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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】投射装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20220729BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220729BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220729BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021528164
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2020023077
(87)【国際公開番号】W WO2020262024
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019121323
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茅野 宏信
(72)【発明者】
【氏名】笠原 奨騎
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242491(JP,A)
【文献】特開2013-41135(JP,A)
【文献】特開2007-264247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0002156(US,A1)
【文献】国際公開第2020/003871(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0183263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/16
G03B 21/00
H04N 5/74
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学素子と、
前記電気光学素子を収納するベース部及び前記ベース部から突出した突出部を有する筐体と、
前記電気光学素子から照射された画像光を投射対象物に投射する投射レンズであって、前記突出部と対向して配置され、前記ベース部に取り付けられた投射レンズと、
前記突出部に形成された第1吸気口から、気体を前記突出部の内部に吸気する第1吸気ファンと、
前記第1吸気ファンによって前記突出部内に吸気された気体を前記ベース部内に誘導する誘導機構と、を備える投射装置。
【請求項2】
前記第1吸気口が、前記突出部の前記投射レンズに対向する第1側面に形成されている請求項1に記載の投射装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記ベース部に前記第1側面と同じ向きである第2側面と、前記第1側面と逆向きにある第3側面とを有し、
前記第2側面及び前記第3側面のそれぞれに形成された第1排気口及び第2排気口のそれぞれから排気する複数の排気ファンを、さらに備える請求項2に記載の投射装置。
【請求項4】
複数の排気ファンを備え、
前記複数の排気ファンのうち、前記第1吸気ファンからの距離が遠い少なくとも1つの前記排気ファンは、前記第1吸気ファンからの距離が近い少なくとも1つの前記排気ファンよりもファンの単位時間当たりの回転数が大きい請求項2に記載の投射装置。
【請求項5】
前記第1吸気ファンの吸気量は、前記複数の排気ファンの平均排気量よりも大きい請求項3又は4に記載の投射装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記ベース部に前記第1側面と同じ向きである第2側面、又は前記第1側面と逆向きにある第3側面を有し、
前記投射レンズは前記画像光の投射方向を変化させる機構を有し、
前記投射方向に連動して、前記第2側面又は前記第3側面に形成された排気口からの排気方向を変化させる可変機構を備える請求項2、4及び5のいずれか1項に記載の投射装置。
【請求項7】
前記突出部の前記第1側面と交差する第4側面に形成された第2吸気口から、気体を前記突出部の内部に吸気する第2吸気ファンを、さらに備える請求項2から6のいずれか1項に記載の投射装置。
【請求項8】
前記突出部の内部に前記画像光を生成するための半導体光源が配置されている請求項1から7のいずれか1項に記載の投射装置。
【請求項9】
前記半導体光源から発光された光の少なくとも一部について、前記光の波長を変換する波長変換部をさらに備え、
前記波長変換部は、前記ベース部の対向する2側面のうちの前記突出部に近い側面側に配置されている請求項8に記載の投射装置。
【請求項10】
前記ベース部の内部に制御基板が配置されており、
前記制御基板は、前記ベース部の対向する2側面のうちの前記突出部から遠い側面側に配置されている請求項1から9のいずれか1項に記載の投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像をスクリーンに投射する投射装置としてのプロジェクタが広く普及している。プロジェクタは、例えば、液晶表示素子(LCD;Liquid Crystal Display)又はDMD(Digital Micromirror Device:登録商標)等の電気光学素子としての画像形成パネルと、画像光を生成するための光を射出する光源と、画像形成パネルで形成される画像光をスクリーンに投射する投射レンズとを備えている。
【0003】
このようなプロジェクタにおいて、画像の投射方向を変更可能な投射レンズを備えたプロジェクタが開発されている(国際公開第2018/055964号及び国際公開第2019/107413号等)。これらのプロジェクタでは、本体部である筐体内に画像形成パネル及び光源等が収容され、筐体の外周面に投射レンズが取り付けられている。
【0004】
国際公開第2018/055964号及び国際公開第2019/107413号に記載のプロジェクタにおいて、投射レンズには、画像形成パネルで形成された画像を表す光束が本体部から入射する。投射レンズは、入射側から順に、第1光軸、第2光軸、及び第3光軸の3つの光軸を持つ屈曲光学系を備えている。第1光軸は、本体部から入射する光束に対応する光軸であり、第2光軸は、第1光軸に対して90°屈曲している。第3光軸は、第2光軸に対して90°屈曲しており、スクリーンに向けて光束を出射する出射光軸である。
【0005】
また、国際公開第2019/107413号に記載のプロジェクタでは、筐体の一部に投射レンズを収納する収納部を備え、投射レンズは、収納部に収納した第1の位置と筐体から突出する第2位置との間で回動可能に筐体に取り付けられている。
【0006】
一方、特開2014-112258号公報においては、電気光学素子及び光源等の熱源を冷却液体により冷却する液冷装置、液冷装置の冷却液体の温度を低下させるための熱電変換素子、及び熱源に冷却空気を送風する空冷装置を備えたプロジェクタが提案されている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の技術は、電気光学素子を内部に備えた筐体と、筐体に取り付けられた投射レンズとを備えた投射装置において、筐体内部に分散して配置されている複数の熱源の冷却効果が高い投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の投射装置は、
電気光学素子と、
電気光学素子を収納するベース部及びベース部から突出した突出部を有する筐体と、
電気光学素子から照射された画像光を投射対象物に投射する投射レンズであって、突出部と対向して配置され、ベース部に取り付けられた投射レンズと、
突出部に形成された第1吸気口から、気体を突出部の内部に吸気する第1吸気ファンと、
第1吸気ファンによって突出部内に吸気された気体をベース部内に誘導する誘導機構と、を備える。
【0009】
第1吸気口が、突出部の投射レンズに対向する第1側面に形成されていることが好ましい。
【0010】
筐体は、ベース部に第1側面と同じ向きである第2側面と、第1側面と逆向きにある第3側面とを有し、第2側面及び第3側面のそれぞれに形成された第1排気口及び第2排気口のそれぞれから排気する複数の排気ファンを、さらに備えることが好ましい。
【0011】
複数の排気ファンを備え、複数の排気ファンのうち、第1吸気ファンからの距離が遠い少なくとも1つの排気ファンは、第1吸気ファンからの距離が近い少なくとも1つの排気ファンよりもファンの単位時間当たりの回転数が大きいことが好ましい。
【0012】
第1吸気ファンの吸気量は、複数の排気ファンの平均排気量よりも大きいことが好ましい。
【0013】
筐体は、ベース部に第1側面と同じ向きである第2側面、又は、第1側面と逆向きにある第3側面を有し、投射レンズは画像光の投射方向を変化させる機構を有し、投射方向に連動して、第2側面又は第3側面に形成された排気口からの排気方向を変化させる可変機構を備えることが好ましい。
【0014】
突出部の第1側面と交差する第4側面に形成された第2吸気口から、気体を突出部の内部に吸気する第2吸気ファンを、さらに備えることが好ましい。
【0015】
突出部の内部に画像光を生成するための半導体光源が配置されていることが好ましい。
【0016】
半導体光源から発光された光の少なくとも一部について、光の波長を変換する波長変換部をさらに備え、波長変換部は、ベース部の対向する2側面のうちの突出部に近い側面側に配置されている事が好ましい。
【0017】
ベース部の内部に制御基板が配置されており、制御基板は、ベース部の対向する2側面のうちの突出部から遠い側面側に配置されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態のプロジェクタの平面図である。
図2】横置きにした状態のプロジェクタの斜視図である。
図3】縦置きにした状態のプロジェクタの斜視図である。
図4】プロジェクタを使用して画像をスクリーンに投射している様子を示す図である。
図5】プロジェクタの本体内部の概略構成を示す平面図である。
図6】プロジェクタの第3側面を示す側面図である。
図7】プロジェクタの第1及び第2側面を示す側面図である。
図8】第1側面に形成された第1吸気口及びダクトの構成を示す斜視図である。
図9】プロジェクタの本体部の内部における空気の流れを示す図である。
図10】突出部の投射レンズ側の領域の説明図である。
図11】誘導機構の設計変更例の説明図である。
図12】誘導機構の設計変更例である仕切り部材の説明図である。
図13】誘導機構として仕切り部材を備えた場合のプロジェクタの本体部の内部における空気の流れを示す図である。
図14】構誘導機構の設計変更例であるさらに別の仕切り部材の説明図である。
図15】排気ファンの排気量の説明図である。
図16】排気ファンと第1吸気ファンとの距離の説明図である。
図17】設計変更例のプロジェクタの本体内部の概略構成を示す平面図である。
図18】第2実施形態のプロジェクタの本体内部の概略構成を示す平面図である。
図19】ルーバーの制御構成を示すブロック図である。
図20】画像の投射方向とルーバーの向きの説明図である。
図21】画像の投射方向とルーバーの向きの説明図である。
図22】設計変更例のプロジェクタの本体内部の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、及び「第3」等などの用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、プロジェクタ又はレンズ内に存在する構成要素の数を限定するものではない。
【0021】
「第1実施形態」
図1に示すように、第1の実施形態のプロジェクタ10は、投射装置に相当し、投射レンズ11と、本体部12とを備える。本体部12は、筐体に相当する。投射レンズ11の一端部は本体部12に取り付けられている。図1は、プロジェクタ10を使用しない場合に、投射レンズ11を収納した収納状態を示している。
【0022】
本体部12は、ベース部12Aと、突出部12Bとを備えている。本体部12は、画像形成ユニット20(図5参照)及び制御基板22(図5参照)等の主要部品を収容する。
【0023】
ベース部12Aは、図1に示す平面視において、横長の略矩形状である。突出部12Bは、ベース部12Aの一辺(端部)から突出している。突出部12Bは略矩形状であり、突出部12Bの幅は、ベース部12Aの一辺の長さの略半分程度である。そのため、本体部12は、ベース部12Aと突出部12Bとを合わせた全体として、平面視において、略L字形状である。なお、突出部12Bを有する本体部の形状は、略L字形状でなくてもよい。
【0024】
本体部12は、略L字形状の一対の主面13G及び13H(図2参照)を有する。一対の主面13G及び13Hは、図2に示すように本体部12を横置きした場合の天面及び底面に相当する。各主面13G及び13Hの一部は、本体部12Aの外周面を構成し、残りは突出部12Bの外周面を構成する。
【0025】
また、図1に戻って、本体部12は、略L字形状の一対の主面13G及び13Hの各辺に対応する側面として、第1側面13A、第2側面13B、第3側面13C、第4側面13D、第5側面13E、及び第6側面13Fの6つの側面を有している。
【0026】
第1側面13A、第2側面13B、及び第3側面13Cの3つの面は略平行である。第1側面13Aと第2側面13Bは同じ向きにある。第1側面13Aは突出部12Bの外周の一面を構成し、第2側面13Bはベース部12Aの外周の一面を構成する。第3側面13Cは、第1側面13A及び第2側面13Bの各面とは逆向きである。第3側面13Cは、その一部である部分13C1が突出部12Bの外周の一面を構成し、残りの部分13C2がベース部12Aの外周の一面を構成する。第3側面13Cにおいて、例えば、部分13C1及び部分13C2は連続している。なお、部分13C1及び部分13C2は連続していなくてもよく、部分13C1及び部分13C2の間に溝又は段差が形成されていてもよい。
【0027】
第4側面13D、第5側面13E、及び第6側面13Fの3つの側面は、第1側面13A、第2側面13B、及び第3側面13Cの3つの側面と直交している。すなわち、図1において、第1側面13A、第2側面13B、及び第3側面13Cの3つの側面は、上下方向に延びる面であり、第4側面13D、第5側面13E、及び第6側面13Fの3つの側面は、左右方向に延びる面である。
【0028】
第4側面13Dと第5側面13Eは同じ向きにある。第4側面13Dは突出部12Bの外周の一面を構成し、第5側面13Eはベース部12Aの外周の一面を構成する。第6側面13Fは、第4側面13D及び第5側面13Eの各面とは逆向きである。第6側面13Fは、ベース部12Aの外周の一面を構成する。
【0029】
以上の内容を言い換えると、筐体の一例である本体部12は、突出部12Bの一面である第1側面13Aと同じ向きである第2側面13Bをベース部12Aに備え、かつ、第1側面13Aと逆向きである第3側面13Cを備える。
【0030】
また、本明細書において、本体部12を一例として示す筐体の外周を構成する各面について、「同じ向き」及び「逆向き」のそれぞれの意味は次のとおりである。各面が「同じ向き」であるとは、各面において筐体外側に向かう外向きの法線ベクトルのなす角度が30°以下であることをいうものとする。また、本明細書において、各面が「逆向き」であるとは、各面において筐体外側に向かう外向きの法線ベクトルのなす角度が150°以上であることをいうものとする。上記例においては、第1側面13A、第2側面13B及び第3側面13Cが平行である場合、第1側面13Aと第2側面13Bの法線ベクトルのなす角度は0°であり、第1側面13Aと第3側面13Cのそれぞれの法線ベクトルのなす角度は180°である。すなわち、第1側面13A、第2側面13B及び第3側面13Cは必ずしも互いに平行である必要はなく、各面における外向きの法線ベクトルのなす角度が上記範囲を満たす範囲であればよい。
【0031】
図1において、突出部12Bの左横に生じる空間は、投射レンズ11が配置される空間である。この空間は、不使用時の投射レンズ11の外形が収まる空間であるため、本明細書においては、便宜的に投射レンズ11を収納する収納部12Cと呼ぶ。収納部12Cは、突出部12Bと同様に平面視において略矩形状をしている。つまり、図1において、本体部12の外周面のうち、上側の側面である第4側面13D及び左側の側面である第2側面13Bを、第4側面13Dと第2側面13Bとが交差する方向に延長したと仮定する。この延長された各側面13D及び側面13Bを外縁として画定される空間が、収納部12Cである。そのため、本体部12は、単体では略L字形状であるが、収納部12Cを含めた全体としてみると、平面視において略矩形状になる。
【0032】
投射レンズ11は、プロジェクタ10を使用しない場合においては、矩形状の収納部12Cから出っ張らないよう変形されたうえで、収納部12Cに収納される。
【0033】
投射レンズ11には、画像形成ユニット20で形成された画像を表す光束が本体部12から入射する。投射レンズ11は、入射した光束に基づく画像光を、光学系により拡大して結像する。これにより、投射レンズ11は、画像形成ユニット20で形成された画像の拡大像を投射対象物であるスクリーンS(図4参照)に投射する。
【0034】
投射レンズ11は、一例として、光軸を2回屈曲させる屈曲光学系(図2及び図3参照)を有しており、図1に示す収納状態では、投射レンズ11は、全体として、上方に凸の略U字形状をしている。投射レンズ11は、入射側端部14A、中間部14B、及び出射側端部14Cを備えている。中間部14Bの両端のうちの一端には、入射側端部14Aが接続され、中間部14Bの両端のうちの他端には、出射側端部14Cが接続される。入射側端部14Aには、本体部12からの光が入射する。出射側端部14Cには、出射レンズ16が設けられている。本体部12から入射側端部14Aに入射された光は中間部14Bを介して出射側端部14Cに導かれる。出射側端部14Cは、本体部12から入射側端部14A及び中間部14Bを介して導かれた光を出射レンズ16からスクリーンSに向けて光を出射する。
【0035】
入射側端部14Aは、投射レンズ11は、ベース部12Aの一辺において突出部12Bと対向して配置され、その入射側端部14Aがベース部12Aの外周面に取り付けられる。入射側端部14Aの取り付け位置は、図1の左右方向において、突出部12Bに隣接した位置であり、ベース部12Aの中央付近に位置する。投射レンズ11の収納状態において、中間部14Bは、ベース部12Aの中央付近から、突出部12Bとは反対の端部側、すなわち、図1において左側に延びている。
【0036】
図2及び図3に示すように、投射レンズ11は、屈曲光学系を備えている。屈曲光学系は、第1光軸A1、第2光軸A2、及び第3光軸A3を有する。第2光軸A2は、第1光軸A1に対して90°屈曲した光軸である。第3光軸A3は、第2光軸A2に対して90°屈曲した光軸である。
【0037】
入射側端部14Aは、本体部12に対して回転不能に取り付けられている。中間部14Bは、入射側端部14Aに対して第1光軸A1周りに回転可能である。中間部14Bには、出射側端部14Cが連結されているため、中間部14Bが入射側端部14Aに対して回転すると、出射側端部14Cも第1光軸A1周りに回転する。第1光軸A1周りの回転可能範囲は本例においては180°である。なお、中間部14Bではなく、入射側端部14Aが本体部12に対して回転可能であってもよい。
【0038】
また、出射側端部14Cは、中間部14Bに対して第2光軸A2周りに回転可能である。第2光軸A2周りの出射側端部14Cの回転に制限はなく、例えば、出射側端部14Cを360°以上回転させることも可能である。
【0039】
以上の通り、出射側端部14Cは、第1光軸A1と第2光軸A2との2軸を回転軸として回転可能である。なお、投射レンズ11には、この第1光軸A1周りの回転位置及び第2光軸A2周りの回転位置を検出する、図示しない回転位置検出センサを備えている。
【0040】
図2は、設置面18に対して、プロジェクタ10を横置きにした状態を示し、図3は、設置面18に対して、プロジェクタ10を縦置きにした状態を示す。このように、プロジェクタ10は、横置きの姿勢及び縦置きの姿勢で使用することが可能である。
【0041】
図3に示すように、突出部12Bの第4側面13Dには、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、複数の操作スイッチを有する。操作スイッチは、例えば、電源スイッチ及び調整用スイッチ等である。調整用スイッチは、各種の調整を行うためのスイッチである。調整用スイッチには、例えば、スクリーンSに投射された画像の画質調整、及び台形補正を行うためのスイッチが含まれる。
【0042】
投射レンズ11の中間部14Bの一面には、第1ロック解除スイッチ19A及び第2ロック解除スイッチ19Bが設けられている。投射レンズ11には、第1回転ロック機構と、第2回転ロック機構とが設けられている。第1回転ロック機構は、入射側端部14Aに対する中間部14Bの第1光軸A1周りの回転をロックする。第2回転ロック機構は、中間部14Bに対する出射側端部14Cの第2光軸A2周りの回転をロックする。第1ロック解除スイッチ19Aは、第1回転ロック機構に対して、中間部14Bの回転のロックを解除する指示を入力する操作スイッチである。第2ロック解除スイッチ19Bは、第2回転ロック機構に対して、出射側端部14Cの回転のロックを解除する指示を入力する操作スイッチである。
【0043】
また、図2及び図3に示すように、ベース部12Aの第2側面13Bに、電源ケーブル用の電源ケーブル口80と、映像ケーブル用の映像ケーブル口82が形成されている。映像ケーブルは、プロジェクタ10と、映像信号を出力するパーソナルコンピュータ等の外部機器とを接続する。映像ケーブルの種類としては、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface;登録商標)ケーブル、DVI(Digital Visual Interface)ケーブル、及びVGA(Video Graphics Array)ケーブルが使用出来る。
【0044】
画像形成ユニット20は、投射する画像を形成する。図5に示すように、画像形成ユニット20は、光源部23、色分離部24、及び画像光生成部25を含む。
【0045】
光源部23は、例えば、白色光源であり、白色光を色分離部24に供給する。色分離部24は、光源部23から出射された白色光を赤、緑、青の3つの色光に分離する。色分離部24で赤、緑、青に分離された色光は、画像光生成部25において、画像情報を有する、赤、緑、青の各色の画像光に変調される。そして、画像光生成部25において、変調された各色の画像光が合成されて、赤、緑、青の3色の画像情報を有する画像光が生成される。この画像光が投射レンズ11に入射される。
【0046】
光源部23は、本例において、半導体発光素子を含む発光モジュール30と、光合成部31とを含む。発光モジュール30は、半導体発光素子として、例えば、レーザ光として青色光Bを発光する半導体レーザを備えた光源である。半導体レーザは、本開示の技術に係る半導体光源の一例である。光合成部31は、偏光分離素子32と、1/4波長板34と、ミラー35と、蛍光体ホイール36とを備えている。蛍光体ホイール36は、例えば、青色光Bによって励起されて黄色光Yを発光する蛍光体を有している。すなわち、蛍光体ホイール36は、青色光Bを、青色光Bよりも長波長の黄色光Yに変換する波長変換部として機能する。本例において、光合成部31は、青色光Bの一部を黄色光Yに変換し、青色光Bと黄色光Yとを合成して白色光Wを生成する。
【0047】
発光モジュール30から射出された青色光Bは、光合成部31の偏光分離素子32に入射する。偏光分離素子32は光軸に対して45°の角度をなすように配置されている。偏光分離素子32は、入射する青色光Bをこの偏光分離素子32に対するS偏光成分とP偏光成分とに分離する偏光分離機能を有している。偏光分離素子32は、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過させる。また、本実施形態において、偏光分離素子32は波長選択性を有しており、青色光とは異なる波長帯の光を、その偏光状態にかかわらず透過させる。
【0048】
偏光分離素子32を透過したP偏光の青色光Bpは、1/4波長板34を透過して円偏光、一例として右回り円偏光の青色光Brに変換された後、ミラー35に入射する。このとき、ミラー35は、右回り円偏光の青色光Brを左回り円偏光の青色光Beとして反射する。ミラー35により反射された左回り円偏光の青色光Beは、再び1/4波長板34を透過して、S偏光の青色光Bs2となる。S偏光の青色光Bs2は偏光分離素子32で反射されて色分離部24に向かう。
【0049】
一方、偏光分離素子32で反射されたS偏光の青色光Bs1は、蛍光体ホイール36に入射する。蛍光体ホイール36は円板上にリング状に形成された蛍光体層37と、円板を回転させるモーター38とを有している。蛍光体ホイール36は、青色光Bs1が入射する入射位置が一か所に集中しないように回転する。青色光Bs1の入射位置は発熱するため、蛍光体ホイール36を回転させることで発熱部位が分散される。
【0050】
蛍光体層37は、励起光としての青色光Bs1を吸収して黄色の蛍光(以下において、黄色光という。)Yに変換して射出する蛍光体粒子を含む。蛍光体粒子としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であってもよく、また、2種以上の材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いてもよい。
【0051】
円板の表面は反射面とされており、蛍光体層37で生成された黄色光Yは、偏光分離素子32に向けて反射される。黄色光Yは偏光分離素子32を透過し、色分離部24に向かう。偏光分離素子32を透過した黄色光Yは偏光分離素子32により反射された青色光Bs2と合成され、白色光Wが生成される。
【0052】
発光モジュール30は、複数の半導体レーザが二次元状に配列された発光素子アレイを備えた構成としてもよい。光源部23としては、例えば、特開2018-21990号公報に記載の光源装置を用いることができる。
【0053】
上記のようにして、光源部23によって生成された白色光Wは照射光として色分離部24に供給される。色分離部24は、2枚のダイクロイックミラー40、42、及び3枚のミラー44、46、48を備える。この色分離部24は、光源部23から出射された照射光を2枚のダイクロイックミラー40、42により、赤、緑、青の3色の色光に分離する。また、この色分離部24は、各色光を画像光生成部25に導光する導光部材としても機能する。
【0054】
ダイクロイックミラー40は、光源部23から供給された照射光の光路上に配置されている。また、ダイクロイックミラー40は、略板状に形成され、照射光の光軸に対して略45度傾いた姿勢で配置されている。ダイクロイックミラー40は、赤色光を反射させ、緑色光と青色光とを透過させる特性を有しており、白色光である照射光のうち、赤色光成分のみを反射させ、緑色光成分と青色光成分とを透過させる。
【0055】
ダイクロイックミラー40で反射した赤色光は、ミラー44で反射されて画像光生成部25に向かう。一方、ダイクロイックミラー40を透過した緑色光と青色光とは、ダイクロイックミラー42に向かう。
【0056】
ダイクロイックミラー42は、ダイクロイックミラー40と同様に、略板状に形成され、照射光の光軸に対して略45度傾いた姿勢で配置されている。ダイクロイックミラー42は、緑色光を反射させ、青色光を透過させる特性を有しており、ダイクロイックミラー40を透過した緑色光成分及び青色光成分の照射光のうち、緑色光成分を反射させ、青色光成分を透過させる。
【0057】
ダイクロイックミラー42で反射した緑色光は、画像光生成部25に向かう。一方、ダイクロイックミラー42を透過した青色光は、ミラー46に向かう。ミラー46は、ダイクロイックミラー40、42と同様に、略板状に形成され、照射光の光軸に対して略45度傾いて設けられている。ミラー46で反射した青色光は、ミラー48に向かう。ミラー48はミラー46で反射した青色光の光軸に対して略45°傾いて設けられている。青色光はミラー48で反射されて、画像光生成部25に向かう。
【0058】
画像光生成部25は、赤色光用LCD50、緑色光用LCD52、青色光用LCD54、クロスダイクロイックプリズム56を含む。
【0059】
色分離部24において分離された3色の色光のうち、赤色光は赤色光用LCD50に向かい、緑色光は緑色光用LCD52に向かい、青色光は青色光用LCD54に向かう。
【0060】
赤色光用LCD50、緑色光用LCD52及び青色光用LCD54は、例えば、それぞれ透過型のLCDであり、画像形成パネルの一例である。
【0061】
赤色光用LCD50は、透過する赤色光を変調することによって、赤色成分の画像情報を有する赤色の画像光を生成する。赤色光用LCD50で生成された赤色の画像光は、クロスダイクロイックプリズム56に入射する。
【0062】
緑色光用LCD52は、透過する緑色光を変調することによって、緑色成分の画像情報を有する緑色の画像光を生成する。緑色光用LCD52で生成された緑色の画像光は、クロスダイクロイックプリズム56に入射する。同様に、青色光用LCD54は、透過する青色光を変調することによって、青色成分の画像情報を有する青色の画像光を生成する。青色光用LCD54で生成された青色の画像光は、クロスダイクロイックプリズム56に入射する。
【0063】
クロスダイクロイックプリズム56は、ガラスなどの透明素材を用いて略立方体に形成され、互いに交差するダイクロイック面56a、56bを内部に備えている。ダイクロイック面56bは、赤色光を反射させ、緑色光と青色光とを透過させる特性を有している。ダイクロイック面56aは、青色光を反射させ、赤色光と緑色光とを透過させる特性を有している。
【0064】
クロスダイクロイックプリズム56は、投射レンズ11の入射側端部14Aに対向して配置されている。クロスダイクロイックプリズム56に入射した赤色の画像光は、ダイクロイック面56bで反射して投射レンズ11に入射する。緑色の画像光は、各ダイクロイック面56a、56bを透過して投射レンズ11に入射する。そして、青色の画像光は、ダイクロイック面56aで反射して投射レンズ11に入射する。
【0065】
このように、クロスダイクロイックプリズム56は、入射した各色の画像光を統合することにより、赤、緑、青の3色の画像情報を有する画像光を生成し、生成した画像光を投射レンズ11に入射させる。投射レンズ11は、赤、緑、青の3色の画像情報を有する画像光をスクリーンSに投射する。これにより、フルカラーの画像がスクリーンSに表示される。
【0066】
図5に示すように、本体部12には、ベース部12Aの第2側面13B側に制御基板22が備えられている。制御基板22は制御回路を備えている。制御回路(プロセッサ)の例としては、CPU(Central processing Unit)である。制御回路は、投射装置の動作を制御する制御部、及び3枚のLCD50、52、54を駆動する駆動回路を有する。また、制御基板22には、電源回路なども設けられている。電源回路は、商用電源からの交流電圧を直流電圧に変換するAC(Alternating Current)-DC(Direct Current)コンバータ、及び内部の各部に供給する直流の駆動電圧を調整するDC-DCコンバータなどで構成される。
【0067】
既述の通り、ベース部12Aの第2側面13Bには、電源回路と電気的に接続された電源ケーブル口80(図2参照)が設けられている。この電源ケーブル口80には電源ケーブルが接続される。これにより、電源ケーブルを通じて、制御基板22に外部からの電源が供給される。本実施形態において、制御基板22は、平面視において、一部が画像形成ユニット20と重畳するように配置されているが、必ずしも画像形成ユニット20と重畳されていなくてもよい。
【0068】
光源部23は発光モジュール30を備える。発光モジュール30はレーザ発光に伴って発熱する。蛍光体ホイール36は、発光モジュール30から射出されたレーザ光の入射に伴い発熱する。また、画像光生成部25はLCD50、52、54の駆動によって発熱する。3枚の各色用のLCD50、52、54と対向する面を有するクロスダイクロイックプリズム56には、各LCD50、52、54を透過した各色の画像光が入射するために、発熱する。さらに、高出力のレーザ光が反射あるいは透過する、上述のダイクロイックミラー40、42等の各種光学素子も発熱する。さらに、制御基板22の電源回路等も発熱する。本体部12内に設けられるこれらの各種の熱源を冷却するために、本実施形態のプロジェクタ10は、吸排気機構を備えている。
【0069】
以下、吸排気機構について説明する。図6は、図5の左側から本体部を見た図であり、図7図5の右側から本体部を見た図である。但し、図6は、本体部12から投射レンズ11を取り外した状態を示している。
【0070】
図5~7に示すように、プロジェクタ10は、突出部12Bの第1側面13Aに第1吸気口60を備える。上述のとおり、突出部12Bの第1側面13Aは、投射レンズ11と対向する面である。また、プロジェクタ10は、第1吸気口60に対向して、突出部12Bの内部側に、第1吸気口60から気体としての空気を突出部12Bの内部に吸気する第1吸気ファン62を備える。さらに、プロジェクタ10は、この第1吸気ファン62により吸気された空気をベース部12A内に誘導する誘導機構としてダクト64を備える。
【0071】
ダクト64は、第1吸気ファン62によって吸気される空気の少なくとも一部をベース部12Aに導くように配置されている。本実施形態においては、図8に示すように、ダクト64は、その一方の開口64aが吸気ファン62の表面の略半分程度を覆うように配置され、他方の開口64bがベース部12A側に向くように配置されている。
【0072】
図8中において破線矢印で示すように、第1吸気口60から空気が吸引ファンにより吸気されて、突出部12B内部に供給される。このとき、その一部はダクト64の一方の開口64aからダクト64内部に供給され、ダクト64を通って他方の開口64bから排出される。この際、開口64bはベース部12Aに向いているので、ダクト64を通った空気はベース部12Aに向かって排出されることとなる。なお、第1吸気口60から吸気された空気の他の一部はダクト64に供給されず、そのまま突出部12B内に流れ込む。ダクト64の開口64aが吸気ファン62の表面の略半分程度のみを覆うように配置されているのは、突出部12B内に位置する発光モジュール30に対して冷却風を供給するためである。発光モジュール30のような熱源が突出部12Bに配置されていない場合には、ダクト64の開口64aは吸気ファン62の全体を覆い、吸気された全ての空気をベース部12A側に排出するように構成してもよい。
【0073】
また、図5に示すように、プロジェクタ10は、ベース部12Aに備えられている第2側面13Bに第1排気口70を備え、第3側面13Cに第2排気口74を備える。さらに、プロジェクタ10は、第1排気口70及び第2排気口74のそれぞれから排気する複数の排気ファン72a、72b、76a、76b及び76cを備える。具体的には、プロジェクタ10は、第1排気口70に対向して、ベース部12Aの内部側に2つの第1排気ファン72a、72bを備える。また、第2排気口74に対向して、突出部12B及びベース部12Aの内側に3つの第2排気ファン76a、76b及び76cを備える。
【0074】
本例において、それぞれの吸気口60及び2つの排気口70、74には、例えば、複数の小孔が形成されたパンチングメタルなどの多孔部材60a、70a、74aがそれぞれ設置されている。多孔部材に設けられている孔形状は円形に限らず、楕円及び多角形状等どのような形状であってもよく、その数も限定されない。また、吸気口及び排気口は、筐体の面自体に形成された複数の小孔から構成されていてもよい。
【0075】
図9に、本体部12における空気の流れは矢印で示されている。既述の通り、第1吸気口60から吸気された空気は、突出部内に吸気され、その一部がダクト64を通ってベース部12Aの内部に供給され、一部はそのまま突出部12Bの中心部に供給される。ダクト64からベース部12Aに導かれた空気は、画像光生成部25、色分離部24、及び光源部23の光合成部31に流れ、それぞれの部位を冷却する。その後、ベース部12A内の空気は第1排気口70及び第2排気口74から排気される。
【0076】
本開示の技術に係る一つの実施形態によれば、プロジェクタ10は、ベース部12Aと突出部12Bとを備えた筐体の突出部12Bに第1吸気口60を備え、第1吸気ファン62によって突出部12Bに内部に吸気された空気をベース部12A内に誘導する誘導機構の一例であるダクト64を備えている。本構成により、ベース部12A内に配置されている画像光生成部25、色分離部24及び光合成部31等に外部から取り込んだ空気を供給することができる。外部から取り込まれる空気は本体部12内の空気よりも温度が低い。したがって、外部から本体部12内に空気を取り込むことにより、画像光生成部25、色分離部24、光合成部31及び制御基板22内の電源回路等の各種の熱源を冷却することができる。
【0077】
筐体の一例である本体部12は、ベース部12Aとベース部12Aの一面から突出した突出部12Bとで構成されており、平面視において全体としてL字型をしている。そのため、外観上は、突出部12Bはあたかもベース部12Aの一部が突出したようになる。本体部12の内部においては、突出部12Bの内部は、ベース部12Aから見ると、行き止まりになって通り抜けができない袋状に形成される。この場合、突出部12Bに吸気口を設けずに、かつ、ベース部12Aから空気を取り込むだけでは、突出部12Bに空気を供給しにくい。本開示の技術によれば、突出部12Bに設けた吸気口から空気を取り込み、取り込んだ空気を誘導機構によってベース部12Aに供給することができるため、筐体の一例である本体部12が平面視においてL字型の場合であっても、突出部12Bに吸気口が無い場合と比較して、本体部12の内部全体に空気を行き渡らせることが可能となる。筐体が平面視においてL字型をしている場合でも、筐体内部に分散して配置されている複数の熱源の冷却効果を高めることができる。
【0078】
また、本例では、ベース部12Aの第2側面13B側に制御基板22が配置されている。この制御基板22には電源回路が設けられており、電源回路は主要な熱源の一つである。そのため、第2側面13Bから外気を取り込む構成とした場合、取り込んだ外気が制御基板22の熱で温められ、温められた空気がベース部12Aの各部に供給される。この場合は電源回路に対する冷却効果は高いが、その他の熱源に対する冷却効果は著しく低下する懸念がある。本例のように、突出部12Bから外気を取り込み、誘導機構によって取り込んだ空気をベース部12Aに誘導することにより、熱源による温度上昇の影響を回避しつつベース部12Aに空気を供給することができる。そのため、ベース部12Aの各部の熱源を比較的均等に冷却することが可能となる。
【0079】
投射レンズ11は、突出部12Bと対向して配置され、ベース部12Aの外周面に取り付けられる。本例のように、突出部12Bがベース部12Aの略右半分の領域に配置されている場合は、投射レンズ11は、図5における略左半分の領域に位置する。ベース部12A内において、クロスダイクロイックプリズム56は、投射レンズ11の入射側端部14Aと対向して配置される。そして、上述の通り、クロスダイクロイックプリズム56の3つの側面には、電気光学素子の一例である赤、緑及び青の各色用のLCD50、52、54が配置されている。従って、本例において、電気光学素子は、ベース部12Aの中央付近に配置されることになる。
【0080】
蛍光体ホイール36は、ベース部12Aの対向する2つの第2側面13Bおよび第3側面13Cのうちの突出部12Bに近い第3側面13C側に配置されている。また、本例において、画像光生成部25は、ベース部12Aの中央付近に配置されることになる。そのため、ベース部12Aの内部において、蛍光体ホイール36を、突出部12Bに近い側面側に配置されていることで、蛍光体ホイール36と、画像光学素子を含む画像光生成部25との間隔を空けることができる。本体部12において熱源となるこれらの部材を、ある程度の距離を保って配置することにより、各熱源の相互間における熱の影響を抑制することができ、吸排気機構によるそれぞれの熱源の冷却効果が高まる。
【0081】
また、上述のとおり制御基板22の電源回路等も発熱する。本例において、制御基板22は、ベース部12Aの対向する2つの第2側面13Bおよび第3側面13Cのうちの突出部12Bから遠い第2側面13B側に配置されている。これにより、制御基板22と、画像光生成部25との間隔を空けることができる。この場合も熱源同士の間隔をあけることで、吸排気機構によるそれぞれの熱源の冷却効果が高まる。
【0082】
ここで、対向する2つの第2側面13Bおよび第3側面13Cのうち突出部12Bに近い側の側面とは、平面視において、ベース部12Aの幅方向(図5に示す左右方向)の中心に対して突出部12Bが備えられている側(図5に示す右側)に位置する側面をいう。同様に、突出部12Bに遠い側とは、図5に示す平面視において、ベース部12Aの幅方向(図5に示す左右方向)の中心に対して突出部12Bが備えられていない側(図5に示す左側)に位置する側面をいう。
【0083】
さらに、本例においては、図9において示すように、投射レンズ11に対向する第1側面13Aに第1吸気口60が形成されている。その結果、第1側面13Aは、図9において、ベース部12Aの左右方向において中央付近に位置することになる。そして、第1側面13Aから取り込んだ空気は、ダクト64によってベース部12Aに誘導される。第1側面13Aが中央付近にあるため、ダクト64を通じて、冷却用の空気をベース部12Aの中央付近に供給しやすい。そのため、例えば、ベース部12Aの両側面から空気を供給する場合と比較して、ベース部12Aの中央付近に配置されている熱源に対する冷却効果が高い。というのも、吸気口からベース部12Aの中央付近の熱源までの距離を短くできるためである。本例においては、ベース部12Aの中央付近には、画像光生成部25が配置されており、画像光生成部25の冷却効果を高めることができる。
【0084】
なお、突出部12B側から取り込んだ外気をベース部12A側に供給する方法としては、例えば、第1吸気口60を突出部12Bの第3側面13Cに配置し、ダクト64を長く伸ばしてベース部12Aの中央付近に開口64bを配置することも考えられる。こうした場合でも、プロジェクタ10は、ベース部12Aの中央付近に冷却用の空気を誘導できる。しかし、本例のように、第1側面13Aに第1吸気口60を備えることで、ダクト64を長くすることなく、ベース部12Aの中央付近に冷却用の空気を誘導できる。そのため、長いダクトを配置するスペースを削減できる。ダクトが短い方が吸気の効率も良い。
【0085】
なお、本例のように、第1吸気口60が第1側面13Aに形成されていれば、第1吸気口60が投射レンズ11の影になるため、投射レンズ11によって、第1吸気口60からの塵埃の侵入を抑制できる。また、第1吸気口60が投射レンズ11の影になるため、第1吸気口60が外部から視認されにくく、すっきりとした外観の本体部12が得られる。ベース部12Aの中央付近に外気を導入する方法としては、ベース部12Aの主面13G及び13Hにおいて、画像光生成部25と対向する位置に設ける方法もある。しかし、主面13G及び13Hに吸気口を設けると、外観のデザイン性を損ねるという問題がある。本例のように、第1吸気口60を第1側面13Aに形成することで、外観のデザイン性の低下を抑制しつつ、ベース部12Aの中央付近への外気の導入がしやすくなる。
【0086】
また、本例においては、筐体の一例である本体部12において、第1排気口70を第1側面13Aと同じ向きの第2側面13Bに備え、第2排気口74を第1側面13Aと逆向きの第3側面13Cに備えている。このため、第1吸気口60から吸気された空気を、本体部12内において、図9に示すベース部12Aの左右方向に流すことができる。これにより、本体部12内において均等に冷却用の空気を行き渡らせることができる。また、本体部12において、向きが異なる面にそれぞれ第1排気口70と第2排気口74とを設けたため、片側の面にのみ排気口を設ける場合と比べて、本体部12内に空気を滞留させることなく、スムーズに排出させることができる。空気の排出がスムーズになると、温度の低い外気の単位時間当たりの取り込み量の増加も見込める。これにより、冷却効果を高めることができる。
【0087】
(第1吸気口の配置の変形例)
突出部12Bに設けられる第1吸気口60について、上記例では第1側面13Aに形成される例で説明したが、第1吸気口60が形成される面は、第1側面13Aに限られず、突出部12Bの他の面に設けられていてもよい。第1吸気口60が第1側面13Aに形成されていない場合でも、突出部12Bに設けられていれば、突出部12B側から取り入れた外気を、ダクト64を一例として示した誘導機構を用いて、ベース部12Aに供給することができる。このため、本体部12を一例として示した筐体が平面視においてL字型をしている場合でも、筐体内部に分散して配置されている複数の熱源の冷却効果を高めるという効果は得られる。
【0088】
また、ベース部12Aの中央付近に冷却用の空気の供給のしやすさを目的として、上記例ではさらに第1吸気口60を第1側面13Aに設ける例で説明した。しかし、同様の効果を得るためには、必ずしも第1側面13Aに第1吸気口60を設けなくてもよい。
【0089】
例えば、突出部12Bにおいて、投射レンズ11側の領域に第1吸気口60が形成されていれば、第1側面13Aに第1吸気口60を備えた場合と同様の効果を得ることができる。突出部12Bの投射レンズ11側の領域とは、図10において斜線のハッチングで示す領域である。この領域は、突出部12Bにおいて、投射レンズ11に最も近い位置から最も遠い位置までの距離Dの中心より投射レンズ11に近い領域である。こうした領域は、突出部12Bにおいてベース部12Aの中央付近に近い。そのため、第1側面13A以外でも、図10においてハッチングで示す投射レンズ11側の領域に第1吸気口60が設けられていれば、第1側面13Aに設けた場合と同様の効果を期待できる。
【0090】
もちろん、上述したとおり、第1側面13Aは、投射レンズ11の影になる面であるため、第1側面13Aに第1吸気口60を設けることにより、塵及び埃の進入を抑制できること、外観のデザイン性の棄損を抑制できること、といった種々の効果がある。そのため、こうした観点を考慮すると、第1吸気口60を設ける面は、より好ましくは、第1側面13Aである。
【0091】
(誘導機構の変形例1)
なお、本体部12内部において、光源部23、色分離部24、及び画像光生成部25を含む画像形成ユニット20は、一体としてエンクロージャー内に収納されている場合がある。そのような場合には、誘導機構が、第1吸気口60から吸気された空気をベース部12A側のエンクロージャーの対向する2つの主面に導く構成であることが好ましい。ここで、エンクロージャーの対向する2つの主面とは、本体部12の対向する2つの主面13G及び13Hのそれぞれと対向する面である。エンクロージャーの対向する2つの主面は、各主面の各辺と接する側面と比較して、面積が大きい。そのため、2つの主面を冷やすことで、エンクロージャー内の画像形成ユニット20を全体的に冷却することができる。
【0092】
具体的には、図11に示すように、誘導機構の一例であるダクト164のようにすることが考えられる。ダクト164は、ベース部12A側の端部が二股に形成され、上下に分かれた2つの開口164bを備え、第1吸気口側の開口164aから吸気された空気をベース部12Aの両主面側に誘導する形状を有している。これにより、エンクロージャーに内包された画像形成ユニット20の両主面に空気が吹き付けられるので、画像形成ユニット20全体を全体的に冷却することができる。
【0093】
(誘導機構の変形例2)
上記例において、誘導機構としてダクト64、164を例示して説明したが、誘導機構はダクトのような管状の部材に限らない。ダクト以外の誘導機構の例としては、例えば筐体の内部に設けられた仕切り部材が考えられる。仕切り部材としては、例えば図12に示すような突出部12Bの内部に設けられた板状の仕切り部材である仕切り板66がある。図12に示す仕切り板66は、両端が逆向きの90°に折れ曲がったクランク状の形状をなしているが、第1吸気ファン62により吸気された空気の少なくとも一部をベース部12A側に誘導するように構成されていればよく、例えば、L字型などであってもよい。
【0094】
誘導機構として仕切り板66を備えた場合にも図13に示すように、ダクト64を備えた場合と同様の空気の流れが生じ、ベース部12A内に配置された熱源の冷却効果が高まる。
【0095】
また、誘導機構は、図14に示すような仕切り板68であってもよい。仕切り板68には開口68aが設けられており、吸気ファン62により吸気された空気の一部を通過させて突出部12Bのさらに内部へ流れ込ませ、他の一部をベース部12A側に誘導する。仕切り板68を備えた場合もダクト64を備えた場合とほぼ同様の空気の流れが生じ、ベース部12A内に配置された熱源の冷却効果が高まる。
【0096】
誘導機構を、ダクトで構成するか、あるいは、仕切り部材で構成するかは、本体部12内のスペース及び各部品のレイアウト等を考慮して適宜決定される。
【0097】
(排気量について)
図1~9を参照して説明した本実施形態のプロジェクタ10において、複数の排気ファン72a、72b、76a、76b、76cの排気量E1a、E1b、E2a、E2b、E3bは同一であってもよい。一方、図15に示すように、複数の排気ファンのうち、第1吸気ファン62からの距離が遠い排気ファンは、第1吸気ファン62からの距離が近い排気ファンよりもファンの単位時間当たりの回転数を大きくしてもよい。これにより、第1吸気ファン62から吸気された空気の流れは、第1吸気ファン62から離れた箇所まで広がりやすい。なぜならば、排気ファンが2つある場合、排気ファンの距離が遠いほど、排気ファンの場所まで空気を引き込む引き込み量が減るため、空気が届きにくい。距離が遠い排気ファンの回転数を大きくすることで、引き込み量の低下を抑制することができるからである。これによって、各排気ファンの排気量を均一化できる。なお、複数の排気ファンは、第1吸気ファン62からの距離が異なっているが、排気ファンの単位時間当たりの回転が同一の排気ファン群を有していてもよい。また、特定の排気ファンの排気量を上げるための別手段として、特定の排気ファンを構成するファン(羽根)の大きさを大きくしてもよい。
【0098】
第1吸気ファン62と各排気ファン72a、72b、76a、76b、76cとの距離については、図16を参照して説明する。
【0099】
図16に示す平面視において、第2排気ファン76a、76b、76cのように、第1吸気ファン62との中心間を結ぶ線分の全てが筐体内にある排気ファンについては、その線分の長さを第1吸気ファン62との距離とする。一方、第1排気ファン72a及び72bのように、第1吸気ファン62との中心間を結ぶ線分の一部が筐体外部に出る場合には、以下のように距離を定める。まず、第1吸気ファン62の筐体内側の表面の延長線と、突出部12Bとベース部12Aとの境界線との交点Pを求める。そして、交点Pと第1吸気ファン62の中心とを結ぶ線分の長さと、交点Pと排気ファンの中心とを結ぶ線分の長さとの和を第1吸気ファン62との距離とする。
【0100】
図16に示すように、第1吸気ファン62と第2排気ファン76aとの距離はL2a、第1吸気ファン62と第2排気ファン76bとの距離はL2b、第1吸気ファン62と第2排気ファン76cとの距離はL2cである。また、第1吸気ファン62と第2排気ファン72aとの距離はL1a、第1吸気ファン62と第2排気ファン72bとの距離はL1bである。ここで、各距離は、L2a<L2b<L2c<L1a<L1bの関係にある。
【0101】
羽根の数及び形状(厚みを含む)がほぼ同様であることを前提とすれば、複数の排気ファンの直径が同一サイズである場合、単位時間当たりの回転数が大きいほど排気量が大きい。ここで、第1排気ファン72a、72bの回転数をそれぞれR1a、R1bとし、第2排気ファン76a、76b、76cの回転数をそれぞれR2a、R2b、R2cとする。この場合、第1吸気ファンとの距離が遠い排気ファンほど回転数が大きくなるように、R2a<R2b<R2c<R1a<R1bと設定する。
【0102】
また、排気ファンは、羽根の数及び形状を変化させたり、あるいは、直径を変化させることによって排気量を変化させることができる。したがって、第1吸気ファンからの距離が遠いほど、羽根の数、形状及び直径を変化させた排気量の大きな排気ファンを配置することによって、上記排気量の関係を実現することもできる。
【0103】
また、本例のように、排気ファンの数に比べて吸気ファンの数が少ない場合は、第1吸気ファン62の吸気量は複数の排気ファン72a、72b、76a、76b、76cの平均排気量よりも大きくすることが好ましい。吸気と排気のバランスを取るためである。
【0104】
(吸気口の数の変形例)
上記実施形態においては、吸気口として、突出部12Bの第1側面13Aに第1吸気口60のみを備えているが、図17に示すように、さらに、第2吸気口61を備えていてもよい。図17に変形例のプロジェクタ10の平面模式図を示す。以下において、上記実施形態の投射装置と同一の要素には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0105】
図17に示すプロジェクタ10においては、突出部12Bの第1側面13Aと交差する第4側面13Dに第2吸気口61が形成されており、この第2吸気口61から、気体としての空気を突出部12Bの内部に吸気する第2吸気ファン63を備えている。また、図17に示すプロジェクタ10においては、第1吸気ファン62の表面全体を覆うダクト65を備えている。
【0106】
上記構成により、第1吸気口60から突出部12B内に吸気された空気はほぼすべてがダクト65によりベース部12Aに誘導されてベース部12A内に供給される。一方、第2吸気口61から突出部12B内に吸気された空気は、発光モジュール30に吹き付けられる。発光モジュール30に吹き付けられた空気の一部は、ベース部12Aに流れ込む前に、突出部12Bに備えられている第2排気ファン72aにより外部に排出される。また、他の一部はベース部12A側に流れ込んだ後に、第2排気ファン72b、72cにより排出される。
【0107】
このように、第1吸気口60に加え、第2吸気口61を備え、それぞれに第1吸気ファン62、第2吸気ファン63を備えることによって、筐体内部に分散して配置されている複数の熱源の冷却効果をさらに高めることができる。すなわち、図17に示す例においては、追加した第2吸気口61及び第2吸気ファン63を、主として、主要な熱源の一つである発光モジュール30の冷却に使用することができる。そのため、第1吸気口69及び第1吸気ファン62のみを設けた場合と比較して、ベース部12A内の熱源と、突出部12B内の熱源とのそれぞれの冷却効果をさらに高めることができる。
【0108】
「第2実施形態」
上記例においては、電気光学素子として、例えば、透過型のLCDからなる赤色光用LCD50、緑色光用LCD52及び青色光用LCD54を用いたが、電気光学素子はこれに限らない。反射型の画像形成パネルであるDMDを電気光学素子として用いてもよい。
【0109】
図18は、第2の実施形態のプロジェクタ110を示す図である。本実施形態のプロジェクタ110は、第1実施形態のプロジェクタの画像形成ユニット20に代えて画像形成ユニット120を備えている。画像形成ユニット120は、光源部123と、光分離導光部124と、画像光生成部125を含む。
【0110】
光分離導光部124は、カラーフィルタホイール140、図示しないリレーレンズ光学系、及び複数のミラー142、144を備えている。カラーフィルタホイール140は、円板上に赤色光、緑色光、青色光のみを透過する各カラーフィルタを円周方向に所定の間隔で備えている。カラーフィルタホイール140が回転することで、光源部23からの白色光は、赤、緑、青の各色に時分割で色分離される。その後、各色光は、リレーレンズ光学系及び複数のミラー142、144を経て、画像光生成部125に導光される。
【0111】
画像光生成部125は、反射型のLCDであるDMD154及びTIR(Total Internal Reflector)プリズム150を備える。DMDは、周知の通り、照射される光の反射方向を変化させることが可能な複数のマイクロミラーを有しており、各マイクロミラーを画素単位で二次元に配列した画像表示素子である。
【0112】
光分離導光部124を経て、画像光生成部125に導光された各色光は、TIRプリズム150を介してDMD154に対して、例えば、赤色光、緑色光及び青色光の順番で選択的に入射する。DMD154は、画像の各画素値に応じて各マイクロミラーの向きを変化させることで、各色光を、画像情報を有する各色の画像光に変調する。
【0113】
こうして得られた各色の画像光が、投射レンズ11に選択的に入射され、図4の場合と同様に投射レンズ11は画像光をスクリーンに向けて投射する。各色の画像光は、スクリーン上で統合されて、スクリーンには、フルカラーの画像が表示される。
【0114】
第2実施形態のプロジェクタ110も、第1実施形態のプロジェクタ10と同様に本体部12はL字型をしており、同様の吸排気機構を備えている。したがって、第1実施形態のプロジェクタ10と同様の本体部12を一例として示す筐体が平面視においてL字型をしている場合でも、筐体内部に分散して配置されている複数の熱源の冷却効果が高い。第2実施形態のプロジェクタ110において、複数の熱源は、光源部123、光分離導光部124、画像光生成部125、及び制御基板22内の電源回路等である。
【0115】
(排気方向を変化させる機構)
さらに、本実施形態のプロジェクタ110においては、第2側面13Bに、空気の排気方向を変化させる可変機構130を備えている。可変機構130は、複数の細長い羽板132が平行に並べられた構成を有する可変ルーバー134とルーバー制御部136(図19参照)を備えている。
【0116】
可変ルーバー134は、第1排気口70の外側に配置されている。可変ルーバー134の羽板132の角度は可変であり、羽板132の角度を変化させることによって、空気の排出方向を変化させることができる。
【0117】
ルーバー制御部136は、投射レンズ11による画像光の投射方向に連動して可変ルーバー134の羽板132の角度を変化させる。プロジェクタ110は、投射レンズ11の第1光軸A1周りの回転位置及び第2光軸A2周りの回転位置をそれぞれ検出する回転位置検出センサ111を備えている。第1光軸A1周りの回転位置及び第2光軸A2周りの回転位置によって投射レンズ11による画像光の投射方向が定まる。図19に示すように、ルーバー制御部136は、投射レンズ11の第1光軸A1及び第2光軸A2周りの回転位置を検出する回転位置検出センサ111と接続されている。ルーバー制御部136は回転位置検出センサ111からの回転位置に関する情報、すなわち画像光の投射方向に関する情報に基づいて、ルーバー134の羽板132の角度を制御する。例えば、ルーバー制御部136は、画像光の投射方向と羽板の角度とが対応づけられたルックアップテーブルを備え、検出された投射方向に対応した羽板角度に調整するよう構成されていればよい。
【0118】
上記構成により、投射レンズ11による画像光の投射方向に連動して第1排気口70から排気される空気の排気方向を変化させることができる。
【0119】
なお、ルーバー制御部136は、投射レンズ11による画像光の投射方向と第2側面13Bからの排気方向が異なる向きとなるように羽板132の角度を変化させることが好ましい。例えば、図20に示すように、投射レンズ11による画像光の投射方向(図中破線で示す第3光軸A3の向き)が、第2側面13Bと同じ向きである場合、排気方向が第2側面13Bに対して斜め下向きとなるように、可変ルーバー134の羽板132を傾ける。また、例えば、図21に示すように、投射レンズ11による画像光の投射方向(図中破線で示す第3光軸A3の向き)が第6側面13Fと同じ向きである場合、第2側面13Bからの排気方向が投射方向と逆向きとなるように可変ルーバー134の羽板132を傾ける。
【0120】
このように、投射レンズ11による画像光の投射方向と第2側面13Bからの排気方向が異なる向きとなるように羽板132の角度を変化させることによって、投射レンズ11から投射される画像光の投射範囲へ、排気口から排気される熱風が進入することを抑制することができる。熱風の投射範囲への進入を抑制することにより、熱風に起因する画像の揺らぎを抑制することができる。なお、プロジェクタ110を使用しない場合には、図18に示すようにルーバーを閉じた状態としておくことで、排気口からの塵埃の侵入を防止することができ、好ましい。
【0121】
なお、上記例においては、ルーバー制御部136を備えて、画像光の投射方向に応じて、自動的に羽板の角度を調整するものとしたが、ルーバー制御部136を備えず、手動で羽の向きを変化させるように構成されていてもよい。
【0122】
また、可変ルーバー134に限らず、羽板の角度が固定されたルーバーを備えてもよい。例えば、多用される投射方向と異なる排出方向となるような角度で羽板が取り付けられたルーバーを備えればよい。
【0123】
上記例においては、第2側面13Bにのみ可変ルーバー134を備えたが、第3側面13Cのみ、あるいは第2側面13B及び第3側面13Cの両方にルーバーを備えてもよい。すなわち、本体部12が、ベース部12Aに第1側面13Aと同じ向きである第2側面13B、又は第1側面13Aと逆向きにある第3側面14Cを有する場合、投射レンズの投射方向に連動して、第2側面、又は第3側面に形成された排気口(ここでは、第1排気口又は第2排気口)からの排気方向を変化させる可変機構を備えてもよい。また、ルーバーを備えず、投射レンズの投射方向と同じ向きの面に設けられている排気口からの排気量を抑制するように、その排気口に備えられている排気ファンの回転数を下げるようにしてもよい。なお、ルーバー制御部136は、図5等の制御基板22の内部に形成され、制御回路により制御されている。
【0124】
なお、上記可変機構130については、第1実施形態のプロジェクタ10と組み合わせてもよい。
【0125】
(その他)
上記各実施形態においては、熱源の冷却機構として、空気で冷却する空冷機構としての吸排気機構を備えた例で説明したが、プロジェクタには、さらに、液体で冷却する液体冷却機構を備えてもよい。図22に示すように、例えば、液体冷却機構160は、平面視において制御基板22と一部重畳する位置に配置することができる。液体冷却機構を備えることによって、筐体内部の各熱源の冷却効果をさらに高めることができる。液体冷却機構の構造例としては、例えば、特開2019-78913号公報、又は特開2013-164595号公報に開示されている。
【0126】
上記各実施形態においては、光源部23に備えられている発光モジュール30が半導体発光素子として半導体レーザを備えた例を説明したが、半導体発光素子として発光ダイオードを備えていてもよい。また、上記例で光源部23に備えられている光合成部31においては、黄色蛍光体を備えた例を説明したが、プロジェクタ10は黄色蛍光体の代わりに緑色蛍光体と赤色蛍光体を用いても良い。また、黄色蛍光体の代わりに緑色レーザ光源と赤色レーザ光源を用いても良い。あるいは、光源部23は、発光モジュール30と光合成部31とを備えた構成に限らず、キセノンランプやメタルハライドランプ及び超高圧水銀ランプなどの高輝度ランプを備えたものであってもよい。
【0127】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
図20
図21
図22