(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】可動コイル型ボイスコイルモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
H02K33/18 B
(21)【出願番号】P 2018181510
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】栗山 義彦
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-074612(JP,A)
【文献】特開昭52-131109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/00-33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状のセンターヨークと、
前記センターヨークの外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数のポールピースと、
前記複数のポールピースの外周部、軸方向上端部及び下端部にそれぞれ円筒状に配置された複数の第1の永久磁石、複数の第2の永久磁石及び複数の第3の永久磁石と、
前記複数の第1の永久磁石の外周部に接続された円筒状のサイドヨークと、
前記複数の第2の永久磁石、及び前記サイドヨークを軸方向上端部で磁気的に結合するトップヨークと、
前記センターヨーク、前記複数の第3の永久磁石、及び前記サイドヨークを軸方向下端部で磁気的に結合するボトムヨークと、
前記空隙部に軸方向に移動可能に配置されたコイルとを有し、
前記第1の永久磁石、第2の永久磁石及び第3の永久磁石が前記ポールピースに対向する側の磁極が同じである可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記トップヨーク及び前記ボトムヨークに、それぞれコイル冷却のための空気取り込み口を少なくとも1カ所有するとともに、前記円筒状に配置された複数の第2の永久磁石の一部、及び複数の第3の永久磁石の一部が取り除かれ、前記空気取り込み口に接続し前記空隙部に開口する貫通孔が設けられたことを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項2】
請求項1に記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記センターヨークの外周面と、前記複数のポールピースの内周面とには、非磁性の導電リングが対向して固定されていることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記空気取り込み口及びそれに接続する前記貫通孔が、前記トップヨーク及び前記ボトムヨークに、それぞれ周方向に等間隔に3~4カ所設けられていることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記トップヨークに設けられた前記空気取り込み口の周方向位置と、前記ボトムヨークに設けた前記空気取り込み口の周方向位置とが異なることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記空気取り込み口及び貫通孔が熱伝導率の高い材料で構成され、前記空気取り込み口に接続し、前記トップヨーク上部及び/又は前記ボトムヨーク下部に露出するヒートシンク部材が設けられていることを特徴とする可動コイル型ボイスコイルモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小径で、冷却効率の改善された可動コイル型ボイスコイルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
加振機などに使用される大型の可動コイル型ボイスコイルモータ(以下、単に「ボイスコイルモータ」又は「VCM」とも言う。)は大電流を用いて制御され、その制御電流の大きさ及び制御周波数に比例して、VCMに使用されている磁気回路に発生する渦電流も大きくなる。大きな渦電流が発生することにより、制御性に影響を及ぼすだけでなく、渦電流による発熱により磁気回路が加熱され、磁気回路が性能低下を引き起こすため、磁気回路を冷却するための様々な冷却方法が検討されている。
【0003】
磁気回路で発生する渦電流により発生した熱やコイルで発生した熱(銅損)は、磁気回路にファンを設置し空冷によって除去する方法や、コイルの回りに冷却水を循環させて水冷によって除去する方法が一般的に行われている。
【0004】
空冷による方法では、風量及び風路を確保するため、コイルが配置される磁気空隙部の間隔を大きくするなど対策を行っているが、磁気空隙を大きくしてしまうと、磁気回路の性能が低下してしまう。従って、なるべく磁気空隙は小さくし、冷却空気の流速を大きくするため静圧性能の大きいファンを用いる等の対策が行われている。
【0005】
特開2014-74612号(特許文献1)は、永久磁石を用いた磁路部材と、前記磁路部材の空隙部に挿入された駆動コイルを有する可動部と、磁石及び駆動コイルを冷却するための冷却ブロアとを備えた永久磁石型の振動発生機を開示しており、磁石及び駆動コイルの温度に基づいて冷却ブロアの回転数を制御することにより、効率よく振動発生機の冷却が可能となり、規定の加振能力を維持することができると記載している。しかしながら、特許文献1に記載の振動発生機は、高磁場を発生するためには永久磁石の磁化方向長さを長くするか、磁力の強い磁石を使い、さらにヨークの厚みを厚くしなければならないことから、装置が必然的に大型化してしまうとともに、振動発生機の発熱がより大きくなり、十分な冷却ができなくなるといった問題がある。
【0006】
特開昭52-131109号(特許文献2)は、リング状ポールピースの両端にそれぞれ少なくとも1つの磁石、その外周部に他の磁石を配置し、そのリング状ポールピース内側にエアギャップを介して、センターポールを対向させ、そのセンターポールに上記各磁石に接合するヨークを接続してなるリニアアクチューエータ用磁気回路を開示している。このような磁気回路を採用することにより、より小径で高磁場を得ることが可能になる。しかしながら、引用文献2に記載の磁気回路は、コイルは磁気回路長さの中央部に位置させなければならないため、コイルの冷却が十分に行われず、磁気回路の温度上昇を引き起こし、性能が低下してしまうといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-74612号公報
【文献】特開昭52-131109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、小径化され、かつコイル部分の冷却効率を高めコイルの加熱による磁気回路の性能低下が防止された可動コイル型ボイスコイルモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、センターヨークの周りに空隙部を設けて配置された円筒状ポールピースと、前記ポールピースの外周部及び端部に接続された永久磁石と、これらの永久磁石とセンターヨークとを磁気的に結合するサイドヨーク、ボトムヨーク及びトップヨークとからなる可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、前記トップヨーク及びボトムヨークに、コイル冷却のための空気取り込み口を有するとともに、ポールピースの端部に接続された永久磁石の一部を取り除き、前記空気取り込み口に接続し前記空隙部に開口する貫通孔を設けることにより、可動コイル型ボイスコイルモータを小径化できるとともに、高い冷却効率を発揮できることを見出し、本発明に想到した。
【0010】
すなわち、本発明の可動コイル型ボイスコイルモータは、
円柱状のセンターヨークと、
前記センターヨークの外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数のポールピースと、
前記複数のポールピースの外周部、軸方向上端部及び下端部にそれぞれ円筒状に配置された複数の第1の永久磁石、複数の第2の永久磁石及び複数の第3の永久磁石と、
前記複数の第1の永久磁石の外周部に接続された円筒状のサイドヨークと、
前記複数の第2の永久磁石、及び前記サイドヨークを軸方向上端部で磁気的に結合するトップヨークと、
前記センターヨーク、前記複数の第3の永久磁石、及び前記サイドヨークを軸方向下端部で磁気的に結合するボトムヨークと、
前記空隙部に軸方向に移動可能に配置されたコイルとを有し、
前記第1の永久磁石、第2の永久磁石及び第3の永久磁石が前記ポールピースに対向する側の磁極が同じである可動コイル型ボイスコイルモータにおいて、
前記トップヨーク及び前記ボトムヨークに、それぞれコイル冷却のための空気取り込み口を少なくとも1カ所有するとともに、前記円筒状に配置された複数の第2の永久磁石の一部、及び複数の第3の永久磁石の一部が取り除かれ、前記空気取り込み口に接続し前記空隙部に開口する貫通孔が設けられたことを特徴とする。
【0011】
前記センターヨークの外周面と、前記複数のポールピースの内周面とには、非磁性の導電リングが対向して固定されているのが好ましい。
【0012】
前記空気取り込み口及びそれに接続する前記貫通孔は、前記トップヨーク及び前記ボトムヨークに、それぞれ周方向に等間隔に3~4カ所設けられているのが好ましい。
【0013】
前記トップヨークに設けられた前記空気取り込み口の周方向位置と、前記ボトムヨークに設けた前記空気取り込み口の周方向位置とは異なるのが好ましい。
【0014】
前記空気取り込み口及び貫通孔は熱伝導率の高い材料で構成され、前記空気取り込み口に接続し、前記トップヨーク上部及び/又は前記ボトムヨーク下部に露出するヒートシンク部材が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の可動コイル型ボイスコイルモータは、小径化されるとともに、コイルの冷却効率を十分に高め、磁気回路の性能低下を防止できるので、加振機などに使用される大型の可動コイル型ボイスコイルモータに匹敵する性能を発揮できる。
【0016】
引用文献1に記載の可動コイル型ボイスコイルモータでは、永久磁石の直上に銅リング(非磁性の導電リング)が配置されており、コイルの発熱がそのまま永久磁石に伝達するため、永久磁石が容易に加熱される構成となっており、そのため、永久磁石の温度上昇が大きく、それにより磁気特性が低下していた。しかしながら、本発明の可動コイル型ボイスコイルモータでは、冷却空気の風量を増加させるとともに、永久磁石の直上に配置されたポールピース(磁性体)を介して銅リングが配置されているため、永久磁石が加熱されにくい構成となっており、磁気特性の低下が防止される。
【0017】
さらに熱伝達率の高い材料で空気取り込み口を構成することにより、ポールピースの熱を磁気回路の外に逃がすことも可能となる。これにより永久磁石の急激な温度上昇を引き起こしにくくなるため、性能低下を少なく抑えることができる。
【0018】
さらに空気取り込み口の外側に放熱フィンなどを設置することにより、より温度上昇を抑えることができる。
【0019】
また、引用文献1に記載の可動コイル型ボイスコイルモータのように、銅リングが永久磁石の直上に配置される場合、銅リングを永久磁石に接着剤等による方法でしか固定することができず、銅リング固定部の信頼性を向上できずにいた。しかしながら、本発明の可動コイル型ボイスコイルモータでは、ポールピースの前面に銅リングを配置するため、溶接などの方法で固定することができ、銅リング固定部の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの一例を示す正面図である。
【
図4(a)】本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの他の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1] 可動コイル型ボイスコイルモータ
図1、
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)に本発明の可動コイル型ボイスコイルモータ1の一例を示す。
図1は正面図、
図2(a)は
図1のA-A断面図、
図2(b)は
図1のB-B断面図、
図2(c)は
図1のC-C断面図である。本発明の可動コイル型ボイスコイルモータ1は、
円柱状のセンターヨーク11と、
前記センターヨーク11の外周面11aに対向して空隙部20を設けて円筒状に配置された複数のポールピース30と、
前記複数のポールピース30の外周部、軸方向上端部及び下端部にそれぞれ円筒状に配置された複数の第1の永久磁石41、複数の第2の永久磁石42及び複数の第3の永久磁石43と、
前記複数の第1の永久磁石41の外周部に接続された円筒状のサイドヨーク12と、
前記複数の第2の永久磁石42、及び前記サイドヨーク12を軸方向上端部で磁気的に結合するトップヨーク13と、
前記センターヨーク11、前記複数の第3の永久磁石43、及び前記サイドヨーク12を軸方向下端部で磁気的に結合するボトムヨーク14と、
前記空隙部に軸方向に移動可能に配置されたコイル50とを有し、
前記第1の永久磁石41、第2の永久磁石42及び第3の永久磁石43が前記ポールピース30に対向する側の磁極が同じ(図ではN極)であり、
前記トップヨーク13及び前記ボトムヨーク14に、それぞれコイル冷却のための空気取り込み口61,62を少なくとも1カ所有するとともに、前記円筒状に配置された複数の第2の永久磁石42の一部、及び複数の第3の永久磁石43の一部が取り除かれ、前記空気取り込み口61,62に接続し前記空隙部20に開口する貫通孔71,72が設けられたことを特徴とする。
【0022】
第1の永久磁石41と、第2の永久磁石42と、トップヨーク13と、サイドヨーク12とで囲まれる部分は、非磁性のスペーサ91で充填されているのが好ましい。また、第1の永久磁石41と、第3の永久磁石43と、ボトムヨーク14と、サイドヨーク12とで囲まれる部分は、非磁性のスペーサ92で充填されているのが好ましい。なお、非磁性のスペーサ91,92が、前記トップヨーク13及び前記ボトムヨーク14に設けられた空気取り込み口61,62に接続する箇所には、貫通孔71a,72aが形成された非磁性のスペーサ91a,92aが配置され、それに隣接する内周側には貫通孔71b,72bが形成された非磁性のスペーサ91b,92bが配置されている。
【0023】
このように構成することにより、例えば、空気取り込み口61から可動コイル型ボイスコイルモータ1内に入った空気は、貫通孔71a及び貫通孔71bを通り空隙部20に噴出し、コイル50及び非磁性の導電リング81,82を冷却し、貫通孔72b及び貫通孔72aを通って空気取り込み口62から放出される。もちろん、空気の流れはこの逆であってもかまわない。可動コイル型ボイスコイルモータ1には、前記空気取り込み口61又は空気取り込み口62に冷却空気を供給するためのブロア(図示せず)を備えているのが好ましい。
【0024】
(1)基本構成
図3(a)は
図2(a)のD-D断面図を示す。本発明の可動コイル型ボイスコイルモータの基本構成は、円柱状のセンターヨーク11と、前記センターヨーク11の外周面に対向して空隙部を設けて円筒状に配置された複数のポールピース30と、前記複数のポールピース30の外周部に円筒状に配置された複数の第1の永久磁石41(主磁石)と、前記複数の第1の外周部に接続された円筒状のサイドヨーク12とを有し、さらに
図2(c)に示すように、前記複数の第1の永久磁石41に加えて、前記複数のポールピース30の軸方向上端部及び下端部にそれぞれ円筒状に配置された複数の第2の永久磁石42(補助磁石)及び複数の第3の永久磁石43(補助磁石)を有し、センターヨーク11と、サイドヨーク12と、複数の第1~第3の永久磁石とは、トップヨーク13及びボトムヨーク14によって磁気的に接続され磁気回路を形成する。
【0025】
第1の永久磁石41は、主磁石であり、例えばフェライト系焼結磁石からなり、円筒状に配置したときに全体としてラジアル異方性を有するように構成されており、例えばセンターヨーク11側のポールピース30に対向する側がN極でサイドヨーク12側がS極となるように着磁されている。第2の永久磁石41及び第3の永久磁石43は、補助磁石であり、例えばフェライト系焼結磁石からなり、ポールピース30に対向する側が、第1の永久磁石41のポールピース30に対向する側の磁極と同じ磁極となるように着磁されている。図ではポールピース30に対向する側がN極であり、トップヨーク13又はボトムヨーク14に対抗する側がS極である。
【0026】
ポールピース30は、整磁効果(磁場の均一性を高める)を発揮すると共に、複数の第1の永久磁石、複数の第2の永久磁石及び複数の第3の永久磁石を固定するためのベースとすることができる。ポールピース30の厚みは特に限定されないが、5 mm以上であるのが好ましい。ポールピース30には公知の磁性体(軟磁性体)を用いるのが好ましい、特に磁性を有する鋼材を用いるのが好ましい。
【0027】
センターヨーク11、サイドヨーク12、トップヨーク13及びボトムヨーク14は、軟鉄や鋼等の強磁性体で形成されているとともに、コイル50は、ポールピース30の内周面とそれに対向するセンターヨーク11の外周面との間の磁束と鎖交する向きに巻回されている。コイル50に交流電流を給電すると、ポールピース30の内周面とそれに対向するセンターヨーク11の外周面との間の磁界中でコイル50が上下に振動する。このコイル50に接続された可動台(図示せず)等に被試験体(図示せず)を配置することにより、被試験体の振動試験を行うことができる。
【0028】
前記センターヨーク11の外周面11aと、それに対向する前記複数のポールピース30の内周面とには、それぞれ非磁性の導電リング81,82が固定されているのが好ましい。これらの非磁性の導電リング81,82は、渦電流を低減する効果を発揮するものであり、必要に応じて設けられる。非磁性の導電リング81,82は、例えば銅板からなるのが好ましい。
【0029】
(2)空気取り込み口及び貫通孔
前述したように、本発明の可動コイル型ボイスコイルモータ1においては、トップヨーク13及びボトムヨーク14に開口して設けられた空気取り込み口61,62と、それに接続し空隙部20へ冷却空気を送り込むための貫通孔71,72とを、トップヨーク13側及びボトムヨーク14側にそれぞれ少なくとも1カ所有するため、コイル50及び非磁性の導電リング81,82を高い効率で冷却することができる。
【0030】
トップヨーク13に開口するように設けられた空気取り込み口61は、周方向に複数カ所設けられるのが好ましい。
図1、
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)に示す可動コイル型ボイスコイルモータは、
図1及び
図3(b)に示すように、トップヨーク13に設けられた空気取り込み口61が周方向90°ごとに4カ所設けられた構成を有するが、空気取り込み口61は3カ所以下であってもよいし、5カ所以上であっても良い。空気取り込み口61は、周方向に2~4カ所設けられているのが好ましく、3~4カ所設けられているのがより好ましい。周方向の間隔は等間隔(等角度)であるのが好ましい。またボトムヨーク14に開口するように設けられた空気取り込み口62も、
図3(c)に示すように、トップヨーク13に開口するように設けられた空気取り込み口61と同様にして構成されるのが好ましい。トップヨーク13の空気取り込み口61と、ボトムヨーク14の空気取り込み口62とは、周方向の数が同じであっても異なっていても良いが、同じ数で同じ間隔で設けるのが好ましい。
【0031】
トップヨーク13の空気取り込み口61と、ボトムヨーク14の空気取り込み口62とは、周方向の位置が一致するように設けても良いが、空隙部20に噴出した空気を軸方向だけでなく周方向にも流れるようにし、コイル50及び非磁性の導電リング81,82の冷却効率を高めるため、周方向の位置をずらして設けるのが好ましい。すなわち、トップヨーク13の空気取り込み口61と、ボトムヨーク14の空気取り込み口62との位相がずれるように設けるのが好ましい。例えば、
図1、
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)に示す例では、空気取り込み口61,62の周方向の数が4個(周方向90°ごと)なので、空気取り込み口61と空気取り込み口62とは45°ずれるように配置するのが好ましい。すなわち、空気取り込み口61.62がn個等間隔に配置されている場合、周方向に(360/n)°ごとに設けられているので、空気取り込み口61と空気取り込み口62とはその半分の(180/n)°ずれるように配置するのが好ましい。
【0032】
可動コイル型ボイスコイルモータ1は、空隙部20に冷却空気を送り込むため、空隙部20の底のボトムヨーク14に補助空気取り込み口63を設けてもよい。
【0033】
(3)ヒートシンク部材
空気取り込み口61及び貫通孔71が熱伝導率の高い高熱伝導性材料で構成され、空気取り込み口61及び貫通孔71に接続し、前記トップヨーク13上部に露出するヒートシンク部材100を設けてもよい。すなわち、例えば
図4(a)及び
図4(b)に示すように、貫通孔71を構成する非磁性のスペーサ91a,91bを高熱伝導性材料で構成するとともに、トップヨーク13に設けられた空気取り込み口61を高熱伝導性部材101で構成し、さらに高熱伝導性部材101に接続するヒートシンク部材100をトップヨーク13上部に配置するのが好ましい。同様に、貫通孔72を構成する非磁性のスペーサ92a,92bを高熱伝導性材料で構成するとともに、ボトムヨーク14に設けられた空気取り込み口62を高熱伝導性部材で構成し、その高熱伝導性部材に接続するヒートシンク部材をボトムヨーク14下部に露出するように配置してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・可動コイル型ボイスコイルモータ
11・・・センターヨーク
11a・・・外周面
12・・・サイドヨーク
13・・・トップヨーク
14・・・ボトムヨーク
20・・・空隙部
30・・・ポールピース
41・・・第1の永久磁石
42・・・第2の永久磁石
43・・・第3の永久磁石
50・・・コイル
61,62・・・空気取り込み口
63・・・補助空気取り込み口
71,72・・・貫通孔
71a,72a・・・貫通孔
71b,72b・・・貫通孔
81,82・・・非磁性の導電リング
91,92・・・非磁性のスペーサ
91a,92a・・・非磁性のスペーサ
91b,92b・・・非磁性のスペーサ
100・・・ヒートシンク部材
101・・・高熱伝導性部材