(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】脱塩装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20220802BHJP
B01D 65/06 20060101ALI20220802BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20220802BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20220802BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220802BHJP
B01D 61/36 20060101ALI20220802BHJP
B01D 61/42 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
C02F1/44 D
C02F1/44 C
C02F1/44 H
B01D65/06
B01D61/00 500
B01D61/02 500
B01D61/14 500
B01D61/36
B01D61/42
(21)【出願番号】P 2020153862
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】石井 一輝
(72)【発明者】
【氏名】早川 邦洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳一
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-187323(JP,A)
【文献】特開2005-046801(JP,A)
【文献】特開2005-028329(JP,A)
【文献】特開2003-181247(JP,A)
【文献】特開2016-185520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
5/00 - 5/14
B01D 61/00 - 71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩器を有する脱塩系列が並列に複数列設けられている脱塩装置の運転方法であって、
該脱塩器は、逆浸透膜装置、ナノろ過膜装置、正浸透膜装置、膜蒸留装置、電気透析装置、または電気脱イオン装置であり、
一部の脱塩系列に被処理水を通水して脱塩水を生産している間に他の脱塩系列
の脱塩器に希薄水タンクから希薄水を通水して
スケールを溶解させる洗浄を行い、
該脱塩器から流出する溶解スケールを含んだ洗浄排水を該希薄水タンクに返送する脱塩装置の運転方法において、
該希薄水の水質が所定値よりも高塩類濃度側となった場合、希薄水の一部を排出して前記被処理水に合流させると共に、新たな希薄水を補給する
脱塩装置の運転方法であって、
該希薄水は、該脱塩器のスケールを溶解させる、該所定値よりも低塩類濃度であることを特徴とする脱塩装置の運転方法。
【請求項2】
前記洗浄に用いる希薄水のpHを3.2以下とする、請求項1の脱塩装置の運転方法。
【請求項3】
希薄水として、脱塩装置の脱塩
水を用いる、請求項1又は2の脱塩装置の運転方法。
【請求項4】
希薄水にスケール防止剤を添加する、請求項1~3のいずれかの脱塩装置の運転方法。
【請求項5】
脱塩装置は逆浸透膜装置である、請求項1~4のいずれかの脱塩装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱塩装置の運転方法に係り、特に複数系列の脱塩ラインを有する脱塩装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜等の脱塩装置では、長期間の運転により炭酸カルシウム、シリカ、フッ化カルシウム等のスケールの析出や、有機物による膜閉塞が発生し、塩除去率の低下や透過水量の低下等の脱塩装置の性能低下をもたらす。スケール閉塞の場合、脱塩装置の性能低下を防ぐために原水中のイオン濃度を測定し、脱塩装置の濃縮水において飽和指数を超えないように運転する方法が採用される。ここで飽和指数とは、スケール生成に関与する各イオン種の濃度・イオン強度の積を溶解度積で割った値の対数値を一般的に指す。この飽和指数をゼロより超えないような範囲で脱塩装置を運転する。さらに飽和指数を超えるような場合においては、例えばスケール防止剤の添加によってスケールの生成を抑制し、脱塩装置を運転する。
【0003】
スケール防止剤の添加によっても抑制不可能であるような飽和指数を大きく超える水質である場合、従来ではスケールを除去するために酸洗浄やアルカリ洗浄の薬品洗浄が行われてきた。しかし一般的な洗浄では、装置を止め、洗浄液を調整してから洗浄し、洗浄液を回収した後に通水を開始するという過程であることから、洗浄コストが大きくなることが問題となる。そこで、長期間運転しても脱塩装置の性能が低下することなく、薬品洗浄を必要としない脱塩装置の運用が望まれていた。
【0004】
脱塩装置の運転方法の一つとして、フラッシング法が挙げられる。ここでフラッシングとは、濃縮水排出配管から給水を系外へ排出させる操作を指す。通常運転時より速い流速で通水することにより、膜面を閉塞の汚れを効果的に洗い流すことができる。フラッシングは、1~10回/日の頻度で、30~120秒/回で行うことが一般である。しかし、数分/回程度のフラッシングでは性能低下した脱塩装置を回復させることは不十分であり、結局洗浄を実施せざるをえないことが問題となる。またフラッシングを行う場合、濃縮水配管の開閉弁を開とすることから、フラッシングを行う間は、透過水の生産を行うことができず、脱塩装置の回収率は低下してしまう。
【0005】
その他の方法として、モジュールの被処理水の流れ方向を反転させる方法がある。この方法によると、原水スペーサーに蓄積した濁質を容易に剥がすことが可能となり、脱塩装置の安定性が向上する。しかし、流れを反転させるため必要なバルブ数は大幅に増えイニシャルコストが大幅に増加してしまうことが問題となる。また、バルブに故障が生じた場合、バルブの切り替えを行うことができず、装置の安定性が大きく損なわれてしまう。さらに流れ反転によるスケール物質に対する剥離効果については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-141846号公報
【文献】特開2004-261724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、複数系列の脱塩ラインを有した脱塩装置の運転方法において、脱塩装置の運転を停止することなく、低下した脱塩系列の脱塩性能を回復させることができ、しかも希薄水の使用量が少ない脱塩装置の運転方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の脱塩装置の運転方法は、脱塩器を有する脱塩系列が並列に複数列設けられている脱塩装置の運転方法であって、一部の脱塩系列に被処理水を通水して脱塩水を生産している間に他の脱塩系列に希薄水タンクから希薄水を通水して洗浄を行い、洗浄排水を該希薄水タンクに返送する脱塩装置の運転方法において、該希薄水の水質が所定値よりも高塩類濃度側となった場合、希薄水の一部を排出して前記被処理水に合流させると共に、新たな希薄水を補給することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、前記洗浄に用いる希薄水のpHを3.2以下とする。
【0010】
本発明の一態様では、希薄水として、脱塩装置の脱塩水もしくはスケール種の飽和指数がゼロ未満である未飽和溶液を用いる。
【0011】
本発明の一態様では、希薄水にスケール防止剤を添加する。
【0012】
本発明の一態様では、前記脱塩装置は、逆浸透膜装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の脱塩装置の運転方法では、被処理水を一部の脱塩系列に通水して脱塩水を生産し、この間、他の脱塩系列に希薄水を通水することにより、該脱塩系列の脱塩性能を回復させることができる。
【0014】
本発明では、フラックスの低下が進行する前に、希薄水で長時間洗浄することができる。また、スケールが溶解し、希薄水循環系において塩類濃度が上昇した場合に、希薄水の一部を排出し新たな希薄水を補給することにより、希薄水濃度を低濃度に保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る脱塩装置の運転方法を説明するフロー図である。
【
図2】実施の形態に係る脱塩装置の運転方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。実施の形態では、脱塩装置として逆浸透膜装置(RO装置)を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。逆浸透膜装置以外の脱塩装置としては、ナノろ過膜装置、正浸透膜装置、膜蒸留装置、電気透析装置、電気脱イオン装置などが例示される。
【0017】
図1,2は実施の形態に係る脱塩装置の運転方法に用いられる脱塩装置の構成を示すものである。なお、
図1は第1通水パターンの水の流れを太実線で示し、
図2は第2通水パターンの水の流れを太実線で示している。また、図中のPIは圧力センサ、FIは流量センサを示す。
【0018】
この脱塩装置は、第1、第2RO装置7,10を有する第1脱塩系列と、第3、第4RO装置37,40を有する第2脱塩系列とを有している。そして、一方の脱塩系列でRO処理を行っている間に他方の脱塩系列で希薄水による洗浄を行う。
【0019】
[第1通水パターン]
第1通水パターンでは、
図1の通り、第1脱塩系列で原水の脱塩処理を行い、第2脱塩系列では希薄水で各RO装置を洗浄する。
【0020】
<第1脱塩系列>
第1通水パターンの第1脱塩系列では、原水タンク1内の原水(被処理水)がポンプ2、配管3、バルブ4、配管5,6を介して第1RO装置7の濃縮水室に供給され、第1RO装置7からの濃縮水が配管8,9を介して各第2RO装置10の濃縮水室に供給される。各第2RO装置10の濃縮水は、配管11,12、バルブ13、配管14、バルブ15、配管16を介して濃縮水として取り出される。
【0021】
各第1RO装置7及び第2RO装置10の透過水は、配管18,19、バルブ20、配管21、バルブ21a、配管22を介して透過水として取り出される。
【0022】
<第2脱塩系列>
第1通水パターンの第2脱塩系列では、希薄水タンク31内の希薄水がポンプ32、配管33、バルブ34、配管35,36を介して複数の第3RO装置37の濃縮水室に供給され、該濃縮水室からの流出水が配管38,39を介して第4RO装置40の濃縮水室に供給される。各第4RO装置40の濃縮水室を通り抜けた水は、配管41,42、バルブ43、配管44,47、バルブ48、配管28bを介して希薄水タンク31に返送される。
【0023】
各第3RO装置37及び第4RO装置40の透過水は、配管50,51、バルブ52、配管53,56、バルブ57、配管58,25bを介して希薄水タンク31に返送される。
【0024】
この第1通水パターンの場合、上記の通りの水の流れとするために、バルブ4,13,15,20,21aを開、バルブ61,24,27を閉としている。また、バルブ34,43,48,52,57を開、バルブ45,54,65,68を閉としている。
【0025】
なお、希薄水タンク31内の希薄水のpHが3.2以下となるようにpH調整部31aから塩酸、硫酸等の酸を添加するか、又はスケール防止剤添加部31cからスケール防止剤を添加し、フッ化カルシウムスケール等の難溶性成分の飽和溶解度を高くすることが好ましい。
【0026】
希薄水としては、原水のRO処理水が好適であるが、これに限定されない。
【0027】
[第2通水パターン]
第2通水パターンでは、
図2の通り、第2脱塩系列で原水の脱塩処理を行い、第1脱塩系列では希薄水で各RO装置を洗浄する。
【0028】
<第1脱塩系列>
第2通水パターンの第1脱塩系列では、希薄水タンク31内の希薄水がポンプ32、配管63,62、バルブ61、配管60,5,6を介して複数の第1RO装置7の濃縮水室に供給され、濃縮水室を通り抜けた水が配管8,9を介して第2RO装置10の濃縮水室に供給される。各第2RO装置40の濃縮水室を通り抜けた水は、配管11,12、バルブ13、配管14,26、バルブ27、配管28a,28bを介して希薄水タンク31に返送される。
【0029】
各第1RO装置7及び第2RO装置10の透過水は、配管18,19、バルブ20、配管21,23、バルブ24、配管25a,25bを介して希薄水タンク31に返送される。
【0030】
<第2脱塩系列>
第2通水パターンの第2脱塩系列では、原水タンク1内の原水(被処理水)がポンプ2、配管3,67、バルブ68、配管35,36を介して第3RO装置37の濃縮水室に供給され、第3RO装置37からの濃縮水が配管38,39を介して各第4RO装置40の濃縮水室に供給される。各第4RO装置40の濃縮水は、配管41,42、バルブ43、配管44、バルブ45、配管46を介して濃縮水として取り出される。
【0031】
各第3RO装置37及び第4RO装置40の透過水は、配管50,51、バルブ52、配管53、バルブ54、配管55を介して透過水として取り出される。
【0032】
第2通水パターンの場合、上記の通りの水の流れとするために、バルブ4,15,21a,65を閉、バルブ13,20,24,27、61を開としている。また、バルブ34,48,57を閉、バルブ43、45,52,54,68を開としている。
【0033】
[希薄水の水質を確保する場合の通水パターン]
希薄水の循環通水時には、基本的に通水圧力をあまり高くせず、また、処理水及び濃縮水とも全量を希薄水タンク31へ返送するため、希薄水が濃縮されることはなく、希薄な濃度を保った状態で循環通水される。
【0034】
ただし、
図1,2のいずれにおいても、希薄水でRO装置を洗浄した場合の洗浄排水は、希薄水タンク31に返送されているので、希薄水タンク31内の希薄水の溶質濃度が次第に高くなってくる。そこで、水質監視計31bで検出される水質検出値が所定値を超えたときには、バルブ65を開とし、ポンプ32から送水された希薄水の少なくとも一部を配管63,64、バルブ65、配管66を介して原水タンク1に排出する。希薄水タンク31には、ボールタップ等を利用して、排出水量に見合う量の新規の希薄水を補給ライン30から導入する。水質監視計31bとしては、電気伝導率計、比色分析、イオン電極などが好適である。
【0035】
この脱塩装置の運転方法においては、一方の脱塩系列で透過水を生産する運転を継続しながら、他方の脱塩系列に低濃度に保たれた希薄水を通水する運転を行うことで、脱塩系列のフラックスを回復させ、脱塩装置を停止することなく、回収率の低下を防ぐことが可能となる。また、洗浄に用いた希薄水の全量を希薄水タンク31に返送するので、希薄水の消費量も少ない。
【0036】
[通常運転から回復運転への切り替えタイミング]
本発明では、所定時間通常運転を行ったときに回復運転に切り替えることも可能であるが、第2脱塩装置にスケールが生成してきたタイミングで切り替えるようにすることが好ましい。脱塩装置として逆浸透膜を用いた
図1の場合を例示すると、第2RO装置15の透過フラックスが運転初期から設定比率だけ低下した場合、例えば5%低下した場合に、切り替える。なお、この5%は一例であり、1~20%特に1~10%の間から選択された値であればよい。特に、第2RO装置において最も濃縮のかかる末端ROの透過フラックスの変化を測定することが好ましい。
【0037】
実際の透過フラックスは、運転圧力、水温、給水中の塩類濃度の影響を受けるため、RО装置の性能を示すデータとして補正透過フラックスで規定することが望ましい。
【0038】
ここで、補正透過フラックスはJIS K 3805:1990に示されるような逆浸透膜エレメント及びモジュール透過水量性能データの標準化方法に記載の方法で算出することが一般的である。
【0039】
すなわち、透過水量性能データは以下の式(1)によって補正することで、補正透過フラックスFpsとして算出する。
【0040】
【0041】
ここで、Qpa:実運転条件での透過水量(m3/d)
Pfa:実運転条件での操作圧力(kPa)
Pfba:実運転条件でのモジュール差圧(kPa)
Ppa:実運転条件での透過水側の圧力(kPa)
Πfba:実運転条件での供給側、濃縮側の平均溶質濃度の浸透圧(kPa)
TCFa:実運転条件での温度換算係数
Pfs:標準運転条件での操作圧力(kPa)
ΔPfbs:標準運転条件でのモジュール差圧(kPa)
Pps:標準運転条件での透過水側の圧力(kPa)
Πfbs:標準運転条件での供給側、濃縮側の平均溶質濃度の浸透圧(kPa)
TCFs:標準運転条件での温度換算係数
【0042】
[希薄水の通水方向]
図1のように希薄水は、第2RO装置の給水側から通水するのが好ましいが、希薄水として、水質の良好なものを用いるときには、濃縮水出口側から通水しても構わない。
【0043】
上記実施の形態では、RO装置が2段に設置されているが、1段又は3段以上に設置されてもよい。また、上記実施の形態では、脱塩系列が2列に設けられているが、3列以上に設けられてもよい。
【実施例】
【0044】
<試験目的>
フッ化カルシウム微粒子分散液よりなる模擬原水を調製し、純水と交互にテスト用RO装置に通水してフラックス回復特性を測定する。
【0045】
<試験方法>
膜面の大きさが95mm×146mmである長方形状のRO膜を備えた、
図3の平膜型RO装置に、下記の模擬原水と模擬希薄水(試験例1以外ではスケール防止剤添加模擬希薄水)とを次の3工程の順序で通水した。
【0046】
<通水順序>
第1模擬原水通水工程:模擬原水を初期フラックス0.45m/D、通水流速0.1m/sとなるように通水し、透過水量一定で通水試験を行った。(したがって、補正透過フラックスは経時的に徐々に低下する。)給水圧は一定とする。(従って、フラックスは経時的に徐々に低下する。)
【0047】
希薄水通水工程:補正透過フラックスが初期値から10~15%低下した後に、希薄水を通水流速0.1m/sにて45分間、通水する。
【0048】
第2模擬原水通水工程:模擬原水を第1模擬原水通水工程と同一の給水圧、透過水量にて通水する。
【0049】
<模擬原水>
塩化カルシウム2水和物と炭酸水素ナトリウムとをCa濃度650mg/L,F濃度70mg/Lとなるように純水に溶解させて調製した。
【0050】
pH:5.5
水温:22~23℃
【0051】
<模擬希薄水>
上記模擬原水と同様にして調製した、表1に示すCa及びNa濃度並びにpHのものを用いた。
【0052】
<スケール防止剤添加模擬希薄水>
上記模擬希薄水に、スケール防止剤として2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸を表1に示す濃度となるように添加したものを用いた。
【0053】
[結果]
第1模擬原水通水工程終了直前における補正透過フラックスFと初期補正透過フラックスF0との比F/F0を「希薄水通水前Flux比」として表1に示す。
【0054】
第2模擬原水通水工程開始直後における補正透過フラックスF’と初期補正透過フラックスF0との比F’/F0を「希薄水通水後Flux比」として表1に示す。
【0055】
[希薄水通水後Flux比]/[希薄水通水前Flux比]の値を「回復比」として表1に示す。
【0056】
【0057】
[考察]
(1) 表1の通り、希薄水通水工程を行うことにより、フラックスが回復(増大)する。
(2) 試験例2,3の対比より、希薄水の水質が希薄であるほど高い回復率が得られることが認められる。
(3) 試験例1の通り、十分に希薄な希薄水であればスケール防止剤が無添加でも高い回復比が得られる。
【符号の説明】
【0059】
1 原水タンク
7,10,37,40 第2RO装置
31 希薄水タンク