(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】シート位置合わせ装置、シート搬送装置、シート読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
(21)【出願番号】P 2018085260
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】藤井 智也
(72)【発明者】
【氏名】養田 泰信
(72)【発明者】
【氏名】畑山 耕治
(72)【発明者】
【氏名】多田 薫
(72)【発明者】
【氏名】長野 竜明
(72)【発明者】
【氏名】奈良井 聡
(72)【発明者】
【氏名】北村 直人
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-319585(JP,A)
【文献】特開2004-250211(JP,A)
【文献】実開平03-044124(JP,U)
【文献】実開昭63-025555(JP,U)
【文献】実開昭60-187056(JP,U)
【文献】特開平06-094081(JP,A)
【文献】特開昭57-013035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの間隔を変化させることにより、シートの両端を規制してシートを位置合わせする一対の規制部材と、前記一対の規制部材の各々が取り付けられたベルトを備えたシート位置合わせ装置であって、前記ベルトが巻き付けられ、前記ベルトに張力を与える移動可能な移動部材と、前記移動部材を付勢する付勢部材とを備え
、
前記一対の規制部材は、各々、前記ベルトが取り付けられる凸部を有し、前記ベルトには、一対の前記凸部が各々嵌合する一対の孔が形成されていることを特徴とするシート位置合わせ装置。
【請求項2】
前記ベルトは内周面に歯が形成されており、前記移動部材は、回転可能であって、前記ベルトの歯と噛み合う歯が外周面に形成されていることを特徴とする請求項1記載のシート位置合わせ装置。
【請求項3】
前記ベルトが前記移動部材に巻き付けられている部分には弧が形成されており、
前記付勢部材は、前記ベルトの弧の中点における接線に垂直な方向に、前記移動部材を付勢することを特徴とする請求項1又は2記載のシート位置合わせ装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記一対の規制部材が相互に移動する方向に、前記移動部材を付勢することを特徴とする請求項1乃至3
の何れか記載のシート位置合わせ装置。
【請求項5】
前記一対の孔は、前記ベルトの回転中心に対して点対称に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか記載のシート位置合わせ装置。
【請求項6】
前記一対の孔は、各々、前記ベルトが回転する方向に長い長孔であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか記載のシート位置合わせ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか記載のシート位置合わせ装置を備え、前記シート位置合わせ装置により位置合わせされたシートを搬送するシート搬送装置。
【請求項8】
搬送されるシートの表面の画像を読み取る画像読取部を備える請求項7記載のシート搬送装置。
【請求項9】
請求項8記載のシート搬送装置を備え、前記画像読取部により読み取られた画像に基づき、画像を形成する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート位置合わせ装置、シート搬送装置、シート読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いの間隔を変化させることにより、シートの両端を規制してシートを位置決めする一対の規制部材を備えたシート位置合わせ装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、内周面に多数の歯が形成されている駆動ベルト62に用紙揃えジョガー117が駆動連結されている用紙揃え機構が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、シートを精度良く位置合わせするシート位置合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、互いの間隔を変化させることにより、シートの両端を規制してシートを位置合わせする一対の規制部材と、前記一対の規制部材の各々が取り付けられたベルトを備えたシート位置合わせ装置であって、前記ベルトが巻き付けられ、前記ベルトに張力を与える移動可能な移動部材と、前記移動部材を付勢する付勢部材とを備え、前記一対の規制部材は、各々、前記ベルトが取り付けられる凸部を有し、前記ベルトには、一対の前記凸部が各々嵌合する一対の孔が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、シートを精度良く位置合わせするシート位置合わせ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態である画像形成装置の斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態であるシート搬送読取装置の側面図。
【
図3】比較例であるシート位置合わせ装置の斜視図。
【
図5】本発明の一実施形態であるシート位置合わせ装置の斜視図。
【
図7】
図6に示した実施形態のさらなる部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1の斜視図である。画像形成装置1は、画像を形成する画像形成部2と、シートとしての原稿を搬送するシート搬送装置としての自動原稿搬送装置4と、操作入力を受け付ける操作部5を備える。
【0010】
自動原稿搬送装置4は、図示していない回転可能なヒンジを介して、画像形成部2の上部に開閉可能に取り付けられており、搬送される原稿の画像を読み取る。画像形成部2は、自動原稿搬送装置4により読み取られた画像に基づき、画像を形成する。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態である自動原稿搬送装置4の側面図である。自動原稿搬送装置4は、原稿Dが積載される原稿積置台8と、原稿積置台8に原稿Dがセットされたことを検知する原稿積置センサ10と、原稿Dの幅方向を位置合わせする原稿位置合わせ装置200を備える。原稿Dは、原稿積置台8上に、画像面を上にしてページ順にセットされる。
【0012】
自動原稿搬送装置4は、原稿Dが搬送される方向において、原稿積置台8より下流側に、回転することにより原稿Dを搬送するピックアップローラ9と、原稿Dを最上位から順次一枚ずつ分離するフィードローラ11及び分離パッド12と、分離された原稿Dを搬送するプルアウトローラ13、及び読取前ローラ14を備える。自動原稿搬送装置4は、分離パッド12のかわりにリバースローラを用いてもよい。
【0013】
ピックアップローラ9は、通常は原稿積置台8から所定間隔をあけた位置9aで待機しており、操作部5上で読取開始の指示された場合に、待機位置9aから下降して原稿Dの上面と接触する位置9bに移動する。
【0014】
自動原稿搬送装置4は、原稿が搬送される方向において、読取前ローラ14より下流側に、搬送される原稿Dの表面の画像を読み取る画像読取部30を備える。
【0015】
画像読取部30は、原稿Dを検知するレジストセンサ15と、原稿Dの表面に接するコンタクトガラス6と、コンタクトガラス6を通過する原稿Dの表面を読み取る表面読取部16と、原稿Dの裏面に接するコンタクトガラス17と、コンタクトガラス17を通過する原稿Dの裏面を読み取る裏面読取部18を備える。
【0016】
図示されない制御部は、レジストセンサ15が搬送中の原稿Dの先端を検知すると、この検知結果基づき読取開始のタイミングを制御する。また、制御部は、レジストセンサ15が原稿Dの後端を検知すると、この検知結果に基づき搬送される原稿Dの長さや、搬送される原稿Dどうしの間隔を検知する。
【0017】
制御部は、また、操作部5からの指示によって片面モードと両面モードを選択でき、その設定されたモードにより自動原稿搬送装置1の動作を制御する。
【0018】
自動原稿搬送装置4は、原稿Dが搬送される方向において、画像読取部30より下流側に、原稿Dを搬送する読取後ローラ19、及び排紙ローラ20と、排紙ローラ20から搬送される原稿Dをスタックする排紙トレイ40を備える。
【0019】
以上説明した各ローラは、単一駆動源である図示していないモータにより駆動されているが、2つ以上のモータ等の複数駆動源により駆動されてもよい。
【0020】
図3は、比較例である原稿位置合わせ装置200の部分斜視図である。原稿位置合わせ装置200は、互いの間隔を変化させることにより、原稿の両端を規制して原稿を位置合わせする一対の規制部材としての一対のサイドフェンス21と、一対のサイドフェンス21の各々に取り付けられる一対のラック21aと、一対のラック21aに噛み合うピニオンギア22を備える。
【0021】
図4は、同比較例の部分拡大図である。ラック21aとピニオンギア22の噛み合い部分においては、部品の製造誤差やそれぞれの設置位置のばらつきにより、バックラッシが発生する。
【0022】
バックラッシがある場合、サイドフェンス21はそのバックラッシ分はほぼ無負荷で動いてしまう。そのため、操作部5が操作された時の振動や、原稿搬送中に原稿がサイドフェンスに接触することで与える負荷などによって、サイドフェンスがバックラッシ分だけ所望の位置からずれてしまい、原稿のスキューが発生してしまう。
【0023】
図5は、本発明の一実施形態である原稿位置合わせ装置200の部分斜視図である。原稿位置合わせ装置200は、互いの間隔を変化させることにより、原稿の両端を規制して原稿を位置合わせする一対の規制部材としての一対のサイドフェンス21と、ベルト24と、ベルト24が巻き付けられる移動部材の一部としてのプーリ23aと、ベルト24が巻き付けられるプーリ23bと、プーリ23aを固定する移動部材の一部としてのブラケット26と、ブラケット26を介してプーリ23aを付勢するバネ材の付勢部材25を備える。一対のサイドフェンス21は、各々、ベルト24を保持する保持部28を備える。
【0024】
プーリ23aは、ベルト24に張力を与える方向に移動可能であって、付勢部材25は、ベルト24に張力を与える方向に、プーリ23aを付勢する。ベルト24は内周面に歯が形成されており、プーリ23aはブラケット26の固定軸に対して回転可能であり、プーリ23bは原稿積置台8の固定軸に対して回転可能であって、ベルト24の内側の歯と噛み合う歯が外周面に形成されている。
【0025】
プーリ23bと、付勢部材25の一端は、原稿積置台8の下側に固定されており、一対のサイドフェンス21は原稿積置台8の上側に位置する。そしてサイドフェンス21の一部である保持部28が原稿積置台8の長孔を通して原稿積置台8の下側に位置している。また保持部28はベルト24を保持している。一対のサイドフェンス21と、ブラケット26及びプーリ23aは、原稿積置台8に対して移動可能に保持されている。
【0026】
一対の保持部28は、ベルト24の回転中心に対して点対称の位置、すなわち、原稿の幅方向、及び搬送方向のそれぞれに対称な位置に配置される。これにより、サイドフェンス21は、原稿の幅方向において対称の動きを行う。ここで、原稿の幅方向とは、原稿が画像読取部30に搬送された際に、画像読取部30が原稿上画像を読み取る主走査方向であり、原稿の搬送方向とは、副走査方向である。
【0027】
図6は、同実施形態の部分拡大図である。ブラケット26はブラケット26の長孔を使って原稿積置台8にスライド移動可能に段ネジで固定しており、付勢部材25は端部が原稿積置台8に接触し、原稿の幅方向である矢印Aの方向に、ブラケット26を介してプーリ23aを付勢する。プーリ23aが矢印Aの方向に付勢されて移動すると、ベルト24は、矢印Bの方向に張力を与えられる。
【0028】
これにより、ベルト24とプーリ23aにバックラッシが存在していたとしても、ベルト24を動かすためには、サイドフェンス21を張力よりも大きな力で動かすことが必要になる。したがって、操作部5が操作された時の振動や、原稿搬送中に原稿がサイドフェンスに接触する時の衝撃により、サイドフェンス21が受ける力よりも、ベルト24の張力を大きく設定しておけば、サイドフェンス21のずれは発生しない。
【0029】
また、ベルト24がプーリ23aに巻き付けられている部分には弧240が形成されており、付勢部材25は、ベルト24の弧240の中点における接線に垂直な方向である矢印Aの方向に、プーリ23aを付勢する。
【0030】
すなわち、付勢部材25は、ベルト24に働く張力の方向Bと平行な方向Aに、プーリ23aを介してベルト24を付勢する。これにより、付勢部材25は、ベルト24に対して均等に張力を与えることができる。
【0031】
別の観点では、付勢部材25は、一対のサイドフェンス21が相互に移動する方向と平行な方向に、プーリ23aを付勢する。具体的には、付勢部材25は、一方のサイドフェンス21が他方から離れる方向に、プーリ23aを付勢する。
【0032】
サイドフェンス21が移動する方向とプーリ23aを付勢する方向が平行でない場合、サイドフェンス21を操作する際の負荷が大きくなって操作性が悪化するが、本実施形態によれば、サイドフェンス21を移動する際の負荷が大きくなることが防止され、サイドフェンス21に対する操作性が悪化することが防止される。ここで、一対のサイドフェンス21が相互に移動する方向は、原稿の幅方向、すなわち原稿をセットする通常使用時のサイドフェンスの移動方向であって、原稿が画像読取部30に搬送された際には、画像読取部30が、原稿上の画像を読み取る主走査方向である。
【0033】
また、本実施形態では、ベルト24は内周面に歯が形成されており、移動部材としてのプーリ23aは、ベルト24の歯と噛み合う歯が外周面に形成されていたが、他の実施形態として、ラバー材のようにベルト24とプーリ23a間の摩擦力が十分確保できる場合は、ベルト24とプーリ23aは、各々必ずしも歯が形成されていなくてもよい。
【0034】
図7は、
図6に示した実施形態のさらなる部分拡大図であり、ベルト24にサイドフェンス21の取り付ける保持部28の詳細を示す。なお一対の他の保持部28についても同様である。
【0035】
保持部28は、相対してベルト24を挟み込む。ベルト24の外側を保持する保持部28は、ベルト24を挟み込む挟みこみ部28aと、ベルト24の縁を保持する縁突起部28dを備える。ベルト24の内側(歯がある面)を保持する保持部28は、ベルト24の装着方向及び歯の形状に沿った手長の挟みこみ部28bを備えている。挟み込み部28a、28bは、ベルト24の厚み以下の間隔で互いに位置決めされており、ベルト24はその弾性及び歯形状を利用して挟み込み部28a、28bの間隔内に保持される。
【0036】
図8は、
図7に示した実施形態のA-A断面図である。
図8(a)は、ベルト24を除いた図であり、
図8(b)は、ベルト24を含む図である。挟み込み部28aは、ベルト24が取り付けられる凸部としての突起部28cを備え、ベルト24には、突起部28cと勘合する孔24aが形成されている。なお、この孔24は、ベルトに対して貫通している孔であるが、ベルトの表面を凹形状にした穴や切り欠きも含まれる。
【0037】
突起部28cは、ベルト24の外側を保持する一対の保持部28の各々に設けられており、孔24aは、一対の突起部28cに各々対応して一対形成される。これにより、歯形状のないベルト24の外側を保持する一対の保持部28は、ベルト24に対して一対のサイドフェンス21を確実に取り付け保持することができる。
一対の孔24aは、ベルト24の長さの1/2の間隔で、ベルト24の回転中心に対して点対称に形成されている。すなわち、一対の孔24aは、原稿の幅方向、及び搬送方向のそれぞれに対称な位置に配置される。
【0038】
これにより、一対の保持部28は、ベルト24の回転中心に対して点対称の位置で、ベルト24に対して一対のサイドフェンス21を取り付けることができる。そして、原稿位置合わせ装置200は、サイドフェンス21の組立時に、一対のサイドフェンス21を原稿搬送方向に沿って均等な間隔で配置することができる。
【0039】
図9は、
図8に示した実施形態の変形例である。一対の孔は、各々ベルト24が回転する方向に長い長孔24bとして形成されている。これにより、ベルト24の長さの製造誤差や付勢によるベルト24の伸びによる誤差があったとしても、長孔24bによって誤差を調整することにより、原稿位置合わせ装置200は、一対のサイドフェンス21を相互の移動方向において精度良く配置することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置
4 自動原稿搬送装置
200 原稿位置合わせ装置
21 サイドフェンス
23a プーリ
24 ベルト
24a 孔
24b 長孔
25 付勢部材
28c 突起部
30 画像読取部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】