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特許7113630ジフルオロメチレン化合物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ジフルオロメチレン化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 22/08 20060101AFI20220729BHJP
   C07C 321/16 20060101ALI20220729BHJP
   C07C 205/11 20060101ALI20220729BHJP
   C07C 43/225 20060101ALI20220729BHJP
   C07C 25/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C07C22/08 CSP
C07C321/16
C07C205/11
C07C43/225 C
C07C25/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018030041
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2018145175
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017038721
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(73)【特許権者】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182073
【弁理士】
【氏名又は名称】萩 規男
(72)【発明者】
【氏名】山崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】高須賀 智子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 敏仁
(72)【発明者】
【氏名】近藤 典久
(72)【発明者】
【氏名】白井 智大
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-506895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0264329(US,A1)
【文献】特開平02-311443(JP,A)
【文献】Fedorov, Oleg V. et al.,Halogenative Difluorohomologation of Ketones,Journal of Organic Chemistry,2015年,80(11),pp. 5870-5876
【文献】Henne, Albert L. et al.,The Synthesis and Directed Chlorination of 2,2-Difluorobutane,Journal of the American Chemical Society,1945年,67,pp. 1194-1197
【文献】Chambers, R. D. et al.,Free-radical chemistry Part XII: Radical reactions of trifluoroethene,Journal of Fluorine Chemistry,2000年,106(1),pp. 53-67
【文献】Fikar, Jiri et al.,Radical addition of 2-propanol to trifluoroethylene. Preparation of trifluoroethylene oligomers from chlorotrifluoroethylene oligomers,Collection of Czechoslovak Chemical Communications,1996年,61(8),pp. 1215-1222
【文献】Yang, Zhen-Yu,Preparation of Highly Fluorinated Cyclopropanes and Ring-Opening Reactions with Halogens,Journal of Organic Chemistry,2003年,68(11),pp. 4410-4416
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/00
C07C 19/08
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、Rは無置換もしくは1個以上の置換基を有するアリール基を示し、Rは水素原子、炭素数1~10のアルキル基またはハロゲン原子で置換された炭素数1~10のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子、チオール基、炭素数1~10のアルキルチオ基、無置換もしくは1個以上の置換基を有するフェニルチオ基またはベンジルチオ基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される含フッ素化合物。
【請求項2】
下記一般式(2)
【化2】
(式(2)中、Rは無置換もしくは1個以上の置換基を有するアリール基を示し、Rは水素原子、炭素数1~10のアルキル基またはハロゲン原子で置換された炭素数1~10のアルキル基を示す。)で表されるジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、Xを導入するための試薬及びXを導入するための試薬の存在下、開環させる、
下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、Rは無置換もしくは1個以上の置換基を有するアリール基を示し、Rは水素原子、炭素数1~10のアルキル基またはハロゲン原子で置換された炭素数1~10のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子、チオール基、炭素数1~10のアルキルチオ基、無置換もしくは1個以上の置換基を有するフェニルチオ基またはベンジルチオ基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)で表される含フッ素化合物の製造方法であって、
前記Xを導入するための試薬が、臭化物塩、ヨウ化物塩、ハロゲン化剤、ハロゲン単体、水、炭素数2~20のジスルフィド、炭素数1~10のチオール、無置換もしくは1個以上の置換基を有するチオフェノールまたはベンジルチオールであり、
前記Xを導入するための試薬が、臭化物塩、ヨウ化物塩、ハロゲン化剤またはハロゲン単体である、
方法。
【請求項3】
前記一般式(2)
(式(2)中、R及びRはそれぞれ前記式(1)と同じである。)で表されるジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、ラジカル開始剤または酸化剤と、Xを導入するための試薬及びXを導入するための試薬の存在下、開環させる、請求項2に記載の含フッ素化合物の製造方法。
【請求項4】
溶剤がハロゲン化炭化水素、ニトリル化合物、ハロゲン化炭化水素、ニトリル化合物及びアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤または、これらのいずれかの溶剤と水との混合溶剤である、請求項2または請求項3に記載の含フッ素化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、ラジカル開始剤または酸化剤及び置換基を導入するための試薬の存在下、開環させる、ジフルオロメチレン化合物の製造方法に関する。ジフルオロメチレン化合物は医農薬や機能性材料の合成中間体として有用な化合物である。例えば、抗アルツハイマー薬である5,5-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン類や、抗生物質である1-(3,3-ジフルオロブタン-1-イル)トリアゾール類等の生理活性物質は、共通の構造としてジフルオロメチレン部位を有している。当該発明で得られる1,3-二置換-2,2-ジフルオロプロパン類はこれらの中間体として利用可能であると考えられる。
【0002】
また、ジフルオロメチレン部位はエーテル部位と構造等価体と考えられており、医農薬品や材料開発において、既存化合物のエーテル部位をジフルオロメチレン部位に変換することにより、生理活性や化合物の安定性の向上、活性選択性の改質、また材料の改質が見込まれることから、本発明は新たなジフルオロメチレン部位導入法として利用されることが期待できる。
【背景技術】
【0003】
従来技術として、ジフルオロシクロプロパン類の開環によりジフルオロメチレン化合物を得る方法としては、例えば水素化トリブチルスズ及びラジカル開始剤を用いる方法(非特許文献1参照)、アリルトリブチルスズ及びラジカル開始剤を用いる方法(非特許文献2参照)、光照射下でビス(トリブチルスズ)を用いる方法(非特許文献3参照)、臭素を用いる方法(非特許文献4及び非特許文献5参照)等がある。
【0004】
しかしながら、従来より知られている非特許文献1~4に記載の方法は、アリル化合物の合成にしか適用できず、種々の置換基を導入することができないという課題があった。また、非特許文献5に記載の方法は、大過剰の臭素を必要とするうえ、ケトン類の合成にしか適用できないという課題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Kobayashi, Y.ら、Chem. Lett. 1988, 1407-1410。
【文献】Taguchi, T.ら、Chem. Lett. 1990, 467-468。
【文献】Itoh, T.ら、Org. Lett. 2014, 16, 2638-2641。
【文献】Xiao, J. -C.ら、J. Org. Chem. 2008, 73, 8598-8600。
【文献】Andres, P.ら、J. Fluorine Chem. 1991, 55, 149-162。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の背景技術に鑑み、ジフルオロシクロプロパン類の開環により、種々の置換基を導入した、新たなジフルオロメチレン化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、ジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、置換基を導入するための試薬の存在下、あるいはラジカル開始剤または酸化剤と置換基を導入するための試薬の存在下、開環させることにより、ジフルオロメチレン化合物を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0008】
【化1】
【0009】
(式(1)中、Rは炭素数1~10のアルキル基または、無置換もしくは1個以上の置換基を有するアリール基を示し、Rは水素原子、炭素数1~10のアルキル基またはハロゲン原子で置換された炭素数1~10のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、無置換もしくは1個以上の置換基を有するフェノキシ基、ベンジルオキシ基、チオール基、炭素数1~10のアルキルチオ基、無置換もしくは1個以上の置換基を有するフェニルチオ基、ベンジルチオ基またはアセトアミド基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表されるジフルオロメチレン化合物に係るものである。
【0010】
さらに本発明は、下記一般式(2)
【0011】
【化2】
【0012】
(式(2)中、R及びRはそれぞれ前記式(1)と同じである。)で表されるジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、Xを導入するための試薬及びXを導入するための試薬の存在下、開環させることを特徴とする、一般式(1)で表されるジフルオロメチレン化合物の製造方法を提供するものである。
【0013】
なお、Xを導入するための試薬及びXを導入するための試薬において、式(1)におけるXとXが同一の置換基である場合にはXを導入するための試薬の存在下、一般式(2)で表されるジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中で開環させる、一般式(1)で表されるジフルオロメチレン化合物の製造方法を提供するものである。
【0014】
また本発明は、前記一般式(2)(式(2)中、R及びRはそれぞれ前記式(1)と同じである。)で表されるジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、ラジカル開始剤または酸化剤と、Xを導入するための試薬及びXを導入するための試薬の存在下、開環させる、請求項1に記載の含フッ素化合物の製造方法に係る。
【0015】
また本発明は、溶剤がハロゲン化炭化水素、ニトリル化合物、ハロゲン化炭化水素、ニトリル化合物及びアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤または、これらのいずれかの溶剤と水との混合溶剤である、上記の含フッ素化合物の製造方法に係る。
【0016】
また本発明は、Xを導入するための試薬が、臭化物塩、ヨウ化物塩、ハロゲン化剤、ハロゲン単体、水、炭素数1~10のアルコール、1個以上の置換基を有していてもよいフェノール、ベンジルアルコール、炭素数2~20のジスルフィド、炭素数1~10のチオール、1個以上の置換基を有していてもよいチオフェノール、ベンジルチオールまたはアセトニトリルである、上記の含フッ素化合物の製造方法に係る。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、種々の置換基を導入したジフルオロメチレン化合物を得ることが可能となって、新たな含フッ素化合物群を提供でき、産業上有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表されるジフルオロメチレン化合物は、一般式(2)で表されるジフルオロシクロプロパン類を、溶剤中、Xを導入するための試薬及びXを導入するための試薬の存在下(式(1)におけるXとXが同一の置換基である場合にはXを導入するための試薬の存在下)、開環させることによって得られる。
【0019】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応試薬としてラジカル開始剤または酸化剤を必要に応じて用いることができる。
【0020】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に適用可能な溶剤としては、ジフルオロメチレン化合物の製造に係る反応に不活性なものであれば特に限定はされないが、具体的には例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、アセトニトリル、アルコール類等の有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶剤、または、これらのうちのいずれかの溶剤と水との混合溶剤が挙げられ、反応に具するジフルオロシクロプロパン類に対して、好ましくは5重量倍量~500重量倍量、さらに好ましくは10重量倍量~200重量倍量使用する。
【0021】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に適用可能なラジカル開始剤としては、具体的には例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリック酸及び2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド等のアゾ化合物、過酢酸、m-クロロ過安息香酸、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド等の過酸化物等が挙げられる。
【0022】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に用いられるラジカル開始剤の量は、反応に具するジフルオロシクロプロパン類に対して、好ましくは0.01当量~1当量、さらに好ましくは0.05当量~0.2当量である。
【0023】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に適用可能な酸化剤としては、硝酸二アンモニウムセリウム、硫酸セリウム等のセリウム塩、ぺルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等のぺルオキソ硫酸塩等が挙げられる。
【0024】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に用いられる酸化剤の量は、ジフルオロシクロプロパン類に対して、好ましくは1当量~4当量、さらに好ましくは1.5当量~3当量である。
【0025】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に適用可能なXを導入するための試薬としては、具体的には例えば、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム等の臭化物塩、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム等のヨウ化物塩、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド等のハロゲン化剤、臭素、ヨウ素等のハロゲン単体、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール等のアルコール類、フェノール、2-メチルフェノール、2-エチルフェノール、2-n-プロピルフェノール、2-イソ-プロピルフェノール、2-n-ブチルフェノール、2-sec-ブチルフェノール、2-イソ-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2-メトキシフェノール、2-エトキシフェノール、2-n-プロポキシフェノール、2-イソ-プロポキシフェノール、2-n-ブトキシフェノール、2-sec-ブトキシフェノール、2-イソ-ブトキシフェノール、2-tert-ブトキシフェノール、2-フルオロフェノール、2-クロロフェノール、2-ブロモフェノール、2-ヨードフェノール、2-ニトロフェノール、3-メチルフェノール、3-エチルフェノール、3-n-プロピルフェノール、3-イソ-プロピルフェノール、3-n-ブチルフェノール、3-sec-ブチルフェノール、3-イソ-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、3-メトキシフェノール、3-エトキシフェノール、3-n-プロポキシフェノール、3-イソ-プロポキシフェノール、3-n-ブトキシフェノール、3-sec-ブトキシフェノール、3-イソ-ブトキシフェノール、3-tert-ブトキシフェノール、3-フルオロフェノール、3-クロロフェノール、3-ブロモフェノール、3-ヨードフェノール、3-ニトロフェノール、4-メチルフェノール、4-エチルフェノール、4-n-プロピルフェノール、4-イソ-プロピルフェノール、4-n-ブチルフェノール、4-sec-ブチルフェノール、4-イソ-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、4-メトキシフェノール、4-エトキシフェノール、4-n-プロポキシフェノール、4-イソ-プロポキシフェノール、4-n-ブトキシフェノール、4-sec-ブトキシフェノール、4-イソ-ブトキシフェノール、4-tert-ブトキシフェノール、4-フルオロフェノール、4-クロロフェノール、4-ブロモフェノール、4-ヨードフェノール、4-ニトロフェノール等のフェノール類、ベンジルアルコール、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジn-プロピルジスルフィド、ジイソ-プロピルジスルフィド、ジn-ブチルジスルフィド、ジsec-ブチルジスルフィド、ジイソ-ブチルジスルフィド、ジtert-ブチルジスルフィド、ジn-ペンチルジスルフィド、ジn-ヘキシルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、ジn-ヘプチルジスルフィド、ジn-オクチルジスルフィド、ジn-ノニルジスルフィド、ジn-デシルジスルフィド等のジスルフィド類、メタンチオール、エタンチオール、n-プロパンチオール、イソ-プロパンチオール、n-ブタンチオール、sec-ブタンチオール、イソ-ブタンチオール、tert-ブタンチオール、n-ペンタンチオール、n-ヘキサンチオール、シクロヘキサンチオール、n-ヘプタンチオール、n-オクタンチオール、n-ノナンチオール、n-デカンチオール等のチオール類、チオフェノール、2-メチルチオフェノール、2-エチルチオフェノール、2-n-プロピルチオフェノール、2-イソ-プロピルチオフェノール、2-n-ブチルチオフェノール、2-sec-ブチルチオフェノール、2-イソ-ブチルチオフェノール、2-tert-ブチルチオフェノール、2-メトキシチオフェノール、2-エトキシチオフェノール、2-n-プロポキシチオフェノール、2-イソ-プロポキシチオフェノール、2-n-ブトキシチオフェノール、2-sec-ブトキシチオフェノール、2-イソ-ブトキシチオフェノール、2-tert-ブトキシチオフェノール、2-フルオロチオフェノール、2-クロロチオフェノール、2-ブロモチオフェノール、2-ヨードチオフェノール、2-ニトロチオフェノール、3-メチルチオフェノール、3-エチルチオフェノール、3-n-プロピルチオフェノール、3-イソ-プロピルチオフェノール、3-n-ブチルチオフェノール、3-sec-ブチルチオフェノール、3-イソ-ブチルチオフェノール、3-tert-ブチルチオフェノール、3-メトキシチオフェノール、3-エトキシチオフェノール、3-n-プロポキシチオフェノール、3-イソ-プロポキシチオフェノール、3-n-ブトキシチオフェノール、3-sec-ブトキシチオフェノール、3-イソ-ブトキシチオフェノール、3-tert-ブトキシチオフェノール、3-フルオロチオフェノール、3-クロロチオフェノール、3-ブロモチオフェノール、3-ヨードチオフェノール、3-ニトロチオフェノール、4-メチルチオフェノール、4-エチルチオフェノール、4-n-プロピルチオフェノール、4-イソ-プロピルチオフェノール、4-n-ブチルチオフェノール、4-sec-ブチルチオフェノール、4-イソ-ブチルチオフェノール、4-tert-ブチルチオフェノール、4-メトキシチオフェノール、4-エトキシチオフェノール、4-n-プロポキシチオフェノール、4-イソ-プロポキシチオフェノール、4-n-ブトキシチオフェノール、4-sec-ブトキシチオフェノール、4-イソ-ブトキシチオフェノール、4-tert-ブトキシチオフェノール、4-フルオロチオフェノール、4-クロロチオフェノール、4-ブロモチオフェノール、4-ヨードチオフェノール、4-ニトロチオフェノール等のチオフェノール類、ベンジルチオール、アセトニトリル等が挙げられる。
【0026】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に用いられるXを導入するための試薬の量は、反応に具するジフルオロシクロプロパン類に対して、好ましくは0.1当量~10当量、さらに好ましくは0.5当量~4当量である。
【0027】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に適用可能なXを導入するための試薬としては、具体的には例えば、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化セシウム、ヨウ化セシウム等の金属ハロゲン化物、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド等のハロゲン化剤、臭素、ヨウ素等のハロゲン単体等が挙げられる。
【0028】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応に用いられるXを導入するための試薬の量は、反応に具するジフルオロシクロプロパン類に対して、好ましくは0.5当量~10当量、さらに好ましくは1当量~4当量である。
【0029】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応温度は0℃~140℃の範囲で、好ましくは室温~100℃の範囲である。
【0030】
本発明によるジフルオロメチレン化合物の製造において、反応時間は1時間~48時間の範囲で、好ましくは5時間~24時間の範囲である。
【0031】
反応終了後の後処理としては、公知の方法で実施可能で、例えば、水を添加、ジクロロメタン等で抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮することにより粗製物を得、さらに必要に応じてシリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製しても良い。
【0032】
本発明の一般式(1)及び一般式(2)のRにおける炭素数1~10のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0033】
本発明の一般式(1)及び一般式(2)のRにおける無置換もしくは1個以上の置換基を有するアリール基としては、具体的には例えば、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソ-プロピルフェニル基、2-n-ブチルフェニル基、2-sec-ブチルフェニル基、2-イソ-ブチルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、2-n-プロポキシフェニル基、2-イソ-プロポキシフェニル基、2-n-ブトキシフェニル基、2-sec-ブトキシフェニル基、2-イソ-ブトキシフェニル基、2-tert-ブトキシフェニル基、2-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、2-ブロモフェニル基、2-ヨードフェニル基、2-ニトロフェニル基、3-メチルフェニル基、3-エチルフェニル基、3-n-プロピルフェニル基、3-イソ-プロピルフェニル基、3-n-ブチルフェニル基、3-sec-ブチルフェニル基、3-イソ-ブチルフェニル基、3-tert-ブチルフェニル基、3-メトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、3-n-プロポキシフェニル基、3-イソ-プロポキシフェニル基、3-n-ブトキシフェニル基、3-sec-ブトキシフェニル基、3-イソ-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基、3-フルオロフェニル基、3-クロロフェニル基、3-ブロモフェニル基、3-ヨードフェニル基、3-ニトロフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-n-プロピルフェニル基、4-イソ-プロピルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、4-sec-ブチルフェニル基、4-イソ-ブチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-n-プロポキシフェニル基、4-イソ-プロポキシフェニル基、4-n-ブトキシフェニル基、4-sec-ブトキシフェニル基、4-イソ-ブトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、4-ヨードフェニル基、4-ニトロフェニル基、2-ナフチル基、6-メチル2-ナフチル基、6-エチル2-ナフチル基、6-n-プロピル2-ナフチル基、6-イソ-プロピル2-ナフチル基、6-n-ブチル2-ナフチル基、6-sec-ブチル2-ナフチル基、6-イソ-ブチル2-ナフチル基、6-tert-ブチル2-ナフチル基、6-メトキシ2-ナフチル基、6-エトキシ2-ナフチル基、6-n-プロポキシ2-ナフチル基、6-イソ-プロポキシ2-ナフチル基、6-n-ブトキシ2-ナフチル基、6-sec-ブトキシ2-ナフチル基、6-イソ-ブトキシ2-ナフチル基、6-tert-ブトキシ2-ナフチル基、6-フルオロ2-ナフチル基、6-クロロ2-ナフチル基、6-ブロモ2-ナフチル基、6-ヨード2-ナフチル基、6-ニトロ2-ナフチル基等が挙げられる。
【0034】
本発明の一般式(1)及び一般式(2)のRにおける炭素数1~10のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0035】
本発明の一般式(1)及び一般式(2)のRにおけるハロゲン原子で置換された炭素数1~10のアルキル基としては、具体的には例えば、ブロモメチル基、ヨードメチル基、1-ブロモエチル基、1-ヨードエチル基等が挙げられる。
本発明の一般式(1)のXにおけるハロゲン原子としては、具体的には例えば、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0036】
本発明の一般式(1)のXにおける炭素数1~10のアルコキシ基としては、具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソ-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソ-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプトキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
本発明の一般式(1)のXにおける無置換もしくは1個以上の置換基を有するフェノキシ基としては、具体的には例えば、2-メチルフェノキシ基、2-エチルフェノキシ基、2-n-プロピルフェノキシ基、2-イソ-プロピルフェノキシ基、2-n-ブチルフェノキシ基、2-sec-ブチルフェノキシ基、2-イソ-ブチルフェノキシ基、2-tert-ブチルフェノキシ基、2-メトキシフェノキシ基、2-エトキシフェノキシ基、2-n-プロポキシフェノキシ基、2-イソ-プロポキシフェノキシ基、2-n-ブトキシフェノキシ基、2-sec-ブトキシフェノキシ基、2-イソ-ブトキシフェノキシ基、2-tert-ブトキシフェノキシ基、2-フルオロフェノキシ基、2-クロロフェノキシ基、2-ブロモフェノキシ基、2-ヨードフェノキシ基、2-ニトロフェノキシ基、3-メチルフェノキシ基、3-エチルフェノキシ基、3-n-プロピルフェノキシ基、3-イソ-プロピルフェノキシ基、3-n-ブチルフェノキシ基、3-sec-ブチルフェノキシ基、3-イソ-ブチルフェノキシ基、3-tert-ブチルフェノキシ基、3-メトキシフェノキシ基、3-エトキシフェノキシ基、3-n-プロポキシフェノキシ基、3-イソ-プロポキシフェノキシ基、3-n-ブトキシフェノキシ基、3-sec-ブトキシフェノキシ基、3-イソ-ブトキシフェノキシ基、3-tert-ブトキシフェノキシ基、3-フルオロフェノキシ基、3-クロロフェノキシ基、3-ブロモフェノキシ基、3-ヨードフェノキシ基、3-ニトロフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-エチルフェノキシ基、4-n-プロピルフェノキシ基、4-イソ-プロピルフェノキシ基、4-n-ブチルフェノキシ基、4-sec-ブチルフェノキシ基、4-イソ-ブチルフェノキシ基、4-tert-ブチルフェノキシ基、4-メトキシフェノキシ基、4-エトキシフェノキシ基、4-n-プロポキシフェノキシ基、4-イソ-プロポキシフェノキシ基、4-n-ブトキシフェノキシ基、4-sec-ブトキシフェノキシ基、4-イソ-ブトキシフェノキシ基、4-tert-ブトキシフェノキシ基、4-フルオロフェノキシ基、4-クロロフェノキシ基、4-ブロモフェノキシ基、4-ヨードフェノキシ基、4-ニトロフェノキシ基等が挙げられる。
【0038】
本発明の一般式(1)のXにおける炭素数1~10のアルキルチオ基としては、具体的には例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソ-プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、イソ-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基等が挙げられる。
【0039】
本発明の一般式(1)のXにおける無置換もしくは1個以上の置換基を有するフェニルチオ基としては、具体的には例えば、2-メチルフェニルチオ基、2-エチルフェニルチオ基、2-n-プロピルフェニルチオ基、2-イソ-プロピルフェニルチオ基、2-n-ブチルフェニルチオ基、2-sec-ブチルフェニルチオ基、2-イソ-ブチルフェニルチオ基、2-tert-ブチルフェニルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、2-エトキシフェニルチオ基、2-n-プロポキシフェニルチオ基、2-イソ-プロポキシフェニルチオ基、2-n-ブトキシフェニルチオ基、2-sec-ブトキシフェニルチオ基、2-イソ-ブトキシフェニルチオ基、2-tert-ブトキシフェニルチオ基、2-フルオロフェニルチオ基、2-クロロフェニルチオ基、2-ブロモフェニルチオ基、2-ヨードフェニルチオ基、2-ニトロフェニルチオ基、3-メチルフェニルチオ基、3-エチルフェニルチオ基、3-n-プロピルフェニルチオ基、3-イソ-プロピルフェニルチオ基、3-n-ブチルフェニルチオ基、3-sec-ブチルフェニルチオ基、3-イソ-ブチルフェニルチオ基、3-tert-ブチルフェニルチオ基、3-メトキシフェニルチオ基、3-エトキシフェニルチオ基、3-n-プロポキシフェニルチオ基、3-イソ-プロポキシフェニルチオ基、3-n-ブトキシフェニルチオ基、3-sec-ブトキシフェニルチオ基、3-イソ-ブトキシフェニルチオ基、3-tert-ブトキシフェニルチオ基、3-フルオロフェニルチオ基、3-クロロフェニルチオ基、3-ブロモフェニルチオ基、3-ヨードフェニルチオ基、3-ニトロフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、4-エチルフェニルチオ基、4-n-プロピルフェニルチオ基、4-イソ-プロピルフェニルチオ基、4-n-ブチルフェニルチオ基、4-sec-ブチルフェニルチオ基、4-イソ-ブチルフェニルチオ基、4-tert-ブチルフェニルチオ基、4-メトキシフェニルチオ基、4-エトキシフェニルチオ基、4-n-プロポキシフェニルチオ基、4-イソ-プロポキシフェニルチオ基、4-n-ブトキシフェニルチオ基、4-sec-ブトキシフェニルチオ基、4-イソ-ブトキシフェニルチオ基、4-tert-ブトキシフェニルチオ基、4-フルオロフェニルチオ基、4-クロロフェニルチオ基、4-ブロモフェニルチオ基、4-ヨードフェニルチオ基、4-ニトロフェニルチオ基等が挙げられる。
【0040】
本発明の一般式(1)のXとしては、具体的には例えば、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【実施例
【0041】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0042】
なお、本発明で使用するジフルオロシクロプロパン類の一部は、下記(i)、(ii)の文献を参考に調製した。
(i)Dolbier, Jr. W. R.ら、J. Org. Chem. 2012, 77, 5461-5464。
(ii)Hu,J.-B.,Surya Prakash, G. K.ら、Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 7153-7157。
【0043】
結果の解析に当たっては、H NMR、19F NMR及び13C NMRは日本電子株式会社製JNM-AL300、IRは日本分光株式会社(JASCO)製FT/IR-4100、融点測定はヤマト科学株式会社製融点測定器MP-21、元素分析はPerkin-Elmer社製CHNS/O Analyzer 2400、質量分析は日本電子株式会社製二重収束磁場型質量分析計JMS-700を使用した。
【0044】
実施例1 (2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼン及び(1,2,4-トリブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼンの合成
【0045】
【化3】
【0046】
撹拌子を備えた30mLナス型フラスコに(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼン0.0841g(0.50mmol)、ジクロロメタン5mL、 臭化カリウム0.1309g(1.10mmol)を順に加えた。この溶液に硝酸二アンモニウムセリウム0.6304g(1.15mmol)/水5mLの水溶液をパスツールピペットにて室温で滴下した。そのまま室温で9時間撹拌した後に、ジクロロメタン5mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水20mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、乾燥剤を濾過し、濃縮することで粗生成物を得た。
【0047】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、(2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼンを無色油状物として(132.5mg、収率81%)、(1,2,4-トリブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼンを白色固体として得た(31.3mg、収率6%)。(1,2,4-トリブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼンの融点は64.0-64.4℃であった。
【0048】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
(2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼン
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.69-7.66 (2H, m), 7.40-7.35(3H, m), 3.82(1H, ddd, J=27.6, 12.0, 3.3 Hz), 3.57(1H, ddd, J=27.3, 12.0, 3.3Hz), 2.33(3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)138.3,129.0, 128.7(t, J=1.5Hz), 128.3, 118.6(dd, J = 252.4, 250.6 Hz), 65.9(t, J=26.0 Hz), 30.3(t, J=27.3Hz), 27.4(dd, J=3.8, 2.5Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-104.38(1F, dd, J=237.1, 27.4Hz), -106.72 (1F, dd, J=237.1, 27.4Hz)。
IR (CHCl):3014, 1496, 1446, 1422, 1384, 1275, 1216, 1038, 1016, 750cm-1
元素分析:計算値C1010Br:C,36.62;H,3.07、実測値:C,36.76;H,2.94。
【0049】
(1,2,4-トリブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼン
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.65-7.62(2H,m), 7.44-7.40(3H,m), 4.54(1H, d, J=12.0Hz), 4.26(1H, d, J=11.7Hz), 4.08(1H, ddd, J=29.4, 12.3, 2.4Hz), 3.35(1H, ddd, J=27.9, 12.3, 3.3Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)134.2(d, J=1.8Hz), 129.5, 129.1(dd, J=2.5, 1.2Hz), 128.7, 118.6(dd, J=255.5, 251.8Hz), 71.7(t, J =24.1Hz), 37.5(dd, J=4.3, 3.1Hz), 30.8(t, J=26.0Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-103.17(1F, dd, J=237.1, 22.9 Hz), -106.51 (1F, dd, J=237.1, 28.3Hz)。
IR(KBr):3050, 2991, 1493, 1443, 1432, 1420, 1274, 1258, 1220, 1190cm-1
元素分析:計算値C10Br:C,29.52;H,2.23、実測値:C,29.73;H,2.08。
【0050】
実施例2 (2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼンの合成
【0051】
【化4】
【0052】
撹拌子とジムロート冷却器を備えた30mLナス型フラスコに、(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼン0.0841g(0.50mmol)、四塩化炭素10mL、N-ブロモスクシンイミド0.1780g(1.00mmol)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.0083g(0.05mmol)を順に加えた。90℃で24時間撹拌した後に、ジクロロメタン5mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水20mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、乾燥剤を濾過し、濃縮することで粗生成物を得た(19F NMR収率15%)。
【0053】
実施例3 4-ブロモ-3,3-ジフルオロ-2-フェニルブタ-2-オールの合成
【0054】
【化5】
【0055】
実施例1のジクロロメタンに替えてアセトニトリルを用い、60℃で反応を行った以外、実施例1と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン=1/1 vol/vol)で精製し、目的物の4-ブロモ-3,3-ジフルオロ-2-フェニルブタ-2-オ-ルを淡黄色油状物として得た(81.4mg、収率61%)。
【0056】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.54(2H, d, J = 7.8Hz), 7.41-7.33(3H, m), 3.79(1H, ddd, J = 30.0, 12.0, 2.4Hz), 3.46(1H, ddd, J=28.5, 12.3, 3.3Hz), 2.38(1H, brs), 1.77(3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)139.8(d, J=4.3 Hz), 128.4, 128.2, 125.7(dd, J=2.5, 1.2 Hz), 119.7(dd, J=251.8, 250.0Hz), 75.9(dd, J=27.3, 25.4Hz), 30.2(t, J=26.7Hz), 24.1(dd, J=3.1, 2.5 Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-112.1(1F, dd, J=244.2,30.8Hz), -115.40(1F, dd, J=244.2,27.3Hz)。
IR(CHCl):3601, 3459, 3017, 1449, 1216, 1141, 1073, 1037, 761, 703cm-1
元素分析:計算値C1011BrFO:C,45.31;H,4.18、実測値:C,45.53;H,4.31。
【0057】
実施例4 1-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ノナンの合成
【0058】
【化6】
【0059】
100mLナス型フラスコに、ヨウ化カリウム3.319g(20.0mmol)、プロピオニトリル20mL、1-メチル1-デセン0.841g(5.0mmol)及び2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)酢酸メチル3.841g(20.0mmol)を加え、50℃で24時間撹拌した。その後反応溶液を室温まで冷却した後に、水40mLを用いて反応停止し、ヘキサン20mLで3回抽出した。有機層を水40mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液40mL×2回、及び飽和食塩水40mLで洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過し、有機層を濃縮することで粗生成物を得た。
【0060】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、目的物の1-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ノナンを無色油状物として得た(992.6mg、収率91%)。
【0061】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)1.42-1.37(4H, m), 1.31-1.21(12H, m), 1.16-1.15(3H, m), 1.02-0.91(2H, m), 0.90-0.86(3H, m)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)116.9(dd, J=288.4, 287.8Hz), 32.7(dd, J=4.9, 1.2Hz), 31.9, 29.6, 29.6, 29.5, 29.3, 26.3(d, J=4.1Hz), 26.1(t, J=9.9Hz), 22.7, 22.3(t, J=10.0Hz), 16.1(dd, J=6.8, 1.3Hz), 14.1。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-138.84--139.42(1F, m), -140.38--140.97(1F, m)。
IR(CHCl):2959, 2928, 2857, 1479, 1460, 1190, 1009, 902, 710, 576cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1324:218.1846、実測値:218.1850。
【0062】
実施例5 1,3-ジブロモ-2,2-ジフルオロ-3-メチルドデカンの合成
【0063】
【化7】
【0064】
実施例1の(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼンに替えて、1-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ノナンを用いた以外、実施例1と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、目的物の1,3-ジブロモ-2,2-ジフルオロ-3-メチルドデカンを無色油状物として得た(134.0mg、収率71%)。
【0065】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)4.09-4.01(1H, m), 3.98-3.90(1H, m),2.00-1.81(2H, m), 1.78(3H, s),1.65-1.41(2H, m), 1.32-1.28(12H, m),0.89(3H, t, J=6.3Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)119.4(t, J=250.0Hz),66.7(t, J=25.5Hz), 38.9(dd, J=2.5, 1.8Hz), 31.8, 30.8(t, J=27.3Hz),29.55, 29.5, 29.4, 29.3, 25.1, 24.7(t, J=3.1Hz), 22.7, 14.1。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-106.68--107.65 (1F, m), -108.64--109.61(1F, m)。
IR(CHCl):2927, 2855, 1466, 1422, 1382, 1216, 1052, 1031, 761, 652cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1324Br+Na]:399.0105、実測値:399.0153。
【0066】
実施例6 ベンジル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテルの合成
【0067】
【化8】
【0068】
9.0mLのAce tubeに1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼン0.0919g(0.50mmol)、ジクロロエタン/水混合溶媒(1/1 vol/vol)1.5mL、ジベンジルジスルフィド0.0678g(0.275mmol)、ヨウ化カリウム0.0918g(0.55mmol)及びぺルオキソ二硫酸カリウム0.2700g(2.00mmol)を加えて閉栓し、60℃で6時間撹拌した。その後室温まで冷却し、5.0mLのジエチルエーテルで3回抽出し、有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液15mL、飽和食塩水15mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮することで粗生成物を得た。
【0069】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=20/1 vol/vol)によって精製し、ベンジル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテルを黄色油状物として得た(204.5mg、収率94%)。
【0070】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, Acetone-d):δ(ppm)7.33-7.23(7H, m), 6.95-6.90 (2H, m), 4.40(1H, dd, J=14.4, 12.9Hz),3.81(1H, d, J=13.2Hz), 3.80(3H, s), 3.65(1H, d, J=13.2Hz), 3.71-3.48(2H, m)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)159.5, 136.8, 130.4, 129.1, 128.5, 127.3, 126.8(dd, J=3.1, 1.9Hz), 120.2(t, J=246.9Hz), 114.0, 55.2, 51.4(t, J=25.4Hz), 36.2, 3.7(t, J=30.4Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-95.23--97.26 (2F, m)。
IR(CHCl):3011, 1611, 1512, 1254, 1216, 1179, 1077, 1034, 1002, 758cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1717IOS+H]:435.0086、実測値:435.0070。
【0071】
実施例7 [2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]フェニルチオエーテルの合成
【0072】
【化9】
【0073】
9.0mLのAce tubeに1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼン0.0924g(0.50mmol)、アセトニトリル1.5mL、チオフェノール0.0550g(0.50mmol), ヨウ化ナトリウム0.0750g(0.50mmol)及びぺルオキソ二硫酸カリウム0.2704g(1.00mmol)を加えて閉栓し、100℃で6時間撹拌した。その後室温まで冷却し、水5.0mLで反応停止した。5.0mLのジエチルエーテルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水15mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮することで粗生成物を得た。
【0074】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1 vol/vol)で精製し、目的物の[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]フェニルチオエーテルを黄色油状物として得た(133.7mg、収率66%)。
【0075】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.37-7.32(2H, m), 7.30-7.27(2H, m), 7.25-7.22(3H, m), 6.86-6.81(2H, m), 4.66(1H, dd, J=15.0, 13.2Hz), 3.78(3H, s), 3.59(1H, td, J=17.1, 11.7Hz), 3.40(1H, td, J=17.1, 12.0Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)160.0, 135.4, 132.9,130.3(dd, J=1.8, 1.2Hz), 129.0, 128.0, 127.4(dd, J=2.5, 1.3Hz), 119.9(t, J=247.5Hz), 114.0, 57.4(t, J=24.8Hz), 55.2, 3.7(t, J=30.4Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-95.50--97.89 (2F, m)
IR(CHCl):3006, 2837, 1610, 1513, 1254, 1179, 1075, 1033, 1001, 758cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1615IOS+H]:420.9929、実測値:420.9963。
【0076】
実施例8 1-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)-4-ニトロベンゼンの合成
【0077】
【化10】
【0078】
100mLナス型フラスコに、ヨウ化カリウム1.6467g(9.92mmol)、プロピオニトリル2.5mL、4-ニトロ-1-(プロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン0.4042g(2.48mmol)及び2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)酢酸メチル1.9058g(9.92mmol)を加え、50℃で24時間撹拌した。その後反応溶液を室温まで冷却した後に、水40mLを用いて反応停止し、ヘキサン20mLで3回抽出した。有機層を水40mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液40mL×2回、及び飽和食塩水40mLで洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過し、有機層を濃縮することで粗生成物を得た。
【0079】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=25/1 vol/vol)によって精製し、目的物の1-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)-4-ニトロベンゼンを無色油状物として得た(473.1mg、収率90%)。融点は53.6-53.9℃であった。
【0080】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)8.11(2H, d, J=8.7Hz), 7.41(2H, d, J=8.7Hz), 1.70-1.62(1H, m), 1.50-1.42(4H, m)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)147.0, 146.4(dd, J=2.5, 1.9Hz), 129.4(dd, J=1.9, 0.6Hz), 123.8, 113.6(dd, J=290.3, 286.6Hz), 30.8(dd, J=11.5, 9.6Hz), 22.8(t, J=9.9Hz), 20.8(dd, J=6.2, 1.8Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-133.07--138.81(1F, m), -138.24-138.81(1F, m)。
IR(KBr):3117, 3085, 2976, 1599, 1517, 1347, 1222, 1005, 856, 725cm-1
HRMS(FAB):計算値[C10NO+H]:214.0680、実測値:214.0702。
【0081】
実施例9 1-(2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)-4-ニトロベンゼンの合成
【0082】
【化11】
【0083】
実施例1の(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼンに替えて、1-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)-4-ニトロベンゼンを用いた以外、実施例1と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=4/1 vol/vol)で精製し、目的物の1-(2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)-4-ニトロベンゼンを淡黄色油状物として得た(91.2mg、収率49%)。
【0084】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)8.26-8.21(2H, m), 7.90(2H, d, J=9.3Hz), 3.94-3.66(2H, m), 2.38(3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)147.8, 144.9, 130.2(t, J=1.9Hz), 123.2, 118.4(t, J=251.9Hz), 63.8(t, J=26.7Hz), 29.8(t, J=27.2Hz), 27.7(t, J=3.1Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-104.56(1F, ddd, J=241.7, 22.9, 6.8Hz), -105.71(1F, ddd, J=241.7, 22.9, 6.8Hz)。
IR(CHCl):3020, 1526, 1352, 1216, 1063, 1043, 1016, 862, 763, 472cm-1
HRMS(FAB):計算値[C10BrNO+H]:371.9046、実測値:371.9062。
【0085】
実施例10 1-(1,3-ジブロモ-2,2-ジフルオロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼンの合成
【0086】
【化12】
【0087】
実施例1の(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼンに替えて1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼンを用い、ジクロロメタンに替えて1,2-ジクロロエタンを用い、70℃で反応を行った以外、実施例1と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジエチルエーテル=20/1 vol/vol)で精製し、目的物の1-(1,3-ジブロモ-2,2-ジフルオロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼンを淡黄色油状物として得た(129.8mg、収率75%)。
【0088】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.44(2H, d, J=7.8Hz), 6.88(2H, d, J=7.2Hz), 5.35 (1H, dd, J=14.1, 11.4Hz), 3.80(3H, s),3.71(1H, dd, J=23.7, 11.7Hz), 3.44(1H, dd, J=26.1, 12.0Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)160.4, 130.6, 126.1(d, J=3.8Hz), 118.2(dd, J=248.8, 247.4Hz), 114.1, 55.3, 50.2(t, J=26.6Hz), 29.7(dd, J=33.5, 32.2Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-102.20(1F, dq, J=246.2, 11.3Hz), -103.99(1F, dq, J=246.2, 11.3Hz)。
IR(CHCl):3013, 2840, 1610, 1514, 1297, 1256, 1180, 1100, 1027, 757cm-1
HRMS(FAB)計算値[C1010BrO+H]:342.9139、実測値:342.9150。
【0089】
実施例11 1-ブロモ-4-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)ベンゼンの合成
【0090】
【化13】
【0091】
100mLナス型フラスコに、ヨウ化カリウム6.4429g(38.8mmol)、プロピオニトリル9.7mL、4-ブロモスチレン1.7764g(9.7mmol)及び2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)酢酸メチル7.4513g(38.8mmol)を加え、50℃で24時間撹拌した。その後反応溶液を室温まで冷却した後に、水40mLを用いて反応停止し、ヘキサン20mLで3回抽出した。有機層を水40mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液40mL×2回、及び飽和食塩水40mLで洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過し、有機層を濃縮することで粗生成物を得た。
【0092】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、目的物の1-ブロモ-4-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)ベンゼンを無色油状物として得た(1.8477g、収率82%)。
【0093】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.44(2H, d, J=8.1Hz), 7.09(2H, d, J=8.4 Hz), 2.75-2.64(1H, m), 1.90-1.76(1H, m), 1.64-1.35(1H, m)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)132.7, 131.6, 129.7, 121.0, 112.2 (dd, J=286.6, 283.4Hz), 26.6(dd, J=11.7, 11.2Hz), 17.1(dd, J=10.6, 10.5Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-127.09--127.72(1F, m), -143.27--143.89(1F, m)。
【0094】
実施例12 1-ブロモ-4-(1,3-ジブロモ-2,2-ジフルオロプロパ-1-イル)ベンゼンの合成
【0095】
【化14】
【0096】
実施例1の(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼンに替えて、1-ブロモ-4-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼンを用いた以外、実施例1と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、目的物の1-ブロモ-4-(1,3-ジブロモ-2,2-ジフルオロプロピル)ベンゼンを無色油状物として得た(136.1mg、収率69%)。
【0097】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, Acetone-d):δ(ppm)7.53(2H,m), 7.41(2H, m), 5.33(1H, t, J=12.8Hz), 3.78(1H,dq, J=24.3, 12.0Hz),3.48(1H, dq, J=24.6, 12.0Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)133.1(dd, J=1.9, 1.3Hz), 132.0, 131.0(t, J=1.2Hz), 124.0, 118.1(t, J=248.7Hz), 49.0(t, J=27.3Hz), 29.6(t, J=32.8Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-95.74(dq, J=244.2, 13.6Hz), -96.78(dq, J=244.2, 13.6Hz)。
IR(CHCl):3015, 1591, 1490, 1421, 1408, 1264, 1216, 1100, 1076, 1026cm-1
HRMS(FAB):計算値[CBr:389.8066、実測値:389.8075。
【0098】
実施例13 N-[3-ブロモ-2,2-ジフルオロ-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]アセトアミドの合成
【0099】
【化15】
【0100】
9.0mLのAce tubeに1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼン0.0921g(0.50mmol)、アセトニトリル1.5mL、臭化ナトリウム0.0771g(0.75mmol)及びぺルオキソ二硫酸カリウム0.2703g(1.00mmol)を加えて閉栓し、100℃で24時間撹拌した。その後室温まで冷却し、水5.0mLで反応停止した。5.0mLのジエチルエーテルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水15mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮することで粗生成物を得た。
【0101】
得られた粗生成物は、再結晶(クロロホルム)で精製し、目的物のN-[4-ブロモ-2,2-ジフルオロ-2-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]アセトアミドを白色固体として得た(77.7mg、収率48%)。融点は147.7-149.0℃であった。
【0102】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.33(2H, d, J=8.6Hz),6.91(2H, d, J=8.6Hz),6.15(1H, br s),5.61(1H, ddd, J=15.3,12.9,9.3Hz),3.81(3H, s),3.57-3.32(2H,m),2.05(3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)169.5, 159.9,129.4, 126.5(d, J=3.8Hz), 119.7(dd, J=250.6,247.5Hz), 114.3, 55.3,54.5(t, J=23.5Hz), 30.0(t, J=30.4Hz),23.3。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-107.77--108.79(1F, m), -108.93--109.94(1F, m)。
IR(KBr):3292,3045,2840,1901,1664,1516,1369,1188,1041,809cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1214BrFNO+H]:322.0249、実測値:322.0224。
【0103】
実施例14 N-(4-ブロモ-3,3-ジフルオロ-2-フェニルブタ-2-イル)アセトアミドの合成
【0104】
【化16】
【0105】
撹拌子を備えた30mLナス型フラスコに(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼン0.0838g(0.50mmol)、アセトニトリル5mL、臭化カリウム0.1308g(1.10mmol)、硝酸二アンモニウムセリウム0.6311g(1.15mmol)を順に加えた。60℃で9時間撹拌した後に、水5.0mLで反応停止した。ジクロロメタン5mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水15mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、乾燥剤を濾別して得られた溶液を濃縮することで粗生成物を得た。
【0106】
得られた粗生成物は、再結晶(クロロホルム)で精製し、目的物のN-(4-ブロモ-3,3-ジフルオロ-2-フェニルブタ-2-イル)アセトアミドを白色固体として得た(44.6mg、収率23%)。融点は178.2-179.0℃であった。
【0107】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, DMSO-d):δ(ppm)8.41(1H, s), 7.34-7.27(5H, m), 4.05(1H, ddd, J=29.4, 12.0, 3.6Hz), 3.87 (1H, ddd, J=29.4, 12.3, 3.0Hz), 1.93 (3H, s), 1.88(3H,s)。
13C NMR(75.45Hz, DMSO-d):δ(ppm)169.1, 139.0, 127.9, 127.3, 127.1, 119.6(t, J=250.0Hz), 62.5(t, J=23.5Hz), 31.5(t, J=25.4Hz), 23.5, 20.4(dd, J=3.1, 2.5Hz)
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-109.9(1F, dd, J=241.6, 27.4Hz), -112.6(1F, ddd, J=239.4, 27.4, 4.5Hz)。
IR(KBr):3274, 3082, 2992, 1649, 1563, 1372, 1308, 1228, 1206, 1057cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1214BrNO+H]:306.0300、実測値:306.0293。
【0108】
実施例15 2-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ナフタレンの合成
【0109】
【化17】
【0110】
100mLナス型フラスコに、ヨウ化カリウム3.3199g(20.0mmol)、プロピオニトリル15mL、2-イソプロペニルナフタレン0.8417g(5.0mmol)及び2,2-ジフルオロ-2-(フルオロスルホニル)酢酸メチル3.8422g(20.0mmol)を加え、50℃で24時間撹拌した。その後反応溶液を室温まで冷却した後に、水40mLを用いて反応停止し、ヘキサン20mLで3回抽出した。有機層を水40mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液40mL×2回、及び飽和食塩水40mLで洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過し、有機層を濃縮することで粗生成物を得た。
【0111】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、目的物の2-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ナフタレンを無色油状物として得た(1.085g、収率99%)。
【0112】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.85-7.71(4H, m), 7.51-7.43(3H, m), 1.80(1H, ddd, J=13.5, 7.5, 3.6Hz), 1.60(3H, dd, J=2.7, 1.8Hz), 1.48(1H, ddd, J=12.0, 7.5, 4.2Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)136.5(dd, J=2.5, 1.8Hz), 133.3, 132.5, 128.3, 127.7, 127.6, 127.0(d, J=2.5Hz), 126.5(d, J=1.9Hz), 126.2, 126.0, 114.7(dd, J=289.7, 286.6Hz), 31.3(dd, J=10.9, 9.7Hz), 22.5(t, J=10.0Hz), 21.2(dd, J=6.8, 5.0Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-133.72(1F, dd, J=150.7, 13.9Hz), -138.61(1F, dd, J=150.4, 11.6Hz)。
IR(CHCl):3019,1477,1466,1216,1006,904,859,820,759,670cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1412:218.0907、実測値:218.0869。
【0113】
実施例16 2-(2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ナフタレンの合成
【0114】
【化18】
【0115】
撹拌子を備えた30mLナス型フラスコに2-(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ナフタレン0.2188g(1.00mmol)、ジクロロメタン10mL、 臭化カリウム0.2611g(2.20mmol)を順に加えた。この溶液に硝酸二アンモニウムセリウム1.260g(2.30mmol)/水10mLの水溶液をパスツールピペットにて室温で滴下した。そのまま室温で9時間撹拌した後に、ジクロロメタン5mLで3回抽出し、有機層を飽和食塩水20mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、乾燥剤を濾過し、濃縮することで粗生成物を得た。
【0116】
得られた粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、2-(2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ナフタレンを白色固体として得た(64.8mg、収率17%)。融点は62.9―63.8℃であった。
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)8.11-8.06(1H, m), 7.88-7.81(4H, m), 7.55-7.52(2H, m),3.87-3.74(1H, m), 3.68-3.53(1H, m), 2.44(3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)135.6,133.0,132.4,128.5,128.2,127.8(dd,J=1.8,1.2Hz),127.4(d,J=0.6Hz),127.3,126.8,126.3(d,J=2.5Hz),118.7(dd,J=252.4,250.1Hz),65.9(t,J=25.4Hz),30.3(t,J=27.2Hz),27.5(dd,J=3.7,2.4Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-102.93--103.86(1F, m), -105.56--106.52(1F, m)。
IR(CHCl):3052,2991,2943,1596,1273,1384,1182,1013,796,756cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1412Br:375.9274、実測値:375.9291。
【0117】
実施例17 (2,4-ジブロモ-3,3-ジフルオロブタ-2-イル)ベンゼンの合成
【0118】
【化19】
【0119】
撹拌子を備えた30mLナス型フラスコに、(2,2-ジフルオロ-1-メチルシクロプロパ-1-イル)ベンゼン0.1683g(1.00mmol)、ジクロロメタン10mL、臭素0.056mL(1.10mmol)を室温で加えた。そのまま室温で9時間撹拌した後に、水5mLを加えて反応停止した。水層のpHを中性にした後に、有機層をジクロロメタン5mLで3回抽出し、チオ硫酸ナトリウム水溶液20mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、乾燥剤を濾過し、濃縮することで粗生成物を得た(19F NMR収率64%)。
【0120】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.69-7.66 (2H, m), 7.40-7.35 (3H, m), 3.82 (1H, ddd, J= 27.6, 12.0, 3.3Hz), 3.57 (1H, ddd, J= 27.3, 12.0, 3.3Hz), 2.33 (3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)138.3, 129.0, 128.7 (t, J=1.5 Hz), 128.3, 118.6 (dd, J=252.4, 250.6Hz), 65.9 (t, J=26.0Hz), 30.3 (t, J=27.3Hz), 27.4 (dd, J=3.8, 2.5Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-104.38 (1F, dd, J=237.1, 27.4Hz), -106.72 (1F, dd, J=237.1, 27.4Hz)。
IR(CHCl):3014, 1496, 1446, 1422, 1384, 1275, 1216, 1038, 1016, 750 cm-1
元素分析:計算値C1010Br:C,36.63;H,3.07、実測値:C,36.76;H,2.94。
【0121】
実施例18 1-(2,2-ジフルオロ-1,3-ジヨードプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼンの合成
【0122】
【化20】
【0123】
9mLのAce tubeに1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼン0.0920g(0.50 mmol)、ジクロロメタン0.75mLおよびヨウ素0.1390g(0.55 mmol)を加えて、60℃で3時間撹拌した。その後室温まで冷却し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液5mLで反応停止した。ジクロロメタン5mLで3回抽出し、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液5mLで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、乾燥剤を濾過し、濃縮することで粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)によって精製し、1-(2,2-ジフルオロ-1,3-ジヨードプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼンを白色固体として得た(205.8mg、収率94%)。
【0124】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.46-7.41(2H, m),6.87-6.82(2H, m), 5.55(1H, dd, J=20.6, 7.4Hz), 3.80(3H,s), 3.47 (1H, ddd, J=16.5, 11.7, 8.7 Hz), 3.33 (1H, td, J=15.6, 8.7Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)128.7 (D, J=5.0Hz), 118.0 (t, J=246.9Hz), 114.3, 55.3, 27.9 (dd, J=27.8, 24.7Hz), 0.6 (dd, J=32.3, 31.1Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-87.33--88.32(1F, m),-94.41--95.41 (1F, m)。
IR(CHCl):3029, 2959, 2902, 2837, 1609, 1513, 1285, 1179, 1138, 1007cm-1
元素分析:計算値C1010O:C,27.42;H,2.30、実測値:C,27.70;H,2.34。
【0125】
実施例19 [2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]メチルエーテルの合成
【0126】
【化21】
【0127】
9mLのAce tubeに1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼン0.0920g(0.50mmol)、メタノール0.75mLおよびヨウ素0.2538 g(1.00mmol)を加えて、60℃で6時間撹拌した。その後室温まで冷却し、ジクロロメタン2mLで希釈した後に、飽和重曹水2mLで反応停止した。この溶液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液2mLを加え、ヨウ素の色が消えるまで撹拌した後、有機層をジクロロメタン5mLで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮することで、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)によって精製し、[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]メチルエーテル無色油状として得た(159.4mg、収率93%)。
【0128】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.31(2H, d, J=8.4Hz),6.92(2H, d, J=8.4Hz),4.56(1H, dd, J=12.9, 6.9Hz),3.81 (3H, s),3.63 (1H, dt, J=21.9, 11.7Hz), 3.46-3.28(1H, m),3.34(3H,s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)160.1, 129.4, 125.5, 118.7 (t, J=246.9Hz), 113.8, 81.9 (t, J=27.3Hz), 57.7, 55.2, 2.0 (t, J=28.4Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-102.35 --103.33 (1F, m), -105.91 --106.83 (1F, m)。
IR(CHCl):3006, 2936, 2837, 1612, 1514, 1464, 1253, 1174, 1083, 1017cm-1。HRMS(FAB):計算値[C1113IO:341.9928、実測値:341.9972。
【0129】
実施例20 2-{[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]オキシ}エタノールの合成
【0130】
【化22】
【0131】
実施例19のメタノールに替えて、エチレングリコールを用いた以外、実施例19と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、目的物の2-{[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]オキシ}エタノールを無色油状物として得た(184.2mg、収率99%)。
【0132】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.34-7.26(2H, m), 6.95-6.90(2H, m),4.75(1H, dd,J=12.3, 7.5Hz),3.82(3H, s),3.80-3.72(2H, m),3.68-3.51(3H, m),3.38(1H,ddd,J=18.6,11.7, 6.9Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)160.1, 129.3, 125.6, 118.6 (t, J=245.0Hz), 113.9, 80.7 (dd, J=29.8, 27.3Hz), 71.3, 61.6, 55.2, 1.9 (t, J=29.2Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-102.97 (1F, dddd, J=248.7, 20.3, 11.3, 6.8Hz), -105.77(1F, dddd, J=248.7, 18.1, 11.3, 6.8Hz)。
IR(CHCl):2935, 2881, 2834, 1613, 1515, 1462, 1253, 1174, 1123, 1013cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1216IO:373.0107、実測値:373.0129。
【0133】
実施例21 ベンジル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテルの合成
【0134】
【化23】
【0135】
9mLのAce tubeに1-(2,2-ジフルオロシクロプロパ-1-イル)-4-メトキシベンゼン0.0923g(0.50mmol)、1,2-ジクロロエタン0.75mL、ジベンジルジスルフィド0.0678g(0.275mmol)およびヨウ素0.0694g(0.275mmol)を加えて閉栓し、60℃で6時間撹拌した。その後室温まで冷却し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液5mLで反応停止した。ジクロロメタン5mLで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、濃縮することで、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=10:1)によって精製し、ベンジル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテルを白色固体として得た(200.3mg、収率92%)。融点は47.5-49.8℃であった。
【0136】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.34-7.24(7H, m), 6.86 (2H, d, J=8.7 Hz),4.16(1H, t, J=13.8Hz), 3.81(3H, s), 3.78(1H, d, J=13.2Hz), 3.57(1H, d, J=13.2Hz), 3.51(1H, ddd, J=25.8, 12.0, 11.7Hz), 3.33(1H, ddd, J=16.8, 12.9, 11.7Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)159.5, 136.8, 130.4, 129.1, 128.5, 127.3, 126.8 (dd, J=3.1, 1.9 Hz),120.2(t, J=246.9Hz),114.0, 55.2, 51.4(t, J=25.4Hz), 36.2, 3.7(t, J=30.4Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-95.23 --96.24(1F, m),-96.26 --97.31(1F, m)。
IR(CHCl):3011, 1611, 1512, 1254, 1216, 1179, 1077, 1034, 1002, 758cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1718IOS]:435.0086、実測値:435.0070。
【0137】
実施例22 [2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]メチルチオエーテルの合成
【0138】
【化24】
【0139】
実施例21のジベンジルジスルフィドに替えて、ジメチルジスルフィドを用いた以外、実施例20と同じ操作を行い、目的物の[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]メチルチオエーテルを黄色油状物として得た(169.9mg、収率95%)。
【0140】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.34 (2H, d, J=8.7Hz), 6.88 (2H, d, J=8.7Hz), 4.31(1H, dd, J=14.4, 12.3Hz), 3.80 (3H, s), 3.66-3.53 (1H, m), 3.44-3.30 (1H, m), 2.08 (3H, s)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)159.5, 130.3, 126.7 (dd, J = 3.1, 1.2 Hz), 120.4 (t, J=246.9 Hz), 114.0, 55.2, 54.5 (t, J=25.1Hz), 15.8 (dd, J=1.8, 1.2Hz), 3.7 (t, J=30.7Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-95.29 --96.29 (1F, m), -96.72 --97.73(1F, m)。
IR(CHCl):3019, 2924, 2839, 1611, 1513, 1254, 1216, 1179, 1004, 753cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1113IOS]:357.9700、実測値:375.9731。
【0141】
実施例23 デシル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテルの合成
【0142】
【化25】
【0143】
実施例21のジベンジルジスルフィドに替えて、ジデシルジスルフィドを用いた以外、実施例20と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、目的物のデシル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテル黄色油状物として得た(214.7mg、収率89%)。
【0144】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)6.90-6.86(2H, m), 4.38 (1H, t, J=13.5Hz), 3.80(3H, s), 3.62(1H, ddd, J=16.2, 12.6, 11.7Hz), 3.38(1H, ddd, J=16.2, 12.9, 11.4Hz), 2.50(2H, t, J=7.4 Hz), 1.58-1.48(2H, m), 1.32-1.24(12H, m), 0.88(3H, t, J=6.8Hz)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)159.5, 130.3, 127.3 (dd, J=2.5, 1.9Hz), 120.3(t, J=246.9Hz), 113.9, 55.2, 52.8(t, J=24.7Hz), 32.5, 31.8, 29.5, 29.4, 29.3, 29.1, 29.0, 28.6, 22.6, 14.1, 3.8(t, J=31.0Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-96.64--96.93 (2F, m)。
IR(CHCl):3011, 2956, 2927, 2855, 1611, 1512, 1254, 1216, 1002, 756cm-1
HRMS(FAB):計算値[C2031IOS]:484.1108、実測値:484.1074。
【0145】
実施例24 シクロヘキシル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテルの合成
【0146】
【化26】
【0147】
実施例21のジベンジルジスルフィドに替えて、ジシクロヘキシルジスルフィドを用いた以外、実施例20と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、目的物のシクロヘキシル[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオエーテル黄色油状物として得た(177.8mg、収率83%)。
【0148】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.34 (2H, d, J=8.7Hz), 6.89-6.85(2H, m), 4.46(1H, t, J=13.5Hz), 3.81(3H, s), 3.64(1H, td, J=14.4, 11.3Hz), 3.40(1H, td, J=14.4, 11.4Hz), 2.70-2.61 (1H, m), 1.98-1.93(1H, m), 1.90-1.84(1H, m), 1.79-1.66(1H, m), 1.36-1.22(6H. m)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)159.4, 130.3, 128.0 (dd, J=2.5, 1.9Hz), 120.1 (t, J=246.9Hz), 113.9, 55.2, 51.0(t, J=25.5Hz), 44.0, 33.2 (d, J=2.5Hz), 25.7(d, J=6.7Hz), 25.6, 3.9 (t, J=31.0Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-96.53--96.68 (2F, m)。
IR(CHCl):3006, 2932, 2854, 1611, 1512, 1253, 1179, 1035, 1000, 756cm-1
HRMS(FAB):計算値[C2031IOS]:426.0326、実測値:426.0365。
【0149】
実施例25 3-{[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオ}プロパン酸メチルの合成
【0150】
【化27】
【0151】
実施例21のジベンジルジスルフィドに替えて、ビス[(2-メトキシカルボニル)エチル]ジスルフィドを用いた以外、実施例20と同じ操作を行い、粗生成物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン:ジクロロメタン=1:1:2)で精製し、目的物の3-{[2,2-ジフルオロ-3-ヨード-1-(4-メトキシフェニル)プロパ-1-イル]チオ}プロパン酸メチルを無色油状物として得た(166.9mg、収率78%)。
【0152】
得られた化合物の分析結果は次の通りであった。
H NMR(300MHz, CDCl):δ(ppm)7.35 (2H, d, J=8.7Hz), 6.90-6.86(2H, m), 4.47(1H, dd, J=14.7, 12.3Hz), 3.81(3H, s), 3.67(3H, s), 3.58(1H, ddd, J=17.4, 11.4, 10.8Hz), 3.35(1H, ddd, J=17.4, 12.3, 11.7Hz), 2.88-2.72(2H, m)。
13C NMR(75.45Hz,CDCl):δ(ppm)171.8, 159.6, 130.2, 126.8(dd, J=3.1, 1.2Hz), 120.0 (t, J=246.9Hz), 114.0, 55.2, 53.1 (t, J=25.5Hz), 51.7, 34.2, 27.2, 3.5 (t, J=31.1Hz)。
19F NMR(282Hz, CDCl):δ(ppm)-95.55--96.55(1F, m)-97.09--98.10(1F, m)。
IR(CHCl):3026, 3008, 2954, 2839, 1736, 1611, 1512, 1255, 1179, 1003cm-1
HRMS(FAB):計算値[C1418IOS]:430.9984、実測値:431.0005。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明により、種々の置換基を導入したジフルオロメチレン化合物の製造が可能となった。このようなジフルオロメチレン化合物は医農薬及び機能性材料の合成中間体として有用であり、例えば、抗アルツハイマー薬である5,5-ジフルオロ-3,4,5,6-テトラヒドロピリジン類等の製造に利用できる。