(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】SMCの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 11/16 20060101AFI20220802BHJP
B65H 54/02 20060101ALI20220802BHJP
B65H 54/28 20060101ALI20220802BHJP
B65H 55/04 20060101ALI20220802BHJP
B29K 105/12 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
B29B11/16
B65H54/02 C
B65H54/28 Z
B65H55/04
B29K105:12
(21)【出願番号】P 2021573105
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2021001014
(87)【国際公開番号】W WO2021149578
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/001851
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020047205
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 由貴廣
(72)【発明者】
【氏名】金羽木 惇二
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 康
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 禎雄
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/151076(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/221655(WO,A1)
【文献】特開2017-177522(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006989(WO,A1)
【文献】特開平7-257818(JP,A)
【文献】特開平9-012220(JP,A)
【文献】国際公開第2017/111056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16,15/08-15/14
C08J 5/04-5/10,5/24
B29C 70/00-70/88
B65H 54/02,54/28,55/00-55/04,57/00-57/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)予めn本のサブ束に部分的スプリットされたフィラメント数NKの連続炭素繊維束をパッケージから引き出す工程と、
(ii)前記パッケージから引き出した前記連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、
(iii)前記ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に前記チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程とを有し、
前記パッケージでは、隣り合う前記サブ束の間に重なり合いが生じるように、前記連続炭素繊維束が巻かれており、
前記キャリアフィルム上に堆積する前の前記チョップド炭素繊維束の少なくとも一部を回転体に接触させて断片化する断片化処理が行われる、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
【請求項2】
前記パッケージに巻かれた前記連続炭素繊維束では、総幅が前記サブ束の幅の総和よりも小さい、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
(i)予めn本のサブ束に部分的スプリットされたフィラメント数NKの連続炭素繊維束をパッケージから引き出す工程と、
(ii)前記パッケージから引き出した前記連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、
(iii)前記ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に前記チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程とを有し、
前記パッケージに巻かれた前記連続炭素繊維束では、総幅が前記サブ束の幅の総和よりも小さく、
前記キャリアフィルム上に堆積する前の前記チョップド炭素繊維束の少なくとも一部を回転体に接触させて断片化する断片化処理が行われる、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
【請求項4】
前記連続炭素繊維束のフィラメント数NKが12K以上である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記回転体が、前記ロータリーカッターの回転軸方向と平行な回転軸を有するピンローラーである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記断片化処理では、それぞれが前記ロータリーカッターの回転軸方向と平行な回転軸を有する第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、前記第一ピンローラーの最大半径と前記第二ピンローラーの最大半径の和が前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きい断片化処理装置が用いられる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記回転体が、一対の円盤を複数のワイヤまたはロッドでつないだ構造を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量が99重量%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記断片化処理により、前記炭素繊維マットの単位重量に含まれる、フィラメント数が{(N/n)+0.5}Kより大きいチョップド炭素繊維束の個数が減少する、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記パッケージがスクエアエンド型パッケージである、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記パッケージにおけるワインド比が整数ではない、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記パッケージにおけるワインド比の小数点以下の端数が1/2、1/3、1/4および1/5のいずれの倍数でもない、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記パッケージにおける巻き始めの綾角が5~30°であり、巻き終わりの綾角が2~17°である、請求項10~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記炭素繊維マットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させるために、前記炭素繊維マットを前記熱硬化性樹脂組成物と共に加圧する、請求項1~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記熱硬化性樹脂組成物の少なくとも一部が、前記(iii)の工程の前に前記キャリアフィルムの上面に塗布される、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
連続炭素繊維束がボビンにトラバース巻きされてなる繊維パッケージ
を用いるシートモールディングコンパウンド製造方法であって、
前記連続炭素繊維束は部分的にサブ束にスプリットされており、
前記繊維パッケージでは、前記連続炭素繊維束の幅が前記サブ束の幅の総和よりも小さい
、製造方法。
【請求項17】
連続炭素繊維束がボビンにトラバース巻きされてなる繊維パッケージ
を用いるシートモールディングコンパウンド製造方法であって、
前記連続炭素繊維束は部分的にサブ束にスプリットされているとともに、
前記繊維パッケージでは前記サブ束同士の重なり合いが生じるように
前記連続炭素繊維束が前記ボビンに巻かれている
、製造方法。
【請求項18】
前記繊維パッケージでは、前記連続炭素繊維束の幅が、前記サブ束の幅の総和の90%以下である、請求項16または17に記載の
製造方法。
【請求項19】
前記連続炭素繊維束が部分的に3以上の前記サブ束にスプリットされている、請求項16~18のいずれか一項に記載の
製造方法。
【請求項20】
前記サブ束のフィラメント数が5K以下である、請求項16~19のいずれか一項に記載の
製造方法。
【請求項21】
前記連続炭素繊維束の総フィラメント数が12K以上である、請求項16~20のいずれか一項に記載の
製造方法。
【請求項22】
前記繊維パッケージがスクエアエンド型パッケージである、請求項16~21のいずれか一項に記載の
製造方法。
【請求項23】
前記繊維パッケージではワインド比が整数ではない、請求項22に記載の
製造方法。
【請求項24】
前記繊維パッケージではワインド比の小数点以下の端数が1/2、1/3、1/4および1/5のいずれの倍数でもない、請求項23に記載の
製造方法。
【請求項25】
前記繊維パッケージでは、巻き始めの綾角が5~30°であり、巻き終わりの綾角が2~17°である、請求項22~24のいずれか一項に記載の
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SMC(シートモールディングコンパウンド)の製造方法、とりわけ、炭素繊維(CF)を用いたSMCであるCF-SMCの製造方法に関する。
本願は、2020年1月21日に国際出願されたPCT/JP2020/001851、および2020年3月18日に日本に出願された特願2020-047205号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭素繊維と樹脂とからなる複合材料であるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が、航空機、自動車、船舶その他各種の輸送機器の部品、スポーツ用品、レジャー用品などに幅広く使用されている。
ある種のCFRP製品は、CF-SMCから圧縮成形法により成形される。
CF-SMCは炭素繊維プリプレグの一種であり、チョップド炭素繊維束(「chopped carbon fiber bundle」であり、「chopped carbon fiber tow」、「chopped carbon fiber strand」などともいう。)からなるマットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させた構造を有する。
CFRPは、フィラメント数の少ない炭素繊維束で補強されたものほど高強度である一方、炭素繊維束はフィラメント数の少ないもの(トウサイズの小さいもの)ほど製造コストが高い(特許文献1)。
連続炭素繊維束のチョッピングから炭素繊維マットの樹脂含浸まで連続で行うSMCの製造方法に、更に、クリールから巻き出される連続炭素繊維束をチョッピング前に部分的にスプリットする工程を加えることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2012/0213997号明細書
【文献】国際公開第2017/221655号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レギュラートウまたはラージトウに分類されるフィラメント数が多い連続炭素繊維束を、部分的にスプリットして用いる技術を用いることで、高強度のCFRP成形品を与え得るSMCを低コストで製造することができると考えられる。
連続炭素繊維束を部分的にスプリットする工程では様々な調整が必要であることから、SMCの製造では、この工程とその後の工程とを分けた方が、総合的な製造効率は高くなる可能性がある。
本発明は、かかる発想に基づいて本発明者等が行った検討の過程でなされたものであり、連続炭素繊維束を部分的にスプリットして用いるCF-SMCの製造方法を含むCF-SMC製造技術における有用な改良を提供することを主たる目的とする。
本明細書中には、本発明の各実施形態により解決され得る課題が明示的または黙示的に開示されている場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、シートモールディングコンパウンドの製造方法に関する。
本発明の好ましい実施形態に係るシートモールディングコンパウンドの製造方法には以下が含まれるが、限定するものではない。
[a1](i)予めn本のサブ束に部分的スプリットされたフィラメント数NKの連続炭素繊維束をパッケージから引き出す工程と、(ii)前記パッケージから引き出した前記連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、(iii)前記ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に前記チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程とを有し、前記キャリアフィルム上に堆積する前の前記チョップド炭素繊維束の少なくとも一部を回転体に接触させて断片化する断片化処理が行われる、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
[a2]前記パッケージでは、前記サブ束間に隙間があかないように前記連続炭素繊維束が巻かれている、[a1]に記載の製造方法。
[a3]前記パッケージでは、隣り合う前記サブ束の間に重なり合いが生じるように、前記連続炭素繊維束が巻かれている、[a1]または[a2]に記載の製造方法。
[a4]前記パッケージに巻かれた前記連続炭素繊維束では、総幅が前記サブ束の幅の総和よりも小さい、[a1]~[a3]のいずれかに記載の製造方法。
[a5]前記連続炭素繊維束のフィラメント数NKが12K以上である、[a1]~[a4]のいずれかに記載の製造方法。
[a6]前記回転体が、前記ロータリーカッターの回転軸方向と平行な回転軸を有するピンローラーである、[a1]~[a5]のいずれかに記載の製造方法。
[a7]前記断片化処理では、それぞれが前記ロータリーカッターの回転軸方向と平行な回転軸を有する第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、前記第一ピンローラーの最大半径と前記第二ピンローラーの最大半径の和が前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きい断片化処理装置が用いられる、[a1]~[a6]のいずれかに記載の製造方法。
[a8]前記炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量が99重量%以上である、[a1]~[a7]のいずれかに記載の製造方法。
[a9]前記断片化処理により、前記炭素繊維マットの単位重量に含まれる、フィラメント数が{(N/n)+0.5}Kより大きいチョップド炭素繊維束の個数が減少する、[a1]~[a8]のいずれかに記載の製造方法。
[a10]前記パッケージがスクエアエンド型パッケージである、[a1]~[a9]のいずれかに記載の製造方法。
[a11]前記パッケージにおけるワインド比が整数ではない、[a10]に記載の製造方法。
[a12]前記パッケージにおけるワインド比の小数点以下の端数が1/2、1/3、1/4および1/5のいずれの倍数でもない、[a10]または[a11]に記載の製造方法。
[a13]前記パッケージにおける巻き始めの綾角が5~30°であり、巻き終わりの綾角が2~17°である、[a10]~[a12]のいずれかに記載の製造方法。
[a14]前記炭素繊維マットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させるために、前記炭素繊維マットを前記熱硬化性樹脂組成物と共に加圧する、[a1]~[a13]のいずれかに記載の製造方法。
[a15]前記熱硬化性樹脂組成物の少なくとも一部が、前記(iii)の工程の前に前記キャリアフィルムの上面に塗布される、[a14]に記載の製造方法。
【0006】
本発明の他の一態様は、炭素繊維パッケージに関する。
本発明の好ましい実施形態に係る炭素繊維パッケージには以下が含まれるが、限定するものではない。
[b1]連続炭素繊維束がボビンにトラバース巻きされてなる繊維パッケージであって、前記連続炭素繊維束は部分的にサブ束にスプリットされており、前記連続炭素繊維束の幅が前記サブ束の幅の総和よりも小さいことを特徴とする炭素繊維パッケージ。
[b2]連続炭素繊維束がボビンにトラバース巻きされてなる繊維パッケージであって、前記連続炭素繊維束は部分的にサブ束にスプリットされているとともに、前記サブ束同士の重なり合いが生じるように前記ボビンに巻かれていることを特徴とする炭素繊維パッケージ。
[b3]前記連続炭素繊維束の幅が、前記サブ束の幅の総和の90%以下である、[b1]または[b2]に記載の炭素繊維パッケージ。
[b4]前記連続炭素繊維束が部分的に3以上の前記サブ束にスプリットされている、[b1]~[b3]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ。
[b5]前記サブ束のフィラメント数が5K以下である、[b1]~[b4]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ。
[b6]前記連続炭素繊維束の総フィラメント数が12K以上である、[b1]~[b5]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ。
[b7]スクエアエンド型パッケージである、[b1]~[b6]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ。
[b8]ワインド比が整数ではない、[b7]に記載の炭素繊維パッケージ。
[b9]ワインド比の小数点以下の端数が1/2、1/3、1/4および1/5のいずれの倍数でもない、[b8]に記載の炭素繊維パッケージ。
[b10]巻き始めの綾角が5~30°であり、巻き終わりの綾角が2~17°である、[b7]~[b9]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ。
【0007】
下記[b11]および[b12]もまた、本発明の実施形態に包含される。
[b11][b1]~[b10]のいずれかに記載された炭素繊維パッケージを用いるシートモールディングコンパウンド製造方法。
[b12]シートモールディングコンパウンドの製造における、[b1]~[b10]のいずれかに記載された炭素繊維パッケージの使用。
【0008】
本発明の更に他の一態様は、炭素繊維パッケージの製造方法に関する。
本発明の好ましい実施形態に係る炭素繊維パッケージ製造方法には以下が含まれるが、限定するものではない。
[c1]連続炭素繊維束がボビンにトラバース巻きされてなる繊維パッケージを製造する方法であって、連続炭素繊維束を部分的にサブ束にスプリットするスプリット工程と、部分的に前記サブ束にスプリットされた前記連続炭素繊維束を前記ボビンに巻き取るワインド工程とを含み、前記ワインド工程では前記連続炭素繊維束の幅が前記サブ束の幅の総和より小さくなるように前記連続炭素繊維束を前記ボビンに巻き取ることを特徴とする炭素繊維パッケージ製造方法。
[c2]連続炭素繊維束がボビンにトラバース巻きされてなる繊維パッケージを製造する方法であって、連続炭素繊維束を部分的に前記サブ束にスプリットするスプリット工程と、部分的に前記サブ束にスプリットされた前記連続炭素繊維束を前記ボビンに巻き取るワインド工程とを含み、ワインド工程では前記サブ束同士の重なり合いが生じるように前記連続炭素繊維束を前記ボビンに巻き取ることを特徴とする炭素繊維パッケージ製造方法。
[c3]前記ワインド工程では、連続炭素繊維束の幅が、前記サブ束の幅の総和の90%以下となるように前記連続炭素繊維束を前記ボビンに巻き取る、[c1]または[c2]に記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c4]前記スプリット工程において、前記連続炭素繊維束を部分的に3以上のサブ束にスプリットする、[c1]~[c3]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c5]前記サブ束のフィラメント数が5K以下である、[c1]~[c4]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c6]前記連続炭素繊維束の総フィラメント数が12K以上である、[c1]~[c5]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c7]前記繊維パッケージがスクエアエンド型パッケージである、[c1]~[c6]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c8]前記ワインド工程においてワインド比を整数としない、[c7]に記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c9]前記ワインド工程においてワインド比の小数点以下の端数を1/2、1/3、1/4および1/5のいずれの倍数にもしない、[c8]に記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
[c10]前記ワインド工程において、巻き始めの綾角が5~30°であり、巻き終わりの綾角が2~17°である、[c7]~[c9]のいずれかに記載の炭素繊維パッケージ製造方法。
【0009】
本発明の実施形態には、更に、下記のシートモールディングコンパウンド製造方法が含まれる。
[d1](i)連続炭素繊維束をパッケージから引き出す工程と、(ii)前記パッケージから引き出した前記連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程と、(iii)前記ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上に前記チョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程とを有し、前記キャリアフィルム上に堆積する前の前記チョップド炭素繊維束の少なくとも一部を回転体に接触させて断片化する断片化処理が断片化処理装置を用いて行われ、前記断片化処理装置はそれぞれがロータリーカッターの回転軸方向と平行な回転軸を有する第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、前記第一ピンローラーの最大半径と前記第二ピンローラーの最大半径の和が前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きい、シートモールディングコンパウンドの製造方法。
[d2]前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転方向が逆である、[d1]に記載の製造方法。
[d3]前記第一ピンローラーは、前記第二ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転する、[d2]に記載の製造方法。
[d4]前記第一ピンローラーは、前記第二ピンローラーに面する側でピンが下から上に向かって動くように回転する、[d2]に記載の製造方法。
[d5]前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転方向が同じである、[d1]に記載の製造方法。
[d6]前記炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量が99重量%以上である、[d1]~[d5]のいずれかに記載の製造方法。
【0010】
下記[d7]~[d11]もまた、本発明の実施形態に包含される。
[d7]断片化処理装置の使用であって、前記断片化処理装置は互いに平行な一組の回転軸を有し各々が回転駆動される第一ピンローラーと第二ピンローラーを備え、前記第一ピンローラーの最大半径と前記第二ピンローラーの最大半径の和が前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転軸間距離よりも大きく、かつ、前記断片化処理装置がチョップド炭素繊維束の断片化処理に用いられることを特徴とする、使用。
[d8]前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転方向が逆である、[d7]に記載の使用。
[d9]前記第一ピンローラーは、前記第二ピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転する、[d8]に記載の使用。
[d10]前記第一ピンローラーは、前記第二ピンローラーに面する側でピンが下から上に向かって動くように回転する、[d8]に記載の使用。
[d11]前記第一ピンローラーと前記第二ピンローラーの回転方向が同じである、[d7]に記載の使用。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連続炭素繊維束を部分的にスプリットして用いるCF-SMCの製造方法を含むCF-SMC製造技術における有用な改良が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、繊維パッケージ製造装置の模式図である。
【
図2A】
図2Aは、部分的に5本にスプリットされた直後の連続炭素繊維束を示す模式図であり、厚さ方向から見た平面図である。
【
図2B】
図2Bは、部分的に5本にスプリットされた直後の連続炭素繊維束を示す模式図であり、繊維方向に垂直な断面を示す断面図である。
【
図3】部分的に5本にスプリットされた後、ボビンに巻き取られた連続炭素繊維束の、繊維方向に垂直な断面を示す模式図である。
【
図5】
図5は、ロータリーカッターの模式図である。
【
図7】
図7は、断片化処理装置が備えるピンロールの模式図である。
【
図8】
図8は、平面展開したピンロールの周面の一部を示す。
【
図9】
図9は、断片化処理装置が備える2つのピンロールの位置関係等を示す模式図である。
【
図10】
図10は、炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を示すヒストグラムである。
【
図11】
図11は、炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を示すヒストグラムである。
【
図12】
図12は、炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を示すヒストグラムである。
【
図13】
図13は、炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を示すヒストグラムである。
【
図14】
図14は、炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を示すヒストグラムである。
【
図15】
図15は、部分的に5本にスプリットされた直後の連続炭素繊維束を示す平面図である。
【
図16】
図16は、繊維束がボビン上にトラバース巻きされてなるスクエアエンド型の繊維パッケージを、ボビンの回転軸に垂直な方向から見た模式図である。
【
図17】
図17は、断片化処理装置の回転体の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.SMCの製造方法
SMCは、チョップド炭素繊維束からなる炭素繊維マットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させることにより得られる、シート状の炭素繊維プリプレグである。
本発明の一実施形態は、次の(i)~(iii)の工程を有するSMC製造方法である。
(i)予めn本のサブ束に部分的スプリットされたフィラメント数NKの連続炭素繊維束をパッケージから引き出す工程。
(ii)パッケージから引き出した連続炭素繊維束をロータリーカッターでチョップしてチョップド炭素繊維束にする工程。
(iii)ロータリーカッターの下方を走行するキャリアフィルム上にチョップド炭素繊維束を堆積させて炭素繊維マットを形成する工程。
本実施形態のSMC製造方法では、更に、キャリアフィルム上に堆積する前のチョップド炭素繊維束の少なくとも一部を回転体に接触させて断片化する断片化処理が行われる。
上記(i)~(iii)の工程を経て形成される炭素繊維マットを熱硬化性樹脂組成物で含浸させる技法、および、含浸後に必要に応じて熱硬化性樹脂組成物を増粘させる技法については、従来技術を適宜参照することができる。
【0014】
1.1.連続炭素繊維束
本実施形態のSMC製造方法では、予め準備された連続炭素繊維束のパッケージが使用される。その連続炭素繊維束は、フィラメント数がNKで、n本のサブ束に部分的にスプリットされている。
NKとはN×1000を意味する。例えば、3000本の単繊維からなる炭素繊維束のフィラメント数は3Kであり、12000本の単繊維からなる炭素繊維束のフィラメント数は12Kである。
Nは通常12以上、好ましくは15以上であり、限定するものではないが、例えば、18、24、36、48、50であり得る。
【0015】
連続炭素繊維束がn本のサブ束に部分的にスプリットされているとは、換言すれば、連続炭素繊維束が一部でn分割されているということである。n分割することにより形成されたn本の繊維束のひとつひとつをサブ束という。部分的にn本のサブ束にスプリットされた連続炭素繊維束では、n本のサブ束が互いにつながっている。
部分的スプリットされた連続炭素繊維束のパッケージは、限定するものではないが、
図1に概念図を示す繊維パッケージ製造装置を用いて製造され得る。
【0016】
図1を参照すると、繊維パッケージ製造装置100は、スプレッドセクション110、スプリットセクション120、および巻き取りセクション130を備えている。
出発材料であるフィラメント数NKの連続炭素繊維束10は、供給ボビンB1から引き出される。
供給ボビンB1から引き出されたスプリット前の連続炭素繊維束10は、まず、スプレッドセクション110においてスプレッドされる。
スプレッドセクション110に設けられるスプレッダーバー111は加熱してもよいし、連続炭素繊維束10の幅方向に往復動させてもよく、そのための機構は公知技術を参照することができる。
連続炭素繊維束10は元々扁平な形をしているところ、スプレッダーバー111に擦り付けられることで、その幅は更に広がり、その厚さは更に減少する。スプレッドセクション110を通過した後の連続炭素繊維束10の厚さは、限定するものではないが、典型的には0.05~0.2mmであり得る。
供給ボビンB1から供給される段階で連続炭素繊維束10が十分に扁平なとき、スプレッドセクション110は省略され得る。例えば、束幅が平均厚さの50倍以上である炭素繊維束は、十分に扁平といってよい。
【0017】
次に、連続炭素繊維束10はスプリットセクション120に送られ、そこで部分的スプリットされる。
スプリットセクション120には、連続炭素繊維束10にスリットを形成するための回転刃121と、連続炭素繊維束10の走行速度を制御するための複数のゴデットロール123が設けられる。
回転刃121の回転軸は、繊維方向に走行する連続炭素繊維束10の、幅方向に平行である。一定長さのスリットが連続炭素繊維束10の繊維方向に沿って一定周期で間欠的に形成されるように、回転刃121の外周には複数の刃部122が周方向に一定間隔を置いて設けられている。スリット長とスリット間のギャップ長は、連続炭素繊維束10の走行速度、回転刃121の周速度、刃部122間の間隔を調節することによって制御できる。
【0018】
幅方向に並べられた(n-1)個の回転刃121によって、繊維方向に沿って間欠的にスリットが形成されることにより、連続炭素繊維束10は部分的にn分割される。
数nは、限定するものではないが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、10以上であってもよい。
一例として、幅方向に並べられた4個の回転刃121によって繊維方向に延びるスリットが間欠的に形成された直後の連続炭素繊維束10を、
図2Aおよび
図2Bに示す。
便宜のために、連続炭素繊維束10の繊維方向(長手方向)をx方向、幅方向をy方向、厚さ方向をz方向とすると、
図2Aは連続炭素繊維束10をz方向から見た平面図であり、
図2Bは連続炭素繊維束10のx方向に垂直な断面(yz平面で切断したときの断面)を示している。
【0019】
図2Aに示すように、連続炭素繊維束10には、第一スリット列A
S1、第二スリット列A
S2、第三スリット列A
S3および第四スリット列A
S4の、4つのスリット列が形成されている。
第一スリット列A
S1は、x方向に並んだ複数の第一スリットS1からなる。
第二スリット列A
S2は、x方向に並んだ複数の第二スリットS2からなる。
第三スリット列A
S3は、x方向に並んだ複数の第三スリットS3からなる。
第四スリット列A
S4は、x方向に並んだ複数の第四スリットS4からなる。
これら4つのスリット列は、異なる回転刃で形成されることから、y方向の位置が異なっている。
【0020】
スリット長L
Sとスリット間ギャップ長L
Gは、いずれのスリット列内でも一定であり、また、異なるスリット列間においても共通している。
スリット長L
Sとスリット間ギャップ長L
Gの和に対するスリット長L
Sの比L
S/(L
S+L
G)は通常90%以上、好ましくは95%以上であり、例えば99%であってもよい。従って、連続炭素繊維束10は、
図2Bに示すように、殆どの部分で5本のサブ束11にスプリットされている。
第一スリット列A
S1、第二スリット列A
S2、第三スリット列A
S3および第四スリット列A
S4のy方向の位置は、5本のサブ束11の幅が概ね同じとなるように設定されている。例えば、連続炭素繊維束10のフィラメント数が15Kのとき、各サブ束11のフィラメント数は3K±0.5Kである。
【0021】
スリット長LSは、限定するものではないが、25mmより長いことが好ましく、50mmより長いことがより好ましく、500mmより長いことが更に好ましい。なぜなら、後の工程で連続炭素繊維束10が切断されるときの間隔が通常25mm以上だからである。連続炭素繊維束10を切断してチョップド炭素繊維束にするときの切断間隔に対するスリット長LSの比率が高い程、フィラメント数がサブ束11と同等以下であるチョップド炭素繊維束が多く産生される。
スリット長LSは、例えば、25mm超50mm以下、50mm超100mm以下、100mm超200mm以下、200mm超500mm以下、500mm超1000mm以下、1000mm超1500mm以下、1500mm超2000mm以下、2000mm超3000mm以下であり得る。
スリット間ギャップ長LGは、限定するものではないが、例えば5~10mmであり、5mmより短くてもよい。
【0022】
図2Aに示す例では、第一スリット列A
S1と第二スリット列A
S2とで、スリット間ギャップG
Sの位置がx方向にずれている。第二スリット列A
S2と第三スリット列A
S3の間、および、第三スリット列A
S3と第四スリット列A
S4の間でも同様である。
このように隣り合うスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置をx方向にずらす構成は必須ではない。一例では、
図15に示すように全てのスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置を揃えてもよいし、他の一例では、一部のスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置を揃え、他の一部のスリット列の間でスリット間ギャップG
Sの位置をx方向にずらしてもよい。
【0023】
スリット長LS、スリット間ギャップ長LG、スリット長LSとスリット間ギャップ長LGの和に対するスリット長LSの比LS/(LS+LG)、および、スリット間ギャップGSの位置について以上に述べたことは、連続炭素繊維束10を部分的に5本のサブ束にスプリットする場合に限られるものではなく、4本以下または6本以上のサブ束に部分的スプリットする場合にも同じことがいえる。
連続炭素繊維束10のスプリットにより形成されるサブ束のフィラメント数は、数nに関係なく、好ましくは5K以下、より好ましくは4K以下、更に好ましくは3K以下である。連続炭素繊維束10のスプリットにより形成されるサブ束のフィラメント数は、数nに関係なく、0.5Kより多いことが好ましく、1K以上であることがより好ましい。フィラメント数が0.5Kよりも多いとき、炭素繊維束の真直性が維持され易く、補強効果を相対的に高くできる傾向がある。
前記の上限および下限は任意に組み合わせることができ、例えば、連続炭素繊維束10のスプリットにより形成されるサブ束のフィラメント数は、数nに関係なく、0.5K~5Kが好ましく、0.5K~4Kがより好ましく、1K~3Kがさらに好ましい。
【0024】
再び
図1を参照すると、スプリットセクション120で部分的にn本にスプリットされた連続炭素繊維束10が、巻き取りセクション130に送られ、巻き取りボビンB2上に巻き取られることでパッケージが完成する。
巻き取りボビンB2は、例えば紙管であるが、限定するものではない。パッケージを使用するときは、巻き取りボビンB2を抜き取って、連続炭素繊維束を内取りで解舒することができる。
連続炭素繊維束10を巻き取るときは、サブ束11間に隙間があかないようにする。理由は、ボビンB2上に先に巻かれた部分と、後からその上に重ねて巻かれた部分との間で、サブ束11同士が互いに噛み込むことを防ぐためである。サブ束11間に隙間があかないように巻き取ることにより、外取りまたは内取りで解舒するときに連続炭素繊維束10が絡まったり切れたりすることを防止できる。
【0025】
サブ束11間に隙間があかないように連続炭素繊維束10をボビンに巻くには、
図3に示すように、連続炭素繊維束10の総幅Wをサブ束幅W
sの総和より狭くすればよい。
図3は、連続炭素繊維束10を繊維方向に垂直に切断したときの断面図で、5本のサブ束11はy方向に隙間なく並んでいる。すなわち、隣り合うサブ束11同士が互いに離れた部分は無く、いずれのサブ束11もすぐ隣のサブ束11と縁の部分で重なっている。
炭素繊維束の幅は、それよりも幅の狭いガイドで炭素繊維束を案内することにより減少させ得る。従って、総幅Wをサブ束幅W
sの総和より狭くした状態で連続炭素繊維束10をボビンB2に巻き取るには、例えば、部分的スプリットした後の連続炭素繊維束を巻き取りボビンまで案内するのに、サブ束幅の総和よりも狭い溝幅を持つ溝付きロールを用いればよい。あるいは、トラバース装置の繊維束ガイドの幅を、サブ束幅の総和より狭くしてもよい。
【0026】
かかる方法で連続炭素繊維束の総幅を狭めたとき、サブ束間の重なり合いが生じるだけでなく、一部のサブ束が幅方向に折り畳まれることがあり得る。従って、巻き取りボビンに巻かれた連続炭素繊維束におけるサブ束間の重なり合いの態様は、
図3に示す態様に限定されるものではなく、様々であり得る。
サブ束間に隙間があくことを確実に防止するために、巻き取りボビンに巻き取るときの連続炭素繊維束10の総幅は、サブ束幅の総和の90%以下とすることが好ましく、86%以下、更には80%以下とすることがより好ましい。
巻き取りボビンに巻き取るときの連続炭素繊維束の総幅は、限定するものではないが、サブ束の幅と同等となるまで狭くしないことが好ましい。特にサブ束の本数nが大きいときは、総幅を小さくし過ぎると、巻き崩れが生じ易くなる。
【0027】
巻き取りセクション130には、通常、トラバース装置(図示せず)が設置される。
連続炭素繊維束10を巻き取りボビンB2にトラバース巻きするとき、限定するものではないが、巻き始めの綾角は例えば5~30°、巻き終わりの綾角は例えば2~17°とすることができる。
ワインド比は、トラバースガイドが1往復する間にボビンが何回転するかを表し、1トラバースサイクルあたりの巻き数と言い換えてもよい。ワインド比一定で糸をボビンに巻くことで
図16に例示するスクエアエンド型の繊維パッケージを製造する場合、ワインド比が整数であると、全てのトラバースサイクルで糸がボビンの同じ位置に巻かれる、いわゆるリボン巻きとなり、解舒性が悪くなる可能性がある。
ワインド比の小数点以下の端数が1/p(pは2以上の整数)の倍数であるとき、トラバースのpサイクル毎に糸がボビンの同じ位置に巻かれるので、特にpが小さいときには、ワインド比が整数の場合と同じように解舒性が悪くなる可能性がある。
そのため、連続炭素繊維束10を巻き取りボビンB2に巻き取るときには、ワインド比を整数としないのが普通であり、更に、ワインド比の小数点以下の端数を1/2、1/3、1/4および1/5のいずれの倍数にもしないことが好ましい。
【0028】
1.2.SMC製造装置
本実施形態のSMC製造方法で好ましく用い得るSMC製造装置の概念図を、
図4に示す。
図4を参照すると、SMC製造装置200は、第一樹脂塗工セクション210、第二樹脂塗工セクション220、チョップセクション230、堆積セクション240および含浸セクション250を有する。チョップセクション230と堆積セクション240の間には、断片化処理装置260が配置されている。
【0029】
第一樹脂塗工セクション210には、ロールから引き出される第一キャリアフィルム41上に熱硬化性樹脂組成物50からなる第一樹脂層51を形成するために、ドクターブレードを備えた第一塗工機211が配置される。
第二樹脂塗工セクション220には、ロールから引き出される第二キャリアフィルム42上に、同じ熱硬化性樹脂組成物50からなる第二樹脂層52を形成するために、ドクターブレードを備えた第二塗工機212が配置される。
【0030】
チョップセクション230には、パッケージ(ボビンは抜き取られていてもよい)から引き出される連続炭素繊維束10をチョップするためのロータリーカッター231が配置される。
ロータリーカッター231は、
図5に示すように、ガイドロール232、ピンチロール233およびカッターロール234を備えている。カッターロール234の外周には複数の刃235が周方向に一定間隔で配置されており、一定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束20を連続炭素繊維束10から次々と切り出すことが可能である。
通常、同時に複数の連続炭素繊維束10が、ロータリーカッター231の回転軸方向に平行な平面内で互いに平行となるように引き揃えられてロータリーカッター231に供給される。
ロータリーカッター231の回転軸方向とは、カッターロール234のようなロータリーカッター231の主要部品の回転軸の方向である。ガイドロール232とピンチロール233の回転軸の方向は、カッターロール234の回転軸の方向と同じである。
【0031】
堆積セクション240はチョップセクション230の下方に配置される。第一キャリアフィルム41は、第一樹脂塗工セクション210から、堆積セクション240を経て、含浸セクション250に搬送される。第一キャリアフィルム41が堆積セクション240を走行するとき、第一キャリアフィルム41の表面に形成された第一樹脂層51上に、チョップセクション230で産生されるチョップド炭素繊維束20が落下し堆積することで、炭素繊維マット30が形成される。
【0032】
含浸セクション250の上流部には、第一キャリアフィルム41と第二キャリアフィルム42を徐々に近づけるための機構が配置される。含浸セクション250の主要部には含浸機251が配置される。第一キャリアフィルム41と第二キャリアフィルム42で炭素繊維マット30と熱硬化性樹脂組成物50を挟んだ積層体を、2つの搬送ベルトで上下から挟んで搬送するために、含浸機251は上下2つのベルト搬送機を備えるとともに、この積層体を搬送ベルトごと挟んで加圧するためのローラーを備えている。
【0033】
チョップセクション230と堆積セクション240の間に配置される断片化処理装置260は、
図6に示すように、カバー261と、カバーの内側に配置された、誘導板262および一対のピンローラー(第一ピンローラー263aおよび第二ピンローラー263b)とを有する。第一ピンローラー263aおよび第二ピンローラー263bは誘導板の下方に位置し、略同じ軸方向長を有し、かつ、回転軸が互いに平行である。
SMC製造装置200において、断片化処理装置260は、第一ピンローラー263aおよび第二ピンローラー263bの回転軸がロータリーカッター231の回転軸方向と平行となるように配置される。
【0034】
図7を参照すると、第一ピンローラー263aは、シリンダー264aを有しており、その表面にはいずれも同じ形状と寸法を有するピン265aが複数配置されている。シリンダー264aとピン265aはどちらも剛体であり、例えば金属で形成される。
シリンダー264aの直径は、限定するものではないが、例えば60mm~150mmであり得る。
【0035】
ピン265aは第一ピンローラー263aの回転軸に垂直に伸びており、限定するものではないが、例えば円柱形状を有する。ピン265aの端面と外周面の境界は面取りされていてもよい。
ピン265aの直径は、限定するものではないが、例えば1mm~5mmであり得る。
ピン265aの長さ、つまり、ピンの先端から根元までの距離は、限定するものではないが、例えば10mm~50mmであり得る。
ピン265aが円形断面を有することは、断片化処理装置260で処理されるチョップド炭素繊維束20の毛羽立ちを防止するうえで好ましい。ピン265aは、先端に向かって径が減少する円錐または剪頭円錐の形状を有していてもよい。
【0036】
シリンダー264aの周面を平面展開したとき、周面上におけるピン265aの配置は、軸方向に5mm~20mmおよび周方向に4mm~30mmずらしたときに元の配置と重なることが好ましい。
例えば、
図7に示すシリンダー264aの場合、周面を平面展開すると、
図8に示すように、一辺が軸方向と平行となるように平面充填する正三角形(破線で表示)の各頂点にピン265aが配置されている。この正三角形の一辺の長さが例えば5mmであるとき、
図8に示すピン265aの配置は、軸方向に2.5mmおよび周方向に約4.3mmずらしたときに元の配置と重なる。
【0037】
第一ピンローラー263aについて以上に述べたことは、全て、第二ピンローラー263bにも該当する。
限定するものではないが、断片化処理装置260の設計、製造および保守のコストを下げるためには、最大半径、シリンダー径、ピンの形状、寸法、本数および配置等を含め、できる限り多くの項目で第一ピンローラー263aと第二ピンローラー263bの設計および仕様を一致させることが好ましい。
【0038】
本明細書では、ピンローラーの最大半径をその回転軸からピン先端までの距離と定義する。
図9を参照すると、断片化処理装置260において、第一ピンローラー263aの最大半径r
M1と第二ピンローラー263bの最大半径r
M2の和は、この2つのピンローラーの回転軸間距離d
12よりも大きい。
第一ピンローラー263aの最大半径r
M1と第二ピンローラーのシリンダー264bの半径r
C2の和は、2つのピンローラーの回転軸間距離d
12よりも小さい。同様に、第二ピンローラー263bの最大半径r
M2と第一ピンローラーのシリンダー264aの半径r
C1の和も、2つのピンローラーの回転軸間距離d
12より小さい。
【0039】
第一ピンローラー263aと第二ピンローラー263bは、駆動機構(図示せず)によって回転駆動される。
第一ピンローラー263aと第二ピンローラー263bの回転方向に限定は無い。従って、第一ピンローラー264aの回転方向と第二ピンローラー263bの回転方向は同じであってもよいし、逆であってもよい。
第一ピンローラー264aと第二ピンローラー263bが互いに逆方向に回転するとき、内回りであってもよいし、外回りであってもよい。内回りとは、どちらのピンローラーも、他のピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転する態様をいう。外回りは、その反対で、どちらのピンローラーも、他のピンローラーに面する側でピンが下から上に向かって動くように回転する態様をいう。
別の実施形態では、断片化処理装置に設けられるピンローラーの数が1個であってよく、また、3個以上であってもよい。
断片化処理装置は、回転体としてピンローラーを備えるものに限定されない。
断片化処理装置における回転体は、例えば、
図17に示すように一対の円盤を複数のワイヤまたはロッドでつないだ構造を有していてもよい。
【0040】
1.3.SMCの製造方法
本実施形態のSMC製造方法を、前記1.2.で説明したSMC製造装置200を用いる場合を例にして説明する。
(引き出し工程)
引き出し工程では、予め準備された連続炭素繊維束のパッケージから、連続炭素繊維束が引き出される。この連続炭素繊維束は、フィラメント数がNKで、予めn本のサブ束に部分的スプリットされている。
この工程では、ボビンパッケージをクリールに取り付けて、外取りで連続炭素繊維束を引き出してもよいし、あるいは、ボビンを抜き取ったパッケージから内取りで連続炭素繊維束を引き出してもよい。
前述の通り、パッケージを製造する際には、隣り合うサブ束の間に重なり合いがある状態で、連続炭素繊維束がボビンに巻かれる。そのため、パッケージから引き出された連続炭素繊維束は、サブ束同士が一部重なり合った状態で互いに固着した部分を含んでいる。
【0041】
(チョップ工程)
チョップ工程では、引き出された連続炭素繊維束10がチョップセクション230に供給され、ロータリーカッター231で次々と切断されることにより、所定の繊維長を有するチョップド炭素繊維束20が産生される。産生したチョップド炭素繊維束20は、ロータリーカッター231の下方に設置された断片化処理装置260に向かって落下する。
チョップド炭素繊維束20の繊維長は、限定するものではないが、好ましくは20~60mmであり、例えば、約25mmや約50mmなどであり得る。
【0042】
(断片化処理工程)
前述の通り、パッケージから引き出される連続炭素繊維束は、サブ束同士が一部重なり合った状態で互いに固着した部分を含む。チョップ工程で産生されるチョップド炭素繊維束には、かかる部分が切断されることにより生じる、フィラメント数が{(N/n)+0.5}Kより多い繊維束がある程度含まれる。このような繊維束を断片化処理装置によって断片化することにより、後述する堆積工程で形成される炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を改善することが、断片化処理工程の目的である。
【0043】
断片化処理装置260では、ロータリーカッター231から落下してくるチョップド炭素繊維束20の少なくとも一部が、第一ピンローラー263aと第二ピンローラー263bの少なくとも一方と接触し、その衝撃によって複数の断片に分かれる。
この断片化処理は、解繊を目的とするものではない。すなわち、チョップド炭素繊維束を単繊維またはそれに近い状態となるまでほぐすものではない。好適例では、断片化処理によってフィラメント数0.5K以下の繊維束および単繊維が発生しないように、あるいは、発生したとしても第一キャリアフィルム41上に堆積する炭素繊維中の含有量が1重量%未満となるように、第一ピンローラー263aおよび第二ピンローラー263bの各々のピン先端における周速が設定される。
【0044】
(樹脂塗工工程)
樹脂塗工工程では、ロールから引き出される第一キャリアフィルム41上に、第一塗工機211を用いて、熱硬化性樹脂組成物50からなる第一樹脂層51を形成するとともに、別のロールから引き出される第二キャリアフィルム42上に、第二塗工機212を用いて、同じ熱硬化性樹脂組成物50からなる第二樹脂層52を形成する。
熱硬化性樹脂組成物50は、熱硬化性樹脂を主要成分とし、増粘剤と硬化剤が配合されるとともに、必要に応じて、低収縮剤、充填剤、難燃剤などの添加剤が配合された、流動性のペーストである。
熱硬化性樹脂の典型例は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂およびフェノール樹脂であり、これらから選ばれる二種以上を混合して使用することもできる。
好ましい熱硬化性樹脂は、炭素繊維との接着性に優れる点から、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステル樹脂である。
熱硬化性樹脂組成物の具体的な配合組成については、従来技術を適宜参照することができる。
【0045】
(堆積工程)
堆積工程では、断片化処理装置260で処理されたチョップド炭素繊維束20が、断片化処理装置260の下方を運ばれる第一キャリアフィルム41上に落下する。落下したチョップド炭素繊維束20は、第一キャリアフィルム41の表面に形成された第一樹脂層51上に堆積し、炭素繊維マット30を形成する。
【0046】
(含浸工程)
第一樹脂層51上に堆積した炭素繊維マット30を載せた第一キャリアフィルム41は、含浸機251に向かって運ばれる途中で、第二樹脂層52が形成された側の面を下向きにした第二キャリアフィルム42と貼り合わされる。
貼り合わせにより形成された積層体が含浸機251で加圧されることにより、炭素繊維マット30は熱硬化性樹脂組成物50で含浸される。
含浸工程の終了後、含浸された炭素繊維マット30は第一キャリアフィルム41と第二キャリアフィルム42に挟まれたままボビンに巻き取られ、熟成工程を経てSMC製品となる。熟成工程では、熱硬化性樹脂組成物50が、添加された増粘剤の作用で高粘度化して半硬化状態となる。
【0047】
2.実験結果
以下に、本発明者等が行った実験の結果を記す。
【0048】
2.1.実験1
(部分的にスプリットした連続炭素繊維束の準備)
出発材料として、フィラメント数15K、初期幅8mm、厚さ0.1mmの扁平な連続炭素繊維束(三菱ケミカル社製TR50S15L)を準備した。4個の回転刃を持つスプリッターを用いて、スリット長1000mm、スリット間ギャップ長5mmのスリット列を4列形成することにより、この連続炭素繊維束を部分的に1.6mm幅のサブ束5本にスプリットした。スリット間ギャップの繊維方向の位置は、全てのスリット列で同じとした。
部分的スプリットした後、この連続炭素繊維束を直径82mm、長さ280mmの紙製ボビンにトラバース長254mmで巻き取ることにより、スクエアエンド型のパッケージを作製した。繊維束を案内するガイドの幅を調整することにより、巻き取り時の連続炭素繊維束の総幅を6mm以下とした。
【0049】
(炭素繊維マットの作製)
断片化処理装置を備えないこと以外は
図4に示すSMC製造装置と同様の構成を有するSMC製造装置を用いて、上記手順で準備した、部分的に5本のサブ束にスプリットされたフィラメント数15Kの連続炭素繊維束から、炭素繊維マットを作製した。
複数本の連続炭素繊維束を等間隔で平行に並べた状態で同時にロータリーカッターに供給し、25.4mm毎に切断した。
チョップド炭素繊維束は、ロータリーカッターの下方を線速5m/分で走行する、熱硬化性樹脂組成物を塗工しないキャリアフィルム上に落下させた。落下したチョップド炭素繊維束はキャリアフィルム上に堆積し、炭素繊維マットを形成した。
【0050】
(フィラメント数分布の測定)
上記手順で作製した炭素繊維マットから、キャリアフィルムの中央線近傍に堆積した約21cm×30cmの領域を選び、その領域に含まれる全てのチョップド炭素繊維束(300片以上)の重量を測定した。測定した重量をフィラメント数に換算することにより求めた、炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を
図10に示す。
作製した炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量は99.9重量%以上であった。
【0051】
2.2.実験2
断片化処理装置を備えること以外は実験1で使用したものと同じSMC製造装置を用いて炭素繊維マットを作製し、実験1と同様にしてそのフィラメント数分布を測定した。炭素繊維マットの作製手順は、チョップド炭素繊維束を、キャリアフィルム上に堆積する前に断片化処理装置で断片化処理したことを除いて、実験1と同様とした。
断片化処理装置の構成は、
図4に示すSMC製造装置が備えるものと同様であった。2個のピンローラーは、いずれも金属製で、同じ構成を有していた。各ピンローラーのシリンダー周面上に配置されたピンの直径と長さはそれぞれ3mmおよび20mmであった。
各ピンローラーのシリンダー周面を平面展開したとき、該周面上におけるピンの配置は周期的で、軸方向に7.5mmおよび周方向に6.5mmずらしたときに元の配置と重なる配置であった。
【0052】
実験2では、2個のピンローラーを、どちらもピンの先端における周速が377m/分となるように回転させた。
2個のピンローラーは、内回りとなるように、互いに逆方向に回転させた。言い換えれば、どちらのピンローラーも、他のピンローラーに面する側でピンが上から下に向かって動くように回転させた。
作製した炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を
図11に示す。
作製した炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量は99.9重量%以上であった。
【0053】
2.3.実験3
2個のピンローラーを互いに逆方向に回転させる際、外回りとなるようにしたこと以外は実験2と同様にして、炭素繊維マットを作製した。外回りとは、どちらのピンローラーも、他のピンローラーに面する側でピンが下から上に向かって動くように回転させる態様である。
作製した炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を
図12に示す。
作製した炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量は99.9重量%以上であった。
【0054】
2.4.実験4
2個のピンローラーを同じ方向に回転させたこと以外は実験2と同様にして、炭素繊維マットを作製した。
作製した炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を
図13に示す。
作製した炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量は99.9重量%以上であった。
【0055】
2.5.実験5
2個のピンローラーの一方を取り外すとともに、ロータリーカッターから落下してくるチョップド炭素繊維束が残った1個のピンローラーに高確率で接触するように、その残った1個のピンローラーの位置をずらした。それ以外は実験2と同様にして、炭素繊維マットを作製した。
作製した炭素繊維マットにおけるチョップド炭素繊維束のフィラメント数分布を
図14に示す。
作製した炭素繊維マットにおける、フィラメント数が0.5Kを超える炭素繊維束の含有量は99.9重量%以上であった。
【0056】
2.6.実験6
フィラメント数15000本(15K)、初期幅8mm、厚さ0.1mmの扁平な連続炭素繊維束を準備し、これを部分的にスプリットしたうえで、直径82mm、長さ280mmの紙製ボビンにトラバース長254mmで巻き取ることにより、スクエアエンド型の繊維パッケージを作製した。スプレッダーによる拡幅は行わなかった。
【0057】
連続炭素繊維束の部分的なスプリットには、4個の回転刃を持つスプリッターを使用した。スリット長1000mm、スリット間ギャップ長5mmであるスリット列を4列形成することにより、連続炭素繊維束は一部で互いにつながった1.6mm幅のサブ束5本にスプリットされた。スリット間ギャップの繊維方向の位置は、全スリット列とも同じとした。
巻き取りにおいては、巻き始めの綾角を9.9°、巻き終わりの綾角を5°、ワインド比を11.30、巻き取り量を5.0kgとした。
【0058】
スプリット処理後に連続炭素繊維束が経由する溝付きロールの溝幅を調節することにより、ボビンに巻き取られる連続炭素繊維束の幅をサブ束の幅の総和の75%である6mmとして作製した繊維パッケージからボビンを引き抜き、内側から連続炭素繊維束を引き出したところ、特に問題は見出されなかった。
それとは対照的に、ボビンに巻き取られる連続炭素繊維束の幅をサブ束の幅の総和と同じ8mmとしたこと以外は同様にして作製した繊維パッケージでは、ボビンを引き抜き、内側から連続炭素繊維を引き出したときに、絡まりが発生する頻度が相対的に高かった。
【0059】
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、各実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された各実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 連続炭素繊維束
11 サブ束
20 チョップド炭素繊維束
100 繊維パッケージ製造装置
110 スプレッドセクション
120 スプリットセクション
130 巻き取りセクション
200 SMC製造装置
210 第一樹脂塗工セクション
220 第二樹脂塗工セクション
230 チョップセクション
240 堆積セクション
250 含浸セクション
260 断片化処理装置
300D 巻き径
300DB ボビン径
300LT トラバース長
300W 繊維束の幅
310 繊維パッケージ
312 繊維束
314 ボビン
θ300 綾角
410 回転軸
412 円盤
414 ワイヤまたはロッド