(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】膜電極接合体
(51)【国際特許分類】
C25B 9/23 20210101AFI20220802BHJP
B01J 23/22 20060101ALI20220802BHJP
B01J 27/057 20060101ALI20220802BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20220802BHJP
C25B 3/03 20210101ALI20220802BHJP
C25B 3/21 20210101ALI20220802BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/03 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/054 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/063 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/067 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/081 20210101ALI20220802BHJP
C25B 11/087 20210101ALI20220802BHJP
C25B 13/04 20210101ALI20220802BHJP
【FI】
C25B9/23
B01J23/22 M
B01J27/057 Z
B01J35/02 J
C25B3/03
C25B3/21
C25B9/00 A
C25B9/00 G
C25B11/03
C25B11/052
C25B11/054
C25B11/063
C25B11/067
C25B11/081
C25B11/087
C25B13/04 301
(21)【出願番号】P 2018016962
(22)【出願日】2018-02-02
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2017018742
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、個人研究(さきがけ)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 耕
(72)【発明者】
【氏名】堂免 一成
(72)【発明者】
【氏名】影島 洋介
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-011949(JP,A)
【文献】特開2012-072477(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0060161(US,A1)
【文献】特開2012-187511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/23
B01J 23/22
B01J 27/057
B01J 35/02
C25B 3/03
C25B 3/21
C25B 9/00
C25B 11/03
C25B 11/052
C25B 11/054
C25B 11/063
C25B 11/067
C25B 11/081
C25B 11/087
C25B 13/04
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を分解して水素イオンを生成するアノードと、少なくとも1つのベンゼン環を有するベンゼン環有機化合物を光触媒を用いて前記水素イオンによる前記ベンゼン環の水素化により少なくとも1つのシクロヘキサン環を有するシクロヘキサン環有機化合物とするカソードと、水素イオン導電性を有し前記アノードと前記カソードとにより挟持される隔膜と、を備える膜電極接合体であって、
前記隔膜は、少なくとも湿潤したときに透光性を有し、
前記アノードは、透光性を有し、
前記カソードは、光触媒層と、多孔性の集電層とを有し、前記隔膜側から前記光触媒層、前記集電層の順に配置されている、
ことを特徴とする膜電極接合体。
【請求項2】
請求項1記載の膜電極接合体であって、
前記隔膜は、親水性処理が施されたPTFEタイプのメンブレンである、
膜電極接合体。
【請求項3】
請求項2記載の膜電極接合体であって、
前記隔膜は、前記カソード側表面が疎水化処理が施されている、
膜電極接合体。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の膜電極接合体であって、
前記光触媒層は、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物に硫化カドミウムと白金とが装飾されて構成されており、
前記集電層は、モリブデン層とチタン層とを有し、前記光触媒側から前記モリブデン層と前記チタン層との順に配置されている、
膜電極接合体。
【請求項5】
請求項4記載の膜電極接合体であって、
前記光触媒層は、硫化カドミウムと白金の他に酸化チタンまたは酸化ルテニウムが装飾されて構成されている、
膜電極接合体。
【請求項6】
請求項4または5記載の膜電極接合体であって、
前記隔膜と前記カソードとの間に疎らにアニオン交換樹脂が介在する、
膜電極接合体。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれか1つの請求項に記載の膜電極接合体であって、
前記アノードは、透明電極上に形成されたバナジン酸ビスマスによる触媒層を有する、
膜電極接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜電極接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、表面に光触媒を備える第1電極と、第1電極と電気的に接続された第2電極とを、水を含んだ電解質と接触させた状態において、光触媒に光を照射することにより不飽和結合を有する有機化合物を水素化するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、太陽光により水に由来する水素により不飽和結合を有する有機化合物を水素化し、水素化した有機化合物を貯蔵し、必要に応じて有機化合物から水素を取り出すものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術では、太陽光の照射方向に第1電極を配置する必要があるため、例えば、第2電極にも光触媒を用いて第1電極と電解質と第2電極とを膜電極接合体とする場合、光の照射方向に第1電極を配置すれば、背面となる第2電極の光触媒には太陽光を照射することができない。この場合、第2電極に太陽光を照射するためには、1枚あるいは複数枚の鏡を用いることも考えられるが、装置が大がかりとなってしまう。
【0005】
本発明の膜電極接合体は、光の照射方向にカソードを配置しなくてもカソードの光触媒を機能させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の膜電極接合体は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の膜電極接合体は、
水を分解して水素イオンを生成するアノードと、少なくとも1つのベンゼン環を有するベンゼン環有機化合物を光触媒を用いて前記水素イオンによる前記ベンゼン環の水素化により少なくとも1つのシクロヘキサン環を有するシクロヘキサン環有機化合物とするカソードと、水素イオン導電性を有し前記アノードと前記カソードとにより挟持される隔膜と、を備える膜電極接合体であって、
前記隔膜は、少なくとも湿潤したときに透光性を有し、
前記カソードは、光触媒層と、多孔性の集電層とを有し、前記隔膜側から前記光触媒層、前記集電層の順に配置されている、
ことを特徴とする。
【0008】
この本発明の膜電極接合体では、隔膜は少なくとも湿潤したときに透光性を有し、カソードは、光触媒層と、多孔性の集電層とを有し、隔膜側から光触媒層、集電層の順に配置されている。このため、アノード側から光を照射すれば光が隔膜を透過して光触媒に作用し、カソード反応を促進する。したがって、アノードを透光性を有する材料によって構成すれば、鏡を用いることなく、光の照射方向にカソードを配置しなくてもカソードの光触媒を機能させることができる。なお、アノードは、透明電極上に形成されたバナジン酸ビスマスによる触媒層を有するものとすることができる。このアノードはバナジン酸ビスマスが吸収することができない長波長域の光は透過するから、アノード側から光を照射すればアノードと隔膜とを透過した光がカソードの光触媒層に到達し、カソード反応を促進する。
【0009】
こうした本発明の膜電極接合体において、前記隔膜は、親水性処理が施されたPTFEタイプのメンブレンであるものとしてよい。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)である。親水性処理が施されたPTFEタイプのメンブレンは湿潤すると透明性が高くなり、透光性を有するものとなる。
【0010】
この場合、前記隔膜は前記カソード側表面が疎水化処理が施されているものとしてもよい。実験によれば、疎水化処理により膜電極接合体の機能が向上する。
【0011】
本発明の膜電極接合体において、前記光触媒層は、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物に硫化カドミウムと白金とが装飾されて構成されており、前記集電層は、モリブデン層とチタン層とを有し、前記光触媒側から前記モリブデン層と前記チタン層との順に配置されているものとしてもよい。この場合、前記光触媒層は、硫化カドミウムと白金の他に酸化チタンまたは酸化ルテニウムが装飾されて構成されているものとしてもよい。こうすれば、飛躍的にベンゼン環の水素化を促進することができる。これらの場合、前記隔膜と前記カソードとの間に疎らにアニオン交換樹脂が介在するものとしてもよい。実験によれば、疎らにアニオン交換樹脂を介在させることにより膜電極接合体の機能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の膜電極接合体20の構成の概略を示す説明図である。
【
図2】ポアサイズが0.1μmのオムニポアフィルターの顕微鏡写真である。
【
図3】オムニフィルターと比較例のメンブレンフィルターとの乾燥状態を示す写真である。
【
図4】オムニポアフィルターと比較例のメンブレンフィルターとの水中での状態を示す写真である。
【
図5】オムニポアフィルターと比較例のメンブレンフィルターとのトルエン中での状態を示す写真である。
【
図6】オムニポアフィルターの片面に疎水化スプレーを僅かに吹き付けたものの水中での状態を示す写真である。
【
図7】カソード40を取り付けたオムニポアフィルター側からの状態を示す写真である。
【
図8】ITOによる透明電極34上にバナジウム酸ビスマス(BiVO
4)による光触媒層34を構成したものの透明性を説明する説明図である。
【
図9】カソード40の製造の様子を説明する説明図である。
【
図10】2室型光電気化学セル装置50の構成の概略を示す構成図である。
【
図11】実施例1の膜電極接合体20の実験結果を示すグラフである。
【
図12】実施例2の膜電極接合体20の実験結果を示すグラフである。
【
図13】実施例3の膜電極接合体20の実験結果を示すグラフである。
【
図14】白金助触媒42cの修飾の際に酸化ルテニウム(RuO
2)を修飾する場合のカソード40の製造の様子を説明する説明図である。
【
図15】白金助触媒42cの修飾の際に酸化チタン(TiO
2)を修飾する場合のカソード40の製造の様子を説明する説明図である。
【
図16】実施例1~実施例5のカソードフィルター接合体21を2室型光電気化学セル装置50に取り付けたときのメチルシクロヘキサンの単位時間当たりの製造量とファラデー効率(選択率)とを示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、実施形態の膜電極接合体20の構成の概略を示す説明図である。実施形態の膜電極接合体20は、ベンゼン環を有するベンゼン環有機化合物を光触媒を用いてベンゼン環の水素化によりシクロヘキサン環を有するシクロヘキサン環有機化合物にする膜電極接合体として構成され、光触媒層32と透明電極34とを有するアノード30と、光触媒層42と集電層44とを有するカソード40と、アノード30とカソード40とに挟持された隔膜22と、を有する。
【0014】
ベンゼン環有機化合物は、少なくとも1つのベンゼン環を有する有機化合物を意味しており、トルエン、トルエンのメチル基を他のアルキル基に置換した有機化合物、キシレン、キシレンの1つ又は2つのメチル基を他のアルキル基に置換した有機化合物、ナフタレンなどのベンゼン環を2つ以上有する有機化合物などを用いることができる。
【0015】
シクロヘキサン環有機化合物は、少なくとも1つのシクロヘキサン環を有する有機化合物を意味しており、上述のベンゼン環有機化合物のベンゼン環をシクロヘキサン環に水素化した有機化合物となる。
【0016】
隔膜22は、イオン導電性を有し、湿潤状態としたときに透光性を有する材料により膜状に構成されており、例えば、PTFEタイプのメンブレンに親水化処理を施した親水性PTFEタイプメンブレンフィルター、例えば、ポアサイズが0.1μmのオムニポア(Omunipore:メルク社の登録商標)フィルターを用いることができる。ポアサイズが0.1μmのオムニポアフィルターの顕微鏡写真を
図2に示す。このオムニポアフィルターは、直径25mmで気孔率が80%の親水性PTFEタイプメンブレンフィルター(以下、単に「オムニポアフィルター」と称する。)である。
図3は、オムニフィルターと比較例のメンブレンフィルターとの乾燥状態を示す写真であり、
図4は、オムニポアフィルターと比較例のメンブレンフィルターとの水中での状態を示す写真であり、
図5は、オムニポアフィルターと比較例のメンブレンフィルターとのトルエン中での状態を示す写真である。
図3~
図5の比較例のメンブレンフィルターは疎水化処理が施されたメンブレンフィルター(親水化処理が施されていないPTFEタイプメンブレンフィルター)である。図中左側が比較例のメンブレンフィルターであり、図中右側がオムニポアフィルターである。乾燥状態では、
図3に示すように、オムニポアフィルターも比較例のメンブレンフィルターも白色の不透明(不透光)の状態である。水中では、
図4に示すように、比較例のメンブレンフィルターは白色で不透明(不透光)の状態であるが、オムニポアフィルターは高い透明性(透光性)を示す。トルエン中では、比較例のメンブレンフィルターもオムニポアフィルターも半透明の状態となり、ある程度の透光性を有する。
【0017】
隔膜22には、カソード40側の面に対して疎水化スプレーにより僅かに疎水化処理を施すことも好適である。このように、隔膜22のカソード40側の面に対して僅かに疎水化処理を施すことにより、隔膜22を導電するプロトンとカソード40側のベンゼン環有機化合物との親和性が良好となる。
図6は、オムニポアフィルターの片面に疎水化スプレーを僅かに吹き付けたものの水中での状態を示す写真であり、
図7はオムニポアフィルターの片面に疎水化スプレーを僅かに吹き付けたものにカソード40を取り付けて湿潤したものをオムニポアフィルター側から見たオムニポアフィルターの状態を示す写真である。
図6に示すように、片面に疎水化スプレーが僅かに吹き付けられたオムニポアフィルターは、水中では、一部に不透明な部分を有するものの大半は透明性を有するものとなる。
図7に示すように、疎水化スプレーによる僅かな疎水化処理により、オムニポアフィルター本体の疎水性が損なわれず、湿潤することによりほぼ透明化し、背後のカソード40を視認できるようになる。
【0018】
アノード30の透明電極34は、透明膜電極を用いることができ、例えば、酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム:Indium Tin Oxide 以下、「ITO」と称す。)や、フッ素ドープ酸化スズ(Fluorine-doped tin oxide FTO)などを用いることができる。
【0019】
アノード30の光触媒層32は、透光性を有する光触媒により構成されており、光を完全に透過するものだけでなく、半透明のものとしてもよい。例えば、バナジウム酸ビスマス(BiVO
4)などを挙げることができる。
図8は、ITOによる透明電極34上にバナジウム酸ビスマス(BiVO
4)による光触媒層34を構成したものの透明性を説明する説明図である。図示するように、バナジウム酸ビスマス(BiVO
4)は、半透明であり、吸収することができない長波長域の光を透過する。光触媒層32としては、その他、アノード側の光触媒として機能すると共に透光性を有するものであれば如何なるものを用いてもよい。
【0020】
カソード40の光触媒層42は、n型半導体あるいはp型半導体による光触媒により構成されている。例えば、銅(Cu)、インジウム(I)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)の化合物に硫化カドミウム(CdS)と白金(Pt)とが装飾されたものを用いることができる。例えば、セレン化亜鉛(ZnSe)に銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)が固容した(ZnSe)x(CuInyGay-1Se2)x-1で表わされる固容体(以下、「ZnSe:CIGS(Copper Indium Gallium DiSelenide)」と称する。)を担体として硫化カドミウム(CdS)と白金(Pt)を担持させたものや、ZnSe:CIGSに硫化カドミウム(CdS)を担持させ、モリブデン(Mo)とチタン(Ti)を修飾し、更に白金(Pt)を担持させたものを用いることができる。光触媒層42としては、その他、カソード側の光触媒として機能するものであればよいから、例えば、ケイ素(Si)とゲルマニウム(Ge)と炭素(C)のp型の化合物(p型Si1-x-yGexCy (0≦x≦1, 0≦y≦1))などのIV族系材料や、クロム(Cr),アンチモン(Sb),タンタル(Ta),ロジウム(Rh)等をドープしたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、クロム(Cr),鉄(Fe)等をドープしたチタン酸ランタン(LaTi2O7),ニオブ酸スズ(SnNb2O6)などの酸化物や、銅(Cu)とインジウム(In)とガリウム(Ga)とセレン(Se)の化合物(CuInxGax-1Se2(0≦x≦1))、銅(Cu)とインジウム(In)とガリウム(Ga)とイオウ(S)の化合物(CuInxGax-1S2(0≦x≦1))、亜鉛(Zn)とカドミウム(Cd)とテルル(Te)の化合物(ZnxCdx-1Te(0≦x≦1))、AgGaS2,AgIn5S8,NaInS2,AgInZn7S9,CuInGaS2,CuInGaSe2,Cu2ZnSnS4などのカルコゲナイド化合物、アルミニウム(Al)とガリウム(Ga)とインジウム(In)とヒ素(As)の化合物(AlxGa1-x-yInyAs(0≦x≦1,0≦y≦1))などのヒ化物、アルミニウム(Al)とガリウム(Ga)とインジウム(In)とリン(P)の化合物(AlxGa1-x-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦1))などのリン化物、亜鉛(Zn),マグネシウム(Mg),カドミウム(Cd),銅(Cu)を添加したアルミニウム(Al)とガリウム(Ga)とインジウム(In)と窒素(N)の化合物(AlxGa1-x-yInyN(0≦x≦1, 0≦y≦1))などの窒化物、および、例示した光触媒間の固容体などを用いることができる。これらの光触媒は、硫化カドミウム(CdS)や酸化チタン(TiO2)、白金(Pt)といった1つあるいは複数の異種材料で装飾されていてもよく、また、p型半導体特性を示すよう不純物が添加されていてよい。
【0021】
カソード40の集電層44は、多孔性を有しており、光触媒層42の機能を阻害しない導電性材料で構成されている。例えば、モリブデン(Mo)による第1薄層とチタン(Ti)による第2薄層とからなるものを用いることができる。集電層44は、その他、多孔性を有すると共に導電性を有すればよいから、例えば、ニッケル(Ni)フォームをはじめとした導電体フォーム、カーボンペーパー、チタン(Ti)繊維焼結体をはじめとした導電体焼結体、スリット加工を施したチタン(Ti)箔をはじめとした造孔加工を施した板状あるいは箔状の導電体などを用いることができる。
【0022】
次に、実施形態の膜電極接合体20の一例(実施例)の製造の様子について説明する。
A.隔膜22の一例の作成
オムニポアフィルターの片面に疎水化スプレーを僅かに吹き付けたものを空気中で30分程度室温乾燥し、140℃で1時間熱処理を施して完成する。なお、疎水化スプレーとしては、ファインケミカルジャパン株式会社製の「ファイン・フッソコートスプレー」を用いた。
【0023】
B.カソード40の一例の作成(
図9参照)
まず、以下のものを準備する。
セレン化銅(I)(Cu
2Se) 0.08811g(0.428 mmol)
セレン化ガリウム(Ga
2Se
3) 0.03713g(0.0987 mmol)
セレン化インジウム(In
2Se
3) 0.10742g(0.230 mmol)
セレン化亜鉛(ZnSe) 0.53817g(3.73 mmol)
セレン(Se) 0.01731g(0.219 mmol)
塩化リチウム(LiCl) 0.55784g(13.2 mmol)
塩化カリウム(KCl) 0.65398g(8.77 mmol)
【0024】
次に、銅(Cu)が30%ほどリッチとなるようにセレン化銅(I)(Cu2Se)、セレン化ガリウム(Ga2Se3)、セレン化インジウム(In2Se3)、セレン化亜鉛(ZnSe)を塩化リチウム(LiCl)と塩化カリウム(KCl)による溶剤(LiCl:KCl=3:2)に混和し、硫化水素(H2S)の気流下(10mL/min)で550℃で1時間に亘って加熱処理を施し、その後、水洗いして吸引濾過し、残渣を200℃で2時間加熱処理することにより、セレン化亜鉛(ZnSe)に銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)が固容した(ZnSe)0.85(CuIn0.7Ga0.3Se2)0.15で表わされる固容体(ZnSe:CIGS)の粉末を得る。
【0025】
続いて、ZnSe:CIGSの粉末約50mgをイソプロパノール1mL中に懸濁させ、10分間超音波処理を行なうことにより均一な分散液を調整し、水およびエタノールで洗浄した10mm×30mmのガラス基板12にZnSe:CIGS粉末分散液を90μL塗布し、空気中で乾燥させることによりガラス基板12上にZnSe:CIGSの粉末を堆積させる。このZnSe:CIGS粉末分散液の塗布および乾燥の処理を3回程度行なうことによってガラス基板12にZnSe:CIGS粉末分を充分な量を堆積させる(粒子転写法による堆積、
図9(b))。
【0026】
そして、スパッタリング法によりモリブデン(Mo)によるコンタクト層44aを形成し(
図9(c))、更にその上にスパッタリング法によりチタン(Ti)による集電層44bを形成する(
図9(d))。ZnSe:CIGS粉末42aと金属層(コンタクト層44aと集電層44b)との接合体(粒子転写自立膜)をガラス基板12から、カッター等を用いて剥離し、剥離した粒子転写自立膜を30mm×30mmのガラス基板上に静置し、上から少量の蒸留水を滴下し、さらにもう1枚の30mm×30mmのガラス基板で挟み、粒子転写自立膜のない部分をダブルクリップ等で固定する。これを蒸留水で満たしたビーカーに入れ、数秒間超音波処理を行なうことにより、金属層と結着していない過剰のZnSe:CIGS粉末42aを取り除き、粒子転写自立膜を取り出して蒸留水で更に水洗いする。このプロセスを2~4回繰り返して余剰粒子を充分除去し、得られた粒子転写自立膜を空気中で乾燥する(
図9(e))。
【0027】
これを、0.8Mの水酸化カリウム(KOH)の10mlに70mgのシアン化カリウム(KCN)を混合した浴に、1分間浸漬し、過剰な銅(Cu)を除去し、その後水洗いする。これを酢酸カドミウム二水和物((CH
3COO)
2Cd・2H
2O)0.33gと25mlのアンモニア水(NH
3(aq))にチオ尿素(CH
4N
2S)1.43gを溶解したものに蒸留水25mlとを混合し、これを60℃の湯浴に14分間浴し、その後、水洗いして乾燥し、空気中で200℃で1時間焼成し、ZnSe:CIGS44aに硫化カドミウム(CdS)42bを修飾する(
図9(f))。
【0028】
続いて、硫化カドミウム(CdS)42bが修飾されたZnSe:CIGS42aに光電着か真空蒸着により白金(Pt)助触媒42cを修飾してカソード40を完成する(
図9(g))。光電着では、0.1Mの硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)水溶液100mlと10mMのヘキサクロロ白金(IV)酸(H
2PtCl
6)を100μLを混和した溶液に硫化カドミウム(CdS)が修飾されたZnSe:CIGS42aを浸漬し、-0.1V
Ag/AgClの電位で30分間に亘って光(疑似太陽光)を照射することにより、白金(Pt)を担持させる。また、硫化カドミニウム(CdS)42bが修飾されたZnSe:CIGS42aにスパッタリングによりチタン(Ti)を1.5nmとモリブデン(Mo)を1.5nmと堆積させ、その後、光電着により白金(Pt)助触媒を修飾するものとしてもよい。
【0029】
C.隔膜22とカソード40との接合体(カソードフィルター接合体21)の一例の作成
カソード40の白金(Pt)助触媒42cを担時させた面にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下して乾燥させ、隔膜22の疎水化スプレーを僅かに吹き付けた面にカソード40を重ねて140℃で0.096MPaの圧力を作用させて20分間ホットプレスして完成する。
【0030】
次に、実施形態のカソードフィルター接合体21の性能について説明する。以下のように実施例1~実施例3を調製した。
【0031】
(1)実施例1
・隔膜22:疎水化スプレーを僅かに吹き付けたオムニポアフィルター
・カソード40:ZnSe:CIGSに硫化カドミウム(CdS)32bを修飾し、真空蒸着により白金(Pt)助触媒32cを修飾
・カソード40にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下した後に隔膜22に接合
【0032】
(2)実施例2
・隔膜22:疎水化スプレーを僅かに吹き付けたオムニポアフィルター
・カソード40:ZnSe:CIGSに硫化カドミウム(CdS)32bを修飾し、スパッタリングによりチタン(Ti)を1.5nmとモリブデン(Mo)を1.5nm堆積させ、上述の条件で光電着により白金(Pt)助触媒を修飾
・カソード40にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下した後に隔膜22に接合
【0033】
(3)実施例3
・隔膜22:疎水化スプレーを吹き付けていないオムニポアフィルター
・カソード40:ZnSe:CIGSに硫化カドミウム(CdS)32bを修飾し、真空蒸着により白金(Pt)助触媒32cを修飾
・カソード40にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下した後に隔膜22に接合
【0034】
実施例1~実施例3のカソードフィルター接合体21を
図10の2室型光電気化学セル装置50に取り付ける。2室型光電気化学セル50は、図示するように、実施例1~実施例3の膜電極接合体20により隔てられた左側の油相槽52と右側の水相槽54とを備える。油相槽52には、トルエンに0.01容量%のメチルシクロヘキサンと0.05容量%のシクロヘキサンとを混和した溶液が入れられており、水相槽54には、水に、1Mのリン酸カリウム緩衝液(0.5Mのリン酸水素二カリウム(K
2HPO
4)と0.5Mのリン酸二水素カリウム(KH
2PO
4)を含む水溶液を、少量の8Mの水酸化カリウムによってPH7に調整したもの)が加えられた溶液が入れられている。油相槽52および水相槽54には、不活性ガス(アルゴン(Ar)が供給されている。膜電極接合体20のカソード40の集電極42は、ポテンショスタットを介して、水相槽54に取り付けられた基準電極としての銀-塩化銀電極と、白金ワイヤーにより構成された白金電極に接続されるようになっている。油相槽52には、ガスクロマトグラフで計測するためのサンプリング管も取り付けられている。
【0035】
図11~
図13は、実施例1~実施例3のカソードフィルター接合体21を2室型光電気化学セル装置50に取り付けて還元電流をオンオフしたときの電流値と、メチルシクロヘキサン(C
6H
5CH
3)の製造量と、ファラデー効率(選択率)とを示すグラフである。
【0036】
(1)実施例1
図11に示すように、油相槽52でメチルシクロヘキサンが生成されている。なお、この場合のファラデー効率(選択率)は30~40%であった。
【0037】
(2)実施例2
図12に示すように、、油相槽52でメチルシクロヘキサンが生成されている。なお、この場合のファラデー効率(選択率)は20~30%であった。モリブデン(Mo)とチタン(Ti)の修飾により電流の経時での減衰が実施例1に比して僅かに改善されていると考えられる。
【0038】
(3)実施例3
図13に示すように、僅かではあるが、 油相槽52でメチルシクロヘキサンが生成されている。なお、この場合のファラデー効率(選択率)は1.2~1.5%であった。オムニポアフィルターのカソード40側への僅かな疎水化処理が施されていないため、トルエンの供給が困難となって水素が生成したと考えられる。
【0039】
以上説明した実施形態の膜電極接合体20が備えるカソードフィルター接合体21では、湿潤したときに透光性を有する隔膜22と、隔膜22側から光触媒層42、集電層44の順に配置されたカソード40と、を用いて構成する。これにより、アノード30側から光を照射すれば光が隔膜20を透過してカソード40の光触媒層42に照射され、カソード40における反応を促進する。したがって、アノード40を透光性を有するように構成することにより、光の照射方向にカソード40を配置しなくてもカソード40の光触媒層42の光触媒を機能させることができ、ベンゼン環有機化合物のベンゼン環を水素化することができる。しかも、カソード40側への僅かな疎水化処理を施すことにより、飛躍的にベンゼン環の水素化を促進することができる。
【0040】
実施形態の膜電極接合体20では、カソード40の作成において、硫化カドミウム(CdS)42bが修飾されたZnSe:CIGS42aに白金(Pt)助触媒42cを修飾してカソード40を完成するものとした。しかし、白金助触媒42cの修飾の際に酸化チタン(TiO2)や酸化ルテニウム(RuO2)を修飾するものとしてもよい。その場合、白金(Pt)助触媒42cの修飾の前に硫化インジウム(In2S3)を修飾してもよい。以下、これらの場合について説明する。
【0041】
白金助触媒42cの修飾の際に酸化ルテニウム(RuO
2)を修飾する場合のカソード40の製造の様子を
図14に示す。
図14では、ZnSe:CIGS42aに硫化カドミウム(CdS)42bを修飾するまでの処理(
図9(a)~(e))については
図9を用いて説明しているため省略した。なお、実施形態の膜電極接合体20では、コンタクト層44aをスパッタリング法によりモリブデン(Mo)によって形成したが(
図9(c)参照)、白金助触媒42cの修飾の際に酸化チタン(TiO
2)や酸化ルテニウム(RuO
2)を修飾する場合には、コンタクト層44aをスパッタリング法によりカーボン(C)によって形成した。白金助触媒42cの修飾の際に酸化ルテニウム(RuO
2)を修飾する場合、ZnSe:CIGS44aに硫化カドミウム(CdS)42bを修飾(
図9(f)および
図14(f))した後に、硫酸インジウム(■)n水和物(In
2(SO
4)
3
・nH
2O)0.65gとチオアセトアミド(CH
3CSNH
2)0.376gをビーカーに入った蒸留水50ml中に溶解させ、さらに酢酸 0.3mlを加えた浴にCdS42bが修飾されたZnSe:CIGS42aを浸漬させ、これを70℃の熱浴に10分間浴し、その後、水洗いして乾燥することで硫化インジウム(In
2S
3)42dおよび硫化カドミウム(CdS)42bで修飾したZnSe:CIGS42aを得る(
図14(h))。これをIn
2S
3/CdS/ZnSe:CIGSと称する。
【0042】
次に、過ルテニウム酸カリウム(KRuO
4)を含む水溶液100ml中に、硫化インジウム(In
2S
3)と硫化カドミウム(CdS)が修飾されたZnSe:CIGS(In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS)を浸漬させ、-28μAcm
-2の定電流で1.8分間に亘って光(疑似太陽光)を照射することにより酸化ルテニウム(RuO
2)42eで修飾されたIn
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS(RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS)を得る(
図14(i))。
【0043】
そして、これに上述した光電着によって白金(Pt)助触媒42cで修飾することによりRuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS(Pt/RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS)を得る(
図14(j))。さらにこれを過ルテニウム酸カリウム(KRuO
4)を含む水溶液100ml中に浸漬させ、-28μAcm
-2の定電流で1.7分間に亘って光(疑似太陽光)を照射することにより酸化ルテニウム(RuO
2)42eで修飾されたPt/RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS(RuO
2/Pt/RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS)を得る(
図14(k))。
【0044】
白金助触媒42cの修飾の際に酸化チタン(TiO
2)を修飾する場合のカソード40の製造の様子を
図15に示す。
図15では、
図14における酸化ルテニウム(RuO
2)42eで修飾する前までの処理(
図14(a)~(h))については
図14を用いて説明しているため省略した。なお、この場合の酸化ルテニウム(RuO
2)42eを修飾する際の電着に要する時間については酸化ルテニウム(RuO
2)の量を合わせるために3.5分間とした。白金助触媒42cの修飾の際に酸化チタン(TiO
2)を修飾する場合、
図15(i)に示すRuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGSに、酸化チタン(TiO
2)微粒子の分散液(Solaronix Co., Ltd., Ti-Nanoxide HT-L/SC )を20μlを滴下、空気中で乾燥させることにより酸化チタン(TiO
2)微粒子42fで修飾したRuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS(TiO
2/RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS)を得る(
図15(l))。これに上述した光電着によって白金(Pt)助触媒42cで修飾したTiO
2/RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS(Pt/TiO
2/RuO
2/In
2S
3/CdS/ZnSe:CIGS)を得る(
図15(m))。
【0045】
これらの白金助触媒42cの修飾の際に酸化ルテニウム(RuO2)や酸化チタン(TiO2)を修飾したカソード40は、上述したように、白金(Pt)助触媒42cを担時させた面にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下して乾燥させ、隔膜22の疎水化スプレーを僅かに吹き付けた面にカソード40を重ねて140℃で0.096MPaの圧力を作用させて20分間ホットプレスしてカソードフィルター接合体21を完成する。
【0046】
上述の手法により白金助触媒42cの修飾の際に酸化ルテニウム(RuO2)42eを修飾した実施例4と、白金助触媒42cの修飾の際に酸化チタン(TiO2)42fを修飾した実施例5とを調整した。
(1)実施例4
・隔膜22:疎水化スプレーを僅かに吹き付けたオムニポアフィルター
・カソード40:RuO2/Pt/RuO2/In2S3/CdS/ZnSe:CIGS
・カソード40にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下した後に隔膜22に接合
(2)実施例5
・隔膜22:疎水化スプレーを僅かに吹き付けたオムニポアフィルター
・カソード40:Pt/TiO2/RuO2/In2S3/CdS/ZnSe:CIGS
・カソード40にアニオン交換樹脂分散液を5μl滴下した後に隔膜22に接合
【0047】
実施例4および実施例5でも実施例1~実施例3と同様にカソードフィルター接合体21を
図10の2室型光電気化学セル装置50に取り付ける。なお、実施例4および実施例5では、油相槽52には、トルエンに0.01容量%のメチルシクロヘキサンと0.01容量%のシクロヘキサンとを混和した溶液が入れられており、水相槽54には、水に、8Mの水酸化カリウム(KOH)水溶液によってPH13に調整した1Mのリン酸水素2カリウム(K
2HPO
4)が加えられた水溶液が入れられている。
【0048】
図16は、実施例1~実施例5のカソードフィルター接合体21を2室型光電気化学セル装置50に取り付けたときのメチルシクロヘキサン(C
6H
5CH
3:MCH)の単位時間当たりの製造量とファラデー効率(選択率)とを示す一覧表である。
【0049】
(1)実施例4
メチルシクロヘキサン(C6H5CH3:MCH)の単位時間当たりの製造量は1.5μmol h-1 cm-2であり、実施例1,実施例2の0.62μmol h-1 cm-2に比して飛躍的に増加している。ファラデー効率(選択率)はほぼ100%であった。
【0050】
(2)実施例5
メチルシクロヘキサン(C6H5CH3:MCH)の単位時間当たりの製造量は2.8μmol h-1 cm-2であり、実施例1,実施例2の0.62μmol h-1 cm-2に比して飛躍的に増加しており、実施例4の1.5μmol h-1 cm-2に比しても大きな値となっている。ファラデー効率(選択率)はほぼ100%であった。
【0051】
以上説明した実施例4や実施例5とした実施形態の膜電極接合体20が備えるカソードフィルター接合体21では、硫化カドミウム(CdS)42bが修飾されたZnSe:CIGS42aに白金(Pt)助触媒42cを修飾する際に酸化ルテニウム(RuO2)42eや酸化チタン(TiO2)42fを修飾することにより、飛躍的にベンゼン環の水素化を促進することができる。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、膜電極接合体の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
12 基板、20 膜電極接合体、22 隔膜、30 アノード、32 光触媒層、34 透明電極、40 カソード、42 光触媒層、42a ZnSe:CIGS、42b 硫化カドミニウム(CdS)、42c 白金(Pt)助触媒、42d 硫化インジウム(In2S3)、42e 酸化ルテニウム(RuO2)、42f 酸化チタン(TiO2)、44 集電層、44a コンタクト層、44b 集電層、50 2室型光電気化学セル装置、52 油相槽、54 水相槽。