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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20220802BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220802BHJP
   H04N 5/347 20110101ALI20220802BHJP
【FI】
H04N5/3745 700
H01L27/146 A
H04N5/347
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018123117
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020005131
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳史
【審査官】大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-085065(JP,A)
【文献】特開2011-239070(JP,A)
【文献】特開2014-216536(JP,A)
【文献】特開2011-155596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/339
H01L27/14-27/148
H01L27/30
H01L29/762
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、
前記複数の画素の各々は、第1の方向に配列する複数の単位画素を含み、
前記複数の単位画素の各々は、
単一の浮遊拡散部と、
前記浮遊拡散部の周囲に設けられ、入射した光から信号電荷を生成する複数の光電変換部と、
前記浮遊拡散部と前記複数の光電変換部との間に設けられ、前記複数の光電変換部から前記浮遊拡散部への前記信号電荷の転送を制御する単一の転送ゲートと、
を有し、
前記複数の単位画素の各々に含まれる前記浮遊拡散部は、前記第1の方向に配列し、
前記複数の単位画素の各々に含まれる前記転送ゲートは、前記画素内で共通に接続され、
前記複数の画素の各々は、
前記複数の単位画素から出力された信号を増幅する増幅トランジスタと、
前記増幅トランジスタのゲートの電位をリセットするリセットトランジスタと、
前記複数の単位画素と重なる部分で前記第1の方向に延びる配線と、
を更に有し、
前記配線は、前記複数の単位画素の各々に含まれる前記浮遊拡散部と、前記増幅トランジスタのゲートと、前記リセットトランジスタのソースとを接続することを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記転送ゲートは前記浮遊拡散部を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記複数の光電変換部から前記浮遊拡散部に転送された前記信号電荷が加算されて電気信号として出力されることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記増幅トランジスタ及び前記リセットトランジスタは、ドレインを共有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
記配線は、前記複数の単位画素の各々に含まれる前記浮遊拡散部及び前記増幅トランジスタのゲートの間で前記第1の方向に直線状に延びることを特徴とする請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記増幅トランジスタ及び前記リセットトランジスタは、ドレインを互いに独立して有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
記配線は、前記複数の単位画素の各々に含まれる前記浮遊拡散部、前記増幅トランジスタのゲート及び前記リセットトランジスタのソースの間で前記第1の方向に直線状に延びることを特徴とする請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
記複数の光電変換部は、前記単位画素の各々において、
前記第1の方向に1つ以上配置され、
前記第1の方向に垂直な第2の方向に2つ配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の前記光電変換部に入射光を導く光学系と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理部と、
前記固体撮像素子を駆動する駆動部と、
を有し、
前記複数の光電変換部から前記浮遊拡散部に転送された前記信号電荷が加算されて電気信号として出力されることを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子の一つであるCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサは、一般的なCMOSプロセスを用いた製造が可能であり、アナログ回路及びデジタル回路を同一のチップ内に混在させることができる。そのため、周辺の集積回路(integrated circuit:IC)を減らすことができる等の利点を持つ。CMOSイメージセンサを構成する画素は、フォトダイオード等の光電変換部、転送ゲート及びフローティングディフュージョン等を含む。
【0003】
高感度化を目的として、光電変換部及び転送ゲートの対を複数設けた画素が提案されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光電変換部及び転送ゲートの対を複数設けた画素から構成される従来のCMOSイメージセンサでは、ゲインが劣化してしまう。
【0005】
開示の技術は、ゲインの劣化を抑制することができる固体撮像素子及び撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一態様によれば、固体撮像素子は、複数の画素を有し、前記複数の画素の各々は、第1の方向に配列する複数の単位画素を含み、前記複数の単位画素の各々は、単一の浮遊拡散部と、前記浮遊拡散部の周囲に設けられ、入射した光から信号電荷を生成する複数の光電変換部と、前記浮遊拡散部と前記複数の光電変換部との間に設けられ、前記複数の光電変換部から前記浮遊拡散部への前記信号電荷の転送を制御する単一の転送ゲートと、を有し、前記複数の単位画素の各々に含まれる前記浮遊拡散部は、前記第1の方向に配列し、前記複数の単位画素の各々に含まれる前記転送ゲートは、前記画素内で共通に接続され、前記複数の画素の各々は、前記複数の単位画素から出力された信号を増幅する増幅トランジスタと、前記増幅トランジスタのゲートの電位をリセットするリセットトランジスタと、前記複数の単位画素と重なる部分で前記第1の方向に延びる配線と、を更に有し、前記配線は、前記複数の単位画素の各々に含まれる前記浮遊拡散部と、前記増幅トランジスタのゲートと、前記リセットトランジスタのソースとを接続する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、ゲインの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す図である。
図2】画素部に含まれる画素の配列の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態における画素内のレイアウトを示す図である。
図4】第1の実施形態における画素の構成を示す断面図である。
図5】第1の実施形態における画素の構成を示す回路図である。
図6】第1の実施形態に係る固体撮像素子の動作を示すタイミングチャートである。
図7】単位画素のレイアウトを示す図である。
図8】第2の実施形態における画素内のレイアウトを示す図である。
図9】第2の実施形態における画素の構成を示す断面図である。
図10】第2の実施形態における画素の構成を示す回路図である。
図11】第3の実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す図である。
図12】第3の実施形態における画素内のレイアウトを示す図である。
図13】第3の実施形態における画素の構成を示す回路図である。
図14】第4の実施形態における画素内のレイアウトを示す図である。
図15】第4の実施形態における画素の構成を示す回路図である。
図16】第5の実施形態における画素内のレイアウトを示す図である。
図17】第5の実施形態における画素の構成を示す回路図である。
図18】第6の実施形態に係るカメラシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、第1の実施形態に係る固体撮像素子は、画素部1、画素制御部2、読み出し処理部3及び出力部4を含む。
【0012】
画素部1内では、画素Pが水平方向(X方向)に行をなして配置され、垂直方向(Y方向)には画素Pの複数の組が水平方向の各行に対応して配置される。つまり、画素Pは行列をなすように配列している。本実施形態では、画素部1が3行の画素Pを含む。
【0013】
画素部1は、画素Pを駆動制御するための制御線として、行ごとに制御線LRT、制御線LTX及び制御線LSLを含み、各列に配列された画素Pの画素信号を読み出すための信号線VOUTを含む。第X列に配列した画素PX,1、画素PX,2及び画素PX,3に信号線VOUTが接続される(X=・・・,N-1,N,N+1,・・・)。また、第Y行に配列した画素PX,Yに制御線LRT、制御線LTX及び制御線LSLが接続される(X=・・・,N-1,N,N+1,・・・、Y=1,2,3)。
【0014】
画素制御部2は、制御線LRT、制御線LTX及び制御線LSLを通して画素Pを駆動させる制御を行う。例えば、第1行の画素PX,1を駆動させる場合、制御線LRT、制御線LTX及び制御線LSLを通して読み出しを行うように画素PX,1を駆動させる。
【0015】
読み出し処理部3は、信号線VOUTの画素信号を読み出し、アナログ増幅及びアナログ転送処理を行う。また、アナログ-デジタル(AD)変換器によりデジタル変換し、デジタル信号として出力させてもよい。複数のアナログ信号又はデジタル信号は出力部4へ送られる。
【0016】
出力部4は、固体撮像素子の外部とのインターフェスのための、アナログ信号処理又はデジタル変換処理を行う。
【0017】
次に、画素部1について説明する。図2は、画素部1に含まれる画素Pの配列の一例を示す図である。
【0018】
第1の実施形態に係る固体撮像素子はカラー画像の撮像が可能なように、各画素Pにカラーフィルタが設けられている。ここでは、レッドフィルタ層R、グリーンフィルタ層G及びブルーフィルタ層Bがカラーフィルタとして用いられる。図2に示すように、レッドフィルタ層R、リーンフィルタ層G及びブルーフィルタ層Bは互いに隣接しており、これらのうちのいずれかが複数の画素Pのそれぞれに対応して設けられている。なお、図示を省略しているが、レッドフィルタ層R、グリーンフィルタ層G及びブルーフィルタ層Bのそれぞれの周囲においては、画素Pを区画するように、遮光領域が設けられている。
【0019】
なお、画素Pの色の種類及びその種類の数は限定されず、また、画素Pの配列の形態も限定されない。
【0020】
次に、画素Pの構成について説明する。図3は、第1の実施形態における画素P内のレイアウトを示す図である。図4は、第1の実施形態における画素Pの構成を示す断面図である。図5は、第1の実施形態における画素Pの構成を示す回路図である。図4は、図3中のX1-X2線で示す断面を示す。図3図5には、一例として、レッドフィルタ層Rが設けられた画素(赤色画素)の構成を示すが、フィルタ層の色を除き、グリーンフィルタ層Gが設けられた画素(緑色画素)及びブルーフィルタ層Bが設けられた画素(青色画素)も、赤色画素と同様の構成を有する。
【0021】
図3図5に示すように、画素Pは、撮像面において水平方向に並ぶ単位画素PL及びPRを含む。
【0022】
単位画素PLは、図3に示すように、撮像面において垂直方向に並ぶフォトダイオード11L及び12Lを含む。フォトダイオード11L及び12Lは、入射した光から信号電荷を生成し、蓄積する。フォトダイオード11L及び12Lの間にフローティングディフュージョン(浮遊拡散部:FD)111Lが設けられ、フォトダイオード11L及び12Lの間でフローティングディフュージョン111Lを平面視で取り囲むように転送トランジスタ21Lの転送ゲート21LGが設けられている。すなわち、転送ゲート21LGが平面視で口の字状に形成され、その内側にフローティングディフュージョン111Lが設けられている。転送トランジスタ21Lは、フォトダイオード11L及び12Lに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン111Lに転送する。
【0023】
単位画素PRは、図3に示すように、撮像面において垂直方向に並ぶフォトダイオード11R及び12Rを含む。フォトダイオード11R及び12Rは、入射した光から信号電荷を生成し、蓄積する。フォトダイオード11R及び12Rの間にフローティングディフュージョン(浮遊拡散部:FD)111Rが設けられ、フォトダイオード11R及び12Rの間でフローティングディフュージョン111Rを平面視で取り囲むように転送トランジスタ21Rの転送ゲート21RGが設けられている。すなわち、転送ゲート21RGが平面視で口の字状に形成され、その内側にフローティングディフュージョン111Rが設けられている。転送トランジスタ21Rは、フォトダイオード11R及び12Rに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン111Rに転送する。
【0024】
画素Pは、図3に示すように、フローティングディフュージョン111L及び111Rを所定の電位へ接続するリセットトランジスタ22、フローティングディフュージョン111L及び111Rの電荷に応じた電気信号を出力する増幅トランジスタ23並びに増幅トランジスタ23からの出力を選択する選択トランジスタ24を含む。図5に示すように、転送トランジスタ21L及び21Rは制御線LTXの転送信号で制御され、リセットトランジスタ22は制御線LRTのリセット信号で制御され、選択トランジスタ24は制御線LSLの選択信号で制御される。リセットトランジスタ22のドレイン22D及び増幅トランジスタ23のドレイン23Dに電源VDDが接続され、選択トランジスタ24に信号線VOUTが接続される。
【0025】
フォトダイオード11L、12L、11R及び12Rで生成及び蓄積された信号電荷は転送トランジスタ21L及び21Rによりフローティングディフュージョン111L及び111Rへ転送され、増幅トランジスタ23及び選択トランジスタ24を介して信号線VOUTへ電気信号として出力される。
【0026】
リセットトランジスタ22、増幅トランジスタ23及び選択トランジスタ24は、単位画素PL及びPRの水平方向の片側、図3では右側に配置されている。リセットトランジスタ22及び増幅トランジスタ23はドレイン22D及び23Dを共有しており、上記のように、これらは電源VDDに接続されている。
【0027】
図4に示すように、シリコン基板等の半導体基板101の表面に、活性領域を画定する素子分離領域102が形成されている。単位画素PL内では、1つの活性領域に、フォトダイオード11L及び12L並びにフローティングディフュージョン111Lが設けられ、単位画素PR内では、1つの活性領域に、フォトダイオード11R及び12R並びにフローティングディフュージョン111Rが設けられている。すなわち、フローティングディフュージョン111Lはフォトダイオード11L及び12Lと同一の活性領域内に設けられ、フローティングディフュージョン111Rはフォトダイオード11R及び12Rと同一の活性領域内に設けられている。転送ゲート21LG及び21RGはゲート絶縁膜104を介して半導体基板101上に形成されている。転送ゲート21LG及び21RGは、例えば、ポリシリコン等の導電性の材料で形成されている。フローティングディフュージョン111L及び111Rはコンタクトを介して半導体基板101の上方に設けられた配線103に接続され、配線103はコンタクトを介して増幅トランジスタ23のゲート23G及びリセットトランジスタ22のソース22Sに接続されている。
【0028】
[フォトダイオード]
ここで、フォトダイオード11L、12L、11R及び12Rの構成について説明する。以下、フォトダイオード11L、12L、11R及び12Rを総称してフォトダイオードPDということがある。
【0029】
本実施形態では、複数のフォトダイオードPDが撮像面に配置されている。これらフォトダイオードPDは、水平方向に並ぶ単位画素PL及びPRの配列に対応するように設けられている。つまり、例えば、水平方向において2つのフォトダイオードPDが等間隔で並ぶように設けられている。
【0030】
フォトダイオードPDは、フローティングディフュージョン111L及び111Rと同様に、シリコン基板等の半導体基板に設けられている。フォトダイオードPDは、被写体像として入射する入射光を受光面で受光し、光電変換することによって、信号電荷を生成し、蓄積するように構成されている。例えば、フォトダイオードPDは、n型又はp型の半導体基板内に設けられたpウェルにn型の電荷蓄積領域が形成されることで構成される。また、更に暗電流抑制のために、半導体基板の表面側にp型のアキュミュレーション層を含むように構成される。各フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷は、転送トランジスタ21L及び21Rによってフローティングディフュージョン111L及び111Rへ転送される。
【0031】
また、画素P内では、4つのフォトダイオードPDが、増幅トランジスタ23、選択トランジスタ24及びリセットトランジスタ22の1組を共有するように構成されている。つまり、4つのフォトダイオードPDに対して、増幅トランジスタ23、選択トランジスタ24及びリセットトランジスタ22が1つずつ設けられている。
【0032】
[トランジスタ]
次に、転送トランジスタ21L及び21R、増幅トランジスタ23、選択トランジスタ24並びにリセットトランジスタ22について説明する。画素Pにおいて、転送トランジスタ21L及び21R、増幅トランジスタ23、選択トランジスタ24並びにリセットトランジスタ22は、図3に示すように、撮像面に配置されている。転送トランジスタ21L及び21R、増幅トランジスタ23、選択トランジスタ24並びにリセットトランジスタ22は、フォトダイオードPDにより生成された信号電荷を読み出してデータ信号として出力するように構成されている。例えば、転送トランジスタ21L及び21R、増幅トランジスタ23、選択トランジスタ24並びにリセットトランジスタ22は、例えば、NチャネルのMOSトランジスタとして構成されている。
【0033】
[転送トランジスタ]
転送トランジスタ21L及び21Rは、図3に示すように、単位画素PL及びPRに1つずつ設けられている。例えば、図3に示すように、転送トランジスタ21Lは、撮像面において、垂直方向に並ぶ2つのフォトダイオード11L及び12Lの間に、口の字状の転送ゲート21LGの内側にフローティングディフュージョン111Lが位置するように設けられる。同様に、例えば、転送トランジスタ21Rは、撮像面において、垂直方向に並ぶ2つのフォトダイオード11R及び12Rの間に、口の字状の転送ゲート21RGの内側にフローティングディフュージョン111Rが位置するように設けられる。従って、平面視で、フローティングディフュージョン111Lは転送ゲート21LGにより取り囲まれ、フローティングディフュージョン111Rは転送ゲート21RGにより取り囲まれる。
【0034】
図5に示すように、転送トランジスタ21L及び21Rは、制御線LTXから転送ゲート21LG及び21RGに転送信号が与えられることによって、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷を、フローティングディフュージョン111L及び111Rに出力信号として転送するように構成されている。例えば、図5に示すように、転送トランジスタ21L及び21Rの一端はフォトダイオードPDのカソードに電気的に接続され、他端はフローティングディフュージョン111L及び111Rに電気的に接続されている。水平方向に並ぶ転送トランジスタ21L及び21Rにより転送された信号電荷は、フローティングディフュージョン111L及び111Rで加算された後に、増幅トランジスタ23のゲート23Gに出力される。信号電荷の加算により、十分な1画素当たりの感度を得ることができる。
【0035】
[増幅トランジスタ]
増幅トランジスタ23は、図3に示すように、撮像面において、単位画素PL及びPRの右側に設けられている。つまり、増幅トランジスタ23は、撮像面において、4つのフォトダイオードPDの右側に設けられている。ここでは、増幅トランジスタ23は、垂直方向において1対のソース及びドレインがチャネルを挟むように設けられている。
【0036】
図5に示すように、増幅トランジスタ23は、転送トランジスタ21L及び21Rから出力されて電気信号を増幅して出力するように構成されている。具体的には、図5に示すように、増幅トランジスタ23のゲート23Gが配線103を介してフローティングディフュージョン111L及び111Rに接続されている。また、増幅トランジスタ23のドレイン23Dは電源VDDに接続され、ソース23Sは選択トランジスタ24を介して、信号線VOUTに接続されている。
【0037】
増幅トランジスタ23は、選択トランジスタ24がオン状態になるように選択されたときには、画素部1の外の定電流源から定電流が供給されて、ソースフォロアとして動作する。このため。増幅トランジスタ23では、選択トランジスタ24に選択信号が供給されることによって、フローティングディフュージョン111L及び111Rから出力されて出力が増幅される。
【0038】
[選択トランジスタ]
選択トランジスタ24は、図3に示すように、撮像面において、単位画素PL及びPRの右側に設けられている。つまり、選択トランジスタ24は、増幅トランジスタ23と同様に撮像面において、4つのフォトダイオードPDの右側に設けられている。ここでは、選択トランジスタ24は、垂直方向において1対のソース及びドレインがチャネルを挟むように設けられている。
【0039】
図5に示すように、選択トランジスタ24は、制御線LSLから選択信号が入力された際に、増幅トランジスタ23によって出力された電気信号を、信号線VOUTで出力するように構成されている。具体的には、図5に示すように、選択トランジスタ24のゲート24Gが、選択信号が供給される制御線LSLに接続されている。選択トランジスタ24は、選択信号が供給された際にはオン状態になり、フローティングディフュージョン111L及び111Rの信号電荷が増幅トランジスタ23により増幅され、その電位に応じた電圧が信号線VOUTに出力される。信号線VOUTを通じて、各画素Pから出力された電圧は、画素の読み出し処理部3でアナログ増幅され、アナログ信号として転送処理されるか、又はAD変換器によりデジタル信号に変換処理され、出力される。
【0040】
[リセットトランジスタ]
リセットトランジスタ22は、図3に示すように、撮像面において、単位画素PL及びPRの右側に設けられている。つまり、リセットトランジスタ22は、増幅トランジスタ23及び選択トランジスタ24と同様に撮像面において、4つのフォトダイオードPDの右側に設けられている。ここでは、リセットトランジスタ22は、垂直方向において1対のソース及びドレインがチャネルを挟むように設けられている。
【0041】
図5に示すように、リセットトランジスタ22は、増幅トランジスタ23のゲート23Gの電位をリセットするように構成されている。具体的には、図5に示すように、リセットトランジスタ22のゲート22Gが、リセット信号が供給される制御線LRTに接続されている。また、リセットトランジスタ22のドレイン22Dは電源VDDに接続され、ソース22Sはフローティングディフュージョン111L及び111Rに接続されている。リセットトランジスタ22は、制御線LRTからリセット信号がゲート22Gに供給された際に、配線103を介して、増幅トランジスタ23のゲート23Gの電位及びフローティングディフュージョン111L及び111Rの電位を、電源VDDによってリセットする。
【0042】
[配線層]
配線層は、半導体基板101の転送ゲート21LG及び21RGが設けられた表面の上方に設けられている。配線層は制御線LTX、制御線LSL、制御線LRT及び信号線VOUTを含み、これらが各素子に電気的に接続するように形成されている。例えば、画素Pの境界部分又は単位画素PL及びPRが並ぶ境界部分に、各配線が設けられている。
【0043】
配線層には配線103も含まれる。例えば、図3及び図4に示すように、配線103は、単位画素PL及びPRの上方で水平方向に直線状に延び、更に、単位画素PL及びPRの右側でも、増幅トランジスタ23のゲート23Gのコンタクトまで水平方向に直線状に延びている。また、増幅トランジスタ23のゲート23Gのコンタクトとリセットトランジスタ22のソース22Sのコンタクトとの間では、垂直方向に直線状に延びている。
【0044】
次に、第1の実施形態に係る固体撮像素子の動作について説明する。図6は、第1の実施形態に係る固体撮像素子の動作を示すタイミングチャートである。図6には、画素から信号を読み出す際に制御線LRT、制御線LTX及び制御線LSLに供給されるパルス信号(リセット信号、転送信号及び選択信号)を示す。
【0045】
先ず、時刻t1において、選択トランジスタ24をオン状態にする。そして、時刻t2において、リセットトランジスタ22をオン状態にする。これにより、増幅トランジスタ23のゲート23Gの電位をリセットする。
【0046】
次に、時刻t3において、リセットトランジスタ22をオフ状態にする。そして、この後、リセットレベルに対応した電圧を出力信号として、読み出し処理部3へ読み出す。
【0047】
次に、時刻t4において、転送トランジスタ21L及び21Rをオン状態にし、フォトダイオード11L、12L、11R及び12Rに蓄積された信号電荷を増幅トランジスタ23のゲート23Gへと転送する。
【0048】
次に、時刻t5において、転送トランジスタ21L及び21Rをオフ状態にする。そして、この後、蓄積された信号電荷の量に応じた信号レベルの電圧を出力信号として、読み出し処理部3へと読み出す。
【0049】
読み出し処理部3は、先に読み出したリセットレベルと、後に読み出した信号レベルとを差分処理して信号を蓄積する。これにより、画素P毎に設けられた各トランジスタの閾値電圧(Vth)のバラツキ等によって発生する固定的なパターンノイズがキャンセルされる。
【0050】
各トランジスタの各ゲートが、水平方向に並ぶ複数の画素Pからなる行単位で接続されていることから、上記のように画素Pを駆動する動作はその行単位にて並ぶ複数の画素Pについて同時に行われる。具体的には、上述した画素制御部2によって供給される選択信号によって1行単位で垂直な方向に順次選択される。
【0051】
そして、画素制御部2から出力される各種タイミング信号によって各画素Pのトランジスタが制御される。
【0052】
これにより、各画素Pにおける出力信号が信号線VOUTを通して画素Pの行毎に読み出し処理部3に読み出される。そして、読み出し処理部3にて、蓄積された信号が選択され、水平転送されて、出力部4へと順次出力される。
【0053】
本実施形態においては、画素Pを構成する単位画素PL及びPRのそれぞれにて生成される信号電荷が加算され、出力信号として信号線VOUTへ出力される。例えば、図6に示すように、2つの単位画素PL及びPRに設けられた各フォトダイオードの信号電荷が、転送トランジスタ21L及び21Rを介して、同じタイミングでフローティングディフュージョン111L及び111Rに転送される。そして、フローティングディフュージョン111L及び111Rにおいて加算された信号電荷の量に応じた信号レベルの電圧が出力信号として読み出される。
【0054】
次に、第1の実施形態の効果について、参考例と比較しながら説明する。図7は、単位画素のレイアウトを示す図である。図7(a)は第1の実施形態におけるレイアウトを示し、図7(b)は参考例におけるレイアウトを示す。
【0055】
本実施形態では、図7(a)に示すように、単位画素PL内では、1つの活性領域112に、フォトダイオード11L及び12Lが設けられている。図7(b)に示すように、参考例の単位画素PL´にも、単位画素PLと同様の活性領域112並びにフォトダイオード11L及び12Lが設けられている。
【0056】
本実施形態の単位画素PLでは、図7(a)に示すように、平面視で口の字状の転送ゲート21LGが設けられており、フローティングディフュージョン111Lはこの内側に設けられている。一方、図7(b)に示すように、単位画素PL´では、水平方向に延びる転送ゲート95LGがフォトダイオード11Lに設けられ、水平方向に延びる転送ゲート96LGがフォトダイオード12Lに設けられている。この単位画素PL´では、活性領域112の転送ゲート95LGと転送ゲート96LGとの間の部分がフローティングディフュージョン191Lとなる。
【0057】
また、単位画素PLでは、図7(a)に示すように、フローティングディフュージョン111Lに接続される配線103が水平方向に延び、更に、転送ゲート21LGに接続される配線105が設けられている。一方、単位画素PL´では、図7(b)に示すように、フローティングディフュージョン191Lに接続される配線193が水平方向に延び、更に、転送ゲート95LGに接続される配線195及び転送ゲート96LGに接続される配線196が設けられている。
【0058】
図7(a)と図7(b)とを比較するとわかるように、フローティングディフュージョン111Lの面積はフローティングディフュージョン191Lの面積よりも小さい。従って、フローティングディフュージョン111Lの拡散容量はフローティングディフュージョン191Lの拡散容量よりも小さい。
【0059】
また、図7(b)に示すように、単位画素PL´では、配線195及び196が配線193に近接しているのに対し、単位画素PLでは、配線105が配線103に近接するだけである。すなわち、単位画素PL´の配線193は、転送信号が伝達される2本の配線(制御線LTX)の影響を受けるのに対し、単位画素PLの配線103は、転送信号が伝達される1本の配線(制御線LTX)の影響を受けるだけである。従って、フローティングディフュージョン111Lの制御線LTXとの間の配線容量はフローティングディフュージョン191Lの制御線LTXとの間の配線容量よりも小さい。
【0060】
このように、単位画素PLでは、単位画素PL´と比較して、フローティングディフュージョン111Lに関連する寄生容量を低減することができる。例えば、単位画素PLでは、単位画素PL´と比較して、容量素子の電極となり得る部分の面積が40%縮小し、拡散容量が20%削減される。フローティングディフュージョン111Lに関連する寄生容量は、フォトダイオード11L及び12Lからフローティングディフュージョン111Lへ転送した信号電荷をフローティングディフュージョン111Lにて電圧変換する際のゲインに反比例する。従って、本実施形態の単位画素PLでは、この寄生容量の低減により、ゲインの低下を抑制することができる。単位画素PRについても同様である。
【0061】
従って、第1の実施形態によれば、寄生容量の低減を通じてゲインの劣化を抑制することができる。また、ゲインの劣化の抑制に伴って、画素品質を向上することができる。
【0062】
なお、配線103は、半導体基板101側から数えて第1層目の配線層に設けられている必要はなく、第2層目以降の配線層に設けられていてもよい。半導体基板101から離れるほど、半導体基板101との間の寄生容量を低減することができる。
【0063】
また、配線103と他の配線との間の配線容量を抑制するため、平面視で、制御線LRT及びLSLは、転送ゲート21LG及び21RG並びにフローティングディフュージョン111L及び111Rからずれた位置に配置されることが好ましい。また、配線103の幅は細いことが好ましい。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、画素P内のレイアウトの点で第1の実施形態と相違する。図8は、第2の実施形態における画素P内のレイアウトを示す図である。図9は、第2の実施形態における画素Pの構成を示す断面図である。図10は、第2の実施形態における画素Pの構成を示す回路図である。図9は、図8中のX1-X2線で示す断面を示す。図8図10には、一例として、レッドフィルタ層Rが設けられた画素(赤色画素)の構成を示すが、フィルタ層の色を除き、グリーンフィルタ層Gが設けられた画素(緑色画素)及びブルーフィルタ層Bが設けられた画素(青色画素)も、赤色画素と同様の構成を有する。
【0065】
図8図10に示すように、画素Pは、第1の実施形態と同様に、撮像面において水平方向に並ぶ単位画素PL及びPRを含む。画素Pは、更に、第1の実施形態と同様に、リセットトランジスタ22、増幅トランジスタ23及び選択トランジスタ24を含む。
【0066】
第1の実施形態とは異なり、増幅トランジスタ23及び選択トランジスタ24が、単位画素PL及びPRの水平方向の一方側、図8では右側に配置され、リセットトランジスタ22が、単位画素PL及びPRの水平方向の他方側、図8では左側に配置されている。リセットトランジスタ22及び増幅トランジスタ23は互いに独立してドレイン22D、23Dを有しており、増幅トランジスタ23のドレイン23Dは電源VDDに接続され、リセットトランジスタ22のドレイン22Dはリセット電源VDDRTに接続されている。
【0067】
第1の実施形態と同様に、フローティングディフュージョン111L及び111Rはコンタクトを介して配線103に接続され、配線103はコンタクトを介して増幅トランジスタ23のゲート23G及びリセットトランジスタ22のソース22Sに接続されている。本実施形態では、増幅トランジスタ23のゲート23G及びリセットトランジスタ22のソース22Sは、平面視で、フローティングディフュージョン111L及び111Rの各コンタクトを結ぶ直線上に位置している。そして、配線103は、単位画素PL及びPRの右側で、増幅トランジスタ23のゲート23Gのコンタクトまでそのまま直線状に延び、単位画素PL及びPRの左側で、リセットトランジスタ22のソース22Sのコンタクトまで直線状に延びている。
【0068】
転送トランジスタ21L及び21Rは、制御線LTXから転送ゲート21LG及び21RGに転送信号が与えられることによって、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷を、フローティングディフュージョン111L及び111Rに出力信号として転送するように構成されている。例えば、転送トランジスタ21L及び21Rの一端はフォトダイオードPDのカソードに電気的に接続され、他端はフローティングディフュージョン111L及び111Rに電気的に接続されている。
【0069】
第1の実施形態と同様に、フォトダイオード11L、12L、11R及び12Rで生成及び蓄積された信号電荷は転送トランジスタ21L及び21Rによりフローティングディフュージョン111L及び111Rへ転送され、増幅トランジスタ23及び選択トランジスタ24を介して信号線VOUTへ電気信号として出力される。
【0070】
他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0071】
このように構成された第2の実施形態では、水平方向に直線状に延びる配線103がリセットトランジスタ22のソース22S、フローティングディフュージョン111L、フローティングディフュージョン111R及び増幅トランジスタ23のゲート23Gの各コンタクトに接続される。従って、第1の実施形態とは異なり、配線103に垂直方向に延びる部分が不要であり、この分だけ配線容量を低減することができる。
【0072】
従って、第2の実施形態によれば、寄生容量を更に低減し、ゲインの劣化を更に抑制することができ、また、画素品質を更に向上することができる。
【0073】
また、リセット電源VDDRTを電源VDDから独立して制御できるため、よりリセットに適切な電圧を用いることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図11は、第3の実施形態に係る固体撮像素子の構成を示す図である。
【0075】
図11に示すように、第3の実施形態に係る固体撮像素子は、画素部1、画素制御部2、読み出し処理部3及び出力部4を含む。
【0076】
画素部1内では、画素Pが水平方向に行をなして配置され、垂直方向には画素Pの複数の組が水平方向の各行に対応して配置される。つまり、画素Pは行列をなすように配列している。本実施形態では、画素部1が3行の画素Pを含む。
【0077】
画素部1は、画素Pを駆動制御するための制御線として、行ごとに制御線LRT及び制御線LTXを含むが、第1の実施形態とは異なり、制御線LSTを含まない。また、画素部1は、画素P毎に画素信号を読み出すための信号線VOUTを含む。例えば、第X列、第Y行に配列した画素PX,Yに信号線VOUTX,Yが接続される(X=・・・,N-1,N,N+1,・・・、Y=1,2,3)。また、第Y行に配列した画素PX,Yに制御線LRT及び制御線LTXが接続される(X=・・・,N-1,N,N+1,・・・、Y=1,2,3)。
【0078】
画素制御部2は、制御線LRT及び制御線LTXを通して画素Pを駆動させる制御を行う。例えば、第1行の画素PX,1を駆動させる場合、制御線LRT及び制御線LTXを通して読み出しを行うように画素PX,1を駆動させる。
【0079】
読み出し処理部3は、信号線VOUTの画素信号を読み出し、アナログ増幅及びアナログ転送処理を行う。また、AD変換器によりデジタル変換し、デジタル信号として出力させてもよい。複数のアナログ信号又はデジタル信号は出力部4へ送られる。
【0080】
出力部4は、固体撮像素子の外部とのインターフェスのための、アナログ信号処理又はデジタル変換処理を行う。
【0081】
次に、画素Pの構成について説明する。図12は、第3の実施形態における画素P内のレイアウトを示す図である。図13は、第3の実施形態における画素Pの構成を示す回路図である。図12図13には、一例として、レッドフィルタ層Rが設けられた画素(赤色画素)の構成を示すが、フィルタ層の色を除き、グリーンフィルタ層Gが設けられた画素(緑色画素)及びブルーフィルタ層Bが設けられた画素(青色画素)も、赤色画素と同様の構成を有する。
【0082】
図12図13に示すように、画素Pは、第1の実施形態と同様に、撮像面において水平方向に並ぶ単位画素PL及びPRを含む。画素Pは、更に、リセットトランジスタ22及び増幅トランジスタ23を含むが、選択トランジスタ24を含まない。
【0083】
増幅トランジスタ23が、単位画素PL及びPRの水平方向の一方側、図12では右側に配置され、リセットトランジスタ22が、単位画素PL及びPRの水平方向の他方側、図12では左側に配置されている。リセットトランジスタ22及び増幅トランジスタ23は互いに独立してドレイン22D、23Dを有しており、増幅トランジスタ23のドレイン23Dは電源VDDに接続され、リセットトランジスタ22のドレイン22Dはリセット電源VDDRTに接続されている。
【0084】
第1の実施形態と同様に、フローティングディフュージョン111L及び111Rはコンタクトを介して配線103に接続され、配線103はコンタクトを介して増幅トランジスタ23のゲート23G及びリセットトランジスタ22のソース22Sに接続されている。
【0085】
転送トランジスタ21L及び21Rは、制御線LTXから転送ゲート21LG及び21RGに転送信号が与えられることによって、フォトダイオードPDで蓄積された信号電荷を、フローティングディフュージョン111L及び111Rに出力信号として転送するように構成されている。例えば、転送トランジスタ21L及び21Rの一端はフォトダイオードPDのカソードに電気的に接続され、他端はフローティングディフュージョン111L及び111Rに電気的に接続されている。
【0086】
フォトダイオード11L、12L、11R及び12Rで生成された信号電荷は転送トランジスタ21L及び21Rによりフローティングディフュージョン111L及び111Rへ転送され、増幅トランジスタ23を介して、画素P毎に設けられた信号線VOUTへ電気信号として出力される。
【0087】
このように構成された第3の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、各画素Pが互いに独立した出力経路を有するため、画素部1内の全画素Pの各々の読み出しを同時に行うことが可能となる。
【0088】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、画素P内のレイアウトの点で第3の実施形態と相違する。図14は、第4の実施形態における画素P内のレイアウトを示す図である。図15は、第4の実施形態における画素Pの構成を示す回路図である。図14図15には、一例として、レッドフィルタ層Rが設けられた画素(赤色画素)の構成を示すが、フィルタ層の色を除き、グリーンフィルタ層Gが設けられた画素(緑色画素)及びブルーフィルタ層Bが設けられた画素(青色画素)も、赤色画素と同様の構成を有する。
【0089】
図14図15に示すように、画素Pは、第3の実施形態と同様に、撮像面において水平方向に並ぶ単位画素PL及びPRを含む。画素Pは、更に、第3の実施形態と同様に、リセットトランジスタ22及び増幅トランジスタ23を含む。
【0090】
第3の実施形態とは異なり、単位画素PLは、撮像面において垂直方向及び水平方向に2つずつ並ぶフォトダイオード11L、12L、13L及び14Lを含む。フォトダイオード11L~14Lは、入射した光から信号電荷を生成し、蓄積する。フォトダイオード11L~14Lの中央にフローティングディフュージョン111Lが設けられ、フォトダイオード11L~14Lの中央でフローティングディフュージョン111Lを平面視で取り囲むように転送トランジスタ21Lの転送ゲート21LGが設けられている。すなわち、転送ゲート21LGが平面視で口の字状に形成され、その内側にフローティングディフュージョン111Lが設けられている。転送トランジスタ21Lは、フォトダイオード11L~14Lに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン111Lに転送する。
【0091】
単位画素PRは、撮像面において垂直方向及び水平方向に2つずつ並ぶフォトダイオード11R、12R、13R及び14Rを含む。フォトダイオード11R~14Rは、入射した光から信号電荷を生成し、蓄積する。フォトダイオード11R~14Rの中央にフローティングディフュージョン111Rが設けられ、フォトダイオード11R~14Rの中央でフローティングディフュージョン111Rを平面視で取り囲むように転送トランジスタ21Rの転送ゲート21RGが設けられている。すなわち、転送ゲート21RGが平面視で口の字状に形成され、その内側にフローティングディフュージョン111Rが設けられている。転送トランジスタ21Rは、フォトダイオード11R~14Rに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン111Rに転送する。
【0092】
このように、第4の実施形態では、各画素Pにおいて、4つのフォトダイオード、1つの転送ゲート及び1つのフローティングディフュージョンを含む単位画素PL及びPRが水平方向に並ぶように配置されている。他の構成は第3の実施形態と同様である。
【0093】
このように構成された第4の実施形態によっても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、第3の実施形態では2つのフォトダイオードに1つのフローティングディフュージョンが設けられているのに対し、第4の実施形態では4つのフォトダイオードに1つのフローティングディフュージョンが設けられている。第3の実施形態及び第4の実施形態の間でフローティングディフュージョンのサイズが同一であれば、第4の実施形態において、フォトダイオード1個当たりのフローティングディフュージョンの面積が小さくなる。従って、第4の実施形態によれば、第3の実施形態よりも拡散容量を低減することができる。
【0094】
このように、第4の実施形態によれば、寄生容量を更に低減し、ゲインの劣化を更に抑制することができ、また、画素品質を更に向上することができる。
【0095】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、画素P内のレイアウトの点で第3の実施形態と相違する。図16は、第5の実施形態における画素P内のレイアウトを示す図である。図17は、第5の実施形態における画素Pの構成を示す回路図である。図16図17には、一例として、レッドフィルタ層Rが設けられた画素(赤色画素)の構成を示すが、フィルタ層の色を除き、グリーンフィルタ層Gが設けられた画素(緑色画素)及びブルーフィルタ層Bが設けられた画素(青色画素)も、赤色画素と同様の構成を有する。
【0096】
図16図17に示すように、画素Pは、第3の実施形態と同様に、撮像面において水平方向に並ぶ単位画素PL及びPRを含む。画素Pは、更に、第3の実施形態と同様に、リセットトランジスタ22及び増幅トランジスタ23を含む。
【0097】
第3の実施形態とは異なり、単位画素PLは、撮像面において垂直方向に2つ、水平方向に3つ並ぶフォトダイオード11L、12L、13L、14L、15L及び16Lを含む。フォトダイオード11L~16Lは、入射した光から信号電荷を生成し、蓄積する。フォトダイオード11L~16Lの中央にフローティングディフュージョン111Lが設けられ、フォトダイオード11L~16Lの中央でフローティングディフュージョン111Lを平面視で取り囲むように転送トランジスタ21Lの転送ゲート21LGが設けられている。すなわち、転送ゲート21LGが平面視で口の字状に形成され、その内側にフローティングディフュージョン111Lが設けられている。転送トランジスタ21Lは、フォトダイオード11L~16Lに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン111Lに転送する。
【0098】
単位画素PRは、撮像面において垂直方向に2つ、水平方向に3つ並ぶフォトダイオード11R、12R、13R、14R、15R及び16Rを含む。フォトダイオード11R~16Rは、入射した光から信号電荷を生成し、蓄積する。フォトダイオード11R~16Rの中央にフローティングディフュージョン111Rが設けられ、フォトダイオード11R~16Rの中央でフローティングディフュージョン111Rを平面視で取り囲むように転送トランジスタ21Rの転送ゲート21RGが設けられている。すなわち、転送ゲート21RGが平面視で口の字状に形成され、その内側にフローティングディフュージョン111Rが設けられている。転送トランジスタ21Rは、フォトダイオード11R~16Rに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョン111Rに転送する。
【0099】
このように、第5の実施形態では、各画素Pにおいて、6つのフォトダイオード、1つの転送ゲート及び1つのフローティングディフュージョンを含む単位画素PL及びPRが水平方向に並ぶように配置されている。他の構成は第3の実施形態と同様である。
【0100】
このように構成された第5の実施形態によっても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、第3の実施形態では2つのフォトダイオードに1つのフローティングディフュージョンが設けられ、第4の実施形態では4つのフォトダイオードに1つのフローティングディフュージョンが設けられているのに対し、第5の実施形態では6つのフォトダイオードに1つのフローティングディフュージョンが設けられている。第3~第5の実施形態の間でフローティングディフュージョンのサイズが同一であれば、第5の実施形態において、フォトダイオード1個当たりのフローティングディフュージョンの面積が最も小さくなる。従って、第5の実施形態によれば、拡散容量をより一層低減することができる。
【0101】
このように、第5の実施形態によれば、寄生容量を更に低減し、ゲインの劣化を更に抑制することができ、また、画素品質を更に向上することができる。
【0102】
なお、これらの実施形態では、平面視で、転送ゲートがフローティングディフュージョンの全周を取り囲んでいるが、単位画素に含まれる全てのフォトダイオードからフローティングディフュージョンへの信号電荷を単一の転送ゲートで制御できれば、転送ゲートがフローティングディフュージョンの全周を取り囲む必要はない。例えば、転送ゲートの平面形状がUの字状であってもよい。
【0103】
また、これらの実施形態におけるフォトダイオードの配置及び形状は一例であり、本開示におけるフォトダイオードの形態は実施形態のものに限定されない。
【0104】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、第1~第5の実施形態のいずれかに係る固体撮像素子を備えた撮像システムの一例であるカメラシステムに関する。図18は、第6の実施形態に係るカメラシステムの構成を示す図である。
【0105】
第6の実施形態に係るカメラシステムは、固体撮像素子201、駆動回路202、信号処理回路203及びレンズ204を含む。例えば、固体撮像素子201に含まれる複数の画素Pは、各々の受光色が所定の一色に決められた色配列で配置されている。また、複数の画素Pの各々において、当該画素Pに含まれるフォトダイオードは、同一色の光を受光して信号電荷を生成し、これらフォトダイオードからフローティングディフュージョンに転送された信号電荷は加算されて電気信号として出力される。
【0106】
固体撮像素子201として、第1~第5の実施形態のいずれかに係る固体撮像素子が用いられる。レンズ204は、固体撮像素子201の画素部1にて入射光を撮像面に結像させる。駆動回路202は、固体撮像素子201内の回路を駆動するタイミングジェネレータ(駆動タイミング信号の生成)を有し、所定のタイミング信号で固体撮像素子201を駆動する。信号処理回路203は、固体撮像素子201の出力信号に対して所定の信号処理を施す。信号処理回路203により処理された画像信号は、アナログ出力であれば、アナログ・デジタル変換回路(analog front end:AFE)を通し、またデジタル出力であればデジタル信号処理(digital front end:DFE)を通し、メモリ等の記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタ等によってハードコピーされたり、信号処理部で画像信号に処理されて液晶ディスプレイ等のモニターに静止画又は動画として映し出されたりする。
【0107】
本実施形態に係るカメラシステムによれば、第1~第5の実施形態のいずれかに係る固体撮像素子が固体撮像素子201として用いられるため、ゲインが良好で優れた精度を得ることができる。
【0108】
なお、第1~第5の実施形態のいずれかに係る固体撮像素子は、多機能周辺装置(multifunction peripheral)等の画像読み取り部に用いられてもよい。
【0109】
また、いずれの実施形態においても、画素Pの色の種類及びその種類の数は限定されない。例えば、固体撮像素子により撮像される画像が白黒画像であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 画素部
2 画素制御部
3 読み出し処理部
4 出力部
11L~16L、11R~16R フォトダイオード
21L、21R 転送トランジスタ
21LG、21RG 転送ゲート
22 リセットトランジスタ
23 増幅トランジスタ
24 選択トランジスタ
103 配線
111L、111R フローティングディフュージョン
201 固体撮像素子
202 駆動回路
203 信号処理回路
204 レンズ
P 画素
PL、PR 単位画素
LTX、LRT、LSL 制御線
VOUT 信号線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【文献】特許第5644177号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18