(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-01
(45)【発行日】2022-08-09
(54)【発明の名称】水性分散液の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 2/30 20060101AFI20220802BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20220802BHJP
C08L 33/10 20060101ALI20220802BHJP
C08F 8/44 20060101ALI20220802BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20220802BHJP
C09D 133/06 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
C08F2/30 Z
C08F265/06
C08L33/10
C08F8/44
C09D5/02
C09D133/06
(21)【出願番号】P 2019518521
(86)(22)【出願日】2017-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2017075466
(87)【国際公開番号】W WO2018065571
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-28
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ケーアレッサー
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト レスヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ハーム ヴィーゼ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュタインバッハ
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/142237(WO,A1)
【文献】特表2016-530374(JP,A)
【文献】国際公開第2015/024882(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
C08F 265/00 - 265/10
C08L 1/00 - 101/14
C08F 8/00 - 8/50
C09D 1/00 - 10/00
C09D 101/00 - 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル水性乳化重合によるポリマー粒子の水性分散液の製造方法であって、以下の工程:
i)シードポリマーの水性分散液を、
a)工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対して25.0質量%~99.9質量%の、20℃で50g/L以下の水溶性を有する少なくとも1種の非イオン性のモノエチレン性不飽和のモノマーM1、
b)工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対して0質量%~15.0質量%の、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM2a、および20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM2b、ならびにそれらの混合物から選択される1種以上のモノエチレン性不飽和のモノマーM2、ならびに
c)工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対して0.1質量%~60.0質量%の、少なくとも1種の
、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーの群から選択される、ポリアルキレンオキシド含有物質、
を含有する水性モノマーエマルジョンのラジカル水性乳化重合により製造する工程と、
ii)膨潤シードの水性分散液を、
d)工程ii)で使用されるモノマーおよび工程i)からのシードポリマーの全質量に対して5質量%~99.9質量%の、20℃で50g/L以下の水溶性を有する少なくとも1種の非イオン性のモノエチレン性不飽和のモノマーM3、
e)工程ii)で使用されるモノマーおよび工程i)からのシードポリマーの全質量に対して0質量%~75.0質量%の、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM4a、および20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM4b、ならびにそれらの混合物から選択される1種以上のモノエチレン性不飽和のモノマーM4、ならびに
f)工程ii)で使用されるモノマーおよび工程i)からのシードポリマーの全質量に対して0.1質量%~20.0質量%の、工程i)において得られたシードポリマー、
を含有する水性サスポエマルジョンのラジカル水性乳化重合により製造する工程と、
iii)引き続き、少なくとも1つのポリマーシェルを、シェル形成性モノマーM5の工程ii)において得られた膨潤シードの存在下でのラジカル水性乳化重合により形成することで、エマルジョンポリマー粒子の水性分散液を形成する工程と、
iv)引き続き、工程iii)において得られた水性分散液を、少なくとも1種の塩基を用いて少なくとも7.5のpH値に中和する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
流体力学的分別により測定されるシードポリマーの粒度の容積中央値は、未膨潤の状態で10nm~100nmの範囲内である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
流体力学的分別により測定される膨潤シードの粒度の容積中央値は、未膨潤の状態で50nm~300nmの範囲内である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、α-ω構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、およびそれらの混合物の群から選択される、請求項
1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、一般式(I):
【化1】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、互いに独立してH、またはアルキル、OH、O-アルキル、アリル、O-アリル、フェニル、またはアルキルエステルを表し、
nは、0~1000を意味し、
mは、1~100を意味し、
Xは、以下の式(Ia):
【化2】
の構造を有し、
式(Ia)中、
R
10は、OH、O-アルキル、O-アリル、O-フェニル、またはアルキルエステルを表し、
R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニルを表し、
oは、0~100を表し、
pは、1~100を表し、
tは、0または2を意味し、
uは、0~10を意味し、
vは、0~10を意味し、
w、x、y、zは、互いに独立して、同一または異なって、1~10を表す]のポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーの群から選択される、請求項
1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程iv)を、少なくとも1種の重合可能な可塑化モノマーの存在下で行い、それを引き続き、さらなる工程v)においてラジカル水性乳化重合によって、任意選択でさらなるシェル形成性モノマーM5を添加しつつ重合させる、請求項1から
5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記重合可能な可塑化モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、メチル-2-t-ブチルアクリレート、2-メチル-2-ブテン、2,3-ジメチル-2-ブテン、1,1-ジフェニルエテン、2-フェニルアクリル酸のエステル、アトロパ酸のエステル、およびそれらの混合
物から選択される、請求項
6記載の方法。
【請求項8】
さらなる工程v)において、シェル形成性モノマーM5を工程iii)で得られたエマルジョンポリマー粒子の存在下でラジカル水性乳化重合させることにより、少なくとも1つのさらなるシェルを形成する、請求項1から
7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記モノマーM1は、モノエチレン性不飽和のC
3~C
8-モノカルボン酸とC
1~C
10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC
4~C
8-ジカルボン酸とC
1~C
10-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合
物から選択される、請求項1から
8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーM1は、アクリル酸とC
1
~C
6
-アルカノールとのエステル、メタクリル酸とC
1
~C
6
-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記モノマーM2は、モノエチレン性不飽和のC
3~C
8-モノカルボン酸、その塩および無水物、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記モノマーM3は、モノエチレン性不飽和のC
3~C
8-モノカルボン酸とC
1~C
10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC
4~C
8-ジカルボン酸とC
1~C
10-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合
物から選択される、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記モノマーM3は、アクリル酸とC
1
~C
6
-アルカノールとのエステル、メタクリル酸とC
1
~C
6
-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記モノマーM4は、モノエチレン性不飽和のC
3~C
8-モノカルボン酸、その塩および無水物、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項1から
13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
工程iii)におけるシェル形成性モノマーは、20℃で50g/L以下の水溶性を有する非イオン性のエチレン性不飽和のモノマーM5-1、ならびに該モノマーM5-1と少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM5-2aおよび20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM5-2b、ならびにそれらの混合物から選択されるエチレン性不飽和のモノマーM5-2との混合物から選択される、請求項1から
14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記モノマーM5は、
g)該モノマーM5の全質量に対して25質量%~100.0質量%の少なくとも1種のモノマーM5-1、および
h)該モノマーM5の全質量に対して0質量%~75.0質量%の少なくとも1種のモノマーM5-2
を含む、請求項
15記載の方法。
【請求項17】
前記モノマーM5-1は、モノエチレン性不飽和のC
3~C
8-モノカルボン酸とC
1~C
10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC
4~C
8-ジカルボン酸とC
1~C
10-アルカノールとのエステル、ビニル芳香族化合物、ビニルアルコールまたはアリルアルコールと脂肪族C
1~C
10-モノカルボン酸とのエステル、およびそれらの混合物から選択される、請求項
16記載の方法。
【請求項18】
前記モノマーM5-2は、モノエチレン性不飽和のC
3~C
8-モノカルボン酸、その塩および無水物、不飽和脂肪酸、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項
16記載の方法。
【請求項19】
前記
ポリマー粒子の水性分散液は、該分散液の全含水量に対して20%~40%の内部含水量を有することを特徴とする、請求項
1記載の
方法。
【請求項20】
請求項
1記載の
方法により得られるポリマー粒子の水性分散液の、ペイント剤、紙用コーティング剤、フォーム材、植物保護剤、化粧料、インキ、または熱可塑性成形材料における使用。
【請求項21】
請求項
1記載の
方法により得られるポリマー粒子の水性分散液の、ペイント剤における白色度の向上のための使用。
【請求項22】
請求項1から
18までのいずれか1項記載の方法により得られる
ポリマー粒子の水性分散液を含有するペイント剤
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル水性乳化重合によるポリマー粒子の水性分散液の製造方法、ならびに該水性分散液の、ペイント剤、紙用コーティング剤、フォーム材、植物保護剤、化粧料、インキ、または熱可塑性成形材料における使用に関する。
【0002】
有機中空粒子は、乾燥形において、硬質の外殻により取り囲まれた空気充填された中空空間からなる特別な種類のコア-シェル粒子である。この構造に基づき、該粒子は、光を散乱する特有の特性を有し、それに基づいて該粒子は、前記紙用コーティング剤における白色顔料として、そして化粧料、例えばサンクリームにおいて使用される。そこでは、前記粒子は、部分的に無機白色顔料の二酸化チタン(TiO2)を代替し、残りのTiO2の作用をさらに増強する。
【0003】
C.J.McDonaldおよびM.J.Devonは、Advances in Colloid and Interface Science 2002,99,181-213において、とりわけ有機溶剤または発泡剤による膨潤、炭化水素のカプセル化、またはW/O/W型エマルジョンに基づくアプローチ等の前記中空粒子の一連の製造手法を記載している。環境的な理由からも経済的な理由からも有利な方法は、しかしながら特殊なコア-シェル粒子の浸透膨潤である。
【0004】
国際公開第2015/024882号(WO2015/024882)は、コア-シェル構造を有するエマルジョンポリマー粒子の製造方法を記載している。多段階エマルジョンポリマーは、逐次重合により得られる。シードの製造は、少なくとも1種の非イオン性のエチレン性不飽和のモノマー、および少なくとも1種の非イオン性エチレン性不飽和の親水性モノマーのラジカル水性乳化重合により行われる。引き続き、こうして得られたシードの存在下で膨潤シードが製造される。さらなる重合段階において、この膨潤シード上へと少なくとも1つのシェルを重合させることで、乳化重合体が得られる。こうして得られたシードの存在下で膨潤シードが製造される場合に、乳化重合体として得られた有機中空粒子は、より多量の架橋剤が使用される場合にのみ所望の特性を示すにすぎない。
【0005】
国際公開第2015/024835号(WO2015/024835)は、コア中に少なくとも1種の非イオン性ポリアルキレンオキシド含有物質が使用される、コア-シェル構造を有するエマルジョンポリマー粒子の製造方法を記載している。多段階エマルジョンポリマーは、コア段階ポリマーおよび外殻段階ポリマーの逐次重合により得られる。コア段階ポリマーの製造は、膨潤コアの重合により行われる。引き続き、そのコアの周りに第1のシェルおよびさらなるシェルが重合される。
【0006】
こうして得られたコア段階ポリマーの水性分散液が、特に高められた温度で長期間にわたり貯蔵される場合に貯蔵安定ではないことは、不利であることが分かっている。
【0007】
本発明の課題は、より高い温度でもより長期間にわたり貯蔵安定であるエマルジョンポリマー粒子、またはエマルジョンポリマー粒子の水性分散液、特に有機中空粒子のための製造方法を提供することである。さらに、エマルジョンポリマー粒子の分散液は、より多量の架橋剤を用いなくても改善された白色度を有するべきである。
【0008】
驚くべきことに、前記課題およびそのほかの課題は、以下に記載されるラジカル水性乳化重合によるポリマー粒子の水性分散液の製造方法により解決されることが判明した。
【0009】
したがって、本発明の第1の主題は、ラジカル水性乳化重合によるポリマー粒子の水性分散液の製造方法であって、以下の工程:
i)シードポリマーの水性分散液を、
a)工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対して25.0質量%~99.9質量%、特に50.0質量%~79.9質量%、殊に60.0質量%~75.0質量%の、20℃で50g/L以下の水溶性を有する少なくとも1種の非イオン性のモノエチレン性不飽和のモノマーM1、
b)工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対して0質量%~15.0質量%、特に0.1質量%~10.0質量%、殊に0.5質量%~2.0質量%の、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM2a、および20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM2b、ならびにそれらの混合物から選択される1種以上のモノエチレン性不飽和のモノマーM2、ならびに
c)工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対して0.1質量%~60.0質量%、特に20.0質量%~40.0質量%、殊に24.5質量%~38.0質量%の、少なくとも1種のポリアルキレンオキシド含有物質、
を含有する水性モノマーエマルジョンのラジカル水性乳化重合により製造する工程と、
ii)膨潤シードの水性分散液を、
d)工程ii)で使用されるモノマーおよび工程i)からのシードポリマーの全質量に対して5質量%~99.9質量%、特に45.0質量%~99.8質量%、殊に65質量%~99.0質量%の、20℃で50g/L以下の水溶性を有する少なくとも1種の非イオン性のモノエチレン性不飽和のモノマーM3、
e)工程ii)で使用されるモノマーおよび工程i)からのシードポリマーの全質量に対して0質量%~75.0質量%、特に0.1質量%~50.0質量%、殊に0.5質量%~30質量%の、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM4a、および20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM4b、ならびにそれらの混合物から選択される1種以上のエチレン性不飽和のモノマーM4、ならびに
f)工程ii)で使用されるモノマーおよび工程i)からのシードポリマーの全質量に対して0.1質量%~20.0質量%、0.1質量%~15.0質量%、特に0.5質量%~5.0質量%の、工程i)において得られたシードポリマー、
を含有する水性サスポエマルジョンのラジカル水性乳化重合により製造する工程と、
iii)引き続き、少なくとも1つのポリマーシェルを、シェル形成性モノマーM5の工程ii)において得られた膨潤シードの存在下でのラジカル水性乳化重合により形成することで、エマルジョンポリマー粒子の水性分散液を形成する工程と、
iv)引き続き、工程iii)において得られた水性分散液を、少なくとも1種の塩基を用いて少なくとも7.5のpH値に中和する工程と、
を含む、方法である。
【0010】
本発明のさらなる主題は、本発明による方法により得られる水性ポリマー分散液である。前記ポリマー粒子は、少なくとも3つのポリマー相を有するコア-シェル構造を有し、その際、それらのモノマー組成は、工程i)、ii)、およびiii)で使用されるモノマーに相当する。さらに、前記ポリマー粒子は、閉じ込められた水を有する(内部含水量)。本発明により製造される水性ポリマー分散液は、特に分散液の全含水量に対して20%~40%、特に25%~35%の内部含水量を有する。さらに、前記ポリマー粒子は改善された白色度を有し、または所望の白色度を達成するために必要となる架橋剤の消費量は、より少なくなる。
【0011】
本発明のさらなる主題は、本発明により得られるポリマー粒子の水性分散液の、ペイント剤、紙用コーティング剤、フォーム材、植物保護剤、化粧料、インキ、または熱可塑性成形材料としての使用である。
【0012】
本発明のさらなる主題は、前記水性ポリマー分散液の、ペイント剤における白色度の向上のための使用である。
【0013】
本発明のさらなる主題は、本発明により得られる水性ポリマー分散液を含有するペイント剤である。
【0014】
本発明による方法によって、より長期間にわたり貯蔵安定なポリマー粒子の水性分散液を提供することが可能である。これらの水性分散液は、高められた温度でも貯蔵安定性である。さらに、前記水性分散液は、改善された白色度を有する。さらに、粒度分布はシード量にしか依存しないため、膨潤コアの粒度を制御することが可能である。
【0015】
本発明の範囲においては、表現「アルキル」には、特に1個~30個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状のアルキル基、すなわち「C1~C30-アルキル」が含まれ、有利には、表現「アルキル」には、1個~20個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状のアルキル基、すなわち「C1~C20-アルキル」が含まれる。
【0016】
適切な短鎖アルキル基は、例えば直鎖状または分枝鎖状のC1~C7-アルキル基、有利にはC1~C6-アルキル基、特に有利にはC1~C4-アルキル基である。それには、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル等が該当する。
【0017】
適切なより長鎖のアルキル基は、例えば直鎖状および分枝鎖状のC8~C30-アルキル基、有利にはC8~C20-アルキル基である。その場合に有利には、天然または合成の脂肪酸および脂肪アルコールならびにオキソアルコールにも存在するような、十分に直鎖状のアルキル基である。これには、例えばn-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、およびn-ノナデシルが該当する。アルキルという表現には、非置換および置換のアルキル基が含まれる。
【0018】
上述のアルキルについての説明は、O-アルキル基中のアルキル基、アルカノール、アルキルアミン、アルカンカルボン酸、およびアルキルエステル中のアルキル基のためにも準用される。
【0019】
表現「アルキレン」は、本発明の範囲においては、1個~7個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルカンジイル基、例えばメチレン、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,2-ブチレン、1,3-ブチレン、1,4-ブチレン、2-メチル-1,2-プロピレン等を表す。
【0020】
表現「O-アルキル」は、本発明の範囲においては、酸素原子(O)を介して残分子に結合されている上記定義のアルキル基を表す。
【0021】
表現「アリル」は、本発明の範囲においては、-(CH2)-CH=CH2基を表す。
【0022】
表現「O-アリル」は、本発明の範囲においては、酸素原子(O)を介して残分子に結合されているアリル基を表す。
【0023】
概念「モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸」は、3個~8個の炭素原子を有する、エチレン性不飽和のC=C二重結合を有する一価のカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、またはクロトン酸を表す。
【0024】
概念「モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸」は、4個~8個の炭素原子を有する、エチレン性不飽和のC=C二重結合を有する二価のカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、またはシトラコン酸を表す。
【0025】
アニオン生成基とは、本発明の範囲において、酸基、有利にはカルボキシ基(-COOH)を意味する。アニオン性基とは、本発明の範囲において、特に脱プロトン化されたカルボキシ基、またはカルボキシレート基(-COO-)を意味するが、スルホネート基またはホスホネート基も意味する。
【0026】
工程i):
工程i)においては、シードポリマーの水性分散液の製造は、上記および下記に定義されるモノマーM1、上記および下記に定義されるM2、ならびに上記および下記に定義される少なくとも1種のポリアルキレンオキシド含有物質を含有する水性モノマーエマルジョンのラジカル水性乳化重合によって行われる。
【0027】
シードは、本発明の範囲においては、ポリマー粒子の水性分散液の製造のためのラジカル水性乳化重合の開始時に使用される水性ポリマー分散液に関連する。前記シードは、水性モノマーエマルジョンのラジカル水性乳化重合によって製造され、その際、重合体は、上記および下記に定義される、モノマーM1および任意選択でM2、ならびに少なくとも1種のポリアルキレンオキシド含有物質の存在下に得られる。
【0028】
モノマーM1は、一般的に、20℃および1barで50g/L以下、特に30g/L以下の脱イオン水中での水溶性を有する。モノマーM1の水溶性は、一般的に0.1g/L~30g/L(20℃、1bar)の範囲内である。
【0029】
モノマーM1は、非イオン性、すなわち中性である。モノマーM1は、水性系においてプロトン化されず、酸としても作用しない。
【0030】
モノマーM1は、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM1は、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。モノマーM1は、好ましくはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、ビニルアルコールまたはアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸とのエステル、ビニル芳香族化合物、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルキルアミンとの、C4~C8-ジカルボン酸とジ-C1~C10-アルキルアミンとのアミドおよびジアミド、ならびにそれらの混合物、有利にはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0031】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとの適切なエステルおよびジエステルは、とりわけモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとのエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルエタクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、メリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびラウリル(メタ)アクリレートであるが、またモノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸のジエステル、特にマレイン酸とC1~C30-アルカノールとのジエスエル、例えばジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ(n-プロピル)マレエート、ジイソプロピルマレエート、ジ(n-ブチル)マレエート、ジ(n-ヘキシル)マレエート、ジ(1,1,3,3-テトラメチルブチル)マレエート、ジ(n-ノニル)マレエート、ジトリデシルマレエート、ジミリスチルマレエート、ジペンタデシルマレエート、ジパルミチルマレエート、ジアラキニルマレエート、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリレート」には、アクリル酸の相応のエステルだけでなく、メタクリル酸の相応のエステルも含まれる。
【0032】
ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸との適切なエステルは、例えばビニルホルミエート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、バーサチック酸ビニルエステル、アリルホルミエート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、アリルブチレート、アリルラウレート、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルアクリレート、およびそれらの混合物である。
【0033】
適切なビニル芳香族化合物は、スチレン、2-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-(n-ブチル)スチレン、4-(n-ブチル)スチレン、4-(n-デシル)スチレン、特にスチレンである。
【0034】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとの適切なアミドおよびジアミドは、とりわけアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとのアミド、例えばN-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセリル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドであるが、またマレイン酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとのジアミドおよびイミド、例えばΝ,Ν’-ジメチルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジエチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν’-ジプロピルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(t-ブチル)-マレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(n-オクチル)-マレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(n-ノニル)-マレイン酸ジアミド、Ν,Ν’-ジトリデシルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジミリスチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラメチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラエチルマレイン酸ジアミド、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリルアミド」には、アクリル酸の相応のアミドだけでなく、メタクリル酸の相応のアミドも含まれる。
【0035】
さらなる適切なモノマーM1は、例えばビニルハロゲン化物、ビニリデンハロゲン化物、およびそれらの混合物である。
【0036】
適切なビニルハロゲン化物およびビニリデンハロゲン化物は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、およびそれらの混合物である。
【0037】
好ましくは、前記少なくとも1種のモノマーM1は、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸とC1~C6-アルカノールとのエステル、メタクリル酸とC1~C6-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0038】
有利には、前記少なくとも1種のモノマーM1は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0039】
特に、前記少なくとも1種のモノマーM1は、メチルメタクリレートである。
【0040】
本発明によれば、工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対するモノマーM1の割合は、25.0質量%~99.9質量%の範囲内、特に50.0質量%~79.9質量%の範囲内、特に有利には60.0質量%~75.0質量%の範囲内である。
【0041】
モノマーM2は、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM2a、および20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM2b、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0042】
モノマーM2aは、一般的にアニオン性基またはアニオン生成基を有する。
【0043】
モノマーM2aの第1の群M2a1は、エチレン性不飽和の脂肪酸、特に分子中に10個~24個の炭素原子および1個~4個の二重結合を有するそのような脂肪酸である。それには、アマニ油脂肪酸および不飽和脂肪酸が該当する。
【0044】
適切な脂肪酸は、リシノール酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸から選択される。
【0045】
モノマーM2aの第2の群M2a2は、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM2a2は、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。
【0046】
モノマーM2a2は、少なくとも1個のカルボキシレート基を有するモノエチレン性不飽和のモノマーから選択される。
【0047】
モノマーM2a2は、好ましくはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸、およびそれらの塩、無水物、またはメチル半エステル、モノエチレン性不飽和のC5~C8-トリカルボン酸、およびそれらの塩、無水物、またはそれらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0048】
適切なモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、およびそれらの塩、無水物、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0049】
アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物が特に有利である。
【0050】
適切なモノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの塩、無水物、それらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0051】
適切なモノエチレン性不飽和のC5~C8-トリカルボン酸は、アコニット酸、およびそれらの塩、無水物、またはそれらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0052】
モノマーM2bは、一般的に中性であり、一般的に、20℃および1barで50g/L超、特に70g/L(20℃、1bar)超、有利には80g/L超の脱イオン水中での水溶性を有する。
【0053】
モノマーM2bは、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM2bは、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。
【0054】
モノマーM2bは、少なくとも1個のカルボン酸アミド基を有するモノエチレン性不飽和のモノマーから選択される。
【0055】
モノマーM2bは、例えばモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸の第一級アミド、およびそれらの混合物である。
【0056】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸の適切な第一級アミドは、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびそれらの混合物から選択される。
【0057】
有利には、モノマーM2は、モノマーM2a、特にM2a2から選択される。
【0058】
特に、モノマーM2は、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物から選択される。
【0059】
本発明によれば、工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対するモノマーM2の割合は、0質量%~15.0質量%の範囲内、特に0.1質量%~10.0質量%の範囲内、殊に有利には0.5質量%~2.0質量%の範囲内である。
【0060】
ポリアルキレンオキシドは、2~100、有利には3~50、特に4~25、殊に5~10の重合度を有する、同じまたは異なるC2~C4-オキシアルキレンモノマー構成単位から誘導される基を表す。
【0061】
ポリアルキレンオキシド含有物質は、好ましくは、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドおよびエチレンオキシドのコポリマー、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、ポリアルキレンオキシド-ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアルキレンオキシド-(ポリ)アルキルコポリマー、ポリ(アルキレンオキシド)-ポリ((メタ)アクリレート)ブロックコポリマー、フッ素化されたアルキルエステルポリアルキレンオキシド、フッ素化されたポリアルコキシレート、および高分岐型のポリアルキレンオキシドから選択される。
【0062】
適切なポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、特に例えば、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、α-ω構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、ABAブロック構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、BABブロック構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、さらなるポリアルキレンオキシド-ポリシロキサンブロック配列を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、分岐型ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドコポリマー、およびポリエステル、(フッ素化)(ポリ)アルキル側鎖、ポリアクリレート側鎖を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、ならびにそれらの混合物である。
【0063】
有利には、ポリアルキレンオキシド含有物質は、ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、α-ω構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、特にポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーから選択される。
【0064】
適切なポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーは、例えば一般式(I):
【化1】
[ここで、式(I)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、またはアルキルエステルを表し、
有利には、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、互いに独立してメチルを表し、
nは、0~1000、有利には0~500、特に1~100を意味し、
mは、1~100、有利には1~50、特に1~10を意味し、
Xは、以下の構造(Ia):
【化2】
を有し、
ここで、式(Ia)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
10は、OH、-O-アルキル、-O-アリル、O-フェニル、またはアルキルエステル、有利にはOH、-O-メチル、または-O-ブチルを表し、
R
11、R
13、R
15は、互いに独立してH、-アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
12、R
14、R
16は、互いに独立してH、-アルキル、またはフェニル、有利にはH、またはメチルを表し、
oは、0~100、有利には0~50、特に10~40を表し、
pは、1~100、有利には0~50、特に10~40を表し、
tは、0または2、有利には0を意味し、
uは、0~10、有利には0~6、特に3を意味し、
vは、0~10、有利には0~6、特に3を意味し、
w、x、y、zは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に1を表す]のポリマーである。
【0065】
適切なα-ω構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーは、例えば一般式(II):
【化3】
[ここで、式(II)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、互いに独立してH、アルキル、OH、O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、またはアルキルエステル、有利にはメチルを表し、
nは、0~1000、有利には0~500、特に有利には1~100を表し、
XおよびYは、互いに独立して、以下の式(IIa)の構造:
【化4】
を表し、
ここで、式(IIa)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
7は、OH、O-アルキル、-O-アリル、O-フェニル、またはアルキルエステル、有利にはOH、O-メチル、またはO-ブチルを表し、
R
8、R
10、およびR
12は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
9、R
11、およびR
13は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはH、またはメチルを表し、
oは、0~100、有利には0~50、特に有利には10~40を表し、
pは、1~100、有利には1~50、特に有利には10~40を表し、
tは、0または2、有利には0を意味し、
uは、0~10、有利には0~6、特に有利には3を表し、
vは、0~10、有利には0~6、特に有利には0を表し、
w、x、y、およびzは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表す]のポリマーである。
【0066】
適切なABAブロック構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、BABブロック構造を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、またはさらなるポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロック配列を有するポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーは、例えば一般構造:ABA、BAB、ABAB、BABA、ABABA、BABAB、AABB、BBAA、AABBAA、BBAABB、ならびにブロックAおよびBのさらなる規則的な配列のポリマーである。ブロックAは、例えば以下の一般式(III):
【化5】
[ここで、式(III)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1およびR
6は、さらなるブロックAもしくはBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、アルキル、OH、O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、もしくはアルキルエステルを表し、
R
2、およびR
4は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
3、およびR
5は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはH、またはメチルを表し、
nは、0~100、有利には0~50を表し、
mは、1~100、有利には1~50を表し、
w、x、y、およびzは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表す]で記載され得る。
【0067】
ブロックBは、例えば以下の一般式(IIIa):
【化6】
[ここで、式(IIIa)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
7およびR
18は、さらなるブロックAもしくはBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、もしくはアルキルエステルを表し、
R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、およびR
15は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、またはアルキルエステル、有利にはメチルを表し、
R
9、R
16は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
8、R
17は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはH、またはメチルを表し、
oは、1~1000、有利には1~100を表し、
tおよびuは、0または2、有利には0を表し、
sおよびvは、0~10、有利には0~6、特に有利には3を表し、
pおよびrは、0~10、有利には0~6、特に有利には0を表す]で記載され得る。
【0068】
ブロックBは、以下の一般式(IIIb):
【化7】
[ここで、式(IIIb)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
22およびR
26は、さらなるブロックAもしくはBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、もしくはアルキルエステルを表し、
R
18、R
19、R
20、R
21、R
23、R
24、R
25は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、またはアルキルエステル、有利にはメチルを表し、
aは、0~1000、有利には0~500、特に有利には1~100を表し、
bは、1~100、有利には1~50、特に有利には1~10を表し、
Xは、以下の式(IIIc):
【化8】
の構造を有し、
ここで、式(IIIc)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
27は、OH、-O-アルキル、-O-アリル、O-フェニル、またはアルキルエステル、有利にはOH、O-メチル、またはO-ブチルを表し、
R
28、R
30、およびR
32は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
29、R
31、およびR
33は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはH、またはメチルを表し、
cは、0~100、有利には0~50、特に有利には10~40を表し、
dは、1~100、有利には1~50、特に有利には10~40を表し、
eは、0または2、有利には0を表し、
fは、0~10、有利には0~6、特に有利には3を表し、
gは、0~1、有利には0~6、特に有利には0を表し、
h、i、j、およびkは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表す]でも記載され得る。
【0069】
適切な分岐型ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーは、例えば一般式(IV)または(IVa):
【化9】
[ここで、式(IV)および(IVa)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15は、互いに独立して、H、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、またはアルキルエステル、有利にはメチルを表すが、ただし、前記基R
1~R
15の少なくとも1つは、以下の式(IVb)、(IVc)、(IVd)、(IVe)、(IVf)、または(IVg):
【化10】
【0070】
【化11】
の構造を有し、
ここで、式(IVb)、(IVc)、(IVd)、(IVe)、(IVf)、(IVg)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、およびR
24は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、フェニル、またはアルキルエステル、有利にはメチルを表し、
R
23は、H、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
22は、H、アルキル、またはフェニル、有利にはHまたはメチルを表し、
tは、0または2、有利には0を表し、
sは、0~10、有利には0~6、特に有利には3を表し、
rは、0~10、有利には0~6、特に有利には0を表し、
lは、1~100、有利には1~50、特に有利には1~10を表し、
X、Y、およびZは、互いに独立して、以下の式(IVh):
【化12】
を表し、
ここで、式(IVh)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
25は、OH、-O-アルキル、-O-アリル、O-フェニル、またはアルキルエステル、有利にはOH、O-メチル、またはO-ブチルを表し、
R
26、R
28、R
30は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
27、R
29、R
31は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはH、またはメチルを表し、
iは、0~100、有利には0~50、特に有利には10~40を表し、
jは、1~100、有利には1~50、特に有利には10~40を表し、
qは、0または2、有利には0を表し、
uは、0~10、有利には0~6、特に有利には3を表し、
vは、0~10、有利には0~6、特に有利には0を表し、
w、x、y、およびzは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表し、
nは、0~1000、有利には0~500、特に有利には1~100を表し、
kは、0~1000、有利には0~500、特に有利には1~100を表し、
mは、1~100、有利には1~50、特に有利には1~10を表す]のポリマーである。
【0071】
ポリエステル、(フッ素化)(ポリ)アルキル側鎖、ポリアクリレート側鎖を有する適切なポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマーは、例えば式(V):
【化13】
のポリマーであり、
前記式(V)中、W、X、Y、Zは、互いに独立して、以下の構造(Va):
【化14】
を意味し、
ここで、式(V)および(Va)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
7は、OH、-O-アルキル、-O-アリル、O-フェニル、またはアルキルエステル、有利にはOH、O-メチル、またはO-ブチルを表し、
R
8、R
10、R
12は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはHを表し、
R
9、R
11、R
13は、互いに独立してH、アルキル、またはフェニル、有利にはメチルを表し、
oは、0~100、有利には0~50、特に10~40を表し、
pは、1~100、有利には0~50、特に10~40を表し、
tは、0または2、有利には0を表し、
uは、0~10、有利には0~6、特に3を表し、
vは、0~10、有利には0~6、特に0を表し、
w、x、y、zは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に1を意味し、または
前記式(V)中、W、X、Y、Zは、互いに独立して、以下の構造(Vb):
【化15】
を意味し、
ここで、式(Vb)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
14、R
15、およびR
16は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリルを表し、
lは、1~20を表し、
kは、1~1000を表し、または
前記式(V)中、W、X、Y、Zは、互いに独立して、以下の構造(Vc):
【化16】
を意味し、
ここで、式(Vc)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
17、R
18、R
19、R
20、およびR
21は、互いに独立してH、F、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリルを表し、
qは、1~1000、有利には1~100、特に有利には1~20を表し、または
前記式(V)中、W、X、Y、Zは、互いに独立して、以下の構造(Vd):
【化17】
を意味し、
ここで、式(Vd)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
22、およびR
23は、互いに独立して、HまたはFを表し、
R
24は、H、F、またはメチルを表し、
R
25は、H、またはF、またはアルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、または(ポリ)アルキレンオキシド(-(CR
27H-CH
2-O-)
s-R
28)を表し、
R
26は、H、アルキル、アリル、または(ポリ)アルキレンオキシド(-(CR
27H-CH
2-O-)
s-R
28)を表し、
rは、1~1000を表し、
sは、1~1000を表し、
R
27、およびR
28は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、有利にはHまたはメチルを表し、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は、構造(Ve):
【化18】
への結合点を示し、または互いに独立して、H、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリルを表し、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、X、Y、およびZは、式(V)の上位構造中と同じ定義を有し、
nは、0~1000、有利には0~500、特に有利には1~100を表し、
mは、1~100、有利には1~50、特に有利には1~10を表す。
【0072】
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはスチレンオキシド、およびエチレンオキシドの適切なコポリマーは、例えば、一般式(VI):
【化19】
[ここで、式(VI)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1は、H、アルキル、アリル、またはアルキルエステル、有利にはH、またはアルキル、特に有利にはHを表し、
R
2は、H、アルキル、アリル、またはアルキルエステル、有利にはH、またはアルキル、特に有利にはアルキルを表し、
R
3は、H、メチル、エチル、またはフェニル、有利にはメチルを表し、
n、mは、互いに独立して、1~1000、有利には1~50、特に有利には1~5を表す]のポリマーである。
【0073】
プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの適切なブロックコポリマーは、例えば一般構造:AB、BA、ABA、BAB、ABAB、BABA、ABABA、BABAB、AABB、BBAA、AABBAA、BBAABB、ならびにブロックAおよびBのさらなる規則的な配列のそのようなポリマーである。
【0074】
ブロックAは、例えば一般式(VII):
【化20】
[ここで、式(VII)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2は、さらなるブロックAおよびBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、OH、アルキル、アリル、またはアルキルエステルを表し、
nは、0~1000、有利には1~50、特に有利には1~5を表す]を有し、
ブロックBは、一般式(VIIa):
【化21】
[ここで、式(VIIa)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
3、R
4は、さらなるブロックAおよびBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、アルキル、OH、アリル、またはアルキルエステルを表し、
mは、0~1000、有利には1~50、特に有利には1~5を表す]を有する。
【0075】
適切なポリアルキレンオキシド-ポリ(メタ)アクリレートコポリマーは、例えば一般式(VIII):
【化22】
[ここで、式(VIII)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、互いに独立してH、アルキル、OH、O-アルキル、アリル、O-アリル、またはアルキルエステルを表し、
i、mは、互いに独立して、1~1000を表し、
jは、0~1000を表し、
s、tは、互いに独立して、0~10、有利には0~6を表し、
o、p、q、rは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表し、
R
8、R
9は、互いに独立して、HまたはFを表し、
R
10は、H、F、またはメチルを表し、
R
11は、H、F、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、または(ポリ)アルキレンオキシド-(CR
13H-CH
2-O-)
n-R
14を表し、
R
12は、H、アルキル、アリル、または(ポリ)アルキレンオキシド-(CR
13H-CH
2-O-)
n-R
14を表し、
nは、1~1000を表し、
R
13、R
14は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリル、有利にはH、OH、メチル、エチルを表す]のポリマーである。
【0076】
適切なポリ(アルキレンオキシド)-ポリ((メタ)アクリレート)ブロックコポリマーは、例えば一般構造:ABA、BAB、ABAB、BABA、ABABA、BABAB、AABB、BBAA、AABBAA、BBAABB、ならびにブロックAおよびBのさらなる規則的な配列のポリマーである。
【0077】
ブロックAは、例えば一般式(IX):
【化23】
[ここで、式(IX)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、さらなるブロックAおよびBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、-O-アリルを表し、
i、jは、互いに独立して、0~1000を表し、
s、t、u、vは、互いに独立して、0~10、有利には0~6を表し、
o、p、q、rは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表す]を表し得、その際、
ブロックBは、例えば一般式(IXa):
【化24】
[ここで、式(IXa)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
12、R
13は、互いに独立して、HまたはFを表し、
R
14は、H、F、またはメチルを表し、
R
11、R
15は、さらなるブロックAおよびBとの結合点を示し、または末端基、例えば互いに独立して、H、F、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、または-O-アリルを表し、
R
16は、H、アルキル、アリル、または(ポリ)アルキレンオキシド-(CR
17H-CH
2-O-)
n-R
18を表し、
nは、1~1000を表し、
R
17、R
18は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、または-O-アリル、有利にはメチル、エチル、またはOHを表し、
mは、1~1000を表す]を有する。
【0078】
適切なポリアルキレンオキシド-(ポリ)アルキルコポリマーは、例えば一般式(X):
【化25】
[ここで、式(X)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、互いに独立して、H、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、または-O-アリル、またはアルキルエステルを表し、
i、nは、互いに独立して、1~1000を表し、
jは、0~1000を表し、
s、t、u、vは、互いに独立して、0~10、有利には0~6を表し、
o、p、q、rは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表し、
R
10、R
11、R
12、R
13、R
14は、互いに独立してH、F、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、または-O-アリルを表す]のポリマーである。
【0079】
適切な(フッ素化)アルキルエステル-ポリアルキレンオキシドコポリマーは、例えば一般式(XI):
【化26】
[ここで、式(XI)中の置換基および変数は、以下の意味を有する:
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は、互いに独立してH、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、または-O-アリル、またはアルキルエステルを表し、
iは、1~1000を表し、
jは、0~1000を表し、
s、t、u、vは、互いに独立して、0~20、有利には0~12を表し、
o、p、q、rは、互いに独立して、1~10、有利には1~5、特に有利には1を表し、
R
10、R
11、R
12は、互いに独立してH、F、アルキル、OH、-O-アルキル、アリル、または-O-アリルを表し、
nは、1~20を表し、
mは、1~1000を表す]のポリマーである。
【0080】
高分岐型ポリアルキレンオキシドとは、例えば、欧州特許第1141083号明細書(EP1141083)、独国特許第10211664号明細書(DE10211664)、国際公開第00/56802号(WO00/56802)、国際公開第03/062306号(WO03/062306)、国際公開第96/19537号(WO96/19537)、国際公開第03/54204号(WO03/54204)、国際公開第03/93343号(WO03/93343)、国際公開第05/037893号(WO05/037893)、国際公開第04/020503号(WO04/020503)、独国特許出願公開第102004026904号明細書(DE102004026904)、国際公開第99/16810号(WO99/16810)、国際公開第05/026234号(WO05/026234)、および独国特許出願公開第102005009166号明細書(DE102005009166)に記載されるポリマーを意味する。
【0081】
本発明によれば、工程i)で使用されるモノマーおよびポリアルキレンオキシド含有物質の全質量に対するポリアルキレンオキシド含有物質の割合は、0.1質量%~60.0質量%の範囲内、特に20.0質量%~40.0質量%の範囲内、特に有利には24.5質量%~38.0質量%の範囲内である。
【0082】
流体力学的分別により測定されるシードポリマーの粒度の容積中央値は、未膨潤の状態で10nm~100nmの範囲内である。
【0083】
工程ii):
工程i)で得られたシードポリマーの分散液は、工程ii)において膨潤シードの水性分散液の製造のために使用される。該膨潤シードは、上記および下記に定義される少なくとも1種の非イオン性のモノエチレン性不飽和のモノマーM3、上記および下記に定義される少なくとも1種のモノエチレン性不飽和のモノマーM4を含有する水性サスポエマルジョンの、工程i)で得られたシードポリマーの水性分散液の存在下でのラジカル水性乳化重合によって得られる。
【0084】
モノマーM3は、一般的に、20℃および1barで50g/L以下、特に30g/L以下の脱イオン水中での水溶性を有する。モノマーM3の水溶性は、一般的に0.1g/L~30g/L(20℃、1bar)の範囲内である。
【0085】
モノマーM3は、非イオン性、すなわち中性である。モノマーM3は、水性系においてプロトン化されず、酸としても作用しない。
【0086】
モノマーM3は、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM3は、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。モノマーM3は、好ましくはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、ビニルアルコールまたはアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸とのエステル、ビニル芳香族化合物、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルキルアミンとの、C4~C8-ジカルボン酸とジ-C1~C10-アルキルアミンとのアミドおよびジアミド、ならびにそれらの混合物、有利にはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0087】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとの適切なエステルおよびジエステルは、とりわけモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとのエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルエタクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、メリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびラウリル(メタ)アクリレートであるが、またモノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸のジエステル、特にマレイン酸とC1~C30-アルカノールとのジエスエル、例えばジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ(n-プロピル)マレエート、ジイソプロピルマレエート、ジ(n-ブチル)マレエート、ジ(n-ヘキシル)マレエート、ジ(1,1,3,3-テトラメチルブチル)マレエート、ジ(n-ノニル)マレエート、ジトリデシルマレエート、ジミリスチルマレエート、ジペンタデシルマレエート、ジパルミチルマレエート、ジアラキニルマレエート、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリレート」には、アクリル酸の相応のエステルだけでなく、メタクリル酸の相応のエステルも含まれる。
【0088】
ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸との適切なエステルは、例えばビニルホルミエート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、バーサチック酸ビニルエステル、アリルホルミエート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、アリルブチレート、アリルラウレート、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルアクリレート、およびそれらの混合物である。
【0089】
適切なビニル芳香族化合物は、スチレン、2-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-(n-ブチル)スチレン、4-(n-ブチル)スチレン、4-(n-デシル)スチレン、特にスチレンである。
【0090】
さらなる適切なモノマーM3は、例えばビニルハロゲン化物、ビニリデンハロゲン化物、およびそれらの混合物である。
【0091】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとの適切なアミドおよびジアミドは、とりわけアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとのアミド、例えばN-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセリル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドであるが、またマレイン酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとのジアミドおよびイミド、例えばΝ,Ν’-ジメチルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジエチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν’-ジプロピルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(t-ブチル)-マレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(n-オクチル)-マレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(n-ノニル)-マレイン酸ジアミド、Ν,Ν’-ジトリデシルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジミリスチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラメチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラエチルマレイン酸ジアミド、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリルアミド」には、アクリル酸の相応のアミドだけでなく、メタクリル酸の相応のアミドも含まれる。
【0092】
適切なビニルハロゲン化物およびビニリデンハロゲン化物は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、およびそれらの混合物である。
【0093】
好ましくは、少なくとも1種のモノマーM3は、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸とC1~C6-アルカノールとのエステル、メタクリル酸とC1~C6-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0094】
有利には、少なくとも1種のモノマーM3は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレートから選択される。
【0095】
特に、少なくとも1種のモノマーM3は、メチルメタクリレートである。
【0096】
本発明によれば、工程ii)で使用されるモノマーおよびシードポリマーの全質量に対するモノマーM3の割合は、5.0質量%~99.9質量%の範囲内、特に45.0質量%~99.8質量%の範囲内、特に有利には65.0質量%~99.0質量%の範囲内である。
【0097】
モノマーM4は、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM4a、および20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM4b、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0098】
モノマーM4aは、一般的にアニオン性基またはアニオン生成基を有する。
【0099】
モノマーM4aの第1の群M4a1は、エチレン性不飽和の脂肪酸、特に分子中に10個~24個の炭素原子および1個~4個の二重結合を有するそのような脂肪酸から選択される。それには、アマニ油脂肪酸および不飽和脂肪酸が該当する。
【0100】
適切なアマニ油脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸から選択される。
【0101】
適切な不飽和脂肪酸は、リシノール酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸から選択される。
【0102】
モノマーM4aの第2の群M4a2は、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM4a2は、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。
【0103】
モノマーM4a2は、少なくとも1個のカルボキシレート基を有するモノエチレン性不飽和のモノマーから選択される。
【0104】
モノマーM4a2は、好ましくはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸、およびそれらの塩、無水物、またはメチル半エステル、モノエチレン性不飽和のC5~C8-トリカルボン酸、およびそれらの塩、無水物、またはそれらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0105】
適切なモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、およびそれらの塩、無水物、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0106】
アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物が特に有利である。
【0107】
適切なモノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの塩、無水物、それらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0108】
適切なモノエチレン性不飽和のC5~C8-トリカルボン酸は、アコニット酸、およびそれらの塩、無水物、またはそれらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0109】
モノマーM4bは、一般的に中性であり、一般的に、20℃および1barで50g/L超、特に70g/L(20℃、1bar)超、有利には80g/L超の脱イオン水中での水溶性を有する。
【0110】
モノマーM4bは、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM4bは、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。
【0111】
モノマーM4bは、少なくとも1個のカルボン酸アミド基を有するモノエチレン性不飽和のモノマーから選択される。
【0112】
モノマーM4bは、例えばモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸の第一級アミド、およびそれらの混合物である。
【0113】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸の適切な第一級アミドは、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびそれらの混合物から選択される。
【0114】
有利には、モノマーM4は、M4a、特にM4a2から選択される。
【0115】
特に、モノマーM4は、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物から選択される。
【0116】
本発明によれば、工程ii)で使用されるモノマーおよびシードポリマーの全質量に対するモノマーM4の割合は、0質量%~75.0質量%の範囲内、特に0.1質量%~50.0質量%の範囲内、特に有利には0.5質量%~30.0質量%の範囲内である。
【0117】
本発明によれば、工程ii)で使用されるモノマーおよびシードポリマーの全質量に対する工程i)で得られるシードポリマーの割合は、0.1質量%~20.0質量%の範囲内、特に0.1質量%~15.0質量%の範囲内、特に有利には0.5質量%~5.0質量%の範囲内である。
【0118】
本発明によれば、流体力学的分別により測定される膨潤シードの粒度の容積中央値は、未膨潤の状態で50nm~300nmの範囲内である。有利には、流体力学的分別により測定される膨潤シードの粒度の容積中央値は、未膨潤の状態で50nm~200nmの範囲内である。
【0119】
工程iii):
工程iii)においては、少なくとも1つのポリマーシェルは、工程ii)において得られた膨潤シードの、シェル形成性モノマーM5の存在下でのラジカル水性乳化重合反応によって形成される。それに引き続き、本発明によれば、エマルジョンポリマー粒子の水性分散液が得られる。
【0120】
シェル形成性モノマーM5は、20℃で50g/L以下の水溶性を有する非イオン性のモノエチレン性不飽和のモノマーM5-1、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM5-2aおよび20℃で50g/L超の水溶性を有する中性モノマーM5-2bから選択されるモノエチレン性不飽和のモノマーM5-2、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0121】
モノマーM5-1は、一般的に、20℃および1barで50g/L以下、特に30g/L以下の脱イオン水中での水溶性を有する。モノマーM5-1の水溶性は、一般的に0.1g/L~30g/L(20℃、1bar)の範囲内である。
【0122】
モノマーM5-1は、非イオン性、すなわち中性である。モノマーM5-1は、水性系においてプロトン化されず、酸としても作用しない。
【0123】
モノマーM5-1は、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM5-1は、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。モノマーM5-1は、好ましくはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、ビニルアルコールまたはアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸とのエステル、ビニル芳香族化合物、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルキルアミンとの、C4~C8-ジカルボン酸とジ-C1~C10-アルキルアミンとのアミドおよびジアミド、ならびにそれらの混合物、有利にはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0124】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとの適切なエステルおよびジエステルは、とりわけモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとのエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルエタクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、メリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびラウリル(メタ)アクリレートであるが、またモノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸のジエステル、特にマレイン酸とC1~C30-アルカノールとのジエスエル、例えばジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ(n-プロピル)マレエート、ジイソプロピルマレエート、ジ(n-ブチル)マレエート、ジ(n-ヘキシル)マレエート、ジ(1,1,3,3-テトラメチルブチル)マレエート、ジ(n-ノニル)マレエート、ジトリデシルマレエート、ジミリスチルマレエート、ジペンタデシルマレエート、ジパルミチルマレエート、ジアラキニルマレエート、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリレート」には、アクリル酸の相応のエステルだけでなく、メタクリル酸の相応のエステルも含まれる。
【0125】
ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸との適切なエステルは、例えばビニルホルミエート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルラウレート、ビニルステアレート、バーサチック酸ビニルエステル、アリルホルミエート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、アリルブチレート、アリルラウレート、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルアクリレート、およびそれらの混合物である。
【0126】
適切なビニル芳香族化合物は、スチレン、2-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-(n-ブチル)スチレン、4-(n-ブチル)スチレン、4-(n-デシル)スチレン、特にスチレンである。
【0127】
さらなる適切なモノマーM5-1は、例えばビニルハロゲン化物、ビニリデンハロゲン化物、およびそれらの混合物である。
【0128】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとの適切なアミドおよびジアミドは、とりわけアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとのアミド、例えばN-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセリル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミドであるが、またマレイン酸とC1~C30-アルキルアミンまたはジ-C1~C30-アルキルアミン、特にC1~C10-アルキルアミンまたはジ-C1~C10-アルキルアミンとのジアミドおよびイミド、例えばΝ,Ν’-ジメチルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジエチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν’-ジプロピルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(t-ブチル)-マレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(n-オクチル)-マレイン酸ジアミド、N,N’-ジ-(n-ノニル)-マレイン酸ジアミド、Ν,Ν’-ジトリデシルマレイン酸ジアミド、N,N’-ジミリスチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラメチルマレイン酸ジアミド、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラエチルマレイン酸ジアミド、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリルアミド」には、アクリル酸の相応のアミドだけでなく、メタクリル酸の相応のアミドも含まれる。
【0129】
適切なビニルハロゲン化物およびビニリデンハロゲン化物は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、およびそれらの混合物である。
【0130】
好ましくは、少なくとも1種のモノマーM5-1は、ビニル芳香族化合物、特にスチレン、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸とC1~C6-アルカノールとのエステル、メタクリル酸とC1~C6-アルカノールとのエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0131】
有利には、少なくとも1種のモノマーM5-1は、スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0132】
特に、少なくとも1種のモノマーM5-1は、スチレン、メチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0133】
本発明によれば、使用されるモノマーM5の全質量に対するモノマーM5-1の割合は、25.0質量%~100.0質量%の範囲内、特に60.0質量%~99.9質量%の範囲内、特に有利には90.0質量%~99.0質量%の範囲内である。
【0134】
モノマーM5-2は、少なくとも1個のアニオン性基またはアニオン生成基を有するモノマーM5-2a、および20℃で50g/L超の水溶性を有するモノマーM5-2b、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0135】
モノマーM5-2aは、一般的にアニオン性基またはアニオン生成基を有する。
【0136】
モノマーM5-2aの第1の群M5-2a1は、エチレン性不飽和の脂肪酸、特に分子中に10個~24個の炭素原子および1個~4個の二重結合を有するそのような脂肪酸である。それには、アマニ油脂肪酸および不飽和脂肪酸が該当する。
【0137】
適切な脂肪酸は、リシノール酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、イコセン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸から選択される。
【0138】
モノマーM5-2aの第2の群M5-2a2は、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM5-2a2は、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。
【0139】
モノマーM5-2a2は、少なくとも1個のカルボキシレート基またはカルボン酸アミド基を有するモノエチレン性不飽和のモノマーから選択される。
【0140】
モノマーM5-2a2は、好ましくはモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸、およびそれらの塩、無水物、またはメチル半エステル、モノエチレン性不飽和のC5~C8-トリカルボン酸、およびそれらの塩、無水物、またはそれらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0141】
適切なモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、メタクリルオキシプロピオン酸、アクリルオキシ酢酸、メタクリルオキシ酢酸、クロトン酸、およびそれらの塩、無水物、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0142】
適切なモノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの塩、無水物、それらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0143】
適切なモノエチレン性不飽和のC5~C8-トリカルボン酸は、アコニット酸、およびそれらの塩、無水物、またはそれらのモノメチルエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0144】
モノマーM5-2bは、一般的に中性であり、一般的に、20℃および1barで50g/L超、特に70g/L(20℃、1bar)超、有利には80g/L超の脱イオン水中での水溶性を有する。
【0145】
モノマーM5-2bは、モノエチレン性不飽和であり、すなわちモノマーM5-2bは、正確に1個のエチレン性不飽和のC=C二重結合を有する。
【0146】
モノマーM5-2bは、少なくとも1個のカルボン酸アミド基を有するモノエチレン性不飽和のモノマーから選択される。
【0147】
モノマーM5-2bは、例えばモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸の第一級アミド、およびそれらの混合物である。
【0148】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸の適切な第一級アミドは、アクリルアミド、メタクリルアミド、およびそれらの混合物から選択される。
【0149】
有利には、モノマーM5-2は、M5-2a、特にM5-2a1から選択される。
【0150】
特に、モノマーM5-2は、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの混合物、特にメタクリル酸から選択される。
【0151】
本発明によれば、使用されるモノマーM5の全質量に対するモノマーM5-2の割合は、0.0質量%~75.0質量%の範囲内、特に0.1質量%~40.0質量%の範囲内、特に有利には1質量%~10.0質量%の範囲内である。
【0152】
工程iv):
工程iii)で得られるエマルジョンポリマー粒子の分散液は、工程iv)において少なくとも1種の塩基により少なくとも7.5のpH値に調整される。
【0153】
適切な塩基は、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、アンモニア、第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミンから選択される。
【0154】
適切なアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、およびそれらの混合物である。
【0155】
適切なアミンは、エチルアミン、プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリン、エチレンジアミン、2-ジエチルアミンエチルアミン、2,3-ジアミノプロパン、1,2-プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、またはそれらの混合物である。
【0156】
中和は、有利にはアンモニアまたは水酸化ナトリウムを用いて実施される。
【0157】
中和は、少なくとも1種の可塑化モノマーの存在下に行われ得る。中和はまた、可塑化モノマーの添加後にも行われ得る。
【0158】
好ましくは、工程iv)における中和は、可塑化モノマーの添加後に行われる。
【0159】
可塑化モノマーは、181℃未満、有利には95℃未満の天井温度を有する可塑化モノマーである。工程iv)が可塑化モノマーの存在下で実施される場合に、可塑化モノマーとは、例えばモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、モノエチレン性不飽和のC4~C8-ジカルボン酸とC1~C10-アルカノールとのエステル、ビニル芳香族化合物、2-メチル-2-ブテン、2,3-ジメチル-2-ブテン、1,1-ジフェニルエテン、2-フェニルアクリル酸のエステル、アトロパ酸のエステル、およびそれらの混合物、有利にはビニル芳香族化合物を意味する。
【0160】
モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸およびC4~C8-ジカルボン酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとの適切なエステルおよびジエステルは、とりわけ、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のエステル、特にアクリル酸およびメタクリル酸とC1~C30-アルカノール、特にC1~C10-アルカノールとのエステル、例えばメチル-2-t-ブチルアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、オレイルアクリレート、オレイルメタクリレート、パルミチルアクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、およびそれらの混合物である。その場合に、概念「(メタ)アクリレート」には、アクリル酸の相応のエステルだけでなく、メタクリル酸の相応のエステルも含まれる。
【0161】
適切なビニル芳香族化合物は、スチレン、2-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-(n-ブチル)スチレン、4-(n-ブチル)スチレン、4-(n-デシル)スチレン、α-メチルスチレン、およびそれらの混合物、特にスチレン、α-メチルスチレン、およびそれらの混合物である。
【0162】
2-フェニルアクリル酸のエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、n-プロピルエステル、およびn-ブチルエステルが特に適している。
【0163】
アトロパ酸のエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、n-プロピルエステル、およびn-ブチルエステルが特に適している。
【0164】
さらなる可塑化モノマーは、J.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook 3rd Edition,11/316ffに挙げられている。
【0165】
特に有利には、工程iv)における可塑化モノマーとしてスチレンまたはα-メチルスチレンが使用される。
【0166】
可塑化モノマーが重合し得るラジカル流が本質的に存在しないことを保証するためには、1種以上の重合抑制剤の添加、1種以上の還元剤の添加、フリーラジカルがもはや大した量で存在しなくなった結果として中断が起こるまで十分な時間にわたり待つこと、反応器の内容物を冷却することで、フリーラジカルの反応性だけでなく熱的崩壊による新たなラジカルの形成を制限すること、ならびにそれらの組み合わせ等の種々の手段が存在する。
【0167】
有利な手段は、1種以上の重合抑制剤の添加を包含する。適切な重合抑制剤は、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソジフェニルアミン、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン、p-フェニレンジアミン、フェナチアジン、アロオシメン、トリエチルホスファイト、4-ニトロソフェノール、2-ニトロフェノール、p-アミノフェノール、4-ヒドロキシ-TEMPO(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシとしても知られる、フリーラジカル)、ヒドロキノン、p-メトキシヒドロキノン、t-ブチル-p-ヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ヒドロキノン、1,4-ナフタリンジオール、4-t-ブチル-1-カテコール、硫酸銅、硝酸銅、クレゾール、およびフェノールから選択される。
【0168】
典型的な還元剤は、還元作用を有する硫黄化合物、例えばアルカリ金属の重亜硫酸塩、亜硫酸塩、スルフィン酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩、およびテトラチオン酸塩およびアンモニウム化合物、ならびにそれらの付加物、例えばヒドロキシメチルスルフィン酸ナトリウム、およびアセトン重亜硫酸塩、ならびに還元作用を有するポリヒドロキシ化合物、例えば炭水化物、およびそれらの誘導体、例えばアスコルビン酸、イソアスコルビン酸、およびそれらの塩(例えば、エリソルビン酸ナトリウム)である。使用される場合に、重合抑制剤または還元剤は、ポリマー固体を基準にして、本質的にすべての重合を停止させる作用量で、一般的に25部/百万(「ppm」)から5000ppm、好ましくは50ppm~3500ppmで添加される。有利には、1種以上の重合抑制剤または還元剤が添加されるが、多段階ポリマーは、外殻段階ポリマーが重合された温度またはそれ未満の温度で存在する。
【0169】
工程iv)が可塑化モノマーの存在下で実施される場合に、可塑化モノマーの割合は、エマルジョンポリマーの全質量に対して0.5質量%~20質量%の範囲内、有利にはエマルジョンポリマーの全質量に対して2.0質量%~10.0質量%の範囲内である。
【0170】
工程v)および工程vi):
工程iv)に引き続き、さらなる工程v)においては、工程iv)で得られたポリマー粒子の分散液の、さらなるシェル形成性モノマーM5の添加によるラジカル重合によってさらなるシェルが形成され得る。
【0171】
モノマーM5は、先に定義されている。
【0172】
好ましくは、工程v)における少なくとも1種のモノマーM5-1は、ビニル芳香族化合物、ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1~C30-モノカルボン酸とのエステル、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0173】
特に、工程v)における少なくとも1種のモノマーM5-1は、スチレン、アリルメタクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0174】
有利には、工程v)におけるモノマーM5-2は、M5-2a2から選択される。特に、工程v)におけるモノマーM5-2は、アクリル酸、およびメタクリル酸、特にメタクリル酸から選択される。
【0175】
任意に、さらなる工程vi)においては、工程v)で得られたエマルジョンポリマー粒子の少なくとも1つのさらなるシェルは、前記定義のモノマーM5の少なくとも1つの存在下でのラジカル水性乳化重合において形成され得る。
【0176】
工程i)、ii)、iii)、iv)、v)、およびvi)は、モノマーM1、M2、M3、M4、M5および可塑化モノマーに加えて、1種以上のモノマーM6を含み得る。M6は、モノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のヒドロキシ-C2~C4-アルキルエステル、およびそれらの混合物から選択される。
【0177】
M6として適したモノエチレン性不飽和のC3~C8-モノカルボン酸のヒドロキシ-C2~C4-アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸およびメタクリル酸のヒドロキシ-C2~C4-アルキルエステル、例えば2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルエタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0178】
Foxの式(John Wiley&Sons Ltd.,Baffins Lane,Chichester,England,1997)により測定されるコア段階ポリマーのガラス転移温度は、プロトン化された状態で-20℃~150℃である。
【0179】
水溶液または希釈において重合される場合に、モノマーM1~M6および可塑化モノマーは、重合の前にまたは重合の間に完全にまたは部分的に塩基により中和され得る。塩基としては、例えばアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミン、例えばエチルアミン、プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モルホリン、エチレンジアミン、2-ジエチルアミンエチルアミン、2,3-ジアミノプロパン、1,2-プロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、または上述の塩基の混合物が使用され得る。
【0180】
前記重合体は、乳化重合の通常の重合法により製造され得る。有利には、酸素の排除下で、好ましくは窒素流において作業される。該重合法のためには、通常の装置、例えば撹拌槽、撹拌槽カスケード、オートクレーブ、管形反応器、および混練機が使用される。前記重合は、溶剤または希釈剤、例えばトルエン、o-キシレン、p-キシレン、クメン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、アルキル芳香族化合物の工業用混合物、シクロヘキサン、脂肪族化合物の工業用混合物、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコール、およびグリコール誘導体、ポリアルキレングリコール、およびそれらの誘導体、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸メチルエステル、イソプロパノール、エタノール、水、または混合物、例えばイソプロパノール/水混合物中で行うことができる。
【0181】
前記重合は、20℃~300℃の、好ましくは50℃~200℃の温度で実施され得る。
【0182】
前記重合は、好ましくはラジカル形成性化合物の存在下で実施される。重合に際して使用されるモノマーに対して30質量%以下、好ましくは0.05質量%~15質量%、特に有利には0.2質量%~8質量%のこれらの化合物が必要とされる。多成分開始剤系(例えば、レドックス開始剤系)の場合には、上記質量表記は、成分の合計を基準とするものである。
【0183】
適切な重合開始剤は、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸塩、過炭酸塩、ペルオキシエステル、過酸化水素、およびアゾ化合物である。
【0184】
水溶性または水不溶性でもあり得る開始剤の例は、過酸化水素、ジベンゾイルペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルネオデカノエート、t-アミルペルピバレート、t-ブチルペルピバレート、t-ブチルペルネオヘキサノエート、t-ブチルペル-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルベンゾエート、ペルオキソ二硫酸リチウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、およびペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾジイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、ならびに4,4-アゾビス(4-シアノ吉草酸)である。
【0185】
開始剤は、単独で、または互いの混合物で、例えば過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムとの混合物で使用することができる。水性媒体中での重合のためには、有利には水溶性開始剤が使用される。
【0186】
また公知のレドックス開始剤系も重合開始剤として使用され得る。そのようなレドックス開始剤系は、少なくとも1種のペルオキシド含有化合物を、レドックス共開始剤、例えば還元作用を有する硫黄化合物、例えばアルカリ金属の重亜硫酸塩、亜硫酸塩、スルフィン酸塩、チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩、およびテトラチオン酸塩、ならびにアンモニウム化合物、およびそれらの付加物、例えばヒドロキシメチルスルフィン酸ナトリウム、およびアセトン重亜硫酸塩、ならびにアスコルビン酸、イソアスコルビン酸、およびエリソルビン酸ナトリウムと組み合わせて含有する。こうして、ペルオキソ二硫酸塩とアルカリ金属またはアンモニウムの亜硫酸水素塩との組み合わせ、例えばペルオキソ二硫酸アンモニウムおよび二亜硫酸アンモニウムが使用され得る。ペルオキシド含有化合物とレドックス共開始剤との量は、30:1~0.05:1である。
【0187】
開始剤またはレドックス開始剤系と組み合わせて、さらに遷移金属触媒、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、およびマンガンの塩が使用され得る。適切な塩は、例えば硫酸鉄(II)、塩化コバルト(II)、硫酸ニッケル(II)、塩化銅(I)である。重合されるべきモノマー、または重合されるべきある段階のモノマーに対して、還元作用を有する遷移金属塩は、0.1ppm~1000ppmの濃度で使用される。このように、過酸化水素と鉄(II)塩との組み合わせ、例えば0.5%~30%の過酸化水素と0.1ppm~500ppmのモール塩との組み合わせが使用され得る。
【0188】
有機溶剤中での重合の場合にも、上述の開始剤と組み合わせて、レドックス共開始剤および/または遷移金属触媒、例えばベンゾイン、ジメチルアニリン、アスコルビン酸、ならびに重金属、例えば銅、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル、およびクロムの有機可溶性錯体が使用され得る。レドックス共開始剤または遷移金属触媒の通常使用される量は、ここで通常は、使用されるモノマーの量に対して約0.1ppm~1000ppmである。
【0189】
重合のために考慮される温度範囲の下限で反応混合物を部分的に重合させ、引き続きより高い温度で完全に重合させる場合に、異なる温度で分解するため、各々の温度間隔で十分な濃度のラジカルを利用可能である少なくとも2種の異なる開始剤もしくは開始剤系を使用すること、またはペルオキシド含有成分が低い温度でまず最初に共開始剤により活性化され、より高い温度で熱的に分解され、さらなる共開始剤が必要とされないレドックス開始剤系を使用することが適切である。
【0190】
開始剤は、段階的に添加されてもよく、または開始剤の添加速度は、時間にわたり変動されてもよい。
【0191】
低い平均分子量を有する重合体を製造するためには、しばしば共重合を調節剤の存在下で実施することが適切である。このためには、通常の調節剤、例えば有機SH基を有する化合物、例えば2-メルカプトエタノール、2-メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、t-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、およびt-ドデシルメルカプタン、C1~C4-アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ヒドロキシルアンモニウム塩、例えば硫酸ヒドロキシルアンモニウム、ギ酸、重亜硫酸ナトリウム、次亜リン酸、またはそれらの塩、またはイソプロパノールが使用され得る。重合調節剤は、一般的にモノマーに対して0.1質量%~20質量%の量で使用される。適切な溶剤の選択によっても、平均分子量に影響を与えることができる。このように、ベンジル性水素原子を有する希釈剤の存在下、または第二級アルコール、例えばイソプロパノールの存在下での重合は、連鎖移動による平均分子量の低下をもたらす。
【0192】
低分子量またはより低い分子量を有する重合体は、温度の変動、および/または開始剤濃度の変動、および/またはモノマーの供給速度の変動によっても得られる。
【0193】
より高分子の共重合体を製造するためには、しばしば重合に際して架橋剤の存在下で作業することが適切である。そのような架橋剤は、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、例えば少なくとも二価の飽和アルコールのジアクリレートまたはジメタクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,2-プロピレングリコールジアクリレート、1,2-プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオール-1,4-ジアクリレート、ブタンジオール-1,4-ジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチルペンタンジオールジアクリレート、および3-メチルペンタンジオールジメタクリレートである。また、2個より多くのOH基を有するアルコールのアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、またはトリメチロールプロパントリメタクリレートも架橋剤として使用され得る。さらなる種類の架橋剤は、それぞれ200g/mol~9000g/molの分子量を有するポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレートである。ジアクリレートまたはジメタクリレートの製造のために使用されるポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールは、好ましくはそれぞれ400g/mol~2000g/molの分子量を有する。エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドの単独重合体の他に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなるブロック共重合体、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからの、エチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位を統計的分布で含む共重合体も使用され得る。またエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのオリゴマー、例えばジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、および/またはテトラエチレングリコールジメタクリレートも架橋剤の製造のために適している。
【0194】
架橋剤としては、さらにビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルイタコネート、アジピン酸ジビニルエステル、ブタンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、メチルアリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、トリアリルサッカロース、ペンタアリルサッカロース、ペンタアリルスクロース、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、ジビニルベンゼン、ジビニルジオキサン、トリアリルシアヌレート、テトラアリルシラン、テトラビニルシラン、およびビスアクリルシロキサンまたはポリアクリルシロキサン(例えば、Evonik Industries AG社のTegomere(登録商標))が適している。
【0195】
架橋剤は、好ましくは重合されるべきモノマー、または重合されるべきある段階のモノマーに対して0.1質量%~70質量%の量で使用される。架橋剤は、各々の段階で添加され得る。
【0196】
さらに、モノマー液滴またはポリマー粒子を、界面活性補助剤により安定化させることが有利であり得る。典型的には、そのためには乳化剤または保護コロイドが使用される。アニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、および両性乳化剤が該当する。アニオン性乳化剤は、例えばアルキルベンジルスルホン酸、アルカリ土類金属アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホン化脂肪酸、スルホン化オレフィン、スルホン化ジフェニルエーテル、スルホコハク酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、アルキルフェノール硫酸塩、アルキルポリグリコールエーテル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、脂肪アルコールリン酸塩、アルキルフェノールリン酸塩、アルキルポリグリコールエーテルリン酸塩、アルキルポリアルキレンオキシドリン酸塩、および脂肪アルコールエーテルリン酸塩である。非イオン性乳化剤としては、例えばアルキルフェノールエトキシレート、第一級アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、アルカノールアミドエトキシレート、および脂肪アミンエトキシレートが使用され得る。カチオン性乳化剤または両性乳化剤としては、例えば第四級化アミンアルコキシレート、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、およびスルホベタインが使用される。
【0197】
一般的な保護コロイドは、例えばセルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルスクシンイミド、ポリビニル-2-メチルスクシンイミド、ポリビニル-1,3-オキサゾリドン-2、ポリビニル-2-メチルイミダゾリン、ならびに例えば独国特許第2501123号明細書(DE2501123)に記載されているマレイン酸または無水マレイン酸を有する共重合体である。
【0198】
好ましくは、アルカリ土類金属アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルポリグリコールエーテル硫酸塩が使用される。
【0199】
乳化剤または保護コロイドは、通常は、重合されるべきモノマー、または重合されるべきある段階のモノマーに対して0.05質量%~20質量%の濃度で使用される。
【0200】
重合の実施は、多数の変形形態によれば連続的にまたは断続的に実施され得る。通常は、モノマーの一部は、任意選択で、適切な希釈剤または溶剤中で、そして任意選択で乳化剤、保護コロイド、またはその他の補助剤の存在下に装入され、不活性化され、所望の重合温度に至るまで温度が高められる。しかしながら、適切な希釈剤のみが装入されていてもよい。定義された期間内に、ラジカル開始剤、さらなるモノマー、およびその他の補助剤、例えば調節剤または架橋剤が、それぞれ任意選択で希釈剤中で計量供給される。供給時間は、様々な長さで選択され得る。例えば、開始剤供給のために、モノマー供給よりも長い供給時間が選択され得る。
【0201】
重合体が水蒸気揮発性溶剤または溶剤混合物中で製造される場合に、該溶剤を水蒸気の導入により分離することで、水溶液または分散液に至らしめることができる。該重合体からは有機希釈剤を、乾燥法によって分離することもできる。
【0202】
本発明による方法によって、ペイント剤における明らかにより高い散乱効率と、それにより白色度の明らかな改善とが得られる。さらに、明らかにより大きな中空空間を有する粒子が得られる。重合体粒子の白色度は、70より大きく、有利には79より大きい。
【0203】
本発明による方法により得られる水性ポリマー分散液は、分散液の全含水量に対して20%~40%、特に25%~35%の内部含水量を有する。
【0204】
相対的な内部含水量は、試料の全含水量に対するコア-シェル粒子の内部における水占有量の割合である。内部含水量は、パルス磁場勾配1H-NMR実験により測定され得る。測定法は、実施例部分でより詳細に記載される。
【0205】
本発明により得られるポリマー分散液がペイントのために使用される場合に、平均最終粒度は100nm~600nmであるべきであり、紙および化粧品で使用するためには、200nm~2500nmであるべきであり、そしてフォーム材のためには300nm~800nmであるべきである。
【0206】
ペイントにおいては、通常使用される顔料、特にTiO2は、本明細書に記載され、本発明による方法により得られるポリマー分散液によって完全にまたは部分的に置き換えられ得る。一般的に、そのようなペイント剤は、とりわけ水、増粘剤、塩基、顔料分散剤、会合性増粘剤、消泡剤、殺生物剤、結合剤、および被膜形成助剤を含有する。
【0207】
本発明による方法により得られるポリマー分散液は、同様の用途のために、樹脂様縮合生成物、フェノレートおよびアミノプラスト、例えば尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒドからなる別のコーティングにおいて使用され得る。同様に、水分散可能なアルキド、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル、ならびにスチレンブタジエンを基礎とするその他のコーティングにおける使用も可能である。
【0208】
本発明による方法により得られるポリマー分散液の紙用コーティング剤中での使用は、紙の光沢の向上をもたらす。それは、無機顔料とは異なり、圧力下に変形可能な外被に起因し得る。紙印刷品質も高められる。無機顔料を本明細書に記載される本発明による方法により得られるポリマー分散液と交換することで、コーティング密度の低下、ひいてはより軽い紙がもたらされる。
【0209】
化粧品においては、本発明による方法により得られるポリマー分散液は、例えば日焼け止めクリームにおいて光保護の強化のために使用され得る。優れた光散乱特性によって、サンクリーム中のUV活性物質による紫外線の吸収の確度が高められる。
【0210】
本発明による方法により得られるポリマー分散液はさらに、フォーム材、植物保護剤、熱可塑性成形材料、およびインキにおいて使用され得る。
【0211】
本発明の主題は、前記の本発明による方法により得られる水性ポリマー分散液である。
【0212】
本発明のさらなる主題は、本発明による水性ポリマー分散液の、ペイント剤、紙用コーティング剤、フォーム材、植物保護剤、化粧料、インキ、または熱可塑性成形材料における使用である。
【0213】
本発明のさらなる主題は、本発明による水性ポリマー分散液の、ペイント剤における白色度の向上のための使用である。
【0214】
本発明のさらなる主題は、本発明による方法により得られる水性ポリマー分散液を含有するペイント剤である。
【0215】
本発明のさらなる主題は、
a)前記定義の水性ポリマー分散液もしくはエマルジョンポリマー粒子、
b)少なくとも1種の被膜形成性ポリマー、
c)任意選択で、有機充填剤もしくは無機充填剤、および/または
d)任意選択で、さらなる有機顔料もしくは無機顔料、
e)任意選択で、少なくとも1種の通常の助剤、および
f)水
を含有する水性組成物の形のペイント剤である。
【0216】
適切な被膜形成性ポリマーは、純粋なアクリレートポリマーまたはスチレンアクリレートポリマーを基礎とする水性乳化重合体、ならびにフェノレートおよびアミノプラストを含むだけでなく尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒドを含む樹脂様縮合生成物からなるコーティングのためのあらゆるその他の被膜形成性ポリマーであり得る。同様に、水分散可能なアルキド、ポリウレタン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル、ならびにスチレンブタジエンを基礎とするその他のポリマーの使用が可能である。
【0217】
クリヤーコート系での適切な充填剤は、例えば所望されるように光沢を強く抑える艶消し剤である。艶消し剤は、一般に透明であり、有機物であっても無機物であってもよい。シリカをベースとする無機充填剤は、最も適しており、広範で販売されている。例は、W.R.Grace&Company社製のSyloid(登録商標)の商品およびEvonik Industries AG社製のAcematt(登録商標)の商品である。有機艶消し剤は、例えばBYK-Chemie GmbH社からCeraflour(登録商標)およびCeramat(登録商標)の商品として、Deuteron GmbH社からDeuteron MK(登録商標)の商品として得られる。分散液塗料のために適切な別の充填剤は、アルミノケイ酸塩、例えば長石、ケイ酸塩、例えばカオリン、タルク、雲母、マグネサイト、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、例えばカルサイトもしくはチョークの形の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、アルカリ土類金属硫酸塩、例えば硫酸カルシウム、二酸化ケイ素などである。ペイント剤において、もちろん、微細な充填剤が有利である。充填剤は、個別の成分として使用することができる。しかし、実際には、充填剤混合物、例えば炭酸カルシウム/カオリン、炭酸カルシウム/タルクが特に有効であると示される。光沢のあるペイント剤は、一般に少量の非常に微細な充填剤しか有さず、または充填剤を含有しない。
【0218】
微細な充填剤は、隠蔽力の増大のためにも、および/または白色顔料の節約のためにも使用され得る。色調および色の深さの隠蔽力の調整のために、好ましくは着色顔料および充填剤からの混合物が使用される。
【0219】
適切な顔料は、例えば無機白色顔料、例えば二酸化チタン、好ましくはルチル型の二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛、三酸化アンチモン、リトポン(硫化亜鉛+硫酸バリウム)または着色顔料、例えば酸化鉄、カーボンブラック、黒鉛、亜鉛黄、亜鉛緑、ウルトラマリン、マンガンブラック、アンチモンブラック、マンガンバイオレット、パリスブルーまたはエメラルドグリーンである。無機顔料に加えて、本発明による分散液塗料はまた、有機着色顔料、例えばセピア、ガンボージ、カッセルブラウン、トルイジンレッド、パラレッド、ハンザイエロー、インジゴ、アゾ染料、アントラキノイドおよびインジゴイド染料ならびにジオキサジン、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料および金属錯体顔料を含有してよい。さらに適切なのは、BASF SE社製のLuconyl(登録商標)の商品、例えばLuconyl(登録商標)イエロー、Luconyl(登録商標)ブラウンおよびLuconyl(登録商標)レッド、特に透明な変形形態である。
【0220】
通常の助剤には、湿潤剤または分散剤、例えばポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウムもしくはポリリン酸アンモニウム、アクリル酸無水物コポリマーもしくはマレイン酸無水物コポリマーのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、ポリリン酸塩、例えば1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸ナトリウムならびにナフタリンスルホン酸塩、特にそのナトリウム塩が該当する。
【0221】
より重要なものは、被膜形成助剤、増粘剤および消泡剤である。適切な被膜形成助剤は、例えばEastman Chemicals社製のTexanol(登録商標)および例えばBASF SE社からSolvenon(登録商標)およびLusolvan(登録商標)として市販されている、およびDow Chemicals社から商品名Dowanol(登録商標)として市販されているグリコールエーテルおよびグリコールエステルである。その量は、好ましくは全配合物に対して10質量%未満であり、特に有利には5質量%未満である。全く溶剤を用いずに配合することも可能である。
【0222】
さらなる適切な助剤は、均展剤、消泡剤、殺生物剤および増粘剤である。適切な増粘剤は、例えば会合性増粘剤、例えばポリウレタン増粘剤である。増粘剤の量は、好ましくは、ペイント剤の固体含量に対して、2.5質量%未満の増粘剤であり、特に好ましくは1.5質量%未満の増粘剤である。木材塗工のためのさらなる配合様式は、著者M.Schwartz und R.Baumstarkの“water-based acrylates for decorative coatings”,ISBN 3-87870-726-6に詳細に記載されている。
【0223】
本発明によるペイント剤の製造は、公知のように、このために通常の混合装置でそれらの成分を混合することによって行われる。顔料、水および任意選択で助剤から水性のペーストもしくは分散液を準備し、引き続きまずはポリマーバインダーを、すなわち一般にポリマーの水性分散液を、顔料ペーストもしくは顔料分散液と混合することが有用であると認められた。
【0224】
本発明によるペイント剤は、通常のように基材上に、例えば塗りつけ、吹き付け、浸漬、ローラ塗り、ドクターブレード塗布によって塗布することができる。
【0225】
本発明によるペイント剤は、簡単な取り扱いおよび良好な加工特性、ならびに高い白色度の点で優れている。該ペイント剤は有害物質が少ない。前記ペイント剤は、良好な応用技術的特性、例えば良好な耐水性、良好な湿式付着性および良好な粘着防止性、良好な上塗り性を有し、かつ該ペイント剤は塗布した際に良好な均展を示す。使用される作業装置は、簡単に水で洗うことができる。
【0226】
本発明を以下の実施例をもとに説明するが、本発明を制限するものではない。
【0227】
実験方法
ガラス転移温度の測定
ガラス転移温度は、Foxの式(John Wiley&Sons Ltd.,Baffins Lane,Chichester,England,1997)による理論的計算により測定し、その際、カルボン酸基を有するポリマーの場合には、プロトン化された状態でのガラス転移温度を使用した。
【0228】
1/Tg=Wa Tga+Wb Tgb
[式中、
TgaおよびTgbは、ポリマー「a」および「b」のガラス転移温度であり、
WaおよびWbは、ポリマー「a」および「b」の質量割合である]。
【0229】
粒度の測定
粒度の測定は、本明細書中、および添付の特許請求の範囲においては、Polymer Labs社のPSDA(粒度分布分析装置)による流体力学的分別により行った。使用されるカラムタイプのカートリッジPL0850-1020を、2ml・分-1の流量で稼働させた。試料を溶出液で0.03AU・μl-1にまで希釈した。
【0230】
試料は、サイズ排除原理によって流体力学的直径に依存して溶出される。前記溶出液は、0.2質量%のドデシルポリ(エチレングリコールエーテル)23、0.05質量%のドデシル硫酸ナトリウム、0.02質量%のリン酸二水素ナトリウム、および0.02質量%のアジ化ナトリウムを脱イオン水中で含有する。そのpHは5.8である。溶出時間は、PS標準ラテックス(Eichlatices)で較正される。20nm~1200nmの範囲内で測定される。UV検出器により254nmの波長で検出される。
【0231】
粒度測定は、さらにCoulter M4+(粒子分析装置)を用いて、または光子相関分光法(準弾性光散乱または動的光散乱としても知られる)(ISO 13321規格)により、Malvern社のHPPS(高性能粒度測定装置)を用いて行うことができる。
【0232】
白色度測定の実施
容器中に6gの下記の着色ペーストおよび1.04gの約30%の中空粒子分散液を量り、その混合物を空気が混ざり込まないように均質化する。200μmのドクターブレードにより、0.9cm/秒の速度でこの混合物の被膜を黒色のプラスチックシート(艶消し仕上げ、商品番号13.41 EG 870934001、Bernd Schwegmann GmbH&Co.KG社、ドイツ)上に引き延ばす。該試料を23℃および40%~50%の相対空気湿度で24時間にわたり乾燥させる。引き続き、商品名「Minolta CM-508i」の分光光度計で3つの異なる場所で白色度を測定する。後にマイクロメータを用いて着色被膜の相応の層厚を未被覆のプラスチックシートに対する差の測定により測定するために、測定点に印を付ける。3つの個別の測定から平均層厚および平均白色度を計算した後に、結果的にこの場合に得られた白色度の50μmの乾燥層厚への正規化を、線形外挿により行う。このために必要な較正は、約30μm~60μmの乾燥層厚範囲における標準中空粒子分散液の白色度測定により行った。
【0233】
着色ペーストの製造
容器中に185gの水を装入し、その後に以下の導入物質を示された順序で約1000rpmの溶解機において添加し、全体で約15分間にわたり均質になるまで撹拌する:2gの20%の苛性ソーダ液、12gのPigmentverteiler(登録商標)MD 20(BASF SE社のマレイン酸およびジイソブチレンからなるコポリマー)、6gのAgitan(登録商標)E 255(Muenzing Chemie GmbH社のシロキサン消泡剤)、725gのAcronal(登録商標)A 684(バインダー、BASF SE社の50%の分散液)、40gのTexanol(登録商標)(Eastman Chemical Company社の被膜形成助剤)、4gのAgitan(登録商標)E 255(Muenzing Chemie GmbH社のシロキサン消泡剤)、25gのDSX 3000(30%の会合性増粘剤:BASF SE社の疎水変性ポリエーテル(HMPE))、および2gのDSX 3801(45%の会合性増粘剤:BASF SE社の疎水変性エトキシル化ウレタン(HEUR))。
【0234】
内部含水量の測定
相対的な内部含水量(すなわち、試料の全含水量に対するコア-シェル粒子の内部における水占有量の割合)は、パルス磁場勾配-1H-NMR実験(パルス磁場勾配核磁気共鳴、PFG-NMR)によって記載され得る。内部の水占有量と外部の水占有量とが拡散的に交換される系においては、正確な測定は、Kaerger(Annalen der Physik,第7刊、第27巻,第1号,1971,第107頁~第109頁)による拡散時間の変動により行われ得る。この交換モデルの線形近似は、PGF-NMRシグナル減衰の有効拡散時間Δが貯留所間での交換時間よりも非常に大幅に小さい領域においては可能である。記載された系においては、それは、例えばΔが7msから10msの間で変動する場合に当てはまり、その際、実際の内部含水量は0msへの外挿から測定され得る。十分に強い勾配磁場が利用可能であることが前提条件である。同様の交換時間の場合に、内部含水量の比較は、個別の短い拡散時間での測定の比較によっても近似的に行うことができる。この場合には、同様の重合体間の比較は、Δ=7msの拡散時間で有効磁場勾配パルス時間δ=1msでの800G/cmまでの勾配磁場強度gの変動下に、刺激された勾配エコーパルスシーケンス(Steijskal&Tanner,J.Chem.Phys.,1965,第42巻,第288頁以降)を使用して市販の強磁場NMRシステム(Bruker Biospin、ドイツ/ラインシュテッテン)で実施した。水のシグナルの積分は、内部に対する5.8ppm~3.7ppmから、水のシグナルの参照最大値4.7ppmまでで行った。内部の水と外部の水との相対シグナル割合は、磁場勾配依存性のPFG-NMRシグナル下降への双指数関数フィットの前因子から導き出され、その際、両方の前因子の合計が正規化された。本実施例におけるフィットされた有効拡散係数は、外部の水については2・10-9m2/sのオーダーであり、内部の水については5・10-12m2/sのオーダーであった。内部含水量の測定誤差は、100%の全含水量に対して約1%であった。
【0235】
実施例:
出発材料:
乳化剤1:アルキルポリグリコールエーテルスルフェート(30%)、Disponil(登録商標)FES 993
乳化剤2:アルキルベンゼンスルホネート、Disponil(登録商標)LDBS 20
ポリシロキサン1:ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、EFKA(登録商標)3031(溶剤不含、BASF SE)
ポリシロキサン2:ポリシロキサン-ポリアルキレンオキシドグラフトコポリマー、EFKA(登録商標)3288
ポリシロキサン3:ポリエーテル変性されたポリシロキサン、PulpSil(登録商標)955S
殺生物剤;Acticid(登録商標)MV(Thor)
ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム:Rongalit-C。
【0236】
コア-シェル粒子の製造
実施例1
シード分散液A1:
778.75gの水、35gの乳化剤1(30%)からなる装入物を、アンカー型撹拌機、還流冷却器、および2つの供給容器を備えた重合容器中で窒素雰囲気下で80℃の温度に加熱した。その温度に達した後に、402.5gの水、5.83gの乳化剤1(30%)、および105gのポリシロキサン1からの溶液を10分間で前記装入物へと計量供給した。前記供給容器は、前記装入物中に供給した後に17.5gの水ですすいだ。引き続き、67.2gの2.5質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液を添加した。5分後に、123.94gの水、11.67gの乳化剤1(30%)、240.45gのメチルメタクリレート、および4.55gのメタクリル酸からなる予備エマルジョンを、2.8gの25質量%のアンモニア水溶液と一緒に1時間で80℃において計量供給した。前記供給容器は、前記装入物中に供給した後に17.5gの水ですすいだ。引き続きさらに45分間重合させた。室温に冷却した後に、6gの殺生物剤および22.5gのすすぎ水を添加した。
固体含量:20.0%
粒度(PSDA、中央値):52nm
pH値:6.5。
【0237】
実施例2
分散液(膨潤コア)B1
619.4gの水からなる装入物を、アンカー型撹拌機、還流冷却器、および2つの供給容器を備えた重合容器中で窒素雰囲気下で85℃の温度に加熱した。その温度に達した後に、12.21gの7質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を2分間で添加し、引き続き118.13gのシード分散液A1を添加した。前記供給容器は、前記装入物中に供給した後に11.25gの水ですすいだ。引き続き、159.75gの水、19.5gの乳化剤1(30%)、324gのメチルメタクリレート、および126gのメタクリル酸からなる予備エマルジョンを、120分間にわたり85℃で計量供給した。引き続き前記供給容器を22.5gの水ですすぎ、さらに30分間にわたり後重合させた。
固体含量:33.6%
pH値:3.1
粒度(PSDA、容積中央値):157nm。
【0238】
実施例3
中空粒子分散液C1
421.12gの水、および107.69gの分散液B1からなる装入物を、アンカー型撹拌機、還流冷却器、および2つの供給容器を備えた重合容器中で窒素雰囲気下で81℃の温度に加熱した。25.2gの1.4質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を添加した後に、22gの水、2.2gの乳化剤2、29.79gのメチルメタクリレート、5.37gのn-ブチルメタクリレート、および0.77gのメタクリル酸からなる予備エマルジョン1を60分間にわたり計量供給した。引き続き、112.2gの水、14.96gの乳化剤2、2.2gのアマニ油脂肪酸、3.74gのアリルメタクリレート、および252.3gのスチレンからなる予備エマルジョン2を、26.75gの2.5質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液と一緒に120分間にわたり計量供給した。供給が終わった後に、3.36gの2.5質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を添加し、内部温度を40分間かけて92℃に高めた。引き続き10分間において26.14gのα-メチルスチレンを添加した。さらに20分間撹拌した後に、20分間において243gの2.5質量%の水酸化ナトリウム溶液を計量供給し、20分間にわたり撹拌導入した。引き続き15分間にわたり44gの水、7gの乳化剤2、0.31gのメタクリル酸、および79.8gのスチレンからなる予備エマルジョン3を計量供給した。供給が終わった5分後に、5.64gの10質量%のt-ブチルヒドロペルオキシド水溶液を添加し、20分間にわたり31gの3質量%のヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム水溶液を計量供給した。供給が終わった30分後に、再び9.16gの10質量%のt-ブチルヒドロペルオキシド水溶液および8.52gの5.1質量%のヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム水溶液を並行して60分間にわたり計量供給した。
固体含量:31.3%
pH値:9.0
粒度(PSDA、容積中央値):413nm
白色度:81.5。
【0239】
実施例4~8
さらなるシード分散液を、実施例1と同様にして、使用される添加剤および乳化剤量は変更して製造した。変更点は、以下の表から確認することができる:
【表1】
*100のモノマーに対する部(
parts
per
hundred
monomers)(使用される添加剤はモノマーとして計算する)。
【0240】
実施例9~21
さらなる膨潤コア分散液を、実施例2と同様にして製造した。この場合に、使用されるシードの量および粒度の他に、開始剤の量を変更するだけでなく、追加の乳化剤を装入物中に加えた。
【0241】
【表2】
a)ペルオキソ二硫酸ナトリウム
b)最初は0.05pphmのNaPSで、供給と並行して0.1pphmを計量供給
c)シード後に添加される
d)50℃で6週間貯蔵。
【0242】
比較例1
分散液(膨潤コア)BV1
477.7gの水、1.51gの乳化剤1、および12.16gのポリシロキサン1からなる装入物を、アンカー型撹拌機、還流冷却器、および2つの供給容器を備えた重合容器中で窒素雰囲気下で82℃の温度に加熱した。引き続き、73.92gの水、0.25gの乳化剤1、25.54gのメチルメタクリレート、および0.34gのメタクリル酸からなる予備エマルジョン1、ならびに14.55gの7質量%のペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液を添加し、30分間にわたり重合させ、その際、重合容器内の温度は85℃に調整した。引き続き、555.01gの水、24.93gの乳化剤1、332.32gのメチルメタクリレート、および153.34gのメタクリル酸からなる予備エマルジョン2を、120分間にわたり85℃で計量供給した。引き続き前記供給容器を10gの水ですすぎ、さらに15分間にわたり後重合させた。
固体含量:33.3%
pH値:3.1
粒度(PSDA、容積中央値):140nm。
【0243】
比較例2~6:
さらなる膨潤コア分散液を、比較例1と同様に製造したが、その際、添加剤の他に、装入物中の開始剤および乳化剤の量を変更した。
【0244】
【表3】
a)最初は0.09pphmのNaPSで、供給と並行して0.2pphmを計量供給。
【0245】
実施例22および比較例7:
2つのさらなる中空粒子分散液を、実施例3と同様に、事前に使用されるシードまたは使用される膨潤コアを50℃で6週間にわたり貯蔵して製造した。
【0246】