(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】着色組成物、硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20220729BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20220729BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220729BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C09B67/20 F
C09B57/00 Z
G02B5/20 101
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2020538348
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(86)【国際出願番号】 JP2019032093
(87)【国際公開番号】W WO2020040043
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2018155312
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018166681
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019105818
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019133611
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】小泉 宙夢
(72)【発明者】
【氏名】尾田 和也
(72)【発明者】
【氏名】水野 明夫
(72)【発明者】
【氏名】大河原 昂広
(72)【発明者】
【氏名】稲部 陽樹
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138417(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103994(WO,A1)
【文献】特開2015-168725(JP,A)
【文献】特許第6892927(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B,G02B,H01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料Aと、
前記顔料A以外の他の着色剤と、
エチレン性不飽和基を有するモノマーと、
光重合開始剤と、
樹脂と、を含む着色組成物であって、
前記顔料Aは、下記式(1)で表される化合物であり、
前記他の着色剤は、イソインドリン化合物、アゾ化合物およびキノフタロン化合物から選ばれる黄色着色剤を含み、
前記着色組成物の全固形分中における前記顔料Aの含有量が35質量%以上であ
り、
前記着色組成物の全固形分中における前記顔料Aと前記他の着色剤との合計の含有量が50~80質量%であり、
前記着色組成物の全固形分中における前記光重合開始剤の含有量が1~15質量%であり、
前記着色組成物の全固形分中における前記エチレン性不飽和基を有するモノマーと前記樹脂との合計の含有量が10~40質量%である、
固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの画素形成用の着色組成物
;
【化1】
式(1)中、R
11
およびR
12
はそれぞれ独立して置換基を表し、R
21
およびR
22
はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
【請求項2】
前記電子供与性基は、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記顔料Aは、下記式(2)で表される化合物である、請求項1
または2に記載の着色組成物;
【化2】
式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立して置換基を表し、
R
21およびR
22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
【請求項4】
前記顔料Aは、カラーインデックスピグメントレッド272を含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記黄色着色剤は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150から選ばれる少なくとも1種である、請求項1
~4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
更に、エポキシ基を有する化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
前記
樹脂は、エチレン性不飽和基を有する樹脂を含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項8】
前記着色組成物に含まれる前記エチレン性不飽和基を有するモノマーの質量M
1と、前記着色組成物に含まれる前記樹脂の質量B
1との比であるM
1/B
1が0.35以下である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
前記着色組成物に含まれる前記エチレン性不飽和基を有するモノマーの質量M
1
と、前記着色組成物に含まれる前記樹脂の質量B
1
との比であるM
1
/B
1
が0.25以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項10】
前記着色組成物の全固形分中における前記顔料Aの含有量が40質量%以上である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の着色組成物から得られる硬化膜。
【請求項12】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
【請求項13】
請求項
11に記載の硬化膜を有するカラーフィルタ。
【請求項14】
請求項
11に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
【請求項15】
請求項
11に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジケトピロロピロール顔料を含む着色組成物に関する。また、本発明は着色組成物を用いた硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。カラーフィルタは、通常、赤、緑、及び青の3原色の画素(着色パターン)を備えており、透過光を3原色へ分解する役割を果たしている。カラーフィルタは、顔料などの色材を含む着色組成物を用いて形成されている。また、赤色の画素形成用の着色組成物には、色材としてジケトピロロピロール顔料などが用いられている(例えば特許文献1、2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-065115号公報
【文献】国際公開第2016/103994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、カラーフィルタなどに用いられる硬化膜についての要求が増してきている。そのような要求特性の一つとして、耐湿性のさらなる向上が望まれている。
【0005】
よって、本発明の目的は耐湿性に優れた硬化膜を形成できる着色組成物を提供することにある。また、本発明は、この着色組成物を用いた硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意検討したところ、後述する着色組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料Aと、
硬化性基を有する化合物と、を含む着色組成物であって、
着色組成物の全固形分中における顔料Aの含有量が35質量%以上である、着色組成物。
<2> 電子供与性基は、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種である、<1>に記載の着色組成物。
<3> 芳香族環基は、下記式(AR-1)で表される基である、<1>または<2>に記載の着色組成物;
【化1】
式中、R
1は置換基を表し、
R
2は電子供与性基を表し、
nは0~4の整数を表し、
波線はジケトピロロピロール骨格との結合部位を表す。
<4> 顔料Aは、下記式(1)で表される化合物である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の着色組成物;
【化2】
式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立して置換基を表し、
R
21およびR
22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
<5> 顔料Aは、下記式(2)で表される化合物である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の着色組成物;
【化3】
式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立して置換基を表し、
R
21およびR
22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
<6> 顔料Aは、カラーインデックスピグメントレッド272を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<7> 更に、イソインドリン化合物、アゾ化合物およびキノフタロン化合物から選ばれる黄色着色剤を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<8> 黄色着色剤は、カラーインデックスピグメントイエロー139およびカラーインデックスピグメントイエロー150から選ばれる少なくとも1種である、<7>に記載の着色組成物。
<9> 硬化性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有する化合物およびエポキシ基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<10> 硬化性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有する樹脂を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<11> 硬化性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有する化合物を含み、更に光重合開始剤を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<12> 着色組成物は、エチレン性不飽和基を有するモノマーと、樹脂とを含み、
着色組成物に含まれるエチレン性不飽和基を有するモノマーの質量M
1と、着色組成物に含まれる樹脂の質量B
1との比であるM
1/B
1が0.35以下である、<1>~<11>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<13> 着色組成物の全固形分中における顔料Aの含有量が40質量%以上である、<1>~<12>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<14> 固体撮像素子用である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<15> カラーフィルタ用である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<16> <1>~<15>のいずれか1つに記載の着色組成物から得られる硬化膜。
<17> <1>~<15>のいずれか1つに記載の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
<18> <16>に記載の硬化膜を有するカラーフィルタ。
<19> <16>に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
<20> <16>に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、耐湿性に優れた硬化膜を形成できる着色組成物を提供することができる。また、本発明は、着色組成物を用いた硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。例えば、顔料は、23℃の水100gおよび23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g以下であることが好ましく、0.01g以下であることがより好ましい。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0009】
本発明の着色組成物は、芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料Aと、硬化性基を有する化合物と、を含む着色組成物であって、着色組成物の全固形分中における上記顔料Aの含有量が35質量%以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明の着色組成物を用いることにより、耐湿性に優れた硬化膜を形成することができる。また、一般的に膜中の顔料濃度が高いほど耐湿性が低下しやすい傾向にあったが、本発明の着色組成物は、全固形分中における上記顔料Aの含有量が35質量%以上であるにもかかわらず、耐湿性に優れた硬化膜を形成することができる。このような効果が得られる理由としては、次によるものであると推測される。顔料を含む着色組成物を用いて形成した硬化膜を湿度の高い環境下に曝した場合、硬化膜中に侵入した水などが求核剤として作用して顔料を求核攻撃し、その結果、顔料の分光変動が生じることがあったが、本発明で用いる顔料Aは、ジケトピロロピロール骨格に上述した芳香族環基が結合した構造を有しているので、顔料Aの母核であるジケトピロロピロール骨格の電子密度が高いと推測され、このため、硬化膜を湿度の高い環境下に曝した場合であっても、顔料Aが求核攻撃を受けにくいと推測される。このため、本発明の着色組成物を用いることにより、耐湿性に優れた硬化膜を形成することができたと推測される。
【0011】
また、本発明の着色組成物で用いられる上記顔料Aは、従来の赤色顔料よりも赤色の色価が高いため、薄膜であっても所望の分光特性を有する硬化膜を形成できる。顔料Aは、ジケトピロロピロール骨格に上記芳香族環基が結合した構造を有するので、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)-LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)遷移が伸びることで遷移モーメントが大きくなり、その結果顔料Aの赤色の波長領域(例えば、450~600nm)におけるモル吸光係数εが増加したため、赤色の色価が高いと推測される。また、顔料Aは従来の赤色顔料に比べて赤色の色価が高いため、従来の赤色顔料と同等の分光特性を達成するために必要とされる配合量よりも少ない配合量で所望の分光を達成することができるため、顔料以外の成分の配合量を高めることもでき、処方設計の自由度が高い。
【0012】
また、本発明の着色組成物において、硬化性基を有する化合物としてエチレン性不飽和基を有する樹脂を用いた場合においては、得られる硬化膜の耐熱性を向上させることもできる。このような効果が得られる理由としては次によるものであると推測される。組成物中において、顔料Aと上記樹脂のエチレン性不飽和基とが相互作用することにより上記樹脂が顔料Aと近接すると推測される。このため、組成物中では、顔料Aは上記樹脂に包まれるようにして存在していると推測される。そのため、硬化膜の形成時においては、上記樹脂が顔料Aの近傍で重合すると推測され、膜中に顔料Aをしっかりと保持させることができると推測される。そのため、加熱による顔料Aの熱拡散を抑制することができると推測される。その結果、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができたと推測される。
【0013】
本発明の着色組成物は、固体撮像素子用の着色組成物として好ましく用いることができる。また、本発明の着色組成物は、カラーフィルタ用の着色組成物として好ましく用いることができる。具体的には、カラーフィルタの画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができ、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの画素形成用の着色組成物としてより好ましく用いることができる。
【0014】
以下、本発明の着色組成物に用いられる各成分について説明する。
【0015】
<<顔料A>>
本発明の着色組成物は、芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料A(以下、顔料Aという)を含有する。この顔料Aはジケトピロロピロール骨格を有する顔料である。
【0016】
電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。電子供与性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基およびアミノ基が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。これらの基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
アリールオキシ基の炭素数は、6~20が好ましく、6~10がより好ましい。
アミノ基としては、-NRa1Ra2で表される基が挙げられる。Ra1およびRa2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。Ra1とRa2が結合して環を形成してもよい。Ra1およびRa2が表すアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。Ra1およびRa2が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。Ra1およびRa2が表す複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
【0017】
電子供与性基としては、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基が好ましく、上記の理由に加えてさらに、赤色に適した分光特性が得られやすいという理由からアルキル基、アルコキシ基がより好ましく、アルキル基が特に好ましい。
【0018】
上記芳香族環基としては、式(AR-1)で表される基であることが好ましい。
【化4】
式中、R
1は置換基を表し、R
2は電子供与性基を表し、nは0~4の整数を表し、波線はジケトピロロピロール骨格との結合部位を表す。
【0019】
式(AR-1)において、R1が表す置換基としては、後述する置換基Tで挙げた基および上述した電子供与性基が挙げられ、電子供与性基であることが好ましい。nが2以上の場合、n個のR1は同一であっていてもよく、それぞれが異なっていてもよい。
【0020】
式(AR-1)において、R2が表す電子供与性基としては、上述した基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0021】
式(AR-1)において、nは0~4の整数を表し、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0または1であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
【0022】
式(AR-1)において、波線はジケトピロロピロール骨格との結合部位を表す。なお、ジケトピロロピロール骨格とは、以下の構造を意味する。波線は式(AR-1)で表される基などの置換基との結合位置を表す。式(AR-1)で表される基以外の置換基としては、アリール基などが挙げられる。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで挙げた基が挙げられる。
【化5】
【0023】
顔料Aは、下記式(1)で表される化合物であることが好ましく、より優れた耐湿性が得られやすいという理由から下記式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【化6】
【0024】
上記式中、R11およびR12はそれぞれ独立して置換基を表し、
R21およびR22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
【0025】
R11およびR12が表す置換基としては、後述する置換基Tで挙げた基および上述した電子供与性基が挙げられ、電子供与性基であることが好ましい。n11が2以上の場合、n11個のR11は同一であってもよく、それぞれが異なっていてもよい。また、n12が2以上の場合、n12個のR12は同一であってもよく、それぞれが異なっていてもよい。
【0026】
R21およびR22が表す電子供与性基としては、上述した基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0027】
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0または1であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
【0028】
(置換基T)
置換基Tとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、複素環基、-ORt1、-CORt1、-COORt1、-OCORt1、-NRt1Rt2、-NHCORt1、-CONRt1Rt2、-NHCONRt1Rt2、-NHCOORt1、-SRt1、-SO2Rt1、-SO2ORt1、-NHSO2Rt1または-SO2NRt1Rt2が挙げられる。Rt1およびRt2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。Rt1とRt2が結合して環を形成してもよい。
【0029】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
アルキル基、アリール基および複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した置換基が挙げられる。
【0030】
顔料Aの具体例としては、下記構造の化合物が挙げられる。式(R1)で表される構造の化合物はC.I.ピグメントレッド272である。顔料Aは、カラーインデックスピグメントレッド272を含むであることが好ましい。
【化7】
【0031】
顔料Aの含有量は、着色組成物の全固形分中35質量%以上であり、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。上限は、80質量%以下とすることができる。
また、着色組成物に含まれるジケトピロロピロール骨格を有する化合物の全質量中における顔料Aの割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、実質的に顔料Aのみであることが特に好ましい。なお、着色組成物に含まれるジケトピロロピロール骨格を有する化合物が実質的に顔料Aのみである場合とは、着色組成物に含まれるジケトピロロピロール骨格を有する化合物の全質量中における顔料Aの割合が99質量%以上であることを意味し、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましく、顔料Aのみで構成されていることが特に好ましい。
また、着色組成物に含まれる着色剤の全質量中における顔料Aの割合は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。上限は、90質量%以下とすることができる。
【0032】
<<他の着色剤>>
本発明の着色組成物は上述した顔料A以外の着色剤(以下、他の着色剤ともいう)を含有することができる。他の着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料と染料とを併用してもよい。本発明で用いられる他の着色剤は、顔料を含むことが好ましい。また、顔料は有機顔料であってもよく、無機顔料であってもよい。また、顔料には、無機顔料または有機‐無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機‐無機顔料を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。
他の着色剤中における顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。また、他の着色剤は顔料のみであってもよい。
【0033】
本発明の着色組成物は、他の着色剤として黄色着色剤を含むことが好ましく、黄色顔料を含むことがより好ましい。この態様によれば、赤色の画素に適した分光特性を有する硬化膜を形成しやすい。また、他の着色剤として黄色顔料を用いた場合においては、顔料Aの分散性を向上させることもできる。
【0034】
黄色着色剤としては、アゾ化合物、キノフタロン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物およびアントラキノン化合物等が挙げられ、イソインドリン化合物、アゾ化合物およびキノフタロン化合物が好ましく、イソインドリン化合物およびアゾ化合物がより好ましく、赤色により適した分光特性を有する硬化膜を形成しやすいという理由からイソインドリン化合物が特に好ましい。
【0035】
黄色着色剤としては、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン/ポリメチン系),233(キノリン系),234(アミノケトン系),235(アミノケトン系),236(アミノケトン系)等(以上、黄色顔料)が挙げられる。
【0036】
また、黄色着色剤として、特開2017-201003号公報に記載されている顔料、特開2017-197719号公報に記載されている顔料を用いることができる。また、黄色顔料として、下記式(I)で表されるアゾ化合物およびその互変異性構造のアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種のアニオンと、2種以上の金属イオンと、メラミン化合物とを含む金属アゾ顔料を用いることもできる。
【化8】
式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、-OHまたは-NR
5R
6であり、R
3およびR
4はそれぞれ独立して、=Oまたは=NR
7であり、R
5~R
7はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。R
5~R
7が表すアルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基およびアミノ基が好ましい。
【0037】
上記の金属アゾ顔料については、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0038】
また、黄色着色剤として、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物などを用いることもできる。また、黄色着色剤として、特開2018-062644号公報に記載の化合物を用いることもできる。なお、この化合物は、顔料誘導体として用いることもできる。
【0039】
黄色着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185から選ばれる1種以上であることが更に好ましく、C.I.ピグメントイエロー139およびC.I.ピグメントイエロー150から選ばれる1種以上であることがより一層好ましく、C.I.ピグメントイエロー139であることが特に好ましい。
【0040】
黄色着色剤以外の着色剤としては、以下が挙げられる。
【0041】
C.I.ピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59,62,63,64(フタロシアニン系),65(フタロシアニン系),66(フタロシアニン系)等(以上、緑色顔料)、
C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン/ポリメチン系)等(以上、青色顔料)、
C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,269,270,279,291,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系),297(アミノケトン系)等(以上、赤色顔料)。
【0042】
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料としてCN106909027Aに記載の化合物、リン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2019-038958号公報に記載の化合物などを用いることもできる。
【0043】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
【0044】
また、赤色顔料として、特許第6516119号公報に記載の赤色顔料、特許第6525101号公報に記載の赤色顔料などを用いることもできる。
【0045】
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。ピラゾールアゾ化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、アントラピリドン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物、キサンテン化合物、フタロシアニン化合物、ベンゾピラン化合物、インジゴ化合物、ピロメテン化合物が挙げられる。
【0046】
また、他の着色剤として、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物を用いることもできる。
【0047】
また、他の着色剤として色素多量体を用いることもできる。色素多量体は、溶剤に溶解して用いられる染料であることが好ましいが、色素多量体は、粒子を形成していてもよく、色素多量体が粒子である場合は通常溶剤に分散した状態で用いられる。粒子状態の色素多量体は、例えば乳化重合によって得ることができ、特開2015-214682号公報に記載されている化合物および製造方法が具体例として挙げられる。色素多量体は、一分子中に、色素構造を2以上有するものであり、色素構造を3以上有することが好ましい。上限は、特に限定はないが、100以下とすることもできる。一分子中に有する複数の色素構造は、同一の色素構造であってもよく、異なる色素構造であってもよい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2000~50000が好ましい。下限は、3000以上がより好ましく、6000以上がさらに好ましい。上限は、30000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。色素多量体としては、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0048】
顔料AとしてC.I.ピグメントレッド272を用い、他の着色剤としてC.I.ピグメントレッド254を用いることも好ましい。この場合、両者の割合はC.I.ピグメントレッド272の100質量部に対して、C.I.ピグメントレッド254が10~100質量部であることが好ましく、20~90質量部であることがより好ましく、30~80質量部であることが更に好ましい。
また、顔料AとしてC.I.ピグメントレッド272を用い、他の着色剤としてC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントイエロー139を用いることも好ましい。この場合、これらの割合は、C.I.ピグメントレッド272の100質量部に対して、C.I.ピグメントレッド254が10~100質量部で、C.I.ピグメントイエロー139が1~70質量部であることが好ましい。C.I.ピグメントレッド254は、20~90質量部であることがより好ましく、30~80質量部であることが更に好ましい。C.I.ピグメントイエロー139は、3~60質量部であることがより好ましく、5~50質量部であることが更に好ましい。
【0049】
他の着色剤の含有量は、顔料Aの100質量部に対して40質量部以下であることが好ましい。下限は、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。上限は、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
また、黄色着色剤の含有量は、顔料Aの100質量部に対して40質量部以下であることが好ましい。下限は、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。上限は、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
また、顔料Aと他の着色剤との合計の含有量は着色組成物の全固形分中40~90質量%であることが好ましい。下限は、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。上限は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
また、顔料Aと黄色着色剤との合計の含有量は着色組成物の全固形分中40~90質量%であることが好ましい。下限は、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。上限は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0050】
<<硬化性基を有する化合物>>
本発明の着色組成物は、硬化性基を有する化合物を含有する。硬化性基を有する化合物が硬化する際の反応機構については特に限定されない。ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮重合反応、求核付加反応、置換反応による架橋反応等が挙げられる。硬化性基を有する化合物は、ラジカル重合反応により硬化する化合物であることが好ましい。硬化性基としては、エチレン性不飽和基、エポキシ基などが挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0051】
硬化性基を有する化合物(以下、硬化性化合物ともいう)は、モノマーであってもよく、ポリマーなどの樹脂であってもよい。モノマータイプの硬化性化合物と、樹脂タイプの硬化性化合物とを併用することもできる。
【0052】
(エチレン性不飽和基を有する化合物)
本発明において、硬化性化合物として用いられるエチレン性不飽和基を有する化合物としては、モノマーであってもよく、樹脂であってもよい。耐熱性に優れた硬化膜を形成しやすいという理由から樹脂タイプの化合物を含むことが好ましい。以下、エチレン性不飽和基を有する化合物を重合性化合物ともいう。また、エチレン性不飽和基を有するモノマーを重合性モノマーともいう。また、エチレン性不飽和基を有する樹脂を重合性樹脂ともいう。
【0053】
重合性モノマーの分子量は、3000未満であることが好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、100以上が好ましく、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。重合性モノマーは、エチレン性不飽和基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性モノマーは、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性モノマーの具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0054】
重合性モノマーは、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性モノマーとして、NKエステルA-TMMT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD RP-1040、DPCA-20(日本化薬(株)製)を使用することもできる。また、重合性モノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0055】
重合性モノマーは、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性モノマーを用いることで、現像時に未露光部の着色組成物層が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性モノマーとしては、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。酸基を有する重合性モノマーの市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性モノマーの好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性モノマーの酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0056】
重合性モノマーは、カプロラクトン構造を有する化合物も好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0057】
重合性モノマーは、アルキレンオキシ基を有する化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性モノマーは、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する化合物であることが好ましく、エチレンオキシ基を有する化合物であることがより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物であることがさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性モノマーの市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0058】
重合性モノマーとしては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0059】
重合性モノマーとしては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する化合物を用いることも好ましい。また、重合性モノマーとしては、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株))製などの市販品を用いることもできる。
【0060】
重合性樹脂の重量平均分子量は、3000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましく、10000以上であることが特に好ましい。また、重合性樹脂の重量平均分子量は、50000以下であることが好ましく、40000以下であることがより好ましく、30000以下であることが更に好ましい。
【0061】
重合性樹脂のエチレン性不飽和基量(以下、C=C価ともいう)は、0.05~5.0mmol/gであることが好ましい。上限は、4.0mmol/g以下であることがより好ましく、3.0mmol/g以下であることが更に好ましく、2.0mmol/g以下であることがより一層好ましく、1.0mmol/g以下であることが特に好ましい。下限は、0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましい。重合性樹脂のC=C価は、重合性樹脂の固形分1gあたりのC=C基のモル量を表した数値である。重合性樹脂のC=C価は、アルカリ処理によって重合性樹脂からC=C基部位の低分子成分(a)を取り出し、その含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、下記式から算出することができる。また、重合性樹脂からC=C基部位をアルカリ処理で抽出することができない場合においては、NMR法(核磁気共鳴)にて測定した値を用いる。
重合性樹脂のC=C価[mmol/g]=(低分子成分(a)の含有量[ppm]/低分子成分(a)の分子量[g/mol])/(重合性樹脂の秤量値[g]×(重合性樹脂の固形分濃度[質量%]/100)×10)
【0062】
重合性樹脂は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、下記式(A-1-1)で表される繰り返し単位を含むことがより好ましい。また、重合性樹脂において、エチレン性不飽和基を有する繰り返し単位は、重合性樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上含有することが好ましく、10~80モル%含有することがより好ましく、20~70モル%含有することが更に好ましい。
【化9】
【0063】
式(A-1-1)において、X1は繰り返し単位の主鎖を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Y1はエチレン性不飽和基を表す。
【0064】
式(A-1-1)において、X1が表す繰り返し単位の主鎖としては、特に限定はない。公知の重合可能なモノマーから形成される連結基であれば特に制限ない。例えば、ポリ(メタ)アクリル系連結基、ポリアルキレンイミン系連結基、ポリエステル系連結基、ポリウレタン系連結基、ポリウレア系連結基、ポリアミド系連結基、ポリエーテル系連結基、ポリスチレン系連結基などが挙げられ、原料素材の入手性や製造適性の観点からポリ(メタ)アクリル系連結基、ポリアルキレンイミン系連結基が好ましく、ポリ(メタ)アクリル系連結基がより好ましい。
【0065】
式(A-1-1)において、L1が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1~12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1~12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。また、アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基などが挙げられ、製造適性の観点からヒドロキシ基が好ましい。
【0066】
式(A-1-1)において、Y1が表すエチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0067】
式(A-1-1)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A-1-1a)で表される繰り返し単位、下記式(A-1-1b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化10】
【0068】
式(A-1-1a)において、Ra1~Ra3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Q1aは、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-またはフェニレン基を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Y1はエチレン性不飽和基を表す。Ra1~Ra3が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。Q1aは、-COO-または-CONH-であることが好ましく、-COO-であることがより好ましい。
【0069】
式(A-1-1b)において、Ra10およびRa11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m1は1~5の整数を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Y1はエチレン性不飽和基を表す。Ra10およびRa11が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
【0070】
重合性樹脂は、更にグラフト鎖を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。重合性樹脂がグラフト鎖を有する繰り返し単位を含むことにより、グラフト鎖による立体障害によって顔料Aの凝集などをより効果的に抑制できる。また、硬化膜の形成時においては、重合性樹脂が顔料Aの近傍で重合して膜中に顔料Aをしっかりと保持させることもでき、加熱による顔料Aの熱拡散をより効果的に抑制して、耐熱性に優れた硬化膜を形成することもできる。重合性樹脂は、グラフト鎖を有する繰り返し単位を、重合性樹脂の全繰り返し単位中1.0~60モル%含有することが好ましく、1.5~50モル%含有することがより好ましい。グラフト鎖を有する繰り返し単位を含む重合性樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0071】
本発明において、グラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。グラフト鎖の長さについては特に制限されないが、グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり、顔料Aなどの分散性を高めることができる。グラフト鎖としては、水素原子を除いた原子数が40~10000であることが好ましく、水素原子を除いた原子数が50~2000であることがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60~500であることが更に好ましい。
【0072】
グラフト鎖は、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリウレタン繰り返し単位、ポリウレア繰り返し単位およびポリアミド繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含むことが好ましく、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位およびポリ(メタ)アクリル繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含むことがより好ましく、ポリエステル繰り返し単位を含むことが更に好ましい。ポリエステル繰り返し単位としては、下記の式(G-1)、式(G-4)または式(G-5)で表される構造の繰り返し単位が挙げられる。また、ポリエーテル繰り返し単位としては、下記の式(G-2)で表される構造の繰り返し単位が挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位としては、下記の式(G-3)で表される構造の繰り返し単位が挙げられる。
【化11】
上記式において、R
G1およびR
G2は、それぞれアルキレン基を表す。R
G1およびR
G2で表されるアルキレン基としては特に制限されないが、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。
上記式において、R
G3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、Q
G1は、-O-または-NH-を表し、L
G1は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1~12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1~12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO
2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
R
G4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。
【0073】
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、色材などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0074】
本発明において、グラフト鎖としては、下記式(G-1a)、式(G-2a)、式(G-3a)、式(G-4a)または式(G-5a)で表される構造であることが好ましい。
【化12】
【0075】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表し、RG3は、水素原子またはメチル基を表し、QG1は、-O-または-NH-を表し、LG1は、単結合または2価の連結基を表し、RG4は、水素原子または置換基を表し、W100は水素原子または置換基を表す。n1~n5は、それぞれ独立して2以上の整数を表す。RG1~RG4、QG1、LG1については、式(G-1)~(G-5)で説明したRG1~RG4、QG1、LG1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0076】
式(G-1a)~(G-5a)において、W100は置換基であることが好ましい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、色材などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0077】
式(G-1a)~(G-5a)において、n1~n5は、それぞれ2~100の整数が好ましく、2~80の整数がより好ましく、8~60の整数が更に好ましい。
【0078】
式(G-1a)において、n1が2以上の場合における各繰り返し単位中のRG1同士は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、RG1が異なる繰り返し単位を2種以上含む場合においては、各繰り返し単位の配列は特に限定は無く、ランダム、交互、及び、ブロックのいずれであってもよい。式(G-2a)~式(G-5a)においても同様である。
【0079】
グラフト鎖を有する繰り返し単位としては、下記式(A-1-2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化13】
【0080】
式(A-1-2)において、X2は繰り返し単位の主鎖を表し、L2は単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。
【0081】
式(A-1-2)におけるX2が表す繰り返し単位の主鎖としては、式(A-1-1)のX1で説明した構造が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(A-1-2)におけるL2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。式(A-1-2)におけるW1が表すグラフト鎖としては、上述したグラフト鎖が挙げられる。
【0082】
式(A-1-2)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A-1-2a)で表される繰り返し単位、下記式(A-1-2b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化14】
【0083】
式(A-1-2a)において、Rb1~Rb3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qb1は、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-またはフェニレン基を表し、L2は、単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。Rb1~Rb3が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。Qb1は、-COO-または-CONH-であることが好ましく、-COO-であることがより好ましい。
【0084】
式(A-1-2b)において、Rb10およびRb11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m2は1~5の整数を表し、L2は、単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。Rb10およびRb11が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
【0085】
重合性樹脂がグラフト鎖を有する繰り返し単位を含む場合、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量(Mw)は、1000以上であることが好ましく、1000~10000であることがより好ましく、1000~7500であることが更に好ましい。なお、本発明において、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量は、同繰り返し単位の重合に用いた原料モノマーの重量平均分子量から算出した値である。例えば、グラフト鎖を有する繰り返し単位は、マクロモノマーを重合することで形成できる。ここで、マクロモノマーとは、ポリマー末端に重合性基が導入された高分子化合物を意味する。マクロモノマーを用いてグラフト鎖を有する繰り返し単位を形成した場合においては、マクロモノマーの重量平均分子量がグラフト鎖を有する繰り返し単位に該当する。
【0086】
重合性樹脂は、更に酸基を有する繰り返し単位を含むことも好ましい。重合性樹脂が更に酸基を有する繰り返し単位を含むことで、顔料Aなどの分散性をより向上できる。更には、現像性を向上させることもできる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0087】
酸基を有する繰り返し単位としては、下記式(A-1-3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化15】
【0088】
式(A-1-3)において、X3は繰り返し単位の主鎖を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。式(A-1-3)におけるX3が表す繰り返し単位の主鎖としては、式(A-1-1)のX1で説明した構造が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(A-1-3)におけるL3が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~12のアルケニレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1~12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1~12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。また、アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。式(A-1-3)におけるA1が表す酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0089】
式(A-1-3)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A-1-3a)で表される繰り返し単位、下記式(A-1-3b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化16】
【0090】
式(A-1-3a)において、Rc1~Rc3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qc1は、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-またはフェニレン基を表し、L3は、単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。Rc1~Rc3が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。Qc1は、-COO-または-CONH-であることが好ましく、-COO-であることがより好ましい。
【0091】
式(A-1-3b)において、Rc10およびRc11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m3は1~5の整数を表し、L3は、単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。Rc10およびRc11が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
【0092】
重合性樹脂が、酸基を有する繰り返し単位を含む場合、酸基を有する繰り返し単位の含有量は、重合性樹脂の全繰り返し単位中80モル%以下であることが好ましく、10~80モル%がより好ましい。
【0093】
重合性樹脂の酸価としては、20~150mgKOH/gであることが好ましい。上限は、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。下限は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、35mgKOH/g以上であることがより好ましい。重合性樹脂の酸価が上記範囲であれば、特に優れた分散性が得られやすい。さらには、優れた現像性が得られやすい。
【0094】
また、重合性樹脂は、他の繰り返し単位として、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0095】
【0096】
式(ED1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化18】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010-168539号公報の記載を参酌できる。
【0097】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0098】
本発明において、重合性樹脂として、下記式(SP-1)で表される化合物(以下、化合物(SP-1)ともいう)を用いることもできる。化合物(SP-1)は、分散剤として好ましく用いることができる。
【化19】
式中、Z
1は、(m+n)価の連結基を表し、
Y
1およびY
2は、それぞれ独立して単結合または連結基を表し、
A
1は顔料吸着部を含む基を表し、
P
1はポリマー鎖を表し、
nは1~20を表し、mは1~20を表し、m+nは3~21であり、
n個のY
1およびA
1はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよく、
m個のY
2およびP
1はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよく、
Z
1、A
1およびP
1の少なくとも一つはエチレン性不飽和基を表す。
性基を含む。
【0099】
化合物(SP-1)に含まれるエチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0100】
化合物(SP-1)において、エチレン性不飽和基は、Z1、A1およびP1のいずれかに含まれていればよいが、P1に含まれていることが好ましい。また、P1がエチレン性不飽和基を含む場合、P1は、側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることが好ましい。
【0101】
式(SP-1)において、A1は顔料吸着部を含む基を表す。顔料吸着部としては、有機色素構造、複素環構造、酸基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基およびヒドロキシ基が挙げられ、複素環構造、酸基、塩基性窒素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、ヒドロキシ基が好ましく、色材の分散性の観点から酸基がより好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。
【0102】
顔料吸着部は、1つのA1中に、少なくとも1個含まれていればよく、2個以上を含んでいてもよい。A1は、顔料吸着部を1~10個含むことが好ましく、1~6個含むことがより好ましい。また、A1が表す顔料吸着部を含む基としては、前述の顔料吸着部と、1~200個の炭素原子、0~20個の窒素原子、0~100個の酸素原子、1~400個の水素原子、および0~40個の硫黄原子から成り立つ連結基とが結合して形成された基が挙げられる。例えば、炭素数1~10の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3~10の環状飽和炭化水素基、または、炭素数5~10の芳香族炭化水素基を介して1個以上の顔料吸着部が結合して形成された基等が挙げられる。上記の鎖状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~16のアリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸アミド基、N-スルホニルアミド基、炭素数1~6のアシルオキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数2~7のアルコキシカルボニル基、シアノ基、炭酸エステル基、および光硬化性基等が挙げられる。また、顔料吸着部自体が1価の基を構成しうる場合には、顔料吸着部そのものがA1であってもよい。
【0103】
また、A1の化学式量としては、30~2000であることが好ましい。上限は、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。下限は、50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。A1の化学式量が上記範囲であれば、色材に対する吸着性が良好である。なお、A1の化学式量は、構造式から計算した値である。
【0104】
式(SP-1)において、Z1は、(m+n)価の連結基を表す。(m+n)価の連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、および0~20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。(m+n)価の連結基としては、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)が挙げられる。
【0105】
【0106】
Z1の化学式量としては、20~3000であることが好ましい。上限は、2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましい。下限は、50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。なお、Z1の化学式量は、構造式から計算した値である。(m+n)価の連結基の具体例については、特開2014-177613号公報の段落番号0043~0055を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0107】
式(SP-1)において、Y1およびY2は、それぞれ独立して単結合または連結基を表す。連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、および0~20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。上述の基は、上述した置換基を更に有していてもよい。Y1およびY2が表す連結基としては、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基を挙げることができる。
【0108】
【0109】
式(SP-1)において、P
1はポリマー鎖を表す。P
1が表すポリマー鎖としては、主鎖中に、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位、ポリアミド繰り返し単位、ポリイミド繰り返し単位、ポリイミン繰り返し単位およびポリウレタン繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマー鎖であることが好ましい。また、P
1が表すポリマー鎖は、下記式(P1-1)~(P1-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることが好ましい。
【化22】
【0110】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。RG1およびRG2で表されるアルキレン基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。アルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、エチレン性不飽和等が挙げられる。
上記式において、RG3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、QG1は、-O-または-NH-を表し、LG1は、単結合またはアリーレン基を表し、LG2は、単結合または2価の連結基を表す。QG1は、-O-であることが好ましい。LG1は、単結合であることが好ましい。LG2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
RG4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、エチレン性不飽和基、酸基等が挙げられる。
【0111】
P1における、前述の繰り返し単位の繰り返し数は、3~2000であることが好ましい。上限は、1500以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。下限は、5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましい。また、P1は、側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることが好ましい。また、P1を構成する全繰り返し単位中における、エチレン性不飽和基を側鎖に含む繰り返し単位の割合は、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることが更に好ましい。上限は、100モル%とすることができる。また、P1が側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖である場合において、P1は側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含むことも好ましい。他の繰り返し単位としては、側鎖に酸基を含む繰り返し単位などが挙げられる。P1が側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位の他に、さらに側鎖に酸基を含む繰り返し単位を含むことで、フォトリソグラフィ法でパターン形成した際において、現像残渣の発生をより効果的に抑制できる。P1が側鎖に酸基を含む繰り返し単位を含む場合、P1を構成する全繰り返し単位中における、酸基を側鎖に含む繰り返し単位の割合は、50モル%以下であることが好ましく、2~48モル%であることがより好ましく、4~46モル%であることが更に好ましい。
【0112】
P1が表すポリマー鎖の重量平均分子量は、1000以上であることが好ましく、1000~10000であることがより好ましい。上限は、9000以下であることが好ましく、6000以下であることがより好ましく、3000以下であることが更に好ましい。下限は、1200以上であることが好ましく、1400以上であることがより好ましい。なお、P1の重量平均分子量は、同ポリマー鎖の導入に用いた原料の重量平均分子量から算出した値である。
【0113】
重合性樹脂は、式(b-10)で表される繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。
【化23】
式(b-10)中、Ar
10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L
11は、-COO-または-CONH-を表し、L
12は3価の連結基を表し、P
10はエチレン性不飽和基を有するポリマー鎖を表す。
【0114】
式(b-10)においてAr
10が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物および芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化24】
【0115】
上記式中、Q
1は、単結合、-O-、-CO-、-COOCH
2CH
2OCO-、-SO
2-、-C(CF
3)
2-、下記式(Q-1)で表される基または下記式(Q-2)で表される基を表す。
【化25】
【0116】
芳香族トリカルボン酸無水物の具体例としては、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
【0117】
Ar
10が表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-1)で表される基、式(Ar-2)で表される基、式(Ar-3)で表される基などが挙げられる。
【化26】
【0118】
式(Ar-1)中、n1は1~4の整数を表し、1~2の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-2)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-3)中、n3およびn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3およびn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ar-3)中、Q1は、単結合、-O-、-CO-、-COOCH2CH2OCO-、-SO2-、-C(CF3)2-、上記式(Q-1)で表される基または上記式(Q-2)で表される基を表す。
【0119】
式(b-10)においてL11は、-COO-または-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0120】
式(b-10)においてL12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0121】
式(b-10)においてP10は(メタ)アクリロイル基を有するポリマー鎖を表す。P10が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位およびポリオール繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマー鎖P10の重量平均分子量は500~20000が好ましい。下限は600以上が好ましく、1000以上がより好ましい。上限は10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましいである。P10の重量平均分子量が上記範囲であれば組成物中における顔料の分散性が良好である。この樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0122】
式(b-10)において、P
10が表すポリマー鎖は、下記式(P-1)~(P-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることが好ましく、(P-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることがより好ましい。
【化27】
上記式において、R
P1およびR
P2は、それぞれアルキレン基を表す。R
P1およびR
P2で表されるアルキレン基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。
上記式において、R
P3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、L
P1は、単結合またはアリーレン基を表し、L
P2は、単結合または2価の連結基を表す。L
P1は、単結合であることが好ましい。L
P2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO
2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
R
P4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、エチレン性不飽和基等が挙げられる。
【0123】
また、P10が表すポリマー鎖は、側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることがより好ましい。また、P10を構成する全繰り返し単位中における、エチレン性不飽和基を側鎖に含む繰り返し単位の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
【0124】
また、P10が表すポリマー鎖は、酸基を含む繰り返し単位を有することも好ましい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。この態様によれば、組成物中における顔料の分散性をより向上できる。更には、現像性をより向上させることもできる。酸基を含む繰り返し単位の割合は、1~30質量%であることが好ましく、2~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
【0125】
式(b-10)で表される繰り返し単位を含む樹脂の重量平均分子量は、2000~35000であることが好ましい。上限は25000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、15000以下であることが更に好ましい。下限は、4000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましい。
【0126】
式(b-10)で表される繰り返し単位を含む樹脂の酸価は5~200mgKOH/gが好ましい。上限は150mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましく、80mgKOH/g以下であることが更に好ましい。下限は10mgKOH/g以上であることが好ましく、15mgKOH/g以上であることがより好ましく、20mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
【0127】
エチレン性不飽和基を側鎖に有する繰り返し単位とグラフト鎖を有する繰り返し単位とを含む化合物の具体例としては以下に示す化合物および後述の実施例に記載の化合物が挙げられる。
【化28】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【化29】
【表7】
【0128】
上述した化合物(SP-1)の具体例としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【0129】
また、重合性樹脂の具体例としては、下記構造の化合物や、後述する実施例に記載の化合物などが挙げられる。
【化34】
【0130】
(エポキシ基を有する化合物)
本発明において、硬化性化合物として用いられるエポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物が好ましく用いられる。エポキシ化合物のエポキシ基の上限は、100個以下であることが好ましく、10個以下であることがより好ましく、5個以下であることが更に好ましい。
【0131】
エポキシ化合物のエポキシ当量(=エポキシ基を有する化合物の分子量/エポキシ基の数)は、500g/eq以下であることが好ましく、100~400g/eqであることがより好ましく、100~300g/eqであることがさらに好ましい。
【0132】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)であってもよい。エポキシ化合物の分子量(ポリマーの場合は、重量平均分子量)は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。分子量(ポリマーの場合は、重量平均分子量)の上限は、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。
【0133】
エポキシ化合物は、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。エポキシ化合物の市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER825、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1002、jER1003、jER1055、jER1007、jER1009、jER1010(以上、三菱ケミカル(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、jER806、jER807、jER4004、jER4005、jER4007、jER4010(以上、三菱ケミカル(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE-21、RE-602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER152、jER154、jER157S70、jER157S65(以上、三菱ケミカル(株)製)、EPICLON N-740、EPICLON N-770、EPICLON N-775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLON N-690、EPICLON N-695(以上、DIC(株)製)、EOCN-1020(日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP-4080S、同EP-4085S、同EP-4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、(株)ダイセル製)、デナコール EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、jER1031S(三菱ケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0134】
硬化性化合物の含有量は、着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
また、硬化性化合物として重合性モノマーを用いる場合、重合性モノマーの含有量は、着色組成物の全固形分中0.1~40質量%であることが好ましい。下限は1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。上限は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
また、硬化性化合物として重合性樹脂を用いる場合、重合性樹脂の含有量は、着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
また、重合性モノマーと重合性樹脂との合計の含有量は着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。また、重合性モノマーと重合性樹脂との合計量中における、重合性樹脂の含有量は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、硬化性化合物としてエポキシ化合物を用いる場合、エポキシ化合物の含有量は、着色組成物の全固形分中0.1~40質量%が好ましい。下限は、例えば1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。また、重合性化合物と、エポキシ基を有する化合物とを併用する場合、両者の割合(質量比)は、重合性化合物の質量:エポキシ基を有する化合物の質量=100:1~100:400が好ましく、100:1~100:100がより好ましく、100:1~100:50がさらに好ましい。
【0135】
本発明の着色組成物の好ましい一態様として、以下が挙げられる。
着色組成物が、エチレン性不飽和基を有するモノマー(重合性モノマー)と、樹脂とを含み、
着色組成物に含まれるエチレン性不飽和基を有するモノマー(重合性モノマー)の質量M1と、着色組成物に含まれる樹脂の質量B1との比であるM1/B1が0.35以下であり、好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.15以下である態様。この態様の着色組成物によれば、より耐湿性に優れた硬化膜を形成することができる。更には硬化膜形成時における膜収縮を抑制することもできる。特に、樹脂として重合性樹脂を含む用いた場合においては上記の効果がより顕著に得られる。上記のM1/B1の値の下限は0.01以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.07以上であることが更に好ましい。なお、樹脂の質量B1とは、上述した重合性樹脂と後述する他の樹脂との合計量である。着色組成物が他の樹脂を含まない場合、樹脂の質量B1は上述した重合性樹脂の質量である。また、着色組成物が重合性樹脂を含まない場合、樹脂の質量B1は他の樹脂の質量である。
また、上記の態様において、重合性モノマーと樹脂との合計の含有量は着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0136】
<<他の樹脂>>
本発明の着色組成物は、硬化性基を含まない樹脂(以下、他の樹脂ともいう)をさらに含有することができる。他の樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
【0137】
他の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0138】
他の樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0139】
他の樹脂は、酸基を有していてもよい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
【0140】
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また他のモノマーは、特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0141】
酸基を有する樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好ましく用いることができる。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したもの、特開平07-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。
【0142】
酸基を有する樹脂は、上述したエーテルダイマーを含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むポリマーであることも好ましい。
【0143】
酸基を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【化35】
式(X)において、R
1は、水素原子またはメチル基を表し、R
2は炭素数2~10のアルキレン基を表し、R
3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0144】
酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。
【0145】
酸基を有する樹脂の酸価は、30~200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
【0146】
本発明の着色組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40~105mgKOH/gが好ましく、50~105mgKOH/gがより好ましく、60~105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
【0147】
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、画素の下地に発生する残渣をより低減することができる。
【0148】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂としては、上述した重合性樹脂の項で説明した式(A-1-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂などが挙げられる。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0149】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0150】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0151】
分散剤として用いる樹脂は、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(以下、樹脂Acともいう)であることも好ましい。樹脂Acにおいて、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよいが、芳香族カルボキシル基は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。芳香族カルボキシル基において、芳香族環に結合したカルボキシル基の数は、1~4個であることが好ましく、1~2個であることがより好ましい。
【0152】
樹脂Acは、式(b-101)で表される繰り返し単位および式(b-110)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
【化36】
式(b-101)中、Ar
101は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L
101は、-COO-または-CONH-を表し、L
102は、2価の連結基を表す。
式(b-110)中、Ar
110は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L
111は、-COO-または-CONH-を表し、L
112は3価の連結基を表し、P
110はポリマー鎖を表す。
【0153】
樹脂Acの具体例としては、特開2017-156652号公報に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0154】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製のDISPERBYKシリーズ(例えば、DISPERBYK-111、161など)、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパースシリーズ(例えば、ソルスパース76500など)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、分散剤は、特開2018-150498号公報、特開2017-100116号公報、特開2017-100115号公報、特開2016-108520号公報、特開2016-108519号公報、特開2015-232105号公報に記載の化合物を用いてもよい。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0155】
本発明の着色組成物が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分中30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。また、本発明の着色組成物は、他の樹脂を実質的に含まないこともできる。本発明の着色組成物が他の樹脂を実質的に含まない場合とは、本発明の着色組成物の全固形分中における他の樹脂の含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
また、上述した硬化性化合物と他の樹脂との合計の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0156】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。特に、硬化性化合物としてエチレン性不飽和基を有する化合物を用いた場合には、本発明の着色組成物はさらに光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0157】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111に記載された化合物、特許第6301489号公報に記載された化合物、MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019に記載されたパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0158】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、IRGACURE-127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、IRGACURE-379、及び、IRGACURE-379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE-819、DAROCUR-TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0159】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0160】
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0161】
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0162】
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0163】
本発明において、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載のOE-01~OE-75が挙げられる。本発明において、光重合開始剤として、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
【0164】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0165】
【0166】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1,000~300,000であることがより好ましく、2,000~300,000であることが更に好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0167】
光重合開始剤として、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号公報に記載されているオキシムエステル光開始剤などが挙げられる。
【0168】
本発明の着色組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。本発明の着色組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0169】
<<顔料誘導体>>
本発明の着色組成物は顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、または塩基性基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171等に記載の化合物を用いることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0170】
顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1~50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限値は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。顔料誘導体の含有量が上記範囲であれば、顔料の分散性を高めて、顔料の凝集を効率よく抑制できる。顔料誘導体は1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0171】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物はシランカップリング剤を含有することができる。この態様によれば、得られる硬化膜の支持体との密着性を向上させることができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0172】
着色組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0173】
<<溶剤>>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0174】
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0175】
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0176】
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0177】
本発明において、有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0178】
着色組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0179】
また、本発明の着色組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、着色組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本発明の着色組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として着色組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した着色組成物の段階いずれの段階でも可能である。
【0180】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。着色組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
【0181】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0182】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0183】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0184】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0185】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0186】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0187】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化39】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0188】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0189】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(和光純薬工業(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0190】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0191】
着色組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0192】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤として特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載の化合物も使用できる。
【0193】
着色組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0194】
<<酸化防止剤>>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023~0048に記載の化合物も使用できる。
【0195】
着色組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0196】
<<その他成分>>
本発明の着色組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
【0197】
また、本発明の着色組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが最も好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよく、この際、コア部が中空状であってもよい。
【0198】
また、本発明の着色組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0199】
本発明の着色組成物の粘度(25℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1~100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
【0200】
本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性良化に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化や、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果も得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb,Bi等が挙げられる。また、本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。着色組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0201】
本発明の着色組成物は、テレフタル酸エステルを含まないことも好ましい。
【0202】
<収容容器>
本発明の着色組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や着色組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
また、本発明の着色組成物や、イメージセンサを製造するために用いられる組成物は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高め、成分変質を抑制する目的で、収容容器の内壁をガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
【0203】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して製造できる。着色組成物の製造に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して着色組成物を製造してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色組成物を製造してもよい。
【0204】
また、着色組成物の製造に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0205】
着色組成物の製造にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、着色組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0206】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0207】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0208】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0209】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、上述した本発明の着色組成物から得られる硬化膜である。本発明の硬化膜は、カラーフィルタなどに用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色層(画素)として好ましく用いることができ、より具体的には、カラーフィルタの赤色着色層(赤色画素)として好ましく用いることができる。本発明の硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0210】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の硬化膜を有する。より好ましくは、カラーフィルタの画素として、本発明の硬化膜を有する。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0211】
本発明のカラーフィルタにおいて本発明の硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0212】
本発明のカラーフィルタは、画素の幅が0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。上限は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。また、画素のヤング率が0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
【0213】
本発明のカラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は109Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0214】
また、本発明のカラーフィルタは、本発明の硬化膜の表面に保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがさらに好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al2O3、Mo、SiO2、Si2N4などが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂、SiO2、Si2N4を含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0215】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる
【0216】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤および近赤外線吸収剤としては、上述した素材が挙げられる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全重量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0217】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0218】
カラーフィルタは、下地層を有していてもよい。下地層は、例えば、述した本発明の着色組成物から着色剤を除いた組成物などを用いて形成することもできる。下地層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20~70°であることが好ましい。また、水で測定した際に30~80°であることが好ましい。下地層の表面接触角が上記範囲であれば、樹脂組成物の塗れ性が良好である。下地層の表面接触角の調整は、たとえば、界面活性剤の添加などの方法で行うことができる。
【0219】
また、カラーフィルタの緑色画素は、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー139とC.I.ピグメントイエロー185との組み合わせで緑色が形成されていてもよく、C.I.ピグメントグリーン58とC.I.ピグメントイエロー150とC.I.ピグメントイエロー185との組み合わせで緑色が形成されていてもよい。
【0220】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を経て製造できる。
【0221】
(フォトリソグラフィ法)
まず、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0222】
着色組成物層を形成する工程では、本発明の着色組成物を用いて、支持体上に着色組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0223】
着色組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、着色組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0224】
支持体上に形成した着色組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0225】
<<露光工程>>
次に、着色組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0226】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0227】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m2以上であることが好ましく、100000000W/m2以上であることがより好ましく、200000000W/m2以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m2以下であることが好ましく、800000000W/m2以下であることがより好ましく、500000000W/m2以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
【0228】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cm2が好ましく、0.05~1.0J/cm2がより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2~100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、または、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
【0229】
次に、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。着色組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の素子や回路などにダメージを起さない有機アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0230】
現像液は、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)であることが好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の着色組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の着色組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0231】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、KR1020170122130Aに記載の方法で行ってもよい。
【0232】
(ドライエッチング法)
次に、ドライエッチング法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成し、この着色組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落番号0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0233】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の硬化膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の硬化膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0234】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0235】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の硬化膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例】
【0236】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0237】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
測定サンプルの重量平均分子量(Mw)は、以下の条件に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度0.1質量%)
装置名:東ソー(株)製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
【0238】
<酸価の測定方法>
測定サンプルをテトラヒドロフラン/水=9/1(質量比)混合溶媒に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業製)を用いて、得られた溶液を、25℃にて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプル質量(g)(固形分換算)
【0239】
<分散液の調製>
下記の表に記載の原料を混合して混合液を得た。得られた混合液を、循環型分散装置(ビーズミル)として寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル(商品名)を用いて分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液の固形分は17.50質量%であった。
【表8】
【表9】
【0240】
上記表に記載の素材は、以下の通りである。
顔料R1~R9:下記構造の化合物。顔料R1はC.I.ピグメントレッド272である。
【化40】
顔料CR1:下記構造の化合物。顔料CR1はC.I.ピグメントレッド254である。
【化41】
顔料CR2:下記構造の化合物。顔料CR2はC.I.ピグメントオレンジ71である。
【化42】
顔料Y1:C.I.ピグメントイエロー138
顔料Y2:C.I.ピグメントイエロー139
顔料Y3:C.I.ピグメントイエロー150
顔料Y4:C.I.ピグメントイエロー185
【0241】
(分散剤)
分散剤1:下記構造の化合物(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.0mmol/g、酸価:75mgKOH/g)
【化43】
分散剤2:下記構造の化合物(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.4mmol/g、酸価:70mgKOH/g)
【化44】
分散剤3:下記構造の化合物(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.0mol/g、酸価:50mgKOH/g)
【化45】
分散剤4:下記構造の化合物(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.0mol/g、酸価:50mgKOH/g)
【化46】
分散剤5:下記構造の化合物(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.7mol/g、酸価:72mgKOH/g)
【化47】
(溶剤)
溶剤S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0242】
<着色組成物の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、実施例および比較例の着色組成物を調製した。
【表10】
【0243】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(樹脂)
樹脂B1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw:30000)
【化48】
樹脂B2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw:11000)
【化49】
樹脂B3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw:10000)
【化50】
【0244】
(重合性モノマー)
モノマーM1:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
モノマーM2:NKエステル A-DPH-12E(新中村化学工業(株)製)
モノマーM3:NKエステル A-TMMT(新中村化学工業(株)製)
モノマーM4:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
モノマーM5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
モノマーM6:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
【0245】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物E1:EPICLON N-695(DIC(株)製)
エポキシ化合物E2:EHPE 3150((株)ダイセル製)
【0246】
(光重合開始剤)
開始剤I1:IRGACURE 369 (BASF製)
開始剤I2:IRGACURE OXE01 (BASF製)
開始剤I3:IRGACURE OXE02 (BASF製)
開始剤I4:下記構造の化合物
【化51】
開始剤I5:下記構造の化合物
【化52】
【0247】
(界面活性剤)
界面活性剤F1:下記構造の化合物(下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。Mw:14000)。
【化53】
【0248】
(重合禁止剤)
重合禁止剤P1:p-メトキシフェノール
【0249】
(溶剤)
溶剤S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤S2:シクロヘキサノン
【0250】
<耐湿性評価>
ガラス基板上にCT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのガラス基板上に各着色組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して塗布膜を得た。得られた塗布膜について、365nmの波長の光を照射し、露光量500mJ/cm2にて露光を行った。次いで、ホットプレートを用いて220℃で5分間加熱して、膜厚0.5μmの硬化膜を得た。得られた硬化膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。
次に、上記で作製した硬化膜を85℃85%の恒温恒湿下で1000時間静置した。耐湿性試験を行った後の硬化膜の透過率を測定し、透過率の変化量の最大値を求め、以下の基準にて耐湿性を評価した。
透過率の測定は各試料につき5回行い、最大値と最小値を除いた3回の結果の平均値を採用した。また、透過率の変化量の最大値とは、耐湿性試験前後の硬化膜の、波長400~700nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における変化量を意味する。
(評価基準)
5:透過率の変化量の最大値が1%以下である。
4:透過率の変化量の最大値が1%を超えて、1.5%以下である。
3:透過率の変化量の最大値が1.5%を超えて、2.0%以下である。
2:透過率の変化量の最大値が2.0%を超えて、2.5%以下である。
1:透過率の変化量の最大値が2.5%を超えている。
【0251】
<耐熱性評価>
ガラス基板上にCT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのガラス基板上に各着色組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して塗布膜を得た。得られた塗布膜について、365nmの波長の光を照射し、露光量500mJ/cm2にて露光を行った。次いで、ホットプレートを用いて220℃で5分間加熱して、膜厚0.5μmの硬化膜を得た。得られた硬化膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。
次に、上記で作製した硬化膜を265℃で5分間加熱した。加熱後の硬化膜の透過率を測定し、透過率の変化量の最大値を求め、以下の基準にて耐熱性を評価した。
透過率の測定は各試料につき5回行い、最大値と最小値を除いた3回の結果の平均値を採用した。また、透過率の変化量の最大値とは、加熱前後の硬化膜の、波長400~700nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における変化量を意味する。
(評価基準)
5:透過率の変化量の最大値が1%以下である。
4:透過率の変化量の最大値が1%を超えて、1.5%以下である。
3:透過率の変化量の最大値が1.5%を超えて、2.0%以下である。
2:透過率の変化量の最大値が2.0%を超えて、2.5%以下である。
1:透過率の変化量の最大値が2.5%を超えている。
【0252】
【0253】
上記表に示すように、実施例の着色組成物を用いることによって耐湿性および耐熱性に優れた硬化膜を製造することができた。また、実施例1~17、実施例20~27の着色組成物から得られた硬化膜は、赤色着色層として好ましい分光特性を有していた。
各実施例において、重合禁止剤P1、界面活性剤F1に換えて、明細書記載の重合禁止剤・界面活性剤を使用しても同様の効果が得られる。
【0254】
下記原料を混合し均一になるよう攪拌した後、孔径0.1μmのフィルタで濾過して下地材Aを作製した。
樹脂B1 : 5.5質量部
樹脂B4 : 5.5質量部
モノマーM1 : 10.5質量部
開始剤I6 : 0.5質量部
エポキシ化合物E1 : 0.5質量部
溶剤S1 : 37.5質量部
溶剤S2 : 12.7質量部
溶剤S3 : 27.3質量部
【0255】
樹脂B1、モノマーM1、エポキシ化合物E1、溶剤S1、溶剤S2:上述した素材。
樹脂B4 : 大阪有機化学工業社製「KS Resist 106」(ポリマー側鎖の水酸基に2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加させてポリマー側鎖に炭素-炭素二重結合を導入したアクリル系ポリマー)
開始剤I6 : 2-(1,3-ベンゾジオキソル-5-イルメチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン
溶剤S3 : 3-エトキシプロピオン酸エチル
【0256】
上述した耐湿性評価、耐熱性評価において、ガラス基板上に塗布する下地材を、CT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)から上記下地材Aに変更する以外は、同様の方法にて耐湿性評価、耐熱性評価を実施した。結果、上記の表11に示したものと同様の結果を得ることができた。
【0257】
<分散剤11の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、撹拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート75質量部、n-ブチルアクリレート75質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)68.1質量部を仕込み、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1、2-プロパンジオール9質量部を添加し、更にAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.18質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。続いて、ピロメリット酸無水物14.6質量部、PGMEA105.5質量部、反応触媒として1、8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)0.3質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価測定により、98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し、反応を終了した。PGMEAを加えて固形分濃度を50%に調整し、酸価41mgKOH/g、重量平均分子量8800の分散剤11を得た。
【0258】
<分散剤12の合成>
使用する酸無水物とその添加量を、トリメリット酸無水物8.3質量部に変更した他は、分散剤11の合成と同様の方法によって、酸価30mgKOH/g、重量平均分子量9100の分散剤12を得た。
【0259】
<分散剤13の合成>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、撹拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール8質量部、ピロメリット酸12質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80質量部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2質量部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価測定により95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、メチルメタクリレート30質量部、t-ブチルアクリレート10質量部、エチルアクリレート10質量部、メタクリル酸5質量部、ベンジルメタクリレート10質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート35質量部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1部を添加し、12時間反応させた(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次いで、反応容器内を空気置換し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート38質量部、ヒドロキノン0.1質量部を仕込み、70℃で4時間反応を行った(第三工程)。IR測定によりイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークが消失したことを確認後、反応溶液を冷却して、PGMEAで固形分調整することにより固形分40%の分散剤13の溶液を得た。得られた分散剤13の酸価は40mgKOH/g、重量平均分子量は12,000であった。
【0260】
以下に、上記合成した分散剤11~13の構造式を示す。
【化54】
【0261】
<分散液の調整>
下記の表に記載の原料を混合して混合液を得た。得られた混合液を、循環型分散装置(ビーズミル)として寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル(商品名)を用いて分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液の固形分は17.50質量%であった。
また、下記のように調整した顔料分散液R101~111、および、Y101について、調製直後の粘度と、室温6ヶ月経過後の粘度を測定したところ、粘度の経時変動が小さく、分散安定に優れていることが確認された。
【0262】
【0263】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
顔料R1、CR1、Y2:上述した顔料R1、CR1、Y2
顔料CR4:C.I.ピグメントレッド122
分散剤11~13:上記合成した分散剤11~13
分散助剤1~7:下記式で表される化合物
【化55】
溶剤S1:上述した溶剤S1
【0264】
<着色組成物の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、着色組成物を調製した。
【0265】
【0266】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
顔料分散液R101~R111、顔料分散液Y101、樹脂B2、モノマーM1、モノマーM2、エポキシ化合物E2、開始剤I2、開始剤I3、開始剤I4、界面活性剤F1、重合禁止剤P1、溶剤S1:上述した顔料分散液R101~R111、顔料分散液Y101、樹脂B2、モノマーM1、モノマーM2、エポキシ化合物E2、開始剤I2、開始剤I3、開始剤I4、界面活性剤F1、重合禁止剤P1、溶剤S1
モノマーM7 : 日本化薬製「KAYARAD DPCA-20」(下記式で表される重合性モノマー)
【化56】
開始剤I6 : 2-(1,3-ベンゾジオキソル-5-イルメチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン
【0267】
実施例1と同様の方法で耐湿性および耐熱性を評価した。結果を下記表に記す。
【0268】
【0269】
上記表に示すように、実施例の着色組成物を用いることによって耐湿性および耐熱性に優れた硬化膜を製造することができた。
【0270】
<分散液の調整>
下記の表に記載の原料を混合して混合液を得た。得られた混合液を、循環型分散装置(ビーズミル)として寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル(商品名)を用いて分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液の固形分は17.50質量%であった。
【表15】
【0271】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
顔料R1、CR1、Y2:上述した顔料R1、CR1、Y2
顔料CR5:C.I.ピグメントレッド255
顔料CR6:C.I.ピグメントレッド264
顔料CR7:C.I.ピグメントレッド269
顔料CR8:C.I.ピグメントレッド291
顔料CR9:C.I.ピグメントレッド295
顔料CR10:C.I.ピグメントレッド296
分散剤5、13:上述した分散剤5、13
溶剤S1:上述した溶剤S1
【0272】
<着色組成物の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、着色組成物を調製した。
【表16】
【表17】
【0273】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
顔料分散液R103、顔料分散液R201~R215、顔料分散液Y101、顔料分散液Y201、樹脂B2、樹脂B3、モノマーM1、エポキシ化合物E2、開始剤I3、開始剤I4、界面活性剤F1、重合禁止剤P1、溶剤S1:上述した顔料分散液R103、顔料分散液R201~R215、顔料分散液Y101、顔料分散液Y201、樹脂B2、樹脂B3、モノマーM1、エポキシ化合物E2、開始剤I3、開始剤I4、界面活性剤F1、重合禁止剤P1、溶剤S1
【0274】
実施例1と同様の方法で耐湿性および耐熱性を評価した。結果を下記表に記す。
【0275】
【0276】
上記表に示すように、実施例の着色組成物を用いることによって耐湿性および耐熱性に優れた硬化膜を製造することができた。
【0277】
[試験例]
<隔壁形成用組成物の調製>
(組成物A~C)
下記表に記載の原料を混合したのち、日本ポール製DFA4201NIEY(0.45μmナイロンフィルター)を用いてろ過を行い、組成物A~Cを調製した。
【0278】
【0279】
(粒子液)
P1:数珠状コロイダルシリカ粒子液(複数の球状シリカ粒子が金属酸化物含有シリカ等の接合部によって接合されたシリカ粒子の溶液)。配合量の数字は数珠状コロイダルシリカ粒子液中のSiO2の固形分量である。
【0280】
(界面活性剤)
F1:上述した界面活性剤F1
【0281】
(溶剤)
A1-1:PGMEA
A2-1:1,4-ブタンジオールジアセテート
A2-2:1,6-ヘキサンジオールジアセテート
A2-3:炭酸プロピレン
A3-1:エタノール、メタノールまたはそれらの混合物
A3-2:水
【0282】
<固体撮像素子の製造>
上記組成物A~Cのいずれかを用いて、特開2017-028241号公報の
図1のようにシリコンウエハ上に隔壁を形成した。
この隔壁が形成されたシリコンウエハ上に、Green組成物をポストベーク後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、365nmの波長の光を1000mJ/cm
2の露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱(ポストベーク)することで、Green組成物をパターニングした。同様にRed組成物、Blue組成物を順次パターニングし、赤、緑及び青の着色パターン(ベイヤーパターン)を形成した。
Red組成物は、実施例1の着色組成物を使用した。Green組成物及びBlue組成物については後述する。
なお、ベイヤーパターンとは、米国特許第3,971,065号明細書に開示されているような、一個の赤色(Red)素子と、二個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子とを有する色フィルタ素子の2×2アレイを繰り返したパターンである。
得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。また、隔壁を設けない場合によりも優れた画像認識能を有していた。
【0283】
組成物Aについて、溶剤A2を、シクロヘキサノールアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコ-ルメチルエ-テルアセテ-ト、1,3-ブチレングリコールジアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、3-メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはn-プロピルアルコールに置き換えて調製した隔壁形成用組成物を用いて隔壁を形成した場合であっても、同様の効果が得られる。
【0284】
Green組成物及びBlue組成物は以下の通りである。
【0285】
(Green組成物)
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Green組成物を調製した。
Green顔料分散液 ・・・73.7質量部
樹脂101 ・・・0.3質量部
重合性化合物101 ・・・1.2質量部
光重合開始剤101 ・・・0.6質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
PGMEA ・・・19.5質量部
【0286】
(Blue組成物)
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Blue組成物を調製した。
Blue顔料分散液 ・・・44.9質量部
樹脂101 ・・・2.1質量部
重合性化合物101 ・・・1.5質量部
重合性化合物102 ・・・0.7質量部
光重合開始剤101 ・・・0.8質量部
界面活性剤101 ・・・4.2質量部
PGMEA ・・・45.8質量部
【0287】
Green組成物およびBlue組成物に使用した原料は以下の通りである。
【0288】
・Green顔料分散液
C.I.Pigment Green 36を6.4質量部、C.I.Pigment Yellow 150を5.3質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.2質量部、PGMEAを83.1質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液を得た。
【0289】
・Blue顔料分散液
C.I.Pigment Blue 15:6を9.7質量部、C.I.Pigment Violet 23を2.4質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.5質量部、PGMEAを82.4質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、Blue顔料分散液を得た。
【0290】
・重合性化合物101:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
・重合性化合物102:下記構造の化合物
【化57】
【0291】
・樹脂101:下記構造の樹脂(酸価:70mgKOH/g、Mw=11000、構造単位における比はモル比である)
【化58】
【0292】
・光重合開始剤101:IRGACURE-OXE01(BASF社製)
【0293】
・界面活性剤101:下記混合物(Mw=14000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
【化59】