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特許7114384酸化膜除去方法、および、酸化膜除去装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】酸化膜除去方法、および、酸化膜除去装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220801BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
H01L21/302 106
H01L21/304 645C
H01L21/304 648G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018140300
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2020017661
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井上 寛揚
(72)【発明者】
【氏名】隣 嘉津彦
【審査官】高柳 匡克
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0350038(US,A1)
【文献】特表2019-517736(JP,A)
【文献】特表2016-528734(JP,A)
【文献】特開2010-165954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象にフッ素を含むガスと水素を含むガスとから生成されるエッチャントを供給して、前記処理対象が含むシリコン層の表面に位置するシリコン酸化膜から前記シリコン酸化膜よりも揮発性が高い反応生成物を生成することと、
前記反応生成物を前記反応生成物が揮発する以上の温度に加熱することによって、前記シリコン層上から前記反応生成物を除去することと、を含み、
前記反応生成物を除去することは、前記シリコン層への前記フッ素を含むガスの供給を停止して前記シリコン層への水素を含むガスの供給を継続し、前記シリコン層に付着した炭素を含む不純物と前記水素とを反応させるためのエネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給して、前記反応生成物の生成後に、前記シリコン層上から前記不純物を除去することを含む
酸化膜除去方法。
【請求項2】
前記反応生成物を除去することは、前記反応生成物の加熱よりも前に、前記シリコン層に前記水素を供給し、かつ、前記不純物と前記水素とを反応させるための前記エネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給する
請求項1に記載の酸化膜除去方法。
【請求項3】
前記反応生成物を除去することは、前記反応生成物を加熱している間に、前記シリコン層に前記水素を供給し、かつ、前記不純物と前記水素とを反応させるための前記エネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給する
請求項1に記載の酸化膜除去方法。
【請求項4】
前記反応生成物を除去することは、前記反応生成物の加熱よりも後に、前記シリコン層に前記水素を供給し、かつ、前記不純物と前記水素とを反応させるための前記エネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給する
請求項1に記載の酸化膜除去方法。
【請求項5】
前記反応生成物を除去することは、水素を含むガスから生成されたプラズマに前記処理対象を暴露することによって、前記プラズマに含まれる水素を含む活性種を前記シリコン層に供給する
請求項1から4のいずれか一項に記載の酸化膜除去方法。
【請求項6】
フッ素を含むガスと水素を含むガスとにマイクロ波を照射して前記エッチャントを生成することと、
前記フッ素を含むガスの供給を停止して、前記水素を含むガスへの前記マイクロ波の照射を継続することを含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の酸化膜除去方法。
【請求項7】
シリコン層の表面に位置するシリコン酸化膜を有した処理対象を収容する真空槽と、
フッ素を含むガスと水素を含むガスから生成されるエッチャントを前記シリコン酸化膜に供給するエッチャント供給部と、
前記エッチャントと前記シリコン酸化膜とから生成された反応生成物を前記反応生成物が揮発する以上の温度に加熱する加熱部と、
前記シリコン層に付着した炭素を含む不純物と前記水素を含むガスの水素とを反応させるためのエネルギーを前記不純物および前記水素を含むガスの少なくとも一方に供給するエネルギー供給部と、を備え、
前記水素と前記エネルギーとを供給することによって、前記反応生成物の生成後に、前記シリコン層に付着した前記不純物を除去する
酸化膜除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化膜除去方法、および、酸化膜除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板の表面に形成されたシリコン酸化膜を除去する方法は、第1工程と第2工程とを含む。第1工程では、シリコン基板の表面に、水素とフッ素とを含むエッチャントを供給することによって、シリコン酸化膜とラジカルとの反応生成物を生成する。反応生成物は、シリコン酸化膜よりも高い揮発性を有する。第2工程では、反応生成物が揮発する以上の温度に反応生成物を加熱することによって、シリコン基板に付着した反応生成物を揮発させる。第2工程では、反応生成物を例えば200℃以上の温度に加熱する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-38109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化膜除去方法の処理対象は、シリコン基板と、シリコン基板に形成された複数の絶縁層を含むことがある。この場合には、処理対象が、複数の絶縁層を貫通する複数の貫通孔を含み、シリコン基板の一部が各貫通孔を通じて外部に露出している。そのため、処理対象が大気に暴露されると、シリコン基板のなかで、各貫通孔から露出した部分にシリコン酸化膜が形成される。
【0005】
ところで、絶縁層に貫通孔を形成するためのエッチングには、炭素を含む有機物ガスが用いられることがある。複数の絶縁層を貫通するためには、高いアスペクト比を有した貫通孔を形成する必要がある。それゆえに、絶縁膜に貫通孔が形成されるときには、処理対象に負のバイアス電位が印加される。これにより、炭素を含む不純物がシリコン基板の一部に付着するため、不純物を処理対象から除去することが望まれている。なお、こうした事項は、有機物ガスによるエッチングが行われた処理対象に限らず、有機物ガスによるエッチングが行われていない処理対象においても共通している。
【0006】
本発明は、処理対象に付着した炭素を含む不純物を除去することを可能とした酸化膜除去方法、および、酸化膜除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための酸化膜除去方法は、処理対象にフッ素と水素とを含むエッチャントを供給して、前記処理対象が含むシリコン層の表面に位置するシリコン酸化膜から前記シリコン酸化膜よりも揮発性が高い反応生成物を生成することと、前記反応生成物を前記反応生成物が揮発する以上の温度に加熱することによって、前記シリコン層上から前記反応生成物を除去することと、を含む。前記反応生成物を除去することは、前記シリコン層に水素を供給し、前記シリコン層に付着した炭素を含む不純物と前記水素とを反応させるためのエネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給して、前記反応生成物の生成後に、前記シリコン層上から前記不純物を除去することを含む。
【0008】
上記課題を解決するための酸化膜除去装置は、シリコン層の表面に位置するシリコン酸化膜を有した処理対象を収容する真空槽と、フッ素と水素とを含むエッチャントを前記シリコン酸化膜に供給するエッチャント供給部と、前記エッチャントと前記シリコン酸化膜とから生成された反応生成物を前記反応生成物が揮発する以上の温度に加熱する加熱部と、前記反応生成物を含む前記処理対象に水素を供給する水素供給部と、前記シリコン層に付着した炭素を含む不純物と前記水素とを反応させるためのエネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給するエネルギー供給部と、を備える。前記水素と前記エネルギーとを供給することによって、前記反応生成物の生成後に、前記シリコン層に付着した前記不純物を除去する。
【0009】
上記構成によれば、不純物が付着したシリコン層に対して水素を供給し、かつ、水素と不純物とを反応させるためのエネルギーをこれらの少なくとも一方に供給することによって、不純物を揮発性の物質に変換することによって、シリコン層から不純物を除去することが可能である。
【0010】
上記酸化膜除去方法において、前記反応生成物を除去することは、前記反応生成物の加熱よりも前に、前記シリコン層に水素を供給し、かつ、前記不純物と前記水素とを反応させるための前記エネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給してもよい。
【0011】
上記構成によれば、反応生成物を加熱するよりも前に水素およびエネルギーを供給するため、反応生成物を除去するよりも前にシリコン層から不純物を除去することが可能である。
【0012】
上記酸化膜除去方法において、前記反応生成物を除去することは、前記反応生成物を加熱している間に、前記シリコン層に前記水素を供給し、かつ、前記不純物と前記水素とを反応させるための前記エネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給してもよい。
【0013】
上記構成によれば、反応生成物を加熱している間に水素およびエネルギーを供給するため、反応生成物を除去している期間中に、不純物を除去することもできる。これにより、反応生成物の除去と不純物の除去とを各別のタイミングで行う場合に比べて、反応生成物と不純物との両方を除去するために必要な時間を短くすることができる。
【0014】
上記酸化膜除去方法において、前記反応生成物を除去することは、前記反応生成物の加熱よりも後に、前記シリコン層に前記水素を供給し、かつ、前記不純物と前記水素とを反応させるための前記エネルギーを前記不純物および前記水素の少なくとも一方に供給してもよい。
【0015】
上記構成によれば、反応生成物の加熱によって反応生成物を除去した後に不純物を除去するため、シリコン酸化膜とシリコン層との間や、シリコン層の表面に埋め込まれた不純物が除去されやすくなる。
【0016】
上記酸化膜除去方法において、前記反応生成物を除去することは、水素を含むガスから生成されたプラズマに前記処理対象を暴露することによって、前記プラズマに含まれる水素を含む活性種を前記シリコン層に供給してもよい。上記構成によれば、水素を含むガスから生成されたプラズマによって、不純物を除去するための水素とエネルギーとを処理対象に対して一度に供給することが可能である。
【0017】
上記酸化膜除去方法において、前記反応生成物を生成することは、前記反応生成物を除去することにおいて前記反応生成物の加熱を開始するよりも前、または、前記反応生成物の加熱を開始すると同時に、前記処理対象に対する前記エッチャントの供給を停止することを含む。
【0018】
上記構成によれば、反応生成物の加熱を開始した後も処理対象にエッチャントを供給し続ける場合と比べて、処理対象がエッチャントによって過剰にエッチングされることが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態における酸化膜除去装置の第1例における構成を示すブロック図。
図2】一実施形態における酸化膜除去装置の第2例における構成を示すブロック図。
図3】一実施形態における酸化膜除去方法を酸化膜除去方法の前に行われるエッチング処理とともに説明するための工程図。
図4】一実施形態における酸化膜除去方法を説明するためのフローチャート。
図5】一実施形態における酸化膜除去方法を説明するためのタイミングチャート。
図6】実施例および比較例の各々における評価基板の深さ方向と炭素濃度との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から図6を参照して、酸化膜除去方法、および、酸化膜除去装置の一実施形態を説明する。以下では、酸化膜除去装置の構成、酸化膜除去方法、および、実施例を順に説明する。
【0021】
[酸化膜除去装置の構成]
図1および図2を参照して、酸化膜除去装置の構成を説明する。以下では、酸化膜除去装置の第1例における構成と、酸化膜除去装置の第2例における構成とを順に説明する。
【0022】
酸化膜除去装置は、真空槽、エッチャント供給部、加熱部、水素供給部、および、エネルギー供給部を備えている。真空槽は、シリコン層の表面に位置するシリコン酸化膜を有した処理対象を収容する。エッチャント供給部は、フッ素と水素とを含むエッチャントをシリコン酸化膜に供給する。加熱部は、エッチャントとシリコン酸化膜とから生成された反応生成物を反応生成物が揮発する以上の温度に加熱する。水素供給部は、反応生成物を含む処理対象に水素を供給する。エネルギー供給部は、シリコン層に付着した炭素を含む不純物と水素とを反応させるためのエネルギーを不純物および水素の少なくとも一方に供給する。酸化膜除去装置は、水素とエネルギーとを供給することによって、反応生成物の生成後に、シリコン層に付着した不純物を除去する。以下、図1および図2を参照して、酸化膜除去装置の構成をより詳しく説明する。
【0023】
[第1例]
図1が示すように、酸化膜除去装置10は、真空槽11を備えている。真空槽11が区画する空間内には、処理対象Sを支持する支持部12が位置している。支持部12は、例えば処理対象Sを支持するステージである。真空槽11には、真空槽11が区画する空間を加熱する加熱部13が搭載されている。加熱部13は、真空槽11の内部に位置してもよいし、真空槽11の外部に位置してもよい。加熱部13は、真空槽11内を例えば80℃以上の温度に加熱する。真空槽11には、真空槽11内を排気する排気部14が接続されている。排気部14は、例えばポンプとバルブとを含んでいる。
【0024】
酸化膜除去装置10は、第1シャワープレート15と第2シャワープレート16とを備えている。各シャワープレート15,16は、各シャワープレート15,16を介して真空槽11が区画する空間にガスを拡散する機能を有する。本実施形態では、第1シャワープレート15のコンダクタンスが、第2シャワープレート16のコンダクタンスよりも大きい。言い換えれば、第1シャワープレート15を介した気体の流通が、第2シャワープレート16を介した気体の流通よりも起こりやすい。
【0025】
酸化膜除去装置10は、さらに第1ガス供給部17A、放電管18、および、マイクロ波源19を備えている。第1ガス供給部17Aは、水素を含むガスを放電管18に供給する。水素を含むガスは、例えばアンモニア(NH)ガスと窒素(N)ガスとの混合ガスである。マイクロ波源19は、マイクロ波を励起する。マイクロ波源19は、水素を含むガスが供給されている放電管18に励起したマイクロ波を照射する。これにより、水素を含むガスからプラズマが生成される。プラズマは、例えば水素ラジカル(H)およびアンモニアラジカル(NH )の少なくとも一方を含む。放電管18において生成されたHおよびNH の少なくとも一方は、第1シャワープレート15によって真空槽11内に拡散される。
【0026】
酸化膜除去装置10は、第2ガス供給部17Bを備えている。第2ガス供給部17Bは、フッ素を含むガスを供給する。フッ素を含むガスは、例えば三フッ化窒素(NF)ガスである。第2ガス供給部17Bは、第2シャワープレート16に接続されている。第2ガス供給部17Bが出力したフッ素を含むガスは、第2シャワープレート16によって真空槽11内に拡散される。
【0027】
真空槽11内には、第1シャワープレート15を介してHおよびNH の少なくとも一方が供給され、かつ、第2シャワープレート16を介してNFガスが供給される。そのため、真空槽11内において、HおよびNH の少なくとも一方とNFとが反応する。これにより、フッ素と水素とを含むエッチャントが生成される。フッ素と水素とを含むエッチャントは、例えばNFである。NFにおいて、xは1以上3以下であり、yは1以上4以下である。なお、第1シャワープレート15のコンダクタンスが第2シャワープレート16のコンダクタンスよりも大きいため、真空槽11内にHとは反応しないNFが存在しにくくなる。これにより、フッ素を含むために反応性の高いNFが、Hと反応することなく真空槽11内に滞在することが抑えられる。
【0028】
上述したように、真空槽11には、真空槽11内を排気する排気部14が接続されている。そのため、真空槽11内に供給されたガスは、各シャワープレート15,16から排気部14に向かう方向に沿って流れる。このとき、HおよびNH の少なくとも一方とNFとの反応によって生成されたエッチャントも、各シャワープレート15,16から排気部14に向かう方向に沿って流れる。
【0029】
つまり、第1例において、排気部14、第1ガス供給部17A、放電管18、マイクロ波源19、および、第2ガス供給部17Bが、エッチャント供給部を構成している。エッチャント供給部は、シリコン酸化膜とともに反応生成物を生成するためのエッチャントを処理対象Sが含むシリコン酸化膜に供給する。
【0030】
シリコン酸化膜は、シリコン酸化物(SiO)から形成されている。処理対象Sに供給されたNFは、SiOと反応する。これにより、シリコン酸化膜よりも揮発性が高い反応生成物が生成される。反応生成物は、例えば(NFSiFである。
【0031】
酸化膜除去装置10では、シリコン酸化物とエッチャントとから反応生成物が生成された後に、加熱部13が反応生成物を反応生成物が揮発する以上の温度に加熱する。このとき、第1ガス供給部17A、放電管18、および、マイクロ波源19によって、Hを含むプラズマが生成される。これにより、真空槽11内、ひいては処理対象SにHが供給される。
【0032】
つまり、第1例において、排気部14および第1ガス供給部17Aが、水素供給部を構成している。第1例において、排気部14、第1ガス供給部17A、放電管18、および、マイクロ波源19が、エネルギー供給部を構成している。なお、処理対象Sに供給されるHは、処理対象Sに供給される水素であり、かつ、エネルギーでもある。
【0033】
[第2例]
図2が示すように、酸化膜除去装置20は、第1例の酸化膜除去装置10と同様、真空槽11、支持部12、加熱部13、排気部14、第1シャワープレート15、および、第2シャワープレート16を備えている。また、酸化膜除去装置20は、第1ガス供給部17A、第2ガス供給部17B、放電管18、および、マイクロ波源19を備えている。
【0034】
第2例の酸化膜除去装置20において、第3ガス供給部21、放電管22、および、マイクロ波源23を酸化膜除去装置20が備える点が、第1例の酸化膜除去装置10とは異なっている。第3ガス供給部21は、水素を含むガスを放電管22に供給する。水素を含むガスは、例えばNHガスとNガスとの混合ガスである。すなわち、第1ガス供給部17Aが供給するガスと、第3ガス供給部21が共有するガスとは互いに等しい。なお、第1ガス供給部17Aが供給するガスと、第3ガス供給部21が供給するガスとは、互いに異なるガスでもよい。マイクロ波源23が、水素を含有するガスが供給された放電管にマイクロ波を照射することによって、水素を含むガスからプラズマが生成される。
【0035】
酸化膜除去装置20において、第1ガス供給部17A、放電管18、および、マイクロ波源19が、第1プラズマ生成部20Aを構成している。一方で、第3ガス供給部21、放電管22、および、マイクロ波源23が、第2プラズマ生成部20Bを構成している。本実施形態において、第2プラズマ生成部20Bは、処理対象Sから反応生成物を生成するときに水素を含むガスからプラズマを生成する。一方で、第1プラズマ生成部20Aは、処理対象Sから反応生成物を除去するときに水素を含むガスからプラズマを生成する。
【0036】
すなわち、第2例において、排気部14、第3ガス供給部21、放電管22、マイクロ波源23、および、第2ガス供給部17Bが、エッチャント供給部を構成している。また、第2例において、排気部14および第1ガス供給部17Aが、水素供給部を構成している。第2例において、排気部14、第1ガス供給部17A、放電管18、および、マイクロ波源19が、エネルギー供給部を構成している。
【0037】
なお、第1プラズマ生成部20Aが、処理対象Sから反応生成物を生成するときに水素を含むガスからプラズマを生成し、かつ、第2プラズマ生成部20Bが、処理対象Sから反応生成物を除去するときに水素を含むガスからプラズマを生成してもよい。
【0038】
[酸化膜除去方法]
図3から図5を参照して酸化膜除去方法を説明する。
酸化膜除去方法は、反応生成物を生成することと、反応生成物を除去することとを含む。反応生成物を生成することは、処理対象Sにフッ素と水素とを含むエッチャントを供給して、処理対象Sが含むシリコン層の表面に位置するシリコン酸化膜からシリコン酸化膜よりも揮発性が高い反応生成物を生成する。反応生成物を除去することは、反応生成物を反応生成物が揮発する以上の温度に加熱することによって、シリコン層上から反応生成物を除去する。反応生成物を除去することは、シリコン層に水素を供給し、シリコン層に付着した炭素を含む不純物と水素とを反応させるためのエネルギーを不純物および水素の少なくとも一方に供給して、反応生成物の生成後に、シリコン層上から不純物を除去することを含む。こうした、酸化膜除去方法は、例えば、炭素を含む有機物ガスを用いた処理対象Sのエッチングによって、処理対象Sが含むシリコン層の少なくとも一部を外部に露出させた後に行う。以下、図3から図5を参照して、酸化膜除去方法についてより詳しく説明する。
【0039】
図3は、酸化膜除去方法の以前に行われるエッチング処理とともに酸化膜除去方法を説明するための工程図である。図3は、処理対象Sが、シリコン基板と、シリコン基板上に積層された複数の絶縁膜とを備える場合の工程を説明するための図である。
【0040】
図3(a)が示すように、処理対象Sは、シリコン層の一例であるシリコン基板31と、シリコン基板31上に位置する複数の絶縁膜とを備えている。複数の絶縁膜は、複数のシリコン窒化(SiN)膜32と、複数のシリコン酸化(SiO)膜33とから構成されている。複数の絶縁膜において、SiN膜32とSiO膜33とが交互に積層され、かつ、最下層のSiN膜32がシリコン基板31に接している。
【0041】
処理対象Sが含むシリコン酸化膜を除去する処理が処理対象Sに行われる前に、複数の絶縁層を貫通する貫通孔を形成するためのエッチングが処理対象Sに行われる。処理対象Sは、最上層のSiO膜33に位置するレジストマスク34を備えている。レジストマスク34は貫通孔34aを有し、貫通孔34aを通じて複数の絶縁膜がエッチングされる。
【0042】
複数の絶縁膜のエッチングには、炭素を含む有機物ガスから生成されたプラズマが用いられる。有機物ガスには、例えば、炭素とフッ素とを含む有機物ガスを挙げることができる。複数の絶縁膜を貫通する貫通孔には、高いアスペクト比が求められる。そのため、処理対象Sがエッチングされるときには、処理対象に負のバイアス電位が印加される。これにより、高いアスペクト比を有した貫通孔を形成することが可能である。
【0043】
図3(b)が示すように、処理対象Sのエッチングによって、複数の絶縁膜を貫通し、かつ、シリコン基板31の一部によって構成される底部を有した貫通孔Shが形成される。上述したように、処理対象Sがエッチングされるときには、処理対象Sに対して負のバイアス電位が印加されるため、有機物ガスから生成されたプラズマに含まれる炭素を含む粒子が、処理対象Sに向けて引き込まれる。処理対象Sのエッチングは、シリコン基板31の一部が外部に露出した後に終了されるため、炭素を含む粒子は、シリコン基板31のなかで、複数の絶縁膜から露出した露出部分に向けて引き込まれる。これにより、シリコン基板31のなかで、露出部分の表面には炭素を含む不純物が埋め込まれ、また、露出部分の表面よりも内側の部分には、炭素を含む不純物が埋め込まれる。このように、エッチング後の処理対象Sは、処理対象Sのエッチングに用いられる有機物ガスに由来する炭素を含む不純物を含む。なお、不純物は、炭素のみであってもよいし、炭素を含む無機物であってもよいし、炭素を含む有機物であってもよい。
【0044】
処理対象Sのエッチングが終了した後に、処理対象Sが大気に暴露される。これにより、シリコン基板31の露出部分が酸化され、シリコン酸化膜31aが形成される。上述したように、シリコン基板31の露出部分の表面、および、表面よりも内側の部分には不純物が位置するため、不純物は、シリコン酸化膜31aの表面、シリコン酸化膜31aの内部、シリコン酸化膜31aとシリコン基板31におけるシリコンによって形成される表面との間、および、シリコン基板31の内部に位置する可能性がある。
【0045】
図3(c)が示すように、処理対象Sに対してシリコン酸化膜31aを除去する処理が行われることによって、処理対象Sからシリコン酸化膜31aが除去される。上述したように、本実施形態の酸化膜除去方法では、反応生成物の生成後に、処理対象Sが含む不純物が除去される。そのため、シリコン酸化膜31aの表面よりも内側に位置する不純物であっても、処理対象Sから除去される。
【0046】
なお、処理対象Sのシリコン酸化膜31aが除去される前に、処理対象Sの表面に付着した不純物などを除去するために、処理対象Sが洗浄されることがある。上述したように、処理対象Sのエッチングによって処理対象Sに埋め込まれた不純物は、処理対象Sに印加されたバイアス電位によって処理対象に向けて引き込まれている。そのため、不純物は、洗浄によっては除去が不可能である程度に、処理対象Sに対して強固に付着している、あるいは、処理対象Sの内部に埋め込まれている。
【0047】
図4が示すように、酸化膜除去方法は、生成工程(ステップS11)、および、除去工程(ステップS12)を含む。生成工程では、まずNFが生成される。生成されたNFは、処理対象Sが含むシリコン酸化膜に供給され、シリコン酸化膜を形成するSiOとNFとが反応することによって、(NFSiFが生成される。
【0048】
除去工程では、反応生成物を揮発させることによって、処理対象Sから反応生成物が除去される。なお、除去工程では、処理対象Sに付着する反応生成物の全てが処理対象Sから除去されてもよいし、反応生成物の一部のみが処理対象Sから除去されてもよい。言い換えれば、生成工程において生成された反応生成物の少なくとも一部が処理対象Sから除去されればよい。
【0049】
上述したように、除去工程は、シリコン層に水素、および、水素と不純物とを反応させるためのエネルギーを供給することによって、反応生成物の生成後において、シリコン層に付着した不純物を除去する。不純物は、反応生成物が処理対象Sから除去されている第1期間のみにおいて、反応生成物とともに処理対象Sから除去されてもよい。または、不純物は、反応生成物が処理対象Sから除去された後である第2期間のみにおいて、処理対象Sから除去されてもよい。または、不純物は、第1期間と第2期間との両方において除去されてもよい。不純物は、第1期間および第2期間の各々において、各期間の全体にわたって除去されてもよいし、各期間の一部において除去されてもよい。
【0050】
このように、酸化膜除去方法によれば、不純物が付着したシリコン層に対して水素を供給し、かつ、水素と不純物とを反応させるためのエネルギーをこれらの少なくとも一方に供給することによって、不純物を揮発性の物質に変換することによって、シリコン層から不純物を除去することが可能である。
【0051】
なお、除去工程では、処理対象Sに付着する不純物の全てが処理対象Sから除去されてもよいし、不純物の一部のみが処理対象Sから除去されてもよい。言い換えれば、不純物の少なくとも一部が処理対象Sから除去されればよい。
【0052】
除去工程では、反応生成物を加熱している間に、シリコン層に水素を供給し、かつ、不純物と水素とを反応させるためのエネルギーを不純物および水素の少なくとも一方に供給することが好ましい。これにより、反応生成物を加熱している間に水素およびエネルギーを供給するため、反応生成物を除去している期間中に、不純物を除去することもできる。これにより、反応生成物の除去と不純物の除去とを各別のタイミングで行う場合に比べて、反応生成物と不純物との両方を除去するために必要な時間を短くすることができる。
【0053】
なお、水素およびエネルギーの供給は、反応生成物を加熱している期間の全体において行われてもよいし、反応生成物を加熱している期間の一部において行われてもよい。また、反応生成物を加熱している期間であれば、水素の供給がエネルギーの供給よりも先に行われてもよい。この場合にも、エネルギーに先行して処理対象に供給された水素は、エネルギーが供給されるときにも少なからず不純物の付近に滞在するため、不純物を除去することが可能ではある。
【0054】
除去工程では、水素を含むガスから生成されたプラズマに処理対象Sを暴露することによって、プラズマに含まれる水素を含む活性種をシリコン層に供給することが好ましい。これにより、水素を含むガスから生成されたプラズマによって、不純物を除去するための水素とエネルギーとを処理対象に対して一度に供給することが可能である。水素を含むガスから生成されたプラズマには、活性種として例えばHが含まれている。Hによれば、不純物に対して水素とエネルギーとを同時、かつ、同一の箇所に供給することが可能である。そのため、水素とエネルギーとが各別に供給される場合と比べて、水素およびエネルギーが供給されるタイミングおよび場所にずれが生じにくい。
【0055】
生成工程では、反応生成物を除去することにおいて反応生成物の加熱を開始するよりも前、または、反応生成物の加熱を開始すると同時に、処理対象Sに対するエッチャントの供給を停止することが好ましい。これにより、反応生成物の加熱を開始した後も処理対象にエッチャントを供給し続ける場合と比べて、処理対象がエッチャントによって過剰にエッチングされることが抑えられる。
【0056】
図5は、酸化膜除去方法の一例を説明するためのタイミングチャートである。図5には、NHガスおよびNガスの供給、マイクロ波の照射、NFガスの供給、および、基板温度の変化の各々におけるタイミングが示されている。なお、図1を用いて先に説明した酸化膜除去装置の第1例および第2例のいずれを用いても、図5に記載したタイミングチャートで説明する方法によって、シリコン酸化膜を除去することが可能である。
【0057】
図5が示すように、タイミングT1において、放電管18に対するNHガスとNガスとの供給と、真空槽11に対するNFガスの供給とが開始される。次いで、タイミングT2において、放電管18に対するマイクロ波の照射が開始される。タイミングT1とタイミングT2との間の期間は、放電管18内の圧力がほぼ一定になるまでの期間であり、放電管18内の圧力が安定した後に、放電管18に対してマイクロ波が照射される。これにより、タイミングT2において、シリコン酸化膜に対するNFの供給、および、反応生成物である(NFSiFの生成が開始される。
【0058】
タイミングT3において、真空槽11に対するNFガスの供給が停止される。反応生成物を生成するためのNFは、ほぼタイミングT2からタイミングT3の期間において生成される。そのため、タイミングT2からタイミングT3までの期間は、例えば処理対象Sに形成されたシリコン酸化膜の体積に応じて設定される。また、タイミングT3では、加熱部13による処理対象Sの加熱が開始される。処理対象Sの温度は、タイミングT3から上昇を開始し、タイミングT4において目標温度に到達する。そして、タイミングT4からタイミングT5までの間は、処理対象Sの温度が目標温度に維持される。目標温度は、処理対象Sに付着する反応生成物が揮発する温度以上の温度である。
【0059】
このように、処理対象Sの加熱が開始されるときに、処理対象Sに対するNFの供給が停止される。そのため、処理対象Sの加熱が開始された後にも処理対象Sに対してNFが供給される場合と比べて、処理対象SがNFによって過度にエッチングされることが抑えられる。
【0060】
ここで、タイミングT4からタイミングT5までの期間は、NHガスおよびNガスの供給と、マイクロ波の供給とが継続される。そのため、処理対象Sが加熱されている期間の全体にわたって、処理対象SにHが供給される。これにより、処理対象Sが含む不純物が、処理対象Sから除去される。タイミングT5において、マイクロ波の供給が停止される。
【0061】
上述したように、タイミングT4からタイミングT5までの期間は、処理対象Sが含む不純物が除去される期間であるため、タイミングT4からタイミングT5までの期間の長さは、例えば処理対象Sをエッチングするときの条件に応じて設定することが可能である。エッチングするときの条件には、例えば、処理対象Sのエッチングに用いられるガス、お処理対象Sに印加されるバイアス電位の大きさ、および、エッチングが行われる時間を挙げることができる。タイミングT4からタイミングT5までの期間は、例えば、処理対象Sに印加されるバイアス電位が大きいほど、または、エッチングが行われる時間が長いほど、長く設定することが可能である。
【0062】
タイミングT6において、NHガスおよびNガスの供給が停止される。なお、処理対象Sの加熱は、タイミングT6よりも後において停止されてもよいし、タイミングT6において停止されてもよい。
【0063】
本実施形態では、タイミングT1からタイミングT3までの期間が、生成工程(ステップS11)に相当し、タイミングT3からタイミングT6までの期間が、除去工程(ステップS12)に相当する。
【0064】
[実施例]
図6を参照して実施例および比較例を説明する。
4枚のシリコン基板を準備し、各シリコン基板の表面を、Cガスから生成したプラズマを用いてドライエッチングした後に、各シリコン基板をOガスから生成したプラズマに暴露した。そして、4枚のシリコン基板を大気に暴露した。次いで、1枚のシリコン基板に対して、上述した生成工程と除去工程とを行うことによって、実施例1のシリコン基板を得た。また、1枚のシリコン基板に対してOガスから生成したプラズマを照射した後に処理を行わないことによって、比較例1のシリコン基板を得た。また、1枚のシリコン基板に対してフッ化水素を用いた洗浄を行うことによって、比較例2のシリコン基板を得た。また、1枚のシリコン基板に対して、生成工程と除去工程とを行うことによって、比較例3のシリコン基板を得た。なお、比較例3のシリコン基板を得るときには、除去工程においてシリコン基板を加熱する一方で、シリコン基板に対するNHガスおよびNガスから生成されたプラズマを供給しなかった。
【0065】
次いで、各シリコン基板の表面における状態を維持する目的で、シリコン基板の表面にTi層を形成し、さらに、Ti層上にTiN層を形成した。これにより、実施例1の評価基板、および、比較例1から比較例3の評価基板を得た。なお、Ti層の厚さとTiN層の厚さとの合計が約20nmであるように、Ti層とTiN層とを形成した。そして、各評価基板に対してSIMS分析を行った。各評価基板に対するSIMS分析の結果は、図6に示す通りであった。
【0066】
図6は、SIMS分析によって得られた炭素の濃度を示している。上述したように、Ti層の厚さとTiN層の厚さとの合計が約20nmであるため、SIMS分析において、深さが約20nmである位置において、シリコン基板の表面における炭素濃度が得られた。
【0067】
図6が示すように、比較例1の評価基板および比較例2の評価基板では、シリコン基板の表面における炭素濃度がほぼ同じであることが認められた。また、比較例1の評価基板および比較例2の評価基板では、シリコン基板の表面における炭素濃度が、約8.E+21atoms/cm3であることが認められた。つまり、シリコン酸化膜を有するシリコン基板をフッ化水素で洗浄しても、評価基板が含む不純物は除去されないことが認められた。
【0068】
これに対して、比較例3の評価基板では、シリコン基板の表面における炭素濃度が約3.E+21atoms/cm3であることが認められた。また、実施例1の評価基板では、シリコン基板の表面における炭素濃度が約4.E+20atoms/cm3であることが認められた。
【0069】
このように、比較例3の評価基板では、比較例1の評価基板および比較例2の評価基板に比べて、シリコン基板の表面における炭素濃度が低いことが認められた。比較例3における炭素濃度は、シリコン基板からシリコン酸化膜が除去されるときに、シリコン酸化膜の表面に位置する不純物、および、シリコン酸化膜に含まれる不純物が、反応生成物の揮発とともにシリコン基板の表面から除去されたことを示唆している。
【0070】
実施例1の評価基板では、比較例3の評価基板に比べて、シリコン基板の表面における炭素濃度が低いことが認められた。実施例1における炭素濃度は、シリコン酸化膜に含まれる不純物に加えて、シリコン酸化膜とシリコン基板との間に位置する不純物や、シリコン基板の表面に埋め込まれた不純物などがシリコン基板の表面から除去されたことを示唆している。このように、実施例1の評価基板を得るための酸化膜除去方法によれば、シリコン基板が含む不純物がより効果的に除去されることが認められた。
【0071】
以上説明したように、酸化膜除去方法および酸化膜除去装置の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)不純物を揮発性の物質に変換することによって、シリコン基板31から不純物を除去することが可能である。
【0072】
(2)反応生成物の除去と不純物の除去とを各別のタイミングで行う場合に比べて、反応生成物と不純物との両方を除去するために必要な時間を短くすることができる。
(3)水素を含むガスから生成されたプラズマによって、不純物を除去するための水素とエネルギーとを処理対象に対して一度に供給することが可能である。
【0073】
(4)反応生成物の加熱を開始した後も処理対象にエッチャントを供給し続ける場合と比べて、処理対象がエッチャントによって過剰にエッチングされることが抑えられる。
【0074】
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[エネルギー供給部]
・エネルギー供給部は、処理対象Sに対して紫外線、および、電子ビームなどのエネルギー線を照射することによって、水素と不純物との少なくとも一方にエネルギーを供給してもよい。
【0075】
[エッチャント供給部]
・エッチャント供給部は、マイクロ波源19,23以外の励起部によって水素を含む活性種を生成してもよい。励起部には、例えば、高周波アンテナと、高周波アンテナに接続された電源とを含む構成を挙げることができる。
【0076】
[第1ガス供給部]
・第1ガス供給部17Aは、水素を含むガスとしてNHガス以外のガスを供給してもよい。NHガス以外のガスには、例えば、Hガスなどを挙げることができる。
【0077】
[第2ガス供給部]
・第2ガス供給部17Bは、フッ素を含むガスとしてNFガス以外のガスを供給してもよい。NFガス以外のガスには、例えば、Fガスなどを挙げることができる。
【0078】
[加熱部]
・加熱部13は、支持部12の内部に位置してもよい。この場合には、加熱部13は、支持部12に配置された処理対象Sを加熱することによって、処理対象Sに付着する反応生成物を加熱することができる。
【0079】
[除去工程]
・除去工程では、反応生成物の加熱よりも前に、シリコン層に水素を供給し、かつ、不純物と水素とを反応させるためのエネルギーを不純物および水素の少なくとも一方に供給してもよい。この場合には、以下の効果を得ることができる。
【0080】
(5)反応生成物を揮発させる前にシリコン層から不純物を除去することが可能である。
この場合には、例えば、NFガスの供給を停止した時点(タイミングT3)から、所定の期間にわたって、NHガスおよびNガスの供給と、マイクロ波の供給とを継続する。次いで、NHガスおよびNガスの供給と、マイクロ波の供給とを停止した時点と同時またはそれ以降に処理対象の加熱を開始する。これにより、反応生成物の加熱よりも前に、シリコン層から不純物を除去することが可能である。
【0081】
・除去工程では、反応生成物の加熱よりも後に、シリコン層に水素を供給し、かつ、不純物と水素とを反応させるためのエネルギーを不純物および水素の少なくとも一方に供給してもよい。この場合には、以下の効果を得ることができる。
【0082】
(6)反応生成物の加熱によって反応生成物を除去した後に不純物を除去するため、シリコン酸化膜31aとシリコン基板31との間や、シリコン基板31の表面に埋め込まれた不純物が除去されやすくなる。
【0083】
この場合には、例えば、反応生成物の加熱を終了した後、または、反応生成物の加熱を終了した後、かつ、処理対象Sの温度が、反応生成物が揮発する温度未満の温度まで低下した後に、処理対象Sに対して水素を含むガスから生成されたプラズマを供給すればよい。
【符号の説明】
【0084】
10,20…酸化膜除去装置、11…真空槽、12…支持部、13…加熱部、14…排気部、15…第1シャワープレート、16…第2シャワープレート、17A…第1ガス供給部、17B…第2ガス供給部、18,22…放電管、19,23…マイクロ波源、20A…第1プラズマ生成部、20B…第2プラズマ生成部、21…第3ガス供給部、31…シリコン基板、31a,33…シリコン酸化膜、32…シリコン窒化膜、34…レジストマスク、34a,Sh…貫通孔、S…処理対象。
図1
図2
図3
図4
図5
図6