(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-29
(45)【発行日】2022-08-08
(54)【発明の名称】ゼオライト材料のフラッシュか焼のための方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
C01B39/48
(21)【出願番号】P 2018551853
(86)(22)【出願日】2017-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2017056855
(87)【国際公開番号】W WO2017167622
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-19
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】カロ,ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ,レネ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】マウレル,シュテファン
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-510060(JP,A)
【文献】特開2013-112577(JP,A)
【文献】特表2011-514238(JP,A)
【文献】米国特許第06106803(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148828(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト材料のか焼方法であって、前記方法が、
(i)骨格構造中にYO
2を含み、任意にX
2O
3をさらに含むゼオライト材料を粉末の形態、及び/又は液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液の形態で供給する工程であり、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(ii)エアロゾルを得るための、(i)で供給される前記ゼオライト材料の前記粉末及び/又は前記懸濁液のガス流中での微粒子化工程、
(iii)か焼粉末を得るための、(ii)で得られる前記エアロゾルのか焼工程、
を含
み、
前記(iii)におけるか焼温度が、500~1500Kの範囲であり、
前記(iii)におけるか焼期間が、5m秒~30秒の範囲である
方法。
【請求項2】
(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、前記方法が、
(i.a)YO
2源及び溶媒系を含む混合物を調製する工程であり、前記混合物が、任意にX
2O
3源をさらに含み、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(i.b)液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液として、母液中のゼオライト材料の懸濁液を得るために、(i.a)で調製された前記混合物を結晶化する工程、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)において、前記ゼオライト材料を粉末の形態で供給するために、前記方法が、
(i.c)(i.b)で得られる前記母液から前記ゼオライト材料を分離する工程、
並びに
(i.d)(i.b)及び/若しくは(i.c)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に1種以上の溶媒で洗浄する工程
並びに/又は
(i.e)(i.b)及び/若しくは(i.c)及び/若しくは(i.d)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に乾燥する工程、
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(i)において、前記ゼオライト材料を粉末の形態で供給するために、(i.b)で得られる母液中の前記ゼオライト材料を、噴霧乾燥する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、前記方法が、
(i.f)溶媒系を供給する工程、
(i.g)(i.c)及び/又は(i.d)及び/又は(i.e)に従って得られる粉末の形態のゼオライト材料を、前記溶媒系に懸濁する工程、
をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(i.a)で供給される前記混合物が、有機テンプレートをさらに含む請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(i.a)及び(i.f)で供給される前記溶媒系が、互いに独立して、水及び/又は1種以上の有機溶媒を含む請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
Xが、Al、B、In、Ga、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
(ii)で得られる前記エアロゾルにおける粉末粒子、及び/又は懸濁液からの液滴のISO13320:2009に従って測定された平均粒径D50が、0.5~500μmの範囲である請求項1~9のいずれか1項に記載の方法
。
【請求項11】
(iii)におけるか焼を、酸素含有雰囲気中で行なう請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法に従って得られ得る、及び/又は得られるゼオライト材料。
【請求項13】
前記ゼオライト材料のISO13320:2009に従って測定された平均粒径D50が、0.5~500μmの範囲である請求項
12に記載のゼオライト材料。
【請求項14】
請求項
12又は
13に記載のゼオライト材料の、分子篩としての、吸着剤としての、イオン交換のための、又は触媒として及び/又は触媒担体としての使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、か焼ゼオライト材料(calcined zeolitic material)の製造方法、並びに本発明の方法、特にフラッシュか焼(flash calcination)から得られるか焼ゼオライト材料に関連する。さらに、本発明は、本発明の方法に従って得られるか焼ゼオライト材料の使用方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト化学の分野において、合成したゼオライトの後処理(workup)は、典型的には、得られる結晶生成物を洗浄及び乾燥する工程、続いて、前記生成物を、典型的には500~650℃の範囲の温度に加熱するか焼処理を含む。前記か焼処理は、骨格構造、特に微細孔系(microporous system)において、ある程度の修飾を伴うゼオライト合成を完了し、その完了後に、最終生成物が典型的に得られるようにする場合が多い。このことは、構造指向剤(structure directing agent)を用いて、特に、その洗浄及び乾燥工程後でさえ捕捉されたゼオライトの微細孔に残存する有機テンプレート化合物(organotemplate compound)を用いて得られるゼオライト材料に当てはまる。これらの場合、前記か焼はさらに、前記最終生成物における微細孔系全体に、自由なアクセス(free access)を可能にするように、前記ゼオライト骨格内に捕捉された、そのような有機化合物の熱分解及び/又は燃焼を引き起こす。
【0003】
この趣旨で、ゼオライトは、慣例的に回転オーブン中でか焼される。回転オーブン中の粒子の滞留時間(retention time)は、通常、約20~45分であり、前記滞留時間は、前記粒子が、その関連するホットゾーン内で費やした時間のことを称する。回転か焼炉(rotary calciner)の温度は、通常、約500~650℃である。その中に含まれる有機化合物の除去、特に有機テンプレートの除去のための前記ゼオライトのか焼に関しては、これは、か焼が典型的には空気下で行なわれる、酸化環境下で行なわれ得る。
【0004】
前記か焼工程に関しては、その効率を向上するための努力がなされている。したがって、か焼手順自体が研究され、例えば、前記最終生成物を得るために必要な時間を削減するために、短時間のか焼手順が研究される。例として、Prokopova,O.et al.「準等温加熱領域におけるシリカライト-1からのテトラプロピルアンモニウム水酸化物除去速度論の主要特徴(Principal Features of Tetrapropylammonium Hydroxide Removal Kinetics from Silicalite-1 in Quasi-isothermal Heating Regimes)」J.Phys.Chem.C 2013,117, 1468-1476頁は、7~8時間のか焼期間を伴う、非固結シリカライト-1結晶層からのテトラプロピルアンモニウム水酸化物の除去の時間依存性の理論的研究に関する。
【0005】
Choudhary,V.R.et al.「結果として得られるH・Na-ZSM-5の表面及び触媒特性に対するTPA-ZSM-5の分解条件の影響(Influence of decomposition conditions of TPA-ZSM-5 on surface and catalytic properties of the resulting H・Na-ZSM-5)」Journal of Catalysis 1985, 94, 573-575は、ZSM-5ゼオライトの構造中に吸蔵されたテトラプロピルアンモニウムカチオンの分解条件の研究に関し、特定の実験は前記材料の813Kで18時間のか焼を伴う。
【0006】
Bagshaw,S.A.「高品質のメソ構造のMCM-41、MSU-X、及びSBA-15シリケート材料:連続処理に向けてのステップ?(Rapid calcination of high quality mesostructured MCM-41, MSU-X, and SBA-15 silicate materials: A step towards continuous processing?)」Mesoporous Materials 2008,109,199-209頁は、最大毎分100℃の加熱速度を伴うシリケートメソ構造の迅速か焼に関連し、試料はその温度で4時間保持された。Assaker,K.et al.「フラッシュ誘導か焼によるアナターゼを有するメソ多孔性チタニア(Mesoporous titania with anatase walls by flash induction calcination)」Microporous and Mesoporous Materials 2015,201,43-49頁は、460℃で5分間の前駆体材料のか焼を伴う、半結晶性骨格を有する高秩序の(highly ordered)メソ多孔性チタニアの製造に関連する。
【0007】
Benamor,T.et al.「フラッシュ誘導か焼:SBA-15型シリカメソ多孔性材料における総テンプレートの除去、及び疎水性/親水性バランスの微調整のための強力なツール(Flash induction calcination: A powerful tool for total template removal and fine tuning of the hydrophobic/hydrophilic balance in SBA-15 type silica mesoporous materials)」Mesoporous Materials 2012,147,334-342頁は、300~700℃の範囲の温度で、5~15分間の選択する期間のか焼を伴う、特定の秩序化されたメソ多孔性シリカ材料から、有機テンプレートを完全に除去する迅速か焼方法に関連する。
【0008】
この点において、マイクロ波照射によって前記ゼオライト材料の加熱を伴うか焼手順が試験されている。したがって、Lai,T.-L.et al.「マイクロ波補助抽出を用いるSBA-15からの有機テンプレートの迅速除去(Rapid removal of organotemplate from SBA-15 with microwave assisted extraction)」Materials Letters 2009,63,1693-1695頁は、マイクロ波照射下、2分間の加熱を伴うマイクロ波補助抽出によるSBA-15の細孔からの界面活性剤テンプレートの除去に関し、前記方法は、前記テンプレートを除去するために3回繰り返される。同様なことが、Gallis,K.W.et al.「補助マイクロ波放射によるナノ多孔性シリケート前駆体の迅速か焼(Rapid calcination of nanoporous silicate precursors by assisted microwave irradiation)」Adv.Mater.2001,13,23-26頁に当てはまり、ナノ構造のシリケート複合材料が、異なる平均出力での1分間の最小時間の暴露を用いるマイクロ波放射によって迅速にか焼される。
【0009】
しかしながら、そのようなか焼手順の効率をさらに改善する必要性は、処理手順の時間に関してだけでなく、関連する装置、及び工業規模等における大量のゼオライト材料を処理するその能力に関しても残っている。
【0010】
一方、化学変換のため、前駆体材料の非常に高い反応温度への暴露を伴う反応手順が、一般に公知であり、前記方法は、それらの条件下で非常に短い滞留時間を伴う。したがって、例として、無機化学の分野において、US3,862,294は、無機材料をフラッシュか焼するための方法であって、ガス状化合物の放出による前記固体材料の分解、及び前記材料の酸化物への還元を含み、前記ユニット中に機械的に刺激された(motivated)部分又は機構(mechanism)を使用せずに、前記鉱物、又は材料の高純度の活性酸化物を生成する方法に関し、0.1~25.0秒の滞留時間が言及され、その具体的な実施例は、5~15秒の滞留時間を使用している。一方、US6,620,820B1は、高温ガス流中での前駆体材料の水性懸濁液のか焼を伴う窒素酸化物貯蔵材料の製造方法に関連し、1分未満、好ましくは10秒未満の滞留時間が説明され、1秒未満の滞留時間(residence time)が実現されたと記載されている。しかしながら、前記方法は、特に、高温で前駆体材料の化学変換を可能にすることを目的としており、前記短い滞留期間は、効率性の向上の必要性の結果ではなく、むしろ反応時間が非常に短いという事実に起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】US3,862,294
【文献】US6,620,820B1
【非特許文献】
【0012】
【文献】Prokopova,O.et al.J.Phys.Chem.C 2013,117, 1468-1476
【文献】Choudhary,V.R.et al.Journal of Catalysis 1985, 94, 573-575
【文献】Bagshaw,S.A.Mesoporous Materials 2008,109,199-209
【文献】Assaker,K.et al.Microporous and Mesoporous Materials 2015,201,43-49
【文献】Benamor,T.et al.Mesoporous Materials 2012,147,334-342
【文献】Lai,T.-L.et al.Materials Letters 2009,63,1693-1695
【文献】Gallis,K.W.et al.Adv.Mater.2001,13,23-26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、特に合成時の材料のか焼を伴う合成に関して、ゼオライト材料の高効率のか焼方法を提供することにある。したがって、驚くべきことに、ゼオライト材料は、それらのか焼のために通常使用される温度を超える温度で、前記温度での暴露が極端に短時間に維持されると、効率的にか焼されることが見出された。特に、全く予想外なことに、そのようなか焼レジメン(calcination regimen)は、そのような極端な温度への暴露にもかかわらず、高い結晶性が維持されるように、前記ゼオライト材料の骨格構造を実質的に劣化させないことが見出された。さらに、驚くべきことに、ゼオライト材料の微細孔系内の極めて制限された拡散能力にもかかわらず、ゼオライト骨格内に捕捉された有機テンプレート化合物の効果的な除去が、前記条件下の非常に低い滞留時間を使用していても達成され得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、ゼオライト材料のか焼方法であって、前記方法が、
(i)その骨格構造中にYO2を含み、任意にX2O3をさらに含むゼオライト材料を粉末の形態、及び/又は液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液の形態で供給する工程であり、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(ii)エアロゾルを得るための、(i)で供給される前記ゼオライト材料の前記粉末及び/又は前記懸濁液のガス流中での微粒子化(atomization)工程、
(iii)か焼粉末を得るための、(ii)で得られる前記エアロゾルのか焼工程、
を含む方法に関連する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
工程(i)において、前記ゼオライト材料が懸濁液の形態で供給される本発明の選択肢に関しては、そのような懸濁液がどのように供給され得るか、特にそのような懸濁液が工程(i)での供給のために調製され得る手段について、特に制限は適用されない。したがって、例として、前記懸濁液は、溶媒系の利用を伴う手順に従ってゼオライト材料を合成し、前記結晶化したゼオライト材料及び前記溶媒系を含む前記合成手順の直接反応生成物を使用することによって得られ得、前記溶媒系は、いわゆる「母液(mother liquor)」とも称され、それは、撹拌(agitation)及び/又は超音波処理(sonication)等の適切な手段によって懸濁されるか、又は懸濁され得る。本発明の意味の範囲内で、前記懸濁液の液相を説明するために工程(i)で使用される用語「液体」は、主として任意の適切な液体を指し、前記液体は、好ましくは前記ゼオライト材料が、その結晶化の後に含まれる前記母液であるか、及び/又は本発明の方法の特定の好ましい実施形態に関して、本出願に定義された溶媒系である。
【0016】
したがって、本発明の方法によれば、(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、前記方法が、
(i.a)YO2源及び溶媒系を含む混合物を調製する工程であり、前記混合物が、任意にX2O3源をさらに含み、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(i.b)液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液として、母液中のゼオライト材料の懸濁液を得るために、(i.a)で調製された前記混合物を結晶化する工程、
を含むことが好ましい。
【0017】
工程(i)において、前記ゼオライト材料が粉末の形態で供給される本発明の選択肢に関しては、そのような粉末がどのように供給され得るか、特にそのような粉末が工程(i)での供給のために調製され得る手段について、特に制限は適用されない。したがって、合成ゼオライト材料が使用される場合には、そのような粉末は、前記ゼオライト材料が適切な前駆体材料及び溶媒系の混合物から結晶化され、その後、結果として得られるゼオライト材料が、前記反応混合物、特にそれが含まれる前記母液から、任意の適切な分離手段によって分離される手順によって供給され得る。特にそのような分離手段は、前記母液からの前記結晶化したゼオライト材料のろ過、及び/又は前記固体のゼオライト材料を前記母液から分離するため等の反応生成物の遠心分離を含み得る。そのような例において、前記分離されたゼオライト材料は、それ自体、本発明の方法に、すなわち、工程(i)における粉末の形態のゼオライト材料として使用され得るか、又は前記分離されたゼオライト材料は、より高い純度の粉末を得るために、及び/又はエアロゾルを得るガス流中での工程(i)で供給される前記粉末の微粒子化を含む本発明の工程(ii)において、より効果的に分散され得る粉末を得るために、前記粉末が適切に洗浄され、及び/又は乾燥され得る1工程以上のさらなる工程を受け得る。
【0018】
したがって、本発明の方法によれば、(i)において、前記ゼオライト材料を粉末の形態で供給するために、前記方法が、
(i.a)YO2源及び溶媒系を含む混合物を調製する工程であり、前記混合物が、任意にX2O3源をさらに含み、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(i.b)液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液として、母液中のゼオライト材料の懸濁液を得るために、(i.a)で調製された前記混合物を結晶化する工程、
(i.c)(i.b)で得られる前記母液から前記ゼオライト材料を分離する工程、好ましくはろ過工程及び/若しくは遠心分離工程、さらに好ましくはろ過工程、
並びに
(i.d)(i.b)及び/若しくは(i.c)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に1種以上の溶媒、好ましくは脱イオン水で洗浄する工程
並びに/又は
(i.e)(i.b)及び/若しくは(i.c)及び/若しくは(i.d)、好ましくは(i.c)及び/若しくは(i.d)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に乾燥する工程、
をさらに含むことが好ましい。
【0019】
本発明の方法の工程(i)において、ゼオライト材料を供給するために結晶化したゼオライト材料が洗浄工程を受けない場合、本発明によれば、工程(i)で使用する粉末は、前記母液中にゼオライト材料の懸濁液を含む、直接の結晶化生成物の噴霧乾燥によって得られることが好ましい。したがって、本発明の方法によれば、(i)において、前記ゼオライト材料を粉末の形態で供給するために、(i.b)で得られる母液中の前記ゼオライト材料を、噴霧乾燥することがさらに好ましい。
【0020】
本発明の方法によれば、別法として、溶媒系の使用を必要としない、すなわち、前記ゼオライト材料が固相合成(solid-state synthesis)から得られる合成手順が好ましく、その後、直接の反応生成物が、本発明の方法の工程(i)で粉末として供給される。
【0021】
工程(i)において、前記ゼオライト材料が粉末の形態で、好ましく供給される本発明の方法によれば、前記実施形態は、所望の平均粒径及び/又は粒径分布、特に、本出願に定義された本発明の方法の特定の好ましい実施形態に従う平均粒径D50を有する粉末を供給するために、前記粉末を粉砕する工程(milling)をさらに含み得る。
【0022】
さらに、工程(i)において、粉末の形態及び/又は懸濁液の形態で供給される前記ゼオライト材料が、合成手順から得られる本発明の方法によれば、そのような粉末及び/又は懸濁液を得るための上述の特定の好ましい実施形態は、任意の適切な方法で組み合わされ得る。したがって、工程(i)において、液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液が供給される場合、それが、その結晶化直後の反応混合物中に含まれる前記母液とは異なる溶媒系中で、前記ゼオライト材料を供給することが有利であり得る。したがって、前記の場合、工程(i)で懸濁液を供給するため、その後の工程において、適切な液体又は溶媒系に懸濁される粉末を最初に得るため、好ましくは本出願に記載された特定の好ましい手段のいずれかによって、任意に洗浄及び/又は乾燥され得る前記ゼオライト材料の、好ましくは本出願に記載された特定の好ましい手段のいずれかによって、前記母液からの分離を最初に進めることが好ましい。したがって、前記ゼオライト材料を得るための前記合成手順から直接得られる母液中の前記ゼオライト材料はまた、溶媒混合物中のその懸濁の前に、粉末を得るために直接噴霧乾燥され得る。したがって、同様なことが、本発明の方法の工程(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、溶媒系に適切に懸濁され得る、固相合成から得られるゼオライト材料に関しても適用される。
【0023】
したがって、本発明の方法によれば、(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、前記方法は、
(i.a)YO2源及び溶媒系を含む混合物を調製する工程であり、前記混合物が、任意にX2O3源をさらに含み、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(i.b)液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液として、母液中のゼオライト材料の懸濁液を得るために、(i.a)で調製された前記混合物を結晶化する工程、
(i.c)(i.b)で得られる前記母液から前記ゼオライト材料を分離する工程、好ましくはろ過工程及び/若しくは遠心分離工程、さらに好ましくはろ過工程、
並びに
(i.d)(i.b)及び/若しくは(i.c)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に1種以上の溶媒、好ましくは脱イオン水で洗浄する工程
並びに/又は
(i.e)(i.b)及び/若しくは(i.c)及び/若しくは(i.d)、好ましくは(i.c)及び/若しくは(i.d)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に乾燥する工程、
(i.f)溶媒系を供給する工程、
(i.g)(i.c)及び/又は(i.d)及び/又は(i.e)に従って、好ましくは(i.e)にしたがって得られる粉末の形態のゼオライト材料を、前記溶媒系に懸濁する工程、
をさらに含むことがさらに好ましい。
【0024】
本発明によれば、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料が、その微細孔チャネル系(microporous channel system)内に有機テンプレートを含み、(iii)における前記か焼工程が、前記ゼオライト材料から排出され得るガス状生成物への燃焼及び/又は熱分解による、その少なくとも部分的な除去を引き起こすことが好ましい。本発明の方法の工程(i)で供給される前記ゼオライト材料内に好ましく含まれる前記有機テンプレートに関しては、特に制限は適用されず、原則として、任意の考えられる有機テンプレート化合物がその中に含まれ得る。本発明の方法の工程(i)で供給される有機テンプレートを含む前記好ましいゼオライト材料は、所定のゼオライト材料の特定の微細孔チャネル系の形成のために、そのような有機テンプレートを使用する合成手順に従って得られるので、本発明の方法は、1種以上の有機テンプレート化合物が使用される前記ゼオライト材料の調製のための工程を含むことがさらに好ましい。特に、工程(i)で供給され得る前記ゼオライト材料は、本出願に記載された特定の好ましい手段のいずれかに従って調製されることが好ましく、その工程(i.a)において、前記混合物の調製は、1種以上の有機テンプレート化合物、好ましくは本出願に定義された特定の好ましい実施形態のいずれかに従う1種以上の有機テンプレート化合物の使用をさらに含む。
【0025】
したがって、本発明の方法によれば、(i.a)で供給される前記混合物は、有機テンプレートをさらに含むことがさらに好ましい。
【0026】
上記の通り、好ましくは工程(i)で供給される前記ゼオライト材料中に含まれ得る有機テンプレートの種類に関して制限はなく、その中に含まれ得る異なる有機テンプレートの数に関しても如何なる制限もない。したがって、例として、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料中に好ましく含まれ、したがって、本発明の方法の特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、工程(i.a)で調製される前記混合物中に好ましく含まれる前記有機テンプレートは、好ましくは、アルカン、及びその誘導体、アミン、アンモニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。しかしながら、本発明によれば、前記有機テンプレートは、テトラアルキルアンモニウム塩、アルケニルトリアルキルアンモニウム塩、アリールトリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、複素環アミン、複素環アンモニウム塩、アダマンチルアンモニウム塩、アルキレンジアンモニウム塩、N-アルキル-トリアルキレンアンモニウム塩、N,N-ジアリール-トリアルキレンアンモニウム塩、アルキルアミン、シクロアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、キヌクリジン及びその誘導体、キヌクリジニウム塩、ノルボルナン及びその誘導体、トリアルキレンジアミン、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが特に好ましい。前記有機テンプレートは、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルプロピルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、エチルトリプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N-(1-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N-(1-プロペン-2-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N,N,N-トリ(C1-C3)アルキルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジ(C1-C3)アルキルジベンジルアンモニウム塩、(C4-C6)複素環アミン、(C4-C6)複素環アンモニウム塩、N,N,N-(C1-C3)トリアルキルアダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N,N,N-ヘキサ(C1-C3)アルキル-(C3-C7)アルキレンジアンモニウム塩、N,N-ジ(C1-C3)アルキル-トリ(C1-C3)アルキレンアンモニウム塩、N,N-ジアリール -トリ(C1-C3)アルキレンジアンモニウム塩、トリ(C1-C3)アルキルアミン、ジ(C1-C3)アルキル(C5-C7)シクロアルキルアミン、(C1-C3)アルキル(C5-C7)ジシクロアルキルアミン、(C3-C7)アルキレンジアミン、N,N,N,N-テトラ(C1-C2)アルキル(C3-C7)アルキレンジアミン、N,N,N-トリ(C1-C2)アルキル(C5-C7)シクロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ-ビシクロ(C6-C10)アルカン、キヌクリジノール及びその誘導体、N-(C1-C3)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C1-C3)アルキレンジアミン、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることがさらにいっそう好ましい。
【0027】
本発明によれば、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料中に好ましく含まれ、したがって、本発明の方法の特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、工程(i.a)で調製される前記混合物中に好ましく含まれる前記有機テンプレートは、テトラメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N-(1-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N,N,N-トリエチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-エチルジメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジエチルメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-エチルメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-エチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-メチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジプロピルジベンジルアンモニウム塩、(C5-C6)複素環アミン、N,N-(C1-C 3)ジアルキルイミダゾリニウム塩、N,N-ジ(C1-C3)アルキルピペリジニウム塩、N,N,N-(C1-C2)トリアルキル-アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N,N,N-ヘキサ(C1-C2)アルキル-(C5-C7)アルキレンジアンモニウム塩、N,N-ジ(C1-C2)アルキル-トリ(C1-C2)アルキレンアンモニウム塩、N,N-ジベンジル-トリ(C1-C2)アルキレンジアンモニウム塩、(C5-C6)シクロアルキルアミン、トリ(C1-C2)アルキルアミン、ジ(C1-C2)アルキル(C5-C6)シクロアルキルアミン、(C1-C2)アルキル(C5-C6)ジシクロアルキルアミン、(C4-C6)アルキレンジアミン、N,N,N,N-テトラ(C1-C2)アルキル(C4-C6)アルキレンジアミン、N,N,N-トリ(C1-C2)アルキル(C5-C6)シクロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ-ビシクロ(C7-C9)アルカン、3-キヌクリジノール及びその誘導体、N-(C1-C2)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C1-C2)アルキレンジアミン、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることがさらにいっそう好ましく、さらに好ましくは、前記有機テンプレートは、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサメチレンイミン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N,N-ジメチル-3,3-ジメチルピペリジニウム塩、N,N-メチルエチル-3,3-ジメチルピペリジニウム塩、N,N-ジメチル-2-メチルピペリジニウム塩、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N-トリメチル-2-アダマンチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1-メチル-1-アゾニア-4-アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジベンジル-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、シクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム塩、1,3,3,6,6-ペンタメチル-6-アゾニオ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、N-アルキル-3-キヌクリジノール、N-メチルキヌクリジニウム塩、N,N,N-トリアルキル-エキソアミノノルボルナン、トリエチレンジアミン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0028】
本発明によれば、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料中に好ましく含まれ、したがって、本発明の方法の特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、工程(i.a)で調製される前記混合物中に好ましく含まれる前記有機テンプレートは、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、トリエチレンジアミン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることがさらにいっそう好ましく、前記有機テンプレートは、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム塩であることがさらにいっそう好ましい。
【0029】
本発明の方法の特定の好ましい実施形態に従って、前記有機テンプレートが、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料中に含まれる形態に関しては、特に制限は適用されず、前記有機テンプレートが塩である場合、それは前記ゼオライト骨格に対する対イオンとして、特にそれに対するカチオンとして、前記ゼオライト材料の微細孔チャネル系中に含まれ得るか、又は前記ゼオライト材料と異なる塩の形態で含まれ得るか、又は一部の前記有機テンプレートが、前記ゼオライト骨格の対イオンとして前記ゼオライト材料に含まれ、且つ残りの部分が、前記ゼオライト材料と異なる塩の形態でその中に含まれる。前記ゼオライト材料が、工程(i.a)で調製される混合物から好ましく結晶化される本発明の方法に関しても、前記有機テンプレートが前記混合物中に含まれる形態について特に制限はなく、それが塩の形態でその中に含まれる場合、前記有機テンプレートが有し得る対イオンに関しても、如何なる制限も適用されない。したがって、例として、塩の形態で、前記有機テンプレートが、好ましくは、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料中に含まれるか、又は塩の形態で、工程(i.a)で調製される前記混合物中に含まれ、さらに前記有機テンプレートが前記塩のカチオンを構成する本発明の方法に従って、前記塩のアニオンは、例として、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアン化物、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくは、水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硫酸二水素塩、シアン化物、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され得、さらに好ましくは、前記アニオンは、水酸化物、塩化物、臭化物、硝酸塩、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、さらに好ましくは、前記アニオンは、水酸化物及び/又は臭化物、好ましくは水酸化物である。
【0030】
したがって、(i.a)で供給される前記混合物が、アンモニウム塩からなる群から選択される有機テンプレートをさらに含む本発明の方法によれば、前記アンモニウム塩の前記アニオンは、互いに独立して、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアン化物、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硫酸二水素塩、シアン化物、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくは、水酸化物、塩化物、臭化物、硝酸塩、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されることがさらに好ましく、さらに好ましくは、前記アンモニウム塩の前記アニオンは、水酸化物及び/又は臭化物、好ましくは水酸化物である。
【0031】
前記ゼオライト材料が、本発明の方法の工程(i)で懸濁される液体、及びそれぞれ本発明の方法の特定の好ましい実施形態に従って、工程(i.a)で前記混合物を調製するために使用されるか、又は工程(i.f)で供給される前記溶媒系に関しては、その液体に対して、及び/又はその中に使用される前記溶媒系について、特に制限は適用されないことが、ここに留意される。したがって、例として、工程(i)における前記液体、及び/又は工程(i.a)及び(i.f)のいずれにおいても使用される前記溶媒系は、主に、水及び/又は1種以上の有機溶媒を含み、前記液体及び/又は溶媒系は、水、一価アルコール、多価アルコール、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の溶媒を含むことが好ましく、さらに好ましくは、工程(i)における前記液体及び/又は前記溶媒系は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,2,3-トリオール、ブタン-1,2,3,4-テトラオール、ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。本発明によれば、前記液体及び/又は溶媒系は、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることがさらに好ましく、前記液体及び/又は溶媒系は、水、好ましくは脱イオン水を含むことが特に好ましい。本発明によれば、脱イオン水が、工程(i)における前記液体として、並びに/又は(i.a)及び(i.f)における前記溶媒系として使用されることが、特に好ましい。
【0032】
本発明の方法によれば、工程(i.b)で行なわれる前記好ましい結晶化に関して、前記結晶化が行なわれる条件に関しては、工程(i.a)で調製される前記混合物が、ゼオライト材料を提供するために効果的に結晶化され得るという条件で、特に制限は適用されない。したがって、工程(i.b)が行なわれる温度に関して、制限は適用されないが、(i.b)における結晶化は、(i.a)で調製された前記混合物の加熱下で行なわれることが好ましい。この点において、加熱は、結晶化のために適切な任意の温度で行なわれ得、(i.a)で調製された前記混合物は、80~220℃、好ましくは100~200℃、さらに好ましくは110~190℃、さらにいっそう好ましくは120~180℃の範囲の温度への、その加熱下で行なうことが好ましい。
【0033】
したがって、(i.b)で行なわれる前記結晶化の期間に関しても同様なことが適用され、原則として、任意の適切な期間が使用され得る。しかしながら、本発明の方法によれば、特に、(i.b)における前記結晶化が加熱下で行なわれるその特定の好ましい実施形態に従って、(i.b)における前記結晶化は、0.1~50日、好ましくは0.3~30日、さらに好ましくは0.6~13日、さらに好ましくは0.8~10日、さらに好ましくは1~7日、さらに好ましくは1.5~5日、さらに好ましくは2~4.5日の範囲の期間で行なわれる。本発明の方法によれば、(i.b)における結晶化は、特に前記結晶化が、(i.a)で調製された前記混合物の加熱下で行なわれる場合、2.5~3.5日の範囲の期間で行なわれることが特に好ましい。
【0034】
最後に、(i.b)における結晶化が行なわれる圧力に関しても、特に制限は提供されず、任意の適切な圧力が、前記工程におけるゼオライト材料の結晶化に使用される。しかしながら、本発明の方法によれば、(i.b)における前記結晶化は、自生圧力(autogenous pressure)下で行なわれることが好ましい。そのような圧力を達成するため、任意の適切な装置が使用され得、そのような場合には、(i.b)における前記結晶化は、耐圧容器(pressure tight vessel)中で、好ましくはオートクレーブ中で行なわれることが好ましい。
【0035】
本発明の方法の工程(i)で供給され、その特定の好ましい実施形態に従って、工程(i.b)で好ましく結晶化される前記ゼオライト材料に関しては、それが、特に、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、-SSO、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から選択される骨格構造を有する三次元微細孔チャネル系を規定する繰り返し単位セル(repeating unit cell)を含む正規構造(regular structure)を示すという条件で、任意の適切なゼオライト材料が使用され得る。しかしながら、本発明の方法によれば、(i)で供給され、その特定の好ましい実施形態に従って、工程(i.b)で好ましく結晶化される前記ゼオライト材料は、BEA、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW、及びTON(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から、さらに好ましくはBEA、CHA,EUO、FAU、FER、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW、及びTON(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが好ましい。本発明の方法によれば、(i)で供給され、その特定の好ましい実施形態に従って、工程(i.b)で好ましく結晶化される前記ゼオライト材料は、BEA、CHA、LEV、MFI、MWW(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが特に好ましく、本発明によれば、(i)で供給される前記ゼオライト材料は、CHA骨格構造を有することが特に好ましい。
【0036】
工程(i)で供給される前記ゼオライト材料の骨格構造中に含まれる4価の元素Yに関して、特に制限は適用されず、原則として、Yは、任意の適切な4価の元素又は4価の元素の組み合わせを表す。しかしながら、本発明によれば、Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましい。本発明によれば、Yは、Si及び/又はTiを表すことが特に好ましく、さらに好ましくは、YはSiである。
【0037】
Yが、好ましくSiを表し、工程(i)における前記ゼオライト材料が、本出願に記載された特定の好ましい実施形態のいずれかに従って調製される本発明の方法によれば、ゼオライト材料が、工程(i.a)で調製される前記混合物の結晶化の工程(i.b)で得られ得るという条件で、工程(I.a)で使用され得るSiO2源について、特に制限はない。したがって、例として、(i.a)で供給される前記SiO2源は、シリカ、ケイ酸塩、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の化合物を含み得、本発明によれば、前記SiO2源は、シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、反応性アモルファス固体シリカ(reactive amorphous solid silica)、シリカゲル、焼成シリカ(pyrogenic silica)、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。本発明によれば、(i.a)で供給される前記SiO2源は、ヒュームドシリカ、シリカゲル、焼成シリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくはヒュームドシリカ、シリカゲル、焼成シリカ、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の化合物を含むことが特に好ましい。本発明によれば、工程(i.a)で使用される前記SiO2源は、ヒュームドシリカ及び/又は焼成シリカを含むことが特に好ましく、好ましくは、ヒュームドシリカが、本出願に記載された特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、工程(i.a)における前記混合物を調製するための前記SiO2源として使用される。
【0038】
工程(i)で供給される前記ゼオライト材料の骨格構造中に任意に含まれる3価の元素Xに関して、特に制限は適用されず、原則として、Xは、任意の適切な3価の元素又は3価の元素の組み合わせを表す。しかしながら、本発明によれば、Xは、Al、B、In、Ga、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されることが好ましい。本発明によれば、Xは、Al及び/又はBを表すことが特に好ましく、さらに好ましくは、XはAlを表す。
【0039】
さらに、Xが、好ましくAlを表し、工程(i)における前記ゼオライト材料が、本出願に記載された特定の好ましい実施形態のいずれかに従って調製される本発明の方法によれば、ゼオライト材料が、工程(i.a)で調製される前記混合物の結晶化の工程(i.b)で得られ得るという条件で、工程(i.a)で使用され得るAl2O3源について、特に制限はない。したがって、例として、(i.a)で任意に供給される前記Al2O3源は、アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミナ、アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の化合物を含む。本発明によれば、工程(i.a)で供給される前記Al2O3源は、アルミン酸塩を含むこと、さらに好ましくは、アルミン酸ナトリウム及び/又はアルミン酸カリウムを含むことが特に好ましい。本発明によれば、工程(i.a)で使用される前記Al2O3源は、アルミン酸ナトリウムを含むことが特に好ましく、好ましくは、アルミン酸ナトリウムが、本出願に記載された特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、工程(i.a)における前記混合物を調製するための前記Al2O3源として使用される。
【0040】
工程(i.a)で調製される前記混合物中に含まれ得るさらなる成分に関しては、本発明によれば、特に制限は適用されず、任意のさらなる適切な化合物が、本発明の方法の特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、工程(i.b)で結晶化される前記混合物を調製するために使用され得る。したがって、本発明によれば、Z2O5源が、(i.a)でさらに供給される(Zは5価の元素を表す)ことが好ましい。本発明に従って使用され得る前記5価の元素Zに関しても、ゼオライト材料が、工程(i.b)で結晶化され得るという条件で、特に制限は適用されないが、しかしながら、前記5価の元素は、その骨格構造中にYO2及びX2O3に加えて、Z2O5を含むゼオライト材料が得られ得るように選択されることが好ましい。したがって、本発明によれば、Zは、P、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくはP、As 、V、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。本発明によれば、ZはP及び/又はAsを表すことが特に好ましく、さらに好ましくは、ZはPを表す。
【0041】
さらに、1種以上のアルカリ金属が、工程(i.a)で調製される前記混合物中に含まれ得る。これは、特に、塩がYO2源及び/若しくはX2O3源として使用される場合、並びに/又は結晶化に必要なpHが1種以上の塩基の使用を要求し、典型的にはアルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウム及び/若しくは水酸化カリウムが使用され得る場合に適用される。しかしながら、本発明によれば、工程(i.a)で調製される前記混合物中の前記アルカリ金属の量は、低く抑えることが好ましく、(i.a)で調製され、(i.b)で結晶化される前記混合物は、(i.a)で調製される前記混合物中に含まれるYO2の100質量%に基づいて、5質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを、さらに好ましくは、(i.a)で調製される前記混合物中に含まれるYO2の100質量%に基づいて、3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含むことが好ましい。本発明によれば、工程(i.a)で調製される前記混合物は、(i.a)で調製される前記混合物中に含まれるYO2の100質量%に基づいて、0.001質量%以下のNa及び/又はK、好ましくは0.001質量%以下のNaを含むことが特に好ましい。
【0042】
工程(i)で供給される前記ゼオライト材料の前記粉末、及び/又は前記懸濁液の特徴に関しては、特に制限は適用されず、工程(ii)において、エアロゾルを得るためのその微粒子化が可能であるという条件で、主に、任意の種類の粉末、及び/又は懸濁液が使用され得る。しかしながら、前記粉末の粒子は、工程(ii)において、均質で安定したエアロゾルを得るために適切な平均粒径を示すことが好ましい。したがって、同様なことが、工程(ii)において、均質で安定したエアロゾルを得るために適切な大きさの液滴(droplet)を生成するために適切あるべき液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液中に含まれる粒子に関しても適用される。したがって、例として、工程(i)で供給される前記粉末、及び/又は前記懸濁液中の前記粒子の平均粒径D50は、0.1~100μm、さらに好ましくは0.3~50μm、さらに好ましくは0.5~30μm、さらに好ましくは1~25μm、さらに好ましくは1.5~20μm、さらに好ましくは2~15μm、さらに好ましくは3~11μmの範囲であることが好ましい。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(i)で供給される前記粉末、及び/又は前記懸濁液中の前記粒子の平均粒径D50は、5~10μmの範囲であることが特に好ましい。
【0043】
したがって、本発明によれば、同様なことが、工程(ii)で得られる前記エアロゾル中の前記粉末粒子、及び/又は前記懸濁液からの液滴の平均粒径に関しても適用される。したがって、前記エアロゾル中に含まれる粒子の平均粒径に関しても特に制限はないが、前記平均粒径は、均質で安定したエアロゾルが供給され得るものであることが好ましい。したがって、本発明によれば、(ii)で得られる前記エアロゾル中の前記粉末粒子、及び/又は前記懸濁液からの液滴の平均粒径D50は、0.5~500μm、さらに好ましくは1~300μm、さらに好ましくは5~200μm、さらに好ましくは10~150μm、さらに好ましくは12~100μm、さらに好ましくは15~80μm、さらに好ましくは18~60μmの範囲であることが好ましい。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(ii)で得られる前記エアロゾル中の前記粉末粒子、及び/又は前記懸濁液からの液滴の平均粒径D50は、20~50μmの範囲であることが特に好ましい。
【0044】
本発明に関して本出願で定義された前記好ましい平均粒径D50については、前記平均粒径は、ISO13320:2009に従って測定される定められた粒子の平均粒径D50のことを称することが好ましい。
【0045】
工程(ii)において、エアロゾルを得るための、工程(i)で供給される前記ゼオライト材料の前記粉末及び/又は前記懸濁液のガス流中での微粒子化が行なわれる方法に関して、本発明によれば、特に制限は適用されず、それが、工程(i)で供給される前記粉末及び/又は前記懸濁液から開始して、エアロゾルを調製するために適切であるという条件で、任意の考えられる方法がこの趣旨で使用され得る。好ましくは、それぞれの方法は、前記ゼオライト材料の粉末の微粒子化のため、又は懸濁液の微粒子化のいずれかに適応され、粉末又は懸濁液がエアロゾルを得るために使用されるかどうかに応じて、異なる方法が、前記微粒子化のために使用されることが好ましい。したがって、液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液の微粒子化が工程(ii)で達成される場合、前記微粒子化は、噴霧ノズル(spray nozzle)によって行なわれることが好ましい。一方、前記ゼオライト材料の粉末の微粒子化が工程(ii)で達成される場合、これは、ガス流中への前記粉末の導入によって達成され得、これは、好ましくは、スクリューフィーダー(screw feeder)を用いて、及び/又は振動シュート(vibrating chute)を用いて達成される。
【0046】
エアロゾルを得るために工程(ii)で使用される前記ガス流に関しても、特に制限は適用されず、均質で安定したエアロゾルが得られ得るという条件で、任意の適切なガス流が使用され得る。したがって、例として、前記ガス流は、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、水蒸気、空気、及びそれらの2種以上組み合わせからなる群から選択される1種以上のガスを含み得、本発明によれば、前記ガス流は、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、水蒸気、空気、及びそれらの2種以上組み合わせからなる群から選択される1種以上のガスを含むことが好ましい。しかしながら、本発明によれば、空気が(ii)における前記ガス流として使用されることが特に好ましい。
【0047】
本発明によれば、工程(iii)におけるか焼が、少なくとも部分的に、又は完全に酸素含有雰囲気中で行なわれることが好ましい。このことは、特に前記ゼオライト材料及び酸素の間の反応が、特定のか焼粉末を得るために要求される場合に適用され、特にそのような反応は、前記ゼオライト材料が、前記ゼオライト材料の微細孔構造内に捕捉される有機テンプレートを含む場合に要求され、アクセス可能な(accessible)微細孔及び/又は微細孔チャネルを有するゼオライト材料を得るために、定められた程度まで前記有機テンプレートを除去することが要求される。前記の場合、前記ガス流中に含まれる酸素が、前記ゼオライト材料の前記微細孔及び/又は微細孔チャネルから自由に排出され得るガス状生成物を生成するために、前記有機テンプレート材料と反応する。したがって、工程(iii)におけるか焼が、好ましく少なくとも部分的に、又は完全に酸素含有雰囲気中で行なわれる本発明の方法によれば、前記雰囲気の、その中のガスの総体積に基づく体積%での酸素含有量は、1~100体積%、さらに好ましくは3~80体積%、さらに好ましくは5~50体積%、さらに好ましくは10~40体積%、さらに好ましくは15~30体積%、さらに好ましくは18~25体積%の範囲であることがさらに好ましい。本発明によれば、工程(iii)における前記か焼は、前記雰囲気の、その中のガスの総体積に基づく前記酸素含有量が、20~22体積%の範囲である酸素含有雰囲気中で行なわれることが好ましい。
【0048】
その代わりに、又はそれに加えて、(iii)における前記か焼は、少なくとも部分的に、又は完全に不活性ガス雰囲気中で行なわれることが好ましい。本発明によれば、前記不活性ガス雰囲気に関して、前記雰囲気は、それが本出願で定義された本発明の特定の好ましい実施形態のいずれかに従う前記ゼオライト材料、及び/又は前記ゼオライト材料の微細孔構造内に最終的に捕捉される有機テンプレートと反応しないという条件で、任意の考えられるガス、又はガス混合物を含み得る。したがって、例として、前記不活性ガス雰囲気は、窒素及び/又は1種以上の希ガスを含み得、好ましくは、前記不活性ガス雰囲気は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくは窒素、ヘリウム、アルゴン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくは窒素、アルゴン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上のガスを含む。しかしながら、本発明によれば、前記不活性ガス雰囲気は、窒素を含むことが特に好ましく、さらにいっそう好ましくは、前記不活性ガス雰囲気は窒素からなる。
【0049】
その代わりに、又は上記のいずれかに加えて、工程(iii)におけるか焼は、少なくとも部分的に、又は完全に低酸素含有量の雰囲気中で行なわれることが好ましい。そのような雰囲気の酸素含有量に関しては、特に制限は適用されず、それが空気の酸素含有量より劣っているという条件で、原則として任意の適切な含有量の酸素が使用され得る。したがって、例として、本発明の方法の工程(iii)におけるか焼において、低酸素含有量の雰囲気を使用する場合、その中のガスの総体積に基づく体積%での前記酸素含有量は、0.1~20体積%の範囲にあり得、好ましくは、低酸素含有量の前記雰囲気の前記酸素含有量は、0.3~18体積%、さらに好ましくは0.5~15体積%、さらに好ましくは1~12体積%、さらに好ましくは2~10体積%、さらに好ましくは3~8質量%、さらに好ましくは4~6体積%の範囲に及ぶ。本発明によれば、工程(iii)で使用される低酸素含有量の雰囲気が4.5~5.5体積%の酸素を含むことが特に好ましい。
【0050】
工程(iii)における前記か焼が、本出願に記載された特定の好ましい実施形態のいずれかに従って、一部分において酸素含有雰囲気中で行なわれる場合、前記か焼工程の残りの部分、特に前記か焼工程の最初の部分について、か焼は、本出願に記載された特定の好ましい実施形態のいずれかに従ってそれぞれ定義された、不活性ガス雰囲気下で、及び/又は低酸素含有量の雰囲気中で行なわれることが好ましい。
【0051】
工程(iii)における、か焼粉末を得るための、工程(ii)で得られる前記エアロゾルのか焼工程に関しては、前記か焼が行なわれる条件に関して、これらがか焼粉末を得るために十分であるという条件で、特に制限は適用されない。したがって、工程(iii)におけるか焼温度については、ゼオライト材料が、か焼されるという事実から、前記温度は、500~1500K程度の範囲であり得、好ましくは、前記か焼温度は、600~1400K、さらに好ましくは700~1300K、さらに好ましくは850~1200K、さらに好ましくは900~1100Kの範囲である。本発明によれば、工程(iii)における前記か焼温度は、950~1050Kの範囲であることが特に好ましい。
【0052】
一方、前記か焼期間に関しては、本発明によれば、前記期間は、特に、そのか焼に使用される高温への長期の暴露の間に生じる、前記ゼオライト骨格の劣化を避けることを考慮し、厳密に最小限にとどめられることが好ましい。特に、驚くべきことに、本発明によれば、粉末として及び/又は懸濁液の液滴中の前記ゼオライト材料の微粒子化のため、慣例のか焼手順において行なわれるような凝集粒子の加熱と比較して、最適な対流、その結果として最適な加熱及び冷却速度が達成され得ることが見出された。したがって、本発明に従う、前記か焼手順の前記技術的効果のため、極めて短時間、したがって前記か焼温度で非常に効果的な滞留時間が、か焼を達成するためだけではなく、全く予想外なことに、前記ゼオライト材料内に存在する任意の有機テンプレート材料を効果的に除去するためにも実現され得る。したがって、例として、本発明の方法の工程(iii)における前記か焼期間は、5m秒~30秒程度の範囲であり得、好ましくは20m秒~15秒、さらに好ましくは50m秒~10秒、さらに好ましくは200m秒~8秒、さらに好ましくは500m秒~5秒、さらに好ましくは1秒~3秒の範囲である。本発明によれば、本発明の方法の工程(iii)における前記か焼期間は、1.5~2.5秒の範囲であることが特に好ましい。
【0053】
本発明の方法の工程(iii)において、前記か焼温度が達成される方法に関しても、特に制限は適用されず、任意の適切な加熱源、及び/又は方法が使用され得る。しかしながら、本発明によれば、(iii)におけるか焼は、前記エアロゾルを高温ガス流(hot gas stream)と接触させることによって達成されることが好ましく、好ましくは、前記高温ガス流はガス流を加熱要素で加熱することによって発生される。本発明によれば、前記高温ガス流は、火炎及び/又は電気加熱要素を使用して発生されることが特に好ましい。高温ガス流を発生するために火炎を使用する場合、任意の適切な燃焼が、この趣旨で使用され得、好ましくは、前記火炎はガスの燃焼から発生され、前記ガスは、好ましくはメタン、エタン、プロパン、ブタン、アセチレン、エチレン、天然ガス、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくはメタン、エタン、エチレン、プロパン、天然ガス、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、さらにいっそう好ましくは、前記火炎はメタン及び/又は天然ガス、さらに好ましくは天然ガスの燃焼から発生される。電気加熱要素が使用される場合、任意の適切な要素が、この趣旨で使用され得、好ましくは、前記電気加熱要素は炭化ケイ素を含む。
【0054】
本発明によれば、ゼオライト材料の前記か焼のための方法は、1回以上繰り返され得る。原則として、前記方法が繰り返され得る回数について制限はなく、好ましくは、(iii)で得られる前記か焼粉末が、(i)において前記ゼオライト材料として、粉末の形態、又は液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液の形態で供給される。例として、前記方法は、1回以上繰り返され得、好ましくは、前記方法は、1~10回、さらに好ましくは1~5回、さらに好ましくは1~3回、さらに好ましくは1又は2回繰り返される。本発明によれば、ゼオライト材料の前記か焼のための方法は、1回繰り返されることがさらに好ましい。
【0055】
しかしながら、本発明によれば、ゼオライト材料の前記か焼のための方法は、繰り返されるのではなく、単回通過(single pass)で行なわれることが特に好ましい。
【0056】
原則として、本発明の方法は、本出願の特定の好ましい実施形態のいずれかに従ってそれぞれ定義された、工程(i)、(ii)及び(iii)に限定されず、前記工程に先行して、前記工程のいずれかの間で、及び/又は前記工程に続いて、さらなる工程を含み得る。したがって、本発明によれば、前記方法は、回転炉(rotary kiln)中で行なわれる1工程以上のか焼工程をさらに含むことが好ましい。これらの追加工程は、1回以上行なわれ得、適切には、1工程以上の工程(i)、(ii)及び(iii)の前又は後に行なわれ得る。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(ii)の前に、(i)で供給される前記粉末が、回転炉中で行なわれる1工程以上のか焼工程を受けることが好ましい。その代わりに、又はそれに加えて、(iii)で得られる前記か焼粉末が、回転炉中で行なわれる1工程以上のか焼工程を受けることが好ましい。
【0057】
本発明はさらに、本出願に記載された本発明の特定の好ましい実施形態のいずれかに従って得られる、及び/又は得られ得るか焼ゼオライト材料に関連する。したがって、本発明は、本出願に記載された本発明の方法に従ってゼオライト材料を処理することによって達成され得る、特にその骨格構造、形態(morphology)、及び結晶化度(crystallinity)に関して、並びにその平均粒径に関して特定の性質を示すゼオライト材料に関連する。
【0058】
したがって、本発明によれば、本発明の方法に従って得られ得る、及び/又は得られる本発明のゼオライト材料は、0.1~100μmの範囲、さらに好ましくは0.3~50μm、さらに好ましくは0.5~30μm、さらに好ましくは1~25μm、さらに好ましくは1.5~20μm、さらに好ましくは2~15μm、さらに好ましくは3~11μmの範囲の平均粒径D50を示すことが好ましい。本発明によれば、本発明のゼオライト材料は、5~10μmの範囲の平均粒径D50を示すことが特に好ましい。
【0059】
さらに、本発明によれば、本発明の方法に従って得られ得る、及び/又は得られる本発明のゼオライト材料は、それぞれ本出願に定義された特定の好ましい実施形態のいずれかに従う前記か焼工程(iii)、及び/又は回転炉の使用を伴う1工程以上の追加か焼工程で使用される高温にもかかわらず、高い結晶化度を示すことが好ましい。本発明のゼオライト材料の前記結晶化度に関しては、原則としてその結晶化度に関して制限は適用されず、その結晶化度は、ゼオライト材料のエアロゾルを使用しない比較のか焼処理に従ってか焼されたゼオライト材料について得られる結晶化度より優れていることが好ましい。特に、か焼によって後に除去される有機テンプレートを用いて得られるゼオライト材料に関して、本発明のゼオライト材料の前記結晶化度は、ゼオライト材料のエアロゾルを使用しないか焼処理を受け、前記有機テンプレートが、本発明の材料と同程度の範囲まで除去されているゼオライト材料について得られる前記結晶化度より優れていることが好ましい。したがって、例として、本発明のゼオライト材料の前記結晶化度は、30~100%程度の範囲であり得、好ましくは、本発明のゼオライト材料の前記結晶化度は、50~98%、さらに好ましくは60~97%、さらに好ましくは70~96%、さらに好ましくは80~95%、さらに好ましくは85~94%の範囲である。本発明によれば、本発明のゼオライト材料の前記結晶化度は、88~93%の範囲であることが特に好ましい。本発明によれば、前記結晶化度が測定される方法に関して、前記結晶化度は、本出願の実験の項で記載される方法に従って測定されることが好ましい。
【0060】
最後に、前記ゼオライト材料が有機テンプレートを用いて得られる本出願の特定の好ましい実施形態によれば、本発明の方法によって除去され得る前記有機テンプレートの部分に関して特に制限はなく、実質的に全ての有機テンプレートが除去され得ることが特に好ましい。除去され得る前記有機テンプレートの部分に関しては、本発明によれば、これは、か焼前のゼオライト材料中、好ましくはか焼されていない(uncalcined)ゼオライト材料中の炭素含有量と比較した、本発明の方法を受けた後に前記ゼオライト材料中に残存する炭素含有量に基づく。さらに具体的には、か焼前の、及び/又はか焼されていない状態で、元素として計算された20質量%の炭素を含み、本発明の方法を受けた後に5質量%の炭素のみ含むゼオライト材料について、結果として、これは、75%までの炭素含有量の効果的な低減をもたらす。したがって、例として、そのか焼前の、及び/又はか焼されていないゼオライト材料と比較した前記ゼオライト材料の炭素含有量は、30~100%程度まで低減されていてもよく、前記炭素含有量は、好ましくは50~100%、さらに好ましくは60~100%、さらに好ましくは70~100%、さらに好ましくは80~100%、さらに好ましくは90~100%、さらに好ましくは95~100%、さらに好ましくは98~100%、さらに好ましくは99~100%、さらに好ましくは99.5~100%まで低減されている。本発明によれば、そのか焼前の、及び/又はか焼されていないゼオライト材料と比較した前記ゼオライト材料の前記炭素含有量は、99.9~100%まで低減されていることが特に好ましい。
【0061】
ゼオライト材料の前記炭素含有量を測定する方法に関しては、本発明によれば、特に制限は適用されず、原則として、任意の適切な方法がこの趣旨で使用され得る。しかしながら、本発明によれば、前記ゼオライト材料の前記炭素含有量は、元素分析によって、さらに好ましくは燃焼分析によって測定されることが好ましい。
【0062】
最後に、本発明はまた、本出願に記載された本発明のゼオライト材料の使用方法にも関連する。原則として、本発明のゼオライト材料は、任意の適切な方法で使用され得、使用方法を見出し得る用途に関して制限は適用されない。しかしながら、本発明によれば、本発明のゼオライト材料は、分子篩としての、吸着剤としての、イオン交換のための、又は触媒として及び/又は触媒担体として使用されることが好ましい。しかしながら、本発明によれば、本発明のゼオライト材料は、触媒として及び/又は触媒担体として、特に触媒として使用されることが特に好ましい。
【0063】
本発明は、以下の実施形態を含み、これらは、そこに定義されたそれぞれの相互依存性によって示される実施形態の特定の組み合わせを含む。
【0064】
1.ゼオライト材料のか焼方法であって、前記方法が、
(i)その骨格構造中にYO2を含み、任意にX2O3をさらに含むゼオライト材料を粉末の形態、及び/又は液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液の形態で供給する工程であり、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(ii)エアロゾルを得るための、(i)で供給される前記ゼオライト材料の前記粉末及び/又は前記懸濁液のガス流中での微粒子化工程、
(iii)か焼粉末を得るための、(ii)で得られる前記エアロゾルのか焼工程、
を含む方法。
【0065】
2.(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、前記方法が、
(i.a)YO2源及び溶媒系を含む混合物を調製する工程であり、前記混合物が、任意にX2O3源をさらに含み、Yは4価の元素を表し、且つXは3価の元素を表す工程、
(i.b)液体中の前記ゼオライト材料の懸濁液として、母液中のゼオライト材料の懸濁液を得るために、(i.a)で調製された前記混合物を結晶化する工程、
を含む実施形態1に記載の方法。
【0066】
3.(i)において、前記ゼオライト材料を粉末の形態で供給するために、前記方法が、
(i.c)(i.b)で得られる前記母液から前記ゼオライト材料を分離する工程、好ましくはろ過工程及び/若しくは遠心分離工程、さらに好ましくはろ過工程、
並びに
(i.d)(i.b)及び/若しくは(i.c)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に1種以上の溶媒、好ましくは脱イオン水で洗浄する工程
並びに/又は
(i.e)(i.b)及び/若しくは(i.c)及び/若しくは(i.d)、好ましくは(i.c)及び/若しくは(i.d)で得られる前記ゼオライト材料を、任意に乾燥する工程、
をさらに含む実施形態2に記載の方法。
【0067】
4.(i)において、前記ゼオライト材料を粉末の形態で供給するために、(i.b)で得られる母液中の前記ゼオライト材料を、噴霧乾燥する実施形態2に記載の方法。
【0068】
5.(i)において、前記ゼオライト材料を懸濁液の形態で供給するために、前記方法が、
(i.f)溶媒系を供給する工程、
(i.g)(i.c)及び/又は(i.d)及び/又は(i.e)に従って、好ましくは(i.e)に従って得られる粉末の形態のゼオライト材料を、前記溶媒系に懸濁する工程、
をさらに含む実施形態3に記載の方法。
【0069】
6.(i.a)で供給される前記混合物が、有機テンプレートをさらに含み、前記有機テンプレートが、好ましくはアルカン、及びその誘導体、アミン、アンモニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
さらに好ましくはテトラアルキルアンモニウム塩、アルケニルトリアルキルアンモニウム塩、アリールトリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、複素環アミン、複素環アンモニウム塩、アダマンチルアンモニウム塩、アルキレンジアンモニウム塩、N-アルキル-トリアルキレンアンモニウム塩、N,N-ジアリール-トリアルキレンアンモニウム塩、アルキルアミン、シクロアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、キヌクリジン及びその誘導体、キヌクリジニウム塩、ノルボルナン及びその誘導体、トリアルキレンジアミン、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
さらに好ましくはテトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルプロピルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、エチルトリプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N-(1-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N-(1-プロペン-2-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N,N,N-トリ(C1-C3)アルキルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジ(C1-C3)アルキルジベンジルアンモニウム塩、(C4-C6)複素環アミン、(C4-C6)複素環アンモニウム塩、N,N,N-(C1-C3)トリアルキルアダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N,N,N-ヘキサ(C1-C3)アルキル-(C3-C7)アルキレンジアンモニウム塩、N,N-ジ(C1-C3)アルキル-トリ(C1-C3)アルキレンアンモニウム塩、N,N-ジアリール -トリ(C1-C3)アルキレンジアンモニウム塩、トリ(C1-C3)アルキルアミン、ジ(C1-C3)アルキル(C5-C7)シクロアルキルアミン、(C1-C3)アルキル(C5-C7)ジシクロアルキルアミン、(C3-C7)アルキレンジアミン、N,N,N,N-テトラ(C1-C2)アルキル(C3-C7)アルキレンジアミン、N,N,N-トリ(C1-C2)アルキル(C5-C7)シクロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ-ビシクロ(C6-C10)アルカン、キヌクリジノール及びその誘導体、N-(C1-C3)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C1-C3)アルキレンジアミン、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
さらに好ましくはテトラメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N-(1-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N,N,N-トリエチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-エチルジメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジエチルメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-エチルメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-エチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-メチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジプロピルジベンジルアンモニウム塩、(C5-C6)複素環アミン、N,N-(C1-C 3)ジアルキルイミダゾリニウム塩、N,N-ジ(C1-C3)アルキルピペリジニウム塩、N,N,N-(C1-C2)トリアルキル-アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N,N,N-ヘキサ(C1-C2)アルキル-(C5-C7)アルキレンジアンモニウム塩、N,N-ジ(C1-C2)アルキル-トリ(C1-C2)アルキレンアンモニウム塩、N,N-ジベンジル-トリ(C1-C2)アルキレンジアンモニウム塩、(C5-C6)シクロアルキルアミン、トリ(C1-C2)アルキルアミン、ジ(C1-C2)アルキル(C5-C6)シクロアルキルアミン、(C1-C2)アルキル(C5-C6)ジシクロアルキルアミン、(C4-C6)アルキレンジアミン、N,N,N,N-テトラ(C1-C2)アルキル(C4-C6)アルキレンジアミン、N,N,N-トリ(C1-C2)アルキル(C5-C6)シクロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ-ビシクロ(C7-C9)アルカン、3-キヌクリジノール及びその誘導体、N-(C1-C2)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C1-C2)アルキレンジアミン、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
さらに好ましくはテトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、N-(2-プロペン-1-イル)-トリ-n-プロピルアンモニウム塩、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N-ジベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサメチレンイミン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、N,N-ジメチル-3,3-ジメチルピペリジニウム塩、N,N-メチルエチル-3,3-ジメチルピペリジニウム塩、N,N-ジメチル-2-メチルピペリジニウム塩、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N-トリメチル-2-アダマンチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1-メチル-1-アゾニア-4-アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジベンジル-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、シクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N-トリメチルシクロヘキシルアンモニウム塩、1,3,3,6,6-ペンタメチル-6-アゾニオ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、N-アルキル-3-キヌクリジノール、N-メチルキヌクリジニウム塩、N,N,N-トリアルキル-エキソアミノノルボルナン、トリエチレンジアミン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
さらに好ましくは、(i.a)で供給される前記混合物が、N,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム塩、トリエチレンジアミン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される有機テンプレートをさらに含み、
さらに好ましくは、(i.a)で供給される前記混合物が、有機テンプレートとしてN,N,N-トリメチル-1-アダマンチルアンモニウム塩をさらに含む実施形態2~5のいずれかに記載の方法。
【0070】
7.前記アンモニウム塩のアニオンが、互いに独立して、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアン化物、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硫酸二水素塩、シアン化物、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくは、前記アニオンは、水酸化物、塩化物、臭化物、硝酸塩、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、さらに好ましくは、前記アンモニウム塩の前記アニオンが、水酸化物及び/又は臭化物、好ましくは水酸化物である実施形態6に記載の方法。
【0071】
8.工程(i.a)及び(i.f)で供給される前記溶媒系が、互いに独立して、水及び/又は1種以上の有機溶媒を含み、好ましくは水、一価アルコール、多価アルコール、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,2,3-トリオール、ブタン-1,2,3,4-テトラオール、ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の溶媒を含み、さらに好ましくは、前記溶媒系が、水、好ましくは脱イオン水を含み、さらに好ましくは、脱イオン水が、(i.a)及び(i.f)における前記溶媒系として供給される実施形態2~7のいずれかに記載の方法。
【0072】
9.(i.b)における前記結晶化が、(i.a)で調製された前記混合物の加熱下で行なわれ、好ましくは、前記混合物が、80~220℃、好ましくは100~200℃、さらに好ましくは110~190℃、さらにいっそう好ましくは120~180℃の範囲の温度へ加熱される実施形態2~8のいずれかに記載の方法。
【0073】
10.(i.b)における前記結晶化が、0.1~50日、好ましくは0.3~30日、さらに好ましくは0.6~13日、さらに好ましくは0.8~10日、さらに好ましくは1~7日、さらに好ましくは1.5~5日、さらに好ましくは2~4.5日、さらにいっそう好ましくは2.5~3.5日の範囲の期間で行なわれる実施形態2~9のいずれかに記載の方法。
【0074】
11.(i.b)における前記結晶化が、自生圧力下で、好ましくは耐圧容器中で、さらに好ましくはオートクレーブ中で行なわれる実施形態2~10のいずれかに記載の方法。
【0075】
12.前記ゼオライト材料が、BEA、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW、及びTON(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から、さらに好ましくはBEA、CHA,EUO、FAU、FER、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW、及びTON(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から、さらに好ましくはBEA、CHA、LEV、MFI、MWW(それらの2種以上の混合構造を含む)からなる群から選択される骨格構造を有し、さらに好ましくは、前記ゼオライト材料が、CHA骨格構造を有する実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0076】
13.Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yが、好ましくはSi及び/又はTi、さらに好ましくはSiである実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0077】
14.(i.a)で供給される前記YO2源が、シリカ、ケイ酸塩、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくは、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、焼成シリカ、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくはヒュームドシリカ、シリカゲル、焼成シリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、さらに好ましくはヒュームドシリカ、シリカゲル、焼成シリカ、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の化合物を含み、さらに好ましくは前記YO2源が、ヒュームドシリカ及び/又は焼成シリカ、好ましくはヒュームドシリカを含む実施形態2~13のいずれかに記載の方法。
【0078】
15.Xが、Al、B、In、Ga、及びそれらの2種以上混合物からなる群から選択され、好ましくは、Xが、Al及び/又はB、さらに好ましくはAlである実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
【0079】
16.(i.a)で任意に供給される前記X2O3源が、アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミナ、アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくは、前記X2O3源が、アルミン酸塩、さらに好ましくはアルミン酸ナトリウム及び/又はアルミン酸カリウム、さらに好ましくはアルミン酸ナトリウムを含む実施形態2~15のいずれかに記載の方法。
【0080】
17.Z2O5源が、(i.a)でさらに供給され(Zは5価の元素を表す)、Zが、好ましくはP、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくはP、As 、V、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、さらに好ましくは、Zが、P及び/又はAs、好ましくはPである実施形態2~16のいずれかに記載の方法。
【0081】
18.(i.a)で調製され、(i.b)で結晶化される前記混合物が、(i.a)で調製される前記混合物中に含まれるYO2の100質量%に基づいて、5質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを、好ましくは(i.a)で調製される前記混合物中に含まれるYO2の100質量%に基づいて、3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含む実施形態2~17のいずれかに記載の方法。
【0082】
19.(ii)で得られる前記エアロゾル中の前記粉末粒子、及び/又は前記懸濁液からの液滴のISO13320:2009に従って測定された平均粒径D50が、0.5~500μm、好ましくは1~300μm、好ましくは5~200μm、さらに好ましくは10~150μm、さらに好ましくは12~100μm、さらに好ましくは15~80μm、さらに好ましくは18~60μm、さらに好ましくは20~50μmの範囲である実施形態1~18のいずれかに記載の方法。
【0083】
20.(ii)における前記ゼオライト材料の懸濁液の微粒子化が、噴霧ノズルによって行なわれる実施形態1~19のいずれかに記載の方法。
【0084】
21.(ii)における前記ゼオライト材料の粉末の微粒子化が、ガス流中への前記粉末の導入によって、好ましくはスクリューフィーダーを用いて、及び/又は振動シュートを用いて行なわれる実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
【0085】
22.前記ガス流が、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、水蒸気、空気、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、好ましくは、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、水蒸気、空気、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上のガスを含む実施形態1~21のいずれかに記載の方法。
【0086】
23.(iii)における前記か焼温度が、500~1500K、好ましくは600~1400K、さらに好ましくは700~1300K、さらに好ましくは850~1200K、さらに好ましくは900~1100K、さらに好ましくは950~1050Kの範囲である実施形態1~22のいずれかに記載の方法。
【0087】
24.(iii)における前記か焼期間が、5m秒~30秒、好ましくは20m秒~15秒、さらに好ましくは50m秒~10秒、さらに好ましくは200m秒~8秒、さらに好ましくは500m秒~5秒、さらに好ましくは1秒~3秒、さらに好ましくは1.5~2.5秒の範囲である実施形態1~23のいずれかに記載の方法。
【0088】
25.(iii)におけるか焼が、少なくとも部分的に、又は完全に酸素含有雰囲気中で行なわれ、前記雰囲気の、その中のガスの総体積に基づく体積%での酸素含有量が、好ましくは1~100体積%、さらに好ましくは3~80体積%、さらに好ましくは5~50体積%、さらに好ましくは10~40体積%、さらに好ましくは15~30体積%、さらに好ましくは18~25体積%、さらに好ましくは20~22体積%の範囲である実施形態1~24のいずれかに記載の方法。
【0089】
26.(iii)におけるか焼が、少なくとも部分的に、又は完全に不活性ガス雰囲気中で行なわれ、前記不活性ガス雰囲気が、好ましくは窒素及び/又は1種以上の希ガスを含み、さらに好ましくは、前記不活性ガス雰囲気が、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくは窒素、ヘリウム、アルゴン、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、さらに好ましくは窒素、アルゴン、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上のガスを含み、さらに好ましくは、前記不活性ガス雰囲気が窒素を含み、さらに好ましくは、前記不活性ガス雰囲気が窒素からなる実施形態1~25のいずれかに記載の方法。
【0090】
27.(iii)におけるか焼が、少なくとも部分的に、又は完全に低酸素含有量の雰囲気中で行なわれ、前記雰囲気の、その中のガスの総体積に基づく体積%での酸素含有量が、0.1~20体積%、好ましくは0.3~18体積%、さらに好ましくは0.5~15体積%、さらに好ましくは1~12体積%、さらに好ましくは2~10体積%、さらに好ましくは3~8質量%、さらに好ましくは4.5~5.5体積%の範囲である実施形態1~26のいずれかに記載の方法。
【0091】
28.(iii)におけるか焼が、前記エアロゾルを高温ガス流と接触させることによって達成され、好ましくは、前記高温ガス流がガス流を加熱要素で加熱することによって発生され、前記ガス流が、好ましくは実施形態22に従うガス流であり、前記加熱要素が、好ましくは火炎及び/又は電気加熱要素である実施形態1~27のいずれかに記載の方法。
【0092】
29.前記方法が、1回以上、好ましくは1~10回、さらに好ましくは1~5回、さらに好ましくは1~3回、さらに好ましくは1又は2回、さらに好ましくは1回繰り返される実施形態1~28のいずれかに記載の方法。
【0093】
30.前記方法が、繰り返されるのではなく、単回通過で行なわれる実施形態1~29のいずれかに記載の方法。
【0094】
31.前記方法が、炉(kiln)中で、好ましくは回転炉中で行なわれる1工程以上のか焼工程をさらに含み、好ましくは、工程(ii)の前に、(i)で供給される前記粉末が、炉中で、好ましくは回転炉中で行なわれる1工程以上のか焼工程を受ける、及び/又は(iii)で得られる前記か焼粉末が、炉中で、好ましくは回転炉中で行なわれる1工程以上のか焼工程を受ける実施形態1~30のいずれかに記載の方法。
【0095】
32.実施形態1~31のいずれかに記載の方法に従って得られ得る、及び/又は得られるゼオライト材料。
【0096】
33.前記ゼオライト材料のISO13320:2009に従って測定された平均粒径D50が、0.5~500μm、好ましくは1~300μm、好ましくは5~200μm、さらに好ましくは10~150μm、さらに好ましくは12~100μm、さらに好ましくは15~80μm、さらに好ましくは18~60μm、さらに好ましくは20~50μmの範囲である実施形態32に記載のゼオライト材料。
【0097】
34.前記ゼオライト材料の結晶化度が、30~100%、好ましくは50~98%、さらに好ましくは60~97%、さらに好ましくは70~96%、さらに好ましくは80~95%、さらに好ましくは85~94%、さらに好ましくは88~93%の範囲である実施形態32又は33に記載のゼオライト材料。
【0098】
35.前記ゼオライト材料が、実施形態6~31のいずれかに記載の方法に従って得られ、前記炭素含有量が、か焼されていないゼオライト材料の炭素含有量に基づいて、30~100%まで低減されており、好ましくは、前記炭素含有量が、50~100%、さらに好ましくは60~100%、さらに好ましくは70~100%、さらに好ましくは80~100%、さらに好ましくは90~100%、さらに好ましくは95~100%、さらに好ましくは98~100%、さらに好ましくは99~100%、さらに好ましくは99.5~100%、さらに好ましくは99.9~100%まで低減されている実施形態32~34のいずれかに記載のゼオライト材料。
【0099】
36.実施形態32~35のいずれかに記載のゼオライト材料の、分子篩としての、吸着剤としての、イオン交換のための、又は触媒として及び/又は触媒担体としての使用方法。
【実施例】
【0100】
実施例:フラッシュか焼
1-アダマンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドを用いたテンプレート合成から得られ、事前にアダマンチルテンプレートの除去のための処理を受けていないチャバザイト(元素分析:13.6質量%のC、2.5質量%のAl、35質量%のSi、及び0.34質量%のNa)を、ブラシ作動粉末投与装置(brush activated dust dosage device)を用いてガス流(空気)中に連続的に分散させた。前記分散速度は、特定の実験に応じて、10g/時間のチャバザイトが、1又は2.6kg/時間の空気中に分散されるように選択した。
【0101】
壁で囲まれたセラミック管(walled-in ceramic tube)からなる前記反応器を、前記管の入口に配置されたエチレンを燃料とするバーナーで直接加熱した。平均反応器温度は、前記バーナーへのエチレン及び二次空気、最終的には酸素ガスの流れを制御することによって、並びに前記反応器を通る空気及びゼオライト含有ガス流の流れを制御することによって調節した。前記反応器中の前記ゼオライト生成物の平均滞留時間(average time of retention)は、各ガスの流速に基づいて計算した。
【0102】
結果として、前記ゼオライトエアロゾルは、直接加熱した反応器中に供給され、前記フラッシュか焼ゼオライト生成物は、前記反応器管の出口で200℃未満の温度に急冷された。次いで、前記急冷された材料を、ろ過によって前記反応器から排出される前記ガス流から分離した。
【0103】
その後、結果として得られた前記フラッシュか焼生成物を、X線回折技術によって、その結晶化度を分析し、並びに残存有機含有量(remaining organic content)のレベルについて、元素分析によって分析した。
【0104】
このような方法で、合計10回の試験運転を行なった。試験運転11として、試験運転1及び2から得られた前記フラッシュか焼生成物を合わせて、2回のフラッシュか焼工程に曝されたフラッシュか焼生成物を得るために、前記試験運転を繰り返した。最後に、試験運転12として、前記チャバザイトの試料を、ポリエチレングリコール中に懸濁し、次いで、前記反応器中に噴霧した。
【0105】
各試験運転に使用した条件を、以下の表1に示す。前記試験運転から結果として得られたフラッシュか焼生成物の分析は、以下の表2に示し、前記生成物のC-、Al-、及びSi-含有量は元素分析によって測定しており、前記結晶化度及び一次結晶の大きさは、それぞれX線回折によって測定している。前記結晶化度は、Bruker AXS GmbH、Karlsruhe(2003年2月発行)のUser Manual DIFFRAC.EVA 第3版、 105頁に記載された方法に従って測定した。各データは、固定スリット、0.02°2シータのステップサイズ、及び2.4s/ステップの走査速度を用いて、2°~50°2シータで、LYNXEYE検出器を使用する標準Bruker D8 Advance Diffractometer Series IIで収集した。バックグラウンド/アモルファス含有量を推定するために使用したパラメーターは、曲率(Curvature)=0、しきい値(Threshold)=0.8であった。
【0106】
【0107】
【0108】
したがって、表2に示す前記フラッシュか焼試験の結果から分かるように、驚くべきことに、40~160m秒の範囲の(表1参照)極めて短い滞留時間にもかかわらず、前記ゼオライト材料中に存在する29~75%の有機テンプレートが、前記フラッシュか焼方法によって効果的に除去され得ることが見出された。これは、この場合、使用された前記アダマンチル系有機テンプレートの相当な大きさ及び量のため、特に予想外のことである。さらに、前記か焼が、比較的高い温度で行なわれるという事実にもかかわらず、前記ゼオライト材料の結晶化度が良好に維持される。
【0109】
したがって、全く予想外なことに、その合成後にゼオライト中に存在する前記有機テンプレートは、特にか焼の時間及びコストに関して、非常に効率的な方法で除去され得ることが見出された。これは、典型的には、500~650℃の範囲の高い温度で、数時間の前記材料の加熱を伴う慣例の方法と著しく対照的である。さらに、表2で示された結果から分かるように、前記反応パラメーターの変化は、特にその使用目的に応じて、結果として得られる材料の低い炭素含有量及び高い結晶化度に関して、結果の最適化を可能にする。さらに、最適化は、例えば、前記ゼオライト材料をポリエチレングリコール中に懸濁した試験運転#12で示されたように、最初に前記ゼオライト材料を溶媒と混合し、次いで前記懸濁液を反応器中に噴霧することによっても達成され得る。
【0110】
上記に加えて、本発明の方法は、前記反応器の環境のはるかに良好な制御を達成し得、例えば、ホットスポット等を回避し得る点で、高温で長時間のゼオライト材料の加熱を伴う慣例の方法と比較して、さらに相当な利点をもたらす。さらに、非常に短い滞留期間の実現は、慣例のか焼条件下で、高温への長時間の暴露によって、典型的に生じる脱アルミニウム等の前記材料の構造に対する悪影響を回避するのに役立つ。凝集が生じ易い蓄積材料中の対流熱伝達の制限のため、前記ゼオライト材料の緩やかな加熱を必要とする慣例のか焼方法と対照的に、本発明の方法は、高度に分散した材料の急速且つ正確な加熱及び冷却段階を可能にするので、本発明の方法は、望ましくない効果を回避するのに特に適合している。これに加えて、高い分散状態は、前記ゼオライト材料の最大化されたアクセス可能な表面積のため、前記反応器中の環境とのさらに急速な相互作用を可能にし、ガス、特に酸素等の反応性ガスの、使用される前記エアロゾル中のゼオライト粒子の表面へのアクセスが最適である。これは、前記ゼオライト材料から排出される分解生成物及び/又は燃焼生成物に関しても同様に適用され、前記ゼオライト材料の表面付近のそれらの濃度が低く抑えられ得るという事実のため、前記ゼオライトから出るそれらの効果的な拡散率が非常に増加する。
【0111】
結果として、本発明の方法は、フラッシュか焼方法を処理されるゼオライト及び有機テンプレートの特定の組み合わせに適合させるための多様なパラメーターを提供し、したがって、使用される材料に関して、高い多用途性(versatility)を、並びに慣例のか焼方法によっては決して到達され得ない達成された結果に関して、非常に高度な最適化を可能にする。