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特許7112674シート保持装置、画像形成装置及び画像読取装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】シート保持装置、画像形成装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20220728BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20220728BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220728BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
B65H1/04 324
B65H11/00 D
G03G15/00 407
H04N1/00 567C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018212701
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020079137
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】杉田 純一
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171454(JP,A)
【文献】特開2014-055054(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159623(JP,U)
【文献】特開2002-265068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 11/00-11/02
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート載置面上に載置されたシートの端部に対して接離する接離方向へ移動可能なシート規制部材の把持部をユーザーが把持して、該シート規制部材を移動させるシート保持装置であって、
前記把持部よりも前記シート載置面からの高さが低い前記シート規制部材の非把持部は、前記接離方向における少なくとも一方の端面に、前記接離方向で外から内へ向けて前記シート載置面からの高さが増大する傾斜面を有するとともに、前記シートの端部と接する側の端面に、前記シート載置面の法線方向へ延びるシート規制面を有しており、
前記把持部は、前記接離方向における少なくとも一方の端面が、前記シート載置面の法線方向からみて凹形状であることを特徴とするシート保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート保持装置において、
前記少なくとも一方の端面の全体が前記傾斜面であることを特徴とするシート保持装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシート保持装置において、
前記傾斜面は、前記接離方向で外から内へ向けて接線とシート載置面とのなす角度が小さくなる湾曲面であることを特徴とするシート保持装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート保持装置において、
前記非把持部は、前記接離方向における両方の端面に傾斜面を有していることを特徴とするシート保持装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシート保持装置において、
前記シート規制部材の接離方向は、シート搬送方向に対して直交する方向であり、
前記非把持部は、前記シート搬送方向に前記把持部を挟んで少なくとも2つ存在し、
前記把持部よりもシート搬送方向上流側に位置する非把持部が、前記両方の端面に傾斜面を有していることを特徴とするシート保持装置
【請求項6】
求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート保持装置において、
前記シート規制部材の接離方向は、シート搬送方向に対して直交する方向であり、
前記非把持部は、前記シート搬送方向に前記把持部を挟んで少なくとも2つ存在し、
前記把持部よりもシート搬送方向下流側に位置する非把持部が、前記シート規制面を有していることを特徴とするシート保持装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート保持装置において、
前記シート規制部材は、前記接離方向に延びる単一のガイド部材にガイドされながら移動し、
前記把持部は、前記単一のガイド部材と重なる位置に配置されていることを特徴とするシート保持装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート保持装置において、
前記シート規制部材は、前記シート載置面上に載置されたシートの両端それぞれを規制するように2つ設けられており、
当該2つのシート規制部材のうちの一方のシート規制部材の移動に連動して他方のシート規制部材を移動させる移動機構を有することを特徴とするシート保持装置
【請求項9】
求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート保持装置において、
当該シート保持装置は手差しトレイであることを特徴とするシート保持装置。
【請求項10】
シート保持装置を備えた画像形成装置であって、
前記シート保持装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート保持装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
シート保持装置を備えた画像読取装置であって、
前記シート保持装置として、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート保持装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート保持装置、画像形成装置及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート載置面上に載置されたシートの端部に対して接離する接離方向へ移動可能なシート規制部材の把持部をユーザーが把持して、該シート規制部材を移動させるシート保持装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、サイドフェンス(シート規制部材)上に設けられた操作部(把持部)をユーザーが把持し、手作業でサイドフェンスを移動させる手差し給紙トレイ(シート保持装置)が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ユーザーによって移動されるシート規制部材を備えたシート保持装置では、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させようとすると、シート規制部材をスムーズに移動させることができず、操作性が悪い。そのため、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが無いようにする工夫が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート載置面上に載置されたシートの端部に対して接離する接離方向へ移動可能なシート規制部材の把持部をユーザーが把持して、該シート規制部材を移動させるシート保持装置であって、前記把持部よりも前記シート載置面からの高さが低い前記シート規制部材の非把持部は、前記接離方向における少なくとも一方の端面に、前記接離方向で外から内へ向けて前記シート載置面からの高さが増大する傾斜面を有するとともに、前記シートの端部と接する側の端面に、前記シート載置面の法線方向へ延びるシート規制面を有しており、前記把持部は、前記接離方向における少なくとも一方の端面が、前記シート載置面の法線方向からみて凹形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る複写機を示す模式図。
図2】同複写機の手差し給紙装置を示す外観斜視図。
図3】手差しトレイが直立姿勢の閉鎖状態であるときの複写機の外観斜視図。
図4】手差しトレイが傾斜姿勢の開放状態であるときの複写機の外観斜視図。
図5】同手差しトレイの平面図。
図6】シートが載置された状態の手差しトレイの平面図。
図7】ガイドレールにはまり込むサイドフェンスのガイドピンを示す部分拡大図。
図8】同手差しトレイにおけるサイドフェンスの移動機構を示す平面図。
図9】同移動機構を示す斜視図。
図10】一方のサイドフェンスに設けられる把持部をシート幅方向外側から見たときの拡大図。
図11】(a)及び(b)は、同把持部をユーザーが指で把持してサイドフェンスをシート幅方向に沿って移動させる様子を示す平面図。
図12】(a)及び(b)は、サイドフェンス上の把持部とは別の箇所をユーザーが指で把持してサイドフェンスをシート幅方向に沿って移動させる様子を示す平面図。
図13】(a)は、把持部を有するサイドフェンスをシート幅方向外側から見たときの斜視図。(b)は、同サイドフェンスをシート幅方向内側から見たときの斜視図。
図14】同把持部をシート給送方向に直交する面で切断した断面図。
図15】把持部のシート給送方向下流側に隣接する非把持部をシート給送方向に直交する面で切断した断面図。
図16】把持部のシート給送方向上流側に隣接する非把持部をシート給送方向に直交する面で切断した断面図。
図17】非把持部の内側端面も、外側端面と同じく、その端面全体が傾斜面となるように形成した変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るシート保持装置を、画像形成装置としての複写機の手差しトレイに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機1を示す模式図である。
本実施形態に係る複写機1は、画像形成装置本体2と、この画像形成装置本体2の上に配置された画像読取装置3と、画像形成装置本体2の下に配置されたテーブル状の給紙装置4と、画像読取装置3の上に開閉自在に配置された原稿自動搬送装置5とを備えている。また、複写機1は、スイッチバック装置42と、手差し給紙装置70とを備えている。
【0009】
画像形成装置本体2は、その内部に像担持体としてドラム状の感光体10を備えている。感光体10の周囲には、図中左側に帯電装置11が配置され、感光体10の回転方向(反時計方向:図中矢印A)に沿って、現像装置12、転写装置13、クリーニング装置14が配置されている。転写装置13は、上下のローラ15,16の間に転写ベルト17を掛け回して構成され、転写ベルト17を転写位置Tで感光体10の周面に押し当てる構成になっている。
【0010】
帯電装置11及びクリーニング装置14の左側には、現像装置12に新しいトナーを補給するトナー補給装置20が配置されている。また、画像形成装置本体2の内部には、用紙・OHPシート等のシートを後述する供給位置から送り出し、転写位置Tを経てスタック位置まで搬送するシート搬送装置D1が配置されている。シート搬送装置D1は、後述する供給路R1、手差し供給路R2、及びシート搬送路Rを備えている。シート搬送路Rは、感光体10と転写装置13との間を通って図中の下から上へと伸びてから左に曲がる略L字状をなしている。
【0011】
そして、シート搬送路Rには、感光体10のシート搬送方向上流位置にレジストローラ21が配置されている。また、感光体10のシート搬送方向下流位置には、定着装置22が配置されている。定着装置22は、一対の定着ローラ(定着ローラ回転体)31,32を備えている。一方の定着ローラ31の内部には定着ヒータが配置され、他方の定着ローラ32の周囲には加圧スプリング、加圧アームが配置されている。この加圧スプリング、加圧アームにより、一方の定着ローラ31には、他方の定着ローラ32が押し当てられる。また、一方の定着ローラ31には、サーミスタ、及びサーモスタットが配置されている。
【0012】
そして、定着ヒータは、サーミスタにより定着ローラ31の温度を測定しつつ、サーモスタットにより定着ヒータをオン、またはオフすることにより、一方の定着ローラ31を所定の温度に保つ。
【0013】
定着装置22の更にシート搬送方向下流には、排出分岐爪34、排出ローラ35、第1加圧ローラ36、第2加圧ローラ37、腰付ローラ38が配置され、その先に、画像形成済みのシートをスタックする排出スタック部(排出位置)39が配置されている。
【0014】
現像装置12の図中左側には、レーザ書込装置47が配置されている。レーザ書込装置47は、レーザ光源、走査用の回転多面鏡48、ポリゴンモータ49、fθレンズ等の走査光学系50などを備えている。
【0015】
画像読取装置3は、光源53、複数のミラー54、結像用光学レンズ55、CCD等のイメージセンサ56などを備え、上面にはコンタクトガラス57が配置されている。
【0016】
原稿自動搬送装置5は、一端を画像読取装置3の上面一端にヒンジ構造の連結具により連結されている。原稿自動搬送装置5は、下面が、コンタクトガラス57の上面に載置される原稿用紙を上から押し付ける水平状態から、コンタクトガラス57の上面との傾き角度が例えば最大で90度開いた状態となるように開閉自在に設けられている。原稿自動搬送装置5は、原稿の載置位置に載置台5Aや、排出位置に排出台5Bを備えるほか、原稿などのシートを、載置台5Aから画像読取装置3のコンタクトガラス57上の読取位置を経て排出台5Bまで搬送する原稿搬送路を有するシート搬送装置を備えている。シート搬送装置は、原稿などのシートを搬送するシート搬送ローラ(シート搬送回転体)を複数個備えている。
【0017】
給紙装置4は、内部に、シートSの供給位置である用紙分離装置61を多段に備えている。各用紙分離装置61は、それぞれ対応してピックアップローラ(給送ローラ)62、フィードローラ(給送ローラ)63、リバースローラ(分離ローラ)64を備えている。多段に配置された用紙分離装置61の図中右側には画像形成装置本体2のシート搬送路Rへと通じる供給路R1が形成される。供給路R1は、シートを搬送するいくつかのシート搬送ローラ(シート搬送回転体)66を備えている。
【0018】
スイッチバック装置42は、画像形成装置本体2の図中右側面に配置されている。スイッチバック装置42は、シート搬送路Rの排出分岐爪34の位置から分岐するシート搬送装置D2を備えている。シート搬送装置D2は、一対のスイッチバックローラ43が配置されたスイッチバック位置44まで導く反転路R3と、スイッチバック位置44から、再びシート搬送路Rのレジストローラ21まで導く再搬送路R4とを有している。また、シート搬送装置D2は、シートを搬送する複数のシート搬送ローラ(シート搬送回転体)66を有している。本実施形態では、スイッチバック装置42は、後述する開閉部材71に取り付けられるよう構成されている。
【0019】
手差し給紙装置70は、画像形成装置本体2の図中右側面に配置されている。手差し給紙装置70は、ピックアップローラ(給送ローラ)67A、フィードローラ(給送ローラ)67B、リバースローラ(給送ローラ)67Cを備え、手差しトレイ72に積載されたシートSを画像形成装置本体2のシート搬送路Rに供給するものである。
【0020】
次に、複写機1の動作を説明する。
まず、この複写機1を用いてコピーを生成するには、メインスイッチをオンするとともに、原稿自動搬送装置5に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置5を開いて画像読取装置3のコンタクトガラス57上に直接原稿をセットし、原稿自動搬送装置5を閉じてそれで押える。
【0021】
そして、スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置5に原稿をセットしたときは、原稿をシート搬送ローラにより原稿搬送路を通して、コンタクトガラス57上へと移動してから画像読取装置3を駆動し、原稿内容を読み取って排出台上に排出する。一方、コンタクトガラス57上に直接原稿をセットしたときは直ちに画像読取装置3を駆動する。
【0022】
画像読取装置3が駆動を開始すると、光源53は、発光しつつコンタクトガラス57に沿って移動し光をコンタクトガラス57上の原稿面に照射する。複数のミラー54は、原稿面からの反射光を入光して結像用光学レンズ55に向かって反射する。結像用光学レンズ55は、この反射光をイメージセンサ56上で結像させる。これにより、イメージセンサ56は、原稿内容を読み取る。
【0023】
また、このとき同時に、感光体10が感光体駆動モータにより回転され、これに伴い、感光体表面が帯電ローラを用いた帯電装置11により一様に帯電され、次いでレーザ書込装置47が上述の画像読取装置3で読み取った原稿内容に応じてレーザ光を感光体表面に照射することにより、感光体表面に書込みが行われ、これにより、感光体10の表面に静電潜像が形成される。その後、感光体表面に形成された静電潜像部分が現像装置12に対向する時に感光体表面にトナーが吸着し、静電潜像が可視像化する。
【0024】
また、スタートスイッチを押したときに、給紙装置4中に多段に備える複数の用紙分離装置61の中、用紙サイズの選択信号に基づいて対応する用紙分離装置61が選択される。そして、この用紙分離装置61に対応するピックアップローラ62がこの用紙分離装置61内のシートSを1枚送り出す。リバースローラ64は、複数枚のシートSを送り出そうとするときに最上位の1枚のシートSを分離し、残りのシートSの搬送を阻止する。続いて、フィードローラ63がシートSを搬送しながら供給路R1に入れ、シート搬送ローラ66がシートSを引き続いて搬送しシート搬送路Rへ導き、レジストローラ21がシートSに当接しシートSの搬送を止める。そして、このレジストローラ21が、上述した感光体10の回転にタイミングを合わせて回転し、シートSを感光体10の右側へ送り込む。
【0025】
手差し給紙を行う場合には、手差し給紙装置70の手差しトレイ72を直立姿勢の閉鎖状態から、図1に示すような傾斜姿勢の開放状態へ移行し、その手差しトレイ72のシート載置面72B上にシートをセットする。スタートスイッチを押したときに、ピックアップローラ67Aがシートを1枚送り出し、引き続いてフィードローラ67Bがシートの送り出しを引き継ぐ。リバースローラ67Cは、複数枚のシートを送り出そうとするときに最上位の1枚のシートを分離し、残りのシートの搬送を阻止する。シート搬送ローラ66は、手差し供給路R2に供給されたシートを引き続き搬送してシート搬送路Rへと導く。以後は、上述した給紙装置4と同様に、レジストローラ21が感光体10の回転にタイミングを合わせて感光体10の右側へと送り込む。
【0026】
次いで、転写装置13は、感光体10の右側へと送り込んだシートSが転写位置Tに来た時に、シートSに感光体10上のトナー画像を転写して画像を形成する。クリーニング装置14が、画像転写後の感光体10上の残留トナーを除去・清掃し、次いで、除電装置が、感光体10上の残留電位を除去して帯電装置11からはじまる次の画像形成に備える。
【0027】
次いで、定着装置22は、上述したトナー画像が転写されたシートSを転写ベルト17により搬送して一対の定着ローラ31,32間を通し、定着位置で熱と圧力を加えて転写画像を定着する。定着が行われたシートSは、その後、第1加圧ローラ36、排出ローラ35、第2加圧ローラ37、腰付ローラ38を通過する過程において平面上とされ腰を付けられ、排出スタック部39上に排出され、そこにスタックされる。
【0028】
なお、シートSの両面に画像を転写する場合、排出分岐爪34を切り替える。そして、表面に画像を転写したシートSを、シート搬送路Rから反転路R3に入れ、シート搬送ローラ66により搬送してスイッチバック位置44へ入れ、そのスイッチバック位置44においてスイッチバックする。その後、シートを再搬送路R4に入れ反転して、シート搬送ローラ66により搬送して、再び、シート搬送路Rに導き、前述と同様にしてシートの裏面にも画像を転写する。
【0029】
図2は、手差し給紙装置70を示す外観斜視図である。
本実施形態の手差し給紙装置70は、図1に示すように、画像形成装置本体2に対して下部に回動支点71Aを持って上部が開閉する開閉部材71と、開閉部材71に対して下部に回動支点72Aを持って上部が開閉する手差しトレイ72とを備えている。また、手差し給紙装置70は、図2に示すように、画像形成装置本体2に開閉部材71を開閉可能に連結するリンク部材73を備えている。
【0030】
シート搬送路R、再搬送路R4に詰まったジャム・シートの除去や、画像形成装置本体2の内部のメンテナンス等を簡単に行うには、開閉部材71を傾斜姿勢の開放状態にしてシート搬送路Rや再搬送路R4を開放する。すなわち、手差し給紙装置70は、開閉部材71を直立姿勢の閉鎖状態から傾斜姿勢の開放状態にしてシート搬送路Rや再搬送路R4を開放することにより、ジャム・シートの除去や、メンテナンス等を簡単に行うことができる。
【0031】
また、手差し給紙装置70は、手差しトレイ72を図3に示すような直立姿勢の閉鎖状態から、図4に示すような傾斜姿勢の開放状態にして、手差しトレイ72のシート載置面72Bにシートを積載することにより、手差し用のシートをシート搬送路Rに供給することができる。
【0032】
図5は、本実施形態に係る手差しトレイ72の平面図である。
図6は、シートSが載置された状態の手差しトレイ72の平面図である。
シート保持装置である手差しトレイ72は、サイドフェンス74A,74B、ガイドレール75が設けられている。サイドフェンス74A,74Bは、シート載置面72Bの上方空間(シートSの積載空間)におけるシート幅方向(Y方向)に2つ設置されている。
【0033】
本実施形態の手差しトレイ72には、ガイド部材としてのガイドレール75が、シート幅方向(Y方向)に延在して設けられている。シートSを挟むようにシート幅方向両端部にそれぞれ設置された一対のサイドフェンス74A,74Bは、図7に示すように、ガイドレール75にはまり込むガイドピン74bを有している。このガイドピン74bがガイドレール75に案内されることで、サイドフェンス74A,74Bはガイドレール75に沿って、シートSの幅方向端部に対して接離する接離方向(シート幅方向)に手動で移動可能であり、シートSの幅方向のサイズに合わせて位置決めされる。すなわち、サイドフェンス74A,74Bは、シートSの幅方向の位置を規制するシート規制部材として機能する。
【0034】
本実施形態の手差しトレイにおいて、シート載置面72Bの上方空間(シートSの積載空間)におけるシート給送方向(X方向)の上流側に、エンドフェンスを設けてもよい。具体的には、例えば、手差しトレイ72にガイド部材としてのガイドレールをシート給送方向(X方向)に延在して設け、このガイドレールに沿ってエンドフェンスがシート給送方向に移動可能に設置する。エンドフェンスは、シート載置面72Bに載置されるシートSの給送方向のサイズに合わせて位置決めされる。すなわち、エンドフェンスは、シートSの給送方向の端部位置を規制するシート規制部材として機能する。
【0035】
本実施形態では、一対のサイドフェンス74A,74Bが連動して幅方向の間隔を増減するように構成されている。すなわち、一方のサイドフェンス74A,74Bが+Y方向に手動で移動されたとき、他方のサイドフェンス74B,74Aは-Y方向に連動して移動する。また、一方のサイドフェンス74A,74Bが-Y方向に手動で移動されたとき、他方のサイドフェンス74B,74Aが+Y方向に連動して移動する。
【0036】
なお、図5及び図6において、シートSの給送方向(シート搬送方向)はX方向であり、手差しトレイ72はY方向に挿脱できるとしたが、本発明はこれらの方向関係に限定されるものではない。
【0037】
図8は、本実施形態の手差しトレイ72におけるサイドフェンス74A,74Bの移動機構を示す平面図である。図9は、本実施形態の手差しトレイ72におけるサイドフェンス74A,74Bの移動機構を示す斜視図である。なお、図9においては、サイドフェンス74A,74Bを取り除いた状態が図示されている。
本実施形態におけるサイドフェンス74A,74Bの移動機構は、シートSの幅方向サイズが変わってもシートSの幅方向中央がシート載置面72Bの幅方向中央に一致させるように、一対のサイドフェンス74A,74Bが連動して移動する構成となっている。本実施形態では、サイドフェンス74A,74Bの移動機構として、ピニオン・ラック機構を用いている。
【0038】
具体的には、図8に示すように、各サイドフェンス74A,74Bにはそれぞれラック81A,81Bが設けられている。各ラック81A,81Bは、シート幅方向略中央に配置されているピニオン82を両側から挟み込むようにしてピニオンと噛み合っている。これにより、一方のサイドフェンス74A,74Bがシート幅方向へ移動されると、そのサイドフェンス74A,74Bのラック81A,81Bが連動してシート幅方向へ移動し、ピニオン82を回転させる。このピニオン82の回転によって他方のラック81B,81Aがシート幅方向に沿ってすれ違い方向へ移動し、これに連動して他方のサイドフェンス74B,74Aがシート幅方向へ移動する。
【0039】
本実施形態において、一方のラック81Aには、ギヤ(回転部材)84が噛み合っている。ギヤ84の回転軸84aは、ロータリーセンサー83のロータ(被検知部材)83aに形成されている係合孔83bに嵌め込まれて連結されている。ユーザーが例えばサイドフェンス74Aをシート幅方向へ移動させると、そのサイドフェンス74Aのラック81Aが連動してシート幅方向へ移動し、ラック81Aに噛み合っているギヤ84を回転させる。これにより、ギヤ84に連結されているロータリーセンサー83のロータ83aがギヤ84と一体的に回転し、ロータ83aの回転量がロータリーセンサー83によって検知される。このロータリーセンサー83の検知結果(ロータ83aの回転量)は、画像形成装置の制御部に送られ、例えば手差しトレイ72にセットされたシートSの幅方向サイズの判定に利用される。
【0040】
図10は、一方のサイドフェンス74Bに設けられる把持部74aをシート幅方向外側から見たときの拡大図である。
本実施形態の手差しトレイ72は、一方のサイドフェンス74Bに設けられる把持部74aをユーザーが把持して、サイドフェンス74A,74Bをシート幅方向Yに沿って移動させるものである。具体的には、例えば、図11(a)に示すように、一方のサイドフェンス74Bに設けられる把持部74aをユーザーの指でシート幅方向Yから挟みこむように把持し、サイドフェンス74A,74Bをシート幅方向Yに沿って移動させる。また、例えば、図11(b)に示すように、把持部74aのシート幅方向外側の面をユーザーの指で押すようにして、サイドフェンス74A,74Bをシート幅方向Yに沿って移動させてもよい。
【0041】
本実施形態の手差しトレイ72は、サイドフェンス74A,74Bが単一のガイドレール75によってガイドされる構成であって、図10等に示すように把持部74aがガイドレール75と重なる位置に配置されている。そのため、ユーザーが把持部74aを把持して一方のサイドフェンス74Bをシート幅方向Yへ移動させる際、当該一方のサイドフェンス74Bのガイドピン74bを中心とした回転モーメントが発生せず、又は当該回転モーメントが発生してもその大きさは小さいものである。そのため、一方のサイドフェンス74Bに設けられているガイドピン74bとガイドレール75との接触圧は比較的小さく、両者の摺動時における摩擦力は小さい。また、当該一方のサイドフェンス74Bに設けられているラック81Bは、おおよそ、その長手方向に沿って真っすぐに移動し、ラック81Bとピニオン82との適切な噛み合い状態が維持され、ピニオン82はスムーズに回転でき、ピニオン82から受ける移動負荷も小さい。したがって、当該一方のサイドフェンス74B及びこれに連動して移動する他方のサイドフェンス74Aは、スムーズに移動することができる。
【0042】
ところが、ユーザーが、図12(a)に示すように、一方のサイドフェンス74B上の把持部74aとは別の箇所をユーザーが把持して、あるいは、図12(b)に示すように、把持部74aとは別の箇所をユーザーが指で押すようにして、サイドフェンス74Bを移動させようとすることが考えられる。この場合、ユーザーが把持したり指で押したりする箇所は、ガイドレール75に嵌り込む当該一方のサイドフェンス74Bのガイドピン74bから給紙方向に大きくズレているため、そのガイドピン74bを中心とした大きな回転モーメントが発生する。そのため、一方のサイドフェンス74Bには、ガイドピン74bを中心に回転しようとする力が作用し、これにより、当該一方のサイドフェンス74Bのラック81Bがピニオン82に押し付けられ、その反力を受けて当該一方のサイドフェンス74Bのガイドピン74bとガイドレール75との接触圧が高まる。その結果、ガイドピン74bとガイドレール75との摩擦力が増大し、当該一方のサイドフェンス74及びこれに連動して移動する他方のサイドフェンス74Aは、スムーズに移動することができない。
【0043】
また、逆方向の回転モーメントが発生するような箇所をユーザーが把持したり指で押したりした場合にも、同様に、ガイドピン74bとガイドレール75との摩擦力が増大し、当該一方のサイドフェンス74及びこれに連動して移動する他方のサイドフェンス74Aは、スムーズに移動することができない。加えて、当該一方のサイドフェンス74Bは、そのラック81Bがピニオン82から離れる向きに回転しようとするので、ラック81Bとピニオン82との噛み合いが外れるおそれがあり、その場合、シートSをシート載置面72Bの幅方向中央に一致させることができなくなる。また、ロータリーセンサー83の検知結果から手差しトレイ72にセットされたシートSの幅方向サイズを適切に判定できなくなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、サイドフェンス74Bの把持部74a以外の箇所をユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させることが無いように、サイドフェンス74Bの構成を工夫している。
【0045】
図13(a)は、把持部74aを有するサイドフェンス74Bをシート幅方向外側から見たときの斜視図である。
図13(b)は、把持部74aを有するサイドフェンス74Bをシート幅方向内側から見たときの斜視図である。
図14は、把持部74aをシート給送方向に直交する面で切断した断面図である。
本実施形態のサイドフェンス74Bは、シート給送方向Xの中央付近に把持部74aを備えている。把持部74aにおいて、図14に示すように、シートSの端部と接する側の端面(以下「内側端面」という。)74a1は、シート載置面72Bの法線方向へ延びるシート規制面となっており、シート載置面72Bに積載されたシートの端部が把持部74aの内側端面74a1に当接することで、シートSの束の幅方向位置が規制される。
【0046】
一方、把持部74aの内側端面74a1とは反対側の端面(以下「外側端面」という。)74a2は、ユーザーの指が上下方向に滑りにくいように、上下方向に凹凸が連続した凹凸面となっている。また、把持部74aの外側端面74a2は、図7図13に示すように、シート載置面72Bの法線方向からみて凹形状となっている。これにより、ユーザーの指が水平方向にも滑りにくいようになっている。また、このような凹凸面や凹形状を備えていることで、ユーザーがこれを見て、当該把持部74aが、把持する場所であることを認識しやすく、サイドフェンス74Bの把持部74a以外の箇所をユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させることが抑制される。特に、図8に示すように、把持部74aの上面には、把持部の位置を強調表示するためにマーク74eがシルク印刷がされており、ユーザーが上方からサイドフェンス74Bを見たときに把持部74aの位置を認識しやすいように補助している。
【0047】
また、把持部74aは、シート給送方向上流側と下流側に隣接している非把持部74c,74dよりもシート載置面72Bからの高さが高くなるように形成されている。したがって、非把持部74c,74dよりも把持部74aの方がユーザーの指で把持しやすくなっている。逆に言えば、非把持部74c,74dは、把持部74aよりもシート載置面72Bからの高さが低いので、把持部74aよりもユーザーが把持しにくいものとなっている。よって、サイドフェンス74Bの把持部74a以外の箇所である非把持部74c,74dをユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させることが抑制される。
【0048】
しかも、本実施形態の非把持部74c,74dにおいて、シート幅方向Yの少なくとも一方の端面には、シート幅方向Yの外から内へ向けてシート載置面72Bからの高さが増大する傾斜面を有している。具体的には、把持部74aのシート給送方向下流側に隣接する非把持部74cは、図15に示すように、シート幅方向外側の端面に傾斜面74c2を有しており、把持部74aのシート給送方向上流側に隣接する非把持部74dは、図16に示すように、シート幅方向Yの両方の端面にそれぞれ傾斜面74d1,74d2を有している。これにより、当該傾斜面がシート載置面72Bに直交する平面である場合よりも、当該端面にユーザーの指が掛けにくくなる。
【0049】
これらの傾斜面74c2,74d1,74d2が、仮に、図15に示す非把持部74cのシート幅方向内側端面74c1のように、シート載置面72Bに直交する平面であった場合、ユーザーの指で当該平面をその法線方向から真っすぐに押して、サイドフェンス74Bを移動させることができる。そのため、ユーザーの指が当該平面上を滑ってしまうような事態は起こりにくく、非把持部74c,74dであっても、ユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させやすいものとなってしまう。
【0050】
これに対し、本実施形態のように傾斜面74c2,74d1,74d2になっている場合、ユーザーの指で押す方向(シート幅方向に平行な方向)が傾斜面74c2,74d1,74d2の法線方向に対して傾斜する。この場合、ユーザーの指と傾斜面とが摺動する方向の力が生じるので、ユーザーの指が当該傾斜面上を滑りやすい。これにより、ユーザーがサイドフェンス74Bの把持部74a以外の箇所である非把持部74c,74dを把持してサイドフェンス74Bを移動させようとしても、指が滑って、うまくサイドフェンス74Bを移動させることができない。その結果、当該非把持部74c,74dをユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させることが抑制される。
【0051】
特に、本実施形態の非把持部74c,74dの外側端面については、その端面全体が傾斜面74c2,74d2となっているので、その端面をユーザーの指でその法線方向から真っすぐに押せる部分が実質的に無い。したがって、より確実に、当該非把持部74c,74dをユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させることが抑制される。
【0052】
本実施形態における傾斜面74c2は、図15に示すように、シート幅方向Yにおいて、外から内へ向けて接線L1,L2とシート載置面72Bとのなす角度が小さくなる湾曲面である。このような湾曲面であれば、ユーザーの指との接触面積が小さくなり、更に指が滑りやすくなるので、非把持部74cをユーザーが把持してサイドフェンス74Bを移動させることが抑制される。非把持部74dについての傾斜面74d1,74d2も同様である。
【0053】
他方、本実施形態における非把持部74c,74dは、図15及び図16に示すように、その内側端面に、シート載置面72Bの法線方向へ延びるシート規制面74c1,74d3を有している。これにより、シート載置面72Bに積載されたシートSの端部が非把持部74c,74dの内側端面のシート規制面74c1,74d3に当接することで、シートSの束の幅方向位置を規制することができる。
【0054】
特に、本実施形態においては、把持部74aのシート給送方向下流側に隣接する非把持部74cでは、図15に示すように、その内側端面の全体がシート規制面74c1となっており、当該内側端面には傾斜面を有していない。この場合、当該非把持部74cをユーザーが把持したときに、当該シート規制面74c1を指でその法線方向から真っすぐに押すことができるので、ユーザーが当該非把持部74cを把持してサイドフェンス74Bを移動させることの抑制効果が低下する。
【0055】
しかしながら、ユーザーにとっては、通常、画像形成装置本体2の外壁面から突出する手差しトレイ72上のサイドフェンス74Bに対し、画像形成装置本体2の外壁面から遠い場所の方が操作しやすい。よって、把持部74aのシート給送方向下流側に隣接する非把持部74cは、手差しトレイ72における画像形成装置本体2に近い場所にあり、サイドフェンス74Bの中でもユーザーに操作されにくい場所に位置している。したがって、当該非把持部74cについては当該抑制効果が低下しても、全体的な抑制効果に対する影響が少ないものといえる。
【0056】
一方で、手差しトレイ72のシート載置面72Bに載置されるシートSの幅方向位置を規制するにあたっては、シートSの斜行防止等の観点からすると、シートSの給送方向下流側の位置規制が上流側の位置規制よりも重要度が高い。そのため、本実施形態では、把持部74aのシート給送方向下流側に隣接する非把持部74cについては、当該抑制効果が低下しても、位置規制を優先して、その内側端面の全体をシート規制面74c1とし、当該内側端面には傾斜面を有していない。
【0057】
また、把持部74aのシート給送方向上流側に隣接する非把持部74dについては、手差しトレイ72における画像形成装置本体2に遠い場所にあり、ユーザーに操作されやすい場所にある。したがって、当該非把持部74dについては、当該抑制効果が低下しないように、その内側端面の全体がシート規制面74d3ではなく、当該内側端面には傾斜面74d1を有している。この場合でも、ユーザーが当該非把持部74dを把持してサイドフェンス74Bを移動させることの抑制効果を考慮すれば、当該非把持部74dの内側端面のうち、高さ方向の半分以上は傾斜面74d1とするのが好ましい。なお、図17に示すように、当該非把持部74dの内側端面も、外側端面と同じく、その端面全体が傾斜面となるように形成してもよい。
【0058】
なお、本実施形態は、手差しトレイ72について説明したが、シートを保持するものであれば、手差しトレイ72に限らず、給紙装置4の用紙分離装置61におけるシート収容部、画像読取装置における原稿自動搬送装置5の載置台などにも、本発明は適用可能である。
【0059】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する
[第1態様]
第1態様は、シート載置面72B上に載置されたシートSの端部に対して接離する接離方向(例えばシート幅方向Y)へ移動可能なシート規制部材(例えばサイドフェンス74A,74B)の把持部74aをユーザーが把持して、該シート規制部材を移動させるシート保持装置(例えば手差しトレイ72)であって、前記把持部よりも前記シート載置面からの高さが低い前記シート規制部材の非把持部74c,74dは、前記接離方向における少なくとも一方の端面に、前記接離方向で外から内へ向けて前記シート載置面からの高さが増大する傾斜面74c2,74d1,74d2を有していることを特徴とするものである。
本態様において、シート規制部材の非把持部は、把持部よりもシート載置面からの高さが低いので、把持部よりもユーザーが把持しにくいものとなっている。これにより、シート規制部材の把持部以外の箇所である非把持部をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制される。
しかも、当該非把持部は、接離方向における少なくとも一方の端面に、接離方向において外から内へ向けてシート載置面からの高さが増大する傾斜面を有しているので、当該端面がシート載置面に直交する平面である場合よりも、当該端面にユーザーの指を掛けにくい。
仮に、当該傾斜面がシート載置面に直交する平面であった場合、ユーザーの指で当該平面をその法線方向から真っすぐに押して、シート規制部材を移動させることができる。そのため、ユーザーの指が当該平面上を滑ってしまうような事態は起こりにくく、非把持部であっても、ユーザーが把持してシート規制部材を移動させやすいものとなってしまう。これに対し、本態様のように前記接離方向における少なくとも一方の端面が傾斜面になっている場合、ユーザーの指で押す方向(接離方向に平行な方向)が傾斜面の法線方向に対して傾斜する。この場合、ユーザーの指と傾斜面とが摺動する方向の力が生じるので、ユーザーの指が当該傾斜面上を滑りやすい。これにより、ユーザーがシート規制部材の把持部以外の箇所である非把持部を把持してシート規制部材を移動させようとしても、指が滑って、うまくシート規制部材を移動させることができない。その結果、当該非把持部をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制される。
【0060】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記少なくとも一方の端面の全体が前記傾斜面であることを特徴とするものである。
本態様によれば、非把持部の端面をユーザーの指でその法線方向から真っすぐに押せる部分が実質的に無いので、より確実に、当該非把持部をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制される。
【0061】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記傾斜面は、前記接離方向で外から内へ向けて接線とシート載置面とのなす角度が小さくなる湾曲面であることを特徴とするものである。
本態様によれば、非把持部の端面とユーザーの指との接触面積が平坦な面の場合よりも小さくなり、更に指が滑りやすくなるので、非把持部をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制される。
【0062】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記非把持部は、前記接離方向における両方の端面に傾斜面を有していることを特徴とするものである。
本態様によれば、非把持部を両側から挟み込むユーザーのいずれの指も指が滑りやすくなるので、非把持部をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制される。
【0063】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記シート規制部材の接離方向は、シート搬送方向(例えばシート給送方向X)に対して直交する方向(例えばシート幅方向Y)であり、前記非把持部は、前記シート搬送方向に前記把持部を挟んで少なくとも2つ存在し、前記把持部よりもシート搬送方向上流側に位置する非把持部74dが、前記両方の端面に傾斜面74d1,74d2を有していることを特徴とするものである。
把持部のシート搬送方向上流側に隣接する非把持部は、一般に、把持部のシート搬送方向下流側に隣接する非把持部よりも、ユーザーに操作されやすい。本態様によれば、当該非把持部にはその両方の端面に傾斜面を有しているので、ユーザーに操作されやすい非把持部を把持しにくくできるので、ユーザーが把持してシート規制部材を移動させることを効果的に抑制できる。
【0064】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記非把持部は、前記シートの端部と接する側の端面に、前記シート載置面の法線方向へ延びるシート規制面74c1,74d3を有していることを特徴とするものである。
これにより、シート規制部材上における非把持部の箇所でも、シートの端部の位置規制が可能となる。
【0065】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記シート規制部材の接離方向は、シート搬送方向に対して直交する方向であり、前記非把持部は、前記シート搬送方向に前記把持部を挟んで少なくとも2つ存在し、前記把持部よりもシート搬送方向下流側に位置する非把持部74cが、前記シート規制面74c1を有していることを特徴とするものである。
上述したように、シート載置面に載置されるシートの幅方向位置を規制するにあたっては、シートの斜行防止等の観点からすると、シート搬送方向下流側の位置規制が上流側の位置規制よりも重要度が高い。本態様によれば、把持部のシート給送方向下流側に隣接する非把持部でシートの幅方向の位置規制ができる。
【0066】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記シート規制部材は、前記接離方向に延びる単一のガイド部材(例えばガイドレール75)にガイドされながら移動し、前記把持部は、前記単一のガイド部材と重なる位置に配置されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、上述したように、ユーザーが把持部を把持してシート規制部材を接離方向へ移動させる際、単一のガイド部材にガイドされるシート規制部材上の箇所(ガイドピン74b)を中心とした回転モーメントが発生せず、又は当該回転モーメントが発生してもその大きさは小さいものとなる。そのため、シート規制部材とガイド部材との接触圧は比較的小さく、両者の摺動時における摩擦力を小さく抑えることができる。したがって、ユーザーが把持部を把持してシート規制部材を移動させる場合には、シート規制部材をスムーズに移動させることができる。
【0067】
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様のいずれかにおいて、前記シート規制部材は、前記シート載置面上に載置されたシートの両端それぞれを規制するように2つ設けられており、当該2つのシート規制部材のうちの一方のシート規制部材の移動に連動して他方のシート規制部材を移動させる移動機構(例えばピニオン・ラック機構)を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、ユーザーは、一方のシート規制部材を移動させることで他方のシート規制部材も一緒に移動させることができる。
【0068】
[第10態様]
第10態様は、第1乃至第9態様のいずれかにおいて、前記把持部は、前記接離方向における少なくとも一方の端面が、前記シート載置面の法線方向からみて凹形状であることを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーが把持部を把持する際に、シート載置面に平行な方向に指が滑りにくくなる。また、ユーザーがこれを見て、当該把持部が、把持する場所であることを認識しやすく、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制される。
【0069】
[第11態様]
第11態様は、第1乃至10態様のいずれかにおいて、当該シート保持装置は手差しトレイであることを特徴とするものである。
手差しトレイは、様々なサイズのシートが入れ替わりで載置されることがおおく、シート規制部材をユーザーが移動させる頻度が高いので、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させてしまうことが多い。本態様によれば、このような手差トレイにおいて、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることを抑制できる。
【0070】
[第12態様]
第12態様は、シート保持装置(例えば手差しトレイ72)を備えた画像形成装置(例えば複写機1)であって、前記シート保持装置として、第1乃至11態様のいずれかのシート保持装置を用いたことを特徴とするものである。
本態様によれば、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制された画像形成装置を提供できる。
【0071】
[第13態様]
第13態様は、シート保持装置(例えば載置台5A)を備えた画像読取装置3であって、前記シート保持装置として、第1乃至11態様のいずれかシート保持装置を用いたことを特徴とするものである。
本態様によれば、シート規制部材の把持部以外の箇所をユーザーが把持してシート規制部材を移動させることが抑制された画像読取装置を提供できる。
【符号の説明】
【0072】
1 :複写機
2 :画像形成装置本体
3 :画像読取装置
4 :給紙装置
5 :原稿自動搬送装置
5A :載置台
70 :手差し給紙装置
72 :手差しトレイ
72A :回動支点
72B :シート載置面
74A,74B:サイドフェンス
74a :把持部
74a1 :内側端面
74a2 :外側端面
74b :ガイドピン
74c,74d:非把持部
74c1,74d3:シート規制面
74c2,74d1,74d2:傾斜面
74e :マーク
75 :ガイドレール
81A,81B:ラック
82 :ピニオン
83 :ロータリーセンサー
84 :ギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【文献】特許第4713451号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17