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特許7113070有機光電子素子用化合物、有機光電子素子および表示装置
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  • 特許-有機光電子素子用化合物、有機光電子素子および表示装置 図1
  • 特許-有機光電子素子用化合物、有機光電子素子および表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】有機光電子素子用化合物、有機光電子素子および表示装置
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/04 20060101AFI20220728BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20220728BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20220728BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20220728BHJP
   C07D 409/10 20060101ALI20220728BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20220728BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220728BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220728BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220728BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C07D405/04 CSP
C07D405/10
C07D405/14
C07D409/04
C07D409/10
C07D409/14
C09K11/06 690
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
H01L27/32
G09F9/30 365
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020505823
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2018008648
(87)【国際公開番号】W WO2019027212
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2017-0097839
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シン,チャン チュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,チャンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン スン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,トン ワン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ソンチェ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユナ
(72)【発明者】
【氏名】カン,トン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ウン ソン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ハンイル
(72)【発明者】
【氏名】チュン,スン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】チュン,ホ クク
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0351817(US,A1)
【文献】特開2015-131806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0260905(US,A1)
【文献】特表2016-534555(JP,A)
【文献】特表2015-520772(JP,A)
【文献】特表2020-525509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K
H01L
G09F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1A-a、化学式1A-b、化学式1A-cおよび化学式1A-dのうちのいずれか一つで表される、有機光電子素子用化合物(ただし、下記化合物296~298を除く)
【化1】

前記化学式1A-a、化学式1A-b、化学式1A-cおよび化学式1A-dで、
XはOまたはSであり、
乃至R 、R c3 およびRc4は、それぞれ独立して、水素、重水素、または非置換のC1乃至C30脂肪族炭化水素基であり、
乃至Lは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基であり、
乃至Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基である。
【化2】
【請求項2】
前記R乃至Rのうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、
ここで「置換」とは、少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C4脂肪族炭化水素基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フルオレンフェニル基、9-メチルフルオレン-9-イル基、9,9’-スピロフルオレニル基、9-フェニルフルオレン-9-フェニレン基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾナフトフラニル基またはベンゾナフトチオフェニル基である、請求項1に記載の有機光電子素子用化合物。
【請求項3】
下記グループ1に羅列された化合物から選択される、有機光電子素子用化合物:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】
【請求項4】
請求項1に記載の化学式1A-a、化学式1A-b、化学式1A-cおよび化学式1A-dのうちのいずれか一つで表される第1化合物、および
下記[化学式2]で表される化合物および下記[化学式3]で表されるモイエティと下記[化学式4]で表されるモイエティの組み合わせからなる化合物のうちの少なくとも1種の化合物を含む第2化合物
を含む有機光電子素子用組成物:
【化21】

前記化学式2で、
およびYは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
10乃至R15は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C20脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C50ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
mは0乃至2の整数のうちの一つであり;
【化22】

前記化学式3および4で、
およびYは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロアリーレン基またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
16乃至R19は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C20脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換のC6乃至C50アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C50ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式3の隣接した二つの*は、前記化学式4の二つの*と連結されて融合環を形成し、前記化学式3で融合環を形成しない*は、それぞれ独立して、CRであり、
は水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C10脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換のC6乃至C12アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C12ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり;
前記「置換」とは、少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C4脂肪族炭化水素基、C6乃至C18アリール基、またはC2乃至C18ヘテロアリール基で置換されたものを意味する。
【請求項5】
前記化学式2のArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のキナゾリル基、置換もしくは非置換のイソキナゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基またはこれらの組み合わせである、請求項に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項6】
前記化学式2は、下記グループIIIに羅列された構造のうちの一つであり、前記*-Y-Ar、および*-Y-Arは、下記グループIVに羅列された置換基のうちの一つである、請求項に記載の有機光電子素子用組成物:
【化23】

【化24】

前記グループIIIおよびグループIVで、*は連結地点である。
【請求項7】
前記化学式2は、前記グループIIIのC-8で表され、前記*-Y-Arおよび*-Y-Arは、それぞれ独立して、前記グループIVのB-1乃至B-4のうちのいずれか一つで表される、請求項に記載の有機光電子素子用組成物。
【請求項8】
前記化学式3で表されるモイエティと前記化学式4で表されるモイエティの組み合わせからなる化合物は、下記化学式3-I乃至3-Vのうちの少なくとも一つで表される、請求項に記載の有機光電子素子用組成物:
【化25】

前記化学式3-I乃至3-Vで、YおよびYは単一結合、フェニレン基、ビフェニレン基、ピリジレン基、またはピリミジレン基であり、
ArおよびArは置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、
16乃至R19は水素である。
【請求項9】
互いに向き合う陽極と陰極、そして
前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも一層の有機層を含み、
前記有機層は、請求項1乃至のいずれか一項に記載の有機光電子素子用化合物または請求項乃至のいずれか一項に記載の有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子。
【請求項10】
前記有機層は、発光層を含み、
前記発光層は、前記有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含む、請求項に記載の有機光電子素子。
【請求項11】
前記有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物は、前記発光層のホストとして含まれる、請求項10に記載の有機光電子素子。
【請求項12】
前記有機層は、発光層;および
電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも一つの補助層をさらに含み、
前記補助層は、前記有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含む、請求項10に記載の有機光電子素子。
【請求項13】
請求項12に記載の有機光電子素子を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機光電子素子用化合物、有機光電子素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectric diode)とは、電気エネルギーと光エネルギーとを相互変換することができる素子である。
【0003】
有機光電子素子は、動作原理に応じて大きく2種類に分けることができる。一つは、光エネルギーにより形成されたエキシトン(exciton)が電子と正孔に分離され、前記電子と正孔がそれぞれ異なる電極に伝達されて電気エネルギーを発生する光電素子であり、他の一つは、電極に電圧または電流を供給して電気エネルギーから光エネルギーを発生する発光素子である。
【0004】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)などが挙げられる。
【0005】
このうち、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)は、近年、平板表示装置(flat panel display device)の需要増加に伴って大きく注目されている。前記有機発光素子は、有機発光材料に電流を加えて電気エネルギーを光に変換させる素子であって、通常、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に有機層が挿入された構造からなる。ここで有機層は、発光層と選択的に補助層を含むことができ、前記補助層は、例えば有機発光素子の効率と安全性を高めるための正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも1層を含むことができる。
【0006】
有機発光素子の性能は、前記有機層の特性により影響を多く受け、その中でも前記有機層に含まれている有機材料により影響を多く受けている。
【0007】
特に、前記有機発光素子が大型の平板表示装置に適用されるためには、正孔および電子の移動性を高めると同時に、電気化学的安全性を高めることができる有機材料の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態は、高効率および長寿命の有機光電子素子を実現することができる有機光電子素子用化合物を提供する。
【0009】
他の実施形態は、前記化合物を含む有機光電子素子を提供する。
【0010】
また他の実施形態は、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1Aで表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1Aで、
XはO、SまたはCRであり、
乃至R、R、R、Rc3およびRc4は、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1乃至C30シリル基、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であり、
乃至Lは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基であり、
乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1乃至C30シリル基、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、または置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基であり、
乃至Rのうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、
前記「置換」とは、少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C10アルキル基、C6乃至C30アリール基、またはC2乃至C20ヘテロ環基で置換されたものを意味する。
【0014】
また他の実施形態によれば、互いに向き合う陽極と陰極、そして前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも一層の有機層を含み、前記有機層は、前述した有機光電子素子用化合物を含む有機光電子素子を提供する。
【0015】
また他の実施形態によれば、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
高効率および長寿命の有機光電子素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態による有機発光素子を示した断面図である。
図2】一実施形態による有機発光素子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0019】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1乃至C30アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1乃至C40シリル基、C1乃至C30アルキル基、C1乃至C10アルキルシリル基、C6乃至C30アリールシリル基、C3乃至C30シクロアルキル基、C3乃至C30ヘテロシクロアルキル基、C6乃至C30アリール基、C2乃至C30ヘテロアリール基、C1乃至C20アルコキシ基、C1乃至C10トリフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されたものを意味する。
【0020】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれる位置に化学結合が描かれていない場合は、前記位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0021】
本発明の一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C30アルキル基、C1乃至C10アルキルシリル基、C6乃至C30アリールシリル基、C3乃至C30シクロアルキル基、C3乃至C30ヘテロシクロアルキル基、C6乃至C30アリール基、C2乃至C30ヘテロアリール基で置換されたものを意味する。また、本発明の具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C20アルキル基、C6乃至C30アリール基、またはC2乃至C30ヘテロアリール基で置換されたものを意味する。また、本発明のより具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C5アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、トリフェニル基、フルオレニル基、融合フルオレニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフランピリミジニル基、ベンゾチオフェンピリミジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基またはカルバゾリル基で置換されたものを意味する。また、本発明の最も具体的な一例で、「置換」は、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、メチル基、エチル基、プロパニル基、ブチル基、フェニル基、ナフチル基、para-ビフェニル基、meta-ビフェニル基、ortho-ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基(フルオレンフェニル基、9-メチルフルオレン-9-イル基、9-フェニルフルオレン-9-フェニレン基など)、融合フルオレニル基(9,9’-スピロフルオレニル基など)、ピリミジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾフランピリミジニル基、ベンゾチオフェンピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基またはジベンゾチオフェニル基で置換されたものを意味する。
【0022】
本明細書で「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、一つの作用基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1乃至3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0023】
本明細書で「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基はいかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であってもよい。
【0024】
前記アルキル基は、C1乃至C30アルキル基であってもよい。より具体的にアルキル基は、C1乃至C20アルキル基またはC1乃至C10アルキル基であってもよい。例えば、C1乃至C4アルキル基は、アルキル鎖に1乃至4個の炭素原子が含まれるものを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルからなる群より選択されるものを示す。
【0025】
前記アルキル基は、具体的な例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0026】
本明細書で「アリール(aryl)基」は、炭化水素芳香族モイエティを一つ以上有するグループを総括する概念であり、
炭化水素芳香族モイエティの全ての元素がp-オービタルを有し、これらのp-オービタルが共役(conjugation)を形成している形態、例えばフェニル基、ナフチル基などを含み、
2以上の炭化水素芳香族モイエティがシグマ結合を通じて連結された形態、例えばビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などを含み、
2以上の炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に融合された非芳香族融合環も含むことができる。例えば、フルオレニル基などが挙げられる。
【0027】
アリール基は、モノサイクリック、ポリサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を共有する環)作用基を含む。
【0028】
本明細書で「ヘテロ環基(heterocyclic group)」とは、ヘテロアリール基を含む上位概念であり、アリール基、シクロアルキル基、これらの融合環またはこれらの組み合わせのような環化合物内に炭素(C)の代わりにN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1個を含有するものを意味する。前記ヘテロ環基が融合環である場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1個以上含むことができる。
【0029】
一例として「ヘテロアリール(heteroaryl)基」とは、アリール基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも一つを含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基は、シグマ結合を通じて直接連結されたり、前記ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに融合されてもよい。前記ヘテロアリール基が融合環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1乃至3個含むことができる。
【0030】
前記ヘテロ環基は、具体的な例る挙げると、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ベンゾフランピリミジニル基、ベンゾチオフェンピリミジニル基などを含むことができる。
【0031】
より具体的に、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp-ターフェニル基、置換もしくは非置換のm-ターフェニル基、置換もしくは非置換のo-ターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
【0032】
より具体的に、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基は、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のアザトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のベンゾフランピリミジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェンピリミジニル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
【0033】
本明細書で、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成することができる特性をいい、HOMO準位に応じて伝導特性を有して陽極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の陽極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0034】
また電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けることができる特性をいい、LUMO準位に応じて伝導特性を有して陰極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の陰極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0035】
以下、一実施形態による有機光電子素子用化合物を説明する。
【0036】
有機光電子素子用化合物としては、下記化学式1および化学式2の組み合わせで表されたものであってもよい。
【0037】
【化2】
【0038】
前記化学式1および化学式2で、
XはO、SまたはCRであり、
*、a*、a*およびa*のうち、隣接した二つはCであり、*bおよび*bとの結合地点であり、
*、a*、a*およびa*のうち、*bおよび*bと結合されない二つは、それぞれ独立して、CRであり、
乃至R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1乃至C30シリル基、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であり、
乃至Lは、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基であり、
乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1乃至C30シリル基、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、または置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基であり、
乃至Rのうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、
前記「置換」とは、少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C10アルキル基、C6乃至C30アリール基、またはC2乃至C20ヘテロ環基で置換されたものを意味する。本発明の一実施例で、追加のベンゾ環の融合地点により前記化学式1および化学式2の組み合わせで表される化合物は、例えば下記化学式1Aで表されてもよい。前記化学式1Aで表される化合物は、後述する第1有機光電子素子用化合物であってもよい。
【0039】
【化3】
【0040】
前記化学式1Aの場合、下記化学式1BよりT1 energy levelが約0.11eV以上高く、母体に置換基が置換された場合、T1 energy levelがより下がることを考慮する時、Green素子適用時に低いT1 energy levelにより前記化学式1Bは前記化学式1Aより低い効率を示すことができる。
【0041】
【化4】
【0042】
化学式1A T1 energy level:2.700eV
化学式1B T1 energy level:2.589eV
前記化学式1Aおよび化学式1Bで、X、R乃至R、L乃至L、およびR乃至Rの定義は前述したとおりであり、Rc1、Rc2、Rc3およびRc4は前述したRの定義と同意義である。
【0043】
本発明の具体的な一例で、前記「置換」とは、少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C4アルキル基、またはC6乃至C18アリール基で置換されたものを意味することができ、より具体的に少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C4アルキル基、フェニル基、ナフチル基、para-ビフェニル基、meta-ビフェニル基、ortho-ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基(フルオレンフェニル基、9-メチルフルオレン-9-イル基、9-フェニルフルオレン-9-フェニレン基など)、融合フルオレニル基(9,9’-スピロフルオレニル基など)、ピリミジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾフランピリミジニル基、ベンゾチオフェンピリミジニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基またはジベンゾチオフェニル基で置換されたものを意味することができる。
【0044】
本発明による有機光電子素子用化合物は、融合ジベンゾフラン、融合ジベンゾチオフェンまたは融合フルオレニルコアに少なくとも2個のNを含有するヘテロ環が導入された材料であって、前記少なくとも2個のNを含有するヘテロ環が特に追加融合されたベンゾ環で置換されることによって、相対的にT1 energy levelを調節して、特に燐光Redに適したエネルギーレベルを有するようにすることができ、これは駆動電圧を下げることができ、長寿命および高効率の素子を実現することができる。
【0045】
本発明の具体的な一実施例で、前記R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、または置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基であり、
前記R乃至Rのうちの少なくとも一つは、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基であってもよい。
【0046】
より具体的な一実施例で、前記R乃至Rのうちのいずれか一つが置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、残りは水素、重水素、シアノ基、置換もしくは非置換のC1乃至C30シリル基、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよい。
【0047】
最も具体的な一実施例で、前記Rが置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、前記R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよく、
前記Rが置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、前記R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよく、
前記Rが置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、前記R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよく、
前記Rが置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であり、前記R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよい。
【0048】
例えば前記化学式1Aは、下記化学式1A-a、化学式1A-b、化学式1A-cおよび化学式1A-dのうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0049】
【化5】
【0050】
前記化学式1A-a、化学式1A-b、化学式1A-c、化学式1A-dで、X、R乃至R、L乃至LおよびR乃至Rの定義は前述したとおりであり、Rc3およびRc4は前述したRの定義と同意義である。
【0051】
本発明の具体的な一実施例で、前記R乃至Rのうちのいずれか一つが置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基である場合、前記置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基は、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフランピリミジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェンピリミジニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基または置換もしくは非置換のアザトリフェニレニル基であってもよく、
より具体的な一実施例で、前記置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基は、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基または置換もしくは非置換のトリアジニル基であってもよい。
【0052】
例えば、前記置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基は、置換もしくは非置換のトリアジニル基であってもよい。
【0053】
一例として前記R乃至Rのうちのいずれか一つが置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基である場合、これは下記グループIに羅列された置換基から選択されるものであってもよい。
【0054】
【化6】
【0055】
前記グループIで、R’およびR”は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基または置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基である。前記グループIで、R’およびR”は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基またはトリフェニレン基であってもよく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基またはターフェニル基が好ましい。前記グループIで、R’およびR”は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基である場合、ジベンゾフラニル基またはジベンゾチオフェニル基が好ましい。本発明の具体的な一実施例で、前記R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、または置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基であってもよく、
より具体的な一実施例で、前記Rは水素であり、前記R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、または置換もしくは非置換のC1乃至C20アルキル基であってもよく、
例えば、前記R乃至Rは全て水素であってもよい。
【0056】
本発明の具体的な一実施例で、前記R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C30アルキル基、または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基であってもよく、
より具体的な一実施例で、前記RおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1乃至C20アルキル基、または置換もしくは非置換のC6乃至C20アリール基であり、前記Rは水素、重水素、または置換もしくは非置換のC1乃至C20アルキル基であってもよく、
例えば、前記RおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のイソプロピル基、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であり、前記Rは水素であってもよい。
【0057】
一方、前記Rc1乃至Rc4は前述したRの定義と同意義である。
【0058】
本発明の具体的な一実施例で、前記L乃至Lは、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換のC6乃至C20アリーレン基であってもよく、例えば単一結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のビフェニレン基であってもよく、
より具体的な一実施例で、前記L乃至Lは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のビフェニレン基であってもよい。
【0059】
一例として前記フェニレン基またはビフェニレン基は、下記グループIIに羅列された連結基から選択されてもよい。
【0060】
【化7】
【0061】
前記グループIIで、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基または置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基である。
【0062】
本発明の最も具体的な一実施例による有機光電子素子用化合物は、前記化学式1A-bまたは化学式1A-cで表されてもよく、
前記XはOまたはSであり、
前記R乃至Rは、それぞれ独立して、水素であり、
前記LおよびLは、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基であり、
前記RおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であってもよい。
【0063】
前記化学式1および化学式2の組み合わせで表される有機光電子素子用化合物(第1有機光電子素子用化合物)は、例えば、下記グループ1に羅列された化合物から選択されてもよいが、これに限定されるのではない。
【0064】
【化8】
【0065】
【化9】
【0066】
【化10】
【0067】
【化11】
【0068】
【化12】
【0069】
【化13】
【0070】
【化14】
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】
【化17】
【0074】
【化18】
【0075】
【化19】
【0076】
【化20】
【0077】
【化21】
【0078】
【化22】
【0079】
【化23】
【0080】
【化24】
【0081】
【化25】
【0082】
前述した有機光電子素子用化合物は、単独でまたは他の有機光電子素子用化合物と共に有機光電子素子に適用されてもよい。前述した有機光電子素子用化合物が他の有機光電子素子用化合物と共に使用される場合、組成物の形態で適用されてもよい。
【0083】
また、本発明は第1化合物として前記で言及した「[化学式1A]で表された化合物(第1有機光電子素子用化合物)」および第2化合物(第2有機光電子素子用化合物)として「下記の[化学式2]で表される化合物および[化学式3]で表されるモイエティと下記[化学式4]で表されるモイエティの組み合わせからなる化合物のうちの少なくとも1種の化合物」を含む有機光電子素子用組成物を提供する。
【0084】
【化26】
【0085】
前記化学式2で、
およびYは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
10乃至R15は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C50ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
mは0乃至2の整数のうちの一つであり;
【0086】
【化27】
【0087】
前記化学式3および4で、
およびYは、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロアリーレン基またはこれらの組み合わせであり、
ArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C30ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
16乃至R19は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C50アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C50ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
前記化学式3の隣接した二つの*は、前記化学式4の二つの*と連結されて融合環を形成し、前記化学式3で融合環を形成しない*は、それぞれ独立して、CRであり、
は水素、重水素、置換もしくは非置換のC1乃至C10アルキル基、置換もしくは非置換のC6乃至C12アリール基、置換もしくは非置換のC2乃至C12ヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり;
前記「置換」とは、少なくとも一つの水素が重水素、C1乃至C4アルキル基、C6乃至C18アリール基、またはC2乃至C18ヘテロアリール基で置換されたものを意味する。
【0088】
本発明の一実施例で、前記化学式2のYおよびYは、それぞれ独立して、単一結合、または置換もしくは非置換のC6乃至C18アリーレン基であってもよい。
【0089】
本発明の一実施例で、前記化学式2のArおよびArは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のキナゾリル基、置換もしくは非置換のイソキナゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0090】
本発明の一実施例で、前記化学式2のR10乃至R15は、それぞれ独立して、水素、重水素、または置換もしくは非置換のC6乃至C12アリール基であってもよい。
【0091】
本発明の一実施例で、前記化学式2のmは0または1であってもよい。
【0092】
本発明の具体的な一実施例で、前記化学式2は、下記グループIIIに羅列された構造のうちの一つであり、前記*-Y-Ar、および*-Y-Arは、下記グループIVに羅列された置換基のうちの一つであってもよい。
【0093】
【化28】
【0094】
【化29】
【0095】
前記グループIIIおよびグループIVで、*は連結地点である。
【0096】
具体的に、前記化学式2は、前記グループIIIのC-8で表され、前記*-Y-Ar、および*-Y-Arは、前記グループIVのB-1乃至B-4のうちのいずれか一つで表されてもよい。
【0097】
より具体的に、前記*-Y-Ar、および*-Y-Arは、前記グループIVのB-2、B-3およびこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0098】
前記化学式2で表される第2有機光電子素子用化合物は、例えば、下記グループ2に羅列された化合物であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0099】
【化30】
【0100】
【化31】
【0101】
【化32】
【0102】
【化33】
【0103】
【化34】
【0104】
本発明の一実施例で、前記化学式3で表されるモイエティと下記化学式4で表されるモイエティの組み合わせからなる第2有機光電子素子用化合物は、下記化学式3-I乃至3-Vのうちの少なくとも一つで表されてもよい。
【0105】
【化35】
【0106】
前記化学式3-I乃至3-Vで、Y、Y、Ar、Ar、およびR16乃至R19は前述したとおりである。
【0107】
本発明の一実施例で、前記化学式3-I乃至3-VのYおよびYは、単一結合、フェニレン基、ビフェニレン基、ピリジレン基、またはピリミジニレン基であってもよい。
【0108】
本発明の一実施例で、前記化学式3-I乃至3-VのArおよびArは、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、または置換もしくは非置換のトリアジニル基であってもよい。
【0109】
本発明の一実施例で、前記化学式3-I乃至3-VのR16乃至R19は、水素であってもよい。
【0110】
前記化学式3で表されるモイエティと前記化学式4で表されるモイエティの組み合わせからなる第2有機光電子素子用化合物は、例えば、下記グループ3に羅列された化合物であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0111】
【化36】
【0112】
【化37】
【0113】
前記第2有機光電子素子用化合物は、前記第1有機光電子素子用化合物と共に発光層に使用されて電荷の移動性を高め、安全性を高めることによって発光効率および寿命特性を改善させることができる。また前記第2有機光電子素子用化合物と前記第1有機光電子素子用化合物の比率を調節することによって電荷の移動性を調節することができる。
【0114】
また、前記第1有機光電子素子用化合物と第2有機光電子素子用化合物は、例えば、約1:9乃至9:1、2:8乃至8:2、3:7乃至7:3、4:6乃至6:4、そして5:5の重量比で含まれてもよく、具体的に1:9乃至8:2、1:9乃至7:3、1:9乃至6:4、1:9乃至5:5の重量比で含まれてもよく、より具体的に、2:8乃至7:3、2:8乃至6:4、そして2:8乃至5:5の重量比で含まれてもよい。また、3:7乃至6:4、そして3:7乃至5:5の重量比で含まれてもよく、最も具体的に3:7乃至4:6または5:5の重量比で含まれてもよい。
【0115】
前記有機光電子素子用組成物は、グリーンまたはレッド有機発光素子のホストとして用いられてもよい。
【0116】
前記有機光電子素子用化合物または組成物は、1種以上の有機化合物をさらに含むことができる。
【0117】
前記有機光電子素子用化合物または組成物は、ドーパントをさらに含むことができる。前記ドーパントは、赤色、緑色または青色のドーパントであってもよい。
【0118】
前記ドーパントは、微量混合されて発光を起こす物質であり、一般に三重項状態以上に励起させる多重項励起(multiple excitation)により発光する金属錯体(metal complex)のような物質が用いられてもよい。前記ドーパントは、例えば、無機、有機、有機-無機化合物であってもよく、1種または2種以上が含まれてもよい。
【0119】
前記ドーパントの一例として燐光ドーパントが挙げられ、燐光ドーパントの例としてはIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。前記燐光ドーパントは、例えば下記化学式Zで表される化合物を用いることができるが、これに限定されるのではない。
【0120】
【化38】
【0121】
前記化学式Zで、Mは金属であり、LおよびXは互いに同一または異なり、Mと錯化合物を形成するリガンドである。
【0122】
前記Mは、例えばIr、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pdまたはこれらの組み合わせであってもよく、前記LおよびXは、例えばバイデンテートリガンドであってもよい。
【0123】
以下、前述した有機光電子素子用化合物を適用した有機光電子素子を説明する。
【0124】
また他の実施形態による有機光電子素子は、互いに向き合う陽極と陰極、そして前記陽極と前記陰極の間に位置する少なくとも一層の有機層を含み、前記有機層は、前述した有機光電子素子用化合物を含むことができる。
【0125】
一例として前記有機層は、発光層を含み、前記発光層は、本発明の有機光電子素子用化合物を含むことができる。
【0126】
具体的に、前記有機光電子素子用化合物は、前記発光層のホスト、例えばグリーンホストまたはレッドホストとして含まれてもよい。
【0127】
また、前記有機層は、発光層;および電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも一つの補助層を含み、前記補助層は、前記有機光電子素子用化合物を含むことができる。
【0128】
前記有機光電子素子は、電気エネルギーと光エネルギーを相互転換することができる素子であれば特に限定されず、例えば有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0129】
ここでは有機光電子素子の一例である有機発光素子を図面を参照して説明する。
【0130】
図1および図2は、一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【0131】
図1を参照すると、一実施形態による有機光電子素子100は、互いに向き合う陽極120と陰極110、そして陽極120と陰極110の間に位置する有機層105を含む。
【0132】
陽極120は、例えば正孔注入が円滑に行われるように仕事関数が高い導電体で作られてもよく、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。陽極120は、例えばニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnOとAlまたはSnOとSbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0133】
陰極110は、例えば電子注入が円滑に行われるように仕事関数が低い導電体で作られてもよく、例えば金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。陰極110は、例えばマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金;LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caのような多層構造物質が挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0134】
有機層105は、前述した有機光電子素子用化合物を含む発光層130を含む。
【0135】
図2は、他の実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【0136】
図2を参照すると、有機発光素子200は、発光層130以外に正孔補助層140をさらに含む。正孔補助層140は、陽極120と発光層130の間の正孔注入および/または正孔移動性を一層高め、電子を遮断することができる。正孔補助層140は、例えば正孔輸送層、正孔注入層および/または電子遮断層であってもよく、少なくとも1層を含むことができる。
【0137】
図1または図2の有機層105は、図示していないが、電子注入層、電子輸送層、電子輸送補助層、正孔輸送層、正孔輸送補助層、正孔注入層またはこれらの組み合わせ層を追加的にさらに含むことができる。本発明の有機光電子素子用化合物は、これらの有機層に含まれてもよい。有機発光素子100、200は、基板上に陽極または陰極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法;またはスピンコーティング(spin coating)、浸漬法(dipping)、流動コーティング法(flow coating)のような湿式成膜法などで有機層を形成した後、その上に陰極または陽極を形成して製造することができる。
【0138】
前述した有機発光素子は、有機発光表示装置に適用され得る。
【実施例
【0139】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は本発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0140】
以下、実施例および合成例で使用された出発物質および反応物質は、特別な言及がない限り、Sigma-Aldrich社またはTCI社で購入したり、公知の方法を通じて合成した。
【0141】
≪有機光電子素子用化合物の製造≫
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物を下記段階を通じて合成した。
【0142】
<第1有機光電子素子用化合物>
(合成例1:化合物71の合成)
【0143】
【化39】
【0144】
丸底フラスコに2-ベンゾフラニルボロン酸(2-Benzofuranylboronic acid)21.95g(135.53mmol)、2-ブロモ-5-クロロベンズアルデヒド(2-bromo-5-chlorobenzaldehyde)26.77g(121.98mmol)、Pd(OAc) 2.74g(12.20mmol)、NaCO 25.86g(243.96mmol)をアセトン(Acetone)200mlおよび蒸溜水220mlに懸濁させた後、12時間常温で攪拌した。反応終了後、濃縮してメチレンクロライド(Methylene Chloride)で抽出して有機層をシリカゲルカラム(Silicagel columm)して目的化合物である化合物A 21.4g(Yield 68%)を獲得した。
【0145】
【化40】
【0146】
反応式1で合成した化合物A 20.4g(79.47mmol)と(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド「(methoxymethyl)triphenylphosphonium chloride)]29.97g(87.42mmol)をTHF400mlに懸濁させた後、カリウムtert-ブトキシド(Potassium tert-Butoxide)10.70g(95.37mmol)を加えた後、12時間常温で攪拌した。反応終了後、蒸溜水400mlを添加した後に抽出し、有機層を濃縮した後、メチレンクロライド(Methylene Chloride)で再抽出し、有機層を硫酸マグネシウム(Magnesium Sulfate)を添加した後、30分攪拌した後、フィルター(Filter)して濾液を濃縮した。濃縮した濾液に再びメチレンクロライド(Methylene Chloride)100mlを加えた後、メタンスルホン酸(Methanesulfonic acid)10mlを添加した後、1時間攪拌した。
【0147】
反応終了後、生成された固体をフィルター(filter)し、蒸溜水およびメチルアルコール(Methyl Alcohol)で乾燥して目的化合物である化合物B 21.4g(65% Yield)を獲得した。
【0148】
【化41】
【0149】
反応式2で合成した化合物B 12.55g(49.66mmol)、Pd(dppf)Cl 2.43g(2.98mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン[Bis(pinacolato)diboron]15.13g(59.60mmol)、KOAc 14.62g(148.99mmol)、P(Cy) 3.34g(11.92mmol)をDMF200mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌した。反応終了後、蒸溜水200mlを添加して生成された固体をフィルター(Filter)し、メチレンクロライド(Methylene Chloride)で抽出して有機層をHexane:EA=4:1(v/v)でカラムして目的化合物である化合物C 13g(76% Yield)を獲得した。
【0150】
【化42】
【0151】
丸底フラスコに化合物D 22.09g(64.27mmol)、3-クロロフェニルボロン酸(3-Chlorophenylboronic acid)10.05g(64.27mmol)、Pd(PPh 0.74g(0.64mmol)、KCO 17.77g(128.54mmol)をTHF400mlおよび蒸溜水200mlに懸濁させた後、12時間還流攪拌した。反応終了後、常温で冷却させた後、メチルアルコール(Methyl Alcohol)300mlを添加した後、生成された固体をフィルター(filter)し、蒸溜水およびメチルアルコール(Methyl Alcohol)で洗浄した。前記固体をトルエン(Toluene)400mlに入れて加熱して溶解し、シリカゲルフィルター(Silicagel Filter)して濾液を濃縮した後、生成された固体をアセトン(Acetone)100mlで30分間攪拌した後、フィルター(Filter)して目的化合物である化合物E 23.98g(89% Yield)を獲得した。
【0152】
【化43】
【0153】
丸底フラスコに化合物F 14g(39.21mmol)、3-クロロフェニルボロン酸(3-Chlorophenylboronic acid )6.74g(43.13mmol)、Pd(PPh 1.36g(1.18mmol)、KCO 10.84g(78.42mmol)をTHF400mlおよび蒸溜水200mlに懸濁させた後、反応式4と同様な方法で合成して目的化合物である化合物G 15.5g(91% yield)を獲得した。
【0154】
【化44】
【0155】
反応式3で合成した化合物C 5.24g(15.21mmol)と反応式5で合成した化合物G 7.78g(17.94mmol)、Pd(dba)0.24g(0.41mmol)、CsCO9.01g(27.66mmol)およびP(t-Bu) 0.28g(1.38mmol)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)100mlに懸濁させた後、12時間間還流させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物71 5.57g(50% Yield)を獲得した。
【0156】
LC-Mass(理論値:615.68g/mol、測定値:M+=616.4g/mol)。
【0157】
(合成例2:化合物73の合成)
【0158】
【化45】
【0159】
反応式3で合成した化合物C 6.11g(17.75mmol)と反応式4で合成した化合物E 7g(16.13mmol)、Pd(dba)0.28g(0.48mmol)、CsCO10.51g(32.27mmol)およびP(t-Bu)0.33g(1.61mmol)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)100mlに懸濁させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物73 6.1g(63% Yield)を獲得した。
【0160】
LC-Mass(理論値:601.69g/mol、測定値:M+=602.5g/mol)。
【0161】
(合成例3:化合物78の合成)
【0162】
【化46】
【0163】
反応式3で合成した化合物C 4.68g(13.60mmol)と化合物H 4.76g(11.34mmol)、Pd(PPh 0.39g(0.34mmol)およびKCO3.13g(22.67mmol)をTHF60mlおよび蒸溜水30mlに懸濁させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物78 6.0g(88% Yield)を獲得した。
【0164】
LC-Mass(理論値:601.69g/mol、測定値:M+=602.4g/mol)。
【0165】
(合成例4:化合物113の合成)
【0166】
【化47】
【0167】
反応式3で合成した化合物C 11.42g(33.19mmol)と化合物I 12g(27.66mmol)、Pd(PPh 0.96g(0.83mmol)およびKCO7.64g(55.31mmol)をTHF140mlおよび蒸溜水70mlに懸濁させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物113 14g(82% Yield)を獲得した。
【0168】
LC-Mass(理論値:615.68g/mol、測定値:M+=616.2g/mol)。
【0169】
(合成例5:化合物116の合成)
【0170】
【化48】
【0171】
反応式3で合成した化合物C 15.23g(44.24mmol)と化合物J 5.0g(22.12mmol)、Pd(PPh 1.28g(1.11mmol)およびKCO12.23g(88.47mmol)をTHF110mlおよび蒸溜水55mlに懸濁させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物116 10g(77% Yield)を獲得した。
【0172】
LC-Mass(理論値:589.64g/mol、測定値:M+=590.6g/mol)。
【0173】
(合成例6:化合物20の合成)
【0174】
【化49】
【0175】
丸底フラスコに2-ベンゾフラニルボロン酸(2-Benzofuranylboronic acid)23.25g(143.53mmol)、2-ブロモ-3-クロロベンズアルデヒド(2-bromo-3-chlorobenzaldehyde)30g(136.70mmol)、Pd(OAc)3.07g(13.67mmol)およびNaCO28.98g(273.40mmol)をアセトン(Acetone)200mlおよび蒸溜水220mlに懸濁させた後、12時間常温で攪拌した。反応終了後、濃縮してメチレンクロライド(Methylene Chloride)で抽出して有機層をシリカゲルカラム(Silicagel columm)して目的化合物である化合物N 11.3g(Yield 32%)を獲得した。
【0176】
【化50】
【0177】
化合物N 11.3g(39.68mmol)を用いたことを除き、反応式2と同様な方法で合成して目的化合物である化合物O 8.16g(Yield 81.6%)を獲得した。
【0178】
【化51】
【0179】
化合物O 8.16g(31.73mmol)を用いたことを除き、反応式3と同様な方法で合成して目的化合物である化合物P 7.3g(Yield:66.8%)を獲得した。
【0180】
【化52】
【0181】
化合物P 6.03g(17.80mmol)を用いたことを除き、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物20 6.2g(Yield:60.7%)を獲得した。
【0182】
LC-Mass(理論値:601.69g/mol、測定値:M+=602.52g/mol)。
【0183】
(合成例7:化合物57の合成)
【0184】
【化53】
【0185】
丸底フラスコに2-ベンゾフラニルボロン酸(2-Benzofuranylboronic acid)23.25g(143.53mmol)、2-ブロモ-4-クロロベンズアルデヒド(2-bromo-4-chlorobenzaldehyde)30g(136.70mmol)、Pd(OAc)3.07g(13.67mmol)およびNaCO28.98g(273.40mmol)をアセトン(Acetone)200mlおよび蒸溜水220mlに懸濁させた後、12時間常温で攪拌した。反応終了後、濃縮してメチレンクロライド(Methylene Chloride)で抽出して有機層をシリカゲルカラム(Silicagel columm)して目的化合物である化合物Q 20.87g(Yield 57%)を獲得した。
【0186】
【化54】
【0187】
化合物Q 20.87g(81.31mmol)を用いたことを除き、反応式2と同様な方法で合成して目的化合物である化合物R 11.3g(Yield:54%)を獲得した。
【0188】
【化55】
【0189】
化合物R 11.3g(43.93mmol)を用いたことを除き、反応式3と同様な方法で合成して目的化合物である化合物S 9.7g(Yield:64.7%)を獲得した。
【0190】
【化56】
【0191】
化合物S 6.03g(17.50mmol)を用いたことを除き、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である化合物57 7.01g(Yield:66.6%)を獲得した。
【0192】
LC-Mass(理論値:601.69g/mol、測定値:M+=602.53g/mol)。
【0193】
(比較合成例1:比較化合物1の合成)
【0194】
【化57】
【0195】
化合物K 5.00g(14.53mmol)と化合物H 6.10g(14.53mmol)、Pd(PPh 0.50g(0.44mmol)およびKCO4.02g(29.05mmol)をTHF100mlおよび蒸溜水50mlに懸濁させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である比較化合物1 8.0g(80% Yield)を獲得した。
【0196】
LC-Mass(理論値:601.69g/mol、測定値:M+=602.4g/mol)。
【0197】
(比較合成例2:比較化合物2の合成)
【0198】
【化58】
【0199】
丸底フラスコに中間体K 7.0g(20.33mmol)、中間体L 8.40g(19.37mmol)、Pd(dba)0.33g(0.58mmol)、CsCO12.62g(38.74mmol)およびP(t-Bu) 0.39g(1.93mmol)を1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)100mlに懸濁させた後、反応式5と同様な方法で合成して目的化合物である比較化合物2 4.51g(38% Yield)を獲得した。
【0200】
LC-Mass(理論値:615.68g/mol、測定値:M+=616.5g/mol)。
【0201】
<有機発光素子の作製>
〈緑色発光素子〉
(実施例1)
ITO(Indium tin oxide)が1500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を蒸溜水超音波で洗浄した。蒸溜水洗浄が終わるとイソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを利用して前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着器に基板を移送した。このように準備されたITO透明電極を陽極として用いてITO基板上部に化合物Aを真空蒸着して700Åの厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層上部に化合物Bを50Åの厚さに蒸着した後、化合物Cを1020Åの厚さに蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層上部に合成例1の化合物71および化合物B-99をホストとして用い、ドーパントとしてトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)[Ir(ppy)]10wt%にドーピングして真空蒸着で400Åの厚さの発光層を形成した。ここで化合物71と化合物B-99は3:7重量比で用いられ、下記の実施例の場合、別途に比率を記述した。次に前記発光層上部に化合物DとLiqを同時に1:1比率で真空蒸着して300Åの厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層上部にLiq 15ÅとAl 1200Åを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって有機発光素子を作製した。
【0202】
前記有機発光素子は、5層の有機薄膜層を有する構造からなっており、具体的に次のとおりである。
【0203】
ITO/化合物A(700Å)/化合物B(50Å)/化合物C(1020Å)/EML[化合物71:化合物B-99:Ir(ppy)](400Å)/化合物D:Liq(300Å)/Liq(15Å)/Al(1200Å)の構造で作製した。
【0204】
化合物A:N4,N4’-diphenyl-N4,N4’-bis(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)biphenyl-4,4’-diamine
化合物B:1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylene-hexacarbonitrile(HAT-CN)
化合物C:N-(biphenyl-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine
化合物D:8-(4-(4,6-di(naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazin-2-yl)phenyl)quinolone
(実施例2)
発光層の化合物を化合物71の代わりに化合物73を用いたことを除き、実施例1と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0205】
(実施例3)
発光層の化合物を化合物71の代わりに化合物20を用いたことを除き、実施例1と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0206】
(実施例4)
発光層の化合物を化合物71の代わりに化合物57を用いたことを除き、実施例1と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0207】
(比較例1乃至2)
発光層の化合物を化合物71の代わりに比較化合物1、比較化合物2をそれぞれ用いたことを除き、実施例1と同様な方法で比較例1および比較例2の有機発光素子を作製した。
【0208】
〈赤色発光素子〉
(実施例5)
ITO(Indium tin oxide)が1500Åの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を蒸溜水超音波で洗浄した。蒸溜水洗浄が終わるとイソプロピルアルコール、アセトン、メタノールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、プラズマ洗浄機に移送させた後、酸素プラズマを利用して前記基板を10分間洗浄した後、真空蒸着器に基板を移送した。このように準備されたITO透明電極を陽極として用いてITO基板上部に化合物Aを真空蒸着して700Åの厚さの正孔注入層を形成し、前記注入層上部に化合物Bを50Åの厚さに蒸着した後、化合物Cを1020Åの厚さに蒸着して正孔輸送層を形成した。正孔輸送層上部に合成例1の化合物71と化合物B-99をホストとして用い、ドーパントとして[Ir(piq)acac]を5wt%にドーピングして真空蒸着で400Åの厚さの発光層を形成した。化合物71と化合物B-99は3:7重量比で用いられ、次に前記発光層上部に化合物DとLiqを同時に1:1比率で真空蒸着して300Åの厚さの電子輸送層を形成し、前記電子輸送層上部にLiq 15ÅとAl 1200Åを順次に真空蒸着して陰極を形成することによって有機発光素子を作製した。
【0209】
前記有機発光素子は、5層の有機薄膜層を有する構造からなっており、具体的に次のとおりである。
化合物A:N4,N4’-diphenyl-N4,N4’-bis(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)biphenyl-4,4’-diamine
化合物B:1,4,5,8,9,11-hexaazatriphenylene-hexacarbonitrile (HAT-CN)
化合物C:N-(biphenyl-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine
化合物D: 8-(4-(4,6-di(naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazin-2-yl)phenyl)quinoline
(実施例6乃至11)
発光層の化合物を化合物71の代わりに下記表2に記載されたホストを用いたことを除き、実施例5と同様な方法で実施例6乃至11の有機発光素子をそれぞれ作製した。
【0210】
(実施例12)
発光層の化合物を化合物71および化合物E-46をホストとして用いたことを除き、実施例5と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0211】
(比較例3)
発光層の化合物を化合物71の代わりに比較化合物1を用いたことを除き、実施例5と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0212】
(比較例4)
発光層の化合物を比較化合物1および化合物E-46を用いたことを除き、実施例5と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0213】
≪評価≫
前記実施例1乃至12および比較例1乃至4による有機発光素子の発光効率および寿命特性を評価した。具体的な測定方法は下記のとおりであり、その結果は表1および表2のとおりである。
【0214】
(1)電圧変化に応じた電流密度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流-電圧計(Keithley 2400)を利用して単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0215】
(2)電圧変化に応じた輝度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs-1000A)を利用してその時の輝度を測定して結果を得た。
【0216】
(3)発光効率の測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を利用して同一の電流密度(10mA/cm)の電流効率(cd/A)を計算した。
【0217】
(4)寿命の測定
製造された有機発光素子に対してPolarOnyx寿命測定システムを用いて実施例1乃至12および比較例1乃至4の素子を初期輝度(cd/m)を18000cd/mに発光させ、時間経過による輝度の減少を測定して初期輝度に対して97%に輝度が減少した時点をT97寿命と測定した。
【0218】
(5)駆動電圧の測定
電流-電圧計(Keithley 2400)を利用して15mA/cmで各素子の駆動電圧を測定して結果を得た。
【0219】
【表1】
【0220】
表1を参照すると、実施例1乃至実施例4による有機発光素子は、比較例1および比較例2による有機発光素子と比較して発光効率および寿命特性が共に同時に改善され、特に寿命、効率の面で向上したことを確認できる。
【0221】
【表2】
【0222】
表2を参照すると、実施例5乃至実施例12による有機発光素子は、比較例3および比較例4による有機発光素子と比較して発光効率および寿命特性が共に同時に改善され、特に寿命の面で顕著に向上したことを確認できる。
【0223】
本発明は、前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に実施可能であることを理解するはずである。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0224】
100、200:有機発光素子
105:有機層
110:陰極
120:陽極
130:発光層
140:正孔補助層
図1
図2