合わせてもよい。なお、耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、密度が0.930g/cm以上、0.970g/cm以下のポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。その場合、用いたポリオレフィン系樹脂全体の密度(複数種類のポリオレフィン系樹脂の混合物の密度)が0.940g/cm以下であればよい。より好ましくは用いるポリオレフィン系樹脂の密度がすべて0.900g/cm以上、0.940g/cm以下である。
【0018】
<1-2.流動パラフィン>
流動パラフィンとは、原油から得られる、常温で液状の炭素数15~35程度の広い範囲を持つ炭化水素の混合物であり、密度が0.790g/cm以上、0.920g/cm以下のものをいう。
【0019】
流動パラフィンは柔軟性を向上させる目的で加えられる。流動パラフィンの含有割合は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、5.0質量部以上、20質量部以下であることが好ましく、7.0質量部以上、30質量部以下であることがより好ましい。流動パラフィンの含有割合が5.0質量部以上であれば、延伸多孔性フィルムに、より柔軟性を付与することができる。また、流動パラフィンの含有割合が20質量部以下であれば、延伸多孔性フィルムの強度を高めることができる。またドローレゾナンス現象の発生を抑制することができるため、生産性を向上することができる。
【0020】
<1-3.無機充填剤>
無機充填剤は、フィルムを多孔化させるために加えられている。無機充填剤は公知のものが際限なく使用でき、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の無機塩類、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよびシリカ等の無機酸化物、マイカ、バーミキュライトおよびタルク等のケイ酸塩類、並びに有機金属塩が挙げられる。前記無機充填剤のうち、炭酸カルシウムが、コストパフォーマンスおよびポリオレフィン系樹脂との解離性の観点から好ましい。
【0021】
樹脂組成物において、無機充填剤の配合割合は、ポリオレフィン系樹脂および流動パラフィン合計100質量部に対し、80質量部以上、200質量部以下であることが好ましく、85質量部以上、150質量部以下であることがより好ましい。無機充填剤の配合割合が80質量部以上であれば、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤とが乖離してできる、単位面積あたりのボイド発生頻度を高めることができる。よって、近接したボイド同士が連通しやすくなり、通気性が良好となる。無機充填剤の配合割合が200質量部以下であれば、フィルム延伸時の伸びが良好であり、延伸が容易である。
【0022】
<1-4.その他の成分>
樹脂組成物にはさらに、通常の樹脂組成物に用いられる添加物が含まれていてもよい。かかる添加物としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤、着色剤、可塑剤等が挙げられる。なお、樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオレフィン系樹脂および流動パラフィンを構成する以外の樹脂成分が少量配合されていてもよい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂および流動パラフィンの合計100質量部に対して5.0質量部以内、より好ましくは2.5質量部以内であれば、他の樹脂成分を配合しても許容される。なお、本発明の一実施形態に係る延伸多孔性フィルムおよび樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含まないものであってもよい。
【0023】
<1-5.延伸多孔性フィルムの物性>
延伸多孔性フィルムの透湿度は、1400g/m・24h以上であることが好ましく、1600g/m・24h以上であることがより好ましい。透湿度が上記範囲にあることにより、通気性および透湿性に優れる。例えば、延伸多孔性フィルムを紙おむつのバックシートとして用いた場合には、着用時の蒸れを防止することができる。なお、透湿度の上限は、機械特性、耐水性および耐液漏れ性の観点から、10000g/m・24h以下であることが好ましく、4000g/m・24h以下であることがより好ましい。透湿度の上限を4000g/m・24h以下とすることにより、上記延伸多孔性フィルムを用いたおむつは着用時に液漏れが発生するおそれがより低くなる。また、特許文献1に示されたフィルムの透湿度はいずれも4000g/m・24hを超えているため、おむつなどに用いると着用時に液漏れが発生するおそれがあると考えられる。
【0024】
透湿度は、ASTM E96に準じて、40℃、相対湿度60%、測定時間24時間、純水法の条件で測定される。なお、本明細書において、透湿度は、延伸多孔性フィルムから採取した10cm×10cmのサンプル10枚の平均値である。
【0025】
延伸多孔性フィルムの5%伸張強度は、0.3N/25mm以上、2.5N/25mm未満であることが好ましく、0.5N/25mm以上、2.3N/25mm以下であることがより好ましい。5%伸張強度が小さいほど、柔軟である。5%伸張強度が2.5N/25mm未満であれば、より柔軟性を付与することができる。5%伸張強度が0.3N/25mm以上であれば、二次加工時に機械方向にかかるライン張力に対するフィルムの伸びを抑えることができる。
【0026】
5%伸張強度は、JIS K 7127に準じて、サンプルをチャック間距離50mm、引張り速度200mm/min.で機械方向に引張り、サンプルが5%伸びた時の機械方向の強度として測定される。すなわち、5%伸張強度は、チャック間距離が2.5mm伸びた時の機械方向の応力として測定される。また、本明細書において、5%伸張強度は、延伸多孔性フィルムから採取された幅25mm、機械方向の長さ150mmのサンプルについて測定された値である。
【0027】
樹脂組成物のメルトマスフローレイトは、2.0g/10min.以上であることが好ましく、2.0g/10min.以上、6.0g/10min.以下であることがより好ましく、2.0g/10min.以上、5.0g/10min.以下であることがさらに好ましい。メルトマスフローレイトが上記範囲であれば、より安定した製膜を行うことが可能である。メルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であれば、製膜時押出機の樹脂圧力が抑えられ、製膜への悪影響を防ぐことができる。また、メルトマスフローレイトが6.0g/10min.以下であれば、Tダイで製膜する際のネックインをより抑えることができる。そのため、必要とされる製品幅を容易に得ることができる。また、メルトマスフローレイトと5%伸張強度とは相関する傾向がある。メルトマスフローレイトを小さくすると、5%伸張強度が高くなり、それゆえに柔軟性に乏しい延伸多孔性フィルムとなりやすい。樹脂組成物のメルトマスフローレイトは、JIS K 7210に準じて、190℃でA法にて測定される。
【0028】
延伸多孔性フィルムの通気度は、300秒/100mL以上、2000秒/100mL以下であることが好ましく、400秒/100mL以上、1600秒/100mL以下であることがより好ましく、400秒/100mL以上、1100秒/100mL以下であることがさらに好ましい。通気度は値が小さいほど、気体を通過させやすいことを表す。通気度が上記範囲であれば、延伸多孔性フィルムを紙おむつのバックシートとして用いた場合に、着用時の蒸れを防止することができる。通気度は、JIS P 8117に準じて、王研式試験機法で測定される。
【0029】
延伸多孔性フィルムの機械方向の熱収縮率は、5.0%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましい。5%伸張強度が大きいとともに、機械方向の熱収縮率が5.0%以下であれば、二次加工時に機械方向にかかるライン張力に対するフィルムの伸びを、より抑えることができる。機械方向の熱収縮率は0%に近いほど好ましいが、実用的には0.5%以上である。
【0030】
機械方向の熱収縮率は、以下の方法によって測定される。延伸多孔性フィルムから、15cm×15cmのサンプルを採取する。機械方向に標線間が10cmとなるよう、このサンプルに標線を入れる。このサンプルを50℃で24時間放置した後、室温に冷却して標線間の長さを測定する。機械方向の熱収縮率は下記式Iより求められる。
式I:機械方向の熱収縮率(%)={(10cm-冷却後の標線間の長さ(cm))/10cm}×100。
【0031】
目付は、10g/m以上、35g/m以下であることが好ましく、11g/m以上、32g/m以下であることがより好ましく、12g/m以上、30g/m以下であることがさらに好ましい。目付が上記範囲であることにより、通気性、透湿性および機械強度に優れる延伸多孔性フィルムが得られる。目付が10g/m以上であれば、フィルムの機械強度を高めることができる。また、目付が35g/m以下であれば、十分な透湿性を得ることができる。
【0032】
〔2.延伸多孔性フィルムの製造方法〕
本発明の一実施形態に係る延伸多孔性フィルムの製造方法は、密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を混合して樹脂組成物を得る混合工程と、前記樹脂組成物をフィルム状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られたフィルムを少なくとも機械方向に延伸することで多孔化させる多孔化工程と、を含む。このように特定の物性を有するポリオレフィン系樹脂に対して、流動パラフィンを特定の質量比にて組み合わせることにより、耐水性に加えて所望の柔軟性を有する延伸多孔性フィルムが得られる。特定の範囲のメルトマスフローレイトを備えた樹脂組成物は、樹脂組成物の流動性が良好となり、柔軟性を有した延伸多孔性フィルムが得られる。また、特定の組成の樹脂組成物を含むフィルムを延伸して多孔化することにより、所望の通気性を有する延伸多孔性フィルムが得られる。それゆえ、通気性、耐水性および柔軟性を兼ね備えた延伸多孔性フィルムを実現できる。なお、〔1.延伸多孔性フィルム〕で既に説明した事項については、以下では説明を省略し、適宜、上述の記載を援用する。
【0033】
<2-1.混合工程>
混合工程は、密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を混合して樹脂組成物を得る工程である。まず、ポリオレフィン系樹脂、流動パラフィン、無機充填剤、さらには必要に応じて配合する添加剤を混合する。混合方法は特に限定されず、公知の方法が採用できる。例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、またはタンブラーミキサー等の混合機を用いて5分~1時間程度混合することが好ましい。
【0034】
得られた混合物は一般に高混練タイプの2軸押出機、またはタンデム型混練機等の混練機を用いて、ストランドカット、ホットカット、またはアンダーウォーターカット等の方法で混練し、ペレット化できる。予め混合および混練し、ペレット化することにより、樹脂組成物の均一な分散を促すことができるため、好ましい。また、樹脂組成物の配合によっては、混合なしに直接混練機に投入し、ペレット化することもできる。
【0035】
<2-2.成形工程>
成形工程は、前記樹脂組成物をフィルム状に成形する工程である。上述のように得られたペレットを、押出機の先端に装着したサーキュラダイまたはTダイによってフィルム状に成形することが好ましい。このとき、Tダイ法を用いる場合の冷却方法は、特に制限されず、ニップルロール法、エアナイフ法、またはエアチャンバー法等の公知の方法が採用できる。なお、樹脂組成物の配合次第によっては、混合および混練なしに直接押出機に樹脂組成物を投入し、フィルムを成形することもできる。
【0036】
<2-3.多孔化工程>
多孔化工程は、前記成形工程によって得られたフィルムを少なくとも機械方向に延伸することで多孔化させる工程である。成形工程によって得られたフィルムを、延伸することにより、樹脂成分(前記ポリオレフィン系樹脂および前記流動パラフィン)と無機充填剤との界面が剥離する。そして、剥離した界面に微小な空隙ができ、該空隙がフィルムの厚さ方向に貫通した連通孔を形成することにより延伸多孔性フィルムとなる。延伸は、ロール延伸法またはテンター延伸法等の公知の方法により行うことができる。また、延伸は、一軸延伸であってもよく、二軸延伸であってもよい。
【0037】
なお、前記多孔化工程における機械方向の延伸倍率が以下式IIにて示されることが好ましい:
1.4≦Y≦0.075X+1.8 ・・・(式II)
(式中、Xはポリオレフィン系樹脂100質量部に対する流動パラフィンの配合割合(質量部)を示し、Yは延伸倍率(倍)を示す)。
【0038】
上記式IIが成立する条件において延伸を実施することにより、得られるフィルムは、柔軟性を有したまま十分に延伸され、厚みのムラが発生し難く、かつ、引裂強度が良好であり、十分な数およびサイズの孔が形成される。従って、このような延伸倍率であれば、通気性、透湿性および柔軟性を兼ね備えた延伸多孔性フィルムをより容易に得ることができる。前記延伸は一段延伸でも多段延伸でもよい。
【0039】
延伸温度は、常温以上、樹脂組成物の軟化点未満の温度範囲であることが好ましい。延伸温度が常温以上であれば、延伸ムラが生じ難いため、厚みが均一になりやすい。また、延伸温度が軟化点未満であれば、延伸多孔性フィルムが融解することを防ぐことができる。よって、延伸多孔性フィルムの孔が潰れ、通気性および透湿性が低下することを防ぐことができる。延伸温度は用いる樹脂組成物の物性と延伸倍率との組合せにより適宜調整することができる。
【0040】
<2-4.熱固定工程>
前記製造方法は、熱固定工程を含んでいてもよい。熱固定工程は、延伸方向の熱収縮を抑えるために、延伸後の延伸多孔性フィルムを熱固定する工程である。熱固定とは、延伸後のフィルムに延伸による緊張状態を維持した状態で、寸法を変化させない環境下で行う加熱処理のことである。その結果、熱固定により、保管時の弾性回復、並びに熱による収縮および巻き絞まり等を抑制することができる。
【0041】
延伸方法としてロール延伸法を採用した場合の熱固定方法として、延伸後のフィルムを、加熱したロール(アニールロール)により加熱する方法が挙げられる。また、延伸方法としてテンター延伸法を採用した場合の熱固定方法として、延伸後のフィルムをテンター出口付近でフィルムを加熱する方法が挙げられる。
【0042】
熱固定の温度は、70℃以上、95℃以下であることが好ましく、80℃以上、95℃以下であることが好ましい。熱固定温度が70℃以上であれば、十分な熱固定により、熱収縮を抑えることができる。また、熱固定温度が95℃以下であれば、熱によって延伸多孔性フィルムの孔が潰れることを、より防ぐことができる。
【0043】
熱固定の時間は、0.2秒以上であることが好ましく、0.5秒以上であることがより好ましく、1.0秒以上であることがさらに好ましい。熱固定の時間が0.2秒以上であれば、十分な熱固定により、熱収縮を抑えることができる。また、熱固定の時間は、20秒以下であることが好ましく、15秒以下であることがより好ましい。熱固定温度との組合せにもよるため一概には言えないが、熱固定の時間が20秒以下であれば、延伸多孔性フィルムが融解することによって孔が潰れることを、より防ぐことができる。従って通気性および透湿性が低下することを防ぐことができる。
【0044】
前記熱固定の時間は、延伸多孔性フィルムが熱固定温度で保持される時間である。例えば、ロール延伸法を採用した場合、フィルムがアニールロールと接している時間をいう。アニールロールの本数は特に制限されないが、2本以上ある場合、熱固定の時間は延伸多孔性フィルムが各アニールロールに接する時間の和である。また、テンター延伸法を採用した場合、熱固定の時間はテンター出口において熱固定温度で加熱され、維持される時間を示す。熱固定を複数回に分割して加熱する場合、各々加熱された時間の和である。
【0045】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0046】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
〔評価方法〕
後述の実施例および比較例の延伸多孔性フィルムの物性値は以下に示す方法によって測定したものである。
【0048】
(1)メルトマスフローレイト
樹脂組成物のメルトマスフローレイトはJIS K 7210に従い、測定温度として190℃を選択し、A法で測定した。なお、以下では、メルトマスフローレイトをMI(メルト・インデックス)とも称する。
【0049】
(2)目付
延伸多孔性フィルムから10cm×10cmのサンプルを切り取り、天秤で質量を測定した。このサンプルの面積および質量から、目付を求めた。
【0050】
(3)透湿度
延伸多孔性フィルムから、10cm×10cmのサンプルを10枚採取した。これらについて、ASTM E96に準じて、40℃、相対湿度60%、測定時間24時間、純水法の条件で透湿度を測定し、その平均値を求めた。
【0051】
(4)通気度
通気度はJIS P 8117に準じて、王研式試験機法で測定した。
【0052】
(5)5%伸張強度
JIS K 7127に準じて、延伸多孔性フィルムから、幅25mm、機械方向の長さ150mmのサンプルを採取した。このサンプルをチャック間距離50mm、引張り速度200mm/min.で機械方向に引張り、サンプルが5%伸びた時の機械方向の強度を5%伸張強度として測定した。すなわち、チャック間距離が2.5mm伸びた時の機械方向の応力を測定した。
【0053】
(6)機械方向の熱収縮率
延伸多孔性フィルムから、15cm×15cmのサンプルを採取した。機械方向に標線間が10cmとなるよう、このサンプルに標線を入れた。このサンプルを50℃で24時間放置した後、室温に冷却して標線間の長さを測定した。機械方向の熱収縮率を下記数式(式I)より求めた。
式I:機械方向の熱収縮率(%)={(10cm-冷却後の標線間の長さ(cm))/10cm}×100。
【0054】
〔用いた成分〕
A:線形低密度ポリエチレン[ダウケミカル(株)製、商品名:ダウレックス2047、密度:0.917g/cm、MI:2.3g/10min.]
B:線形低密度ポリエチレン[ダウケミカル(株)製、商品名:ダウレックス2035G、密度:0.919g/cm、MI:6.0g/10min.]
C:線形低密度ポリエチレン[ダウケミカル(株)製、商品名:ダウレックス2036P、密度:0.935g/cm、MI:2.5g/10min.]
D:線形低密度ポリエチレン[ダウケミカル(株)製、商品名:ダウレックス2045G、密度:0.920g/cm、MI:1.0g/10min.]
E:分岐状低密度ポリエチレン[三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名:ミラソン16P、密度:0.917g/cm、MI:3.7g/10min.]
F:超低密度ポリエチレン[ダウケミカル(株)製、商品名:アテイン4607GC、密度0.904g/cm、MI:4.0g/10min.]
G:高密度ポリエチレン[東ソー(株)製、商品名:ニポロンハード4200、密度:0.961g/cm、MI:2.3g/10min.]
H:流動パラフィン[和光純薬工業(株)製、商品名:流動パラフィン、密度:0.860~0.890g/cm
I:流動パラフィン[和光純薬工業(株)製、商品名:流動パラフィン、密度:0.825~0.850g/cm
J:流動パラフィン[和光純薬工業(株)製、商品名:流動パラフィン、密度:0.800~0.835g/cm
K:パラフィン[和光純薬工業(株)製、商品名:パラフィン、融点:42~44℃、密度:0.900g/cm
L:水素添加ポリブタジエン[日本曹達(株)製、商品名:Nisso-PB BI-2000、密度:0.860g/cm
M:ポリブテン[日油(株)製、商品名:ポリブテン3N、密度:0.880g/cm]
N:水素添加ポリブテン[日油(株)製、商品名:パールリーム4、密度:0.793g/cm]
O:炭酸カルシウム[(株)イメリスミネラルズ製、商品名:FL-520]
P:添加剤[酸化チタン(ハンツマン(株)製、商品名:TR28)50質量%と、ヒンダードフェノール系熱安定剤(チバ・ジャパン(株)製、商品名:IRGANOX3114)20質量%と、リン系熱安定剤(チバ・ジャパン(株)製、商品名:IRGAFOS168)30質量%との混合物]。
【0055】
〔実施例1〕
表1に記載のポリオレフィン系樹脂、炭化水素、無機充填剤および添加剤を混合した樹脂組成物とした。それを造粒し、次いで、フィルム形成を行った。
【0056】
造粒(ペレットの作製)は、以下のように行った。ベント付φ30mm二軸押出機を用いて、シリンダー温度160℃で前記樹脂組成物をストランド状に押し出し、水槽で冷却した。その後、押し出された樹脂組成物を約5mmにカットし、乾燥してペレットを作製した。
【0057】
次に、前記ペレットからφ400mmTダイ製膜機を用いてフィルムを成形した。ここで、リップクリアランス:1.5mm、ダイ温度:200℃、エアギャップ:105mm、引取速度:10m/min.、キャストロール温度:20℃であった。得られたフィルムをさらに、40℃に設定したロール延伸機で機械方向のみ一軸延伸(延伸倍率:1.8倍)し、次いで90℃に設定した熱セットロールでインラインアニーリングした(熱固定時間4秒)。その熱固定時の機械方向の熱収縮率は8%であった。
【0058】
実施例2~13および比較例1~8においては、各成分の配合割合または延伸条件(延伸倍率もしくは熱固定温度)を表1および表2に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にフィルムを形成した。
【表1】
【0059】
【表2】
なお、「ポリオレフィン系樹脂:配合割合(質量%)」は樹脂組成物に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量%に対する各ポリエチレン系樹脂の配合割合を表す。「炭化水素:配合割合(質量部)」は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対する炭化水素の配合割合を表す。炭酸カルシウムおよび添加剤の配合割合は、ポリオレフィン系樹脂と炭化水素との合計100質量部に対する配合割合として記載されている。
【0060】
また、延伸条件※1は延伸倍率1.8倍、熱固定温度90℃を表す。延伸条件※2は延伸倍率3.2倍、熱固定温度90℃を表す。延伸条件※3は延伸倍率2.5倍、熱固定温度90℃を示す。延伸条件※4は延伸条件1.3倍、熱固定温度90℃を示す。
【0061】
〔結果〕
実施例1~13および比較例1~8で得られた延伸多孔性フィルムの目付、透湿度、通気度、5%伸張強度および熱収縮率の測定を行い、表3に示した。
【0062】
【表3】
実施例1~13の延伸多孔性フィルムは、いずれも1400g/m・24h以上の良好な透湿度を示すとともに、良好な風合いを有していた。また、実施例1~8、および10~12の延伸多孔性フィルムは、5%伸張強度および熱収縮率について低い値を保持していた。さらに、本実施例1~8、および10~12の延伸多孔性フィルムは、いずれの延伸倍率も式IIを満たす。
【0063】
実施例3と4とでは、密度の違うポリオレフィン系樹脂を用いた。実施例4では、密度が0.961g/cmのポリエチレンを用いた。密度の高いポリエチレンを加えた実施例4では実施例3に比べ透湿度が高く、通気度が低い。また、実施例4は、5%伸長強度が高い結果になったが、比較例に比べて良好であった。
【0064】
実施例6~8を比較すると、流動パラフィンの密度の低下に伴い、通気度が低下し、透湿度および5%伸張強度が増加することがわかる。
【0065】
なお、延伸倍率が式IIを満たさない実施例9および13は、式IIを満たす実施例1~8、および10~12に比べて、5%伸張強度が高いが、比較例に比べて透湿度、通気度、5%伸張強度および熱収縮率のバランスが良好であった。
【0066】
また、実施例2、9、および12は、同じ組成の延伸多孔性フィルムの延伸倍率を変更した。これらから、延伸倍率を上げることにより、透湿度が増加し、通気度および熱収縮率が低下していることがわかる。
【0067】
比較例1では、炭化水素を用いなかった。その結果、得られた延伸多孔性フィルムは5%伸張強度が高く、柔軟性に乏しい延伸多孔性フィルムが得られた。
【0068】
比較例2~5では、炭化水素として流動パラフィン以外の炭化水素を用いた。その結果、炭化水素としてパラフィンを用いた比較例2、および炭化水素として水素添加ポリブテンを用いた比較例5では、5%伸張強度が高く、柔軟性に乏しい延伸多孔性フィルムが得られた。炭化水素として水素添加ポリブタジエンを用いた比較例3、および炭化水素としてポリブテンを用いた比較例4では、いずれも透湿度が低く、蒸れやすい延伸多孔性フィルムが得られた。
【0069】
比較例6では、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、密度が0.961g/cmのポリエチレンを75質量%用いた。その結果、通気度が低く、透湿度および5%伸張強度が高い、柔軟性に乏しい延伸多孔性フィルムが得られた。
【0070】
比較例7では、メルトマスフローレイトの低いポリオレフィン系樹脂を用いた。その結果、得られた延伸多孔性フィルムは透湿度が低く、蒸れやすい延伸多孔性フィルムが得られた。
【0071】
比較例8は、透湿度が低いため、通気度に劣る延伸多孔性フィルムとなった。
【0072】
〔まとめ〕
〔1〕密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を含有する樹脂組成物より構成され、JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であり、ASTM E96に準じて40℃、相対湿度60%の条件で測定される透湿度が1400g/m・24h以上であることを特徴とする延伸多孔性フィルム。
【0073】
〔2〕JIS K 7127に準じて、チャック間距離50mm、引張り速度200mm/min.で機械方向に引張り、チャック間距離が5%伸びた時の機械方向の強度が0.3N/25mm以上、2.5N/25mm未満であることを特徴とする〔1〕に記載の延伸多孔性フィルム。
【0074】
〔3〕JIS P 8117に準じて王研式試験機法で測定される通気度が300秒/100mL以上、2000秒/100mL以下であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の延伸多孔性フィルム。
【0075】
〔4〕密度が0.900g/cm以上、0.940g/cm以下であるポリオレフィン系樹脂と、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、5.0質量部以上、20質量部以下である流動パラフィンと、無機充填剤と、を混合して樹脂組成物を得る混合工程と、前記樹脂組成物をフィルム状に成形する成形工程と、前記成形工程によって得られたフィルムを少なくとも機械方向に延伸することで多孔化させる多孔化工程と、を含み、 JIS K 7210に準じて190℃で測定される前記樹脂組成物のメルトマスフローレイトが2.0g/10min.以上であることを特徴とする延伸多孔性フィルムの製造方法。
【0076】
〔5〕前記多孔化工程における機械方向の延伸倍率が以下の式IIにて示されることを特徴とする〔4〕に記載の延伸多孔性フィルムの製造方法:
1.4≦Y≦0.075X+1.8 ・・・(式II)
(式中、Xはポリオレフィン系樹脂100質量部に対する流動パラフィンの配合割合(質量部)を示し、Yは延伸倍率(倍)を示す)。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、例えば、おむつ等の個人ケアー製品に好適に利用することができる。