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特許7113862半導体装置の製造方法、基板処理方法、プログラム、および基板処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理方法、プログラム、および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220729BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20220729BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/318 C
C23C16/455
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020047250
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2020167400
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2019063107
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 貴志
(72)【発明者】
【氏名】平野 敦士
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-249407(JP,A)
【文献】特開2014-236129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/318
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の第1基板及び前記第1基板の表面積よりも小さい表面積を有する第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して処理室内に収容する工程と、
(b)前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給することで、前記複数の第1基板上に薄膜を形成する工程と、
を有し、
(b)は、
(c)前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板のうちの一部の第1基板が配列された領域であって、前記第2基板が配列された領域を含まない連続する第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、
前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板および前記複数の第1基板のうちの他の一部の第1基板が配列された連続する第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給する工程を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(b)では、前記第1供給領域及び前記第2供給領域の両方に対して、前記処理ガスを供給する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(c)では、前記第2供給領域における前記処理ガスの濃度が、前記第1供給領域における前記処理ガスの濃度に近づくように、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量、および前記第2供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量のうち少なくともいずれかを調整する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
(c)では、前記第2供給領域に配列された前記複数の第1基板に形成される前記薄膜の厚さが、前記第1供給領域に配列された前記複数の第1基板に形成される前記薄膜の厚さに近づくように、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量、および前記第2供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量のうち少なくともいずれかを調整する、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(c)では、前記希釈ガスを、前記処理ガスを供給する処理ガスノズルとは異なる希釈ガスノズルから前記第2供給領域に対して供給する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板配列領域は、複数の前記第2供給領域を含み、
(c)では、前記希釈ガスを、前記複数の第2供給領域の何れかに対応するように設けられた複数の希釈ガスノズルのそれぞれから、前記複数の第2供給領域に対して個別に供給する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
(c)では、前記複数の第2供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量がそれぞれ個別に調整される、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記希釈ガスノズルは、前記第1供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えず、前記第2供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えている、請求項5~7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記処理ガスノズルは前記第1供給領域及び前記第2供給領域の両方に対して前記処理ガスを供給するように構成されている、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
(b)は、
(d)前記基板配列領域に対して原料ガスを供給する工程と、
(e)前記基板配列領域に対して反応ガスを供給する工程と、
を非同時に行うサイクルを所定回数行う工程を有し、
(c)は(d)において実行される、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記基板配列領域は、少なくとも前記基板配列領域の一端部側の第1ゾーン、前記基板配列領域の中央部側の第2ゾーン、及び前記基板配列領域の他端部側の第3ゾーンを含み、
前記第2ゾーンは前記第1供給領域に対応し、前記第1ゾーン及び第3ゾーンは前記第2供給領域に対応し、
(c)では、
前記第1ゾーンに対応するように設けられた第1希釈ガスノズルから、前記第1ゾーンに向けて前記希釈ガスを供給し、
前記第3ゾーンに対応するように設けられた第3希釈ガスノズルから、前記第3ゾーンに向けて前記希釈ガスを供給する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
(c)では、前記第2ゾーンに対する前記希釈ガスの供給を不実施とする、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
(c)では、前記第2ゾーンに対応するように設けられた第2希釈ガスノズルから、前記第2ゾーンに向けて前記希釈ガスを供給する、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記基板配列領域は、複数の前記第1供給領域を含み、
(c)では、前記希釈ガスを、前記複数の第1供給領域のいずれかに対応するように設けられた複数の希釈ガスノズルのそれぞれから、前記複数の第1供給領域に対して個別に供給する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
(c)では、前記複数の第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量がそれぞれ個別に調整される、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
(a)処理室内の基板配列領域に複数の基板を収容する工程と、
(b)前記処理室内に処理ガスを供給することで、前記基板上に薄膜を形成する工程と、を有し、
(a)では、
前記基板配列領域の一端部側の第1ゾーンに第1基板を、前記基板配列領域の中央部側の第2ゾーンに、前記第1基板の表面積よりも大きな表面積を有する第2基板を、前記基板配列領域の他端部側の第3ゾーンに、前記第1基板の表面積と同じ表面積を有する第3基板を、それぞれ、面に対して垂直な方向に配列して収容し、
(b)では、
前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板が配列された前記処理室内の基板配列領域に対して処理ガスを供給しつつ、
前記第1ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第1希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第1ゾーンに向けて第1流量で希釈ガスを供給し
前記第2ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第2希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第2ゾーンに向けて前記第1流量よりも少ない第2流量で希釈ガスを供給し、
前記第3ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第3希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第3ゾーンに向けて前記第1流量で希釈ガスを供給し
少なくとも前記第1基板及び前記第3基板上に薄膜を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項17】
(a)複数の第1基板及び前記第1基板の表面積よりも小さい表面積を有する第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して処理室内に収容する工程と、
(b)前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給することで、前記複数の第1基板上に薄膜を形成する工程と、
を有し、
(b)は、
(c)前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板のうちの一部の第1基板が配列された領域であって、前記第2基板が配列された領域を含まない連続する第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、
前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板および前記複数の第1基板のうちの他の一部の第1基板が配列された連続する第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給する工程を含む、
基板処理方法。
【請求項18】
(a)処理室内の基板配列領域に複数の基板を収容する工程と、
(b)前記処理室内に処理ガスを供給することで、前記基板上に薄膜を形成する工程と、を有し、
(a)では、
前記基板配列領域の一端部側の第1ゾーンに第1基板を、前記基板配列領域の中央部側の第2ゾーンに、前記第1基板の表面積よりも大きな表面積を有する第2基板を、前記基板配列領域の他端部側の第3ゾーンに、前記第1基板の表面積と同じ表面積を有する第3基板を、それぞれ、面に対して垂直な方向に配列して収容し、
(b)では、
前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板が配列された前記処理室内の基板配列領域に対して処理ガスを供給しつつ、
前記第1ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第1希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第1ゾーンに向けて第1流量で希釈ガスを供給し
前記第2ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第2希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第2ゾーンに向けて前記第1流量よりも少ない第2流量で希釈ガスを供給し、
前記第3ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第3希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第3ゾーンに向けて前記第1流量で希釈ガスを供給し
少なくとも前記第1基板及び前記第3基板上に薄膜を形成する
基板処理方法。
【請求項19】
(a)複数の第1基板及び前記第1基板の表面積よりも小さい表面積を有する第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して基板処理装置の処理室内に収容する手順と、
(b)前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給することで、前記複数の第1基板上に薄膜を形成する手順と、
を行い、
(b)では、
(c)前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板のうちの一部の第1基板が配列された領域であって、前記第2基板が配列された領域を含まない連続する第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、
前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板および前記複数の第1基板のうちの他の一部の第1基板が配列された連続する第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給する手順を含む手順を、コンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項20】
(a)基板処理装置の処理室内の基板配列領域に複数の基板を収容する手順と、
(b)前記処理室内に処理ガスを供給することで、前記基板上に薄膜を形成する手順と、を行い、
(a)では、
前記基板配列領域の一端部側の第1ゾーンに第1基板を、前記基板配列領域の中央部側の第2ゾーンに、前記第1基板の表面積よりも大きな表面積を有する第2基板を、前記基板配列領域の他端部側の第3ゾーンに、前記第1基板の表面積と同じ表面積を有する第3基板を、それぞれ、面に対して垂直な方向に配列して収容する手順を、
(b)では、
前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板が配列された前記処理室内の基板配列領域に対して処理ガスを供給しつつ、
前記第1ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第1希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第1ゾーンに向けて第1流量で希釈ガスを供給し
前記第2ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第2希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第2ゾーンに向けて前記第1流量よりも少ない第2流量で希釈ガスを供給し、
前記第3ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられた第3希釈ガスノズルから、前記基板配列領域のうち前記第3ゾーンに向けて前記第1流量で希釈ガスを供給し
少なくとも前記第1基板及び前記第3基板上に薄膜を形成する手順を、コンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項21】
複数の第1基板及び前記第1基板の表面積よりも小さい表面積を有する第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して支持する基板支持具と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板を支持した状態の前記基板支持具を収容するように構成された処理室と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給するよう構成された処理ガス供給部と、
前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板のうちの一部の第1基板が配列された領域であって、前記第2基板が配列された領域を含まない連続する第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板および前記複数の第1基板のうちの他の一部の第1基板が配列された連続する第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給するよう構成された希釈ガス供給部と、を備える基板処理装置。
【請求項22】
複数の第1基板及び前記第1基板の表面積よりも小さい表面積を有する第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して支持する基板支持具と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板を支持した状態の基板支持具を収容するように構成された処理室と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された方向に沿って前記処理室内で立ち上がるように設けられ、前記処理室内に処理ガスを供給するように構成された処理ガスノズルと、
前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された方向に沿って前記処理室内で立ち上がるように設けられ、前記処理室内に希釈ガスを供給するように構成された希釈ガスノズルと、
を備え、
前記希釈ガスノズルは、前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域のうち、前記複数の第1基板うちの一部の第1基板が配列された領域であって、前記第2基板が配列された領域を含まない連続する第1供給領域に対して前記希釈ガスを供給せず、且つ、前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板および前記複数の第1基板のうちの他の一部の第1基板配列された連続する第2供給領域に対して前記希釈ガスを供給するように構成されている、基板処理装置。
【請求項23】
第1基板、前記第1基板の表面積と異なる表面積を有する第2基板、および前記第1基板の表面積と同じ表面積を有する第3基板が処理される処理室と、
前記第1基板、前記第2基板、および前記第3基板を、面に対して垂直な方向に配列して支持するとともに、前記処理室内に収容された際に、前記処理室内の基板配列領域の一端部側の第1ゾーンに前記第1基板を、前記基板配列領域の中央部側の第2ゾーンに前記第2基板を、前記基板配列領域の他端部側の第3ゾーンに前記第3基板を配列するように構成された基板支持具と、
前記第1基板、前記第2基板、及び前記第3基板が配列された方向に沿って前記処理室内に立ち上がるように設けられ、前記基板配列領域のうち前記第1ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられており、前記第1ゾーンに向けて、第1流量で希釈ガスを供給するように構成された第1希釈ガスノズルと、
前記第1基板、前記第2基板、及び前記第3基板が配列された方向に沿って前記処理室内に立ち上がるように設けられ、前記基板配列領域のうち前記第2ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられており、前記第2ゾーンに向けて、前記第1流量よりも少ない第2流量で希釈ガスを供給するように構成された第2希釈ガスノズルと、
前記第1基板、前記第2基板、及び前記第3基板が配列された方向に沿って前記処理室内に立ち上がるように設けられ、前記基板配列領域のうち前記第3ゾーンに対応するように複数のガス噴出口が設けられており、前記第3ゾーンに向けて、前記第1流量で希釈ガスを供給するように構成された第3希釈ガスノズルと、
を備える、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板を処理する半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、複数の基板に対して処理ガスを供給し、それぞれの基板の上に薄膜を形成する処理が行われる場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/110956号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、複数の基板上に形成される薄膜の基板間膜厚分布を制御することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
(a)複数の第1基板及び前記第1基板よりも表面積が小さい第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して処理室内に収容する工程と、
(b)前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給することで、前記複数の第1基板上に薄膜を形成する工程と、
を有し、
(b)は、前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板の少なくとも一部が配列された領域を含み、前記第2基板が配列された領域を含まない第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、
前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板が配列された領域を含む第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給する工程を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る技術によれば、複数の基板上に形成される薄膜の基板間膜厚分布を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図4】本開示の一実施形態の成膜シーケンスの一例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態のウエハの配列状態を示す図である。
図6】本開示の他の実施形態のウエハの配列状態を示す図である。
図7】本開示の更に他の実施形態のウエハの配列状態を示す図である。
図8】本開示の更に他の実施形態のウエハの配列状態を示す図である。
図9】本開示の一実施形態で好適に用いられるノズルの概略構成図である。
図10】本開示の他の実施形態で好適に用いられるノズルの概略構成図である。
図11】参考例及び実施例において基板上に形成された酸化膜の厚さの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の一実施形態>
以下に、本開示の一実施形態(第1の実施形態)について、図1図5図9等を用いて説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管210が配設されている。反応管210は、内部反応管としてのインナチューブ204と、インナチューブ204を同心円状に取り囲む外部反応管としてのアウタチューブ203と、を備えた2重管構成を有している。インナチューブ204およびアウタチューブ203は、それぞれ、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0011】
インナチューブ204の筒中空部には、基板としてのウエハ200に対する処理が行われる処理室201が形成される。処理室201は、ウエハ200を処理室201内の一端側(下方側)から他端側(上方側)へ向けて、ウエハ200の面に対して垂直な方向に沿って配列させた状態で収容可能に構成されている。処理室201内において複数枚のウエハ200が配列される領域を、基板配列領域(ウエハ配列領域)とも称する。また、処理室201内においてウエハ200が配列される方向を、基板配列方向(ウエハ配列方向)とも称する。
【0012】
インナチューブ204およびアウタチューブ203は、それぞれ、マニホールド209によって下方から支持されている。マニホールド209は、ステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の内壁の上端部には、SUS等の金属材料により構成され、マニホールド209の径方向内側に向けて延出した環状のフランジ部209aが設けられている。インナチューブ204の下端は、フランジ部209aの上面に当接している。アウタチューブ203の下端は、マニホールド209の上端に当接している。アウタチューブ203とマニホールド209との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209の下端開口は、処理炉202の炉口として構成されており、後述するボートエレベータ115によりボート217が上昇した際に、蓋体としての円盤状のシールキャップ219によって気密に封止される。マニホールド209とシールキャップ219との間には、シール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0013】
インナチューブ204の天井部はフラット形状に形成されており、アウタチューブ203の天井部はドーム形状に形成されている。インナチューブ204の天井部をドーム形状とすると、処理室201内へ供給したガスが、複数枚のウエハ200間に流れずに、インナチューブ204の天井部におけるドーム部分の内部空間に流れ込みやすくなる。インナチューブ204の天井部をフラット形状とすることで、処理室201内へ供給したガスを、複数枚のウエハ200間へ効率よく流すことが可能となる。インナチューブ204の天井部と後述するボート217の天板とのクリアランス(空間)を小さくすることで、例えば、ウエハ200の配列間隔(ピッチ)と同程度の大きさとすることで、ウエハ200間へ効率よくガスを流すことが可能となる。
【0014】
図2に示すように、インナチューブ204の側壁には、ノズル249a,249b,249dを収容するノズル収容室204aと、ノズル249c,249eを収容するノズル収容室204bと、が形成されている。ノズル収容室204a,204bは、それぞれ、インナチューブ204の側壁からインナチューブ204の径方向外向きに突出し、垂直方向に沿って延在するチャンネル形状に形成されている。ノズル収容室204a,204bの内壁は、それぞれ、処理室201の内壁の一部を構成している。ノズル収容室204aとノズル収容室204bとは、インナチューブ204の内壁に沿って、すなわち、処理室201内に収容されたウエハ200の外周に沿って、互いに所定距離離れた位置にそれぞれ配置されている。具体的には、ノズル収容室204a,204bは、処理室201内に収容されたウエハ200の中心とノズル収容室204aの中心とを結ぶ直線L1と、処理室201内に収容されたウエハ200の中心とノズル収容室204bの中心とを結ぶ直線L2と、が作る中心角θ(ノズル収容室204a,204bの各中心を両端とする弧に対する中心角)が例えば30~150°の範囲内の角度となるような位置にそれぞれ配置されている。ノズル収容室204a内に収容されたノズル249b,249dは、ノズル249aを挟んでその両側に、すなわち、ノズル収容室204aの内壁(ウエハ200の外周部)に沿ってノズル249aを両側から挟み込むように配置されている。本明細書では、ノズル249a,249bを順にR1,R2とも称し、ノズル249c,249d,249eを順にRt,Rc,Rbとも称する。ノズル249c,249d,249eをまとめてRt~Rbとも称する。
【0015】
ノズル249a~249eは、ノズル収容室204a,204bの下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列方向に沿って立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a~249eは、ウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。図9に示すように、ノズル249a~249eの側面には、第1~第5ガス供給口としてのガス噴出口250a~250eがそれぞれ設けられている。ノズル249a~249eは、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成されている。
【0016】
図9に示すように、上述のウエハ配列領域は、複数のゾーンに分けて考えることができる。本実施形態では、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における一端部側(ここでは上部側)のゾーンを第1ゾーン(Topゾーン)とも称する。また、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における中央部のゾーンを第2ゾーン(Centerゾーン)とも称する。また、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における他端部側(ここでは下部側)のゾーンを第3ゾーン(Bottomゾーン)とも称する。
【0017】
ノズル249a,249bにおけるガス噴出口250a,250bは、それぞれ、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における全域に対応するように、ノズル249a,249bの上部から下部にわたって複数設けられている。ノズル249a,249b、すなわち、R1,R2は、それぞれ、第1~第3ゾーンの全てに向けてガスを供給するように構成されている。
【0018】
ノズル249cにおけるガス噴出口250cは、ウエハ配列領域のうちウエハ配列方向における上部側の領域、すなわち、第1ゾーンに対応するように、ノズル249cの上部側にのみ複数設けられている。ノズル249c、すなわち、Rtは、第1ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第2、第3ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0019】
ノズル249dにおけるガス噴出口250dは、ウエハ配列領域のうちウエハ配列方向における中央部の領域、すなわち、第2ゾーンに対応するように、ノズル249dの中央部にのみ複数設けられている。ノズル249d、すなわち、Rcは、第2ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第1、第3ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0020】
ノズル249eにおけるガス噴出口250eは、ウエハ配列領域のうちウエハ配列方向における下部側の領域、すなわち、第3ゾーンに対応するように、ノズル249eの下部側にのみ複数設けられている。ノズル249e、すなわち、Rbは、第3ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第1、第2ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0021】
なお、ガス噴出口250a~250eは、それぞれが処理室201の中心を向くように開口しており、ウエハ200の中心に向けてガスを供給することが可能となっている。また、ガス噴出口250a~250eは、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0022】
図2に示すように、ノズル249a~249eには、ガス供給管232a~232eがそれぞれ接続されている。ガス供給管232a~232eには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241eおよび開閉弁であるバルブ243a~243eがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232gが接続されている。ガス供給管232gには、ガス流の上流側から順に、MFC241gおよびバルブ243gがそれぞれ設けられている。ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、ガス供給管232f,232hが接続されている。ガス供給管232f,232hには、ガス流の上流側から順に、MFC241f,241hおよびバルブ243f,243hがそれぞれ設けられている。
【0023】
ガス供給管232aからは、原料(原料ガス)として、形成しようとする膜を構成する主元素としてのシリコン(Si)およびハロゲン元素を含むハロシラン系ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0024】
原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。ハロシラン系ガスとは、ハロゲン基を有するシラン系ガスのことである。ハロゲン基には、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲン元素が含まれる。ハロシラン系ガスとしては、例えば、SiおよびClを含む原料ガス、すなわち、クロロシラン系ガスを用いることができる。クロロシラン系ガスは、Siソースとして作用する。クロロシラン系ガスとしては、例えば、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを用いることができる。
【0025】
ガス供給管232bからは、反応体(反応ガス)として、例えば、酸素(O)含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。O含有ガスは、酸化剤(酸化ガス)、すなわち、Oソースとして作用する。O含有ガスとしては、例えば、酸素(O)ガスを用いることができる。
【0026】
ガス供給管232fからは、反応体(反応ガス)として、例えば、窒素(N)含有ガスが、MFC241f、バルブ243f、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。N含有ガスは、窒化剤(窒化ガス)、すなわち、Nソースとして作用する。N含有ガスとしては、例えば、窒化水素系ガスであるアンモニア(NH)ガスを用いることができる。
【0027】
ガス供給管232c~232eからは、不活性ガスが、それぞれMFC241c~241e、バルブ243c~243e、ノズル249c~249eを介して処理室201内へ供給される。また、ガス供給管232g,232hからは、不活性ガスが、それぞれMFC241g,241h、バルブ243g,243h、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。ノズル249c~249eより処理室201内へ供給されるNガスは、主に、後述する希釈ガスとして作用する。また、ノズル249a,249bより処理室201内へ供給されるNガスは、主に、パージガス、キャリアガスとして作用する。不活性ガスとしては、例えば、窒素(N)ガスを用いることができる。
【0028】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、原料供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、酸化剤供給系が構成される。主に、ガス供給管232f、MFC241f、バルブ243fにより、窒化剤供給系が構成される。主に、ガス供給管232c~232e,232g,232h、MFC241c~241e,241g,241h、バルブ243c~243e,243g,243hにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0029】
原料を供給するノズル249aを原料供給部又は原料ガスノズルとも称する。ノズル249bより酸化剤を供給する際、ノズル249bを酸化剤供給部又は酸化ガスノズルとも称する。ノズル249bより窒化剤を供給する際、ノズル249bを窒化剤供給部又は窒化ガスノズルとも称する。ノズル249a,249bを総称して処理ガス供給部又は処理ガスノズルとも称する。不活性ガスを供給するノズル249c~249eを総称して不活性ガス供給部又は不活性ガスノズルとも称する。また、不活性ガス供給部及び不活性ガスノズルは、後述するように、それぞれ希釈ガス供給部及び希釈ガスノズルと称することもある。ノズル249c~249eを順に第1~第3供給部又は第1~第3希釈ガスノズルとも称する。不活性ガス供給部は、原料供給部や酸化剤供給部や窒化剤供給部とは異なる供給部であり、また、第1~第3供給部という複数の供給部を有している。ノズル249a,249bより不活性ガスを供給する際、ノズル249a,249bを不活性ガス供給部に含めて考えてもよい。
【0030】
原料供給系は、ノズル249aから、複数のゾーン、すなわち、第1~第3ゾーンの全てに向けて、流量制御された原料を供給することが可能なように構成されている。酸化剤供給系は、ノズル249bから、複数のゾーン、すなわち、第1~第3ゾーンの全てに向けて、流量制御された酸化剤を供給することが可能なように構成されている。窒化剤供給系は、ノズル249bから、複数のゾーン、すなわち、第1~第3ゾーンの全てに向けて、流量制御された窒化剤を供給することが可能なように構成されている。不活性ガス供給系は、ノズル249c~249eのそれぞれから、複数のゾーン、すなわち、第1~第3ゾーンのそれぞれに向けて、個別に流量制御された不活性ガスを供給することが可能なように構成されている。
【0031】
なお、不活性ガス供給部は、ノズル249cより、第1ゾーンに向けて個別に流量制御された不活性ガスを供給し、それ以外のゾーン(第2、第3ゾーン)に向けての不活性ガスの供給を不実施とし、ノズル249dより、第2ゾーンに向けて個別に流量制御された不活性ガスを供給し、それ以外のゾーン(第1、第3ゾーン)に向けての不活性ガスの供給を不実施とし、ノズル249eより、第3ゾーンに向けて個別に流量制御された不活性ガスを供給し、それ以外のゾーン(第1、第2ゾーン)に向けての不活性ガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0032】
インナチューブ204の側面には、例えばスリット状の貫通口として構成された排気口(排気スリット)204cが、垂直方向に細長く開設されている。排気口204cは、正面視において例えば矩形であり、インナチューブ204の側壁の下部から上部にわたって設けられている。処理室201内と、インナチューブ204とアウタチューブ203との間の円環状の空間である排気空間205とは、排気口204cを介して連通している。排気口204cは、平面視において、上述の直線L1の延長線上に配置されている。すなわち、ノズル収容室204aと排気口204cとは、処理室201内に収容されたウエハ200の中心を挟んで対向している。また、ノズル249aのガス噴出口250aと排気口204cとは、処理室201内に収容されたウエハ200の中心を挟んで対向している。
【0033】
図1に示すように、アウタチューブ203の下部には、排気空間205を介して処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、排気空間205内、すなわち、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。排気口204c、排気空間205、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0034】
マニホールド209の下端開口は、Oリング220bを介してシールキャップ219により気密に封止される。シールキャップ219の下方には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管210の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217により支持されたウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0035】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で鉛直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0036】
アウタチューブ203とインナチューブ204との間には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、アウタチューブ203の内壁に沿って設けられている。
【0037】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0038】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0039】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241h、バルブ243a~243h、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0040】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241hによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243hの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0041】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0042】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上に酸窒化膜を形成する基板処理シーケンス例、すなわち、成膜シーケンス例について、図4を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0043】
図4に示す成膜シーケンスでは、
ウエハ200に対して原料供給部としてのノズル249aより原料としてHCDSガスを供給するステップAと、
ウエハ200に対して酸化剤供給部としてのノズル249bより酸化剤としてOガスを供給するステップBと、
ウエハ200に対して窒化剤供給部としてのノズル249bより窒化剤としてNHガスを供給するステップCと、
を非同時に行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことで、ウエハ200上に、酸窒化膜として、Si、OおよびNを含む膜、すなわち、シリコン酸窒化膜(SiON膜)を形成する。
【0044】
なお、図4に示す成膜シーケンスのステップAでは、原料供給部とは異なる不活性ガス供給部、すなわち、ノズル249aとは異なるノズル249c~249eよりウエハ200に対して不活性ガスとしてNガスを供給し、そのNガスの流量を制御することで、ウエハ200の配列方向における原料としてのHCDSガスの濃度の分布を調整する。ノズル249c~249eより供給される不活性ガスとしてのNガスは、原料としてのHCDSガスに対する希釈ガスとして機能する。
【0045】
本明細書では、図4に示す成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。図4では、ステップA~Cの実施期間を、便宜上、それぞれA~Cと表している。これらの点は、後述する変形例や他の実施形態においても同様である。
【0046】
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R2:O → R2:NH)×n ⇒ SiON
【0047】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0048】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0049】
ここで、本実施形態では、図5に示すように、第1基板である大表面積ウエハと、第2基板である小表面積ウエハが、複数枚のウエハ200としてボート217のウエハ配列領域に装填される。大表面積ウエハは小表面積ウエハよりもその表面積が大きいウエハであり、例えば、その表面に半導体デバイス等を構成するパターンが形成されたデバイスウエハ(製品ウエハ)である。小表面積ウエハは大表面積ウエハよりもその表面積が小さいウエハであり、例えば、その表面にパターン等が形成されていない(すなわちプレーンな構造を有する)ダミーウエハやテストウエハである。
【0050】
ボート217はウエハ配列領域全体に亘って120枚のウエハ200を装填可能なスロットを備えている。本実施形態では、小表面積ウエハが、第1ゾーンの上部側に10枚、第3ゾーンの下部側に10枚、それぞれ装填される。また、大表面積ウエハが、第1ゾーンから第3ゾーンに亘って100枚装填される。ここで、大表面積ウエハが装填されたウエハ配列領域における領域を第1基板領域と称し、小表面積ウエハが装填されたウエハ配列領域における領域を第2基板領域と称する。
【0051】
(圧力調整および温度調整)
続いて、処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって処理室201内が真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0052】
(成膜ステップ)
その後、ウエハ配列領域に複数枚のウエハ200を配列させた状態で、次のステップA~Cを順次実行する。
【0053】
[ステップA]
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する(HCDSガス供給ステップ)。
【0054】
具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aの側面に設けられた複数のガス噴出口250aのそれぞれより処理室201内へ供給され、排気口204c、排気空間205を介して排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給される。
【0055】
このとき、バルブ243c~243eを開き、ノズル249c~249eより処理室201内へNガスを供給する。このとき、ノズル249c~249eより供給されるNガスの流量を個別に調整することで、大表面積ウエハ上に形成されるSiON膜の膜厚等を調整する。この流量調整の具体的内容、および、その作用効果については後述する。
【0056】
なお、HCDSガス供給ステップでは、バルブ243g,243hを開き、ノズル249a,249bより処理室201内へNガスを供給するようにしてもよい。またこの際、ノズル249b~249eよりNガスを供給することで、ノズル249b~249e内へのHCDSガスの侵入を抑制することができる。
【0057】
本ステップにおける処理条件としては、
HCDSガス供給流量:0.01~2slm、好ましくは0.1~1slm
ガス供給流量(Rt,Rb毎):0.5~10slm
ガス供給流量(Rc):0~0.1slm
ガス供給流量(R1):0~10slm
ガス供給流量(R2):0~0.1slm
各ガス供給時間:1~120秒、好ましくは1~60秒
処理温度:250~800℃、好ましくは400~700℃
処理圧力:1~2666Pa、好ましくは67~1333Pa
が例示される。
【0058】
本明細書における「250~800℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「250~800℃」とは「250℃以上800℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0059】
上述の条件下でウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1層として、Clを含むSi含有層が形成される。Clを含むSi含有層は、ウエハ200の最表面に、HCDSが物理吸着したり、HCDSの一部が分解した物質(以下、SiCl)が化学吸着したり、HCDSが熱分解することでSiが堆積したりすること等により形成される。Clを含むSi含有層は、HCDSやSiClの吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Clを含むSi層(Siの堆積層)であってもよい。本明細書では、Clを含むSi含有層を、単に、Si含有層とも称する。
【0060】
第1層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのHCDSガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージ)。このとき、バルブ243c~243e,243g,243hを開き、ノズル249a~249eより処理室201内へNガスを供給する。Nガスはパージガスとして作用する。
【0061】
原料(原料ガス)としては、HCDSガスの他、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。
【0062】
不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述する各ステップにおいても同様である。
【0063】
[ステップB]
ステップAが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1層に対してOガスを供給する(Oガス供給ステップ)。
【0064】
具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へOガスを流す。Oガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bの側面に設けられた複数のガス噴出口250bのそれぞれより処理室201内へ供給され、排気口204c、排気空間205を介して排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してOガスが供給される。
【0065】
このとき、ステップAと同様に、ノズル249c~249eより処理室201内へNガスを供給する。ステップBでは、ノズル249c~249e内へのOガスの侵入を抑制することを目的としてノズル249c~249eより処理室201内へNガスを供給する。なお、ステップAと同様に、ノズル249c~249eより供給されるNガスの流量を個別に調整することで、大表面積ウエハ上に形成されるSiON膜の膜厚等を調整することもできる。
【0066】
なお、Oガス供給ステップでは、ステップAと同様に、ノズル249a,249bより処理室201内へNガスを供給するようにしてもよい。
【0067】
本ステップにおける処理条件としては、
ガス供給流量:0.1~10slm
ガス供給流量(Rt,Rc,Rb毎):0~0.1slm
ガス供給流量(R2):0~10slm
ガス供給流量(R1):0~0.1slm
各ガス供給時間:1~120秒、好ましくは1~60秒
処理圧力:1~4000Pa、好ましくは1~3000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップAにおける処理条件と同様とする。
【0068】
上述の条件下でウエハ200に対してOガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第1層の少なくとも一部が酸化(改質)される。第1層が改質されることで、ウエハ200上に、第2層として、SiおよびOを含む層、すなわち、SiO層が形成される。第2層を形成する際、第1層に含まれていたCl等の不純物は、Oガスによる第1層の改質反応の過程において、少なくともClを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。これにより、第2層は、第1層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0069】
第2層が形成された後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのOガスの供給を停止する。そして、ステップAのパージと同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージ)。
【0070】
酸化剤(酸化ガス)としては、Oガスの他、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、オゾン(O)ガス、水蒸気(HOガス)、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等のO含有ガスを用いることができる。
【0071】
[ステップC]
ステップBが終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第2層に対してNHガスを供給する(NHガス供給ステップ)。
【0072】
具体的には、バルブ243fを開き、ガス供給管232f内へNHガスを流す。NHガスは、MFC241fにより流量調整され、ガス供給管232bを介してノズル249b内へ流れ、ノズル249bの側面に設けられた複数のガス噴出口250bのそれぞれより処理室201内へ供給され、排気口204c、排気空間205を介して排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してNHガスが供給される。
【0073】
このとき、ステップA及びBと同様に、ノズル249c~249eより処理室201内へNガスを供給する。ステップCではステップBと同様に、ノズル249c~249e内へのNHガスの侵入を抑制することを目的としてノズル249c~249eより処理室201内へNガスを供給する。なお、ステップAと同様に、ノズル249c~249eより供給されるNガスの流量を個別に調整することで、大表面積ウエハ上に形成されるSiON膜の膜厚等を調整することもできる。
【0074】
なお、NHガス供給ステップでは、ステップAと同様に、ノズル249a,249bより処理室201内へNガスを供給するようにしてもよい。
【0075】
本ステップにおける処理条件としては、
NHガス供給流量:0.1~10slm
ガス供給流量(Rt,Rc,Rb毎):0~0.1slm
ガス供給流量(R2):0~10slm
ガス供給流量(R1):0~0.1slm
各ガス供給時間:1~120秒、好ましくは1~60秒
処理圧力:1~4000Pa、好ましくは1~3000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップAにおける処理条件と同様とする。
【0076】
上述の条件下でウエハ200に対してNHガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第2層の少なくとも一部が窒化(改質)される。第2層が改質されることで、ウエハ200上に、第3層として、Si、O、およびNを含む層、すなわち、SiON層が形成される。第3層を形成する際、第2層に含まれていたCl等の不純物は、NHガスによる第2層の改質反応の過程において、少なくともClを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。これにより、第3層は、第2層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0077】
第3層が形成された後、バルブ243fを閉じ、処理室201内へのNHガスの供給を停止する。そして、ステップAのパージと同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージ)。
【0078】
窒化剤(窒化ガス)としては、NHガスの他、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等のN含有ガスを用いることができる。
【0079】
[所定回数実施]
ステップA~Cを非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを1回以上(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所望膜厚、所望組成のSiON膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成される第3層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、第3層を積層することで形成されるSiON膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0080】
(アフターパージ~大気圧復帰)
成膜ステップが終了した後、ノズル249a~249eよりNガスを処理室201内へ供給し、排気口204c、排気空間205を介して排気管231より排気する。Nガスはパージガスとして作用する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0081】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、マニホールド209の下端から反応管210の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハ200は、反応管210の外部に搬出された後、ボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0082】
(3)Nガスの流量制御と作用効果
以下、ステップAで行うNガスの流量制御の具体的内容、および、その作用効果について説明する。
【0083】
ステップAにおいてウエハ200の表面に対して供給されるHCDSガスは、その表面上にSi含有層を形成する際に、吸着や分解などが生じることにより消費される。その際、HCDSガスが供給されるウエハ200の表面積が大きいほど、時間当たりに消費されるガスの量は多くなる。すなわち、大表面積ウエハに対して供給されたHCDSガスは、小表面積ウエハの表面に対して供給されたHCDSガスよりも速く消費される。
【0084】
そのため、本実施形態のように、ウエハ配列領域の全体に亘って均等にガス噴出口250aが設けられたノズル249aを用いて、同じ濃度及び流量(特にここでは、ウエハ200それぞれに対して供給される流量)のHCDSガスを、大表面積ウエハが配列された第1基板領域と、小表面積ウエハが配列された第2基板領域のいずれにも供給した場合、第2基板領域におけるHCDSガスの濃度は、消費速度が遅い分だけ第1基板領域における同ガスの濃度よりも高くなる。更に、第2基板領域における高濃度のHCDSガスが、第2基板領域に隣接する第1基板領域内の領域(以下、隣接基板領域とも称する)へ回り込むことで、隣接基板領域におけるHCDSガスの濃度を上昇させる。その結果、隣接基板領域に配列される大表面積ウエハに形成されるSi含有層の厚さは、隣接基板領域外に配列された大表面積ウエハに形成されるSi含有層の厚さよりも厚くなる。すなわち、第1基板領域に配列された複数の大表面積ウエハの間で、その面上に形成されるSi含有層の厚さにバラつきが生じることとなる。
【0085】
そこで、本実施形態では、ステップAにおいて、基板配列領域のうち、複数の大表面積ウエハの少なくとも一部が配列された領域(第1基板領域)を含み、且つ小表面積ウエハが配列された領域(第2基板領域)を含まない連続する第1供給領域に対して希釈ガスとしてのNガスを供給し、又は希釈ガスとしてのNガスの供給を不実施とするとともに、基板配列領域のうち、第1供給領域以外の領域であって、小表面積ウエハが配列された領域(第2基板領域)を含む連続する第2供給領域に対して、第1供給領域に対して供給される希釈ガスとしてのNガスの流量(より具体的には、ウエハ200の配列方向の単位長さ当たりに供給される流量)よりも大きい流量(より具体的には、ウエハ200の配列方向の単位長さ当たりに供給される流量)で、希釈ガスとしてのNガスを供給する。
【0086】
図5で示す例では、小表面積ウエハが配列された第1ゾーン及び第3ゾーンを第2供給領域とし、大表面積ウエハのみが配列された第2ゾーンを第1供給領域としている。そして、ステップAにおいて、第1希釈ガスノズルとしてのノズル249c(Rt),第3希釈ガスノズルとしての249e(Rb)から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第2供給領域流量)が、第2希釈ガスノズルとしてのノズル249d(Rc)から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第1供給領域流量)よりも大きくなるように、Rt,Rb,Rcのそれぞれから供給されるNガスの流量制御を個別に行う。
【0087】
例えば図5で示す例では、第1~第3ゾーンにおけるウエハ200の配列方向の長さが略同一となっている。この場合、Rt,Rbのそれぞれから処理室201内に供給されるNガスの流量(ノズル毎のNガスの総流量)を、Rcから処理室201内に供給されるNガスの流量よりも大きくなるように、MFC241c~241eがそれぞれ制御される。これにより、Rt,Rbから供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量を、Rcから供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量よりも大きくすることができる。
【0088】
また、図9で示す例のように、Rt,Rb,Rcのガス噴出口250c,250e,250dが、ウエハ200の配列方向において略同一な開口ピッチで設けられている場合、ガス噴出口250c,250eの開口ごとに処理室201内に供給されるNガスの流量(1開口当たりのNガスの流量)が、ガス噴出口250dの開口ごとに処理室201内に供給されるNガスの流量よりも大きくなるように、MFC241c~241eをそれぞれ制御する。これにより、Rt,Rbから供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量を、Rcから供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量よりも大きくすることができる。
【0089】
また、本実施形態のように、ウエハ200がウエハ配列領域の全体に亘って均等な間隔で配列されている場合、Rt,Rbからウエハ200のそれぞれに対して供給されるNガスの流量(ウエハ1枚当たりに供給されるNガスの流量)が、Rcからウエハ200のそれぞれに対して供給されるNガスの流量(ウエハ1枚当たりに供給されるNガスの流量)よりも大きくなるように、MFC241c~241eをそれぞれ個別に制御してもよい。
【0090】
第2供給領域内に供給されるNガスのうち、小表面積ウエハが配列された第2基板領域に対して供給されるNガスは、第2基板領域に対して供給されるHCDSガスの濃度を下げることで、第2基板領域において消費されずに隣接する基板領域(隣接基板領域)に回り込むHCDSガスの量を低減する作用を有する。また、第2供給領域内に供給されるNガスのうち、隣接基板領域に対して供給されるNガスは、第2基板領域から回り込んできたHCDSガスによって隣接基板領域内におけるHCDSガスの濃度が増加することを抑制する作用を有する。
【0091】
このように小表面積ウエハが配列された位置に応じて、希釈ガスとしてのNガスの供給流量を本実施形態のように制御することによって、第2供給領域内の隣接基板領域におけるHCDSガスの濃度の上昇を抑制することができる。換言すると、第2基板領域から隣接基板領域に回り込むHCDSガスの影響を低減することができる。
【0092】
Rt~Rbから供給されるNガスの流量は、第1供給領域内に配列された大表面積ウエハに形成されるSi含有層の厚さと、第2供給領域内に配列された大表面積ウエハに形成されるSi含有層の厚さが近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるように、それぞれ個別に制御することが望ましい。
【0093】
より具体的には、第2供給領域(第1ゾーン及び第3ゾーン)におけるHCDSガスの濃度(分圧)が、第1供給領域(第2ゾーン)における同ガスの濃度(分圧)に近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるようにRt~Rbから供給するNガスの流量をそれぞれ制御する。ステップAにおいてRt~Rbから供給されるNガスの流量(ノズル毎のNガスの総流量)としては、Rt:1.0slm、Rc:0slm、Rb:1.0slmが例示される。(この例では2つの第2供給領域(第1ゾーン及び第3ゾーン)に対して供給されるNガスの流量を等しくしているが、異なる第2供給領域ごとに、供給されるNガスの流量が異なるように制御してもよい。)
【0094】
これにより、第1供給領域内に配列された大表面積ウエハに形成されるSi含有層の厚さと、第2供給領域内に配列された大表面積ウエハに形成されるSi含有層の厚さが近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるようにすることができる。また、上述の基板処理工程において形成されるSiON膜についても同様に、第1供給領域内に配列された大表面積ウエハに形成されるSiON膜の厚さと、第2供給領域内に配列された大表面積ウエハに形成されるSiON膜の厚さが近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるようにすることができる。
【0095】
なお、本実施形態では、Rcからの希釈ガスとしてのNガスの供給流量(第1供給領域流量)を0slmとしている。すなわち、この場合、ステップAにおいて、第1供給領域に対して希釈ガスとしてのNガスの供給を不実施とする一方、第2供給領域に対してのみ、局所的に希釈ガスとしてのNガスの供給を実施する。ただし、RcへのHCDSガスの侵入を防止することや、第1供給領域(第2ゾーン)におけるHCDSガスの濃度分布を微調整することなどの目的のために、Rcからも少量のNガスを供給してもよい。例えば、RcからのNガスの供給流量(第1供給領域流量)を0.1slmとしてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、ステップAにおいてのみ、小表面積ウエハが配列された位置に応じて、第1~第3ゾーンに供給される希釈ガスとしてのNガスの流量を制御するようにしたが、ステップBおよびステップCのうち少なくともいずれかにおいても、同様に第1~第3ゾーンに供給されるNガスの流量を調整することにより、複数の大表面積ウエハにそれぞれ供給されるOガスやNHガスの濃度を均等にすることができる。
【0097】
また、上述の効果は、HCDSガス以外の上述の原料を用いる場合や、Oガス以外の上述の酸化剤を用いる場合や、NHガス以外の上述の窒化剤を用いる場合や、Nガス以外の上述の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
【0098】
また、本実施形態は、第2供給領域内に小表面積ウエハと大表面積ウエハの両方を含む場合に適用される例を説明したが、第2供給領域内に小表面積ウエハのみが配列された場合について適用してもよい。
【0099】
<第1の実施形態の変形例1>
なお、第1の実施形態において、上述の通り、RcからのNガスの供給を行わないようにする場合、Rcを備えないように基板処理装置を構成してもよい。この場合、Rt,Rbを用いて第2供給領域(第1ゾーン及び第3ゾーン)に対してのみ、局所的に希釈ガスとしてのNガスの供給を実施する。本変形例は、第1の実施形態のように、ウエハ配列領域の上端側と下端側にのみ小表面積ウエハが装填される場合において好適である。
【0100】
<第1の実施形態の変形例2>
また、第1の実施形態では、Rt~Rbから供給するNガスの流量をそれぞれ制御することによって、第1供給領域と第2供給領域におけるHCDSガスの濃度を調整する例を示したが、Rt~Rb(又は、Rt及びRb)に加えて、R1及びR2の少なくとも一方から供給されるNガスを希釈ガスとして用いることで、第1供給領域と第2供給領域におけるHCDSガスの濃度を更に調整してもよい。本変形例は、Rt~Rb(又は、Rt及びRb)から供給されるNガスの流量のみを調整することでウエハ配列領域におけるHCDSガスの濃度分布を所望の分布に調整することが困難な場合において好適である。
【0101】
<第2の実施形態>
上述の第1の実施形態では、ウエハ200(大表面積ウエハ及び小表面積ウエハ)が図5に示すようにボート217に装填されて処理される例について説明した。ここでは、第1の実施形態とは異なる図6に示す配列でウエハ200が装填されて処理される例について第2の実施形態として説明する。
【0102】
本実施形態では、小表面積ウエハが、第2ゾーンの中央部に10枚、第3ゾーンの下部側に10枚、それぞれ装填されている。また、大表面積ウエハが、第1ゾーンの全体と、第2ゾーン及び第3ゾーンの小表面積ウエハが配列されていない領域とに、合わせて100枚装填されている。すなわち、本実施形態では、小表面積ウエハが配列された第2基板領域を含む第2ゾーン及び第3ゾーンを第2供給領域とし、大表面積ウエハが配列された第1基板領域のみからなり第2基板領域を含まない第1ゾーンを第1供給領域としている。
【0103】
本実施形態では、ステップAにおいて、ノズル249d(Rc),249e(Rb)から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第2供給領域流量)が、ノズル249c(Rt)から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第1供給領域流量)よりも大きくなるように流量制御を行う。
【0104】
より具体的には、第2供給領域(第2ゾーン及び第3ゾーン)におけるHCDSガスの濃度(分圧)が、第1供給領域(第1ゾーン)における同ガスの濃度(分圧)に近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるようにRt~Rbから供給するNガスの流量をそれぞれ制御する。ステップAにおいてRt~Rbから供給されるNガスの流量(ノズル毎のNガスの総流量)としては、Rt:0slm、Rc:1.0slm、Rb:1.0slmが例示される。また、第1の実施形態の場合と同様、RtからのNガスの供給は不実施とせずに、Rtからも少量のNガスを供給してもよい。例えば、RtからのNガスの供給流量(第1供給領域流量)を0.1slmとしてもよい。
【0105】
なお、本実施形態の場合、第1ゾーンの上方には、大表面積ウエハが配置されていない領域が存在する。このような領域にHCDSガスが流れ込むと、消費されないHCDSガスが第1ゾーンに回り込んで、第1ゾーンにおけるHCDSガスの濃度を上昇させることがある。したがって、このようなHCDSガスの回り込みを考慮して、第1ゾーンに対しても希釈ガスとしての少量のNガスを供給するようにしてもよい。例えば、RtからのNガスの供給流量を0.2slmとしてもよい。
【0106】
本実施形態によれば、図6に示すようなウエハ200の配列であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
<第3の実施形態>
続いて、第1の実施形態とは異なる図7に示す配列でウエハ200が装填されて処理される例について第3の実施形態として説明する。
【0108】
本実施形態では、小表面積ウエハが、第2ゾーンの中央部に10枚装填されている。また、大表面積ウエハが、第1ゾーン及び第3ゾーンの全体と、第2ゾーンの小表面積ウエハが配列されていない領域とに、合わせて110枚装填されている。
【0109】
すなわち、本実施形態では、小表面積ウエハが配列された第2基板領域を含む第2ゾーンを第2供給領域とし、大表面積ウエハが配列された第1基板領域のみからなり第2基板領域を含まない第1ゾーン及び第3ゾーンを第1供給領域としている。そして、ステップAにおいて、ノズル249d(Rc)から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第2供給領域流量)が、ノズル249c(Rt),249e(Rb)から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第1供給領域流量)よりも大きくなるように流量制御を行う。
【0110】
例えば、第2供給領域(第2ゾーン)におけるHCDSガスの濃度(分圧)が、第1供給領域(第1ゾーン及び第3ゾーン)における同ガスの濃度(分圧)に近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるようにRt~Rbから供給するNガスの流量をそれぞれ制御する。ステップAにおいてRt~Rbから供給されるNガスの流量(ノズル毎のNガスの総流量)としては、Rt:0slm、Rc:1.0slm、Rb:0slmが例示される。また、第1の実施形態の場合と同様、Rt,RbからのNガスの供給は不実施とせずに、Rt,Rbからも少量のNガスを供給してもよい。例えば、Rt,RbからのNガスの供給流量(第1供給領域流量)をそれぞれ0.1slmとしてもよい。
【0111】
なお、本実施形態の場合、第1ゾーンの上方と第3ゾーンの下方には、大表面積ウエハが配置されていない領域が存在する。このような領域にHCDSガスが流れ込むと、消費されないHCDSガスが第1ゾーン及び第3ゾーンに回り込んで、第1ゾーン及び第3ゾーンにおけるHCDSガスの濃度を上昇させることがある。したがって、このようなHCDSガスの回り込みを考慮して、第1ゾーン及び第3ゾーンに対しても希釈ガスとしての少量のNガスを供給するようにしてもよい。例えば、Rt,RbからのNガスの供給流量をそれぞれ0.2slmとしてもよい。
【0112】
本実施形態によれば、図7に示すようなウエハ200の配列であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
<第4の実施形態>
続いて、第1の実施形態とは異なる図8に示す配列でウエハ200が装填されて処理される例について第4の実施形態として説明する。
【0114】
本実施形態では、図8に示すように、ウエハ配列領域を上部側から下部側に向かって第1~第4ゾーンに分けている。そして、小表面積ウエハが、第1ゾーン、第2ゾーン及び第4ゾーンにそれぞれ10枚装填されている。また、大表面積ウエハが、第3ゾーンの全体と、第1ゾーン、第2ゾーン、及び第4ゾーンの小表面積ウエハが配列されていない領域とに、合わせて90枚装填されている。すなわち、本実施形態では、小表面積ウエハが配列された第2基板領域を含む第1ゾーン、第2ゾーン及び第4ゾーンを第2供給領域とし、大表面積ウエハが配列された第1基板領域のみからなり第2基板領域を含まない第3ゾーンを第1供給領域としている。
【0115】
また、本実施形態で用いられる基板処理装置は、第1~第3の実施形態で用いられる基板処理装置のノズル249c~249eに替えて、図10に示すように、ノズル249f~249iを備えている。本明細書では、ノズル249fをRt´とも称し、ノズル249gをRc´とも称し、ノズル249hをRc´´とも称し、ノズル249iをRb´とも称する。ノズル249f~249iの側面には、第6~第9ガス供給口としてのガス噴出口250f~250iがそれぞれ設けられている。
【0116】
ノズル249fにおけるガス噴出口250fは、ウエハ配列領域のうち第1ゾーンに対応するように、ノズル249fの一部にのみ複数設けられている。ノズル249f、すなわち、Rt´は、第1ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第2~第4ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0117】
ノズル249gにおけるガス噴出口250gは、ウエハ配列領域のうち第2ゾーンに対応するように、ノズル249gの一部にのみ複数設けられている。ノズル249g、すなわち、Rc´は、第2ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第1、第3、第4ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0118】
ノズル249hにおけるガス噴出口250hは、ウエハ配列領域のうち第3ゾーンに対応するように、ノズル249hの一部にのみ複数設けられている。ノズル249h、すなわち、Rc´´は、第3ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第1、第2、第4ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0119】
ノズル249iにおけるガス噴出口250iは、ウエハ配列領域のうち第4ゾーンに対応するように、ノズル249iの一部にのみ複数設けられている。ノズル249i、すなわち、Rb´は、第4ゾーンに向けてガスを供給することができ、また、それ以外のゾーン、すなわち、第1~第3ゾーンに向けてのガスの供給を不実施とするように構成されている。
【0120】
なお、ガス噴出口250f~250iは、ガス噴出口250c~250eと同様に、それぞれが処理室201の中心を向くように開口しており、ウエハ200の中心に向けてガスを供給することが可能なように構成されており、また、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0121】
そして、ステップAにおいて、Rt´,Rc´,Rb´から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第2供給領域流量)が、Rc´´から供給するNガスのウエハ200の配列方向の単位長さ当たりの流量(第1供給領域流量)よりも大きくなるように流量制御を行う。
【0122】
更に、第2供給領域(第1、第2、第4ゾーン)におけるHCDSガスの濃度(分圧)が、第1供給領域(第3ゾーン)における同ガスの濃度(分圧)に近づくように、より望ましくは実質的に等しくなるようにRt´,Rc´,Rc´´,Rb´から供給するNガスの流量をそれぞれ制御する。ステップAにおいてRt´,Rc´,Rc´´,Rb´からそれぞれ供給されるNガスの流量(ノズル毎のNガスの総流量)としては、Rt´:0.8slm、Rc´:0.7slm、Rc´´:0.1slm、Rb´:0.8slmが例示される。また、第1の実施形態の場合と同様、Rc´´からのNガスの供給は不実施とせずに、Rc´´からも少量のNガスを供給してもよい。例えば、Rc´´からのNガスの供給流量(第1供給領域流量)を0.1slmとしてもよい。
【0123】
本実施形態によれば、図8に示すようなウエハ200の配列であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態を具体的に説明した。但し、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0125】
例えば、反応体として、OガスやOガス等のO含有ガス、Hガス等のH含有ガス等を用い、以下に示す成膜シーケンスにより、基板上に、シリコン酸化膜(SiO膜)を形成するようにしてもよい。これらの場合においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。これらの反応体を供給する際の処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態において反応体を供給する際のそれらと同様とすることができる。
【0126】
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R1:H,R2:O)×n ⇒ SiO
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R1:H,R2:O,Rt~Rb:N)×n ⇒ SiO
【0127】
また、例えば、反応体として、NHガス等のN含有ガス、プロピレン(C)ガス等の炭素(C)含有ガス、トリエチルアミン((CN、略称:TEA)ガス等のNおよびCを含むガス等を用い、以下に示す成膜シーケンスにより、基板上に、SiON膜、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)等を形成するようにしてもよい。これらの場合においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。これらの反応体を供給する際の処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態において反応体を供給する際のそれらと同様とすることができる。
【0128】
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R2:NH → R2:O)×n ⇒ SiON
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R2:O → R2:TEA)×n ⇒ SiOC(N)
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R2:TEA → R2:O)×n ⇒ SiOC(N)
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R2:C → R2:NH → R2:O)×n ⇒ SiOCN
(R1:HCDS,Rt~Rb:N → R2:C → R2:O → R2:NH)×n ⇒ SiOCN
【0129】
また例えば、原料として、チタニウムテトラクロライド(TiCl)ガスやトリメチルアルミニウム(Al(CH、略称:TMA)ガス等を用い、以下に示す成膜シーケンスにより、基板上に、チタン酸窒化膜(TiON膜)、アルミニウム酸窒化膜(AlON膜)等を形成するようにしてもよい。これらの場合においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。これらの原料や反応体を供給する際の処理手順、処理条件は、上述の実施形態において原料や反応体を供給する際のそれらと同様とすることができる。
【0130】
(R1:TiCl,Rt~Rb:N → R2:O → R2:NH)×n ⇒ TiON
(R1:TiCl,Rt~Rb:N → R2:NH → R2:O)×n ⇒ TiON
(R1:TMA,Rt~Rb:N → R2:HO → R2:NH)×n ⇒ AlON
(R1:TMA,Rt~Rb:N → R2:NH → R2:HO)×n ⇒ AlON
【0131】
上述の実施形態では、ウエハ配列領域を3つ又は4つのゾーンに分けて、それぞれのゾーンに対応するガス噴出口を備える3本又は4本のノズルを用いて希釈ガスを各ゾーンに個別に供給する例を示した。しかし、本開示は上述の実施形態に限定されず、例えば、ウエハ配列領域を5つ以上のゾーンに分けて、それぞれのゾーンに対応するガス噴出口を備える5本以上のノズルを用いて希釈ガスを各ゾーンに個別に供給するようにしてもよい。
【0132】
また、上述の実施形態では、ウエハ配列領域をウエハ200の配列方向の長さがおおよそ均等となるように複数のゾーンに分けて、各ゾーンへの希釈ガスの供給を個別に制御する例を示した。しかし、本開示は上述の実施形態に限定されず、各ゾーンの長さ(各ゾーンに含まれるウエハの枚数)は任意に設定することができる。例えば、ウエハ配列領域の上部側及び下部側のゾーンを、他のゾーンに比べて狭くなるように設定してもよい。
【0133】
また、上述の各種実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【実施例
【0134】
以下、参考例や実施例について説明する。参考例及び実施例では、図1に示す基板処理装置を用い、ウエハに対してHCDSガスとOガス及びHガスとを、この順に非同時に供給するサイクルを100回行うことにより、ウエハ上にSiO膜を形成した。また、ボート217に装填されるウエハ200(大表面積ウエハ及び小表面積ウエハ)の配列は、第1の実施形態におけるもの(すなわち図5に示す配列)と同様とした。
【0135】
なお、上述の実施形態における基板処理装置は、ガス供給管232aからHCDSガスを、ガス供給管232bからOガスを、ガス供給管232fからNHガスをそれぞれ供給するように構成されているが、本参考例及び本実施例では、ガス供給管232aに替えてガス供給管232bからHCDSガスを、ガス供給管232bに替えてガス供給管232aからOガスを、ガス供給管232fからHガスをそれぞれ供給するように構成された基板処理装置を用いた。
【0136】
(参考例)
参考例では、HCDSガスを供給するステップにおいて、上述の実施形態で説明したRt~RbからのNガスの供給を不実施とした。また、HCDSガスを供給するステップ(ステップA´)及びOガスとHガスとを供給するステップ(ステップB´)における処理条件は以下の通りとした。
[ステップA´]
HCDSガス供給流量:0.1slm
HCDSガス供給時間:4秒
処理圧力:399Pa
ガス供給流量(Rt,Rc,Rb毎):0slm
[ステップB´]
ガス供給流量:3.5slm
ガス供給流量:2.0slm
ガス・Hガス供給時間:6秒
処理圧力:40Pa
ガス供給流量(Rt,Rc,Rb毎):0slm
【0137】
(実施例)
一方、実施例では、HCDSガスを供給するステップ(ステップA´)及びOガスとHガスとを供給するステップ(ステップB´)において、上述の第1の実施形態と同様、Rt及びRbからのNガスの供給を実施し、RcからのNガスの供給を不実施とした。また、ステップA´及びステップB´における処理条件は以下の通りとした。
[ステップA´]
HCDSガス供給流量:0.1slm
HCDSガス供給時間:4秒
処理圧力:399Pa
ガス供給流量(Rt,Rb毎):1.0slm
ガス供給流量(Rc):0slm
[ステップB´]
ガス供給流量:3.5slm
ガス供給流量:2.0slm
ガス・Hガス供給時間:6秒
処理圧力:40Pa
ガス供給流量(Rt,Rb毎):1.0slm
ガス供給流量(Rc):0slm
【0138】
図11は、参考例及び実施例における、ウエハ配列領域での大表面積ウエハの位置(ボート217におけるスロット番号)と、各位置に配列された大表面積ウエハ上に形成されたSiO膜の膜厚との関係をそれぞれ測定した結果を示す図である。図11の横軸はウエハ上に形成されたSiO膜の厚さ(Å)を、縦軸はウエハ配列領域での大表面積ウエハの位置を示している。また、縦軸の「120」はウエハ配列領域の上端を、「0」は下端をそれぞれ示している。また、□印でプロットされた点は参考例の、◆印でプロットされた点は実施例の測定結果をそれぞれ示している。
【0139】
図11によれば、参考例では、小表面積ウエハが配列されている(すなわち第2基板領域を含んでいる)第1ゾーン及び第3ゾーンにおける大表面積ウエハ上に形成されたSiO膜の厚さが、小表面積ウエハが配列されていない(すなわち第2基板領域を含んでいない)第2ゾーンにおける大表面積ウエハ上に形成されたSiO膜の厚さに比べて大きくなっていることが分かる。すなわち、第2ゾーンにおける大表面積ウエハと、第1ゾーン及び第3ゾーンにおける大表面積ウエハとの間で、その表面に形成されるSiO膜の厚さにバラつきが生じていることが分かる。
【0140】
一方、図11によれば、実施例では、第1ゾーン及び第3ゾーンにおける大表面積ウエハ上に形成されたSiO膜の厚さが、第2ゾーンにおける大表面積ウエハ上に形成されたSiO膜の厚さと同等の大きさになっていることが分かる。すなわち、第2ゾーンにおける大表面積ウエハと、第1ゾーン及び第3ゾーンにおける大表面積ウエハとの間で、その表面に形成されるSiO膜の厚さに関する基板間均一性が参考例の場合に比べて改善されていることが分かる。
【0141】
このように実施例では、第2基板領域を含む第1ゾーン及び第3ゾーンに対して個別に希釈ガスとしてのNガスを供給し、且つ、第2基板領域を含まない第2ゾーンに対して同ガスを供給しないことにより、第1ゾーン及び第3ゾーンにおけるHCDSガスの濃度及びOガスとHガスの濃度が、第2ゾーンにおけるこれらの濃度と同等になるように調整可能である。
【0142】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0143】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
(a)複数の第1基板及び前記第1基板よりも表面積が小さい第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して処理室内に収容する工程と、
(b)前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給することで、前記複数の第1基板上に薄膜を形成する工程と、
を有し、
(b)は、
(c)前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板の少なくとも一部が配列された領域を含み、前記第2基板が配列された領域を含まない第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、
前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板が配列された領域を含む第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給する工程を含む、半導体装置の製造方法が提供される。
【0144】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記第1供給領域及び前記第2供給領域の両方に対して、前記処理ガスを供給する。
【0145】
(付記3)
付記1又は2に記載の方法であって、好ましくは、
前記第2供給領域は、前記複数の第1基板の少なくとも他の一部が配列された領域を含む。
【0146】
(付記4)
付記1~3のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記第2供給領域における前記処理ガスの濃度が、前記第1供給領域における前記処理ガスの濃度に近づくように、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量、および前記第2供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量のうち少なくともいずれかを調整する。
【0147】
(付記5)
付記1~3のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記第2供給領域に配列された前記複数の第1基板に形成される前記薄膜の厚さが、前記第1供給領域に配列された前記複数の第1基板に形成される前記薄膜の厚さに近づくように、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量、および前記第2供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量のうち少なくともいずれかを調整する。
【0148】
(付記6)
付記1~5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記希釈ガスを、前記処理ガスを供給する処理ガスノズルとは異なる希釈ガスノズルから前記第2供給領域に対して供給する。
【0149】
(付記7)
付記1~5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記基板配列領域は、複数の前記第2供給領域を含み、
(c)では、前記希釈ガスを、前記複数の第2供給領域の何れかに対応するように設けられた複数の希釈ガスノズルのそれぞれから、前記複数の第2供給領域に対して個別に供給する。
【0150】
(付記8)
付記7に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記複数の第2供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量がそれぞれ個別に調整される。
【0151】
(付記9)
付記6~8のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記希釈ガスノズルは、前記第1供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えず、前記第2供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えている。
【0152】
(付記10)
付記6に記載の方法であって、好ましくは、
前記処理ガスノズルは前記第1供給領域及び前記第2供給領域の両方に対して前記処理ガスを供給するように構成されている。
【0153】
(付記11)
付記1~10のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(b)は、
(d)前記基板配列領域に対して原料ガスを供給する工程と、
(e)前記基板配列領域に対して反応ガスを供給する工程と、
を非同時に行うサイクルを所定回数行う工程を有し、
(c)は(d)において実行される。
【0154】
(付記12)
付記1~5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記基板配列領域は、少なくとも前記基板配列領域の一端部側の第1ゾーン、前記基板配列領域の中央部側の第2ゾーン、及び前記基板配列領域の他端部側の第3ゾーンを含み、
前記第2ゾーンは前記第1供給領域に対応し、前記第1ゾーン及び第3ゾーンは前記第2供給領域に対応し、
(c)では、
前記第1ゾーンに対応するように設けられた第1希釈ガスノズルから、前記第1ゾーンに向けて前記希釈ガスを供給し、
前記第3ゾーンに対応するように設けられた第3希釈ガスノズルから、前記第3ゾーンに向けて前記希釈ガスを供給する。
【0155】
(付記13)
付記12に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記第2ゾーンに対する前記希釈ガスの供給を不実施とする。
【0156】
(付記14)
付記12に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記第2ゾーンに対応するように設けられた第2希釈ガスノズルから、前記第2ゾーンに向けて前記希釈ガスを供給する。
【0157】
(付記15)
付記1~5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記基板配列領域は、複数の前記第1供給領域を含み、
(c)では、前記希釈ガスを、前記複数の第1供給領域のいずれかに対応するように設けられた複数の希釈ガスノズルのそれぞれから、前記複数の第1供給領域に対して個別に供給する。
【0158】
(付記16)
付記15に記載の方法であって、好ましくは、
(c)では、前記複数の第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量がそれぞれ個別に調整される。
【0159】
(付記17)
付記1~16のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記第2供給領域は、前記複数の第1基板の少なくとも他の一部が配列された領域を含む。
【0160】
(付記18)
本開示の他の態様によれば、
複数の第1基板及び前記第1基板よりも表面積が小さい第2基板を水平姿勢で多段に支持する基板支持具と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板を支持した状態の基板支持具を収容するように構成された処理室と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された方向に沿って前記処理室内で立ち上がるように設けられ、前記処理室内に処理ガスを供給するように構成された処理ガスノズルと、
前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された方向に沿って前記処理室内で立ち上がるように設けられ、前記処理室内に希釈ガスを供給するように構成された希釈ガスノズルと、
を備え、
前記希釈ガスノズルは、前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域のうち、前記複数の第1基板が配列された領域を含み、前記第2基板が配列された領域を含まない第1供給領域に対して前記希釈ガスを供給せず、且つ、前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板が配列された領域を含む第2供給領域に対して前記希釈ガスを供給するように構成されている、基板処理装置が提供される。
【0161】
(付記19)
付記18に記載の装置であって、好ましくは、
前記第1供給領域に対して前記希釈ガスを供給し、且つ、前記第2供給領域に対して前記希釈ガスを供給しないように構成されている第2希釈ガスノズルを更に備える。
【0162】
(付記20)
付記19に記載の装置であって、好ましくは、
前記希釈ガスノズル及び前記第2希釈ガスノズルに対してそれぞれ前記希釈ガスを供給するよう構成された複数の希釈ガス供給系と、
前記複数の希釈ガス供給系を制御して、前記第2希釈ガスノズルから前記第1供給領域に対して供給する前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で、前記希釈ガスノズルから前記第2供給領域に対して前記希釈ガスを供給するように構成された制御部と、
を更に備える。
【0163】
(付記21)
付記18~20のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記基板配列領域は、複数の前記第2供給領域を含み、
前記希釈ガスノズルは複数設けられ、
前記複数の希釈ガスノズルは、それぞれが前記複数の第2供給領域のいずれかに対応するように設けられている。
【0164】
(付記22)
付記18~21のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記希釈ガスノズルは、前記第1供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えず、前記第2供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えている。
【0165】
(付記23)
付記18~22のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記処理ガスノズルは前記第1供給領域及び前記第2供給領域の両方に対して前記処理ガスを供給するように構成されている。
【0166】
(付記24)
付記19又は20に記載の装置であって、好ましくは、
前記第2希釈ガスノズルは、前記第1供給領域に対応する位置にガス噴出口を備え、前記第2供給領域に対応する位置にガス噴出口を備えていない。
【0167】
(付記25)
本開示の更に他の態様によれば、
複数の第1基板及び前記第1基板よりも表面積が小さい第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して支持する基板支持具と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板を支持した状態の前記基板支持具を収容するように構成された処理室と、
前記複数の第1基板及び前記第2基板が配列された基板配列領域に対して処理ガスを供給するよう構成された処理ガス供給部と、
前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板の少なくとも一部が配列された領域を含み、前記第2基板が配列された領域を含まない第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板が配列された領域を含む第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される前記希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給するよう構成された希釈ガス供給部と、を備える、基板処理装置が提供される。
【0168】
(付記26)
本開示の更に他の態様によれば、
(a)複数の第1基板及び前記第1基板よりも表面積が小さい第2基板を、面に対して垂直な方向に配列して基板処理装置の処理室内に収容する手順と、
(b)前記複数の第1基板及び前記第2基板に対して処理ガスを供給することで、前記複数の第1基板上に薄膜を形成する手順と、
を有し、
(b)は、
前記基板配列領域のうち、前記複数の第1基板の少なくとも一部が配列された領域を含み、前記第2基板が配列された領域を含まない第1供給領域に対して希釈ガスを供給し、又は前記希釈ガスの供給を不実施とするとともに、
前記基板配列領域のうち、前記第1供給領域以外の領域であって、前記第2基板が配列された領域を含む第2供給領域に対して、前記第1供給領域に対して供給される希釈ガスの流量よりも大きい流量で前記希釈ガスを供給する手順を含む手順を、コンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【符号の説明】
【0169】
200 ウエハ(基板)
249a ノズル(原料供給部)
249b ノズル(酸化剤供給部、窒化剤供給部)
249c~249e ノズル(不活性ガス供給部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11