(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】位置指定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04812 20220101AFI20220729BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220729BHJP
【FI】
G06F3/04812
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2018003145
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-12-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】張 玉武
(72)【発明者】
【氏名】小松 浩一
(72)【発明者】
【氏名】石山 拓
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-044605(JP,A)
【文献】特開2000-267808(JP,A)
【文献】特開2009-193423(JP,A)
【文献】特表2010-536082(JP,A)
【文献】特開2012-203432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04812
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルディスプレイに表示された画面内の位置をタッチ入力により指定する位置指定方法であって、
前記タッチパネルディスプレイに対する接触位置の検知を開始したときの接触位置である初期接触位置を取得するステップと、
前記初期接触位置に応じた位置に位置表示カーソルを表示するステップと、
前記接触位置が前記初期接触位置から移動し、
ユーザが前記初期接触位置を視認可能となる前記初期接触位置から
の距離に達するまで、前記接触位置の検知が継続する間、前記初期接触位置に応じた位置に前記位置表示カーソルを表示するとともに、前記接触位置が前記初期接触位置から移動し、
ユーザが前記初期接触位置を視認可能となる前記初期接触位置から
の距離に達するまでに前記接触位置の検知が終了した場合、位置指定を行わずに前記位置表示カーソルの表示を終了するステップと、
前記接触位置が前記初期接触位置から移動し、
ユーザが前記初期接触位置を視認可能となる前記初期接触位置から
の距離に達した以後、前記接触位置の検知が継続する間、前記接触位置が前記初期接触位置から移動し、
ユーザが前記初期接触位置を視認可能となる前記初期接触位置から
の距離に達したときの前記位置表示カーソルと前記接触位置との相対的位置関係を維持するように、前記接触位置の移動に追随させて前記位置表示カーソルを表示するとともに、前記接触位置が前記初期接触位置から移動し、
ユーザが前記初期接触位置を視認可能となる前記初期接触位置から
の距離に達した以後に位置指定確定操作を検知した場合、前記位置指定確定操作を検知したときに前記位置表示カーソルが表示されている位置を指定位置とするステップと、
を備えることを特徴とする位置指定方法。
【請求項2】
前記初期接触位置に応じた位置は、前記初期接触位置であることを特徴とする請求項1に記載の位置指定方法。
【請求項3】
前記接触位置が前記初期接触位置から移動し、
ユーザが前記初期接触位置を視認可能となる前記初期接触位置から
の距離に達する前と達した以後とで、異なる態様で前記位置表示カーソルを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の位置指定方法。
【請求項4】
前記位置指定確定操作は、前記接触を終了する操作であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置指定方法。
【請求項5】
コンピュータに請求項1から4の何れか1項に記載の位置指定方法を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイに表示された画面内の位置をタッチ入力により指定する位置指定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物(以下、「ワーク」という)を撮像して得られる画像を用いて、ワークの寸法や形状を測定及び評価する測定装置として画像測定機が用いられる。画像測定機では、撮像したワークの画像に含まれる測定対象図形のエッジ情報(位置座標など)を取得し、エッジ情報に基づいてワークの形状や寸法の評価を行う。
【0003】
ところで、近年、タッチパネルディスプレイの普及に伴い、ディスプレイなどに触れることで操作できる直感的に使いやすいユーザインタフェースとして、いわゆるタッチインタフェースが広く利用されるようになってきており、画像測定機にも応用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
タッチインタフェースは、直感的な操作を可能とする反面、表示画面内の細かな位置を指定しようとした場合には、ユーザの意図した位置を正確に指定することが困難である。すなわち、マウスをはじめとする従来の入力手段では、表示画面内の位置を指定する場合、マウス等を用いて画面内に表示されるカーソルを移動させ、意図した位置に正確にカーソルを合わせて位置を指定することができる。これに対して、タッチインタフェースでは、通常、指やペン先によりディスプレイに接触している領域の重心を指定した位置とする。この接触している領域の重心は、ユーザからは指やペン先の裏に隠れて見えないので、ユーザは自らが指定している位置を正確に知ることができず、意図した位置を正確に指定することは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題に鑑みて、本発明は、指によるタッチ入力で正確な位置指定を可能とする位置指定方法およびプログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の位置指定方法は、タッチパネルディスプレイに対する接触位置の検知を開始したときの接触位置である初期接触位置を取得するステップと、前記初期接触位置に応じた位置に位置表示カーソルを表示するステップと、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達するまでに、前記接触位置の検知が継続する間、前記初期接触位置に応じた位置に前記位置表示カーソルを表示するとともに、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達するまでに前記接触位置の検知が終了した場合、位置指定を行わずに前記位置表示カーソルの表示を終了するステップと、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達した以後、前記接触位置の検知が継続する間、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達したときの前記位置表示カーソルと前記接触位置との相対的位置関係を維持するように、前記接触位置の移動に追随させて前記位置表示カーソルを表示するとともに、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達した以後に位置指定確定操作を検知した場合、前記位置指定確定操作を検知したときに前記位置表示カーソルが表示されている位置を指定位置とするステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成により、位置表示カーソルにより示される位置を視認できるため、正確に位置を指定することができる。また、接触位置と初期接触位置の距離が所定距離に達しないと、指定位置を取得しないので、意図せぬ接触による不要な位置指定を防ぐことができる。
【0009】
本発明では、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達する前と、前記接触位置が前記初期接触位置から所定距離に達した以後とで、異なる態様で前記位置表示カーソルを表示するとよい。また、本発明では、位置指定確定操作は、前記接触を終了する操作とするとよい。
【0010】
本発明のプログラムは、コンピュータに上記いずれかの位置指定方法を実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】コンピュータシステムの機能ブロック図を示す。
【
図3】タッチパネルディスプレイに表示される表示画面の例を示す。
【
図5】
図5(a)及び(b)は画面(第1ウィンドウW1)を指でタッチしたときの様子を模式的に示す。
【
図6】
図6(a)及び(b)は、接触位置CPを初期接触位置P1から少し移動させたときの様子を模式的に示す。
【
図7】初期接触位置P1から接触位置CPまでの距離が所定距離に達したときの画面の表示例をユーザの指とともに示す。
【
図8】
図7の状態からさらに接触位置CPを移動させたときの画面の表示例をユーザの指とともに示す。
【
図9】位置指定確定操作を検知した後の画面の表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0013】
〔画像測定機の構成〕
図1は、画像測定機の全体構成の一例を示している。画像測定機1は、ステージ100と、筐体110と、コンピュータシステム140とを備える。ステージ100は、その上面が水平面と一致するように配置され、当該上面にワークWが載置される。ステージ100は、ハンドル101及び102の回転操作により、X軸方向及びY軸方向に移動可能とされる。筐体110は、透過照明や落射照明などの照明装置を含む光学系や撮像素子を内包するとともに、ハンドル112の回転操作により筐体110自身を光学系及び撮像素子とともにZ軸方向に移動可能とする。
【0014】
コンピュータシステム140は、ステージ100や筐体110を制御してワークWの撮像画像を取得したり、ユーザに操作環境を提供したりする。コンピュータシステム140は、例えばコンピュータ本体141、キーボード142、マウス143、及びタッチパネルディスプレイ144を備える。コンピュータ本体141は、制御ボード等の回路(ハードウェア)及びCPUで実行されるプログラム(ソフトウェア)によってステージ100や筐体110の動作を制御する。また、コンピュータ本体141は、ステージ100や筐体110から出力される信号に基づきワークWの情報を取得・演算し、演算結果をタッチパネルディスプレイ144に表示する処理を行う。キーボード142及びマウス143は、コンピュータ本体141に対する入力手段である。タッチパネルディスプレイ144は、コンピュータ本体が出力する画像を表示する表示手段として機能するほか、画面に対する接触による操作を検出しコンピュータ本体141に入力する入力手段としても機能する。
【0015】
図2はコンピュータシステム140の機能ブロック図を示している。コンピュータシステム140の機能ブロックとしては、CPU(Central Processing Unit)211、インタフェース212、出力部213、入力部214、主記憶部215及び副記憶部216が設けられる。
【0016】
CPU211は、各種プログラムの実行によって各部を制御する。インタフェース212は、例えば、ステージ100や筐体110から送られる情報をコンピュータシステム140に取り込む、コンピュータシステム140から情報をステージ100や筐体110へ送る、コンピュータシステム140をLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)に接続する等の役割を持つ、外部機器との情報入出力を行う部分である。
【0017】
出力部213は、コンピュータシステム140で処理した結果を出力する。出力部213は、例えば、
図1に示すタッチパネルディスプレイ144や、プリンタなどが用いられる。入力部214は、オペレータから情報を受け付ける。入力部214には、例えば、
図1に示すキーボード142、マウス143、タッチパネルディスプレイ144などが用いられる。また、入力部214は、記録媒体MMに記録された情報を読み取る機能を含む。
【0018】
主記憶部215には、例えばRAM(Random Access Memory)が用いられる。主記憶部215の一部として、副記憶部216の一部が用いられてもよい。副記憶部216には、例えばHDD(Hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)が用いられる。副記憶部216は、ネットワークを介して接続された外部記憶装置であってもよい。
【0019】
〔画面表示〕
次に、コンピュータ本体141のCPU211で実行されるプログラム(測定用アプリケーションソフトウェア)によってタッチパネルディスプレイ144に映し出される画面表示について説明する。
【0020】
図3は、プログラムの実行によってタッチパネルディスプレイ144に表示される表示画面の例を示す図である。
図3に示したように、タッチパネルディスプレイ144にはメインウィンドウMWが表示される。また、メインウィンドウMWの中には複数のウィンドウ(第1ウィンドウW1~第8ウィンドウW8)が表示される。メインウィンドウMWの上側には、メニューや各種操作及び設定のためのアイコンも表示される。なお、本実施形態では一例として8つのウィンドウを表示する例を示すが、必要に応じて8つ以外のウィンドウ表示を行うこともできる。また、各ウィンドウのレイアウトはユーザの操作によって自由に変更することができる。
【0021】
第1ウィンドウW1には、画像測定機1で取り込んだワークWの画像WGが表示される。ユーザは、例えば、マウス143でアイコンを選択したり、タッチパネルディスプレイ144における第1ウィンドウW1の表示領域に対し二本の指による接触位置の間隔を狭めたり広げたりする操作(いわゆるピンチアウト/ピンチイン)をしたりすることにより、ワークWの画像WGを拡大/縮小することができる。また、タッチパネルディスプレイ144における第1ウィンドウW1の表示領域に触れた状態で指を滑らせる操作(いわゆるスワイプ)により、第1ウィンドウW1に表示させるワークWの画像WGの位置を調整することができる。
【0022】
第2ウィンドウW2には、ユーザによって選択可能なツールのアイコンが表示される。ツールのアイコンは、ワークWの画像WGから測定ポイントを指定するための指定方法に対応して設けられている。
【0023】
第3ウィンドウW3には、ユーザによって選択可能なファンクションのアイコンが表示される。ファンクションのアイコンは、測定方法ごとに設けられている。測定方法としては、例えば、1点の座標を測定する方法、直線の長さを測定する方法、円形を測定する方法、楕円形を測定する方法、角穴を測定する方法、長穴を測定する方法、ピッチを測定する方法、2つの線の交差を測定する方法などが挙げられる。
【0024】
第4ウィンドウW4には、測定に関する操作手順を表すガイダンスや、操作ステップに対応した絵柄が表示される。
【0025】
第5ウィンドウW5には、ワークWに照射する照明をコントロールするための各種スライダが表示される。ユーザは、このスライダを操作することで、ワークWに対して所望の照明を当てることができる。
【0026】
第6ウィンドウW6には、ステージ100のXY座標値が表示される。第6ウィンドウW6に表示されるXY座標値は、所定の原点に対するステージ100のX軸方向の座標及びY軸方向の座標である。
【0027】
第7ウィンドウW7には、公差判定結果が表示される。すなわち、第7ウィンドウW7には、公差の判定を行うことができる測定方法を選択した場合に、その結果が表示される。
【0028】
第8ウィンドウW8には、測定結果が表示される。すなわち、第8ウィンドウW8には、所定の演算によって測定結果を得る測定方法が選択された場合に、その測定結果が表示される。なお、第7ウィンドウW7の公差判定結果及び第8ウィンドウW8の測定結果の表示の詳細は図示を省略する。
【0029】
〔位置指定処理〕
続いて、コンピュータシステム140が実行するプログラムにより実現される、位置指定処理について説明する。
図4は、位置指定処理のフローチャートを示している。位置指定処理は、ユーザが第1ウィンドウW1内をタッチしたことに応じて、処理が開始される。なお、処理が開始されると、コンピュータシステム140は、接触位置を継続的に取得して、スライド操作や離す操作を認識する。
【0030】
処理が開始されると、コンピュータシステム140は、ユーザが最初にタッチした第1ウィンドウW1の位置を初期接触位置として取得(ステップS100)し、初期接触位置に位置指定カーソルを表示する(ステップS110)。
【0031】
続いて、コンピュータシステム140は、初期接触位置から接触位置までの距離が、所定距離に達しているか否かを判定する(ステップS120)。初期接触位置から接触位置までの距離が所定距離に達していない場合(ステップS120;No)、コンピュータシステム140は、接触位置が検知できるか否か(つまり、接触が終了しているか否か)を判定する(ステップS180)。ここで、所定距離は、初期接触位置に接触した指やペンなどをその距離だけ移動させることで初期接触位置がユーザから十分に視認できるようになる程度の距離とするとよく、例えば2cm程度とするとよい。接触位置が検知できない場合(ステップS180;Yes)、コンピュータシステム140は、位置指定カーソルを非表示とし(ステップS190)、指定位置を取得することなく処理を終了する。一方、ステップS180において接触位置が検知できる場合(ステップS180;No)には、処理をステップS120に戻す。したがって、コンピュータシステム140は、接触位置を検知できる限り、接触位置が所定距離に達するまで、ステップS120とステップS180とを繰り返し実行する。
【0032】
一方、ステップS120において、初期接触位置から接触位置までの距離が所定距離に達した場合(ステップS120;Yes)、コンピュータシステム140は、位置指定カーソルの表示態様を変更する(ステップS130)。位置指定カーソルの表示態様を変更することにより、初期接触位置からの接触位置の移動量が所定距離に達したことをユーザに知らせることができる。後述するように、初期接触位置から接触位置までの距離が所定距離に達した以後は、コンピュータシステム140は、所定の位置指定確定操作を検知することに応じて指定位置を取得できるようなる。そこで、初期接触位置からの接触位置の移動量が所定距離に達していないときの位置指定カーソルの表示態様を「非有効状態」、初期接触位置からの接触位置の移動量が所定距離に達した以後の位置指定カーソルの表示態様を「有効状態」と呼ぶ。
【0033】
続いて、コンピュータシステム140は、検知する接触位置の更なる移動に応じて、初期接触位置から接触位置までの距離が所定距離に達したときの位置指定カーソルと接触位置との相対的な位置関係を維持するように、位置指定カーソルを接触位置に追随させて移動する(ステップS140)。
【0034】
続いて、コンピュータシステム140は、位置指定確定操作を検知したか否かを判定する(ステップS150)。「位置指定確定操作」とは、位置指定カーソルが表示されている位置を指定位置としてコンピュータシステム140に取得させるための特定の操作を指し、本例では、接触を終了する(つまり画面に触れていた指を離す)操作とする。位置指定確定操作を検知していない場合(ステップS150;No)、コンピュータシステム140は、処理をステップS140に戻す。したがって、コンピュータシステム140は、位置指定確定操作を検知するまで、ステップS140とステップS150とを繰り返し実行して、接触位置に追随させて位置指定カーソルを移動させ続ける。一方、ステップS150において、位置指定確定操作を検知した場合(S150;Yes)、コンピュータシステム140は、位置指定確定操作を検知したときの位置指定カーソルの表示位置を指定位置として取得(ステップS160)する。そして、コンピュータシステム140は、第1ウィンドウW1内における指定位置に、指定位置を示すマークを表示して(ステップS170)、処理を終了する。
【0035】
続いて、表示画面の例を示す参照しつつ、本実施形態の位置指定方法の具体例を説明する。
図5(a)及び(b)は画面(第1ウィンドウW1)を指でタッチしたときの様子を模式的に示している。
図5(a)は、画面を指でタッチしたときにユーザに見えるタッチパネルディスプレイ144の画面と操作する手を示しており、
図5(b)は、画面を指でタッチしたときの画面の表示例をタッチする指の仮想線とともに示している。コンピュータシステム140は、ユーザが画面を指やペンでタッチすることに応じて、位置指定処理を開始する。コンピュータシステム140は、接触を検知した領域の重心を初期接触位置P1として認識し、この初期接触位置P1に位置指定カーソルCSを表示する。本例では、位置指定カーソルCSは、初期接触位置P1で交差する十字マークと初期接触位置P1を中心とする円とで構成される。この円は、画面に指やペンが接触した状態でも視認できる大きさとするとよく、例えば、直径3cm程度とするとよい。このような位置指定カーソルCSの構成とすることで、ユーザの指などで接触位置が隠れた状態でも位置指定カーソルCSの一部をユーザが視認できるとともに、コンピュータシステム140が検知している接触位置については十字マークの交差位置として明確に表示することができる。
【0036】
図6(a)及び(b)は、接触位置CPを初期接触位置P1から少し移動させたときの様子を模式的に示している。なお、このときの初期接触位置P1から接触位置CPまでの距離は、所定距離未満である。
図6(a)は、ユーザに見えるタッチパネルディスプレイ144の画面と操作する手を示しており、
図6(b)は、画面の表示例をタッチする指の仮想線とともに示している。初期接触位置P1から現在の接触位置CPまでの距離が所定距離未満である間、コンピュータシステム140は、
図6に示したように位置指定カーソルCSを初期接触位置P1に表示し続ける。なお、コンピュータシステム140は、
図5または
図6の状態で接触が検知できなくなると(つまり、ユーザが画面から指を離すと)、位置指定カーソルCSを非表示として、指定位置処理を終了する(
図4におけるステップS190に相当)。
【0037】
図7は、初期接触位置P1から接触位置CPまでの距離が所定距離に達したときの画面の表示例をユーザの指とともに示している。コンピュータシステム140は、初期接触位置P1から接触位置CPまでの距離が所定距離に達したことを検知すると、位置指定カーソルCSの表示態様を変更する。このときの表示態様の変更例としては、変更の前後でその変化をユーザが視認できれば如何なるものでもよいが、例えば、変更前よりも変更後に位置指定カーソルCSの円を太くするといったように、変更前よりも変更後に視認性が高まるような変更とすることが好ましい。
【0038】
図8は、
図7の状態からさらに接触位置CPを移動させたときの画面の表示例をユーザの指とともに示している。なお、
図8において、
図7の状態での位置指定カーソルを仮想的に破線で示した。
図8に示したように、コンピュータシステム140は、初期接触位置P1から接触位置CPまでの距離が所定距離に達したときの位置指定カーソルCSと接触位置CPとの相対的な位置関係を維持するように、位置指定カーソルCSを接触位置CPに追随させて移動する。つまり、
図7に示したように、初期接触位置P1から接触位置CPまでの距離が所定距離に達したときに、接触位置CPが初期接触位置P1の右下に位置している場合(つまり、位置指定カーソルCSが接触位置CPの左上に表示されている)場合には、それ以後さらに接触位置CPを移動させると、位置指定カーソルCSは、接触位置CPに触れている指等で隠されることなく、常に接触位置CPの左上に表示される。
【0039】
図9は、位置指定確定操作(本例では、接触の終了)を検知した後の画面の表示例を示している。所望の位置に位置指定カーソルCSが表示されるように、ユーザが接触位置CPを移動させて、位置指定確定操作を行うと(つまり、指等を画面から離すと)、これに応じて、コンピュータシステム140は、位置指定確定操作が行われたときに位置指定カーソルCSが表示されていた位置を指定位置として取得するとともに、位置指定カーソルCSを非表示とする。そして、画面内の取得した指定位置に、指定位置を示すマークM(例えば×(バツ)印)を表示して、処理を終了する。
【0040】
このようにして、タッチパネルディスプレイ144での操作に適したタッチパネルディスプレイの位置指定方法およびプログラムを実現することができる。特に、指やスタイラスペンでのタッチ入力で正確に位置を指定することができる。また、意図せぬ接触により不要な位置指定処理が行われることを防ぐことができる。
【0041】
なお、上記に本実施形態を説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、上記に説明した位置指定方法及びプログラムは、画像測定機用途に限定せず、画面内の位置を指定する操作を伴う様々なアプリケーションに適用することができる。
【0042】
また、上記の実施形態では、コンピュータシステム140は、接触を検知すると初期接触位置P1に位置指定カーソルCSを表示したが、初期接触位置P1に応じた位置、すなわち、初期接触位置P1から所定の方向及び距離だけずらした位置に位置指定カーソルCSを表示するようにしてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、位置指定カーソルが所定距離に達するまでの非有効状態では一部を細線で表示し、達した以後の有効状態では当該一部を太線で表示する例を用いて説明したが、所定距離に達する前後における位置指定カーソルの表示態様の変更は、これに限定されない。例えば、非有効状態では位置指定カーソルを黒色で表示し、有効状態では赤色で表示する等の色分けにより表示態様を変更してもよい。
【0044】
また、上記の実施形態では、「接触の終了」を位置指定確定操作とする例を説明したが、位置指定確定操作はこれに限定されない。例えば、位置指定カーソルを所望の位置に移動させるために最初の接触から継続していた接触以外に新たな接触を行うことを位置指定確定操作としてもよい。すなわち、人差し指による接触により位置指定カーソルを所望の位置まで移動させた後、人差し指を当該所望の位置に触れたまま、他の指(例えば、親指や中指)で画面にタッチする操作で指定位置を確定するようにするとよい。コンピュータシステム140は、新たな接触位置を検知したときに位置指定確定操作が行われたと認識するとよい。他の例としては、位置指定を確定させる命令に対応するアイコンを表示させ、このアイコンにユーザがタッチする操作を位置指定確定操作としてもよい。
【0045】
また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0046】
1…画像測定機
100…ステージ
110…筐体
140…コンピュータシステム
W…ワーク
101、102、112…ハンドル
141…コンピュータ本体
142…キーボード
143…マウス
144…タッチパネルディスプレイ
211…CPU
212…インタフェース
213…出力部
214…入力部
215…主記憶部
216…副記憶部
MM…記録媒体
W1…第1ウィンドウ
W2…第2ウィンドウ
W3…第3ウィンドウ
W4…第4ウィンドウ
W5…第5ウィンドウ
W6…第6ウィンドウ
W7…第7ウィンドウ
W8…第8ウィンドウ