(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】浮遊シャドウリングを有するプロセスキット
(51)【国際特許分類】
C23C 14/54 20060101AFI20220804BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
C23C14/54 B
C23C14/34 L
(21)【出願番号】P 2019526557
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(86)【国際出願番号】 US2017061979
(87)【国際公開番号】W WO2018094024
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-16
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョハンソン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ホイ シウ キット
(72)【発明者】
【氏名】マゾッコ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サヴァンダイアー キランクマール
(72)【発明者】
【氏名】プラブ プラシャント
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-528706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01L 21/203、21/363
H01L 21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタ本体および前記アダプタ本体の半径方向内側のシールド部分を有するアダプタと、
前記アダプタ本体内に形成された熱伝達チャネルと、
前記アダプタの前記シールド部分がシャドウリングの一部にわたって延在するように
前記アダプタ本体と前記シールド部分の間で前記アダプタに結合されたシャドウリングと、
前記シャドウリングを前記アダプタから電気的に絶縁するために前記シャドウリングと前記アダプタとの間に配置されたセラミック絶縁体と、
を備える、プロセスキット。
【請求項2】
前記シャドウリングがリング本体および前記リング本体の下部から半径方向内側に延在する突出部分を含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項3】
前記シールド部分が前記リング本体の少なくとも一部を覆うように前記アダプタ本体から下方に突出している、請求項2に記載のプロセスキット。
【請求項4】
シャドウリングが前記リング本体内に形成された第2の熱伝達チャネルをさらに備える、請求項2に記載のプロセスキット。
【請求項5】
前記シャドウリングが前記アダプタに結合された外側部分と、前記外側部分から半径方向内側に延在する内側部分と、を備える、請求項1から4までのいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項6】
前記シールド部分が前記外側部分および前記内側部分の一部にわたって延在するように前記アダプタ本体から半径方向内側に突出する、請求項5に記載のプロセスキット。
【請求項7】
前記シャドウリングが前記シャドウリングと前記アダプタとの間に曲がりくねった経路を形成するように前記シールド部分の真下に配置された上方に延在する突起部をさらに備える、請求項6に記載のプロセスキット。
【請求項8】
前記シャドウリングが前記外側部分に形成された複数のガス導通孔をさらに備え、ガスが前記複数のガス導通孔を流れることを可能にする、請求項7に記載のプロセスキット。
【請求項9】
前記アダプタがアルミニウム、ステンレス鋼、または銅から形成されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項10】
前記シャドウリングがアルミニウム、ステンレス鋼、または銅から形成されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載のプロセスキット。
【請求項11】
プロセスチャンバであって、
前記プロセスチャンバ内の内部容積を画定するチャンバ壁であり、接地されているチャンバ壁と、
前記内部容積の上側部分に配置されたスパッタリングターゲットと、
前記スパッタリングターゲットの下で基板を支持するための支持面を有する基板支持体と、
前記チャンバ壁に結合されたアダプタ本体および前記アダプタ本体の半径方向内側のシールド部分を有するアダプタ、
前記アダプタ本体内に形成された熱伝達チャネル、
前記アダプタに結合されたシャドウリングで、前記アダプタの前記シールド部分が前記シャドウリングの一部にわたって延在するように前記基板支持体を取り囲む、シャドウリング、ならびに
前記シャドウリングを前記アダプタから電気的に絶縁するために前記シャドウリングと前記アダプタとの間に配置されたセラミック絶縁体
であって、前記アダプタが前記セラミック絶縁体の上面に配置される、セラミック絶縁体、
を備えるプロセスキットと、
を備える、プロセスチャンバ。
【請求項12】
前記シャドウリングがリング本体および前記リング本体の下部から半径方向内側に延在する突出部分を備える、請求項11に記載のプロセスチャンバ。
【請求項13】
前記シャドウリングが前記アダプタに結合された外側部分および前記外側部分から半径方向内側に延在する内側部分を備える、請求項11から12までのいずれか1項に記載のプロセスチャンバ。
【請求項14】
前記シールド部分が前記アダプタ本体から半径方向内側に突出して、前記外側部分および前記内側部分の一部にわたって延在する、請求項13に記載のプロセスチャンバ。
【請求項15】
前記シャドウリングが、前記シャドウリングと前記アダプタとの間に曲がりくねった経路を形成するために前記シールド部分の真下に配置された上方へ延在する突起部をさらに備え、前記シャドウリングが前記外側部分に形成された複数のガス導通孔をさらに備え、ガスが前記複数のガス導通孔を通って流れることを可能にする、請求項14に記載のプロセスチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に基板処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスキットシールドは、処理容積を非処理容積から分離するために、例えば、物理的気相堆積(PVD)チャンバにおいて使用されることがある。基板上にアルミニウムを堆積させるように構成されたPVDチャンバでは、プロセスキットシールドは、例えば、ステンレス鋼(SST)から製造されることがある。SSTプロセスキットシールドは、処理中にプロセスキットシールド上に堆積したアルミニウム層をベースSSTシールド材から優先的にエッチング除去することができるため、複数回リサイクルすることができる。しかしながら、本発明者らは、従来のアルミニウム堆積プロセスと比較して、大幅に向上させたプロセス電力および堆積時間を使用して、比較的厚いアルミニウム膜を基板上に堆積させることに取り組んできた。
より厚いアルミニウム堆積プロセスについては、本発明者らは、プロセスキットシールドの温度が十分に高くなり、望ましくないことには基板上にウィスカ成長が結果として生じることを観察した。本発明者らは、基板を取り囲むプロセスキットが、連続するプロセス間で冷却するのに十分な時間がない場合にウィスカが形成されると考えている。堆積プロセスは、加熱された基板支持体よりも著しく多く基板を加熱する。基板は、ペデスタルに静電的にチャックされているため、ウエハは、厚いアルミニウム膜と基板(例えばシリコン)との間の熱膨張率(CTE)の不整合によって引き起こされる熱応力の下で自由に曲がらない。基板上の膜応力が十分に高くなると、ウィスカが膜から飛び出して膜応力を低下させる。本発明者らは、基板を取り囲む構造体の高温も基板上に堆積させたアルミニウム膜の反射率に悪影響を及ぼすことをさらに観察した。例えば、本発明者らは、カバーリングおよびシールドの温度が熱放射を介して基板を冷却するのに、およびウィスカ形成を最小限に抑えるのに重要な役割を果たすことを観察した。
したがって、本発明者らは、改善されたプロセスキットの実施形態を提供した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
プロセスキットおよびこれを組み込むプロセスチャンバの実施形態が本明細書で提供される。一部の実施形態では、プロセスキットは、アダプタ本体およびアダプタ本体の半径方向内側のシールド部分を有するアダプタと、アダプタ本体内に形成された熱伝達チャネルと、アダプタのシールド部分がシャドウリングの一部にわたって延在するようにアダプタに結合されたシャドウリングと、シャドウリングをアダプタから電気的に絶縁するためにシャドウリングとアダプタとの間に配置されたセラミック絶縁体と、を含む。
幾つかの実施形態では、プロセスチャンバは、プロセスチャンバ内部の内部容積を画定するチャンバ壁であって、接地されているチャンバ壁と、内部容積の上側部分に配置されたスパッタリングターゲットと、スパッタリングターゲットの下で基板を支持するための支持面を有する基板支持体と、プロセスキットとを含んでいる。プロセスキットは、チャンバ壁に結合されたアダプタ本体およびアダプタ本体の半径方向内側のシールド部分を有するアダプタと、アダプタ本体内に形成された熱伝達チャネルと、アダプタに結合されたシャドウリングであって、アダプタのシールド部分がシャドウリングの一部にわたって延在するように基板支持体を取り囲む、シャドウリングと、シャドウリングをアダプタから電気的に絶縁するためにシャドウリングとアダプタとの間に配置されたセラミック絶縁体と、を含む。
幾つかの実施形態では、プロセスキットは、アダプタ本体およびアダプタ本体の半径方向内側のシールド部分を有する導電性アダプタと、アダプタ本体内に形成された冷却剤チャネルと、アダプタに結合された導電性シャドウリングと、シャドウリングをアダプタから電気的に絶縁するためにシャドウリングとアダプタとの間に配置されたセラミック絶縁体と、堆積リングとシャドウリングとの間に曲がりくねった経路を形成するようにシャドウリングの下面とインターフェースするように構成された上面を有する堆積リングであって、シールド部分がシャドウリングの一部にわたって延在する、堆積リングとを含んでいる。
本開示の他のおよびさらなる実施形態が以下に記載される。
上で簡単に要約され、以下でより詳細に論じる本開示の実施形態は、添付図面に表された本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解され得る。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるため、範囲を限定していると考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の一部の実施形態によるプロセスチャンバの概略断面図である。
【
図2】本開示の一部の実施形態によるプロセスキットの概略断面図である。
【
図3】本開示の一部の実施形態によるプロセスチャンバの概略断面図である。
【
図4】本開示の一部の実施形態によるプロセスキットの概略断面図である。
【
図5】本開示の一部の実施形態によるプロセスキットの概略断面図である。
【
図6】本開示の一部の実施形態によるシャドウリングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
理解を容易にするために、各図に共通の同一の要素を指定するために、可能な場合は、同一の参照数字が使用された。図は、縮尺通りには描かれておらず、明瞭にするために簡略化されることがある。一実施形態の要素および特徴は、さらに詳説することなく他の実施形態に有益に組み込まれることがある。
そのようなプロセスキットを組み込むプロセスキットおよびプロセスチャンバの実施形態が本明細書で提供される。一部の実施形態では、冷却されたシャドウリングと、冷却されたシャドウリングの一部をシールドするためのシールド部分を有するアダプタと、を含むプロセスキットが本明細書で提供される。一部の実施形態では、シャドウリングの一部をシールドするためのシールド部分を有するアダプタに結合されたシャドウリングを含むプロセスキットが本明細書で提供される。アダプタ部分は、一体型のプロセスキットシールドを冷却するための熱伝達チャネルを含むことができる。プロセスキットは、有利には、処理のために基板支持体上に支持された基板に対してプロセスキットの最も近い構成要素であるシャドウリングの冷却を改善する。
図1は、本開示の一部の実施形態によるプロセスキットを有する例示的なプロセスチャンバ100(例えばPVDチャンバ)の概略断面図を表す。本開示のプロセスキットと共に使用するのに適したPVDチャンバの例には、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているALPS(登録商標)Plus、SIP ENCORE(登録商標)、および他のPVD処理チャンバが含まれる。アプライドマテリアルズ社または他のメーカからの他の処理チャンバも本明細書に開示された本発明の装置から恩恵を得ることができる。
【0006】
プロセスチャンバ100は、内部容積108を囲むチャンバ壁106を備える。チャンバ壁106は、側壁116、底壁120、および天井124を含む。天井124は、内部容積108を密閉するためのチャンバリッドまたは同様のカバーであってもよい。プロセスチャンバ100は、独立型のチャンバ、または様々なチャンバ間で基板104を移送する基板移送機構によって接続された相互接続チャンバのクラスタを有するマルチチャンバプラットフォーム(図示せず)の一部とすることができる。プロセスチャンバ100は、基板104上に材料をスパッタ堆積させることができるPVDチャンバであってもよい。スパッタ堆積に適した材料の非限定的な例には、アルミニウム、銅、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステンなどのうちの1つまたは複数が含まれる。
プロセスチャンバ100は、基板104を支持するためのペデスタル134を含む基板支持体130を備える。ペデスタル134は、プロセスチャンバ100の上側部分に配置されたスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139と実質的に平行な面を有する基板支持面138を有する。ペデスタル134の基板支持面138は、処理中に基板104を受け取り支持する。ペデスタル134は、静電チャックまたは(電気抵抗ヒータ、熱交換器、もしくは他の適切な加熱装置などの)ヒータを含むことができる。動作において、基板104は、プロセスチャンバ100の側壁116の基板ローディング入口142を通してプロセスチャンバ100内に導入され、基板支持体130上に配置される。基板支持体130は、支持リフト機構によって昇降させることができ、ロボットアームによって基板104を基板支持体130上に配置する間に、リフトフィンガアセンブリ(lift finger assembly)を使用して、基板104を基板支持体130上に昇降させることができる。ペデスタル134は、プラズマ動作中に電気的に浮遊電位に維持されるかまたは接地され得る。
【0007】
また、プロセスチャンバ100は、例えば、構成要素表面からスパッタリング堆積物を洗い落とすために、腐食した構成要素を交換または修理するために、あるいはプロセスチャンバ100を他のプロセスに適合させるために、プロセスチャンバ100から容易に取り外すことができる様々な構成要素を備えるプロセスキット150を含む。本発明者らは、プロセスキットアダプタとプロセスキットシャドウリングとの間の接触インターフェースにおける熱抵抗がシャドウリングの温度に悪影響を及ぼすことを発見した。さらに、アダプタとシャドウリングとの間のクランプ力が弱いと、熱伝達率を高めるために冷却剤チャネルを使用したとしても、アダプタとシャドウリングとの間の熱伝達が悪くなる。シャドウリングが、冷却されたアダプタからさらに取り外される浮遊要素である(すなわち、アダプタに電気的に結合されていない)ため、低熱伝達率の問題は、シャドウリングに関してさらに悪化する。本発明者らは、アダプタに電気的に結合されたシャドウリングが接地面を基板のエッジに接近させ、したがって基板のエッジ近くの電界に悪影響を及ぼすことも発見した。その結果、基板に近接するプラズマは、歪められて、堆積の不均一性をもたらす。したがって、本発明者らは、プロセスキットの冷却を改善するために、冷却されたアダプタおよび冷却されたシャドウリングを有するプロセスキットを設計した。
【0008】
図2は、本開示の一部の実施形態によるプロセスキット150の断面図を表す。
図1および
図2を参照すると、一部の実施形態では、プロセスキット150は、アダプタ本体158およびアダプタ本体158の半径方向内側のシールド部分157を有するアダプタ156を含む。アダプタ本体158は、チャンバ側壁116に結合され、この側壁116を通して接地されている。一部の実施形態では、アダプタ本体158は、アダプタ156を側壁116に結合するために、ボルト(図示せず)を挿入することができる複数の皿孔260(
図2に示すもの)を含むことができる。アダプタ156の冷却を促進するために、熱伝達チャネル162がアダプタ本体158を貫いて形成され、熱伝達チャネル162を通して熱伝達媒体を流すために熱伝達媒体源180に流体結合されている。一部の実施形態では、熱伝達媒体源180は、冷却剤を熱伝達チャネル162に供給してアダプタ156を冷却する。アダプタ156は、熱伝導性材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅など)から形成されてもよい。
【0009】
プロセスキット150は、例えば複数のボルト202(
図2の断面図に示すもの)などの固定要素を介してアダプタ156に結合されたシャドウリング155も含む。各ボルト202は、対応する第1の孔204、および第1の孔204と整列したアダプタ156内の対応する第2の孔206を貫いて延在し、保持プレート210を使用して固定されている。第1の孔204および第2の孔206の直径は、処理中のボルト202の熱膨張を可能にし、かつシャドウリング155がボルト202を介してアダプタ156に電気的に結合する可能性を防止するために、ボルト202の直径よりも大きくてもよく、電気的結合は、シャドウリング155を接地し、結果として基板104のエッジにおける電界のゆがみに起因するプラズマの不均一性をもたらす。一部の実施形態では、シャドウリング155がボルト202およびアダプタ156から電気的に絶縁されたままにしておくことを確実にするために、セラミックブッシング208がボルト202のヘッドとシャドウリング155との間に配置されることがある。一部の実施形態では、各ボルト202は、ボルト202の周りの領域でのガス放出を防ぐために貫通孔212を含むことができる。シャドウリング155を接地されたアダプタ156から電気的に絶縁させるために、第1のセラミック絶縁体125がシャドウリング155とアダプタ156との間に配置されており、したがって、結果として電気的に浮遊するシャドウリング155が得られる。
【0010】
シャドウリング155は、リング本体214およびリング本体214の下部から半径方向内側に延在する突出部分215を含む。一部の実施形態では、第2の熱伝達チャネル250がリング本体214内に形成されて、熱伝達媒体源180によって供給される熱伝達媒体を流し、シャドウリング155の温度の制御をさらに容易にする。一部の実施形態では、第2の熱伝達チャネル250は、リング本体214の外部壁にミル加工され、チャネルを密閉するためにキャップ251が第2の熱伝達チャネル250の上に配置されている。冷却剤が両方の熱伝達チャネル162、250を通って流れるとき、シャドウリング155の温度に対するさらなる制御が達成される。シャドウリングは、アダプタ156によって支持されているが、シャドウリング155の一部は、側壁116に載置されている。しかしながら、シャドウリング155が電気的に浮遊したままであることを確実にするために、シャドウリング155が側壁116に直接接触しないように、第2のセラミック絶縁体255がシャドウリング155と側壁116との間に配置されている。シャドウリング155は、熱伝導性材料、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅などから形成されてもよい。
図2に表されるように、内部容積108が周囲環境から適切に密閉されることを確実にするために、複数の溝224および対応するOリング225が様々なインターフェースに配置されている。
【0011】
処理から生じるシャドウリング155の加熱をさらに軽減するために、シールド部分157は、リング本体214の少なくとも一部を覆うようにアダプタ本体158から下方に突出している。その結果、シャドウリング155が処理中に達成する最高温度は、リング本体214が処理中に内部容積108にさらされるシナリオと比較して低くなり、したがって、シャドウリング155の冷却の改善が促進される。
処理されている基板104のエッジでの均一性を維持するのを助けるために、シャドウリング155の半径方向最内側部分は、所定の距離だけ基板104のエッジから離間されている。一部の実施形態では、シャドウリング155の半径方向最内側部分は、約0.02インチ~約0.09インチの垂直距離290だけ基板104の上面から離間されている。一部の実施形態では、垂直距離290は、約0.045インチである。一部の実施形態では、シャドウリング155の最内側部分は、基板104の直径の外側の約1mmと基板の直径の内側の約2mmとの間の水平距離291だけ基板104のエッジから離間されている。一部の実施形態では、水平距離291は、基板の直径の内側の約1mmである。
【0012】
プロセスキット150は、シャドウリング155の下に配置された堆積リング154をさらに備える。シャドウリング155の底面は、堆積リング154とインターフェースして曲がりくねった経路295を形成する。シャドウリング155は、堆積リング154を少なくとも部分的に覆う。堆積リング154およびシャドウリング155は、互いに協働して、基板支持体130の周壁152および基板104のオーバハングエッジ153上のスパッタ堆積物の形成を低減させる。
図1~
図5に示すように、スパッタリングターゲット140は、バッキング板161に取り付けられたスパッタリングプレート160を備える。スパッタリングプレート160は、基板104上にスパッタされる材料を含む。スパッタリングプレート160は、金属または金属化合物を含む。例えば、スパッタリングプレート160は、例えば、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、コバルト、ニッケル、タンタルなどの金属とすることができる。スパッタリングプレート160は、例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどの金属化合物とすることもできる。
【0013】
バッキング板161は、スパッタリングプレート160を支持するための支持面221と、スパッタリングプレート160の半径を超えて延在する周辺レッジ222と、を有する。バッキング板161は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、銅クロム、または銅亜鉛などの金属から作られている。バッキング板161は、スパッタリングターゲット140および/またはバッキング板161で発生した熱を放散するのに十分な熱伝導率を有する材料から作ることができる。熱は、スパッタリングプレート160およびバッキング板161内で生じる渦電流から、およびまたスパッタリングターゲット140のスパッタリング面139上へのプラズマからのエネルギーイオンの衝撃から発生する。バッキング板161の熱伝導率が高いほど、スパッタリングターゲット140で発生した熱を周囲の構造体に、あるいはバッキング板161の後ろに取り付けられることがある、またはバッキング板自体161の中にあることがある熱交換器にさえ放散させることができる。例えば、バッキング板161は、熱伝達流体を内部で循環させるためのチャネル(図示せず)を含むことができる。バッキング板161の適切に高い熱伝導率は、少なくとも約150W/mK、例えば約220~約500W/mKである。そのような熱伝導率のレベルは、スパッタリングターゲット140で発生した熱をより効率的に放散させることによって、スパッタリングターゲット140をより長いプロセス時間にわたって動作させることを可能にする。
【0014】
高い熱伝導率および低い抵抗率を有する材料で作られたバッキング板161との組合せにおいて、または別個に単独で、バッキング板161は、1つまたは複数の溝(図示せず)を有する裏側を含むことができる。例えば、バッキング板161は、スパッタリングターゲット140の裏側141を冷却するために、環状溝などの溝または隆起を有することができる。溝および隆起は、他のパターン、例えば、矩形格子パターン、鶏足パターン、または単に裏側を横切って走る直線を有することもできる。
一部の実施形態では、スパッタリングプレート160は、スパッタリングプレート160とバッキング板161とを互いの上に配置して、スパッタリングプレート160およびバッキング板161を適切な温度、典型的には少なくとも約150℃に加熱することにより、拡散接合によってバッキング板161に取り付けることができる。任意選択で、スパッタリングターゲット140は、スパッタリングプレートおよびバッキング板の両方として働くのに十分な深さを有する単一の材料片を含むモノリシック構造であってもよい。
【0015】
バッキング板161の周辺レッジ222は、プロセスチャンバ100内のアイソレータ163上に載置される外側フーチング223を含む(
図1および
図2)。周辺レッジ222は、真空シールを形成するためにOリング225が配置された溝224を含む。アイソレータ163は、バッキング板161をプロセスキット150およびプロセスチャンバ100から電気的に絶縁し分離し、典型的には酸化アルミニウムなどの誘電性または絶縁性の材料から形成されたリングである。周辺レッジ222は、スパッタリングターゲット140とアイソレータ163との間の間隙を通るスパッタ材料およびプラズマ核種の流れまたは移動を抑制して、間隙への低角度のスパッタ堆積物の侵入を妨げるように成形されている。
図1に戻ると、スパッタリングターゲット140は、DC電源146およびRF電源148の一方または両方に接続されている。DC電源146は、スパッタリングプロセス中に電気的に浮遊していてもよい一体型のシールド151に対してスパッタリングターゲット140にバイアス電圧を印加することができる。DC電源146がスパッタリングターゲット140、一体型のシールド151、基板支持体130、およびDC電源146に接続された他のチャンバ部品に電力を供給している間、RF電源148は、スパッタリングガスを励起してスパッタリングガスのプラズマを形成する。形成されたプラズマは、スパッタリングターゲット140のスパッタリング面139に当たって、衝突し、スパッタリング面139から材料を基板104上にスパッタする。一部の実施形態では、RF電源148によって供給されるRFエネルギーは、約2MHz~約60MHzの周波数の範囲にあってもよく、あるいは例えば、2MHz、13.56MHz、27.12MHz、または60MHzなどの非限定的な周波数を使用することができる。一部の実施形態では、複数の上記の周波数のRFエネルギーを提供するために、複数の(すなわち2つ以上の)RF電源が設けられてもよい。
【0016】
一部の実施形態では、プロセスチャンバ100は、スパッタリングターゲット140の周りの磁界を成形してスパッタリングターゲット140のスパッタリングを改善するためにスパッタリングターゲット140の上に配置された磁界発生器164を含むことができる。容量的に生成されたプラズマは、例えば、永久磁石または電磁気コイルが、基板104の面に垂直な回転軸を有する回転磁界を有する磁界をプロセスチャンバ100内に提供することができる磁界発生器164によって増強されてもよい。プロセスチャンバ100は、加えてまたは代替として、プロセスチャンバ100のスパッタリングターゲット140の近くに磁界を生成して、スパッタリングターゲット140に隣接する高密度プラズマ領域中のイオン密度を増加させターゲット材料のスパッタリングを改善する磁界発生器164を備える。
【0017】
スパッタリングガスは、ガス供給システム165を介してプロセスチャンバ100に導入され、ガス供給システム165は、マスフローコントローラなどのガス流量制御バルブ168を有する導管167を介してガス供給源166からガスを提供して、ガス流量制御バルブ168を介して設定流量のガスを通過させる。ガスは、ミキシングマニホールド(図示せず)に供給され、そこでガスは、混合されてプロセスガス組成物を形成し、ガス出口を有するガス分配器169に供給されてガスをプロセスチャンバ100に導入する。プロセスガスは、スパッタリングターゲット140に勢いよく当たって、スパッタリングターゲット140から材料をスパッタリングすることができるアルゴンまたはキセノンなどの非反応性ガスを含むことができる。プロセスガスは、スパッタされた材料と反応して基板104上に層を形成することができる酸素含有ガスおよび窒素含有ガスのうちの1つまたは複数などの反応性ガスを含むこともできる。次いで、ガスは、RF電源148によって励起され、スパッタリングターゲット140をスパッタするためのプラズマを形成する。使用済みプロセスガスおよび副生成物は、排気170を通してプロセスチャンバ100から排出される。排気170は、使用済みプロセスガスを受け取り、使用済みガスを、プロセスチャンバ100内のガスの圧力を制御するスロットルバルブを有する排気導管172を通過させる排気口171を備える。排気導管172は、1つまたは複数の排気ポンプ173に接続されている。
【0018】
プロセスチャンバ100の様々な構成要素は、コントローラ174によって制御され得る。コントローラ174は、基板104を処理するために構成要素を操作するための命令セットを有するプログラムコードを含む。例えば、コントローラ174は、基板支持体130および基板移送機構を操作するための基板位置決め命令セットと、スパッタリングガスの流れをプロセスチャンバ100に設定するためのガス流量制御バルブを操作するためのガス流量制御命令セットと、プロセスチャンバ100内の圧力を維持するために排気スロットルバルブを操作するためのガス圧力制御命令セットと、ガス励起電力レベルを設定するためにRF電源148を操作するためのガスエナジャイザー制御命令セットと、基板支持体130または熱伝達媒体源180内の温度制御システムを制御して熱伝達チャネル162への熱伝達媒体の流量を制御するための温度制御命令セットと、プロセスチャンバ100内のプロセスをモニタするためのプロセスモニタリング命令セットと、を含むプログラムコードを含むことができる。
図3は、本開示の一部の実施形態によるプロセスキット350を有する例示的なプロセスチャンバ100(例えばPVDチャンバ)の概略断面図を表す。プロセスチャンバ100の要素は、
図1に示され上で論じたものと同様または同一であるため、これらの要素は、同様にラベル付けされ、同様の要素の説明は、明瞭かつ簡潔にするために省略される。
【0019】
図4は、本開示の一部の実施形態によるプロセスキット350の断面図を表す。
図3および
図4を参照すると、一部の実施形態では、プロセスキット350は、アダプタ本体458およびアダプタ本体458の下部から半径方向内側に延在するシールド部分457を有するアダプタ356を含む。アダプタ本体458は、チャンバ側壁116に結合され、側壁を通して接地されている。アダプタ356の冷却を促進するために、熱伝達チャネル362がアダプタ本体458を貫いて形成され、熱伝達媒体源(例えば熱伝達媒体源180)に流体結合されて、熱伝達媒体を、熱伝達チャネル362を通して流す。一部の実施形態では、熱伝達媒体源180は、アダプタ356を冷却するために熱伝達チャネル362に冷却剤を供給する。アダプタ356は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅などの熱伝導性材料から形成されてもよい。
【0020】
プロセスキット350は、アダプタ356に結合された外側部分406および外側部分から半径方向内側に延在する内側部分408を有するシャドウリング355も含む。外側部分406は、例えば複数のボルト410(
図4の断面図に示すもの)などの固定要素を介してアダプタ356に結合されている。各ボルト410は、シャドウリング355の対応する第1の孔404、および第1の孔404と整列したアダプタ356内の対応する第2の孔402を貫いて延在し、保持プレート412を使用して固定されている。第1の孔404および第2の孔402の直径は、処理中のボルト410の熱膨張を可能にし、かつシャドウリング355がボルト410を介してアダプタ356に電気的に結合する可能性を防止するために、ボルト410の直径よりも大きくてもよく、電気的結合は、シャドウリング355を接地し、結果として基板104のエッジにおける電界のゆがみに起因するプラズマの不均一性をもたらす。一部の実施形態では、シャドウリング355がボルト410およびアダプタ356から電気的に絶縁されたままにしておくことを確実にするために、セラミック絶縁体416がボルト410のヘッドとシャドウリング355との間に配置されてもよい。シャドウリング355を接地されたアダプタ356から電気的に絶縁させるために、第2のセラミック絶縁体414がシャドウリング355とアダプタ356との間に配置されており、したがって、結果として電気的に浮遊するシャドウリング355が得られる。
【0021】
シャドウリング155とは異なり、
図3および
図4に表されたシャドウリング355は、シャドウリングを冷却するために冷却剤を流すための熱伝達チャネルを含まない。その代りに、シールド部分457が、外側部分406、およびシャドウリング355の内側部分408の少なくとも一部にわたって延在する。その結果、処理および堆積に起因する熱の大部分が冷却されたアダプタ356によって運ばれる。さらに、シャドウリング355のアダプタ356への結合は、シャドウリング355の対流冷却も促進する。アダプタ356は、接地されているため、シールド部分457の半径方向最内側部分は、基板104のエッジ近くにいかなるプラズマ不均一性も生じさせないように、基板104のエッジから十分な距離に保たれるべきである。一部の実施形態では、シールド部分457の半径方向最内側部分は、約5mm~約45mmの水平距離492だけ基板104のエッジから離間されている。一部の実施形態では、水平距離492は、約35mmである。
処理されている基板104のエッジでの均一性を維持するのを助けるために、シャドウリング355の半径方向最内側部分は、所定の距離だけ基板104のエッジから離間されている。一部の実施形態では、シャドウリング355の半径方向最内側部分は、約0.02インチ~約0.09インチの垂直距離490だけ基板104の上面から離間されている。一部の実施形態では、垂直距離490は、約0.045インチである。一部の実施形態では、シャドウリング355の最内側部分は、基板104の直径の外側の約1mmと基板の直径の内側の約2mmとの間の水平距離491だけ基板104のエッジから離間されている。一部の実施形態では、水平距離491は、基板の直径の内側の約1mmである。
【0022】
図4および
図5は、本開示の一部の実施形態によるプロセスキット500の断面図および斜視図を示す。
図5に示すように、プロセスキット500のアダプタ356は、上記のアダプタ356と同一であり、そのため同じラベルが付けられている。プロセスキット500は、アダプタ356に結合された外側部分506および外側部分から半径方向内側に延在する内側部分を有するシャドウリング555を含む。シャドウリング555は、シャドウリング555がシャドウリング555とアダプタ356との間に曲がりくねった経路509を形成するようにシールド部分の真下に配置された上方に延在する環状突起部505を含むという点でシャドウリング355とは異なる。シャドウリング555は、上方に延在する環状突起部505の半径方向外側に配置された複数のガス導通孔502も含み、ガスがシャドウリング555を通って流れることができるように外側部分506に形成されている。上方に延在する環状突起部505によって形成された曲がりくねった経路509は、有利には、漂遊堆積物がシャドウリング555とアダプタ356との間の空間に入るのを防ぐ。
前述の事項は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよい。