(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】SiCエピタキシャルウェハ、SiCエピタキシャルウェハの製造方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20220729BHJP
C23C 16/52 20060101ALI20220729BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20220729BHJP
C30B 33/02 20060101ALI20220729BHJP
C30B 25/20 20060101ALI20220729BHJP
C30B 25/16 20060101ALI20220729BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220729BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C23C16/52
C23C16/42
C30B33/02
C30B25/20
C30B25/16
H01L21/205
H01L21/66 L
(21)【出願番号】P 2020199012
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2022-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月3日応用物理学会先進パワー半導体分科会発行の先進パワー半導体分科会誌第6回講演会の予稿集に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月3日~12月4日に開催された先進パワー半導体分科会第6回講演会で発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直人
(72)【発明者】
【氏名】村田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】土田 秀一
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-099483(JP,A)
【文献】特開2016-063190(JP,A)
【文献】特開2006-021954(JP,A)
【文献】国際公開第2020/012605(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/117209(WO,A1)
【文献】林 利彦,高耐圧パワー半導体素子を目指したp型SiC結晶のキャリア寿命に関する研究,京都大学学術情報リポジトリ KURENAI,日本,2013年,https://core.ac.uk/download/pdf/39300933.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
C23C 16/00-16/56
H01L 21/00-21/98
H01L 29/00-29/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiC基板と、前記SiC基板の第1面に形成されたSiCエピタキシャル層と、を備え
たSiCエピタキシャルウェハであって、
前記SiCエピタキシャル層のZ
1/2センター密度の面内均一性が5%以下であ
り、
前記SiCエピタキシャルウェハの直径は、149mm以上であり、
前記Z
1/2
センター密度の面内均一性は、10点以上の測定点における前記Z
1/2
センター密度の標準偏差を平均値で割って求められるものであり、
前記測定点は、前記SiCエピタキシャルウェハの中心から半径50mmの範囲内において、前記中心を通る十字状に10mmピッチで配列された点である、SiCエピタキシャルウェハ。
【請求項2】
前記SiCエピタキシャルウェハの直径が
199mm以上である、請求項
1に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項3】
前記SiCエピタキシャル層に含まれる格子間炭素起因の点欠陥密度が1×10
11cm
-3以下である、請求項1
又は2に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項4】
前記SiCエピタキシャル層に含まれるEH
1センター、EH
3センター、RD
3センターのそれぞれの密度が1×10
11cm
-3以下である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項5】
前記SiCエピタキシャル層に含まれるON
1センター、ON
2センターのそれぞれの密度が1×10
11cm
-3以下である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項6】
前記SiCエピタキシャル層の中心におけるZ
1/2センター密度と、前記SiCエピタキシャル層の中心から50mm以上離れた位置におけるZ
1/2センター密度との差が、前記SiCエピタキシャル層の中心におけるZ
1/2センター密度の値の20%以下である、請求項1~
5のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
【請求項7】
SiCエピタキシャルウェハの製造方法であって、
前記SiCエピタキシャルウェハの製造方法は、試験工程と、本工程と、を有し、
前記試験工程は、
試験用のSiC基板の第1面にSiCエピタキシャル層を積層する第1成膜工程と、
前記SiCエピタキシャル層のZ
1/2センター密度の面内均一性を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程で測定された結果に基づき、前記第1成膜工程における加熱条件と、前記第1成膜工程における降温条件とのうちの少なくとも一方を変更する第1フィードバックを行うフィードバック工程と、を有し、
前記試験工程は、前記第1成膜工程、前記第1測定工程、前記フィードバック工程を複数回繰り返し、
前記本工程は、前記試験工程の結果に基づいて、
SiC基板の第1面にSiCエピタキシャル層を積層する第2成膜工程を有
し、
前記Z
1/2
センター密度の面内均一性は、10点以上の測定点のそれぞれにおける前記Z
1/2
センター密度の標準偏差を平均値で割って求められるものであり、
前記測定点は、前記SiCエピタキシャルウェハの中心から半径50mmの範囲内において、前記中心を通る十字状に10mmピッチで配列された点である、SiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項8】
前記試験工程は、
前記第1成膜工程と前記第1測定工程との間に、前記第1成膜工程で成膜された前記SiCエピタキシャル層を熱処理する第1熱処理工程をさらに有し、
前記フィードバック工程は、前記第1測定工程で測定された結果に基づき、前記第1熱処理工程における加熱条件と、前記第1熱処理工程における降温条件とのうちの少なくとも一方を変更する第2フィードバックをさらに行う、請求項
7に記載のSiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項9】
前記本工程は、前記試験工程の結果に基づいて、前記第2成膜工程で成膜された前記SiCエピタキシャル層を熱処理する第2熱処理工程をさらに備える、請求項
8に記載のSiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項10】
前記第1測定工程を非破壊検査方法で行う、請求項
7~
9のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項11】
前記本工程は、前記第2成膜工程で成膜された前記SiCエピタキシャル層のZ
1/2センター密度の面内均一性を測定する第2測定工程をさらに備える、請求項
7~
10のいずれか一項に記載のSiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【請求項12】
前記第2測定工程を非破壊検査方法で行う、請求項
11に記載のSiCエピタキシャルウェハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiCエピタキシャルウェハ、SiCエピタキシャルウェハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きい。また、炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。そのため炭化珪素(SiC)は、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。このため、近年、上記のような半導体デバイスにSiCエピタキシャルウェハが用いられるようになっている。
【0003】
SiCエピタキシャルウェハは、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)によって、SiC基板上にSiCエピタキシャル層を成膜して得られる。SiCエピタキシャル層は、SiCデバイスの活性領域となる。
【0004】
SiCエピタキシャル層内の欠陥は、SiCデバイス層の特性に影響を及ぼす。例えば、特許文献1には、SiCエピタキシャル層内のZ1/2センターが、SiCエピタキシャル層内におけるキャリア寿命に影響することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、Z1/2センターはSiCデバイスの特性に影響を及ぼすため、SiCエピタキシャル層内におけるZ1/2センターの密度、分布を制御できることが好ましい。しかしながら、製造時点においてZ1/2センターの密度、分布に影響を及ぼすパラメータは複数あり、かつ、そのパラメータそれぞれの制御も難しい。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、Z1/2センターの密度分布が制御され、デバイス化した際に、デバイスの特性劣化を防ぐことができる、SiCエピタキシャルウェハ、SiCエピタキシャルウェハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0009】
(1)第1の態様にかかるSiCエピタキシャルウェハは、SiC基板と、前記SiC基板の第1面に形成されたSiCエピタキシャル層と、を備え、前記SiCエピタキシャル層のZ1/2センター密度の面内均一性が5%以下である。
【0010】
(2)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハは、直径が150mm以上であってもよい。
【0011】
(3)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハは、直径が200mm以上であってもよい。
【0012】
(4)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハにおいて、前記SiCエピタキシャル層に含まれる格子間炭素起因の点欠陥密度が1×1011cm-3以下であってもよい。
【0013】
(5)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハにおいて、前記SiCエピタキシャル層に含まれるEH1センター、EH3センター、RD3センターのそれぞれの密度が1×1011cm-3以下であってもよい。
【0014】
(6)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハにおいて、前記SiCエピタキシャル層に含まれるON1センター、ON2センターのそれぞれの密度が1×1011cm-3以下であってもよい。
【0015】
(7)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハにおいて、前記SiCエピタキシャル層の中心におけるZ1/2センター密度と、前記SiCエピタキシャル層の中心から50mm以上離れた位置におけるZ1/2センター密度との差が、前記SiCエピタキシャル層の中心におけるZ1/2センター密度の値の20%以下であってもよい。
【0016】
(8)第2の態様にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、試験工程と、本工程と、を有し、前記試験工程は、試験用のSiC基板の第1面にSiCエピタキシャル層を積層する第1成膜工程と、前記SiCエピタキシャル層のZ1/2センター密度の面内均一性を測定する第1測定工程と、前記第1測定工程で測定された結果に基づき、前記第1成膜工程における加熱条件と、前記第1成膜工程における降温条件とのうちの少なくとも一方を変更する第1フィードバックを行うフィードバック工程と、を有し、前記試験工程は、前記第1成膜工程、前記第1測定工程、前記フィードバック工程を複数回繰り返し、前記本工程は、前記試験工程の結果に基づいて、SiC基板の第1面にSiCエピタキシャル層を積層する第2成膜工程を有する。
【0017】
(9)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法において、前記試験工程は、前記第1成膜工程と前記第1測定工程との間に、前記第1成膜工程で成膜された前記SiCエピタキシャル層を熱処理する第1熱処理工程をさらに有し、前記フィードバック工程は、前記第1測定工程で測定された結果に基づき、前記第1熱処理工程における加熱条件と、前記第1熱処理工程における降温条件とのうちの少なくとも一方を変更する第2フィードバックをさらに行ってもよい。
【0018】
(10)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法において、前記本工程は、前記試験工程の結果に基づいて、前記第2成膜工程で成膜された前記SiCエピタキシャル層を熱処理する第2熱処理工程をさらに備えてもよい。
【0019】
(11)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法において、前記第1測定工程を非破壊検査方法で行ってもよい。
【0020】
(12)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法において、前記本工程は、前記第2成膜工程で成膜された前記SiCエピタキシャル層のZ1/2センター密度の面内均一性を測定する第2測定工程をさらに備えてもよい。
【0021】
(13)上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハの製造方法において、前記第2測定工程を非破壊検査方法で行ってもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記態様にかかるSiCエピタキシャルウェハ及びSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、デバイス化した際に、ウェハ全面にわたって期待するデバイスの特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの断面図である。
【
図2】本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの平面図である。
【
図3】本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法のフロー図である。
【
図4】Z
1/2センターの密度を非破壊で測定するための測定装置の模式図である。
【
図5】SiCエピタキシャルウェハの静電容量の経時変化を示す図である。
【
図6】実施例1の各測定点におけるZ
1/2センター密度及びドーピング濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0025】
図1は、本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハ10の断面図である。SiCエピタキシャルウェハ10は、SiC基板1とSiCエピタキシャル層2とを有する。
【0026】
SiC基板1は、例えば、SiCインゴットから切り出されたものである。SiCインゴットは、例えば、昇華法を用いてSiC種結晶上に成長する。
【0027】
SiCエピタキシャル層2は、SiC基板1の第1面1Aに形成されている。SiCエピタキシャル層2は、例えば、CVD法を用いてSiC基板1上に成膜される。SiCエピタキシャル層2は、内部に欠陥を有する場合がある。欠陥は、積層欠陥、点欠陥等がある。SiCエピタキシャル層2は、例えば、Z1/2センター3を内部に有する。Z1/2センター3は、炭素空孔に伴う点欠陥である。Z1/2センター3は、深い準位(Ec-0.65eV)を有し、SRH(Shockley-Read-Hall)再結合中心となる。すなわち、Z1/2センター3は、キャリアライフタイムキラー欠陥の一つであり、キャリア寿命に影響を及ぼす。
【0028】
SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度の面内均一性は、制御されている。SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度の面内均一性は、5%以下である。面内均一性は、標準偏差(σ)を平均値(μ:mean value)で割って求められる(σ/mean)。
【0029】
図2は、本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハ10の平面図である。Z
1/2センター3の密度の面内均一性は、例えば、SiCエピタキシャルウェハ10の中心を通る径方向の10点以上の測定点spの結果から求める。
図2では、オリエンテーションフラットOFと平行な方向に測定点spを配置する例を示したが、オリエンテーションフラットOFと垂直な方向に測定点spを配置してもよいし、オリエンテーションフラットOFと平行及び垂直な方向のそれぞれに測定点spを配置してもよい。
【0030】
各測定点spにおけるSiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度は、例えば、1×1013cm-3以下であり、1×1012cm-3以下であることがより好ましい。またZ1/2センター3の密度をゼロとすることは難しく、Z1/2センター3の密度は、例えば、1×1010cm-3以上である。
【0031】
またSiCエピタキシャル層2のドーピング濃度は、例えば、1×1013cm-3以上1×1017以下cm-3である。ただし、ドーピング濃度が低いほど後述するDLTS法による点欠陥の検出下限は低くなる。そのためZ1/2センター3の密度が1×1013cm-3以下のエピタキシャル層2においては、ドーピング濃度が1×1015cm-3以下であることが好ましい。ドーピング濃度は、n型の場合はドナー濃度からアクセプタ濃度を引いた実効的なドーピング濃度であり、p型の場合はアクセプタ濃度からドナー濃度を引いた実効的なドーピング濃度である。n型の場合は、アクセプタ濃度は低いほど好ましく、p型の場合はドナー濃度が低いほど好ましい。n型の場合のアクセプタ濃度は、例えば、1×1013cm-3以下であり、好ましくは1×1012cm-3以下である。p型の場合のドナー濃度は、例えば、1×1013cm-3以下であり、好ましくは1×1012cm-3以下である。
【0032】
またSiCエピタキシャル層2における格子間炭素起因の点欠陥は、例えば、1×1012cm-3以下であり、1×1011cm-3以下であることが好ましい。また格子間炭素起因の点欠陥は、例えば、SiCエピタキシャル層2内に含まれなくてもよい。格子間炭素起因の点欠陥とは、格子の隙間に存在する炭素に起因した欠陥である。格子間炭素起因の点欠陥は、例えば、EH1センター、EH3センター、RD3センター、ON1センター、ON2センターである。EH1センター、EH3センター、RD3センターのそれぞれの密度が1×1011cm-3以下であることが好ましく、ON1センター、ON2センターのそれぞれの密度は1×1011cm-3以下であることが好ましい。
【0033】
格子間炭素起因の点欠陥となる炭素元素は、熱処理によりZ1/2センター3を消滅させる。一方で、当該点欠陥自体は、SiCデバイスの特性に影響を及ぼす。Z1/2センター3は、SiCエピタキシャル層2に電子線を照射することで数を制御することができるが、SiCエピタキシャル層2に電子線を照射すると格子間炭素起因の点欠陥(例えば、EH1センター、EH3センター、RD3センター)が同時に生成されてしまう。なおON1センター、ON2センターは、炭素イオン注入や熱酸化などのZ1/2センターを消滅させる処理において同時生成してしまう欠陥であり、熱処理により完全に低減させることが難しい。ただし、ON1センター、ON2センターは、エピタキシャル成長したままのエピタキシャル層には存在しない、又は、存在してもその濃度は十分に低い。
【0034】
またSiCエピタキシャル層2の膜厚は、例えば、3μm以上500μm以下である。膜厚が厚いほど、成膜時間が長くなるため、Z1/2センター3の密度の面内均一性の制御は難しくなる傾向にある。
【0035】
SiCエピタキシャルウェハ10の直径は、例えば、150mm以上であり、200mm以上であってもよい。SiCエピタキシャルウェハ10の大きさが大きいほど、Z1/2センター3の密度の面内均一性は悪くなる傾向にある。後述するSiCエピタキシャルウェハの製造方法を用いると、直径が150mm以上の大きなSiCエピタキシャルウェハ10においても、Z1/2センター3の密度の面内均一性を所定の範囲内に収めることができる。なお、ここでいう直径は厳密に上記の数値である必要はなく、常識の範囲内のブレを許容する。例えば、直径150mmのウェハであれば、149mm以上151mm以下のウェハであればよく、直径200mmのウェハであれば、199mm以上201mm以下のウェハであればよい。
【0036】
またSiCエピタキシャル層2の中心におけるZ1/2センター密度と、SiCエピタキシャル層2の中心から50mm以上離れた位置におけるZ1/2センター密度との差は、SiCエピタキシャル層2の中心におけるZ1/2センター密度の値の20%以下であることが好ましい。SiCエピタキシャルウェハ10の面内温度分布は、特に外周でのコントロールが難しい。後述するSiCエピタキシャルウェハの製造方法を用いると、外周部の温度分布の高精度な調整も可能である。その結果として中心から50mm以上離れた外周部のZ1/2センター密度の均一性も向上する。
【0037】
次いで、本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法について説明する。
図3は、本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法のフロー図である。本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、試験工程S1と本工程S2とを有する。
【0038】
試験工程S1は、例えば、第1成膜工程S11と第1熱処理工程S12と第1測定工程S13とフィードバック工程S14とを有する。試験工程S1において第1熱処理工程S12は省略可能であり、第1成膜工程S11の後に第1測定工程S13を行ってもよい。試験工程S1は、第1成膜工程S11、第1測定工程S13、フィードバック工程S14を複数回繰り返し、最適条件を決定する。また試験工程S1は、必要に応じて、第1成膜工程S11、第1熱処理工程S12、第1測定工程S13、フィードバック工程S14を複数回繰り返し、最適条件を決定する。
【0039】
第1成膜工程S11では、SiC基板1上にSiCエピタキシャル層2を成膜する。第1成膜工程S11においてSiCエピタキシャル層2の性能を決定づけるパラメータは多数ある。これらの中でも成膜時の温度条件及び成膜後の降温条件は、Z1/2センター3の密度の面内均一性に大きな影響を及ぼすパラメータである。成膜時の温度及び成膜後の降温スピードが、SiCエピタキシャル層2の面内で均一なほど、Z1/2センター3の密度の面内均一性は向上する。
【0040】
次いで、必要に応じて第1熱処理工程S12を行う。第1熱処理工程S12では、SiCエピタキシャルウェハ10を熱処理する。熱処理は加熱処理であり、例えば、SiCエピタキシャル層2の成膜後に行うアニール、SiCエピタキシャル層2に炭素イオン注入後に行うアニール、SiCエピタキシャル層2の一部を熱酸化処理した後に行うアニール、等である。熱処理により成膜直後のSiCエピタキシャル層2内に含まれる欠陥を減らすことができる。熱処理の温度は、例えば、1500℃以上である。第1熱処理工程S12においてSiCエピタキシャル層2の性能を決定づけるパラメータは多数ある。これらの中でも熱処理時の温度条件及び熱処理後の降温条件は、Z1/2センター3の密度の面内均一性に大きな影響を及ぼすパラメータである。熱処理時の温度及び熱処理後の降温スピードが、SiCエピタキシャル層2の面内で均一なほど、Z1/2センター3の密度の面内均一性は向上する。
【0041】
次いで、第1測定工程S13では、SiCエピタキシャル層2のZ1/2センター3の密度の面内均一性を測定する。第1測定工程S13では、SiCエピタキシャルウェハ10の中心を通る径方向の10点以上の測定点spのそれぞれにおけるZ1/2センター3の密度を測定する。そして、それぞれの測定点spにおけるZ1/2センター3の密度からSiCエピタキシャルウェハ10の面内におけるZ1/2センター3の密度の面内均一性を求める。
【0042】
第1測定工程S13は、破壊検査でも非破壊検査でもよいが、試験工程S1を複数回繰り返すことを考慮すると、非破壊検査で行うことが現実的である。DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)法は、破壊検査の一例である。DLTS法は、SiCエピタキシャルウェハ10の一部を切り出し、ショットキー電極をSiCエピタキシャル層2上に堆積して測定を行う。DLTS法を試験工程S1毎に複数の測定点spのそれぞれで行うと、膨大な時間を要する。
【0043】
次いで、第1測定工程S13に用いることができる非破壊検査方法について説明する。
図4は、Z
1/2センター3の密度を非破壊で測定するための測定装置20の模式図である。測定装置20は、ステージ21と接触子22とプローブ23とパルス電源24と容量計25と評価部26とを有する。
【0044】
SiCエピタキシャルウェハ10は、ステージ21上に載置される。ステージ21又はプローブ23は移動可能であり、プローブ23とSiCエピタキシャルウェハ10との相対位置を変えることができる。
【0045】
接触子22は、プローブ23の先端にある。接触子22は、測定時にSiCエピタキシャル層2と接する。接触子22は、SiCエピタキシャルウェハ10に電圧を印加するための端子であり、ショットキー電極として機能する。接触子22は、例えば、水銀である。水銀は室温で液体であり、室温で固体の金属をショットキー電極として活用する場合のように、金属電極を堆積する必要がない。そのため、SiCエピタキシャルウェハ10の切り出し等が不要であり、非破壊検査を行うことができる。
【0046】
パルス電源24は、接触子22に対して間欠的に電圧を印加する。接触子22がSiCエピタキシャルウェハ10と接している場合は、パルス電源24から印加された電圧が、SiCエピタキシャル層2に間欠的に印加される。
【0047】
図5は、SiCエピタキシャルウェハ10の静電容量の経時変化を示す図である。
図5における縦軸はSiCエピタキシャルウェハ10の静電容量であり、横軸は時間である。SiCエピタキシャルウェハ10の静電容量は、容量計25で測定される。
【0048】
電圧が印加されていない状態におけるSiCエピタキシャルウェハ10の静電容量はC1である。パルス電源24からSiCエピタキシャルウェハ10に電圧が印加されると、SiCエピタキシャルウェハ10の静電容量はC1からC2へ変化する。点欠陥のトラップ準位にn型半導体では電子が捕捉され、p型半導体では正孔が捕捉されるためである。
【0049】
電圧の印加がストップされると、捕捉された電子及び正孔が放出される。その結果、時間の経過とともに、SiCエピタキシャルウェハ10の静電容量はC2からC1へ戻る。捕捉された電子又は正孔の密度は、点欠陥の密度に相当する。静電容量は、近似的に点欠陥の密度に比例する。例えば、点欠陥が多い場合は、少ない場合と比較して静電容量C2の絶対値が大きくなる。
【0050】
評価部26は、容量計25で計測されたSiCエピタキシャルウェハ10の静電容量に基づいて、SiCエピタキシャル層2内の点欠陥の状態(種類、密度)を評価する。例えば、
図5に示す減衰曲線を指数関数で近似し、信号強度の変化量を求める。そして、予め決定しておいたドーピング濃度の値を用いて欠陥密度を算出する。例えば、ドーピング濃度をN、トラップ密度をNtとすると、Nt≒2N×|C2-C1|/C1で求められる。また指数関数の指数より時定数を求め、欠陥のバンドギャップ中のエネルギー深さも評価できる。トラップ密度Ntは、点欠陥の密度に対応する。
【0051】
ここで、点欠陥は、室温付近で信号がピークとなる欠陥である。相関関数(コリレータ)法を用いると室温近傍で電気的な信号のピークが得られるように調整できる。相関関数の周期を変化させながら、信号強度を評価すると、信号強度の最大値が得られる相関関数の周期を決定できる。相関関数の周期の最適値は、欠陥の種類(欠陥のエネルギー深さ)に依存する。したがって、複数の点欠陥からZ1/2センター3を分離して評価できる。
【0052】
上述のように、当該非破壊検査方法を用いることで、SiCエピタキシャル層2の各測定点におけるZ1/2センター3の密度を測定できる。換言すると、SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度が特定されたSiCエピタキシャルウェハ10を得ることができる。また上記非破壊検査方法は、SiCエピタキシャル層2が成膜される前のSiC基板1単体にも適用できるため、Z1/2センター3の密度が特定されたSiC基板1を得ることもできる。
【0053】
そして、第1測定工程S13では、SiCエピタキシャル層2の各測定点におけるZ1/2センター3の密度の結果から、SiCエピタキシャル層2のZ1/2センター3の密度の面内均一性が算出される。具体的には、各測定点の標準偏差(σ)を平均値(μ:mean value)で割ることで、SiCエピタキシャル層2のZ1/2センター3の密度の面内分布が得られる。
【0054】
次いで、フィードバック工程S14を行う。フィードバック工程S14は、第1測定工程S13で求められたZ1/2センター3の密度の面内均一性の値に基づいて行う。フィードバック工程S14は、第1フィードバックF1と第2フィードバックF2とのうちの少なくともいずれかを行う。フィードバック工程S14では、例えば、第1フィードバックF1を行った後に、第2フィードバックF2を行う。
【0055】
まず、第1熱処理工程S12を行わずに、試験工程S1を行う。この場合、第1熱処理工程S12を行わないため、Z1/2センター3の密度の面内均一性に影響を及ぼすのは第1成膜工程S11である。第1フィードバックF1では、第1測定工程S13で求められたZ1/2センター3の密度の面内均一性の値が5%以上の場合に行う。
【0056】
第1フィードバックF1では、成膜時の加熱条件と成膜後の降温条件とのうち少なくとも一方を変更する。成膜時の加熱条件は、例えば、面内方向における温度分布である。成膜後の降温条件は、例えば、降温速度の面内方向における分布である。例えば、成膜時又は降温時におけるヒータの出力分布(内側ヒータと外側ヒータの出力調整)、配置等を変えることで、成膜時における面内方向の温度分布、降温時における降温スピードの面内分布を均一化することができる。
【0057】
本工程S2で第2熱処理工程S22を行わない場合は、Z1/2センター3の密度の面内均一性の値が5%以下となる条件が確定した時点で、フィードバック工程S14を止めて、試験工程S1を終了させる。
【0058】
これに対し、本工程S2で第2熱処理工程S22を行う場合は、試験工程S1をさらに繰り返す。まず第1フィードバックF1により決定した条件に基づいて、第1成膜工程S11を行う。次いで、第1熱処理工程S12、第1測定工程S13を行う。第1成膜工程S11は第1フィードバックF1で最適化されているが、第1熱処理工程S12を追加したことで、第1測定工程S13で測定されるZ1/2センター3の密度の面内均一性の値が5%以上となる場合がある。第1測定工程S13で求められたZ1/2センター3の密度の面内均一性の値が5%以上の場合は、第2フィードバックF2を行う。
【0059】
第2フィードバックF2では、熱処理時の加熱条件と熱処理後の降温条件とのうち少なくとも一方を変更する。熱処理時の加熱条件は、例えば、面内方向における温度分布である。熱処理後の降温条件は、例えば、降温速度の面内方向における分布である。例えば、成膜時又は降温時におけるヒータの出力分布(内側ヒータと外側ヒータの出力調整)、配置等を変えることで、熱処理時における面内方向の温度分布、降温時における降温スピードの面内分布を均一化することができる。
【0060】
Z1/2センター3の密度の面内均一性の値が5%以下となる条件が確定した時点で、フィードバック工程S14を止めて、試験工程S1を終了させる。この時点で第1フィードバックF1及び第2フィードバックF2により第1成膜工程S11及び第1熱処理工程S12の条件が最適化されている。したがって、当該条件を本工程S2用の条件とする。
【0061】
本工程S2は、例えば、第2成膜工程S21と第2熱処理工程S22と第2測定工程S23とを有する。本工程S2は、試験工程S1の結果に基づいて行う。
【0062】
第2成膜工程S21では、本番用のSiC基板1の第1面1AにSiCエピタキシャル層2を成膜する。第2成膜工程S21では、試験工程S1で最適化された条件に基づいて成膜を行う。
【0063】
次いで、第2熱処理工程S22を行う。第2熱処理工程S22は、省略してもよい。例えば、第2フィードバックF2により第1熱処理工程S12が最適化されている場合に、第2熱処理工程S22を行う。第2熱処理工程S22は、第2成膜工程S21で成膜されたSiCエピタキシャル層2を熱処理する。第2熱処理工程S22では、試験工程S1で最適化された条件に基づいて熱処理を行う。
【0064】
次いで、第2測定工程S23を行う。第2測定工程S23は、省略してもよい。第2測定工程S23は、出荷試験であってもよい。第2測定工程S23は、第1測定工程S13と同様の方法で行うことができ、非破壊で行われる。第2測定工程S23を行うことで、出荷される実サンプルにおいて、Z1/2センター3の密度の面内均一性を確認できる。
【0065】
本工程S2で作製されたSiCエピタキシャルウェハのZ1/2センター3の密度の面内均一性は、原則、試験工程S1におけるそれと同等である。したがって、本工程S2を行うことで、SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度の面内均一性が5%以下であるSiCエピタキシャルウェハ10を得ることができる。
【0066】
SiCエピタキシャル層2を成膜又は熱処理する際の温度は1600℃を超える場合もあり、非常に高温である。そのため、これらの温度条件は精密に測定すること自体が困難であり、温度条件を精密に制御することは難しい。
【0067】
例えば、SiCエピタキシャルウェハ10の温度を測定する一つの方法として放射温度計(パイロメータ)が知られている。パイロメータは物体からの熱放射を温度に変換することで、物体の温度を測定する。そのため、温度を正確に測定するためには、物体の放射率が精密に分かっている必要がある。しかしながら、1600℃近い高温の物体の放射率を精密に測定することは難しく、1600℃よりも低い温度、例えば室温における放射率から換算することしかできない。この場合、精密な温度換算は難しい。
【0068】
またウェハ面内の温度分布を測定するためには、ウェハ面内の温度を複数点で精密に測定する必要がある。上記のように、温度の精密測定自体が難しいのに加え、ウェハ面内の測定点の位置精度を保つことも難しい。例えば、パイロメータは光学的な手法で測定を行うため、測定点の位置精度を高く保つことは難しい。また成膜中のウェハは回転等の動作をしている場合が多く、測定点の位置精度を保つことはより難しい。
【0069】
これに対し、本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度分布をフィードバックすることで、間接的に成膜又は熱処理時の加熱条件を変更している。したがって、本実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、SiCエピタキシャルウェハ10の温度を直接測定する必要がない。
【0070】
また上記のフィードバックを繰り返すことで、成膜又は熱処理時の最適な加熱条件を見出すことができる。当該フィードバック工程は、測定点spが増えるほど精密になるが、測定点spが増えるほど測定に時間を要する。それぞれの測定点spにおける測定を破壊検査で行うと、その時間は膨大になる。これに対し、非破壊でZ1/2センター3の密度分布を測定することで、フィードバックの回数を増やすことができる。また測定点spが増えた場合でも、測定に要する時間が発散的に増えることがなく、測定点spを増やすこともできる。その結果、SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度の面内均一性が5%以下となる条件を、現実的な時間の中で見出すことができる。当該条件は装置依存性もあり、SiCエピタキシャル層2におけるZ1/2センター3の密度の面内均一性が5%以下となる条件を現実的な時間の中で見つけることは、量産化に大きく寄与する。
【0071】
最後に上述の手順で作製されたSiCエピタキシャルウェハをチップ化し、それぞれのチップに、活性領域、電極等を形成することでSiCデバイスが得られる。それぞれのSiCデバイスは、Z1/2センター3の密度が均質であり、高い特性を示す。
【0072】
以上、本実施形態の一例を図示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、それぞれの実施形態の特徴的な構成の組み合わせ、その他の構成の付加等を行ってよい。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
上記の試験工程S1を複数回繰り返し、成膜及び熱処理の最適条件を決定した。そして本工程S2として、直径150mmの4H-SiC基板上に、厚さ16μmのSiCエピタキシャル層を積層した。
図4に示す非破壊の方式で、SiCエピタキシャル層のドーピング濃度及びZ
1/2センター密度を求めた。測定点は、SiC基板の中心から半径50mmの範囲とし、10mmピッチで十字状に測定した。Z
1/2センター密度は、各測定点におけるドーピング濃度の測定値から求めた。
図6は、実施例1の各測定点におけるZ
1/2センター密度及びドーピング濃度を示す。
図6において、N
dはドナー濃度であり、N
aはアクセプタ濃度である。
【0074】
図6に示すように、Z
1/2センター密度及びドーピング濃度は面内方向に一様であった。ドーピング濃度の平均値は(3.8±0.1)×10
13cm
-3であり、Z
1/2センター密度の平均値は(1.2±0.1)×10
12cm
-3であった。また面内均一性は、ドーピング濃度が2%であり、Z
1/2センター密度が4%であった。すなわち、n型エピタキシャル膜のキャリア寿命を決定づけるZ
1/2センター密度の均一性が高いSiCエピタキシャルウェハが作製されている。
【0075】
また破壊検査のDLTS法により、同条件で作製したエピタキシャル層には、Z1/2センターおよびEH6/7センター以外の点欠陥ピークは確認されなかった。格子間炭素起因の点欠陥(EH1センター、EH3センター、RD3センター、ON1センター、ON2センター)密度も検出下限(1×1011cm-3)以下であることを確認した。すなわち、これらの点欠陥は、存在しないまたは十分に低いことが確認された。
【0076】
また十字に測定した中心点と十字の端部にあたる4つの測定点における測定値を以下の表1にまとめた。
【0077】
【0078】
表1に示すように、中心点におけるZ1/2センター密度と、4つの端部それぞれにおけるZ1/2センター密度との差は、中心点におけるZ1/2センター密度の値の20%以下であった。なお、小数点以下は四捨五入している。
【符号の説明】
【0079】
1…SiC基板、2…SiCエピタキシャル層、3…Z1/2センター、10…SiCエピタキシャルウェハ、20…測定装置、21…ステージ、22…接触子、23…プローブ、24…パルス電源、25…容量計、26…評価部、F1…第1フィードバック、F2…第2フィードバック、sp…測定点、S1…試験工程、S2…本工程、S11…第1成膜工程、S12…第1熱処理工程、S13…第1測定工程、S14…フィードバック工程、S21…第2成膜工程、S22…第2熱処理工程、S23…第2測定工程