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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】分散板及びこれを含むコーティング装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/24 20060101AFI20220804BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20220804BHJP
   B05B 1/26 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
B01J8/24 311
B01J2/00 B
B05B1/26 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020537194
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2019010676
(87)【国際公開番号】W WO2020040559
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0099107
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヒョン-チン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チョン-キ
(72)【発明者】
【氏名】イム、イェ-フン
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05891401(US,A)
【文献】特表2015-531315(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0035608(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0021574(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1889946(EP,A2)
【文献】米国特許第05627243(US,A)
【文献】米国特許第05904119(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00-8/46
B01J 2/00-2/30
B05B 1/00-3/18,7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気体噴射ホールを含み、気体噴射ホールが密集されて群集を成す複数のスパウトノズルを含む分散板であって、
分散板の中心に1個のスパウトノズルが配置され、
分散板の中心から分散板の端部まで複数の仮想同心円に沿って複数のスパウトノズルが配置され、
隣接する二つの仮想同心円に対して、分散板の中心を基準で、外側同心円に沿って配置されたスパウトノズルの個数は、内側同心円に沿って配置されたスパウトノズルの個数の2倍であり、
外側同心円に沿って配置されたスパウトノズルは、分散板の中心から角度Aの間隔で配置され、内側同心円に沿って配置されたスパウトノズルは、分散板の中心から角度Bの間隔で配置され、前記角度Aは、前記角度Bの半分であり、
スパウトノズルを除いた各同心円の間の領域ごとに気体噴射ホールの開口割合が異なることを特徴とする、分散板。
【請求項2】
各同心円間の間隔は、同一であり、同一同心円内に配置された各スパウトノズル間の間隔は、同一であることを特徴とする、請求項1に記載の分散板。
【請求項3】
各スパウトノズルの直径は、分散板の直径に対して2~20%であり、各同心円間の間隔は、分散板の直径に対して5~40%、またスパウトノズル直径に対して50~400%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の分散板。
【請求項4】
最外側同心円の外側に該当する第1領域の開口割合は、第1領域と隣接した第2領域の開口割合より小さく、第1領域の開口割合は、最内側同心円の内側に該当する第3領域の開口割合より小さく、第2領域の開口割合は、第3領域の開口割合より大きいか同一であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の分散板。
【請求項5】
第2領域の開口割合は、第1領域の開口割合の2~5倍であり、第3領域の開口割合は、第1領域の開口割合の1.5~4倍であり、第2領域の開口割合は、第3領域の開口割合の1~1.5倍であることを特徴とする、請求項4に記載の分散板。
【請求項6】
各同心円ごとにスパウトノズルの流量が異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の分散板。
【請求項7】
チャンバ;及び
チャンバの内部に設置される請求項1~6のいずれか一項に記載の分散板を含むことを特徴とする、コーティング装置。
【請求項8】
前記チャンバは円筒状であり、
前記分散板は、水平方向に前記チャンバの横断面の全体にわたって設置され、
前記チャンバの上方には気体排出口、下方には気体流入口が設けられ、
前記分散板と前記気体流入口の間に形成されたウインドボックス内に配置されて気体の流れをガイドする構造物をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のコーティング装置。
【請求項9】
前記構造物は、前記分散板と前記気体流入口との間に配置され、かつ前記チャンバの直径方向全体にわたって形成されて中央にホールを具備して気体の流れを前記チャンバの中央側に誘導する第1構造物;及び
前記第1構造物と前記分散板との間に前記第1構造物と同心で配置され、前記チャンバの直径方向に対してチャンバ壁側を除いて部分的に形成されて気体の流れをチャンバの壁側に誘導する第2構造物
を含むことを特徴とする、請求項8に記載のコーティング装置。
【請求項10】
前記第1構造物は、チャンバの直径が前記気体流入口へ近づくほど減少するテーパー領域に配置され、
前記第2構造物の直径は、チャンバ直径に対して20~50%、また前記第1構造物のホール直径に対して50~150%であり、
前記第1構造物と前記第2構造物の間隔は、前記第2構造物の直径に対して20~150%であることを特徴とする、
請求項9に記載のコーティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散板及びこれを含むコーティング装置に関し、特に、流動層コーティング装置に用いられる分散板及びこれを含む流動層コーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動層コーティング装置は、分散板から気体を噴射して流動化された粒子にポリマー溶液などをコーティングして乾燥する装置である。
【0003】
分散板は、粒子の停滞を防止しようと気体噴射ホールが打孔されており、一定部分ごとに相対的に大きいホールが群集を成しているスパウトノズル(spout nozzle)で構成されている。
【0004】
スパウトノズルの気体噴射によってベッド(bed、粒子層を意味する)内の粒子割合が低いスパウト領域が形成され、そこに位置したポリマー液滴噴射ノズルにより粒子のコーティングが行われる。コーティングが完了された粒子は、ベッド上部に噴出された後に降りながら乾燥される。
【0005】
粒子のコーティング効率を高めるためには、スパウト領域で粒子の流動が円滑に行われて粒子間のコーティング干渉現象がなく必要がある。
【0006】
装置のスケール-アップ(scale-up)の際に、既存の分散板を線形スケール-アップする場合、気体の噴射ホールのピッチ(pitch、間隔)が広がれて粒子流動のデッドゾーン(dead zone)の発生可能性があり、大きくなったホールにより粒子の抜け現状の発生可能性がある。したがって、ホールサイズは生産される粒子サイズより小さくなければならない。
【0007】
装置をスケール-アップするようになると、上のスパウト領域をよく発達させ得るスパウトノズルの最適配置が必要である。
【0008】
スパウトノズルの配置が粗なる場合、粒子のコーティング領域が互いに干渉を受けてコーティングが不均一に行われる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、スパウトノズルの最適配置を通じてスケール-アップ装置でも円滑な粒子コーティング性能を確保することができる分散板及びこれを含むコーティング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した目的を達成するために、複数の気体噴射ホールを含み、気体噴射ホールが密集されて群集を成す複数のスパウトノズルを含む分散板であって、分散板の中心に1個のスパウトノズルが配置され、分散板の中心から分散板の端部まで複数の仮想同心円に沿って複数のスパウトノズルが配置され、隣接する二つの仮想同心円に対して、分散板の中心を基準で、外側同心円に沿って配置されたスパウトノズルの個数は、内側同心円に沿って配置されたスパウトノズルの個数の2倍であり、外側同心円に沿って配置されたスパウトノズルの配置間隔は、内側同心円に沿って配置されたスパウトノズルの配置間隔の半分である分散板を提供する。
【0011】
本発明で、各同心円間の間隔は同一であってもよく、同一の同心円内に配置された各スパウトノズル間の間隔は同一であってもよい。
【0012】
本発明で、各スパウトノズルの直径は、分散板の直径に対して2~20%であってもよく、各同心円間の間隔は、分散板の直径に対して5~40%、またスパウトノズルの直径に対して50~400%であってもよい。
【0013】
本発明でスパウトノズルを除いた各同心円の間の領域ごとに気体噴射ホールの開口割合が相違なっていてもよい。
【0014】
本発明で最外側同心円の外側に該当する第1領域の開口割合は、第1領域と隣接した第2領域の開口割合より小さくてもよく、第1領域の開口割合は、最内側同心円の内側に該当する第3領域の開口割合より小さくてもよく、第2領域の開口割合は、第3領域の開口割合より大きいか同一であってもよい。
【0015】
本発明で第2領域の開口割合は、第1領域の開口割合の2~5倍であってもよく、第3領域の開口割合は、第1領域の開口割合の1.5~4倍であってもよく、第2領域の開口割合は、第3領域の開口割合の0.5~2倍であってもよい。
【0016】
本発明で各同心円ごとにスパウトノズルの流量が相違なっていてもよい。
【0017】
また、本発明は、チャンバ;及びチャンバの内部に設置される上述した分散板を含むコーティング装置を提供する。
【0018】
本発明によるコーティング装置は、分散板の下部に形成されたウインドボックス内に配置されて気体の流れをガイドする構造物をさらに含むことができる。
【0019】
本発明で構造物は、チャンバの直径方向の全体にわたって形成されて中央にホールを具備して気体の流れをチャンバ中央側に誘導する第1構造物;及び第1構造物の上部に第1構造物と同心で配置され、チャンバの直径方向に対してチャンバの壁側を除いて部分的に形成されて気体の流れをチャンバの壁側に誘導する第2構造物を含むことができる。
【0020】
本発明で第1構造物は、チャンバの直径が下方に行くほど減少するテーパー領域に配置され得、第2構造物の直径は、チャンバ直径に対して20~50%、また第1構造物のホール直径に対して50~150%であってもよく、第1構造物と第2構造物の間隔は、第2構造物の直径に対して20~150%であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、スパウトノズルの最適配置を通じてスケール-アップ装置でも円滑な粒子コーティング性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明によるコーティング装置の構成図である。
図2図2は、本発明による分散板の構成図である。
図3図3は、スパウトノズルの配置別粒子観察を比べた図である。
図4図4は、分散板領域別開口割合の変更による粒子分布の影響を比較した図である。
図5図5は、ウインドボックス構造物の設置による流速偏差影響を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0024】
本発明によるコーティング装置は、分散板から気体を噴射して流動化された粒子にコーティング液をコーティングして乾燥する流動層コーティング装置であってもよい。粒子の種類は特に制限されず、例えば、肥料粒子であってもよい。粒子のサイズ及び投入量などは特に制限されず、適切に設定できる。コーティング液の種類は特に制限されず、例えば、ポリマー溶液であってもよい。コーティング液の噴射速度及びコーティング量などは特に制限されず、適切に設定できる。気体の種類は特に制限されず、例えば、空気、熱風空気などを用いることができる。気体の流速などは特に制限されず、適切に設定できる。また、本発明による分散板は、コーティング装置以外に他の流動層反応機にも適用が可能である。
【0025】
図1は、本発明によるコーティング装置の構成図であって、コーティング装置は、チャンバ100、分散板200、スパウトノズル210、ウインドボックス構造物300、310などで構成され得る。
【0026】
チャンバ100は、コーティング装置本体であって、円筒状などで構成され得、下部には、直径が下方に行くほど減少するテーパー(taper)領域を含むことができる。また、チャンバ100は、コーティングされる粒子が流入される粒子流入口、コーティングされた粒子が排出される粒子排出口、気体が流入される気体流入口、気体が排出される気体排出口を具備することができる。チャンバ100のサイズ及び材質などは特に制限されず、適切に設定できる。
【0027】
分散板200は、チャンバ100の内部に、例えば、水平方向にチャンバ100の横断面の全体にわたって設置され得る。チャンバ100が円筒状チャンバである場合、分散板200は、円板で構成され得る。この場合、分散板200の直径は、チャンバ100の内径と同一であってもよい。分散板200のチャンバ内の位置と個数は特に制限されず、例えば、チャンバ100の下部又は中間領域に1個又は2個以上で配置され得る。分散板200の直径と厚さ及び材質などは特に制限されず、適切に設定できる。分散板200は、支持部材、螺合、溶接などによりチャンバ100に装着されるか固定され得る。
【0028】
分散板200は、分散板200の全体領域にわたって複数の気体噴射ホールを含み、気体噴射ホールが密集されて群集を成す複数のスパウトノズル210を含むことができる。気体噴射ホールは、そのサイズが非常に微細(fine hole)でかつ個数もとても多いので、図面では別に示すか表示しなかった。気体噴射ホールは、スパウトノズル210の内部領域(スパウトノズルが形成された分散板領域、スパウトノズル領域)にも形成され、スパウトノズル210の外部領域(スパウトノズルを除いた分散板の他の領域)にも形成され、スパウトノズル210の内部領域に形成された気体噴射ホールがスパウトノズル210の外部領域に形成された気体噴射ホールよりさらに稠密な間隔で集中的に集まっている。すなわち、スパウトノズル210は、気体噴射ホールの密集度差によってスパウトノズル210を除いた分散板200の他の領域と視覚的に区分され得る分散板200の領域を意味することができる。具体的には、スパウトノズル210は、気体噴射ホールの密集度がスパウトノズル210を除いた分散板200の他の領域より高い分散板200の領域を意味することができる。二つの領域(スパウトノズルの内部領域及び外部領域)の間の密集度差は特に制限されず、適切に設定できる。
【0029】
気体噴射ホールは、分散板200の厚さ方向に分散板200を貫通して形成され、気体は、分散板200の下側から流入された後多数の気体噴射ホールを通過しながら分散板200の上側に噴射され得る。気体噴射ホールの直径と個数及び間隔などは特に制限されず、適切に設定でき、ただし、気体噴射ホールの直径は、粒子直径より小さくなければならない。スパウトノズル210の内部領域に形成された気体噴射ホールの直径は、スパウトノズル210の外部領域に形成された気体噴射ホールの直径より大きいことが好ましいが、同一であるか、それよりさらに小さくてもよい。
【0030】
図2は、本発明による分散板の構成図であって、スパウトノズルの最適配置を例示する。装置のスケール-アップで、気体噴射ホールは、流動デッドゾーン発生を抑制するために、既存サイズを維持したまま増えた分散板の面積ほど個数を増加させた。また、増えた面積をカバーすることができるスパウトノズルの最適配置を進行した。スパウトノズルの最適配置を進行した結果、同心円配置が最も優れたことで判明された。
【0031】
同心円配置とは、複数個(少なくとも2個以上)の仮想の円を想定し、各仮想円の中心は分散板の中心と同一であり、各仮想円の直径は内側から外側に行くほど大きくなり、スパウトノズルは、該当仮想円のまわりに沿って複数個で配置されるが、各スパウトノズルの中心は仮想円のまわりに位置することを意味することができる。
【0032】
具体的に、図2に示したように、スパウトノズルの最適配置は同心円配置であって、分散板200の中心に1個のスパウトノズル212が配置され、分散板200の中心から分散板200の端部まで複数の仮想同心円201、202に沿って複数のスパウトノズル214、216が配置されるが、隣接する二つの仮想同心円201、202に対して、分散板200の中心を基準で、外側同心円202に沿って配置されたスパウトノズル216の個数は、内側同心円201に沿って配置されたスパウトノズル214の個数の2倍であり、外側同心円202に沿って配置されたスパウトノズル216の配置間隔は、内側同心円201に沿って配置されたスパウトノズル214の配置間隔の半分(すなわち、1/2又は0.5倍)であることを特徴とする。
【0033】
図2には、分散板200の中心に1個のスパウトノズル212が配置され、分散板200の中心に近い第1同心円201には、60度の間隔で6個のスパウトノズル214が配置され、第1同心円201の外側に位置して第1同心円201より直径が大きい第2同心円202には、30度の間隔で12個のスパウトノズル216が配置されている。
【0034】
このように、同心円の配置は、中心に1個のスパウトノズル212が位置しており、次の同心円201には、60度の間隔で6個のスパウトノズル214が位置しており、その次の同心円202には、30度の間隔で12個のスパウトノズル216が位置している。分散板200が大きくなるほどスパウトノズルの配置は中央の一つから始めて一層大きい同心円に拡張される。このとき、外側同心円202のスパウトノズル216は、内側同心円201のスパウトノズル214の配置に対して、角度は半分、個数は2倍になるように配置される特徴がある。
【0035】
このように同心円に拡張されるスパウトノズルの配置を適用すると、各スパウト領域の独立性維持によって粒子コーティングが円滑であり、粒子ベッドの上部の乾燥領域の発達によって粒子表面のべたつきによる固まり現象の抑制に有利である。
【0036】
図2には、2個の同心円のみが例示されたが、チャンバ100と分散板200のサイズによって第3同心円及び第4同心円などさらに多い同心円の配置が行われ得る。例えば、第3同心円の場合、スパウトノズルは15度の間隔で24個が配置され得る。また、スパウトノズル214の個数は、第1同心円201で6個でなく、6個より少ない2個~5個から始めるか、6個より多い7個以上などで始めることもできる。
【0037】
各同心円201、202は、分散板200の中心を共有して同心で配置される。各同心円201、202間の間隔、すなわち、各同心円201、202の半径差は、各同心円201、202ごとに同一であることが好ましいが、相違なっていてもよい。また、同一の同心円201、202内に配置された各スパウトノズル214、216間の間隔も同一であることが好ましいが、相違なっていてもよい。
【0038】
各スパウトノズル212、214、216の直径は特に制限されず、例えば、それぞれ独立的に分散板200の直径に対して、2~20%、5~15%又は8~12%であってもよい。
【0039】
各同心円201、202間の間隔は特に制限されず、例えば、それぞれ独立的に分散板200の直径に対して、5~40%、10~30%又は15~25%であってもよい。また、各同心円201、202間の間隔は、例えば、それぞれ独立的にスパウトノズル212、214、216の直径に対して、50~400%(すなわち、0.5倍~4倍)、100~300%(すなわち、1倍~3倍)又は150~250%(すなわち、1.5倍~2.5倍)であってもよい。
【0040】
スパウトノズル212、214、216は、コーティング液を噴射することができるホール又はノズル形態のアトマイザー(atomizer)を具備することができる。アトマイザーは、スパウトノズルの中央に1個が形成されてもよく、また中央領域に複数個に形成されもよい。アトマイザーの直径は、気体噴射ホールの直径より大きいことが好ましいが、これに制限されない。また、スパウトノズルの内部に形成された1個以上の気体噴射ホールをアトマイザーで用いてもよい。コーティング液は、キャリアガス(carrier gas、空気など)を通じて移動及び噴射され得る。
【0041】
図3は、スパウトノズルの配置別粒子観察を比較したもので、粒子体積比0.3を基準としたものである。図3の上部図面を参照すると、比較例1の場合、実施例1と同一な19個のスパウトノズルが配置され、分散板の中心に1個のスパウトノズルが配置されているが、最外側スパウトノズルは同心円上に配置されていない。
【0042】
比較例2の場合、実施例1より2個が多い21個のスパウトノズルが配置され、全体が同心円配置を成すが、分散板の中心にスパウトノズルがない。
【0043】
比較例3の場合、21個のスパウトノズルが配置され、分散板の中心に1個のスパウトノズルが配置されているが、最外側から二番目のラインのスパウトノズルは同心円上に配置されていない。
【0044】
図3の中間図面は、粒子分布を上側から観察したものであり、図3の下部図面は、粒子分布を側面から観察したものである。比較例と異なり、実施例1では、スパウトノズルの最適配置によってスパウト領域がよく発達したことを確認することができ、スパウト領域で粒子流動が円滑に行われて粒子間のコーティング干渉現象がなくて粒子コーティング効率を高めることができる。
【0045】
図2及び図4を参照すると、スパウトノズル212、214、216を除いた各同心円201、202間の領域205、206、207ごとに気体噴射ホールの開口割合が異なる。開口割合(opening ratio)は、気体噴射ホールを含んだ該当領域の全体面積を基準で該当領域に形成された多数の気体噴射ホールが占める面積(気体噴射ホールの総面積)の割合を意味することができる。このとき、スパウトノズル212、214、216の面積は計算から除外され得る。
【0046】
具体的に、最外側同心円202の外側に該当する第1領域205の開口割合は、第1領域205と隣接した第2領域206の開口割合より小さくてもよく、第1領域205の開口割合は、最内側同心円201の内側に該当する第3領域207の開口割合より小さくてもよい。すなわち、第1領域205の開口割合が一番小さくてもよい。また、第2領域206の開口割合は、第3領域207の開口割合より大きいか同一であってもよい。
【0047】
各領域別に開口割合を相違に設定するにおいて、気体噴射ホールの個数を相違に設定するか、個数を同一に設定するが気体噴射ホールの直径を相違に設定することができる。すなわち、開口割合は、気体噴射ホールの個数及び/又は直径の調節を通じて調節することができる。
【0048】
より具体的に、例えば、第2領域206の開口割合は、第1領域205の開口割合の2~5倍又は3~4倍であってもよく、第3領域207の開口割合は、第1領域205の開口割合の1.5~4倍又は2~3倍であってもよく、第2領域206の開口割合は、第3領域207の開口割合の0.5~2倍又は1~1.5倍であってもよいが、これに制限されない。
【0049】
図4は、分散板の領域別開口割合の変更による粒子分布の影響を比較したもので、スパウトノズル間の距離が遠い領域は、より大きい打孔をしてこっちの粒子固まりを抑制することができ、分散板に粒子が停滞することを改善することができる。勿論、打孔のサイズは、粒子サイズを超えてはいけない。
【0050】
実施例2の場合、領域区分なしに分散板全体が一つの領域(第1領域)で構成され、第1領域の開口割合は4%であった。実施例2の場合、領域区分がなくて第1同心円と第2同心円の間に高密度粒子領域が形成された。
【0051】
実施例3の場合、最外郭領域を第1領域で設定し、その内側を全て第2領域で設定するが、第1領域の開口割合は2.8%であり、第2領域の開口割合は、第1領域の約3.42倍である9.6%で設定した。
【0052】
実施例4の場合、最外郭領域を第1領域で設定し、その内側を順次に第2領域及び第3領域で設定するが、第1領域の開口割合は2.8%であり、第2領域の開口割合は、第1領域の約3.42倍である9.6%であり、第3領域の開口割合は、第1領域の2.75倍である7.7%で設定した。また、第2領域の開口割合は、第3領域の約1.25倍であった。
【0053】
実施例2と比較して、実施例3及び実施例4では高密度粒子領域がないか減った。
【0054】
一方、各同心円ごとにスパウトノズルの流量が相違なっていてもよい。このように、同心円の内側と外側のスパウトノズルの流量調節を通じてスパウト領域の独立性を追加で確保することができる。
【0055】
図1及び図5を参照すると、本発明によるコーティング装置は、分散板200の下部に形成されたウインドボックス(wind box、分散板の下部空間)内に配置されて気体の流れをガイドする構造物300、310をさらに含むことができる。
【0056】
構造物300、310は、チャンバ100の直径方向の全体にわたって形成されて中央にホール302を具備して気体の流れをチャンバ100の中央側に誘導する第1構造物300;及び第1構造物300の上部に第1構造物300と同心で配置され、チャンバ100の直径方向に対してチャンバ100の壁側を除いて部分的に形成されて気体の流れをチャンバ100の壁側に誘導する第2構造物310を含むことができる。
【0057】
構造物300、310は、チャンバ100の内部に、例えば、水平方向(横断面方向)に設置され得る。第1構造物300は、チャンバ100の横断面の全体にわたって設置され得、第2構造物310は、チャンバ100の内壁と離隔されるように部分的に設置され得る。構造物300、310は、それぞれ円板で構成され得、第1構造物300の直径は、チャンバ100の内径と同一であってもよい。構造物300、310は、3個以上でも構成され得る。構造物300、310の厚さ及び材質などは特に制限されず、適切に設定できる。
【0058】
第1構造物300は、支持部材、螺合、溶接などによりチャンバ100に装着されるか固定され得る。第2構造物310は、支持部材、連結部材などによりチャンバ100の内壁と離隔されるように装着されるか固定され得る。第1構造物300は、チャンバ100の直径が下方に行くほど減少するテーパー領域に配置され得るが、これに制限されない。第2構造物310は、チャンバ100の均一直径領域及びテーパー領域の間の境界領域に配置され得るが、これに制限されない。
【0059】
第1構造物300の直径は、第2構造物310の直径より大きいか同一であってもよい。第2構造物310の直径は特に制限されず、例えば、チャンバ100の直径に対して、20~50%、25~45%又は30~40%であってもよい。また、第2構造物310の直径は、第1構造物300のホール302の直径に対して、50~150%、70~130%又は90~110%であってもよい。第1構造物300と第2構造物310の間隔は、特に制限されず、例えば、第2構造物310の直径に対して、20~150%、50~120%又は70~100%であってもよい。
【0060】
第1構造物300のホール302は、第1構造物300の中央領域に第1構造物300の厚さ方向に第1構造物300を貫通して形成され得る。ホール302は、円形で構成され得、第1構造物300の中心と同心で形成され得る。ホール302は、中央領域に1個又は複数個で形成され得る。ホール302の直径は特に制限されず、例えば、第1構造物300の直径に対して、20~80%、30~70%又は40~60%であってもよい。
【0061】
第2構造物310にもホールが形成され得る。第2構造物310にホールがある場合、チャンバ100の内壁側だけではなく、チャンバ100の中央側へも気体の流れを誘導することができる。ホールの位置、形状、個数、直径などは特に制限されず、適切に設定できる。
【0062】
図5は、ウインドボックス構造物の設置による流速偏差影響を比較したもので(最大気体速度25m/s)、コーティング装置下部のウインドボックス構造を変更することで、圧力降下(pressure drop)が大きくなく、分散板に流入される気体(空気など)の流速偏差(分散板流速偏差)を減少させ得る。流速偏差は、分散板の全体領域にわたって多数の局所領域の流速を測定して得た平均流速に対する偏差であってもよい。流速は、センサーなどを用いて直接測定するか、コンピュータシミュレーションを通じて得ることができる。
【0063】
図5を参照すると、ウインドボックス構造物がない実施例1の場合、分散板の下部のウインドボックス領域で気体の流れがチャンバの一側(左側)の内壁側に偏向されることで、分散板の流速偏差が0.90と大きかった。これによって、分散板上部でも気体の流れが不均一であった。
【0064】
しかし、ウインドボックス構造物を設置した実施例5の場合、第1構造物で気体の流れがチャンバの中央側に誘導された後、第2構造物にぶつかりながらチャンバの全体領域にわたって均一に分散されることで、流速偏差が0.61で著しく減った。これによって、分散板の上部でも気体の流れが均一であった。
【符号の説明】
【0065】
100:チャンバ
200:分散板
201:第1同心円
202:第2同心円
205:第1領域
206:第2領域
207:第3領域
210、212、214、216:スパウトノズル
300:第1構造物
302:第1構造物のホール
10:第2構造物
図1
図2
図3
図4
図5