(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】透過度可変フィルム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20220802BHJP
G02F 1/1676 20190101ALI20220802BHJP
G02F 1/16756 20190101ALI20220802BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1676
G02F1/16756
(21)【出願番号】P 2020524226
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(86)【国際出願番号】 KR2018013265
(87)【国際公開番号】W WO2019088766
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】10-2017-0145699
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テ ギュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムン スー
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-511447(JP,A)
【文献】特開2005-099408(JP,A)
【文献】特開2006-276839(JP,A)
【文献】特開2017-049552(JP,A)
【文献】特開2006-058563(JP,A)
【文献】特表2016-540249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0092752(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/19
G09F 9/30
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極基板、電気泳動層および第2電極基板を順に含み、前記第1電極基板および第2電極基板上に
フッ素を含むアクリレート系樹脂およびフッ素を含まないアクリレート系樹脂を含む電極絶縁層を含み、
前記電極絶縁層は、相分離に基づいて、前記フッ素を含むアクリレート系樹脂を前記電気泳動層と隣接する表面に含み、前記フッ素を含まないアクリレート系樹脂を前記第1電極基板および前記第2電極基板と隣接する下部にそれぞれ含み、
前記電極絶縁層は、表面にフッ素を15at%以上含む、透過度可変フィルム。
【請求項2】
前記第1電極基板および第2電極基板のうちいずれか一方は、パターン電極層を含み、他方は、全面電極層を含む、請求項1に記載の透過度可変フィルム。
【請求項3】
前記電極絶縁層は、前記パターン電極層および全面電極層の全面に形成される、請求項2に記載の透過度可変フィルム。
【請求項4】
前記電気泳動層は、分散溶媒および荷電粒子を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項5】
前記荷電粒子は、カーボンブラック(carbon black)、酸化鉄(ferric oxides)、クロム銅(CrCu)およびアニリンブラック(aniline black)よりなる群から選ばれた一つ以上の粒子を含む、請求項4に記載の透過度可変フィルム。
【請求項6】
前記荷電粒子は、遮断モードの具現時に分散して存在し、透過モードの具現時にパターン電極層に移動する、請求項4または5に記載の透過度可変フィルム。
【請求項7】
前記荷電粒子は、透過モードの具現時にパターン電極層に移動し、前記パターン電極層に吸着しない状態で存在する、請求項4から6のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項8】
透過モードと遮断モードの反復駆動時に、遮断モードを具現するための電圧は、-10V~-30Vであり、透過モードを具現するための電圧は、10V~50Vである、請求項1から7のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項9】
透過モードと遮断モードの反復駆動時に、遮断モードの透過率の平均は、2%以下である、請求項8に記載の透過度可変フィルム。
【請求項10】
前記フッ素を含まないアクリレート系樹脂は、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA)、ペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)よりなる群から選ばれた一つ以上の樹脂を含む、請求項1
から9のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項11】
前記パターン電極層の上部に形成された電極絶縁層の厚さは、10nm~400nmの範囲内である、請求項3に記載の透過度可変フィルム。
【請求項12】
前記全面電極層の上部に形成された電極絶縁層の厚さは、150nm~600nmの範囲内である、請求項3に記載の透過度可変フィルム。
【請求項13】
前記電極絶縁層は、表面エネルギーが30mN/m以下である、請求項1から
12のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項14】
前記電極絶縁層は、極性溶媒に対する接触角が90°~120°である、請求項1から
13のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項15】
前記電極絶縁層は、非極性溶媒に対する接触角が55°~95°である、請求項1から
14のいずれか一項に記載の透過度可変フィルム。
【請求項16】
請求項1から
15のいずれか一項に記載の透過度可変フィルムを含むスマートウィンドウ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、透過度可変フィルムおよびその用途に関する。
【0002】
本出願は、2017年11月03日付けで韓国特許出願第10-2017-0145699に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
透過度可変フィルムは、全面電極層が形成された第1電極基板と、電気泳動層およびパターン電極層が形成された第2電極基板を順に含むことができ、前記電気泳動層には、外部から加えられる外力により電気泳動(electrophoretic)現象を示すことができる粒子形態の荷電粒子を具備することができる。
【0004】
特許文献1(韓国特許登録第10-1241306号公報)では、荷電粒子として負の電荷を帯びる物質を用いて、外部から加えられる外力がない初期に前記荷電粒子が電気泳動層内に分散した状態で存在して、第2電極基板内パターン電極層のパターンの間に光を照射する場合、前記光を遮断する遮断モードが具現される。この際、第2電極基板内パターン電極層に正電圧を印加し、第1電極基板内全面電極層に負の電圧を印加して、前記荷電粒子がパターン電極層のパターン上に移動して、前記パターン電極層のパターンの間に光が透過しうる透過モードを具現することができる。その後、前記パターン電極層に電圧を印加しないか、前記パターン電極層に反対電圧である負の電圧を印加する場合、前記荷電粒子がさらに分散して、遮断モードを具現することができる。
【0005】
しかしながら、このような電気泳動現象を用いた透過度可変フィルムは、駆動後に、透過モードと遮断モードの反復によって、前記荷電粒子が前記パターン電極層上に吸着して、透過モードの具現時に透過率が次第に減少し、遮断モードの具現時に荷電粒子の分散性が低下して、初期遮断モードに比べて遮光率が顕著に減少する問題が発生した。したがって、このような問題点を解決するための透過度可変フィルムが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の目的は、電極上に電極絶縁層を含むことによって、透過モードと遮断モードの間の駆動反復時に、透過モードで透過率を一定に維持することができ、遮断モードで優れた遮光率を示すことができる透過度可変フィルムおよびその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、透過度可変フィルムに関する。例示的な本出願の透過度可変フィルムによれば、電極上に電極絶縁層を含むことによって、透過モードと遮断モード間の駆動反復時に、透過モードで透過率を一定に維持することができ、遮断モードで優れた遮光率を示すことができる透過度可変フィルムおよびその用途を提供することができる。
【0008】
以下、添付の図面を参照して本出願の透過度可変フィルムを説明し、添付の図面は、例示的なものであって、本出願の透過度可変フィルムが添付の図面に制限されるものではない。
【0009】
図1は、本出願の一実施例による透過度可変フィルムを例示的に示す。
図1に示されたように、前記透過度可変フィルム100は、第1電極基板110と、電気泳動層120および第2電極基板130を順に含み、前記第1電極基板110および第2電極基板130上に電極絶縁層140A、140Bを含む。
【0010】
前記第1電極基板110および第2電極基板130は、透過度可変フィルム100内荷電粒子の電気泳動現象を具現するために、外部から電圧が印加される部分である。一つの例示において、前記第1電極基板110および第2電極基板130のうちいずれか一方は、パターン電極層112を含み、他方は、全面電極層132を含むことができる。具体的に、前記第1電極基板110は、第1基材フィルム111上に形成されたパターン電極層112を含むことができ、第2電極基板130は、第2基材フィルム131上に形成された全面電極層132を含むことができる。
【0011】
本明細書において前記パターン電極層112は、電極がパターン形状に形成されたことを意味し、前記パターン形状は、本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記パターン形状は、メッシュ形状、ストライプ形状またはボロノイ(Voronoi)形状でありうる。
【0012】
また、本明細書において前記全面電極層は、電極が基材フィルムの一表面の全体に形成されたことを意味する。
【0013】
前記第1および第2基材フィルム111、131としては、光学的透明性を有するものを使用することができる。例えば、前記第1および第2基材フィルム111、131としては、光学的に透明なプラスチックフィルムまたはシートを使用したり、あるいは、ガラスを使用することができる。具体的に、前記プラスチックフィルムまたはシートとしては、DAC(diacetyl cellulose)またはTAC(triacetyl cellulose)フィルムまたはシートのようなセルロースフィルムまたはシート;ノルボルネン誘導体樹脂フィルムまたはシートなどのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルムまたはシート;PMMA(poly(methyl methacrylate)フィルムまたはシートなどのアクリルフィルムまたはシート;PC(polycarbonate)フィルムまたはシート;PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)フィルムまたはシートなどのようなオレフィンフィルムまたはシート;PVA(polyvinyl alcohol)フィルムまたはシート;PES(poly ether sulfone)フィルムまたはシート;PEEK(polyetheretherketone)フィルムまたはシート;PEI(polyetherimide)フィルムまたはシート;PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルムまたはシート;PET(polyethyleneterephtalate)フィルムまたはシートなどのようなポリエステルフィルムまたはシート;PI(polyimide)フィルムまたはシート;PSF(polysulfone)フィルムまたはシート;PAR(polyarylate)フィルムまたはシートまたはフルオロ樹脂フィルムまたはシートなどが例示され得、一般的には、セルロースフィルムまたはシート、ポリエステルフィルムまたはシートまたはアクリルフィルムまたはシートなどが使用され得、好ましくはTACフィルムまたはシートが使用され得るが、本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。
【0014】
前記パターン電極層112および全面電極層132としては、透明導電性層を使用することができる。例えば、前記パターン電極層112および全面電極層132としては、導電性高分子、導電性金属、導電性ナノワイヤーまたはITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物などを蒸着して形成したものを使用することができる。具体的に、前記パターン電極層112としては、アルミニウム(Al)を使用することができ、前記全面電極層132としては、インジウムスズ酸化物(ITO)を使用することができる。
【0015】
パターン電極層112と全面電極層132のサイズは、本出願の目的を損傷させない範囲内で適宜選択され得る。前記パターン電極層の厚さは、例えば100nm~200nm、具体的に、120nm~180nmまたは140nm~150nmの範囲内でありうる。また、前記パターン電極層の線幅は、1μm~10μm、具体的に、1μm~5μmまたは2μm~4μmの範囲内でありうる。また、前記パターン電極層のパターンの平均ピッチは、例えば10μm~100μm、具体的に、30μm~70μm、40μm~60μmの範囲内でありうる。前記全面電極層の厚さは、例えば50nm~150nm,具体的に、80nm~120nmの範囲内でありうる。パターン電極層や全面電極層のサイズが前記範囲内である場合、外部電圧の印加時に電気泳動層120内荷電粒子の電気泳動現象を具現するのに好適であり得る。
【0016】
前記電極絶縁層140A、140Bは、電気が流れない不導体を意味する。一つの例示において、前記電極絶縁層140A、140Bは、前記パターン電極層112および全面電極層132の全面に形成され得る。前記パターン電極層の全面は、前記パターン電極層が基材フィルム上に形成された状態で、前記基材フィルムと接する下面を除いた上面および側面を意味する。また、前記電極絶縁層140Aは、第1基材フィルム111上に、パターン電極層112が形成されていない領域にも形成されていてもよい。これに伴い、前記電極絶縁層140Aは、電気泳動層に向かう表面が平坦な表面を有することができる。前記電極絶縁層140A、140Bは、パターン電極層112および全面電極層132の全面に形成されることによって、透過モードと遮断モード間の駆動反復時に電極層112、132に荷電粒子が吸着することを防止することができ、これによって、本出願の透過度可変フィルム100は、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に優れた遮光率を示すことができる。
【0017】
前記電気泳動層120は、荷電粒子により光透過度を可変する層である。具体的に、前記電気泳動層120の上下部に存在するパターン電極層112および全面電極層132に印加される電圧によって荷電粒子が回転したり極性が異なる電極近くに移動する電気泳動方式で光透過度を調節して、所望の色を表現することができる。
【0018】
一つの例示において、前記電気泳動層120は、分散溶媒および荷電粒子を含むことができる。前記荷電粒子としては、正(+)または負(-)の電荷を帯びる粒子を使用することができ、例えば、カーボンブラック(carbon black)、酸化鉄(ferric oxides)、クロム銅(CrCu)およびアニリンブラック(aniline black)よりなる群から選ばれた一つ以上の荷電粒子を使用することができ、好ましくはカーボンブラック粒子を使用することができる。また、前記荷電粒子を分散させるための分散溶媒としては、炭化水素系溶媒のように公知となった溶媒を制限なしに使用することができる。例えば、前記炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、これらの異性体または混合物のような一般的なアルカン溶媒を使用することができる。また、前記分散溶媒としては、炭素数6~13のアルカン混合物質であるイソパラフィン系溶媒などを使用することができる。例えば、前記イソパラフィン系溶媒としては、Isopar C、Isopar G、Isopar E(Exxon)、ISOL-C(SK Chem)またはISOL-G(Exxon)などを使用することができる。
【0019】
前記電気泳動層内で前記荷電粒子の含量は、0.5重量%~5重量%でありうる。前記荷電粒子の含量が前記範囲内である場合、透過度可変特性に優れた透過度可変フィルムを提供するという側面から有利になりうる。
【0020】
前記荷電粒子は、遮断モードの具現時に粒子状態で分散して存在し、透過モードの具現時にパターン電極112に移動することができる。例えば、
図2に示されたように、前記透過度可変フィルム100は、前記電気泳動層120の上下部に存在する前記全面電極132およびパターン電極112に電圧が印加されていない初期状態で前記電気泳動層120内前記荷電粒子121が粒子状態で分散して存在することによって、遮断モードで具現され得る。その後、
図3に示されたように、前記荷電粒子121が負の電荷を帯び、前記電気泳動層120の下部に存在するパターン電極層112に正の電圧を印加し、前記電気泳動層120の上部に存在する全面電極層132に負の電圧を印加する場合、前記荷電粒子121が前記全面電極層132と斥力が作用し、前記荷電粒子121が前記パターン電極層112と引力が作用して、前記荷電粒子121がパターン電極層112に移動することによって、透過モードを具現することができる。その後、
図2に示されたように、前記パターン電極層112および全面電極層132にさらに電圧を印加しない場合、前記透過度可変フィルム100は、前記荷電粒子121がさらに前記電気泳動層120内に粒子状態で初期状態と類似して分散して遮断モードで具現され得る。
【0021】
この際、前記荷電粒子121は、透過モードの具現時に前述したように、パターン電極層112に移動するが、前記電極絶縁層140A、140Bは、物理的に荷電粒子121がパターン電極層112に吸着することを防止すると共に、電極層112、132から荷電粒子121に及ぼす引力を減少させて、荷電粒子121がパターン電極層112に吸着することを防止することができる。具体的に、前記荷電粒子121は、透過モードの具現時に、前記パターン電極層112には吸着せず、低い表面エネルギーを有する前記電極絶縁層140A、140Bには接触した状態で存在することができる。これに伴い、前記荷電粒子121は、前記パターン電極層132に吸着せず、離隔した状態で存在することができる。
【0022】
前記透過度可変フィルム100は、電圧印加によって透過モードと遮断モードの間を反復駆動することができる。
【0023】
一つの例示において、前記遮断モードの具現時に印加される電圧は、-10V~-30Vでありうるが、本出願の目的を考慮して前述した範囲内で適宜選択され得る。例えば、前記透過度可変フィルム100は、遮断モードで具現されるとき、印加される電圧が-13V~-27V、-15V~-25Vまたは-18V~-22Vでありうる。前記透過度可変フィルム100は、遮断モードで具現されるとき、前述した範囲内の電圧が印加されることによって、透過モードから遮断モードにスイッチングすることができる。
【0024】
また、前記透過モードの具現時に印加される電圧は、10V~50Vでありうる。具体的に、透過モードの具現時に前記透過度可変フィルム100に印加される電圧は、15V~45V、20V~40Vまたは25V~35Vでありうる。前記透過度可変フィルム100は、透過モードの具現時に前述した範囲内の強さで電圧が印加されることによって、遮断モードから透過モードにスイッチングすることができる。
【0025】
一つの例示において、前記透過度可変フィルム100は、透過モードと遮断モードの反復駆動時に、遮断モードの透過率の平均が2%以下でありうる。前記透過率の下限は、例えば、0%超過または0.2%以上でありうる。一方、前記透過度可変フィルム100は、透過モードで平均透過率が20%以上、30%以上、35%以上または40%以上であり得、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下または45%以下でありうる。前記透過モードと遮断モードの反復駆動は、電圧のON状態とOFF状態の反復駆動を意味する。ON状態とOFF状態をそれぞれ1回含むことを1回の駆動単位と見なすことができる。前記透過度可変フィルム100は、透過モードと遮断モードの反復駆動時に、遮断モードの透過率の平均が前述した範囲を満たすことによって、駆動後に98%以上の優れた遮光率を有する遮断モードで具現され得る。前記1回駆動時にそれぞれの信号は、電圧の強さ、印加時間および周波数が一つの特定値を有する電圧を意味する。
【0026】
前記電極絶縁層140A、140Bは、フッ素系樹脂を含む。一つの例示において、前記フッ素系樹脂は、フッ素を含むアクリレート系樹脂でありうる。例えば、前記フッ素系樹脂は、ポリ(2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート)(PTFEMA,Poly(2,2,2-trifluoroethyl methacrylate))、ポリ(2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート)(PTFPMA,Poly(2,2,3,3-tetrafluoropropyl methacrylate))、ポリ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート)(PPFPMA,Poly(2,2,3,3,3-pentafluoropropyl methacrylate))、ポリ(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)(PHFIPMA,Poly(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropyl methacrylate))、ポリ(2,2,3,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート)(PHFBMA,Poly(2,2,3,4,4,4-hexafluorobutyl methacrylate))、ポリ(2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート)(PHFBMA,Poly(2,2,3,3,4,4,4-heptafluorobutyl methacrylate))、ポリ(1H,1H-ペルフルオロ-n-オクチルメタクリレート)(PPFOMA,Poly(1H,1H-Perfluoro-n-octyl methacrylate))およびフッ素を含有するウレタンアクリレートよりなる群から選ばれた一つ以上の樹脂を含むことができる。前記電極絶縁層140A、140Bは、前述した種類のフッ素系樹脂を含むことによって、前記第1電極基板110および第2電極基板130の表面エネルギーを低減することができ、これによって、前記荷電粒子121が前記パターン電極層132に吸着することを防止することができ、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に荷電粒子が初期分散状態に容易に復帰して優れた遮光率を示すことができる。
【0027】
一つの例示において、前記電極絶縁層140A、140Bは、前述したフッ素系樹脂以外にフッ素を含まないアクリレート系樹脂をさらに含むことができる。例えば、前記フッ素を含まないアクリレート系樹脂としては、例えば、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA)、ペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレート(PETA)、またはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)のような炭素数2以上の多官能性アクリレート;およびポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリ(メタ)アクリレート系樹脂を使用することができる。
【0028】
前記電極絶縁層がフッ素系樹脂とフッ素を含まないアクリル系樹脂を全部含む場合に、その含量比は、相分離を阻害しない範囲内で適宜調節され得る。一つの例示において、前記電極絶縁層は、フッ素系樹脂100重量部に対してフッ素を含まないアクリル系樹脂を20重量部~100重量部の割合で含むことができる。
【0029】
前記電極絶縁層140A、140Bは、前記フッ素系樹脂を前記電気泳動層120と隣接する表面に含み、前記フッ素を含まないアクリレート系樹脂を第1電極基板110および第2電極基板130と隣接する下部に含むことができる。具体的に、前記第1電極基板110および第2電極基板130上に電極絶縁層用組成物をコーティング後に乾燥する過程で、フッ素系樹脂がフッ素を含まないアクリレート系樹脂に比べて相対的に表面エネルギーが低くて、空気層側である最外郭の表面側に位置しようとする性質によって相分離が発生する。これに伴い、前記フッ素系樹脂は、電極絶縁層140A、140Bの上部、すなわち前記電気泳動層120と隣接する前記電極絶縁層140A、140Bの表面に移動し、前記フッ素を含まないアクリレート系樹脂は、電極絶縁層140A、140Bの下部、すなわち第1電極基板110および第2電極基板130と隣接する電極絶縁層140A、140Bの下部に移動することによって、前記電極絶縁層140A、140Bを形成することができる。
【0030】
一つの例示において、前記電極絶縁層140A、140Bは、表面にフッ素含量が15at%(atomic%)以上でありうる。具体的に、前記電極絶縁層140A、140Bの表面のフッ素含量は、18at%以上または20at%以上であり得、前記電極絶縁層140A、140Bの表面のフッ素含量の上限は、35at%以下または30at%以下でありうる。前記電極絶縁層140A、140Bの表面に前述した範囲内の含量でフッ素を含むことによって、高価なフッ素系樹脂の費用を節減することができ、前記第1電極基板110または第2電極基板130の表面エネルギーを低減することができ、これによって、前記荷電粒子121が前記パターン電極層132に吸着することを防止することができて、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に荷電粒子が初期分散状態に容易に復帰して優れた遮光率を示すことができる。また、前記フッ素が電極絶縁層140A、140Bの表面でない全体、すなわち相分離が起こらない状態で含まれる場合、誘電率の増加によって駆動特性が低下する問題が発生しうる。
【0031】
一つの例示において、前記第1電極基板110のパターン電極層112の上部に形成された電極絶縁層140Aの厚さ(
図1のH
1-H
E)は、例えば、10nm~400nmであり得、具体的に、10nm以上、30nm以上または50nm以上であり得、400nm以下、380nm以下または360nm以下でありうる。本出願の一実施例によれば、前記厚さ(
図1のH
1-H
E)は、30nm~70nmの範囲または330nm~370nmの範囲内でありうる。すなわちパターン電極層112の上部の電極絶縁層140Bの厚さは、第1基材フィルム上の電極絶縁層の全体厚さH
1からパターン電極層112の厚さH
Eを差し引いた値を意味する。パターン電極層上に形成された電極絶縁層の厚さ(
図1のH
1-H
E)が前述した範囲を満たすことによって、前記第1電極基板110の表面エネルギーを低減することができ、これによって、前記荷電粒子121が前記パターン電極層112に吸着することを防止することができて、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に荷電粒子が初期分散状態に容易に復帰して優れた遮光率を示すことができる。
【0032】
また、前記第2電極基板130の全面電極層132上に形成された電極絶縁層140Bの厚さH2または前記第1電極基板上の絶縁層140Aの全体厚さH1は、それぞれ独立して、150nm~600nmであり得、具体的に、170nm以上または190nm以上であり得、600nm以下、570nm以下、540nm以下または510nm以下でありうる。本出願の一実施例によれば、前記厚さH1または厚さH2は、180nm~220nmの範囲または480nm~520nmの範囲内でありうる。
【0033】
前記第2電極基板130の全面電極層132上に形成された電極絶縁層140Bの厚さH2が前述した範囲を満たすことによって、前記第2電極基板130の表面エネルギーを低減することができ、これによって、前記荷電粒子121が前記パターン電極層112に吸着することを防止することができて、駆動後透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に荷電粒子が初期分散状態に容易に復帰して優れた遮光率を示すことができる。
【0034】
本明細書で、電極絶縁層140A、140Bの厚さH1、H2、H1-HEは、第1および第2電極基板110、130上に電極絶縁層140A、140B用組成物を塗布し、乾燥した後の厚さを基準とする。
【0035】
前記電極絶縁層は、例えば、第1電極基板または第2電極基板上に絶縁層形成用組成物を塗布した後に乾燥させることによって形成することができる。
【0036】
一つの例示において、前記絶縁層形成用組成物は、フッ素系樹脂を含むことができる。他の一つの例示において、前記絶縁層形成用組成物は、フッ素系樹脂とフッ素を含まないアクリル系樹脂を全部含むことができる。フッ素系樹脂とフッ素を含まないアクリル系樹脂の具体的な種類と含量比については、前述した通りである。
【0037】
前記絶縁層形成用組成物は、溶媒をさらに含むことができる。前記溶媒は、有機溶媒でありうる。前記有機溶媒としては、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系の溶媒を使用することができる。炭化水素系の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、n-デカン、n-ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼンなどが挙げられる。ハロゲン化炭化水素系の例としては、四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。エーテル系の例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0038】
前記絶縁層形成用組成物を塗布する方式は、特に制限されず、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングまたはブレードコーティングなどの公知のコーティング方法により行われ得る。
【0039】
前記絶縁層形成用組成物を乾燥することによって溶媒を除去することができ、ひいては、前述したフッ素系樹脂とフッ素を含まないアクリル系樹脂の相分離が発生しうる。前記乾燥は、例えば熱を印加することによって行われ得る。一つの例示において、絶縁層形成用組成物の乾燥は、50℃~120℃の温度で5分~60分間行われ得る。前記乾燥温度は、具体的に、60℃~110℃または70℃~100℃の範囲内でありうる。前記乾燥時間は、具体的に、5分~40分、5分~20分または5分~15分の範囲内でありうる。
【0040】
他の一つの例示において、前記電極絶縁層140A、140Bの表面エネルギーは、30mN/m以下でありうる。具体的に、29mN/m以下であり得、前記表面エネルギーの下限は、10mN/m以上、15mN/m以上または20mN/m以上でありうる。前記電極絶縁層140A、140Bの表面エネルギーは、前記電極絶縁層140A、140Bが形成されたモールド基板をサンプルとして準備し、水滴型分析器(DSA100、KRUSS社)を用いて極性溶媒または非極性溶媒に対する接触角分析を通したOwen-Wendt-Rabel-Kaeble方法で測定することができる。前記電極絶縁層140A、140Bの表面エネルギーが前述した範囲を満たす場合、前記荷電粒子121が前記パターン電極層132に吸着することを防止することができて、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に荷電粒子が初期分散状態に容易に復帰して優れた遮光率を示すことができる。
【0041】
前記電極絶縁層140A、140Bは、極性溶媒に対する接触角が90°~120°でありうる。具体的に、前記電極絶縁層140A、140Bの極性溶媒に対する接触角は、100°~115°でありうる。前記極性溶媒としては、例えば、水を使用することができる。前記電極絶縁層140A、140Bは、極性溶媒に対する接触角が前述した範囲を満たす場合、前記荷電粒子121が前記パターン電極層132に吸着することを防止することができて、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に優れた遮光率を示すことができる。
【0042】
また、前記電極絶縁層140A、140Bは、非極性溶媒に対する接触角が55°~95°でありうる。具体的に、前記電極絶縁層140A、140Bの非極性溶媒に対する接触角は、59°~92°でありうる。前記非極性溶媒としては、例えば、ジヨードメタン(diiodomethane)を使用することができる。前記電極絶縁層140A、140Bは、非極性溶媒に対する接触角が前述した範囲を満たす場合、前記荷電粒子121が前記パターン電極層132に吸着することを防止することができて、駆動後に透過モードの具現時に一定の透過率を維持することができ、遮断モードの具現時に優れた遮光率を示すことができる。
【0043】
本出願は、また、前記透過度可変フィルムの用途に関する。本出願の透過度可変フィルムは、電圧印加によって透過モードと遮断モードをスイッチングすることができ、透過モードと遮断モードの反復駆動時に透過モードで透過率を一定に維持することができ、遮断モードで優れた遮光率を示すことができる。このような透過度可変フィルムは、例えば、スマートウィンドウに適用され得る。本明細書で「スマートウィンドウ(Smart Window)」は、入射光、例えば太陽光の透過率を調節できる機能を有するウィンドウを意味するものであって、いわゆるスマートブラインド、電子カーテン、透過度可変ガラスまたは調光ガラスなどと呼ばれる機能性素子を包括する概念である。前記のようなスマートウィンドウを構成する方式は、特に制限されず、前記透過度可変フィルムを含む限り、通常の方式が適用され得る。
【発明の効果】
【0044】
本出願の透過度可変フィルムは、透過モードと遮断モード間の駆動反復時に、透過モードで透過率を一定に維持することができ、遮断モードで優れた遮光率を示すことができ、このような透過度可変フィルムは、スマートウィンドウに有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本出願の一実施例による透過度可変フィルムを例示的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施例によって初期および駆動後に遮断モードを具現した透過度可変フィルムを例示的に示す図である。
【
図3】本出願の一実施例によって駆動後に透過モードを具現した透過度可変フィルムを例示的に示す図である。
【
図4】本出願の比較例2の透過度可変フィルムを例示的に示す図である。
【
図5】本出願の実施例1で製造された透過度可変フィルムにおける電圧信号の印加による透過率を示すグラフである。
【
図6】本出願の実施例1で製造された透過度可変フィルムにおける駆動後に遮断モードで測定した光学顕微鏡イメージである。
【
図7】本出願の比較例2で製造された透過度可変フィルムにおける電圧信号の印加による透過率を示すグラフである。
【
図8】本出願の比較例2で製造された透過度可変フィルムにおける駆動後に遮断モードで測定した光学顕微鏡イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例により制限されるものではない。
【0047】
実施例1
電気泳動層用組成物の製造
非極性の炭化水素溶媒(Isopar G、EXXONMOBIL CHEMICAL社)に200nmの粒径を有するカーボンブラックを3.5wt%で分散させて、電気泳動層用組成物を製造した。
【0048】
第1電極基板の製造
ポリエチレンテレフタレートフィルム(横×縦=100mm×100mm)上にリバースオフセット印刷(reverse offset printing)を通じてAlメタルメッシュ(metal mesh)を3μm範囲の線幅、50μmの平均ピッチおよび145nmの厚さで形成して、第1電極基板を製造した。
【0049】
第2電極基板の製造
ポリエチレンテレフタレートフィルム(横×縦=100mm×100mm)上の全体にITO電極をスパッタリング方法を用いて100nmの厚さで形成して、第2電極基板を製造した。
【0050】
電極絶縁層用組成物の製造
フッ素系樹脂として、下記化学式1で示すポリ2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート(Poly 2,2,3,3,3-pentafluoropropyl methacrylate,PPFPMA)樹脂をポリメチルメタクリレート(Poly methyl methacrylate,PMMA)樹脂と1:1の重量比で溶媒としてテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)と混合して、電極絶縁層用組成物を製造した。
【0051】
【0052】
透過度可変フィルムの製造
前記第1電極基板のAlメタルメッシュが形成された表面および前記第2電極基板のITO電極が形成された表面それぞれに前記電極絶縁層用組成物を塗布した後、80℃で10分間乾燥して、厚さ200nmの電極絶縁層を形成した。この際、前記電極絶縁層用組成物内でフッ素系樹脂であるPPFPMA樹脂は、電極絶縁層の表面、すなわち上部に移動し、アクリレート系樹脂であるPMMA樹脂は、電極絶縁層の下部に移動する相分離が発生した。その後、前記第1電極基板に形成された電極絶縁層上に前記電気泳動層用組成物を塗布した後、前記第2電極基板の電極絶縁層が前記電気泳動層用組成物と接するように第2電極基板をラミネートして、透過度可変フィルムを製造した。
【0053】
実施例2~4および比較例1
電極絶縁層用組成物の製造時に使用された原料の種類、前記原料の混合比および第1電極基板と第2電極基板上に形成された前記電極絶縁層の厚さを下記表1のように変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で透過度可変フィルムを製造した。この際、実施例2で製造された透過度可変フィルムの製造時に、電極絶縁層用組成物を塗布後、乾燥する過程で、前記電極絶縁層用組成物内にフッ素系樹脂であるECBECRYL 8110樹脂は、電極絶縁層の表面、すなわち上部に移動し、アクリレート系樹脂であるTMPTA樹脂は、電極絶縁層の下部に移動する相分離が発生した。また、実施例4で製造された透過度可変フィルムもやはり、電極絶縁層用組成物を塗布後、乾燥する過程で、前記電極絶縁層用組成物内にフッ素系樹脂であるPPFPMA樹脂は、電極絶縁層の表面に移動し、アクリレート系樹脂であるTMPTA樹脂は、電極絶縁層の下部に移動する相分離が発生した。
【0054】
【0055】
比較例2
図4に示されたように、第1電極基板のパターン化されたAl電極および第2電極基板のITO電極上に電極絶縁層を形成せず、前記第1電極基板のパターン化されたAl電極上に電気泳動層用組成物を塗布した後、前記第2電極基板のITO電極が前記電気泳動層用組成物と接するように第2電極基板をラミしたことを除いて、前記実施例1と同じ方法で透過度可変フィルムを製造した。
【0056】
評価例1.電極絶縁層表面のフッ素含量の測定
実施例および比較例の電極絶縁層表面のフッ素含量は、XPS装備(K-Alpha,Thermo Scientific)を用いて20゜の角度でX-rayを照射してat%含量を測定し、その結果を下記表2に記載した。
【0057】
評価例2.表面エネルギーの評価
実施例1~4および比較例1~2で製造された電極絶縁層を形成したり形成しない第1電極基板をシート形態で製造するために、横5cm×縦7cmの試験片で製造した後、前記試験片上にそれぞれ蒸留水およびジヨードメタンをスポイトで1滴ずつ落とした後、常温で水滴型分析器(DCA100,KRUSS社)を用いて測定した接触角を5回反復実施して平均値を評価し、これから求められた水滴の面とジヨードメタンの面の接触角からOwen-Wendt-Rabel-Kaeble方法を用いて表面エネルギーを計算して、その結果を下記表2に記載した。
【0058】
【0059】
評価例3.電圧駆動による透過率の評価
前記実施例および比較例の透過度可変フィルムの第1電極基板のパターン化されたAl電極に(+)電圧を、第2電極基板のITO電極に(-)電圧が印加されるように電力源としてNF programmable AC/DC power source EC1000S(NF Corporation)を連結した。その後、前記透過度可変フィルムは、前記電気泳動層に電圧の非印加時に、遮断モードが具現された。その後、前記透過度可変フィルムは、前記電気泳動層に30Vの電圧を500Hzの周波数で15秒間印加して透過モードが具現された。この際、透過モードと遮断モードの反復駆動時に時間によって10回反復行うことによって、前記遮断モードおよび透過モードでの透過率を電気光学測定装備(LCMS-200、SESIM光電子技術(株))を用いて、可視光に対する電圧印加の前と後の透過率の変化を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0060】
【0061】
前記表3に示されたように、透過度可変フィルム内にフッ素系樹脂を含む電極絶縁層を使用する場合、実施例1~4の透過度可変フィルムのように、前記透過度可変フィルムを透過モードと遮断モードの反復駆動時に、遮断モードの透過率の平均が2%以下であることを確認した。具体的に、実施例1の透過度可変フィルムの場合、
図5に示されたように、透過モードと遮断モードの反復駆動時に、4回駆動から11回駆動までの遮断モードの透過率の平均が1.2%であり、
図6に示されたように、優れた遮光率を有する遮断モードを示すことを確認することができる。この際、初期1回駆動から3回駆動までは、透過度可変特性を獲得する直前の状態でエージング(aging)区間を意味する。すなわち、前記で測定された遮断モードの透過率平均は、4回駆動から11回駆動までの遮断モードで測定した透過率の平均である。反面、透過度可変フィルム内にフッ素系樹脂を含む絶縁層を使用しない場合、比較例1および2の透過度可変フィルムのように、前記透過度可変フィルムを透過モードと遮断モードの反復駆動時に、遮断モードの透過率の平均が2%超過であることを確認した。具体的に、透過度可変フィルム内に絶縁層を使用しない比較例2の透過度可変フィルムの場合、
図7に示されたように、透過モードと遮断モードの反復駆動時に、4回駆動から11回駆動までの遮断モードの透過率の平均が2.5%であり、
図8に示されたように、低い遮光率を有する遮断モードを示すことを確認した。
【0062】
また、前記表3に示されたように、透過度可変フィルム内に絶縁層を使用しない比較例2の透過度可変フィルムの場合、前記透過度可変フィルムを透過モードと遮断モードの反復駆動時に、透過モードの透過率の平均が37%と低い透過率を示すことを確認した。また、
図7に示されたように、前記比較例2の透過度可変フィルムを透過モードと遮断モードの反復駆動時に、4回駆動から11回駆動までの透過モードの透過率が一定でないことを確認した。
【0063】
したがって、実施例1~5の透過度可変フィルムを使用する場合、比較例1および2の透過度可変フィルムに比べて駆動後に遮断モードで遮光率に優れており、透過モードで時間の流れによって優れた透過率を有することを確認した。
【符号の説明】
【0064】
110 第1電極基板
111 第1基材フィルム
112 パターン電極層
120 電気泳動層
121 荷電粒子
130 第2電極基板
131 第2基材フィルム
132 全面電極層
140A、140B 電極絶縁層