(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】めっき装置、及びめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/10 20060101AFI20220729BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20220729BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
C25D17/10 A
C25D21/12 D
C25D7/12
(21)【出願番号】P 2022531467
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006061
【審査請求日】2022-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悠水
(72)【発明者】
【氏名】辻 一仁
(72)【発明者】
【氏名】長井 瑞樹
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-098399(JP,A)
【文献】特開2017-137519(JP,A)
【文献】特開2020-172682(JP,A)
【文献】特開2001-131799(JP,A)
【文献】特開昭58-113399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0211144(US,A1)
【文献】国際公開第2017/110432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
C25D 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき槽と、
基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、
前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、
前記アノードマスクの開口寸法を調整するように構成された調整機構と、
前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量に基づいて前記調整機構を制御するコントローラと、
を備えるめっき装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量と前記アノードマスクの開口寸法との予め定めた関係に、前記電解量を適用することにより前記開口寸法を設定して前記調整機構を制御する、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量が大きいほど前記アノードマスクの開口寸法を小さくするように前記調整機構を制御する、請求項1又は2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記アノードマスクと前記基板ホルダとの間に設けられ、前記アノードと前記基板との間
に流れる電流が通過する開口を有するレギュレーションプレートを更に備え、
前記調整機構は、前記アノード
マスクの開口寸法と前記レギュレーションプレートの開口寸法とを調整するように構成され、
前記コントローラは、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量に基づいて前記調整機構を制御する、
請求項1から3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記基板ホルダは、前記めっき槽内において、被めっき面を下方に向けた状態で前記基板を保持するように構成される、請求項1から4の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記基板ホルダは、前記めっき槽内において
、被めっき面を側方に向けた状態で前記基板を保持するように構成される、請求項1から4の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
めっき装置におけるめっき方法であって、
前記めっき装置は、
めっき槽と、
基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、
前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、
を備え、
前記めっき方法は、
前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量を算出することと、
前記算出した電解量に基づいて前記アノードマスクの開口寸法を調整することと、
を含む、めっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、及びめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板の表面に設けられた微細な配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に配線を形成したり、基板の表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりすることが行われている。この配線及びバンプを形成する方法として、例えば、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法等が知られている。近年では、半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電解めっき法で配線又はバンプを形成する場合、基板上の配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に設けられるバリアメタルの表面に電気抵抗の低いシード層(給電層)が形成される。このシード層の表面において、めっき膜が成長する。近年、配線及びバンプの微細化に伴って、より薄い膜厚のシード層が用いられている。シード層の膜厚が薄くなると、シード層の電気抵抗(シート抵抗)が増加する。
【0004】
一般的に、めっきされる対象物である基板は、その周縁部に電気接点を有する。このため、基板の中央部には、めっき液の電気抵抗値と基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値との合成抵抗に対応する電流が流れる。一方で、基板の周縁部(電気接点近傍)には、ほぼ、めっき液の電気抵抗値に対応する電流が流れる。即ち、基板の中央部には、基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値の分だけ、電流が流れにくい。この、基板の周縁部に電流が集中する現象はターミナルエフェクトと呼ばれる。
【0005】
比較的薄い膜厚のシード層を有する基板は、基板の中央部から電気接点までのシード層の電気抵抗値が比較的大きい。このため、比較的薄い膜厚のシード層を有する基板にめっきを行う場合、ターミナルエフェクトが顕著になる。その結果、基板の中央部におけるめっき速度が低下し、基板の中央部におけるめっき膜の膜厚が基板の周縁部におけるめっき膜よりも薄くなり、膜厚の面内均一性が低下する。
【0006】
ターミナルエフェクトによる膜厚の面内均一性の低下を抑制するために、基板に加わる電界を調整することが行われている。たとえば、アノード表面における電位分布を調整するためのアノードマスクを有するめっき装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、アノードとしては、めっき電流により溶解する溶解性のアノードが広く使用されている。本発明者らの研究により、溶解性のアノードを使用して電解めっきを行う場合、アノードの溶解に伴って、めっき膜厚の面内均一性が変化することが分かった。つまり、めっきの進行と共に溶解性のアノードが溶解し、基板とアノードとの距離が変化する。そして、基板とアノードとの距離が変化することにより、めっき液を介した電気抵抗値が変化し、膜厚の面内均一性が変化することが分かっている。
【0009】
以上の実情に鑑みて、本願は、基板に形成されるめっき膜の均一性を向上させることができるめっき装置等を提案することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、めっき装置が提案され、かかるめっき装置は、めっき槽と、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、前記アノードマスクの開口寸法を調整するように構成された調整機構と、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量に基づいて前記調整機構を制御するコントローラと、を備える。
【0011】
別の一実施形態によれば、めっき装置におけるめっき方法が提案される。前記めっき装置は、めっき槽と、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、を備える。そして、前記めっき方法は、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量を取得または推定することと、前記取得または推定した電解量に基づいて前記アノードマスクの開口寸法を調整することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態におけるめっき装置の全体配置図である。
【
図2】
図1に示しためっきモジュール10の概略側断面図である。
【
図3】アノードマスクの概略正面図であり、第1の開口の寸法が比較的大きいときのアノードマスクを示す。
【
図4】アノードマスクの概略正面図であり、第1の開口の寸法が比較的小さいときのアノードマスクを示す。
【
図5A】第2の開口の径が比較的大きい状態のレギュレーションプレートの部分側断面図である。
【
図5B】第2の開口の径が比較的大きい状態のレギュレーションプレートの平面図である。
【
図6A】第2の開口の径が比較的小さい状態のレギュレーションプレートの部分側断面図である。
【
図6B】第2の開口の径が比較的小さい状態のレギュレーションプレートの平面図である。
【
図7】アノード総電解量と、アノードマスクの第1の開口の径との関係の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態におけるめっき装置の全体配置図である。本実施形態におけるめっき対象物は、半導体ウェハ等の基板である。基板は、四角形または六角形といった角形基板、及び円形基板を含む。
図1に示すように、このめっき装置は、基板ホルダ11に基板をロードし、又は基板ホルダ11から基板をアンロードするロードポート170Aと、基板を処理する処理部170Bとに大きく分けられる。
【0015】
ロードポート170Aは、2台のカセットテーブル102と、アライナ104と、スピンリンスドライヤ106とを有する。カセットテーブル102には、半導体ウェハ等の基板を収納したカセット100が搭載される。アライナ104は、基板のオリフラ(オリエンテーションフラット)及びノッチなどの位置を所定の方向に合わせるために設けられている。スピンリンスドライヤ106は、めっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させるために設けられている。スピンリンスドライヤ106の近くには、基板ホルダ11を載置して基板の着脱を行う基板着脱機構120が設けられている。これらのユニット100,104,106,120の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置122が配置されている。
【0016】
基板着脱機構120は、レール150に沿って横方向にスライド自在な平板状の載置プレート152を備えている。2個の基板ホルダ11は、この載置プレート152に水平状態で並列に載置されている。そして、一方の基板ホルダ11と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われた後、載置プレート152が横方向にスライドされ、他方の基板ホルダ11と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われる。
【0017】
めっき装置の処理部170Bは、ストッカ124と、プリウェット槽126と、プリソーク槽128と、第1洗浄槽130aと、ブロー槽132と、第2洗浄槽130bと、めっきモジュール10におけるめっき槽50と、を有する。ストッカ124では、基板ホルダ11の保管及び一時仮置きが行われる。プリウェット槽126では、基板が純水に浸漬される。プリソーク槽128では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。第1洗浄槽130aでは、プリソーク後の基板が基板ホルダ11と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽132では、洗浄後の基板の液切りが行われる。第2洗浄槽130bでは、めっき後の基板が基板ホルダ11と共に洗浄液で洗浄される。ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、ブロー槽132、第2洗浄槽130b、及びめっき槽50は、一例として、この順に配置されている。
【0018】
めっきモジュール10は、例えば、オーバーフロー槽54を備えた複数のめっき槽50を有する。各めっき槽50は、内部に一つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを行う。
【0019】
めっき装置は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ11を基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置140を有する。この基板ホルダ搬送装置140は、第1トランスポータ142と、第2トランスポータ144を有している。第1トランスポータ142は、基板着脱機構120、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、及びブロー槽132との間で基板を搬送するように構成される。第2トランスポータ144は、第1洗浄槽130a、第2洗浄槽130b、ブロー槽132、及びめっき槽50との間で基板を搬送するように構成される。他の実施形態では、めっき装置は、第1トランスポータ142及び第2トランスポータ144のいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0020】
オーバーフロー槽54の両側には、各めっき槽50の内部に位置してめっき槽50内のめっき液を攪拌する掻き混ぜ棒としてのパドル18(
図2参照)を駆動するためのパドル駆動装置19が配置されている。
【0021】
めっき装置は、上述した各部を制御するように構成されたコントローラ175を有する。コントローラ175は、所定のプログラムを格納したメモリ175Bと、メモリ175Bのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)175Aと、CPU175Aがプログラムを実行することで実現される制御部175Cとを有する。制御部175Cは、例えば、基板搬送装置122の搬送制御、基板ホルダ搬送装置140の搬送制御、めっきモジュール10におけるめっき電流及びめっき時間の制御、並びに後述するアノードマスク25の開口径及びレギュレーションプレート30の開口径の制御等を行うことができる。また、コントローラ175は、一例として、めっき装置及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとデータのやり取りをすることができる。
【0022】
図2は、
図1に示しためっきモジュール10の概略側断面図である。図示のように、めっきモジュール10は、めっき液Qが貯留されるめっき槽50と、基板Wfを保持するように構成された基板ホルダ11と、アノード21を保持するように構成されたアノードホルダ20と、を有する。
【0023】
めっき槽50は、添加剤を含むめっき液Qが貯留されるめっき処理槽52と、めっき処理槽52からオーバーフローしためっき液Qを受けて排出するオーバーフロー槽54と、めっき処理槽52とオーバーフロー槽54とを仕切る仕切り壁55と、を有する。
【0024】
アノードホルダ20は、基板ホルダ11に保持された基板Wfと対向するようにめっき槽50内に配置されている。アノードホルダ20には、基板Wfとほぼ同じ板面寸法を有するアノード21が保持される。本実施形態では、アノード21として、溶解性のアノードが使用される。アノード21を保持したアノードホルダ20と基板Wfを保持した基板ホルダ11とは、めっき処理槽52内のめっき液Qに浸漬され、アノード21と基板Wfの被めっき面W1が略平行になるように対向して設けられる。アノード21と基板Wfとは、めっき処理槽52のめっき液Qに浸漬された状態で、めっき電源90により電圧が印加される。これにより、金属イオンが基板Wfの被めっき面W1において還元され、被めっき面W1に膜が形成される。なお、このめっき電源90は、
図1に示したコントローラ175により制御される。めっき電源90には、めっき電源90から流れる電流値を計測するための電流センサ92が設けられていてもよい。本実施形態では、コントローラ175に、電流センサ92による検出値が入力される。
【0025】
めっき処理槽52は、槽内部にめっき液Qを供給するためのめっき液供給口56を有する。オーバーフロー槽54は、めっき処理槽52からオーバーフローしためっき液Qを排出するためのめっき液排出口57を有する。めっき液供給口56はめっき処理槽52の底部に配置され、めっき液排出口57はオーバーフロー槽54の底部に配置される。
【0026】
めっき液Qがめっき液供給口56からめっき処理槽52に供給されると、めっき液Qはめっき処理槽52から溢れ、仕切り壁55を越えてオーバーフロー槽54に流入する。オーバーフロー槽54に流入しためっき液Qはめっき液排出口57から排出され、めっき液循環装置58が有するフィルタ等で不純物が除去される。不純物が除去されためっき液Qは、めっき液循環装置58によりめっき液供給口56を介してめっき処理槽52に供給される。
【0027】
アノードホルダ20は、アノード21と基板Wfとの間の電界を調整するためのアノードマスク25を有する。アノードマスク25は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材であり、アノードホルダ20の前面に設けられる。ここで、アノードホルダ20の前面とは、基板ホルダ11に対向する側の面をいう。すなわち、アノードマスク25は、アノード21と基板ホルダ11の間に配置される。アノードマスク25は、アノード21と基板Wfとの間に流れる電流が通過する第1の開口25aを略中央部に有する。第1の開口25aは、アノード21の板面形状に対応した開口形状であることが好ましい。また、第1の開口25aの寸法は、アノード21の寸法よりも小さいことが好ましい。後述するように、第1の開口25aの寸法は調整機構28により調整可能に構成される。なお、本実施形態において、「寸法」は、基板Wfまたは開口が円形である場合には、直径または半径を意味する。また、本実施形態において、「寸法」は、基板Wfまたは開口が角形である場合には、一辺の長さ、または中心を通る開口幅において最小となる開口幅を意味する。あるいは、第1の開口25aの寸法は、開口面積と等価な面積を有する円の直径で定義することもできる。
【0028】
めっきモジュール10は、さらに、アノード21と基板Wfとの間の電界を調整するためのレギュレーションプレート30を有する。レギュレーションプレート30は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材であり、アノードマスク25と基板ホルダ11(基板Wf)との間に配置される。レギュレーションプレート30は、アノード21と基板Wfとの間に流れる電流が通過する第2の開口30aを有する。第2の開口30aの寸法は、基板Wfの寸法より小さいことが好ましい。後述するように、第2の開口30aの径は調整可能に構成される。
【0029】
レギュレーションプレート30は、アノードホルダ20と基板ホルダ11との中間位置よりも基板ホルダ11に近い位置であることが好ましい。レギュレーションプレート30が基板ホルダ11に近い位置に配置されるほど、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調整することにより、基板Wfの周縁部の膜厚をより正確に制御することができる。
【0030】
レギュレーションプレート30と基板ホルダ11との間には、基板Wfの被めっき面W1近傍のめっき液Qを撹拌するためのパドル18が設けられる。パドル18は、略棒状の部材であり、鉛直方向を向くようにめっき処理槽52内に設けられる。パドル18の一端は、パドル駆動装置19に固定される。パドル18は、一例としてパドル駆動装置19により基板Wfの被めっき面W1に沿って水平移動され、これによりめっき液Qが撹拌される。
【0031】
次に、
図2に示したアノードマスク25について詳細に説明する。
図3及び
図4はアノードマスク25の概略正面図である。
図3は、第1の開口25aの寸法が比較的大きいときのアノードマスク25を示す。
図4は、第1の開口25aの寸法が比較的小さいときのアノードマスク25を示す。ここで、アノードマスク25の第1の開口25aが小さいほど、アノード21から基板Wfへ流れる電流が基板Wfの被めっき面W1の中央部に集中する。したがって、第1の開口25aを小さくすると、基板Wfの被めっき面W1の中央部の膜厚が増大し、第1の開口25aを大きくすると、基板Wfの被めっき面W1の中央部の膜厚が減少する傾向がある。
【0032】
図3に示すように、アノードマスク25は、略環状の縁部26を有する。
図3に示すアノードマスク25の第1の開口25aの寸法の大きさは最大となっている。この場合の第1の開口25aの寸法は、縁部26の内側寸法と一致する。
【0033】
図4に示すように、アノードマスク25は、第1の開口25aの寸法を調整可能な複数の絞り羽根27(調整機構28の一例に相当する)を有する。絞り羽根27は、協働して第1の開口25aを画定する。絞り羽根27の各々は、カメラの絞り機構と同様の構造により、第1の開口25aの寸法を拡大又は縮小させる(即ち、第1の開口25aの寸法を調整する)。
図5に示すアノードマスク25の第1の開口25aは、絞り羽根27によって非円形状(例えば多角形状)に形成される。
【0034】
絞り羽根27の各々は、
図2に示したコントローラ175によって駆動制御され、第1の開口25aの径を拡大又は縮小させる。例えば、絞り羽根27の各々は、エア圧力又は電気的な駆動力を利用して駆動するように構成されてもよい。絞り羽根27を用いた第1調整機構は、比較的広範囲に第1の開口25aを可変とすることができる特徴がある。また、基板が円形である場合には、アノードマスク25の第1の開口25aは円形であることが望ましい。しかし、第1の開口25aの最小径から最大径に至る全ての範囲で完全な円形を維持することは機構的な困難を伴う。一般的に、アノード21と基板Wfとの間を流れる電流が通過する開口が完全な円形でない場合、電場が方位角的に不均等になり、基板Wfの周縁部に形成されるめっき膜厚分布に開口の形状が転写される可能性がある。しかしながら、アノードマスク25はアノードホルダ20に一体的に取り付けられているため、基板との距離を十分に取ることができ、開口が完全な円形でない場合でも、めっき膜厚分布に与える影響を最大限に抑えることができる。
【0035】
次に、
図2に示したレギュレーションプレート30について詳細に説明する。
図5Aは、第2の開口30aの径が比較的大きい状態のレギュレーションプレート30の部分側断面図であり、
図5Bは第2の開口30aの径が比較的大きい状態のレギュレーションプレート30の平面図である。
図6Aは第2の開口30aの径が比較的小さい状態のレギュレーションプレート30の部分側断面図であり、
図6Bは第2の開口30aの径が比較的小さい状態のレギュレーションプレート30の平面図である。ここで、レギュレーションプレート30は、アノードマスク25よりも基板Wfに近い位置に設けられる。このため、レギュレーションプレート30の第2の開口30aを通過しためっき電流は、基板Wfの周縁部へ拡散し難くなる。したがって、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を小さくすると基板Wfの周縁部の膜厚を薄くすることができ、第2の開口30aの径を大きくすると基板Wfの周縁部の膜厚を厚くすることができる。
【0036】
図5A及び
図5Bに示すように、レギュレーションプレート30は、略環状の縁部33と、第2の開口30aに沿った溝31を有する。また、レギュレーションプレート30は、第2の開口30aの径を調整可能に構成される弾性チューブ32(調整機構28の一例に相当する)を有する。具体的には、弾性チューブ32は、第2の開口30aに沿って設けられ、その外周部が溝31に固定されることにより、溝31内に配置される。弾性チューブ32は、例えば樹脂等の弾性部材から形成され、略環状の形状を有する。弾性チューブ32は、内部に空洞を有し、内部に流体(空気や窒素等の気体、又は水等の流体)を保持可能に構成される。弾性チューブ32は、流体を内部に注入するための図示しない注入口と、内部の流体を排出するための図示しない排出口を有する。この流体の注入及び排出は、コントローラ175が図示しない流体供給装置を制御することによって行われる。
【0037】
図5A及び
図5Bに示すレギュレーションプレート30においては、弾性チューブ32の内部には比較的少量の流体が含まれ、弾性チューブ32は収縮した状態にある。このため、
図5Bに示すように、レギュレーションプレート30の第2の開口30aの径は、縁部33の内径と一致する。
【0038】
弾性チューブ32の外周が溝31に接触しているので、弾性チューブ32の内部に流体を注入すると、
図6A及び
図6Bに示すように弾性チューブ32は径方向内側に膨張する。弾性チューブ32が径方向内側に膨張することにより、
図6Bに示すように、弾性チューブ32の内径が第2の開口30aの径となる。
【0039】
一方で、
図6A及び
図6Bに示す弾性チューブ32が膨張した状態において、弾性チューブ32の内部の流体を排出することで、
図5A及び
図5Bに示すように弾性チューブ32が収縮する。したがって、弾性チューブ32は、弾性チューブ32の内部に流体を注入し、又は弾性チューブ32の内部から流体を排出することにより、第2の開口30aの径を調整する。この弾性チューブ32によれば、機械的な構造を用いることなく、簡易な構成で第2の開口30aの径を調整することができる。
【0040】
調整機構28として、弾性体の内部の圧力を調整する構成を採用する場合、絞り羽根27を用いた構成に比べると、開口の形状を円形に保ったまま開口の径を変化させることができる。これにより、アノードマスク25とレギュレーションプレート30の間で方位角的に不均等な電場が形成されても、アノードマスク25と基板の間にレギュレーションプレート30を設けることにより、基板の周縁部に均一なめっき膜を形成することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、調整機構28として、アノードマスク25に絞り羽根27が採用され、レギュレーションプレート30に弾性体が採用されている。しかしながら、こうした例に限定されず、アノードマスク25に弾性体が採用され、レギュレーションプレート30に絞り羽根27が採用されてもよい。また、調整機構28としては、アノードマスク25の開口寸法またはレギュレーションプレート30の開口寸法を調整できるものであればよく、他の機構が採用されてもよい。
【0042】
次に、
図2に示しためっきモジュール10で、基板Wfにめっき処理するプロセスについて説明する。上述したように、ターミナルエフェクトの影響は、基板Wfの特徴及び基板Wfを処理する条件等によって異なる。このため、単一のめっき槽50においてターミナルエフェクトの影響が異なる複数の基板Wfにめっきをする場合、ターミナルエフェクトによる膜厚の面内均一性の低下を抑制するためには、それぞれの基板Wfの特徴及び基板Wfを処理する条件等に合わせて基板Wfに加わる電界を調整する必要がある。
【0043】
めっきモジュール10では、基板Wfの特徴又は基板Wfを処理する条件に応じて、アノードマスク25の第1の開口25aの径及びレギュレーションプレート30の第2の開口30aの径の少なくとも一つを調整することで、基板Wfのめっき膜の面内均一性を向上させることができる。そして、特に本実施形態では、めっきモジュール10は、アノード21が使用されている間の当該アノード21における電解量(以下、「アノード総電解量」ともいう)に基づいて、アノードマスク25の第1の開口25aの径を変更する。ここで、「アノード21が使用されている間」は、「アノード21が新たに設けられて又は交換されてから現在まで」と言い換えることができる。また、アノード21における電解量は、主にアノード21とカソードとしての基板Wfとに流れる電流によって生じるものである。
【0044】
アノード総電解量は、一例として、めっき処理中にリアルタイムに計測または算出されてもよいし、1枚または所定枚数の基板Wfのめっき処理が終了するごとに計測または算出されてもよい。アノード21における電解量は、公知の種々の方法によって計測または算出することができる。一例として、めっき処理のレシピ(例えば、めっき電流値、めっき時間、基板の種類、めっき液の種類)に応じて、実験またはシミュレーション等によってアノード21の電解量が予め定められるものとし、めっき処理ごとの電解量が積算されることにより、アノード総電解量が算出されるものとしてもよい。また、別の一例として、電流センサ92により計測される、めっき電源90からアノード21を通じて流れる電流値に基づいてアノード21における電解量が算出され、算出された電解量を積算することによりアノード総電解量が算出されるものとしてもよい。
【0045】
めっきモジュール10は、算出されたアノード総電解量に基づいて、アノードマスク25の第1の開口25aの径を変更する。これは、アノード総電解量が大きいほど、アノード21が溶解してアノード21とカソードとしての基板Wfとの極間距離が離れてしまうことに基づく。本実施形態では、アノード総電解量と、アノードマスク25の第1の開口25aの径との関係が予め定められてコントローラ175のメモリ175Bに予め記憶されている。ここで、アノード総電解量とアノードマスク25の第1の開口25aの径との関係は、一例として、マップ、テーブル、または関係式としてメモリ175Bに記憶され得る。そして、コントローラ175は、アノード総電解量と、メモリ175Bに記憶された関係とに基づいてアノードマスク25の第1の開口25aの径を導出し、調整機構28に駆動指令を出力する。
【0046】
図7は、アノード総電解量と、アノードマスク25の第1の開口25aの径との関係の一例を示す図である。
図7に示すように、アノードマスク25の第1の開口25aの径は、アノード総電解量が大きいほど小さくなるように定められる。本発明者らの研究により、アノード21と基板Wfとの距離が適正距離より近くなると、基板Wfの中心近くのめっき膜厚が相対的に大きくなることが分かっている。反対に、アノード21と基板Wfとの距離が適正距離より離れると、基板Wfの周縁部のめっき膜厚が相対的に大きくなることが分かっている。また、アノードマスク25の開口径を大きくすると、基板Wfの中心部のめっき膜厚が相対的に小さくなって基板Wfの周縁部のめっき膜厚が相対的に大きくなることが分かっている。反対に、アノードマスク25の開口径を小さくすると、基板Wfの中心部のめっき膜厚が相対的に大きくなって基板Wfの周縁部のめっき膜厚が相対的に小さくなることが分かっている。これらから、本実施形態では、アノード総電解量が大きいほどアノード21と基板Wfとの距離が離れると推定し、アノードマスク25の開口径を小さくしてめっき膜厚の均一化を図るものとしている。ただし、めっき処理のレシピによっては、アノード総電解量とアノードマスクの開口径との関係は必ずしもこうした例が最適であるとは限らないため、実験またはシミュレーション等によって、アノード総電解量とアノードマスクの開口径との関係が適宜定められるとよい。なお、
図7に示す例では、アノードマスク25の第1の開口25aの径は、アノード総電解量が大きいほど小さくなる傾向に滑らかに変化するものとしている。しかし、こうした例に限らず、第1の開口25aの径は、アノード総電解量に応じて、2段階以上で段階的に変化するものとしてもよい。
【0047】
コントローラ175は、アノード総電解量が予め定められたメンテナンス閾値以上に至った場合には、アノード21のメンテナンス又は交換を促すように図示しない表示器等を通じて外部に報知を行ってもよい。これにより、アノード21のメンテナンス又は交換が適切なタイミングで行われるようにすることができる。なお、コントローラ175は、アノード21が交換された場合には、アノード総電解量を値0へとリセットすればよい。一例として、めっき装置の使用者またはメンテナンス作業員は、アノード21を交換したときには、そのことを示す入力をコントローラ175に行うものとしてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のめっき装置及びめっき方法では、アノード21が使用されている間の当該アノードにおける電解量が算出され、算出された電解量に基づいてアノードマスク25の開口径が調整される。これにより、アノード21の使用に伴って基板Wfに形成されるめっき膜の均一性にバラつきが生じることを抑制して、めっき膜の均一性の向上を図ることができる。
【0049】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のめっきモジュール400の構成を概略的に示す縦断面図である。
図8に示すように、第2実施形態では、基板Wfの被めっき面が鉛直下方方向を向くように基板Wfが保持される。第2実施形態では、基板Wfとして円形基板を例に説明するが、第1実施形態と同様に、基板Wfは、角形基板であってもよい。
【0050】
第2実施形態のめっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっき槽410は、上面が開口した円筒形の内槽412と、内槽412の上縁からオーバーフローしためっき液を溜められるように内槽412の周囲に設けられた図示しない外槽と、を含んで構成される。また、第2実施形態のめっきモジュール400は、第1実施形態のめっきモジュール10と同様に、コントローラ175によって制御される。
【0051】
めっきモジュール400は、被めっき面を下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。また、基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfに給電するための給電接点を備える。めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構442を備える。また、一実施形態では、めっきモジュール400は、基板ホルダ440を鉛直軸まわりに回転させる回転機構448を備える。昇降機構442および回転機構448は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる
【0052】
めっきモジュール400は、内槽412の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。内槽412の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。なお、本実施形態ではメンブレン420が設けられる一例を示したが、メンブレン420は設けられなくてもよい。
【0053】
アノード領域424の内槽412の底面にはアノード430が設けられる。また、アノード領域424には、アノード430と基板Wfとの間の電解を調整するためのアノードマスク426が配置される。アノードマスク426は、例えば誘電体材料からなる略板状の部材であり、アノード430の前面(上方)に設けられる。アノードマスク426は、第1実施形態のアノードマスク25と同様に、調整機構428により、その開口寸法を変更可能に構成される。ただし、第2実施形態のめっきモジュール400は、調整機構428を有さず、アノードマスク25の開口寸法が変更されないものとしてもよい。
【0054】
カソード領域422にはメンブレン420に対向する抵抗体450が配置される。抵抗体450は、基板Wfの被めっき面におけるめっき処理の均一化を図るための部材である。ただし、こうした例に限定されず、モジュール400は、抵抗体450を有しなくてもよい。
【0055】
第2実施形態のめっきモジュール400では、昇降機構442を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬させることにより、基板Wfがめっき液に暴露される。めっきモジュール400は、この状態でアノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面にめっき処理を施すことができる。また、一実施形態では、回転機構448を用いて基板ホルダ440を回転させながらめっき処理が行われる。めっき処理により、基板の被めっき面に導電膜(めっき膜)が析出する。
【0056】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、コントローラ175は、アノード430が使用されている間の当該アノード430における電解量(アノード総電解量)を算出し、算出した電解量に基づいてアノードマスク426の開口径を調整するとよい。これにより、第1実施形態と同様に、アノード430の使用に伴って基板Wfに形成されるめっき膜の均一性にバラつきが生じることを抑制して、めっき膜の均一性の向上を図ることができる。
【0057】
また、第2実施形態のめっきモジュール400では、コントローラ175は、アノード総電解量を算出し、算出した電解量に基づいて昇降機構442を駆動することにより基板Wfの保持位置(基板ホルダ440の停止位置)を調整するものとしてもよい。一例として、アノード総電解量と、基板Wfの保持位置との関係が予め定められてコントローラ175のメモリ175Bに予め記憶される。ここで、アノード総電解量と基板Wfの保持位置との関係は、一例として、マップ、テーブル、又は関係式としてメモリ175Bに記憶され得る。そして、コントローラ175は、アノード総電解量と、メモリ175Bに記憶された関係とに基づいて基板Wfの保持位置(基板ホルダ440の停止位置)を導出し、昇降機構442に駆動指令を出力する。なお、アノード総電解量と基板Wfの保持位置との関係は、実験またはシミュレーション等によって適宜定められるとよい。一例として、アノード総電解量が大きいほど、基板Wfの保持位置を下方(アノード21に近づく方向)に移動させるものとしてもよい。また、こうした場合には、基板Wfの保持位置は、アノード総電解量が大きいほど低くなる傾向(アノード21に近づく方向)に滑らかに変化するものとしてもよいし、2段階以上で段階的に変化するものとしてもよい。こうした制御によっても、アノード430の使用に伴って基板Wfに形成されるめっき膜の均一性にバラつきが生じることを抑制することができる。
【0058】
<変形例>
上記した実施形態では、アノード総電解量に基づいてアノードマスク25の開口寸法を調整するものとした。しかしながら、コントローラ175は、アノードマスク25の開口寸法の調整に代えて、または加えて、アノード総電解量に基づいてレギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を調整するものとしてもよい。この場合には、一例として、アノード総電解量とレギュレーションプレート30の第2の開口30aの径との関係を予め定めてメモリ175Bに記憶しておき、当該関係とアノード総電解量とに基づいてレギュレーションプレート30の第2の開口30aの径を導出して、調整機構28を駆動するものとしてもよい。こうした例においても、上記した実施形態と同様に、アノード21の使用に伴って基板Wfに形成されるめっき膜の均一性にバラつきが生じることを抑制することができると考えられる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。さらにまた、被めっき対象物の基板として、半導体ウェハだけでなく、ガラス基板、プリント配線基板を用いることもできる。
【0060】
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、めっき装置が提案され、前記めっき装置は、めっき槽と、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、前記アノードマスクの開口寸法を調整するように構成された調整機構と、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量に基づいて前記調整機構を制御するコントローラと、を備える。
形態1によれば、基板に形成されるめっき膜の均一性の向上を図ることができる。
【0061】
[形態2]形態2によれば、形態1において、前記コントローラは、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量と前記アノードマスクの開口寸法との予め定めた関係に、前記電解量を適用することにより前記開口寸法を設定して前記調整機構を制御する。
【0062】
[形態3]形態3によれば、形態1又は2において、前記コントローラは、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量が大きいほど前記アノードマスクの開口寸法を小さくするように前記調整機構を制御する。これは、アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量が大きいほど、アノードの溶解量が大きくなることに基づく。
【0063】
[形態4]形態4によれば、形態1から3において、前記アノードマスクと前記基板ホルダとの間に設けられ、前記アノードと前記基板との間流れる電流が通過する開口を有するレギュレーションプレートを更に備え、前記調整機構は、前記アノードの開口寸法と前記レギュレーションプレートの開口寸法とを調整するように構成され、前記コントローラは、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量に基づいて前記調整機構を制御する。形態4によれば、基板に形成されるめっき膜の均一性の向上をより図ることができる。
【0064】
[形態5]形態5によれば、形態1から4において、前記基板ホルダは、前記めっき槽内において、被めっき面を下方に向けた状態で前記基板を保持するように構成される。
【0065】
[形態6]形態6によれば、形態1から4において、前記基板ホルダは、前記めっき槽内において、前記被めっき面を側方に向けた状態で前記基板を保持するように構成される。
【0066】
[形態7]形態7によれば、めっき装置におけるめっき方法が提案され、前記めっき装置は、めっき槽と、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、を備え、前記めっき方法は、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量を算出することと、前記算出した電解量に基づいて前記アノードマスクの開口寸法を調整することと、を含む。
形態7によれば、形態1と同様に、基板に形成されるめっき膜の均一性の向上を図ることができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0068】
めっき10…モジュール
11…基板ホルダ
20…アノードホルダ
21…アノード
25…アノードマスク
25a…第1の開口
28…調整機構
30…レギュレーションプレート
30a…第2の開口
50…めっき槽
52…めっき処理槽
90…めっき電源
92…電流センサ
175…コントローラ
175A…CPU
175B…メモリ
175C…制御部
400…モジュール
410…めっき槽
420…メンブレン
426…アノードマスク
428…調整機構
430…アノード
440…基板ホルダ
442…昇降機構
448…回転機構
450…抵抗体
【要約】
基板に形成されるめっき膜の均一性を向上させることができるめっき装置等を提案する。
めっき装置は、めっき槽と、基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダに保持された基板と対向するように前記めっき槽内に配置され、溶解性のアノードを保持するように構成されたアノードホルダと、前記アノードホルダに取り付けられ、前記アノードと前記基板との間に流れる電流が通過する開口を有するアノードマスクと、前記アノードマスクの開口寸法を調整するように構成された調整機構と、前記アノードが使用されている間の当該アノードにおける電解量に基づいて前記調整機構を制御するコントローラと、を備える。