(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】診療支援装置、診療支援方法、及び診療支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220729BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20220729BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220729BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20220729BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A61B6/03 360T
A61B6/03 ZDM
G16H50/20
A61B5/00 G
A01K29/00
A61B5/055 390
(21)【出願番号】P 2019165767
(22)【出願日】2019-09-11
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 威
(72)【発明者】
【氏名】中津川 晴康
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0274584(US,A1)
【文献】国際公開第2007/026787(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0196031(US,A1)
【文献】特開2019-093137(JP,A)
【文献】特開2007-061371(JP,A)
【文献】国際公開第2018/093865(WO,A1)
【文献】特開2017-084191(JP,A)
【文献】特開2014-064776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K11/00-29/00
33/00-37/00
41/00-59/06
67/00
67/033-67/04
A61B5/00-5/01
5/055
6/00-6/14
G06Q50/22
G06T1/00-1/40
3/00-7/90
G06V10/00-20/90
30/418
40/16
40/20
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び前記医用画像を撮影したときの前記被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記医用情報と、前記医用画像データ及び前記年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、前記被検体の成長板の骨折の有無を導出する導出部と、
前記被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する警告情報出力部と、
を備えた診療支援装置。
【請求項2】
前記医用情報は、前記被検体の品種を表す品種情報をさらに含み、
前記学習用医用情報は、前記品種情報をさらに含む、
請求項1に記載の診療支援装置。
【請求項3】
前医用情報は、前記被検体の骨の太さを表す太さ情報をさらに含み、
前記学習用医用情報は、前記太さ情報をさらに含む、
請求項1または請求項2に記載の診療支援装置。
【請求項4】
前記医用情報は、前記被検体の体型に関する体型情報をさらに含み、
前記学習用医用情報は、前記体型情報をさらに含む、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項5】
前記医用情報は、前記被検体の行動に関する行動情報をさらに含み、
前記学習用医用情報は、前記行動情報をさらに含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項6】
前記学習用医用情報に含まれる医用画像データは、成長板が骨折している第1医用画像を表す第1医用画像データと、成長板が骨折していない第2医用画像を表す第2医用画像データとを含む、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項7】
前記学習用医用情報に含まれる医用画像データは、左右一対の骨の各々における成長板のうち、一方の成長板が骨折している第1医用画像データと、他方の成長板が骨折していない第2医用画像データとを含み、
前記取得部は、前記被検体の医用画像データとして、左右一対の骨の各々を撮影した医用画像を表す医用画像データを取得する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の診療支援装置。
【請求項8】
被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び前記医用画像を撮影したときの前記被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得し、
取得された前記医用情報と、前記医用画像データ及び前記年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、前記被検体の成長板の骨折の有無を導出し、
前記被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する、
処理をコンピュータが実行する診療支援方法。
【請求項9】
被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び前記医用画像を撮影したときの前記被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得し、
取得された前記医用情報と、前記医用画像データ及び前記年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、前記被検体の成長板の骨折の有無を導出し、
前記被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための診療支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診療支援装置、診療支援方法、及び診療支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、被検体の医用画像を用いた骨折の有無の診断が医師により行われている。医師に代わり医用画像から骨折に関する検出を行う技術として、例えば、特許文献1には、被検体のトモシンセシス画像に基づいて、被検体における骨折のリスク評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、成長板の骨折は、被検体の成長を阻害する要因となり得る。そのため、成長板の骨折について、早期発見等の適切な診療が重要とされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、骨折のリスクを評価するものの骨折自体を検出するものではない。また、特許文献1に記載の技術では、成長板に関する骨折に対応するには十分とは言えない場合があった。そのため、医用画像を用いた成長板の骨折の診療に関して支援する技術が望まれている。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる、診療支援装置、診療支援方法、及び診療支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の診療支援装置は、被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び医用画像を撮影したときの被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得する取得部と、取得部により取得された医用情報と、医用画像データ及び年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する導出部と、被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する警告情報出力部と、を備える。
【0008】
本開示の第2の態様の診療支援装置は、第1の態様の診療支援装置において、医用情報は、被検体の品種を表す品種情報をさらに含み、学習用医用情報は、品種情報をさらに含む。
【0009】
本開示の第3の態様の診療支援装置は、第1の態様または第2の態様の診療支援装置において、前医用情報は、被検体の骨の太さを表す太さ情報をさらに含み、学習用医用情報は、太さ情報をさらに含む。
【0010】
本開示の第4の態様の診療支援装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の診療支援装置において、医用情報は、被検体の体型に関する体型情報をさらに含み、学習用医用情報は、体型情報をさらに含む。
【0011】
本開示の第5の態様の診療支援装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1態様の診療支援装置において、医用情報は、被検体の行動に関する行動情報をさらに含み、学習用医用情報は、行動情報をさらに含む。
【0012】
本開示の第6の態様の診療支援装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1態様の診療支援装置において、学習用医用情報に含まれる医用画像データは、成長板が骨折している第1医用画像を表す第1医用画像データと、成長板が骨折していない第2医用画像を表す第2医用画像データとを含む。
【0013】
本開示の第7の態様の診療支援装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1態様の診療支援装置において、学習用医用情報に含まれる医用画像データは、左右一対の骨の各々における成長板のうち、一方の成長板が骨折している第1医用画像データと、他方の成長板が骨折していない第2医用画像データとを含み、取得部は、被検体の医用画像データとして、左右一対の骨の各々を撮影した医用画像を表す医用画像データを取得する。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本開示の第8の態様の診療支援方法は、被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び医用画像を撮影したときの被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得し、取得された医用情報と、医用画像データ及び年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出し、被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する、処理をコンピュータが実行するものである。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本開示の第9の態様の診療支援プログラムは、被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び医用画像を撮影したときの被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得し、取得された医用情報と、医用画像データ及び年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出し、被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する、処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0016】
また、本開示の診療支援装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサと、を備え、プロセッサは、被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び医用画像を撮影したときの被検体の年齢を表す年齢情報を含む医用情報を取得し、取得された医用情報と、医用画像データ及び年齢情報を含む学習用医用情報を複数用いて予め学習された学習済みモデルとに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出し、被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の診療支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態の診療支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の学習用医用情報の一例を説明するための図である。
【
図4A】骨折していない状態の成長板が撮影された医用画像の一例を示す図である。
【
図4B】骨折している状態の成長板が撮影された医用画像の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図6】第1実施形態の診療支援装置の学習フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】第1実施形態の学習済みモデルの入出力を説明するための図である。
【
図8】第1実施形態の診療支援装置で実行される学習処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態の診療支援装置の運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】第1実施形態の診療支援装置で実行される診療支援処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1実施形態の診療支援装置における犬種と年齢との組み合わせに応じた学習済みモデルを用いた成長板の骨折の有無の導出を説明するための図である。
【
図12】第2実施形態の診療支援装置の記憶部に記憶される学習用医用情報の一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態の学習用医用情報の一例を説明するための図である。
【
図14】第2実施形態の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図15】第2実施形態の学習済みモデルの入出力を説明するための図である。
【
図16】第2実施形態の診療支援装置の運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】第2実施形態の診療支援装置における骨の太さと年齢との組み合わせに応じた学習済みモデルを用いた成長板の骨折の有無の導出を説明するための図である。
【
図18】第3実施形態の診療支援装置の記憶部に記憶される学習用医用情報の一例を示す図である。
【
図19】第3実施形態の学習用医用情報の一例を説明するための図である。
【
図20】第3実施形態の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図21】第3実施形態の学習済みモデルの入出力を説明するための図である。
【
図22】第3実施形態の診療支援装置の運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図23】第3実施形態の診療支援装置における体型と年齢との組み合わせに応じた学習済みモデルを用いた成長板の骨折の有無の導出を説明するための図である。
【
図24】第4実施形態の診療支援装置の記憶部に記憶される学習用医用情報の一例を示す図である。
【
図25】第4実施形態の学習用医用情報の一例を説明するための図である。
【
図26】第4実施形態の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図27】第4実施形態の学習済みモデルの入出力を説明するための図である。
【
図28】第4実施形態の診療支援装置の運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図29】第4実施形態の診療支援装置における犬種と行動と年齢との組み合わせに応じた学習済みモデルを用いた成長板の骨折の有無の導出を説明するための図である。
【
図30】第5実施形態の学習用医用情報の一例を説明するための図である。
【
図31】第5実施形態の学習済みモデルを説明するための図である。
【
図32】第5実施形態の学習済みモデルの入出力を説明するための図である。
【
図33】第5実施形態の診療支援装置の運用フェーズにおける機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図34】第5実施形態の診療支援装置における犬種と年齢との組み合わせに応じた学習済みモデルを用いた左右の成長板各々の骨折の有無の導出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。なお、以下の形態例では、被検体として「犬」を適用した場合について説明する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、本実施形態の診療支援システム1について説明する。
図1には、本実施形態の診療支援システム1の構成の一例を表すブロック図が示されている。
図1に示すように、本実施形態の診療支援システム1は、診療支援装置10及び複数(
図1では、一例として3台)の端末装置12を備える。診療支援装置10及び複数の端末装置12は、それぞれネットワークNに接続され、ネットワークNを介して互いに通信が可能とされている。
【0021】
診療支援装置10は、例えば、動物病院に設置される。診療支援装置10の例としては、サーバコンピュータ等が挙げられる。なお、診療支援装置10は、クラウドサーバであってもよい。端末装置12は、例えば、動物病院に設置され、獣医師等のユーザにより使用される。端末装置12の例としては、パーソナルコンピュータ及びタブレットコンピュータ等が挙げられる。
【0022】
次に、
図2を参照して、本実施形態の診療支援装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
図2に示すように診療支援装置10は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、診療支援装置10は、液晶ディスプレイ等の表示部24、キーボードやマウス等の入力部26、及びネットワークNに接続されるネットワークI/F(InterFace)28を含む。なお、表示部24及び入力部26はタッチパネルディスプレイとして一体化されていてもよい。CPU20、メモリ21、記憶部22、表示部24、入力部26、及びネットワークI/F28は、バス29に互いに通信が可能に接続されている。
【0023】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、学習プログラム23Aが記憶される。CPU20は、記憶部22から学習プログラム23Aを読み出してからメモリ21に展開し、展開した学習プログラム23Aを実行する。また、記憶部22には、診療支援プログラム23Bが記憶される。CPU20は、記憶部22から診療支援プログラム23Bを読み出してからメモリ21に展開し、展開した診療支援プログラム23Bを実行する。
【0024】
また、本実施形態の記憶部22には、学習用医用情報30と、学習用医用情報30を用いて学習された学習済みモデル38とが記憶される。
【0025】
図2及び
図3に示すように、一例として本実施形態の学習用医用情報30は、医用画像データ32、品種情報34、及び年齢情報36を含む。
【0026】
医用画像データ32は、被検体である犬の骨における成長板を含む部位を医用画像撮影装置によって撮影して得られた医用画像33(
図4A及び
図4B参照)を表す画像データである。成長板は、成長線、骨端板、及び骨端軟骨等とも云われ、骨幹端を近位側の境界、骨端を遠位側の境界とし、軟骨細胞の増殖及び肥大化によって長管骨を長軸方向へ伸長させる組織である。成長板は、例えば、上腕骨近位端骨端、遠位中手骨端、大腿骨頭、遠位大腿骨骨端、及び遠位脛骨骨端等に見られる。被検体が成長すると、成長板が閉じて骨の成長が終わる。なお、骨によって、成長板が閉じる時期(年齢)が異なる場合がある。
【0027】
成長板は、骨の他の部位に比べると脆弱であり、衝撃が加わると骨折し易い組織である。成長板を骨折すると、骨折した成長板を有する骨の成長が妨げられる場合がある。そのため、被検体の骨が短くなる、曲がる、及び持続的な痛みを引き起こす等の症状が現れる場合がある。そこで、成長板を骨折した場合、早期に適切な治療を行うことが重要である。
【0028】
本実施形態の医用画像データ32の例を
図4A及び
図4Bを参照して説明する。なお、本実施形態では、医用画像データ32として、被検体の犬に対して放射線を照射し、犬を透過した放射線を検出する放射線検出器により検出された放射線量に応じた放射線画像を表す画像データを適用した形態例を説明する。なお、医用画像データ32は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像を表す画像データ及びCT(Computed Tomography)画像を表す画像データ等であってもよい。
【0029】
図4Aには、骨折していない状態の成長板60
1~60
3が撮影された医用画像33Aが示されている。医用画像33Aは、医用画像データ32Aによって表される。また、
図4Bには、骨折している状態の成長板60
1が撮影された医用画像33Bが示されている。医用画像33Bは、医用画像データ32Bによって表される。
【0030】
医用画像33Bでは、骨折している状態の遠位大腿骨骨端の成長板601が撮影されており、成長板601の骨折部位を骨折部62として示している。また、医用画像33Bでは、骨折していない状態の近位脛骨骨端の成長板602及び近位腓骨骨端の成長板603が撮影されている。
【0031】
このように、本実施形態の医用画像データ32は、骨折している状態の成長板が撮影された医用画像33Aを表す医用画像データ32Aと、骨折していない状態の成長板が撮影された医用画像33Bを表す医用画像データ32Bとを各々、複数含む。本実施形態の医用画像33Aが本開示の第2医用画像の一例であり、本実施形態の医用画像データ32Aが本開示の第2医用画像データの一例である。また、本実施形態の医用画像33Bが本開示の第1医用画像の一例であり、本実施形態の医用画像データ32Bが本開示の第1医用画像データの一例である。
【0032】
また、本実施形態の医用画像データ32には、一例として
図3に示すように、撮影された成長板の骨折の有無を表す情報(以下、「骨折有無情報」という)が付加されている。
図3の骨折有無情報の例では、成長板が骨折していないことを「正常」と表記し、成長板が骨折していることを「骨折」と表記している。
【0033】
品種情報34は、被検体である犬の品種を表す品種情報であり、医用画像データ32に付加されている。具体的には、品種情報34とは、被検体が犬であるため、犬種を表す情報である。なお、本実施形態において「品種」とは、「犬種」等の品種の他、「犬」及び「猫」等の種族の概念も含む。
【0034】
年齢情報36は、被検体である犬の年齢を表す年齢情報であり、医用画像データ32に付加されている。年齢情報36とは、被検体の出生からの経過時間を表す情報である。なお、本実施形態では、便宜上、年齢と称しているが、出生からの年単位の経過時間ではなく、月単位の経過時間、即ち月齢を採用している。上述したように、成長板の骨折は早期に治療を行うことが好ましいため、例えば、犬等のように成長が比較的速い場合、年単位とした年齢では成長による骨の変化(成長板の骨折による影響)に対応しきれないことがある。そのため、本実施形態では、このように年齢情報36として月齢を表す情報を採用している。このように、年齢情報36によって表される被検体の出生からの経過時間は、被検体の骨の成長速度に応じて定めることが好ましく、年齢、月齢に限らず、例えば日齢であってもよい。
【0035】
学習済みモデル38は、学習用医用情報30を用いて予め学習されたモデルである。本実施形態では、一例として
図5に示すように、学習用医用情報30を用いた機械学習によって学習済みモデル38が生成される。例えば、
図5に示すように、品種情報34が表す犬種が「柴犬」の場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
1が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
2が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
3が生成される。
【0036】
また例えば、
図5に示すように、品種情報34が表す犬種が「ゴールデンレトリバー」の場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種がゴールデンレトリバーで年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
4が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種がゴールデンレトリバーで年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
5が生成される。年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種がゴールデンレトリバーで年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
6が生成される。学習済みモデル38の例としては、ニューラルネットワークモデルが挙げられる。
【0037】
なお、
図5では、犬種として「柴犬」及び「ゴールデンレトリバー」、年齢として「1ヶ月」~「3ヶ月」の場合の学習済みモデル38
1~38
6について示しているが、犬種及び年齢はこれらに限定されるものではない。なお、学習済みモデル38
1~38
6について各々を区別せずに総称する場合、個々を区別する「1」~「6」の符号を省略して「学習済みモデル38」という。
【0038】
次に、
図6を参照して、本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける機能的な構成について説明する。
図6に示すように、診療支援装置10は、取得部40及び学習部42を含む。CPU20が学習プログラム23Aを実行することで、取得部40及び学習部42として機能する。
【0039】
取得部40は、学習用医用情報30を記憶部22から取得する。
【0040】
学習部42は、取得部40により取得された学習用医用情報30を学習用のデータ(教師データとも称される)として学習させることによって、学習用医用情報30に基づいて被検体の成長板の骨折の有無に関する情報を出力する学習済みモデル38を生成する。具体的には、学習部42は、品種情報34が表す犬種と年齢情報36が表す年齢との組み合わせ毎に、骨折有無情報が付加された医用画像データ32を入力とし、医用画像データ32が表す医用画像33における成長板の骨折の有無を表す情報を出力とした、品種及び年齢の組み合わせに応じた複数の学習済みモデル38を機械学習によって生成する。
【0041】
より具体的には、学習部42は、品種情報34が表す犬種として「柴犬」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報(例えば、「0」)が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種として「柴犬」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報(例えば、「1」)が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル381が生成される。
【0042】
同様に、学習部42は、品種情報34が表す犬種として「柴犬」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種として「柴犬」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル382が生成される。
【0043】
同様に、学習部42は、品種情報34が表す犬種として「ゴールデンレトリバー」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種として「ゴールデンレトリバー」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種がゴールデンレトリバーで年齢が1ヶ月用の学習済みモデル384が生成される。
【0044】
以上の学習部42による学習のアルゴリズムとしては、例えば、誤差逆伝播法を適用することができる。以上の学習部42による学習によって、一例として
図7に示すように、品種(犬種)及び年齢の組み合わせ毎に、医用画像データ52、品種情報54、及び年齢情報56を入力とし、入力の医用画像データ52が表す医用画像に写る被検体の成長板について、骨折していないか、または骨折を有するかを表す情報を出力とする学習済みモデル38が生成される。そして、学習部42は、生成した学習済みモデル38を記憶部22に記憶する。なお、本実施形態では、医用画像データ52、品種情報54、及び年齢情報56を総称する場合、「医用情報」という。
【0045】
次に、
図8を参照して、本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける作用を説明する。CPU20が学習プログラム23Aを実行することによって、
図8に示す学習処理が実行される。
【0046】
図8のステップS100で、取得部40は、学習用医用情報30を記憶部22から取得する。
【0047】
次のステップS102で、学習部42は、上述したように、ステップS100で取得された学習用医用情報30を学習用のデータとして犬種及び年齢の組み合わせ毎にモデルを学習させる。この学習により、学習部42は、医用画像データ52、品種情報54、及び年齢情報56に基づいて、被検体の成長板の骨折の有無に関する情報を出力する学習済みモデル38を生成する。そして、学習部42は、生成した学習済みモデル38を記憶部22に記憶する。ステップS102の処理が終了すると本学習処理が終了する。
【0048】
次に、
図9を参照して、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける機能的な構成について説明する。
図9に示すように、本実施形態の診療支援装置10は、取得部44、導出部46、及び出力部48を含む。CPU20が診療支援プログラム23Bを実行することで、取得部44、導出部46、及び出力部48として機能する。取得部44が開示の取得部の一例であり、導出部46が本開示の判定部の一例である。なお、診療支援装置10は、学習フェーズと運用フェーズとで同じ装置であってもよいし、異なる装置であってもよい。
【0049】
取得部44は、獣医師等のユーザによる診療対象である被検体の動物を医用画像撮影装置によって撮影して得られた医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の犬種を表す品種情報54と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを医用情報として取得する。品種情報54及び年齢情報56の各々は、医用画像データ52に付加されていてもよいし、ユーザにより端末装置12の操作部(図示省略)を介して入力されてもよい。
【0050】
導出部46は、取得部44により取得された医用情報(医用画像データ52、品種情報54、及び年齢情報56)と、学習用医用情報30によって予め学習された学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、取得部44によって取得された医用画像データ52を、取得部44により取得された品種情報54が表す犬種及び年齢情報56が表す年齢の組み合わせに応じた学習済みモデル38に入力する。学習済みモデル38は、入力された医用情報に応じて、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を出力する。
【0051】
導出部46は、学習済みモデル38からの出力が、骨折が無いことを表す情報である場合、取得部44により取得された医用情報に対応する被検体について成長板の骨折が無いことを導出する。具体的には、導出部46は、医用画像データ52によって表される医用画像に写る骨における成長板について、骨折が無いことを導出する。一方、導出部46は、学習済みモデル38からの出力が、骨折が有ることを表す情報である場合、取得部44により取得された医用情報に対応する被検体について成長板の骨折が有ることを導出する。具体的には、導出部46は、医用画像データ52によって表される医用画像に写る骨における成長板について、骨折が有ることを導出する。
【0052】
出力部48は、警告情報出力部49を含む。本実施形態の警告情報出力部49が本開示の警告情報出力部の一例である。警告情報出力部49は、被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する。具体的には、警告情報出力部49は、導出部46による導出結果が、成長板の骨折が有るとした導出結果の場合、予め定められた警告情報を端末装置12に出力することによって端末装置12の表示部(図示省略)に警告情報を表示する。ユーザは、端末装置12の表示部に表示された警告情報を参考に医用画像データ52が表す医用画像を読影し、被検体の成長板の骨折について診療を行う。なお、このように、導出部46による導出結果が、成長板の骨折が有るとした導出結果の場合、警告情報に加えて、成長板の骨折が有るとした導出結果についても、端末装置12の表示部に表示させてもよい。
【0053】
また、出力部48は、被検体の成長板が骨折していない場合、骨折が無いとした導出結果を出力する。具体的には、出力部48は、導出部46による導出結果が、成長板の骨折が無いとした導出結果の場合、導出結果を端末装置12に出力することによって端末装置12の表示部(図示省略)に導出結果を表示する。ユーザは、端末装置12の表示部に表示された導出結果を参考に被検体の診療を行う。
【0054】
次に、
図10を参照して、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける作用を説明する。CPU20が診療支援プログラム23Bを実行することによって、
図10に示す診療支援処理が実行される。
【0055】
図10のステップS200で、取得部44は、被検体である犬の医用情報を取得し、導出部46に出力する。具体的には、取得部44は、ユーザによる診療対象である被検体の犬を医用画像撮影装置によって撮影して得られた医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の品種を表す品種情報54と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを取得する。
【0056】
次のステップS202で、導出部46は、上述したように、取得部44から入力された医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、入力された医用情報における品種情報54と年齢情報56との組み合わせに応じて選択した学習済みモデル38に医用画像データ52を入力させ、学習済みモデル38から出力された被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を取得する。
【0057】
例えば、
図11に示すように、医療情報における品種情報54の表す犬種が「柴犬」であり、年齢情報56の表す情報が「3ヶ月」の場合、導出部46は、医用画像データ52を犬種が柴犬であり年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
3に入力させる。学習済みモデル38
3からは、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報が出力される。
【0058】
次のステップS204で導出部46は、被検体の成長板に骨折が有るか否かを判定する。学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が有ることを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が肯定判定となり、ステップS206へ移行する。ステップS206で警告情報出力部49は、上述したように警告情報を出力する。ステップS206の処理が終了すると、本診療支援処理が終了する。
【0059】
一方、学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が無いことを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が否定判定となり、ステップS208へ移行する。ステップS208で出力部48は、上述したように骨折が無いとした導出結果を出力する。ステップS208の処理が終了すると、本診療支援処理が終了する。
【0060】
このように、本実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像データ52、品種情報54、及び年齢情報56を含む医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無が導出される。被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、被検体の品種(犬種)が挙げられる。例えば、ポメラニアン、チワワ、トイ・プードル、及びボルゾイ等の犬種は、骨折し易いことが一般的に知られており、成長板も骨折し易いる。本実施形態の診療支援装置10によれば、成長板の骨折に影響を与える要因である品種(犬種)を考慮して学習された学習済みモデル38を用いて被検体の成長板の骨折の有無を導出するため、医用画像データ52が表す医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる。
【0061】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について詳細に説明する。
被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、被検体の骨の太さが挙げられる。そこで、本実施形態では、診療支援装置10により、被検体の骨の太さを含む医用情報を用いて被検体の成長板の骨折に対する診療を支援する形態について説明する。
【0062】
本実施形態の診療支援システム1の構成は、第1実施形態の診療支援システム1の構成(
図1参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
一方、本実施形態の診療支援装置10では、診療に用いる被検体の医用情報の内容が第1実施形態と異なり、また、学習済みモデル38の学習に用いる学習用医用情報30の内容が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態の診療支援装置10の構成は、記憶部22に記憶される学習用医用情報30に含まれる情報が、第1実施形態の記憶部22に記憶される学習用医用情報30に含まれる情報(
図1及び
図2参照)と異なる。
図12及び
図13には、本実施形態の学習用医用情報30の一例を示す。
図12及び
図13に示すように、本実施形態の学習用医用情報30は、第1実施形態の学習用医用情報30に含まれていた品種情報34(
図1及び
図2参照)に代わり、太さ情報35を含んでいる。
【0064】
太さ情報35とは、被検体の骨の太さを表す情報である。具体的には、被検体を撮影した医用画像データ32に写る骨の太さを表す情報であり、一例として本実施形態では、骨の太さを2段階に表す情報であり、具体的には骨太及び骨細のいずれであるかを表す情報である。なお、本実施形態に限定されず、太さ情報35が、骨の太さを3段階以上に表す情報であってもよい。
【0065】
なお、骨の太さを表す太さ情報35を得る方法は特に限定されないが、本実施形態では、実際に被検者の骨を計測すること以外から得ている。例えば、医用画像データ32が表す医用画像を読影したユーザまたは被検体を触診したユーザが、端末装置12の操作部(図示省略)から骨の太さを入力する形態としてもよい。また例えば、犬種と骨の太さとの対応関係を表すテーブルを予め用意しておき、電子カルテ等から被検体の犬種を取得し、予め用意されたテーブルから、取得した犬種に対応する骨の太さを取得する形態としてもよい。また例えば、医用画像データ32が表す医用画像33を画像解析して、医用画像33に写る骨の画像を検出し、検出した骨の幅と、撮影条件(放射線源、被検体、及び放射線検出器等の間隔)とに基づいて導出した値を予め定められた骨の太さ判定用の閾値と比較することで骨の太さを得る形態としもよい。なお、この場合に幅を計測する骨は、例えば、成長板60を含む骨等と予め定めておく形態としてもよいし、また、医用画像33に写る全ての骨の平均値を用いる形態等としてもよい。
【0066】
図14に示すように、上記本実施形態の学習用医用情報30を用いた機械学習により本実施形態の学習済みモデル38が生成される。例えば、
図14に示すように、太さ情報35が表す骨の太さが「細い」の場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、骨の太さが骨細で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
7が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、骨の太さが骨細で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
8が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、骨の太さが骨細で年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
9が生成される。
【0067】
また例えば、
図14に示すように、太さ情報35が表す骨の太さが「太い」の場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、骨の太さが骨太で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
10が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、骨の太さが骨太で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
11が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、骨の太さが骨太で年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
12が生成される。上述したように学習済みモデル38の例としては、ニューラルネットワークモデルが挙げられる。
【0068】
なお、
図14では、6つの学習済みモデル38
7~38
12について示しているが、生成される学習済みモデル38の数は6つに限定されるものではない。なお、学習済みモデル38
7~38
12について各々を区別せずに総称する場合、個々を区別する「7」~「12」の符号を省略して「学習済みモデル38」という。
【0069】
次に、本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける機能的な構成について説明する。本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図6参照)と同様である。一方、本実施形態の診療支援装置10における学習部42は、学習用医用情報30に基づいて学習済みモデル38を生成する具体的な動作が異なるため、学習部42の具体的な動作について説明する。
【0070】
本実施形態の学習部42は、太さ情報35が表す骨の太さと年齢情報36が表す年齢との組み合わせ毎に、骨折有無情報が付加された医用画像データ32を入力とし、医用画像データ32が表す医用画像33における成長板の骨折の有無を表す情報を出力とした、骨の太さ及び年齢の組み合わせに応じた複数の学習済みモデル38を機械学習によって生成する。
【0071】
より具体的には、学習部42は、太さ情報35が表す骨の太さとして「骨細」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報(例えば、「0」)が出力されるようにモデルを学習させる。また、太さ情報35が表す骨の太さとして「骨細」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報(例えば、「1」)が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、骨の太さが骨細で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル387が生成される。
【0072】
同様に、学習部42は、太さ情報35が表す骨の太さとして「骨細」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、太さ情報35が表す骨の太さとして「骨細」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、骨の太さが骨細で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル388が生成される。
【0073】
同様に、学習部42は、太さ情報35が表す骨の太さとして「骨太」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、太さ情報35が表す骨の太さとして「骨太」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、骨の太さが骨太で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル3810が生成される。
【0074】
以上の学習部42による学習のアルゴリズムとしては、上述したように例えば、誤差逆伝播法を適用することができる。以上の学習部42による学習によって、一例として
図15に示すように、骨の太さ及び年齢の組み合わせ毎に、医用画像データ52、太さ情報55、及び年齢情報56を入力とし、入力の医用画像データ52が表す医用画像に写る被検体の成長板について、骨折していないか、または骨折を有するかを表す情報を出力とする学習済みモデル38が生成される。そして、学習部42は、生成した学習済みモデル38を記憶部22に記憶する。
【0075】
本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける作用、すなわち、診療支援装置10が実行する学習処理は、第1実施形態の診療支援装置10において実行される学習処理(
図8参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
次に、
図16を参照して、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける機能的な構成を説明する。本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図9参照)と同様である。なお、本実施形態の診療支援装置10における取得部44及び導出部46の具体的な動作が異なるため、取得部44及び導出部46の具体的な動作について説明する。
【0077】
取得部44は、被検体が撮影された医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の骨の太さを表す太さ情報55と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを医用情報として取得する。太さ情報55及び年齢情報56の各々は、医用画像データ52に付加されていてもよいし、ユーザにより端末装置12の操作部(図示省略)を介して入力されてもよい。
【0078】
導出部46は、取得部44により取得された医用情報(医用画像データ52、太さ情報55、及び年齢情報56)と、学習用医用情報30によって予め学習された学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、取得部44によって取得された医用画像データ52を、取得部44により取得された太さ情報55が表す犬種及び年齢情報56が表す年齢の組み合わせに応じた学習済みモデル38に入力する。学習済みモデル38は、入力された医用情報に応じて、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を出力する。
【0079】
次に、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける作用を説明する。なお、診療支援処理の全体的な流れは第1実施形態の
図10に示した診療支援処理と同様であるため、
図10を参照して説明する。
【0080】
ステップS200で、取得部44は、被検体である犬の医用情報を取得し、導出部46に出力する。具体的には、取得部44は、ユーザによる診療対象である被検体の犬を医用画像撮影装置によって撮影して得られた医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の骨の太さを表す太さ情報55と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを取得する。
【0081】
次のステップS202で、導出部46は、上述したように、取得部44から入力された医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、入力された医用情報における太さ情報55と年齢情報56との組み合わせに応じて選択した学習済みモデル38に医用画像データ52を入力させ、学習済みモデル38から出力された被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を取得する。
【0082】
例えば、
図17に示すように、医療情報における太さ情報55の表す骨の太さが「骨細」であり、年齢情報56の表す情報が「3ヶ月」の場合、導出部46は、医用画像データ52を骨の太さが骨細であり年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
9に入力させる。学習済みモデル38
9からは、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報が出力される。
【0083】
次のステップS204で導出部46は、上述したように被検体の成長板に骨折が有るか否かを判定する。学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が有ることを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が肯定判定となり、次のステップS206で警告情報出力部49が、上述したように警告情報を出力した後、本診療支援処理を終了する。
【0084】
一方、学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が無いことを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が否定判定となり、次のステップS208で出力部48が、上述したように骨折が無いとした導出結果を出力した後、本診療支援処理を了する。
【0085】
このように、本実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像データ52、太さ情報55、及び年齢情報56を含む医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無が導出される。被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、骨の太さ、特に成長板を有する骨の太さが挙げられる。例えば、骨太に比べて骨細のほうが、比較的、骨折し易く、成長板も骨折しやすい傾向が知られている。本実施形態の診療支援装置10によれば、成長板の骨折に影響を与える要因である骨の太さを考慮して学習された学習済みモデル38を用いて被検体の成長板の骨折の有無を導出するため、医用画像データ52が表す医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる。
【0086】
また、本実施形態の診療支援装置10によれば、被検体がいわゆるミックス犬等の雑種である場合や、犬種が不明な場合等でも、骨の太さを考慮して被検体の成長板の骨折の有無を導出することができるため、より診療を交換的に支援することができる。
【0087】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について詳細に説明する。
被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、被検体の体型が挙げられる。そこで、本実施形態では、診療支援装置10により、被検体の体型を含む医用情報を用いて被検体の成長板の骨折に対する診療を支援する形態について説明する。
【0088】
本実施形態の診療支援システム1の構成は、第1実施形態の診療支援システム1の構成(
図1参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
一方、本実施形態の診療支援装置10では、診療に用いる被検体の医用情報の内容が第1実施形態と異なり、また、学習済みモデル38の学習に用いる学習用医用情報30の内容が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態の診療支援装置10の構成は、記憶部22に記憶される学習用医用情報30に含まれる情報が、第1実施形態の記憶部22に記憶される学習用医用情報30に含まれる情報(
図1及び
図2参照)と異なる。
図18及び
図19には、本実施形態の学習用医用情報30の一例を示す。
図18及び
図19に示すように、本実施形態の学習用医用情報30は、第1実施形態の学習用医用情報30に含まれていた品種情報34(
図1及び
図2参照)に代わり、体型情報37を含んでいる。
【0090】
体型情報37とは、被検体の体型を表す情報である。具体的には、被検体の体の大きさを表す情報であり、一例として本実施形態では、被検体の体の大きさを2段階に表す情報であり、具体的には小型及び大型のいずれであるかを表す情報である。なお、本実施形態に限定されず、体型情報37が、体の大きさを、小型、中型、及び大型等、3段階以上に表す情報であってもよい。また、体型情報37は、本実施形態のようにいわゆる小型犬であるか大型犬であるかを表す情報に限定されず、例えば、肥満型または痩せ型等の体型を表す情報であってもよい。
【0091】
なお、体型情報37を得る方法は特に限定されない。例えば、医用画像データ32が表す医用画像を読影したユーザが、端末装置12の操作部(図示省略)から体型を入力する形態としてもよい。また例えば、犬種と体型との対応関係を表すテーブルを予め用意しておき、電子カルテ等から被検体の犬種を取得し、予め用意されたテーブルから、取得した犬種に対応する体型を取得する形態としてもよい。また例えば、診察台上の被検体をカメラ等により撮影して得られた撮影画像に基づき、診察台と被検体との大きさを比較した比較結果から、被検体の体型を自動的に取得する形態としてもよい。
【0092】
図20に示すように、上記本実施形態の学習用医用情報30を用いた機械学習により本実施形態の学習済みモデル38が生成される。例えば、
図20に示すように、体型情報37が表す体型が「小型」の場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、体型が小型で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
13が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、体型が小型で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
14が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、体型が小型で年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
15が生成される。
【0093】
また例えば、
図20に示すように、体型情報37が表す体型が「大型」の場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、体型が大型で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
16が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、体型が大型で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
17が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、体型が大型で年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
18が生成される。上述したように学習済みモデル38の例としては、ニューラルネットワークモデルが挙げられる。
【0094】
なお、
図20では、6つの学習済みモデル38
13~38
18について示しているが、生成される学習済みモデル38の数は6つに限定されるものではない。なお、学習済みモデル38
13~38
18について各々を区別せずに総称する場合、個々を区別する「13」~「18」の符号を省略して「学習済みモデル38」という。
【0095】
次に、本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける機能的な構成について説明する。本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図6参照)と同様で有る。一方、本実施形態の診療支援装置10における学習部42は、学習用医用情報30に基づいて学習済みモデル38を生成する具体的な動作が異なるため、学習部42の具体的な動作について説明する。
【0096】
本実施形態の学習部42は、体型情報37が表す被検体の体型と年齢情報36が表す年齢との組み合わせ毎に、骨折有無情報が付加された医用画像データ32を入力とし、医用画像データ32が表す医用画像33における成長板の骨折の有無を表す情報を出力とした、被検体の体型及び年齢の組み合わせに応じた複数の学習済みモデル38を機械学習によって生成する。
【0097】
より具体的には、学習部42は、体型情報37が表す体型として「小型」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報(例えば、「0」)が出力されるようにモデルを学習させる。また、体型情報37が表す体型として「小型」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報(例えば、「1」)が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、体型が小型で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル3813が生成される。
【0098】
同様に、学習部42は、体型情報37が表す体型として「小型」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、体型情報37が表す体型として「小型」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、体型が小型で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル3814が生成される。
【0099】
同様に、学習部42は、体型情報37が表す体型として「大型」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、体型情報37が表す体型として「大型」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、体型が大型で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル3816が生成される。
【0100】
以上の学習部42による学習のアルゴリズムとしては、上述したように例えば、誤差逆伝播法を適用することができる。以上の学習部42による学習によって、一例として
図21に示すように、体型及び年齢の組み合わせ毎に、医用画像データ52、体型情報57、及び年齢情報56を入力とし、入力の医用画像データ52が表す医用画像に写る被検体の成長板について、骨折していないか、または骨折を有するかを表す情報を出力とする学習済みモデル38が生成される。そして、学習部42は、生成した学習済みモデル38を記憶部22に記憶する。
【0101】
本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける作用、すなわち、診療支援装置10が実行する学習処理は、第1実施形態の診療支援装置10において実行される学習処理(
図8参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0102】
次に、
図22を参照して、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける機能的な構成を説明する。本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図9参照)と同様である。なお、本実施形態の診療支援装置10における取得部44及び導出部46の具体的な動作が異なるため、取得部44及び導出部46の具体的な動作について説明する。
【0103】
取得部44は、被検体が撮影された医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の体型を表す体型情報57と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを医用情報として取得する。体型情報57及び年齢情報56の各々は、医用画像データ52に付加されていてもよいし、ユーザにより端末装置12の操作部(図示省略)を介して入力されてもよい。
【0104】
導出部46は、取得部44により取得された医用情報(医用画像データ52、体型情報57、及び年齢情報56)と、学習用医用情報30によって予め学習された学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、取得部44によって取得された医用画像データ52を、取得部44により取得された体型情報57が表す犬種及び年齢情報56が表す年齢の組み合わせに応じた学習済みモデル38に入力する。学習済みモデル38は、入力された医用情報に応じて、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を出力する。
【0105】
次に、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける作用を説明する。なお、診療支援処理の全体的な流れは第1実施形態の
図10に示した診療支援処理と同様であるため、
図10を参照して説明する。
【0106】
ステップS200で、取得部44は、被検体である犬の医用情報を取得し、導出部46に出力する。具体的には、取得部44は、ユーザによる診療対象である被検体の犬を医用画像撮影装置によって撮影して得られた医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の体型を表す体型情報57と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを取得する。
【0107】
次のステップS202で、導出部46は、上述したように、取得部44から入力された医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、入力された医用情報における体型情報57と年齢情報56との組み合わせに応じて選択した学習済みモデル38に医用画像データ52を入力させ、学習済みモデル38から出力された被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を取得する。
【0108】
例えば、
図23に示すように、医療情報における体型情報57の表す体型が「小型」であり、年齢情報56の表す情報が「3ヶ月」の場合、導出部46は、医用画像データ52を体型が小型であり年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
15に入力させる。学習済みモデル38
15からは、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報が出力される。
【0109】
次のステップS204で導出部46は、上述したように被検体の成長板に骨折が有るか否かを判定する。学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が有ることを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が肯定判定となり、次のステップS206で警告情報出力部49が、上述したように警告情報を出力した後、本診療支援処理を終了する。
【0110】
一方、学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が無いことを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が否定判定となり、次のステップS208で出力部48が、上述したように骨折が無いとした導出結果を出力した後、本診療支援処理を了する。
【0111】
このように、本実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像データ52、体型情報57、及び年齢情報56を含む医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無が導出される。被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、被検体の体型が挙げられる。例えば、大型犬に比べて小型犬のほうが、比較的、骨折し易く、成長板も骨折しやすい傾向が知られている。換言すると、体型が小型になるほど、成長板が骨折し易い傾向がある。また例えば、体型が頑丈な犬に比べて華奢な犬のほうが、比較的、骨折し易く、成長板も骨折しやすい傾向が知られている。換言すると、体型が華奢になるほど、成長板が骨折し易い傾向がある。また例えば、体型が標準体型な犬に比べて、痩せ型の犬や肥満型の犬のほうが、比較的、骨折し易く、成長板も骨折し易い傾向が知られている。換言すると、体型が標準体型から乖離するほど、成長板が骨折し易い傾向がある。また例えば、体脂肪率が低い犬に比べて、体脂肪率が高い犬のほうが、比較的、骨折し易く、成長板も骨折し易い傾向が知られている。
【0112】
本実施形態の診療支援装置10によれば、成長板の骨折に影響を与える要因である被検体の体型を考慮して学習された学習済みモデル38を用いて被検体の成長板の骨折の有無を導出するため、医用画像データ52が表す医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる。
【0113】
また、本実施形態の診療支援装置10によれば、被検体がいわゆるミックス犬等の雑種である場合や、犬種が不明な場合等でも、被検体の体型を考慮して被検体の成長板の骨折の有無を導出することができるため、より診療を交換的に支援することができる。
【0114】
[第4実施形態]
以下、第4実施形態について詳細に説明する。
被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、さらに、被検体の行動が挙げられる。そこで、本実施形態では、診療支援装置10により、被検体の行動に関する情報を含む医用情報を用いて被検体の成長板の骨折に対する診療を支援する形態について説明する。
【0115】
本実施形態の診療支援システム1の構成は、第1実施形態の診療支援システム1の構成(
図1参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
一方、本実施形態の診療支援装置10では、診療に用いる被検体の医用情報の内容が第1実施形態と異なり、また、学習済みモデル38の学習に用いる学習用医用情報30の内容が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態の診療支援装置10の構成は、記憶部22に記憶される学習用医用情報30に含まれる情報が、第1実施形態の記憶部22に記憶される学習用医用情報30に含まれる情報(
図1及び
図2参照)と異なる。
図24及び
図25には、本実施形態の学習用医用情報30の一例を示す。
図24及び
図25に示すように、本実施形態の学習用医用情報30は、第1実施形態の学習用医用情報30に含まれていた品種情報34(
図1及び
図2参照)に加えて、行動情報39を含んでいる。
【0117】
行動情報39とは、被検体の行動に関する情報である。具体的には、被検体の普段、日常的な行動に関する情報であり、一例として本実施形態では、被検体の普段の行動を2段階に表す情報であり、具体的には大人しい及び行動的のいずれであるかを表す情報である。なお、本実施形態に限定されず、行動情報39が、被検体の行動を3段階以上に表す情報であってもよい。また、行動情報39は、本実施形態のように大人しいか行動的で有るかを表す情報に限定されず、例えば、飛び跳ねる頻度が高いまたは低い、ソファや机等高いところに上る頻度が高いまたは低い、及び室内犬か室外犬か等を表す情報のいずれかであってもよいし、これらの情報の組み合わせであってもよい。
【0118】
なお、行動情報39を得る方法は特に限定されない。例えば、医用画像データ32が表す医用画像を読影したユーザが、端末装置12の操作部(図示省略)から被検体の行動に関する情報を入力する形態としてもよい。また例えば、電子カルテ等に被検体の行動に関する情報が記載されている場合、被検体の行動に関する情報が記載されている電子カルテ等から行動に関する情報を取得する形態としてもよい。
【0119】
図26に示すように、上記本実施形態の学習用医用情報30を用いた機械学習により本実施形態の学習済みモデル38が生成される。例えば、
図26に示すように、品種情報34が表す犬種が「柴犬」であり、かつ行動情報39が表す行動に関する情報が「大人しい」である場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で行動が大人しく、年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
19が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で行動が大人しく、年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
20が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で行動が大人しく、年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
21が生成される。
【0120】
また例えば、
図26に示すように、品種情報34が表す犬種が「柴犬」であり、かつ行動情報39が表す行動に関する情報が「行動的」である場合、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で行動が行動的で、年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
22が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で行動が行動的で、年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
23が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「3ヶ月」の医用画像データ32A及び32Bからは、犬種が柴犬で行動が行動的で、年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
24が生成される。上述したように学習済みモデル38の例としては、ニューラルネットワークモデルが挙げられる。
【0121】
なお、
図26では、6つの学習済みモデル38
19~38
24について示しているが、生成される学習済みモデル38の数は6つに限定されるものではない。なお、学習済みモデル38
19~38
24について各々を区別せずに総称する場合、個々を区別する「19」~「24」の符号を省略して「学習済みモデル38」という。
【0122】
次に、本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける機能的な構成について説明する。本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図6参照)と同様である。一方、本実施形態の診療支援装置10における学習部42は、学習用医用情報30に基づいて学習済みモデル38を生成する具体的な動作が異なるため、学習部42の具体的な動作について説明する。
【0123】
本実施形態の学習部42は、品種情報34が表す犬種、行動情報59が表す行動に関する情報、及び年齢情報36が表す年齢の組み合わせ毎に、骨折有無情報が付加された医用画像データ32を入力とし、医用画像データ32が表す医用画像33における成長板の骨折の有無を表す情報を出力とした、犬種、行動、及び年齢の組み合わせに応じた複数の学習済みモデル38を機械学習によって生成する。
【0124】
より具体的には、学習部42は、品種情報34が表す犬種が「柴犬」、行動情報39が表す行動に関する情報が「大人しい」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報(例えば、「0」)が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」、行動情報39が表す行動に関する情報が「大人しい」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報(例えば、「1」)が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で行動が大人しく、年齢が1ヶ月用の学習済みモデル3819が生成される。
【0125】
同様に、学習部42は、品種情報34が表す犬種が「柴犬」、行動情報39が表す行動に関する情報が「大人しい」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」、行動情報39が表す行動に関する情報が「大人しい」、及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で行動が大人しく、年齢が2ヶ月用の学習済みモデル3820が生成される。
【0126】
同様に、学習部42は、品種情報34が表す犬種が「柴犬」、行動情報39が表す行動に関する情報が「行動的」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aが入力された場合は、骨折が無いことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」、行動情報39が表す行動に関する情報が「行動的」、及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bが入力された場合は、骨折が有ることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で行動が行動的で、骨の太さが骨太で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル3822が生成される。
【0127】
以上の学習部42による学習のアルゴリズムとしては、上述したように例えば、誤差逆伝播法を適用することができる。以上の学習部42による学習によって、一例として
図27に示すように、犬種、行動、及び年齢の組み合わせ毎に、医用画像データ52、品種情報54、行動情報59、及び年齢情報56を入力とし、入力の医用画像データ52が表す医用画像に写る被検体の成長板について、骨折していないか、または骨折を有するかを表す情報を出力とする学習済みモデル38が生成される。そして、学習部42は、生成した学習済みモデル38を記憶部22に記憶する。
【0128】
本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける作用、すなわち、診療支援装置10が実行する学習処理は、第1実施形態の診療支援装置10において実行される学習処理(
図8参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0129】
次に、
図28を参照して、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける機能的な構成を説明する。本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図9参照)と同様である。なお、本実施形態の診療支援装置10における取得部44及び導出部46の具体的な動作が異なるため、取得部44及び導出部46の具体的な動作について説明する。
【0130】
取得部44は、被検体が撮影された医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の犬種を表す品種情報54と、その被検体の行動に関する情報を表す行動情報59と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを医用情報として取得する。品種情報54、行動情報59、及び年齢情報56の各々は、医用画像データ52に付加されていてもよいし、ユーザにより端末装置12の操作部(図示省略)を介して入力されてもよい。
【0131】
導出部46は、取得部44により取得された医用情報(医用画像データ52、品種情報54、行動情報59、及び年齢情報56)と、学習用医用情報30によって予め学習された学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、取得部44によって取得された医用画像データ52を、取得部44により取得された品種情報54が表す犬種、行動情報59が表す行動、及び年齢情報56が表す年齢の組み合わせに応じた学習済みモデル38に入力する。学習済みモデル38は、入力された医用情報に応じて、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を出力する。
【0132】
次に、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける作用を説明する。なお、診療支援処理の全体的な流れは第1実施形態の
図10に示した診療支援処理と同様であるため、
図10を参照して説明する。
【0133】
ステップS200で、取得部44は、被検体である犬の医用情報を取得し、導出部46に出力する。具体的には、取得部44は、ユーザによる診療対象である被検体の犬を医用画像撮影装置によって撮影して得られた医用画像を表す医用画像データ52と、その被検体の犬種を表す品種情報54と、その被検体の行動に関する情報を表す行動情報59と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを取得する。
【0134】
次のステップS202で、導出部46は、上述したように、取得部44から入力された医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、入力された医用情報における品種情報54、行動情報59、及び年齢情報56の組み合わせに応じて選択した学習済みモデル38に医用画像データ52を入力させ、学習済みモデル38から出力された被検体の成長板の骨折の有無を表す情報を取得する。
【0135】
例えば、
図29に示すように、医療情報における品種情報54の表す犬種が「柴犬」であり、行動情報59が表す行動に関する情報が「大人しい」であり、年齢情報56の表す情報が「3ヶ月」の場合、導出部46は、医用画像データ52を犬種が柴犬で行動が大人しく、年齢が3ヶ月用の学習済みモデル38
21に入力させる。学習済みモデル38
21からは、被検体の成長板の骨折の有無を表す情報が出力される。
【0136】
次のステップS204で導出部46は、上述したように被検体の成長板に骨折が有るか否かを判定する。学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が有ることを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が肯定判定となり、次のステップS206で警告情報出力部49が、上述したように警告情報を出力した後、本診療支援処理を終了する。
【0137】
一方、学習済みモデル38が、被検体の成長板の骨折が無いことを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が否定判定となり、次のステップS208で出力部48が、上述したように骨折が無いとした導出結果を出力した後、本診療支援処理を了する。
【0138】
このように、本実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像データ52、品種情報54、行動情報59、及び年齢情報56を含む医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無が導出される。被検体の成長板の骨折に影響を与える要因として、被検体の行動が挙げられる。例えば、行動が大人しい犬に比べて行動的な犬のほうが、比較的、骨折し易く、成長板も骨折しやすい傾向が知られている。また例えば、よく飛び跳ねる行動をとる犬ほど、着したときに成長板(骨)が骨折し易い傾向がある。また例えば、高いところに上がる頻度が高い行動をとる犬ほど、着地したときや落下により成長板(骨)が骨折し易い傾向がある。
【0139】
本実施形態の診療支援装置10によれば、成長板の骨折に影響を与える要因である被検体の行動を考慮して学習された学習済みモデル38を用いて被検体の成長板の骨折の有無を導出するため、医用画像データ52が表す医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる。
【0140】
また、本実施形態の診療支援装置10によれば、被検体がいわゆるミックス犬等の雑種である場合や、犬種が不明な場合等でも、被検体の体型を考慮して被検体の成長板の骨折の有無を導出することができるため、より診療を交換的に支援することができる。
【0141】
[第5実施形態]
以下、第5実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の診療支援システム1の構成は、第1実施形態の診療支援システム1の構成(
図1参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0142】
一方、本実施形態の診療支援装置10では、診療に用いる被検体の医用画像データ52が第1実施形態と異なり、また、学習済みモデル38の学習に用いる医用画像データ32が第1実施形態と異なる。
図30には、本実施形態の医用画像データ32を含む学習用医用情報30の一例を示す。
図30に示すように、本実施形態の学習用医用情報30に含まれる医用画像データ32は、上記各実施形態と同様に成長板が骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aと、成長板が骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bを含む。
【0143】
また、本実施形態の医用画像データ32は、同一の被検体に対する医用画像データ32として、大腿骨等の左右一対の骨の医用画像を表す2枚の医用画像データのペアを用いる。
【0144】
具体的には、医用画像データ32は、同一被検体における左右一対の骨における成長板のうち、右側の成長板が骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aと、左側の成長板が骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bとを有する医用画像データ32Cを含む。また、医用画像データ32は、同一被検体における左右一対の骨における成長板のうち、右側の成長板が骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bと、左側の成長板が骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aとを有する医用画像データ32Dを含む。また、医用画像データ32は、同一被検体における左右一対の骨における成長板のうち、右側の成長板が骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aと、左側の成長板が骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bとを有する医用画像データ32Eを含む。さらにまた、医用画像データ32は、同一被検体における左右一対の骨における成長板のうち、右側の成長板が骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bと、左側の成長板が骨折している状態の医用画像33Bを表す医用画像データ32Bとを有する医用画像データ32Eを含む。
【0145】
換言すると、医用画像データ32は、ペアのうち右側が骨折しておらず左側が骨折している医用画像データ32C、ペアのうち右側が骨折しており左側が骨折していない医用画像データ32D、ペア共に骨折していない医用画像データ32E、及びペア共に骨折している医用画像データ32Fを含む。なお、本実施形態の医用画像データ32Bが、本開示の一方の成長板骨折している第1医用画像データの一例であり、また、医用画像データ32Aが、本開示の他方の成長板が骨折していない第2医用画像データの一例である。
【0146】
なお、本実施形態の医用画像データ32は、右の成長板が共に骨折していないペアを複数含む医用画像データ32E、及び左右の成長板が共に骨折しているペアを複数含む医用画像データ32Fを含むが、これらの医用画像データを含んでいない形態としてもよい。医用画像データ32は、左右一対の医用画像データ32のうち、成長板が骨折していない状態の医用画像33Aを表す医用画像データ32Aと、成長板が骨折している状態の医用画像を表す医用画像データ32Bとのペアを含む形態とすればよい。
【0147】
図31に示すように、上記本実施形態の学習用医用情報30を用いた機械学習により本実施形態の学習済みモデル38が生成される。例えば、
図31に示すように、品種情報34が表す犬種が「柴犬」であり、年齢情報36が表す年齢が「1ヶ月」の医用画像データ32C、32D、32E、及び32Fからは、犬種が柴犬で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル38
25が生成される。また、年齢情報36が表す年齢が「2ヶ月」の医用画像データ32C、32D、32E、及び32Fからは、犬種が柴犬で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
26が生成される。
【0148】
なお、
図31では、2つの学習済みモデル38
25、38
26について示しているが、生成される学習済みモデル38の数は2つに限定されるものではない。なお、学習済みモデル38
25、38
26について各々を区別せずに総称する場合、個々を区別する「25」、「26」の符号を省略して「学習済みモデル38」という。
【0149】
次に、本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける機能的な構成について説明する。本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図6参照)と同様である。一方、本実施形態の診療支援装置10における学習部42は、学習用医用情報30に基づいて学習済みモデル38を生成する具体的な動作が異なるため、学習部42の具体的な動作について説明する。
【0150】
本実施形態の学習部42は、品種情報34が表す犬種及び年齢情報36が表す年齢の組み合わせ毎に、骨折有無情報が付加された医用画像データ32C、32D、32E、及び32Fを含む医用画像データ32を入力とし、医用画像データ32が表す医用画像33における左右の成長板の骨折の有無を表す情報を出力とした、犬種及び年齢の組み合わせに応じた複数の学習済みモデル38を機械学習によって生成する。
【0151】
より具体的には、学習部42は、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペアのうちの右側が骨折しておらず左側が骨折している医用画像データ32Cが入力された場合は、左側が骨折していることを表す情報(例えば、「10」)が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペアのうちの右側が骨折しており左側が骨折していない医用画像データ32Dが入力された場合は、右側が骨折していることを表す情報(例えば、「01」)が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペア共に骨折していない医用画像データ32Eが入力された場合は、左右共に骨折していないことを表す情報(例えば、「00」)が出力されるようにモデルを学習させる。さらにまた、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「1ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペア共に骨折している医用画像データ32Fが入力された場合は、左右共に骨折していることを表す情報(例えば、「11」)が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で年齢が1ヶ月用の学習済みモデル3825が生成される。
【0152】
同様に、学習部42は、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペアのうちの右側が骨折しておらず左側が骨折している医用画像データ32Cが入力された場合は、左側が骨折していることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペアのうちの右側が骨折しており左側が骨折していない医用画像データ32Dが入力された場合は、右側が骨折していることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。また、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペア共に骨折していない医用画像データ32Eが入力された場合は、左右共に骨折していないことを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。さらにまた、品種情報34が表す犬種が「柴犬」及び年齢情報36が表す年齢として「2ヶ月」が付加された医用画像データ32のうち、ペア共に骨折している医用画像データ32Fが入力された場合は、左右共に骨折していることを表す情報が出力されるようにモデルを学習させる。この学習により、犬種が柴犬で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル3856が生成される。
【0153】
以上の学習部42による学習のアルゴリズムとしては、上述したように例えば、誤差逆伝播法を適用することができる。以上の学習部42による学習によって、一例として
図32に示すように、犬種及び年齢の組み合わせ毎に、被検体の一対の骨のうち右側の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ52R及び左側の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ52Lと、品種情報54と、年齢情報56とを入力とし、入力の医用画像データ52R、52Lの各々が表す医用画像に写る被検体の左右各々の成長板について、骨折していないか、または骨折を有するかを表す情報を出力とする学習済みモデル38が生成される。そして、学習部42は、生成した学習済みモデル38を記憶部22に記憶する。
【0154】
本実施形態の診療支援装置10の学習フェーズにおける作用、すなわち、診療支援装置10が実行する学習処理は、第1実施形態の診療支援装置10において実行される学習処理(
図8参照)と同様であるため、説明を省略する。
【0155】
次に、
図33を参照して、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける機能的な構成を説明する。本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける全体的な構成は、第1実施形態の診療支援装置10(
図9参照)と同様である。なお、本実施形態の診療支援装置10における取得部44及び導出部46の具体的な動作が異なるため、取得部44及び導出部46の具体的な動作について説明する。
【0156】
取得部44は、被検体の一対の骨のうち、右側の骨が撮影された医用画像を表す医用画像データ52R、及び左側の骨が撮影された医用画像を表す医用画像データ52Lと、その被検体の犬種を表す品種情報54と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを医用情報として取得する。品種情報54及び年齢情報56の各々は、医用画像データ52R、52Lの少なくとも一方に付加されていてもよいし、ユーザにより端末装置12の操作部(図示省略)を介して入力されてもよい。
【0157】
導出部46は、取得部44により取得された医用情報(医用画像データ52R、52L、品種情報54、及び年齢情報56)と、学習用医用情報30によって予め学習された学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、取得部44によって取得された医用画像データ52R、52Lを、取得部44により取得された品種情報54が表す犬種及び年齢情報56が表す年齢の組み合わせに応じた学習済みモデル38に入力する。学習済みモデル38は、入力された医用情報に応じて、被検体の左右の成長板各々について骨折の有無を表す情報を出力する。
【0158】
次に、本実施形態の診療支援装置10の運用フェーズにおける作用を説明する。なお、診療支援処理の全体的な流れは第1実施形態の
図10に示した診療支援処理と同様であるため、
図10を参照して説明する。
【0159】
ステップS200で、取得部44は、被検体である犬の医用情報を取得し、導出部46に出力する。具体的には、取得部44は、ユーザによる診療対象である被検体の犬の左右一つの骨の各々を医用画像撮影装置によって撮影して得られた一対の医用画像を表す医用画像データ52R、52Lと、その被検体の犬種を表す品種情報54と、その被検体の行動に関する情報を表す行動情報59と、その被検体の年齢を表す年齢情報56とを取得する。
【0160】
次のステップS202で、導出部46は、上述したように、取得部44から入力された医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の左右の成長板各々について骨折の有無を導出する。具体的には、導出部46は、入力された医用情報における品種情報54及び年齢情報56の組み合わせに応じて選択した学習済みモデル38に医用画像データ52R、52Lを入力させ、学習済みモデル38から出力された被検体の左右の成長板各々について骨折の有無を表す情報を取得する。
【0161】
例えば、
図34に示すように、医療情報における品種情報54の表す犬種が「柴犬」であり、年齢情報56の表す情報が「1ヶ月」の場合、導出部46は、医用画像データ52R、52Lを犬種が柴犬で年齢が2ヶ月用の学習済みモデル38
26に入力させる。学習済みモデル38
26からは、被検体の左右の成長板各々における骨折の有無を表す情報が出力される。
【0162】
次のステップS204で導出部46は、上述したように被検体の左右の成長板各々に骨折が有るか否かを判定する。学習済みモデル38が、被検体の左右の成長板の少なくとも一方に骨折が有ることを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が肯定判定となり、次のステップS206で警告情報出力部49が、上述したように警告情報を出力した後、本診療支援処理を終了する。なお、この場合、警告情報出力部49は、学習済みモデル38の出力結果に基づいて、骨折を有する成長板が左右のいずれであるか(または両方か)を表す情報も出力することが好ましい。
【0163】
一方、学習済みモデル38が、被検体の左右の成長板のいずれにも骨折が無いことを表す情報を出力した場合、ステップS204の判定が否定判定となり、次のステップS208で出力部48が、上述したように骨折が無いとした導出結果を出力した後、本診療支援処理を了する。
【0164】
このように、本実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像データ52R、52L、品種情報54、及び年齢情報56を含む医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無が導出される。同一の被検体における左右一対の骨の一方が骨折している場合、一対のうち骨折している骨を撮影した医用画像と、骨折していない骨を撮影した医用画像とを比較することで、より精度良く骨折の有無や骨折の状態の診療を行うことができる。
【0165】
本実施形態の診療支援装置10によれば、左右一つの骨の各々の医用画像データ52R、52Lを用いて学習された学習済みモデル38を用い、被検体の成長板の骨折の有無を導出するため、医用画像データ52が表す医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療をより精度良く行うことができる。
【0166】
以上説明したように、上記各実施形態の診療支援装置10は、取得部44と、導出部46と、警告情報出力部49とを備える。取得部44は、被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ52及び医用画像33を撮影したときの被検体の年齢を表す年齢情報56を含む医用情報を取得する。導出部46は、取得部44により取得された医用情報と、医用画像データ32及び年齢情報36を含む学習用医用情報30を複数用いて予め学習された学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板60の骨折の有無を導出する。警告情報出力部49は、被検体の成長板が骨折している場合、警告を表す警告情報を出力する。
【0167】
上述したように、成長板は、脆弱で衝撃が加わると骨折し易い組織である。成長板の骨折により骨の成長が妨げられると、骨が短くなる、曲がる、及び持続的な痛みを引き起こす等の症状が被検体に現れる場合がある。そのため、成長板を骨折した場合、早期に適切な治療を行うことが重要である。特に、被検体が人間と異なり、犬や猫等の動物の場合、人間よりも成長が速いため、より早く、骨折を発見し、適切な治療を行うことが望まれている。
【0168】
上記各実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像データ52及び年齢情報56を含む医用情報と、学習済みモデル38とに基づいて、被検体の成長板の骨折の有無が導出される。従って、本実施形態の診療支援装置10によれば、医用画像を用いた成長板の骨折に対する診療を効果的に支援することができる。また、本実施形態の診療支援装置10によれば、成長板の骨折に対する診療をより適切に行うことができるため、被検体の順調な成長を促すことができる。
【0169】
なお、上記各実施形態の診療支援装置10では、学習済みモデル38が成長板の骨折の有無を表す情報を出力する形態について説明したが、学習済みモデル38から出力される情報は、本形態に限定されない。
【0170】
例えば、成長板の骨折の分類として、
図35に示す、I型~V型まで5つに分類されるソルターハリス(Salter-Harris)の分類が知られている。そのため、成長板が骨折を有する場合に、その骨折が上記分類のいずれに該当するかを表す情報が学習済みモデル38から出力される形態であってもよい。この場合、医用画像データ32Bにおける骨折が上記分類のいずれであるかを表す情報をさらに含む学習用医用情報30を用いて学習済みモデル38を生成すればよい。
【0171】
また、学習済みモデル38を生成するために用いられる学習用医用情報30が含む各種情報は、上記各実施形態に限定されない。例えば、上記各実施形態における学習用医用情報30を組み合わせてもよい。また例えば、学習用医用情報30は、成長板を有する骨の種類を表す骨種類情報を含んでいてもよい。例えば、医用画像データ32Bが、遠位大腿骨骨端の成長板が骨折している状態の医用画像33を表す場合、学習用医用情報30には、遠位大腿骨骨端を表す骨種類情報が含まれる形態であってもよい。
【0172】
また、上記各実施形態では、被検体として犬を適用した形態について説明したが、被検体はこれに限定されない。例えば、被検体として、人間を適用してもよいし、猫等の犬以外の動物を適用する形態であってもよい。
【0173】
また、上記各実施形態における診療支援装置10の各機能部等の各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0174】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0175】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0176】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0177】
また、上記実施形態では、学習プログラム23A及び診療支援プログラム23Bが記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。学習プログラム23A及び診療支援プログラム23Bの各々は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、学習プログラム23A及び診療支援プログラム23Bの各々は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0178】
上記の実施形態に鉗子、さらに以下の付記を開示する。
【0179】
(付記1)
被検体の骨を撮影した医用画像を表す医用画像データ及び前記医用画像を撮影したときの前記被検体の年齢を表す年齢情報を含む学習用医用情報を取得する取得部と、
前記学習用医用情報を学習用のデータとして学習させることによって、前記医用画像データ及び前記年齢情報に基づいて前記被検体の成長板の骨折有無を表す情報を出力する学習済みモデルを生成する学習部と、
を備えた診療支援装置。
【符号の説明】
【0180】
1 診療支援システム
10 診療支援装置
12 端末装置
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23A 学習プログラム、23B 診療支援プログラム
24 表示部
26 入力部
28 ネットワークI/F
29 バス
30 学習用医用情報
32、32A~32F、52、52R、52L 医用画像データ
33、33A、33B 医用画像
34、54 品種情報
35、55 太さ情報
36、56 年齢情報
37、57 体型情報
38、381~3826 学習済みモデル
39、59 行動情報
40、44 取得部
42 学習部
46 導出部
48 出力部
49 警告情報出力部
601~603 成長板
62 骨折部
N ネットワーク